JP5695450B2 - 円形ブームアンテナの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばUHF、その他の通信信号の送受をする場合に、中空管状のブームの軸心方向に適当な間隔を隔てて複数個の貫通孔を備えさせ、その貫通孔に対して、パイプ状のアンテナ素子を貫通させた状態で固定して利用する形式の円形ブームアンテナの製造方法に関するものである。
従来の中空管状のブームアンテナの製造方法は、特許文献1で知られているように、ブームの管壁の断面形状を予め楕円形に形成し、かつ、長径を上下にし、上記中空管状のブームの管内においては、断面形状においてアンテナ素子を中間にする状態でそれの両側となる位置に夫々上記ブームの軸心方向に伸びるリブを備えさせ、かつ、それらのリブの断面形状における元部側は、夫々中空管状のブームの上下の管壁内面に一体的に固着し、自由端側は夫々アンテナ素子の存置予定位置に対向する向きにし、しかも、上記リブにおける元部側から自由端側に向けての方向は、上記存置予定位置に置かれるアンテナ素子の軸線に対して直交する方向に設定し、さらに上記ブームの管壁に対しては、 軸心方向に適当な間隔を隔てて、左右に向けた二個一対の管壁孔を複数個所に備えさせ、上記の管壁孔の夫々には中空管状のアンテナ素子を貫通させ、さらに上記中空管状のブームに対するアンテナ素子の固着は、上記中空管状のブームにおけるアンテナ素子の存在位置の上下外周から中空管状のブームの外壁に加圧力を加えて中空管状のブームの外壁を相互に近づけることによって、ブームの管壁の断面形状を楕円形から真円に形成し、かつ、夫々の「リブの自由端」と、上記「アンテナ素子が貫通されている二個一対の管壁孔の孔縁」に対して夫々アンテナ素子の軸線に対して交差する方向の加圧力を加え、上記中空管状のブームとアンテナ素子とを、上記の「リブの自由端」と、「二個一対の管壁孔の孔縁」とで固着する製造方法が知られている。
特許第4064836号公報
斯かる従来のアンテナの製造方法では、前述のように、ブームの管壁の断面形状を予め楕円形に形成しておき、これを上下外周から中空管状のブームの外壁に加圧力を加えて中空管状ブームの上下の外壁を相互に近づけることによって、第1点として、ブームの管壁の断面形状を、楕円形から真円に変形させると同時に、第2点として、夫々の管内のリブの自由端と、上記「二個一対の管壁孔の孔縁」を上記アンテナ素子の周壁に対して加圧させるという2つの工程を同時に施していたので、上記ブームの管壁の断面形状は、上記アンテナ素子の周壁を加圧する二個一対の管壁孔の孔縁」からの応力の影響を受けて、楕円形から真円に変形させる過程での結果が悪く、断面形状において部分的に「いびつ」が生じ、真円形が整わず、多角形状になる問題点があった。
本件出願の目的は、上記課題を解決するもので、ブーム管壁孔に対してアンテナ素子を貫通させた状態で固着させることができるは勿論、ブームに対してアンテナ素子を固着する場合、ブームの管壁孔にアンテナ素子を貫通させて、ブームを上下方向に加圧するだけで、ブームに対してアンテナ素子を固着できる円形ブームアンテナの製造方法を提供しようとするものである。
他の目的は、ブームを変形させる場合、左右の膨出壁要素を、それらの両者間の距離を遠くなる方向に膨出状に湾曲させて、ブームの断面形状をほぼ真円の状態にすることのできる円形ブームアンテナの製造方法を提供しようとするものである。
他の目的は、ブームを変形させる場合、アンテナ素子の周壁を、夫々管壁孔から遠く離れた位置で、管壁孔近くに対して悪影響を少ない状態で、押し縮める事のできる円形ブームアンテナの製造方法を提供しようとするものである。
他の目的は、上下方向に対向させるリブは夫々一体化して、上側の円弧壁要素と、下側の円弧壁要素とを実質的に一体化させ、長くて細いブームの上下方向の曲げ強度を著しく増大させる円形ブームアンテナの製造方法を提供しようとするものである。
