JP5695903B2 - Sap枯渇剤と抗sap抗体の組合せ - Google Patents

Sap枯渇剤と抗sap抗体の組合せ Download PDF

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Description

参照による組込み
本出願は、2007年6月27日に出願した英国特許出願第0712503.2号の優先権を主張するものである。
前記の出願、並びに該出願で又はそれらの審査(prosecution)中に引用されているすべての文献(「出願引用文献」)及び該出願引用文献で引用又は参照されているすべての文献、並びに本明細書で引用又は参照されているすべての文献(「本明細書引用文献」)、及び本明細書引用文献で引用又は参照されているすべての文献、並びに本明細書で又は本明細書に参照により組み込まれている文献で言及されている製品に関するあらゆる製造業者の指示書、説明書、製品仕様書、及び製品シートは、参照により本明細書に組み込まれており、本発明の実施において用いることができる。
発明の分野
本発明は、一般的に、アミロイド沈着を伴う疾患の治療及び/又は予防に関する。特に、本発明は、アミロイドーシスの治療に関する。
アミロイドーシスは、アミロイド線維として知られている異常な不溶性タンパク質線維の組織における蓄積によって引き起こされる重篤で、通常は致命的な疾患である1。これらは、疾患の異なる形態において異なるタンパク質に由来するが、すべてのアミロイド線維が共通の交差βコア構造を有し、すべてが通常可溶性の前駆体タンパク質のミスフォールディングによってもたらされる1
アミロイド線維自体に加えて、アミロイド沈着物は、一部が線維に強固に結合しているプロテオグリカンに常に富んでいる2。正常な非原線維性血漿タンパク質である、血清アミロイドP成分(SAP)も、すべての種類のアミロイド線維へのその強力な特異的カルシウム依存性結合によりアミロイド沈着物に常に存在する3,4
ヒトSAPは、約20〜40mg/lの濃度の血漿中の構成タンパク質であり5、正常人とアミロイドーシス以外の疾患を有する患者の血漿及び血管外コンパートメントを合わせて合計約50〜100mgのSAPが存在する6。対照的に、アミロイドーシスを有する患者においては、SAPもアミロイド沈着物に特異的に濃縮されており、広範な全身性アミドロイドーシスを有する患者ではアミドロイド中に20,000mgと多くのSAPが存在することがある7
アミロイド沈着物は、細胞外に存在し、構造を損傷し、それにより、それらが占有しているどのような組織の機能も損なうに至るまでの漸進的な蓄積により疾患をもたらす1。組織に局所的に認められる、又は炎症の全身性マーカーにより示唆される、アミロイド沈着物に対する非常にまれな炎症若しくは「異物」反応が存在する。いわゆる全身性アミドロイドーシスにおいては、沈着物は体内のあらゆる組織若しくは臓器に存在し得るが、沈着物はこれらの形の疾患における脳物質内には全く認められない。全身性アミドロイドーシスは、先進国における全死亡1000例当たり約1例の原因であり、アミロイド線維の前駆体であるタンパク質の存在量を十分且つ一貫して減少させることができない限り、常に致命的である。これは、多くの形のアミドロイドーシスにおいて達成することが困難であり、不可能である可能性があり、したがって、まだ対処がなされていない重大な医療上の必要が存在する1,8。沈着が単一の解剖学的部位又は単一の組織若しくは器官系に限られている、限局性アミドロイドーシスも起こり、重篤な疾患を引き起こし得る1,8
アミドロイドーシスにおいて、臨床的疾患につながる組織及び器官の構造及び機能の損傷・障害は、アミドロイド沈着物自体の漸進的蓄積によって明確に引き起こされる。しかし、アミロイド沈着物が常に存在する他の状態、最も重要なことに、疾患、特にそれぞれ認知及び膵島機能の喪失の病因へのアミロイド沈着の寄与が知られていないアルツハイマー病及び2型糖尿病が存在する1。しかし、体内の他のどの部位におけるアミロイド沈着物も明白に病原性であり、アルツハイマー病の脳アミロイド沈着物及び2型糖尿病の島アミロイド沈着物も有害であるということはあり得ることである。全身性及び限局性アミロイドーシスにおけるアミロイド沈着物を除去する処置は確かに治療に役立つものである1ので、アルツハイマー病及び2型糖尿病におけるアミロイド沈着物の除去も臨床的に有益であるはずである。
全身性アミロイドAタンパク質(AA)アミロイドーシスは、アミロイド線維を含み、アミロイド増強因子として知られているアミロイド性組織の抽出物の静脈内注射後の慢性炎症によりマウスにおいて容易に誘導される9。このモデルは、脾臓及び肝臓における多量のアミロイドの沈着によるヒトAAアミロイドーシスと極めてよく類似している10。例えば、本明細書で述べる実験で用いたようにアミロイド誘導の期間は比較的短いので、他の部位ではアミロイドの沈着は非常にわずかである。アミロイド線維を形成するAAタンパク質は、循環前駆体であり、急性期タンパク質である血清アミロイドAタンパク質(SAA)に由来する。SAAの血漿濃度は、ほぼあらゆる形の炎症及び組織損傷に応じて5mg/l未満のその正常微量値から急激に上昇し、持続的刺激に直面して1000mg/lまで、又はより高い値を持続することができる。このようなSAAの生成の増加は、AAアミロイドーシスの発現の必要な前提条件であり、ヒト及びマウスにおいて、SAA濃度が正常に低下するとき、アミロイドの沈着は止まり、既存のアミロイド沈着は退縮することがある10-12。持続的なSAA生成がない場合には、AAアミロイド沈着物の自然退縮はマウスモデルにおいて普遍的である11が、治療実験の設計において適切に適合させなければならない可変的な速度で進行する。
欧州特許出願第0915088号は、アミロイド線維へのSAPの結合の競合的阻害剤である化合物、並びにそれらを製造する方法を開示している。欧州特許出願第0915088号に開示されている好ましい化合物は、(R)-1-[6-[(R)-2-カルボキシピロリジン-1-イル]-6-オキソヘキサノイル]ピロリジン-2-カルボン酸(CPHPC)であるが、その中に記載されている化合物のいずれか、あるいは循環SAPを枯渇させるあらゆる他の化合物を本発明の実施において用いることができる。参照により本明細書に組み込まれている、国際特許出願WO2004/099173号も本発明の実施において用いることもできると思われるパリンドローム化合物を記載している。
ヒトSAPトランスジェニックマウスにおいて、ヒトSAPは、循環及びアミロイド沈着物中に存在する。薬物(R)-1-[6-[(R)-2-カルボキシピロリジン-1-イル]-6-オキソヘキサノイル]ピロリジン-2-カルボン酸(CPHPC)は、二つの天然五量体SAP分子及び五つのCPHPC分子からなる複合体においてヒトSAPと特異的に結合している16。この複合体は、肝臓により異常と認識され、肝細胞により非常に速やかに吸収され、分解され、それにより、SAPが循環から効率よく除去される16。該薬物が投与されている限り、血漿SAP濃度は非常に低いままである16。CPHPCは極めて忍容性が良好であり、該薬物自体もそれがもたらすSAPの枯渇も有害な影響をもたらさない16。主に腎アミロイドーシスを有する患者の特に腎機能の保護に関して、ヒト全身性アミロイドーシス患者におけるCPHPC療法からの臨床的有益性の証拠がある。
しかし、CPHPCに関するこれらの有望な所見にもかかわらず、全身性アミロイドーシス患者における臓器機能を保護し、寿命を長くすることができる迅速且つ最適な治療効果を得るには、アミロイド沈着物の実質的又は完全なクリアランスが必要であろう。
国際特許出願WO04/059318号は、SAPに結合する組成物の提供を含む、線維細胞の形成を促進すると主張されている方法を記載している。そのような組成物は、抗SAP抗体及びCPHPCを含む。しかし、WO04/059318号は、アミロイド沈着物に伴う疾患の治療を記載していない。さらに、WO04/059318号は、抗SAP抗体とCPHPCの特定の組合せを記載していない。さらに、最近のデータは、SAPが線維細胞の阻害に関連しておらず、したがって、SAPの枯渇は線維細胞の生成を促進しないことを示している20
したがって、当技術分野において臓器の機能を保護し、寿命を長くするために全身性アミロイドーシスを有する患者における治療有効性の改善の必要がある。
本出願におけるすべての文献の引用又は特定は、そのような文献が本発明の先行技術として利用可能であることを承認するものではない。
本発明は、ヒトSAPを循環から効果的に枯渇させる化合物で治療し、さらにSAPに特異的な抗体で治療することによって、これを今や達成することができるという驚くべき所見に少なくとも一部は基づいている。
したがって、第1の態様において、血清アミロイドP成分(SAP)を循環から枯渇させる化合物をSAPに特異的な抗体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
好ましくは、SAPを循環から枯渇させる化合物は、SAP架橋剤である。循環中の複数のSAP分子を架橋することができる化合物は、SAPを循環から速やかに除去させることが発見されている。WO03/013508号参照。そのような化合物の例としては、SAPに特異的な多価リガンド、例えば、SAP結合の多価競合阻害剤などがある。アミロイドに対するSAPの結合の競合阻害剤は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、例えば欧州特許第0915088号に示されており、これらの阻害剤、及びSAPを循環から枯渇させるための他の分子の使用は、例えば、また全体として参照により組み込まれているWO03/013508号及びPepysら16に記載されている。参照により本明細書に組み込まれている、国際特許出願WO2004/099173号も本発明の実施に使用することもできると思われるパリンドローム化合物を記載している。あるいは、循環SAPの枯渇をもたらすあらゆる化合物を本発明の実施に使用することもできる。
好ましい実施形態において、SAPを循環から枯渇させる化合物はD-プロリンであり、以下の式のD-プロリン:
Figure 0005695903
[式中、
Rは、
Figure 0005695903
であり、基
R1は、水素又はハロゲンであり、
X-Y-X'は、少なくとも4個、有利には少なくとも5個、有利には少なくとも6個、20個までの線状又は直鎖炭素原子を有するリンカーであり、
Xは、-(CH2)n-、-CH(R2)(CH2)n-、CH2O(CH2)n-、CH2NH-、ベンジル、-C(R2)=CH-、-CH2CH(OH)-又はチアゾール-2,5-ジイルであり、
Yは、-S-S-、-(CH2)n-、-O-、-NH-、-N(R2)-、-CH=CH-、-NHC(O)NH-、-N(R2)C(O)N(R2)-、-N[CH2C6H3(OCH3)2]-、-N(CH2C6H5)-、-N(CH2C6H5)C(O)N(CH2C6H5)-、-N(アルコキシアルキル)-、N(シクロアルキルメチル)-、2,6-ピリジル、2,5-フラニル、2,5-チエニル、1,2-シクロヘキシル、1,3-シクロヘキシル、1,4-シクロヘキシル、1,2-ナフチル、1,4-ナフチル、1,5-ナフチル、1,6-ナフチル、ビフェニレン又は1,2-フェニレン、1,3-フェニレン及び1,4-フェニレンであり、フェニレン基は、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシ、-COO-低級アルキル、ニトリロ、5-テトラゾール、(2-カルボン酸ピロリジン-1-イル)-2-オキソエトキシ、N-ヒドロキシカルバミミドイル、5-オキソ[1,2,4]オキサジアゾリル、2-オキソ[1,2,3,5]オキサチアジアゾリル、5-チオキソ[1,2,4]オキサジアゾリル及び5-tert-ブチルスルファニル-[1,2,4]オキサジアゾリルから選択される1〜4個の置換基で場合によって置換されていてもよく、
X'は、-(CH2)n-、-(CH2)nCH(R2)-、-(CH2)nOCH2-、-NHCH2-、ベンジル、-CH=C(R2)-、CH(OH)CH2又はチアゾール-2,5-ジイルであり、
R2は、低級アルキル、低級アルコキシ又はベンジルであり、
nは0〜3である。]
あるいは薬学的に許容できるその塩又はモノ若しくはジエステルが好ましい。上記の好ましい実施形態を含む、SAPを循環から枯渇させる化合物は、本明細書中以下SAP枯渇化合物と呼ぶ。
一つの実施形態において、上の式I-AのD-プロリンは、リガンド−リンカー−リガンドと記載することもでき、式I-AのX-Y-X'部分がリンカーを形成している。リンカー(X-Y-X')が、4〜15個の線状炭素原子、5〜10個の線状炭素原子及び6〜8個の線状炭素原子の長さを含む、4〜20個の線状炭素原子の長さであり得ることは、本発明の範囲内である。リンカーは、直鎖又は分枝鎖であっても、あるいは一つ又は複数の環構造を場合によって形成していてよく、ただし、少なくとも4個の線状又は直鎖炭素原子がリンカーに存在する。一つの実施形態において、線状又は直鎖C原子の少なくとも1個は、N、O又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、有利にはO又はS、好ましくはOで場合によって置換されていてよい。
一つの実施形態において、D-プロリンは、(R)-1-[6-[(R)-2-カルボキシピロリジン-1-イル]-6-オキソヘキサノイル]ピロリジン-2-カルボン酸(CPHPC)である。
好ましくは、組成物は、エタノールアミン及び/又はホスホエタノールアミン及び/又はβ-Dガラクトピラノースの4,6-ピルビン酸アセチル及び/又はカルシウム及び/又はIL-4及び/又はIL-3を含まない。
好ましくは、組成物は、線維細胞の形成の促進を適応としない。有利には、組成物は、線維細胞の形成を促進しない。好ましくは、SAPに特異的な前記抗体は、単球からの線維細胞の形成の阻害に機能しうると考えられるSAPの部分を標的にしない。
さらなる実施形態において、医薬組成物は、アミロイド疾患の治療における使用を適応とし、したがって、アミロイド疾患の治療に使用するための、SAP枯渇化合物及びSAPに特異的な抗体を含む医薬組成物を提供する。
アミロイド疾患は、本明細書で言及したように、組織中のアミロイド線維の細胞外沈着に関連する任意の疾患であり得る。例えば、アミロイド疾患は、全身性(内臓)又は限局性アミロイドーシスのいずれかの形、2型糖尿病及びアルツハイマー病からなる群から選択される疾患である。
好ましい実施形態において、SAPはヒトSAPであり、抗SAP抗体及びSAP枯渇化合物への言及は、好ましくはヒトSAPを標的とし、且つ/又は枯渇させる化合物への言及である。
さらなる態様において、アミロイド疾患の治療又は予防用の組成物の製造における、SAPに特異的な抗体と組み合わせたSAP枯渇化合物の使用を提供する。
本明細書で定義したSAP枯渇化合物による治療により、ほぼすべての循環ヒトSAPが除去されるが、組織中のアミロイド沈着物と結合しているSAPは相当量残る。ヒト患者において認められたアミロイド沈着物からのSAPの最大の枯渇は、何カ月ものCPHPCの連続投与後の約90%である。ヒトSAPに対する抗体を循環SAPが枯渇した患者に静脈内注入することにより、抗体がアミロイド沈着物に特異的に位置して、結合し、それらの迅速且つ広範な退縮を促進し、対応する臨床的有益性を得ることができる。
SAP枯渇化合物及び抗SAP抗体を用いた確立された全身性アミロイド沈着物を有する患者の併用療法により、沈着物の迅速且つ本質的に完全なクリアランスが安全且つ効果的にもたらされる。本発明者の知る限りでは、確立されたアミロイド沈着物のそのような意図的、迅速且つ標的化クリアランスは、患者又は動物モデルにおいて、あるいは他の方法により以前には全く達成されなかった。
有利なことに、SAPが、アミロイドーシス、アルツハイマー病及び2型糖尿病を含む、アミロイド沈着に関連するヒト疾患におけるすべての種類のすべてのアミロイド沈着物中に存在するので、治療へのこの手法は、そのようなすべての状態に適用できる。好ましくは、本発明は、アミロイドーシス治療用のものである。
さらなる態様において、アミロイド疾患に罹患している、又はアミロイド疾患の危険がある対象を治療する方法であって、それを必要とする対象に、SAP枯渇化合物及びSAPに特異的な抗体を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
SAP枯渇化合物及び抗体は、例えば、別個に若しくは混合物で同時に、又は連続的に投与することができる。一つの実施形態において、治療レジメンは、SAP枯渇化合物のみを投与した後、抗体を投与することを含む。場合によって、SAP枯渇化合物の投与を抗体の投与中に継続することができる。
第3の態様において、SAP枯渇化合物及びSAPに特異的な抗体を含む、アミロイドーシスの治療に使用するためのキットを提供する。キットの成分は、同時、同時個別若しくは逐次投与、又はその組合せのために提供することができる。
