JP5702368B2 - 容器内の物質の識別方法 - Google Patents

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Description

本発明は、収容物質(特に容器内の、例えば液体等)の識別および検出のための方法および装置に関する。
本発明は、例えば、ゲル、ペースト、クリーム、微粉等の流動性組成等の混合物、溶液、エマルション、懸濁液等の液体等、エアロゾル等の流体組成など、特に、性質として単一の概ね均質な組成を有すると予期される、含有物質の容器を含む対象物に関する。本明細書においては、例示により、液体容器等の対象物において含まれる液体がここで参照される。しかし、本発明は、容器に含まれた場合に、実質的に混合され、概して均一な特徴を有する全てのそのような液体、一部液体、および他の流動性の物質に等しく適用可能であることは理解されるべきである。
本発明は、特に、対象物を走査するX線、ガンマ線等の高エネルギー放射を利用する装置および方法に関する。ここで、含有物質の中身の内容物および/または組成についての情報を得ることが望まれる。本発明はさらに、物質の画像の生成によって、またはそれに関連して操作する方法および装置に関してよい。しかし、そのような画像化に限定されない。
例えばボトル等の対象物の中身を、セキュリティや税関検査において走査し、その対象物との相互作用の後で検出器において受信された放射線に基づいて内容物についての情報を得て、かつその対象物の内容物が、セキュリティに対して脅威とならない、または税関規則の違反とならないことの示唆を得ることが、望まれる。品質管理、内容物の照合、劣化監視等の他の目的のために対象物の内容物を走査することもまた望ましい。
対象物の内容物が主張された通りのものであることを確認するためには、高エネルギーの電離放射線ビームを対象物の断面に亘って横断させるようにして、その対象物および内容物を走査することが有利であってよい。結果として送られた放射線ビーム強度の数値分析から物質の組成を示唆し得ること、および、その分析の結果を知られた組成の物質に関連する参照データセットと比較することは、可能である。
物質を通過するX線の透過は、指数関数型減衰により、以下のように与えられ得る。
I/I=exp[−(μ/ρ)ρt] (1)
ここで、
μ/ρ=質量減衰係数。
物質の重み付けされた要素の組成に特徴的である材料定数は;
I=最終の強度;
=開始時の強度;
ρ=材料の密度;
t=材料の厚み、
である。
このように、材料の厚み「t」における変化に応じたX線透過における変化を注視することによって、例えば、質量減衰係数および物質の密度についての演繹的推定がなされ得る。これら2つのパラメータは、異なる材料において特徴的であり、そのため、物質の特定が可能となる。
密封された容器内に保持された標的の液体およびそれと同等の物質(すなわち、同様に全体にわたって概ね均質な組成を有する物質)を、非浸襲的に識別することを意図した器具の使用が開発されている。標的の液体等またはそれと同等の物質は、航空機内へと持ち込まれた場合に、セキュリティに脅威となる液体またはそれと同等の物質、例えば、溶解した麻酔薬、または品質管理を必要とする液体である場合がある。同出願人の同時係属中の特許文献1に開示された技術によれば、容器はX線のビームを照射されてよく、容器とその液体の内容物の特徴となる透過は、テルル化カドミウムまたはゲルマニウム等のエネルギー選択的検出器を用いて測定されてよい。
さまざまな容器に保持されるさまざまな含有物質の透過特性は、データベースに記録されかつ保持されてよい。そのデータベースは、それから、合致する透過特性を探すために、容器および内容物のインサイチュでの走査と比較するために用いられることができ、そうして標的の物質が識別可能となる。このようなシステムの1つの弱点は、有効であるためには、そのデータベースは、さまざまな液体またはその内容物、ならびにさまざまな容器の特徴となる透過に関連する、大量のデータを有することが要求されることである。データベースの呼び出しには時間が掛かるので、時間がしばしば最も重要である空港のセキュリティ等における多目的な利用には、適切ではない。
走査される対象物が、例えば、上述のような容器内にある液体等の流動組成物であるような、性質として、例えば、単一の概ね均一な組成を有することが予期される容器に含まれた物質である場合、含有物質および容器自体の両方、例えば、含有物質の種類、容器に含まれた物質の組成または濃度、含有物質における高エネルギー電離放射の経路長、容器が製造された物質、および容器の壁の厚み等が、個々の組成の変数の対象となる。
容器およびその内容物の走査から、結果として透過された放射線ビーム強度の数値分析からのデータの迅速かつ正確な合致を提供するためには、容器自体に関連するデータの構成要素を取り除き、それによって、知られた組成の中身の物質に関連する参照データセットと比較し得る内容物のみに関連するデータとなることが望まれる。
国際公開第WO2009/024818(PCT特許出願番号第PCT/GB2008/050711)
容器内の液体等の含有物質を非浸襲的に識別するための改良された分析ツールの必要性が存在する。
さらに、高エネルギー電離放射を用いた対象物およびそれらの内容物の走査を行う改良された方法、システム、および装置の必要性が存在し、ここでそうした内容物の識別および分析は、対象物自体からの障害なしになされる。
本発明によれば、第1の態様において、含有物質(例えば液体)の組成の識別および検出のために有用な放射線データを得る方法は、以下のステップを含む:
(a)放射線源および放射線検出器システムを提供するステップであって、前記放射線検出器システムは、前記放射線源との間に走査ゾーンを定義するために当該放射線源から間隔を置いて配置され、そして、入射放射線について、分光学的に分解可能な情報を検出して、かつ収集することができる、ステップと;
(b)前記検出器システムでの放射線入射について、強度情報を収集するステップであって、そしてそれ故、容器との相互作用の後、そして例えば容器を通って透過した後、前記検出器システムで受け止められる放射線からの入射放射線を有する走査ゾーンにおいて、知られた物質組成の、かつ知られた壁厚の、いかなる内容物も存在しない容器の相互作用、を収集するステップと;
(c)知られた物質組成の、かつ容器を通る知られた経路長の、容器に関する強度情報のデータセットを得るために、各々、知られた物質組成の、かつ知られた壁厚の、いかなる内容物も存在しない、複数の別々の容器のための、ステップ(b)を繰り返すステップと;
(d)容器を通る経路長に関連して知られた物質組成の容器との相互作用の後、検出器システムで放射線入射について分光学的に分解可能な強度情報を記述する第1の解析関数を生成するために、複数の容器に関する数の関係を評価するステップと;
(e)知られた物質組成の、かつ容器および内容物を通る知られた経路長の、容器および内容物に関する強度情報のデータセットを得るために、知られた組成の含有物質を今は収容している同じ容器とともにステップ(b)〜(c)を繰り返すステップと;
(f)液体を通る知られた経路長に関する、知られた物質組成の含有物質の強度情報のデータセットを得るために、例えばステップ(b)〜(c)で生成される、空の容器に対して生成された等価なデータからステップ(e)で生成されるデータをデコンヴォルーションするステップと;
