JP5707340B2 - 褥瘡の防止のための材料 - Google Patents

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Description

本発明は、特に、褥瘡の防止のための材料に関する。
褥瘡の形成を防止しようと、クリーム、パッドおよび軟質材料などの種々の手段が用いられてきた。しかし、これらの手段のいずれもが、真に有効であると証明されていない。
周知である一方法は、皮膚を保護するためにまたは荷重の分配のためにシリコーンゲルまたはハイドロゲル系プレートなどのポリマーゲル系プレートを用いることも含む。例えば、荷重分配機能を確保するために、周知である一方法は、PDMS(ポリジメチルシロキサン)タイプの比較的硬いシリコーンゲルから作製されたプレートを用いることを含む。仏国特許第2712487号には、脚の上または下に基本的に現れる過度の圧力によって引き起こされる病状の防止のための脚パッドの特性と同様の特性を有するシリコーンゲルが記載されている。
しかし、褥瘡の形成は、過度の圧力とは異なる、組織にかかる応力から結果として起こる。図1および2は、剛性面10において支持する骨2の周囲の皮膚および組織1の領域を断面で模式的に表す。図1において、骨2は、最小厚さの組織1の層によって剛性面10から分離されている。剛性面にかかる圧力は、陰影3において表される応力場の形成をもたらし、その灰色レベルは、応力の強度を表している。骨2と剛性面との間に位置する最も暗い領域は、支圧応力が最も高い領域を定めている。
したがって、組織は、骨2に沿ってさらに圧縮され、骨から遠ざかって次第に圧縮されなくなる。
実際には、骨の圧力は、必ずしも、支圧面に垂直ではない。この状況で起こる現象を図2に示す。骨によってかけられる応力Fは、垂直成分Fvおよび水平成分Fhを含む。垂直成分は、過度の圧力を作り出して、骨の一方の側に皮膚の厚さを低減する領域5を形成し得る。この低減は、この領域において、組織の乏しい洗浄を引き起こす。水平成分Fhは、支圧面10における摩擦に特に起因して組織に歪みをかける傾向にある剪断応力Faおよび圧縮応力Fcを、骨2の両側にある組織において誘発する。血管もまた、これらの応力を受ける。したがって、皮膚およびより深い組織は、圧縮に起因して洗浄が乏しくなり、支圧面と平行に交互の応力を受け、この影響は、高齢者または栄養不足の人々における場合のように組織があまり弾性でないとき、ますます負になる。この摩擦は、皮膚の表面において、病変の形成をもたらす可能性もある。したがって、圧縮、剪断および摩擦応力は、褥瘡を形成する傾向がある。
仏国特許第2712487号明細書 国際公開第02/17840号
したがって、圧力および摩擦の皮膚に対する負の影響を除去する、または少なくとも低減することを可能にする、皮膚と支圧面との間に配置される材料を開発することが望ましい。
国際公開第02/17840号には、特に褥瘡の処置を意図した包帯が記載されている。該包帯は、伸張性で可撓性の織物材料から作製されており、成形されたシリコーンポリマーゲルから作製され、6〜8のショアA硬度を有するパッドを、体の損傷領域の適所において保持している。このパッドが褥瘡の形成を防止しないことは明らかである。
いくつかの実施形態は、皮膚の付近における皮膚および組織の保護物を製造するための方法であって、混合物を形成するステップと、混合物を少なくとも部分的に重合してポリマーゲルを得るステップと、ポリマーゲルを用いて保護層を形成するステップとを含み、混合物が、
20,000mPa・sを超える粘度を有する約15%のジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
200〜20,000mPa・sの間の粘度を有する約25%のジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
約45%のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンと、
約12%のトリメチルシロキシ処理された焼成シリカと、
約3%のジメチル水素末端コポリジメチルシロキサン−ポリメチル−水素−シロキサンと
を含み、
ポリマーゲルが、35℃において、応力頻度が0〜100rd/sの間で変動するとき、11,000〜20,000Paで変動する剛性または弾性成分、700〜8,000Paで変動する粘度または緩衝成分、および0.06〜0.38で変動する緩衝係数またはタンデルタを有する、方法に関しうる。
一実施形態によると、保護層は、100〜115g/cmの間の付着性を有する。
一実施形態によると、保護層は、1〜4mmの間の厚さを有する。