好ましい実施形態において、SAP枯渇化合物を抗SAP抗体の前に投与するように、SAP枯渇化合物及び抗SAP抗体を連続的に投与する。投与は、注入、反復ボーラス投与又は他の方法により長時間にわたって行うことができ、あるいは、SAP枯渇化合物及び/又は抗体を1回のみ投与する単回投与を用いることができる。
特定の実施形態において、SAP枯渇化合物は長期間にわたって投与するが、抗体は単回投与する。
第4の態様において、アミロイドーシスの治療用のSAP枯渇化合物と組み合わせて使用することができる物質を同定する方法であって、(a)全身性AAアミロイドーシスを誘発したヒトSAPのトランスジェニック発現を有する非ヒト動物をSAP枯渇化合物と接触させることにより、循環SAPを枯渇させるステップ、(b)前記トランスジェニック非ヒト動物を一つ又は複数の物質と接触させるステップ、及び(c)前記物質が非ヒト動物におけるアミロイド沈着物の実質的又は完全な退縮を促進するかどうかを判断するステップを含み、非ヒト動物におけるアミロイド沈着物の実質的な退縮をもたらす物質は、アミロイドーシスの治療に使用することができる物質であることを示す方法を提供する。
好ましくは、トランスジェニック非ヒト動物は、マウスSAP遺伝子を欠失し、ヒトSAP遺伝子が導入されたマウス、適切にはC57BL/6マウスである。
本開示において、また特に特許請求の範囲及び/又はパラグラフにおいて、「含む(comprise)」、「含んだ(comprised)」、「含むこと(comprising)」などの用語は米国特許法においてそれに帰属されている意味を有することがあり得る、例えば、それらは「含む(include)」、「含んだ(included)」、「含むこと(including)」などを意味し得ること、また「から本質的になっていること」及び「から本質的になる」などの用語は米国特許法においてそれに帰属されている意味を有し、例えば、それらは明示的に列挙されていない要素を考慮しているが、従来技術に認められる、又は本発明の基本的若しくは新規な特性に影響を及ぼす要素を除外することが確認される。
これら及び他の実施形態は、以下の詳細な説明により開示されており、又は明らかであり、また含まれる。
例として示すが、本発明を記載する特定の実施形態のみに限定することを意図するものでない以下の詳細な説明は、添付する図面と併せて理解することが最善である。
投与後のマウスの脾臓におけるアミロイド沈着物を示す図である。確立されている全身性AAアミロイドーシスを有し、全身125I-SAP保持により示される同じ初期アミロイド負荷を有する厳密に一致させたC57BL/6マウスSAPノックアウトヒトSAPトランスジェニック純系マウスの3群を、それぞれCPHPCと単回用量のヒツジ抗ヒト抗SAP抗体、CPHPC単独で処置し又は無処置とし、次いで、28日後のアミロイド負荷の推定のために屠殺した。各点は、1匹の動物のアミロイドスコアを表し、0、アミロイドは検出されず;100、微量小斑点;101、小胞周囲微量;102、全面小胞周囲;103、多量小胞周囲;104、多量小胞周囲及び小胞間である。各群のスコア間の差のMann Whitney U検定において、P値は次の通りであった:群1対群2 P=0.0000;群1対群3 P=0.0000;群2対群3 P=0.2635。すべての群内の雄と雌の間にアミロイドスコアの差はなかった(示さず)。 投与後のマウスの肝臓におけるアミロイド沈着物を示す図である。確立されている全身性AAアミロイドーシスを有し、全身125I-SAP保持により示される同じ初期アミロイド負荷を有する厳密に一致させたC57BL/6マウスSAPノックアウトヒトSAPトランスジェニック純系マウスの3群を、それぞれCPHPCと単回用量のヒツジ抗ヒト抗SAP抗体、CPHPC単独で処置し又は無処置とし、次いで、28日後のアミロイド負荷の推定のために屠殺した。各点は、1匹の動物のアミロイドスコアを表し、0、アミロイドは検出されず;100、微量小斑点;101、大部分の門脈域/周囲に微量;102、すべての門脈域/周囲に有意な沈着物;103、門脈及び実質沈着物;104、多量な門脈及び実質沈着物である。各群のスコア間の差のMann Whitney U検定において、P値は次の通りであった:群1対群2 P=0.0000;群1対群3 P=0.0000;群2対群3 P=0.4740。すべての群内の雄と雌の間にアミロイドスコアの差はなかった(示さず)。 コンゴレッドで染色し、直交偏光で観察したアミロイド沈着物を示す図である。アミロイドは、組織中のコラーゲンの白色又は他の明るい複屈折及び異物、ダスト等の人工物と区別しなければならない、その病徴的な緑色の複屈折により特定される。脾臓アミロイドスコア:7722、ゼロ(アミロイドは存在せず);7723、100(一つの斑点が存在);7482、101;6865、102;7481、103;8272、104。肝臓アミロイドスコア:6980、ゼロ(緑色複屈折アミロイドなし、白色〜黄色コラーゲン複屈折のみ);7482、101;8028、102;8156、103;8272、104 図3−1の続き。 図3−1の続き。 図3−1の続き。 図3−1の続き。 図3−1の続き。 抗SAP抗体の投与後の細胞浸潤及びアミロイド破壊の時間経過を示す図である。抗体投与後の示した時点に屠殺した動物からの、コンゴレッドで染色し、偏光で観察した(左)及びヘマトキシリン及びエオシンで染色した(右)脾臓切片。1日目に(図4A)豊富な緑色複屈折アミロイドが典型的な小胞周囲辺縁帯に存在するが、その通常の無細胞性の外観と異なり、それが主として単核性炎症細胞により高密度に浸潤されている。2日目に(図4B)アミロイドを取り囲んでいるマクロファージは既に融合して多核性巨細胞を形成している。4日目までに(図4C)アミロイド沈着物は、存在量が明らかにより少なくなり、強いマクロファージ食作用活性に関連して断片化し、多数の多核性巨細胞がアミロイドの島を取り囲み、取り込んでいる。7日目に(図4D)はるかにより少ないアミロイドが存在し、より少数の巨細胞が存在するが、それらはアミロイドの分解断片を依然として明らかに含んでいる。 図4−1の続き。 抗SAP抗体の投与後1日目に採取した脾臓の電子顕微鏡写真である。図5A、マクロファージ(右上)が典型的な線維状アミロイド沈着物(中央及び左)を取り囲んでいる;倍率×4500。図5B、顆粒球(画像の上半分)及びアミロイド沈着物(画像の下半分);好中球及びマクロファージがより暗い細胞質を有する;一つの好酸球が画像の中央に認められる;×3000。 図5C、拡大したアミロイド沈着物の断片、顆粒球及びマクロファージ(5Bにも認められる);×7000。 AAアミロイド沈着物の抗SAP抗体媒介性クリアランスにおける細胞及びタンパク質の免疫化学的同定を示す図である。上二つのパネルに脾臓及び肝臓におけるすべてのコンゴレッド親和性アミロイド沈着物中の抗F4/80による強い染色により同定された強いマクロファージ浸潤を示す。抗SAP抗体を投与しなかったマウスのアミロイド沈着物にはそのような染色は完全に存在しない(示さず)。第3のパネルにAAアミロイド、CD68(食細胞エンドサイトーシス活性のマーカー)及びマウスC3の共局在化を示す。下のパネルにマウスAAアミロイドの断片を取り囲み、取り込んでいる食細胞として活性なマクロファージを示す。図6Aは1日目のコンゴレッド(左);抗F4/80(右)による脾臓であり;図6Bは1日目のコンゴレッド(左);抗F4/80(右)による肝臓であり;図6Cは4日目の抗AAタンパク質(左);抗CD68(中央);抗マウスC3(右)による脾臓であり;図6Dは4日目の抗CD68(赤);抗AAタンパク質(緑);核対比染色(青)による共焦点画像である。 単離された純粋なヒトSAPの注射後のアミロイド性野生型マウスの脾臓における抗ヒトSAP抗体による免疫組織化学的染色を示す図である。それらの典型的な辺縁帯分布にすべてのアミロイド沈着物の強い陽性染色が存在する。この結合ヒトSAPは、本発明における治療用抗SAP抗体の標的である。
アミロイドーシス
本発明の態様は、組織におけるアミロイドの沈着によって引き起こされる疾患の治療及び/又は予防に関し、そのような疾患はアミロイドーシスとして知られている。
本明細書で用いるような「予防」、「防止」、「予防する」、「予防すること」、「抑制」、「抑制する」及び「抑制すること」という用語は、アミロイドーシスの臨床症状の発症を一時的又は永久的に予防、抑制又は低減するように開始する(例えば、アミロイドーシスの臨床症状の発症の前に)処置(一つ又は複数の化合物又は医薬組成物を投与することなど)の過程を意味する。
本明細書で用いるような「治療」、「治療する」及び「治療すること」という用語は、アミロイドーシスの臨床症状又は進行を一時的又は永久的に除去又は低減するようにアミロイドーシスの臨床症状の発症の後に開始する処置(一つ又は複数の化合物又は医薬組成物を投与することなど)の過程を意味する。
アミロイドーシスは、身体の様々な器官及び組織におけるアミロイドの細胞外蓄積によって特徴づけられるあらゆる疾患である。
「アミロイド」という用語は、特徴のある超構造形態である交差βシートコア構造とアルカリ性アルコール溶液からのコンゴレッド色素を結合する病徴的組織化学的染色特性を有し、強い直交偏光で顕微鏡観察するとき赤-緑二色性を示す原線維からなる不溶性タンパク質の組織における細胞外沈着を意味する。約25種の異なる無関係のタンパク質が、ヒト組織に沈着し、これらのすべての一般的な特性を共有するアミロイド線維を形成することが知られている。脳物質におけるアミロイド沈着物である脳アミロイドは、それらが常に病巣性で、サイズが微小である点が身体の他所でのアミロイド沈着物といくぶん異なっており、一般的にアミロイド斑と呼ばれている。
アミロイドーシスは、組織におけるアミロイドの沈着により直接引き起こされる疾患であり、沈着物が一つの解剖学的領域及び/又は一つの組織又は器官系に限られている限局性アミロイドーシスと、沈着物が血管及び結合組織を含む体内の器官又は組織に存在し得る全身性アミロイドーシスとを含む。アミロイドーシスの原因は、後天性又は遺伝性であり得る。後天性アミロイドーシスは、それ自体後天性又は遺伝性であり得る以前の医学的状態の合併症として生ずる。例えば、アミロイドAタンパク質(AA)型として知られている反応性全身性アミロイドーシスは、慢性関節リウマチ、若年性関節リウマチ、クローン病、慢性感染症及び慢性敗血症などの慢性活動性炎症性疾患並びに、家族性地中海熱、マックル-ウェルズ症候群及びCINCA症候群などの遺伝性周期熱症候群の合併症である。透析関連アミロイドーシスは、末期腎不全の結果としてのβ2-ミクログロブリンの蓄積によって引き起こされる。モノクローナル免疫グロブリン軽鎖(AL)アミロイドーシスは、多発性骨髄腫又はさもなければ良性モノクローナル高ガンマグロブリン血症(本態性Mタンパク血症(monoclonal gammopathy of uncertain significance)、MGUS)の合併症である。トランスサイレチン型の後天性アミロイドーシスは、先行する疾患なしに起ることがあり、単に高齢の合併症である。遺伝性アミロイドーシスは、アミロイド線維を形成する高い傾向を有する変異型タンパク質の発現をエンコードする様々なタンパク質の遺伝子における突然変異により引き起こされ、トランスサイレチン、アポリポタンパク質AI、ゲルソリン、リゾチーム、システインC及びアミロイドβタンパク質によりより引き起こされる疾患などが挙げられる。すべての異なる形のアミロイドーシス及び関係するタンパク質の包括的な説明は、教科書及び科学文献1,8,21で入手できる。
一つの器官又は組織に限られる限局性アミロイド沈着は、臨床的に無症状であることがあるか、又は重篤な組織損傷及び疾患を引き起こすことがある。例えば、血管アミロイド沈着物がAβタンパク質からなっている脳アミロイド血管障害は、他の病状が存在しないときには理解されない理由のために生ずる通常散発的な後天性状態であり、脳出血及び卒中の主原因である。アミロイド沈着物が常に存在するが、これらのそれぞれの疾患を引き起こす正確なメカニズムが依然として知られていない、いくつかの非常に重要で、一般的な疾患、特にアルツハイマー病及び2型糖尿病がある。それにもかかわらず、アルツハイマー病における脳及び脳血管における、並びに糖尿病における膵島におけるアミロイドの局所沈着は、病状及び疾患を悪化させる可能性が非常に高い。したがって、一つの実施形態において、本発明は、実際に組織におけるアミロイド沈着物の存在に関連するあらゆる状態に加えてのアルツハイマー病及び2型糖尿病の治療に関する。
多くの種類の伝染性海綿状脳症(プリオン病)は、脳におけるアミロイド沈着物に関連しており、したがって、本発明は、ヒトにおける異型クロイツフェルト-ヤコブ病、クロイツフェルト-ヤコブ病自体、クルー及び他の様々な種類のヒトプリオン病を含むこれらのすべての状態、またウシ海綿状脳症、ミュールジカ及びエルクの慢性消耗病並びにミンクの伝染性脳症に関する。
鶏、アヒル、七面鳥及びガチョウなどの家禽を含む動物、並びに好ましくは、ヒト、並びにイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、モルモット、マウス及びラットを含む哺乳動物の治療が考えられる。特に、ヒトの治療が好ましい。
したがって、一つの態様において、アミロイドーシスの治療に使用するための、SAPに特異的な抗体と組み合わせたSAP枯渇化合物を提供する。
抗SAP抗体
本明細書における抗SAP抗体、SAP結合抗体及びSAPに特異的な抗体への言及は、完全に重なり合うものであり、特異的にSAPに結合し、循環中に存在する他の分子と実質的に交差反応しない抗体又は抗体由来の結合フラグメントを意味する。特に、本発明において抗体は、組織におけるアミロイド沈着物におけるアミロイド線維に結合しているSAPを標的にする。
SAPは、分子の一つの平面、結合(B)面上の単一のカルシウム依存性リガンド結合部位をそれぞれ有する五つの同じ非共有結合により結合したプロモーターを含む五量体である。カルシウムが存在しない場合、ヒトSAPは、おそらくA面を介してA面相互作用により安定なデカメリックダイマー(decameric dimer)を形成している。カルシウムが存在する場合、分離ヒトSAPは、他のSAP分子のカルシウム依存性リガンド結合部位による一つのSAP分子上のGlu167残基の露出カルボキシレートの結合による分子格子の形成の結果として、速やかに凝集し、沈殿する。SAPのこの自己凝集は、SAPが結合する他のリガンドにより抑制される。
本明細書で用いるように「抗体」は、Fab発現ライブラリーにより産生されるポリクローナル、モノクローナル、組換え、キメラ、相補性決定領域(CDR)グラフト、単鎖、二重特異性、Fabフラグメント及びフラグメントを含むが、これらに限定されない。そのようなフラグメントは、SAP、Fv、F(ab')、F(ab')2フラグメントに対するそれらの結合活性を保持している全抗SAP抗体のフラグメント、及びF(v)抗体フラグメント並びに抗SAP抗体の抗原結合部位を含む融合タンパク質及び他の合成タンパク質を含む。さらに、抗体及びそのフラグメントは、下でさらに詳細に述べる、ヒト化抗体であってよい。
抗体配列の可変領域及びCDRは、配列を既知の可変領域のデータベースと対照して並べることにより特定することができる。これらの領域を特定する方法は、例えば、Kontermann及びDubel、編、Antibody Engineering、Springer、New York、NY、2001年に記載されている。抗体配列のデータベースは、Retterら、Nucl. Acids Res.、33巻(Database issue):D671〜D674(2005年)に記載されているような例えば、www.vbase2.orgにおけるVBASE2に記載されている。
マウスにおいて産生されるモノクローナル抗SAP抗体は、Sigma-Aldrich、Gillingham、Dorset、UK(カタログ番号A9191);US Biological(カタログ番号S1003-3、1003-4);Acris Antibodies(カタログ番号BM225);Kamya Biomedical Co.(カタログ番号MC-978);Cell Sciences(カタログ番号MON6006);Abnova Corp.(カタログ番号H00000325-MO7)などの様々な供給元から商業的に入手できる。
「モノクローナル抗体」という用語は、単一の重鎖及び軽鎖クラス並びにエピトープ特異性の均一抗体を産生するBリンパ球由来形質細胞の単クローンから得られる抗体を意味する。
モノクローナル抗体は、一般的に高度に特異的であり、特定の抗原による免疫付与により全動物において誘導される抗血清中の通常の抗体と異なり、単一の抗原性部位(エピトープ)に対するものである。そのような通常の抗体は、免疫抗原上の同じ又は異なるエピトープを認識するBリンパ球の多くの異なるクローンから得られ、ポリクローナル抗体として知られている。それらの非常に限定された特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンにより汚染されていない純粋な形で容易に産生されるのに対して、ポリクローナル抗血清からの特異抗体の分離には大変な労力を要する免疫精製処置を必要とする。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法(Kohlerら、Nature、256巻、495〜7頁、1975年を参照)により、又は組換えDNA法により調製することができる。モノクローナル抗体は、よく知られている技術を用いてファージ抗体ライブラリーから分離することさえできる。
