JP5705144B2 - 高周波電流低減装置および検出トランス - Google Patents
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また、上記従来の伝導性ノイズフィルタでは、コモンモード電流の低減はできたとしても、ノーマルモードノイズ電流はXコンデンサとしての接地コンデンサによる低減のみであり、ノーマルモードノイズ電流の低減が十分ではないという問題があった。そして、ノーマルモードノイズ電流の低減を強化するためには、別途ノーマルモードノイズ電流に対応するフィルタリアクトル等を設ける必要があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、効果的にコモンモード電流およびノーマルモードノイズ電流を低減できる高周波電流低減装置および検出トランスを得ることを目的とする。
図1はこの発明の実施の形態1における高周波電流低減装置100の構成を示す構成図、図2は高周波電流低減装置100に用いられる検出トランス1の構成を模式的に示す平面図である。
高周波電流低減装置100は、第1の電気装置としての交流電源101と、第2の電気装置としてのコンバータ102との間に、交流電源101とコンバータ102とを接続する三相の接続線R、S、Tを介して挿入され、交流電源101から接続線R、S、Tに流れる高周波電流を低減する。
高周波電流低減装置100は、交流電源101から接続線R、S、Tに流れる電流を検出電圧として検出し出力する検出トランス1と、検出トランス1の出力が入力され所望の周波数帯の電圧を出力するフィルタ装置2と、フィルタ装置2からの出力を増幅して出力電圧として出力する電圧増幅器3と、検出トランス1よりコンバータ102側に設けられ電圧増幅器3から出力される出力電圧に基づいて接続線R、S、Tに電圧を印加する電圧印加手段4とを備えている。以下、高周波電流低減装置100の各構成について詳細に説明する。
また、共通鉄心15には電流検出用の巻線である検出巻線14が巻回されている。検出巻線14は一本の巻線であり、略均等な間隔で共通鉄心15に12ターン巻回されている。共通鉄心15の内側は漏れ磁束用鉄心16により三つに区分けられるため、各スペースに4ターンずつ巻回されることになる。検出巻線14の断面を図2中○印で示している。検出巻線14が共通鉄心15に巻回されることにより、接続線R、S、Tに流れる電流を主巻線11、12、13を介して検出巻線14にて検出電圧として検出する。検出巻線14の一端はフィルタ装置2に接続され、他端は接地される。なお、各主巻線11、12、13、検出巻線14の極性は図1において●で示す極性になるように巻回されている。
なお、本実施の形態1では、円筒状の支持部材17を用いたが、支持部材17の形状はこれに限られるものではない。例えば共通鉄心15と漏れ磁束用鉄心16の各脚部160、161、162との近接する部分にのみシート状の支持部材17を配置する構成としてもよい。
また、本実施の形態1では環状の共通鉄心として略円筒状の共通鉄心15を用いているが、共通鉄心の形状は略円筒状に限られるものではない。例えば三角形や、六角形など多角形の筒状であってもよく、内側に各主巻線11、12、13を巻回するための各スペースを設けることができればよい。
電圧増幅器3は、例えば電源端子30A、30Bおよびオペアンプ30Cから構成され、フィルタ装置2から入力される電圧をオペアンプ30Cにより増幅し出力する。
まず、検出トランス1について説明する。
