JP5716232B2 - 保持装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁力により被保持物を保持する保持装置に関する。
超精密加工などの機械加工をする際には、ワーク(加工対象)の固定が非常に重要である。一般にワークの固定には安価なバイス(万力)が用いられることが多いが、ワークが鉄系あるいは他の磁性体製のものである場合には、磁力吸着によってワークを固定するマグネットチャックを利用することができる。マグネットチャックは、ワークを設置してスイッチを切り替えるだけで誰でも同じ吸着力で基準面に平行に取り付けることが可能であること、バイスでは変形してしまうおそれのある薄い板や小物を取り付けることが可能であることなどの利点を有する。ただし、一般に横滑り方向の力には弱いという欠点がある。
マグネットチャックには、永久磁石型、電磁石型、それらを組み合わせた永電磁石型がある。特に永久磁石型は、横滑り方向にかかる力が少ない研削加工や放電加工などに使用するのが中心である。電磁石を利用したタイプでは、強い吸着力を実現できるため横滑り方向の力にも強く、また吸着状態と脱離状態を電気的に切り替えることができるため使い勝手も良く、横滑り方向に大きな力が加わる切削加工に対応することができる。しかしながら、電磁石型では当然ながら電源が必要であり、大電流による発熱を抑えるための冷却機構も必要であることから、電気的絶縁や防水処理に細心の注意を払わなければならず、導入コストおよびランニングコストが高くなる。大電流を流し続けなければワークを吸着できないため、環境負荷が大きいことも問題である。
機械加工用のマグネットチャックは、通常、磁性体と非磁性体を交互にストライプ状に組み合わせた構造を有している。従来のマグネットチャックではこの磁性体と非磁性体のストライプの周期が細かく、内部の磁石の大きさとは無関係であった。1980年代には既にマグネットチャックの技術が確立していたが、マグネットチャック製品、とりわけ永久磁石型マグネットチャックの開発は、磁性体と非磁性体の周期がより細かくなる方向で進められてきているのが現状である。
実開昭52−167668号公報 実開昭57−48033号公報
本願発明の目的は、電磁石に依存せずにオン状態で高い吸着力を発揮でき、且つオフ状態での磁力のキレがよく被保持物の取り外しが容易な、低コストで環境負荷も少なく様々な場面に応用できる被保持物の保持手段を提供することにある。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、従来の永久磁石型マグネットチャックの構成において、磁石間の距離と非磁性体のピッチ幅(ストライプの幅)とを揃え、かつ、磁石の幅と磁性体のピッチ幅とを揃えた上で、オフ状態において磁石が非磁性体のストライプの下に並んで配置される構成とし、1個の磁石が複数の非磁性体ピッチを跨がないようにすることで、永久磁石のみを用いた場合でも強い吸着力とオフ時のキレの良さを両立できること、構造がシンプルなので様々な用途に使用可能であることを見出し、本願発明を完成した。
すなわち、本発明は、少なくとも一部が磁性材料から成る被保持物を磁力により保持する保持装置であって、第1の磁性体から成る磁性部材と非磁性体から成る非磁性部材とを交互にストライプ状に組み合わせて構成された上部プレートと、第2の磁性体から成る下部プレートと、磁石又は磁石の同一極に挟み込まれた第3の磁性体から成る磁極部材であって、上部プレート及び下部プレートの間において、磁極面を上下方向に向けた状態で、各列が上部プレートのストライプと直交するように複数の列をなして配置された、複数個の磁極部材と、磁極部材が固定された磁極固定プレートであって、上部プレートのストライプと直交する方向で水平に左右移動可能に設けられた少なくとも2つの可動プレートから成り、各可動プレートが磁極部材の列を少なくとも1列含む磁固定プレートとを具備し、複数列の磁極部材の各列内では、異なる磁極面を向けた磁極部材が一定の間隔で交互に配置され、前記間隔が非磁性部材のストライプ幅と略同一であり、磁極部材の幅が磁性部材のストライプの幅と略同一であり、前記可動プレートの全てを上部プレートに対して左右移動させることにより、非磁性部材のストライプに沿って異なる磁極面を向けた磁極部材が隣り合うように配置されたオフ状態と、磁性部材のストライプに沿って同一の磁極面を向けた磁極部材が並ぶように配置されたオン状態とに変換可能であり、オン状態において磁極部材から発する磁力により被保持物が上部プレート上に保持される、保持装置を提供する。
