以下、配線引込具1が屋根に設置されている状態を基準にして、配線引込具1の構造を説明する。尚、以下の説明においては、実際の屋根における軒及び棟の位置にかかわらず、屋根の傾斜方向を軒棟方向といい、軒棟方向に沿った斜め上側を棟側、軒棟方向に沿った斜め下側を軒側という。
[第一の実施形態]
配線引込具1は、本体部材2、下部材3、及び防風部材65を備える。本体部材2は、ベース体4と、ベース体4を覆うカバー体5と、押さえ部材47とを備える。図1及び図2は屋根に設置されている配線引込具1を示し、図3はベース体4を、図4及び図5はカバー体5を、図6は押さえ部材47を、図7は下部材3を、図9は防風部材65を、それぞれ示す。
ベース体4は樹脂材料等の適宜の材料から形成される。ベース体4は平板状且つ平面視矩形状に形成されている。このベース体4には、上下に貫通する導出孔21が形成されている。ベース体4の上面には、上方に突出する枠部45が、導出孔21を取り囲むように形成されている。但し、導出孔21に対して軒側の位置には、外枠部45が形成されていない部位が存在する。この部位を切欠き部43という。更に、ベース体4には上下に貫通する複数の固定用孔44が形成されている。
導出孔21の開口縁には、上方に向けて突出するリブ(外囲リブ415)が形成されており、この外囲リブ415により導出孔21が全周に亘って囲まれている。外囲リブ415における導出孔21よりも棟側に位置する部位(軒側部位416という)では、上方への突出高さが他の部分よりも低くなっている。この軒側部位416の上面は、棟側から軒側へ向けて下方へ凸状に湾曲する曲面となっている。この軒側部位416の曲面は、配線8が軒側部位416上に配置される場合に配線8が軒側部位416によって傷付かないようにするために形成されている。
更に、ベース体4には、その上面から上方に突出する複数条のガイドリブ22が形成されている。複数条のガイドリブ22は導出孔21の軒側の位置から切欠き部43の近傍位置まで、軒棟方向い直線状に伸びるように形成されている。隣合うガイドリブ22間の間隔は、このガイドリブ22間に配線8が配置可能な程度の適宜の幅となっている。
複数のガイドリブ22のうち、両側の最外部の位置する二つのガイドリブ22と、中央部に位置するガイドリブ22には、押さえ部材47を固定するための固定用孔46がそれぞれ形成されている。
カバー体5は、金属板材等の適宜の材料から形成される。カバー体5は、天板51、棟片52、軒片53、側片54,54、下片55,55、及び水切り片57を備える。天板51は平板状且つ平面視矩形状であり、その形状はベース体4の平面視形状と合致する。棟片52は天板51の棟側の辺から、軒片53は天板51の棟側の辺から、側片54,54は天板51の軒棟方向と直交する方向の両側の各辺から、それぞれ下方に突出している。下片55,55は、各側片54,54の下端から、軒棟方向と直交する外側方向へ突出している。水切り片57は、棟片52の下端及び各側片54,54の棟側端部から、棟側へ向けて突出している。軒片53には、カバー体5の内側と外側とを軒棟方向に連通する切欠き部56が形成されている。
尚、棟片52は、天板51の棟側の辺から棟側斜め下方に向けて傾斜するように突出してもよい。この場合、屋根上を流れる雨水等の水が配線引込具1まで到達しても、この水が棟片52の傾斜に沿って配線引込具1を容易に乗り越えて、配線引込具1よりも軒側へと流れる。このため、配線引込具1の周りに水が溜まりにくくなり、配線引込具1の設置位置からの屋内への水の浸入が抑制される。
ベース体4が上方からカバー体5で覆われることで、本体部材2が構成される。ベース体4は、カバー体5の天板51、棟片52、軒片53及び側片54,54で囲まれた内側に配置される。本体部材2の内部には、ベース体4とカバー体5との間に、中空部23が形成されている。中空部23は、ベース体4と、カバー体5の天板51、棟片52、軒片53及び側片54,54とで囲まれた空間である。ベース体4の導出孔21は、中空部23とその下方の外側とを上下に連通している。
押さえ部材47は、軒棟方向と直交する方向に長い平板状に形成され、その両側の端部には下方へ突出する脚部48が形成されている。
このように構成される本体部材2においては、ベース体4に形成されている切欠き部43の外側に、カバー体5の軒片53に形成されている切欠き部56が重ねられている。これにより、中空部23と外部とを連通する導入孔24が形成されている。導入孔24は、本体部材2の軒側端部に形成され、中空部23とその外側とを、軒棟方向に連通している。
更に、中空部23内において、ベース体4の複数条のガイドリブ22は導出孔21の軒側の位置から導入孔24の近傍位置まで、軒棟方向に直線状に伸びるように形成されている。
下部材3は、平板部31と、筒状のリブ32とを備える。平板部31は、平板状且つ平面視矩形状に形成されている。平板部31には上下に貫通する連通孔33が形成されている。連通孔33は、導出孔21と合致する形状に形成されている。筒状のリブ32は、平板部31の連通孔33の周縁から上方に突出するように形成されている。このリブ32は、導出孔21に挿通され得る形状に形成されている。また平板部31には、ビスや釘等の固定具が挿通する複数の固定用孔36が形成されている。
防風部材65は、固定部66と防風片69とを備える。固定部66は屋根材の軒側端部に固定される。防風片69は固定部66の軒側端部から上方に突出している。防風部材65は例えば金属板に折り曲げ加工が施されることで形成される。防風部材65の固定部66は、屋根材の軒側端部に固定されている状態でこの屋根材の上面に重ねて配置される上片67と、この屋根材の下面に重ねて配置される下片68とで構成される。防風片69は上片67の軒側端部から下片68の軒側端部に亘って形成されており、上片67よりも上方に突出するように形成されている。