一実施形態によると、保護層の面は、直径が2〜20μmの間である凹凸を有する。
一実施形態によると、約45%のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンは、100mPa・s未満の粘度を有する。
一実施形態によると、約45%のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンは、100mPa・s未満の粘度を有する約5/9部分のポリジメチルシロキサン、および20,000mPa・sを超える粘度を有する約4/9部分のポリジメチルシロキサンを有する。
一実施形態によると、重合は、白金−ビニルシロキサン錯体の存在下に実施される。
いくつかの実施形態はまた、皮膚の付近において皮膚および組織を保護するための保護層であって:
20,000mPa・sを超える粘度を有する約15%のジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
200〜20,000mPa・sの間の粘度を有する約25%のジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
約45%のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンと、
約12%のトリメチルシロキシ処理された焼成シリカと、
約3%のジメチル水素末端コポリジメチルシロキサン−ポリメチル−水素−シロキサンと
を含む混合物を少なくとも部分的に重合して得られるポリマーゲルを含み、
ポリマーゲルが、35℃において、応力頻度が0〜100rd/sの間で変動するとき、11,000〜20,000Paで変動する剛性または弾性成分、700〜8,000Paで変動する粘度または緩衝成分、および0.06〜0.38で変動する緩衝係数またはタンデルタを有する、保護層にも関しうる。
一実施形態によると、保護層は、100〜115g/cmの間の付着性を有する。
一実施形態によると、保護層は、2〜3mmの間の厚さを有する。
一実施形態によると、保護層は、直径が2〜20μmの間である凹凸を有する面を含む。
一実施形態によると、約45%のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンは、100mPa・s未満の粘度を有する。
一実施形態によると、約45%のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンは、100mPa・s未満の粘度を有する約5/9部分のポリジメチルシロキサン、および20,000mPa・sを超える粘度を有する約4/9部分のポリジメチルシロキサンを含む。
一実施形態によると、重合は、白金−ビニルシロキサン錯体の存在下に実施される。
いくつかの実施形態はまた、局所圧を適用することによって誘発される皮膚毛細血管の血管拡張反射を回復または増強するための製品であって、先に定義した保護層を含む製品にも関しうる。
本発明の実施形態のいくつかの例を、限定されないが以下の図面と関連づけて以下に記載する。
先に記載しており、骨の周囲の皮膚および組織の領域を断面で模式的に表す。 先に記載しており、骨の周囲の皮膚および組織の領域を断面で模式的に表す。 一実施形態による材料から作製された保護層によって覆われている、骨の周囲の皮膚および組織の領域を、断面で模式的に表す。 一実施形態による保護層の特性の変動を示す曲線である。 一実施形態による保護層の特性の変動を示す曲線である。 一実施形態による保護層の特性の変動を示す曲線である。
図3は、一実施形態による保護層20によって保護されている、骨の付近の皮膚および組織の領域を表す。保護層20は、内容物が以下のTable 1(表1)に記載されている2種の混合物の一方または他方を少なくとも部分的に重合することによって得られるシリコーンゲルを含む:
Figure 0005707340
混合物1および2の部分重合は、白金−ビニルシロキサン錯体触媒を用いて得られる。
図4は、35℃における、応力頻度にしたがった層20の剛性または弾性成分G’の変動を示す曲線C1を表す。曲線C1において、層20の剛性は、応力頻度が0〜100rd/sで変化するとき、約11,000〜20,000Pa増大する。
図5は、35℃における、応力頻度にしたがった層20の粘度または緩衝成分G”の変動を示す曲線C2を表す。曲線C2において、層20の粘度は、応力頻度が0〜100rd/sで変化するとき、約700〜8,000Pa増大する。