本発明により、大電流に依存することなく強力な保持力とオフ時の切れの良さを両立できる、磁力による新規な保持手段が提供された。本発明の保持装置は、磁極部材として永久磁石のみを用いた場合でも、横滑り方向の力にも耐える高い吸着保持力を発揮できる。金属製ワークの固定のためのマグネットチャックとして使用する場合、従来の永久磁石型マグネットとは異なり、研削加工や放電加工だけでなく、横滑り方向に大きな力がかかる切削加工にも使用することができる。また、ワーク固定のためのマグネットチャックとしての用途を超えて、様々な用途に使用できる。小さい部品の固定保持以外にも、人や動物の支持、鉄骨の固定など、大きな物体の保持固定にも使用可能である。保持装置全体のサイズは、使用目的や使用環境等に応じて自由に選択できる。本発明の保持装置は、永久磁石のみを使用した場合でも強い吸着力を発揮できるので、使用場所も制限がなく、液中、建物の壁の内部など、様々な場所で使用可能である。
本発明の保持装置の構造を模式的に示した分解斜視図である。 磁極固定プレートが2つの可動プレートから成る具体例の1つであり、凸部と凹部によって可動プレートに主従関係を持たせた一例である。(A) オフ状態とオン状態の磁極部材の配置を上部プレートのストライプの配置とともに示した図である。(B) 可動プレートの左右送りの機構を説明した図である。 磁極固定プレートが2つの可動プレートから成る具体例の1つであり、主プレートを従プレートに囲包させるようにして配置した一例である。 磁極部材が磁石の同一極に挟み込まれた第3の磁性体から成る具体例の1つであり、凸部と凹部によって可動プレートに主従関係を持たせた一例である。 本発明の実施品である永久磁石型マグネットチャックと従来品の永久磁石型マグネットチャックについて、試験片を用いて垂直引張強度を測定した結果を示すグラフである。(A) オン状態の吸着力、(B) オフ状態の吸着力。
10 保持装置
100 保持面
12 上部プレート
122 磁性部材
124 非磁性部材
14 磁極固定プレート
142 可動プレート
142a 主プレート
142b 従プレート
144 可動プレート枠
16 下部プレート
18 磁極部材
18a S極面
18b N極面
20 磁石
22 凸部
220 凸部材
24 凹部
240 凹部材
本発明の保持装置は、磁力を利用して被保持物を保持する器具であり、金属加工に従来より使用されているマグネットチャックの原理を利用したものである。以下、図面に基づいて本発明の保持装置の基本構成を説明する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、上下、左右、水平という語が用いられているが、これは、上部プレートを水平にして被保持物を保持する保持面を上方に向け、ストライプが奥から手前に向かうように維持した状態での方向を意味している。図1中には三次元の軸が記載されているが、これで表現すれば、上下方向とはZ方向、左右方向とはX方向、上部プレートのストライプの方向がY方向である。ただし、本発明の保持装置は、保持面を上方に向けた状態のみならず、横向きでも下向きでも、あらゆる方向に向けた状態で使用可能である。各部材の配置を明瞭にする観点から、便宜的に、保持面を上方に向けた上記の状態で上下左右方向を説明しているだけであり、こうした説明によって本発明の保持装置の使用状態が限定されるものではない。
また、本明細書及び特許請求の範囲では「プレート」という語を用いているが、本発明では、XY方向のサイズと比較してZ方向の厚みが大きく、プレートではなくむしろブロックと表現した方が適切な形状である場合もあり得る。本明細書及び特許請求の範囲では、本発明の器具の構成を立体的に把握しやすくする観点から、便宜上「プレート」という語を用いているだけであり、本発明の範囲は、Z方向の厚みがXY方向のサイズと比較して十分に小さいものに限定されるものではない。
