図2及び図3は本発明の第1の例示実施形態に基づく光伝送システムを説明するものであり、図2は、この光伝送システムにおいて用いられる送信機100の構成を示し、図3は、送信機100と対をなして用いることができる分散モニタ(CD MON)200の構成を示している。
図2及び図3に示される光伝送システムは、光ファイバなどからなる伝送路を介して、送信機100から受信端に対して光データ伝送を行うものであり、光データ伝送を行っている際に伝送路での波長分散を受信端で検出できるようにしたものである。受信端には、光信号の復調などを行ってデータ信号を生成する受信機と、受信した光信号における波長分散の程度をモニタする分散モニタ200とが設けられる。
図2に示すように、送信機100は、単一偏波擬似RZ(return-to-zero)信号を伝送路に送出するものであり、光キャリア150の光源であるレーザ110と、光キャリア150に対して変調を行う変調器(MOD)111と、変調後の光信号151に対し、光パルス・カービング(pulse carving)を行ってその光信号でのnシンボルごとにディップを印加する擬似RZカーバー(carver)(PRZ(n))112と、伝送されるべきデータを示す電気信号すなわちデータ信号101を符号化して変調用のデジタルデータ160を生成する符号化器(コーダー(coder))120と、デジタルデータ160に基づいて変調器111を駆動するドライバ121と、を備えている。nは、2以上の任意の整数であり、例えば、4、8あるいは16である。ドライバ121は、デジタルデータ信号160を適切な電圧の信号161に変換して変調器111の変調入力に供給することにより、変調器111を駆動する。これにより変調器111は、電圧信号161に基づいて、光キャリア150を変調する。
この送信機100の構成では、符号化器120から、信号のシンボルレート(すなわちボーレート)と同じ周波数fのクロック信号170が擬似RZカーバー112に与えられており、このクロック信号170を用いることによって、擬似RZカーバー112は、変調後の光信号151に対し、nシンボルごとにディップを印加する。ディップは、ごく短時間の間、光信号151の強度を極小にする、例えば光信号の強度をゼロにするものである。擬似RZカーバーは、例えばE. Le Taillandier de Gabory, et al., "Pseudo-Return-to-Zero Modulation Scheme: Application to Compensation of Intra-Polarization Skew for PolMux Signals," ECOC 2009, paper 3.4.4 (2009)(非特許文献1)に説明されているように、クロック信号fをn分周する分周器と、分周器の出力をD入力としクロック信号fをクロック入力とするD型フリップフロップと、D型フリップフロップの出力によって光信号を位相変調する位相変調器(PSK)と、によって構成することができる。
パルス・カービングの技術によってnシンボルごとにディップを加えることにより、そのディップの位置において光出力を極小となるので、これは、光信号におけるゼロ復帰(return-to-zero)とみなすことができる。一般的なRZ信号では、1シンボルの継続時間の半分の長さにわたって、信号の強度または極性をデータ値“0”に対応する強度または極性とするが、本例示実施形態では、1シンボルの継続時間に比べて十分に時間長の短いディップを加えることとしている。このため、パルスカービング技術を用いこのような幅の狭いディップを光信号に印加することをここでは擬似RZ変調と呼んでいる。なお、WO2007/004338(特許文献3)には、擬似RZ変調を用いることにより、光信号からクロック信号を容易に抽出できるようにした技術が示されている。同様に、特開2006−345541号公報(特許文献4)には、NRZ(非ゼロ復帰;non-return-to-zero)変調の光信号を擬似RZ変調の光信号に変換することによって、クロック信号を容易に抽出できるようにした技術が示されている。
送信機100からは、電気信号であるデータ信号101により変調器111によって変調され、擬似RZカーバー112によりnシンボルごとに擬似RZ変調によるディップが印加された光信号102が出力され、この光信号が伝送路を介して受信端に送られる。
図2に示すものにおいて、送信機100は、例えば、55ギガビット/秒(Gb/s)のPRZ(8)−QPSK(直交位相変調(quadrature phase shift keying))送信機である。ここで「PRZ(8)」は、擬似RZ(Pseudo-RZ)方式により、8シンボルごとにディップが印加されていることを示している。以下、データ信号101のビットレートが55GHzであるとして、送信機100の具体的な構成例を説明する。
データ信号101がパラレル信号であるとして、電圧信号161は、それぞれ、I(同相:(in-phase)成分とQ(直交:quadrature)成分に対応する27.5GHzの電気信号であり、I成分及びQ成分が並列に変調器111に供給されることになる。変調器111はQPSK変調器であり、QPSKでは2ビットで1シンボルが構成されるので、符号化器120から擬似RZカーバー112に供給されるクロック信号の周波数も27.5GHzとなる。擬似RZカーバー112は、8シンボルごとに信号の強度にディップを印加する。すなわちこの例では、n=8である。
変調器111から出力された直後の、QPSK変調された光信号151の強度波形が、図12Aのグラフ1110に示されている。この段階では、光信号151はNRZの形態の信号である。各シンボルの継続時間が36.36psであることが示されている。これに対し、擬似RZカーバー112からの光信号は、図12Cにおいてグラフ1130により示されている。擬似RZによるディップは、グラフ1130において符号1131で示されている。グラフ1130におけるディップ間の間隔の290.91psは、8シンボル分の継続時間に相当する。
ここで述べる例では、光信号102は、55ギガビット/秒のPRZ(8)−QPSK信号である。55ギガビット/秒のことは、グラフでは、“55G”と表記されている。このような光信号の強度スペクトルについてシミュレーションを行った結果が、図13Aのグラフ1201に示されている。シンボルレートのクロック成分により、28GHz付近に強度ピークが見られ、28GHz付近の周波数成分は、周りの周波数領域に比べ、30dB以上強勢である。また、擬似RZにより8シンボルごとにディップを加えたことによって、シンボルレートの8分の1の周波数すなわち3.44GHzと、そのハーモニック(高調波)周波数とにおいても強度ピークが見られる。これらの強度ピークは、周りの周波数成分より20dB以上強勢である。
これに対し、56ギガビット/秒のNRZ−QPSK信号の強度スペクトルについてシミュレーションを行った結果が図13Bのグラフ1202である。ここでは、シンボルレートに対応する28GHz付近のピークは観察されるが、それより低い周波数領域にはピークが存在しないので、28GHzより低い周波数成分をこの信号から直接取り出して検出することは難しい。
また、通常のRZフォーマットによる56ギガビット/秒のRZ−QPSK信号の強度スぺクトルについてのシミュレーション結果が図13Cのグラフ1203に示されている。ここでも28GHz付近のピークは観察されるが、それより低い周波数領域にはピークが存在しないので、28GHzより低い周波数成分をこの信号から直接取り出して検出することは難しい。また、28GHz付近にはピークが存在するものの、このピークの近傍の周波数領域では、他の周波数領域に比べて強度が小さくなっている。
次に、受信端に設けられる分散モニタ200について説明する。分散モニタ200は、入射した光信号から、擬似RZ変調により印加された周波数成分を検出して、波長分散値を表す電気信号202を生成するものである。
図3に示すように、分散モニタ200は、入力した光信号201を受光して電気信号250に変換するフォトダイオード(PD)210と、フォトダイオード210からの出力される電気信号250を2つの信号251,261に分岐させる分岐器(DIV)211と、信号251を入力とする帯域通過フィルタ(BPF)215と、信号261と帯域通過フィルタ215の出力信号255とに基づいて波長分散値を算出するモニタ回路230と、を備えている。受光素子であるフォトダイオード210に入射する光信号201は、送信側での擬似RZ変調によりディップを印加された光信号である。フォトダイオード210は、光信号201の強度を表す電気信号250を出力し、この電気信号250は、分岐器211を経て信号261としてモニタ回路230に与えられるとともに、信号251として帯域通過フィルタ215に供給される。分岐器211における2信号251,261間の分岐比率は、一定値に固定されている。フォトダイオードの代わりに他種類の受光素子を用いることもできる。