他の課題、目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
本発明における円形ブームアンテナの製造方法においては、中空管状のブーム15の管壁20には、中空管状のアンテナ素子19をブーム15の左右方向に向けて貫通させる為の二個一対の管壁孔30を設け、上記二個一対の管壁孔30には中空管状のアンテナ素子19を貫通させ、上記ブーム15の外周に圧力を加えてブーム15を上下方向に圧縮して変形させることにより、上記ブーム15に対してアンテナ素子19を固着するようにした円形ブームアンテナの製造方法において、上記ブーム15の断面形状は楕円状に形成してあって、長径が上下方向になるようにしてあり、上下に位置させる各円弧壁要素21、21の周方向の両側端(21aと21a)の範囲は、「傾斜角45°の線21gの線上にあるポイントP1」を超える範囲とし、その間の円弧壁要素21、21の壁厚21dは、左右の膨出壁要素23,23の壁厚23dに比較して厚く形成して、ブームを上下方向から加圧した場合に変形しないようにし、一方、左右に位置させる左右の膨出壁要素23,23の壁厚23dは比較的薄く形成して、ブームを上下方向から加圧した場合、左右の膨出壁要素23,23が夫々両外方向に膨出変形するように形成し、上記ブーム15の管内20bには、ブーム15の軸心方向に長い板状のリブを4条備え、それら板状の4条のリブ28,28,28,28の各一端28bは、夫々を元部側として、上記の上側の円弧壁要素21の内面における両側端21a、21aの位置と、下側の円弧壁要素21の内面における両側端21a、21aの位置に夫々一体的に連結し、上記板状の4条のリブ28,28,28,28の各他端28fは自由端とし、上側の円弧壁要素21の左側端21aと、下側の円弧壁要素21の左側端21aに夫々連結してある上記のリブ28,28の各自由端相互は間隙28gを隔てて相対向させ、上側の円弧壁要素21の右側端21aと、下側の円弧壁要素21の右側端21aに夫々連結してある上記のリブ28,28の各自由端28f、28f相互も同じ間隙28gを隔てて相対向させ、上下4条のリブ28の各自由端28f、28fにおける夫々アンテナ素子19に対向させる部分には、上記管壁孔30と同心の円弧状の凹部を備えさせてこれをアンテナ素子19の周壁に対する押圧部28hとし、上記中空管状のブーム15に対するアンテナ素子19の固着は、上記ブーム15を上下方向から圧縮して、上側の円弧壁要素21と、下側の円弧壁要素21とを相互に近づけると共に、上記左の膨出壁要素23と、上記右の膨出壁要素23とを、両者の距離が遠くなる方向に膨出するように湾曲させて、ブーム15の断面形状がほぼ真円になる状態にし、かつ、上記の夫々相対向させてある左右のリブの自由端相互間にある間隙28gも夫々縮め、さらに、上下4条のリブ28の各自由端28f、28fに備えさせた凹状の押圧部28hも相手方に向けて間隙28jを縮め、夫々リブの相互間に位置する対応アンテナ素子19の周壁に夫々上下方向から食い込む状態にすると共に、さらに管壁孔30の内周孔縁30aも上下方向の間を縮めてアンテナ素子19に圧接させ、アンテナ素子19の回動と軸線方向の移動を阻止するようにしたものであり、
上記4条のリブ28においては、各元部側28bと、自由端側28fとを二分して元部側28bを、管内に向けて突出させて持出部材28aとし、自由端側28fを、上下方向にある相手方のリブに向けて変角28cさせてある突合せ部材28dとしたものである。
