JP5709523B2 - 眼内移行性の高い点眼剤および蛍光イメージング剤ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

眼内移行性の高い点眼剤および蛍光イメージング剤ならびにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、眼内移行性の高い点眼剤およびその製造方法に関する。
眼疾患には、結膜炎などの眼の表面側に起こる疾患と、加齢黄斑変性症や(糖尿病性)網膜症など、後眼部に起こる疾患とがある。眼の構造の一般的な模式図を図1に示す。図1は、本瀬賢治 著、点眼剤(南山堂)、p169、図10-1 右眼球の水平断面図を一部改変したものである。
点眼薬物の眼内移行には、角膜を透過して眼球内に移行する系と、結膜−強膜を透過し眼球内に移行する系の主な2系が存在している。
点眼された薬物は、まず、涙液と混合されて結膜嚢の涙液内に貯留する。正常人における結膜嚢内の涙液量は7〜8μlであり、角膜嚢の最大容積が30μlである。したがって、通常の点眼液一滴、すなわち40〜50μlのうち、涙点や眼瞼縁から流失してしまう量を除くと、有効に眼球内に移行するのは一部である。
さらに、涙液の生理的ターンオーバー率が毎分8〜15%であることを考慮すると、薬物の結膜嚢涙液内の濃度は、点眼直後から一時間以内に急速に低下していくことになる。実際の低下速度は、脂溶性、水溶性、蛋白結合性、pHなどの薬物の特性に依存するが、一時間以内にかなりの濃度低下が生じる。
また、結膜嚢内から涙液の排泄を上昇させる瞬目により薬物の85%が除去されることもめずらしくない。眼内移行しなかった薬物は、結膜や鼻粘膜から血行系に吸収され、全身作用を示すことが起こりうる。例えば、β遮断薬のチモロールは、家兔においてその80%が全身吸収されてしまうという報告もある。
薬物の角膜透過においては、その分子量と極性が重要な因子である。分子量が100以下の薬物は角膜上皮の透過性が高い。一方薬物の分子量が500以上になると、その透過性はきわめて低下する。
また、薬物が脂溶性であればあるほど角膜上皮を透過しやすい。しかし、薬物の脂溶性が高くなると、その薬物の、水を主成分とする親水性の角膜実質の透過性は低下する。逆に、薬物が水溶性であればあるほど、角膜上皮の透過性は低下し、水を主成分とする角膜実質を透過しやすくなる。つまり、薬物の角膜透過性は角膜の上皮と実質とで相反している。
薬物の角膜上皮透過性の向上にはその脂溶性が重要な因子であるが、通常の点眼薬では、点眼基剤(これは水など、親水性の液体である)に薬物を溶解する必要があるために、薬物の脂溶性が低く設定されている。そこで、親水性の薬物をあらかじめ化学修飾することによって脂溶性を高め、角膜上皮への薬物の分配を多くし、つづいて主に角膜上皮内で起こる酵素反応によって元の親水性の薬物に変換し、角膜実質を透過し易くすることで薬物の角膜透過性を向上させるという手法が報告されている。
その例として、エピネフリンのプロドラッグであるジピバリエルエピネフリン(DPE)があげられる(非特許文献1参照)。このDPEはエピネフリンのフェノール性水酸基をエステル化して得られたものであり、これにより強い疎水性を持ち、上皮への移行性が増大しており、同時に酸化分解も受けにくくなっており、製剤の安定化も計られている。このDPEは角膜上皮中で加水分解を受けてエピネフリンとなり、前房に現れ、従来のエピネフリンの1/5以下の投与量で、エピネフリンと同等の薬効を発現すると報告されている。
しかしながら、DPEの例のような、親水性の薬物をあらかじめ化学修飾することによって脂溶性を高め、角膜上皮透過後に房水内での酵素反応によって元の薬物に変換される性質を有する化合物は、その化合物の疎水性が強い場合、水中で容易に凝集体が形成され粒子状となる。通常その粒子サイズはマイクロメートルオーダーであるため、点眼剤として使用する場合、薬物粒子のサイズ的要因から、薬物の角膜上皮層への浸透は困難となる。
また一般的に、点眼後に角膜を透過して前眼房に到達した薬物は、前房水中を拡散して水晶体や虹彩に至る。虹彩実質への薬物浸透はきわめて容易であり、虹彩に対して薬物は即効性を有する。また、前房水流失経路の一つである経ぶどう膜強膜流失系は、前眼房中の薬物の毛様体への到達に重要な役割を果たす。
点眼薬物の角膜と前房水中への推移における、薬物の各組織内での最高濃度は、一例として、角膜内では点眼剤の薬物濃度(一般的にはおよそ0.1%, 1,000 mg/L)の1/100であり、房水中では約1/5,000である。虹彩組織内の薬物濃度は房水中濃度と同一とみなされることが多い。
一方、Schlemm管への房水流失経路を考慮すると、前眼房中の薬物の後眼房への移行はある程度制限されると考えられている。そのため、点眼薬は前述のように角膜からは前眼房、虹彩、毛様体、水晶体へ移行し、結膜からは、強膜、さらに一部は網脈絡膜、眼周囲組織へと移行する。しかし、後眼部の眼内深部組織に位置する硝子体や眼内膜である網膜への点眼薬の浸透には限界がある。よって点眼薬の主作用部位は眼表面および前眼部に集中せざるを得ない。
点眼による局所投与が治療に無効な場合、薬物の内服や静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射等の全身投与や硝子体注射等の局所投与が選択される。
全身投与において、点眼薬が眼球内に移行するためには、角膜、強膜、虹彩毛様体、および網膜色素上皮細胞層のバリアを通過しなければならない。特に、虹彩毛様体組織に存在する血液房水関門や網膜色素上皮細胞層等に存在する血液網膜関門等の血液眼関門があるため、点眼薬の硝子体や網膜への到達は特に難しい。
眼内深部組織の硝子体や網膜に点眼薬を作用させる方法として、局所的な硝子体注射、網膜注射(特許文献1参照)、Tenon嚢内注射、および硝子体埋め込み型製剤等の実例が挙げられる。
しかしこれらの方法は、物理的に眼球にわずかながらも損傷を与えることや、投与法の難しさ、また患者や医師への負担も考慮した場合には、最適の手段とは言いがたい。
薬物の眼内移行性を高める目的において、たとえば上記のような硝子体や網膜への直接注射など、様々な工夫がなされている。しかし、投与形態の簡便さ、および投与に関する患者や医師への負担の軽減の観点からは、薬物等の化合物を点眼液の形態で投与することが理想的である。
