JP5706416B2 - 硫黄含有高分子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2009年8月21日に出願された米国特許仮出願第61/272,148号に対する、米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
本出願の主題は、硫黄含有高分子およびその製造方法に関する。詳しくは、本主題は、構造単位としてビニレン硫化物を有する、直鎖状および分岐状の硫黄含有ポリマー材料、ならびにデンドリマーに関する。これらのビニレン硫化物系高分子は、無金属によるアルキンのヒドロチオール化と金属触媒によるアルキンのヒドロチオール化との両方によって、生産され得る。
機能性ポリマーは、先端技術革新にとって有望な材料であり、これらのポリマーの新規合成ルートの開発は、高分子科学における重要な研究領域である。硫黄含有高分子が高度な特性を有することから、高分子構造への硫黄含有高分子の取り込みは、高機能性材料を得るための一つの方法である。しかし、高分子への硫黄部分の取り込みはまた、反応性、溶解性、モノマー合成の困難さ、および、標的分子を得る際の複雑な工程といった数多くの問題に遭遇することがある。
アルキンのヒドロチオール化は、チオールとアセチレンとが互いに反応してビニル生成物を形成する反応である。ビニル分子は、その新規な特性、例えば絶縁性により、多くの科学者が興味を寄せている。1956年には、高収率でビニル硫化物が得られる、芳香族アセチレンまたはアルキルアセチレンとナトリウムチオレートとの救核反応を、トルース(Truce)およびシムズ(Simms)が発見した(非特許文献1)。その後、この反応は、「アルキンヒドロチオール化(Alkyne Hydrothiolation)」と命名された。1987年には、オオシマ(Oshima)およびイチノセ(Ichinose)らは、トリエチルホウ素をラジカルとしてうまく利用して、アセチレンとチオールとを反応させた(非特許文献2)。そのような反応には、遷移金属錯体が用いられた。しかし、初期の試みは、硫黄原子と金属触媒との有毒な相互作用のため、ほとんど成功しなかった。
ニュートン(Newton)は、モリブデンを触媒として用いて、チオフェノールを反応性の高いアルキン分子に付加することに成功した(非特許文献3)。しかし、この反応を用いた場合、得られた生成物の収量は、比較的低かった。1992年には、オガワ(Ogawa)およびソノダ(Sonoda)は、ロジウム錯体およびパラジウム錯体が、かかる反応を効果的に触媒して、分岐状および直鎖状のビニル硫化物が生成されることを明らかにした(非特許文献4)。以来、アルキンのヒドロチオール化は、最も広く研究される反応のひとつとなり、多くのラジカル、求核基、および金属錯体が様々なメカニズムにより触媒として働くことが知られている(非特許文献5〜8)。
高屈折率の巨大分子は、フォト光学装置(photo-optical devices)で使用される有力候補である。標的高分子は、良好な塗膜形成能、高透過性、高屈折率、および高耐熱性を有する必要がある。高屈折率高分子を得るための1つ方法は、硫黄、または窒素、酸素等の他のヘテロ原子を、高分子の構造に取り込ませることである。
様々な研究グループが、種々の手段、すなわち、異なる成分を単に混合することによって(特許文献1)、または、モノマー構造に硫黄を取り込ませることによって(非特許文献9,10)、硫黄含有高分子を合成している。高屈折率巨大分子を得る別の方法は、構造内に金属部分を取り込ませることである。金属を付加することで、高分子の屈折率を著しく高めることができるが(特許文献2)、通常、標的高分子の加工性及び透過性が低くなってしまう。
チオールによるアセチレンのヒドロチオール化によって、分岐状ビニル硫化物および直鎖状ビニル硫化物が高収率で生成し得る。科学者は、この反応の触媒を鋭意研究して様々な置換基を有するビニル硫化物を合成しているが、新たな高分子の合成に当該触媒を利用することについては、ほとんど努力が払われていない。さらに、2以上の三重結合およびメルカプト結合を有する、アセチレンおよびチオールのアルキンヒドロチオール化は、直鎖状構造および超分岐状構造を持つポリマーを生成し得る。段階的反応を用いることによって、そのような官能性を含むデンドライマーを得ることもできる。しかし、そのような可能性は、そのような巨大分子が新たな材質性状を示すかもしれないということにもかかわらず、まだ調べられていない。したがって、アルキンヒドロチオール化によって新たな性質を有する硫黄含有高分子を製造するための新規な方法が求められている。
国際公開第2007/088556号 米国特許出願公開第2009/0111677号明細書