検出トランス1の構成のうち、主巻線11、12、13、共通鉄心15、漏れ磁束用鉄心16は、接続線R、S、Tを流れる高周波電流の通過を抑制するフィルタリアクトルとしての役割を担う。ここで、接続線R、S、Tを流れる電流には、ノーマルモード電流とコモンモード電流がある。ノーマルモード電流とは負荷電流などの低周波成分とノーマルモードのノイズ電流である高周波成分との両方を含む電流であり、コモンモード電流は低減対象のノイズ電流である高周波成分の電流のみを指す。以下、ノーマルモード電流の低周波成分を負荷電流、ノーマルモード電流の高周波成分をノーマルモードノイズ電流、負荷電流とノーマルモードノイズ電流を合わせたものをノーマルモード電流とし、コモンモード電流は高周波成分のみであるため単にコモンモード電流とする。
まず、コモンモード電流について検討する。上述の通り、各主巻線11、12、13は全て同じ方向に巻回されている。このため、コモンモード電流による磁束Φ1は、共通鉄心15による閉磁路に発生し、各主巻線11、12、13がコモンモード電流に対するインダクタンスとして作用する。よって、コモンモード電流を低減することができる。
ノーマルモード電流について検討する。各主巻線11、12、13は全て同じ方向に巻回され、各相のノーマルモード電流は位相がずれているため、共通鉄心15による閉磁路全体としては、ノーマルモード電流による磁束が互いに打ち消される。しかし、漏れ磁束用鉄心16により各主巻線11、12、13の漏洩磁路が設けられているため、ノーマルモード電流による各相毎の磁束Φ2〜Φ4が、共通鉄心15から漏れ磁束用鉄心16を経由する漏洩磁路にそれぞれ発生し、各主巻線11、12、13がノーマルモード電流に対するインダクタンスとして作用する。このため、ノーマルモード電流のうち高周波成分であるノーマルモードノイズ電流を低減することができる。なお、図2中磁束Φ2〜Φ4の矢印は、ある時点における磁束の流れる向きを示すものであり、交流電源101から流れる各相の電流の状態に応じて磁束の流れる向きは順次変化する。
まず、漏れ磁束用鉄心16は構造上磁束飽和が生じやすいが、この理由について説明する。
第1に、漏れ磁束用鉄心16は共通鉄心15の内側に配置されるため、漏れ磁束用鉄心16の断面積は、共通鉄心15の内径および使用する巻線の線径によって大きく制限されてしまう。漏れ磁束用鉄心16の断面積が制限されると、漏れ磁束用鉄心16はノーマルモード電流による磁束Φ2〜Φ4により磁束飽和が生じやすい。なお、共通鉄心15に発生する磁束量はコモンモード電流による磁束Φ1の分だけ漏れ磁束用鉄心16に発生する磁束量よりも多い。しかし、コモンモード電流は高周波成分の小さい電流であるため起磁力が小さいこと、また共通鉄心15の断面積は共通鉄心15の外径を大きくすることにより調整できることから、共通鉄心15では磁束飽和は生じにくい。
第2に、漏れ磁束用鉄心16の各脚部160、161、162を流れるノーマルモード電流による磁束Φ2〜Φ4は、弱め合う方向だけでなく強め合う方向にも生じる。例えば図2の例では漏れ磁束用鉄心16の脚部161と脚部162において磁束が強めあう方向に生じている。強め合う方向に磁束が生じると当然磁束量は多くなるため、漏れ磁束用鉄心16の各脚部160、161、162は磁束飽和が生じやすい。
共通鉄心15と漏れ磁束用鉄心16との間に隙間を設ける、すなわち、漏れ磁束用鉄心16を経由する漏洩磁路内に隙間を設けると、この隙間が漏洩磁路の磁気抵抗として作用する。隙間の幅を変えることで漏洩磁路を流れる磁束Φ2〜Φ4の磁束量を調整することができる。仮に漏れ磁束用鉄心16が磁束飽和してしまうと、ノーマルモード電流に対するインダクタンス値が低下してしまうが、適切な幅の隙間を設けておくことにより、漏れ磁束用鉄心16の磁束飽和を防止することができる。また、隙間の幅により磁束Φ2〜Φ4の磁束量を調整できるため、ノーマルモード電流に対するインダクタンス値を調整できる。共通鉄心15と漏れ磁束用鉄心16との間の隙間の幅は、ノーマルモード電流に対する所望のインダクタンス値に基づき決定されている。
上述の通り、漏れ磁束用鉄心16は構造上磁束飽和が生じやすいが、漏れ磁束用鉄心16の材質を磁束飽和密度が高い材質にすることにより、漏れ磁束用鉄心16の磁束飽和を防止することができる。