そこで、薬物を後眼部へ送達できる点眼剤として、薬物は遺伝子DNAに限定されるが、遺伝子DNAを組み込んだ発現用ベクターを内包した、特定のリポソームを含有する点眼剤が開発された(特許文献2参照)。さらに、遺伝子DNAに限らず、様々な薬物を後眼部へ送達できるリポソームを含む点眼剤も開発されている(非特許文献2参照)。
しかしながら、このようなリポソーム(キャリア)を使用した点眼剤では、リポソーム自身の安全性が問題となる。そのため上記のリポソームを使用した点眼剤では、安全性はまだ十分であるとはいえない。
特表2006−507368号公報 特許第3963506号公報
東条角治: 眼科の最先端, 先端医療シリーズ3, 先端医療技術研究所, 東京, 64-69, 1999 2008年5月13日発行の日経産業新聞の第9面の記事
以上の点を鑑み、本発明は、リポソームなどの特別なキャリアを含有しない、薬物の眼内移行性の高い点眼剤およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、親水性もしくは水溶性の薬物(化合物)を予めプロドラッグ化して疎水性もしくは脂溶性にしておき、これを再沈法と呼ばれる方法によりナノメートルオーダーの粒子サイズの粒子として点眼剤中に分散させることで、薬物の高い眼内移行性を達成できることを見出し、本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
加水分解反応を受けて疎水性もしくは脂溶性から親水性もしくは水溶性に変化するプロドラッグからなる粒子を含む点眼剤であって、前記粒子の粒子サイズが、10nm以上1μm未満であることを特徴とする点眼剤。
前記粒子の粒子サイズは、10nm以上500nm以下であることが好ましい。
本発明の点眼剤は、前記プロドラッグを、プロドラッグが溶解する溶媒1に溶解し、得られた溶液Aを、プロドラッグが溶解しない溶媒2と混合し、プロドラッグがナノ粒子として存在する溶液を得て、これを点眼基剤と混合することにより製造することができる。
前記溶液Aを前記溶媒2と混合する際には、前記溶液を液滴として前記溶媒2中に供給することが好ましい。
また本発明によれば、眼を細胞レベルで観測するための蛍光イメージング剤が提供される。
本発明の蛍光イメージング剤は、加水分解反応を受けて疎水性もしくは脂溶性から親水性もしくは水溶性に変化し、かつ蛍光を発するようになるプロドラッグからなる粒子を含み、前記粒子の粒子サイズが10nm以上1μm未満であることを特徴としている。
前記粒子の粒子サイズは、10nm以上500nm以下であることが好ましい。
また本発明の蛍光イメージング剤を使用した観測法として、本発明の蛍光イメージング剤を、ヒト以外の動物の眼に投与し、該眼を摘出し、摘出された眼を各部位に分離し、該部位が発する蛍光を光学的手段により観測する方法が挙げられる。
さらに、前記の摘出された眼を各部位に分離せず、眼が発する蛍光を光学的手段により観測する方法も挙げられる。
本発明によれば、点眼の形態において化合物を眼内組織に効果的に輸送することが可能である。特に角膜、結膜、前房水、毛様体、水晶体、強膜、脈絡膜、および網膜に対する化合物の効果的な移行が可能である。
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
図1は、眼の構造を示す模式図である。図1において、a-a'は眼球軸を、b-b'は視線を、c-c'は赤道を示す。 図2は、実施例1、比較例1〜3における、蛍光スペクトル評価の結果を示す図である。図2において、まるのマーカーがついた曲線は二酢酸フルオレセインナノ粒子の蛍光スペクトルであり、三角のマーカーがついた点線の曲線は二酢酸フルオレセインマイクロ粒子の蛍光スペクトルであり、マーカーのついていない点線の曲線はフルオレセインナトリウムの蛍光スペクトルであり、マーカーのついていない実線からなる曲線はフルオレセインの蛍光スペクトルである。 図3は、実施例2〜5および比較例4における、眼球蛍光スペクトルの時間依存性評価の結果を示す図である。図3において、まるのマーカーがついた曲線は、点眼剤を投与してから0.5時間後のラットの眼をサンプルとした蛍光スペクトルであり、上向きにとがった三角のマーカーがついた点線の曲線は、点眼剤を投与してから1時間後のラットの眼をサンプルとした蛍光スペクトルであり、四角のマーカーがついた点線の曲線は、点眼剤を投与してから2時間後のラットの眼をサンプルとした蛍光スペクトルであり、下向きにとがったマーカーのマーカーがついた点線の曲線は、点眼剤を投与してから3時間後のラットの眼をサンプルとした蛍光スペクトルであり、マーカーが付いていない点線はコントロールである。 図4は、実施例6〜8および比較例5における、前房水に移行した二酢酸フルオレセインの蛍光スペクトルの経時的評価の結果を示す図である。図4において、まるのマーカーがついた曲線は、点眼剤を投与してから10分後のラットの眼をサンプルとした蛍光スペクトルであり、三角のマーカーがついた点線の曲線は、点眼剤を投与してから30分後のラットの眼をサンプルとした蛍光スペクトルであり、四角のマーカーがついた点線の曲線は、点眼剤を投与してから60分後のラットの眼をサンプルとした蛍光スペクトルであり、マーカーが付いていない点線の曲線はコントロールである。 図5は、実施例9および比較例6における、前眼部・網膜への点眼剤の移行性評価の結果を示す図である。図5において、まるのマーカーがついた曲線は、点眼剤を投与した後の前眼部の蛍光スペクトルであり、三角のマーカーがついた点線の曲線は、点眼剤を投与した後の網膜組織の蛍光スペクトルであり、四角のマーカーがついた点線の曲線は、コントロールの前眼部の蛍光スペクトルであり、マーカーがついていない点線の曲線は、コントロールの網膜組織の蛍光スペクトルである。 図6は、実施例9および比較例6における、網膜組織の共焦点レーザー顕微鏡像である(左側が実施例9で、右側が比較例6である)。 図7は、実施例10における、各組織における蛍光スペクトルおよび蛍光強度の比較の結果を示す図である。図7において、まるのマーカーがついた曲線は、角膜の蛍光スペクトルであり、三角のマーカーがついた点線の曲線は、後眼部の脈絡膜と網膜の蛍光スペクトルである。 