(g)含有物質を通る経路長と関連して知られた組成の含有物質(例えば液体)との相互作用の後、検出器システムで放射線入射について分光学的に分解可能な強度情報を記述する第2の解析関数を生成するために、知られた含有物質に関する数の関係を評価するステップ。
このように、本発明によれば、空の容器の強度データが収集され、例えば、壁による減衰のために、厚みの修正された特徴を与えるライン方程式を含む、例えば、放射線と容器の壁との相互作用の第1の解析関数を生成するために用いられる。第1の解析関数は、知られた組成および複数の知られた壁の厚みの容器について生成される。壁の厚みは、例えば、その表面と垂直に、または、例えばビーム経路の方向に対応する別の適切な方向において、測定されてよい。
重要な点は、容器の1つ以上の知られた物質組成についてのさまざまな経路長に対して、容器を介した経路長(経路長は厚みおよびビーム方向の関数の関数である)に強度を関連付けて、データが生成されることである。このデータは、それから、特定の容器の組成について、容器を介して経路長を強度に関連付ける第1の解析関数を生成するために用いられる。
この解析関数は、例えば、類似の容器についての測定されたデータの代わりに、例えば、データセットを仮想のボトルのデータに投入(populate)するために、以下で説明されるさまざまな方法において用いられてよい。
より好ましくは、ステップ(b)〜(d)は、複数の組成を有する多様な壁の厚みの容器について繰り返されてよい。このように、複数の第1の解析関数が、複数の容器の組成について生成されてよい。
これらのデータまたは関数は、特に、組成がある範囲(例えば、複数の組成の容器の材料がさまざまな組成の比率を有する場合)に亘って連続的にさまざまであることが知られている場合に、強度を組成に関連付けてさらなる解析関数を生成するために用いられてよい。この種の追加的な解析関数は、本発明の原理から逸脱せずにさらなる有用性を与え得る。
ここで、知られた組成の液体等の、概ね均質な物質を含んだ同じ容器を用いたさらなる強度データが収集されて、放射線と、容器の壁および内容物との反応の結果を表す強度情報のデータセットを生成するために用いられる。参照(Reference)は、本明細書においては、充填された容器等の容器のことであってよい。これは単に、空の容器から区別するためであるものとして理解される。このような容器が満杯であるという含意がなされているのではなくて、単に、容器がここで液体またはそうした物質を含むことが含意されている。
データは、このように、容器および知られた物質組成の中身について、強度を、容器および内容物の組み合わせから知られた経路長に関連付けるデータを提供する。再び、それは、キーである効果的な経路長に対する関係を導きだすものであり、経路長は、例えば、知られたビーム方向を用いて、知られた容器の壁の厚みおよび内部寸法から導き出せるものである。
概念的な意味で内容物のデータセットは、それから、空の容器について生成された適切なデータから、充填された容器を測定する工程において生成されたデータを、デコンヴォルーションすることによって生成されてよい。その結果は、概念的な意味で、容器がない、内容物のみを介して、知られた物質組成の内容物を、知られた経路長に関連付ける強度情報のデータセットである。
空の容器のデータは、充填された容器のデータから減算される(ここで減算とは、容器の減衰効果の除去として一般的に理解されるものである。そして、狭義において、データの第1のセットとデータの第2のセットとの間の任意の特定の計算関係を含意するものとして理解されるものではない)。空の容器のデータは、特定的にこの目的のために測定され得る。データは、上述で説明した空の容器を測定する工程において記録されたものから採られてよい。第1の解析関数は、事実上、空の容器のデータを生成するために用いられてよく、空の容器のデータは、それから、充填された容器のデータから減算される。このような全ての場合において、その結果は、各々が実質的に容器の無い含有物質のサンプルを示すデータアイテムのデータセットである。
このデコンヴォルーションされたデータは、容器が実質的に取り除かれた状態で、含有物質のみを介した、経路長に対して、知られた組成の含有物質との相互作用の後で、検出器システムに入射する放射線についての分光学的に分解可能な強度情報を記載する第2の解析関数を生成するために用いられる。データは、このように、特定の内容物の組成について、強度を、内容物のみを介して経路長に関連付ける第1の解析関数を生成するために用いられる。放射線と内容物との相互作用についての第2の解析関数は、例えば、容器が実質的に取り除かれた状態で、含有物質による減衰について、経路長の修正された特徴を与えるライン方程式を含む。
この解析関数は、例えば、容器の他の中間的な構成における内容物についての測定されたデータの代わりに、例えば、データセットを、仮想の中身のデータに投入するために、以下で説明されるさまざまな方法において用いられてよい。
より好ましくは、本方法は、複数の組成を有する内容物について繰り返されてよい。このように、複数の第2の解析関数は、複数の内容物の組成のために生成されてよい。これらは、特に、組成がある範囲(例えば、含有物質が、さまざまな組成の比率を有する液体混合物であり、それが可変の強度の溶液である場合など)に亘って連続的にさまざまであることが公知である場合に、強度を組成に関連付けてさらなる解析関数を生成するために用いられてよい。このようなさらなる解析関数は、本発明の原理から逸脱せずにさらなる有用性を与え得る。
しかしながら、最も基本的には、本発明の方法の成果は、強度を、容器の壁を介した経路長に関連付ける第1の解析関数(およびより好ましくは、複数の物質についての複数のそのような関数)と、強度を、「容器のない」内容物を介した経路長に関連付ける第2の解析関数(およびより好ましくは、複数の内容物についての複数のそのような関数)である。
これらの関数は、先々、含有液体またはそれと同様な物質を処理する場合や、例えば、限定を付さずに、中間的な場合についての追加のデータの生成、参照データベースの仮想の容器/内容物等への投入(population)などの識別目的のために、予期されたデータに対して、測定されマッチングする場合に、労力を節約する手段としてさまざまに用いられ得る。
空の容器のデータは、単に、データアイテムベースで、データアイテム上の充填された容器のデータから減算されてよく、実質的に容器のない液体または他の含有物質のサンプルを各々示すデータアイテムのセットを生成してよい。
代替的な場合において、充填された容器のデータは、知られた組成の液体等の含有物質を含む、知られた物質の組成および容器の物質の表面と垂直な、知られた厚みの容器との相互作用の後で、検出器システムに入射する放射線についての分光学的に分解可能な強度情報を記載する第3の解析関数を生成するために用いられてよい。この第3の解析関数は、デコンヴォルーションされたデータを生成し、例えば、第1の解析関数を、第3の解析関数から減算するデコンヴォルーションの工程において、第2の解析関数を生成し、走査ゾーンを通過するにつれて、知られた組成の液体等の含有物質との相互作用の後、検出器システムにおいて入射する放射線についての分光学的に分解可能な強度情報を記載する第2の解析関数を提供してよい。
