JP5700640B2 - 吸収性物品の表面シート - Google Patents

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Description

本発明は吸収性物品の表面シート及びその製造方法に関する。
従来、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の表面シートにおいて、平面方向又は/及び厚み方向における親水性領域の分布を調整することにより、低ウェットバックや肌への低い液残り等を図るものが知られている。
例えば、特許文献1には、肌当接面に親水化剤が施された親水性領域と該親水性領域に周囲を囲まれた多数の疎水性領域が形成される表面シートであって、該表面シートにおける親水性領域を有する部分は、非肌当接側の親水度が肌当接側の親水度より低い吸収性物品の表面シートが記載されている。
また特許文献2には、凹凸構造を有する繊維シートであって、凸部の頂部が疎水性であり、前記頂部を除く部分の親水性が、該頂部から底部へ向かって段階的又は連続的に高くなっている吸収性物品用の繊維シートが記載されている。
また、特許文献3には、その片面(肌当接面)が凹凸形状を有する単層構造の不織布であって、凹凸面において厚みの厚い部分の頂部は疎水性を有するとともに当該頂部から厚みの薄い部分又はその近傍部に向かって漸次親水度が高くなる不織布が記載されている。なお、特許文献3では後述する「加熱により表面の親水性が低下する繊維」を含むウエブに熱風処理を施すことによって上記不織布を形成する。
特開2010−094447号公報 特開2006−183168号公報 特開2010−168715号公報
特許文献1記載の表面シートでは非肌当接側の親水度が肌当接側の親水度より低く、非肌当接側で連続的な高親水度領域が形成されないとともに、厚み方向に貫通した高親水度領域も形成されていない。このため、肌当接側から非肌当接側への厚み方向の液移動性が弱く、多量排泄時にウェットバックや表面液残りが懸念される。
また、特許文献2の繊維シート及び特許文献3の不織布では、確かに凹凸構造によって、疎水性を有する凸部の頂点に付着した体液は凸部の頂点からより親水性の高い底部に移動しやすい。しかし肌に当接するのは疎水性を有する凸部の頂点であるため、小排泄時等において少量の液でも残さず肌当接側に取り込むことは難しい。また特許文献2及び特許文献3でも、厚み方向に貫通した高親水度領域については記載されていない。
従って、本発明の目的は、多量排泄時の低ウェットバックを実現するだけでなく、肌表面のわずかな液残りをも解消しうる吸収性物品の表面シートを提供することにある。
本発明は、加熱によって表面の親水性が低下する繊維を主体とした繊維集合体を用いて形成された厚みがほぼ一定な吸収性物品の表面シートであって、肌当接側及び非肌当接側それぞれは、親水度の高い部分と親水度の低い部分を有し、且つそれぞれの前記親水度の高い部分は平面方向に連続して形成され、それぞれの前記親水度の低い部分は前記親水度の高い部分で囲まれており、前記非肌当接側の平均親水度は、前記肌当接側の平均親水度よりも高く、前記親水度の高い部分が厚み方向に貫通している吸収性物品の表面シートを提供することにより前記目的を達成したものである。
また、本発明は、加熱によって表面の親水性が低下する繊維を含むウエブ又は不織布にマスキング材を介した熱風処理を施すことにより、上述した吸収性物品の表面シートを製造する方法を提供するものである。
本発明の吸収性物品の表面シート、及び本発明の製造方法によって製造される吸収性物品の表面シートは、多量排泄時の低ウェットバックを実現するだけでなく、肌表面のわずかな液残りをも解消しうる。
図1は、本実施形態の表面シートに熱風処理をする工程を示す模式立面図である。 図2は、図1の工程で本実施形態の高親水度領域パターンが形成される仕組みを示す模式図である。(a)は熱風処理で用いるマスキング材を示す平面図、(b)は図1を一部拡大して示す模式立面図である。 図3は、本実施形態の表面シートの親水分布を示す模式図である。(a)は表面シートの厚み方向に沿う断面図、(b)は非肌当接側を示す平面図、(c)は肌当接側を示す平面図である。 図4は、図3(a)を一部拡大した模式断面図である。 図5は、マスキング材による繊維集合体への圧力の影響を説明する模式断面図である。(a)は繊維集合体の表面にマスキング材が圧着する状態、(b)は繊維集合体からマスキング材を外した直後の状態、(c)はマスキング材の圧着による凹部が回復した状態を示す。 図6は、本実施形態の表面シートを用いた吸収性物品を示す模式図である。
以下、本発明に係る吸収性物品の表面シート及びその製造方法について、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る表面シート10は、加熱によって表面の親水性が低下する繊維を主体とした繊維集合体9を用いて形成された厚みがほぼ一定な吸収性物品100の表面シート10であって、肌当接側11及び非肌当接側12それぞれは、親水度の高い部分13(131,132)と親水度の低い部分14(141,142)を有する。肌当接側11の親水度の高い部分131及び非肌当接側12の親水度の高い部分132は、それぞれ平面方向に連続して形成される。一方、肌当接側11の親水度の低い部分141及び非肌当接側12の親水度の低い部分142はそれぞれ親水度の高い部分131,132で囲まれる。そして非肌当接側11の平均親水度は、肌当接側12の平均親水度よりも高く、親水度の高い部分13は厚み方向に貫通している。以下では親水度の高い部分を高親水度部分と略記し、親水度の低い部分を低親水度部分と略記する。