図8は、実施例11〜14における、角膜(右側)および後眼部の網膜と脈絡膜(左側)における蛍光強度の経時変化の評価の結果を示す図である。 図9は、実施例11〜14において、二酢酸フルオレセインの移行率を求めるのに使用した検量線を示す図である。 図10は、実施例15〜18における、共焦点レーザー顕微鏡を用いた角膜組織の蛍光観察の結果を示す図である。図10において、左上が実施例15(角膜上皮表層細胞)であり、右上が実施例16(角膜上皮基底細胞)であり、左下が実施例17(角膜実質細胞)であり、右下が実施例18(角膜内皮細胞)である。 図11は、実施例19で製造したデキサメタゾン誘導体ナノ粒子の電子顕微鏡写真を示す。 図12は、実施例19における試料溶液のHPLCの結果(右側)およびデキサメタゾン標準品をHPLCにより分析した場合の結果(左側)を示す。 図13は、実施例19の点眼剤(ナノ粒子、左側)の眼内移行性および比較例7の点眼剤(マイクロ粒子、右側)の眼内移行性のHPLCによる評価結果を示す。 図14は、実施例19、比較例7および8の点眼剤の眼内移行性のHPLCの評価結果を、コントロールの結果と共に示す図である。図14において、いちばん左の棒グラフ(a)が実施例19の点眼剤の結果であり、左から2番目の棒グラフ(b)が比較例7の点眼剤の結果であり、左から3番目の棒グラフ(c)が比較例8の点眼剤の結果であり、いちばん右の棒グラフ(d)がコントロールの結果である。 図15は、実施例19および比較例8における、点眼剤投与によるデキサメタゾンの眼球内移行量を計算するのに使用した検量線を示す。
[本発明の点眼剤]
本発明の点眼剤は、加水分解反応を受けて疎水性もしくは脂溶性から親水性もしくは水溶性に変化するプロドラッグからなる粒子を含む点眼剤であって、前記粒子の粒子サイズが、10nm以上1μm未満であることを特徴とする。後述するが、プロドラッグからなる粒子の粒子サイズがこのようなナノメートルオーダーであることにより、本発明の点眼剤および蛍光イメージング剤に含まれるプロドラッグは、眼内移行性に優れている。まず、このような粒子サイズがナノメートルオーダーにあるナノ粒子の製造方法を説明する。
<ナノ粒子の製造方法>
プロドラッグからなるナノ粒子は、再沈法と呼ばれる方法により、製造することができる。なお、プロドラッグは前述のように加水分解反応を受けて疎水性もしくは脂溶性から親水性もしくは水溶性に変化する化合物である。すなわちプロドラッグは疎水性もしくは脂溶性である。プロドラッグの具体例については後述する。
なお、本明細書において「疎水性もしくは脂溶性」とは、20℃の水への溶解度が0.01g/L未満である性質をいう。「親水性もしくは水溶性」とは、20℃の水への溶解度が0.01g/L以上である性質をいう。
再沈法では、プロドラッグを、プロドラッグが溶解する溶媒1に溶解し、得られた溶液Aを、プロドラッグが溶解しない溶媒2と混合する。これにより、プロドラッグおよび溶媒1からなるナノ粒子が溶媒2に分散した分散液が得られる。本発明の点眼剤の製造方法は、このような分散液を得る工程を含むことを特徴としている。
上記の「溶解する」とは、20 ℃、100gの溶媒1に溶解するプロドラッグが1mg以上であることを言い、「溶解しない」とは、20 ℃、100gの溶媒2に溶解するプロドラッグが1mg未満であることを言う。
後述するが、本発明の点眼剤を製造するに当たっては、前記分散液を点眼基剤に混合する。そのため溶媒2は、プロドラッグが溶解しないことと同時に、生体に有害でないことが必要である。したがって溶媒2として最も好ましいのは、生体に最も多く含まれる液体である水である。その他、溶媒2としては、エタノール水溶液(エタノール濃度は0.08mL/mL以下)などの親水性液体が挙げられる。溶媒2の使用量は、通常溶液A 100重量部に対して50〜1000000重量部であり、好ましくは1000〜100000重量部である。
前記溶媒1としては、エタノール等のアルコール類、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフランなどの有機溶媒が挙げられる。溶媒1の使用量は、通常プロドラッグ100重量部に対して100〜100000重量部であり、好ましくは1000〜50000重量部である。
前述のように、再沈法では、プロドラッグを溶媒1に溶解し、得られた溶液Aを溶媒2と混合するが、この際にはシリンジ針などの管状物を利用して、前記溶液Aを液滴として溶媒2中に供給し、溶液Aと溶媒2とを混合することが好ましい。このように液滴として溶液Aを供給すると、前記溶媒1と溶媒2とは互いに無限希釈可能なため、溶液Aの液滴は溶媒2中で速やかに拡散し消失する。この際、溶液Aに溶解していたプロドラッグは溶媒2に対して溶解しないため、急激な溶解度の低下が生じ、プロドラッグが析出する。このようにして、粒子サイズがナノメートルオーダーのナノ粒子を、溶媒2中に均一に分散した状態で容易に作製することができる。
本発明の点眼剤において、プロドラッグを含有する粒子の粒子サイズは10nm以上1μm未満であり、好ましくは10nm以上500nm以下であり、より好ましくは10nm以上250nm以下である。粒子サイズがこのような小さい値の範囲にないと、プロドラッグが後眼部まで移行することができず、点眼剤について高い眼内移行性を達成することができない。
なお、本明細書において粒子サイズとは、粒子の形状によらず、走査型電子顕微鏡および動的光散乱法で測定した粒子の粒子径を指す。
粒子サイズは、前記シリンジ針などの管状物の口径、溶液Aと溶媒2を混合する際の撹拌方法や、溶液Aと溶媒2との混合を行う際の溶液Aおよび溶媒2の温度などにより調整することができる。また、界面活性剤および懸濁化剤等を使用することにより、粒子(溶液A)の溶媒2中での微分散度を高めることもできる。界面活性剤の例としては、ポリソルベート80、懸濁化剤の例としてはポリビニルピロリドンK30が挙げられる。さらに、溶媒1と溶媒2の種類や、溶液A中のプロドラッグの濃度によっても粒子サイズは変化する。