図1は、本発明の保持装置の構造を模式的に表した分解斜視図である。保持装置10は、上部プレート12、磁極固定プレート14(ただし構造を一部省略して示す)及び下部プレート16を具備する。磁極固定プレート14には複数個の磁極部材18が固定されている。上部プレートの上部表面が、被保持物を吸着保持する保持面100である。
上部プレート12は、第1の磁性体から成る磁性部材122と非磁性体から成る非磁性部材124が交互にストライプ状に組み合わされて構成されたものである。磁性部材122は、上部プレート12の下に配置された磁極部材18と磁気的に接続する部材であり、オン状態では磁極部材18からの磁力が磁性部材122を経て被保持物を吸着保持する。以下、上部プレートを構成する磁性部材を「磁性ストライプ」、非磁性部材を「非磁性ストライプ」と表現することがある。
本発明において、「非磁性体」は、全く磁力を通さない材料という意味ではなく、使用する磁性体との間で透磁率に非常に大きな差(例えば数百倍〜数千倍程度以上)がある材料であればよい。磁性体及び非磁性体は特に限定されず、この分野で公知の種々の材料を使用することができる。磁性体の具体例としては、鉄、コバルト、ニッケル及びガドリニウムの単体が挙げられるほか、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウム、クロム及びマンガン等のうちの1種以上を含む化合物、マルテンサイト系ステンレスなどの素材が挙げられる。また、非磁性体の具体例としては、銅、亜鉛、スズ、鉛、アルミニウム、マグネシウム、硫黄及びチタン等の単体あるいはこれらのうちの1種以上を含む化合物(例えば真鍮、青銅など)、オーステナイト系ステンレス等のような非磁性金属;プラスチック、ポリエチレン、ビニール等の石油加工品素材;ゴム、ガラス等の非金属・非石油加工品素材;天然繊維(綿など)、天然樹脂、木材及び木材加工品(紙など)のような植物由来素材;並びに空気等が挙げられる。非磁性体として空気を用いる場合、非磁性ストライプは空気ギャップとして設けられる。例えば、非磁性体の薄いプレート表面に適当な間隔で磁性ストライプを固定したものを、非磁性ストライプが空気ギャップである上部プレートとして使用することができる。上記した具体例は単なる例示であり、本発明で使用される磁性体及び非磁性体は上記具体例に限定されるものではない。
下部プレート16は、第2の磁性体から成る。この下部プレート16は、磁極部材の下方の磁極面と磁気的に接続しており、下方に向かう磁力線を磁極部材間で完結させる働きをする。第2の磁性体は、第1の磁性体と同一であってもよいし、異なっていてもよいが、製造コスト等の観点では同一素材であることが好ましい。
被保持物を吸着保持するための磁力を保持面100上に提供する磁極面を有する磁極部材18は、磁極固定プレート14に固定され、上部プレート12と下部プレート16の間に配置される。磁極部材18は、磁極面を上下方向(Z方向)に向けて、上下のプレートと磁気的に接続するように、好ましくは上部プレート及び下部プレートに物理的に接するように配置される。ただし、磁極固定プレート14の下部面が磁性体から成る場合には、磁極面が下部プレート16に物理的に接する必要はない。磁極部材18の各列内では、隣り合う磁極部材18が異なる磁極面を上方に向けた状態で配列される。具体的には、図1や図2に示されるように、上から見た時に・・・−N極−S極−N極−S極−・・・となるように交互に配列される。図中では、磁極部材18の磁極面のうち、S極面を18a、N極面を18bとして示す。また、磁極部材18の各列内では、磁極部材18が一定の間隔をおいて配置されるが、この磁極部材間のX方向の間隔が、上部プレート12の非磁性ストライプの幅と略同一となっている。そして、各個の磁極部材18の幅(X方向の幅)が、磁性ストライプの幅と略同一である。この寸法設定が本発明において特に重要な構成の一つであり、オン時の吸着力の強さとオフ時の切れの良さの両立に深く寄与している。寸法を合わせる際には、同一とすべき寸法の間で多少の誤差が生じても、保持装置の機能すなわちオン時の強い吸着力とオフ時の切れの良さを大きく損なわない限り問題はない。略同一とは、そのような多少の誤差が許容されることを意味しており、特に限定されないが、通常±10%程度まで、例えば±5%程度までの誤差が許容される。磁極部材18の列間の距離(Y方向の磁極部材間の間隔)は特に限定されず、オフ状態の配置の時にY方向に隣接する磁極部材間で磁力線が好ましく完結できる程度の距離を超えなければよい。通常、磁極部材18のY方向の寸法と同一程度以下であるが、これに限定されず、Y方向の間隔は使用する磁極部材の磁力の強さ等に応じて適宜設定可能である。