まず、図1及び図2に基づき、本実施形態の表面シート10の製造方法について説明する。
本実施形態の表面シート10は、加熱により表面の親水性が低下する繊維を主体とした繊維集合体9を熱風処理することにより形成される。
ここで「加熱により表面の親水性が低下する繊維」はポリエチレン樹脂からなる鞘部及び該ポリエチレン樹脂より融点が高い樹脂成分からなる芯部を有する芯鞘型複合繊維と、該芯鞘型複合繊維の表面に付着している親水化剤とを有してなり、特開2010−168715号公報(特許文献3)に記載されたものを用いる。
芯鞘型複合繊維の鞘部を構成するポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を使用できるが、密度が0.935〜0.965g/cm3である高密度ポリエチレンであることが好ましい。また、鞘部を構成する樹脂成分は、ポリエチレン樹脂単独であることが好ましいが、他の樹脂をブレンドすることもできる。ブレンドする他の樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等が挙げられる。但し、鞘部を構成する樹脂成分は、鞘部の樹脂成分中の50質量%以上が、特に70〜100質量%がポリエチレン樹脂であることが好ましい。
鞘部を構成するポリエチレン樹脂は、芯鞘型複合繊維に熱融着性を付与すると共に、熱処理時に後述する親水化剤を取り込む役割を担う。
鞘部を構成するポリエチレン樹脂は、繊維表面の親水度の変化を確実に生じさせる観点から、結晶子サイズが100〜200Åであることが好ましく、115〜180Åであることがより好ましい。結晶子サイズの上記上限値200Åは、引張強度や破断伸びなどの機械的物性の観点から定めたものである。結晶子サイズが200Å以内であれば、結晶の数が少なくならず、機械的物性が低下しない。結晶子サイズの測定方法は、特開2010−168715号公報(特許文献3)における記載と同様である。
芯部は、芯鞘型複合繊維に強度を付与する部分であり、芯部を構成する樹脂成分としては、ポリエチレン樹脂より融点が高い樹脂成分を特に制限なく用いることができる。芯部を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂を除く)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂等が挙げられる。更に、ポリ乳酸樹脂や、ポリアミド系重合体や前述した樹脂成分の2種以上の共重合体なども使用することができる。
これらの組み合わせのうち、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることが好ましい。複数種類の樹脂をブレンドして使用することもでき、その場合、芯部の融点は、融点が最も高い樹脂の融点とする。
また、芯部を構成する樹脂成分の融点と鞘部を構成する樹脂成分との融点の差(前者−後者)は、20℃以上であることが、不織布の製造が容易となることから好ましい。融点の差は150℃以内であることが好ましい。
前記芯鞘型複合繊維は、加熱によってその長さが伸びる繊維であることが好ましい。熱伸長性繊維としては、例えば加熱により樹脂の結晶状態が変化して自発的に伸びる繊維が挙げられる。熱伸長性繊維は、表面シート10中において、加熱によってその長さが伸長した状態、及び/又は、加熱によって伸長可能な状態で存在している。該熱伸長性繊維は特開2010−168715号公報(特許文献3)に記載されているものと同様である。
また熱風処理に供される繊維集合体9は、上記の「加熱により表面の親水性が低下する繊維」を含む、又は「加熱により表面の親水性が低下する繊維」からなるシート状の繊維集合体である。繊維集合体9の形態としては、例えば上述の「加熱により表面の親水性が低下する繊維」を主体にした繊維から形成された不織布が挙げられる。不織布は、一般的にウエブから形成されるから、該不織布として、上述の「加熱により表面の親水性が低下する繊維」を主体にした繊維から形成されたウエブを不織布化したものが挙げられる。
あるいは、繊維集合体9の形態は、「加熱により表面の親水性が低下する繊維」を主体にした繊維から形成され、未だ不織布化されていないウエブであってもよい。
「加熱により表面の親水性が低下する繊維」を主体とした繊維からウエブを得る方法としては、カード法、エアレイド法、スパンボンド法等の各種公知の方法を用いてよいが、カード法が望ましい。
またウエブを不織布化する方法としては、熱融着法、ニードルパンチ法、溶剤接着法、スパンボンド法、といった公知な方法を用いてよいが、本発明における効果を奏するために加熱工程を有しており、好ましくは不織布化工程において加熱する熱融着法が好ましい。