また、上述の通り、共通鉄心15と漏れ磁束用鉄心16との間に隙間を設けることで、漏洩磁路を流れる磁束Φ2〜Φ4の磁束量が大きくなりすぎることを防止できる。しかし、隙間の幅を大きくしすぎると、磁束量が減るためノーマルモード電流に対するインダクタンス値が低下する。インダクタンス値が低下すると、ノーマルモードノイズ電流を効果的に低減することができなくなる。そこで、本実施の形態1のように漏れ磁束用鉄心16の材質を磁束飽和密度が高い材質で形成すると、漏れ磁束用鉄心16の磁束飽和に達するまでの磁束量が増えるため、隙間の幅を小さく抑えてインダクタンス値の低下を防止することができる。
なお、本実施の形態1では共通鉄心15の材質をNi−Zn系フェライト、漏れ磁束用鉄心16の材質をMn−Zn系フェライトとしたが、鉄心の材質はこれらに限られるものではなく、例えば鉄系の材質を用いることもできる。
検出トランス1は、上述のようにコモンモード電流およびノーマルモードノイズ電流に対してフィルタリアクトルとして機能する主巻線11、12、13と、共通鉄心15と、漏れ磁束用鉄心16との構成に加え、共通鉄心15に検出巻線14を巻回している。
上述の通り、三相の交流電源101から接続線R、S、Tを介して各主巻線11、12、13にノーマルモード電流、コモンモード電流が流れると、共通鉄心15にはコモンモード電流による磁束Φ1と、ノーマルモード電流による磁束Φ2〜Φ4が生じる。検出巻線14は、これらの磁束が鎖交することにより各主巻線11、12、13に流れる電流を検出電圧として検出する。
ここで、本実施の形態1では、一個の検出巻線14が共通鉄心15全体に均等に巻回されている。ノーマルモード電流による磁束Φ2〜Φ4は共通鉄心15全体としては打ち消されるように発生しているため、検出巻線14は、コモンモード電流による磁束Φ1が鎖交することにより三相の接続線R、S、Tに流れるコモンモード電流J1を主巻線11、12、13を介してコモンモード電圧V1として検出することができる。なお、コモンモード電流J1は三相の接続線R、S、Tを流れるコモンモード電流の和である。
上述の通りフィルタ装置2は、通過周波数範囲を所望の値に調整し、また、通過する各周波数別にゲインと位相を調整する。例えば後述するインバータ104のキャリア周波数以下や、規格で定められた周波数範囲外、系統のインピーダンスにより電圧増幅器3が共振してしまう周波数等、の周波数成分についてゲインを小さくするようにしたり、低減対象となる周波数のゲインを高くする等を行う。検出トランス1の検出巻線14にて検出されたコモンモード電圧V1はフィルタ装置2に入力され、入力されたコモンモード電圧V1はフィルタ回路を経由することで所望の周波数帯の電圧V2としてフィルタ装置2より出力される。
電圧増幅器3は、例えばゲインをG1に設定しており、フィルタ装置2からの電圧V2をゲインG1倍に増幅した出力電圧V3を出力する。なお、検出巻線14の両端電圧をより精度良く検出するため電圧増幅器3の入力インピーダンスは大きい値に設定されている。
そして、電圧増幅器3からの出力電圧V3が、電圧印加手段4の共通接続点46に印加され、コンデンサ41、42、43の両端電圧を変化させる。この出力電圧V3は、コモンモード電圧V1とほぼ同方向になるように生成され、コンデンサ41、42、43を通して高周波電流であるコモンモード電流J1とほぼ同方向でほぼ同じ大きさの電流J3を、接続線R、S、Tに供給するように、電圧増幅器3は出力電圧V3を調整する。接続線R、S、Tに電流J3を供給することで、接続線R、S、Tからコンバータ102に流れるコモンモード電流J2の大部分が、電圧増幅器3から電圧印加手段4を介する経路で流れるようになるため、交流電源101から接続線R、S、Tに流れるコモンモード電流J1を低減することができる。電圧増幅器3により、コモンモード電流J1が0に近づくように出力電圧V3を調整することで、コモンモード電流J1をほぼ0に低減することができる。
