JP5710190B2 - βアクチン遺伝子のためのプライマーセット、プローブ、アッセイキットおよび検出方法 - Google Patents

βアクチン遺伝子のためのプライマーセット、プローブ、アッセイキットおよび検出方法 Download PDF

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Description

本発明の側面は、βアクチン遺伝子のためのプライマーセット、プローブ、アッセイキットおよび検出方法に関する。
βアクチンは、真核細胞の形の維持や形の変化に関与し、細胞内の物質移動を担う細胞骨格の1種であるマイクロフィラメントを構成する主成分の1つである。βアクチンは、細胞に限らず、非筋肉細胞を含む広範な組織にしている。βアクチンは、筋細胞に含まれるαアクチンおよびγアクチンとは型が異なり、その一次構造が異なる。α、βおよびγアクチンは、それぞれ異なる遺伝子配列から発現される。
βアクチンは、ハウスキーピング遺伝子であり、組織や細胞種によって発現量に差がなく、細胞に一定量発現している。このことから、蛋白質解析や、遺伝子発現解析の内部標準としてしばしば用いられる。また、遺伝子検査の際の検体採取、核酸抽出および精製などの工程の正常性を確認するために、ポジティブコントロールとしても幅広く活用されている。例えば、ある遺伝子の発現パターンを調べる場合、電気泳動の各レーンにそれぞれ同じ量の細胞からの抽出物をアプライしていることを示すために使用される。その場合、βアクチン用プローブを用いてノーザン解析などが行われる。また、近年では、βアクチンは、非筋肉細胞の形状を組織化し維持する構造タンパク質としての役割だけではなく、シグナル伝達分子でもあることが示唆されている。
以上のように、βアクチンに特徴的な遺伝子配列(即ち、DNAおよびRNA)の存在を検出するための手段が様々な分野で求められている。現存の迅速検出法は、RNAから逆転写酵素によりDNAを作成、或いは検体からゲノムDNAを抽出し、当該DNA配列中の特徴的な配列をポリメラーゼチェインリアクション(即ち、PCR)で増幅し、電気泳動法により検出するものである。
1側面において、βアクチン遺伝子を特異的に増幅するためのプライマーセット、βアクチン遺伝子を特異的に検出するための核酸プローブ、並びにそれらを含むアッセイキット、およびそれらを用いた検出方法を提供することを課題とする。
1つの態様は、βアクチン遺伝子配列を特異的に増幅するためのLAMP増幅用核酸プライマーセットであって、前記プライマーセットはFIPプライマー、F3プライマー、BIPプライマーおよびB3プライマーを具備し、
当該FIPプライマーが、配列番号3、配列番号17および配列番号19並びにそれらの相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含み、
当該F3プライマーが、配列番号1および配列番号21並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含み、
当該BIPプライマーが、配列番号4および配列番号20並びにそれらの相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含み、
当該B3プライマーが配列番号2、配列番号18および配列番号22並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む
プライマーセットである。
更なる態様は、上記のプライマーセットと、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36および配列番号37並びにそれらの相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドを含む核酸プローブからなる核酸プローブ群から選択される少なくとも1とを含むβアクチン遺伝子を検出するためのアッセイキットである。
更なる態様は、βアクチン遺伝子配列を特異的に増幅する方法であって、試料に含まれる核酸を上述のプライマーセットを用いてLAMP増幅することを特徴とする方法である。
LAMP法による増幅方法を説明するための模式図。 LAMP法を用いて得られる増幅産物を説明するための模式図。 増幅産物におけるターゲット配列の位置の例を示す模式図。 DNAチップの例を示す模式図。 DNAチップの例を示す模式図。
1.プライマー
1態様に従うと、βアクチン遺伝子配列を特異的に増幅するための増幅用核酸プライマーセットが提供される。
ここにおける「増幅」は、LAMP法またはRT−LAMP法であればよい。
「RT-LAMP法」は、等温遺伝子増幅法であるLAMP法の1種である。RT-LAMP法は、逆転写反応とLAMP反応を同時に行うことによりRNAを鋳型として、LAMP増幅を可能にする。ここでは、単に「LAMP法」と記載した場合には、特に記載のない限り「LAMP法」と「RT−LAMP法」の両方について言及すると解されてよい。
LAMP法は2種若しくは4領域または4種若しくは6領域のプライマーを用いる。LAMP法は、PCRを用いた方法に比べ増幅効率が優れていると共に、サンプル中の不純物の影響も受けにくい。そのため、簡便なサンプルの前処理により、微量なβアクチンをも検出することが可能となる。
ここで、LAMP法におけるプライマー設計および得られる増幅産物について、図1および図2を参照して説明する。図1は、検出しようとする二本鎖DNAを示す。
まず、合計4種類のプライマー配列(即ち、FIPプライマー、F3プライマー、BIPプライマー、B3プライマー)を設定する。FIPプライマーおよびBIPプライマーは、各々2つの領域(即ち、FIPはF1cとF2、BIPはB2とB1c)を含む。F3プライマーはF3領域を含む。B3プライマーはB3領域を含む。ここでF3、F2、F1、B1c、B2cおよびB3c領域は、前記2本鎖DNAのうちの1本鎖DNAの5’→3’方向にかけてこの順で設定された領域である。またB3、B2、B1、F1c、F2cおよびF3c領域は、その相補鎖の1本鎖DNAの5’→3’方向にかけてこの順で設定された領域である。このときB3とB3c,B2とB2c、B1とB1c、F1cとF1,F2cとF2,F3cとF3は相補鎖である。
