JP5713508B2 - 免振装置 - Google Patents

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本発明は、基礎上に土台を構築して柱、壁等を建立する建築物の地震時等に受ける振動を小さくする免振装置に関する。
図3に示す様な形が戸建て住宅の基礎として施行されるようになり、柱の挫屈により大きな被害を出すようになり、球・コロ・滑り面・積層ゴム等使用した様々な免振装置が提案されている。
基礎から鋼棒等の剛直体を垂直に建てた免振装置が、特許文献1、特許文献2、特許文献3等で公開されている。
これらの免振装置は、鉛直に建てた鋼棒の片持ち梁を重量支持体として、片持ち梁の撓み現象を利用して、下部基礎と上部土台の相対移動を可能とする免振装置である。
特許文献1の免振装置にあっては、図10の様に、アンカーボルト下部を制振材で充填してアンカーボルトに制振機構を加味した装置であり、特許文献2にあっては図11の様に、アンカーボルト中間部にスプリング加工を施して弾性体で被覆して地震動のエネルギーの吸収を図ったものであるが、免振機構と重量支持機構を兼用させた結果、上部建築物荷重は常にアンカーボルト集中して、アンカーボルトの金属疲労により破断の恐れを招き、又、上部構造物が基礎から遊離した構造である為、風による揺れに対する制御方法が難しい。
又、特許文献3にあっては、図12の様に、基礎パイプに挿入されたアンカーボルト支持用板ばね及び、固定用環体の経年劣化に伴う圧接等の支持力の低下により、重量支持及び耐引抜き力の低下を来たし、抜け落ちの恐れがあるうえ、重量支持機構の一部を成している基礎パッキングのバネ定数が、長軸方向とそれに直交する方向で著しく異なる為、地震波動の方向によって免振効果は大きく損なわれて、又、風による揺れについても風向きによっては制振効果が著しく異なる事となってしまう。
登録実用新案3036159号公報 (第2頁、図1) 特開2006−112164号公報 (代表図面) 特開2013−76243号公報 (代表図面)
秋庭義明 他86名執筆 機械工学便覧 基礎編α3 材料力学社団法人 日本機械学会 代表者 会長 齋藤 忍 発行2007年11月25日 初版2刷発行 P.21−29 青木繁 他47名執筆 機械工学便覧 基礎編α2 機械力学社団法人 日本機械学会 代表者 会長 長島 昭 発行2004年12月20日 初版1刷発行 P.35−38
前記提案の免振装置では重量支持体となるアンカーボルトの上に、土台本体が設置されているのでアンカーボルトに常に荷重がかかるため、アンカーボルトの疲労が進み破断の恐れがあり、又、風による揺れに対する適切な制御方法も無く、安定した免振機能が十分でない事が判ってきた。
従って、本発明が解決しようとする課題は、従来技術で施工が簡単に出来、免振機能が高く、信頼性が高い、復元装置不要の、安価で管理の行い易い構造の免振装置を提供する。
前記の課題は、基礎上面に設けたラッパ状の穴を有する基礎本体と、前記基礎本体の上に設置された土台上下に開口した孔を有する土台本体と、前記基礎本体の前記ラッパ状の穴の下部に固定され首振り自在の、前記土台上下に開口した孔を貫通した直線状の剛直体とからなる免振装置によって解決される。
本発明の免震構造にあっては、基礎上面と土台下面の滑りによる相対移動を可能にする構造により、土台上・下面と平行方向の振動を、上部躯体に減衰して伝え、アンカーボルトの撓みの復元力により自然復元し、重量支持機構と免振機構を分離した構造で、信頼性が高く、維持管理が容易で、安価に免振装置を提供出来る。
本方法では、重量支持体の下部に弾性部材を必要としない構造であり、長期の経年劣化による上部構造の安定に及ぼす影響が無く、上・下部工の滑らかな滑りによる相対移動を可能として、土台上・下面と平行方向の振動に対して免振効果を発揮する。
基礎上面と土台下面が滑らかな滑りによる相対移動を可能に出来るように、土台とナット間にスプリングを介在させて、ダブルナット・ボルトで基礎と土台を緊結する。
基礎から直立する片持ち梁のアンカーボルトは、上下部工の相対移動により撓みを生じ、撓みの復元力により上部工は元位置近くへの復元を可能とするので、復元装置は不要であり、その復元力は非特許文献2によるところである。
