JP5709219B2 - 金−銀コアシェルナノロッド粒子及びその製造方法 - Google Patents

金−銀コアシェルナノロッド粒子及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金−銀コアシェルナノロッド粒子及びその製造方法に関する。
金ナノロッド粒子はロッド形状(棒状)の金ナノ粒子であり、可視光域(〜520nm)と近赤外域(〜900nm)との2つの波長域に吸収をもつ。これらはそれぞれ短軸方向及び長軸方向の表面プラズモン共鳴に由来するもので、近赤外域の吸収は金ナノロッド粒子に特有のものである。また、吸収された光エネルギーは熱に変換され、これをフォトサーマル効果と呼ぶ。近赤外域は生体透過性が高いため、金ナノロッド粒子は、その強い近赤外吸収能を活かしたバイオイメージングや、発生する熱を利用したフォトサーマル治療への応用が期待されている(非特許文献1,2)。
近年になり、金ナノロッド粒子をコアとし、その表面を銀からなるシェル層で被覆した金−銀コアシェルナノロッド粒子も報告されている(非特許文献3)。銀で被覆することにより、粒子の吸収域はブルーシフトする。また、銀の固有プラズモン吸収は金よりも大きいため、銀で被覆することによりフォトサーマル効果を増強させることができる。
Drug Deliv. Syst., Vol.24, No.3, p.260 J. Am. Chem. Soc., Vol.130, No.32, p.10643−10647 Chem. Lett., Vol.38, No.1, p.60−61
ところで、金ナノロッド粒子は通常、CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)等のカチオン性界面活性剤のミセル中で作製されるため、表面がCTAB等によって保護された状態で存在する。また、金−銀コアシェルナノロッド粒子も、CTAB等によって保護された金ナノロッド粒子の表面で銀を析出させることにより作製されるため、シェル層の表面がCTAB等によって保護された状態で存在する。しかしながら、CTAB等のカチオン性界面活性剤は細胞毒性が非常に高いため、このままでは医学的応用に際して問題がある。
金ナノロッド粒子については、ポリエチレングリコール鎖(PEG鎖)の末端にチオール基が結合した化合物(SH−PEG)によってCTAB等のカチオン性界面活性剤を置き換えることで、医学的応用が可能であることが報告されている(非特許文献1,2)。しかしながら、金−銀コアシェルナノロッド粒子については、このようにCTAB等のカチオン性界面活性剤を他の化合物で置き換えた報告はない。本発明者らの実験によれば、金ナノロッド粒子の表面のCTABをSH−PEGで置き換えると、銀からなるシェル層を形成することができなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、CTAB等のカチオン性界面活性剤が他の化合物で置き換えられた金−銀コアシェルナノロッド粒子及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、CTAB等のカチオン性界面活性剤を、特定のブロック共重合体又はグラフト共重合体で置き換えることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下のようなものを提供する。
(1)金ナノロッド粒子をコアとし、上記金ナノロッド粒子の表面に、銀からなるシェル層が被覆され、上記シェル層の表面に、共重合体が吸着した金−銀コアシェルナノロッド粒子であり、上記共重合体は、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)を少なくとも重合させたブロック共重合体又はグラフト共重合体であることを特徴とする金−銀コアシェルナノロッド粒子。
(式中、Rは、炭素数2〜7のアルキレン基を表す。)
(2)上記共重合体は、上記重合性モノマー(A)と、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合性モノマー(B)とのブロック共重合体又はグラフト共重合体である(1)に記載の金−銀コアシェルナノロッド粒子。
(式中、Rは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
(3)上記重合性モノマー(A)が、一般式(III)で表される(1)又は(2)に記載の金−銀コアシェルナノロッド粒子。
(式中、R1aは、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、R2aは、水素原子又はメチル基を表す。)
(4)上記重合性モノマー(B)が、一般式(IV)で表される(2)に記載の金−銀コアシェルナノロッド粒子。
(式中、R1bは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2bは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、R3bは、水素原子又はメチル基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
(5)上記重合性モノマー(B)の質量平均分子量が、200〜80000である(2)又は(4)に記載の金−銀コアシェルナノロッド粒子。
(6)上記重合性モノマー(A)と上記重合性モノマー(B)とのモル比が、1:99〜99:1である(2)、(4)、又は(5)に記載の金−銀コアシェルナノロッド粒子。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の金−銀コアシェルナノロッド粒子を含有するフォトサーマル治療剤。
(8)金ナノロッド粒子をコアとし、上記金ナノロッド粒子の表面に、銀からなるシェル層が被覆され、上記シェル層の表面に、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が吸着した金−銀コアシェルナノロッド粒子の製造方法であって、カチオン性界面活性剤を鋳型として、金ナノロッド粒子を形成する工程と、上記カチオン性界面活性剤を、ブロック共重合体又はグラフト共重合体に置き換えることにより、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が吸着した金ナノロッド粒子を形成する工程と、上記ブロック共重合体又はグラフト共重合体が吸着した金ナノロッド粒子の表面で銀を析出させることにより、上記シェル層を形成する工程とを含み、上記ブロック共重合体又はグラフト共重合体が、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)を少なくとも重合させたブロック共重合体又はグラフト共重合体であることを特徴とする金−銀コアシェルナノロッド粒子の製造方法。
(式中、Rは、炭素数2〜7のアルキレン基を表す。)
本発明によれば、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)を少なくとも重合させたブロック共重合体又はグラフト共重合体によって、CTAB等のカチオン性界面活性剤が置き換えられた金−銀コアシェルナノロッド粒子を製造することができる。上記共重合体は、細胞に対して毒性を示さないので、金−銀コアシェルナノロッド粒子の有するフォトサーマル効果を利用した治療が期待できる。
