以下、図面を参照しつつ本発明の水処理システムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る水処理システムが設けられた船舶を示す概略構成図である。図1に示すように、水処理システム1Aは、原油や液化天然ガスなどの石油系液体貨物を運搬するタンカー等の船舶2に設けられている。この船舶2は、バラストタンク(第一のタンク)3、カーゴタンク(収容タンク)4、ポンプルーム5、エンジンルーム6、及びアフトピークタンク(第二のタンク)7を備えている。
バラストタンク3は、船舶2内の貨物積載量に応じて外部から取り込まれた水を漲水又は排水することによって、水の重さで船舶2全体を貨物量によらず一定に降下させる機能を有するものであり、例えば船舶2の前側(図1において右側)略半分に設けられている。バラストタンク3は、貨物が少ないときに水を漲水し、貨物が多いときに水を排水する(詳しくは後述)。このバラストタンク3は、例えば、船舶2の外板の内側に内部隔壁を設けて二重船殻構造とし、さらに船舶2の左右方向(図1において紙面に垂直な方向)に沿った区画壁により複数の区画に画設されており、船舶2の左右方向に沿った断面において、船体の左側面、底面、及び右側面に沿ったU字状を呈している。
カーゴタンク4は、石油系液体貨物を収容するためのタンクであり、バラストタンク3と隣接するように隔壁を設けてU字状のバラストタンク3の内側に設けられており、船舶2の左右方向に沿った区画壁により複数の区画に画設されている。
ポンプルーム5は、第一ポンプP1(後述)を配置するための室であり、バラストタンク3及びカーゴタンク4の後方に設けられている。エンジンルーム6は、船舶2のエンジンを配置するための室であり、ポンプルーム5の後方に設けられている。
アフトピークタンク7は、船舶2内の運転用燃料の量に応じて外部から取り込まれた水を漲水又は排水することによって、船舶2の運転用燃料の量によらず船舶2の後端下部に設けられた推進器21が水面から出ないように船舶2の姿勢を調整する機能を有するものであり、エンジンルーム6の後方の室、すなわち、カーゴタンク4と隣接しない位置に設けられている。このアフトピークタンク7は、運転用燃料が少ないときに水を漲水し、運転用燃料が多いときに水を排水する(詳しくは後述)。アフトピークタンク7は、バラストタンク3に比して、容量の小さいタンクとなっている。
なお、船舶2の甲板上には、水処理部8(後述)を配置するための水処理装置室10、及び、乗組員が居住する居住区22が設けられている。また、船舶2の後端下部には、船舶2の推進方向を制御するための舵23が設けられている。
次に、水処理システム1Aについて詳細に説明する。図2は、図1の水処理システムのバラストタンクにおける漲水時の水の流れを示す概略構成図であり、水処理システム1Aの概略構成を示している。図2に示すように、水処理システム1Aは、上述のバラストタンク3及びアフトピークタンク7の他に、シーチェストC1,C2、水処理部8、第一水シール部S1、第二水シール部S2、第一ポンプP1、第二ポンプP2、弁V1〜V8、及び制御部9を備えて構成されている。
シーチェストC1,C2は、海水や清水等の水を船外から取り込むための取込口として機能すると共に、水を船外へ排水する排水口として機能する。シーチェストC1は、配管L1,L2,L3により、バラストタンク3と接続されている。シーチェストC2は、配管L3,L4,L5により、バラストタンク3と接続されている。
水処理部8は、水の水処理(水生生物の除去)を行うものであり、上述のように水処理装置室10に配置されている。この水処理部8は、バラストタンク3へ漲水される水、バラストタンク3から排水される水、アフトピークタンク7へ漲水される水、及びアフトピークタンク7から排水される水の水処理を行う(詳しくは後述)。水処理部8としては、種々のものを用いることができ、例えば電極に電力を印加することにより電解処理するもの、紫外線ランプに電力を印加して紫外線照射することにより水処理するもの、電力の印加で電場を発生させて電気ショックを与えることにより水処理するもの、等が挙げられる。水処理部8は、不図示の配線により制御部9に接続されている。また、水処理部8は、水が流入する流入口81、及び水が流出する流出口82を有している。
流入口81は、配管L6,L1,L2,L3によりバラストタンク3と接続されている。また、流入口81は、配管L6,L1によりシーチェストC1と接続されている。さらに、流入口81は、配管L7,L6によりアフトピークタンク7に接続されている。
流出口82は、配管L4,L3によりバラストタンク3と接続されている。また、流出口82は、配管L4,L5によりシーチェストC2に接続されている。さらに、流出口82は、配管L4,L8によりアフトピークタンク7に接続されている。
第一水シール部S1は、水処理部8の流入口81とバラストタンク3との間の通気を遮断する機能を有するものであり、バラストタンク3と水処理部8の流入口81との間に配置されている。具体的には、第一水シール部S1は、配管L6の途中に設けられており、上下方向に蛇行してU字状を呈すU字管(不図示)により構成されている。また、第二水シール部S2は、水処理部8の流出口82とバラストタンク3との間の通気を遮断する機能を有するものであり、バラストタンク3と水処理部8の流出口82との間に配置されている。具体的には、第二水シール部S2は、配管L4において、配管L3の接続部分と水処理部8の流出口82との間に設けられており、第一水シール部S1と同様、U字管により構成されている。