William E. Truce and Joh A. Simms, J. Am. Chem. Soc. 1956, 12, 2756-2759 Ichinose et al., "Et3B Induced Radical Addition of Thiols to Acetylenes," Chem. Lett., 1987, pp. 1647-1650 McDonald et al., "Catalysis by Molybdenum Complexes. The Reaction of Diazenes and Acetylenes with Thiophenol," Inorg. Chem., 1976, Vol. 15, No. 9, pp. 2056-2061 Akiya Ogawa and Noboru Sonoda et al., J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 5902-5903 Jan-E, Backvall and Anna Ericsson, J. Org. Chem. 1994, 59, 5850-5851 Li-Biao Han et al., J. Am. Chem. Soc. 2004, 26, 5080-5081 Akiya Ogawa et al., J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 5108-5114 Suzanne Burling et al., Dalton Trans. 2003, 4181-4191 Rie Okutsu et al., Macromolecules, 2008, 41, 6165-6168 Nam-ho You et al., Polymer, 2009, 50, 789-795
本出願は、硫黄含有高分子を製造するための新規な方法を提供するもので、該高分子は加工可能であり、かつ高い屈折率と高い透過性とを有する。直鎖状、分岐状、または超分岐状のモノマーおよびポリマー、あるいはデンドリマーでさえも、この方法を用いることで得ることができる。この方法を用いることで、モノマーの合成が単純かつ容易である。すなわち、重合反応は、塩基性条件または遷移金属触媒のいずれかによって触媒され得るもので、官能基化能が高く(highly functionality-tolerant)、さらに、高収率で得られる最終生成物を提供する。重合は、ワンポット一段階反応で行われ、高収率および高分子量で、硫黄含有オリゴマーおよび高分子を生ずる。一般的な有機溶媒に対する上記ポリマーの溶解性は、標準的な分光法によるポリマー構造の決定を可能にし、ポリマーの加工性(processability)および適用性(applicability)を容易に高める。上記ポリマーは、加工可能であり、膜成形が容易であり、熱的に安定である。
したがって、本主題の一実施形態では、下記の式(1a)によって表わされる複数の内部構成単位を有する、硫黄含有ポリマーを提供する。
(式中、nは1よりも大きく;また、RおよびR’は同一または異なり、有機基または有機金属基から独立して選択される。上記ポリマーは、加工可能であり、膜成形が容易であり、熱的に安定であり、さらに、高い屈折率を有する)
本主題の別の実施形態は、下記重合ステップを含む、上記の式(1a)の内部構成単位を有する硫黄含有ポリマーの製造方法を提供する。
(式中、上記前駆体は、1つまたはそれ以上のアセチレン基(すなわち、アルキニル)を有するアルキン(すなわち、アルキレン)と、1つまたはそれ以上のチオール基(すなわち、メルカプト)を有するチオールとを含み;さらに、Rは上記チオール基を除く上記チオールの残部、R’は上記アセチレン基を除く上記アルキンの残部、ならびにRおよびR’は、有機基または有機金属基から選択される)
本明細書において、単語「それ以上(more)」は、2または2を上回ることを意味する。重合反応は、単純なワンポット反応(one-pot reaction)であり、官能基化能が高く(highly functionality-tolerant)、高収率でオリゴマーおよびポリマーを生ずる。モノマーおよびポリマーの両方の製造は容易であり、このことは、この材料の利用をよりいっそう便利にする。ポリマー構造中に硫黄が多く存在することは、ポリマーが高い屈折率を達成する上で、役立つ。
本主題の別の実施形態では、硫黄含有ポリマーを含む組成物が塗布された基板上に、パターンを形成する方法を提供する。この方法では、エネルギー源がポリマー組成物に付与される。エネルギー源として、UV照射、電子線またはレーザーを用いることができる。
図1は、モノマー3(A)およびポリマーP1/3(B)のIRスペクトルを示す。 図2は、CDClにおける、化合物21(A)、モノマー3(B)、およびポリマーP1/3(C)のH NMRスペクトルを示す。溶媒ピークを星印で示す。 図3は、CDClにおける、化合物21(A)、モノマー3(B)、およびポリマーP1/3(C)の13C NMRスペクトルを示す。溶媒ピークを星印で示す。 図4は、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下で記録した窒素下ポリマーP1/2〜P1/5のTGAサーモグラムを示す。 図5は、P1/2〜P1/4のTHF溶液の光透過スペクトルを示す。ポリマー濃度(μg/mL)は、7.2(P1/2)、5.7(P1/3)、および6.0(P1/4)である。 図6は、P1/2、P1/3(表5、No.1から得た試料)、およびP1/4の屈折率の波長依存性を示す。 図7は、P1/2(Co)〜P1/4(Co)の薄膜の光透過スペクトルを示す。 図8は、P1/2(Co)〜P1/4(Co)の薄膜の屈折率の波長依存性を示す。 図9は、日光(左)および蛍光(右)下で得たP1/2のフォトリソグラフィーによって生じたネガ型フォトレジストパターンを示す。 図10は、モノマー(AおよびB)ならびにポリマー(C〜E)のH NMRスペクトルを示す。 図11は、P(1−co−6a)(破線)およびP(1−co−6b)(実線)の固体薄膜の光屈折を示す。