前記シリンジ針などの管状物については、一般的に、その口径を小さくすることにより溶媒2中に供給される溶液Aの液滴が小さくなるので、得られるナノ粒子の粒子サイズは小さくなる。前記撹拌方法については、攪拌速度を増加させると粒子サイズは小さくなり、攪拌速度を減少させると粒子サイズは大きくなる。前記溶液Aおよび溶媒2の温度が粒子サイズに与える影響は、本発明の点眼剤の製造に使用するプロドラッグに依存する。経験的に、20℃、100gの溶媒2に0.01μg以上1mg未満の濃度範囲で溶解する性質を有するプロドラッグは、温度の上昇とともに粒子サイズは大きくなり、20 ℃、100gの溶媒2に溶解する量が0.01μg未満であるプロドラッグにおいては、溶液Aおよび溶媒2の温度の上昇とともに、その粒子サイズは小さくなる。
ナノ粒子を形成する際の温度範囲は、前記溶液Aおよび溶媒2において、一般的には、一気圧において0 ℃から100 ℃である。
前記溶液Aと溶媒2とを混合して得られたナノ粒子の分散液は、プロドラッグと、有機溶媒などである溶媒1と、水などである溶媒2とから構成されている。有機溶媒は生体に有害なので、透析などにより除去する。この除去は、前記分散液を後述する点眼剤の形態にしてから行ってもよい。
<点眼剤>
本発明の点眼剤は、上記のプロドラッグからなるナノ粒子(前記透析などによる除去を行っていない場合には、溶媒1も含む)が溶媒2中に分散した分散液を、点眼基剤と混合することにより得られる。この操作は、無菌的に行われる。また孔径0.22μmおよび0.45μmの濾過滅菌フィルター等を併用して点眼剤を無菌化してもよい。前記点眼基剤は、水及び種々の添加剤を含有する液体である。また、ナノ粒子が溶媒1を含んでいる場合には、透析などにより溶媒1を除去する。
なお、前記分散液は凍結乾燥しておき、これを用時に点眼基剤に混合して使用することもできる。
前記添加剤としては、塩化ナトリウム、濃グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖などの等張化剤;
リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸、クエン酸などの緩衝化剤;
ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60などの界面活性剤;
クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウムなどの安定化剤;
塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチル、グルコン酸クロルヘキシジン液などの防腐剤;
ポリビニルピロリドンK30、ヒドロキシエチルセルロース、プロピレングリコール、メチルセルロース、マクロゴール4000などの粘稠剤;
カルボキシビニルポリマー、マクロゴール6000、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30などの懸濁化剤;
塩酸、氷酢酸、水酸化ナトリウムなどのpH調整剤;
塩化マグネシウム、エタノール、プロピレングリコールなどの溶解補助剤;
キレート剤などを挙げることができる。
必要に応じて上記のような添加剤を含む本発明の点眼剤中のプロドラッグの濃度は、プロドラッグの種類によって適切に決定されるが、通常0.001wt%〜10wt%の範囲内である。
プロドラッグは、加水分解反応を受けて疎水性もしくは脂溶性から親水性もしくは水溶性に変化する化合物であって、通常は加水分解反応を受けて点眼剤中の有効成分として活性になる。ただし、加水分解反応を受ける前から活性であっても何ら問題はない。
このようなプロドラッグの例としては、親水性薬物を、エステル化、アセタール化、アミド化、チオエステル化またはケタール化等した、角膜上皮中の加水分解酵素によって加水分解反応を受けて前記エステル基などの置換基が外れるプロドラッグが挙げられる。
その例として、インドメタシンにエステル化を施したプロドラッグを下記に示す。このエステル化によって、インドメタシンの20℃の水への溶解度が0.01g/L以上(親水性もしくは水溶性)から0.01g/L未満(疎水性もしくは脂溶性)に変化している。
本発明の点眼剤のpHは、通常5〜9である。点眼剤のpHは、上記のpH調整剤により調整することができる。
本発明の点眼剤の浸透圧比(0.9重量%生理食塩水の浸透圧に対する比)は、通常0.6〜1.6である。点眼剤の浸透圧比は、上記の等張化剤により調整することができる。
このような本発明の点眼剤は、加水分解反応を受けて疎水性もしくは脂溶性から親水性もしくは水溶性に変化するプロドラッグからなる粒子を含む点眼剤であって、プロドラッグが前記のような性質を有し、かつ、前記粒子の粒子サイズが特定の範囲にあるため、眼内移行性に優れる。特に角膜、結膜、前房水、毛様体、水晶体、脈絡膜、強膜、および網膜に対してプロドラッグは効果的に移行する。
具体的には、前記粒子を構成するプロドラッグは疎水性もしくは脂溶性であるため、角膜上皮との親和性に優れ、本発明の点眼剤を点眼すると、プロドラッグは角膜上皮内へと浸透する。そして、角膜上皮内にはエステラーゼ酵素群などの加水分解酵素が存在し、この加水分解酵素の作用により、プロドラッグは加水分解されて親水性もしくは水溶性に変化する。プロドラッグが眼内に移行するために角膜上皮の次に突破すべき部位は角膜実質であるが、角膜実質は親水性である。したがって、加水分解されたプロドラッグ(以下プロドラッグBという)は角膜実質との親和性に優れるため、プロドラッグBは角膜実質内へと浸透する。角膜実質を突破した後は、プロドラッグBは眼球内へ移行し、前眼部のみならず後眼部、すなわち前房水、毛様体、水晶体、脈絡膜、および網膜などへと移行していくと考えられる。また点眼後、結膜から強膜へ移行するルートによっても、プロドラッグは後眼部へと送達されると考えられる。
(点眼剤の用法・用量および適用疾患)
本発明の点眼剤の用法および用量は、プロドラッグの種類によって適宜定められる。
本発明の点眼剤は眼内移行性に優れるため、新生血管黄斑症(加齢黄斑変性症等)、糖尿病網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、高血圧網膜症、中心性漿液性脈絡網膜症、網膜色素上皮症、急性網膜色素上皮炎、多発性消失性白点症候群、網膜色素線条、増殖性硝子体網膜症、続発性網膜剥離、癌関連網膜症、緑内障、転移性脈絡膜腫瘍などの、治療のために網膜などの後眼部に薬物を投与する必要がある疾患に好適に適用することができる。
