JP5704098B2 - 蓄電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、二次電池等の蓄電装置に関し、より詳細には、複数の二次電池を並列接続した蓄電装置に関する。
例えば、円筒型の単電池を縦横に複数配列して1つの電池パックを構成することができる。特許文献1では、各単電池の冷却効率が均一となるように、単電池の長さ方向に直交する方向から冷却風を当てて冷却している。
特許文献1では、横方向に並んで配置される複数の単電池を、縦方向において冷却風の流通経路の上流側から下流側に向かって複数列配置するとともに、縦方向に複数列配置される単電池間を並列接続している。
特開2003−257394号公報 特開2009−123371号公報 特開2009−016205号公報 特開2009−099452号公報 特開2010−225412号公報 特開2009−252460号公報
図10は、横方向に複数配置される円筒型の単電池を、縦方向に複数列配置した組電池において、縦方向に配列される単電池間を並列に接続した従来例を示す図である。図10に示すように、冷却風の上流側の第1列の単電池と第2列の下流側の単電池を並列接続して複数の電池ユニットを構成すると、並列接続される単電池群の各単電池間で冷却効率が異なり、温度バラツキが生じる。
つまり、冷却風は、単電池との間で熱交換を行いながら下流側に流動するため、上流側の第1列の単電池によって温められた冷却風が、下流側の第2例の単電池と接触する。このため、並列接続される上流側の第1列の単電池と下流側の第2列の単電池との間で温度にバラツキが生じ、並列接続される単電池群内で、各単電池それぞれの温度が異なってしまう。
並列接続される単電池群の各単電池間で温度バラツキが生じると、例えば、温度が低い単電池よりも温度の高い単電池に多くの電流が流れる。特定の単電池に多くの電流が流れることで、他の単電池よりも電池温度がさらに上昇したり、電池劣化が促進されてしまうため、複数の単電池それぞれが均一に冷却されるようにして、並列接続される単電池群の各単電池間での温度バラツキを抑制する必要がある。
本願第1の発明である蓄電装置は、円筒型の蓄電素子を複数備えた蓄電素子群と、蓄電素子群を収容するケースと、を備え、蓄電素子群は、蓄電素子の長さ方向がケースの上下方向となるようにケースに収容されている。そして、蓄電素子群は、ケースの左右方向に流通する冷却経路に対して略垂直でかつ上下方向及び左右方向に直交する方向に複数並んで配置される蓄電素子の列毎に、蓄電素子が並列に接続されている。
本願第1の発明によれば、蓄電素子の長さ方向がケースの上下方向となるように蓄電素子群をケースに収容しつつ、ケースの左右方向に流通する冷却媒体に対して略垂直でかつ上下方向及び左右方向に直交する方向に複数並んで配置される蓄電素子の列毎に、蓄電素子が並列に接続されているので、冷却媒体の進行方向に対して蓄電素子それぞれが、垂直に一列に並んで配置される。このため、並列接続される蓄電素子それぞれが均一に冷却でき、かつ蓄電素子の長さ方向がケースの上下方向となることで並列接続された隣り合う蓄電素子間で他方の蓄電素子の温度の影響を抑制することができる。したがって、並列接続される蓄電素子間での温度バラツキを抑制することができる。
蓄電素子群は、蓄電素子の列毎に複数の蓄電素子が並列接続された蓄電ユニットそれぞれを、左右方向に隣り合う蓄電ユニットと互いに直列に接続することで形成でき、蓄電ユニットの各蓄電素子の正極端子又は負極端子の向きが、上下方向におけるケースの上面側又は下面側で同じ向きとなるように構成することができる。
複数の蓄電ユニットは、隣り合う蓄電ユニットのケースの上面側又は下面側に同じ向きに配置された各蓄電素子の正極端子群と負極端子群が、左右方向において交互に配置されるように、ケースに収容することができる。
蓄電装置は、蓄電ユニットの正極端子群を互いに接続する正極バスバーと、蓄電ユニットの負極端子群を互いに接続する負極バスバーと、を備えることができる。また、蓄電素子群は、ケースの上面側又は下面側の一方の側において、各蓄電素子の正極端子群が位置する第1蓄電ユニットと、各蓄電素子の負極端子群が位置する第2蓄電ユニットとが左右方向に並んで配置され、第1蓄電ユニット及び第2蓄電ユニットを直列に接続した蓄電ブロックとして形成することができ、この場合、蓄電ブロックのケースの上面側又は下面側の一方の側において正極端子群に接続される正極バスバーと負極端子群に接続される負極バスバーとを1つのバスバーで形成することができる。
蓄電素子の正極端子又は負極端子が形成される長さ方向端部に、蓄電素子内部で発生した気体を蓄電素子外部に排出する排出部を設けることができる。