また「主体とした」とは、繊維集合体9のうち「加熱により表面の親水性が低下する繊維」が50〜100質量%であることを意味する。好ましくは「加熱により表面の親水性が低下する繊維」は繊維集合体9の70〜100質量%である。
ここで、「主体とした」とはあくまで熱風処理前の繊維集合体9における「加熱により表面の親水性が低下する繊維」の割合を示す記載である。
なお、繊維集合体9に含まれうる「加熱により表面の親水性が低下する繊維」以外の繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸等の単組成樹脂繊維、サイドバイサイド型繊維等の複合繊維及びセルロース繊維等が挙げられる。
なお、熱風処理に供される繊維集合体9には、エンボス加工による圧接着部が形成されていない。このため繊維集合体9に「加熱により表面の親水性が低下する繊維」として上記の熱伸長性繊維が含まれていた場合でも、熱風処理によって該熱伸長性繊維は繊維集合体9の平面方向に伸長できるため、繊維集合体9表面における凹凸の形成を抑制でき、後述のように厚みがほぼ一定な表面シート10が形成されうる。
図1のように、本実施形態では、繊維集合体9に対して熱風処理装置15を用いた熱風処理(エアースルー処理)がなされることにより表面シート10が製造される。
熱風処理装置15は、搬送装置17及び熱風吹き付け装置18を有する。
搬送装置17は上下一対のネットコンベア170、172を備える。上段のネットコンベア170とネットコンベア172との間で繊維集合体9を挟み込んで搬送方向(図1の矢印方向)に搬送する。ここで、下段のネットコンベア172は繊維集合体9の搬送機能を果たすため、そのベルトをコンベアネット173と呼ぶ。一方、上段のネットコンベア170は繊維集合体の搬送機能、及び熱風のマスキング機能を果たすため、そのベルトをマスキングネット171と呼ぶ。
熱風吹き付け装置18は、熱風16を下方に噴出するブロア181及びブロア181から噴出される熱風を吸引するサクションボックス182を有しており、ブロア181及びサクションボックス182は、繊維集合体9を挟み込んだ状態のマスキングネット171及びコンベアネット173の上下に対向配置される。そして、マスキングネット171及びコンベアネット173の間に挟みこまれて搬送される繊維集合体9に対し、ブロア181から熱風16が吹き付けられる。熱風16の温度は親水度の変化を確実に生じさせる観点から、繊維表面に露出している樹脂の融点より10℃低い温度以上、さらに好ましくは繊維表面に露出している樹脂の融点+5℃以上である。具体的には、鞘部に前記高密度ポリエチレン(融点126.5℃)を用い、芯部にポリプロピレン(融点165.4℃)を用いた場合は、116.5℃以上が好ましく、さらに好ましくは131.5℃以上であり、上限は芯部の樹脂の融点である165.4℃未満である。
図1のように、本実施形態の表面シート10の製造方法では、コンベアネット173(通気性を有する支持体)上に繊維集合体9を載せ、マスキングネット171(通気性がある部位とない部位が混在するマスキング材)を該繊維集合体9上に更に重ねてマスキングネット171を介して繊維集合体9に熱風16を吹き付ける。
ここでコンベアネット173の素材は金属製、樹脂性、ゴム製等、任意のものでよいが、一定の耐熱性と耐久性を有することが好ましい。コンベアネット173は、繊維集合体9内を通る熱風16を通す通気性を有するように、多孔性であることが好ましい。望ましくは、コンベアネット173の孔隙率は20〜55%、空隙の面積は1.5〜8mm2の範囲である。
また、本実施形態において、マスキングネット171の素材は金属製、樹脂性、ゴム製等、任意のものでよいが、一定の耐熱性と耐久性を有することが好ましい。
ただし、マスキングネット171は、表面シート10の平面方向に連続する親水度の高い部分13(以下、高親水度部分13と略記)を形成するための所定パターンを有するものであることが求められる。図2(a)に平面視したマスキングネット171を示す。本実施形態ではマスキングネット171は、格子状をしたマスキング部分201と、当該格子状のマスキング部分201に囲まれた多数の矩形の孔部202とを有する。矩形の孔部202は図2(a)のx方向及びy方向にそれぞれ多数並列している。なお、図2(a)のx方向は表面シート10の平面に沿う一方向であり、y方向はx方向と直交する方向である。
望ましくは、マスキングネット171の孔隙率は25〜70%、空隙(孔部202)の面積は1〜250mm2の範囲である。また隣接する孔部202間の距離(マスキング部201の帯状部分の幅)は、望ましくは2〜30mmの範囲である。少なくともマスキングネット171の空隙はコンベアネット173の空隙よりも大きいことが望ましい。
図2(b)は熱風処理中のマスキングネット171と繊維集合体9を一部拡大して示す図である。図2(b)ではマスキングネット171は断面円形をしているが、後述のように繊維集合体9の厚み方向に貫通した高親水度領域が形成されるならば、マスキングネット171の断面形状は楕円、三角形、四角形など、任意の形状でよい。