そして、第一水シール部S1及び第二水シール部S2に挟まれた水処理部8を含む区間は、カーゴタンク4と隣接するバラストタンク3と雰囲気的に遮断されており、バラストタンク3内から気体が流入することが防止されているため、安全性が向上されている。アフトピークタンク7は、このように安全性が向上された区間、すなわち第一水シール部S1と第二水シール部S2とに挟まれた水処理部8を含む区間に接続されている。具体的には、アフトピークタンク7から水処理部8の流入口81へ向かって延びる配管L7は、配管L6のうち第一水シール部S1と水処理部8の流入口81との間の区間に接続されている。アフトピークタンク7から水処理部8の流出口82へ向かって延びる配管L8は、配管L4のうち第二水シール部S2と水処理部8の流出口82との間の区間に接続されている。一方、アフトピークタンク7は、カーゴタンク4と隣接するバラストタンク3と雰囲気的に遮断されていない区間(後述する防爆エリア)とは接続されていない。すなわち、アフトピークタンク7は、バラストタンク3と第一水シール部S1との間の区間、及び当該区間と連通する区間(例えば、配管L1のうち、配管L2との接続部分とシーチェストC1との間など)には接続されない。また、アフトピークタンク7は、バラストタンク3と第二水シール部S2との間の区間、及び当該区間と連通する区間(例えば、配管L5の区間、及び配管L4のうち、配管L3との接続部分と配管L5との接続部分との間など)には接続されない。具体的には、アフトピークタンク7は、配管L1〜L6のうち、水処理部8を挟む第一水シール部S1と第二水シール部S2との間を除く区間には、接続されていない。
第一ポンプP1及び第二ポンプP2は水を圧送するためのポンプであり、第一ポンプP1は上述のようにポンプルーム5に配置され、第二ポンプP2はエンジンルーム6に配置されている。第一ポンプP1は、主にバラストタンク用に設けられたポンプであり、配管L1において、配管L2の接続部分と配管L6の接続部分との間に配置されている。第二ポンプP2は、主にアフトピークタンク用に設けられたポンプであって、第一ポンプP1に比して小型であり、配管L7の途中に配置されている。また、第二ポンプP2は、配管L7により、第一水シール部S1及び第二水シール部S2に挟まれた水処理部8を含む区間、すなわち、安全性が向上されている区間に接続されており、これにより、第二ポンプP2の安全性が向上されている。これら第一ポンプP1及び第二ポンプP2は、それぞれ不図示の配線により制御部9に接続されている。
弁V1〜V8は、それぞれ配管の開閉を行う開閉手段として機能するものであり、例えば電動弁や空気駆動弁が用いられている。弁V1は、配管L1において、配管L2の接続部分とシーチェストC1との間に配置されている。弁V2は、配管L2の途中に配置されている。弁V3は、配管L3において、配管L2の接続部分と配管L4への接続部分との間に配置されている。弁V4は、配管L1において、配管L6の接続部分と第一ポンプP1との間に配置されている。弁V5は、配管L4において、配管L3の接続部分と配管L5の接続部分との間に配置されている。弁V6は、配管L7において、配管L6の接続部分と第二ポンプP2との間に配置されている。弁V7は、配管L8の途中に配置されている。弁V8は、配管L7において、第二ポンプP2とアフトピークタンク7との間に配置されている。これら弁V1〜V8は、不図示の配線によりそれぞれ制御部9に接続されている。
制御部9は、水処理システム1A全体の制御を行うためのものであり、具体的には、水処理部8の制御、第一ポンプP1の制御、第二ポンプP2の制御、及び弁V1〜V8の制御等を行う。この制御部9は、例えば居住区22等に設けられている(図1参照)。
以上のような構成によって、水処理システム1Aは、外部と水処理部8の流入口81とを、第一水シール部S1を介して接続する第一流入ラインWi1と、バラストタンク3と水処理部8の流入口81とを、第一水シール部S1を介して接続する第二流入ラインWi2と、アフトピークタンク7と水処理部8の流入口81とを(第一水シール部S1を介さずに)接続する第三流入ラインWi3と、を有することとなる。このような流入ラインWi1〜Wi3において、第一ポンプP1は、第一流入ラインWi1及び第二流入ラインWi2に設けられる。また、第二ポンプP2は、第三流入ラインWi3に設けられる。
また、水処理システム1Aは、水処理部8の流出口82とバラストタンク3とを、第二水シール部S2を介して接続する第一流出ラインWo1と、水処理部8の流出口82と外部とを、第二水シール部S2を介して接続する第二流出ラインWo2と、水処理部8の流出口82とアフトピークタンク7とを(第二水シール部S2を介さずに)接続する第三流出ラインWo3と、を有することとなる。また、制御部9及び各弁V1〜V8は、流入ラインWi1〜Wi3及び流出ラインWo1〜Wo3の各ラインを、動作にあわせて開閉する開閉手段として機能する。