帯域通過フィルタ215は、kを1以上の自然数とし、fを送信機100でのクロック信号170の周波数すなわち光信号201におけるシンボルレートとして、信号251から、周波数がk×f/nで表される周波数成分を取り出し、その取り出した周波数成分の強度を表す信号255を生成する。ここでnは、送信機100において擬似RZによりnシンボルごとにディップを挿入していることに対応している。光信号201の強度スペクトルには、上述したように、シンボルレートfの1/nの周波数をディップ周波数と呼ぶことにすると、ディップ周波数とその高調波周波数においてピークがあるから、帯域通過フィルタ215は、光信号201における、ディップ周波数(k=1の場合)またはそのk次の高調波成分(k>1の場合)を取り出すことになる。
ところで、波長分散量が変化すると、光信号201の全体に対するディップ周波数成分の強度比が変化する。この強度比の波長分散量に対する変化は、例えば、シミュレーションによって算出することができる。逆に言えば、光信号201を受光して発生した電気信号250の全体の強度に対するディップ周波数成分(あるいはそのハーモニック成分)の強度の比を求めることができれば、波長分散量を決定できることになる。
そこでモニタ回路230は、光信号201における全帯域に相当する信号261の強度に対する、ディップ周波数成分に対応する信号255の強度の比を求め、その比の値に基づいて、光信号201の伝送における波長分散値を算出する。実際には、シミュレーション結果に基づくルックアップテーブルを使用して、計算された強度比に基づいて波長分散値を決定するようにすればよい。ルックアップテーブルは、モニタ回路230に内蔵された、不揮発性半導体メモリなどの記憶媒体内に格納される。もちろん、信号261の強度が常に一定値であることがわかっているならば、言いかえれば光信号201の強度が常に一定であることがわかっているならば、信号261を用いずに、信号255だけから波長分散値を算出することもできる。なお、光信号201の平均パワーが一定でないような場合には、モニタ回路230は、信号261を使用して光信号201の平均パワーを計算し、その平均パワーに基づいて波長分散値を算出する。
例えば、光信号201が、56ギガビット/秒のPRZ(4)−QPSK信号であるとすれば、n=4であって、シンボルレートfは28GHzとなる。ここでk=1の場合、すなわちディップ周波数の基本波成分を帯域通過フィルタ215が抽出するとすると、分散モニタ200は、シンボルレートの1/4の周波数の成分により、分散値を求めてその分散値を表す信号202を出力する。図14Aのグラフ1310は、波長分散CDの値に対して、ディップ周波数成分の強度比がどのように変化するかを求めたシミュレーション結果を示している。
波長分散が−400〜0ps/nmの範囲において強度比は単調に変化し、また、0〜+400ps/nmの範囲でも単調に変化する。したがって、波長分散の絶対値は分からなくても符号なら分かっている場合であれば、モニタ回路230は、±400ps/nmという広範囲で波長分散をモニタすることができる。また、波長分散を意図的に正方向あるいは負方向に変化させてそのときに信号202がどのように変化するかを見れば、波長分散の符号を知ることができるから、結局、モニタ回路230を用いて波長分散の実際の値を求めることができるようになる。
次に、本発明の第2の例示実施形態を説明する。上述した第1の例示実施形態は、単一偏波の光信号を伝送する場合に関するものであるが、第2の例示実施形態では、偏波多重を用いて光信号を伝送する場合を説明する。図4は、第2の例示実施形態において用いられる送信機であって、偏波多重擬似RZ光信号を出力する送信機の構成を示し、図5は、第2の例示実施形態において用いられる分散モニタであって、偏波多重擬似RZ光信号を受光し、擬似RZフォーマットで印加された複数の周波数成分を検出して、波長分散値を表す信号を生成する分散モニタの構成を示している。
まず、図4を用いて、第2の例示実施形態における送信機300の構成を説明する。
送信機300は、擬似RZ変調されてディップが付加されたの偏波多重信号を出力するものである。送信機300は、発信する光キャリア350の光源であるレーザ310と、偏波を保存しながら光キャリア350を分岐する偏波保存カプラ(PM CPL)313と、偏波保存カプラ313からの一方の分岐に設けられた変調器(MOD)311と、変調器311によって変調された光信号351に対してディップを印加する擬似RZカーバー(PRZ(n))312と、偏波保存カプラ313からの他方の分岐に設けられた変調器(MOD)316と、変調器316によって変調された光信号356に対してディップを印加する擬似RZカーバー317と、擬似RZカーバー317から出力される信号光357の偏波面を回転させる偏光回転子(Pol Rot)315と、擬似RZカーバー312からの光信号352と偏光回転子315からの光信号355とを、偏波を保ったまま合成する偏波合成器(Pol CMB)316と、を備えている。さらにこの送信機300は、変調のために、符号化器320とドライバ321,322を備えている。
この構成では、偏波保存カプラ313が光キャリア350を2分岐して、同じ偏波状態である2つの光キャリア353,354を生成する。符号化器320は、伝送されるべきデータを示す電気信号すなわちデータ信号301から、各偏波のための変調用のデジタルデータ360,362を生成し、ドライバ321,322は、デジタルデータ360,362をそれぞれ適切な電圧の電圧信号361,363に変換する。変調器311,316は、それぞれ、電圧信号361,363に基づいて光キャリア353,354を変調して光信号351,356として出力する。符号化器320は、シンボルレートと同じ周波数のクロック信号370,371をぞれぞれ擬似RZカーバー312,317に供給する。
n,mをいずれも2以上の相互に異なる整数であるとして、擬似RZカーバー312は、擬似RZ変調により、光信号351に対してnシンボルごとにディップを印加し、擬似RZカーバー317は、光信号356に対してmシンボルごとにディップを印加する。
偏波回転子315は、擬似RZカーバー317からの光信号357の偏波が擬似RZカーバー312からの光信号352の偏波と直交するように、光信号357の偏波を回転させて光信号355として出力する制御を行う。その結果、光信号352と光信号355とは相互に直交偏波状態にあり、これらは、偏波合成器316により偏波多重されて光信号302として出力される。したがって、送信機300が出力する光信号302は、データ信号301により変調器311,316によって変調され、擬似RZカーバー312,317により各偏波にそれぞれn、mシンボルごとに擬似RZのディップが印加され、偏波多重された信号である。
図4に示すものにおいて、送信機300は、110ギガビット/秒のPRZ(4,8)−QPSK送信機である。以下、データ信号301のデータレートが110GHzであり、n=8、m=4であるとして、送信機300の具体的な構成例を説明する。
データ信号301がパラレル信号であるとして、電気信号361は、一方の偏波に対応したI成分信号とQ成分信号からなる27.5GHzの電気信号であり、同様に電気信号363は、他方の偏波に対応したI成分信号とQ成分信号からなる27.5GHzの電気信号である。変調器311,316は、いずれもI成分信号とQ成分信号とを入力とするQPSK変調器である。符号化器320から擬似RZカーバー312,317に対し、いずれも周波数が27.5GHzであるクロック信号370,371が供給されている。
擬似RZカーバー312は、8シンボルごとに、光信号351の強度にディップを印加し、擬似RZカーバー317は、4シンボルごとに、光信号356の強度にディップを印加する。変調器311,316によりQPSK変調された光信号351,356の強度波形は、上述の図12Aのグラフ1110に示したものである。また、擬似RZカーバー312からの光信号352の強度波形は図12Cのグラフ1130に示されており、ここでのディップは、符号1121で示されている。擬似RZカーバー317からの光信号355の強度波形は図12Bのグラフ1120に示されており、ここでのディップは符号1121で示されている。