ハイブリドーマ法では、宿主動物、一般的にマウスを所望の抗原で免疫して、該抗原に特異的に結合する抗体を産生する又は産生することができるBリンパ球のクローンの発生を誘導する。次いで、免疫した動物から採取したリンパ球をin vitroで増殖させた骨髄腫細胞の連続株とin vitroで融合させて、いわゆるハイブリドーマを形成させる。次いで、融合細胞のみの生存を可能にし、非融合の親骨髄腫細胞の生存を可能にしない適切な培地中での増殖によりこれらを選択する。骨髄腫細胞の例としては、ヒトモノクローナル抗体の製造について記載されたヒト骨髄腫及びマウス-ヒトへテロ骨髄腫細胞株があるが、これらに限定されない。
増殖しつつあるハイブリドーマ細胞からの培地を、抗原に対するモノクローナル抗体についてアッセイすることができる。細胞により産生される抗体の結合特異性は、免疫沈降又はin vitro結合アッセイなど、放射線免疫検定法(RIA)又は酵素結合免疫吸着剤検定法(ELISA)などの様々な方法により測定することができる。
所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定した後に、クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的方法により増殖させる。サブクローンにより分泌されるモノクローナル抗体は、プロテインA-セファロース、ゲル電気泳動、透析、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー又はアフィニティクロマトグラフィーなどのよく知られている免疫グロブリン精製法により培地又は血清から分離する。
ポリクローナル抗体は、適切な抗原及び抗原性補強剤の反復皮下、筋肉内又は腹腔内注射により動物において産生させることができる。抗体反応の改善は、免疫する動物種において免疫原性であるタンパク質に適切な抗原をコンジュゲートさせることによって得ることができる。動物は、例えば、100μg又は5μgのタンパク質又はコンジュゲート(それぞれウサギ又はマウスに対して)をフロイントの完全アジュバントと混合し、溶液を複数の部位に皮内注射することによって、抗原、免疫原性コンジュゲート又は誘導体に対して免疫付与することができる。後に複数の部位への皮下注射によりフロイントの完全アジュバント中最初の量の1/5のペプチド又はコンジュゲートで動物を追加免疫することができる。追加免疫注射後7〜14日目に、動物を採血することができ、血清を抗体力価についてアッセイする。
抗SAP抗体及びフラグメントは、抗SAP抗体及びそのフラグメントの変異体も含む。変異体は、抗SAP抗体及びそのフラグメントと同じ又は実質的に同じエピトープ結合親和性及び特異性を有する、一つ又は複数のアミノ酸配列の置換、欠失及び/又は付加を含むペプチド及びポリペプチドを含む。
アミノ酸残基の欠失、挿入又は置換は、サイレント変化を引き起こし、機能的に同等の物質をもたらす可能性がある。意図的なアミノ酸置換は、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性に基づいて行うことができる。例えば、負に荷電したアミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含み、正に荷電したアミノ酸は、リシン及びアルギニンを含み、類似の親水性値を有する非荷電の極性頭部を有するアミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン及びチロシンを含む。
保存的置換は、例えば、下表に従って行うことができる。第2欄の同じブロック及び好ましくは第3欄の同じ行にあるアミノ酸は、互いに置換することができる。
Figure 0005695903
相同置換(置換(substitution)及び置換(replacement)は本明細書では既存のアミノ酸残基と代わりの残基との交換を意味するように用いる)、すなわち、塩基対塩基、酸対酸、極性対極性等の同類対同類置換が起り得る。非相同置換、すなわち、あるクラスの残基から別のもの、あるいはオルニチン(下文ではZと呼ぶ)、ジアミノ酪酸オルニチン(下文ではBと呼ぶ)、ノルロイシンオルニチン(下文ではOと呼ぶ)、ピリイルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン及びフェニルグリシンなどの非天然アミノ酸を含むものが起り得る。
置換は、アルファ*及びアルファ-二置換*アミノ酸、N-アルキルアミノ酸*、乳酸*、トリフルオロチロシン*、p-Cl-フェニルアラニン*、p-Br-フェニルアラニン*、p-I-フェニルアラニン*などの天然アミノ酸のハロゲン化物誘導体、L-アリルグリシン*、β-アラニン*、L-α-アミノ酪酸*、L-β-アミノ酪酸*、L-α-アミノイソ酪酸*、L-ε-アミノカプロン酸#、7-アミノヘプタン酸*、L-メチオニンスルホン#*、L-ノルロイシン*、L-ノルバリン*、p-ニトロ-L-フェニルアラニン*、L-ヒドロキシプロリン*、L-チオプロリン*、4-メチル-Phe*、ペンタメチル-Phe*、L-Phe(4-アミノ)#などのフェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体、L-Try(メチル)*、L-Phe(4-イソプロピル)*、L-Tic(1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)*、L-ジアミノプロピオン酸#及びL-Phe-(4-ベンジル)*などの非天然アミノ酸により行うこともできる。表記*は誘導体の疎水性を示すために上述の目的(均一又は非均一置換に関する)のために用い、一方#は誘導体の親水性を示すために用い、#*は両親媒性を示す。
したがって、変異体は、抗SAP抗体及びそのフラグメントに対する一つ又は複数のアミノ酸配列置換、欠失及び/又は付加を含むペプチド及びポリペプチドを含んでいてよく、ただし、そのような置換、欠失及び/又は付加は、エピトープ結合の親和性及び特異性の実質的な変化をもたらさない。例えば、抗SAP抗体及びそのフラグメントの変異体は、抗SAP抗体及びそのフラグメントの一つ又は複数の変化に起因する可能性があり、変化した抗SAP抗体及びそのフラグメントは、出発配列と同じ又は実質的に同じエピトープ結合親和性及び特異性を有する。変異体は、対立遺伝子又はスプライス変異体などの天然に存在するものであってよく、あるいは人工的に構築してもよい。変異体は、前記変異体をコードする対応する核酸分子から調製することができる。抗SAP抗体又はそのフラグメントの変異体は、天然に存在する、又は組換えDNA技術を用いた天然配列のin vitro遺伝子工学的処理により導入される軽鎖及び/又は重鎖アミノ酸配列の変化を有していてよい。天然に存在する変異体は、外来抗原への抗体反応の発生時に生殖細胞系列ヌクレオチド配列においてin vivoで発生する「体細胞」変異体を含む。
SAP結合抗体及び結合フラグメントの変異体は、突然変異誘発技術によっても調製することもできる。例えば、アミノ酸変化を抗体コーディング領域全体にランダムに導入し、得られる変異体をSAPに対する結合親和性又は他の特性についてスクリーニングすることができる。あるいは、アミノ酸変化を軽鎖及び/又は重鎖CDR及び/又はフレームワーク構造領域などの抗SAP抗体の選択される領域に導入し、得られる抗体をSAPに対する結合又は他のいくつかの活性についてスクリーニングすることができる。アミノ酸変化は、所定のCDR内の一つのアミノ酸の相違からアミノ酸の複数の置換の導入までのCDRにおける一つ又は複数のアミノ酸置換を含む。またCDRのサイズを増加させるためのアミノ酸の挿入によって発生する変異体を含む。
生物学的環境における抗体又はフラグメントの半減期、例えば、血清半減期又はin vitroアッセイにより測定される半減期を延長するために天然に存在するFc領域が改変されている、改変型Fc領域を含む抗SAP抗体又はそのフラグメントを提供することができる。
変異体はまた、改変型Fc領域を含む抗SAP抗体又はそのフラグメントを含み、該改変型Fc領域は、野生型Fc領域と比較して少なくとも一つのアミノ酸改変を含む。変異型Fc領域は、より大きい又はより小さい親和性でFc受容体に結合するように、野生型Fc領域を含む比較できる分子を基準として設計することができる。例えば、SAP結合抗体及びそのフラグメントは、改変型Fc領域を含んでいてよい。Fc領域は、IgGのパパイン消化により産生されるIgG C末端ドメインと相同である天然又は合成ポリペプチドを意味する。IgG Fcは、約50kDの分子量を有する。抗体及びフラグメントにおいて、Fc領域全体又は半減期増大部分のみを用いることができる。さらに、天然活性はすべての場合に必要又は望ましいとは限らないので、アミノ酸配列における多くの改変が許容される。
SAP結合抗体及びそのフラグメントはまた、本明細書で開示する抗体、フラグメント及び配列の誘導体を含む。誘導体は、化学的に修飾された、ポリペプチド若しくはペプチド、又はその変異体、フラグメント若しくは誘導体を含む。例は、水溶性ポリマー、N結合若しくはO結合炭水化物、糖、リン酸塩及び/又は他のそのような分子などの一つ又は複数のポリマーの共有結合を含む。誘導体は、結合した分子の種類又は位置の点で天然に存在する又は出発ペプチド若しくはポリペプチドと異なる態様で修飾されている。誘導体はさらに、ペプチド若しくはポリペプチドに天然で存在する一つ又は複数の化学基の欠失を含む。
本発明はまた、二つの全長重鎖及び二つの全長軽鎖を含むSAP結合抗体を含む。あるいは、SAP結合抗体は、SAPに対する結合活性を保持している単鎖抗体又は「ミニ」抗体のような構築体であってよい。そのような構築体は、当技術分野で知られている方法により調製することができる。
モノクローナル抗体の発生を回避する、抗体分子の抗原結合領域の組換えDNA異型(version)を作製する方法がSAP結合抗体及びそのフラグメントについて考えられる。DNAを細菌発現系においてクローニングする。そのような技術の一つの例は、発現Fabタンパク質を細胞膜周辺腔(細菌の細胞膜と細胞壁との間)に移動又は分泌させるリーダー配列を有するバクテリオファージのラムダベクター系を用いるものである。SAPに結合する多数の機能的Fabフラグメントを速やかに発生させ、スクリーニングすることができる。そのようなSAP結合物質(SAPポリペプチドに対して特異性を有するFabフラグメント)は、SAP結合抗体及びそのフラグメントの範囲内に特に含まれる。
SAP結合抗体及びそのフラグメントは、ヒト化又はヒト改変抗体であってよい。本明細書で用いるように、「ヒト化抗体」又はその抗原結合フラグメントは、非ヒト抗体の抗原結合部位の一部とヒト抗体のフレームワーク構造及び/又は定常領域の一部を含む組換えポリペプチドである。ヒト改変抗体又は抗体フラグメントは、ヒトにおける改変型抗体の検出可能な免疫原性を減少又は除去するように、特定の位置のアミノ酸を改変(例えば、欠失、挿入又は置換)することにより遺伝子工学的に改変した非ヒト抗体(例えば、マウス)抗体である。
ヒト化抗体は、キメラ抗体及びCDRグラフト抗体などである。キメラ抗体は、ヒト定常領域に結合した非ヒト抗体可変領域を含む抗体である。したがって、キメラ抗体では、可変領域は主として非ヒトであり、定常領域はヒトである。キメラ抗体及びそれらを製造する方法は、例えば、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81巻、6841〜6855頁(1984年)に記載されている。それらはマウスモノクローナル抗体より免疫原性が低い可能性があるが、キメラ抗体の投与は、抗体の非ヒト部分に対するヒト免疫応答(HAMA)を伴っている。キメラ抗体は、適切な抗原結合特異性のマウス抗体分子の遺伝子を、ヒト補体を活性化し、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を媒介する能力のような適切な生物学的活性のヒト抗体分子の遺伝子と共にスプライシングすることによっても製造することができる。一つの例は、Fc領域の異なるイソタイプのFc領域による置換である。
CDRグラフト抗体は、ヒト「レシピエント」抗体のフレームワーク構造領域に結合した非ヒト「ドナー」抗体のCDRを含む抗体である。一般的に、CDRグラフト抗体は、ヒト抗体の定常領域配列と可変領域(フレームワーク構造)配列の両方を含むので、キメラ抗体より多くのヒト抗体配列を含む。したがって、例えば、本発明のCDRグラフトヒト化抗体は、ヒト抗体のフレームワーク構造領域(例えば、ヒト抗体のFR-1、FR-2又はFR-3)の隣接アミノ酸配列(例えば、約5又はそれ以上、10又はそれ以上、あるいは15又はそれ以上の隣接アミノ酸残基)、あるいは場合によって、ヒト抗体の全フレームワーク構造領域の大部分又はすべてを含む重鎖を含み得る。CDRグラフト抗体及びそれらを製造する方法は、Nature、321巻、522〜525頁(1986年)に記載されている。ヒト化抗体を製造するために用いることができる方法は、例えば、米国特許第5,721,367号及び第6,180,377号にも記載されている。
「veneered抗体」は、非ヒト若しくはヒト化抗体の免疫原性を低減又はそれらの機能を増大させるように特定の溶媒曝露アミノ酸残基を置換するために遺伝子操作した非ヒト又はヒト化(例えば、キメラ若しくはCDRグラフト抗体)抗体である。キメラ抗体のveneeringは、キメラ抗体の非ヒトフレームワーク構造領域における溶媒曝露残基を特定し、それらの少なくとも一つをヒトフレームワーク構造領域の対応する表面残基で置換することを含んでいてよい。veneeringは、適切な遺伝子工学手法により達成することができる。
抗体、ヒト化抗体、ヒト改変抗体及びそれらを調製する方法に関する詳細は、Antibody Engineering、Springer、New York、NY、2001年に見いだすことができる。
ヒト化又はヒト改変抗体の例は、IgG、IgM、IgE、IgA及びIgD抗体である。抗体は、いずれかのクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgD等)又はイソタイプであってよく、κ又はλ軽鎖を含んでいてよい。例えば、ヒト抗体は、IgG重鎖又はイソタイプIgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4のうちの少なくとも一つなどの定義されたフラグメントを含んでいてよい。さらなる例として、抗体又はそのフラグメントは、IgG1重鎖及びκ又はλ軽鎖を含んでいてよい。
抗SAP抗体及びそのフラグメントは、SAPポリペプチドに結合し、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン核酸配列の天然に存在する体細胞変異体、並びにそのフラグメント、合成変異体、誘導体及び融合であってよい核酸配列によってコードされる抗体などのヒト抗体であってよい。そのような抗体は、天然免疫グロブリンを哺乳動物染色体におけるヒトV遺伝子で置換したトランスジェニック哺乳動物(トランスジェニックマウスなど)を用いることによるなどの当技術分野で知られている方法により産生させることができる。
SAPを標的とするヒト抗体は、WO98/24893号及びWO91/00906号に記載されているように、内因性免疫グロブリン産生を示さないトランスジェニック動物を用い、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むように遺伝子操作することにより産生させることもできる。
上述のトランスジェニック動物を用いて、選択した抗原性分子に対する免疫応答を生じさせることができ、抗体産生細胞を動物から取り出して、ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマの作製に用いることができる。免疫方法、アジュバント等は、当技術分野で知られており、例えば、トランスジェニックマウスの免疫に用いられる。
組換えヒト抗体遺伝子のレパートリーを作製する技術の開発及び繊維状バクテリオファージの表面上のコードされる抗体フラグメントのディスプレイによりヒト抗体を直接産生させる手段が提供された。ファージ技術により産生される抗体は、細菌における抗原結合フラグメント(通常Fv又はFabフラグメント)として産生され、したがって、エフェクター機能を欠いている。フラグメントを、哺乳動物細胞における発現のための完全な抗体に、又はエフェクター機能を誘発することができる第2の結合部位を含む二重特異性抗体フラグメントに遺伝子工学により改変することができるという二つの戦略のうちの一つにより、エフェクター機能を導入することができる。