そして、第一ポンプP1は、シーチェストC1から取り込んだ水を水処理部8を介してバラストタンク3へ圧送し漲水する機能、バラストタンク3から汲み上げた水を水処理部8を介してシーチェストC2から外部へ圧送し排水する機能、及び、シーチェストC1から取り込んだ水を水処理部8を介してアフトピークタンク7へ圧送し漲水する機能を有する。また、第二ポンプP2は、アフトピークタンク7から汲み上げた水を水処理部8を介してシーチェストC2から外部へ圧送し排水する機能を有する。
次に、水処理システム1Aの動作について説明する。まず、バラストタンク3の漲水時の動作について説明する。
図2に示すように、バラストタンク3の漲水時には、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第一流入ラインWi1を開き、第二流入ラインWi2及び第三流入ラインWi3を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V1、V4を開にし、弁V2,V6を閉にすることで、配管L1,L6により、外部に通じたシーチェストC1と水処理部8の流入口81とを、第一水シール部S1を介して接続する第一流入ライン(流入経路)Wi1を形成する。
また、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第一流出ラインWo1を開き、第二流出ラインWo2及び第三流出ラインWo3を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V3を開にし、上述のように弁V2を閉にすると共に、弁V7,V5を閉にすることで、配管L4,L3により、水処理部8の流出口82とバラストタンク3とを、第二水シール部S2を介して接続する第一流出ライン(流出経路)Wo1を形成する。
そして、制御部9は、第一ポンプP1を駆動し、シーチェストC1を通じて外部から水を取り込み、取り込んだ水を水処理部8を介してバラストタンク3に圧送し漲水する。なお、この際、弁V8は、ここでは閉とされている。
次に、バラストタンク3の排水時の動作について説明する。図3は、図1の水処理システムのバラストタンクにおける排水時の水の流れを示す概略構成図である。
図3に示すように、バラストタンク3の排水時には、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第二流入ラインWi2を開き、第一流入ラインWi1及び第三流入ラインWi3を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V2,V4を開にし、弁V3,V1,V6を閉にすることで、配管L3,L2,L1,L6により、バラストタンク3と水処理部8の流入口81とを、第一水シール部S1を介して接続する第二流入ラインWi2を形成する。
また、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第二流出ラインWo2を開き、第一流出ラインWo1及び第三流出ラインWo3を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V5を開にし、上述のように弁V3を閉にすると共に、弁V7を閉にすることで、配管L4,L5により、水処理部8の流出口82と外部に通じたシーチェストC2とを、第二水シール部S2を介して接続する第二流出ラインWo2を形成する。
そして、制御部9は、第一ポンプP1を駆動し、バラストタンク3から水を汲み上げ、汲み上げた水を水処理部8を介してシーチェストC2から外部に圧送し排水する。なお、この際、弁V8は、ここでは閉とされている。
次に、アフトピークタンク7の漲水時の動作について説明する。図4は、図1の水処理システムのアフトピークタンクにおける漲水時の水の流れを示す概略構成図である。
図4に示すように、アフトピークタンク7の漲水時には、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第一流入ラインWi1を開き、第二流入ラインWi2及び第三流入ラインWi3を閉じる。具体的には、制御部9は、上述のバラストタンク3の漲水時(図2参照)と同様に、弁V1、V4を開にし、弁V2,V6を閉にすることで、配管L1,L6により、外部に通じたシーチェストC1と水処理部8の流入口81とを、第一水シール部S1を介して接続する第一流入ラインWi1を形成する。
また、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第三流出ラインWo3を開き、第一流出ラインWo1及び第二流出ラインWo2を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V7を開にし、弁V3,V5を閉にすることで、配管L4,L8により、水処理部8の流出口82とアフトピークタンク7とを接続する第三流出ラインWo3を形成する。
そして、制御部9は、第一ポンプP1を駆動し、シーチェストC1を通じて外部から水を取り込み、取り込んだ水を水処理部8を介してアフトピークタンク7に圧送し漲水する。なお、この際、弁V8は、ここでは閉とされている。
次に、アフトピークタンク7の排水時の動作について説明する。図5は、図1の水処理システムのアフトピークタンクにおける排水時の水の流れを示す概略構成図である。