図12Bのグラフ1120と図12Cのグラフ1130にそれぞれ強度波形が示されている2つの光信号351,356を偏波多重して偏波多重信号302を生成することにより、偏波多重信号302の強度波形は、図12Dのグラフ1140に示すようになる。グラフ1140において、符号1141は、4シンボルごとのディップ(PRZ(4))と8シンボルごとのディップ(PRZ(8))が重なった結果の深いディップを示し、符号1142は、4シンボルごとのディップを示している。
次に、図5を用いて、第2の例示実施形態における分散モニタの構成を説明する。
分散モニタ(CD MON)400は、入射する光信号401から、擬似RZ変調によって印加された複数の周波数成分を検出して、波長分散値を表す電気信号402を生成するものである。光信号401は、擬似RZフォーマットに基づくディップが付加された信号であり、例えば、図4に示した送信機300によって生成され、光ファイバなどの伝送路を伝送してきた光信号である。もっとも、複数の周波数成分によるディップが擬似RZにより印加された信号であれば、光信号401は、図4に示すもの以外の送信機によって生成されたものであってもよい。
分散モニタ400は、kを2以上の整数として、光信号401が入射してこの光信号を電気信号に変換するフォトダイオード410と、k+1個の分岐器420〜42kと、k個の帯域通過フィルタ451〜45kと、分散測定値を表す電気信号を実際に生成するモニタ回路411とを備えている。kは、光信号401が何種類の周波数成分によってディップを印加されているかを示している。帯域通過フィルタ451〜45kは、それぞれ、相互に異なる周波数f1〜fkの成分を抽出するものである。以下、周波数f1〜fkの成分を、それぞれ、f1周波数成分〜fk周波数成分と呼ぶことにする。
光信号401を受信して受光素子であるフォトダイオード410が光信号401の強度を表す電気信号403を発生すると、この電気信号403は、初段の分岐器(DIV)420に入力し、信号430と信号431とに分岐される。信号430は、モニタ回路411に直接与えられる。これに対し信号431は、次の分岐器(DIV1)421に入力し、信号441と信号432とに分岐される。
信号441は、帯域通過フィルタ451に供給され、帯域通過フィルタ451は、信号441からf1周波数成分を取り出し、その成分の強度を表す信号461を生成する。周波数f1は、信号401において擬似RZにより印加されているディップの周波数である。一方、信号432は、次の分岐器(DIV2)422に入力し、信号442と信号433とに分岐される。このうち信号442は帯域通過フィルタ452に供給され、信号433はさらに次の分岐器(DIV3)423に入力する。帯域通過フィルタ452は、信号442からf2周波数成分を取り出し、その成分の強度を表す信号462を生成する。周波数f2も、信号401において擬似RZにより印加されているディップの周波数である。
以下同様にして、最終段の分岐器42kは、信号43kを入力とし、fk周波数成分を取り出してその成分の強度を表す信号46kを生成するk番目の帯域通過フィルタ45kに対し、信号44kを出力する。なお、分岐器42kの次にはもはや分岐器がないので、最終段の分岐器42kを設けずに、信号43kが信号46kとして帯域通過フィルタ45kに直接供給されるようにしてもよい。
以上のような構成により、それぞれf1周波数成分〜fk周波数成分の強度を示す電気信号461〜46kが生成され、これらの電気信号は、信号430とともにモニタ回路411に供給される。
モニタ回路411は、信号430の強度に対する、信号461〜46kの強度の比に基づいて、光信号401の伝送における波長分散値を計算する。実際には計算を行うのではなく、例えば、ルックアップテーブルを用いることにより波長分散値を求めることが好ましい。ここでの波長分散値を求めるための原理は、第1の例示実施形態の場合と同様である。なお、光信号401の平均パワーが一定でない場合には、モニタ回路411は信号430を使用して、光信号401の平均パワーを計算し、計算された平均パワーと信号461〜46kの強度とにより、波長分散値の計算における受信パワー依存性をなくすことができる。もちろん、光信号401の受信パワーが常に一定であることが分かっているならば、信号430を用いることなく信号461〜46kの強度から波長分散値を決定することができる。
例えば、光信号401が偏波多重112ギガビット/秒のPRZ(4,8)−QPSK信号であるとすると、シンボルレートfはf=28GHzになり、f1=f/4と選び、f2=f/8を選ぶことができる。すなわち、図4に示した送信機によって達成されるように、4シンボルごとにディップが挿入し、さらに8シンボルごとにディップが挿入されているとすることができる。このような場合におけるf1周波数成分及びf2周波数成分の波長分散に対する変化をシミュレーションした結果が図14A〜図14Eに示されている。
図14Bのグラフ1320は、信号430に対するf1周波数成分の信号461の強度比が波長分散に対してどのように変化するかを示し、図14Cのグラフ1330は、信号430に対するf2周波数成分の信号462の強度比が波長分散に対してどのように変化するかを示している。
波長分散量の符号が正負のいずれかであるかが分かっている場合、信号462の強度比の変化が単調であるので、±1000ps/nmといった高範囲の波長分散の検出に信号462を使用することができ、波長分散をモニタすることができる。また、波長分散が±400ps/nmの範囲内にある場合には、波長分散に対してより大きな変化量を示すグラフ1320を使用して、さらに高精度に波長分散のモニタを行うことができる。
また、波長分散が±400ps/nmの範囲内にあるときは、f1周波数成分に関するグラフ1320に示される結果とf2周波数成分に関するグラフ1330による結果の両方を用い、これら2つの結果を使用するルックアップテーブルに基づいて、モニタ回路411が高精度な波長分散値を表す電気信号402を生成するようにしてもよい。
±2000ps/nmといったさらに広い範囲で波長分散をモニタする場合は、シミュレーション結果を示す図14Dのグラフ1340から分かるように、擬似RZ(16)を適用した光信号401を用いて、すなわち、16シンボルごとにもディップが適用された光信号401を用いて、f3=f/16として、f3周波数成分の強度から波長分散を求めるようにすればよい。その場合には、モニタ回路411から出力される信号402は、±2000ps/nmまでの波長分散を表すことができる。
別の例として、光信号401が56ギガビット/秒のPRZ(8)−QPSKであれば、シンボルレートはf=28GHzになり、このとき、信号461に対応するf1周波数成分としてf1=f/8、信号462に対応してf2=f/4、信号463に対応してf3=f/2と選ぶことができる。図14Eのグラフ1350は、波長分散に対するこれら信号461〜463の強度についてのシミュレーション結果を示したものである。曲線1351は信号461についての結果を表し、曲線1352は信号462についての結果を表し、曲線1353は信号463についてのシミュレーション結果を示す。
波長分散の符号が分かる場合、信号461を用いると、波長分散に対して信号強度が単調に変化するので、±1000ps/nmの広い範囲で波長分散をモニタすることができる。また、波長分散が±400ps/nmの範囲内にあるときは信号462を使用して、また、波長分散が±100ps/nmの範囲内にあるときは信号463を使用して、波長分散をモニタすることもできる。
次に本発明の第3の例示実施形態について説明する。ここでは、上述したようなモニタ方法によって波長分散を検出し、その検出結果に基づいて、波長チャネルごとに自動波長分散等化を実行できるようにした光送受信システムを説明する。図6は、第3の例示実施形態における光送受信システムを示している。
トランスポンダ500は、送信部(TX PRZ)501と受信部(RX)502と分散モニタ(CD MON)503とカプラ(CPL)504とを含んでいる。送信部501は、送信すべきデータを示す電気信号511によって光キャリアを変調し、さらに変調後の光キャリアに対し、擬似RZによりキャリアの強度にディップを印加して、光信号512を送信する。このような送信部501としては、例えば、図2を用いて説明した送信機100を用いて説明した送信機100、あるいは図4を用いて説明した送信機300を使用することができる。
トランスポンダ500が受信した光信号516は、カプラ504によって2つに分岐され、一方は受信部502に分配され、他方は分散モニタ503に分配される。ここで光信号516には、擬似RZ変調により、nシンボルごとにディップが印加されているものとする。受信部502は、入射した光信号を受信し、復調して電気信号517に変換する。分散モニタ503は、受信した光信号の波長分散をモニタし、波長分散の値を示す電気信号すなわちモニタ信号521を生成する。分散モニタ503としては、例えば、図3を用いて説明した分散モニタ200、あるいは図5を用いて説明した分散モニタ400を用いることができる。
