JP5709369B2 - 空中の水滴および氷晶の機内検出のための装置および方法 - Google Patents

空中の水滴および氷晶の機内検出のための装置および方法 Download PDF

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Description

(関連出願の相互参照)
なし。
本発明は、航空機に搭載された、空中の液体の水滴および氷晶を検出するための機内センサに関する。
機内氷および氷結状態検出システムは、空中の液体の水滴と氷晶を区別することができなければならない。液体の水滴を氷晶と区別するための従来技術の手法では、偏光レーザビームからの後方散乱光の減偏光を測定する。
特許文献1は、航空機表面に付着した氷を検出するデュアルチャネル機内氷検出システムに関する。このシステムは、航空機上に取り付けられた直線偏光を用いて、氷収集面を照射する。この後方散乱光が、2つの導光体内に取得される。一方の導光体の偏光感度は透過光に合わせられており、第2の導光体の偏光感度は第1の導光体の偏向感度に直交する。氷の存在は、2つの導光体内の光強度の比の変化によって決定される。
特許文献2は、航空機に取付け可能な、航空機の前方の空域を機内で監視するための氷検出警報システムに関する。このシステムは、レーザ源からの第1の波長のパルスレーザビームを航空機の前方の空域内に向けるように構成された第1の複数の光学素子と、レーザビームから受け取った後方散乱光を複数の所定の波長に分離するように構成された第2の複数の光学素子と、分離した複数の波長の光をそれぞれ検出し、そしてそれにより検出された光を表すそれぞれ対応した電気信号を生成するための複数の光検出器と、これらの複数の電気信号を処理して、航空機の前方の空域の状態が航空機の表面に着氷を引き起こす可能性が高いかどうかを決定し、また、それに関して警報を発するための処理装置とを備える。
特許文献3は、航空機に搭載された、航空機の境界層の外側の氷結状態を検出するための光学装置に関する。同じく直線偏光を使用するこの装置は、水粒子で満たされた空気流がそこで循環する少なくとも1つの照射された外部測定体積を生成するための光学ビームエミッタを含む。また、水滴によって後方散乱された光ビームの少なくとも一部を収集するためのコレクタ光学系が含まれる(外部測定体積は、このコレクタ光学系の光学軸上に位置する)。光検出器を使用して後方散乱光を検出し、光検出器によって送達された信号を信号処理装置が処理して、氷結状態の重大度を算出する。コレクタ光学系は、収集された光の偏光を分析することによって液体の水滴と氷晶を区別する手段をさらに備える。氷結状態の計算された重大度についての情報が提供される。
図1は、特許文献3に従って作製された従来技術による光学装置100を示す。装置100は、放射サブシステム106、コレクタ光学サブシステム108、光検出サブシステム124、および電子回路154を含む。電源130は、放射サブシステム106、光検出サブシステム124、および電子回路154に必要な電力を供給する。
放射サブシステム106は、偏光レーザダイオード110(たとえば、可視域または近赤外域(400nmから1500nmの間)で放射する)と、視準光学ユニット112と、および偏向プリズム114とを備え、これにより、航空機の機窓Hを通って、航空機の外殻P上に位置するコレクタ光学系の光学軸AA’上で照射測定体積Vを生成する。通常、この放射手段は、航空機の外殻の外側へ約100mmの距離のところに光を放射することができる。これにより、適度なレベルの放射力を保持しながら、航空機の境界層の外側(測定に表れない領域)で測定を実施することができる。偏光量の範囲は1mm未満であり、すなわち、この値未満では、この測定体積内で2つの粒子を同時に有する確率はほとんどゼロであることがわかる。
コレクタ光学サブシステム108は、小径(10から20mm)を有する集束光学ユニット116と、太陽光照射のフィルタリングを可能にする狭帯域光学フィルタモジュール118(通常約10nmの帯域幅の範囲で動作)とを備える。コレクタ光学系はまた、偏光分離器122を備えることができる。偏光分離器122は、偏光分離キューブであっても、複屈折分離器であってもよい。
光検出サブシステム124は、交差偏光した光学ビームを回復させる2つの光検出器126および128を備える。液体の水滴によって後方散乱される光学ビームの偏光は、入射光学ビームの偏光と同一である。この後方散乱光学ビームに関連する第1の信号I1Lは、光検出器126で回復される。他方では、光検出器128は、実信号であり交差偏光に関連する第2の信号(I2L=0)を回復させる。