また好ましくは、上側の円弧壁要素21の左側端21aと、下側の円弧壁要素21の左側端21aに夫々連結してある上記のリブ28,28の各自由端相互の間隙28gと、上側の円弧壁要素21の右側端21aと、下側の円弧壁要素21の右側端21aに夫々連結してある上記のリブ28,28の各自由端28f、28f相互の間隙28gとは、上記ブーム15を上下方向から圧縮して、上記左の膨出壁要素23と、上記右の膨出壁要素23とを、両者の距離が遠くなる方向に膨出するように湾曲させて、ブーム15の断面形状がほぼ真円になる状態にし、かつ、上下4条のリブ28の各自由端28f、28fに備えさせた凹状の押圧部28hもアンテナ素子19の周壁に夫々上下方向から食い込む状態になると共に、管壁孔30の内周孔縁30aもアンテナ素子19に圧接して、アンテナ素子19の回動と軸線方向の移動が阻止された状態において、相互に当接状態になる寸法の間隙にしてあるものであればよい。
以上のように本発明は、ブーム15の二個一対の管壁孔30に中空管状のアンテナ素子19を貫通させて、このアンテナ素子19をブーム15に固着する場合、ブーム15の上下に位置する円弧壁要素21、21を上下方向から加圧するだけで、管内のリブ28,28,28,28の各自由端28f,28f,28f,28fをアンテナ素子19の周壁に夫々上下方向から食い込む状態にして、アンテナ素子19の回動と軸線方向への移動を阻止するようにすることができる効果がある。
しかも、上記のように、上下に位置する円弧壁要素21、21を上下方向から加圧して、管内のリブ28,28,28,28の各自由端28f,28f,28f,28fをアンテナ素子19の周壁に夫々上下方向から食い込ませる過程において、同時に、左右の膨出壁要素23、23を、それらの両者間の距離を遠くなる方向に膨出状に湾曲させて、ブーム15の断面形状をほぼ真円の状態にすることのできる効果がある。
特に、ブーム15の上下の円弧壁要素21、21を上下方向から加圧して、左右の膨出壁要素23、23を外周方向に向けて膨出状に湾曲させる場合は、上記の上下に位置させる円弧壁要素21と円弧壁要素21との周方向の両側端(21aと21a)の範囲を、「傾斜角45°の線21gの線上にあるポイントP1」を超える広い範囲W1としており、しかも、それらの広い範囲の間の各円弧壁要素21、21の壁厚21dは、左右の膨出壁要素23,23の壁厚23dに比較して厚く形成してあり、かつ、各リブ28,28,28,28の各元部側は、上記の各円弧壁要素21、21の両側端21a、21aの位置に夫々一体的に連結して、そこが補強された丈夫な構造にしてあるので、上下に位置する各円弧壁要素21、21における各両側端21a、21aの間に存在する「左右の膨出壁要素23、23」の各々の上下方向の範囲は極めて短小となり、比較的短い範囲で円弧状に湾曲させることができるので、その湾曲の過程において上記アンテナ素子の周壁を加圧することにより、二個一対の管壁孔の孔縁」からの応力の影響を受けても、その応力に打ち勝ってアンテナ素子の周壁を押し縮め、予定通りの正確な真円状の湾曲を形成できる特長があり、全体観察において外観的に丸くて商品価値の高いブーム15を形成できる効果がある。
その上、本願発明にあって、4条のリブ28において、各元部側28bと、自由端側28fとを二分して元部側28bを、管内に向けて突出させて持出部材28aとし、自由端側28fを、上下方向にある相手方のリブに向けて変角28cさせてある突合せ部材28dとした場合には、図8からも理解できるように、上記4条のリブ28の各一端(元部側)28bは、夫々上下の円弧壁要素21の内面における両側端21a、21aの位置(夫々管壁孔30、30に近い位置)に夫々一体的に連結されているものであっても、両側の突合せ部材28d、28dは、夫々管壁孔30、30から遠く離れた中央位置寄りに位置することになり、アンテナ素子の周壁19bを、夫々管壁孔30、30から遠く離れた位置で、管壁孔30、30近くに対して悪影響を少ない状態で、押し縮める事のできる効果がある。