さらにこの光送受信システムには、トランスポンダ500と同様の装置であるトランスポンダ530が設けられている。ただし、トランスポンダ530は、送信すべきデータを示す電気信号541に基づいて、光信号512とは異なる波長の光信号542を出力する。また、このトランスポンダ530が受信する光信号546の波長も光信号516とは異なっている。トランスポンダ530は、受信した光信号546に基づいて、受信データを示す電気信号547を生成するとともに、光信号546に含まれる波長分散を表すモニタ信号551を出力する。
トランスポンダ500,530からそれぞれ送信された光信号512,542を波長多重する光マルチプレクサ(MUX)560が設けられており、波長多重された光信号513が伝送路に送出される。さらに多くのトランスポンダを設けてそれらのトランスポンダからの光信号を光マルチプレクサ560において波長多重してもよい。
伝送路からは、トランスポンダ500,530と同様のトランスポンダで発生して波長多重された光信号514が送られてくる。光信号514を波長ごとに分離する光デマルチプレクサ(DEMUX)561が設けられており、各波長ごとに分離された光信号515,545は、それぞれ、可変波長分散等化器(VAR CD COMP)520,550を通って等化され、光信号516,546としてマルチプレクサ500,530によって受信される。ここで可変波長分散等化器520は、マルチプレクサ500からのモニタ信号521によって制御され、可変波長分散等化器550は、マルチプレクサ530からのモニタ信号551によって制御される。
以下、図6に示した光送受信システムの具体例について説明する。
第1の例において、トランスポンダ500の送信部501は、図2に示した擬似RZ変調による送信機100と同一構成であって、56ギガビット/秒のPRZ(8)−QPSK信号を発生する。また、分散モニタ503は、図3に示した分散モニタ200と同一構成であって、シンボルレートの周波数をfとして、f/n=f/8と設定されている。トランスポンダ530も、同様の送信機及び分散モニタから構成されていてよい。
可変波長分散等化器520は、波長分散を示すモニタ信号521が最小になるように制御される。図14Cのグラフ1330に示されるように、デマルチプレクサ561からの光信号515における残留波長分散が±1000ps/nm以内にあれば、分散量を正確に決定することができ、これに基づいて可変波長分散等化器520を制御することにより、受信部502が受信する光信号における残留波長分散をゼロにすることができる。したがって、受信部502から出力されるデータ信号517の品質は最適になる。ここでデータ信号517は電気信号である。また、伝送路からの光信号514において、伝送中にその波長分散が変化しても、光信号515における残留波長分散の等化が可能である。同様の制御を可変波長分散等化器550に対して実行することにより、光信号545における残留波長分散も等化できる。
第2の例において、トランスポンダ500の送信部501は、図2に示した擬似RZ変調による送信機100と同一構成であって、56ギガビット/秒のPRZ(8)−QPSK信号を発生する。分散モニタ503は、図5に示した分散モニタ400と同一構成であって、f1=f/8、f2=f/4及びf3=f/2と設定されている。トランスポンダ530も、同様の送信機及び分散モニタから構成されていてよい。
この場合も、波長分散を示すモニタ信号521が最小になるように、可変波長分散等化器520が制御される。図14Eのグラフ1350に示されるように、光信号515における残留波長分散が±1000ps/nm以内にあれば、分散量を正確に決定することができ、これに基づいて基づいて可変波長分散等化器520を制御することにより、受信部502が受信する光信号における残留波長分散をゼロにすることができ、データ信号517の品質を最適なものとすることができる。このような制御を実行するために、制御の初期段階においてf1周波数成分からの情報を使用してモニタ信号521を生成し、まず、残留波長分散を±400ps/nm以内に抑えるようにする。次に、f2周波数成分からの情報を基にしてモニタ信号521を生成して、波長分散を±100ps/nmに抑える。その後、f3周波数成分の情報を用いて、残留波長分散における微小な変化のトラッキングなどを行えば、高精度に波長分散を補償することができるようになる。このようなレンジ切り替えを採用することによって、波長分散の等化のための最適なダイナミックレンジを選ぶことができる。また伝送路から受信した光信号514において、経時的に波長分散が変化する場合においても、光信号515における残留波長分散の等化が可能である。同様の制御を可変波長分散等化器550に対して実行することにより、光信号545における残留波長分散も等化できる。
第3の例において、トランスポンダ500の送信部501は、図4に示した偏波多重擬似RZ送信機300と同一構成であって、偏波多重112ギガビット/秒のPRZ(4,8)−QPSK信号を発生する。分散モニタ503は、図5に示した分散モニタ400と同一構成であって、f1=f/8,f2=f/4と設定されている。トランスポンダ530も、同様の送信機及び分散モニタから構成されていてよい。
この場合も、波長分散を示すモニタ信号521が最小になるように、可変波長分散等化器520が制御される。図14Eのグラフ1350に示されるように、光信号515での残留波長分散が±1000ps/nm以内にあれば、分散量を正確に決定できて残留波長分散をゼロにすることができ、データ信号517の品質を最適なものとすることができる。このような制御の実行のために、制御の初期段階にはf1周波数成分からの情報を使用してモニタ信号521を生成し、まず、残留波長分散を±400ps/nm以内に抑えるようにする。そして、f2周波数成分からの情報を基にしてモニタ信号521を生成し、より細かな制御を行う。このようなレンジ切り替えを採用することによって、最適なダイナミックレンジを選ぶことができる。伝送路から受信した光信号514において、経時的に波長分散が変化する場合においても、光信号515における残留波長分散の等化が可能である。同様の制御を可変波長分散等化器550に対して実行することにより、光信号545における残留波長分散も等化できる。
次に本発明の第4の例示実施形態について説明する。ここでは、上述したようなモニタ方法によって波長分散を検出し、その検出結果に基づいて、複数の波長チャネルに対して一括して自動波長分散等化を実行できるようにした光送受信システムを説明する。図7は、第4の例示実施形態における光送受信システムを示している。
トランスポンタ600は、図6に示したトランスポンダ500と同様の構成のものであり、相手方に送信すべきデータを示す電気信号611によって光キャリアを変調し、変調後の光キャリアに対し、擬似RZによりキャリアの強度にディップを印加して、光信号512を送信し、さらに、相手側からの光信号615を受信して電気信号としてデータ信号617を出力する。トランスポンダ600からは、測定された分散値を示すモニタ信号660も出力している。また、トランスポンダ600と同様の装置であるトランスポンダ630も設けられている。ただしトランスポンダ630は、送信すべきデータを示す電気信号641に基づいて、光信号612とは異なる波長の光信号642を出力する。またトランスポンダ630は、光信号615とは波長が異なる光信号645を受信し、これに基づいて受信データを示す電気信号647を生成するとともに、光信号645に含まれる波長分散を表すモニタ信号661を出力する。
トランスポンダ600,630からそれぞれ送信された光信号612,642を波長多重する光マルチプレクサ(MUX)660が設けられており、波長多重された光信号613が伝送路に送出される。さらに多くのトランスポンダを設けてそれらのトランスポンダからの光信号を光マルチプレクサ660において波長多重してもよい。
伝送路からは、トランスポンダ600,630と同様のトランスポンダで発生して波長多重された光信号633が送られてくる。光信号633を波長ごとに分離する光デマルチプレクサ(DEMUX)661が設けられており、各波長ごとに分離された光信号615,645は、それぞれ、マルチプレクサ600,630によって受信される。