この配線引込具1を備える屋根構造について説明する。
屋根下地6は野地板などで構成される。野地板上には更にアスファルトルーフィング等の防水シートが設置されていてもよい。屋根下地6には、導出孔21及び連通孔33と合致する形状の通孔61が形成される。
この屋根下地6の上に、下部材3及び複数の屋根材7が設置される。屋根材7は平板状であり、例えばスレート材から形成される。
屋根下地6上の、通孔61よりも軒側に、複数の屋根材7(便宜上、一列目の屋根材71という)が軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。野地板上の、通孔61が形成されている位置には、下部材3が設置される。下部材3は、平板部31が屋根下地6にビスや釘などの固定具で固定されることで、設置される。下部材3は、その連通孔33と屋根下地6の通孔61とが重なる位置に設置される。
屋根下地6上には、前記設置された一列目の屋根材71の棟側部分に重ねて、更に複数の屋根材7(便宜上、二列目の屋根材72という)が設置される。二列目の屋根材72も、軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。これらの二列目の屋根材72のうち、下部材3と重なる屋根材72には、筒状のリブ32と重なる位置に、切り欠き又は開口(図示せず)が形成されている。この切り欠き又は開口を通して、筒状のリブ32が二列目の屋根材72よりも上方に突出する。
屋根下地6上には、二列目の屋根材72の棟側部分に重ねて、更に複数の屋根材7(便宜上、三列目の屋根材73という)が設置される。三列目の屋根材73も、軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。これらの三列目の屋根材73のうち、下部材3と重なる屋根材73には、筒状のリブ32と重なる位置に、切り欠き又は開口(図示せず)が形成されている。この切り欠き又は開口を通して、筒状のリブ32が三列目の屋根材73よりも上方に突出する。
三列目の屋根材73上に、ベース体4が設置される。ベース体4は、その固定用孔44を通じてビスや釘などの固定具が三列目の屋根材73に打ち込まれるなどして、設置される。ベース体4は、その導出孔21と、下部材3の連通孔33とが重なる位置に設置され、導出孔21に筒状のリブ32が挿通される。
カバー体5は、ベース体4を覆うように設置される。これにより、上述の通り、カバー体5とベース体4とで本体部材2が構成される。下部材3の筒状のリブ32は導出孔21に挿通されて、中空部23内に突出する。カバー体5は、ビスや釘等の固定具9によりベース体4に固定される。固定具9は、例えばカバー体5の棟片52、軒片53、側片54,54などと、ベース体4の外枠部45とが重なる位置を貫通するように打ち込まれる。
特に固定具9は、図1に示すように、ベース体4とカバー体5とを、屋根下地6の表面に沿って、軒棟方向と直交する方向に貫通することが好ましい。すなわち固定具9は、カバー体5の側片54,54とベース体4の外枠部45とが重なる位置において、この側片54,54と外枠部45とを、軒棟方向と直交する方向に貫通するように打ち込まれることが好ましい。
屋根下地6上には、三列目の屋根材73の棟側部分に重ねて、更に複数の屋根材7(便宜上、四列目の屋根材74という)が設置される。四列目の屋根材74も、軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。これらの四列目の屋根材74のうち、本体部材2の直ぐ棟側に設置される屋根材74は、カバー体5の水切り片57上に重なるように設置される。尚、カバー体5は、四列目の屋根材74が設置される前に設置されてもよいが、四列目の屋根材74が設置された後に設置されてもよい。四列目の屋根材74が設置された後にカバー体5が設置される場合には、カバー体5の水切り片57が三列目の屋根材73と四列目の屋根材74との間に差し入れられる。
防風部材65は、本体部材2が設置されている三列目の屋根材73の軒側端部に設置される。防風部材65は、固定部66の上片67と下片68とで屋根材73の軒側端部が挟まれることで、設置される。防風部材65は本体部材2よりも軒側の位置に配置され、防風部材65の防風片69は、屋根材73の上面よりも上方に突出する。この防風片69は本体部材2並びにこの本体部材2の導入口4と、軒棟方向に間隔をあけて対向する位置に配置される。
このように配線引込具1が屋根に設置されている状態では、導入孔24は中空部23と屋外とを連通し、導出孔21は連通孔33及び屋根下地6の通孔61を介して、中空部23と屋内とを連通している。
複数の配線8は、屋外から、配線引込具1の導入孔24、中空部23、導出孔21、連通孔33を順次通過し、更に屋根下地6の通孔61を通過して、屋内へ引き込まれる。複数の配線8は、導入孔24から中空部23内に導入され、ガイドリブ22の間に一本ずつ配置されることで、中空部23内で位置決めされて固定される。
中空部23内へ導入された複数の配線8は、更に中空部23から、導出孔21、連通孔33及び屋根下地6の通孔61を通じて屋内へ導出される。
配線8の引き込み作業は、例えばベース体4が屋根材7上に設置され、且つこのベース体4がカバー体5で覆われていない状態でなされる。この場合、導出孔21及びガイドリブ22が屋外に露出した状態で配線8の引き込みがされるため、作業性が良好となる。
配線8がガイドリブ22間に挟まれて固定されている状態で、図1に示されるように更にこの配線8が押さえ部材47によってガイドリブ22の間に押さえつけられると、ガイドリブ22の間から配線8が更に脱落しにくくなる。押さえ部材47は、ガイドリブ22の上方に、ガイドリブ22間の隙間を閉塞するように配置され、この押さえ部材47の各脚部47は、両側の最外部に位置する二つのガイドリブ22の更に外側にそれぞれ配置される。この押さえ部材47に釘やビス等の固定具が打ち込まれ、この固定具が更にガイドリブ22の固定用孔46へ打ち込まれることで、押さえ部材47が固定される。