これらの領域から構成される4種類のプライマー、即ち、FIPプライマー、F3プライマー、BIPプライマー、B3プライマーを用いてLAMP増幅を行なうと、図1の二本鎖DNAの夫々の鎖から、図2に示すようなダンベル型のステム・アンド・ループ構造の増幅産物が得られる。その増幅機構については説明を省略するが、必要であれば、例えば特開2002−186781号公報を参照されたい。また、この4種のプライマーのほかにループプライマーを併せて用いてもよい。なお、RT−LAMP法において使用されるプライマーもLAMP法において使用されるプライマーも、同じプライマーが使用できる。
本態様では、一本鎖のループ部分にターゲット配列が位置するようにプライマーを設計する。このターゲット配列は、核酸プローブとのハイブリダイゼーションを利用して増幅産物を検出するために利用することが可能である。即ち、図3に示すように、本態様においては、核酸プローブにハイブリダイゼーションさせるべきターゲット配列(図3ではFPc、FP、BP、BPcの何れか)が、領域F1とF2との間(この領域はF2領域を含んでもよい)、領域F2cとF1cとの間(この領域はF2c領域を含んでもよい)、領域B1とB2との間(この領域はB2領域を含んでもよい)、および/または領域B2cとB1cとの間(この領域はB2c領域を含んでもよい)の何れかに対応する位置するように、6つのプライマー領域を設定する。ターゲット配列は、上記それぞれの領域間に形成される一本鎖のループ部分のいずれの部位に位置するように設計されてよい。ここで、プライマー領域F1とF2との間のループ部分には、F2領域自体も含まれてよい。
このように設定された6つのプライマー領域に基づいて4種類のプライマーを作製し、これらプライマーを用いてLAMP増幅を行なう。それにより、図3に示すようなLAMP増幅産物の一部が得られる。このLAMP増幅産物中においては、ターゲット配列FPc、FP、BP、BPcが増幅産物のダンベル構造における一本鎖ループの中に位置する。
一方、プライマー領域F1cとF1、およびB1cとB1は、もともと相補的な配列を有しているので、相互に自己ハイブリダイゼーションを生じて二本鎖を形成する。このように増幅産物中に含まれるターゲット配列は、図3に示すような一本鎖の状態の部分が存在する。従って、変性操作を行なうことなく、各ターゲット配列に対して相補的な核酸プローブ(例えば、FP、FPc、BPおよびBPcなど)との特異的ハイブリダイゼーションにより検出が可能となる。
特異的ハイブリダイゼーションとは、一塩基多型(Single Nucleotide PolymorpHisms:SNPs)または変異が存在する場合、その僅かの違いも検出することが可能であることを意味する。
上述したとおり、本発明に従う好ましいプライマーセットの例において、当該LAMP増幅用核酸プライマーセットは、F1、F2、F3、B1c、B2cおよびB3c領域を元に設計される。
好ましいプライマーセットにおいて、当該F1領域は、配列番号38またはその相補配列により示されるポリヌクレオチドからなっても、当該ポリヌクレオチドを含んでなってもよい。また、当該F1領域は、配列番号38またはその相補配列で示されるポリヌクレオチドの何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが置換、欠失および/または挿入を有していてもよい。そのようなポリヌクレオチドの例は、配列番号42、配列番号43およびその相補配列でそれぞれ示されるポリヌクレオチドである。また、配列番号38、配列番号42、配列番号43またはその相補配列の何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが、混合ヌクレオチドとして調製されてもよい。または配列番号38、配列番号42、配列番号43およびその相補配列の何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが、ユニバーサルなヌクレオチドであってもよい。
好ましいプライマーセットにおいて、当該F2領域は、配列番号39およびそれらの相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドからなっても、当該ポリヌクレオチドを含んでなってもよい。このようなF2領域に好ましい各配列は、その何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが置換、欠失および/または挿入を有していてもよい。そのようなポリヌクレオチドの例は、配列番号44およびその相補配列でそれぞれ示されるポリヌクレオチドである。また、配列番号39および配列番号44並びにそれらの相補配列の何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが混合ヌクレオチドまたはユニバーサルなヌクレオチドであってもよい。
好ましいプライマーセットにおいて、当該F3領域は、配列番号1およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなっても、当該ポリヌクレオチドを含んでなってもよい。このようなF3領域に好ましい各配列は、その何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが置換、欠失および/または挿入を有していてもよい。そのようなポリヌクレオチドの例は、配列番号21およびその相補配列でそれぞれ示されるポリヌクレオチドである。また、配列番号1および配列番号21またはその相補配列の何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが混合ヌクレオチドまたはユニバーサルなヌクレオチドであってもよい。