元位置に出来るだけ近く復元する場合は、土台に空ける孔径をアンカーボルト径に合わせる。
アンカーボルトは首振り相当分のラッパ状の空間が形成が出来るように図9に示す様な型枠を貫通して基礎に固定して、基礎コンクリートを打設する。
ラッパ状の空間に異物が混入した場合に出し易いように、砂・小球等の水分含有率による粘性の変化の少ない流体を、鋼棒が激しく撹拌された場合でも溢れ出ない程度に充填する。
基礎にアンカーボルトが首振り自在となる動きの出来る空間を造る図9の様なラッパ状の型枠を事前作製しておく。
ラッパ状とは円錐形から円筒形等の首振り自在の空間を造る任意の形態の総称としており、特定の形を現わしたものではない。
下部基礎と上部土台の滑らかの相対移動を行う為に、基礎と土台間に図7,8に示すように鋼板等の滑り板を挿入する。
垂直振動に対応する場合は、土台の反復たわみ運動を利用できる隣接アンカーボルトとの中央の位置、すなわち支点中央に柱を建てる事により垂直方向の免振効果を得る。
支点中央にさらに土台となる梁を架設して、前記の撓み運動を数次にわたり利用する事により、さらなる垂直方向の振動の減衰を図る事も出来る。
支点中央の最大撓み量は非特許文献1により、その撓み量以上の空間を梁の下面に設ける。
梁の下面に必要空間を設ける方法は、基礎上部を梁の撓み曲線以上に下げて施行するか、もしくはアンカーボルトが貫通する鋼板の厚みを調整して確保しても良い。
隣接径間への不規則波動の波及を避けるために単純支持梁とする。
この発明の実施例に係る免振装置を設けた基礎・土台構造物の概念的な横断面図である。 同免振装置における基礎・土台構造物の最大相対移動時の概念的な横断面図である。 従来の基礎・土台構造物の概念的な横断面図である。 基礎上面部のアンカーボルト設置個所の拡幅を表す概念平面図である。 滑り板、スプリングを装着した基礎・土台構造物の概念的な横断面図でる。 滑り板、スプリングを装着した基礎・土台構造物の最大相対移動時の概念 的な横断面図である。 座金溝切り概念平面図である。 座金溝切り概念断面A1−A2横断図である 基礎自由空間作成ラッパ状型枠断面図である。 特許文献1の図である。 特許文献2の図である。 特許文献3の図である。
以下、この発明の実施方法について図面を用いて詳細に説明する。
図1は請求項1に係る免振装置の横断面図を示しており、この免振装置は基礎1上に土台2を架設したもので、基礎1底部に固定されて垂直に建つアンカーボルト3が土台2をアンカーボルト径より大きい孔を貫通し、アンカーボルト3は基礎1と土台2の相対移動が可能になる様に緊結された免振機能を持つ建物基礎の免振装置である。
基礎1天端はAを外縁とする半径R1の穴を設け、穴の大きさはアンカーボルト3の固定底点図1に示すO1、深さHに向かって、アンカーボルト3の首振りに支承のない曲率を持つ曲線BCで漸減する空間を持ち、半径R2の土台2孔と接し、半径R3のアンカーボルト3が貫通して、あらゆる方向からの水平振幅を相対移動出来るように設置されて、水平振動を減衰して土台2に伝達する。
図2に示す様に、アンカーボルト3はボルトの剛性及び移動量Lにより○1を頂点とする放物線の一部からKを中心とする円弧の一部となる動きをするので、その動きを阻害しない内腔を確保するようにアンカーボルト3及び図9の様な型枠を据え付けて、コンクリートを打設する。
基礎1と土台2は、アンカーボルト3で連装され、その最大相対移動量は基礎上端穴径及び土台孔及びボルト径の大きさによって決まり、最大相対移動量に相応する基礎天端の拡幅を行う。
最大撓み量は非特許文献1によるが、図1の外縁Aによる構造上の制約で、計算値以下に抑えてある。
最大相対移動量は、基礎1穴の半径R1、土台2の孔の半径R2、アンカーボルト3の半径をR3とすれば、最大相対移動量はR1+R2−2R3であり、図2,6に示すように最大相対移動量以上の拡幅を行う。
拡幅は基礎1穴Oを中心として、天端幅×1/2+最大相対移動量が描く円以上が包含する範囲以上の拡幅を行う。
基礎の交差部及び隅部の拡幅においても、それぞれの方向からの影響拡幅量に対応出来るように、図4に示す様にする。