Py−g−PEG保護金ナノロッド粒子分散液の吸収スペクトルを示す図である。 Py−g−PEG保護金ナノロッド粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)の写真である。 Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液の吸収スペクトルを示す図である。 Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した図(1mMのAgNO溶液の添加量:(A)60μl,(B)120μl,(C)240μl,(D)360μl)である。 Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の長軸と短軸とのアスペクト比を示す図である。 SH−PEG保護金ナノロッド粒子の表面でAgを析出させた試験液の吸収スペクトルを示す図である。 Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の分散安定性(塩溶液中)を示す図(1mMのAgNO溶液の添加量:(A)120μl,(B)240μl)である。 Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の分散安定性(10%FBSを含むDMEM中)を示す図である。 Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子のフォトサーマル効果(レーザー強度依存性)の評価結果を示す図である。 Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子のフォトサーマル効果(粒子濃度依存性)の評価結果を示す図である。 Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子のフォトサーマル効果の評価結果(金ナノロッド粒子との比較(1))を示す図である。 Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子のフォトサーマル効果の評価結果(金ナノロッド粒子との比較(2))を示す図である。 Py−b−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液の吸収スペクトルを示す図である。 Py−b−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した図(1mMのAgNO溶液の添加量:(A)120μl,(B)240μl,(C)360μl,(D)480μl)である。 細胞毒性の評価結果を示す図((A)Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子,(B)CTAB保護金−銀コアシェルナノロッド粒子)である。 Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の細胞取り込みを位相差顕微鏡及び蛍光顕微鏡で観察した図である。 Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の細胞に対するフォトサーマル効果を位相差顕微鏡及び蛍光顕微鏡で観察した図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
[金−銀コアシェルナノロッド粒子]
本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子は、金ナノロッド粒子をコアとし、上記金ナノロッド粒子の表面に、銀からなるシェル層が被覆され、上記シェル層の表面に、共重合体が吸着したものである。ここで、上記共重合体は、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)を少なくとも重合させたブロック共重合体又はグラフト共重合体である。
本発明において、金ナノロッド粒子とは、短軸方向の長さに対する長軸方向の長さの比(アスペクト比)が1よりも大きい、ロッド(棒)の形状を有するナノスケールの金の粒子をいう。金ナノロッド粒子の粒径は、長軸の長さが10〜500nmであることが好ましく、20〜200nmであることがより好ましい。また、短軸の長さが1〜500nmであることが好ましく、1〜50nmであることがより好ましい。上記金ナノロッド粒子の粒径は、調製溶液中の金イオンの濃度等により制御することができる。長軸及び短軸の長さが上記範囲であれば、良好な分散安定性を示す。さらに、本発明において、金ナノロッド粒子は、アスペクト比が1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。アスペクト比が上記範囲であれば、良好な分散安定性を示す。なお、金ナノロッド粒子は、シード法等の従来公知の方法により合成してもよいし、市販品を用いてもよい。
本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子では、コアである上記金ナノロッド粒子の表面に、銀からなるシェル層が被覆されている。被覆されるシェル層の厚みは、上記金ナノロッド粒子の表面を均一に被覆していれば、特に限定されるものではないが、通常、長軸方向では1〜100nmであり、短軸方向では1〜100nmである。また、好ましくは、長軸方向では1〜50nmであり、短軸方向では1〜50nmである。シェル層の厚みは、金ナノロッド粒子の分散液における銀イオンの濃度や上記金ナノロッド粒子のアスペクト比等により制御することができる。上記範囲であれば、分散安定性に優れる。なお、本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子では、シェル層の厚みを変化させることにより、プラズモン吸収の波長や強度を制御することができ、また、シェル層を厚くすることにより、近赤外光を照射した場合に、吸収した光を熱エネルギーに変換するフォトサーマル効果を高めることができることから、分散安定性を考慮しつつ、用途に応じて、適宜調整すればよい。
本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子では、上記シェル層の表面に、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)を少なくとも重合させたブロック共重合体又はグラフト共重合体が吸着している。
[重合性モノマー(A)]
重合性モノマー(A)は、上記一般式(I)で表される基を有する重合可能なモノマーである。Rは、炭素数2〜7のアルキレン基であることを特徴とし、炭素数3〜5のアルキレン基であることが好ましい。本発明では、共重合体のアルキレン基の炭素数を変えることで、金−銀コアシェルナノロッド粒子間の疎水的凝集力を制御することができる。アルキレン基の炭素数を上記範囲とすることで、小さくて安定した粒径の金−銀コアシェルナノロッド粒子を得ることができる。
重合性モノマー(A)は、重合可能なモノマーであり、その構造中に重合性基を有する必要があるが、その種類は特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等であってもよい。この重合性基を介して、後述の重合性モノマー(B)と重合することができる。
本発明では、共重合体は、重合性モノマー(A)が一般式(III)で表されることが好ましい。
ここで、R1aは、炭素数2〜7のアルキレン基であり、炭素数3〜5のアルキレン基であることが好ましい。また、R2aは、水素原子又はメチル基である。
[重合性モノマー(B)]
重合性モノマー(B)は、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合可能なモノマーである。Rは、炭素数2〜5のアルキレン基であることを特徴とし、炭素数2〜3であることが好ましい。アルキレン基の炭素数を上記範囲とすることで、分子の親水性と柔軟性とが高まる。また、nは、5〜2000の任意の整数であることを特徴とし、10〜500であることが好ましい。nを上記範囲とすることで、親水性と柔軟性とが高まる。一般式(II)で表される繰り返し構造の単位としては、特に限定されないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げられる。
重合性モノマー(B)は、重合可能なモノマーであり、その構造中に重合性基を有する必要があるが、官能基の種類は特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等であってもよい。この重合性基を介して、上述の重合性モノマー(A)と重合することができる。
本発明では、共重合体は、重合性モノマー(B)が一般式(IV)で表されることが好ましい。
ここで、R1bは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、炭素数2〜5のアルキル基であることが好ましい。R2bは、炭素数2〜5のアルキレン基であり、R3bは、水素原子又はメチル基である。また、nは、5〜2000の任意の整数であることを特徴とし、10〜500であることが好ましい。
[重合性モノマー(C)]
重合性モノマー(C)は、リガンドを有する。
リガンドとしては、例えば、糖鎖、糖、糖タンパク質、糖脂質、タンパク質、抗原、抗体、ペプチド、オリゴDNA、オリゴRNA等の核酸等の特定の対象物質に対して特異的相互作用を示す分子認識素子が挙げられる。これらのリガンドを結合させることにより、共重合体に種々の機能を付加することができる。