本発明の主題に係る硫黄含有ポリマーは、下記式(1a)によって表される複数の内部構成単位を含む。
(式中、nは1よりも大きく、RおよびR’は同一または異なり、独立して有機基または有機金属基から選択される)
式(1a)の一実施形態では、nは1よりも大きい。別の実施形態では、nは少なくとも10である。さらに別の実施形態では、nは10と1000との間である。
式(1a)のRおよび/またはR’は、任意の有機基または有機金属であり得、限定されるものではないが、構造内に金属を有するかまたは有しない任意に置換されたアルキル基、アルケニル基、または芳香族基が挙げられる。本明細書中で使用される語句「有機基」とは、分子が炭素を含む化合物からなる大きな一群の任意の一員として当該技術分野で知られている有機化合物由来の基(radical)をいう。本明細書中で使用される語句「有機金属基」とは、炭素と金属との間の結合を含む化合物として当該技術分野で知られている有機金属化合物由来の基(radical)をいう。
任意に置換されたアルキル基は、別段の定めがない限り、直鎖状または分岐状であってもよく、最大24個までの炭素原子を含んでもよい。他の実施形態では、置換されたアルキル基は、最大20個までの炭素原子を含んでもよい。さらなる実施形態では、置換されたアルキル基は、最大18個までの炭素原子を含んでもよい。
任意に置換されたアルケニル基は、別段の定めがない限り、直鎖状または分岐状であってもよく、最大12個までの炭素原子を含んでもよい。他の実施形態では、置換されたアルケニル基は最大6個までの炭素原子を含んでもよい。さらなる実施形態では、置換されたアルケニル基は最大4個までの炭素原子を含んでもよい。
任意に置換された芳香族基は、任意のアリール基またはヘテロアリール基であってもよく、特に好ましくはアリール基である。アリール基は、単環式芳香族炭化水素基または多環式芳香族炭化水素基であってもよく、6ないし14個の炭素原子を含んでもよい。別の実施形態では、アリール基は、単環式芳香族炭化水素基または多環式芳香族炭化水素基であってもよく、6ないし10個の炭素原子を含んでもよい。好ましいアリール基として、限定されるものではないが、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、およびフェナントリル基、とりわけフェニル基またはナフチル基、特にフェニル基が挙げられる。ヘテロアリール基は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む、任意の芳香族単環式環系または芳香族多環式環系であってもよい。好ましくは、ヘテロアリール基は、酸素原子、硫黄原子、および窒素原子から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、5ないし14員、特に5ないし10員の芳香族環系である。好ましいヘテロアリール基として、限定されるものではないが、ピリジル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、インドリニル基、イミダゾリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、プリニル基、キノリニル基、キノキサリニル基、ピリダジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾキサゾリル基、およびアクリジニル基が挙げられる。
有機金属基の金属は、ポリマー、フィルム、またはセラミックス材料を開発する際に、あるいはそのような化合物を修飾してそれらの特性および/または活性に影響を与える際に、通常用いられる金属の1つまたはそれ以上であってもよい。そのような金属の非限定的例として、Si、Fe、Ir、Zn、Al、およびSiが挙げられる。本主題の一実施形態では、Feが好ましい。
有機基または有機金属基の任意の置換基は、ポリマー、フィルム、またはセラミックス材料を開発する際に、あるいはそのような化合物を修飾してそれらの構造/活性、安定性、または他の特性に影響を及ぼす際に通常用いられる金属の1つまたはそれ以上であってもよい。そのような置換基の具体例として、限定されるものではないが、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アシル基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基およびヘテロアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルカノイル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、カルバモイル基、ならびにアルキルアミド基が挙げられる。
上記置換基がアルキル置換基を示すか、もしくは含む場合、当該アルキル置換基は直鎖状または分岐状であってもよく、また最大12個までの炭素原子を含んでもよい。別の実施形態では、アルキル置換基は直鎖状または分岐状であってもよく、また最大6個までの炭素原子を含んでもよい。さらなる実施形態では、アルキル置換基は最大4個までの炭素原子を含んでもよい。