その上、本願発明にあって、上下方向に対向させるリブ28、28の自由端相互の間隙28gを、上記のように、上側の円弧壁要素21と、下側の円弧壁要素21とを相互に近づけ、ブーム15の断面形状がほぼ真円になる状態において、相互に当接する状態になる寸法の間隙にしてある場合には、上側の円弧壁要素21と、下側の円弧壁要素21とを近づけたことによって、上記上下方向に対向させるリブ28、28は夫々一体化して、上側の円弧壁要素21と、下側の円弧壁要素21とを実質的に一体化させ、長くて細いブーム15の上下方向の曲げ強度を著しく増大させる効果がある。
アンテナの斜視図。 アンテナにおける支持杆を、アンテナ素子と同一平面に折畳んだ状態を説明する為の平面図。 (A)は図2における符号IIIAで示される部分拡大図。(B)は図1における符号IIIBで示される部分の一部破断した拡大斜視図。 管壁変形前のブームの断面図で、(A)は図5のIV−IV線位置断面図。(B)は図4(A)の部分拡大図。 管壁変形前のブームの一部破断した側面図。 図4のVI−VI線位置断面図。 ブームに対するアンテナ素子の固定方法を説明する為の図で、管壁変形前のブームの管壁孔にアンテナ素子を貫通させ、金型内に位置させた状態を示す一部破断して示す概略断面図で、その破断位置は図5のIV−IV線位置である。 ブームに対するアンテナ素子の固定状態を説明する為の一部破断して示す概略断面図(ブームの形状は管壁変形後で、その破断位置は、図5のIV−IV線位置である。 (A)は、図7の管壁変形前と、図8の管壁変形後の押圧部28h、内周孔縁30a、外周孔縁30b等の変位の状態を説明するために両断面図を並べて表示した説明用比較図。(B)は、両断面図の押圧部28hと、内周孔縁30aと、外周孔縁30bとの変位の状態を説明するための部分拡大比較図で、図9(A)の左側のIXA部分と右側のIXB部分の輪郭を重ねて示す図(なお図9(A)の左側の変形前のものは2点鎖線で示す)。 図8のX−X線位置断面図。 図8のXI−XI線位置断面図。 図8のXII−XII線位置断面図。 (A)は変形前のブームの具体例を示す断面図。(B)は変形後のブームの具体例を示す断面図。
以下本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1〜図3は、周知のUHF波の送受に利用される周知のアンテナに関連する技術的事項を示し、ブームには円形のブームを用いている。図4〜図6は円形ブームアンテナの製造に用いられる円形ブームに関連する技術的事項を示す。図7〜図12は円形ブームアンテナの製造方法に関連する技術的事項を示す。
図において、1は、マスト2によって支持されているアンテナ、例えば周知のUHF波の送受に利用される周知のアンテナを示す。このアンテナ1は、中空管状のブーム15の管壁20に、中空管状のアンテナ素子19をブーム15の左右方向に向けて貫通させる為の二個一対の管壁孔30を設け、上記二個一対の管壁孔30には中空管状のアンテナ素子19を貫通させ、上記ブーム15の外周に圧力を加えてブーム15を上下方向に圧縮して変形させることにより、上記ブーム15に対してアンテナ素子19を固着するようにした円形ブームアンテナの製造方法によって製作されている。
アンテナ1において、15は中空管状のブーム、16は放射器、17は反射器、18は導波器を示し、これらはブーム15に対して装着されることにより一体化している。導波器18において19は、任意複数の中空管状のアンテナ素子で、ブーム15の軸心に対して直交する方向に向けて、夫々管壁20に任意所定の間隔で穿設された二個一対の管壁孔30を貫通した状態で固定されている。
3は、U字状の支持杆を示し、金具2aを介してマスト2に連結されている。支持杆3の両側の自由端3a、3aは、取付金具5、5を介してブーム15に着脱自在に連結してある。
ブーム15及びアンテナ素子等は、周知のようにアルミニウム合金(例えばアルミA6063S)或は塑性変形可能な任意の硬質材によって形成されている。