ケースは、左右方向の第1側面に設けられる冷却媒体の吸気口と、吸気口と反対側の第2側面に設けられる排気口と、を備えることができ、吸気口から左右方向に流通する冷却媒体の進行方向上流側の蓄電ユニットに対し、進行方向下流側の蓄電ユニットが、上下方向及び左右方向に直交する方向に所定間隔ずらして配置することができる。
電池パックの一例を示す図である。 組電池を構成する電池ブロックの一例を示す図である。 図2の電池ブロックの上面図である。 図2の電池ブロックの下面図である。 電池パックを構成する組電池10を側面から見た図である。 電池パックに収容される組電池10の温度分布を示す一例である。 並列接続される単電池群(電池ユニット)の上下方向及び単電池間の温度の関係を説明するための図である。 (a)は、単電池に設けられる排出部の一例を示す図であり、(b)は、排出部を介した排出経路と冷却経路の関係を示した図である。 電池パック1を搭載した電池システムの構成を示す図である。 複数の単電池を並列に接続した組電池の従来例を示す図である。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1である電池パックについて、図1を用いて説明する。図1は、電池パックの構成を示す図である。
図1に示すように、本実施例の電池パック1は、電池ケース2内に組電池10を備えている。電池ケース2のX方向における両側面には、吸気口3及び排気口4がそれぞれ形成されており、電池ケース2内に収容される組電池10は、吸気口3から取り込まれる冷却媒体(例えば、冷却風)によって冷却される。
吸気口3から電池パック1の内部に取り込まれる冷却風は、単電池13間の間隙を流動して排気口4から電池パック1の外部に排気される。吸気口3及び排気口4には、ダクト等を設けることができ、ダクトを介してファン等の送風機から送り込まれる冷却風が電池パック1内に流入する。なお、吸気口3及び排気口4の形状は任意であり、例えば、複数の吸気孔から構成される吸気口3を設けることもできる。
図1等に示すX軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交する軸である。本実施例では、吸気口3及び排気口4が形成される電池ケース2の左右方向(冷却媒体の進行方向)をX方向、X方向に直交する電池パック1の電池ケース2の上下方向をY方向、上下方向及び左右方向のそれぞれに直交する方向をZ方向としている。
図2は、組電池10を構成する電池ブロック11を示す図である。組電池10は、複数の単電池13の電池群からなり、所定数の単電池13群で1つの電池ブロック11を形成して電池ブロック11を複数直列に接続することで形成することができる。
電池ブロック11(蓄電ブロックに相当する)は、複数の単電池13(蓄電素子に相当する)を並列に接続した電池ユニット12(蓄電ユニットに相当する)を有している。電池ブロック11は、複数の電池ユニット11を直列に接続することで形成することができる。。
組電池10を構成する電池ブロック11の数、電池ブロック11を構成する電池ユニット12の数、及び電池ユニット12を構成する単電池13の数は、それぞれ適宜設定することができる。例えば、組電池10に要求される出力電圧を確保するように、適宜設定することができる。また、本実施例では、複数の単電池13を並列に接続することにより、組電池10の満充電容量を増やすことができる。
複数の電池ブロック11は、直列に接続されているため、各電池ブロック11には、等しい電流が流れるとともに、電池ブロック11を構成する各電池ユニット12も直列に接続されているため、各電池ユニット12にも等しい電流が流れる。一方、各電池ユニット12を構成する各単電池13は並列に接続されているため、各単電池13に流れる電流値は、電池ユニット12に流れる電流値を、電池ユニット12を構成する単電池13の数(総数)で除算した電流値となる。
単電池13としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることができる。例えば、単電池13としては、18650型の電池を用いることができる。18650型の電池は、いわゆる円筒型の電池であり、直径が18[mm]であり、長さが65.0[mm]である。円筒型の電池とは、ケースが円筒状に形成されており、ケースの内部には充放電を行う発電要素が収容されている。
単電池13は、発電要素を有する。発電要素は、充放電を行う要素であり、正極板と、負極板と、正極板および負極板の間に配置されるセパレータとを有する。正極板は、集電板と、集電板の表面に形成された正極活物質層とを有する。負極板は、集電板と、集電板の表面に形成された負極活物質層とを有する。正極活物質層は、正極活物質や導電剤などを含んでおり、負極活物質層は、負極活物質や導電剤などを含んでいる。