氷晶によって後方散乱される光学ビームの偏光は、入射光学ビームの偏光に関連して変更されている。測定体積内に粒子が入ると、2つの光検出器126および128は、それぞれ信号I1SおよびI2Sを回復させる。第1の光検出器126の出力は、第1のフィルタ136を通過し、次いで、第1の可変利得増幅器146を通過する。同様に、第2の光検出器の出力は、第2のフィルタ146を通過し、次いで第2の可変利得増幅器148を通過する。
電子回路154は、受信した信号の処理、例えば、加算、2つのチャネルの比較、氷結状態の重大度の算出などを実施する。電子回路154は、2つのチャネルで得られた信号を合計することによって、単位時間に通過する水滴の総体積を算出することができる。電子回路154はまた、2つのチャネルの信号間の比を算出することによって「減偏光」を算出し、したがって粒子の状態(すなわち、液体水と、氷水との比)を決定する。
特許文献4は、光を鏡面反射する表面で氷または雪などの減偏光する物質を検出するためのシステムに関する。特許文献4は、そのようなシステムと併せて円偏光を使用できることを開示している。
米国特許第7370525号明細書 米国特許第6819265号明細書 米国特許第6091335号明細書 米国特許第5617076号明細書
一態様では、本発明は、円偏光を使用し、また照射部および検出部を備える空中水滴および氷晶センサを対象とする。照射部は、光ビームを出力するように構成された第1の光学ビームエミッタと、光ビームを受け取って、直線偏光した照射ビームを出力するように構成された第1の直線偏光器と、直線偏光した照射ビームを受け取って、円偏光した照射ビームを出力するように構成された第1の円偏光素子とを備える。検出部は、円偏光した後方散乱光に中を通過させるように構成された窓と、この窓を通過した円偏光した後方散乱光を受け取って、直線偏光した後方散乱光を出力するように構成された第2の円偏光素子と、直線偏光した後方散乱光を、直線偏光した後方散乱光の第1の成分と直線偏光した後方散乱光の第2の成分とに分割するように構成された第1の偏光ビームスプリッタと、直線偏光した後方散乱光の第1の成分を検出し、それに応答して第1の信号を出力するように構成された第1の光検出器と、直線偏光した後方散乱光の第2の成分を検出し、それに応答して第2の信号を出力するように構成された第2の光検出器とを備える。
別の態様では、本発明は、航空機から、雲の中の氷晶を検出する方法を対象とする。この方法は、雲の中に円偏光した照射ビームを放射するステップと、この照射ビームに応答して、雲の中の水分から円偏光した後方散乱光を受け取るステップと、前記円偏光した後方散乱光に円偏光器を通過させて、直線偏光した後方散乱光を形成するステップと、前記直線偏光した後方散乱光を、直線偏光した後方散乱光の第1の成分と直線偏光した後方散乱光の第2の成分とに分割するステップと、前記直線偏光した後方散乱光の第1の成分を光学的に検出し、それに応答して第1の検出信号を出力し、また前記直線偏光した後方散乱光の第2の成分を光学的に検出し、それに応答して第2の検出信号を出力するステップと、前記第1および第2の検出信号に基づいて、雲の中の氷の存在を反映する少なくとも1つのパラメータを計算するステップとを含む。
さらに別の態様では、本発明は、同じく照射部および検出部を備える空中水滴および氷晶センサを対象とする。照射部は、直線偏光した照射ビームを出力するように構成された第1の光学ビームエミッタと、直線偏光した照射ビームをセンサの光学照射軸に沿って反射するように構成された第1の反射器とを備える。検出部は、直線偏光した後方散乱光に中を通過させるように構成された窓と、直線偏光した後方散乱光を、直線偏光した後方散乱光の第1の成分と直線偏光した後方散乱光の第2の成分とに分割するように構成されたビームスプリッタと、直線偏光した後方散乱光の第1の成分を検出するように構成された第1の光検出器と、直線偏光した後方散乱光の第2の成分を検出するように構成された第2の光検出器とを備える。
航空機上の氷結状態を検出するための従来技術の光学装置を示す図である。 直線偏光のみを使用して空中の水分を検出するための光学装置の概略図である。 円偏光を使用して空中の水分を検出するための光学装置の概略図である。 図3に概略的に示す光学装置に対応する例示的な配置図である。