好ましいプライマーセットにおいて、当該B1領域は、配列番号40およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなっても、当該ポリヌクレオチドを含んでなってもよい。このようなB1領域に好ましい各配列はその何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが置換、欠失および/または挿入を有していてもよい。また、配列番号40およびその相補配列の何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが混合ヌクレオチドまたはユニバーサルなヌクレオチドであってもよい。
好ましいプライマーセットにおいて、当該B2領域は、配列番号41、配列番号45およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなっても、当該ポリヌクレオチドを含んでなってもよい。このようなB2c領域に好ましい各配列はその何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが置換、欠失および/または挿入を有していてもよい。また、配列番号40、41およびその相補配列の何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが混合ヌクレオチドまたはユニバーサルなヌクレオチドであってもよい。
好ましいプライマーセットにおいて、当該B3領域は配列番号2およびその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなっても、当該ポリヌクレオチドを含んでなってもよい。このようなB3領域に好ましい各配列はその何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが置換、欠失および/または挿入を有していてもよい。そのようなポリヌクレオチドの例は、配列番号18、配列番号22およびその相補配列で示されるポリヌクレオチドである。また、配列番号2、配列番号18および配列番号22並びにその相補配列の何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが混合ヌクレオチドまたはユニバーサルなヌクレオチドであってもよい。
ここで、ユニバーサルなヌクレオチドの例は、これらに限定するものではないが、デオキシイノシン(deoxyinosine;dI)や、Gren Research社の3−ニトロピロール(Nitropyrrole)、5−ニトロインドール(Nitroindole)、デオキシリボルラノシル(deoxyribofuranosyl;dP)、デオキシ−5’−ジメトキシトリチル−D−リボフラノシル(deoxy-5'-dimethoxytrityl-D-ribofuranosyl;dK)が含まれる。
またここで、プライマーの各配列間またはその末端側には、1〜100ヌクレオチド、好ましくは2〜30ヌクレオチド程度の配列(例えば、スペーサーとして使用される配列)が含まれていてもよい。
当該プライマーの長さは30〜200ヌクレオチド程度であってよく、好ましくは35〜100ヌクレオチド、更に好ましくは43〜60ヌクレオチドであってよい。
上記のような領域を使用したプライマーを用いて、βアクチン遺伝子、或いはその遺伝子転写産物を含有する検体試料に対してLAMP法による増幅を行うと、図2で説明したように、ステム・アンド・ループ構造が形成され、一本鎖のループ構造内に含まれるβアクチン遺伝子由来のターゲット配列が得られる。
本発明は、上記のようなプライマーセットをβアクチン遺伝子および/または遺伝子転写産物を含む試料に対して適用すれば、βアクチン遺伝子に対応する核酸が増幅される。得られる増幅産物の存在を検知することにより、βアクチン遺伝子および/または遺伝子転写産物の存在を検知することが可能である。従って、試料におけるβアクチン遺伝子および/または遺伝子転写産物の検知は、検出対象である試料について、当該プライマーセットを用いて増幅反応を行えばよい。
増幅反応の条件は、それ自身公知の何れかの条件を利用すればよい。また、当該増幅反応を行った結果を基に当該試料はβアクチン遺伝子および/または遺伝子転写産物が含まれていると判定すればよい。そのような判定により試料中のβアクチン遺伝子および/または遺伝子転写産物を検知することが可能である。
例えば、上記増幅反応は、1容器などの1反応場当たり、例えば、1チューブ当たり1プライマーセットで行ってもよく、或いは1チューブに各種遺伝子型に対応した複数のプライマーセットを用いて行ってもよい。複数の生物種由来のβアクチン遺伝子および/または転写産物を特定する必要がある場合は、後者の方法で行う方が効率的である。
また、上記増幅反応は、これに限定するものではないが、例えば、以下に示すような組成のバッファー中で行ってよい。
RT−LAMP法の反応液組成
20mM Tris−HCL(pH8.8)
10mM KCL
8mM MgSO
10mM (NHSO
0.1% Tween20
0.8M Betaine
1.4mM dNTPs
16U Bst DNA polymerase
0.625U AMV Reverse transcriptase。
このような組成の反応液で、総量25μLで反応を行う際には、下記の濃度でそれぞれのプライマーを持ち込んでもよい;
プライマー添加量
FIPプライマー 40pmoL
BIPプライマー 40pmoL
F3プライマー 5pmoL
B3プライマー 5pmoL。
ここで「試料」とは、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、フェレット、オナガザル、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、アザラシ、ネズミイルカなどの哺乳類、鳥類などの体液、組織、細胞、便など、細胞を含む何れかの物質であってもよい。また、当該試料は、そのような物質をそれ自身公知の手段により、核酸の増幅に適した状態に前処理したものであってもよく、何れの前処理もなされなくてもよい。例えば、そのような前処理の例は、変性、濾過、核酸抽出、不純物除去などを含む。