重合性モノマー(C)は、重合可能なモノマーであり、その構造中に重合性基を有する必要があるが、その種類は特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等であってもよい。この重合性基を介して、重合性モノマー(A)と重合することができる。
本発明では、共重合体は、重合性モノマー(C)が下記一般式(V)で表されるものであることが好ましい。
ここで、R1cは、水素原子又はメチル基であり、R2cは、−O−又は−NH−である。また、Xは、スペーサーであり、Zは、リガンドである。
重合性モノマー(C)では、スペーサーは、上述のリガンドを導入することができれば特に限定されないが、例えば、繰り返し単位数1〜200のオリゴアルキレンオキシ基、アルキレン基等が挙げられ、好ましくは繰り返し単位数1〜50のオリゴエチレンオキシ基又はアルキレン基である。アルキレン基は、直鎖状でも分枝状でもよい。アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、好ましくはC1〜C8である。繰り返し単位数1〜50のエチレンオキシ基やC1〜C8のアルキレン基であれば、共重合体の運動性が良好となるので好ましい。なお、共重合体は、このスペーサーを介して上述のリガンドが結合していてもよい。
[共重合体]
本発明における共重合体は、上記重合性モノマー(A)を少なくとも重合させたブロック共重合体又はグラフト共重合体である。本発明における共重合体の重合方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができるが、付加開裂連鎖移動(RAFT)重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)等のリビングラジカル重合法が好ましい。リビングラジカル重合法によれば、合成する共重合体の分子量や分子量分布を制御することができる。以下に、本発明における共重合体が、重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とを共重合させた共重合体である場合の合成方法を例示する。なお、重合方法はリビングラジカル重合法による。
まず、RAFTによる場合について例示する。重合性モノマー(B)と、連鎖移動剤と、重合開始剤とを所定の溶媒に溶解し、溶存酸素を含む反応容器中の酸素を完全に除いた後、重合開始剤が開裂する温度以上であって、且つ、100℃以下の温度で24〜48時間加熱することにより、重合性モノマー(B)が重合したポリマー(以下、Bブロックと称する)の末端に連鎖移動剤が導入されたマクロ連鎖移動剤を合成する。次に、このマクロ連鎖移動剤と、重合性モノマー(A)とを所定の溶媒に溶解し、重合開始剤が開裂する温度以上であって、且つ、100℃以下の温度で24〜300時間加熱することにより、Bブロックと、重合性モノマー(A)が重合したポリマー(以下、Aブロックと称する)とが直列に結合した、本発明における共重合体(ブロック共重合体)を合成することができる。
また、重合性モノマー(A)と、重合性モノマー(B)と、連鎖移動剤と、重合開始剤とを所定の溶媒に溶解し、重合開始剤が開裂する温度以上であって、且つ、100℃以下の温度で24〜300時間加熱することにより、Bブロックと、Aブロックとが櫛型に結合した、本発明における共重合体(グラフト共重合体)を合成することができる。
重合開始剤は、特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系重合開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の硫酸塩系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤の好適な使用量は、重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)との合計量に対して、0.1〜10質量%である。また、グラフト共重合体の場合、分子量を調整するために、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール等の連鎖移動剤を添加してもよい。
重合温度及び重合時間は、上記のように例示したが、温度や所望の最終生成物の性質に依存する。好ましくは30〜90℃、より好ましくは50〜70℃で、1〜96時間である。
次に、ATRPによる場合について説明する。まず、重合性モノマー(B)と、ハロゲン化アルキル剤と、触媒とを所定の溶媒に溶解し、反応させることにより、Bブロックの末端にハロゲン化アルキル剤が導入されたマクロハロゲン化アルキル剤を合成する。次に、このマクロハロゲン化アルキル開始剤と、重合性モノマー(A)とを所定の溶媒に溶解し、さらに触媒を加え、室温以上であって、且つ、100℃以下の温度で6〜50時間加熱することにより、Bブロックと、Aブロックとが直列に結合した、本発明における共重合体(ブロック共重合体)を合成することができる。
ATRPに用いられるハロゲン化アルキル開始剤は、特に限定されず、例えば、2−ブロモイソブチリルブロミド、2−クロロイソブチリルクロリド、ブロモアセチルブロミド、ブロモアセチクロリド、ベンジルブロミド等が挙げられる。
触媒としては、例えば、1価の銅、2価のルテニウム等の遷移金属錯体を用いることができる。
なお、重合反応に用いる溶媒は、特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブタノール、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、これらの混合液等が挙げられる。
本発明では、共重合体の質量平均分子量(ポリスチレンを標準物質としたGPCによる測定)が、1000〜500000であることが好ましく、2000〜100000であることがより好ましい。なお、上記範囲であれば、金−銀コアシェルナノロッド粒子に界面安定性を付与することができる。
本発明では、重合性モノマー(B)の質量平均分子量(ポリスチレンを標準物質としたGPCによる測定)が、200〜80000であることが好ましく、500〜20000であることがより好ましい。重合性モノマー(B)の分子量を変化させることで、金−銀コアシェルナノロッド粒子の溶媒中での分散安定性を制御することができる。なお、上記範囲であれば、金−銀コアシェルナノロッド粒子を溶媒中で安定に分散させることができる。
本発明では、共重合体における重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とのモル比が、1:99〜99:1であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とのモル比を変化させることで、親疎水バランスを制御することができる。なお、上記範囲とすることで、金−銀コアシェルナノロッド粒子の表面に対して安定に吸着させることができ、また、金−銀コアシェルナノロッド粒子を溶媒中で安定に分散させることができる。
本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子は、細胞毒性があるCTAB等のカチオン性界面活性剤が、細胞毒性のない共重合体によって置き換えられているので、例えば、医療検査や治療といった医学的応用が可能である。また、本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子は、塩を含む溶液中や血清を含む溶液中において、優れた分散安定性を示す。したがって、金−銀コアシェルナノロッド粒子が有するフォトサーマル効果を利用した腫瘍組織の治療への応用が期待できる。
[フォトサーマル治療剤]
本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子は、フォトサーマル治療剤に用いることができる。本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子を含有するフォトサーマル治療剤の投与方法としては、例えば、治療すべき患部への皮下注射や静脈注射の他、外科的手段等が挙げられる。本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子をフォトサーマル治療剤に用いる場合、本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子を投与した後、患部に対して一定期間、光を照射する。光の波長域は、好ましくは500〜1500nm、より好ましくは700〜900nmである。上記範囲の波長であれば、本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子は効果的に熱を発生する。光を照射する方法としては、例えば、レーザー、パルスレーザー等の光源が挙げられる。また、本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子をフォトサーマル治療剤に用いる場合、その治療対象となる疾患としては、例えば、ガン等が挙げられる。