ヒト抗体は、抗体ディスプレイライブラリーのin vitroスクリーニングにより得ることができる(J. Mol. Biol.(1991年) 227巻、381頁)。様々な抗体を含むファージディスプレイライブラリーが記載されており、容易に作製することができる。ライブラリーは、適切な標的に対してスクリーニングすることができるヒトFab、Fv及びscFvフラグメントなどの多様なヒト抗体配列を含む可能性がある。ファージディスプレイライブラリーは、SAPに選択的に結合することができる作用を特定するためにスクリーニングすることができる抗体以外のペプチド又はタンパク質を含む可能性がある。
ファージディスプレイ法は、繊維状バクテリオファージの表面上の抗体レパートリーのディスプレイと、その後の最適な抗原に対するそれらの結合によるファージの選択により、免疫選択を模倣するものである。そのような一つの方法がWO99/10494号に記載されている。抗SAP抗体は、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリー、好ましくはヒトリンパ球由来のmRNAから作製したヒトVL及びVH cDNAsを用いて作製したscFvファージディスプレイライブラリーのスクリーニングによって単離することができる。そのようなライブラリーを作製し、スクリーニングする方法は、当技術分野で知られている。ファージディスプレイライブラリーを作製するための市販のキットが存在する。
SAP結合抗体及びそのフラグメントは、SAPに結合しないが、その代わりに、循環半減期、直接細胞毒性作用、検出可能なラベリング、あるいはレシピエントの内因性補体カスケード又は内因性細胞傷害性の活性化などの他の機能を担う、一つ又は複数の部分を含む可能性がある。抗体又はそのフラグメントは、定常領域のすべて又は一部を含んでいてよく、IgA(例えば、IgA1若しくはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4)又はIgMを含むあらゆるイソタイプであってよい。定常領域を含むことに加えて、又はその代わりに、本発明の抗原結合化合物は、エピトープタグ、サルベージ受容体エピトープ、診断若しくは精製目的用のラベル部分、又は放射性核種若しくはトキシンなどの細胞毒性部分を含んでいてよい。
抗SAP抗体又はそのフラグメントは、その血清半減期を延長させるために、例えば、半減期を延長させるためのPEG又は多糖ポリマーを含む他の水溶性ポリマーなどの分子を付加することにより、修飾することができる。
抗SAP抗体又はそのフラグメントは、二重特異性であってよい。例えば、二重特異性抗体は、単一抗体(又は抗体フラグメント)に類似していることがあるが、2種の異なる抗原結合部位(可変領域)を有する。二重特異性抗体は、化学的技術、「ポリドーマ」技術又は組換えDNA技術などの様々な方法により産生させることができる。二重特異性抗体は、少なくとも2種の異なるエピトープに対する結合特異性を有し、そのうちの少なくとも1種はSAPのエピトープである。
SAP結合抗体及びフラグメントは、異種抗体であってよい。異種抗体は、互いに連結した二つ又はそれ以上の抗体又は抗体結合フラグメント(Fab)であり、各抗体又はフラグメントは異なる特異性を有する。
本明細書で用いるように、「抗体フラグメント」という用語は、完全な抗体の抗原結合又は可変領域などの、完全な全長抗体の一部を意味する。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab'、F(ab')2及びFvフラグメント、ダイアボディ、直鎖状抗体、単鎖抗体分子(例えば、scFv)、二重特異性、三重特異性及び多重特異性抗体などの多重特異性抗体フラグメント(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、三量体又は二量体、細胞内発現抗体、ナノ抗体、小さなモジュラー免疫薬(small modular immunopharmaceutical)(SMIP)、すなわちVHH含有抗体及び抗体フラグメントから形成される他のポリペプチドなどである。
本発明の状況において、抗SAP抗体及びSAP結合抗体という用語は、SAPに結合する全長抗体の重鎖又は軽鎖のいずれかを含むSAP結合抗体フラグメントを含む。
本明細書で用いるように「フラグメント」という用語は、SAPに結合することができるフラグメント、例えば、抗原結合に関与し、Fab、Fab'、F(ab')2及びF(v)フラグメント、あるいは個々の軽鎖又は重鎖可変領域又はその一部を含む、抗体の少なくとも三つの隣接アミノ酸のいずれか(例えばCDRの例えば、少なくとも4個、5個、6個、7個、8個、9個又は10個又はそれ以上の隣接アミノ酸)を意味する。SAP結合フラグメントは、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv及びscFvを含む。これらのフラグメントは、循環からより速やかに消失する完全な抗体のFcフラグメントを欠いており、完全な抗体より少ない非特異的組織結合を有する可能性がある。これらのフラグメントは、よく知られている方法を用いて、例えば、パパイン(Fabフラグメントを生成させるため)又はペプシン(F(ab')2フラグメントを生成させるため)などの酵素を用いたタンパク質分解切断により完全な抗体から生成させることができる。
SAP結合抗体及びフラグメントは、SAPに結合する単鎖抗体フラグメント(scFv)も含む。scFvは、抗体軽鎖可変領域(VL)に機能的に連結した抗体重鎖可変領域(VH)を含み、重鎖可変領域と軽鎖可変領域が一緒又は個別にSAPに結合する結合部位を形成している。scFvは、アミノ末端にVH領域を、カルボキシ末端にVL領域を含んでいてよい。あるいは、scFvは、アミノ末端にVL領域を、カルボキシ末端にVH領域を含んでいてよい。さらに、Fvフラグメントの二つのドメインであるVL及びVHは別個の遺伝子によりコードされているが、VL及びVH領域が一対になって一価分子を形成する、タンパク質単鎖(単鎖Fv(scFv)として知られている)としてそれらが形成されることを可能にする合成リンカーにより組換え法を用いてそれらを結合させることができる。scFvは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間にポリペプチドリンカーを場合によってさらに含んでいてよい。
SAP結合抗体及びフラグメントはまた、VHドメインからなっているNature、341巻、544〜546頁(1989年)に記載されているようなドメイン抗体(dAb)フラグメントを含む。
SAP結合抗体及びフラグメントはまた、重鎖抗体(HCAb)を含む。これらの抗体は、重鎖可変領域のみを用いて抗原結合領域を明らかに形成することができる(これらの機能的抗体は重鎖のみの二量体(「重鎖抗体」又は「HCAb」)であるという点で)。したがって、SAP結合抗体及びフラグメントは、SAPに特異的に結合する重鎖抗体(HCAb)であってよい。
SAP結合抗体及びフラグメントはまた、SMIP又はSAPタンパク質に特異的な結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である抗体を含む。これらの構築体は、抗体エフェクター機能を果たすのに必要な免疫グロブリンドメインに融合させた抗原結合ドメインを含む単鎖ポリペプチドである(WO03/041600号を参照)。
SAP結合抗体及びフラグメントはまた、ダイアボディを含む。これらは、VH及びVLドメインが単一ポリペプチド鎖上で発現するが、短すぎて同じ鎖上の2ドメイン間の対合ができないリンカーを用いる二価抗体である。これにより、ドメインは他の鎖の相補的ドメインと対合し、それにより、二つの抗原結合部位を形成することを余儀なくされる(例えば、WO93/11161号を参照)。ダイアボディは、二重特異性又は単一特異性であり得る。
SAP結合抗体及びそのフラグメントはまた、イムノアドヘシン(immunoadhesin)を含む。一つ又は複数のCDRは、共有結合又は非共有結合により分子に組み込まれて、それをイムノアドヘシンにすることができる。イムノアドヘシンは、CDR(複数可)をより大きいポリペプチド鎖の一部として組み込むことができ、CDR(複数可)を他のポリペプチド鎖に共有結合させることができ、あるいはCDR(複数可)を非共有結合により組み込むことができる。CDRは、イムノアドヘシンがSAPに特異的に結合することを可能にする。
SAP結合抗体及びそのフラグメントはまた、有機又は分子足場(タンパク質又は炭水化物足場など)上に構築された一つ又は複数のSAP結合部分を含む抗体模倣物を含む。タンパク質足場と一般的に呼ばれている、相対的に定義された3次元構造を有するタンパク質は、抗体模倣物の設計用の試薬として用いることができる。これらの足場物質は、特定又はランダムの配列変化の影響を受けやすい一つ又は複数の領域を一般的に含んでおり、所望の生成物を選択することができるタンパク質のライブラリーを得るために、そのような配列の無作為化はしばしば行われる。例えば、抗体模倣物は、ループのそれぞれに挿入されている親抗体の異なるCDRを含み、親抗体と結合するリガンドに対して選択的結合活性を示す二つ又はそれ以上の溶媒曝露ループを有する足場を含む免疫グロブリン様ドメインを有するキメラ非免疫グロブリン結合ポリペプチドを含み得る。非免疫グロブリンタンパク質足場は、新規な結合特性を有するタンパク質を得るために提案された。
抗SAP抗体又はその抗体フラグメントは、例えば約15nM又はそれ未満、10nM又はそれ未満、約5nM又はそれ未満、約1nM又はそれ未満、約500pM又はそれ未満、約250pM又はそれ未満、約100pM又はそれ未満、約50pM又はそれ未満、あるいは約25pM又はそれ未満、約10pM又はそれ未満、約5pM又はそれ未満、約3pM又はそれ未満、約1pM又はそれ未満、約0.75pM又はそれ未満あるいは約0.5pM又はそれ未満のSAPに対する平衡結合解離定数(KD)などのように、一般的に高い親和性(例えば、BIACOREで測定される)でヒトSAPに結合する。
適切には、抗SAP抗体又はその抗体フラグメントは、SAP以外の標的と交差反応しない。
本明細書で述べる抗体及び抗体フラグメントは、適切な方法により調製することができる。そのような抗体及び抗体フラグメントを調製する適切な方法は、当技術分野で知られている。抗体及び抗体フラグメントは、単離し、任意の程度まで精製することができる。
本明細書で用いるように、「単離された化合物」は、その天然の環境から取り出された化合物である。
「精製された化合物」は、それがその天然環境に存在する、且つ/又は最初に合成されたとき、且つ/又は実験条件下で増幅されるより高い純度の形で存在するような純度が増加した化合物である。純度は、相対的な用語であり、絶対的純度を必ずしも意味しない。
SAP枯渇化合物
本発明の化合物は、循環SAPの枯渇をもたらす化合物を含む。
そのような化合物は、(R)-1-[6-[(R)-2-カルボキシピロリジン-1-イル]-6-オキソヘキサノイル]ピロリジン-2-カルボン酸(CPHPC)などの欧州特許出願第0915088号に記載されているようなアミロイド線維に対するSAPの結合の競合阻害剤であるものを含むが、該明細書に記載されている化合物のいずれか、あるいは循環SAPを枯渇させるあらゆる他の化合物を本発明の実施において用いることができる。
参照により本明細書に組み込まれている、国際特許出願WO2004/099173号も本発明の実施において用いることもできるパリンドローム化合物を記載している。
好ましい実施形態において、SAP枯渇化合物はD-プロリンであり、以下の式のD-プロリン:
Figure 0005695903
[式中、
Rは、
Figure 0005695903
であり、基
R1は、水素又はハロゲンであり、
X-Y-X'は、少なくとも4個、有利には少なくとも5個、有利には少なくとも6個、20個までの線状又は直鎖炭素原子を有するリンカーであり、
Xは、-(CH2)n-、-CH(R2)(CH2)n-、CH2O(CH2)n-、CH2NH-、ベンジル、-C(R2)=CH-、-CH2CH(OH)-又はチアゾール-2,5-ジイルであり、
Yは、-S-S-、-(CH2)n-、-O-、-NH-、-N(R2)-、-CH=CH-、-NHC(O)NH-、-N(R2)C(O)N(R2)-、-N[CH2C6H3(OCH3)2]-、-N(CH2C6H5)-、-N(CH2C6H5)C(O)N(CH2C6H5)-、-N(アルコキシアルキル)-、N(シクロアルキルメチル)-、2,6-ピリジル、2,5-フラニル、2,5-チエニル、1,2-シクロヘキシル、1,3-シクロヘキシル、1,4-シクロヘキシル、1,2-ナフチル、1,4-ナフチル、1,5-ナフチル、1,6-ナフチル、ビフェニレン又は1,2-フェニレン、1,3-フェニレン及び1,4-フェニレンであり、フェニレン基は、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシ、-COO-低級アルキル、ニトリロ、5-テトラゾール、(2-カルボン酸ピロリジン-1-イル)-2-オキソエトキシ、N-ヒドロキシカルバミミドイル、5-オキソ[1,2,4]オキサジアゾリル、2-オキソ[1,2,3,5]オキサチアジアゾリル、5-チオキソ[1,2,4]オキサジアゾリル及び5-tert-ブチルスルファニル-[1,2,4]オキサジアゾリルから選択される1〜4個の置換基で場合によって置換されていてもよく、
X'は、-(CH2)n-、-(CH2)nCH(R2)-、-(CH2)nOCH2-、-NHCH2-、ベンジル、-CH=C(R2)-、CH(OH)CH2又はチアゾール-2,5-ジイルであり、
R2は、低級アルキル、低級アルコキシ又はベンジルであり、
nは0〜3である。]
あるいは薬学的に許容できるその塩又はモノ若しくはジエステルが好ましい。上で言及した好ましい実施形態を含む、SAPを循環から枯渇させる化合物は、本明細書中以下ではSAP枯渇化合物と呼ぶ。
一つの実施形態において、上の式I-AのD-プロリンは、リガンド-リンカー-リガンドと記載することもでき、式I-AのX-Y-X'部分がリンカーを形成している。リンカー(X-Y-X')が、4〜15個の線状炭素原子、5〜10個の線状炭素原子及び6〜8個の線状炭素原子の長さを含む、4〜20個の線状炭素原子の長さであり得ることは、本発明の範囲内である。リンカーは、直鎖又は分枝鎖であっても、あるいは一つ又は複数の環構造を場合によって形成していてよく、ただし、少なくとも4個の線状又は直鎖炭素原子がリンカーに存在する。一つの実施形態において、線状又は直鎖C原子の少なくとも1個は、N、O又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、有利にはO又はS、好ましくはOにより場合によって置換されていてよい。
したがって、「(場合によって)置換されていてもよいリンカー」は、リンカーの線状又は直鎖炭素原子の分枝及び/又は一つ若しくは複数の置換につながる一つ若しくは複数の置換を受けることがあり得る。例えば、リンカーは、エーテル又は置換エーテルであり得る。
医薬組成物
適切には、本明細書で述べるSAP枯渇化合物と本明細書で述べる抗ヒトSAP抗体又はそのフラグメントは、治療上有効な量を含む医薬組成物として投与する。
本明細書で用いるように「治療上有効な量」という用語は、患者に投与するとき(例えば、1回又は複数回の投与として)アミロイドーシスのいずれかの症状、態様又は特性に対して検出可能な正の効果を示すことができるSAP枯渇化合物と抗(ヒト)SAP抗体又はそのフラグメントのあるいは医薬組成物の一部としての量を意味する。
SAP枯渇化合物と抗SAP抗体又はそのフラグメントの組合せは、別個に、同時に、逐次的に、並行して又は連続して投与することができ、あるいは該組合せは一つの製剤の形で提供することができる。
したがって、本発明はまた、アミロイドーシスの治療又は予防処置における同時、個別又は逐次使用される併用製剤としてのSAP枯渇化合物及び抗SAP抗体又はそのフラグメントを対象とする。
SAP枯渇化合物を含む医薬組成物は、抗SAP抗体又はそのフラグメントと別個に投与することができ、そのような別個の投与は、例えば、同じ時点、又は同じもしくは異なる日などの異なる時点に行うことができる。SAP枯渇化合物と抗SAP抗体又はそのフラグメントの組合せを逐次的に投与すべきである場合、SAP枯渇化合物療法が循環SAPのほぼすべてを除去できるように、SAP枯渇化合物を最初に投与する。これにより組織におけるアミロイド沈着物と結合している実質的な量のSAPが残るので、抗SAP抗体又はそのフラグメントの逐次投与により、アミロイド沈着物に対する局在化と特異的結合が可能になり、それらの速やかで広範な退縮が促進される。適切には、抗SAP抗体又はそのフラグメントは、SAP枯渇化合物の投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20若しくは25又はそれを超える日の後に投与することができる。
逐次投与は、SAP枯渇化合物の2回又はそれ以上の回数の逐次投与の後の抗SAP抗体又はそのフラグメントの2回又はそれ以上の回数の逐次投与を含んでいてよい。
逐次投与は、SAP枯渇化合物の1回の投与の後の抗SAP抗体又はそのフラグメントの1回の逐次投与と次にこれを1回又は複数回繰返すことを含んでいてよい。
逐次/後の用量は、初回/前の用量より多い又は初回/前の用量より少ない量であってよい。