必要拡幅を横断面及び縦断面形で立体的に行い漸次基本断面へのすり付けが隣接の拡幅すり付け部と重複し、又、図示の無い鉄筋や型枠加工が複雑となる場合は、全断面を拡幅量で施行すれば、全体の施工は極めて単純化出来る。
又、基壇を構築して、浸水対策の出来る箇所では、一面の基礎にアンカーボルトを建てて土台を緊結施工する事も出来、又、適切な床下高を確保する方法が無い場合は、平面に箱置き型枠とする等して基礎を形成する事も出来る。
請求項2よる発明においては、図5に示すように滑り板Sを基礎1と土台2の間に挿入して、相対移動を滑らかにして上下部構造物の相対移動を円滑にする事が出来る。
滑り板Sの大きさは基礎1と土台2の相対移動量が最大となった時でも、常に滑り板が基礎1と土台2に圧接していると共に異物の侵入を防止出来るように、上下に貫通する空間部が出来ないような滑り板の内径、外径とする。
又、複数枚の滑り板を使用する時にあっても、滑り板を貫通する空間部が出来ない内径、外形とする。
上記の条件を満足出来る滑り板の大きさは、滑り板打ち抜き孔内径半径SR、接する穴又は孔の半径R2とする場合のフランジ幅はアンカーボルト半径R3とすると、滑り板半径SRの最大移動量R2−2R3であるので、最大移動量R2−2R3+内径半径SRとする半径の円以上、又はこの円が内接出来る多角形以上とする。
滑り板は図7,8に示すように小孔を設けて、潤滑油吹き付け口及び空気の吸入口として、板が滑りを良くするとともに、地震振動時板層間に空気の滲入により、すべり板同士の圧接状態を速やかに解除出来る構造とする。
前記の滑り及び圧接解除を容易に行えるように、全ての滑り板の接触面に図7の様に連続する溝切り加工を施す。
図7溝切り加工は潤滑油の浸潤及び空気の滲入が速やかに出来るようにする。
土台2は座金5を介在させて、アンカーボルト3により座金5とナット7間にスプリングを設けて、ダブルナットで緊結する。
土台2に空けた孔が座金の大きさより大きい場合は、土台と座金の間に適切な大きさの座金補助板4を介在させて、ナットの締め付け力が有効に働くようにする。
スプリングの全有効長を利用できるように、下段ナット7は締め具合を確認しながら、少し過締めして、緩め代を設ける。
上段ナット8はスパナ、トルクレンチ等の適切な締め工具で同一強度で確実に締め付けた後、下ナットは緩め代を緩めて上下ナットのダブルナット締めを完結して、土台2を基礎1に緊結する。
スプリングの有効長は、有効長分の土台の浮き上がりを許容するものであるので、土台端から対する端の土台までの距離により決まる床勾配の許容値を考慮して決める。
床傾き角度は、スプリング有効長を土台端から対する端の土台までの距離で除した値を三角関数表等から得る。
アンカーボルトの露出部を鞘管で覆い、頂部をボルトキャップ等で保護しておくと、土台基礎の傷みが少なく維持管理作業が容易となる。
1 基礎
2 土台
3 アンカーボルト
4 座金補助板
5 座金
6 スプリング
7 ダブルナット下段ナット
8 ダブルナット上部ナット
9 ナット
10 ラッパ状永久型枠
11 下段滑り板
12 中段滑り板
13 上段滑り板
O1 円R1の底部中心
R1 基礎穴半径
R2 土台孔半径
R3 アンカーボルト半径
A 円R1の上部外縁
L アンカーボルト撓み移動量
H 基礎天端からO1までの深さ
K アンカーボルト円弧の仮想中心点

Claims (2)

  1. 基礎上面の天端の穴の半径が、アンカーボルトの固定底端に向かって、アンカーボルトの首振りに支障のない曲線で漸減する空間のラッパ状の穴を有する基礎本体と、前記基礎本体の上に設置された土台上下に円筒状に開口したアンカーボルト径より大きい孔を有する土台本体と、前記基礎本体の前記ラッパ状の穴の下部に固定され、前記土台上下に円筒状に開口した孔を貫通した直線状のアンカーボルトとからなる、アンカーボルトの撓みの復元力により自然復元する免振装置であって、前記基礎本体と前記土台本体との間に滑り板を設け、前記滑り板には溝を設け、前記溝に小孔を設けた事を特徴とする免振装置。
  2. 前記土台は、座金補助板と座金とスプリングとを上部に備えた事を特徴とする請求項1記載の免振装置。
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