取付金具5は、図3(B)に表われているように、鋼板を逆U字状に折り曲げて形成されたバンド部6と二つの支持杆添付部10とを一体的に備える。なお、バンド部6において、6aは膨出状に形成してあるリブを示し、バンド部6の下面における円弧の形状をブーム15の外周形状に対応する曲面に維持する為の補強材である。
バンド部6の内懐部7の形状は、ブーム15の外径形状に対応させてほぼ真円にしてあり、支持杆添付部10、10を締付けることによって内懐部7の内周面はブーム15の外周面20aに対して一体化し、支持杆添付部10、10を緩めることにより、ブーム15のほぼ真円状の外周面20aは、内懐部7の内周面から離れて90度の範囲内で回動自在になる(図2の折畳状態から、図1の状態にできる)。なお本件の特許請求の範囲及び明細書においては、業者が見て、外観的に丸パイプであって、上記のように、ボルト頭12を少しゆるめる事により、ブーム15の外周面20aをくるくるなめらかに相対的に回すことができる程度の円形のことを「ほぼ真円」という。
8は周知の長孔を示し、ブーム15に螺合させてある(回り止用)螺子に対して90度の範囲内で回動方向に相対的な移動を可能にしてある。上記の12は支持杆添付部10、10を締緩するためのボルトの頭を示す。
なお、当分野においてアンテナ1は、図1の状態でブーム15に対してアンテナ素子19を左右(水平方向)に突出させた状態で使用される場合が多い。しかし、アンテナ素子19を上下に向けた状態で使用される場合もある。従って、当業者は利用の形態によって上下、左右の呼び名を変更して用いている。このような事情から本件(特許請求の範囲、明細書、図面)においては、上下、左右の用語の用い方においては、説明の都合上、図1の状態で用いられた場合を仮定して、矢印60方向から見てアンテナ素子(エレメント)19の突出方向を「左右」として説明し、図1の図面上の上下を、そのまま「上下」と称して説明するが、利用の形態によって上下、左右の呼び名は変る。
次に、主に図4〜図6に表れている円形ブームアンテナの製造に用いられる円形ブームに関連する技術的事項を説明する。
図4に表れているように上記ブーム15の断面形状は、上下に位置させる円弧壁要素21、21と、左右に位置させる膨出壁要素23,23の4つの壁要素を図示のように連続一体化させる状態で形成されていて、全体の形状は楕円状にしてあり、長径が上下方向になるようにしてある。
上下に位置させる円弧壁要素21、21の周方向の両側端(21aと21a)の範囲(W1)は、図4に表れている「傾斜角45°の線21gの線上にあるポイントP1」を夫々超える位置に設定してある。
そして、円弧壁要素21、21の周方向の両側端(21aと21a)の範囲(W1)内の壁厚21dは、左右の膨出壁要素23,23の壁厚23dに比較して厚く形成して、ブーム15を上下方向から加圧した場合に変形しないようにしてある。また、上記円弧壁要素21、21の外周の曲率半径R1は、仕上がり後の、断面形状がほぼ真円に成るブーム15の曲率半径R1と同様の曲率半径にして有る。
次に左右に位置させる左右の膨出壁要素23,23の壁厚23dは比較的薄く形成して、ブーム15の円弧壁要素21、21を上下方向から加圧した場合、左右の膨出壁要素23,23が夫々両外方向に膨出して、図4に表れている状態の大きな曲率半径R2から円弧壁要素21、21の曲率半径R1と同様の曲率半径と成るように変形可能に形成してある。
このようにブーム15の断面形状を部分的に厚薄変化させることにより、また左右に位置させる膨出壁要素23,23の上下方向の寸法を比較的短くすることにより、ブーム15を上下方向から加圧する事により、膨出壁要素23、23が夫々図8に表れているように綺麗な円弧状に湾曲し、全体がほぼ真円に成る。