本発明を理解するのに必要な範囲内で、前述の特許文献3、特許文献2、特許文献1、および特許文献4を、参照により本明細書に組み込む。
一般に、レーザ光などの照射光による球状の水滴からの直接反射は、純粋に鏡面反射であるが、氷晶からの反射は異なる。
水滴は、理論上は、完全な鏡のように作用して、その水滴自体に反射したレーザ光を、偏光状態を変えることなく後方散乱させる。入射光が水平または垂直に偏光される場合、反射光も同様に、水平または垂直に偏光される。したがって、後方散乱した偏光は、減偏光の程度が比較的低ければ、液体の水雲を示す。円偏光の場合、回転電場の方向は反射により変化しないが、入射波のポインティングベクトルの変化は、円偏光の向きを変化させる。したがって、右円偏光した入射ビームは反射すると左円偏光し、その逆も同様である。
一方、氷晶は、一つは氷晶の小面からの多重内部反射により、また一つは氷の複屈折により、反射光の偏光状態を変える傾向がある。入射光が純粋な偏光状態にあるとき、空中の氷晶からの反射光は、2つの直交する偏光状態の混合になる。後方散乱光の直交する偏光状態をどちらとも監視することによって、水滴を氷晶と区別することが可能である。
残念なことに、この簡単な概念は、レーザビームが、柔らかいが光学的に厚い雲などの標的を透過するときはいつも複雑になる。本明細書の文脈において、「雲」は、肉眼に見えるなじみのある組成物を包含するだけでなく、積雲など、より低い位置の雲からの上昇気流の結果生じうる高高度で見られる水滴の群および氷晶の塊も含むことが理解される。
直接後方散乱に加えて、光は、水滴のサイズとレーザ波長との比が1に近くまたは1よりわずかに大きいときはいつも、著しく小さい角度の前方散乱を受ける。この作用は、ミー散乱と呼ばれる。大部分の雲では、水滴は、1から10ミクロンの範囲であり、一方、可視波長および近赤外波長は、一般的に、0.4から2.0ミクロンの範囲である。空中の水滴は、可視および近赤外光学センサに対してミー散乱を発生させる。前方散乱光は最終的に、投影レーザビームに一致する受光器の方へ後方散乱することがある。このとき、その偏光状態は、光が前方散乱しないで水滴から直接反射した場合に生じたであろう状態とは変わることとなりうる。この一連の前方散乱事象と、それに続く単一の後方散乱は多重散乱と呼ばれ、球状の水滴からの単一の散乱事象によって生成される信号とはまったく異なる減偏光した信号を生成する。
図2は、直線偏光のみを使用する第1の装置200の概略図を示す。装置200は、照射部210および検出部230を含む。
照射部210は、直線偏光した照射ビーム214(円およびクロスハッチで表す)を出力するように構成された光学ビームエミッタ212を含む。一実施形態では、光学ビームエミッタ212は、レーザを備えることができ、他の実施形態では、出力が直線偏光素子を通過するフォトダイオードを備えることができる。図示の実施形態では、照射部210はまた、直線偏光した照射ビーム214を装置210の光学照射軸Aに沿って雲202の方向に反射するように構成された第1の偏光反射器220を含む。
直線偏光した照射ビーム214を雲202の方向に向けるように装置200が示されているが、使用中、装置200は、雲の中を通過することがある航空機上に取り付けられることが理解されよう。また、ここで、装置200は通常、10から20メートルの範囲で雲の氷を検出するように構成されることに留意されたい。当業者には周知の通り、この範囲は、光学ビームエミッタ212によってレーザパルスを放射してから検出部によってレーザエコーを受け取るまでの時間遅延によって決定される。
直線偏光した照射ビーム214は、雲202の中の空間体積を照射する。それに応答して、雲202の中のその瞬間の空間体積内の水分が、照射ビーム214の後方散乱を引き起こし、それによって、装置200の方向に進む直線偏光した後方散乱光222が生成される。
装置の検出部230は、直線偏光した後方散乱光222が通過するように構成された窓232を含む。図示の実施形態では、直線偏光した後方散乱光222はまず、装置200の窓232を通って、偏光ビームスプリッタ234の方へ進む。偏光ビームスプリッタ234に到達する前に、この後方散乱光は、後方散乱光222を集束させるための第1のレンズ236、および視準レンズ238を通過する。