本明細書で有用なハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であってもよい。ハロアルキル基等のハロ部分を含む任意の基は、これらのハロゲン原子を1またはそれ以上含んでいる。
一実施形態では、式(1a)の各Rは、単一の高分子の全ての内部構成単位において、ほかのすべてのRと同一であってもよい。あるいは、各Rは、単一の高分子の全ての内部構成単位において、ほかのすべてのRと異なってもよい。同様に、各R’は、単一の高分子内で、同一または異なってもよい。好ましくは、RおよびR’は、
(式中、Xは、ヘテロ原子、例えば窒素(N)、リン(P)、または硫黄(S)であり;yは≧1であり;Rは、アルキル、アルケニル、アシル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアルキルからなる群から選択され;ならびに、Mは金属または有機金属群、例えば、Mはフェロセン(Fc)、またはケイ素(Si)であり得る。XおよびMは、RまたはR’に関して用いられるかどうかにかかわらず、同一である)からなる群から各々独立して選択される。
したがって、式(1a)の内部構成単位を有する硫黄含有ポリマーは、好ましくは、
(式中、n>1である)からなる群から選択される。
本主題の硫黄含有ポリマーは、可溶であることから、加工可能であり、成膜容易であり、熱に安定であり、さらに、高屈折率を有する。IR、H NHR、および13C NMRによる特性解析データから、これらのポリマーに関する満足な結果が得られる。また、ポリマーを、一般的な使用を目的として、種々の高分子と配合することができる。
本主題の一実施形態に係る硫黄含有高分子を製造する1つの方法は、スキーム1に示すように、一般構造8および9でそれぞれ表されるチオールおよびアルキンを使用する。ここで、スキーム1中、RおよびR’は、同一または異なり、硫黄含有ポリマーに関して上記したように、任意の種類の有機基または有機金属基から独立して選択される。
この方法は、スキーム2に示されるような、ビニレン硫化物部分を含む、可溶かつ加工可能な分岐状オリゴマーおよび高分子の製造に用いられ得る。式中、RおよびR’は、スキーム1の上記定義と同じであり、PおよびP’はアセチレンおよびチオールの保護基である。なお、モノマー構造中のRおよびR’は、有機官能性および有機金属官能性を有する、考えられる全ての化合物に拡張可能である。さらに、アセチレンおよびチオールに用いることができる任意の保護基は、PおよびP’として、この方法で用いることができる。この点に関する非限定的な例として、tert−ブチル部分、芳香族チオエステル、チオエーテル誘導体、チオカルボナート誘導体、ジスルフィド等が挙げられる。
ポリマー材料に硫黄または金属が存在することで、ポリマー材料の屈折率向上が促される。したがって、ポリマーの硫黄含有量が増加すると、ポリマーの屈折率が高まる。硫黄含有量がより高い前駆体を用いることで、より高い屈折率を有するポリマーが得られる。
本主題の一実施形態に係る一方法は、単純な反応であり、該反応は、硫黄含有化合物または金属含有化合物をPMMA等のポリマーと混合させる他の従来方法とは異なり、チオールおよびアルキンを用いて硫黄含有高分子を得る。しかし、これらの従来方法は、複雑である。
モノマーは、供給元から商業的に入手可能であるか、または単純な有機反応によって合成し得る。本主題に係るヒドロチオール化反応による一合成方法を、スキーム3に示す。このスキーム3では、チオフェノール19とカルボキシル化アセチレン20とが互いに反応して、生成物21を高収率で生ずる。
標準的な分光分析によって、化合物21の分析をすることで、この分析から期待されるデータが得られる。化合物21は、δ=5.82、6.087、および7.062ppmで、強いビニルプロトン共鳴ピークを示す一方で、アルキン化合物20のアセチレン共鳴ピークが消える。付着したフェニル部分から生ずる他のピーク全てが同一のままであり、他のピークは認められない。このことは、チオール化合物19およびアルキン化合物20からビニレン硫化物化合物21への変換がうまくいったことを示唆している。同様の結果は、13C NMR分析からも得られる。13C NMR分析では、化合物21の予測される構造に対して、すべてのピークを容易に割り当てることができる(図2)。
化合物21の製造がうまくいくことで、同様に、上記方法を直鎖状ポリマーの製造に利用することができる(スキーム4および5)。このため、異なるジインモノマーを製造して、異なる反応条件下で反応させる。得られたポリマーを、その後、ジエチルエーテル中に沈殿させることで、回収する。
上記の方法では、加工可能な材料を、最適な反応条件下で、アルキンとチオールとを様々な比率で反応させることで得ることができる。そのような反応条件として、溶媒、重合時間、温度、モノマー濃度、触媒等が挙げられる。溶媒、塩基、塩基濃度、重合時間、温度、モノマー濃度、および触媒の各反応条件の効果を、実施例中の表1ないし表12に示す。