第1の解析関数は、第3の解析関数からデコンヴォルーションされて、例えば、含有液体等の含有物質による減衰について、厚みの修正された特徴を与えるライン方程式を含む、「容器の無い」内容物と放射線との相互作用についての第2の解析関数を生成する。すなわち、第1の解析関数において提供されるような、壁に起因する寄与は、第2の解析関数において提供された組み合わせに起因する寄与からデコンヴォルーションされるか、または減算されて(ここで減算とは、デコンヴォルーションされた関数からの減衰効果の除去として一般的に理解されるものであり、狭義において、第1の解析関数と第2の解析関数との間の任意の特定の計算関係を含意するものとして理解されるものではない)、放射線の相互作用と内容物とを関連付ける第3の解析関数を生成する。
含有物質は、性質として、巨視的なスケールにおいて単一の概ね均質な組成、および、含有物質を介した経路長にのみに実質的にほぼ依存している放射線源に対する反応を有すると予期される物質を含む。例示的な含有物質は、例えば、ゲル、ペースト、クリーム、微粉等の流動性組成等の混合物、溶液、エマルション、懸濁液等の液体等、エアロゾル等の流体組成であってよい。
検出器システムは、放射線源のスペクトルに亘って、入射放射線を複数の異ならせたエネルギーバンドに同時に差異化するように適合されるという意味で、入射放射線についての分光学的に分解可能な情報を検出かつ収集することができる。例えば、検出器システムは、放射線源スペクトルの少なくとも一部に亘って分光学的に可変の反応を示し、そのような同時の入射放射線の複数のエネルギーバンドへの差異化を可能にする。解析関数は、そのような差異化に基づいて、検出器システムにおいて入射する放射線についての分光学的に分解された強度情報を記載する。
好ましくは、少なくとも第2、より好ましくは、第1および第2の解析関数が、異なる経路長のマルチプル置換(multiple permutations)のための、放射線源のスペクトルに亘って、検出器システムにおいて入射する放射線についての強度情報を記載するように展開される。
例えば、さらなるステップは、以下のステップを含んでよい:別々の容器経路長の全置換のための、放射線源の全スペクトル全体の走査ゾーンを通過するにつれて、知られた組成の容器との相互作用の後、検出器システムで放射線入射について強度情報を記述する第4の解析関数を生成するステップ;および/または、含有物質を通る別々の経路長の全置換のための、放射線源の全スペクトル全体の走査ゾーンを通過するにつれて、知られた組成の液体との相互作用の後、検出器システムで放射線入射について強度情報を記述する第5の解析関数を生成するステップ。
この処理は、さまざまな容器、および、遭遇する可能性の高い液体等の含有物質にわたって繰り返される。このようにして、解析関数のライブラリは導き出され得るか、および/または、知られた組成の液体についての強度情報のデータのライブラリが提供され得る。データのこのようなライブラリは、測定されたデータアイテム、解析関数を介して生成される仮想のデータアイテム、またはそれら2つの組み合わせによって投入されてよい。データのライブラリは、容器の特徴無しに、参照情報を含有物質に提供し、それにより、標的の液体についての正確かつ迅速なマッチング処理を提供する。このようにして、走査された液体またはそれと同じような含有物質は、容器の特徴からの障害なしに、標的の含有物質の特徴のデータベースに対してマッチング可能である。知られた組成のボトルについての強度情報のデータのライブラリが提供されてよい。このようなデータのライブラリは、液体または他の含有物質の特徴なしに、ボトルについての参照情報を提供する。そのような参照比較について、データのライブラリを投入するための使用に加え、またはそれとは代替的に、解析関数は、測定された強度データについての直接的な数値処理ツールとして用いられてもよい。
上述で規定されたように、第1および第2の解析関数を、または場合によっては、第4および第5の解析関数を含み、ならびに、例えば、壁および、液体またはそれと同様な内容物の各々についての厚みの修正された特徴であるところの、容器との相互作用の後の検出器システムにおいて入射する放射線についての強度情報を関連付ける解析関数および液体と相互作用した後の検出器システムにおいて入射する放射線についてのデコンヴォルーションされた強度情報に関連付ける解析関数は、組み合わされてよく、異なる経路長のマルチプル置換のための、放射線源のスペクトルに亘る走査ゾーンを介して通過するにつれて、知られた組成の含有物質との相互作用の後で、検出器システムにおいて入射する放射線についての強度情報を記載する出力を生成してよい。
例えば、検査中に、実行している計算における計算にかかるオーバーヘッドを最小化するための可能な現実的な解決案を示す、本方法の好ましい実施形態において、容器の解析関数および液体の解析関数等の内容物の解析関数は組み合わされてよく、データベースを、異なる放射線経路長のマルチプル置換のさまざまな仮想の充填されたボトルに投入してよい。
このように、知られた容器における知られた組成の含有液体またはそれと同様の物質についての強度情報のデータベースのライブラリが提供される。データベースは、さまざまなあり得るであろう内容物/容器の組み合わせについて参照情報を提供し、それにより、標的の内容物について、正確かつ迅速なマッチング処理を提供する。このようにして、走査された容器は、特徴のデータベースに対してマッチングでき、標的を含有した液体等の標的を含有した物質が識別される。
このように、好ましい場合において、この方法は、例えば、隔離された液体または他の同様の材料に対する、および/または、知られた容器内の知られた組成の収容された液体または他の同様の材料に対する、強度情報のデータライブラリを含む、予期されるシナリオに対する強度情報のデータライブラリを生成する方法である。
本発明のさらなる態様において、収容された液体のような含有物質の組成の識別および検出のための方法は、以下のステップを含む:前記解析関数を生成するために、好ましい場合には、隔離された液体のような含有物質に対する、および/または、知られた容器内の知られた組成の液体のような含有物質に対する、強度情報のデータライブラリを生成するために、上述のステップを実行するステップと;検出器システムでの放射線入射について強度情報を収集するステップであって、そしてそれ故、未確認の含有物質との相互作用の後、および例えば未確認の含有物質を通って透過の後、前記検出器システムで受け止められる放射線からの、未確認の含有物質の相互作用を収集するステップと;含有物質を識別するために、未確認の含有物質に対する測定強度データを、強度情報の前記データライブラリと比較することにより、前記解析関数を使用するステップ。
好ましい実施形態において、現実的な/測定されたボトルの厚み範囲外では、いかなる潜在的なデータベースのマッチングを拒否する厚みフィルタが適用されてもよい。