偏光ビームスプリッタ234は、直線偏光した後方散乱光222を、直線偏光した後方散乱光の第1の成分240と直線偏光した後方散乱光の第2の成分250とに分割するように構成される。直線偏光した後方散乱光の第1の成分240は、第1の集光レンズ242を通過して第1の光検出器244上に集束する。同様に、直線偏光した後方散乱光の第2の成分250は、第2の集光レンズ252を通過して第2の光検出器254上に集束する。特に、図示の実施形態では、偏光ビームスプリッタ234は、直線偏光した照射光214に平行な偏光を第1の検出器244(「平行検出器」)の方へ反射させ、また直線偏光した照射光214に直交する偏光を第2の検出器254(「直交検出器」)の方へ通過させる。
各検出器244、254の出力は通常、追加の信号処理動作246、256を受ける。これらの動作は、当業者には周知の通り、フィルタリングおよび増幅を含むことがある。次いで、この出力は、雲202の中の氷の存在を反映する1つまたは複数のパラメータを計算するための回路260に入力される。一実施形態では、回路260は、特定用途向け集積回路(ASIC)またはプロセッサを備えることができる。別の実施形態では、回路260は、比較器、加算器などのディスクリート論理回路を備えることができる。さらに、回路260内にすでに組み込まれていない場合、アナログ−デジタル変換器なども含むことができることが理解される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のパラメータは、出力の比を含むことができる。他の実施形態では、1つまたは複数のパラメータは、出力の比較を含むことができる。より複雑な他のパラメータも可能である。
直線偏光の場合、回路260は、減偏光パラメータδを、透過した偏光に直交する受け取った偏光の強度と、透過した偏光に平行な受け取った偏光の強度との比として簡単に計算することができる。
Figure 0005709369
減偏光が存在しない場合、受け取った直線偏光は透過光と同一であり、減偏光パラメータδはゼロである。完全な減偏光の場合、このパラメータは1である。混合した状態の雲は、これらの2つの両端の間のうちのいずれかのパラメータを生じる。光学的に厚い水雲の場合、減偏光はゼロより大きくなり、この数は、多重散乱が多くなるにつれて増える。純粋な水雲を純粋な氷雲と区別するには、雲の厚さとともに変動するパラメータの閾値を確立する必要がある。そのようなパラメータと比較した後、回路260は、1つまたは複数の信号270を出力して、決定を示したり警報を発したりすることができる。
空中水滴および氷晶センサ内で円偏光を利用して、水雲と氷雲を区別するのに役立てることができる。
雲が水滴から構成される場合、多重散乱の有無にかかわらず、円偏光の基本的な「向き」は変化しない。照射ビームが右円偏光(「RHC」)である場合、純粋な水雲からの後方散乱光は、左円偏光(「LHC」)した成分のみを有する。多重散乱は、光を楕円偏光させる直線成分を導入することによって、この光の偏光純度を低下させる。しかし、この光がストークス成分に分解されると、雲が完全に液体の水滴から構成される限り、円形成分は、右円偏光ではなく、左円偏光である。
雲が完全に氷晶から構成される場合、多重散乱により、または氷晶の複屈折により導入される他の直線成分の有無にかかわらず、ストークスベクトルの円形成分は右円偏光である。したがって、ストークスベクトルの第4の成分が監視される場合、純粋な氷晶雲が存在すると、円偏光の方向または向きのはっきりとした明白な「反転」を示す。
図3は、円偏光を使用する本発明による装置300の概略図を示す。装置300は、2つの直線偏光器314、348および円偏光素子316、333が存在することを除いて、装置200に類似している。円偏光素子316、333は、2つの4分の1波長板の形であり、これらの機能については、以下に説明する。装置200と同様に、装置300は、照射部310および検出部330を含む。
照射部310は、第1の光ビームを出力する光学ビームエミッタ312を含む。光学ビームエミッタ312は、レーザ、または、出力が直線偏光である発光ダイオードを備えることができる。照射側の直線偏光器314は、光学ビームエミッタ312から第1の光ビーム(すでに直線偏光していることがある)を受け取り、かつ直線偏光した照射ビームを出力することによって、高い偏光純度を確保するのに役立つ。一実装形態では、照射側の直線偏光器314は、コロラド州フレデリック(米国)のMeadowlark Opticsから入手可能な型番DP−050−NIR2−2である。