1態様に従うプライマーセットは、FIPプライマーとF3プライマーとBIPプライマーとB3プライマーを具備する。そのようなプライマーセットの例は次の通りである。当該FIPプライマーが、配列番号3、配列番号17および配列番号19並びにそれらの相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む。当該F3プライマーが、配列番号1および配列番号21並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む。当該BIPプライマーは、配列番号4および配列番号20並びにそれらの相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む。当該B3プライマーが配列番号2、配列番号18および配列番号22並びにその相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる群より少なくとも1選択されるポリヌクレオチドを含む。また、これらのプライマーのいずれか、または全ての配列について、その何れかの位置の1〜5個、好ましくは1〜数個のヌクレオチドが置換、欠失および/または挿入を有していてもよい。
好ましいプライマーセットの例は、FIPプライマー、F3プライマー、BIPプライマーおよびB3プライマーを具備し、
FIPプライマーが、配列番号3を含むポリヌクレオチドおよび/または配列番号17を含むポリヌクレオチドおよび/または配列番号19を含むポリヌクレオチドであり、
F3プライマーが、配列番号1を含むポリヌクレオチドおよび/または配列番号21を含むポリヌクレオチドであり、
BIPプライマーが、配列番号4を含むポリヌクレオチドおよび/または配列番号20を含むポリヌクレオチドであり、
B3プライマーが、配列番号2を含むポリヌクレオチドおよび/または配列番号18を含むポリヌクレオチドおよび/または配列番号22を含むポリヌクレオチドであるプライマーセットであり、
このプライマーセットは、更に、ループプライマーとして、配列番号13を含むポリヌクレオチドおよび/または配列番号14を含むポリヌクレオチドおよび/または配列番号15を含むポリヌクレオチドおよび/または配列番号16を含むポリヌクレオチドを含んでもよい。
プライマーセットにおいて使用されるFIPプライマー、BIPプライマー、F3プライマーおよびB3プライマーの組み合わせの例は、以下の(a)〜(j)よりなる群から少なくとも1選択された組み合わせであってよい。これらの組み合わせは、(a)〜(j)に示される他のプライマーやそれ自身公知の何れのプライマーと同時に使用されてもよい。
(a)FIPプライマーが配列番号3を含むポリヌクレオチド、BIPプライマーが配列番号4を含むポリヌクレオチド、F3プライマーが配列番号1を含むポリヌクレオチド、B3プライマーが配列番号2を含むポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(b)FIPプライマーが配列番号17を含むポリヌクレオチド、BIPプライマーが配列番号4を含むポリヌクレオチド、F3プライマーが配列番号1を含むポリヌクレオチド、B3プライマーが配列番号18を含むポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(c)FIPプライマーが配列番号19を含むポリヌクレオチド、BIPプライマーが配列番号20を含むポリヌクレオチド、F3プライマーが配列番号21を含むポリヌクレオチド、B3プライマーが配列番号22を含むポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(d)FIPプライマーが配列番号17を含むポリヌクレオチドおよび配列番号19を含むポリヌクレオチド、BIPプライマーが配列番号4を含むポリヌクレオチドおよび配列番号20を含むポリヌクレオチド、F3プライマーが配列番号1を含むポリヌクレオチドおよび配列番号21を含むポリヌクレオチド、B3プライマーが配列番号18を含むポリヌクレオチドおよび配列番号22を含むポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(e)FIPプライマーが配列番号3を含むポリヌクレオチド、BIPプライマーが配列番号4を含むポリヌクレオチド、F3プライマーが配列番号1を含むポリヌクレオチド、B3プライマーが配列番号2を含むポリヌクレオチド、ループプライマーが配列番号14を含むポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(f)FIPプライマーが配列番号17を含むポリヌクレオチド、BIPプライマーが配列番号4を含むポリヌクレオチド、F3プライマーが配列番号1を含むポリヌクレオチド、B3プライマーが配列番号18を含むポリヌクレオチド、ループプライマーが配列番号14を含むポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(g)FIPプライマーが配列番号3を含むポリヌクレオチド、BIPプライマーが配列番号4を含むポリヌクレオチド、F3プライマーが配列番号1を含むポリヌクレオチド、B3プライマーが配列番号2を含むポリヌクレオチド、ループプライマーが配列番号15を含むポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(h)FIPプライマーが配列番号17を含むポリヌクレオチド、BIPプライマーが配列番号4を含むポリヌクレオチド、F3プライマーが配列番号1を含むポリヌクレオチド、B3プライマーが配列番号18を含むポリヌクレオチド、ループプライマーが配列番号15を含むポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(i)FIPプライマーが配列番号19を含むポリヌクレオチド、BIPプライマーが配列番号20を含むポリヌクレオチド、F3プライマーが配列番号21を含むポリヌクレオチド、B3プライマーが配列番号22を含むポリヌクレオチド、ループプライマーが配列番号14を含むポリヌクレオチドであるプライマーセット;