図5に示すように、アフトピークタンク7の排水時には、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第三流入ラインWi3を開き、第一流入ラインWi1及び第二流入ラインWi2を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V8,V6を開にし、弁V4を閉にすることで、配管L7,L6により、アフトピークタンク7と水処理部8の流入口81とを接続する第三流入ラインWi3を形成する。
また、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第二流出ラインWo2を開き、第一流出ラインWo1及び第三流出ラインWo3を閉じる。具体的には、制御部9は、上述のバラストタンク3の排水時(図3参照)と同様に、弁V5を開にし、弁V3,V7を閉にすることで、配管L4,L5により、水処理部8の流出口82と外部に通じたシーチェストC2とを、第二水シール部S2を介して接続する第二流出ラインWo2を形成する。
そして、制御部9は、第二ポンプP2を駆動し、アフトピークタンク7から水を汲み上げ、汲み上げた水を水処理部8を介してシーチェストC2から外部に圧送し排水する。なお、この際、弁V1,V2は、ここでは閉とされている。
次に、本実施形態に係る水処理システム1Aの作用・効果について説明する。
まず、石油系液体貨物を運搬する船舶2は、石油系液体貨物との位置関係により、防爆エリアと非防爆エリアに分けられる。防爆エリアとは、万が一の場合であっても確実に安全性を向上できるように、防爆構造や防爆配置等が必要とされるエリアである。一方、非防爆エリアとは、前述のような防爆構造や防爆配置等の制限が課されないエリアである。本実施形態では、バラストタンク3は、石油系液体貨物が収容されるカーゴタンク4と(隔壁を介して)隣接しているため、防爆エリアに該当する。また、配管L1〜L6のように当該バラストタンク3と連通しうる区画(バルブの開閉や水の流れによって連通しない時があるとしても、一時的にでも連通する部分も含まれる)も、防爆エリアに該当する。一方、アフトピークタンク7のように、石油系液体貨物が収容されるカーゴタンク4と(隔壁を介して)隣接しておらず、間に他の空間が介在しているエリアは、非防爆エリアに該当する。
ここで、船舶においては、バラストタンク3やアフトピークタンク7等に漲水される水、及び、これらのタンクから排水される水を、水処理することが求められている。このような要求に対して、船舶に水処理システムを適用する場合、防爆エリアに係るバラストタンク3の水処理の安全性を向上することも求められる。このような安全性に対する要求と同時に、当該安全性の向上を、簡単な構成にて実現することも求められている。
このような要求に対し、本発明者らは鋭意研究を重ねることにより、簡単な構成にて安全性を向上できる構造を見出すに至った。すなわち、本実施形態に係る水処理システム1Aでは、バラストタンク3と水処理部8との間には、第一水シール部S1及び第二水シール部S2が介されている。これにより、第一水シール部S1及び第二水シール部S2に挟まれた水処理部8を含む区間は、カーゴタンク4に隣接したバラストタンク3と雰囲気的に遮断される。従って、バラストタンク3から気体が流入することが防止され、水処理部8の安全性が向上される。
一方で、上述のように石油系液体貨物を運搬する船舶2は、防爆エリアと非防爆エリアとを有している。このような構造では、防爆エリアに対する水処理システムと非防爆エリアに対する水処理システムとは、完全に分離されており、互いに独立したシステムとすることが慣例である。すなわち、防爆エリアに該当するバラストタンク3に対しては、バラストタンク専用の水処理システムを構築し、非防爆エリアに該当するアフトピークタンク7に対しては、アフトピークタンク専用の水処理システムを構築するものと考えられていた。仮に、バラストタンク3とアフトピークタンク7とで水処理システムを共用しようとした場合、次のような問題が生じる。すなわち、アフトピークタンク7の水処理のために、防爆エリアに該当するバラストタンク3用の水処理システム(水処理装置や配管)をアフトピークタンク7に流用することにより、当該水処理システムを介して、元々非防爆エリアであったアフトピークタンク7までが防爆エリアに該当することとなってしまう。この場合、アフトピークタンク7やその周辺構造に対しても、防爆構造や防爆配置等が課されることとなってしまい、船舶全体として構造が必要以上に複雑になるという問題、コストが大幅に増加するという問題が生じる。
しかしながら、このような困難性を前提としつつ、本発明者らは、更なる鋭意研究を重ねた結果、次の見地を見出すに至った。すなわち、本発明者らは、第一水シール部S1及び第二水シール部S2によって水処理部8とバラストタンク3とを雰囲気的に遮断する構成を採用した結果、バラストタンク3の水処理を行うためのシステムであるにも関わらず、第一水シール部S1及び第二水シール部S2に挟まれた水処理部8を含む区間のみは、局所的に安全性を向上できるとして構成されていることを見出した。