このような屋根構造は、屋根に太陽電池モジュール101等の屋上設備機器10が設置される場合において、この屋上設備機器10に接続されている配線8が屋内に引き込まれる場合に、設けられる。
図10は、屋根に太陽電池モジュール101が設置される様子を示す。屋根材7上には、軒棟方向に長い複数のフレーム材102が、軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。このフレーム材102に対して、複数の太陽電池モジュール101が、軒棟方向、並びに軒棟方向と直交する方向にマトリックス状に並んで、設置される。これにより、太陽電池モジュール101が、屋根材7の上方に、この太陽電池モジュール101と屋根材7との間に間隔があくように設置される。太陽電池モジュール101に接続されている配線8は、この太陽電池モジュール101と屋根材7との間で引き回され、配線引込具1から屋内へ引き込まれる。
このように太陽電池モジュール101が設置される場合に、一定個数の複数個の太陽電池モジュール101ごとに、一個の配線引込具1が設けられ、この一定個数の太陽電池モジュール101に接続される配線8が一個の配線引込具1から屋内へ引き込まれてもよい。このように別々の位置から引き回される複数の配線8が一個の配線引込具1から屋内へ引き込まれる場合であっても、本実施形態では配線8が中空部23内でガイドリブ22によって位置決めされて固定されるため、複数の配線8が中空部23内に容易に収められる。
また複数の配線8は中空部23内に整理されて配置されるため、複数の配線8から配線引込具1への応力が集中しにくくなり、このため配線8や配線引込具1が破損しにくくなる。更に、太陽電池モジュール101が設置された後のメンテナンス時などには、配線8とこの配線8が接続されている太陽電池モジュール101との対応関係が容易に認識されやすくなり、このためメンテナンス作業が容易となる。
屋根上にはしばしば複数個の屋内設備機器10が設置され、このような場合、複数本の配線8が同時に配線引込具1から屋内へ引き込まれることになる。そのため、施工時における配線8の引き込み作業が繁雑になったり、施工後のメンテナンス時に複数の配線8の判別が困難になったりする。また、複数の配線8から配線引込具1へかかる応力が一点に集中してしまうことで、配線引込具1に破損等が生じるおそれもある。しかし、本実施形態では、中空部23内に、前記複数の配線8を前記導入孔24から前記導出孔21へ一本ずつガイドするガイドリブ22が形成されているため、配線引込具1が用いられて屋根において複数本の配線8を屋外から屋内へ引き込む施工がされるにあたり、配線8の引き込み作業が容易になると共に、施工後のメンテナンスも容易となり、且つ複数の配線8からの配線引込具1への応力が集中しにくくなる。
また、本実施形態においては、雨水等の水が配線引込具1の棟側から屋根下地6の通孔61を通じて屋内に浸入するためには、水がまず水切り片57と四列目の屋根材74との間を棟側に向けて移動し、更に水切り片57と三列目の屋根材73との間を軒側へ向けて移動することで配線引込具1の内側に入り込まなければならない。このため水切り片57によって屋根下地6の通孔61への水の移動が阻害されて、屋内への水の浸入が抑制される。
また、屋根下地6上には下部材3が設置されているため、屋根下地6上における水の通孔61への移動が下部材3によって阻まれる。水が下部材3上を通孔61に向けて移動しても、この水の移動は筒状のリブ32によって阻まれる。中空部23内に水が浸入した場合も、この水の通孔61への移動は筒状のリブ32によって阻まれる。これにより、屋内への水の浸入が更に抑制されている。
図8(a)に示すように、下部材3の平板部31の下面に重ねてシール材34が設けられてもよい。このシール材34は連通孔33の全周囲を囲むように形成されている。この場合、下部材3と屋根下地6との間を通って通孔61へ至る水の流れがシール材34で阻害され、屋内への水の浸入が更に抑制される。また、下部材3の上面に重ねてシール材35が設けられてもよい。このシール材35は筒状のリブ32の全周囲を囲むように形成されている。この場合、下部材3上を流れる水が筒状のリブ32を乗り越えて通孔61へ浸入することがシール材35によって抑制され、屋内への水の浸入が更に抑制される。
更に、図8(b)に示すように、シール材34が、平板部31の下面全体に重ねられていてもよい。この場合、下部材3が固定具によって屋根下地6に固定される際に、固定具が打ち込まれる位置にシール材34が設けられるため、この固定具が打ち込まれている位置から水が屋内へ浸入することが、更に抑制される。尚、シール材34が平板部31の下面において少なくとも連通孔33の全周囲を囲む位置と固定具が打ち込まれる位置とに重ねられていれば、シール材34が平板部31の下面全体に重ねられていなくてもよい。
また、本体部材2における固定具9がベース体4とカバー体5を、屋根下地6の表面に沿って軒棟方向と直交する方向に貫通していると、配線引込具1が設置されている第三の屋根材7上で水が屋根の傾斜に沿って軒側へ流れたり、或いは第三の屋根材7上で水が風などで吹き上げられて屋根の傾斜に沿って棟側へ流れたりしても、この水がベース体4やカバー体5における固定具9が貫通している位置を通じて中空部23へ浸入しにくくなる。これにより屋内への水の浸入が更に抑制される。