なお、本実施の形態1の場合、電圧印加手段4のコンデンサ41、42、43は、Xコンデンサとして各接続線R、S、T間の高周波インピーダンスを低くするため、ノーマルモードノイズ電流はコンデンサ41、42、43を通じ流れるようになり、ノーマルモードノイズ電流が低減される。
図3に示すように、高周波電流低減装置100は、例えば、交流電源101からコンバータ102、中間フィルタ103、インバータ104、出力フィルタ105を介して負荷としての三相モータ106に電力を供給するシステムに適用される。
図4に示すように、コンバータ102は半導体スイッチング素子としてのIGBT102Aを三相フルブリッジ接続して構成され、IGBT102Aを開閉制御することにより三相交流を可変電圧の直流に変換する。コンバータ102の出力は、直流母線である接続線P、Nにより、コンデンサを有する中間フィルタ103を介してインバータ104に入力される。
図5に示すように、インバータ104は半導体スイッチング素子としてのIGBT104Aを三相フルブリッジ接続して構成され、IGBT104Aを開閉制御することにより直流を可変電圧可変周波数の三相交流に変換する。そしてインバータ104の出力は、交流出力線であるR1、S1、T1により出力フィルタ105を介して負荷106に供給される。
なお、ここでは、一例として高周波電流低減装置100を第1の電気装置としての交流電源101と第2の電気装置としてのコンバータ102との間に挿入したが、当然ながら高周波電流低減装置100の接続例はこれに限られるものではない。例えば、図3において、第1の電気装置をインバータ104とし、第2の電気装置を負荷106として、出力フィルタ105に替えて高周波電流低減装置100をインバータ104と負荷106の間に挿入してもよい。高周波電流低減装置は様々な電気装置間に挿入でき、高周波電流を低減することができる。
さらに、検出トランス1は、主巻線11、12、13、共通鉄心15、漏れ磁束用鉄心16によりコモンモード電流およびノーマルモードノイズ電流のインダクタンスとして作用するため、コモンモード電流およびノーマルモードノイズ電流を両方とも効果的に低減することができる。
従って、検出トランス1は簡単な一つの部品でありながら、接続線R、S、Tに流れる高周波電流を高精度に検出する検出手段としての役割、コモンモード電流低減用のフィルタリアクトルとしての役割、ノーマルモードノイズ電流低減用のフィルタリアクトルとしての役割を担うことができ、高周波電流低減装置100の小型化および高周波電流低減効率の向上を図ることができる。
なお、本実施の形態1では接続線R、S、Tに流れる高周波電流の検出を検出トランス1により電圧として検出したが、必ずしも検出トランス1で電圧として検出する必要はない。仮に接続線R、S、Tに流れる高周波電流の検出を検出トランスにより電流として検出する場合は、フィルタ装置2において検出トランスからの検出電流を入力として所望の周波数帯の電圧を出力する構成とすればよい。ただし、本実施の形態1のように接続線R、S、Tに流れる高周波電流の検出を検出トランス1により電圧として検出する構成とすれば、検出トランスにより電流として検出する場合よりも、検出トランス1により発生する高周波電流に対するインピーダンスが高くなり、さらなる高周波電流低減効果を奏する。
また、漏れ磁束用鉄心16の断面積を小さくできるため、検出トランス1全体の小型化を図ることができる。
また、共通鉄心15と漏れ磁束用鉄心16とが別々に形成される別部材であるため、共通鉄心15と漏れ磁束用鉄心16の材質を異なるものとすることが容易にでき、共通鉄心15、漏れ磁束用鉄心16の材質を自由に設定することができる。