以上のような見地に基づいて、本発明者らは、次のような構造を見出すに至った。すなわち、水処理システム1Aでは、カーゴタンク4に隣接していないアフトピークタンク7は、バラストタンク3から気体が流入することが防止されている第一水シール部S1と水処理部8の流入口81との間、及び、水処理部8の流出口82と第二水シール部S2との間に接続されており、バラストタンク3とアフトピークタンク7とで水処理部を共用するようになっている。このため、アフトピークタンク7の安全性が向上されると共に、バラストタンク3及びアフトピークタンク7の水処理を1つの水処理部8で行うことが可能となっている。
また、水処理システム1Aでは、バラストタンク3及びアフトピークタンク7の水処理は1つの水処理部8によって行われるため、水処理システム1A全体が簡易な構成となっている。従って、バラストタンク3用の水処理部及びアフトピークタンク7用の水処理部をそれぞれ別々に設ける場合に比して、簡易な構成により安全性を向上できると共に、省スペース化及び低コスト化を図ることが可能となっている。
また、水処理システム1Aでは、バラストタンク3における漲水、排水、及びアフトピークタンク7における漲水、排水の合計4つの動作のうち、バラストタンク3における漲水、排水、及びアフトピークタンク7における漲水の3つの動作を第一ポンプP1により行うため、水処理システム全体の制御が容易となる。
ここで、通常、バラストタンク及びアフトピークタンクを備えている船舶であれば、第一ポンプP1に相当するポンプがバラストタンク用に既設されており、第二ポンプP2に相当するポンプがアフトピークタンク用に既設されている場合がある。このような第一ポンプP1及び第二ポンプP2が既設されている既存の船舶に新たに水処理システムを導入する場合、水処理システム1Aであれば、水処理部8、第一水シール部S1、及び第二水シール部S2を設け、配管を調整するだけで容易にシステムを構成することができる。よって、コストの増加を抑制しつつ水処理システム1Aを設けることができる。
また、通常、船舶では、バラストタンク3における漲水、排水、及びアフトピークタンク7における漲水、排水のうち、複数の処理が連続して行われる場合がある。これに対し、水処理システム1Aでは、複数の処理を1つの制御部9から操作することが可能となっているため、バラストタンク3用の制御部及びアフトピークタンク7用の制御部をそれぞれ別々の場所に設ける場合に比して、連続する複数の処理を1つの制御部9により容易に操作することが可能であり、作業員の移動等の負担を軽減することが可能となっている。
[第二実施形態]
図6は、本発明の第二実施形態に係る水処理システムのアフトピークタンクにおける漲水時の水の流れを示す概略構成図である。図6に示すように、本実施形態に係る水処理システム1Bが、第一実施形態に係る水処理システム1A(図2参照)と異なる点は、アフトピークタンク7の漲水を第二ポンプP2で行う点である。具体的な構成として異なっている点は、シーチェストC3が追加されている点、弁V9〜V12が追加されている点である。
より具体的には、シーチェストC3は、配管L9により、配管L7において弁V8とアフトピークタンク7との間に接続されると共に、配管L10により、配管L8において弁V7とアフトピークタンク7との間に接続されている。弁V9は、配管L7において、配管L9の接続部分とアフトピークタンク7との間に配置されている。弁V10は、配管L9の途中に配置されている。弁V11は、配管L8において、配管L10の接続部分とアフトピークタンク7との間に配置されている。弁V12は、配管L10の途中に配置されている。弁V9〜V12は、弁V1〜V8と同様、制御部9に接続されており、制御部9により開閉が制御される。
以上のような構成によって、水処理システム1Bは、外部と水処理部8の流入口81とを、第一水シール部S1を介して接続する第一流入ラインWi1と、バラストタンク3と水処理部8の流入口81とを、第一水シール部S1を介して接続する第二流入ラインWi2と、アフトピークタンク7と水処理部8の流入口81とを(第一水シール部S1を介さずに)接続する第三流入ラインWi3と、外部と水処理部8の流入口81とを(第一水シール部S1を介さずに)接続する第四流入ラインWi4と、を有することとなる。このような流入ラインWi1〜Wi4において、第一ポンプP1は、第一流入ラインWi1及び第二流入ラインWi2に設けられる。また、第二ポンプP2は、第三流入ラインWi3及び第四流入ラインWi4に設けられる。
また、水処理システム1Bは、水処理部8の流出口82とバラストタンク3とを、第二水シール部S2を介して接続する第一流出ラインWo1と、水処理部8の流出口82と外部とを、第二水シール部S2を介して接続する第二流出ラインWo2と、水処理部8の流出口82とアフトピークタンク7とを(第二水シール部S2を介さずに)接続する第三流出ラインWo3と、水処理部8の流出口82と外部とを(第二水シール部S2を介さずに)接続する第四流出ラインWo4と、を有することとなる。また、制御部9及び各弁V1〜V12は、流入ラインWi1〜Wi4及び流出ラインWo1〜Wo4の各ラインを、動作にあわせて開閉する開閉手段として機能する。