すなわちプロドラッグとして、加水分解されてこれらの疾患に対する治療薬となる薬物(たとえば、合成ステロイド類、線溶薬、抗凝固薬、血小板凝集抑制薬、プロスタグランジン関連薬、交感神経遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、交感神経刺激薬、副交感神経作動薬、高浸透圧薬、神経保護薬、血管拡張薬、消炎酵素薬、ビタミン製剤、利尿薬、カルシウム拮抗薬、抗炎症薬、細胞増殖抑制薬、非ステロイド消炎薬等の薬剤をエステル化、アセタール化、アミド化、チオエステル化またはケタール化等して得られた化合物)を選択することが好適である。
なお、角膜炎および結膜炎など、前眼部に薬物を投与する必要がある疾患に本発明の点眼剤を適用しても、十分な治療効果が得られる。
また本発明の点眼剤は、ヒトに限らず、サル、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ等の哺乳類などの眼疾患の治療にも用いることができる。
[蛍光イメージング剤]
本発明の点眼剤は、眼内移行性に優れるため、プロドラッグは後眼部まで移行し、眼の全体に浸透する。
そこで、プロドラッグが加水分解されて蛍光を発生するようにしておけば、その蛍光から眼、または眼の各部位(角膜、結膜、前房、毛様体、水晶体、硝子体、脈絡膜、網膜、強膜など)を観測(観察)することができる。
このような観測を可能とする本発明の蛍光イメージング剤は、加水分解反応を受けて疎水性もしくは脂溶性から親水性もしくは水溶性に変化し、かつ蛍光を発するようになるプロドラッグからなる粒子を含み、前記粒子の粒子サイズが10nm以上1μm未満、好ましくは10nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上250nm以下であることを特徴としている。
上記の条件を満たすプロドラッグとしては、二酢酸フルオレセイン、3'-O-アセチル-2',7'-ビス(カルボキシエチル)-4 or 5-カルボキシフルオレセイン,ジアセトキシメチルエステル(BCECF-AM)および5- or 6-(N-スクシンイミジルオキシカルボニル)−フルオレスセイン 3' , 6' −ジアセテート(CFSE)などが挙げられる。
本発明の蛍光イメージング剤を使用した観測法として具体的には、蛍光イメージング剤をヒト以外の動物の眼に投与し、該眼を摘出し、摘出された眼を各部位に分離し、該部位が発する蛍光を光学的手段により観測する方法が挙げられる。前記の摘出された眼は、各部位に分離せずに観測してもよい。観測して得られた情報は、たとえば電子化され、電子化された情報は出力手段により出力される。
前記光学的手段としては、たとえば分光蛍光光度計が挙げられる。
また前記出力手段としては、電子化された情報を二次元または三次元的にディスプレイ上に表示する手段、電子化された情報を電気的に出力する手段、電子化された情報を印刷する手段、電子化された情報を記録媒体に記録する手段などが挙げられる。
観測するのは、分離された各部位のうち、一つでも複数でも全部でもよい。
また本発明の蛍光イメージング剤をヒト以外の動物の眼に投与し、該眼を摘出し、摘出された眼を各部位に分離し、該部位を共焦点レーザー顕微鏡で観察してもよい。当然のことながら観察するのは、分離された各部位のうち、一つでも複数でも全部でもよい。また該眼を各部位に分離せず直接観察してもよい。その際、該眼を摘出または摘出せずに観察してもよい。
本発明の蛍光イメージング剤は、本発明の点眼剤と同様に、上記のプロドラッグからなるナノ粒子が、プロドラッグが溶解しない溶媒2中に分散した分散液から、透析などにより、プロドラッグが溶解する溶媒1を除去することにより得られる。また前記分散液を点眼基剤に混合することにより得てもよい。この場合においても、溶媒1の除去は行う。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
<ナノ粒子の作成>
二酢酸フルオレセイン(溶解度は2.9X10-3g/L、ACD/Solubility DB(Advanced chemistry development社製)により計算)25mgをアセトン1gに溶解し、得られた溶液200mgを、口径0.41mmのシリンジ針で、マグネチックスターラーで攪拌中(攪拌速度:1200rpm)の、ポリビニルピロリドンK30(PVP)を含有する水10g中に注入してナノ粒子分散液を得た。
そして、透析チューブを使用してこのナノ粒子分散液を透析にかけ、アセトンを除去した。
ナノ粒子の粒子サイズを走査型電子顕微鏡および動的光散乱法により測定したところ、個々の粒子サイズ(粒子径)は10nm以上500nm以下だった。
<点眼剤の調製>
得られたナノ粒子分散液を、食塩を含有する水と混合し、最終的な各成分の濃度が、二酢酸フルオレセインが0.05重量%、食塩が0.9重量%、PVPが2重量%になるようにして点眼剤を得た。点眼剤のpHは7だった。
<眼球蛍光スペクトル評価>
[実施例1]
4週齢のオスのラットの片眼に、上記で得られた点眼剤10μlを点眼した。0.5時間後、ラットを麻酔死させ、点眼剤を点眼した眼を生理食塩水で十分に洗浄した後に摘出し、さらに生理食塩水で洗浄した。
洗浄した眼を、水酸化ナトリウム水溶液(100mM)とDMSO水溶液の混合液(体積比1:1)5mlと混合した。この混合液中で、二酢酸フルオレセインは加水分解後のフルオレセインの状態で存在し、また眼球は溶解した。
得られた試料溶液の蛍光スペクトルを評価した。具体的には、試料溶液について波長488nmの光で励起したときの蛍光強度を測定した。結果を図2に示す。なお、測定条件を変えて2度(条件1および条件2)蛍光スペクトルを評価した。条件1の場合の測定結果は図2の左側の図であり、条件2の場合の測定結果は図2の右側の図である。また条件2は、条件1と分光蛍光光度計の励起側スリットおよび蛍光側スリットのスリット幅が異なる。具体的には条件1では励起側スリットおよび蛍光側スリットがそれぞれ5.0nmであり、条件2では励起側スリットおよび蛍光側スリットがそれぞれ2.5nmである。