いくつかの実施形態では、直線偏光した照射ビームはまず、第1の円偏光素子316へ提示される前に、照射側の偏光ビームスプリッタキューブ315(図4参照)によって反射される。一実装形態では、照射側の偏光ビームスプリッタキューブ315は、コロラド州フレデリック(米国)のMeadowlark Opticsから入手可能な型番BB−050−IR2である。
第1の円偏光素子316は、直線偏光した照射ビームを受け取って、それを円偏光した照射ビーム318に変換する。一実施形態では、円偏光素子316は、直線偏光を円偏光に変換する4分の1波長板を備える。一実装形態では、4分の1波長板316は、コロラド州フレデリック(米国)のMeadowlark Opticsから入手可能な型番CP−050−905である。
図示の実施形態では、照射部310はまた、円偏光した照射ビーム318を装置310の光学照射軸Aに沿って雲302の方向に反射するように構成された反射器320を含む。反射器320は、円偏光を変えてはならない。一実施形態では、反射器は、1つのプロトタイプでは400:1より良好な円偏光純度をもたらした標準的な保護膜付き金ミラーを備える。
装置300は、円偏光した照射ビーム318を雲302の方向に向けていることが示されているが、使用中、装置300は、雲の中を通過していることがある航空機上に取り付けられることが理解される。また、ここでは、装置300は通常、10から20メートルの範囲で雲の氷を検出するように構成されることに留意されたい。当業者には周知の通り、この範囲は、光学ビームエミッタ312に用いられるパルスの持続時間およびタイミング、ならびに検出部330に関連するタイミングによって決定される。
円偏光した照射ビーム318は、雲302の中の空間体積を照射する。それに応答して、雲302の中のその瞬間の空間体積内の水分が、円偏光した照射ビーム318の後方散乱を引き起こし、それによって、装置300の方向に進む円偏光した後方散乱光322を発生させる。
装置の検出部330は、円偏光した後方散乱光322に中を通過させるように構成された窓332を含む。図示の実施形態では、円偏光した後方散乱光322はまず、窓332を通って、第2の円偏光素子333の方へ進む。第2の円偏光素子333もまた、4分の1波長板とすることができる。
第2の円偏光素子333は、窓332を通過した円偏光した後方散乱光を受け取って、直線偏光した後方散乱光を出力する。第2の円偏光素子333に到達する前に、後方散乱光322は、後方散乱光322を集束させるための第1のレンズ336、および視準レンズ338を通過する。
一実施形態では、視準レンズ338は、米国ニュージャージー州ニュートンの Thor Labsから入手可能な部品番号SM1V10などの長さ調整可能な鏡筒内に取り付けられる。長さ調整可能な鏡筒は、第2の部分に対して軸方向に進むねじ切れた第1の部分を有する。これにより、双方向矢印338aによって表すように、視準レンズの軸方向の位置をセンサの光学軸Aに沿って調整することができる。この特徴により、使用者は、視準レンズ338と第1のレンズ336の間の距離を制御することができ、それによって、その公称動作範囲で散乱光を効率的に収集するように装置300を構成することができる。一実施形態では、この公称動作範囲は、約10から約20メートルである。装置200内の視準レンズ238も同様に、軸方向に調整可能であることが理解される。
検出側の偏光ビームスプリッタキューブ334は、第2の円偏光素子333からの直線偏光した後方散乱光を、直線偏光した後方散乱光の第1の成分340と直線偏光した後方散乱光の第2の成分340とに分割するように構成される。
一実施形態では、直線偏光した後方散乱光の第1の成分340は、検出側の直線偏光器348および第1の集光レンズ342を通過し、第1の集光レンズ342は、直線偏光した後方散乱光の第1の成分340を第1の光検出器344上に集束させる。同様に、直線偏光した後方散乱光の第2の成分350は、第2の集光レンズ352を通過し、第2の集光レンズ352は、第2の成分350を第2の光検出器354上に集束させる。