ポリマーの製造に用いられてきた従来の溶媒のいずれも、本主題に係るポリヒドロチオール化反応に用いることが可能である。その非限定的な例として、THF、1,2−ジクロロベンゼン、トルエン、ダイオキシン、およびDME、DCM、クロロホルム、DMF、DMAP、DMAc、ならびに1,4−ジオキサンが挙げられ、これらは単独または組み合わせて用いられる。これらの溶媒を用いて、分子量が最大5,200までのポリマーを、高収率で得られる。
ポリマーを製造するのに用いられてきた従来の塩基のいずれも、本主題に係るポリヒドロチオール化反応に用いてもよく、該塩基として、限定されるものではないが、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ピペリジン、メチルピペラジン、モルホリン、およびそれらの混合物が挙げられる。一塩基(または複数の塩基)を添加することで、得られるポリマーの分子量が高くなる。塩基を、最大2.0Mまでの量で、反応混合物に添加することができ、好ましくは0.6Mと1.2Mとの間の量で添加する。塩基の濃度が増加するにつれて、得られるポリマーの分子量が増加する。
重合反応は、室温から、反応に用いた溶媒の沸点未満までの温度で行われてもよい。室温が好ましい。さらに、この反応を、約5〜36時間、好ましくは約20〜24時間にわたって、行うことができる。一実施形態では、反応は24時間反応である。
重合反応に用いられるモノマーの量を、種々の反応係数に応じて、調節することができる。一実施形態では、この反応に0.01ないし0.1Mのモノマーを用いることができる。別の実施形態では、この反応に0.04ないし0.08Mのモノマーを用いることができる。さらなる実施形態では、この反応に0.06Mのモノマーを用いることができる。
本方法によって製造されたポリマーは、IR、H NMR、および13C NMRスペクトルによって特徴付けられる。モノマー3およびポリマーP1/3のIRスペクトルを図1に示す。ポリマーP1/3のスペクトルでは、≡CHおよびC≡Cストレッチングに関連した3278および2128cm−1のピークは、いずれも、みられなかった。分光学的結果は、ポリマーの予期された構造と十分に一致している。
モノマー3、モデル化合物21、およびP1/3のH NMRを、図2に示す。δ〜5.82、6.087、および7.962ppmに、cis−ビニレン基およびtrans−ビニレン基上のプロトンに相当する新たなピークが見出される。δ〜3.067ppmのアセチレンプロトンは、重合後に消失することから、チオールとアセチレンとの反応によってビニル基が得られることが示唆される。芳香族プロトンに関係し得る他のすべてのピークは、反応後も同じである。
図3に示されるように、モデル化合物21、モノマー3、およびポリマーP1/3の13C NMRスペクトルもまた、期待される結果を示す。図3に示されるように、アセチレンピークは、重合後に消失し、他のすべてのピークが容易に、期待される構造に相関する。
図4に示されるように、ポリマーの安定性は熱重量分析によって評価されてきた。ポリマーはすべて非常に安定しており、300℃を上回る温度でのみ、分解し始める。
ポリマーのUVスペクトルを図5に示す。ポリマーはすべて400nm後に高い光透過性を示している。また、蛍光は観察されない。
ポリマーの屈折率(RI)を検討する。図6は、500から1700nmまでのポリマー膜の屈折率を示す。ポリマーの硫黄含有量が増加するにつれて、ポリマーの屈折率が徐々に増加する一方で、長波長で最大RIが1.7に達する。この値は、純粋な有機ポリマーとしてはかなり高いRIである。
ポリマーP1/2ないしP1/4は、Co(CO)と錯体を形成する。ポリマー膜のUVスペクトルおよび屈折率を、錯体形成後に再度測定し、図7および図8に示す。ポリマー膜の透過性はわずかに減少するが、ポリマーの屈折率は錯体形成後に著しく増加する。錯体形成後のポリマー膜の屈折率は、2.0に達し得る。ポリマーの光学分散は、錯体形成後、さほど変化しない。
ヒドロチオール化反応を、遷移金属によっても触媒することができる。そのような遷移金属の非限定的な例として、Rh含有錯体、Ir含有錯体、Cu含有錯体、Ni含有錯体、Mo含有錯体、およびPd錯体が挙げられる。一実施形態では、Rh含有錯体は、Rh(PPhClであり得る。遷移金属触媒によって触媒された化合物1と化合物6との間の重合データを、表12に示した。
cis−ビニル部分とtrans−ビニル部分との間の化学シフトにおける大きな差に起因して、ポリマーのcis−ビニル部分とtrans−ビニル部分との間の比を、対応するピークの積分を用いて、計算することができる。2つの単位間の比を計算して表1に示す。
モノマーの添加順序を変えることによって、cis−とtrans−との比を変えることができ、trans部分の比率を39%から最大〜100%まで変えることができる。様々な添加順序で得られたモノマーとポリマーとのHプロトンNMRスペクトルを図10に示す。
400nmから1700nmまでのポリマーの屈折率もまた検討し、その結果を図11に示す。
本主題の別の実施形態は、硫黄含有ポリマーを含む組成物が塗布された基板上に、パターンを形成するための方法を提供する。この方法は、ポリマー組成物に対して、エネルギー源を印加することを含む。そのようなエネルギー源の非限定的な例として、UV照射、電子ビーム、およびレーザーが挙げられる。スピンコーティング法または溶液キャスティング法を用いることによって、ポリマーは膜を形成し得る。ポリマー膜をマスクで覆い、それに対して、エネルギー源を用いて照射することで、ポリマーは架橋され、現像後、パターンが形成され得る。