[比較例1]
二酢酸フルオレセインを溶解したアセトン溶液から二酢酸フルオレセインを再結晶し、二酢酸フルオレセインの粉体を得た。この粉体をメノウ鉢で微細化してマイクロ粒子を得た。このマイクロ粒子を、食塩、ポリビニルピロリドンK30(PVP)を含有する水と混合して点眼剤を得た。この点眼剤において、最終的な各成分の濃度は、二酢酸フルオレセインが0.05重量%、食塩が0.9重量%、PVPが2重量%だった。また点眼剤のpHは7だった。
得られた点眼剤(点眼剤中の個々の粒子の粒子サイズ(粒子径)は1μm以上100μm以下)について、実施例1の条件1と同様に蛍光スペクトルの評価を行った。結果を図2に示す。
[比較例2]
フルオレセイン25mgをジメチルスルホキシド1gに溶解し、得られた溶液200mgを、口径0.41mmのシリンジ針で、マグネチックスターラーで攪拌中(攪拌速度:1200rpm)のポリビニルピロリドンK30(PVP)を含有する水10g中に注入して分散液を得た。
そして、透析チューブを使用してこの分散液を透析にかけ、ジメチルスルホキシドを除去した。得られた分散液を、食塩を含有する水と混合し、最終的な各成分の濃度が、フルオレセインが0.05重量%、食塩が0.9重量%、PVPが2重量%になるようにして点眼剤を得た。点眼剤のpHは7だった。得られた点眼剤について、実施例1の条件2と同様に蛍光スペクトルの評価を行った。結果を図2に示す。
[比較例3]
フルオレセインナトリウム5mgをポリビニルピロリドンK30(PVP)を含有する水10gに溶解して分散液を得た。
得られた分散液を、食塩を含有する水と混合し、最終的な各成分の濃度が、フルオレセインナトリウムが0.05重量%、食塩が0.9重量%、PVPが2重量%になるようにして点眼剤を得た。点眼剤のpHは7だった。得られた点眼剤について、実施例1の条件1と同様に蛍光スペクトルの評価を行った。結果を図2に示す。
図2において、「二酢酸フルオレセインナノ粒子」とは実施例1の点眼剤を示し、「二酢酸フルオレセインマイクロ粒子」とは比較例1の点眼剤を示し、「フルオレセイン」とは比較例2の点眼剤を示し、「フルオレセインナトリウム」とは比較例3の点眼剤を示す。
図2より、本発明の点眼剤は、眼内に移行する量が比較例の点眼剤に比べて多いことが分かる。
<眼球蛍光スペクトルの時間依存性評価>
[実施例2〜5]
4週齢のオスのラットの片眼に、上記<点眼剤の調製>で得られた点眼剤10μlを点眼した。0.5(実施例2),1(実施例3),2(実施例4),3(実施例5)時間後、ラットを麻酔死させ、点眼剤を点眼した眼を生理食塩水で十分に洗浄した後に摘出し、さらに生理食塩水で洗浄した。
洗浄した眼を、水酸化ナトリウム水溶液(100mM)とDMSO水溶液の混合液(体積比1:1)5mlと混合した。この混合液中で、二酢酸フルオレセインは加水分解後のフルオレセインの状態で存在し、また眼球は溶解した。
得られた試料溶液の蛍光スペクトルを評価した。具体的には、すべての試料溶液について波長488nmの光で励起したときの蛍光強度を測定した。結果を図3に示す(図3左側が蛍光スペクトルの評価結果であり、図3右側が波長488nmの光で励起したときの波長525nmにおける蛍光強度の測定結果である)。
[比較例4]
二酢酸フルオレセインを含有せず、食塩が0.9重量%、PVPが2重量%になるようにした点眼剤をコントロールとした。点眼剤のpHは7だった。
得られた点眼剤について、実施例2と同様に蛍光スペクトルの評価を行った。結果を図3に示す。結果は、「コントロール」として示されている。
図3より、実施例2〜5の点眼剤では、二酢酸フルオレセインが眼内に移行し、移行した二酢酸フルオレセイン(移行したときには加水分解されてフルオレセインになっている)は、少なくとも点眼剤を点眼して0.5時間経過すると、時間の経過とともに眼外へ移行していくこと、また比較例4の点眼剤では、点眼剤が二酢酸フルオレセインを含有しないため、細胞等の自家蛍光による蛍光がわずかに検出されたことが分かる。そのため実施例2〜5の点眼剤を使用することで検出された蛍光は、細胞等の自家蛍光でないことが分かる。
<前房水に移行した二酢酸フルオレセインの蛍光スペクトルの経時的評価>
[実施例6〜8]
4週齢のオスのラットの片眼に、上記<点眼剤の調製>で得られた点眼剤10μlを点眼した。10(実施例6),30(実施例7),60(実施例8)分後、ラットを麻酔死させ、点眼剤を点眼した眼を生理食塩水で十分に洗浄した後に摘出し、さらに生理食塩水で洗浄した。
眼の前房水を2μl採取し、水酸化ナトリウム水溶液(100mM)とDMSO水溶液の混合液(体積比1:1)3mlと混合した。この混合液中で、二酢酸フルオレセインは加水分解後のフルオレセインの状態で存在した。
得られた試料溶液について、蛍光スペクトル評価を行った。具体的には、すべての試料溶液について波長488nmの光で励起したときの蛍光強度を測定した。結果を図4に示す。
[比較例5]
二酢酸フルオレセインを含有せず、食塩が0.9重量%、PVPが2重量%になるようにした点眼剤をコントロールとした。点眼剤のpHは7だった。得られた点眼剤について、実施例8と同様に蛍光スペクトルの評価を行った。結果を図4に示す。結果は、「コントロール」として示されている。
図4より、実施例6〜8の点眼剤では、二酢酸フルオレセインが前房水中へ移行し、移行した二酢酸フルオレセイン(移行したときには加水分解されてフルオレセインになっている)は、少なくとも点眼剤を点眼して30分経過すると、時間の経過とともに前房水の外へ移行していくこと、また比較例5の点眼剤では、点眼剤が二酢酸フルオレセインを含有しないため、前房水等の自家蛍光による蛍光がわずかに検出されたことが分かる。そのため実施例6〜8の点眼剤を使用することで検出された蛍光は、前房水等の自家蛍光でないことが分かる。
<前眼部・網膜への点眼剤の移行性評価>
[実施例9]
4週齢のオスのラットの片眼に、上記<点眼剤の調製>で得られた点眼剤10μlを点眼した。1時間後、ラットを麻酔死させ、点眼剤を点眼した眼を生理食塩水で十分に洗浄した後に摘出し、さらに生理食塩水で洗浄した。