そして、第一ポンプP1は、シーチェストC1から取り込んだ水を水処理部8を介してバラストタンク3へ圧送し漲水する機能、及び、バラストタンク3から汲み上げた水を水処理部8を介してシーチェストC2から外部へ圧送し排水する機能を有する。また、第二ポンプP2は、シーチェストC3から取り込んだ水を水処理部8を介してアフトピークタンク7へ圧送し漲水する機能、及び、アフトピークタンク7から汲み上げた水を水処理部8を介してシーチェストC3から外部へ圧送し排水する機能を有する。
次に、水処理システム1Bの動作について説明する。なお、水処理システム1Bは、バラストタンク3の漲水時、排水時には、第一実施形態に係る水処理システム1Aと略同様に動作する(図2,3参照)。従って、第二実施形態に係る水処理システム1Bにおけるバラストタンク3の漲水時、排水時の概略構成図は省略する。ただし、水処理システム1Bにおいても図2及び図3と同様に、各弁の制御によって、第一流入ラインWi1、第二流入ラインWi2、第一流出ラインWo1、及び第二流出ラインWo2が形成される。そこで、まず、アフトピークタンク7の漲水時の動作について説明する。
図6に示すように、アフトピークタンク7の漲水時には、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第四流入ラインWi4を開き、第一流入ラインWi1、第二流入ラインWi2、及び第三流入ラインWi3を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V10,V8,V6を開にし、弁V9、V4を閉にすることで、配管L9,L7,L6により、外部に通じたシーチェストC3と水処理部8の流入口81とを接続する第四流入ラインWi4を形成する。
また、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第三流出ラインWo3を開き、第一流出ラインWo1、第二流出ラインWo2、及び第四流出ラインWo4を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V7,V11を開にし、弁V3,V5,V12を閉にすることで、配管L4,L8により、水処理部8の流出口82とアフトピークタンク7とを接続する第三流出ラインWo3を形成する。
そして、制御部9は、第二ポンプP2を駆動し、シーチェストC3から水を取込み、取り込んだ水を水処理部8を介してアフトピークタンク7に圧送し漲水する。なお、この際、弁V1,V2は、ここでは閉とされている。
次に、アフトピークタンク7の排水時の動作について説明する。図7は、図6の水処理システムのアフトピークタンクにおける排水時の水の流れを示す概略構成図である。
図7に示すように、アフトピークタンク7の排水時には、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第三流入ラインWi3を開き、第一流入ラインWi1、第二流入ラインWi2、及び第四流入ラインWi4を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V9,V8,V6を開にし、弁V10,V4を閉にすることで、配管L7,L6により、アフトピークタンク7と水処理部8の流入口81とを接続する第三流入ラインWi3を形成する。
また、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第四流出ラインWo4を開き、第一流出ラインWo1、第二流出ラインWo2、及び第三流出ラインWo3を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V7,V12を開にし、弁V3,V5,V11を閉にすることで、配管L4,L8,L10により、水処理部8の流出口82と外部に通じたシーチェストC3とを接続する第四流出ラインWo4を形成する。
そして、制御部9は、第二ポンプP2を駆動し、アフトピークタンク7から水を汲み上げ、汲み上げた水を水処理部8を介してシーチェストC3から外部に圧送し排水する。なお、この際、弁V1,V2は、ここでは閉とされている。
このような本実施形態に係る水処理システム1Bが、第一実施形態に係る水処理システム1Aと略同様な効果を奏することは言うまでもない。加えて、水処理システム1Bでは、バラストタンク3の漲水、排水は、第一ポンプP1が行い、バラストタンク3よりも容量の小さいアフトピークタンク7の漲水、排水は、第一ポンプP1よりも小型の第二ポンプP2が行うため、タンクの大きさに合わせた運転や運転に費やすエネルギーの省力化が可能であると共に、アフトピークタンク7における水量の調整が第一実施形態に係る水処理システム1Aに比して容易となっている。
また、水処理システム1Bでは、アフトピークタンク7の漲水、排水は、安全性が向上された第二ポンプP2により行われるため、第一ポンプP1によりアフトピークタンク7の漲水を行う第一実施形態に係る水処理システム1Aに比して、安全性がさらに向上されている。
[第三実施形態]
図8は、本発明の第三実施形態に係る水処理システムのアフトピークタンクにおける漲水時の水の流れを示す概略構成図である。図8に示すように、本実施形態に係る水処理システム1Cが、第一実施形態に係る水処理システム1A(図2参照)と異なる点は、アフトピークタンク7の漲水を第三ポンプP3で行う点である。具体的な構成として異なっている点は、第三ポンプP3が追加されている点、シーチェストC4が追加されている点、弁V13〜V16が追加されている点である。