磁極部材18は、磁石、又は磁石の同一極に挟み込まれた第3の磁性体から成る。磁石は、永久磁石、電磁石、永久磁石と電磁石を組み合わせた磁石のいずれであってもよく、被保持物の種類や使用場所等に応じて適宜選択できる。本発明の特徴は、永久磁石のみでも強い吸着保持力とオフ時の切れの良さを両立できる点にあるが、吸着保持力をさらに高めるために、電磁石又は永久磁石と電磁石を組み合わせた磁石を使用することは差し支えない。電磁石又は永久磁石と電磁石を組み合わせた磁石を採用すれば、被保持物が大きくて重量のある物体である場合にも十分に対応可能になる。永久磁石のみを採用すれば、吸着保持力を発揮するのに電気が不要なため、例えば水中でも保持装置を使用可能になる。
図2及び図3は、磁極部材18が磁石の場合の具体例である。磁石同士の間隙には非磁性体が配置される。非磁性体の条件は上記した通りである。図2及び図3の例では、非磁性体から成るプレートに磁石が埋め込まれて固定されているが、これに限定されず、磁石同士の間隙が空気ギャップであってもよい。例えば、薄いプレート上に適当な間隔で空気ギャップを設けながら磁石を固定したものを磁極固定プレートとして使用することができる。薄いプレートは、磁石から下方に発生する磁力線が下部プレートを介して磁石間で完結することを妨害しない限り、いかなる材料で作製されたものでもよい。
図4は、磁極部材18が磁石の同一極に挟み込まれた第3の磁性体である場合の具体例である。図4のように、複数の磁石20を同一極が向かい合うように並べ、その間に磁性体を挿入すると、該磁性体は一極性の磁石として機能するようになり、N極とS極がX方向に交互に並んだ磁極部材の列となる。このような磁極部材列を利用したマグネットチャックは公知であり、本発明の保持装置においても利用できる。図4の例では、一極性の磁石として働く第3の磁性体の間隙が、第3の磁性体間に配置されている磁石20によって規定されている。従って、本発明の保持装置では、第3の磁性体を挟み込んでいる磁石の厚みを上部プレートの非磁性ストライプの幅と略同一にすればよい。
図4の態様においては、磁極部材は磁石ではなく第3の磁性体の方であり、磁石は本発明に言う磁極部材ではないが、磁極部材として使用される磁石について上述した条件が当てはまる。すなわち、この態様で用いられる磁石も、永久磁石、電磁石、永久磁石と電磁石を組み合わせた磁石のいずれであってもよい。また、第3の磁性体の条件は、第1及び第2の磁性体と同様であり、第1〜第3の磁性体は同一でも異なっていても良いが、製造コスト等の観点では第1〜第3の磁性体は同一素材であることが好ましい。
磁極固定プレート14は、少なくとも2つの可動プレート142から成る(図1では省略)。図2〜図4に示す具体例は、いずれも2つの可動プレートから成る例であるが、これに限定されず、3つ以上の可動プレートを含んだものであってもよい。各可動プレートには、列状に配置された磁極部材18が少なくとも1列固定される。図4の例では、交互に配列して組まれた磁石及び第3の磁極部材の列そのものが、可動プレート142の本体を成す。
磁極部材18は、上部プレート12のストライプの方向(Y方向)と直交する方向(X方向)に配列され、図2〜図4に図示される通り、Y方向に複数列が並んで配置される。可動プレート142は、この磁極部材列と平行な方向(X方向、すなわちストライプと直交する方向)に水平に左右移動可能に設けられる。本発明では、全ての可動プレート142が上部プレート12に対して左右方向に移動可能であり、Y方向の磁極面の並び方の変換(オン状態では同一極の磁極面がY方向に並び、オフ状態では異なる磁極面がY方向に並ぶ)と、上部プレートのストライプに対する全ての磁極部材の位置の変換(オフ状態では非磁性ストライプの下に磁極部材が配置され、オン状態では磁性ストライプの下に磁極部材が配置される)の両者を達成できるようになっている(図2参照)。