洗浄した眼を切断して前眼部と後眼部に分離し、後眼部からは網膜組織を摘出し、前眼部と網膜組織の各試料を水酸化ナトリウム水溶液(100mM)とDMSO水溶液の混合液(体積比1:1)5mlと混合した。この混合液中で、二酢酸フルオレセインは加水分解後のフルオレセインの状態で存在し、また各試料は溶解した。
得られた試料溶液について、蛍光スペクトル評価を行った。具体的には、すべての試料溶液について波長488nmの光で励起したときの蛍光強度を測定した。結果を図5に示す。また、網膜組織については、共焦点レーザー顕微鏡による観察も行った。その結果を図6に示す。
[比較例6]
二酢酸フルオレセインを含有せず、食塩が0.9重量%、PVPが2重量%になるようにした点眼剤をコントロールとした。点眼剤のpHは7だった。得られた点眼剤について、実施例9と同様に蛍光スペクトルの評価を行った。結果を図5に示す。結果は、「コントロール」として示されている。また、網膜組織については、共焦点レーザー顕微鏡による観察も行った。その結果を図6に示す。
図5および6より、実施例9の点眼剤では、二酢酸フルオレセインは前眼部および網膜組織の両方に移行し(移行したときには加水分解されてフルオレセインになっている)、前眼部への移行量が多いこと、また比較例6の点眼剤では、点眼剤が二酢酸フルオレセインを含有しないため、細胞等の自家蛍光による蛍光がわずかに検出されたことが分かる。そのため実施例9の点眼剤を使用することで検出された蛍光は、細胞等の自家蛍光でないことが分かる。
<各組織における蛍光スペクトルおよび蛍光強度の比較>
[実施例10]
4週齢のオスのラットの片眼に、上記<点眼剤の調製>で得られた点眼剤10μlを点眼した。5分後、ラットを麻酔死させ、点眼剤を点眼した眼を生理食塩水で十分に洗浄した後に摘出し、さらに生理食塩水で洗浄した。
洗浄した眼を速やかに凍結固化させ、つづいて該眼を切断して角膜、前房水、結膜、強膜(後眼部)、毛様体、水晶体、硝子体(前眼部)、硝子体(後眼部)および網膜と脈絡膜(後眼部)に分離し、そのそれぞれを水酸化ナトリウム水溶液(100mM)およびDMSO水溶液の混合液(体積比1:1)5mlと混合した。この混合液中で、二酢酸フルオレセインは加水分解後のフルオレセインの状態で存在し、また各試料は溶解した。
得られた試料溶液角膜、後眼部の網膜と脈絡膜について、蛍光スペクトル評価を行った。結果を図7(左側)に示す。また、各組織の試料溶液について、波長525nmにおける蛍光強度を測定した。結果を図7(右側)に示す。
図7(左側)より、実施例10の点眼剤では、二酢酸フルオレセインは角膜、および後眼部の網膜と脈絡膜の両方に移行し(移行したときには加水分解されてフルオレセインになっている)、移行量は角膜の方が多いことが分かる。また、図7(右側)より、本発明の点眼剤を点眼すると、二酢酸フルオレセインは、移行量に差はあるものの、後眼部を含めて眼の全体へ移行することがわかる。
<角膜および後眼部の網膜と脈絡膜における蛍光強度の経時変化および移行率の評価>
[実施例11〜14]
4週齢のオスのラットの片眼に、上記<点眼剤の調製>で得られた点眼剤10μlを点眼した。5(実施例11),30(実施例12),60(実施例13),120(実施例14)分後、ラットを麻酔死させ、点眼剤を点眼した眼を生理食塩水で十分に洗浄した後に摘出し、さらに生理食塩水で洗浄した。
洗浄した眼を速やかに凍結固化させ、つづいて該眼を切断して角膜および後眼部の網膜と脈絡膜を分離し、それぞれを、水酸化ナトリウム水溶液(100mM)とDMSO水溶液の混合液(体積比1:1)5mlと混合した。この混合液中で、二酢酸フルオレセインは加水分解後のフルオレセインの状態で存在し、また各試料は溶解した。
得られた試料溶液について波長525nmにおける蛍光強度を測定した。結果を図8に示す。
図8より、点眼剤を投与すると、5分で二酢酸フルオレセインは角膜(図8左)および後眼部の網膜と脈絡膜(図8右)に移行することが分かる(移行したときには加水分解されてフルオレセインになっている)。
次に、二酢酸フルオレセインの濃度と蛍光強度の関係を表す検量線から(図9)、実施例1、10、および比較例1〜3における眼球全体、角膜、後眼部の網膜と脈絡膜における二酢酸フルオレセインの濃度を求めた。その濃度と点眼剤中の二酢酸フルオレセインの濃度から、点眼剤点眼後30分における眼球、および点眼剤点眼後5分における角膜、後眼部の網膜および脈絡膜への二酢酸フルオレセインの移行率を求めた。結果を下記表1に示す。なお、比較例1および3の移行率が表示されておらず、また比較例2の角膜移行率および後眼部の網膜と脈絡膜への移行率が表示されていないのは、移行率を算出するに十分な蛍光強度が得られなかったからである。
<共焦点レーザー顕微鏡を用いた角膜組織の蛍光観察>
[実施例15〜18]
4週齢のオスのラットの片眼に、上記<点眼剤の調製>で得られた点眼剤10μlを点眼した。0.5時間後、ラットを麻酔死させ、点眼剤を点眼した眼を生理食塩水で十分に洗浄した後に摘出し、さらに生理食塩水で洗浄した。該眼の角膜部位(角膜上皮表層細胞(実施例15)、角膜上皮基底細胞(実施例16)、角膜実質細胞(実施例17)、および角膜内皮細胞(実施例18))について、共焦点レーザー顕微鏡で蛍光観察を行った。励起光源として波長488nmのアルゴンレーザーを使用した。結果を図10に示す。
図10より、本発明の蛍光イメージング剤を使用することで、該眼の眼球の形状を維持したまま、角膜の構造を断層的に蛍光観察できることが分かる。
<デキサメタゾンのプロドラッグを含む点眼剤の眼内移行性の定量評価>
[実施例19]
<薬剤ナノ粒子の作成>
デキサメタゾン・ソルビン酸エステル(下記式参照、以下「デキサメタゾン誘導体」とも言う。溶解度は1.2X10-3g/L、ACD/Solubility DB(Advanced chemistry development社製)により計算)20mgをエタノール1gに溶解し、得られた溶液100mgを、口径0.41mmのシリンジ針で、マグネチックスターラーで攪拌中(攪拌速度:1200rpm)の水10g中に注入してナノ粒子分散液を得た。デキサメタゾン・ソルビン酸エステル誘導体からは加水分解後、デキサメタゾン(溶解度は0.035g/L、ACD/Solubility DB(Advanced chemistry development社製)により計算)が生じる。