単電池13としてリチウムイオン二次電池を用いるときには、例えば、正極板の集電板をアルミニウムで形成し、負極板の集電板を銅で形成することができる。また、正極活物質としては、例えば、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2を用い、負極活物質としては、例えば、カーボンを用いることができる。セパレータ、正極活物質層および負極活物質層には、電解液がしみ込んでいる。電解液を用いる代わりに、正極板および負極板の間に、固体電解質層を配置することもできる。
次に、電池ブロック11及び電池ユニット12について詳細に説明する。図2に示すように、電池ブロック11を構成する電池ユニット12は、複数の単電池13が一定の方向(Z方向)に並んで配置されるとともに、正負極が同じ方向を向いて配置されている。一列に並んで配置された複数の単電池13がバスバー14で並列に接続されることで、電池ユニット12が構成される。
電池ユニット12の各単電池13は、電池ケース2の上下方向(Y方向)と単電池13の長さ方向とが略平行となるようにZ方向に並んで配置されている。つまり、長尺状に形成されている単電池13の長さ方向を上下方向とし、その長さ方向がX−Z平面と直交する方向(Y方向)となるようにZ方向に並んで配置されている。
単電池13の長さ方向の端部それぞれには、正極端子及び負極端子が設けられている。Z方向において隣り合う単電池13間は、一定の間隔で離間しているとともに、正負極が同じ方向、例えば、電池ケース2の上下方向における上面側には正極端子、下面側には負極端子が同じ向きで位置するように、各単電池13の正負極が上面側又は下面側で同じ向きになるように配置されている。
図3は、電池ブロック11の上面図であり、図4は、電池ブロック11の下面図である。本実施例の電池ブロック11は、2つの電池ユニット12が直列に接続されて構成されている。
X方向に並んで配置される電池ユニット12aと電池ユニット12bの上面に位置する各正負極の端子は、互いに異なっており、図3において、電池ケース2の上面側において電池ユニット12aの正極端子が位置し、X方向に隣り合う電池ユニット12bの負極端子が位置している。つまり、Y方向上面側において電池ユニット12aを構成する各単電池13の正極端子群がZ方向に並んで位置するとともに、電池ユニット12aの正極端子群に対してX方向にずれて配置される電池ユニット12bを構成する各単電池13の負極端子群がZ方向に並んで位置している。
そして、電池ユニット12a、12bのY方向上面側において、各端子群を接続するバスバー14aが設けられる。バスバー14aは、X方向に並んで配置される2つの電池ユニット12のY方向上面に露出する各端子を電気的に接続部材であり、電池ユニット12を構成するZ方向に複数並んで配置される単電池13を並列に接続するとともに、X方向に隣接する電池ユニット12間を直列に接続する。
図3に示すように、バスバー14aは、電池ユニット12aの各単電池13の正極端子群及び電池ユニット12aに対してX方向にずれて位置する電池ユニット12bの各単電池13の負極端子群を電気的に接続する一枚の板状部材として形成されている。バスバー14aは、X方向に並んで配置される2つの電池ユニット12a,12bのX方向の幅に対応し、かつZ方向に並んで配置される複数の単電池13の配置長さに応じた形状に形成されている。バスバー14aには、電池ユニット12のZ方向に並んで配置される各単電池13の正負極の端子群に対応する端子接続部14dがZ方向に所定の間隔で設けられている。バスバー14aは、電池ユニット12a,12bそれぞれにおいて各単電池13を並列に接続するとともに、電池ユニット12a、12b間を直列に接続する。
図4に示すように、バスバー14aが設けられた他端側、すなわちY方向下面側の各電池ユニット12a、12bには、バスバー14bとバスバー14cとが設けられる。バスバー14b、14cは互いに電気的に接続されておらず、電池ユニット12a,12bそれぞれに個別に設けられる。バスバー14b、14cは、バスバー14aと対となって電池ユニット12を構成する各単電池13を電気的に並列に接続する接続部材である。
バスバー14b,14cそれぞれは、各電池ユニット12a,12bにX方向の幅に対応し、かつZ方向に並んで配置される複数の単電池13の配置長さに応じた形状に形成されている。バスバー14aと同様に、電池ユニット12のZ方向に並んで配置される各単電池13の端子群に対応する端子接続部14dがZ方向に所定の間隔で設けられている。バスバー14cには、自身の電池ユニット12が他の電池ユニット12(電池ブロック11)と直列に接続するための接続端子14eが、X方向に突出するように設けられている。