可動プレート142の左右移動は、保持装置10の外部から左右移動を制御する左右送り手段(図示せず)によって制御される。左右送り手段の操作部(図示せず)は、レンチで操作するナット、レバー、送りねじなど、保持装置の使用目的や使用環境等に合わせて適宜選択できる。遠隔部からの操作が求められる場合には、遠隔部のスイッチに接続した電気配線又はリモコン信号受信部を保持装置に設け、電気や電波等によって可動プレート142の左右送りを制御することもできる。操作部の動作を可動プレート142に伝達する機構そのものは、当業者であれば容易に設計できる。例えば、従来品の永久磁石型マグネットチャックでは、チャック本体側面にナットが設けられ、ここをレンチで回転させて内部の可動プレートをスライドさせるが、本発明でも基本的には同様の機構を利用することができる。
本発明では、少なくとも2つ存在する可動プレート142の全てを、上部プレート12に対して左右方向に水平移動させる必要があるので、全ての可動プレート142が左右送り手段の操作部と直接又は間接的に連絡するように構成される。例えば、全ての可動プレート142がそれぞれ独立して左右送り手段を具備し、プレート毎に左右送りを操作できるようにしてもよいし、あるいは、1つの可動プレート(主プレート142a)を左右送り手段の操作部と直接連絡させ、この主プレート142aの左右送りによって、他の可動プレート(従プレート142b)の左右移動を制御することもできる。以下、可動プレートに主従関係を持たせた後者の移動機構の好ましい具体例について、図面に基づいて説明する。
図2(B)は、図2(A)に示す態様において、オフ状態からオン状態に切り替えた時の2つの可動プレートの動き(上段)と、オン状態からオフ状態に切り替えた時の2つの可動プレートの動き(下段)を示している。可動プレート142は可動プレート枠144内に収容されている。プレート同士が接する面において、一方に凸部22、他方に該凸部22を受ける凹部24が設けられている。凸部を有するプレートが主プレート142aであり、これが左右送り手段操作部と直接連絡している。凹部を有するプレートが従プレート142bである。保持装置の側面には操作部としてナットが設けられ(図示せず)、これをレンチで回転させると、凸部を有する主プレート142aが左右方向に水平移動する。
図2(B)の上段に示すように、オフ状態からオン状態に切り替える場合、レンチをオン方向に回転させると主プレート142aが左方向に移動する。このとき、凸部22が従プレート142bの凹部24内でスライドし、凹部24の左側壁面に当たると、従プレート142bが主プレート142aの左移動に従って左移動し始める。可動プレート枠144の左側の内壁に各プレートが当たって移動が終了する。移動終了時には、上部プレート12の磁性ストライプ122に沿って、該ストライプ122の真下に同一極を向けた磁極部材18が並び、オン状態となる。
図2(B)の下段に示すように、オン状態からオフ状態に切り替える場合、レンチを逆方向に回転させると主プレート142aが右方向に移動する。凸部22が従プレートの凹部24内でスライドし、凹部24の右側壁面に当たると、従プレート142bが主プレート142aの右移動に従って右移動し始める。可動プレート枠144の右側の内壁に各プレートが当たって移動が終了する。移動終了時には、上部プレート12の非磁性ストライプ124に沿って、該ストライプ124の真下に異なる磁極を向けた磁極部材18が隣り合うように並び、オフ状態となる。
図3は、主プレート142aが従プレート142bに囲包されるように配置された例である。この例では、従プレート142bの内部空間で主プレート142aが左右移動することによって、従プレート142bの左右移動が制御される。図3においては、主プレート142aに磁極部材列が2列固定されており、この2列間の磁極部材18の配置は変更することができない。従って、オフ状態では、主プレート142a内ではY方向に同一極が隣り合うことになるが、主プレート142aと従プレート142bとの間では異なる極が隣り合うので、「非磁性部材のストライプに沿って異なる磁極面を向けた磁極部材が隣り合うように配置された」状態に包含され、Y方向にも磁力線を完結させることができる。こうした態様では、Y方向の磁力線の完結を促すため、主プレート142aの磁極部材列間の距離を、主プレート142aと従プレート142bを跨いで隣り合う列間の距離よりも広く設けることが好ましい。