(j)FIPプライマーが配列番号17を含むポリヌクレオチドおよび配列番号19を含むポリヌクレオチド、BIPプライマーが配列番号4を含むポリヌクレオチドおよび配列番号20を含むポリヌクレオチド、F3プライマーが配列番号1を含むポリヌクレオチドおよび配列番号21を含むポリヌクレオチド、B3プライマーが配列番号18を含むポリヌクレオチドおよび配列番号22を含むポリヌクレオチド、ループプライマーが配列番号14を含むポリヌクレオチドであるプライマーセット
である。
上述のようなプライマーを用いてLAPM増幅して得られた増幅産物の検出法は、これらに特に限定されるものではないが、例えば、濁度、可視光、蛍光、化学発光、電気化学発光、化学蛍光、蛍光エネルギー転移法、ESRなどの光学的な手法や、電流、電圧、周波数、伝導度、抵抗などの電気的な性質を利用することが可能である。核酸プローブとのハイブリダイゼーションを検出することにより増幅産物を検出する場合、上述したように核酸プローブが結合するためのターゲット配列を所望の位置に設計すればよい。例えば、濁度の検出や電気泳動を利用するその他の手段により増幅産物を検出する場合には、ターゲット配列は設計しなくてもよい。
以上のようなプライマーセットを用いて核酸の増幅を行うことにより、簡便、安価、高速に、特異的にβアクチン遺伝子および/または遺伝子転写産物を増幅することが可能である。これを利用して、試料に含まれる核酸を当該プライマーまたはプライマーセットを用いるLAMP増幅反応に供し、増幅反応の結果生じた増幅産物の有無を判定することにより、当該試料にβアクチン遺伝子および/または遺伝子転写産物を特異的に検出することが可能である。
従来では、迅速診断法として、特徴的な配列を含む領域をポリメラーゼチェインリアクション(即ち、PCR)で増幅し、電気泳動法により検知する方法などが用いられている。更に配列検出の際に特異性を増すためには、PCR法で増幅した目的遺伝子産物をDNAチップにより検知している。PCR法では、万が一誤って相補鎖合成が行われてしまった場合にはその生成物が鋳型となり増幅し、誤った判定がなされる可能性がある。プライマーの末端の1塩基相違のみでは特異的な増幅を制御することは困難である。このような問題も本態様により解決することが可能である。
また、PCRを利用する方法は、サーマルサイクラーのような複雑な温度制御装置が必要なことや簡便性に課題があるなどの不利点がある。またPCR法では、万が一誤って相補鎖合成が行われてしまった場合にはその生成物が鋳型となり増幅してしまい、誤った判定をしてしまう可能性がある。実際に、プライマーの末端の1塩基相違のみでは特異的な増幅を制御することは困難である。このような点も本態様は解決することが可能である。
また、PCRにより生成される産物は2本鎖であるため、核酸プローブとハイブリダイゼーション反応させると、相補鎖が核酸プローブに対するコンペティターとなりハイブリ効率が低く検知感度が悪い。そのような方法において、また従来では、ターゲットを1本鎖にするために、相補鎖を分解する、または分離するといった方法も取られている。これらの場合、酵素の使用、磁気ビーズの使用などによる高価な価格となったり、操作が煩雑性になったりする。このような問題も本態様を用いることにより解決される。
2.核酸プローブ
本発明は更に、上述のプライマーにより増幅されたβアクチン遺伝子或いはその転写産物に由来する核酸を検出するための核酸プローブおよび核酸プローブセットを提供する。
本発明に従う核酸プローブの例は、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36および配列番号37並びにそれらの相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドを含む核酸プローブからなる核酸プローブ群から選択される少なくとも1であってよい。
例えば、当該核酸プローブは、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36および配列番号37並びにそれらの相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドからなる核酸プローブからなる群より選択される少なくとも1であってよい。
これらの核酸プローブは、当該核酸プローブ群の中の1つが選択されて使用されてもよい。或いは、2種以上の核酸プローブが組み合わされて選択されて使用されてもよく、それぞれの配列からなる全ての核酸プローブが一緒に使用されてもよい。また、これらの配列を構成する何れかの1以上の塩基がミックス塩基に設計されてもよい。ここで、「ミックス塩基」とは、ミックス塩基としたい所望の箇所の塩基を「アデニン」、「チミン」、「シトシン」および「グアニン」に設計した核酸プローブを2以上または全て混合して使用する核酸プローブセットをいう。また、複数種類の塩基に対して対合可能な修飾塩基で置換するように設計されてもよい。
当該核酸プローブは、約10〜約60塩基長、約12〜約40塩基長などであってよい。
また、当該核酸プローブは、上述のプライマーを用いた増幅により得られた増幅産物を検出するためのプローブであってよい。そのような核酸プローブは、例えば、上述のプライマーにより増幅されたステム・アンド・ループ構造を有するポリヌクレオチドの一本鎖のループ部分の領域に対して結合するように設定されればよい。
例えば、好ましい核酸プローブの例は、図3に示すようなステム・アンド・ループ構造のプライマー領域F1とF2との間(この領域はF2領域を含んでもよい)、プライマー領域F2cとF1cとの間(この領域はF2c領域を含んでもよい)、プライマー領域B1とB2との間(この領域はB2領域を含んでもよい)、および/またはプライマー領域B2cとB1cとの間(この領域はB2c領域を含んでもよい)の何れかの位置に対応するように選択されてよい。