[金−銀コアシェルナノロッド粒子の製造方法]
以下、本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子の製造方法について説明する。なお、上述した金−銀コアシェルナノロッド粒子と共通する部分についての説明は、省略する。
本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子の製造方法は、カチオン性界面活性剤を鋳型として、金ナノロッド粒子を形成する工程と、上記カチオン性界面活性剤を、ブロック共重合体又はグラフト共重合体に置き換えることにより、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が吸着した金ナノロッド粒子を形成する工程と、上記ブロック共重合体又はグラフト共重合体が吸着した金ナノロッド粒子の表面で銀を析出させることにより、シェル層を形成する工程とを含み、上記ブロック共重合体又はグラフト共重合体が、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)を少なくとも重合させたブロック共重合体又はグラフト共重合体であることを特徴とする。
本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子は、具体的には、以下の方法により製造することができる。まず、シード法等の従来公知の方法により、金ナノロッド粒子を製造する。具体的には、カチオン性界面活性剤とハロゲン化金酸とを含む溶液に、還元剤を添加して撹拌し、金を析出させることにより、金ナノ粒子の分散液を得る。次に、カチオン性界面活性剤と無機銀塩とを含む溶液に、ハロゲン化金酸を添加して撹拌した後、還元剤をさらに添加して撹拌する。得られた溶液に、上記金ナノ粒子の分散液を添加して撹拌することにより、カチオン性界面活性剤によって保護された金ナノロッド粒子の分散液を得る。なお、金ナノロッド粒子は、市販品を用いてもよい。
ここで、カチオン性界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩であるヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(CTAC)等を好適に用いることができる。ハロゲン化金酸としては、例えば、塩化金酸を好適に用いることができる。還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウムを好適に用いることができる。
次に、カチオン性界面活性剤によって保護された金ナノロッド粒子の分散液を遠心分離に供し、得られた沈殿物を、上記共重合体を含む溶液に分散して撹拌した後、透析膜を用いて透析する。透析後の分散液は、遠心分離に供した後、沈殿物を水に分散することにより、上記共重合体により保護された金ナノロッド粒子の分散液を得る。
ここで、遠心分離は、20000〜140000rpmで行うことが好ましい。透析膜は、分画分子量2000〜10000の再生セルロース製膜を用いることが好ましい。上記遠心分離により、毒性の高いカチオン性界面活性剤を含む上澄みを取り除き、上記透析膜を用いて透析することにより、上記共重合体を金ナノロッド粒子の表面に吸着させる。
そして次に、上記共重合体により保護された金ナノロッド粒子の分散液に、無機銀塩を添加した後、還元剤、塩基を順次添加して撹拌した後、透析膜を用いて透析する。透析後の分散液は、遠心分離に供した後、沈殿物を水に分散することにより、上記共重合体により保護された金−銀コアシェルナノロッド粒子の分散液を得る。
ここで、無機銀塩としては、例えば、硝酸銀、酢酸銀等が挙げられ、硝酸銀が分散安定性、毒性等が優れる点において好ましい。無機銀塩の使用量は、通常、金ナノロッドに対して0.1〜5当量であり、好ましくは0.1〜1当量である。上記範囲であれば、分散安定性に優れる金−銀コアシェルナノロッド粒子を得ることができる。なお、上記無機銀塩の使用量を調整することにより、シェル層の厚みを制御することができる。
還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸、クエン酸が挙げられ、アスコルビン酸が還元反応の制御性が優れる点において好ましい。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、水酸化ナトリウムが入手容易性、低価格の点において好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
[グラフト共重合体の合成]
以下の反応スキームに示すように、重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とを共重合させて、グラフト共重合体(Py−g−PEG)を合成した。
<重合性モノマー(A)の合成(m=3)>
(合成例1)
4−ピリジンプロパノール6.85g(50mmol)と、メタクリル酸4.73g(55mmol)と、4−(1−ピロリジニル)ピリジン740mg(5mmol)とを、無水ジクロロメタン100mlに溶解後、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)11.3g(55mmol)を加え、室温で1時間反応させた。ろ過により、不溶性尿素を除去後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(カラム:シリカ、溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により、精製し、無色の油である重合性モノマー(A)8.5124g(41.4mmol)を得た(収率82.8%)。
<Py−g−PEGの合成>
(合成例2)
合成例1にて得られた本発明の重合性モノマー(A)である4−ピリジンプロパノール−メタクリレート205mg(10mmol)と、本発明の重合性モノマー(B)であるα−メチル−ω−メタクリロイル−ポリエチレングリコール208mg(0.1mmol)と、4−ピリジンプロパノール−メタクリレートに対して1質量%のAIBNとを、DMF(4ml)に溶解後、凍結脱気を3回繰り返し、60℃で24時間反応させた。その反応液を、DMFに対して20倍量の再沈殿溶媒(イソプロピルアルコール/ジエチルエーテル=体積比1/20)に滴下し、数分撹拌した。その後、遠心分離、凍結乾燥を経て、白色粉末であるPy−g−PEG202mg(1.8μmol)を得た(収率49%)。得られたPy−g−PEGの数平均分子量(Mn)は113,180であり、分散度(Mw/Mn)は1.634であり、ポリエチレングリコール(PEG)とピリジン(Py)との共重合比率(PEG/Py)は10.3%であった。なお、分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)により測定した。
[Py−g−PEGで保護された金−銀コアシェルナノロッド粒子の調製]
<CTAB保護金ナノロッド粒子の調製>
臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)保護金ナノロッド粒子の調製は、Seed法に従った。0.1MのCTAB溶液2.5mlと、1mMの塩化金酸(HAuCl)溶液2.5mlとを混合した溶液に、氷浴した10mMの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)溶液0.3ml添加し、5分間撹拌して金シード分散液を得た。次に、0.1MのCTAB溶液50mlと、1mMの硝酸銀(AgNO)溶液4.5mlとを混合した溶液に、0.5mMのHAuCl溶液50mlを添加し、30分間撹拌した後、さらに0.01Mのアスコルビン酸水溶液2.5mlを添加した。この溶液に、上記金シード分散液を2.5ml添加し、25℃の恒温槽にて1日間撹拌し、CTAB保護金ナノロッド粒子分散液を得た。