図6に示すように、共通鉄心15と漏れ磁束用鉄心16との間に別例の支持部材としてピンのような棒状の支持棒17Aが配置されている。支持棒17Aは磁性体で形成されており、一端が共通鉄心15に、他端が漏れ磁束用鉄心16に固定されることにより、共通鉄心15に漏れ磁束用鉄心16を均一な幅の隙間を保持して支持している。
各主巻線11、12、13にノーマルモード電流が流れると漏れ磁束用鉄心16を経由する漏洩磁路には磁束Φ2〜Φ4が発生する。流れるノーマルモード電流が小さい場合には、発生する磁束量が小さく、磁束Φ2〜Φ4は磁性体である支持棒17A内を通過するように流れる。従って、漏洩磁路の磁気抵抗は小さい。流れるノーマルモード電流が大きくなると、発生する磁束量が大きくなるため、断面積の小さい支持棒17Aの磁束飽和が起こる。そして支持棒17Aの磁束飽和後は、共通鉄心15と漏れ磁束用鉄心16との間の隙間を磁束Φ2〜Φ4が通ることとなり、隙間により漏洩磁路の磁気抵抗が大きくなる。
つまり、支持部材として支持棒17Aを用いると、流れるノーマルモード電流が大きく支持棒17Aの磁束飽和が生じた場合に、隙間が漏れ磁束用鉄心16を経由する漏洩磁路の磁気抵抗として作用し、支持部材として非磁性体のシート状の支持部材17を使用する場合と同様の効果を有する。
磁性体の支持棒17Aを用いた検出トランスは、各主巻線11、12、13に流れるノーマルモード電流が支持棒17Aの磁束飽和が生じる程度に大きい場合に効果的に用いることができ、ノーマルモードノイズ電流を低減することができる。
また、上記磁性体の支持棒の代わりに、同様の形状の非磁性体の支持棒を用いてもよい。その場合、支持棒内に磁束は流れないため、各主巻線11、12、13に流れるノーマルモード電流の大きさにかかわらず共通鉄心15と漏れ磁束用鉄心16との間の隙間を磁束が通ることとなり、支持部材として非磁性体のシート状の支持部材17を使用する場合と同様の効果を有する。
図7はこの発明の実施の形態2における高周波電流低減装置100Aの構成を示す構成図、図8は高周波電流低減装置100Aに用いられる検出トランス1Aの構成を模式的に示す平面図である。以下の説明において上記実施の形態1と同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
図に示すように、本実施の形態2の高周波電流低減装置100Aの検出トランス1Aは、主巻線11、12、13と同じ個数の検出巻線18、19、20が共通鉄心15に巻回されている。そして、検出巻線18、19、20毎にフィルタ装置2A、2B、2C、電圧増幅器3A、3B、3C、電圧印加手段4A、4B、4Cが備えられている。なお、図7において、各電圧増幅器3A、3B、3Cは図1で示す電圧増幅器3と同様の構成であり、オペアンプのみを図示し電源端子の表示を省略している。
上記実施の形態1でも説明したように、三相の交流電源101から接続線R、S、Tを介して各主巻線11、12、13にノーマルモード電流、コモンモード電流が流れると、共通鉄心15にはコモンモード電流による磁束Φ1とノーマルモード電流による磁束Φ2〜Φ4が生じる。検出巻線18、19、20は、これらの磁束が鎖交することにより各主巻線11、12、13に流れる電流を検出電圧としてそれぞれ検出する。
同様に、主巻線12と同じ区間に巻回される検出巻線19は、コモンモード電流による磁束Φ1とノーマルモード電流による磁束Φ3とが鎖交することにより、接続線Sに流れるコモンモード電流とノーマルモード電流とを合わせた電流J1Bを、コモンモード電圧とノーマルモード電圧とを合わせた電圧V1Bとして検出する。
同様に、主巻線13と同じ区間に巻回される検出巻線20は、コモンモード電流による磁束Φ1とノーマルモード電流による磁束Φ4とが鎖交することにより、接続線Tに流れるコモンモード電流とノーマルモード電流とを合わせた電流J1Cを、コモンモード電圧とノーマルモード電圧とを合わせた電圧V1Cとして検出する。