また、配線引込具1の中空部23は導入孔24を通じて屋外に開放されているが、この導入孔24は配線引込具1の軒側の端面で開口している。このため、屋根材7上で水が屋根の傾斜に沿って軒側へ流れても、この水が導入孔24を通じて中空部23へ浸入しにくくなる。また、屋根材7上で水が風などで吹き上げられて屋根の傾斜に沿って棟側へ流れたりしても、風雨が防風部材65の防風片69によって妨げられて、本体部材2に水が吹き付けられにくくなる。更に、防風片69は導入口24と軒棟方向に対向しているため、導入口24への風雨の吹き込みが防風片によって妨げられる。これにより屋内への水の浸入が更に抑制される。
また、ベース体4上における導出孔21の近傍に水が浸入したとしても、導出孔21は外囲リブ415によって囲まれているため、導出孔21への水の浸入が抑制され、水が屋内に浸入することが抑制される。
配線引込具1には、中空部23内における導入孔24の近傍に、発泡材等からなるシール材90(91,92)が設けられてもよい(第二の実施形態、図17,18参照)。例えばシール材91,92がカバー体5とベース体4にそれぞれ設けられ、導入孔24の内側で二つのシール材91,92が上下に対向し、このシール材91,92の間に配線8が挟まれる。この場合、導入孔24を通じた中空部23への水の浸入が更に抑制される。シール材90は、少なくとも配線8が導入孔24を通過するように配置された状態で前記導入孔21を閉塞すればよい。これにより、配線8を伝って水が中空部23に浸入することが効果的に抑制される。なお、例えば配線8が配置されていない状態では二つのシール材91,92の間に隙間が形成され、配線8が配置された場合はこの配線8によって隙間が閉塞されてもよいが、好ましくは、配線8が配置されていない状態でも二つのシール材91、92の間に隙間が生じないように設計されることが望ましい。
[第二の実施形態]
配線引込具1は、本体部材2及び下部材3を備える。本体部材2は、ベース体4と、ベース体4を覆うカバー体5と、押さえ部材47と、シール材90とを備える。図11は屋根に設置されている配線引込具1を示し、図12及び図13はベース体4を、図14はカバー体5を、図15は押さえ部材47を、図16は下部材3を、図17はシール材90を、それぞれ示す。
図12及び図13に示されるベース体4は樹脂材料等の適宜の材料から形成される。ベース体4は平板状且つ平面視矩形状に形成されている。
このベース体4には、上下に貫通する導出孔21が形成されている。この導出孔21の開口縁には、上方に向けて突出するリブ(外囲リブ415)が形成されており、この外囲リブ415により導出孔21が全周に亘って囲まれている。外囲リブ415における導出孔21よりも軒側に位置する部位(軒側部位416という)では、上方への突出高さが他の部分よりも低くなっている。この軒側部位416の上面は、棟側から軒側へ向けて下方へ凸状に湾曲する曲面となっている。この軒側部位416の曲面は、配線8が軒側部位416上に配置される場合に配線8が軒側部位416によって傷付かないようにするために形成されている。更にこの軒側部位416の上面上には、弾性部材95(図12(a)参照)が接着されるなどして取り付けられている。この弾性部材95は平板状であり、軒側部位416の曲面に沿って湾曲するように取り付けられる。この弾性部材95は弾性を有する。この弾性部材95はEPDMゴムなどの適宜のゴムやエラストマーから形成されることが好ましく、或いは更に独立気泡や半独立気泡を有する多孔質の部材であることが好ましい。但し、弾性部材95の材質はこれに限定されない。
ベース体4の上面には、上方に突出する外枠部45が、導出孔21を取り囲むように形成されている。但し、導出孔21に対して軒側の位置には、外枠部45が形成されていない部位が存在する。この部位を切欠き部43という。外枠部45の一部は、水流制御部412を構成している。この水流制御部412は導出孔21よりも棟側にあり、軒棟方向と交差する方向に長い二つのリブ410,411で構成されている。この二つのリブ410,411は軒棟方向に間隔をあけて並んでいる。二つのリブ410,411にはそれぞれ軒棟方向に貫通すると共に上方に開放されている複数の水抜き用入口孔413が形成されている。各リブ410,411に形成されている水抜き用入口孔413は、軒棟方向に並ばないように位置をずらして配置されている。水抜き用入口孔413の位置は適宜設定されるが、本実施形態では、棟側のリブ410の中央部に水抜き用入口孔413が形成されている。更に棟側のリブ410と軒側のリブ411には、導出孔21よりも外側方における両側の端部にも水抜き用入口孔413が形成され、且つ棟側のリブ410における水抜き用入口孔413は、軒側のリブ411における水抜き用入口孔413よりも外側方にずれた位置に形成されている。尚、水流制御部412を構成するリブの個数は2個に限られず、水流制御部412が軒棟方向に並ぶ3個以上の複数のリブで構成されてもよい。また、外枠部45には、軒棟方向と直交する方向の両側部における軒側端部に、それぞれ軒棟方向と交差する方向に貫通すると共に上方に開放されている水抜き用出口孔414が形成されている。更に、ベース体4には上下に貫通する複数の固定用孔44が形成されている。この固定用孔44は、ベース体4の上面に形成されている上方に突出する凸部417で開口している(図12(f)参照)。
更に、ベース体4には、その上面から上方に突出する複数条のガイドリブ22が形成されている。複数条のガイドリブ22は導出孔21よりも軒側の位置から切欠き部43へ向けて軒棟方向に直線状に伸びるように形成されている。隣合うガイドリブ22間の間隔は、このガイドリブ22間に配線8が配置可能な程度の適宜の幅となっている。
複数のガイドリブ22のうち、両側の最外部に位置する二つのガイドリブ22には、押さえ部材47を固定するための固定用孔46がそれぞれ形成されている。