SAP枯渇化合物及び/又は抗SAP抗体若しくはそのフラグメントの初回量の投与に、SAP枯渇化合物及び/又は抗SAP抗体若しくはそのフラグメントの一つ又は複数の逐次(例えば、後)用量の投与を後続させることができ、前記一つ又は複数の逐次用量は初回量とほぼ同じ又はより少ない量であってよい。
SAP枯渇化合物及び/又は抗SAP抗体若しくはそのフラグメントの初回量の投与に、一つ又は複数の逐次(例えば、後の)用量の投与を後続させることができ、後の用量の少なくとも一つが初回量より多い量である。
したがって、投与は、投与のあらかじめ決定された又は常用のスケジュールを用いることができ、それにより、投与の間のあらかじめ決定された指定の期間が得られる。スケジュールがあらかじめ決定されている限り、スケジュールは、長さが同じ又は異なる期間を含んでいてよい。適切なスケジュールが特定の日の投与を含むことが先立って決定されている限り、個々の組合せはスケジュールに含まれるであろう。
医薬組成物は、ヒト及び獣医学におけるヒト又は動物用であってよく、担体、賦形剤、希釈剤、抗酸化剤、保存剤、着色剤、着香及び希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、充填剤、バルク剤、緩衝液、送達媒体、等張化剤、共溶媒、湿潤剤、錯化剤、緩衝化剤、抗菌剤及び界面活性剤などの薬学的に許容できる化合物のいずれか一つ又は複数を一般的に含む。治療用の許容できる化合物は、製薬技術分野でよく知られており、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.(A.R. Gennaro編、1985年)に記載されている。
医薬組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤、低分子量ポリペプチド、血清アルブミン及び/又はゼラチンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、EDTAなどのキレート化剤、マンニトール及び/又はソルビトールなどの糖アルコール、アミノ酸、単糖類、二糖類及び他の炭水化物、ナトリウムなどの塩形成対イオン、及び/又はTween、プルロニクス(pluronics)若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含んでいてよい。また、例として、適切な等張化剤としては、アルカリ金属ハロゲン化物(好ましくは塩化ナトリウム又はカリウム)、マンニトール、ソルビトールなどがある。適切な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジンフェネチルアルコール及びソルビン酸などがある。適切な共溶媒としては、グリセリン及び/又はプロピレングリコールなどがある。適切な錯化剤としては、カフェイン及び/又はポリビニルピロリドンなどがある。適切な界面活性剤又は湿潤剤としては、ソルビタンエステル及び/又はポリソルベートなどがある。緩衝液は、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、重炭酸塩又はTris-HClなどの従来の緩衝液であってよい。酢酸緩衝液は約pH4〜5.5であってよく、Tris緩衝液は約pH7〜8.5であってよい。さらなる医薬品は、Remington's Pharmaceutical Sciences、18th Edition、A.R. Gennaro編、Mack Publishing Company、1990年に記載されている。
医薬用担体、賦形剤又は希釈剤などは、意図する投与経路及び標準的な医薬実務に基づいて選択することができる。
組成物/製剤要求事項は、異なる送達系によって異なる可能性がある。
組成物は、液体、凍結乾燥又は冷凍乾燥の形態であってよく、一つ又は複数の不溶化剤、賦形剤、界面活性剤、高分子量構造添加剤及び/又はバルク剤を含んでいてよい。一つの実施形態において、スクロース及び/又はラクトースなどの非還元糖である不溶化剤を含める。一般的に含められる不溶化剤の量は、再構成後に得られる製剤が一般的に等張性となるような量である。非イオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤などの界面活性剤を含めることができる。凍結乾燥前製剤中に存在していてよい界面活性剤の典型的な量は、約0.001〜0.5%である。高分子量構造添加剤(例えば、充填剤、結合剤)を含めることができる。高分子量構造添加剤の典型的な濃度は、0.1重量%〜10重量%である。他の実施形態において、バルク剤(例えば、マンニトール、グリシン)を含めることができる。
組成物は、非経口投与に適していてよい。組成物は、関節内、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、大脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、病巣内、経口及び吸入経路などの当業者に利用可能なあらゆる経路により動物に注射又は注入するのに適していてよい。非経口製剤は、場合によって薬学的に許容できる保存剤を含む、一般的に滅菌済みで発熱物質を含まない等張性水溶液である。
医薬組成物は、製品の局所濃度(例えば、ボーラス、デポー効果)の持続放出及び/又は局所環境における安定性若しくは半減期の増大をもたらす方法で制御又は持続送達のために製剤化することができる。特定の実施形態において、そのような組成物は、初期の含有物(deposit)において有意により大量のSAP枯渇化合物及び/又は抗SAP抗体若しくはそのフラグメントを含んでいてよいが、任意の時点に実際に放出され、利用可能な有効な量の抗体又はフラグメントは初期の含有物よりはるかに低い量である。組成物は、デポー注射として送達することができる活性物質の制御又は持続放出を可能にする、ポリマー化合物の微粒子調製物並びに生分解性マトリックス、注射可能なミクロスフェア、マイクロカプセル粒子、マイクロカプセル、生体侵食性粒子ビーズ、リポソームなどの物質を含む製剤、並びに埋込み式送達デバイスを含み得る。
そのような持続又は制御送達手段を構築する技術は知られており、薬物の制御放出及び送達のための様々なポリマーが開発され、使用された。そのようなポリマーは、一般的に生分解性且つ生体適合性である。鏡像体ポリマー又はポリペプチドセグメントの錯化により生成したものを含むポリマーヒドロゲル、及び温度又はpH感受性を有するヒドロゲルは、生物活性タンパク質剤(例えば、抗体)を捕捉するのに温和且つ水性条件を必要とするため、薬物のデポー効果を与えるために望ましいと思われる。
生体接着性ポリマーも組成物中に存在していてよい。生体接着剤は、長期間にわたり生物学的基体に接着することができる合成及び天然材料である。例えば、カーボポール(Carbopol)及びポリカーボフィルは、両方ともポリアクリル酸の合成架橋誘導体である。
医薬組成物は、例えば、乾燥粉末としてなどのように吸入用に製剤化することができる。エアゾール送達用の液化噴射剤中吸入溶液も製剤化することができる。他の製剤において、溶液を噴霧することができる。肺投与用のさらなる医薬組成物は、例えば、化学的に修飾されたタンパク質の肺送達を開示している、PCT出願公開WO94/20069号に記載されているものを含む。肺送達のために、粒径は遠位肺への送達に適するものであるべきである。例えば、粒径は1μm〜5μmであってよいが、例えば、各粒子が完全に多孔性である場合には、より大きい粒子を用いることができる。
他の製剤は、錠剤の製造に適する非毒性賦形剤との混合物を含んでいてよい。錠剤を滅菌水又は他の適切な媒体に溶解することにより、溶液を単位投与剤形として調製することができる。適切な賦形剤は、炭酸カルシウム、炭酸若しくは重炭酸ナトリウム、ラクトース又はリン酸カルシウムなどの不活性希釈剤、あるいはデンプン、ゼラチン又はアラビアゴムなどの結合剤、あるいはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクなどの滑沢剤を含むが、これらに限定されない。
特定の製剤は、経口投与することができる。この方法で投与される製剤は、錠剤及びカプセル剤などの固形剤形の調合に慣例上用いられる担体を用いて又は用いずに製剤化することができる。例えば、カプセル剤は、生物学的利用能が最大化し、全身前分解が最小化する胃腸管内の部位で製剤の活性部分を放出するように設計することができる。選択的結合剤の吸収を促進するために、さらなる物質を含めることができる。希釈剤、着香剤、低融点ワックス、植物油、滑沢剤、懸濁化剤、錠剤崩壊剤及び結合剤も用いることができる。
本発明に用いる医薬組成物は、治療上有効な量又は予防上有効な量のSAP枯渇化合物及び/又は抗SAP抗体若しくはそのフラグメントを含んでいてよい。
「治療上有効な量」は、所望の治療結果を達成するために必要な用量で、必要な期間にわたり有効な量を意味する。抗体又は抗体部分の治療上有効な量は、個人の疾患状態、年齢、性別及び体重並びに個人における所望の反応を誘発する抗体又は抗体部分の能力などの因子によって異なる可能性がある。治療上有効な量はまた、治療上有用な効果のほうが毒性又は有害作用を上回る量である。
「予防上有効な量」は、所望の予防結果を達成するために必要な用量で、必要な期間にわたり有効な量を意味する。
医薬組成物の治療上又は予防上有効な量は、例えば、組成物が用いる適応などの治療目的、投与経路及び対象の状態に依存する。医薬組成物は、アミロイドーシスを治療するために治療上又は予防上有効な量で投与する。「治療上又は予防上有効な量」は、対象におけるアミロイドーシスの一つ又は複数の症状を治療又は予防することができる量である。
本明細書で述べる医薬組成物は、アミロイドーシスの従来の療法と併用することもできる。
医薬の塩
SAP枯渇化合物は、薬学的に許容できる塩の形で投与することができる。
薬学的に許容できる塩は、当業者によく知られており、例えば、Bergeら、J. Pharm. Sci.、66巻、1〜19頁(1977年)に言及されているものを含む。適切な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から生成させるものであり、塩酸、臭素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、重硫酸、リン酸、リン酸水素、酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、乳酸、サリチル酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、ギ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸塩を含む。
一つ又は複数の酸部分が存在する場合、適切な薬学的に許容できる塩基付加塩は、非毒性塩を形成する塩基から生成させることができ、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛及びジエタノールアミン塩などの薬学的に活性なアミン塩を含む。
薬学的に許容できる塩は、SAP枯渇化合物と適宜、所望の酸又は塩基の溶液を共に混合することにより容易に調製することができる。塩は、溶液から沈殿させ、ろ過により回収することができ、あるいは溶媒を蒸発させることにより回収することができる。
投与
成分は、単独で投与することができるが、例えば、成分が意図する投与経路及び標準的な医薬実務を考慮して選択される適切な医薬用賦形剤、希釈剤又は担体との混合物である場合に医薬組成物として一般的に投与される。
例えば、成分は、即時、遅延、修正、持続、パルス又は制御放出適用のために着香剤又は着色剤を含んでいてよい錠剤、カプセル剤、オブール剤(ovule)、エリキシル剤、液剤又は懸濁剤の形で投与することができる。
医薬が錠剤である場合、錠剤は、微晶質セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基リン酸水素カルシウム及びグリシンなどの賦形剤、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、グリコール酸ナトリウムデンプン、クロスカルメロースナトリウム及びある種の複合ケイ酸塩などの崩壊剤、並びにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン及びアラビアゴムなどの造粒結合剤を含んでいてよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル及びタルクなどの滑沢剤を含めることができる。
同様な種類の固形組成物もゼラチンカプセル剤中の充填剤として用いることができる。これに関する好ましい賦形剤は、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖又は高分子量ポリエチレングリコールなどである。水性懸濁剤及び/又はエリキシル剤については、医薬を様々な甘味又は着香剤、着色物質若しくは色素、乳化剤及び/又は懸濁化剤、水、エタノール、プロピレングリコール、及びグリセリンなどの希釈剤並びにその組合せと混合することができる。
投与(送達)経路は、経口(例えば、錠剤、カプセル剤又は摂取可能な液剤)、局所、粘膜(例えば、鼻噴霧剤又は吸入用エアゾール)、鼻、非経口(例えば、注射剤)、胃腸、脊椎内、腹腔内、筋肉内、静脈内、子宮内、眼内、皮内、頭蓋内、気管内、膣内、脳室内、大脳内、皮下、眼(硝子体内又は前房内)、経皮、直腸、口内、膣、硬膜外及び舌下の一つ又は複数を含むが、これらに限定されない。
一つの特定の実施形態において、投与の方法は、静脈内注入である。
用量レベル
適切且つ/又は好ましい製剤は、意図する投与経路、送達方式及び所望の用量に応じて、本開示及び製剤技術の一般的技術を考慮して決定することができる。
一般的に、医師は個々の対象に最も適する実際の用量を決定する。
個々の患者の個別の用量レベル及び投与の頻度は、異なる可能性があり、用いる個別の化合物の活性、当化合物の代謝安定性及び作用持続時間、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与の方法及び時間、排泄速度、薬物併用、個々の状態の重症度並びに治療を受ける個人などの様々な因子に依存する。例えば、SAP枯渇化合物は、その活性によって2mg/kgから0.1mg/kgまでの用量で投与することができる。
抗SAP抗体又はそのフラグメントは、対象当たりの用量体重比に無関係に固定用量として投与することができる。抗体又はそのフラグメントは、3000mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、2700mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、2500mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、2200mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、あるいは2100mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、1700mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、1500mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、1200mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、あるいは1100mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、1000mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、700mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、500mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、200mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメント、あるいは100mg又はそれ未満の抗体又はそのフラグメントの1回又は複数回の別個、同時又は逐次投与として投与することができる。他の実施形態において、抗体又はそのフラグメントを少なくとも20mgの抗体又はそのフラグメントの1回又は複数回の投与として投与することができる。
SAP枯渇化合物は、対象当たりの用量重量比に無関係に固定用量として投与することができる。SAP枯渇化合物は、100mg又はそれ未満、50mg又はそれ未満、25mg又はそれ未満、あるいは10mg又はそれ未満の1回又は複数回の別個、同時又は逐次投与として投与することができる。あるいは、SAP枯渇化合物は、当業者により容易に決定することができる対象当たりの用量体重比として投与することができる。
製剤
化合物は、当技術分野で知られている技術を用いて一つ又は複数の適切な担体、希釈剤又は賦形剤と混合することなどにより医薬組成物に製剤化することができる。