このように、本発明の一般的な原理に従うと、試験下にある対象物は、それを入射する高エネルギー放射線源に曝し、その対象物および内容物との相互作用の後で検出器システムにおいて放射線を検出し、特に好ましい場合においては、その対象物および内容物を介して透過した放射線を少なくとも検出することによって、走査される。よく知られているように、放射線の減衰は、対象物を透過すると、その対象物の構造およびその組成についての両方の有益な情報を与えることができるものであり、したがって本件の場合には、その対象物の構造およびその内容物の組成についての両方の有益な情報を与えることができるものである。本方法は、このように好都合にも、各走査工程の間、走査ゾーンにおける対象物により、入射放射線の減衰を決定する工程を含む。
本発明は、特に、試験下の対象物および内容物を介して透過した後の放射線の収集および解析を含む。本発明は、特に、初期の入射強度に対して、その放射線の減衰の決定を含む。周知であるように、物質による透過した放射線の減衰は、例えば、入射強度、入射エネルギー等の放射線源の放射の所定の物理的パラメータに特徴的に関連され、機能的に関連付けられることができる特異的な物質特性である。
その技術は、本質的に比較を用いる技術であり、というのも、試験対象物を通過した後に、特徴における変化を模索することに関与するからである。本発明はコンパレータに限定されない。例えば、当業者は、コンパレータとして、I測定、参照/較正標準またはシステムの念入りかつ再現可能な構成から得られた仮想標準を用いるように選択してよい。
例えば、入射強度は較正工程を介して測定され、この工程において、システムは、走査ゾーン内に対象物無しで稼動され、検出器システムにおいて入射する放射線についての強度情報は、上述の解析について、入射強度のデータベースを生成するために用いられる。
本方法の好ましい可能な実施形態において、走査工程の間、収集された強度情報を少なくとも含む強度データは、入射強度に関連する適切な関数関係に対して数値的に解析され、その結果は、物質の内容物の指示を提供する目的で、適切なデータのライブラリと比較される。例えば、入射したおよび透過した強度の比率が決定され、この比率は、質量減衰の係数を決定するために用いられ、質量減衰の係数は、それから、予期される標的または組成の物質に対して透過的な係数データのライブラリに関連されることができ、捜査下の対象物および内容物のあり得る組成についての情報を得ることができる。しかしながら、特に、含有物質または仮想のボトルの特徴のデータベースが生成される好ましい場合において、そのような数値解析が不要であってよく、かつ、その代わりに、測定された透過データとそのようなデータベースとの比較によって識別がなされることは、本方法の利点である。
走査される対象物は、用途に応じて、垂直な平面または水平な平面における動きのために配置可能である。ボトル中の液体のセキュリティまたは税関でのスクリーニングのために、ボトルはホルダに取り付けられ、ほぼ垂直な平面を介して移動されることが想定されるが、これはボトルを水平に取り付けると脅威となる物質がこぼれてしまうかもしれないからである。垂直な移動のためにボトルのような対象物を取り付けるには、走査における移動の間、対象物を適当な位置に保持するための一部の固定具など必要とし、その結果、対象物は、好ましくは、垂直方向から1°〜80°の角度で、好ましくは、5°〜45°の角度、およびさらに好ましくは5°〜30°の角度で取り付けられる。
例えば容器、およびボトル、または液体パック等の多くの対象物は、そうした対象物が通常、走査されるであろう、厚み方向全体を規定する通常の形状を有する。例えば、そのような厚みは、対象物の両側側面によって、または、対象物の表面上の正反対の両側の点によって規定されてよい。放射線ビームは、そのような対象物の表面に対して垂直に入射するように配置構成可能である。すなわち、その表面と垂直に対象物を通過し、かつそのような厚み方向全体において通過する。放射線ビームが、垂直以外の角度で対象物を通過する場合、そのビームは、ビーム吸収を改善でき、それゆえ、対象物の内容物の解析を改善することができる、対象物の内容物の増加した厚みを通過することとなる。例えば、放射線ビームは、好ましくは、表面に対して垂直から離れて0°〜80°の角度で、好ましくは、5°〜45°の角度で、およびより好ましくは5°〜30°の角度で対象物を通過するように配置構成される。対象物が1°〜80°の角度で、好ましくは、5°〜45°の角度で、およびより好ましくは5°〜30°の角度で取り付けられた場合、上述のように、ほぼ水平のビームの配置構成を用いることは、対象物の内容物を介したビームの経路長の所望される増加を与えることとなる。
放射線源は、好ましくは、例えば、電離放射線などの高エネルギー放射線、例えば、X線および/またはガンマ線等の電磁放射線を放射する放射線源を含み、検出システムは、それに対応して、このスペクトルにおける放射線を検出するように構成される。放射線源は、例えば、広範囲のエネルギーに亘る広帯域スペクトル放射を生成することができる広帯域のX線またはガンマ線等の広帯域放射線源である。検出器システムは、好ましくは、放射線スペクトルの少なくとも一部に亘って分光学的にさまざまな反応を示し、放射線源のスペクトルに亘って複数の差異化されたエネルギーバンドにおいて、分光学的な情報を読み出すことを可能にし、かつ、強度情報を検出することを可能にする。
各「走査イベント」について(すなわち、特定の位置における対象物/対象物および内容物を例えば通過したときに入射する特定の放射線の経路を介した強度の測定について)、放射線源のエネルギースペクトルの少なくとも一部に亘り、検出器システムにおいて入射する収集された強度を示す「強度データセット」が収集される。好ましくは、本発明の本方法によれば、各々のそのような強度データセットは、放射線源のスペクトルに亘る、少なくとも2つ以上の、好ましくは少なくとも3つの別個のエネルギーバンドに亘って分解される。このように、強度データセットは、そのような複数の帯域に分解可能である周波数/エネルギーに関連された強度情報のデータセットを構成し、特定の走査イベントおよびそれゆえ試験下の対象物および内容物を介した特定の透過経路に関連する対応の複数の透過された強度データ測定を生成する。
1つの可能な実施形態において、単一の広帯域スペクトル放射線源が用いられてよい。この実施形態において、本発明の方法は、広帯域スペクトル検出器または検出器アレイ、および/または、入射する放射線を単色で(monochromatically)で検出するために単一の狭帯域スペクトル検出器を用いることを含んでよい。あるいは、入射する放射線は、検出器の固有の特性を用いて、放射線源のスペクトルに亘る情報を分解するように構成された検出器または検出器アレイに入射するか、および/または狭帯域反応を有する複数の検出器アレイに入射する単一の広帯域スペクトル放射線源を用いて分光学的に分解されてもよい。好ましい場合において、入射放射線は、放射線源のスペクトル内において、少なくとも3つ以上、好ましくは少なくとも5つのエネルギーバンドに亘って分光学的に分解される。これは、単色のデータよりもより強力な操作に影響を被るデータを生成することができる。このように、この好ましい場合において、検出器システムは、少なくとも3つ、および好ましくは、少なくとも5つのエネルギーバンドを少なくとも分解する程度まで、入射する、特に透過する放射線についての分光学的情報を生成するように構成される。好ましくは、検出器は、放射線源のスペクトルの少なくとも実質的な部分に亘って、分光学的にさまざまな反応を示し、詳細な分光学的な情報が呼び出し可能となる。