ガイドリブ22には、図13に示されるように、配線8固定用の凸部25が形成されていてもよい。この凸部25は、隣合うガイドリブ22同士の対向面に形成される。図13に示される例では、凸部25は上下方向に延びる一つの凸条であるが、凸部25の形状は特に制限されない。このような凸部25が形成される場合には、配線8が隣合うガイドリブ22の間に一本ずつ配置される際に、凸部25が配線8を押圧することで配線8の位置決めがしっかりとなされる。
ベース体4には、隣合うガイドリブ22間の隙間やガイドリブ22の上などの適宜の位置に、ガイドリブ22間に配置される配線8の指標となるマーキング418,419,420が形成されていてもよい。この場合、複数種類の配線8を所定のガイドリブ22間の隙間に配置することが容易になる。マーキング418,419,420は例えば印字により形成され,或いはベース体22の表面の凹凸加工などにより形成される。図13に示す例では、隣合うガイドリブ22間の隙間に配線8の指標となる数字を表すマーキング418が形成されている。またアース線が配置される隙間の両側のガイドリブ22上に、アースの記号を表すマーキング419とアースの文字を表すマーキング420がそれぞれ形成されている。勿論、マーキング418,419,420の形成位置、形状などは、図13に示される以外の態様であってもよい。
図14に示されるカバー体5は、金属板材等の適宜の材料から形成される。カバー体5は、天板51、棟片52、軒片53、側片54,54、下片55,55、上片58及び水切り片57を備える。天板51は平板状且つ平面視矩形状である。棟片52は天板51の棟側の辺から棟側へ向けて斜め下方へ突出している。このように棟片52が斜め下方へ突出していると、屋根上を流れる雨水等の水が配線引込具1まで到達しても、この水が棟片52の傾斜に沿って配線引込具1を容易に乗り越えて、配線引込具1よりも軒側へと流れる。このため、配線引込具1の周りに水が溜まりにくくなり、配線引込具1の設置位置からの屋内への水の浸入が抑制される。尚、棟片52は、天板51の棟側の辺から下方へ突出してもよい。軒片53は天板51の棟側の辺から、側片54,54は天板51及び棟片52の軒棟方向と直交する方向の両側の各辺から、それぞれ下方に突出している。上片58は、天板51の軒棟方向と直交する方向の両側の各辺から、それぞれ軒棟方向と直交する外側方向へ突出している。この上片58は、カバー体5の上面を流れる水がカバー体5の側部へ回り込みにくくなるようにするために形成されている。このような水の回り込みが抑制されると、カバー体5の側部からカバー体5へ水が浸入することが抑制される。更に、たとえばカバー体5が金属板の折り曲げ成形により作製される場合などには側片54の棟側端部や側片54における天板51と棟片52との境目付近にピンホール状の孔があいてしまうことがあるが、このような孔があいてしまっても、この孔からカバー体5内へ水が浸入してしまうことが抑制される。下片55,55は、各側片54,54の下端から、軒棟方向と直交する外側方向へ突出している。水切り片57は、棟片52の下端及び各側片54,54の棟側端部から、棟側へ向けて突出している。軒片53には、カバー体5の内側と外側とを軒棟方向に連通する切欠き部56が形成されている。
更に、配線引込具1には、中空部23内における導入孔24の近傍に、発泡材等からなるシール材90(91,92)(図17及び図18参照)が設けられている。シール材90(91,92)はカバー体5とベース体4にそれぞれ設けられ、導入孔24の内側で二つのシール材91,92が上下に対向し、このシール材91,92の間に配線8が挟まれる。この場合、導入孔24を通じた中空部23への水の浸入が更に抑制される。シール材90は、少なくとも配線8が導入孔24を通過するように配置された状態で前記導入孔21を閉塞すればよい。これにより、配線8を伝って水が中空部23に浸入することが効果的に抑制される。なお、例えば配線8が配置されていない状態では二つのシール材91,92の間に隙間が形成され、配線8が配置された場合はこの配線8によって隙間が閉塞されてもよいが、好ましくは、配線8が配置されていない状態でも二つのシール材91、92の間に隙間が生じないように設計されることが望ましい。このシール材90(91,92)は弾性を有する。更にシール材90(91,92)は水を透過させにくいことが好ましい。このためシール材90(91,92)はEPDMゴムなどの適宜のゴムやエラストマーから形成されることが好ましく、或いは更に独立気泡や半独立気泡を有する多孔質の部材であることが好ましい。但し、シール材90(91,92)の材質はこれに限定されない。
ベース体4に設けられるシール材91は、ベース体4上の、ガイドリブ22と切欠き部43との間において、切欠き部43を臨む位置に接着されるなどして取り付けられる(図12(a)参照)。このシール材91の上面には、凹条93が軒棟方向に伸びるように形成される。凹条93は複数形成され、この複数の凹条93は軒棟方向と直交する方向に並んでいる。この複数の凹条93は、隣合うガイドリブ22同士の間の隙間と合致する位置に形成される。凹条93の断面形状は、図17に示されるように半円形状であっても、図18に示されるように軒棟方向に長い半楕円形状であってもよく、その他適宜の形状であってもよい。カバー体5に設けられるシール材92は、カバー体5の天井板51の下面に、ベース体4に設けられたシール材と合致する位置に接着されるなどして取り付けられる(図14(a)参照)。このシール材92の下面には、凹条94が軒棟方向に伸びるように形成される。凹条94は複数形成され、この複数の凹条94は軒棟方向と直交する方向に並んでいる。カバー体5に設けられるシール材92の凹条94は、ベース体4に設けられるシール材91の凹条93と合致する位置に形成される。カバー体5に設けられるシール材92の凹条94の断面形状も、図17に示されるように半円形状であっても、図18に示されるように軒棟方向に長い半楕円形状であってもよく、その他適宜の形状であってもよい。