発現
Fabフラグメント、scFv及びVHHを含む抗SAP抗体及び抗体フラグメントの産生のための様々な発現系が利用可能である。例えば、原核生物及び真核生物起源の発現システムは、抗体フラグメント及び抗体融合タンパク質の大規模産生に用いることができる。
グラム陰性細菌である大腸菌(E. coli)は、異種遺伝子発現の宿主として広く用いられている。しかし、大量の異種タンパク質が細胞内に蓄積する傾向がある。大腸菌細胞内タンパク質のバルクからの所望のタンパク質のその後の精製は、時として困難であることがある。
大腸菌と異なり、バシラス属(Bacillus)の細菌は、タンパク質を培地中に分泌する能力があるため、異種宿主として非常に適している。宿主として適している他の細菌は、ストレプトミセス属(Streptomyces)及びシュードモナス属(Pseudomonas)の細菌である。
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの性質及び/又は発現タンパク質のさらなる処理の望ましさによって、酵母又は他の真菌などの真核生物宿主が好ましいことがあり得る。一般的に、操作がより容易であるため、酵母細胞が真菌細胞より好ましい。しかし、一部のタンパク質は、酵母細胞から不十分に分泌され、あるいは場合によって、適切に処理されない(例えば、酵母における高グリコシル化)。これらの場合には、異なる真菌宿主生物を選択すべきである。
本発明の範囲内の適切な発現宿主の例は、アスペルギルス属(Aspergillus)菌種(欧州特許公開第0184438号及び欧州特許公開第0284603号に記載されているものなど)及びトリコデルマ属(Trichoderma)菌種などの真菌、バシラス属菌種(欧州特許公開第0134048号及び欧州特許公開第0253455号に記載されているものなど)、ストレプトミセス属菌種及びシュードモナス属菌種などの細菌、並びにクルイベロミセス属(Kluyveromyces)菌種(欧州特許公開第0096430号及び欧州特許公開第0301670号に記載されているものなど)及びサッカロミセス属(Saccharomyces)菌種などの酵母である。
酵母、真菌及び植物宿主細胞などの適切な宿主細胞を用いることにより、組換え発現生成物に対して最適な生物学的活性を付与するために必要であることもある翻訳後修飾(例えば、ミリストイル化、グリコシル化、トランケーション、脂質付加(lapidation)及びチロシン、セリン又はトレオニンリン酸化)が可能となる。
大量の抗体フラグメントを培地中に分泌することを可能にする発現システムが特に有利である。
キット
本発明の他の実施形態において、アミロイドーシスの治療に有用な材料を含む製造品、すなわち「キット」を提供する。
適切には、キットは、D-プロリン及び抗SAP抗体又はそのフラグメントの個別又は逐次投与のために製剤化されている。
一つの実施形態において、キットは、SAP枯渇化合物及び抗SAP抗体又はそのフラグメントを含む容器を含む。他の実施形態において、キットは、SAP枯渇化合物を含む第1の容器と抗SAP抗体又はそのフラグメントを含む第2の容器を含む。
適切には、SAP枯渇化合物及び抗SAP抗体又はそのフラグメントは、アミロイドーシスの治療及び/又は予防のために治療上又は予防上有効な量で存在する。
適切な容器は、例えば、びん、バイアル、シリンジ、ブリスターパックなどである。容器は、硝子又はプラスチックなどの様々な材料から作ることができる。
容器は、アミロイドーシスを治療するのに有効な量のSAP枯渇化合物若しくはその製剤及び/又は抗SAP抗体若しくはそのフラグメントを保持し、滅菌アクセスポートを有していてよい(例えば、容器は、皮下注射針により刺し通すことができる栓を有する静脈内液剤バッグ又はバイアルであってよい)。
キットは、容器上又は容器に付随するラベル又は添付文書をさらに含んでいてよい。ラベル又は添付文書は、アミロイドーシスを治療するために組成物が用いられることを示していてよい。
あるいは、又はさらに、キットは、静菌性注射用水、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液などの薬学的に許容できる緩衝液を含む追加の容器をさらに含んでいてよい。キットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針及びシリンジなどの商業上及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでいてよい。
キットは、アミロイドーシスを治療又は予防するためのSAP枯渇化合物及び抗SAP抗体又はそのフラグメントの投与の指示書をさらに含んでいてよい。例えば、キットがSAP枯渇化合物を含む第1の組成物と抗SAP抗体を含む第2の組成物を含む場合、キットは、それを必要とする対象への第1及び第2の医薬組成物の同時、逐次又は個別投与の指示書をさらに含んでいてよい。
他の実施形態において、キットは、錠剤又はカプセル剤などの組成物の固形経口剤形の送達に適するものであってよい。そのようなキットは、例えば、多くの単位用量を含む。そのようなキットは、それらの意図する使用の順序で配置された用量を記載したカードを含んでいてよい。そのようなキットの例は、「ブリスターパック」である。ブリスターパックは、包装産業でよく知られており、医薬単位剤形を包装するために広く用いられている。所望の場合、服用量を投与することができる治療スケジュールにおける日を指定する、例えば、数、文字又は他の表示の形の、あるいは日程表挿入物による記憶補助を提供することができる。
キットがSAP枯渇化合物の医薬製剤と抗SAP抗体又はそのフラグメントを含む第2の製剤を含む他の特定の実施形態において、キットは、分割びん又は分割フォイルパケットなどの別個の製剤を含めるための別個の容器を含んでいてよいが、別個の組成物は、一つの分割容器内に含まれていてもよい。一般的に、キットは、別個の成分の投与の指示書を含む。このキットの形態は、別個の成分を異なる剤形(例えば、経口及び非経口)で投与し、異なる投与間隔で投与する場合、あるいは処方医師による併用の個々の成分の用量調節が望ましい場合、特に有利である。
アッセイ方法
さらなる態様において、本発明は、特にアミロイド沈着物の本質的に完全なクリアランスのためのアミロイドーシスの治療のための、本明細書で述べるようなSAP枯渇化合物と組み合わせて使用することができる一つ又は複数の物質を同定するためのアッセイ方法を提供する。
物質は、有機化合物又は他の化学物質であってよい。物質は、天然であるか、又は人工であるかを問わず、適切な供給元から得ることができる、又はそれにより製造される化合物であってよい。物質は、アミノ酸分子、ポリペプチド、若しくはその化学的誘導体、又はその組合せであってよい。物質は、センス若しくはアンチセンス分子であってよいポリヌクレオチド分子、又は抗体、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体若しくはモノクローナルヒト化抗体であってよい。
一つの実施形態において、物質は、抗SAP抗体由来の又は抗SAP抗体から誘導できる抗体などの抗体である。
物質は、化学的合成技術により調製することができる。
一般的組換えDNA法の技術
本発明は、特に示さない限り、当業者の能力の範囲内にある化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の従来の技術を用いている。そのような技術は、文献で説明されている。例えば、J. Sambrook、E. F. Fritsch及びT. Maniatis、1989年、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Books 1〜3、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Ausbel F. M.ら(1995年及び定期増刊; Current Protocols in Molecular Biology、9、13及び16章、John Wiley & Sons、New York、N.Y.)、B. Roe、J. Crabtree及びA. Kahn、1996年、DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques、John Wiley & Sons、M. J. Gait(編集者)、1984年、Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach、Irl Press並びにD. M. J. Lilley及びJ. E. Dahlberg、1992年、Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology、Academic Pressを参照のこと。これらの一般的教科書は、参照により本明細書に組み込まれている。
本発明を実施するにあたって当業者の助けとなることを意味し、本発明の範囲を限定することを意図しない実施例により、本発明をさらに記述することとする。
ヒトSAPを発現するトランスジェニックマウスにおける全身性アミドロイド沈着物のクリアランス
本試験では、すべての動物にアミロイド促進因子を注射した後、カゼインを反復注射して、持続性急性炎症を誘発し、それによりSAA産生の十分に持続した増加を誘発してAAアミロイド沈着を促進することによって、マウスにおけるAAアミロイドーシスを誘発した。マウスSAP遺伝子を欠失させ13、ヒトSAPトランスジーンを導入した14,15、純系C57BL/6動物の特別な系統を用いた。したがって、それらはマウスSAPを発現しないが、ヒトSAPをヒトに認められるより著しく高い濃度で発現する。本発明者は、すべてのマウスが、アミロイドを有さない無処置対照マウスと比較して放射性標識ヒトSAPトレーサーの著しく高い全身保持を示すことにより大量の全身性アミロイド沈着物を有していたことを確認した。次いで三つの非常に厳密に一致させた群に以下のように投与した:
群1、(R)-1-[6-[(R)-2-カルボキシ-ピロリジン-1-イル]-6-オキソ-ヘキサノイル]ピロリジン-2-カルボン酸(CPHPC)、すなわちSAP枯渇薬16,17及びヒツジ抗ヒトSAP抗体の単回用量;
群2、CPHPC及び無関係な抗血清からの対照ヒツジIgG;
群3、無処置。
これらの対照群は、炎症が止まったときにアミロイド沈着物の既知の自然退縮との比較を行うための必須のものである。これらの群はまた、これらの近交純系動物においてさえ異なる個々のマウスにおけるアミロイドの退縮速度が異なることを補償するために十分に大規模であることが必要である。同様に、アミロイド沈着が起る速度にばらつきがあるため、アミロイドの誘導を続けながら実験を行うことはできない。全く同じプロトコールに従い、ここで述べたのと同じ試薬を用いて実施した15匹ずつのマウスの群における予備実験において、本発明者は下に示すのと同じ結果を得た。次いで、観察された効果が、再現性があり、行った処置に無関係な群の一つにおける促進されたアミロイドの退縮の偶然の発生に起因するものでないことを確認するために各群においてより大きい例数を用いて本実験を実施した。
ヒトSAPトランスジェニックマウスにおいて、ヒトSAPが循環及びアミロイド沈着物に存在する。薬物CPHPCは、二つの天然五量体SAP分子及び五つのCPHPC分子からなる複合体においてヒトSAPに特異的に結合している16。この複合体は、肝臓により異常と認識され、肝細胞により非常に速やかに取り込まれ、分解され、それにより、SAPが循環から効率よく除去される16。薬物が投与されている限り、血漿SAP濃度は非常に低い状態にとどまる16。CPHPCは、忍容性が非常に良好であり、薬物自体もそれがもたらすSAPの枯渇も有害な効果をもたらさなかった16(未公表結果)。ヒト全身性アミロイドーシス患者におけるCPHPC治療による、特に主として腎アミロイドーシスを有する患者の腎機能の保護に関する臨床的有益性の証拠が存在する(未公表結果)。これらの有望な所見にもかかわらず、全身性アミロイドーシス患者における臓器機能を保護し、寿命を延長することができる迅速且つ最適な治療効果を得るには、アミロイド沈着物の実質的又は完全なクリアランスが必要である。ここで示すように、これは、本発明により、CPHPC及び抗ヒトSAP抗体の組合せによる治療により今や達成することができる。
CPHPC療法により、ほぼすべての循環ヒトSAPが除去されるが、組織におけるアミロイド沈着物と結合している実質的な量のSAPは残る(未公表の所見)。本発明者がヒト患者において認めたアミロイド沈着物からのSAPの最大の枯渇は、数カ月間のCPHPCの連続投与後の約90%である。循環SAPが枯渇した患者にヒトSAPに対する単一特異性抗体を静脈内注入することにより、抗体がアミロイド沈着物に特異的に局在して、結合し、それらの迅速且つ広範な退縮を促進し、対応する臨床的有益性を得ることができる。ここで、AAアミロイドーシスのヒトSAPトランスジェニックマウスモデルにおけるこの処置の有効性を示す。
実験プロトコール及び方法
マウスSAP遺伝子の欠失を有し、ヒトSAPの遺伝子を導入した成体雄(n=61)及び雌(n=32)純系C57BL/6マウスにおいて全身性AAアミロイドーシスを誘発した15。各マウスに静脈内注射によりアミロイド促進因子9を単回投与してから4日後に、0.1M NaHCO3を含む溶液中10重量/容積%カゼインを12日間にわたり1日10回皮下注射した13。カゼインの最終注射の7日後に、KIをすべてのマウスの飲料水に導入し、3日後に各マウスに標準的な用量の125I標識ヒトSAPを静脈内注射した6,18。同じコロニーからのものであるが、他の処置を受けなかった4匹の成体雄及び4匹の雌マウスにも対照としてKI及び125I-SAPを投与した。すべてのマウスについてトレーサーの注射の24、48、72、96及び168時間後に全身計数を行って、全身アミロイド負荷の指標としての放射能の保持率を測定した。すべての時点に対照と比較してすべての処置マウスで一貫してより多くの保持が認められ、それらのすべてが実質的な全身性アミロイド沈着物を有していたことが示された18。次いで、マウスを、各群の総数及び性別分布ができる限り同じに近い、三つの厳密に一致した群に割り付けた。125I-SAPの注射の10日後に群1及び2に飲料水に1mg/mlで混入したCPHPCを投与することを開始し、実験の終了までその処置を継続した。群3には試験のこの段階又は後の段階で処置を行わなかった。CPHPCの開始の5日後に群1の各動物にリン酸緩衝生理食塩水に溶解した溶液中7mg/mlの特異抗体を含む50mg/mlの単一特異性ヒツジ抗ヒトSAP抗血清の全IgG画分の1mlを含む腹腔内注射を行った。抗血清は、100%の純度のヒトSAPによるヒツジの免疫処置により産生させた。同時に群2のすべての動物にリン酸緩衝生理食塩水に溶解した溶液中50mg/mlの単一特異性ヒツジ抗ヒトオンコスタチンM受容体抗血清の全IgG画分の1mlを含む腹腔内注射を行った。ここで抗SAP試薬に対する対照として用いたこの抗血清は、標準的な免疫化学的及び免疫組織化学的試験で、ヒトSAP、マウス血漿又は正常マウス組織との反応性を示さなかった。腹腔内注射の28日後にすべてのマウスを末期麻酔下で放血により屠殺し、各マウスから肝臓及び脾臓を摘出した。各臓器を秤量し、三つの部分に分割し、そのうちの一つも秤量し、SAPの抽出に用い、一方、第2の部分は後の免疫組織化学的及び細胞化学的分析に備えて固定せずに急速凍結し、最後の部分は慣用の組織学的検査及びコンゴレッド染色によるアミロイドの推定19のために緩衝ホルマリンで固定した。すべてのマウスについてアミロイドーシスの誘導後であるが、125I-SAPの投与前の群への割付時に体重を測定した。実験の終了時に屠殺する前にすべてのマウスの体重を再び測定した。すべてのマウスから次の四つの時点に採血した:(1)群2及び3へのCPHPCの投与の開始直前;(2)群2及び3におけるIgG製剤の注射の前日;(3)IgG注射の14日後;(4)屠殺時。コンゴレッドで染色したすべての動物の脾臓及び肝臓の切片を、各マウスが受けた処置に対して盲検化した3人の専門観察者が独立に検査し、以前に報告したように存在するアミロイドの量についてスコア採点した。100〜104のスコアは、個々の臓器のいくつかの切片におけるアミロイドーシスの一つ又は二つの小斑点に対応する100から、約10,000倍多くのアミロイドを含む大量な広範囲の沈着物に対応する104までの、おおよその10を底とするログランクスケールを表す13。異なる観察者のスコア間のほぼ100%の一致があり、したがって、最も経験を積んだ観察者のスコアを本分析に用いた。血清及び臓器の臓器抽出液中のヒトSAPの濃度は、電気免疫測定法(electroimmunoassay)5により測定した。
プロトコールのスケジュールを以下にまとめる:
日 処置
-41 すべてのマウスにAEFをi.v.注射する
-36〜-31 すべてのマウスにカゼインを毎日s.c.注射する
-29〜-24 すべてのマウスにカゼインを毎日s.c.注射する
-20 すべてのマウスの体重を測定する
-17 すべてのマウスについて飲料中へのKIの混入を開始する