本実施例のバスバー14は、バスバー14a、14b及び14cを含んで構成され、バスバー14bは、電池ユニット12aのY方向下面側に位置する負極端子群を互いに接続する負極バスバーであり、バスバー14cは、電池ユニット12bのY方向下面側に位置する正協端子群を互いに接続する正極バスバーであり、バスバー14aは、Y方向上面側の電池ユニット12a,12bそれぞれの正極バスバー及び負極バスバーである。
なお、本実施例のバスバー14aは、正極バスバー及び負極バスバーが一体的に1つのバスバーで形成されているが、これに限るものではない。例えば、バスバー14aの代わりにバスバー14bをそれぞれ電池ユニット12a,12bのY方向上面に設けて、両者を電気的に接続することで、電池ユニット12a,12bそれぞれにおいて各単電池13を並列に接続するとともに、電池ユニット12a、12b間を直列に接続することができる。
このように本実施例の電池ブロック11は、電池ケース2の上面側又は下面側の一方の側において、各単電池13の正極端子群が位置する電池ユニット12aと、各単電池13の負極端子群が位置する電池ユニット12bとがX方向に並んで配置され、電池ユニット12a,12bを直列に接続することで形成されている。そして、並列接続される単電池13が複数Z方向に並ぶ状態で、電池ブロック11をX方向に並んで複数配置することで、電池ブロック11間が接続端子14eを介して電気的に接続され、単電池13の電池群である組電池10が形成される。
したがって、本実施例の組電池10は、長さ方向がY方向となるように単電池13がN個Z方向に並んで配置され、Z方向にN個並んで配置される互いに並列接続された単電池13群を1つのユニット(電池ユニット12)とし、X方向に各ユニットが隣り合うようにZ方向と平行にM列配置され、M列の各ユニットが互いに直列に接続されている。
そして、電池ユニット12の各単電池13の正極端子又は負極端子の向きが、1つの電池ユニット12において電池ケース2の上面側又は下面側で同じ向きとなっており(図2、図5参照)、複数の電池ユニット12のM個の列は、隣り合う電池ユニット12の電池ケース2の上面側又は下面側に同じ向きに配置された各単電池13の正極端子群と負極端子群が、X方向において交互に配置されように、電池ケース2に収容されている(図5参照)。このとき、電池ケース2の上面側又は下面側に同じ向きに配置された各単電池13の正極端子群と負極端子群がX方向において交互に配置されているので、正極バスバー及び負極バスバーが、電池ケース2の上面側や下面側において、X方向において交互に設けられることになる。
なお、本実施例では、2つの電池ユニット12a、12bで構成した電池ブロック11を複数直列に接続することで組電池10を構成する一例を示したが、例えば、電池ブロック11を構成せずに、複数の電池ユニット12を直列に接続するようにし、長さ方向がY方向となるように単電池13がN個Z方向に並んで配置される各電池ユニット12がX方向で隣り合うようにZ方向と平行にM列配置して組電池10を形成することもできる。
また、電池ブロック11が2つの電池ユニットで構成される一例を示したが、3つ以上の任意の数の電池ユニット12で電池ブロック11を構成することもできる。さらに、例えば、電池ユニット12aの単電池13の数を7つ、電池ユニット12bの単電池13の数を8つにして、電池ユニット12間で並列接続される単電池13の数を異なるように構成することもできる。
また、図2、図3で示したように、X方向に並んで配置される電池ユニット12a、12bは、Z方向において互いにずれて配置されている。つまり、電池ユニット12aの単電池13間に電池ユニット12bの単電池13が位置するように、X方向において隣り合う各電池ユニット12は、その単電池13の位置がZ方向において互いに所定間隔ずれて配置されている。また、電池ユニット12間は、X方向において所定の間隔離間しており、吸気口3から送り込まれる冷却風が単電池13間をX方向に移動できる隙間が形成されるように配置されている。
次に、図5から図8を参照して、本実施例の組電池10の冷却構造について説明する。図5は、図1に示した電池パック1のX−Y平面における側面図であり、電池パック1内に設けられた組電池10と冷却経路との関係を示している。
図5に示すように、電池パック1は、X方向の両側面に吸気口3及び排気口4がそれぞれ設けられ、冷却風が吸気口3(上流側)から排気口4(下流側)に向かってX方向に流通する冷却経路を備えている。