図15に示される押さえ部材47は、平板状に形成され、その両側の端部と棟側の端部には下方へ突出する脚部48が形成されている。この脚部48は後述するように、ベース体4の外囲リブ415(軒側部位416を除く)の外側、並びに複数のガイドリブ22のうち両側の最外部に位置する二つのガイドリブ22の更に外側に配置される。更に押さえ部材47の下面には弾性部材96が取り付けられている(図15(a)参照)。弾性部材は弾性を有し、例えばベース体4の外囲リブ415における軒側部位416に取り付けられている弾性部材と同様の材質から形成される。この押さえ部材47における弾性部材は、ベース体4の軒側部位416に取り付けられている弾性部材と合致する位置に取り付けられる。また、押さえ部材47には、ベース体4における固定用孔46と合致する位置に固定用孔49が形成されている。
シール材91がベース体4に、シール材92がカバー体5にそれぞれ取り付けられ、ベース体4に押さえ部材47が取り付けられ、更にベース体4が上方からカバー体5で覆われることで、本体部材2が構成される。
ベース体4に押さえ部材47が取り付けられると、押さえ部材47の脚部48はベース体4の外囲リブ415(軒側部位416を除く)の外側、並びに複数のガイドリブ22のうち両側の最外部に位置する二つのガイドリブ22の更に外側に配置され、押さえ部材47の固定用孔49がベース体4における固定用孔46と合致する位置に配置される。この状態で、釘やビス等の固定具が固定用孔49及び固定用孔46に打ち込まれることで、押さえ部材47がベース体4に固定される。これにより押さえ部材47は外囲リブ415の上方に配され、押さえ部材47が外囲リブ415における軒側部位416を除く部位の上端に接し、押さえ部材47と軒側部位416との間に生じる隙間が導出孔21に連通する。更に押さえ部材47は、ガイドリブ22の上方に、ガイドリブ22間の隙間を閉塞するように配置される。
ベース体4が上方からカバー体5で覆われると、ベース体4は、カバー体5の天板51、棟片52、軒片53及び側片54,54で囲まれた内側に配置される。本体部材2の内部には、ベース体4とカバー体5との間に、中空部23が形成されている。中空部23は、ベース体4と、カバー体5の天板51、棟片52、軒片53及び側片54,54とで囲まれた空間である。この状態で、ベース体4の導出孔21は、外囲リブ415の内側並びに押さえ部材47と軒側部位416との間の隙間を通じて、中空部23とその下方の外側とを連通している。
このように構成される本体部材2においては、ベース体4に形成されている切欠き部43の外側に、カバー体5の軒片53に形成されている切欠き部56が重ねられている。これにより、中空部23と外部とを連通する導入孔24が形成されている。導入孔24は、本体部材2の軒側端部に形成され、中空部23とその外側とを、軒棟方向に連通している。
また、中空部23内において、ベース体4の複数条のガイドリブ22は導出孔21の軒側の位置から導入孔24の近傍位置まで、軒棟方向に直線状に伸びるように形成されている。
更に、中空部23内には、ガイドリブ22と導入孔24との間に、シール材90(91,92)が配される。二つのシール材91,92は上下に重なりあって互いに弾性的に接触しており、カバー体5に設けられたシール材92の凹条94とベース体4に設けられたシール材91の凹条93とが対向することで中空部23内と外部とを連通する複数の孔が形成される。この孔を除き、シール材90(91,92)により導入孔24が閉塞される。 より好ましくは、二つのシール材91,92が互いに押圧されて弾性圧縮されることにより、カバー体5に設けられたシール材92の凹条94とベース体4に設けられたシール材91の凹条93も互いに弾性的に接触する。この場合、二つのシール材91,92の間には前記のような孔は形成されず、シール材90(91,92)のみで導入孔24全体が閉塞される。
図16に示される下部材3は、平板部31と、筒状のリブ32とを備える。平板部31は、平板状且つ平面視矩形状に形成されている。平板部31には上下に貫通する連通孔33が形成されている。連通孔33は、導出孔21と合致する形状に形成されている。筒状のリブ32は、平板部31の連通孔33の周縁から上方に突出するように形成されている。このリブ32は、導出孔21に挿通され得る形状に形成されている。また平板部31には、ビスや釘等の固定具が挿通する複数の固定用孔36が形成されている。
下部材3の平板部31には、軒棟方向の両側の端縁にそれぞれ切り欠き状の指標37が形成されており、この二つの指標37は軒棟方向に並んでいる。平板部31には、軒棟方向と直交する方向の両側の端縁にもそれぞれ切り欠き状の指標37が形成されており、この二つの指標37は軒棟方向と直交する方向に並んでいる。このような指標37は、下部材3が屋根に設置される際の下部材3の位置合わせに利用され得る。例えば下部材3を屋根下地6上に設置する作業者が、指標37を屋根材7の突き合わせ位置にあわせたり、予め描かれたけがき線にあわせたりするなどして、下部材3を容易に位置合わせすることができるようになる。指標37の形状や位置は図16に示される形態に制限されず、適宜設計される。
この配線引込具1を備える屋根構造について説明する。
屋根下地6は野地板などで構成される。野地板上には更にアスファルトルーフィング等の防水シートが設置されていてもよい。屋根下地6には、導出孔21及び連通孔33と合致する形状の通孔61が形成される。
この屋根下地6の上に、下部材3及び複数の屋根材7が設置される。屋根材7は平板状であり、例えばスレート材から形成される。