各光検出器344、354の出力は通常、追加の信号処理動作346、356を受ける。これらの動作は、当業者には周知の通り、フィルタリングおよび増幅を含むことがある。次いで、この出力は、雲302の中の氷の存在を反映する1つまたは複数のパラメータを計算するための回路360に入力される。一実施形態では、回路360は、特定用途向け集積回路または処理装置を備えることができる。別の実施形態では、回路360は、比較器、加算器などのディスクリート論理回路を備えることができる。さらに、回路360内にすでに組み込まれていない場合、アナログ−デジタル変換器なども含むことができることが理解される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のパラメータは、出力の比を含むことができる。他の実施形態では、1つまたは複数のパラメータは、出力の比較を含むことができる。より複雑な他のパラメータも可能である。何らかのそのようなパラメータを計算した後、回路360は、1つまたは複数の信号370を出力して、決定を示したり警報を発したりすることができる。
図4は、図3に示す空中雲氷検出装置300と実質上同じ構成要素を有する装置400の例示的な配置を示す。図4でわかるように、円形にしかつ視準する光学部品313を使用して、光学ビームエミッタ312からの光を照射側の直線偏光器314に結合させることができる。さらに、照射側の偏光ビームスプリッタキューブ315は、照射側の直線偏光器314の出力を反射器320の方へ向け直す。
一実施形態では、検出側の偏光ビームスプリッタキューブ334は、透過ビームに対して高いコントラスト比(200:1)を有し、反射ビームに対して低いコントラスト比(20:1)を有する。透過光と同じ偏光を有する著しい量の光が常に受け取られることから、この偏光は、コントラスト比が低く、そして第1の光検出器344に関連する反射チャネル(「LHCチャネル」)内に渡される。氷晶の存在を特徴付ける直交偏光は、コントラスト比が高く、そして第2の光検出器354に関連する直接チャネル(「RHCチャネル」)内に渡される。この基本原理は、雲の中で液体の水ほど行きわたっていない可能性が高い氷の存在を正確に検出するには高いコントラストが必要とされるということである。「水」チャネルの低いコントラスト比を補償するために、追加の直線偏光器348が加えられて、この比を改善する。プロトタイプシステムの偏光測定では、「氷」検出(RHC)チャネルに対して400:1より良好なコントラスト比を示し、また「水」検出(LHC)チャネルに対して50:1より良好なコントラスト比を示す。これらのチャネルは、純粋な水滴雲および純粋な氷晶雲に対して、より大きな信号を示すことが予想されるチャネルに従って、「水検出」および「氷検出」としてラベル付けされる。これらは、直線偏光方式では、それぞれ「平行」および「垂直」偏光チャネルに対応する。しかし、LHCチャネルに対するコントラスト比の方がより高い場合、検出側の直線偏光器348は必要とされない可能性があることが理解される。
薄い水雲では、照射ビームが右円偏光(「RHC」)である場合、反射光は左円偏光(「LHC」)である。さらに、4分の1波長板333が正しく設定された(すなわち、板の「速軸」がビームスプリッタキューブの偏光軸に対して45°の角度である)場合、受け取った光はすべて、直線偏光に変換されて、第1の検出器344(「LHC」)に入る。
装置300では、円偏光でない光はどれも、やはり第2の円偏光素子333を通過して、その対応する平行の直線成分と垂直の直線成分に分割される。したがって、多重散乱が存在するとき、装置300ではやはり、チャネル間の「クロストーク」を示すことがある。しかし、円偏光の方向は重要なパラメータであり、雲が完全に水から構成される場合は変化しない。
第4のストークス成分V(円偏光の方向を指定する)は、次の関係式を使用して、2つの検出器344、354における信号から導出することができる。
Figure 0005709369
上式で、ILHCおよびIRHCは、それぞれ検出器344、354で受け取る強度に対応する。線形系の場合のなじみのある減偏光比δで表すと、次の通りである。
Figure 0005709369
Vに対する等式が示すように、記号Vは、δ(2つの直交する信号の比)が1を通過すると変化する。2つの信号が比較器の入力に渡された場合、水から氷への遷移により、光または警報音などの簡単なインジケータを作動させて、空中の氷晶の存在を示すことができる。さらに、比較器は、どのような所望の条件(純粋な氷または混合相)にでも閾値警報を発するように変えることができる。たとえば、純粋な氷晶雲のみが飛行にとって危険であると見なす場合、Vの値を約0.27にするべきであり、この比較器は、RHC信号とLHC信号の比(δ)が1.7を超えたときのみ警報することができる。