同様に、放射線源は、複数の帯域幅または単一のエネルギーが識別されてよい単一の広帯域スペクトル放射線源であってよい。あるいは、または追加として、狭帯域を有する、または、本発明の方法に従って、比較のために、エネルギーの一部を提供するために、1つ以上の別個のエネルギーで、入射する放射線を生成する放射線源が提供されてもよい。この場合、放射線源は、必要とされるトータルのスペクトルの拡散を提供するために、異なるエネルギーにて、放射線源の組み合わせを含む複数の放射線源であり、複数のエネルギー/エネルギーバンドに亘って検出器により分解が可能となる。
例えば、複数の放射線源は、相対的に低いエネルギースペクトルを有するX線の放射線源、例えば、60keV以下、例えば、10〜50keVで稼動する放射線源、および、例えば100keVのより高いエネルギーでの放射線を生成する1つ以上の放射性同位体の放射線源を含む。
放射線源は、好ましくは、本発明のパフォーマンスに必要とされるスペクトル分解を可能とする十分に広帯域の放射線のスペクトルを生成することができる。好ましくは、放射線源は、20keV〜1MeVの範囲の少なくとも一部に亘る放射線、ならびに、より好ましくは、20keV〜160keVの範囲の少なくとも一部、およびその主要部分に亘る放射線を生成する。例えば、放射線源は、特定の範囲内の少なくとも20keVの少なくとも1つの帯域幅に亘る放射線を生成する。例えば、スペクトルは、少なくとも3つの10keVのバンドがその範囲内で分解可能であるようにされる。
検出器システムが、データ処理装置によって分光学的に分解可能な方法で放射線を検出可能であることは、好ましい。好ましくは、検出器システム、あるいは、マルチエレメントシステムを構成するいくつかの、またはすべての別々の検出器エレメントは、それが直接の分光学的応答を呈するという点で、分光学的分解能を発生するのに適していてよい。特に、システムまたはエレメントは、直接材料特性として、放射線源スペクトルの別々の部分に、直接の可変的な電気そして例えば光電応答を本質的に呈するように選択される材料で製作される。例えば、検出器システムまたはエレメントは、バルク結晶として、そして例えばバルク単結晶として(この文脈におけるバルク結晶は、少なくとも500μmの、そして好ましくは少なくとも1mmの厚みを示す)、好ましくは形成される半導体材料を含む。半導体を構成する材料は、テルル化カドミウム、カドミウム・テルル化亜鉛(CZT)、カドミウム・マンガン・テルル化合物(CMT)、ゲルマニウム、ランタン臭化物、トリウム臭化物から好ましくは選択される。II〜VI群の半導体および特にリストされるそれらは、特にこの点に関しては好ましい。半導体を構成する材料は、テルル化カドミウム、カドミウム・テルル化亜鉛(CZT)、カドミウム・マンガン・テルル化合物(CMT)、およびそれらの合金から好ましくは選択されて、例えば結晶Cd1−(a+b)MnZnTeを含む。ここで、a+b<1、かつ、aおよび/またはbはゼロでよい。
これらの組合せおよびこの種の他の材料は、対象物および内容物との相互作用の後、放射線の振幅を単に検出するのみよりはむしろ、分光学的検出を与えることを考慮してよい。
好ましくは、特定のジオメトリー(例えばペンシルビーム・ジオメトリーあるいはファンまたはカーテンビーム)のビームが、対象物の移動方向に対して垂直に整列して用いられる。
好ましい実施形態において、単純なペンシルビームは、単純な単一ピクセル検出器または線形配列検出器とともに提供されてよい。これに代えて、ビームは、例えば1つ以上の線形検出器とともに少なくとも1つの次元の展開を有するためにコリメートされてよい。ペンシルビーム・ジオメトリーが用いられる場合、1ピクセルのみが検出器のために必要である。ペンシルビームに用いられる線形アレイまたはエリアアレイは、分散放射線のような追加の情報を検出する能力を提供することができる。ファンビーム・ジオメトリーが用いられる場合、線形検出器は、対象物の移動方向に対して垂直にかつビームの領域の範囲内に、好ましくは配置される。都合の良いことに、線形検出器は、複数の個々の検出器エレメントの線形配列を含んでよい。
放射線源は、この種のビームを発するのに適している。放射線源から適切なジオメトリーの発射ビームを発生するために、コリメータは試験下で放射線源と対象物との間に、例えば放射線源の近くに提供されることが好ましい。特に放射線源ビームは、ペンシルビームを発生するためにコリメートされる。
加えてまたはこれに代えて、透過される放射線が検出器まで通過することを許容するが、例えばいかなる分散放射線も検出器に到達するのを制限するために、ビームは試験下で対象物および内容物との相互作用の後、例えば検出器の近くでコリメートされてよい。
最も単純には、本発明は、例えば透過パスにおける対象物に対しての質量減衰係数を計算して適切なライブラリ比較を作成することによって、単一またはマルチプル・スペクトルバンドで強度データから透過パスの物質組成の示唆を抽出する方法を含んでよい。それは、画像を生成する必要はない。
しかしながら、本発明が走査イメージングシステムの一部を形成してよいことは除外されない。この可能な実施形態によれば、検出器でのまたはさらなるイメージング検出器での、放射線入射についての情報の、特に第1の対象物の走査中に収集される情報のデータセットは、走査ゾーンにおける対象物の画像を生成するために用いられる。
好ましくはこの方法は、走査ゾーンにおける対象物との相互作用の後、透過された放射線の強度に関してデータを収集するステップを含む。そして、透過された放射線の強度に関するデータは、上述されたように数値的に、および1つ以上の画像を発生して、そして例えば対象物が走査ゾーンを通って移動するにつれて画像の連続を発生するのと両方とも、検出器で処理される。
説明のために本明細書における使用において、画像の生成に対する参照は、例えば適切に格納されたそして巧みに扱えるデータファイルの形態で、調査中の対象物の根底にある構造の可視表現が発生可能な、情報データセットの生成に対する参照であることを理解すべきである。そして、この画像の表示に対する参照は、例えば適切な表示手段上に視覚的にアクセス可能な形態の、この種のデータセットから生成される画像の提示に対する参照であることを理解すべきである。
本発明の方法は、この種の生成された1つまたは複数の画像を表示する追加のステップをさらに都合良く提供する。複数の画像の場合、この種の画像を同時にまたは順次に表示することを伴うかもしれない。
各収集された画像は、各々が全部のスペクトルの一部の全体の画像を生成することを目的とする、複数のバンドに亘り分光学的に分解されてよい。その結果、バンドは、エネルギー区分された合成画像の生成または画像の連続を共に可能にする。
本発明は、添付図面を参照して例示のみのために記述される。