このように、各接続線R、S、Tにそれぞれ流れる電流J1A、J1B、J1Cを、各主巻線11、12、13を介して、各検出巻線18、19、20にて検出電圧V1A、V1B、V1Cとしてそれぞれ検出する。
なお、検出するコモンモード電流とノーマルモード電流の割合は、共通鉄心15と漏れ磁束用鉄心16との間の隙間の幅および材質を調整することで、所望の割合に設定することができる。上記実施の形態1で説明したように、共通鉄心15と漏れ磁束用鉄心16との間の隙間の幅を変えることで漏洩磁路を流れる磁束Φ2〜Φ4の磁束量を調整することができるからである。
ここで、各検出巻線18、19、20で検出された電圧V1A、V1B、V1Cに含まれるノーマルモード電圧には、高周波成分のノーマルモードノイズ電流だけでなく、低減対象でない低周波成分の負荷電流による電圧が含まれている。フィルタ装置2A、2B、2Cにより低周波成分の負荷電流による電圧が除かれ、高周波成分のノーマルモードノイズ電流およびコモンモード電流による電圧のみが抽出される。また、フィルタ装置2A、2B、2Cによりゲインや位相の調整も行われる。
なお、三相の負荷の不均衡により、各相のコモンモード電流、ノーマルモードノイズ電流に不均衡が生じている場合は、各ゲインをそれぞれ異なる値に設定してもかまわない。
接続線R、S、Tにそれぞれ電流J3A、J3B、J3Cを供給することで、接続線R、S、Tからコンバータ102に流れる電流J2A、J2B、J2Cのうちの高周波成分の電流の大部分が、それぞれ電圧増幅器3A、3B、3Cから電圧印加手段4A、4B、4Cを介する経路で流れるようになるため、交流電源101から接続線R、S、Tに流れる電流J1A、J1B、J1Cのうちの高周波成分、すなわちコモンモード電流とノーマルモードノイズ電流を低減することができる。電圧増幅器3A、3B、3Cにより、電流J1A、J1B、J1Cのうちのコモンモード電流とノーマルモードノイズ電流とが0に近づくように出力電圧V3A、V3B、V3Cをそれぞれ調整することで、電流J1A、J1B、J1Cのうちのコモンモード電流とノーマルモードノイズ電流とをほぼ0に低減することができる。
この発明の実施の形態3では、上記実施の形態1で示した検出トランスの鉄心形状の変形例について説明する。検出トランスの鉄心形状以外の構成については上記実施の形態1と同様であり説明を省略する。
図9はこの発明の実施の形態3における検出トランス1B〜1Eの構成を模式的に示す平面図であり、各検出トランス1B〜1Eの共通鉄心をそれぞれ共通鉄心15B〜15E、漏れ磁束用鉄心をそれぞれ漏れ磁束用鉄心16B〜16Eとする。上記実施の形態1と同様、各主巻線11、12、13および検出巻線14は共通鉄心15B〜15Eに巻回されているが、共通鉄心15B〜15Eの外側の各主巻線11、12、13および検出巻線14の配置に関しては図示を省略している。また、上記実施の形態1では各主巻線11、12、13の巻数をそれぞれ4ターンとし、検出巻線14の巻数を12ターンとしたが、本実施の形態3では各主巻線11、12、13の巻数をそれぞれ3ターンずつとし、検出巻線14の巻数を9ターンとする。共通鉄心15Bの内側は漏れ磁束用鉄心16Bにより三つに区分けられるため、検出巻線14は各スペースに3ターンずつ巻回されている。また、検出トランス1Bと1Cには例として上記実施の形態1に記載の支持棒17Aを配置し、検出トランス1Dには例として上記実施の形態1に記載のシート状で円筒状の支持部材17を配置し、検出トランス1Eには、例として上記実施の形態1に記載の共通鉄心と漏れ磁束用鉄心との近接する部分にのみに配置されるシート状の支持部材17を配置している。