実施例
本主題を、以下の実施例に関連して、本明細書中で説明するが、本主題の範囲は、本明細書中の実施形態に限定されるものではないことに留意すべきである。
実施例1
ポリマーP1/2の製造
グローブボックス内の窒素雰囲気下で、枝上三方コック付の15mLシュレンク管内に、40mg(0.15mmol)の4,4’−チオジベンゼンチオール(1)、70mgの2(0.15mmol)、および0.5gのジフェニルアミン(3mmol)を入れた。皮下注射用のシリンジを用い、上記管内に、蒸留DMF(2.5mL)を注入した。この混合物を、室温で24時間撹拌した。その後、重合混合物を、綿フィルターを通して、少量の酢酸を含む〜300mLのジエチルエーテルに滴加した。ポリマーの沈澱を一晩静置させた後、ろ過によって回収した。分離したポリマーをジエチルエーテルで洗浄し、恒量になるまで、室温で真空乾燥させた。
特性データ:白色粉末、収率:73.5%。M:21000、M/M:2.9(GPC、ポリスチレン校正)。H NMR(300MHz):5.808、6.091、7.033、7.088、7.257、7.336、7.407、7.887。13C NMR(75MHz):112.79、114.84、120.66、127.68、127.82、128.30、131.32、132.23、133.66、134.05、135.02、135.91、140.28、141.00、143.52、148.99、151.58、163.17、164.49、168.10。IR(KBr)、ν(cm−1):3050、2936、2860、1714、1672、1524、1502、1478、1386、1358、1204、1142、1096、1012、960、814、788、700。
実施例2
ポリマーP1/3の製造
グローブボックス内の窒素雰囲気下で、枝上三方コック付の15mLシュレンク管内に、40mg(0.15mmol)の4,4’−チオジベンゼンチオール(1)、49mgの3(0.15mmol)、および0.5gのジフェニルアミン(3mmol)を入れた。皮下注射用のシリンジを用い、上記管内に、蒸留DMF(2.5mL)を注入した。この混合物を、室温で24時間撹拌した。その後、重合混合物を、綿フィルターを通して、〜300mLのジエチルエーテルに滴加した。ポリマーの沈澱を一晩静置させた後、ろ過によって回収した。分離したポリマーをジエチルエーテルで洗浄し、恒量になるまで、室温で真空乾燥させた。
特性データ:白色粉末、収率:97.2%。M:29000、M/M:1.7(GPC、ポリスチレン校正)。H NMR(300MHz):1.783、5.808、5.829、6.123、6.156、6.962、6.989、7.049、7.075、7.228、7.258、7.320、7.404、7.425、7.452、7.914、7.964、8.016。13C NMR(75MHz):30.96、42.51、122.82、114.92、120.88、128.36、131.26、131.77、131.83、132.02、132.09、132.54、133.74、135.15、135.93、147.91、148.37、148.47、151.64、164.82。IR(薄膜)、ν(cm−1):3061、2965、2926、2866、1714、1574、1505、1475、1392、1359、1205、1169、1144、1100、1080、1012、961、818、734。
実施例3
ポリマーP1/4の製造
グローブボックス内の窒素雰囲気下で、枝上三方コック付の15mLシュレンク管内に、40mg(0.15mmol)の4,4’−チオジベンゼンチオール(1)、53mgの4(0.15mmol)、および0.5gのジフェニルアミン(3mmol)を入れた。皮下注射用のシリンジを用い、上記管内に、蒸留DMF(2.5mL)を注入した。この混合物を、室温で24時間撹拌した。その後、重合混合物を、綿フィルターを通して、〜300mLのジエチルエーテルに滴加した。ポリマーの沈澱を一晩静置させた後、ろ過によって回収した。分離したポリマーをジエチルエーテルで洗浄し、恒量になるまで、室温で真空乾燥させた。
特性データ:白色粉末、収率:87.2%。M:7500、M/M:2.1(GPC、ポリスチレン校正)。H NMR(300MHz):5.765、5.816、6.112、6.143、6.874、6.901、7.051、7.077、7.226、6.251、7.263、7.323、7.347、7.379、7.408、7.436、7.485、7.519、7.744、7.770、7.953、7.977、8.001。13C NMR(75MHz):111.79、13.63、116.16、122.34、122.53、128.28、128.86、129.28、129.94、130.38、131.27、131.77、132.55、133.48、133.75、134.07、134.55、134.91、135.10、136.12、138.39、150.55、153.45、153.74、154.24、154.35、161.16、162.46、163.08、167.53。IR(薄膜)、ν(cm−1):3062、2092、1724、1568、1474、1388、1356、1324、1296、1210、1134、1102、1012、958、818、734。