何れの核酸プローブおよび核酸プローブセットも、上述した増幅産物を所望に応じて検出するために使用されてよい。当該核酸プローブは、固相基体表面に固定化されたものであってもよく、典型的にはDNAチップとして構成されたものが用いられてよく、また他のマイクロアレイを構成する核酸プローブとして用いられてもよい。当該増幅産物を検出するための核酸プローブは、対象となる細胞種に応じた遺伝的多型や変異などに応じて変化させてもよい。
上述した核酸プローブは、何れも各表に示した配列の任意の位置の塩基が1つまたは数個置換または欠失、または塩基を挿入された配列からなってもよい。
また、核酸プローブの構造も特に限定されるものではなく、DNA、RNA、PNA、LNA、メチルホスホネート骨格の核酸、その他の人工核酸鎖を用いることが可能である。また、これらのキメラ核酸でもよい。
当該増幅産物と当該核酸プローブとの反応は、上述の何れかの核酸プローブを用いてハイブリダイズが可能なそれ自身公知の何れかの条件で行ってよい。
LAMP産物に特徴的な複雑な高次構造が、ハイブリダイゼーション反応時において核酸プローブが結合した基体と物理的な障害を起こす要因となり、その結果ハイブリダイゼーション効率に悪影響を及ぼすことが見出されている(例えば、特開2005−95043を参照されたい)。そのような悪影響を受けないようにするために、本態様に従う核酸プローブは、従来のターゲット配列の位置とは異なり、一本鎖のループ部分にターゲット配列が位置するようにプライマーを設計している。
本態様によるプローブを上述のプライマーまたはプライマーセットと一緒に使用することにより、簡便、安価、高速にβアクチンを検出および/または分類することが可能である。
3.DNAチップ
上述した核酸プローブが基体に固定化された核酸プローブ固定化基体も本願の1つの態様である。ここにおいて使用する「DNAチップ」の語は、「核酸プローブ固定化基体」または「核酸プローブ固定化基板」と交換可能に使用されてよい。
以下に、DNAチップの例を説明する。図4のDNAチップは、非限定的な1例である微生物遺伝子型判定用核酸チップである。DNAチップ1は、基体2に固定化領域3を具備する。核酸プローブ4は該固定化領域3に固定化される。図4においては、1つの固定化領域3に1本の核酸プローブ4を固定した状態で模式的にDNAチップをを示した。しかしながら、これに限定されるものではなく、1つの固定化領域に対して複数の核酸プローブが固定化されてよい。
このようなDNAチップ1は、当該分野で周知の方法によって製造することができる。基体2に配置される固定化領域3の数およびその配置、並びに固定化される核酸プローブの種類、種類数および核酸プローブの数などは、当業者が必要に応じて適宜設計変更することが可能である。このようなDNAチップは、蛍光を用いた検出方法のために好適に用いられてよい。1つの固定化領域には、独立した1つの信号として得ることが必要な情報を得るために必要な1種類または1種類以上の核酸プローブまたは核酸プローブセットが固定化される。
図5のDNAチップは、非限定的な1例である核酸固定化チップの例である。図5のDNAチップ11は、基体12に電極13を具備する。核酸プローブ14は電極13に固定化される。電極13は、パット15に接続される。電極13からの電気的情報はパット15を介して取得される。このようなDNAチップ11は、当該分野で周知の方法によって製造することができる。基体12に配置される電極13の数およびその配置、並びに固定化される核酸プローブの種類、種類数および核酸プローブの数などは、当業者が必要に応じて適宜設計変更することが可能である。更に、本例のDNAチップは、必要に応じて、参照電極および対極を具備してもよい。1つの固定化領域には、独立した1つの信号として得ることが必要な情報を得るために必要な1種類または1種類以上の核酸プローブまたは核酸プローブセットが固定化される。
本態様で用いる核酸プローブを固定化するための表面は、特に限定されるものではないが、樹脂ビーズ、磁気ビーズ、金属微粒子、マイクロタイタープート、ガラス基板、シリコン基板、樹脂製基板、電極基板などを用いることができる。
本発明で使用する基体の材料は、特に限定されるものではない。例えば、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素、等の無機絶縁材料を使用できる。また、ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、シリコーン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン等の有機材料を用いることができる。
例えば、電気的な性質を利用する場合、電極を基体に配置することが好ましい。電極は特に限定されるものではないが、例えば、金、金の合金、銀、プラチナ、水銀、ニッケル、パラジウム、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム、タングステン等の金属単体およびそれらの合金、或いはグラファイト、グラシーカーボン等の炭素等、またはこれらの酸化物、化合物であってよい。更に、酸化珪素等の半導体化合物や、CCD、FET、CMOSなど各種半導体デバイスを用いてもよい。
抽出方法は特に限定される物ではなく、フェノール−クロロホルム法等の液−液抽出法や担体を用いる固液抽出法を用いることができる。また、市販の核酸抽出方法QIAamp(QIAGEN社製)、(社製)等を利用することも可能である。次に、抽出した核酸成分を鋳型にLAMP増幅を行った後、遺伝子検出用電極とでハイブリダイゼーション反応を行う。反応溶液は、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液中で行う。この溶液中にはハイブリダイゼーション促進剤である硫酸デキストランや、サケ精子DNA、牛胸腺DNA、EDTA、界面活性剤などを添加することが可能である。ここに抽出および増幅した核酸成分を添加の上、核酸プローブとのハイブリダイゼーション反応に供与する。反応中は、撹拌、或いは振とうなどの操作で反応速度を高めることもできる。反応温度は10℃〜90℃の範囲で、また反応時間は1分以上1晩程度行う。ハイブリダイゼーション反応後の洗浄には、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いる。