本実施例の組電池10を構成する単電池13は、長さ方向がY方向であり、長さ方向端部側面に形成される正極端子又は負極端子が、組電池10のY方向上面に位置するように、吸気口3の開口面に対して配置されている。Y方向に長さ方向が位置する単電池13がZ方向に並んで複数並んで配置されているので、冷却風は、単電池13の長さ方向に対して直交する方向(X方向)から各単電池13に接触する。
言い換えれば、単電池13の長さ方向が電池ケース2の上下方向となるように電池ケース2に収容される単電池13の電池群は、電池ケース2の左右方向に流通する冷却風に対して略垂直でかつ電池ケース2の上下方向及び左右方向に直交する方向(Z方向)に複数並んで配置される単電池13の列(電池ユニット12)毎に、各単電池13が並列に接続されているので、並列接続される単電池13それぞれが同じY−Z平面で垂直に冷却風と接触する。
そして、単電池13それぞれが冷却風の進行方向に対して垂直に一列に並んで並列接続される電池ユニット12は、冷却風の上流側から下流側に複数並んで電池ケース2に収容されており、各電池ユニット12の並列接続される単電池13の電池群は、X方向における各位置での同じY−Z平面で垂直に冷却風と接触する。
図6は、本実施例の電池パック1を構成する組電池10の温度分布を説明するための図である。本実施例では、吸気口3から排気口4の電池ケース2のX方向に延びる冷却経路に対して複数の電池ブロック11(電池ユニット12)が、隣り合うように配置されている。冷却経路の上流側、すなわち吸気口3側の位置する一列目(L1列)の電池ユニット12は、吸気口3から流入する温度T0の冷却風と接触し、一列目の電池ユニット12と接触した冷却風は、一列目の電池ユニット12の下流側に位置する二列目(L2列)の電池ユニット12と接触し、上流側から下流側に順番に各電池ユニットのZ方向に延びる単電池13列と接触する。
2列目の電池ユニット12に接触する冷却風は、一列目の電池ユニット12と接触した後の冷却風なので、温度T0よりも高い温度状態の冷却風が接触することになる。このように、上流側から下流側にかけて冷却風の温度は上昇するため、上流側に位置する一列目の電池ユニット12の温度T1よりも下流側に位置する二列目の電池ユニット12の温度T2は高くなる。下流側に位置するL(n)番目の温度Tnが一番高く、X方向に複数列配置される各電池ユニット12の温度は、図6の右側に示すように上流側から下流側に高くなる。なお、各電池ユニット12において充放電によって生じる発熱量は、一定である。
このように、上流側の冷却風は、下流側の冷却風よりも温度が高く、2列目の電池ユニット12と冷却風との間の熱交換は、一列目の電池ユニット12と冷却風との間の熱交換の効率よりも低くなり、冷却風の上流側及び下流側に配置される各電池ユニット間で温度差(冷却効率の差異)が生じる。
一方、図6の左側に示すように、本実施例の組電池10は、単電池13が並列に接続されている電池ユニット12において、並列接続される単電池13それぞれが同じY−Z平面で垂直に冷却風と接触する。このため、一列目の電池ユニット12の各単電池13(13(1),13(2),・・・,13(7))それぞれに対して冷却風は同じ温度で接触し、Z方向に隣り合う単電池13間は、同じ温度T1となる。二列目の電池ユニット12では、各単電池13それぞれに対して一列目の電池ユニット12よりも温度が高い冷却風が接触するものの、2列目の電池ユニット12の各単電池13それぞれに対して冷却風は同じ温度で接触し、Z方向に隣り合う単電池13間は、同じ温度T2となる。同様に下流側に位置するL(n)番目の電池ユニット12のZ方向に隣り合う単電池13間も、同じ温度Tnとなる。
すなわち、冷却風の上流側と下流側で電池ユニット12間の温度が違うものの、電池ユニット12のZ方向に並んで並列接続される単電池13の電池群それぞれに接触する冷却風の温度が同じであり、冷却効率は一定となる。このため、並列接続される単電池13の電池群内での温度バラツキを抑制することができ、例えば、並列接続される電池群の所定の単電池13の温度が高くなることで、他の単電池13よりも多くの電流が流れたり、電池劣化が促進してしまうことを抑制することができる。
少なくとも1つの単電池13が他の単電池13によりも劣化が進行すると、並列接続される電池群の電池性能は、劣化が進行した単電池13に依存するが、本実施例では、Z方向に並んで並列接続の電池群それぞれに接触する冷却風の温度が同じであり、並列接続の電池群内の単電池13間で冷却効率を均一にできる。