屋根下地6上の、通孔61よりも軒側に、複数の屋根材7(便宜上、一列目の屋根材71という)が軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。野地板上の、通孔61が形成されている位置には、下部材3が設置される。下部材3は、平板部31が屋根下地6にビスや釘などの固定具で固定されることで、設置される。下部材3は、その連通孔33と屋根下地6の通孔61とが重なる位置に設置される。
屋根下地6上には、前記設置された一列目の屋根材71の棟側部分に重ねて、更に複数の屋根材7(便宜上、二列目の屋根材72という)が設置される。二列目の屋根材72も、軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。これらの二列目の屋根材72のうち、下部材3と重なる屋根材72には、筒状のリブ32と重なる位置に、切り欠き又は開口(図示せず)が形成されている。この切り欠き又は開口を通して、筒状のリブ32が二列目の屋根材72よりも上方に突出する。
屋根下地6上には、二列目の屋根材72の棟側部分に重ねて、更に複数の屋根材7(便宜上、三列目の屋根材73という)が設置される。三列目の屋根材73も、軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。これらの三列目の屋根材73のうち、下部材3と重なる屋根材73には、筒状のリブ32と重なる位置に、切り欠き又は開口(図示せず)が形成されている。この切り欠き又は開口を通して、筒状のリブ32が三列目の屋根材73よりも上方に突出する。
屋根下地6上には、三列目の屋根材73の棟側部分に重ねて、更に複数の屋根材7(便宜上、四列目の屋根材74という)が設置される。四列目の屋根材74も、軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。
ベース体4は三列目の屋根材73上に設置される。ベース体4は、その固定用孔44を通じてビスや釘などの固定具が三列目の屋根材73に打ち込まれるなどして、設置される。ベース体4は、その導出孔21と、下部材3の連通孔33とが重なる位置に設置され、導出孔21に筒状のリブ32が挿通される。
この状態で、複数の配線8が、屋外から導出孔21、連通孔33を順次通過し、更に屋根下地6の通孔61を通過して、屋内へ引き込まれるように設けられる。更にこの複数の配線8は、ガイドリブ22の間に一本ずつ配置されることで、位置決めされて固定される。
続いて、ベース体4に押さえ部材47が取り付けられる。これにより複数の配線8がベース体4と押さえ部材47との間に挟まれることで保持され、配線8の配置位置の移動が拘束され、複数の配線8が縺れたりしないようになる。このとき外囲リブ415の軒側部位416と押さえ部材47との間では、この軒側部位416と押さえ部材47が配線8と接するようにしてこの配線8を挟むことが好ましく、この場合、配線8の移動が充分に拘束される。このとき軒側部位416と押さえ部材47にそれぞれ弾性部材95,96が取り付けられていると、配線8には軒側部位416と押さえ部材47は直接には接せずに、弾性部材95,96が弾性接触することになり、これにより配線8の破損が抑制される。更に、押さえ部材47は、ガイドリブ22の上方に、ガイドリブ22間の隙間を閉塞するように配置されるため、押さえ部材47は配線8をガイドリブ22の間に押さえつけることになり、これによりガイドリブ22の間から配線8が更に脱落しにくくなる。また、押さえ部材47は導出孔21の上方を覆うため、導出孔21から屋内への水の浸入が抑制される。
続いて、カバー体5が、ベース体4を覆うように設置される。このときカバー体5の水切り片57は三列目の屋根材73と四列目の屋根材74との間に差し入れられる。これにより本体部材2が構成される。
カバー体5は、ビスや釘等の固定具9によりベース体4に固定される。固定具9は、例えばカバー体5の棟片52、軒片53、側片54,54などと、ベース体4の外枠部45とが重なる位置を貫通するように打ち込まれる。特に固定具9は、図11に示すように、ベース体4とカバー体5とを、屋根下地6の表面に沿って、軒棟方向と直交する方向に貫通することが好ましい。すなわち固定具9は、カバー体5の側片54,54とベース体4の外枠部45とが重なる位置において、この側片54,54と外枠部45とを、軒棟方向と直交する方向に貫通するように打ち込まれることが好ましい。
このようにして配線8取付具が設置されると、複数の配線8は、屋外から、配線引込具1の導入孔24、中空部23、押さえ部材47と軒側部位416との間の隙間、導出孔21、連通孔33を順次通過し、更に屋根下地6の通孔61を通過して、屋内へ引き込まれるように配置される。
また、配線8はシール材90(91,92)に挟まれることでも位置移動が拘束される。このとき、シール材92の凹条94とベース体4に設けられたシール材91の凹条93との間に孔が形成されている場合は、この孔に配線8が配置される。二つのシール材91,92は前記凹条93,94で配線8に弾性接触し、そのため前記孔は配線8によって埋められる。このため、シール材90(91,92)と配線8によって導入孔24の全体が閉塞され、これにより導入孔24から配線引込具1内への水の浸入が抑制される。また、カバー体5に設けられたシール材92の凹条94とベース体4に設けられたシール材91の凹条93が互いに弾性的に接触して前記のような孔が形成されてない場合、配線8は二つの凹条93,94の間に挟まれることでシール材90(91,92)と弾性接触するように配置される。この場合、配線8は二つの凹条93,94によって位置決めされて位置移動が効果的に抑制されると共に、二つの凹条93,94の間に配線8が配置されていない箇所があったとしても導入孔24が全体的に閉塞されて導入孔24から配線引込具1内への水の浸入が効果的に抑制される。
このような屋根構造は、第一の実施形態の場合と同様に、屋根に太陽電池モジュール101等の屋上設備機器10が設置される場合において、この屋上設備機器10に接続されている配線8が屋内に引き込まれる場合に、設けられる。