この例示実施形態では、デマルチプレクサ651と伝送路との間に、可変波長分散等化器(VAR CD COMP)664が設けられており、伝送路からの光信号633は、可変波長分散等化器664を通ることにより、複数の波長チャネルに関して一括して波長分散の補償がなされる。このような可変波長分散等化器664としては、例えば、S. Sohma, et al., "40λ WDM Channel-by-Channel and Flexible Dispersion Compensation at 40 Gb/s Using Multi-channel and Flexible Dispersion Compensation at 40 Gb/s Using Multi-channel Tunable Optical Dispersion Compensator," ECOC 2009, paper 3.3.1 (2009)(非特許文献2)に開示されたものを使用することができる。
可変波長分散等化器664を制御するために制御回路662が設けられている。制御回路662は、トランスポンダ600からのモニタ信号660とトランスポンタ630からのモニタ信号661とに基づき、トランスポンダ600の受信光信号の波長とトランスポンダ630の受信光信号の波長との両方の波長で残留波長分散がゼロになるように、制御信号663によって可変波長分散等化器664を制御する。
以下、図7に示した光送受信システムの具体例について説明する。
第1の例において、トランスポンダ600の送信部は、図2に示した擬似RZ変調による送信機100と同一構成であって、56ギガビット/秒のPRZ(16)−QPSK信号を発生する。トランスポンダ600の分散モニタは、図3に示した分散モニタ200と同一構成であって、シンボルレートの周波数をfとして、f/n=f/16と設定されている。トランスポンダ630も、同様の送信機及び分散モニタから構成されていてよい。
この場合、波長分散を示すモニタ信号661が最小になるように、制御回路662は制御信号663を生成して、可変波長分散等化器664を制御する。図14Dのグラフ1340により、光信号615における残留波長分散が±2000ps/nm以内にあれば、分散量を正確に決定することができ、これに基づいて可変波長分散等化器664を制御することにより、残留波長分散をゼロをすることができて、データ信号617の品質を最適なものとすることができる。また、伝送路からの光信号633において、伝送中にその波長分散が変化しても、光信号615における残留波長分散の等化が可能である。同様の制御を実行することにより、光信号645における残留波長分散も等化できる。
第2の例において、トランスポンダ600の送信部は、図2に示した擬似RZ変調による送信機100と同一構成であって、56ギガビット/秒のPRZ(8)−QPSK信号を発生する。トランスポンダ600の分散モニタは、図5に示した分散モニタ400と同一構成であって、f1=f/8、f2=f/4及びf3=f/2と設定されている。トランスポンダ630も、同様の送信機及び分散モニタから構成されていてよい。
この場合も、モニタ信号660が最小になるように、可変波長分散等化器664を制御する。図14Eのグラフ1350に示されるように、光信号615での残留波長分散が±1000ps/nm以内にあれば、分散量を正確に決定できて残留波長分散をゼロにすることができ、データ信号617の品質を最適なものとすることができる。このような制御を実行するために、制御の初期段階においてf1周波数成分からの情報を使用してモニタ信号660を生成し、まず、残留波長分散が±400ps/nm以内に抑えるようにする。次に、f2周波数成分からの情報を基にしてモニタ信号660を生成して、波長分散を±100ps/nmに抑える。その後、f3周波数成分の情報を用いて、残留波長分散における微小な変化のトラッキングなどを行えば、高精度に波長分散を補償することができるようになる。このようなレンジ切り替えを採用することによって、波長分散の等化のための最適なダイナミックレンジを選ぶことができる。また伝送路から受信した光信号633において、経時的に波長分散が変化する場合においても、光信号615における残留波長分散の等化が可能である。同様の制御を実行することにより、光信号645における残留波長分散も等化できる。
第3の例において、トランスポンダ600の送信部は、図4に示した偏波多重擬似RZ送信機300と同一構成であって、偏波多重112ギガビット/秒のPRZ(4,8)−QPSK信号を発生する。トランスポンダ600の分散モニタは、図5に示した分散モニタ400と同一構成であって、f1=f/8及びf2=f/4と設定されている。トランスポンダ630も、同様の送信機及び分散モニタから構成されていてよい。
この場合も、波長分散を示すモニタ信号661が最小になるように、可変波長分散等化器664は制御される。図14Eのグラフ1350に示されるように、光信号615での残留波長分散が±1000ps/nm以内にあれば、分散量を正確に決定できて残留波長分散をゼロにすることができ、データ信号617の品質を最適なものとすることができる。このような制御の実行のために、制御の初期段階にはf1周波数成分からの情報を使用してモニタ信号660を生成し、まず、残留波長分散を±400ps/nm以内に抑えるようにする。そして、f2周波数成分からの情報を基にしてモニタ信号660を生成し、より細かな制御を行う。このようなレンジ切り替えを採用することによって、最適なダイナミックレンジを選ぶことができる。伝送路から受信した光信号633において、経時的に波長分散が変化する場合においても、光信号615における残留波長分散の等化が可能である。同様の制御を可変波長分散等化器664に対して実行することにより、光信号645における残留波長分散も等化できる。
次に、本発明の第5の例示実施形態として、自動波長分散等化機能を備えるトランスポンダの構成の一例を説明する。図8は、この例示実施形態におけるトランスポンダの構成の一例を示している。
トランスポンダ700は、大別すると、送信部(TX PRZ)701と受信部702とを含んでいる。送信部701は、送信すべきデータを示す電気信号であるデータ信号711によって光キャリアを変調し、変調後の光キャリアに対し、擬似RZ変調の手法を用いることにより、光キャリアの強度にディップを印加して光信号712を生成し、光信号712を送信するものである。受信部702は、光信号716を受信してこれをコヒーレント検波し、復調し、受信データとして電気信号717を出力するとともに、光信号716における波長分散をモニタしてその結果に基づいて波長分散の等化を行うものである。このような受信部は、コヒーレント受信モジュール(COH RX)750と、局部発振器(LO)として設けられるレーザ751と、コヒーレント受信モジュール750から出力されるアナログ電気信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器(ADC)752と、デジタル化された受信信号に対して信号処理を御子なるデジタル信号処理ユニット752と、を備えている。受信部702が受信する光信号716には、上述の各例示実施形態の場合と同様に、擬似RZ変調の手法を用いることによって、nシンボルごとに、強度にディップが印加されている。
コヒーレント受信モジュール750は、90度ハイブリッドと4個のバランスド・フォトダイオードと備えており、入射した光信号716は、レーザ751からの局部発振光と混合されて、コヒーレント検波される。コヒーレント受信モジュール750からの4本の出力アナログ信号すなわち受信信号は、アナログ/デジタル変換器752によってデジタル信号に変換されて、デジタル信号処理ユニット760に供給される。
デジタル信号処理ユニット760は、FIR(有限インパルス応答)フィルタ計算によって波長分散の補償を行う分散補償部(CD COMP)720と、分散補償部720からの出力に基づいて波長分散を検出する波長分散モニタ部703と、分散補償部720からの出力に対して偏波分離計算を行う偏波分離計算部(CMA)761と、偏波分離計算部761の出力に接続して偏波分離後の信号からクロック抽出を行うクロック抽出部(CR)762と、クロック抽出後の信号に対してキャリア周波数差の補償を行う周波数差補償部(CPE)763と、キャリア周波数差の補償が行われた信号の復調を行う復調部(DEC)764と、を備えている。分散補償部720の出力は分岐して波長分散モニタ部703と偏波分離計算部761とに与えられている。偏波分離計算部761は、CMA(コンスタント・モジュラス・アルゴリズム(Constant Modulus Algorithm))により、偏波分離計算を実行する。周波数差補償部763は、CPE(キャリア位相推定(Carrier Phase Estimation))アルゴリズムにより、局部発振光751と受信した光信号716とのキャリア周波数差の補償を実行する。復調部764からの出力が、受信したデータを表す電気信号であるデータ信号717である。