図2(b)に基づいて、熱風16が繊維集合体9内を通過する様子を詳述する。図2(b)のz方向は、繊維集合体9の表面に対して鉛直な方向であって繊維集合体9の厚み方向を示す。図2(b)のように、熱風16は繊維集合体9の厚み方向(z方向)に対しほぼ同方向に吹き出される。白抜きの矢印はマスキングネット171の孔部202を通る熱風16を示す。孔部202に対して上方から吹き付ける熱風16はそのまま繊維集合体9の厚み方向を直進する。一方、マスキング部201に対して上方から吹き付ける熱風16は、マスキング部201に遮られ、繊維集合体9におけるマスキング部201直下の部分を通れずに、マスキング部201の上側で平面方向に拡散したり、孔部202を通る熱風16と合流したりする。
上述のように、繊維集合体9は「加熱により表面の親水性が低下する繊維」を主体としているから、孔部202直下の熱風16の通過量が多い部分は熱風処理の前後で親水度が低下しやすい一方、マスキング部201直下の熱風16の通過量が少ない部分は熱風処理の前後で親水度が低下しにくい。このため、繊維集合体9における孔部202直下の熱風16の通過量が多い部分は親水度が低下し、親水度の比較的低い低親水度部分14となる(完成した表面シート10でも同様)。一方、繊維集合体9におけるマスキング部201の直下には、熱風16の通過量が少なく、親水度の比較的高い高親水度部分13が繊維集合体9の厚み方向に貫通するように形成される(完成した表面シート10でも同様)。図2(b)において斜線部分は上記高親水度部分13を示し、白抜き部分は上記低親水度部分14を示す(図3、図5、図6でも同様)。
細線の矢印のように、孔部16を通る熱風16は繊維集合体9の内部において、マスキングネット171側(図2(b)の上側)からコンベアネット173側(図2(b)の下側)に向かうにつれ、平面方向に拡散する。よってマスキング部201の直下部分でも、コンベアネット173側に向かうに従い熱風16の通過量は増えて、上述した高親水度部分13の平面方向面積はマスキングネット171側からコンベアネット173側に向かうにつれて徐々に縮小する(完成した表面シート10でも同様)。
以上の処理によって、本実施形態の表面シート10が製造される。
続いて、図3及び図4に基づき、繊維集合体9が上述の熱風処理を受けることにより形成される表面シート10について、特にその親水分布に重点をおいて説明する。ここで、親水分布とは、表面シート10における高親水度部分13及び低親水度部分14の分布を意味する。
上述した高親水度部分13及び低親水度部分14の定義を説明する。高親水度部分13は、低親水度部分14(熱処理により親水度を低下させた部分)との比較において、親水度が高ければ良い。低親水度部分14は、高親水度部分13との比較において、親水度が低ければ良い。親水度の低下は接触角の増大と同義である。但し、高親水度部分13は、繊維に対する水の接触角が55〜70度であることが好ましく、60〜70度であることがより好ましい。他方、低親水度部分14は、繊維に対する水の接触角が70〜90度であることが好ましく、70〜85度であることがより好ましい。ここでいう親水度が低下したとは、熱風処理の前後で接触角の差が、5度以上であることをいい、8度以上であることが好ましく、10度以上であることがさらに好ましい。なお、親水度を低下させる前の繊維集合体9の親水度は、繊維に対する水の接触角が55〜65度であることが好ましく、58〜65度であることがより好ましい。
また、親水度の高低は、接触角の小大と同義であり、親水度が高いということは、接触角が小さいことになる。本願では、親水度を接触角であらわすことにする。
また表面シート10の各表面と繊維集合体9の各表面との対応関係を説明すると、表面シート10の肌当接側11(図3(a)の下側)は、熱風処理を受けた繊維集合体9のコンベアネット173側であり、非肌当接側(吸収体側)12(図3(a)の上側)は、熱風処理を受ける繊維集合体9のマスキングネット171側である。
上述したが、図3(a)のように、本実施形態の表面シート10では、斜線で示す高親水度部分13が、表面シート10の厚み方向に貫通して形成される。ここで「厚み方向に貫通する」とは、高親水度部分13が、厚み方向に沿ってマスキングネット171側の表面からコンベアネット173側の表面まで連続するという意味である。
また厚み方向に貫通する高親水度部分13の平面方向面積は、肌当接側11(コンベアネット173側)よりも非肌当接側12(マスキングネット171側)で大きくなる。このため非肌当接側12の平均親水度は、肌当接側11の平均親水度よりも高い。
好ましくは、高親水度部分13の平面方向面積は肌当接側11から非肌当接側12に向かうにつれて増加している。
図4は図3(a)を一部拡大して示す模式立面図であり、表面シート10を厚み方向に貫通する高親水度部分13における親水勾配を白黒の濃さで示している。色が濃い部位ほど親水度が高く、薄いところほど親水度が低い。図4のように、表面シート10を厚み方向に貫通する高親水度部分13において、マスキングネット171と直接接触する部分がもっとも親水度が高い。そしてマスキングネット171との接触部分から平面方向に沿って、また厚み方向に沿って離間するにつれて、親水度が低下していく。