-14 すべてのマウスに125I-SAPをi.v.注射する
-13〜-10
及び-7 毎日すべてのマウスの全身計数
-5 投与前サンプルを得るためのすべての採血
-4 群1及び2について飲料中へのCPHPC 1mg/mlの混入を開始する;群3は無処置
-1 CPHPC後抗体処置前サンプルを得るための採血
0 群1にヒツジIgG抗ヒトSAP抗体を注射する
群2に対照ヒツジIgGを注射する
群3は無処置
14 すべての採血
23 すべての体重測定
28 すべてのマウスを放血し、屠殺し、臓器を採取する。
結果
体重及び生存:体重は、群間で有意に異なっていなかった。-20日目、すなわち、アミロイド誘導後、トレーサー注射の前のグラム単位の平均(SD)体重は以下の通りであった:
群1、28.0(2.7)
群2、27.7(3.2)
群3、27.3(3.1)
試験の終了の直前の23日目のグラム単位の平均(SD)体重は以下の通りであった:
群1、28.5(2.8)
群2、28.4(3.6)
群3、27.8(3.3)。
実験の処置段階中にいずれの動物も死亡しなかった。体重が一定であることと相まって、CPHPC及び抗SAP抗体の投与は重要な有害臨床影響を及ぼさなかったことは明らかである。
ヒトSAP値:ヒトSAPの血清濃度は、アミロイドーシスの誘導後、他の処置の前に行った最初の採血時にすべての群で同じであり、本発明者がこの系統において以前に認めたように、雌マウスのほうが雄マウスより値が有意に高かった(表1)。群1及び2においてCPHPC投与を開始してから4日後、抗SAP抗体又は対照ヒツジIgGの投与前に行った2回目の採血時に、本発明者が以前に報告した16,17ように循環ヒトSAPの90%を超える枯渇が認められた(表1)。ヒツジ抗SAP抗体又は対照IgGの注射後14及び28日目の群1及び2の動物の血清中のヒトSAP濃度の推定は、循環中のこれらの試薬の残存によるアッセイの妨害があったため可能でなかった。他の処置を受けなかった群3では、ヒトSAP値は、14日目に変化していなかったが、28日目には有意に低くなった(表1)。これは、おそらくアミロイドーシスによる肝臓の損傷に起因すると思われる。
実験の終了時に摘出した脾臓に存在していたヒトSAPの量を表3に示す。これらのマウスにおけるトランスジェニックヒトSAPを含むSAPは、肝臓において産生される。したがって、実験の終了時の肝臓におけるヒトSAPのアッセイの結果の解釈は、もしこれらが存在するならば、一部のSAPは肝細胞によるその合成の結果として不可避的に存在するのであって、循環SAPの肝臓内のアミロイド沈着物に対する結合によるものでないという事実によって複雑になる。また、雌は雄よりヒトSAPの一貫して有意に高い循環(表1)及び肝臓(表3)における濃度を有する。それにもかかわらず、異なる群の肝臓のヒトSAP含量は、明確なヒトSAP脾臓含量結果と同じ順序に順位づけられた。
アミロイド負荷:全身アミロイド負荷は、アミロイド誘導後、異なる処置の開始前には3群で同じであった。125I-SAPトレーサーの注射後72時間目には、放射能の全身保持率は、8匹の非アミロイド対照のそれぞれにおける注射量の10〜11%であった。アミロイドーシスマウスでは、平均(SD)保持率は以下の通りであった:
群1、57.1%(21.6)
群2、44.0%(19.5)
群3、50.1%(21.5)
これらの差は有意でなかった(一元配置ANOVAによりP=0.054)。
実験の終了時に、脾臓及び肝臓におけるアミロイドの組織学的評価で、群間の高度に有意な差が示された(Kruskal-Wallisノンパラメトリック分散分析によりP=0.0000)。群1(CPHPC+抗SAP)に他の2群より劇的に少ないアミロイドが存在していたが、群2(CPHPC単独)と群3(無処置対照)の間には差はなかった(図1及び2)。群1の31匹のマウスのうち、23匹ではアミロイドは検出されず、残りの8匹は偶発的な顕微鏡的斑点を有していたにすぎなかった。対照的に、抗SAPを投与しなかった2対照群の62匹のうちでアミロイドを全く有していなかった動物は存在していなかった。この差は、Fisherの直接法により高度に有意であった(P<0.0001):
アミロイド存在 アミロイド不在
群1:CPHPC+抗SAP 8 23
群2:CPHPC+対照IgG 30 0
群3:無処置 32 0。
62匹の対照マウスのうち、12匹のみが微量又は少量のアミロイドを有し、残りのすべてにおける沈着物は中等度又は大量であった。順位スコアのそれぞれに対応するアミロイドの組織化学的染色の典型的な例を図3に示す。
組織学的外観:すべての脾臓及び肝臓組織のヘマトキシリン及びエオシン染色切片は、University College Londonの組織病理学の教授であるAP Dhillon教授が群及び投与に対して「盲目」検査した。群2及び3でアミロイド沈着物が存在し、群1で存在しないことは別として、組織のすべてではないが、多くの組織における慢性炎症と一致したさほど大きくない変化が存在し、群間に差はなかった。
考察
最終カゼイン注射後60日目及び試験群への抗SAP抗体の投与後28日目のそれらのアミロイド負荷の推定のためにマウスをすべて屠殺した。最終カゼイン注射の10日後に測定した125I-SAPの保持率により示されたように、すべてのマウスが抗SAP又は対照の投与の前に実質的なアミロイド沈着物を有していた。群間に有意な差はなく、予想通り、試験の終了時までに少数の対照マウスにアミロイド沈着物のある程度の自然退縮が認められた。しかし、群2及び3の62匹のうちでアミロイドを全く有していなかった1匹の動物も存在していなかった。対照的に、抗SAP抗体並びにCPHPCを投与した31匹のマウスのうちの23匹は、脾臓又は肝臓に検出できるアミロイドを有していなかった。抗SAP投与動物で認められたアミロイド沈着物は、抗SAPを投与しなかった62匹のマウスのうちの50匹に存在した多数の沈着物より桁違いに少ない少数の顕微鏡斑点であった。CPHPC及び無関係の抗血清からの対照ヒツジIgG画分の投与を受けたマウス(群2)が投与を全く受けなかった群3対照と量が区別できない大量のアミロイドを有していたことから、抗SAP投与が群1におけるアミロイド沈着物のこの注目に値するクリアランスの原因であったことは明確に明らかである。
コンゴレッド染色による組織化学的分析の結果が脾臓及び肝臓のヒトSAP含量の推定により確認された。群1の31匹のマウスのうちの29匹の脾臓には検出できるヒトSAPは存在せず、残りの2匹の動物では微量が存在するにすぎなかった。群3の対照動物は、それらの大量のアミロイド負荷に対応する実質的な量のヒトSAPを有しており、群2のマウスは、屠殺の前に33日間にわたり連続的にCPHPCの投与を受けたので、同じアミロイド負荷を有していたにもかかわらず、ヒトSAP含量は約四分の一であった。対照群3と比較して、群1及び2のCPHPCの投与を受けたすべてのマウスの血清中のヒトSAP濃度は>90%低下した。この結果は、抗SAP抗体の治療効果の標的となる実質的な量のヒトSAPがアミロイド沈着物中に残っているが、循環からヒトSAPを枯渇させるCPHPCの能力を実証している。したがって、CPHPCと抗SAP抗体の組合せは本発明に必須なものであり、小分子薬物は、後に投与する抗SAP抗体がアミロイド沈着物に特異的に位置するSAPに到達し、そこでアミロイド線維の退縮及びクリアランスを引き起こすその非常に重要な機能を果たすことができるように、血漿及び血管外液区画を一掃する。
結論
確立された全身性アミロイド沈着物を有する患者のCPHPC及び抗SAP抗体を用いた併用治療により、沈着物の迅速で、本質的に完全なクリアランスが安全且つ効果的にもたらされた。これは、以前には患者若しくは動物モデルにおいて、又は他の方法により全く達成されなかった。本発明は、すべての種類の後天的及び遺伝的な全身性及び局所性アミロイドーシスに、また、アルツハイマー病及び2型糖尿病を含むアミロイド沈着物に関連する他のすべての疾患に適用されるであろう。
CPHPC及び抗SAP抗体を用いる全身性アミロイドーシスを有する患者の治療
全身性アミロイドーシスに罹患している患者は、アミロイドーシスの推定につながる診察及び慣用の調査の後の罹患組織の生検材料の専門家による組織化学的検査による明確な確認により診断される。放射性標識SAPシンチグラフィーは、英国NHS国立アミロイドーシスセンター(UK NHS National Amyloidosis Centre)及びRoyal Free病院のUniversity College Londonの医学部のアミロイドーシス及び急性期タンパク質センターにおいて実施されている。組織検査により、存在するアミロイドの特定の種類が同定され、心臓のエコー検査と組み合わせたスキャンにより、アミロイドが存在する部位が示され、その程度が定量される。臓器機能の慣用の臨床的調査により、アミロイドの沈着によって引き起こされる組織及び臓器の損傷の程度及び重症度、並びにアミロイドの沈着をもたらした可能性がある基礎にある一次疾患の存在及び重症度が確認される。
従来、そのような患者の治療における最初の二つの本質的なステップは、(1)適宜の薬物療法、並びに必要であれば、腎透析及び臓器移植を含む臓器置換を含むすべての可能な手段による臓器機能の維持、そして(2)アミロイド線維を形成している前駆体タンパク質の存在量を減少させるために利用可能である何らかの療法の展開からなる。後者は、達成するのが非常に困難であり、時として不可能であるため、臓器の損傷が臓器不全、重篤な罹患状態に進展し、通常死亡につながる。
本発明によれば、この例では、アミロイド沈着を阻止し、既存の確立されたアミロイド沈着物を組織から除去して、臨床的有益性につなげるために、患者を治療する。
患者は、100mgの用量のボーラス静脈内注射により投与するSAP枯渇薬CPHPCにより治療する。翌日、血液試料を採取する。これにより、特異的イムノアッセイで血清中のSAP濃度が90%低下したことが確認される。次に、抗SAP抗体の静脈内注入を開始し、数時間にわたり体内のアミロイド沈着物中のSAPに結合するのに十分な1000mgの用量の抗体を投与する。血漿SAP値が抑制されたままであることを保証するために、CPHPCを次の2週間にわたり1日2回非経口投与する。患者の臨床状態及び臓器機能のすべての状態を終始毎日綿密にモニターし、臓器機能の改善を抗体の注入後の日内に検出する。CPHPCが身体から排出され、抗SAP抗体が分解された、治療後1カ月目に、残存アミロイド沈着物の存在及び程度を推定するために、患者は反復SAPシンチグラフィーを受ける。その後、CPHPC投与を再開し、0.5mg/kgを皮下注射により1日2回投与して、できる限り少ないSAPが組織における残存アミロイド上に再蓄積することを保証する。次いで、SAPシンチグラフィーを毎月3回繰返して、アミロイドの持続的退縮をモニターする。この場合、各スキャンの前の1週間CPHPCを中止し、その後直ちに再開する。患者がアミロイド沈着物を有さないとみなされた後、CPHPCの投与を停止するが、アミロイドのさらなる異常な沈着を検出するためにSAPシンチグラフィーによるモニタリングを継続する。患者は観察期間中疾患がない状態にとどまるが、アミロイド沈着物が再発した場合、CPHPC及び抗SAPの投与を必要に応じて繰返して、アミロイドを除去し、アミロイドのクリアランスを維持する。
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アミロイドクリアランスに対する抗SAP抗体の異なる用量の影響
実験プロトコール及び方法
上の実施例1に記載したのと全く同じプロトコール及び試薬を用いた実験において、実施例1の場合と同じヒツジ抗ヒトSAP抗血清のIgG画分の次の用量をそれぞれ各群5匹のマウスの異なる群に投与した:50mg(実施例1と同じ用量);10mg;0.4mg;なし。これらの用量における抗SAP抗体の量は、それぞれ7mg、1.4mg、0.28、0.056mg及び0であった。
結果
抗SAP抗体の最高用量を投与した2群において、脾臓及び肝臓における本質的にすべてのアミロイド沈着物が除去された。他の抗体投与群のいずれにおいてもアミロイド沈着物の減少はなく、抗体を投与しなかった対照群との差はなかった。
考察
実施例1に記載したプロトコールで単回投与したこの特定のヒツジポリクローナル抗SAP抗体の最小有効用量は、0.28mgを超えており、1.4mgの用量が最大の有効性を示した。
上の実施例を用いて、当業者は、2動物種間のクリアランス及び代謝の既知の差を考慮に入れてヒトへの投与の適切な用量を決定することができると思われる。
抗SAP抗体によるアミロイドのクリアランスの時間経過、メカニズム及び臨床的効果
実験プロトコール及び方法
上の実施例1に記載したのと全く同じプロトコール及び試薬を用いた実験において、それぞれ各群5匹のマウスの異なる群に、7mgの抗SAP抗体を含む50mgのIgG画分を含む当実験と全く同じ投与を受けさせ、抗体の投与後それぞれ1、2、3、4、7、10、14、21及び25日目に屠殺した。各群の屠殺した時に各動物から得た血漿サンプルを、実験の終了時の単一バッチでの生化学的分析の前に凍結保存した。死亡時に各マウスから脾臓及び肝臓を摘出し、実施例1に記載したように正確に分析のために処理した。アミロイド沈着の程度を測定するためのコンゴレッド染色に加えて、ヘマトキシリン及びエオシンで標準的方法で染色した固定組織切片を組織病理学的評価のために検査し、適切に処理した組織を十分に有効性が立証されている日常的に利用可能な試薬及び方法を用いて関連するタンパク質及び細胞マーカーについて免疫組織化学及び免疫細胞化学染色により分析した。一部の組織を標準的透過型電子顕微鏡によっても検査した。スライド標本のすべての検査、読取り及びスコア採点は、サンプルの同一性に対して盲検化した専門観察者が行った。対照組織は、全身性AAアミロイドーシスの全く同じ誘導を受けたが、抗SAP活性のない対照ヒツジIgGの投与を受けたマウスによって準備した。
結果
抗SAP抗体注射の24時間後という最も早期の時点に、ヘマトキシリン及びエオシン染色により主としてマクロファージといくつかの顆粒球と同定された炎症性細胞によるアミロイド沈着物の大規模な浸潤が既にあった(図4)。この外観は、抗体を投与しなかった対照マウスにおける一般的に無細胞性のアミロイド沈着物と著しく異なっていた。1日目の組織の電子顕微鏡写真は、マクロファージ及び顆粒球とアミロイド沈着物との完全な咬合を示していた(図5)。次の数日間にわたり、圧倒的に単核で、アミロイドの漸進的に断片化し、縮小しつつある凝集塊を取り囲み、明らかに包み込んでいる増加しつつある数の多核巨細胞を含んでいたので、アミロイド沈着物の細胞浸潤は持続していた(図4)。細胞浸潤及びアミロイドの量は7〜10日目までに著しく減少し、15日目までにはアミロイド沈着物及び浸潤性細胞がほぼ消失した。21及び25日目の組織学的外観は、正常な非アミロイドーシス性組織とほとんど区別できなかった。
包括的なマクロファージマーカーであるF4/80に対する抗体による免疫組織化学染色により、これらがアミロイド沈着物の大規模な初期の細胞浸潤の主要な成分であると確認された(図6)。抗SAP抗体を投与しなかった対照マウスのアミロイド沈着物にはF4/80に対する染色はほとんどなく、またアミロイド沈着物中及び周囲以外の抗SAP投与マウスの組織におけるF4/80に対する染色の増加もなかった。4日目までに、免疫ペルオキシダーゼ組織化学及び共焦点顕微鏡検査により示されたように、アミロイド沈着物中及び周囲のすべての細胞中にマクロファージによる食作用活性のマーカーであるCD861に対する強い染色があった(図6)。抗ヒトSAP、抗ヒツジIgG及び抗マウスC3抗体による染色とともに共局在化したマウスAAに対する抗体で染色された、マクロファージ及び巨細胞により大部分囲まれ又は内在化されることによりアミロイドの断片化した状態にとどまっている(図6)。C3は、最も豊富な補体成分であり、補体系の重要な走化性及びオプソニン活性を担っている。
重要な異常は存在せず、また、ナトリウム、カリウム、塩素、尿素、クレアチニン、カルシウム、リン酸塩、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、総タンパク質、アルブミン、総コレステロール、トリグリセリド、グルコース、総ビリルビン、クレアチンキナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼを含む供試血漿分析対象のいずれについても群間に有意な差はなかった。
考察
CPHPCにより循環SAPが枯渇したアミロイドーシスマウスへの抗SAP抗体の投与により、アミロイド沈着物の非常に速やかで強度な主としてマクロファージ浸潤が誘発された。これらの細胞の多くは融合して多核巨細胞を形成し、これらがアミロイドの島を取り囲み、取り込み、これに続いて、沈着物の速やか且つほぼ完全なクリアランスが起った。抗体投与の15日後までに、アミロイドは実質上消失し、組織の細胞集団は速やかに正常に戻った。投与の臨床的に明らかな有害作用はなく、各群のすべてのマウスから死亡時に採取した血漿サンプルは、腎臓又は肝臓機能、血漿脂質、総蛋白又はアルブミンの傷害、あるいは筋損傷の生化学的証拠を示さなかった。したがって、これらの動物における実質的な内臓アミロイド沈着物の本質的に完全なクリアランスは、臨床的に無影響であり、有害でなかった。