図1は、本発明の装置の概略図である。 図2は、図1の装置を含む、本発明を実現することが可能な装置の一般的概略図である。 図3は、典型的な放射線源スペクトルを図示し、そして画像操作に関連して本発明を実現するためにそれがどのように分割されるかを図示する。 図4は、データ(データは、入射ビームに関連してボトル傾斜に対して修正されてよい。)のライブラリの生成のための、ボトルスキャナ上のトップレベルデータ収集のための代表的なプロトコルを図示する。 図5は、データ(データは、入射ビームと関連してボトル傾斜に対して修正されてよい。)のライブラリの生成のための、ボトルスキャナ上のトップレベルデータ収集のための代表的なプロトコルを図示する。
図1に示す本発明の装置において、本発明を実現することが可能な装置の実施形態は、X線放射を用いて、ボトル内の液体および同様の対象物を走査するためのボトルスキャナを含んで図示される。本明細書では例として収容された液体に参照がなされるけれども、収容されたときに、流動可能な組成物(例えばゲル、ペースト、クリーム、微粉末など)に似た、液体混合物、溶液、エマルジョン、懸濁液など、エアロゾルなどのような、この基本的に混合した、かつ概して少なくとも肉眼的に均質な形質を有するすべての組成物材料に、本発明は、当然のことながら、同じように適用できる。
ボトルスキャナ10は、ボトルホルダ12を動かすために、線形スライダ軸11を有して提供される。ボトルホルダ12は、線形スライダ軸11とともに動くために、線形スライダ軸11に固定的に連結される。線形スライダ軸11は、ボトルホルダ12を2つの方向に動かすことができる。
ボトルホルダ12は、ボトル16が寄り掛かる背もたれ部材13、および、ボトル16が載る上面15を有するベース部材14を含む。ボトル16は、角度αで傾いているホルダおよび線形スライダ軸によって、ボトルホルダ12に対しておよびその中に置かれる。例として、これは、垂直線から15°の角度であるかもしれない。ボトルにとって、5°〜30°の角度は、好都合かもしれない。他の形状の対象物または容器では、別々の最適角度で保持されるかもしれない。
ボトルホルダの背もたれ部材13は、ボトルから検出器まで通過するX線ビームに明確なパスを許容するために、開口(図示せず)を有して好ましくは提供される。背もたれ部材13の開口は、背もたれ部材の頂部から底部まで至るスロット形状の開口でありえる。スロット開口は、ビームがスムーズに通過することを許容するのに十分な幅であるが、いかなる分散放射線も検出器22に到達するのを制限するのに十分狭い幅を有する、いくつかのビーム視準を提供する幅狭の溝でありえる。透過側上のビームの追加的または他の代替的な視準は、提供されることができる。
線形スライダ軸11に沿ったボトルホルダ12およびボトル16の動きは、電動ステッピングモータ23の回転によって生じる。モータは、プーリ24を回転させる。そしてそれは、ベルト25を動かす。そしてそれは、プーリ26の回転を駆動する。プーリ26の回転運動は、線形スライダ軸11内のねじ駆動装置(図示せず)のような適切な駆動装置の回転に変換される。そしてそれは、ボトルホルダ12の線運動を生成する。
モータは、いずれの方向にも回転可能である。そして、モータの回転方向を制御することによって、ボトルホルダ12およびボトル16の移動方向は、決定されることができる。
ボトルが線形スライダ軸の方向に沿って移動するにつれて、X線ビーム19を通過させる。入射ビーム19は、放射線源18によって発生する。それは、ビーム内に存在するエネルギーの広域スペクトルを有するように、タングステン線源であることが好ましい。
X線ビーム19は、水平に整列される。ボトルが垂直から角度αで傾いているままで、ビームは、ボトルの表面と直角をなしてボトルには当たらない。この好ましい配置は、ビームにとって、それがボトルおよびその内容物を通過するままに、増加した吸収パスを与える。
透過ビーム20がボトルから出てきて、検出器22によって検出される前に、吸収および分散が光路21に沿って行われるところで、入射ビーム19は、ボトル16およびボトル内容物17を通過する。
X線ビームは、開口43を有して、かつ、放射線源18の近くに配置される第1のコリメータ41によって、コリメートされることが好ましく、そして、一次元のジオメトリーを有するペンシルビームであることが好ましい。
透過X線ビーム20は、それが検出器22に到達する前に、第2のコリメータ42における適切な開口44によって、コリメートされることが好ましい。
検出器22は、平行なX線ビームと整列される単一のピクセルであることが好ましい。検出器は、透過X線ビーム20から、光子を有する相互作用の強度およびエネルギーを表す信号を発生する。これらの信号は、以下で図2において詳述されるように、それから処理される。実施形態において、検出器は、入射X線の分光学的分解能が可能な材料を含む。そして、代替材料が使用できることはいうまでもないけれども、具体例において、検出器は、テルル化カドミウム(CdTe)を含む。
追加的な分析能力は、前方および/または後方において分散されたX線ビームのそれらの部分を検出するために、追加的な検出器を用いて提供されることができる。透過ビーム20および前方に分散するX線ビームは、線形またはエリアアレイを用いて検出されることができる。
図2の一般的概略図において、説明を簡単にするため、単一のレイパスのみを示す。X線の線源18および横に間隔を置かれた検出器装置アセンブリ22は、それらの間に走査ゾーンZを共に定義する。使用中、走査されるボトルは、図1に示すようなボトルホルダに置かれて、図1に記述されたような機構によって走査ゾーンを通してX方向に移動されることによって、X線ビームがボトルをその軸線に沿って通過するように、X線ビームパスに持ってこられる。
図の例では、ボトルは、走査ゾーンZ内に位置する。X線の線源からの入射ビーム19は、図示される。この単純な概略図において、入射ビームは、ライン19によって表される。透過ビーム20は、単一の検出器22への入射である。
検出器22は、プロセッサ32とデータ通信する。検出器における材料の固有のスペクトル分解能によって、プロセッサ32は、データレジスタ33に記憶されるエネルギーバンドの境界を参照することで、本発明の原理に従う複数のあらかじめ設定された周波数/エネルギーバンドの個別的に全体のこの画像を、分解することができる。
例示的実施形態において、タングステンのX線の線源が、用いられる。例えば、波長に対する初期強度についてタングステンによって発生するかもしれない典型的なスペクトルを、図3に示す。
図3の主要な目的は、可能な実施形態に従ってスペクトルが分解されてよい、2つの考えられる方法を図示することである。いずれの場合も、スペクトルは、5つの周波数バンド全体に分解されて示される。
概略図は、スペクトルが分解されてよい2つの方法を図示する。図3aにおいて、生成されたスペクトルの大容量は、5つの比較的広いエネルギーバンドb1〜b5に分けられる。図3bにおいて、5つの比較的狭いバンド(個々のエネルギーにさえ近づいてよい)は、c1〜c5に定義される。どちらの選択肢も、本発明の原理と矛盾しない。そして、対象物および調査中の内容物についてさらなる情報を与えるために、本発明の数値解析に対するか、または好ましい実施形態において分光学的に分解されたイメージングに対するか、いずれかの有用な結果を生成するために、いかなる組合せも用いてよい。