点Aは非肌当接側12(マスキングネット171側)においてマスキングネット171と接触する位置を示し、点Bは肌当接側11(コンベアネット173側)において該点Aと対向する位置を示し、点Cは非肌当接側12(マスキングネット171側)における孔部202の中央に対応する位置を示し、点Dは肌当接側11(コンベアネット173側)における点Cと対向する位置を示す。各位置の親水度は点A>点B>点D>点Cの順となる。
続いて図3(b)、(c)に基づき表面シート10の平面方向の親水分布を説明する。
図3(b)のように表面シート10に係る非肌当接側12は高親水度部分132と低親水度部分142を有する。同様に、図3(c)のように肌当接側11も、高親水度部分131と低親水度部分141を有する。
高親水度部分131は、厚み方向に貫通する高親水度部分13の肌当接側11における露出部分であり、高親水度部分132は、高親水度部分13の非肌当接側12における露出部分である。
肌当接側11の高親水度部分131及び、非肌当接側12の高親水度部分132はいずれも、上記マスキングネット171の平面形状に沿って平面方向に広がるように連続する。
図3において肌当接側11の高親水度部分131は、格子状に、x方向及びy方向に広がって分布する。同様に、非肌当接側12の高親水度部分132は、格子状にx方向及びy方向に広がって分布している。また肌当接側11の低親水度部分141及び非肌当接側12の低親水度部分142は、それぞれマスキングネット171の矩形状の孔部202に対応し、それぞれ高親水部分131、高親水度部分132に囲まれた閉鎖領域である。
図3(b)、(c)のように、非肌当接側12の高親水度部分132の幅(x方向に沿う帯状部分及びy方向に沿う帯状部分の幅)が、肌当接側11の高親水度部分131の幅(x方向に沿う帯状部分及びy方向に沿う帯状部分の幅)よりも大きくなっている。これは、上述のように、熱風処理によって高親水度部分13の平面方向面積がコンベアネット173側よりもマスキングネット171側で大きくなるためである。
また、熱風16の通過量が比較的少なかった非肌当接側11(マスキングネット171側)の繊維融着強度は比較的低く、熱風16の通過量の比較的多かった肌当接側12(コンベアネット173側)の繊維融着強度は比較的高くなる。表面シート10においては親水度が高い領域ほど繊維融着強度が低く、親水度が低い領域ほど繊維融着強度は高くなると考えられる。なお、本実施形態における繊維融着強度の測定方法は後述する。
上述したが、図3(a)のように、表面シート10の厚みは平面方向に渡ってほぼ一定であり、肌当接面110及び非肌当接面(吸収体側表面)120はほぼ平坦な平面である。「ほぼ一定」及び「ほぼ平坦」とは、肌当接面110及び非肌当接面120に全く凹凸がないことを意味するのではなく、表面シート10には、特開2006−183168号公報(特許文献2)、特開2010−168715号公報(特許文献3)等で記載されるエンボス加工による凹凸形状等をわざわざ賦形していないという意味である。
続いて図5に基づき、マスキングネット171が繊維集合体9を厚密化する影響を説明する。以下の説明は、繊維集合体9に含まれる「加熱により表面の親水性が低下する繊維」が上述の熱伸長性繊維であることを前提としている。
図1のようにマスキングネット171及びコンベアネット173が繊維集合体9を挟んで搬送する場合等では、図5(a)のようにマスキングネット171が繊維集合体9に食い込み、該マスキングネット171の直下部分において繊維集合体9が厚密化する。その厚密化の影響により、繊維集合体9におけるマスキングネット171下の部分には、より熱風16が通りにくいため、該マスキングネット171の直下部分の親水度はより高くなると同時に、加熱が弱いことによる熱伸長性繊維の低固定性と高捲縮性が維持される。
図5(a)のように、マスキングネット171により厚密化された繊維集合体9は、マスキングネット171から分離した直後では図5(b)のように、食い込み部分が凹部300を形成する。しかし、図5(c)のようにマスキングネット171から分離して所定時間(例えば5〜10分程度)が経過した繊維集合体9(表面シート10)では、当該凹部300は自然に平坦な状態に戻り、表面シート10の厚みはほぼ一定な状態となる。これはマスキングネット171下の熱伸長性繊維が低固定で、且つ高捲縮であるためである。
図6に基づいて上述した表面シート10を用いた吸収性物品100を説明する。吸収性物品100は例えば生理用ナプキンであって、図6のように表面シート10、裏面シート5及びこれら両シート10,5間に位置する吸収体3を備えている。
裏面シート5は液不透過性又は撥水性である。図示しないが裏面シート5の表面(吸収体3と反対側の面)には、吸収性物品100をショーツのクロッチ部に固定するための粘着部が形成されている。吸収体3及び裏面シート5としては、従来この種の物品に使用されているものを特に制限なく用いることができる。例えば、吸収体3としては、パルプ繊維等の親水性繊維からなる繊維集合体又はこれに吸水性ポリマーを担持させたものを、ティッシュペーパーや透水性の薄い不織布で被覆したもの等を用いることができ、裏面シート5としては、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。