<Py−g−PEG保護金ナノロッド粒子の調製>
上記方法により得られたCTAB保護金ナノロッド粒子分散液を、超遠心分離機(Optima TLX,ベックマンコールター)により、遠心分離(回転数:21000rpm,時間:30分,回数1回)することにより、沈殿物を得た。次に、合成例2で得られたPy−g−PEGを20mlの水に溶解し、Py−g−PEG溶液を得た。そして、このPy−g−PEG溶液を用いて、濃度が0.5mg/mlとなるように、上記沈殿物を再分散(全量10ml)し、25℃の恒温槽にて2日間撹拌した後、透析膜(分画分子量:約10000)に入れ、3000mlの水にて2日間透析した。透析後の分散液は、超遠心分離機により、遠心分離(回転数:21000rpm,時間:30分,回数:2回)した後、得られた沈殿物を、全量が100mlとなるように、滅菌水に再分散し、Py−g−PEG保護金ナノロッド粒子分散液を得た。
<Py−g−PEG保護金ナノロッド粒子の表面でのAgの析出>
上記方法により得られたPy−g−PEG保護金ナノロッド粒子分散液5mlに、1mMのAgNO溶液を添加(60μl,120μl,240μl,360μl)した。これらの溶液に、0.1Mのアスコルビン酸水溶液0.1mlを添加し、次いで、0.1MのNaOH水溶液を0.2ml添加した。その後、25℃の恒温槽にて1日間撹拌した後、透析膜(分画分子量:約10000)に入れ、3000mlの水にて3日間透析した。透析後の溶液は、超遠心分離機により、遠心分離(回転数:18000rpm,時間:30分,回数:1回)した後、得られた沈殿物を、全量が100mlとなるように、滅菌水に再分散し、Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液を得た。
[Py−g−PEG保護金ナノロッド粒子分散液のプラズモン吸収の測定]
一般に、数十nmサイズ領域の金属ナノ粒子は、その金属の種類、形状に応じて、表面プラズモン励起に起因する特徴的な光学吸収を示す。例えば、球状の金ナノ粒子の分散液では、520nm付近に吸収を示し、ロッド形状の場合には、ロッドの短軸に起因する520nm付近の吸収のほかに、ロッドの長軸に起因する長波長側(900nm付近)の吸収を示すことが知られている。上記方法により得られたPy−g−PEG保護金ナノロッド粒子分散液について、プラズモン吸収を分光光度計(Agilent 8453A Diod Array,Agilent社製)により測定したところ、520nm付近の吸収以外に、900nm付近に大きな吸収が認められた(図1)。また、Py−g−PEG保護金ナノロッド粒子分散液は、金ナノ粒子特有の赤色を呈していた。
[Py−g−PEG保護金ナノロッド粒子の粒径の測定及び形状の確認]
上記方法により得られたPy−g−PEG保護金ナノロッド粒子の粒径をダイナミック光散乱光度計(DLS,DLS−7000,大塚電子社製)により測定した。また、粒子の粒径及び形状を透過型電子顕微鏡(TEM,HITACHI H−9500,日立ハイテクノロジーズ社製)により観察した。その結果、平均粒径が短軸9.5±2nm、長軸40.9±4.5nmのロッド形状であることが確認された(図2)。
[Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液のプラズモン吸収の測定]
上記方法により得られたPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液について、プラズモン吸収を分光光度計により測定したところ、銀の析出量が増加するにしたがって、銀固有のプラズモン吸収波長(400nm付近)側へのシフト及び吸収の増大が認められた(図3)。銀固有のプラズモン吸収は、金よりも大きいため、銀の析出によるシェル層の形成により、プラズモン吸収が増大したものと考えられる。また、Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液は、銀の析出量が増加するにしたがって、赤色から青色に変化した。
[Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の粒径の測定及び形状の確認]
上記方法により得られたPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の形状をTEMにより観察したところ、金ナノロッドの周囲に銀のシェル層が形成されていることが確認された。また、粒子の粒径及び銀シェル層の厚みをTEMにより測定し、長軸と短軸とのアスペクト比(長軸/短軸)を求めたところ、銀の析出量が増加するにしたがって、粒子の形状が球状に近づくことが確認された(図4,図5)。
[SH−PEGで保護された金−銀コアシェルナノロッド粒子の調製]
<CTAB保護金ナノロッド粒子の調製>
CTAB保護金ナノロッド粒子の調製についても、Seed法に従った。0.1MのCTAB溶液2.5mlと、1mMのHAuCl溶液2.5mlとを混合した溶液に、氷浴した10mMのNaBH溶液0.3ml添加し、5分間撹拌して金シード分散液を得た。次に、0.1MのCTAB溶液50mlと、1mMのAgNO溶液4.5mlとを混合した溶液に、0.5mMのHAuCl溶液50mlを添加し、30分間撹拌した後、さらに0.01Mのアスコルビン酸水溶液2.5mlを添加した。この溶液に、上記金シード分散液を2.5ml添加し、25℃の恒温槽にて1日間撹拌し、CTAB保護金ナノロッド粒子分散液を得た。
<SH−PEG保護金ナノロッド粒子の調製>
上記方法により得られたCTAB保護金ナノロッド粒子分散液を、超遠心分離機により、遠心分離(回転数:21000rpm,時間:30分,回数1回)することにより、沈殿物を得た。次に、SH−PEG(末端がチオール化されたポリエチレングリコール,2M4E0H01)を100mlの水に溶解し、SH−PEG溶液を得た。そして、このSH−PEG溶液を用いて、濃度が0.5mg/mlとなるように、上記沈殿物を再分散し、25℃の恒温槽にて2日間撹拌した後、透析膜(分画分子量:約10000)に入れ、3000mlの水にて2日間透析した。透析後の分散液は、超遠心分離機により、遠心分離(回転数:21000rpm,時間:30分,回数:2回)した後、得られた沈殿物を、全量が100mlとなるように、滅菌水に再分散し、SH−PEG保護金ナノロッド粒子分散液を得た。
<SH−PEG保護金ナノロッド粒子の表面での銀の析出>
上記方法により得られたSH−PEG保護金ナノロッド粒子分散液5mlに、1mMのAgNO溶液を120μl添加した。この分散液に、0.1Mのアスコルビン酸水溶液0.1mlを添加し、次いで、0.1MのNaOH水溶液を0.2ml添加した。その後、25℃の恒温槽にて1日間撹拌した後、透析膜(分画分子量:約10000)に入れ、3000mlの水にて3日間透析した。透析後の分散液は、超遠心分離機により、遠心分離(回転数:18000rpm,時間:30分,回数:1回)した後、得られた沈殿物を、全量が100mlとなるように、滅菌水に再分散し、試験液を得た。
[プラズモン吸収の測定]
上記方法により得られた試験液について、プラズモン吸収を分光光度計により測定したところ、銀の析出量の増加に伴う、銀固有のプラズモン吸収波長(400nm付近)側へのシフト及び吸収の増大は認められなかった(図6)。このことから、SH−PEGで保護された金ナノロッド粒子の表面で銀を析出させても、シェル層が形成されず、金−銀コアシェルナノロッド粒子が生成できないことが確認された。
[Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の分散安定性の評価]
<塩における分散>
上記方法により得られたPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液(1mMのAgNO溶液の添加量:120μl,240μl)を、超遠心分離機により、遠心分離(回転数:15000rpm,時間:30分,回数1回)することにより、沈殿物を得た。次いで、これらの沈殿物に、塩化ナトリウム水溶液を0.05M又は0.15Mの濃度となるように添加し、再分散した後、25℃の恒温槽にて2日間撹拌した。そして、得られた分散液のプラズモン吸収を分光光度計により測定した。その結果、いずれの分散液においても、プラズモン吸収の強度及び位置に大きな変化が認められなかった(図7)。このことから、Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子は、塩における分散性が高いことが確認された。