例示的実施形態において、同じ原理は、ボトルおよび内容物の範囲に対する一般の代表的機能を生成するために、そして例えば仮想ボトルおよび内容物のデータベースにデータを読み込むために、そして調査中の未知のボトルの物質的な内容物を特徴づけて識別するために、用いてよい。例示的実施形態において、データは数値的に分析される。プロセッサ32は、一連の識別された周波数バンド(例えば図3aまたは3bの周波数バンド)に関連してさらに作動する。そしてこの機能において、各バンドにおける透過された強度の(そして例えばその平均の)代表的な数量化を生成するために、データが用いられる。それはそれから、記憶のための強度データアイテムレジスタ34に通過される。
計算手段35は、ボトルのライン走査に沿って各位置でのデータを評価して、それを本発明の方法に従う関係に適合することを試みる。
ボトルの内容物の分析のためにボトル走査試験を実施するため、調査されるボトルはボトルホルダにロードされる。X線ビームが開始すると、ボトルは、走査のための位置へ、例えばX線ビームが通過する内容物の厚みを最大にする位置へ移動する。
方法の実施形態は、試験下のスペクトルに亘る放射線源に対するI参照データセットを要求する。そしてそれは、対象物のないシステムを作動することによって、走査の前に較正ステップにおいて都合良く生成される。
好ましい実施形態において、データのライブラリは、それから、知られた液体/容器の範囲の減衰を走査して決定することによって、知られた容器内の知られた組成の収容されている液体に対する強度情報について生成する。データベースは、全範囲のありそうな液体/容器の組合せに対しての参照情報を提供する。これにより、標的液体に対する正確でかつ迅速なマッチングプロセスを提供する。このようにして、走査された容器は、特性のデータベースと比べられることができる。そして、標的液体は識別される。この種のライブラリにデータを読み込む方法は、以下にさらに詳細に記述する。
未知の収容された液体を含む試験下の対象物は、それから走査されてよい。例えば、可能な方法論において、第1の可動走査は、走査中にI値が定常値としてとられて、そして、透過される強度Iにおいて異常な傾向データにより異常が識別されるところで実行される。
可動走査は、第2の静的走査のための目的部位を識別する。そして静的走査では、より広範囲の分析が、物質識別の目的で実行される。各バンド(I/I)で、例えば少なくとも減衰が計算される。可能なさらなるアプローチにおいて、計算手段はまた、連続した強度データアイテム(例えば、データアイテムがエネルギーバンドc1〜c5に関してI1〜I5に収集されるところで、計算手段は、商I1/I2、I2/I3、I3/I4、I4/I5を評価する)間の比率を評価する。この種の商のこの計算は、考慮変数(例えば密度および厚み)から除去の原則において能力がある。そしてそれは、入射放射線エネルギーによって、したがってエネルギーに機能的に関連する数字表示器を提供することについて、そしてしたがって、上述のような関係に適合することによる一次エネルギー依存性変数(質量減衰係数)の指示によって、変化しない。
コンパレータ36は、ボトルの深さを通して発生されるデータを、データライブラリ37と比較する。データライブラリは、透過される強度の予期される減衰に関連するかまたは依存する、(例えば、物質の範囲に対する質量減衰定数、およびとりわけ特定の標的物質を含む、)同様の、または少なくとも数値的に見合う本質の、あらかじめ格納されたデータを含む。データライブラリは、別々の経路長のマルチプル置換に対する放射線源のスペクトル全体に亘る、知られた容器内の知られた組成の収容されている液体にとっての強度情報を含む。これは、手動でまたは自動的に対処されたライブラリでよい。データは、あらかじめロードされてよく、あるいは、知られた物質を有する装置のオペレーションによって、時間とともに生成されるかまたは付加されてよい。図4(図5まで続く)は、本発明の一般原理に従うこの種のデータライブラリの生成のための、ボトルスキャナ上のトップレベルデータ収集のための代表的なプロトコルである。図5は、図4に表されるボトルスキャンのためのプロトコルの継続を図示する。そこにおいて、データは、入射ビームに対するボトルの傾斜にとって修正されてよい。
この比較によって、推論は、透過パスにおいてありそうな材料内容物について抽出されてよい。これは、表示手段38上に表示されてよい。または、走査サイクルが後述するように完了するまで、ディスプレイは、好ましくは遅延することがありえる。
可能な実施形態において、ボトルは、静止位置において走査される。この種の静止走査は、1つの選択された位置で実施されることができる。または、それに代えて、静止走査に対する一連の位置が、選択されることができ、そして、一連のデータレコードが、物質のアイデンティティを識別するかまたは検査するためにとられて分析される。
一連の静止走査は、例えば、ボトルの内容物が層をなした組成を有するように見えるか、または、別々の組成を有する複数の領域であるように見える場合に、実施される。
静的走査の1つまたは複数の位置は、コンパレータに関連して自動化システムにより決定されることができ、またはテストをモニタするオペレータにより決定されることができる。
静止走査のための1つの位置は、ボトルの材質に対するX線ビームのバックグラウンド吸収を得るために、液体レベルより上のボトルの首において選択されるかもしれない。

Claims (21)

  1. 含有物質の組成の識別および検出のために有用な放射線データを得る方法であって:
    a)放射線源および放射線検出器システムを提供するステップであって、前記放射線検出器システムは、前記放射線源との間に走査ゾーンを定義するために当該放射線源から間隔を置いて配置され、そして、入射放射線について、分光学的に分解可能な情報を検出して、かつ収集することができる、ステップと;
    b)前記検出器システムでの放射線入射について、強度情報を収集するステップであって、容器との相互作用の後、そして容器を通って透過した後、前記検出器システムで受け止められる放射線からの入射放射線を有する走査ゾーンにおいて、知られた物質組成の、かつ知られた壁厚の、いかなる内容物も存在しない容器の相互作用、を収集するステップと;
    c)知られた物質組成の、かつ容器を通る知られた経路長の、容器に関する強度情報のデータセットを得るために、各々、知られた物質組成の、かつ知られた壁厚の、いかなる内容物も存在しない、複数の別々の容器について、ステップb)を繰り返すステップと;
    d)容器を通る経路長に関連して知られた物質組成の容器との相互作用の後、検出器システムで放射線入射について分光学的に分解可能な強度情報を記述する第1の解析関数を生成するために、複数の容器に関する数的関係を評価するステップと;
    e)知られた物質組成の、かつ容器および内容物を通る知られた経路長の、容器および内容物に関する強度情報のデータセットを得るために、知られた組成の含有物質を今は収容している同じ容器についてステップb)〜c)を繰り返すステップと;
    f)含有物質を通る知られた経路長に対する、知られた物質組成の含有物質に関する強度情報のデータセットを得るために、空の容器に対して生成された等価なデータからステップe)で生成されるデータをデコンヴォルーションするステップと;