ナノ粒子の粒子サイズを走査型電子顕微鏡および動的光散乱法により測定したところ、個々の粒子サイズ(粒子径)は10nm以上500nm以下だった。
デキサメタゾン誘導体ナノ粒子の電子顕微鏡写真を図11に示す。
<点眼剤の調製>
得られたナノ粒子分散液(10g)に2重量%PVP水溶液(1g)を加えたのち、凍結乾燥しエタノールを除去しナノ粒子の紛体を得た。つづいて凍結乾燥して得られたナノ粒子の粉体を、食塩を含有する1gの水と混合しナノ粒子粉体を水中に再分散させた。最終的な各成分の濃度が、デキサメタゾン誘導体が0.2重量%、食塩が0.9重量%、PVPが2重量%になるようにして点眼剤を得た。
<デキサメタゾン誘導体ナノ粒子点眼剤の眼内移行評価>
4週齢のオスのラットの片眼に、前記<点眼剤の調製>で得られた点眼剤10μlを点眼した。5分後、ラットを麻酔死させ、点眼剤を点眼した眼を生理食塩水で十分に洗浄した後に摘出し、さらに生理食塩水で洗浄した。
洗浄した眼を500μlのDMSOと混合し、この溶液に超音波処理を施した(60分)。つづいてこの溶液を孔径0.2μmのシリンジフィルターに通した。
得られた試料溶液について、高速液体クロマトグラフィー(High performance liquid chromatography: HPLC)評価を行った。図12(左)にデキサメタゾン標準品由来のクロマトグラムを示す。実施例19の結果(クロマトグラム)を図12(右)に示す。実施例19の点眼剤を点眼した眼を含む試料溶液においても、デキサメタゾン標準品と同様のデキサメタゾン由来のピークが検出されたことから、デキサメタゾンが眼球内に移行していることがわかった。
コントロールとして、デキサメタゾンを含まない点眼剤をラットに点眼し、同様にHPLC評価を行ったところ、わずかなピークが検出された(図14参照)。これは、デキサメタゾンと同じリテンションタイムを有する眼球由来の何らかの化合物が微量に検出されたものと推測される。
[比較例7]
デキサメタゾンの粉体を、食塩を含有し、PVPを2重量%の濃度で含有する水溶液と混合し、超音波処理によりマイクロ粒子水分散液を得た。この分散液において、最終的な各成分の濃度を、デキサメタゾンが0.2重量%、食塩が0.9重量%、PVPが2重量%になるようにして点眼剤を得た。得られた点眼剤(点眼剤中の個々の粒子の粒子サイズ(粒子径)は1μm以上100μm以下)について、実施例19と同様にラットに点眼を行い、HPLCの評価を行った。
点眼後の眼球内におけるデキサメタゾン含有量について、ナノ粒子点眼剤(実施例19)とマイクロ粒子点眼剤(本比較例)を比較した結果を図13及び図14に示す。図14において、いちばん左のaの棒グラフが実施例19の結果を、左から2番目のbの棒グラフが本比較例の結果を示す。なお、デキサメタゾン含有量はHPLC測定で得られたスペクトルの面積で表示した。
図13および14より、ナノ粒子点眼剤の場合、マイクロ粒子点眼剤より眼内移行性が高いことが分かる。これらの実施例および比較例により、眼内移行性を高めた本発明の点眼剤が有効であることが示された。
[比較例8]
デキサメタゾン誘導体を、食塩を含有し、PVPを2重量%の濃度で含有する水溶液と混合し、超音波処理によりマイクロ粒子水分散液を得た。この分散液において、最終的な各成分の濃度を、デキサメタゾン誘導体が0.2重量%、食塩が0.9重量%、PVPが2重量%になるようにして点眼剤を得た。得られた点眼剤(点眼剤中の個々の粒子の粒子サイズ(粒子径)は1μm以上100μm以下)について、実施例19と同様にラットに点眼を行いHPLCの評価を行った。
点眼後の眼球内におけるデキサメタゾン含有量については、HPLC測定で得られたスペクトルの面積から検量線(図15参照)を用いて試算した。しかしながら、デキサメタゾン誘導体マイクロ粒子点眼剤(本比較例)の場合、検量できる十分な量のデキサメタゾンの眼内移行は認められなかった。一方実施例19の点眼剤(デキサメタゾン誘導体ナノ粒子点眼剤)の結果についても同様の試算を行ったところ、眼内移行性を認め、その量は1.06±0.34μg/g tissueであった。
以上の結果を下記表2にまとめる。
デキサメタゾン誘導体マイクロ粒子点眼剤で眼内移行が認められないことは、デキサメタゾン誘導体マイクロ粒子点眼剤から得られるHPLCピーク面積(図14の左から3番目のcの棒グラフ)が、デキサメタゾンを含まない点眼剤(コントロール:食塩0.9重量%、PVP2重量%のみ含有;図14のいちばん右のd、)から得られるピーク面積と、ほぼ同じくらいの面積値を有することからも確認できる。
さらに図14のa(一番左の棒グラフ、実施例19の点眼剤のHPLC評価結果である)とc(左から3番目の棒グラフ、比較例8の点眼剤のHPLC評価結果である)との比較から、デキサメタゾンの眼内移行性を向上させるためには、薬剤のプロドラッグ化だけでなく、薬剤のナノ粒子化が重要であることがわかる。
11 角膜
12 虹彩
13 毛様体
14 強膜
15 脈絡膜
16 網膜
17 中心窩
18 視神経
19 円板陥凹
20 硝子体
21 水晶体
22 眼球結膜
23 後眼房
24 前眼房

Claims (4)

  1. 加水分解反応を受けて疎水性もしくは脂溶性(20℃の水への溶解度が0.01g/L未満である性質)から親水性もしくは水溶性(20℃の水への溶解度が0.01g/L以上である性質)に変化するプロドラッグからなる粒子を含む点眼剤であって、
    前記粒子の粒子サイズが、10nm以上1μm未満であることを特徴とする、後眼部に薬物を投与する必要がある疾患の治療に使用される点眼剤。
  2. 前記粒子の粒子サイズが、10nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の点眼剤。
  3. 前記プロドラッグを、プロドラッグが溶解する溶媒1に溶解し、
    得られた溶液Aを、プロドラッグが溶解しない溶媒2と混合する工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の点眼剤の製造方法。
  4. 前記溶液Aを、液滴として前記溶媒2中に供給し、混合することを特徴とする請求項3に記載の点眼剤の製造方法。
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