図6は、35℃における、応力頻度にしたがった層20の緩衝係数(消散エネルギーと回復エネルギーとの間の比)またはタンデルタの変動を示す曲線C3を表す。曲線C3において、層20のタンデルタは、応力頻度が0〜100rd/sで変化するとき、約0.06〜0.38増大する。
保護層20の特性を以下のTable 2(表2)にまとめる:
Figure 0005707340
保護層20は、最大の緩衝を確保するための軟質材料と、反対に、剪断応力に対する良好な耐性および支圧応力の良好な分配を確保するための硬質材料との間の良好な折衷を得る。この目的のために、層20の厚さは、1〜4mmの間でありうる。
皮膚と接触している保護層の表面は、直径が2〜20μmの間である凹凸を有して、皮膚とのより良好な付着性のために平滑でありえない。かかる表面状態は、平滑な表面に対するいずれの圧力も存在しない重合によって得られうる。
図3に表されているように、圧縮応力の一部が保護層20によって緩衝されていることが分かる。実際に、図2と3とを比較すると、保護層20は変形されており、骨の下の組織の厚さは図3におけるよりも厚い。その結果、圧縮応力6が保護層20によって部分的に緩衝される。さらに、剪断応力7の一部もまた、層20によって緩衝される。その結果、疲労を引き起こし結果として病変を生ずる場合がある、皮膚およびより深い組織の繰り返される動的負荷を減少させる。また、その結果、血管の保存およびこれによる組織の洗浄の維持をもたらす。層20の著しい付着性により、著しく制限される、皮膚とその環境との間の摩擦を可能にする。
保護層20は、保護すべき皮膚の領域において、該層を保持する手段に付随していてよい。この手段は、層20の縁部に沿って固定されている繊維片または別のより付着性のシリコーンゲルでありうる。
表皮は、3種類の感覚:圧力感度、振動感度およびいわゆる鋭い「接触」感度に特化した多数の機械感受性受容器(機械受容器)を有しており、主な目的は、保護することである。圧力に感受性である表皮の機械受容器、神経系、および皮膚毛細血管の血管拡張を組み込んだ反射神経が存在する。皮膚病変、特に褥瘡の外観が、この反射神経の撹乱から生ずることが明らかになる。実際に、皮膚にかけられる圧力を相殺する、皮膚毛細血管の血管拡張の非存在下では、毛細血管は押しつぶされる。そして、皮膚組織は、十分に洗浄されず、褥瘡または床擦れに相当する、いわゆる「内から外への」創傷の外観を引き起こす可能性がある。
上記の保護層20は、局所圧を受ける位置において皮膚上に直接適用されるとき、局所圧を適用することによって誘発される、皮膚毛細血管の血管拡張反射を回復させ、または、特に糖尿病の人々におけるこの血管拡張を改善さえもすることが明らかになる。その結果、圧力の存在下でも良好な皮膚血管循環をもたらし、褥瘡の形成を防止する。
保護層はまた、この血管拡張反射が疼痛によって抑制されるリスクを制限する。該層は、荷重の分配を改善し、剪断応力の吸収に寄与する。該層は、皮膚を湿らせるその高い能力のおかげで、摩擦および/または圧力の有害な影響に対する感受性を弱くする皮膚の性質を回復させる。
本発明の種々の代替の実施形態および種々の適用が可能であることが当業者によって理解されるだろう。特に、本発明は、上記した混合物を重合することによって得られるシリコーンゲルに限定されない。本発明はまた、Table 2(表2)に言及した剛性、粘度および緩衝係数の特性を有するあらゆる組成物をカバーする。この点において、保護層が、他の手段によって皮膚上で保持されている可能性を有して、Table 2(表2)に言及した付着性よりも低い付着性を有しうることに注意されたい。保護層はまた、保護層が皮膚から除去されるときに病変が形成されるリスクを過剰に防止することを回避しながら、より高い付着性を有してもよい。
本発明は、褥瘡の防止のみに適用されるのではない。実際に、上記の特性を有する保護層は、表皮上または表皮内に形成されうる他のいずれの病変をも防止するのに用いられうる。

Claims (15)

  1. 皮膚の付近において皮膚および組織を保護するための保護層の製造方法であって、
    混合物を形成するステップと、混合物を少なくとも部分的に重合してポリマーゲルを得るステップと、ポリマーゲルを用いて保護層を形成するステップとを含み、
    混合物が、
    20,000mPa・sを超える粘度を有する15%のジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
    200〜20,000mPa・sの間の粘度を有する25%のジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
    5%のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンと、