より具体的には、第三ポンプP3は、ポンプルーム5に配置されており、配管L11により、シーチェストC1に接続されると共に、配管L7において弁V6と第二ポンプP2との間に接続されている。また、第三ポンプP3は、配管L11,L7により、第一水シール部S1及び第二水シール部S2に挟まれた水処理部8を含む区間、すなわち、安全性が向上されている区間に接続されており、これにより、第三ポンプP3の安全性が向上されている。第三ポンプP3は、主にアフトピークタンク7の漲水用に設けられており(後述)、第一ポンプP1に比して小型となっている。第三ポンプP3は、第一ポンプP1及び第二ポンプP2と同様、制御部9に接続されており、制御部9により制御される。
シーチェストC4は、配管L12により、配管L8において弁V7とアフトピークタンク7との間に接続されている。弁V13は、配管L11において、配管L7への接続部分と第三ポンプP3との間に配置されている。弁V14は、配管L7において、配管L11の接続部分と第二ポンプP2との間に配置されている。弁V15は、配管L12の途中に配置されている。弁V16は、配管L8において、配管L12の接続部分とアフトピークタンク7との間に配置されている。弁V13〜V16は、弁V1〜V8と同様、制御部9に接続されており、制御部9により開閉が制御される。
以上のような構成によって、水処理システム1Cは、外部と水処理部8の流入口81とを、第一水シール部S1を介して接続する第一流入ラインWi1と、バラストタンク3と水処理部8の流入口81とを、第一水シール部S1を介して接続する第二流入ラインWi2と、アフトピークタンク7と水処理部8の流入口81とを(第一水シール部S1を介さずに)接続する第三流入ラインWi3と、外部と水処理部8の流入口81とを(第一水シール部S1を介さずに)接続する第四流入ラインWi4と、を有することとなる。このような流入ラインWi1〜Wi4において、第一ポンプP1は、第一流入ラインWi1及び第二流入ラインWi2に設けられる。また、第二ポンプP2は、第三流入ラインWi3に設けられる。また、第三ポンプP3は、第四流入ラインWi4に設けられる。
また、水処理システム1Cは、水処理部8の流出口82とバラストタンク3とを、第二水シール部S2を介して接続する第一流出ラインWo1と、水処理部8の流出口82と外部とを、第二水シール部S2を介して接続する第二流出ラインWo2と、水処理部8の流出口82とアフトピークタンク7とを(第二水シール部S2を介さずに)接続する第三流出ラインWo3と、水処理部8の流出口82と外部とを(第二水シール部S2を介さずに)接続する第四流出ラインWo4と、を有することとなる。また、制御部9及び各弁V1〜V8,V13〜V16は、流入ラインWi1〜Wi4及び流出ラインWo1〜Wo4の各ラインを、動作にあわせて開閉する開閉手段として機能する。
そして、第一ポンプP1は、シーチェストC1から取り込んだ水を水処理部8を介してバラストタンク3へ圧送し漲水する機能、及び、バラストタンク3から汲み上げた水を水処理部8を介してシーチェストC2から外部へ圧送し排水する機能を有する。また、第二ポンプP2は、アフトピークタンク7から汲み上げた水を水処理部8を介してシーチェストC4から外部へ圧送し排水する機能を有する。また、第三ポンプP3は、シーチェストC1から取り込んだ水を水処理部8を介してアフトピークタンク7へ圧送し漲水する機能を有する。
次に、水処理システム1Cの動作について説明する。なお、水処理システム1Cは、バラストタンク3の漲水時、排水時には、第一実施形態に係る水処理システム1Aと略同様に動作する(図2,3参照)。従って、第三実施形態に係る水処理システム1Cにおけるバラストタンク3の漲水時、排水時の概略構成図は省略する。ただし、水処理システム1Cにおいても図2及び図3と同様に、各弁の制御によって、第一流入ラインWi1、第二流入ラインWi2、第一流出ラインWo1、及び第二流出ラインWo2が形成される。そこで、まず、アフトピークタンク7の漲水時の動作について説明する。
図8に示すように、アフトピークタンク7の漲水時には、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第四流入ラインWi4を開き、第一流入ラインWi1、第二流入ラインWi2、及び第三流入ラインWi3を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V13,V6を開にし、弁V14、V4を閉にすることで、配管L11,L7,L6により、外部に通じたシーチェストC1と水処理部8の流入口81とを接続する第四流入ラインWi4を形成する。
また、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第二流出ラインWo2を開き、第一流出ラインWo1、第三流出ラインWo3、及び第四流出ラインWo4を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V7,V16を開にし、弁V3,V5,V15を閉にすることで、配管L4,L8により、水処理部8の流出口82とアフトピークタンク7とを第二流出ラインWo2を形成する。