抽出および増幅したサンプル核酸は、あらかじめFITCやCy3、Cy5、ローダミンなどの蛍光色素やビオチン、ハプテン、オキシダーゼやポスファターゼ等の酵素や、フェロセンやキノン類等の電気化学的に活性な物質で標識するか、或いは前述した物質で標識したセカンドプローブを用いることで検出を可能にしてもよい。
電気化学的に活性な核酸結合物質を用いた検出を行う場合は、以下のような手順で検出を行う。基体を洗浄後、電極表面に形成した二本鎖部分に選択的に結合する核酸結合物質を作用させ、電気化学的な測定を行ってよい。ここで用いられる核酸結合物質は特に限定される物ではないが、例えば、ヘキスト33258、アクリジンオレンジ、キナクリン、ドウノマイシン、メタロインターカレーター、ビスアクリジン等のビスインターカレーター、トリスインターカレーター、ポリインターカレーター等を用いることが可能である。更に、これらのインターカレーターを電気化学的に活性な金属錯体、例えば、フェロセン、ビオロゲン等で修飾しておくことも可能である。核酸結合物質の濃度は、その種類によって異なるが、一般的には1ng/ml〜1mg/mlの範囲で使用する。この際、イオン強度0.001〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いる。電極を核酸結合物質と反応させた後、電気化学的な測定を行う。電気化学的な測定は、3電極タイプ、即ち、参照電極、対極および作用極、或いは2電極タイプ、即ち、対極、作用極で行ってよい。測定では、核酸結合物質が電気化学的に反応する電位以上の電位を印加し、核酸結合物質に由来する反応電流値を測定する。この際、電位は定速で掃引するか、或いはパルスで印加するか、或いは、定電位を印加することができる。測定には、ポテンショスタット、デジタルマルチメーター、ファンクションジェネレーター等の装置を用いて電流、電圧を制御する。得られた電流値を基に、検量線から標的遺伝子の濃度を算出する。遺伝子検出用電極を用いた遺伝子検出装置は、遺伝子抽出部、遺伝子反応部、核酸結合物質反応部、電気化学測定部、洗浄部等から構成される。
このようなDNAチップを上述のプライマーまたはプライマーセットと一緒に使用することにより、βアクチンを簡便、安価、高速にβアクチンを検出および/または分類することが可能である。
4.アッセイキット
もう1つの態様に従うと、βアクチン遺伝子配列の検出および/または分類するためのアッセイキットが提供される。そのようなアッセイキットは、上述のプライマーまたはプライマーセットと核酸プローブまたは核酸プローブセットとを含めばよい。当該アッセイキットは、当該プライマーまたはプライマーセットおよび核酸プローブまたは核酸プローブセットに加えて、LAMP増幅に必要な緩衝液を含んでもよく、ハイブリダイゼーションに必要な緩衝液、並びにそこにおいて当該増幅および/またはハイブリダイゼーションを行うための容器を具備してもよい。
[例]
例1 プライマーDNAの選択
マウス、ラットまたはヒト由来の細胞などに感染した微生物やウイルスを検出する場合、細胞など検体からの核酸抽出や増幅および検出に問題がないかどうかをモニターできることが望ましい。その場合、マウス、ラットおよびヒトのβアクチン遺伝子をポジティブコントロールとすることが可能である。βアクチン遺伝子は、ハウスキーピング遺伝子と呼ばれるものの1つで、種を超えて配列の保存性が高いことで知られている。従って、これら3種を共通のプライマーで増幅できることが期待される。NCBIよりマウス、ラットおよびヒトのβアクチン配列を取得し、マウスの配列に基づいてLAMP法プライマー設計支援ソフトを用いてプライマーを検索した。表1に示すプライマーおよびマウスゲノムDNAを用いて、基本組成および反応条件での増幅テストを行った。
Figure 0005710190
<方法>
(1)合成DNA
LAMPプライマーは、インビトロジェン(株)(現社名 ライフテクノロジーズジャパン)にカートリッジ精製品の合成を依頼した。DNAチップ用の核酸プローブは3’端にチオールを導入したHPLC精製品を同社に合成依頼した。
(2)鋳型DNA
鋳型は、Novagen社から購入したマウス、ラットおよびヒトのゲノムDNAを使用した。
(3)LAMP増幅
LAMP増幅は、以下に記載のLAMPキット推奨の組成を基本の条件とした(以下これを1×と表記する)。鋳型DNA量は、マウス、ラットまたはヒトのゲノムDNAを1反応あたり、20〜50ng添加した。また、増幅効率を高めるためにプライマーセットのスクリーニング工程を除き、添加前の鋳型に95℃5分の熱変性処理を行った。
Figure 0005710190
Figure 0005710190
LAMP増幅の有無は、濁度計Realoop−30(モリテックス社製)またはLA−200(テラメックス社製)を用いて、61℃の条件で測定した。濁度計は、LAMP反応で生成するピロリン酸マグネシウムの濁度をリアルタイムに計測するもので、濁度の立ち上がり時間が反応速度の指標となる。反応には専用のLoopamp反応チューブ(栄研化学社製)を用いた。その結果を表4に示す。
Figure 0005710190
<結果>
(1)プライマーの選択
表4に示す結果に基づいて良好なプライマーセットを1種得た。更に、プライマーセットに対して、ループプライマーを設計して、その効果を検討した。結果を表5に示す。
Figure 0005710190
FおよびBいずれのループプライマーが適当かは、DNAチップの検出結果とあわせて判断することとした。また、マウス、ラットおよびヒトに対する特異的配列である点を加味して、ループプライマーの追加による効果を検討した。その結果を表6に示す。
Figure 0005710190