警報に対する閾値を設定する1つの簡単な方法は、4分の1波長板333の速軸と、センサの光学軸の周りの検出側の偏光ビームスプリッタキューブ334との間の相対的な角度を変えることである。4分の1波長板333は、板の速軸の向きにかかわらず、円偏光を、2つの等しい直線偏光の直交成分に変換する。しかし、4分の1波長板333の後の検出側の偏光ビームスプリッタキューブ334の相対的な向きは、2つの検出器344、354に入る直線偏光の成分の相対的な割合を制御する。たとえば、雲が完全に氷晶から構成される場合、4分の1波長板333の速軸が検出側の偏光ビームスプリッタキューブ334の軸に対して45°であれば、RHC検出器354(氷検出チャネル)の信号とLHC検出器344(水検出チャネル)の信号の比は1.7である。速軸の角度がLHC検出器344の方へ回転した場合、検出側の偏光ビームスプリッタキューブ334に入る光の直線偏光軸も回転して、2つの検出器344、354内で2つのほぼ等しい信号を生成する。そのような場合、回路360は、これらの信号が等しいときはいつも氷雲の存在を示す閾値警報を送る非常に簡単で安価な比較器を備えることができる。4分の1波長板333の厳密な回転角度は、実験的に決定されるべきであるが、所望の閾値にかかわらず、その原理は同じである。
本発明について、複数の態様および実施形態に関連して本明細書で説明したが、これらの態様および実施形態は例として提示されており、本発明を限定するものではないことが理解される。したがって、本発明は、いかなる特定の実施形態または態様にも限定されるものではなく、本明細書に添付の特許請求の範囲の記述に従って幅広い範囲で解釈されるべきである。

Claims (14)

  1. 空中水滴および氷晶センサであって、
    光ビームを出力するように構成された第1の光学ビームエミッタ、
    前記光ビームを受け取り、直線偏光した照射ビームを出力するように構成された第1の直線偏光器、および
    前記直線偏光した照射ビームを受け取り、円偏光した照射ビームを出力するように構成された第1の円偏光素子
    を備える照射部と、
    円偏光した後方散乱光を通過させるように構成された窓、
    前記窓を通過した前記円偏光した後方散乱光を受け取り、直線偏光した後方散乱光を出力するように構成された第2の円偏光素子、
    前記直線偏光した後方散乱光を、前記円偏光の左円偏光成分が直線偏光された後方散乱光の第1の成分と前記円偏光の右円偏光成分が直線偏光された後方散乱光の第2の成分とに分割するように構成された第1の偏光ビームスプリッタ、
    前記直線偏光した後方散乱光の第1の成分を検出し、それに応答して第1の信号を出力するように構成された第1の光検出器、
    前記直線偏光した後方散乱光の第2の成分を検出し、それに応答して第2の信号を出力するように構成された第2の光検出器、
    前記第1の偏光ビームスプリッタと前記第1の光検出器との間に配置され、前記第1の光検出器による検出の前に前記直線偏光した後方散乱光の第1の成分をさらに直線偏光させるように構成される第2の直線偏光器、および
    前記第1および第2の光検出器によってそれぞれ出力された前記第1および第2の信号を受け取り、前記第1および第2の信号に基づいて、氷状態を反映する少なくとも1つのパラメータを計算するように構成されたプロセッサ、
    を備える検出部と
    を備えることを特徴とする空中水滴および氷晶センサ。
  2. 前記円偏光した照射ビームを前記センサの光学照射軸に沿って反射するように構成された反射器をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の空中水滴および氷晶センサ。
  3. 前記第1の円偏光素子は、第1の4分の1波長板を備え、また
    前記第2の円偏光素子は、第2の4分の1波長板を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の空中水滴および氷晶センサ。
  4. 前記第1の光学ビームエミッタは、出力が直線偏光である発光ダイオードを備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の空中水滴および氷晶センサ。
  5. 前記第1の光学ビームエミッタはレーザを備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の空中水滴および氷晶センサ。
  6. 前記窓と前記第2の円偏光素子との間に置かれた第1のレンズと、