そして、制御部9は、第三ポンプP3を駆動し、シーチェストC1から水を取込み、取り込んだ水を水処理部8を介してアフトピークタンク7に圧送し漲水する。なお、この際、弁V1,V2は、ここでは閉とされている。
次に、アフトピークタンク7の排水時の動作について説明する。図9は、図8の水処理システムのアフトピークタンクにおける排水時の水の流れを示す概略構成図である。
図9に示すように、アフトピークタンク7の排水時には、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第三流入ラインWi3を開き、第一流入ラインWi1、第二流入ラインWi2、及び第四流入ラインWi4を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V8,V14,V6を開にし、弁V13,V4を閉にすることで、配管L7,L6により、アフトピークタンク7と水処理部8の流入口81とを接続する第三流入ラインWi3を形成する。
また、制御部9は、各弁を開閉制御することで、第四流出ラインWo4を開き、第一流出ラインWo1、第二流出ラインWo2、及び第三流出ラインWo3を閉じる。具体的には、制御部9は、弁V7,V15を開にし、弁V3,V5,V16を閉にすることで、配管L4,L8,L12により、水処理部8の流出口82と外部に通じたシーチェストC4とを接続する第四流出ラインWo4を形成する。
そして、制御部9は、第二ポンプP2を駆動し、アフトピークタンク7から水を汲み上げ、汲み上げた水を水処理部8を介してシーチェストC4から外部に圧送し排水する。なお、この際、弁V1,V2は、ここでは閉とされている。
このような本実施形態に係る水処理システム1Cが、第一実施形態に係る水処理システム1Aと略同様な効果を奏することは言うまでもない。加えて、水処理システム1Cでは、バラストタンク3の漲水、排水は、第一ポンプP1が行い、バラストタンク3よりも容量の小さいアフトピークタンク7の排水は、第一ポンプP1よりも小型の第二ポンプP2が行い、さらに、アフトピークタンク7の漲水は、第一ポンプP1よりも小型の第三ポンプP3が行うため、タンクの大きさに合わせた運転や運転に費やすエネルギーの省力化が可能であると共に、アフトピークタンク7における漲水、排水に合わせた運転が可能となっている。
また、水処理システム1Cでは、アフトピークタンク7の漲水は安全性が向上された第三ポンプP3により行われ、アフトピークタンク7の排水は安全性が向上された第二ポンプP2により行われるため、第一ポンプP1によりアフトピークタンク7の漲水を行う第一実施形態に係る水処理システム1Aに比して、安全性がさらに向上されている。
ここで、通常、アフトピークタンクを備えている船舶であれば、第二ポンプP2に相当するポンプがアフトピークタンク用に既設されている場合がある。そして、この第二ポンプP2には、例えば消火器等への配管が既設されている場合がある。このような船舶に対し、水処理システム1Cでは、弁V13,14を開にし、弁V6を閉にすることで、安全性が向上された第三ポンプP3を第二ポンプP2と接続することが可能となっている。このため、例えば第二ポンプP2により消火器等に水を圧送する際に、第三ポンプP3を補助用のポンプとして併用することが可能となっている。
また、第二ポンプP2に消火器等への配管が既設されている場合、第二ポンプP2周りの配管関係は複雑になっているおそれがあり、配管の接続関係の制御が複雑になっている場合がある。これに対し、水処理システム1Cでは、アフトピークタンク7の漲水用に第三ポンプP3を設けているため、アフトピークタンク7の漲水時の制御を容易に行うことができる。
以上、本発明の水処理システムに係る実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、配管の接続及び弁の配置は適宜変更が可能であり、要は、各流入ライン(流入経路)及び各流出ライン(流出経路)が形成できればよい。また、上記実施形態では、各ラインは配管を一部共用しているが、共用する箇所を変更してもよく、さらに、各ライン専用に別々な配管を設けてもよく、要は、各ラインが形成できればよい。
また、上記実施形態では、各ラインはシーチェストを一部共有しているが、各ライン専用のシーチェストを設けてもよい。また、各ポンプの配置は適宜変更が可能であり、要は、バラストタンク3の漲水、排水、及び、アフトピークタンク7の漲水、排水が行えればよい。
また、上記実施形態では、制御部9は居住区22に設けられているが、例えばポンプルーム5やエンジンルーム6等に設けられていても良い。さらに、上記実施形態では、一つの制御部9が設けられているが、水処理部8、第一ポンプP1、第二ポンプP2、第三ポンプP3、及び弁V1〜V16毎に各制御部を設け、それぞれ別の場所に配置してもよい。
また、上記実施形態では、水処理部8は甲板上の水処理装置室10に設けられているが、例えばエンジンルーム6等に設けられてもよい。
また、上記実施形態では、第二のタンクとしてアフトピークタンク7が用いられているが、例えば、カーゴタンク(収容タンク)4に隣接しないバラストタンクが設置されている場合においても、当該カーゴタンク4に隣接しないバラストタンクが第二のタンクとして用いられてもよい。