図7は、並列接続される単電池13群の上下方向及び単電池13間の温度の関係を説明するための図である。図7に示すように、本実施例では、単電池13の長さ方向がY方向となるように各単電池13をZ方向に複数配置して並列接続の電池ユニット12を構成しているので、単電池13の上下方向における任意の位置でのZ方向に隣り合う単電池13間の温度は、同じになる。
温められた単電池13周囲の空気は、電池ケース2の上面側に移動するので、電池ケース2の上面側は、下面側よりも温度が高くなる。このため、電池ケース2の上下方向に単電池13が積み重なるように配置されると、電池ケース2の上下方向下段の単電池13の温度が上下方向上段の単電池13に伝達されてしまう。これに対して本実施例では、冷却風の進行方向に対して上下方向に単電池13が積み重なって配置されておらず、単電池13の長さ方向が電池ケース2の上下方向に位置した状態で、Z方向に並列接続される単電池13が複数配置されるので、複数の単電池13間で隣接する他方の単電池13の温度の影響を受け難く、図7に示すように、単電池13の上下方向における任意の位置でのZ方向に隣り合う単電池13間の温度のバラツキが抑制される。
本実施例の組電池10は、単電池13の長さ方向が電池ケース2の上下方向(Y方向)となるように単電池13群をケースに収容しつつ、電池ケース2の左右方向(X方向)に流通する冷却風に対して略垂直でかつ上下方向及び左右方向に直交する方向に複数並んで配置される単電池13の列毎に、並列接続されているので、冷却媒体の進行方向に対して単電池13それぞれが、垂直に一列に並んで配置される。このため、並列接続される単電池13それぞれを均一に冷却でき、かつ電池ケース2の上下方向が長さ方向に配置される並列接続される単電池13の隣り合う単電池13間で他方の単電池13の温度の影響を抑制することができる。したがって、並列接続される単電池13間での温度バラツキを抑制することができる。
図8(a)は、本実施例の単電池13の一例を示す図である。図8において、単電池13は、単電池13内部で発生した気体(ガス等)を単電池13外部に排出する排出部13bを備えている。
排出部13bは、単電池13の正極端子が形成される長さ方向の端部側面に形成され、例えば、単電池13内部で発生した気体によって上昇する圧力に応じて開閉する排気弁である。単電池13の温度が上昇すると、発電要素13aを構成する電解液や固体電解質が分解されてガスが発生することがあり、排出部13bは、発生したガスによる内部の圧力上昇を抑制するために動作する。
本実施例では、電池ケース2に収容されるZ方向において隣り合う単電池13の電池ユニット12は、各単電池13の正負極が上面側又は下側側で同じ向きになるように配置されている。このため、例えば、排出部13bを正極端子が設けられる長さ方向の端部側面に設けた場合、図8(b)に示すように、1つの電池ユニット12において、排出部13bが電池ケース2の上面側又は下面側の一方に集約されるとともに、冷却風の進行方向と直交する電池ケース2の上下方向に排気される。
このため、電池ケース2の左右方向における組電池10の冷却経路と排出部13bから電池ケース2の上下方向に排気される気体の排気経路とをそれぞれ分離しつつ、電池ケース2の上面側及び下面側に集約された排出部13bから適切に排気できる。例えば、車室内に設けられ電池パック1は、車室内の空気を冷却風として用い、排気口4から排気される冷却風を車室内に戻す冷却循環が形成される。このとき、本実施例では、冷却経路と排気経路とがそれぞれ分離しているので、冷却風とともにガス等の気体が車室内に流れ込むことを防止でき、さらに排出部13bが電池ケース2の上面側及び下面側に集約されているので、電池ケース2の上面側及び下面側に排出部13bから排気されるガス等の排気ダクト等を設けることで、容易に車外等に排気することができる。
図8の例では、電池ケース2のY方向において単電池13の上面と電池ケース2の上部との間の空間及び単電池13の下面と電池ケース2の下部との間の空間をそれぞれ排気経路として構成し、排気経路と電池ケース2の左右方向における組電池10の冷却経路とを仕切る仕切り部材6を設けている。
仕切り部材6は、吸気口3から電池ケース2内に流入する冷却風が、単電池13の上面と電池ケース2の上部との間の空間及び単電池13の下面と電池ケース2の下部との間の空間に流れないように吸気口3から組電池10(組電池10から排気口4)にX方向に延びる板状の部材である。仕切り部材6によって形成された各排気経路に挿通する排出口5を電池ケース2の上部及び下部にそれぞれ設け、排気経路を流通したガス等の気体を組電池10の冷却経路と分離しながら、排出口5から電池ケース2外に排気することができ、排出口5に設けられる冷却経路と独立した排気ダクト等から車外等に排気できる。なお、図示していないが、X方向に並んで配置される単電池13間にも仕切り部材6に相当する部材を設けることができ、また、複数の単電池13それぞれを保持する保持部材(不図示)を用いて仕切り部材6を構成するようにしてもよい。