共通鉄心15Bと漏れ磁束用鉄心16Bの各面取り部160B、161B、162Bとの間に均一な幅の隙間が設けられ、ノーマルモード電流により発生する各磁束Φ2〜Φ4が流れる漏洩磁路の磁気抵抗が全て均等になるよう調整されている。この隙間が、漏れ磁束用鉄心16Bを経由する漏洩磁路の磁気抵抗として作用し、ノーマルモード電流により発生する磁束量を調整することができる。なお、検出トランス1Bに発生するコモンモード電流による磁束Φ1は省略している。
検出トランス1Eでは、漏れ磁束用鉄心16Eの断面は円形であり、共通鉄心15Eは円筒状の鉄心の内側から漏れ磁束用鉄心16Eに向かって突出する脚部150E、151E、152Eが設けられた略円筒形状である。共通鉄心15Eの各脚部150E、151E、152Eと漏れ磁束用鉄心16Eとにより各主巻線11、12、13間が仕切られている。そして、共通鉄心15Eの各脚部150E、151E、152Eと漏れ磁束用鉄心16Eとの間に均一な幅の隙間が設けられ、ノーマルモード電流により発生する各磁束Φ2〜Φ4の流れる漏洩磁路の磁気抵抗が全て均等になるよう調整されている。なお、検出トランス1Eに発生するコモンモード電流による磁束Φ1は省略している。
なお、本実施の形態3で説明した鉄心形状の変形例である検出トランス1B〜1Eは、上記実施の形態2の高周波電流低減装置100Aにも適用できる。
上記実施の形態1〜3で示すような構成の検出トランスにおいて、共通鉄心および漏れ磁束用鉄心は、鉄損や各巻線の銅損により温度が上昇する。特に漏れ磁束用鉄心は、共通鉄心、巻線、支持部材に取り囲まれているため、外気に接する面積が小さく温度が上昇しやすい。温度が上昇すると漏れ磁束用鉄心の磁性が失われてしまい、ノーマルモードノイズ電流の低減が効果的に行われない場合がある。
本実施の形態4では、共通鉄心の内側に配置される漏れ磁束用鉄心の温度上昇の低減を図るために、漏れ磁束用鉄心に放熱用の冷却孔を設けた検出トランスについて説明する。
なお、図10において、上記実施の形態3を説明する図9と同様、共通鉄心15B〜15Eの外側の各主巻線11、12、13、検出巻線14の配置に関しては図示を省略している。また、各主巻線11、12、13の巻数をそれぞれ3ターンずつとし、検出巻線14の巻数は9ターンとして略均等な間隔で共通鉄心15に巻回している。また、検出トランス1Bと1Cには例として上記実施の形態1に記載の支持棒17Aを配置し、検出トランス1Dには例として上記実施の形態1に記載のシート状で円筒状の支持部材17を配置し、検出トランス1Eには、例として上記実施の形態1に記載の共通鉄心と漏れ磁束用鉄心との近接する部分にのみに配置されるシート状の支持部材17を配置している。
本実施の形態4で説明した漏れ磁束用鉄心16B〜16Eに冷却孔21を設けた検出トランス1B〜1Eは、上記実施の形態2の高周波電流低減装置100Aにも適用でき、漏れ磁束用鉄心16B〜16Eの温度上昇を低減し、漏れ磁束用鉄心16B〜16Eの磁性の劣化を抑制する効果を有する。
3,3A〜3C 電圧増幅器、4,4A〜4C 電圧印加手段、11〜13 主巻線、
14 検出巻線、15,15B〜15E 共通鉄心、
16,16B〜16E 漏れ磁束用鉄心、17 支持部材、
17A 支持部材としての支持棒、18〜20 検出巻線、41〜43 コンデンサ、
100,100A 高周波電流低減装置、101 第1の電気装置としての交流電源、
102 第2の電気装置としてのコンバータ、410,420,430 コンデンサ、
R,S,T 接続線、Φ1〜Φ4 磁束。
Claims (7)
- 第1の電気装置と第2の電気装置との間に、上記第1、第2の電気装置間の複数の接続線を介して挿入され、上記第1の電気装置から上記接続線に流れる高周波電流を低減する高周波電流低減装置であって、
上記第1の電気装置から上記接続線に流れる電流を検出する検出トランスと、
上記検出トランスの出力が入力され所望の周波数帯の電圧を出力するフィルタ装置と、
上記フィルタ装置の出力を増幅して出力電圧として出力する電圧増幅器と、