図6に基づいて、表面シート10の親水分布の効果を説明する。
上述のように表面シート10は厚みがほぼ一定なため肌当接面110がほぼ平坦であり、且つ肌当接側11の高親水度部分131が平面方向に連続する。このため、肌当接側11の高親水度部分131が吸収性物品100の着用者の肌に接触して、体液がどの部分にあっても表面シート10内に引き込みやすい。よって少量排泄時等における少量の体液をも漏れなく肌当接側11に取り込める。
また高親水度部分13が表面シート10の厚み方向に貫通するため、肌当接側11から非肌当接側12、すなわち吸収体3へ素早く体液を受け渡すことができて多量の体液排出にも素早く対応できる。
また非肌当接側12の平均親水度が肌当接側11の平均親水度よりも大きく、且つ非肌当接側12の高親水度部分132が平面方向に連続していることによって、非肌当接側12での液拡散性を高めて吸収体3へ体液を更に受け渡しやすく、多量排泄時での低ウェットバックを実現できる。肌当接側11が液を保持しにくいので肌かぶれ防止にもつながる。
更に肌当接側11の低親水度部分141が高親水度部分131に囲まれた閉鎖領域であるため、低親水度部分141上における液流れの距離を低減できる。
また、肌当接側11から非肌当接側12に向かうにつれて、高親水度部分13の平面方向の面積が増加するので、肌当接側11から非肌当接側12、すなわち吸収体3への液の拡散が更にスムーズに行われる。
また、肌当接側11(コンベアネット173側)の繊維融着強度が比較的高いことにより、肌当接側11の毛羽立ちを抑制できて表面シート10の肌触りをよくすると共に、非肌当接側12の繊維融着強度が比較的低いことによって非肌当接側12を柔らかく構成でき、表面シート10全体の高柔軟性が保持でき、使用感がよい。
また、本実施形態に係る表面シートの製造方法では、ウエブや不織布等の繊維集合体を形成し、それにマスキング材を重ねながら熱風処理を施すことにより、複雑な装置を要することなく上記の効果を有する表面シート10を製造することができる。
以上、本発明の表面シートをその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されない。
例えば、実施形態では、本発明の「通気性を有する支持体」をコンベアネット173としたが、通気性及び支持性を有するものであれば、これに限られず、例えば多孔板や多孔網で形成される回転ドラムの周面等であってもよい。
また、実施形態において、マスキングネット171を本発明の「通気性がある部位とない部位が混在するマスキング材」としたが、本発明のマスキング材は網体に限られず、繊維集合体9上に積層できて通気性がある部分とない部分が混在するものであれば、複数の空隙を有する板材やシート材等であってもよい。
また、マスキング材の平面パターンは、上記の格子状に限られず、マスキング部分が平面方向に連続すると共に、マスキング部分に囲まれる孔部を有していればよい。例えばマスキング部分は菱形格子状、曲線が交差する形状、スパイラル状等でもよい。孔部の形状は円形、楕円形、三角、四角形、五角形、六角形、ハート型等の任意の形状でよく、孔部は表面シート全体に均一に分布していても、所定の箇所に多く、所定の箇所に少なくしてもよい。
また、本発明の表面シートに係る吸収性物品は、生理用ナプキン以外の吸収性物品としては、パンティライナー(下り物シート)、失禁パッド、使い捨ておむつ、ハイジーンパッド、授乳パッド等であってもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
表1に示す、熱で表面の親水性が低下する複合繊維を原料として用い、カード機を用いてウエブを形成した。表1に示す条件下に、得られたウエブに、図1に示す熱風処理装置15を用いて熱風処理を施すことにより、不織布を製造した。熱風処理の時間は4.3秒であった。なお、マスキング材は、図2(a)に示すマスキング材と同様の平面視形状をしており、厚さ0.2mmのシートを、マスキング部201の幅が10mm、各孔部202の大きさが10mmの正方形になるように加工したものとした。
なお、原料として用いた複合繊維は、親水化剤としてアルキルリン酸エステルカリウム塩およびポリオキシエチレン(2mol)アルキルアミドを含む。
なお、「繊維単独の加熱後の親水度」及び「繊維単独の加熱前の親水度」の接触角の測定は下記の通りである。単独繊維の加熱処理は、原料の複合繊維を35mmに裁断したものを、熱風温度136.0℃、熱風風速0.4m/sec、処理時間30secで熱風処理した。
〔実施例2〕
マスキング材について、厚さ0.2mmのシートを、マスキング部201の幅が15mm、各孔部202の大きさが5mmの正方形になるように加工したものとした以外、実施例1と同様にして不織布を製造した。
〔実施例3〕
熱で表面の親水性が低下する複合繊維について表1に示すものを原料とした以外、実施例1と同様にして不織布を製造した。
〔実施例4〕
熱で表面の親水性が低下する複合繊維維について表1に示すものを原料とし、マスキング材を実施例2と同じものを使用した以外、実施例1と同様にして不織布を製造した。
〔比較例1〕
マスキング材を用いなかった以外は、実施例1と同様にして不織布を製造した。
〔比較例2〕