なお、図2及び図3は単なる例示であり、本発明で用いる左右送り機構はこれらの具体例に限定されるものではなく、当業者であれば適宜主従プレートの形状や配置を設計することができる。
図4に示した例では、上記した通り、交互に配列して組まれた磁石及び第3の磁極部材の列そのものが、可動プレートの本体を成す。この場合にも、図2及び図3の例と同様にプレートに主従関係をもたせて磁極部材列の左右送りを行なうことができる。図2及び図3中の磁極部材列の領域を図4に示した磁極部材列と入れ替えて考えればよい。あるいは、図4に示すように、凸部22を有する凸部材220と凹部24を有する凹部材240とを磁極部材列の端部に設けることによっても、図2と同様の主従関係をもたせることができる。この場合も、凸部材220と凹部材240を取り付けた各磁極部材列が、それぞれ全体として可動プレートを形成し、上述の図2の例と同様に、「プレート同士が接する面において、一方に凸部、他方に該凸部を受ける凹部が設けられている」態様に包含される。
図2(A)に示された、磁極固定プレートが2つの可動プレートから成る態様に基づいて、本発明の保持装置を使用した時の磁力線の流れを説明する。オン状態では、上部プレート12の磁性ストライプ122の下に磁極部材18が磁極面をそろえて並び、磁性ストライプ122に一極性の磁力が付与される。X方向に隣り合う磁極面は極が異なるため、保持面100上では、S極とN極が交互に並んだ状態になる。この状態で保持面100上に少なくとも一部が磁性材料から成る被保持物(図示せず)が存在すると、X方向に隣り合う磁極部材間で、一本の非磁性ストライプ124を跨ぎ被保持物の磁性材料部分を経由して磁力線が完結する。これにより、被保持物が保持面100上に吸着保持される。被保持物を取り外すときは、左右送り手段の操作部をオフ方向に回転させ、磁極部材18の配置を変換する。オフ状態では、磁極部材18が非磁性ストライプ124の下に並ぶ。この際、異なる磁極面がストライプ124に沿って隣り合って並ぶように配置が変換される。ただし、ストライプに沿ったY方向の磁極面の並びは、必ずしも同一極が決して隣り合わないように並ぶ必要はなく、例えば図3の例のように部分的にY方向に同一極が隣り合っていてもよい。オフ状態で非磁性ストライプ124に沿ってその下に磁極部材18が並ぶことで、磁力線が保持面100上の磁性材料まで届きにくくなり、磁極部材18からの磁力は、磁性ストライプ122内部でX方向とY方向に完結しやすくなる。これにより、大きく厚みのある永久磁石を使用した場合でも、オフ時の磁力の切れが向上し、オン時の強い保持力とオフ時の切れの良さを両立できるようになる。
被保持物は、少なくとも一部が磁性材料から成るものであれば、磁力により吸着保持できるため、特に限定されない。鉄製品など全体が磁性材料から成る物体の他、非磁性材料から成る物体であっても、部分的に磁性材料から成る部位があれば本発明の保持装置で保持可能である。
本発明の保持装置は、機械加工において金属製のワークを固定するためのマグネットチャックとして利用できる。磁極部材として永久磁石のみを用いた場合でも、横滑り方向の力にも耐える高い吸着保持力を発揮できるので、研削加工や放電加工だけでなく切削加工においても使用可能である。また、ワーク固定のためのマグネットチャックとしての用途を超えて、様々な用途に使用できる。小さい部品の固定保持以外にも、人や動物の支持、鉄骨の固定など、大きな物体の保持固定にも使用可能である。保持装置全体のサイズは、使用目的や使用環境等に応じて自由に選択できる。永久磁石のみを使用した場合でも強い吸着力を発揮できるので、使用場所も制限がなく、液中でも使用可能である。また、たとえば建物の壁の内部に保持装置を設置し、壁に被保持物を保持固定するという用途も可能である。
本発明の保持装置をマグネットチャックとして作成し、上部プレートのストライプのピッチが細かい従来品のマグネットチャックと吸着力を比較した。