なお、上述した組電池10では、複数の電池ユニット12のM個の列は、隣り合う電池ユニット12の電池ケース2の上面側又は下面側に同じ向きに配置された各単電池13の正極端子群と負極端子群が、X方向において交互に配置されように、電池ケース2に収容されているが、例えば、電池ケース2の上面側又は下面側の一方に複数の電池ユニット12の正極端子群のみが配置されるように構成することもできる。
具体的には、電池ユニット12aの電池ケース2の上面側に設けられるバスバーと電池ユニット12bの下面側に設けられるバスバーとを電気的に接続することで、電池ケース2の上面側には電池ユニット12a,12bそれぞれの正極端子群が位置し、電池ケース2に収納される組電池10の上面側には正極端子群のみが、下面側に負極端子群のみが配置されるように構成することができる。
したがって、電池ケース2の上面側又は下面側の一方のみに排出部13bを集約することができ、排気経路が電池ケース2の上下方向の一方向のみとなるので、冷却経路と排気経路とをそれぞれ分離しつつ、一方向のみに集約された排気経路から容易に車外等に排気することができる。
本実施例の組電池10(電池パック1)は、例えば、車両に搭載される電池システムを構成する電源装置として適用することができる。図9は、電池システムの構成を示す図である。車両としては、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。ハイブリッド自動車は、車両を走行させる動力源として、上述した組電池10に加えて、エンジン又は燃料電池を備えている。電気自動車は、車両を走行させる動力源として、組電池10だけを備えている。
図9に示すように、組電池10の正極端子と接続された正極ラインPLには、システムメインリレーSMR−Bが設けられている。システムメインリレーSMR−Bは、コントローラ40からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。組電池10の負極端子と接続された負極ラインNLには、システムメインリレーSMR−Gが設けられている。システムメインリレーSMR−Gは、コントローラ40からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
システムメインリレーSMR−Gには、システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗Rが並列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗Rは、直列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pは、コントローラ40からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。電流制限抵抗Rは、組電池10を負荷(具体的には、後述する昇圧回路32)と接続するときに、突入電流が流れるのを抑制するために用いられる。
組電池10を負荷と接続するとき、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオフからオンに切り替える。これにより、電流制限抵抗Rに電流を流すことができ、突入電流が流れるのを抑制することができる。
コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替えた後に、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。これにより、組電池10および負荷の接続が完了し、図9に示す電池システムは、起動状態(Ready-On)となる。一方、組電池10および負荷の接続を遮断するとき、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替える。これにより、図9に示す電池システムの動作は停止する。
昇圧回路32は、組電池10の出力電圧を昇圧し、昇圧後の電力をインバータ33に出力する。また、昇圧回路32は、インバータ33の出力電圧を降圧し、降圧後の電力を組電池10に出力することができる。昇圧回路32は、コントローラ40からの制御信号を受けて動作する。本実施例の電池システムでは、昇圧回路32を用いているが、昇圧回路32を省略することもできる。