    前記第1の直線偏光器と前記第1の光検出器との間に置かれた第2のレンズと、
    前記第2の直線偏光器と前記第2の光検出器との間に置かれた第3のレンズと
    をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の空中水滴および氷晶センサ。
  7. 前記第1のレンズと前記第2の円偏光素子との間に置かれた視準レンズ
    をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の空中水滴および氷晶センサ。
  8. 前記視準レンズの位置は、前記センサの光学軸に沿って軸方向に調整可能である
    ことを特徴とする請求項7に記載の空中水滴および氷晶センサ。
  9. 前記第2および第3のレンズは、集光レンズである
    ことを特徴とする請求項6に記載の空中水滴および氷晶センサ。
  10. 前記窓と前記第2の円偏光素子との間に置かれた第1のレンズと、
    前記第1の直線偏光器と前記第1の光検出器との間に置かれた第2のレンズと、
    前記第2の直線偏光器と前記第2の光検出器との間に置かれた第3のレンズと、
    前記第1のレンズと前記第2の円偏光素子との間に置かれた視準レンズと
    をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の空中水滴および氷晶センサ。
  11. 前記視準レンズの位置は、前記センサの光学軸に沿って軸方向に調整可能である
    ことを特徴とする請求項10に記載の空中水滴および氷晶センサ。
  12. 航空機から雲の中の氷晶を検出する方法であって、
    雲の中に円偏光した照射ビームを放射するステップと、
    前記照射ビームに応答して、前記雲の中の水分から円偏光した後方散乱光を受け取るステップと、
    前記円偏光した後方散乱光に円偏光器を通過させて、直線偏光した後方散乱光を形成するステップと、
    前記直線偏光した後方散乱光を、前記円偏光の左円偏光成分が直線偏光された後方散乱光の第1の成分と前記円偏光の右円偏光成分が直線偏光された後方散乱光の第2の成分とに分割するステップと、
    前記直線偏光した後方散乱光の第1の成分を光学的に検出し、それに応答して第1の検出信号を出力し、また前記直線偏光した後方散乱光の第2の成分を光学的に検出し、それに応答して第2の検出信号を出力するステップと、
    前記第1および第2の検出信号に基づいて、前記雲の中の氷の存在を反映する少なくとも1つのパラメータを計算するステップと
    を含み、
    前記直線偏光した後方散乱光の第1の成分は、光検出の前にさらなる直線偏光を受ける
    ことを特徴とする方法。
  13. 空中水滴および氷晶センサであって、
    直線偏光した照射ビームを出力するように構成された第1の光学ビームエミッタ、および
    前記直線偏光した照射ビームを前記センサの光学照射軸に沿って反射するように構成された第1の反射器
    を備える照射部と、
    直線偏光した後方散乱光を通過させるように構成された窓、
    前記直線偏光した後方散乱光を、前記直線偏光した照射ビームに平行な第1の成分と前記直線偏光した照射ビームに直交する第2の成分とに分割するように構成されたビームスプリッタ、
    前記窓と前記ビームスプリッタとの間に置かれ、長さが調整可能な鏡筒に搭載され、前記センサの光学軸に沿って軸方向に調整可能である視準レンズ、
    前記直線偏光した後方散乱光の第1の成分を検出するように構成された第1の光検出器、
    前記直線偏光した後方散乱光の第2の成分を検出するように構成された第2の光検出器、および
    前記ビームスプリッタと前記第1の光検出器との間に配置され、前記第1の光検出器による検出の前に前記直線偏光した後方散乱光の第1の成分をさらに直線偏光させるように構成される直線偏光器
    を備える検出部と
    を備えることを特徴とする空中水滴および氷晶センサ。
  14. 前記第1および第2の光検出器からの出力を受け取り、氷晶状態を反映する少なくとも1つのパラメータを計算するように構成されたプロセッサ
    をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の空中水滴および氷晶センサ。
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