太陽電池モジュール101が設置される場合に、一定個数の複数個の太陽電池モジュール101ごとに、一個の配線引込具1が設けられ、この一定個数の太陽電池モジュール101に接続される配線8が一個の配線引込具1から屋内へ引き込まれてもよい。このように別々の位置から引き回される複数の配線8が一個の配線引込具1から屋内へ引き込まれる場合であっても、本実施形態では配線8が中空部23内でガイドリブ22によって位置決めされて固定されるため、複数の配線8が中空部23内に容易に収められる。更に配線8が中空部23内でベース体4と押さえ部材47によって挟まれることで配置位置の移動が更に拘束されているため、複数の配線8が中空部23内に更に容易に収められる。
また複数の配線8は中空部23内に整理されて配置されるため、複数の配線8から配線引込具1への応力が集中しにくくなり、このため配線8や配線引込具1が破損しにくくなる。更に、太陽電池モジュール101が設置された後のメンテナンス時などには、配線8とこの配線8が接続されている太陽電池モジュール101との対応関係が容易に認識されやすくなり、このためメンテナンス作業が容易となる。
屋根上にはしばしば複数個の屋内設備機器10が設置され、このような場合、複数本の配線8が同時に配線引込具1から屋内へ引き込まれることになる。そのため、施工時における配線8の引き込み作業が繁雑になったり、施工後のメンテナンス時に複数の配線8の判別が困難になったりする。また、複数の配線8から配線引込具1へかかる応力が一点に集中してしまうことで、配線引込具1に破損等が生じるおそれもある。しかし、本実施形態では、中空部23内に、前記複数の配線8を前記導入孔24から前記導出孔21へ一本ずつガイドするガイドリブ22が形成されているため、配線引込具1が用いられて屋根において複数本の配線8を屋外から屋内へ引き込む施工がされるにあたり、配線8の引き込み作業が容易になると共に、施工後のメンテナンスも容易となり、且つ複数の配線8からの配線引込具1への応力が集中しにくくなる。
更に、ベース体4にマーキング418,419,420が形成されていれば、配線引込具の設置時には作業者が複数の配線8を所定の位置に配置することが容易となって配線8の引き込み作業が更に容易になると共に、施工後のメンテナンス時などに配線8の種類を容易に判別することができるようになってメンテナンスも更に容易になる。
また、第一の実施形態と同様、本実施形態でも、水切り片57によって屋根下地6の通孔61への水の移動が阻害されて、屋内への水の浸入が抑制される。
また、屋根下地6上には下部材3が設置されているため、屋根下地6上における水の通孔61への移動が下部材3によって阻まれる。水が下部材3上を通孔61に向けて移動しても、この水の移動は筒状のリブ32によって阻まれる。中空部23内に水が浸入した場合も、この水の通孔61への移動は筒状のリブ32によって阻まれる。これにより、屋内への水の浸入が更に抑制されている。
本実施形態でも第一の実施形態の場合と同様に、図8(a)や図8(b)に示すように、下部材3にシール材34やシール材35が設けられてもよい。この場合、第一の実施形態の場合と同様に、シール材34、シール材35によって、屋内への水の浸入が更に抑制される。
また、配線引込具1の中空部23は導入孔24を通じて屋外に開放されているが、この導入孔24は配線引込具1の軒側の端面で開口している。このため、屋根材7上で水が屋根の傾斜に沿って軒側へ流れても、この水が導入孔24を通じて中空部23へ浸入しにくくなる。しかも、上記のとおり導入孔24はシール材90(91,92)及び配線8によって閉塞されているため、この導入孔24からの水の浸入が更に確実に抑制される。たとえ屋根材7上で水が風などで吹き上げられて屋根の傾斜に沿って棟側へ流れたりしても、導入孔24は前記のように閉塞されているため、導入口24への風雨の吹き込みは妨げられる。これにより屋内への水の浸入が更に抑制される。
また、棟側の外部から配線引込具1内のベース体4上に水が浸入しても、この水はまず水流制御部412の棟側のリブ410で堰き止められてから、この棟側のリブ410の水抜き用入口孔413を通じて軒側へ流れる。この水は更に軒側のリブ411で堰き止められてから、この軒側のリブ411の水抜き用入口孔413を通じて更に軒側へ流れる。このように水が一気に流入しないように水流が水流制御部412によって制御される。また、このとき軒側のリブ411の水抜き用入口孔413からは水が少しずつ流れ、またこの水は導出孔21を避けて流れることになり、しかも導出孔21は外囲リブ415によって囲まれているため、導出孔21への水の浸入が抑制される。この水は更にベース体4の軒側端部へ到達し、水抜き用出口孔414から外部へ流出する。これにより屋内への水の浸入が更に抑制される。更に、固定用孔44は、ベース体4の上面に形成されている上方に突出する凸部417で開口しているため、ベース体4上を水が流れてもこの水が固定用孔44から屋内に浸入することが抑制される。
尚、本発明に係る配線引込具1の構成は、本発明の範囲及び目的を逸脱しない限り上記の各実施形態に制限されるものではなく、例えば各実施形態の構成が部分的に取り除かれたり、各実施形態間で部分的に構成が転用されたり、その他の適宜の設計変更がされてもよい。
また、本発明に係る屋根構造も上記の各実施形態に制限されるものではなく、屋根に太陽電池モジュール101等の屋上設備機器10が設置される場合以外の適宜の目的のために、屋根において配線8を屋外から屋内へ引き込むために適用され得る。また、本発明に係る屋根構造は、屋根に太陽電池モジュール101等の屋上設備機器10が設置される場合においても、上記各実施形態以外の適宜の方式で屋根に屋上設備機器が設置される場合に適用され得る。