その結果、濁度の立ち上りは、鋳型がマウスおよびラットでは20〜22分であった。ラット配列の追加により増幅は影響を受けなかった。ヒト配列の追加した場合、濁度立ち上がりは、マウス36分、ラット38分、ヒト55分であった。ヒト配列の増加は、増幅を遅らせる傾向があった。更に、マウスとラット2種対応プライマーでヒト鋳型を増幅した場合、濁度立ち上がりは25分であった。
最終的に、プライマーセットAc−1−2−1をプライマーセットととして選択した。ヒト対応のプライマーセットAc−BIP−Hの場合、強いヘアピン構造が存在するために、増幅が阻害されることが示唆された。
例2 核酸プローブの選択
例1にて選択されたプライマーセットの増幅で得られる2つのループに対して、マウス、ラットおよびヒトのβアクチン配列に基づいて核酸プローブを設計した。候補プローブを同一基板上に載せたチップを作製して、GenelyzerTMにて測定を行った。
<方法>
DNAチップおよび電気化学測定
使用するDNAチップと自動電気化学測定装置は公知の文献に記載に従って用意した(SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration, Vol. 1, No. 3, pp. 265-270, May 2008)。DNAチップは、3μMのチオール修飾核酸プローブを含む溶液を図5に模式的に示すようなDNAチップ上の電極にスポットして作製した。
GenelyzerTMは、挿入剤として30μMヘキスト33258溶液(20mMのリン酸バッファー(pH7.0)および100mMのNaClを含む)、洗浄液として0.2×SSC(3mMのクエン酸ナトリウムおよび30mMのNaClを含む)を調製してGenelyzerTMにセットし、DNAチップの電気化学測定を行った。
<結果>
各核酸プローブの配列および得られた電流値増加を表7に示した。
Figure 0005710190
反応には、Fループ、Bループのそれぞれにループプライマーを配置したLAMP産物を用いたが、Fループプライマー産物の方が、Bループプライマー産物より高い電流値を示した。したがって、最も高い電流値が得られたBループプライマーである43−(AC)−29−30−sBを選択した。更に、本配列に対応するヒト配列(3塩基の相違あり)43−(AC−H)−29−30−sBもチップに搭載する核酸プローブとし、ヒト鋳型増幅産物で確認したところ、約35nAの電流値増加が得られ、良好であった。
以下に、上述の配列を纏めて記載する。
Figure 0005710190
Figure 0005710190
1・・DNAチップ、2・・基体、3・・固定化領域、4・・核酸プローブ、11・・DNAチップ、12・・基体、13・・電極、14・・核酸プローブ、15・・パット

Claims (7)

  1. βアクチン遺伝子配列を特異的に増幅するためのLAMP増幅用核酸プライマーセットであって、以下の(f)および/または(j)の組み合わせを含むプライマーセット;
    (f)配列番号17で示されるポリヌクレオチドからなるFIPプライマーと、配列番号4で示されるポリヌクレオチドからなるBIPプライマーと、配列番号1で示されるポリヌクレオチドからなるF3プライマーと、配列番号18で示されるポリヌクレオチドからなるB3プライマーと、配列番号14で示されるポリヌクレオチドからなるループプライマーとを含む組み合わせ;および
    (j)配列番号17で示されるポリヌクレオチドからなるFIPプライマーと、配列番号19で示されるポリヌクレオチドからなるFIPプライマーと、配列番号4で示されるポリヌクレオチドからなるBIPプライマーと、配列番号20で示されるポリヌクレオチドからなるBIPプライマーと、配列番号1で示されるポリヌクレオチドからなるF3プライマーと、配列番号21で示されるポリヌクレオチドからなるF3プライマーと、配列番号18で示されるポリヌクレオチドからなるB3プライマーと、配列番号22で示されるポリヌクレオチドからなるB3プライマーと、配列番号14で示されるポリヌクレオチドからなるループプライマーとを含む組み合わせ
  2. 請求項に記載のプライマーセットと配列番号24、配列番号25、配列番号27、配列番号28配列番号32配列番号35および配列番号37並びにそれらの相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドをそれぞれ含む核酸プローブからなる核酸プローブ群から選択される少なくとも1とを含むβアクチン遺伝子を検出するためのアッセイキット。
  3. βアクチン遺伝子配列を特異的に増幅する方法であって、試料に含まれる核酸を請求項に記載のプライマーセットを用いてLAMP増幅することを特徴とする方法。
  4. βアクチン遺伝子を検出する方法であって、
    試料に含まれる核酸を請求項に記載のプライマーセットを用いてLAMP増幅することと、
    前記LAMP増幅により生じた増幅産物の有無に基づいてのβアクチン遺伝子の存在の有無を判定することと
    を具備する方法。
  5. βアクチン遺伝子を検知する方法であって、
    試料に含まれる核酸を請求項に記載のプライマーセットを用いてLAMP増幅することと、
    前記LAMP増幅により生じた反応産物と配列番号24、配列番号25配列番号27、配列番号28配列番号32配列番号35よび配列番号37並びにそれらの相補配列によりそれぞれ示されるポリヌクレオチドをそれぞれ含む核酸プローブからなる核酸プローブ群から少なくとも1選択された核酸プローブとを反応させることと、
    前記反応させた結果から、試料に存在するβアクチン遺伝子を検出することと
    を具備する方法。
  6. 請求項に記載の方法であって、前記核酸プローブが基体に固定されていることを特徴とする方法。
  7. 請求項3〜6の何れか1項に記載の方法であって、前記LAMP増幅が、RT−LAMP増幅であることを特徴とする方法。
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