インバータ33は、昇圧回路32から出力された直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ・ジェネレータ34に出力する。また、インバータ33は、モータ・ジェネレータ34が生成した交流電力を直流電力に変換し、直流電力を昇圧回路32に出力する。モータ・ジェネレータ34としては、例えば、三相交流モータを用いることができる。
モータ・ジェネレータ34は、インバータ33からの交流電力を受けて、車両を走行させるための運動エネルギを生成する。組電池10の出力電力を用いて車両を走行させるとき、モータ・ジェネレータ34によって生成された運動エネルギは、車輪に伝達される。
車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータ34は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換する。インバータ33は、モータ・ジェネレータ34が生成した交流電力を直流電力に変換し、直流電力を昇圧回路32に出力する。昇圧回路32は、インバータ33からの電力を組電池10に出力する。これにより、回生電力を組電池10に蓄えることができる。
1 :電池パック
10:組電池
11:電池ブロック
12:電池ユニット
13:単電池
14:バスバー
32:昇圧回路
33:インバータ
34:モータ・ジェネレータ
40:コントローラ

Claims (7)

  1. 円筒型の蓄電素子を複数備えた蓄電素子群と、
    前記蓄電素子群を収容するケースと、を備え、
    前記蓄電素子群は、
    前記蓄電素子の長さ方向が前記ケースの上下方向となるように前記ケースに収容されるとともに、前記ケースの左右方向に流通する冷却媒体に対して略垂直でかつ前記上下方向及び左右方向に直交する方向に複数並んで配置される前記蓄電素子の列毎に、前記蓄電素子が並列に接続されていることを特徴とする蓄電装置。
  2. 前記蓄電素子群は、前記蓄電素子の列毎に複数の前記蓄電素子が並列接続された蓄電ユニットそれぞれが、前記左右方向に隣り合う前記蓄電ユニットと互いに直列に接続して形成されており、
    前記蓄電ユニットの各蓄電素子の正極端子又は負極端子の向きが、前記上下方向における前記ケースの上面側又は下面側で同じ向きであることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
  3. 複数の前記蓄電ユニットは、隣り合う前記蓄電ユニットの前記ケースの上面側又は下面側に同じ向きに配置された各蓄電素子の正極端子群と負極端子群が、前記左右方向において交互に配置されるように、前記ケースに収容されていることを特徴とする請求項2に記載の蓄電装置。
  4. 前記蓄電ユニットの正極端子群を互いに接続する正極バスバーと、
    前記蓄電ユニットの負極端子群を互いに接続する負極バスバーと、をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の蓄電装置。
  5. 前記蓄電素子群は、前記ケースの上面側又は下面側の一方の側において、各蓄電素子の正極端子群が位置する第1蓄電ユニットと、各蓄電素子の負極端子群が位置する第2蓄電ユニットとが前記左右方向に並んで配置され、前記第1蓄電ユニット及び第2蓄電ユニットを直列に接続した蓄電ブロックを含んで形成され、
    前記蓄電ブロックの前記ケースの上面側又は下面側の一方の側において正極端子群に接続される前記正極バスバーと負極端子群に接続される前記負極バスバーとが、1つのバスバーで形成されていること特徴とする請求項4に記載の蓄電装置。
  6. 前記蓄電素子の正極端子又は負極端子が形成される長さ方向端部に、前記蓄電素子内部で発生した気体を前記蓄電素子外部に排出する排出部が設けられていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1つに記載の蓄電装置。
  7. 前記左右方向の前記ケースの第1側面に設けられる前記冷却媒体の吸気口と、
    前記吸気口と反対側の前記ケースの第2側面に設けられる排気口と、を備え、
    前記吸気口から前記左右方向に流通する前記冷却媒体の進行方向上流側の前記蓄電ユニットに対し、前記進行方向下流側の前記蓄電ユニットが、前記上下方向及び左右方向に直交する方向に所定間隔ずれて配置されていることを特徴とする請求項2から6のいずれか1つに記載の蓄電装置。
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