マスキング材を使用しなかった以外は、実施例4と同様にして不織布を製造した。
〔比較例3〕
マスキング材の開孔面積を0.25mm2、隣接する孔部202の距離を1.1mmとした以外は、実施例1と同様にして不織布を製造した。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた不織布(表面シート)について、後述する方法により、肌当接側及び非肌当接側それぞれにおける低親水度部分の親水度、高親水度部分の親水度、及び平均親水度を求めた。また後述する方法により、肌当接側及び非肌当接側それぞれにおける毛羽抜け量も測定した。更に、後述する方法により、馬脱繊維血の吸収速度、馬脱繊維血の液残り量も測定した。後述する方法により、柔らかさ及びザラツキの官能評価も行った。それらの結果を表1に示した。
〔接触角の測定方法〕
繊維に対する水の接触角は次の方法で測定される。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角測定には、蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析や画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に、画像が録画される。録画された映像において、繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、接触角とする。
なお、測定用サンプル(表面シートから取り出して得られる単繊維)は、肌当接側11、非肌当接側12、厚み方向中間点にそれぞれ位置する繊維を繊維長1mmで裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持し、該繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。前述の各部位において、N=5本の接触角を小数点以下第1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を各位置の接触角と定義する。
また、肌当接側11の平均親水度及び非肌当接側12の平均親水度は、それぞれ各側における10箇所計測時の平均値(小数点以下第1桁で四捨五入)によって定義する。当該10箇所の内訳は、肌当接面11および非肌当接面12からそれぞれランダムに異なる10箇所を採取する。
マスキングによって低親水部分と高親水部分が生じているかを確かめる手段としては、肌当接面と非肌当接面のそれぞれにおいて、マスキング部201の直下に相当する部分で任意の10箇所、孔部202中心の直下に相当する部分で10箇所の親水度を測定する。
〔繊維融着強度の測定方法〕
繊維融着強度を以下に示す毛羽抜け量で定義する。毛羽抜け量が多いと繊維融着強度が低く、毛羽抜け量が少ないと繊維融着強度が高いとする。
〔毛羽抜け量の測定方法〕
ウレタンフォーム(ブリジストン(株)製ウレタンフォーム モルトプレンMF30、厚さ5mm)で表面を覆った円盤(直径70mm、350g)を、回転軸に取り付ける。取り付け位置は円盤中心から20mmずれた位置とする。測定される不織布の下面に、上記と同じウレタンフォームを敷く。次いで、不織布を台上に固定する。不織布の上に前記円盤を載せる。このとき、不織布に加わる荷重は円盤の自重のみとする。この状態下、回転軸を回転させて、円盤を不織布上で周動させる。周動は時計周りに2回転、反時計周りに2回転を1セットとして、10セット行う。このときの周動速度は1周動あたり約3秒である。10セットの周動後、円盤を覆っているウレタンフォームの表面に付着した毛羽抜けした繊維を集める。この操作をn=20枚の不織布について行い、毛羽抜けした繊維の合計重量を測定し、不織布1枚につき毛羽抜けした繊維の重量に換算(合計重量を20で割った値に)する。この値を毛羽抜け量とする。毛羽抜け量が1mg未満の場合を◎、1mg以上10mg未満の場合を○、10mg以上を△とする。
〔柔らかさおよびザラツキ〕
不織布を平らな台の上に肌当接面が上になるようにおき、手のひらでの触感で、以下の3段階の基準により判定した。結果は、10人のモニターを対象として実施し、その平均で示した。
判定基準
3:柔らかくてザラツキは無い、2:ザラツキがやや有る、1:硬くてザラツキが有る
評価結果
○:判定平均2.5以上、3以下
△:判定平均1.7以上、2.5未満
×:判定平均1以上、1.5未満
〔脱繊維馬血の吸収速度〕
花王株式会社の市販の生理用ナプキン(商品名「ロリエさらさらクッション肌きれい吸収」)から表面シートを取り除き、その代わりに、実施例及び比較例の各不織布を積層し、その周囲を固定して評価用の生理用ナプキンを得た。
前記生理用ナプキンの表面上に、内径1cmの透過孔を有するアクリル板を重ねて、該ナプキンに1.1g/cm2の一定荷重を掛ける。斯かる荷重下において、該アクリル板の透過孔から脱繊維馬血3.0gを一気に流し込む。このときストップウォッチを用いて、脱繊維馬血を流し込んだ直後から、透過孔から脱繊維馬血が無くなるまでの時間を測定し、これを吸収時間とする。このとき吸収時間が2秒未満の場合を◎、2秒以上5秒未満を○、5秒以上10秒未満を△、10秒以上を×とする。