本発明の実施品であるマグネットチャックでは、磁極部材として永久磁石を使用した。真鍮で形成したプレートに永久磁石をはめ込んで固定した。磁固定プレートの左右送りは、図2に模式的に示された機構を用い、六角レンチで主プレートを左右送りすることで従プレートの左右送りを制御した。上部プレートは、鉄と真鍮を交互に組み合わせて作成し、下部プレートは鉄で作成した。一方、従来品の永久磁石型マグネットチャックは、一部の磁石列が完全に固定されて可動になっておらず、また、鉄と真鍮のピッチが細かく、オフ状態でも1個の永久磁石が真鍮部分を数本跨いだ状態になるものであった。マグネットチャックのサイズは、いずれも保持面が75 mm × 130 mmであった。
試験片を上記の各マグネットチャックに吸着させて垂直方向に引張試験を行なった。試験片は、鉄製の材質S45Cの幅60 mm × 奥行き10 mm × 高さ10 mmのものを基準とした。非磁性のステンレス棒を接続してクサビ形ジョウで固定し、1 kNのロードセルを使用、試験速度2.0 mm/分とし、試験回数は各50回で評価を行なった。引張試験の結果を表1及び図5(エラーバーは省略)に示す。
従来品は、ON状態で約42 kg、OFF状態で0.7 kgとONの吸着力が不足しOFFのキレが悪いものであった。一方、本発明の実施品では、ON状態が約1.7倍の71 kg、OFF状態が約半分の0.3 kgにまで改善されていた。また引張試験による吸着力評価からは、OFF状態においてマグネットチャック表面から試験片が離れた後は磁力を受けておらずキレが良くなっていることがわかった。

Claims (7)

  1. 少なくとも一部が磁性材料から成る被保持物を磁力により保持する保持装置であって、
    第1の磁性体から成る磁性部材と非磁性体から成る非磁性部材とを交互にストライプ状に組み合わせて構成された上部プレートと、
    第2の磁性体から成る下部プレートと、
    磁石又は磁石の同一極に挟み込まれた第3の磁性体から成る磁極部材であって、上部プレート及び下部プレートの間において、磁極面を上下方向に向けた状態で、各列が上部プレートのストライプと直交するように複数の列をなして配置された、複数個の磁極部材と、
    磁極部材が固定された磁極固定プレートであって、上部プレートのストライプと直交する方向で水平に左右移動可能に設けられた少なくとも2つの可動プレートから成り、各可動プレートが磁極部材の列を少なくとも1列含む磁固定プレートと
    を具備し、
    複数列の磁極部材の各列内では、異なる磁極面を向けた磁極部材が一定の間隔で交互に配置され、前記間隔が非磁性部材のストライプ幅と略同一であり、磁極部材の幅が磁性部材のストライプの幅と略同一であり、
    前記可動プレートの全てを上部プレートに対して左右移動させることにより、非磁性部材のストライプに沿って異なる磁極面を向けた磁極部材が隣り合うように配置されたオフ状態と、磁性部材のストライプに沿って同一の磁極面を向けた磁極部材が並ぶように配置されたオン状態とに変換可能であり、オン状態において磁極部材から発する磁力により被保持物が上部プレート上に保持される、保持装置。
  2. 前記磁石は永久磁石、電磁石及び永久磁石と電磁石の組み合わせから選択される少なくとも1種である請求項1記載の保持装置。
  3. 前記磁石は永久磁石である請求項2記載の保持装置。
  4. 磁極固定プレートが2つの可動プレートから成り、可動プレートの左右移動を制御する左右送り手段の操作部と直接連絡する可動プレートには凸部が設けられ、他方の可動プレートには、前記凸部を受け該凸部がその内部でスライド移動可能な凹部が設けられる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の保持装置。
  5. 磁極固定プレートが2つの可動プレートから成り、可動プレートの左右移動を制御する左右送り手段の操作部と直接連絡する可動プレートが他方の可動プレートに囲包されるように配置される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の保持装置。
  6. 金属材料の機械加工に用いられるマグネットチャックである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の保持装置。
  7. 切削加工用マグネットチャックである請求項6記載の保持装置。
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