実施例4
ポリマーP1/5の製造
グローブボックス内の窒素雰囲気下で、枝上三方コック付の15mLシュレンク管内に、40mg(0.15mmol)の4,4’−チオジベンゼンチオール(1)、53mgの5(0.15mmol)、および0.5gのジフェニルアミン(3mmol)を入れた。皮下注射用のシリンジを用い、上記管内に、蒸留DMF(2.5mL)を注入した。この混合物を、室温で24時間撹拌した。その後、重合混合物を、綿フィルターを通して、〜300mLのジエチルエーテルに滴加した。ポリマーの沈澱を一晩静置させた後、ろ過によって回収した。分離したポリマーをジエチルエーテルで洗浄し、恒量になるまで、室温で真空乾燥させた。
特性データ:白色粉末、収率:98.2%。IR(薄膜)、ν(cm−1):3058、2924、2856、1708、1570、1486、1386、1358、1202、1136、1098、1012、960、816、788。
実施例5
ポリマーP(1−co−6a)の製造
グローブボックス内の窒素雰囲気下で、枝上三方コック付の15mLシュレンク管内に、25mg(0.1mmol)の4,4’−チオジベンゼンチオール(1)、26mgの6a(0.1mmol)、および0.9mg(0.001mmol)のRh(PPhClを入れた。皮下注射用のシリンジを用い、上記管内に、1,2−ジクロロエタン(2mL)を注入した。この混合物を、室温で36時間撹拌した。その後、重合混合物を、綿フィルターを通して、〜300mLのメタノールに滴加した。ポリマーの沈澱を一晩静置させた後、ろ過によって回収した。分離したポリマーをメタノールで洗浄し、恒量になるまで、室温で真空乾燥させた。
特性データ:黄色粉末、収率:88.2%。M:22500、M/M:3.0(GPC、ポリスチレン校正)。
実施例6
ポリマーP(1−co−6b)の製造
グローブボックス内の窒素雰囲気下で、枝上三方コック付の15mLシュレンク管内に、25mg(0.1mmol)の4,4’−チオジベンゼンチオール(1)、43.8mgの6b(0.1mmol)、および0.9mg(0.001mmol)のRh(PPhClを入れた。皮下注射用のシリンジを用い、上記管内に、1,2−ジクロロエタン(2mL)を注入した。この混合物を、室温で36時間撹拌した。その後、重合混合物を、綿フィルターを通して、〜300mLのメタノールに滴加した。ポリマーの沈澱を一晩静置させた後、ろ過によって回収した。分離したポリマーをメタノールで洗浄し、恒量になるまで、室温で真空乾燥させた。
特性データ:黄色粉末、収率:85.6%。M:7000、M/M:3.0(GPC、ポリスチレン校正)。
実施例7
ポリマーP(1−co−6c)の製造
グローブボックス内の窒素雰囲気下で、枝上三方コック付の15mLシュレンク管内に、25mg(0.1mmol)の4,4’−チオジベンゼンチオール(1)、33.2mgの6c(0.1mmol)、および0.9mg(0.001mmol)のRh(PPhClを入れた。皮下注射用のシリンジを用い、上記管内に、1,2−ジクロロエタン(2mL)を注入した。この混合物を、室温で36時間撹拌した。その後、重合混合物を、綿フィルターを通して、〜300mLのメタノールに滴加した。ポリマーの沈澱を一晩静置させた後、ろ過によって回収した。分離したポリマーをメタノールで洗浄し、恒量になるまで、室温で真空乾燥させた。
特性データ:黄色粉末、収率:92.3%。M:9500、M/M:3.3(GPC、ポリスチレン校正)。
実施例8
ポリマーP1/7の製造
グローブボックス内の窒素雰囲気下で、枝上三方コック付の15mLシュレンク管内に、40mg(0.15mmol)の4,4’−チオジベンゼンチオール(1)、46.2mgの7(0.1mmol)、および0.5gのジフェニルアミン(3mmol)を入れた。皮下注射用のシリンジを用い、上記管内に、蒸留DMF(2.5mL)を注入した。この混合物を、室温で24時間撹拌した。その後、重合混合物を、綿フィルターを通して、〜300mLのジエチルエーテルに滴加した。ポリマーの沈澱を一晩静置させた後、ろ過によって回収した。分離したポリマーをジエチルエーテルで洗浄し、恒量になるまで、室温で真空乾燥させた。
特性データ:白色粉末、収率:85.2%。M:13000、M/M:2.3(GPC、ポリスチレン校正)。
実験例
実施例9
アルキン3とチオール1とのポリヒドロチオレート化に対する溶媒の効果
THF、1,2−ジクロロベンゼン、トルエン、ジオキサン、およびDMFを含む種々の溶媒を用い、本主題に係るアルキン化合物3と0.6Mのチオール化合物1とを用いて、ポリヒドロチオレート化反応を、室温で24時間おこなった。表2に示すとおり、分子量が最大5,200までのポリマー全てを、高収率で得た。
実施例10
アルキン3とチオール1とのポリヒドロチオレート化に対する塩基の効果
反応混合物に添加した塩基の効果を、種々の塩基を用いて調べた。結果を表3に示す。塩基の添加に伴い、得られたポリマーの分子量は著しく増加した。反応後、ピペリジンおよびメチルピペラジンは不溶性ゲルを生成する一方、他の全てのポリマーは可溶性であった。
実施例11
アルキン3とチオール1のポリヒドロチオレート化に対する塩基濃度の効果