ここで、波長分散モニタ部703について詳しく説明する。波長分散モニタ部703は、残留波長分散を検出し、残留分散値を表すモニタ信号733を生成し、このモニタ信号733によって分散補償部720における波長分散補償を制御するものである。モニタ信号733によって表される残留分散値が最小になるように、分散補償部720内のFIRフィルタのタップ係数が設定される。また、モニタ信号733と同じ信号が、モニタ信号732として、トランスポンダ700の外部に供給されている。モニタ信号732は、例えば、トランスポンダ700の外部で波長分散補償を行ったりするために用いることができる。この構成において波長分散モニタ部703は、絶対値を計算する絶対値計算部(MODULUS)730と、絶対値計算部730の出力に対して高速フーリエ変換(FFT(Fast Fourier Transform))による解析を行い、モニタ信号733を生成するFFT解析部(FFT)731とを備えている。まず絶対値計算部730が、波長分散モニタ部703に入力した信号の絶対値を計算する。この計算された値は、入力した光信号716の振幅を表す。その後、FFT解析部731は、絶対値計算部730の出力に対してFFTアルゴリズムによりフーリエ変換を施し、光信号716に印加されている擬似RZ変調によるディップの周波数と同じ周波数成分あるいはその高調波の周波数成分の強度を計算し、上述の例示実施形態と同様の手順により、波長分散の値を算出し、モニタ信号733を生成する。FFT解析部731は、波長分散の大きさと選択した周波数成分の強度との関係を示すルックアップテーブルを保持し、選択した周波数成分の強度からこのルックアップテーブルを検索して、残留波長分散の値を求めるようにすればよい。ルックアップテーブルは、例えば、デジタル信号処理ユニット760に付属するメモリ装置などの記憶媒体内に格納されている。
波長分散モニタ部703から分散補償部720に供給されるモニタ信号732の値が最小になるように、分散補償部720内のFIRフィルタのタップ係数の設定を行うと、復調の対象となる信号において、残留波長分散の影響がゼロになり、その結果、復調部764から出力されるデータ信号717の品質が最適なものとなる。
このようなトランスポンダ700は、例えば、図6に示す光送受信システムでのトランスポンダ500,530として用いることができ、また、図7に示す光送受信システムでのトランスポンダ600,630として用いることもできる。
以上、本発明の例示実施形態に基づく送信機、分散モニタ及びトラスポンダなどを説明した。送信側においてこれらの送信機またはトランスポンダを配置し、受信側において分散モニタあるいはトランスポンダを配置し、受信側と送信側との間を光ファイバなどの伝送路で接続することにより、伝送路で発生する波長分散を受信側で検出できる光伝送システムを構成することができる。
図9は、このように伝送路で発生し得る波長分散を検出できる光伝送システムの構成の一例を示している。
送信側には、送信機(TX PRZ)810が設けられている。送信機810は、送信すべきデータを表す電気信号801によって光キャリアを変調し、さらに、変調後の光キャリアに対し、上述と同様に擬似RZ変調によりnシンボルごとにディップを印加する。そのように変調されディップが印加された光信号820が、伝送路821を介して受信側に送信される。なお、送信機810は、その送出する光信号820における送信波長すなわち光キャリアの波長を変化させることができるように構成されている。このような送信機810としては、例えば、図2に示した送信機100あるいは図4に示した送信機300などを使用することができる。
伝送路821は直列に接続された1または複数のスパンを含み、そのようなスパンを代表するものとして、符号83kが用いられている。各スパン83kは、光ファイバ84kと、光ファイバ84kを伝送してきた光信号を光増幅して受信側に向けて伝送させる光増幅器85kとを含んでいる。
受信側には、伝送路821を伝送してきた光信号822を2つの光信号803,804に分岐するカプラ(CPL)811と、光信号804を受光して波長分散を検出し、検出した値に応じたモニタ信号802を出力する分散モニタ(CD MON)812と、を備えている。光信号803は、光信号を受光して復調しデータ信号851を出力する受信機(RX)850などに供給される。受信機850は、光通信システムあるいは光通信ネットワークにおいて一般的に用いられるものであるので、ここではその詳細な構成については説明しない。あるいは光信号803は、さらに別の伝送路を介して伝送されてもよい。分散モニタ812としては、図3に示した分散モニタ200あるいは図5に示した分散モニタ400などを使用することができる。
伝送路821を監視するオペレータあるいはシステムは、モニタ信号802を使用して、伝送路の運用、最適化あるいは監視を行うことができる。送信機810として送信波長は可変であるものを使用することにより、各波長での波長分散に関する情報を得ることができる。
図10は、伝送路で発生し得る波長分散を検出できる光伝送システムの構成の別の例を示している。図10に示す光伝送システムは、図9に光伝送システムにおいて、受信側の構成のみを変更したものであり、送信側及び伝送路821の構成は、図9に示すものと同一である。
受信側には、伝送路821を伝送してきた光信号822を2つの光信号903,904に分岐するカプラ(CPL)911と、光信号904における波長分散を補償する可変波長分散等化器(VAR CD COMP)913と、可変波長分散等化器913からの出力光信号905を受光して波長分散を検出し、検出した値に応じたモニタ信号906を出力する分散モニタ(CD MON)912と、を備えている。光信号903は、図9の場合と同様に、受信機に供給されてもよいし、あるいは、他の伝送路に送出されてもよい。分散モニタ912としては、図3に示した分散モニタ200あるいは図5に示した分散モニタ400などを使用することができる。分散モニタ912は、波長分散を示すモニタ信号906が最小になるように、可変波長分散等化器913を制御する。可変波長分散等化器913における設定値は、波長分散値を示す信号902として外部に出力される。伝送路821を監視するオペレータあるいはシステムは、信号902を使用して、伝送路の運用、最適化あるいは監視を行うことができる。
図11は、伝送路で発生し得る波長分散を検出し、この波長分散を等化することができる光伝送システムの構成の一例を示している。図11に示す光伝送システムは、図9に示す光伝送システムにおいて、受信側の構成のみを変更したものであり、送信側及び伝送路821の構成は、図9に示すものと同一である。
受信側において、伝送路821を等化してきた光信号822には、まず、波長分散等化器(VAR CD COMP)1013に送られる。波長分散等化器1013からの出力光信号1023は、次に、カプラ(CPL)1011に入力して、光信号1003と光信号1004とに分岐される。光信号1003は、図9に示したものと同様に、受信機に供給されてもよいし、あるいは、他の伝送路に送出されてもよい。一方、光信号1004は、光信号1004を受光して波長分散を検出し、検出した値に応じたモニタ信号1002を出力する分散モニタ(CD MON)1012に送られる。分散モニタ1012としては、図3に示した分散モニタ200あるいは図5に示した分散モニタ400などを使用することができる。分散モニタ1012は、波長分散を示すモニタ信号1006が最小になるように、波長分散等化器1013を制御する。その結果は、伝送路821を伝送してきた光信号823に関し、波長分散等化器1013の出力での残留波長分散はゼロになる。その結果、カプラ1011から出力される光信号1003においても、伝送路821による中継波長分散の影響がゼロになることを保証することができる。
次に、上記の例示実施形態を説明する際に用いた図12A〜図12D、図13A〜図13C及び図14A〜図14Eに示すグラフについて、さらに詳しく説明する。
図12A〜図12Aは、55ギガビット/秒のNRZ−QPSK信号と同じく55ギガビット/秒の擬似RZ−QPSK信号の波形を示すためのものである。図12Aのグラフ1110は、55ギガビット/秒のNRZ−QPSK信号を示している。図12Bのグラフ1120は、55ギガビット/秒の擬似RZ(4)−QPSK信号を示しており、ここでは、4シンボルごとに、擬似RZ変調により光強度にディップ1121が印加されている。図12Cのグラフ1130は、55ギガビットの擬似RZ(8)−QPSK信号を示しており、ここでは、8シンボルごとに、擬似RZ変調によりディップ1131が印加されている。図12Dは、グラフ1140は、グラフ1120に示す波形の信号とグラフ1130に示す波形の信号とを偏波多重して得られる信号の波形を示している。したがってグラフ1140は、110ギガビット/秒の擬似RZ(4,8)−QPSK信号の波形を示していることになる。グラフ1140において、より深いディップ1141は、擬似RZ(4)フォーマットによるディップと擬似RZ(8)フォーマットによるディップとが同期した場所に現れている。これに対し、相対的に浅いディップ1142は、擬似RZ(4)フォーマットのみによるディップである。