    2%のトリメチルシロキシ処理された焼成シリカと、
    %のジメチル水素末端コポリジメチルシロキサン−ポリメチル−水素−シロキサンと、
    を含み、
    ポリマーゲルが、35℃において、応力頻度が0〜100rd/sの間で変動するとき、11,000〜20,000Paで変動する剛性または弾性成分、700〜8,000Paで変動する粘度または緩衝成分、および0.06〜0.38で変動する緩衝係数またはタンデルタを有することを特徴とする、製造方法。
  2. 保護層が、100〜115g/cmの間の付着性を有する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 保護層が、1〜4mmの間の厚さを有する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 保護層の面が、直径が2〜20μmの間である凹凸を有する、請求項1から3の何れか一項に記載の製造方法。
  5. 5%のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンが、100mPa・s未満の粘度を有する、請求項1から4の何れか一項に記載の製造方法。
  6. 5%のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンが、100mPa・s未満の粘度を有する5/9部分のトリメチル末端ポリジメチルシロキサン、および20,000mPa・sを超える粘度を有する4/9部分のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンを有する、請求項1から4の何れか一項に記載の製造方法。
  7. 重合が、白金−ビニルシロキサン錯体の存在下に実施される、請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 皮膚の付近において皮膚および組織を保護するための保護層であって、
    20,000mPa・sを超える粘度を有する15%のジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
    200〜20,000mPa・sの間の粘度を有する25%のジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
    5%のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンと、
    2%のトリメチルシロキシ処理された焼成シリカと、
    %のジメチル水素末端コポリジメチルシロキサン−ポリメチル−水素−シロキサンと
    を含む混合物を少なくとも部分的に重合することによって得られたポリマーゲルを使用する保護層であって、
    前記ポリマーゲルが、35℃において、応力頻度が0〜100rd/sの間で変動するとき、11,000〜20,000Paで変動する剛性または弾性成分、700〜8,000Paで変動する粘度または緩衝成分、および0.06〜0.38で変動する緩衝係数またはタンデルタを有することを特徴とする、保護層。
  9. 100〜115g/cmの間の付着性を有する、請求項8に記載の保護層。
  10. 2〜3mmの間の厚さを有する、請求項8または9に記載の保護層。
  11. 直径が2〜20μmの間である凹凸を有する面を含む、請求項8から10の何れか一項に記載の保護層。
  12. 45%のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンが、100mPa・s未満の粘度を有する、請求項8から11の何れか一項に記載の保護層。
  13. 45%のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンが、100mPa・s未満の粘度を有する5/9部分のトリメチル末端ポリジメチルシロキサン、および20,000mPa・sを超える粘度を有する4/9部分のトリメチル末端ポリジメチルシロキサンを含む、請求項8から11の何れか一項に記載の保護層。
  14. 重合が、白金−ビニルシロキサン錯体の存在下に実施される、請求項12または13に記載の保護層。
  15. 局所圧を適用することによって誘発される、皮膚毛細血管の血管拡張反射を回復または増強するための製品であって、請求項8から14の何れか一項に記載の保護層を含むことを特徴とする製品。
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