上記第1、第2の電気装置間で上記検出トランスよりも上記第2の電気装置側に設けられ、上記出力電圧に基づいて上記接続線に上記高周波電流に基づく所定方向の電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
上記検出トランスは、上記各接続線と直列に接続される複数個の主巻線と、上記主巻線が巻回される環状の共通鉄心と、上記共通鉄心の内側に、該共通鉄心との間に隙間を設けて配置され上記共通鉄心とともに上記各主巻線間を仕切る漏れ磁束用鉄心と、上記共通鉄心に巻回されて上記主巻線を介して上記接続線に流れる電流を検出する電流検出用の検出巻線とを有し、上記漏れ磁束用鉄心には上記各主巻線を流れるノーマルモード電流により磁束が生じて上記各主巻線が上記ノーマルモード電流に対するインダクタンスとして作用し、上記共通鉄心には上記ノーマルモード電流と上記各主巻線を流れるコモンモード電流により磁束が生じて上記各主巻線が上記コモンモード電流に対するインダクタンスとして作用することを特徴とする高周波電流低減装置。 - 上記共通鉄心と上記漏れ磁束用鉄心との間に配置され、上記共通鉄心に上記漏れ磁束用鉄心を上記隙間の幅を均一に保持して支持する支持部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の高周波電流低減装置。
- 上記共通鉄心と上記漏れ磁束用鉄心との間の上記隙間の幅は、上記ノーマルモード電流に対する所望のインダクタンス値に基づいて決定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高周波電流低減装置。
- 上記電圧印加手段は、一方の端子が上記接続線に接続され他方の端子が共通接続点において共通に接続される複数のコンデンサを有し、上記共通接続点に上記出力電圧を印加することにより上記接続線を流れる高周波電流とほぼ同方向の電流を上記コンデンサから上記接続線に供給することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の高周波電流低減装置。
- 上記検出トランスの検出巻線は、上記複数個の各主巻線と同じ個数で上記共通鉄心と上記漏れ磁束用鉄心とにより仕切られた各区間にそれぞれ巻回され、
上記各主巻線に流れる電流を上記各検出巻線にてそれぞれ検出し、上記各検出巻線の出力毎の所望の周波数帯の電圧を上記フィルタ装置にて出力し、上記フィルタ装置からの各出力を上記電圧増幅器にてそれぞれ増幅して出力電圧として出力し、上記各出力電圧に基づく電圧を上記電圧印加手段にて対応する上記各接続線に印加することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の高周波電流低減装置。 - 上記電圧印加手段は、上記各接続線に一方の端子が接続される複数のコンデンサを有し、上記各コンデンサの他方の端子に上記各出力電圧をそれぞれ印加することにより上記各接続線に流れる高周波電流とほぼ同方向の電流を上記各コンデンサから上記各接続線に供給することを特徴とする請求項5に記載の高周波電流低減装置。
- 複数個の主巻線と、上記主巻線が巻回される環状の共通鉄心と、上記共通鉄心の内側に配置され上記共通鉄心とともに上記各主巻線間を仕切る漏れ磁束用鉄心と、上記共通鉄心に巻回されて上記主巻線に流れる電流を検出する電流検出用の検出巻線とを有し、上記漏れ磁束用鉄心には上記各主巻線を流れるノーマルモード電流により磁束が生じて上記各主巻線が上記ノーマルモード電流に対するインダクタンスとして作用し、上記共通鉄心には上記ノーマルモード電流と上記各主巻線を流れるコモンモード電流により磁束が生じて上記各主巻線が上記コモンモード電流に対するインダクタンスとして作用することを特徴とする検出トランス。
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