<10%FBS含有DMEMにおける分散>
上記方法により得られたPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液(1mMのAgNO溶液の添加量:120μl)を、超遠心分離機により、遠心分離(回転数:15000rpm,時間:30分,回数1回)することにより、沈殿物を得た。次いで、この沈殿物に、ウシ胎児血清(FBS)を10%含むDMEMを50ml添加し、再分散した。そして、この分散液のプラズモン吸収を分光光度計により、経時的に測定した。その結果、凝集による吸光度の減少や最大吸収波長の変化が全く認められなかった(図8)。このことから、Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子は、血清中において、極めて安定な分散性を示すことが確認された。
[Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子のフォトサーマル効果の評価]
<レーザー強度依存性>
上記方法により得られたPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液(1mMのAgNO溶液の添加量:480μl)を用いて、粒子濃度が96μg/mlの分散液を調製した。該調製した溶液を1cmのプラスチックセルに入れ、OPOレーザー(SL454G pulsed Nd:YAG laser,Spectron Laser System製)を用いて、800nmのレーザー光を照射(照射エネルギー:30mW/cm,150mW/cm,300mW/cm,450mW/cm,照射面積:1mm)した。レーザー照射実験の際は、カットフィルターを使用し、Signal光又はIdler光をカットした。出てきたレーザー光は、レンズ(SLB−30−50PM,球面平凸レンズ,シグマ光機株式会社製)を用いて集光させた。なお、レーザー光の照射直前まで、セルは25℃の恒温槽に入れ、開始温度を一定にした。その結果、Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子のフォトサーマル効果は、レーザー強度に依存することが確認された(図9)。
<粒子濃度依存性>
上記方法により得られたPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液(1mMのAgNO溶液の添加量:240μl)を用いて、粒子濃度が24μg/ml、48μg/ml、72μg/ml、96μg/mlの分散液を調製した。該調製した溶液を1cmのプラスチックセルに入れ、OPOレーザー(SL454G pulsed Nd:YAG laser,Spectron Laser System製)を用いて、800nmのレーザー光を照射(照射エネルギー:450mW/cm,照射面積:1mm)した。レーザー照射実験の際は、カットフィルターを使用し、Signal光又はIdler光をカットした。出てきたレーザー光は、レンズ(SLB−30−50PM,球面平凸レンズ,シグマ光機株式会社製)を用いて集光させた。なお、レーザー光の照射直前まで、セルは25℃の恒温槽に入れ、開始温度を一定にした。その結果、Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子のフォトサーマル効果は、粒子濃度に依存することが確認された(図10)。
<金ナノロッド粒子との比較(1)>
金ナノロッド粒子は、近赤外光を照射すると、吸収した光エネルギーを熱に変換するフォトサーマル効果を示すことが知られている。そこで、上記方法により得られたPy−g−PEG保護金ナノロッド粒子分散液(1mMのAgNO溶液の添加量:0μl)及び上記方法により得られたPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液(1mMのAgNO溶液の添加量:120μl,180μl,240μl)について、フォトサーマル効果の比較を行った。各分散液2mlを、1cmのプラスチックセルに入れ、OPOレーザー(SL454G pulsed Nd:YAG laser,Spectron Laser System製)を用いて、励起光源である三倍波(355nm)を発振させる。レーザー光は、midband OPO VisIR2装置(GWU lasertechnik製)内のBBOtypeの非線形光学結晶(β−BaB)の角度を変えることにより、波長可変なレーザー光となる。なお、繰り返し周波数は、10Hzであり、パルス幅は2−3nsである。本装置では、400〜2200nmと幅広い領域の波長を取り出すことが可能である。レーザー照射実験の際は、カットフィルターを使用し、Signal光又はIdler光をカットした。出てきたレーザー光は、レンズ(SLB−30−50PM,球面平凸レンズ,シグマ光機株式会社製)を用いて集光させた。800nmのレーザー光を照射(照射エネルギー:0.5mW/cm・pulse,照射面積:1mm)した。なお、レーザー光の照射直前まで、セルは20℃の恒温槽に入れ、開始温度を一定にした。その結果、Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子では、Py−g−PEG保護金ナノロッド粒子に比して、フォトサーマル効果が高いことが確認された(図11)。これは、銀の固有プラズモン吸収が金よりも大きいため、銀で被覆することによりフォトサーマル効果が増強されたことによるものと考えられる。
<金ナノロッド粒子との比較(2)>
次に、レーザー光の照射エネルギーと、セルの開始温度とを変えて、上記方法により得られたPy−g−PEG保護金ナノロッド粒子と、金ナノロッド粒子とのフォトサーマル効果の比較を行った。測定試料には、上記方法により得られたPy−g−PEG保護金ナノロッド粒子分散液(1mMのAgNO溶液の添加量:0μl)及び上記方法により得られたPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液(1mMのAgNO溶液の添加量:80μl,180μl)を用いた。そして、800nmのレーザー光の照射エネルギーを450mW/cmとし、セルを入れた恒温槽の温度を25℃とした以外は、上記の金ナノロッド粒子との比較(1)と同様の方法にて行った。その結果、Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子は、Py−g−PEG保護金ナノロッド粒子に比して、フォトサーマル効果が高いことが明確に示された(図12)。
[ブロック共重合体の合成]
以下の反応スキームに示すように、重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とを共重合させて、ブロック共重合体(Py−b−PEG)を合成した。
<RAFT剤の合成>
(合成例3)
4−ブロモメチル安息香酸3g(13.95mmol)をテトラヒドロフラン25mlに溶解させ、4−ブロモメチル安息香酸のテトラヒドロフラン溶液を得た。次いで、アルゴン雰囲気下、1−ブタンチオール1.80ml(16.74mmol、4−ブロモメチル安息香酸に対して1.2当量)、ジアザビシクロウンデセン2.5ml(16.74mmol、4−ブロモメチル安息香酸に対して1.2当量)、及び二硫化炭素1.01ml(16.74mmol、4−ブロモメチル安息香酸に対して1.2当量)を脱水テトラヒドロフラン75mlに加え、室温で30分間撹拌した。撹拌後、上記4−ブロモメチル安息香酸のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、さらに室温で6時間撹拌した。TLCにより反応の進行を確認し、セライト濾過及び濃縮後、ベンゼンに溶解させた。さらに、1M塩酸及びイオン交換水で洗浄し、次いで、無水硫酸マグネシウムを用いて脱水処理した後、濃縮し、フリーズドライすることにより、RAFT剤を得た(収量:3.78g、収率:93.9%)。
<モノマー(B)−マクロ−RAFT剤の合成>
(合成例4)