擬似RZ変調により、nシンボルごとに、信号での光強度に対し、時間幅に狭いディップが印加される。このようなディップの印加は、シンボルレートの1/nのクロックで駆動された通常のRZとは異なるフォーマットによるものである上に、シンボルレートよりも低い周波数成分を光信号に加えることになる。その一方で、低周波数で光信号の強度変調を行う場合とは異なって、このようなディップの印加では、信号の品質劣化は発生しない。
図13A〜図13Cは、それぞれ、いずれも56ギガビット/秒のデータレートである、NRZ−QPSK信号、PRZ−QPSK信号及びRZ−QPSK信号に関し、強度スペクトルをシミュレーションした結果を示すグラフを表している。いずれのグラフにおいても、縦軸はスペクトルパワー密度(SPD)で表されている。図13Aのグラフ1201は56ギガビット/秒の擬似RZ(8)−QPSKの信号を直接受信して得られる電気信号の強度スペクトルのシミュレーション結果を表している。擬似RZ(8)変調を行ったことにより、シンボルレートの1/8の周波数成分が強くなっている。この周波数は、擬似RZ変調によるディップの発生周波数である。なお、ディップとして時間幅の狭いものを用いていることにより、ディップ周波数の高調波成分も大きな強度で現れている。
図13Bのグラフ1202は、比較として、56ギガビット/秒のNRZ−QPSK信号についての強度スペクトルのシミュレーション結果を示している。シンボルレートの周波数成分は強く現れているが、それより低周波数側では、特にスペクトルが強くなっているところはない。図13Cのグラフ1203は56ギガビット/秒のRZ−QPSK信号についての同様のシミュレーション結果を示している。ここでもシンボルレートの周波数成分は強く現れているが、それより低周波数側では、特にスペクトルが強くなっているところはない。
図14A〜図14Eは、いずれも、擬似RZフォーマットで印加された周波数成分の強度が波長分散に応じてどのように変化するかをシミュレーションした結果を示すグラフを表している。これらのグラフにおいて縦軸は、信号の値を、正規化されたクロックのピーク間電圧(Vpp)によって示している。
図14Aのグラフ1310は、56ギガビット/秒の擬似RZ(4)−QPSK信号が伝送中に波長分散の影響を受けたとして、そのような光信号を図3に示した分散モニタ200で受信した場合の、分散モニタ200から出力されるモニタ信号202の変化を示している。ここでは、シンボルレートの1/4の周波数の成分の強度を用いてモニタ信号202を発生させている。波長分散が±400ps/nm以内である場合には、モニタ信号202における唯一の最小点は、波長分散がゼロのときである。モニタ信号202は、波長分散に関し、ゼロ分散点を中心にして対称な変化を示している。したがって、グラフ1310に表される信号に関し、その信号が最小となるような制御を行えば、残留波長分散がゼロ分散となるような波長分散制御を行うことが可能である。また、モニタ信号の値から波長分散の絶対値を求めることもできる。波長分散の符号が既知であれば、モニタ信号の値から波長分散値の実際の値を求めることもできる。
図14Bのグラフ1320は、グラフ1310の場合と同じく、56ギガビット/秒の擬似RZ(4)−QPSK信号に関し、分散モニタ200から出力されるモニタ信号202の波長分散による変化を示しているが、波長分散の範囲がグラフ1310とは異なっている。グラフ1320では、正の波長分散でのより広い範囲でのモニタ信号の変化が示されている。
グラフ1310,1320の結果からわかるように、分散モニタ200からのモニタ信号202を用いることにより、±400ps/nmといった広範囲での波長分散の制御が可能となる。
図14Cのグラフ1330は、56ギガビット/秒の擬似RZ(8)−QPSK信号が伝送中に波長分散の影響を受けたとして、そのような光信号を図3に示した分散モニタ200で受信した場合の、モニタ信号202の変化を示している。シンボルレートの1/8の周波数の成分の強度を用いてモニタ信号202を発生させている。モニタ信号の強度の変化は、グラフ1320に示すものと同様である。グラフ1330には、波長分散が正の領域しか示されていないが、波長分散に対するモニタ信号の変化は、ゼロ分散点をはさんで対称な形状であった。グラフ1330から分かるように、擬似RZ(8)−QPSK信号であれば、モニタ信号202を用いて、±1000ps/nmといったさらに広い範囲で波長分散の制御を行うことが可能になる。
図14Dのグラフ1340は、56ギガビット/秒の擬似RZ(16)−QPSK信号が伝送中に波長分散の影響を受けたとして、そのような光信号を図3に示した分散モニタ200で受信した場合の、モニタ信号202の変化を示している。シンボルレートの1/16の周波数の成分の強度を用いてモニタ信号202を発生させている。モニタ信号の強度の変化は、グラフ1320に示すものと同様である。グラフ1330には、波長分散が正の領域しか示されていないが、波長分散に対するモニタ信号の変化は、ゼロ分散点をはさんで対称な形状であった。グラフ1340から分かるように、擬似RZ(16)−QPSK信号であれば、モニタ信号202を用いて、±2000ps/nmといったさらに広い範囲で波長分散の制御を行うことが可能になる。
またさらに広い範囲で波長分散の検出を行いたい場合には、擬似RZ変調によりnシンボルごとに光信号にディップを加えるとして、nの値を16よりもさらに大きくすればよい。モニタ信号の発生には、そのようなnの大きな場合のディップ周波数の成分の強度を用いればよい。
図14Eのグラフ1350は、56ギガビット/秒の擬似RZ(8)−QPSK信号が伝送中に波長分散の影響を受けたとして、そのような光信号を図5に示した分散モニタ400で受信した場合の、モニタ信号402の変化を示している。この場合のディップ周波数はシンボルレートの1/8である。分散モニタ400では複数の周波数成分に基づいてモニタ信号を生成できることにより、ここでは、モニタ信号の生成に、ディップ周波数成分(すなわちシンボルレートの1/8)と、その2次及び4次の高調波成分(シンボルレートの1/4の成分とシンボルレートの1/2の成分)との3種類を用いるものとする。グラフ1350では、これらの周波数成分ごとにモニタ信号の強度の変化が示されている。シンボルレートの1/8の周波数成分による信号は曲線1351で示され、シンボルレートの1/4の周波数成分による信号は曲線1352で示され、シンボルレートの1/2の周波数成分による信号は曲線1353で示されている。いずれの信号も、その変化の形状は上述したグラフ1320における形状と同じであり、また、ゼロ分散点に対して対称な形状で変化する。
グラフ1350に示されるように、曲線1351を用いて、すなわち、ディップ周波数成分を用いてモニタ信号を生成すれば、波長分散の制御範囲を広く設定することができる。しかしながらこの場合、ゼロ分散の近傍でモニタ信号の変化率が小さいため、ゼロ分散の近傍で細かい制御を行うことが難しい。ゼロ分散の近傍での変化率が大きいのは、波形1353に示されるように、ディップ周波数の4次の高調波を用いて生成されるモニタ信号である。そこで、モニタ信号を生成するときにどの周波数成分を用いるかを選択することにより、制御範囲ごとに適切なダイナミックレンジを設定することでき、広範囲かつ高精度での波長分散の制御を行うことが可能になる。
以上、例示実施形態を説明した。以下、本発明の例示的な技術的な特徴を付記する。
[付記1] 光信号を伝送する際に波長分散をモニタする方法であって、
シンボルレートがfである光信号に対し、nを2以上の整数として、擬似RZ変調により、nシンボルごとに光強度にディップを印加し、ディップが印加された光信号を伝送路に送出することと、
前記伝送路を伝送してきた前記光信号を受信し、kを1以上の整数として、受信した信号から、k×f/nの周波数成分の強度を検出することと、
前記検出した強度に基づいて、波長分散量を表すモニタ信号を生成することと、
を有する方法。
[付記2] 帯域通過フィルタを用いて前記k×f/nの周波数成分の強度を検出する、付記1に記載の方法。