〔脱繊維馬血の液残り量〕
花王株式会社の市販の生理用ナプキン(商品名「ロリエさらさらクッション肌きれい吸収」)から表面シートを取り除き、その代わりに、実施例及び比較例の各不織布を積層し、その周囲を固定して評価用の生理用ナプキンを得た。
前記生理用ナプキンの表面上に、内径1cmの透過孔を有するアクリル板を重ねて、該ナプキンに1.1g/cm2の一定荷重を掛ける。斯かる荷重下において、該アクリル板の透過孔から脱繊維馬血3.0gを流し込む。前記馬血を流し込んでから60秒後にアクリル板を取り除き、次いで、該不織布の重量(W2)を測定し、予め測定しておいた、馬血を流し込む前の不織布の重量(W1)との差(W2−W1)を算出する。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液残り量(mg)とする。この値は少ない程、良い結果である。このとき、3回の平均値が40mg未満の場合を◎、40mg以上60mg未満を○、60mg以上100mg未満を△、100mg以上を×とする。
Figure 0005700640
表1に示す結果から、実施例1〜4に示す不織布(表面シート)では、肌当接側及び非肌当接側それぞれは、親水度の高い部分と親水度の低い部分を有し、非肌当接側の平均親水度は、肌当接側の平均親水度よりも高いことがわかる。またマスキング部201の直下に相当する部分において非肌当接側だけでなく肌当接側でも親水度が高いことから、該マスキング部201の直下に相当する部分において親水度が高い部分が貫通していることが分かる。更にマスキング材の形状から、肌当接側及び非肌当接側において親水度が高い部分が平面方向に連続していると解釈できる。一方、マスキング材を用いなかった比較例1、2の表面シートでは、肌当接側と非肌当接側の平均親水度が同程度である。比較例3の表面シートにおいても、低親水度部分が十分に形成されていない。
そして、実施例の表面シートでは、馬脱繊維血の吸収速度が比較例の表面シートよりも大きく、また液残り量が比較例の表面シートよりも少ない。よって、実施例の表面シートでは、比較例の表面シートよりも、体液を表面シート内に引き込みやすく、また吸収体への液の拡散がスムーズに行われることが分かる。
また、実施例1〜4の表面シートでは、いずれも肌当接側の繊維融着強度が非肌当接側よりも高かった。実施例の表面シートでは非肌当接側の繊維融着強度が、比較例1、2の表面シートよりも低く、比較例1,2の表面シートよりも非肌当接側を柔らかく構成でき、表面シート全体の高柔軟性が保持できることが分かる。このことは、柔らかさ及びザラツキに関する官能試験によっても裏付けられる。
3 吸収体
9 繊維集合体
10 表面シート
11 肌当接側
12 非肌当接側
13 高親水度部分
131 肌当接側の高親水度部分
132 非肌当接側の高親水度部分
14 低親水度部分
141 肌当接側の低親水度部分
142 非肌当接側の低親水度部分
15 熱風処理装置
16 熱風
17 搬送装置
171 マスキングネット
173 コンベアネット
100 吸収性物品

Claims (4)

  1. 加熱によって表面の親水性が低下する繊維を主体とした繊維集合体を用いて形成された厚みがほぼ一定な吸収性物品の表面シートであって、
    肌当接側及び非肌当接側それぞれは、親水度の高い部分と親水度の低い部分を有し、且つそれぞれの前記親水度の高い部分は平面方向に連続して形成され、それぞれの前記親水度の低い部分は前記親水度の高い部分で囲まれており、
    前記非肌当接側の平均親水度は、前記肌当接側の平均親水度よりも高く、
    前記親水度の高い部分が厚み方向に貫通しており、
    前記肌当接側から前記非肌当接側に向かうにつれて、前記親水度の高い部分の平面方向の面積が増加する、吸収性物品の表面シート。
  2. 肌当接面の繊維融着強度は、非肌当接面における繊維融着強度よりも高い、請求項1に記載の吸収性物品の表面シート。
  3. 請求項1又は2に記載の表面シートの製造方法であって、通気性を有する支持体上に前記繊維集合体を載せ、通気性がある部位とない部位が混在するマスキング材を該繊維集合体上に更に重ねて該マスキング材を介して該繊維集合体に熱風を吹き付ける、表面シートの製造方法。
  4. 吸収性物品の表面シートの製造方法であって、
    前記表面シートは、加熱によって表面の親水性が低下する繊維を主体とした繊維集合体を用いて形成され、厚みがほぼ一定であり、
    肌当接側及び非肌当接側それぞれは、親水度の高い部分と親水度の低い部分を有し、且つそれぞれの前記親水度の高い部分は平面方向に連続して形成され、それぞれの前記親水度の低い部分は前記親水度の高い部分で囲まれており、
    前記非肌当接側の平均親水度は、前記肌当接側の平均親水度よりも高く、
    前記親水度の高い部分が厚み方向に貫通しており、
    通気性を有する支持体上に前記繊維集合体を載せ、通気性がある部位とない部位が混在するマスキング材を該繊維集合体上に更に重ねて該マスキング材を介して該繊維集合体に熱風を吹き付ける、表面シートの製造方法。
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