アルゴン雰囲気下、合成例3にて得られたRAFT剤720mg(2.4mmol、後述するモノマー(B)に対して10当量)を脱水ベンゼンに溶解させ、オキサリルクロライド242μl(2.88mmol、RAFT剤に対して1.2当量)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(cat.)を少量加え、撹拌した後、TLCにより酸塩化物の生成を確認し、濃縮した。次いで、該酸塩化物を脱水ベンゼン7mlに溶解し、さらに、脱水ベンゼンに溶解させたトリエチルアミン400μl(2.88mmol、RAFT剤に対して1.2当量)、及び本発明のモノマー(B)であるポリエチレングリコール(PEG)(5K)1200mg(0.24mmol)を加えた後、70℃のオイルバス中で1晩撹拌した。その後、セライト濾過及び濃縮を行い、20倍量のイソプロピルエーテルで再沈殿を行った。得られた沈殿物をクロロホルムに溶解させ、濃縮後、フリーズドライすることにより、モノマー(B)が重合したポリマーの末端にRAFT剤が導入された、PEG−マクロ−RAFT剤を得た(収量:1060mg、収率:83.3%、末端修飾率:85%)。
<Py−b−PEGの合成>
(合成例5)
合成例4にて得られたPEG−マクロ−RAFT剤200mg(0.062mmol)と、合成例1にて得られた本発明の重合性モノマー(A)である4−ピリジンプロパノール−メタクリレート250mg(1.2mmol、PEG−マクロ−RAFT剤に対して20当量)とを、N,N−ジメチルホルムアミド3mlに溶解し、重合管に入れ、さらにAIBN3.0mg(0.018mmol、PEG−マクロ−RAFT剤に対して0.3当量)を加えた。凍結脱気を3回行い、アルゴンガスに置換した後、70℃のオイルバス中で3日間撹拌した。その後、セライト濾過及び濃縮を行い、20倍量のイソプロピルエーテルで再沈殿を2回行った。得られた沈殿物をフリーズドライすることにより、Py−b−PEGを得た(収量:369mg、収率:82%)。得られたPy−b−PEGの理論数平均分子量(Mw(th))は5530であり、多分散度(Mw/Mn)は0.2878であり、PEG−マクロ−RAFT剤とPyとAIBNとの共重合比率(PEG−マクロ−RAFT剤/Py/AIBN)は1/20/0.2であった。また、粒子径分布(ヒストグラム粒径)は28.0±18.0nmであり、平均粒子径(キュムラント粒径)は19.2nmであった。なお、理論数平均分子量は、H−NMRによりPEGのエチレンオキシド鎖を基準にPy鎖の連鎖数から算出した。粒子径分布(ヒストグラム粒径)は、動的光散乱により、平均粒子径(キュムラント粒径)は、動的光散乱により、多分散度(Mw/Mn)は、動的光散乱により算出した。
<Py−b−PEG保護金ナノロッド粒子の調製>
上記方法により得られたCTAB保護金ナノロッド粒子分散液を、超遠心分離機(Optima TLX,ベックマンコールター)により、遠心分離(回転数:21000rpm,時間:30分,回数:1回)することにより、沈殿物を得た。次に、合成例5で得られたPy−b−PEGを20mlの水に溶解し、Py−b−PEG溶液を得た。そして、このPy−b−PEG溶液を用いて、濃度が0.5mg/mlとなるように、上記沈殿物を再分散(全量10ml)し、25℃の恒温槽にて2日間撹拌した後、透析膜(分画分子量:約10000)に入れ、3000mlの水にて2日間透析した。透析後の分散液は、超遠心分離機により、遠心分離(回転数:21000rpm,時間:30分,回数:2回)した後、得られた沈殿物を、全量が100mlとなるように、滅菌水に再分散し、Py−b−PEG保護金ナノロッド粒子分散液を得た。
<Py−b−PEG保護金ナノロッド粒子の表面でのAgの析出>
上記方法により得られたPy−b−PEG保護金ナノロッド粒子分散液5mlに、1mMのAgNO溶液を添加(120μl,240μl,360μl,480μl)した。これらの溶液に、0.1Mのアスコルビン酸水溶液0.1mlを添加し、次いで、0.1MのNaOH水溶液を0.2ml添加した。その後、25℃の恒温槽にて1日間撹拌した後、透析膜(分画分子量:約10000)に入れ、3000mlの水にて3日間透析した。透析後の溶液は、超遠心分離機により、遠心分離(回転数:18000rpm,時間:30分,回数:1回)した後、得られた沈殿物を、全量が100mlとなるように、滅菌水に再分散し、Py−b−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液を得た。
[Py−b−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液のプラズモン吸収の測定]
上記方法により得られたPy−b−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液について、プラズモン吸収を分光光度計により測定したところ、銀の析出量が増加するにしたがって、銀固有のプラズモン吸収波長(400nm付近)側へのシフト及び吸収の増大が認められた(図13)。銀固有のプラズモン吸収は、金よりも大きいため、銀の析出によるシェル層の形成により、プラズモン吸収が増大したものと考えられる。また、Py−b−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液は、銀の析出量が増加するにしたがって、黄色から青色に変化した。
[Py−b−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の形状の確認]
上記方法により得られたPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の形状を透過型電子顕微鏡(TEM,HITACHI H−9500,日立ハイテクノロジーズ社製)により観察したところ、金ナノロッドの周囲に銀のシェル層が形成されていることが確認された(図14)。
[Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の細胞毒性の評価]
<Py−g−PEGで保護された金−銀コアシェルナノロッド粒子の調製>
上記方法により得られたPy−g−PEG保護金ナノロッド粒子分散液5mlに、1mMのAgNO溶液を添加(60μl,120μl,180μl,240μl,300μl,360μl)した。これらの分散液に、0.1Mのアスコルビン酸水溶液0.1mlを添加し、次いで、0.1MのNaOH水溶液を0.2ml添加した。その後、25℃の恒温槽にて1日間撹拌した後、透析膜(分画分子量:約10000)に入れ、3000mlの水にて3日間透析した。透析後の分散液は、超遠心分離機により、遠心分離(回転数:18000rpm,時間:30分,回数:1回)した後、得られた沈殿物を、全量が50mlとなるように、滅菌水に再分散し、濃度8.5μg/ml、11.3μg/ml、17μg/ml、22.6μg/ml、34μg/ml、50μg/ml、及び60μg/mlのPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液を得た。
<CTABで保護された金−銀コアシェルナノロッド粒子の調製>
上記方法により得られたCTAB保護金ナノロッド粒子分散液5mlに、1mMのAgNO溶液を添加(60μl,120μl,180μl,240μl,300μl,360μl)した。これらの分散液に、0.1Mのアスコルビン酸水溶液0.1mlを添加し、次いで、0.1MのNaOH水溶液を0.2ml添加した。その後、25℃の恒温槽にて1日間撹拌した後、透析膜(分画分子量:約10000)に入れ、3000mlの水にて3日間透析した。透析後の分散液は、超遠心分離機により、遠心分離(回転数:18000rpm,時間:30分,回数:1回)した後、得られた沈殿物を、全量が50mlとなるように、滅菌水に再分散し、濃度8.5μg/ml、11.3μg/ml、17μg/ml、22.6μg/ml、及び34μg/mlのCTAB保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液を得た。
評価には、上記方法により得られたPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液及び上記方法により得られたCTAB保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液を用いた。各分散液20mlを、超遠心分離機により、遠心分離(回転数:18000rpm,時間:30分,回数:1回)した後、得られた沈殿物を、全量が100mlとなるように、ウシ胎児血清(FBS)を10%含むDMEMを添加し、再分散した。次いで、この再分散液をフィルター(マイレクス−GV フィルター,0.22μm,ミリポア社製)により精製した。精製後の各再分散液0.5mlに、HeLa細胞(細胞数:5×10)を添加し、37℃で30分間インキュベーションした。そして、細胞増殖測定キット(MTT,Calbiochem Novabiochem Novagen社製)を用いて、細胞毒性を評価した。その結果、CTAB保護金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液は、細胞に対する毒性の高いことが確認された。これに対して、本発明のPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の分散液は、細胞に対して毒性を示さないことが確認された(図15)。
[Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の細胞取り込み]
上記と同様の方法にて、粒子濃度が96μg/mlの金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液を得た。該分散液を、遠心分離(回転数:18000rpm,時間:15分,回数:1回)することにより、沈殿物を得た。該沈殿物を、上記合成例2で得られたPy−g−PEGを蛍光色素であるフルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識したPy−g−PEG−FITC溶液に再分散した(最終Py−g−PEG−FITC濃度:0.5mg/ml)。該再分散液を、冷暗所で3日間撹拌した後、遠心分離(回転数:18000rpm,時間:15分,回数:1回)することにより、沈殿物を得た。該沈殿物を、10%FBS含有DMEMに再分散し、FITC標識されたPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の濃度が30μg/ml、40μg/ml、50μg/ml、60μg/mlの再分散液を得た。
該再分散液をフィルター(マイレクス−GV フィルター,0.22μm,ミリポア社製)により精製した後、該精製後の再分散液1mlに、HeLa細胞(細胞数:2×10)を添加し、37℃で4時間インキュベーションした。そして、新たな10%FBS含有DMEMに交換した後、細胞を位相差顕微鏡(Observer.D1,Carl Zeiss社製)、及び蛍光顕微鏡(Observer.D1,Carl Zeiss社製)により観察したところ、FITC標識されたPy−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子が、該粒子の濃度依存的に、細胞に取り込まれていることが確認された(図16)。
[Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の細胞に対するフォトサーマル効果の評価]
上記と同様の方法にて、粒子濃度が96μg/mlの金−銀コアシェルナノロッド粒子分散液を得た。該分散液を、遠心分離(回転数:18000rpm,時間:15分,回数:1回)することにより、沈殿物を得た。該沈殿物を、上記合成例2で得られたPy−g−PEG溶液に再分散した(最終Py−g−PEG濃度:0.5mg/ml)。該再分散液を、冷暗所で3日間撹拌した後、遠心分離(回転数:18000rpm,時間:15分,回数:1回)することにより、沈殿物を得た。該沈殿物を、10%FBS含有DMEMに再分散し、Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の濃度が60μg/ml、100μg/mlの再分散液を得た。
スフェロイド作成用微細加工基板に、BAEC細胞(細胞数:3×10)を播種し、1日間培養後、HepG2細胞(細胞数:5×10)を播種し、スフェロイドを形成させた。ここに、上記Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の再分散液(粒子濃度:60μg/ml、100μg/ml)1mlを添加し、37℃で4時間インキュベーションした後、新たな10%FBS含有DMEMに交換した後、OPOレーザー(SL454G pulsed Nd:YAG laser,Spectron Laser System製)を用いて、800nmのレーザー光を照射(照射エネルギー:1000mW/cm,照射時間:10分間,照射面積:1cm)した。次いで、再度、新たな10%FBS含有DMEMに交換した後、カルセイン AMにより染色した生存細胞と、エチジウムホモダイマーにより染色した死細胞とを、蛍光顕微鏡(Observer.D1,Carl Zeiss社製)にて観察したところ、Py−g−PEG保護金−銀コアシェルナノロッド粒子の発散する熱により、細胞が死滅されたことが確認された(図17)。
以上より、本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子によれば、塩溶液中だけでなく、血清を含む溶液中であっても優れた分散安定性を示し、且つ細胞に対して毒性を示さず、安全性が高いことが明らかとなった。また、本発明の金−銀コアシェルナノロッド粒子は、細胞内に取り込まれ、光照射により効率的に熱を発生するので、該熱を利用したフォトサーマル治療等の医療デバイスとしての応用が期待できる。

Claims (8)

  1. 金ナノロッド粒子をコアとし、前記金ナノロッド粒子の表面に、銀からなるシェル層が被覆され、前記シェル層の表面に、共重合体が吸着した金−銀コアシェルナノロッド粒子であり、前記共重合体は、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)を少なくとも重合させたブロック共重合体又はグラフト共重合体であることを特徴とする金−銀コアシェルナノロッド粒子。
    (式中、Rは、炭素数2〜7のアルキレン基を表す。)
  2. 前記共重合体は、前記重合性モノマー(A)と、一般式(II)で表される繰り返し構造を有する重合性モノマー(B)とのブロック共重合体又はグラフト共重合体である請求項1に記載の金−銀コアシェルナノロッド粒子。
    (式中、Rは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
  3. 前記重合性モノマー(A)が、一般式(III)で表される請求項1又は2に記載の金−銀コアシェルナノロッド粒子。
    (式中、R1aは、炭素数2〜7のアルキレン基を表し、R2aは、水素原子又はメチル基を表す。)
  4. 前記重合性モノマー(B)が、一般式(IV)で表される請求項2に記載の金−銀コアシェルナノロッド粒子。
    (式中、R1bは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2bは、炭素数2〜5のアルキレン基を表し、R3bは、水素原子又はメチル基を表し、nは、5〜2000の任意の整数を表す。)
  5. 前記重合性モノマー(B)の質量平均分子量が、200〜80000である請求項2又は4に記載の金−銀コアシェルナノロッド粒子。
  6. 前記重合性モノマー(A)と前記重合性モノマー(B)とのモル比が、1:99〜99:1である請求項2、4、又は5に記載の金−銀コアシェルナノロッド粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の金−銀コアシェルナノロッド粒子を含有するフォトサーマル治療剤。
  8. 金ナノロッド粒子をコアとし、前記金ナノロッド粒子の表面に、銀からなるシェル層が被覆され、前記シェル層の表面に、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が吸着した金−銀コアシェルナノロッド粒子の製造方法であって、カチオン性界面活性剤を鋳型として、金ナノロッド粒子を形成する工程と、前記カチオン性界面活性剤を、ブロック共重合体又はグラフト共重合体に置き換えることにより、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が吸着した金ナノロッド粒子を形成する工程と、前記ブロック共重合体又はグラフト共重合体が吸着した金ナノロッド粒子の表面で銀を析出させることにより、前記シェル層を形成する工程とを含み、前記ブロック共重合体又はグラフト共重合体が、一般式(I)で表される基を有する重合性モノマー(A)を少なくとも重合させたブロック共重合体又はグラフト共重合体であることを特徴とする金−銀コアシェルナノロッド粒子の製造方法。
    (式中、Rは、炭素数2〜7のアルキレン基を表す。)
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