アミロイド沈着物を持続的に浸潤した支配的な細胞の種類は、ヘマトキシリン及びエオシン染色によりマクロファージと同定され、これは、アミロイドの食作用及び破壊におけるそれらの能動的役割と同様に、電子顕微鏡及び免疫細胞化学により確認された。マクロファージの内部及びマクロファージにより囲まれたAAアミロイド沈着物上のヒトSAP、ヒツジIgG及びマウスC3の存在は、次のメカニズムと一致している。抗ヒトSAP抗体がアミロイド沈着物に結合したヒトSAPに結合し、補体を活性化し、強力な走化誘引物質C3a及びC5aを発生させる。食細胞、主としてマクロファージが次にアミロイド沈着物を取り囲み、浸潤し、補体及びIgG抗体によりオプソニン化したアミロイドを能動的に摂取し、マクロファージに媒介された分解が沈着物を速やかに除去する。
抗SAP抗体の使用に関する単純化プロトコールの有効性確認
実施例1で詳細に述べた標準的プロトコールは、ヒトSAPの発現を可能にするためにマウスSAP遺伝子を欠失させ、ヒトSAPトランスジーンを挿入したマウスを用いるものである。これは、抗SAP抗体の投与の直前から開始し、実験の終了まで続ける飲料水中へのCPHPCの投与も用いた。そのようなCPHPCによる長期の治療の必要を探究するために、以前の実施例におけるようなマウスSAPノックアウトではなく、野生型バックグラウンド上にヒトSAPの遺伝子を導入したマウスに、非経口CPHPCの単回投与を用いた。SAPに無関係な遺伝子改変を有するマウスにおける試験で重要である他の手法において、アミロイドーシス野生型非トランスジェニックマウスは、単離された純粋なヒトSAPの単回非経口注射によりヒトSAPが「負荷された」アミロイド沈着物を有していた。
実験プロトコール及び方法
上の実施例1と全く同様な野生型バックグラウンドに基づくヒトSAPトランスジェニックマウスにおいてAAアミロイドーシスを誘導し、確認した。次いで、マウスに1mgのCPHPCを単回腹腔内注射し、続いて、5時間後に試験群(n=10)に以前の実施例で用いたのと同じヒツジ抗ヒトSAP血清の25mgのIgG画分を腹腔内注射した。対照マウス(n=8)に抗SAP活性を有さないヒツジIgGを投与した。16日後にコンゴレッド染色によりアミロイド負荷を推定するために、すべてのマウスを屠殺した。
その後、実施例1で詳述したのと全く同様にAAアミロイドーシスを誘導し、確認した15匹の野生型マウスに単離された純粋なヒトSAPを1匹のマウス当たり10mgを単回腹腔内注射することによりヒトSAPを負荷した。アミロイドーシスマウスに注射したヒトSAPは、アミロイド沈着物中に局在し、約3〜4日の半減期でそこに存続する(図7)が、アミロイドに結合していないヒトSAPは約3〜4時間の半減期で循環から除去される16,18
ヒトSAPがもはや循環に検出できなくなった、ヒトSAPの注射の3日後に、各マウスにヒツジ抗SAP抗血清の50mgのIgG画分を単回腹腔内注射し、コンゴレッド染色によるアミロイド負荷の推定のためにその15日後にすべてを屠殺した。
結果
野生型バックグラウンドに基づくヒトSAPトランスジェニックマウスにおけるアミロイド沈着物は、ヒトSAPトランスジェニックマウスノックアウトマウスにおけるすべての以前の実験で認められたように、抗SAP抗体を単回投与することにより効果的に除去された。
同様に、受動的に投与したヒトSAPによる野生型マウスにおけるマウスAAアミロイド沈着物の負荷の後に、抗SAP抗体を投与することにより、以前に認められたのと同じ沈着物の注目に値するクリアランスがもたらされた。
考察
これらの結果は、アミロイド沈着物におけるヒトSAPの存在と循環中の有意な濃度のヒトSAPの非存在が、本発明による抗SAP抗体の治療効力を得るのに十分なものであることを示している。これらの十分な条件は、ヒトSAPトランスジェニック動物におけるCPHPCの単回非経口投与を用いることにより、又は野生型マウスにおけるアミロイド沈着物にヒトSAPの単回非経口投与によりヒトSAPを負荷することにより、最も容易に達成された。後者のモデルは、長期の同系交配する必要なしに遺伝改変マウスにおける抗SAP抗体の作用機序の分析を可能にする(下の実施例6を参照)ので、極めて有用である。
重要なことに、CPHPCは、50〜100mg/日6のSAPの常に持続的な産生があり、抗SAP抗体を投与する前に血漿SAPを枯渇させることが絶対に必要であるヒト対象において不可欠である。
抗SAP抗体によるアミロイドクリアランスの補体依存性
補体欠乏マウスと正常な補体十分な野生型動物との間の治療の効率を比較することにより、抗SAP抗体によるアミロイドのクリアランスにおける補体の役割を検討した。C1qの遺伝子の標的化欠失は、抗原-抗体複合体へのC1qの結合により開始される古典的補体経路の活性化を阻害するが、補体の主要な生物学的機能である走化性及びオプソニン作用を担う枢軸となる機能段階であるC3活性化は、第二経路及びレクチン経路を経て、並びに非補体セリンプロテイナーゼによる直接的なC3切断により依然として進行し得る。C3の遺伝子の標的化欠失により、これらの機能が完全に排除される。
実験プロトコール及び方法
補体欠乏マウスの2群(C3ノックアウト(n=14)及びC1qノックアウト(n=12))において実施例1で詳述したのと全く同様にAAアミロイドーシスを誘導し、確認した。次いで、すべてのマウスにヒトSAPを負荷し、その後アミロイド負荷の推定のために15日目に屠殺する前に、実施例5で述べたように各群の2匹を除くすべてに抗SAPを投与した。
結果
以前に抗SAPを投与し、実施例1〜5で述べたすべての補体十分のマウスにおけるアミロイド沈着物の効果的なクリアランスと著しく異なり、各種類の2匹の補体欠乏対照マウスよりも高度に断片化された外観を有する傾向はあったが、補体欠乏マウスの両群に依然として大量のアミロイドが存在していた。脾臓アミロイドスコアは、C1q欠乏マウス(中央値104、範囲102〜104)においてC3欠乏マウス(中央値103、範囲102〜104)よりわずかに高かったが、これは統計的有意性に達しなかった。
考察
C1q又はC3を欠くマウスにおいて、抗SAPの投与によりアミロイド沈着物は除去されなかった。したがって、抗SAPの治療効力は、非常に実質的に補体依存性であり、理論的にはそれらのFc(γ)受容体を介して食細胞に結合する(engage)可能性があるIgG抗体のみによって媒介されない。それにもかかわらず、補体欠乏マウスにおける残存アミロイド沈着物のより高度に断片化した外観は、抗体のみの少なくともある程度の効果を示唆するものである。また、C3欠乏動物と比較してC1q欠乏動物におけるクリアランスがより大きい傾向は、C3活性化は重要であり、一般的にIgG抗体により活性化されるC1q及び古典的経路が存在しない場合でさえ、ある程度の補体活性化が起っている可能性があることを示唆するものである。
全IgG抗SAP抗体に関する要件
IgG抗体による補体活性化は、Fc領域を含む完全なインタクト分子を必要とし、C1qの結合により開始される古典的経路を経て進行する。ある種の抗体-抗原系において、第二経路を経る効率がより低い補体活性化は、F(ab)2フラグメントにより媒介され得る。抗SAP抗体によるアミロイド除去の補体依存性を確認し、抗体のFc領域の潜在的な必要を検討するために、F(ab)2抗SAP抗体の効果を試験した。
プロトコール及び方法
実施例1で詳述したのと全く同様に野生型C57BL/6マウスにおいてAAアミロイドーシスを誘導し、確認した。実施例5で詳述したようにアミロイド沈着物にヒトSAPを負荷した後、マウスの群にヒツジポリクローナル抗ヒトSAP抗血清(n=8)、緩衝媒体のみ(n=10)又はpH4.0でペプシン消化により産生させたIgG画分のF(ab)2フラグメント(n=5)を投与した。注射した抗SAP抗体活性の用量は、F(ab)2を投与したマウス当たり7.28mgであり、全IgGを投与したマウス当たり7mg(通常のように総IgG 50mg)であった。コンゴレッド染色によるアミロイド負荷の推定のために14日後にすべてのマウスを屠殺した。
結果
IgG抗SAP抗体を投与したマウスではアミロイド沈着物のクリアランスはほぼ完全であり、脾臓アミロイドスコアの中央値(範囲)は100(100〜103)であったのに対して、対照マウスではアミロイド沈着物は大量であり、脾臓アミロイドスコアの中央値(範囲)は105(104〜105)であった。F(ab)2を投与したマウスは、無処置対照より少ないアミロイドを有しており、スコアの中央値は102で、範囲は100〜104であったが、全IgG抗SAP抗体を投与したマウスより実質的に多かった。
考察
全IgGと比較してF(ab)2フラグメントの分子量は小さいことから、この試験で用いたF(ab)2抗SAP抗体のモル用量は、IgG抗体より約1/3大きかった。しかし、アミロイドクリアランスに対する影響は実質的により小さく、抗SAP抗体の主要な作用はFc領域が必要であることが実証された。全IgGは、補体が十分であるマウスにおけるF(ab)2より補体欠乏動物において有効性が低かったので、これは、Fc(γ)受容体による細胞認識の直接関与のためではない。用いた高用量のF(ab)2は第二経路を経てある種の補体を活性化することができた可能がある。
マクロファージに関する要件
本明細書で述べる組織学的及び組織化学的試験により、抗SAP抗体を投与したマウスにおけるアミロイド沈着物に浸潤し、取り囲み、食作用を示す細胞はマクロファージであることが示されている。それらが実際にアミロイドのクリアランスを担っていることを確認するために、すべてのマクロファージ活性をリポソームクロドロネートの投与により阻害したマウスにおける抗SAP投与の効果を試験した。試薬、実験プロトコール及びリポソームクロドロネートのマクロファージ機能に対する影響は、十分に確立されており、広範に文書化されている22
プロトコール及び方法
上の実施例1で詳述したプロトコールを正確に用いて野生型マウスにおいてAAアミロイドーシスを誘導し、確認した後に、すべての動物に10mgの単離された純粋なヒトSAPを単回腹腔内投与して、それらのアミロイド沈着物にヒトSAPを負荷した。次いで、試験群(n=13)に直ちに、またその後2、7及び14日目に0.3mlのリポソームクロドロネートを腹腔内投与した。ヒトSAP注射後3日後に一つの対照群(n=12)及び試験群にヒツジ抗ヒトSAP抗血清の50mgのIgG1画分を単回腹腔内投与した。第二の対照群(n=12)には抗SAPを投与せず、また他の追加投与を行わなかった。試験及び抗体対照群に抗SAPを投与してから14日後にコンゴレッド染色によりアミロイド負荷を推定するために、すべてのマウスを屠殺した。
結果
抗SAPの投与は、抗体を投与しなかった群と比較してアミロイド沈着物のほぼ完全なクリアランスをもたらし、脾臓アミロイドスコアの中央値(範囲)はそれぞれ100(0〜103)及び103(103〜104)であった。マクロファージの機能を完全に除去することが知られている療法においてリポソームクロドロネートの投与を受けたマウスにおいては、アミロイド沈着物のクリアランスはなく、アミロイド負荷スコアは105(104〜105)であった。
考察
この実験の結果は、マクロファージ機能が抗ヒトSAP抗体によるアミロイド沈着物のクリアランスに不可欠であることを確認するものであった。
実施例3〜8の結論
抗SAP抗体の投与は、ヒトSAPが、アミロイド沈着物中に存在するが、ヒトSAPトランスジェニックマウスへのCPHPCの投与により、又は野生型マウスへのヒトSAPの受動的投与により循環に存在しないAAアミロイドーシスマウスにおける内臓アミロイド沈着物の速やか且つほぼ完全なクリアランスを非常に再現性よく引き起こす。
関連する臨床的又は生化学的有害な影響はない。
抗SAP抗体の注射の後に、アミロイドを取り囲んで、取り込み、多くの多核巨細胞を形成し、沈着物を破壊するマクロファージによるアミロイド沈着物の激しい浸潤が速やかに起る。
抗SAP抗体の単回投与後の15日目までにアミロイドの分解が完了し、21〜25日目までに正常な組織学が回復する。
アミロイドクリアランスは、完全な補体系が必要であり、マクロファージに絶対的に依存する。
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本発明の好ましい実施形態をこのように詳細に記述したので、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、その多くの明らかな変形形態が可能であることから、上のパラグラフにより定義された本発明は、上の記述に示されている個々詳細に限定されるものでないことを理解すべきである。本発明の記述した方法及びシステムの様々な改変形態及び変形形態は、当業者には本発明の精神又は範囲から逸脱することなく明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関して記述したが、特許請求の発明をそのような特定の実施形態に不当に限定すべきでないことを理解すべきである。実際に、薬理学及び分子生物学又は関連分野の技術者に明らかである、本発明を実施するための記述した態様の様々な改変は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあるものである。

Claims (13)

  1. 血清アミロイドP成分を循環から枯渇させる化合物を血清アミロイドP成分に特異的な抗体と組み合わせて含む医薬組成物であって、血清アミロイドP成分を循環から枯渇させる化合物が、(R)-1-[6-[(R)-2-カルボキシピロリジン-1-イル]-6-オキソヘキサノイル]ピロリジン-2-カルボン酸あるいは薬学的に許容できるその塩又はモノ若しくはジエステルである、医薬組成物。
  2. エタノールアミン及び/又はホスホエタノールアミン及び/又はβ-Dガラクトピラノースの4,6-ピルビン酸アセチル及び/又はカルシウム及び/又はIL-4及び/又はIL-3を含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記血清アミロイドP成分に特異的な抗体が、単球からの線維細胞の形成の阻害に機能するSAPの部分を標的にしない、請求項1又は請求項2に記載の医薬組成物。
  4. アミロイド疾患の治療に使用するための、請求項13のいずれかに記載の組成物。
  5. アミロイド疾患が全身性アミロイドーシス、限局性アミロイドーシス、アミロイド沈着に関連する疾患、アルツハイマー病及び2型糖尿病からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
  6. 血清アミロイドP成分を循環から枯渇させる化合物を以前に投与された患者におけるアミロイド疾患の治療又は予防に使用するための、血清アミロイドP成分に特異的な抗体を含む組成物であって、血清アミロイドP成分を循環から枯渇させる化合物が、(R)-1-[6-[(R)-2-カルボキシピロリジン-1-イル]-6-オキソヘキサノイル]ピロリジン-2-カルボン酸あるいは薬学的に許容できるその塩又はモノ若しくはジエステルである、組成物。
  7. 血清アミロイドP成分に特異的な抗体をそれ以後に投与しようとする患者におけるアミロイド疾患の治療又は予防に使用するための、血清アミロイドP成分を循環から枯渇させる化合物を含む組成物であって、血清アミロイドP成分を循環から枯渇させる化合物が、(R)-1-[6-[(R)-2-カルボキシピロリジン-1-イル]-6-オキソヘキサノイル]ピロリジン-2-カルボン酸あるいは薬学的に許容できるその塩又はモノ若しくはジエステルである、組成物。
  8. アミロイドーシスの治療又は予防用の組成物の製造における、血清アミロイドP成分に特異的な抗体と組み合わせた、血清アミロイドP成分を循環から枯渇させる化合物の使用であって、血清アミロイドP成分を循環から枯渇させる化合物が、(R)-1-[6-[(R)-2-カルボキシピロリジン-1-イル]-6-オキソヘキサノイル]ピロリジン-2-カルボン酸あるいは薬学的に許容できるその塩又はモノ若しくはジエステルである、使用。
  9. 血清アミロイドP成分を循環から枯渇させる化合物及び血清アミロイドP成分に特異的な抗体を含む、アミロイドーシスの治療に使用するためのキットであって、血清アミロイドP成分を循環から枯渇させる化合物が、(R)-1-[6-[(R)-2-カルボキシピロリジン-1-イル]-6-オキソヘキサノイル]ピロリジン-2-カルボン酸あるいは薬学的に許容できるその塩又はモノ若しくはジエステルである、キット。
  10. 血清アミロイドP成分を循環から枯渇させる化合物及び血清アミロイドP成分に特異的な抗体の同時個別又は逐次投与のために製剤化されている、請求項9に記載のキット。
  11. 血清アミロイドP成分に特異的な抗体がヒト化抗体である、請求項17のいずれか一項に記載の組成物
  12. 血清アミロイドP成分に特異的な抗体がヒト化抗体である、請求項8に記載の使用。
  13. 血清アミロイドP成分に特異的な抗体がヒト化抗体である、請求項9又は請求項10に記載のキット。
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