[付記3] 前記伝送路から前記光信号を受信して得られる受信信号をデジタル信号に変換し、前記デジタル信号に対してデジタル信号処理を行って前記k×f/nの周波数成分の強度を検出する、付記1に記載の方法。
[付記4] 前記k×f/nの周波数成分の強度を検出する際に相異なる複数個の整数kを用いて複数の周波数成分のそれぞれごとに強度を検出し、
前記複数の周波数成分のそれぞれごとに前記モニタ信号を生成する、付記1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
[付記5] 光信号を伝送する際に波長分散を等化する方法であって、
シンボルレートがfである光信号に対し、nを2以上の整数として、擬似RZ変調により、nシンボルごとに光強度にディップを印加し、ディップが印加された光信号を伝送路に送出することと、
前記伝送路を伝送してきた前記光信号を受信し、kを1以上の整数として、受信した信号から、k×f/nの周波数成分の強度を検出することと、
前記検出した強度に基づいて、波長分散量を表すモニタ信号を生成することと、
前記モニタ信号によって表される値が最小となるように、前記光信号を等化する等化器を制御することと、
を有する方法。
[付記6] 波長の異なる複数の光信号のそれぞれに対して前記ディップを印加し、
前記ディップが印加された前記複数の光信号を波長多重して前記伝送路に送出し、
受信した光信号を波長分離して波長ごとに前記モニタ信号を生成し、波長ごとに前記光信号を等化する、
付記5に記載の方法。
[付記7] 波長の異なる複数の光信号のそれぞれに対して前記ディップを印加し、
前記ディップが印加された前記複数の光信号を波長多重して前記伝送路に送出し、
波長ごとに前記モニタ信号を生成し、
受信した光信号を波長分離して波長ごとの前記モニタ信号が表す値が最小となるように、前記波長分離を行う前の前記伝送路から受信した光信号を等化する、
付記5に記載の方法。
[付記8] 偏波状態が異なる複数の光信号のそれぞれに対して、異なる繰り返し周波数でディップを印加し、
前記ディップが印加された前記複数の光信号を偏波多重して前記伝送路に送出し、
前記異なる繰り返し周波数ごとに前記モニタ信号を生成する、
付記5に記載の方法。
[付記9] 帯域通過フィルタを用いて前記k×f/nの周波数成分の強度を検出する、付記5乃至8のいずれか1項に記載の方法。
[付記10] 前記伝送路から前記光信号を受信して得られる受信信号をデジタル信号に変換し、前記デジタル信号に対してデジタル信号処理を行って前記k×f/nの周波数成分の強度を検出する、付記5乃至8のいずれか1項に記載の方法。
[付記11] 前記k×f/nの周波数成分の強度を検出する際に相異なる複数個の整数kを用いて複数の周波数成分のそれぞれごとに強度を検出し、
前記複数の周波数成分のそれぞれごとに前記モニタ信号を生成する、付記5乃至10のいずれか1項に記載の方法。
[付記12] 前記複数の周波数成分のそれぞれごとの前記モニタ信号のうちのいずれか1つのモニタ信号を用いて前記等化器を制御する、付記11に記載の方法。
[付記13] 波長分散量に応じ、前記複数の周波数成分のそれぞれごとの前記モニタ信号を切り替えて前記等化器を制御する、付記11に記載の方法。
[付記14] 波長分散量と前記k×f/nの周波数成分の強度との関係を表すルックアップテーブルを予め用意し、検出された強度に基づいて前記ルックアップテーブルを検索することにより、前記モニタ信号を生成する、付記1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
[付記15] 光信号を伝送する際に波長分散をモニタする装置であって、
シンボルレートがfである光信号に対し、nを2以上の整数として、擬似RZ変調により、nシンボルごとに光強度にディップを印加し、ディップが印加された光信号を伝送路に送出する送信機と、
前記伝送路を伝送してきた前記光信号を受信し、kを1以上の整数として、受信した信号から、k×f/nの周波数成分の強度を検出し、前記検出した強度に基づいて、波長分散量を表すモニタ信号を生成する分散モニタと、
を有する装置。
[付記16] 前記送信機は、伝送すべきデータを示す信号によって光キャリアを変調する変調器と、変調後の光信号に対して前記ディップを印加する擬似RZカーバーと、を備える、付記15に記載の装置。
[付記17] 前記分散モニタは、前記伝送路から前記光信号を受信する受光素子と、前記k×f/nの周波数成分の強度を検出する帯域通過フィルタと、前記検出した強度に基づいて、波長分散量を表すモニタ信号を生成するモニタ回路と、を備える、付記15または16に記載の装置。
[付記18] 前記分散モニタは、前記伝送路から前記光信号を受信して得られる受信信号をデジタル信号に変換し、前記デジタル信号に対してデジタル信号処理を行って前記k×f/nの周波数成分の強度を検出し、前記モニタ信号を生成するデジタル信号処理ユニットを備える、付記15または16に記載の装置。
[付記19] 光信号を伝送する際に波長分散を等化する装置であって、
シンボルレートがfである光信号に対し、nを2以上の整数として、擬似RZ変調により、nシンボルごとに光強度にディップを印加し、ディップが印加された光信号を伝送路に送出する送信機と、
前記伝送路を伝送してきた前記光信号を受信し、kを1以上の整数として、受信した信号から、k×f/nの周波数成分の強度を検出し、前記検出した強度に基づいて、波長分散量を表すモニタ信号を生成する分散モニタと、
前記モニタ信号が表す値が最小となるように、前記伝送路から受信される光信号を等化する波長分散等化器と、
を有する装置。
[付記20] 前記送信機は、伝送すべきデータを示す信号によって光キャリアを変調する変調器と、変調後の光信号に対して前記ディップを印加する擬似RZカーバーと、を備える、付記19に記載の装置。
[付記21] 前記分散モニタは、前記伝送路から前記光信号を受信する受光素子と、前記k×f/nの周波数成分の強度を検出する帯域通過フィルタと、前記検出した強度に基づいて、波長分散量を表すモニタ信号を生成するモニタ回路と、を備える、付記19または20に記載の装置。
[付記22] 前記分散モニタは、前記伝送路から前記光信号を受信して得られる受信信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器と、前記デジタル信号に対してデジタル信号処理を行って前記k×f/nの周波数成分の強度を検出し、前記モニタ信号を生成するデジタル信号処理ユニットを備える、付記19または20に記載の装置。
[付記23] 前記分散モニタは、波長分散量と前記k×f/nの周波数成分の強度との関係を表すルックアップテーブルを備え、検出された強度に基づいて前記ルックアップテーブルを検索することにより、前記モニタ信号を生成する、付記19乃至22のいずれか1項に記載の装置。
[付記24] 光信号を伝送路に送出する送信機であって、
伝送すべきデータを示す信号によって光キャリアを変調する変調器と、
nを2以上の整数として、前記変調後の光信号に対し、擬似RZ変調により、nシンボルごとに光強度にディップを印加する擬似RZカーバーと、
を有する送信機。
[付記25] 伝送路を受信してきた光信号における波長分散をモニタする分散モニタであって、
前記光信号にはnシンボルごとに擬似RZ変調により光強度におけるディップが印加されており、
前記光信号を受光して受信信号に変換する受光素子と、
前記受信信号から、kを1以上の整数として、k×f/nの周波数成分の強度を検出する帯域通過フィルタと、
前記検出した強度に基づいて、波長分散量を表すモニタ信号を生成するモニタ回路と、
を有する分散モニタ。
[付記26] 伝送路を受信してきた光信号における波長分散をモニタする分散モニタであって、
前記光信号にはnシンボルごとに擬似RZ変調により光強度におけるディップが印加されており、
前記光信号を受光して受信信号に変換する受光素子と、
前記受信信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器と、
前記デジタル信号に対してデジタル信号処理を行って前記k×f/nの周波数成分の強度を検出し、前記検出した強度に基づいて、波長分散量を表すモニタ信号を生成するデジタル信号処理ユニットと、
を有する分散モニタ。
以上、例示実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の例示実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2010年1月5日に出願された日本国特許出願:特願2010−000497を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てを参照によりここに取り込む。