    g)含有物質を通る経路長と関連して知られた組成の含有物質との相互作用の後、検出器システムで放射線入射について分光学的に分解可能な強度情報を記述する第2の解析関数を生成するために、知られた含有物質に関する数的関係を評価するステップと;
    を含む方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、ステップb)〜d)は、複数の組成を有する変化に富む壁厚の容器に対して繰り返される、方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、ステップe)〜g)は、複数の組成を有する内容物に対して繰り返される、方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、ステップe)で生成されるデータは、
    a)知られた物質組成の、かつ、知られた組成の含有物質を収容している容器の材料の表面に垂直の知られた厚みの、容器との相互作用の後、検出器システムで放射線入射について分光学的に分解可能な強度情報を記述する第3の解析関数を生成するために、知られた物質組成の含有物質を収容している複数の容器に関する数的関係を評価するステップと;
    b)前記第2の解析関数を提供するために、前記第1の解析関数を前記第3の解析関数から減算するステップと;
    において用いられる、方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、少なくとも前記第1および第2の解析関数は、別々の経路長のマルチプル置換のための、放射線源のスペクトル全体に亘る、検出器システムでの放射線入射について強度情報を記述するように発展される、方法。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載の方法であって、容器との相互作用の後の検出器システムでの放射線入射についての強度情報に関する解析関数、および、含有物質との相互作用の後の検出器システムでの放射線入射についてのデコンヴォルーションされた強度情報に関する解析関数は、別々の経路長のマルチプル置換のための、放射線源のスペクトル全体に亘る走査ゾーンを通過するにつれて、知られた組成の含有物質との相互作用の後、検出器システムで放射線入射について強度情報を記述する出力を発生するために組み合わされる、方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、前記容器の解析関数、および前記含有物質の解析関数は、別々の放射線経路長のマルチプル置換のさまざまな仮想の充填されたボトルでデータベースにデータを読み込むために組み合わされてよい、方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、容器および/またはその内容物との相互作用の後、検出器システムで放射線入射について強度情報を収集するステップは、容器および/またはその内容物を透過した放射線を少なくとも検出するステップを含む、方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、走査ステップ中に、走査ゾーンにおいて容器および/またはその内容物により、入射放射線の減衰を決定する特定のステップを含む、方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法であって、入射強度は、較正ステップを介して測定され、較正ステップにおいて、システムは、走査ゾーンにおいて対象物なしで作動され、検出器システムの放射線入射についての強度情報は、入射強度データセットを生成するのに用いられる、方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法であって、走査される対象物は、ボトル内の含有物質であり、前記ボトルは、ホルダに取り付けられて、垂直から5°〜30°の角度で平面を通って移動する、方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法であって、放射線ビームが、面に対して垂直から0°〜30°の間のずれた角度で対象物を通過するために配置されるように、走査される対象物は、放射線ビームと関連して向きを定められる、方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法であって、前記放射線源は、高エネルギー電離放射線を発生する放射線源を含む、方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法であって、前記放射線源ビームは、ペンシルビームを発生するためにコリメートされる、方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法であって、前記放射線ビームは、容器および/またはその内容物との相互作用の後、透過放射線が前記検出器まで通過することを許容するが、いかなる分散放射線も前記検出器に到達することを制限するためにコリメートされる、方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法であって、前記検出器システムは、放射線源スペクトルの少なくとも一部に亘り、分光学的に可変の応答を呈し、前記方法は、前記放射線源スペクトル全体に亘る複数の別々のエネルギーバンドで、分光学的に分解される強度情報を検索することを含む、方法。
  17. 請求項16に記載の方法であって、前記検出器は、直接材料特性として、線源放射線に直接可変的な光電応答を本質的に呈するように選択される、1または複数の半導体材料から製作される検出器エレメントを含む、方法。
  18. 請求項17に記載の方法であって、前記検出器は、II〜VI群の半導体材料を含むバルク単結晶として形成される1または複数の半導体材料を含む、方法。
  19. 請求項17または18に記載の方法であって、前記検出器は、テルル化カドミウム、カドミウム・テルル化亜鉛(CZT)、カドミウム・マンガン・テルル化合物(CMT)、およびそれらの合金から選択される半導体材料を含む、方法。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法であって、前記含有物質は液体である、方法。
  21. 含有物質の組成の識別および検出のための方法であって:
    前記解析関数を生成するために、隔離された含有物質に対する、および/または、知られた容器内の知られた組成の収容液体に対する、強度情報のデータライブラリを生成するために、請求項1〜20のいずれか1項に記載のステップを実行するステップと;
    検出器システムでの放射線入射について強度情報を収集するステップであって、そしてそれ故、未確認の含有物質との相互作用の後、および未確認の含有物質を通って透過の後、前記検出器システムで受け止められる放射線からの、未確認の含有物質の相互作用を収集するステップと;
    含有物質を識別するために、未確認の含有物質に対する測定強度データを、強度情報の前記データライブラリと比較することにより、前記解析関数を使用するステップと;
    を含む方法。
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