表4に、得られたポリマーの分子量および収率に対する塩基濃度の効果を示す。塩基濃度が高くなると、ポリマーの分子量は30,100まで増加した。
実施例12
アルキン3とチオール1とのポリヒドロチオレート化に対するモノマー濃度の効果
重合反応のモノマー濃度を調べた。結果を表5に示す。モノマー濃度が0.06Mの時、得られたポリマーは最も高い収率と分子量となる。
実施例13
アルキン3とチオール1とのポリヒドロチオレート化に対する温度および反応時間の効果
表6および表7に、重合に対する温度の効果および反応時間の効果を、それぞれ示す。重合は、室温および24時間の反応条件下で、最も良い結果が得られた。
実施例14
アルキン2〜5とチオール1とのポリヒドロチオレート化によるポリマーの可溶性
得られたポリマーの可溶性に関して、全ての重合の結果を表8にまとめた。
実施例15
PVSの熱特性
図4に示すとおり、ポリマーの安定性を熱重量分析によって評価した。全てのポリマーは非常に安定であり、分解が始まるのは300℃を超えてからである。表9にポリマーの熱特性をまとめる。
実施例16
ポリマーの屈折率と色分散
ポリマーP1/2ないしP1/4とCo(CO)との錯体を形成した。錯体形成後、ポリマー膜の紫外線スペクトルおよび屈折率を再測定し、図7および図8に示した。ポリマー膜の透過性はわずかに減少したが、ポリマーの屈折率は、錯体形成後大きく増加した。錯体形成後のポリマー膜の屈折率は2.0もの大きさに達することもある。表10にポリマーの屈折率および色分散を示す。
物質のアッベ数(ν)は、波長に応じたそのRI値の変動または分散の測定値で、以下のように定義される。
ここで、n、nおよびnは、それぞれ、フラウンホーファーDスペクトル線、Fスペクトル線、およびCスペクトル線の波長589.2nm、486.1nm、および656.3nmにおけるRI値である。修正アッベ数(νD’)は、光学物質の応用の可能性を評価するために提案されているもので、1064nm、1319nm、および1550nmの吸収が起こらない波長における物質のRI値を用いる。前者2つの波長は、実用的な興味の観点から市販のレーザー波長(Nd:YAG)から選択されている。また、最後の波長は電気通信の波長である。修正アッベ数は以下のように定義される。
ここで、n1319、n1064、およびn1550は、それぞれ1319nm、1064nm、および1550nmにおける、RI値である。色分散(D’)はアッベ数(νD’)の収斂性(逆数)である。
錯体形成の後、ポリマーの光学分散に大きな変化は見られない。表11に、長波長領域(1550nm)における、金属錯体形成の前後でのポリマー膜の屈折率の変化を示す。ポリマー膜の屈折率は錯体形成反応の後、大きく増加した。
実施例17
化合物1および6の重合データ
ヒドロチオレート化反応を、遷移金属によって触媒することができる。遷移金属触媒によって触媒された、化合物1と6との重合データを、表12に示す。高収率かつ高分子量のポリマーが得られる。
本主題は以上のように説明されるが、種々の方法で、同様の変形または変更がなされることは明らかである。そのような変形および変更は、本主題の要旨および範囲から逸脱しているとみなさず、また、そのような修正および変更が、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。

Claims (16)

  1. 下記構造式からなる群から選択される、硫黄含有ポリマー。
    (式中、nは10と1000との間である)
  2. 下記構造式で表される、請求項に記載の硫黄含有ポリマー。
  3. 下記構造式で表される、請求項に記載の硫黄含有ポリマー。
  4. 下記構造式で表される、請求項に記載の硫黄含有ポリマー。
  5. 下記構造式で表される、請求項に記載の硫黄含有ポリマー。
  6. 下記構造式で表される、請求項に記載の硫黄含有ポリマー。
  7. 下記構造式で表される、請求項に記載の硫黄含有ポリマー。
  8. 下記構造式で表される、請求項に記載の硫黄含有ポリマー。
  9. 下記構造式で表される、請求項に記載の硫黄含有ポリマー。
  10. 下記重合ステップを含む、請求項1に記載の硫黄含有ポリマーの製造方法であって、
    または
    前記重合は、室温かつ窒素雰囲気下において、塩基条件下又は遷移金属触媒による触媒によって実施される、方法。
  11. 前記重合が5〜36時間にわたって実施される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記重合が20〜24時間にわたって実施される、請求項10に記載の方法。
  13. 前記ポリマーの屈折率は、前記前駆体の硫黄含有量の増加にともなって高くなる、請求項10に記載の方法。
  14. 請求項1に記載のポリマーを含む組成物が塗布された基板上にパターンを形成する方法であって、前記ポリマー組成物にエネルギー源を印加するステップを含む、方法。
  15. 前記エネルギー源はUV照射である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記エネルギー源は電子線またはレーザーである、請求項14に記載の方法。
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