なお、上記「傾斜角45°の線21gの線上にあるポイントP1」とは、図4に表れている管壁20の断面において、管壁断面の中心点20cを基点としてアンテナ素子19の軸心19aに対する傾斜角45°の地点にある部分P1のことであり、本件の特許請求の範囲及び明細書においてはこの部分のことを「傾斜角45°の線の線上にあるポイント」ともいう。
次に、図4、6に良く表れているように、上記ブーム15の管内20bには、ブーム15の軸心方向に長い板状のリブを4条備えている。
それら板状の4条のリブ28,28,28,28の各一端28bは、夫々を元部側として、上記の上側の円弧壁要素21の内面における両側端21a、21aの位置と、下側の円弧壁要素21の内面における両側端21a、21aの位置に夫々一体材で一体的に連結してある。
上下の円弧壁要素21の各両側端21a、21aに対してリブの各一端28bを元部として一体化させることにより、その連結した部分は、図からも明らかなように肉太となって、リブ28により補強された状態になり、ブーム15を上下方向から加圧するときに、上下の円弧壁要素21を湾曲させることなく、膨出壁要素23、23の各上下端部23aにおいて夫々円弧壁要素21の壁厚21dよりも薄くなっている膨出壁要素23に夫々正確に圧縮力を伝え、図8に表れているように綺麗な円弧状に湾曲させる事を可能にする。
上記板状の4条のリブ28,28,28,28の各他端28fは自由端とし、上側の円弧壁要素21の左側端21aと、下側の円弧壁要素21の左側端21aに夫々連結してある上記のリブ28,28の各自由端相互は間隙28gを隔てて相対向させ、
上側の円弧壁要素21の右側端21aと、下側の円弧壁要素21の右側端21aに夫々連結してある上記のリブ28,28の各自由端28f、28f相互も同じ間隙28gを隔てて相対向させている。
上記4条の各リブ28においては、各元部側28bと、自由端側28fとを二分して元部側28bを、図示のように管内に向けて、例えばアンテナ素子19の軸心19aに対して、平行させる(又は僅かに中心点20cに向けて傾斜させる)方向に突出させて持出部材28aとした。
また、自由端側28fは、上下方向に対向位置する相手方のリブ28に向けて長く伸びており、これの自由端側28fの元部は、図示の如く持出部材28aに対して一体材でもって折り曲げ状態に変角28cさせ、突合せ部材28dとしている。
上記のような構成によれば、両側の突合せ部材28d、28dは、夫々管壁孔30、30から遠く離れた中央位置寄りに位置することになり、その結果、押圧部28hも、夫々図8に表れているように管壁孔30、30から遠く離れた中央位置寄りに位置し、アンテナ素子の周壁19bを、夫々管壁孔30、30から遠く離れた位置で、管壁孔30、30近くに対して悪影響を少ない状態で、押し縮める事ができる。
図4の上側の円弧壁要素21の左側端21aと、下側の円弧壁要素21の左側端21aに夫々連結してある上記のリブ28,28の各自由端相互の間隙28gと、上側の円弧壁要素21の右側端21aと、下側の円弧壁要素21の右側端21aに夫々連結してある上記のリブ28,28の各自由端28f、28f相互の間隙28gとは、上記ブーム15を上下方向から圧縮して、上記左の膨出壁要素23と、上記右の膨出壁要素23とを、図8に表れているように両者の距離が遠くなる方向に膨出するように湾曲させて、ブーム15の断面形状がほぼ真円になる状態にし、かつ、上下4条のリブ28の各自由端28f、28fに備えさせた凹状の押圧部28hも、図8のように、アンテナ素子19の周壁に夫々上下方向から食い込む状態になると共に、管壁孔30の内周孔縁30aも、図8のようにアンテナ素子19に圧接して、アンテナ素子19の回動と軸線方向の移動を阻止する状態において、相互に、図11のように、当接状態になる寸法の間隙にしてある。
このように構成すると、上記上下方向に対向させるリブ28、28は夫々一体化して、上側の円弧壁要素21と、下側の円弧壁要素21とを実質的に一体化させ、長くて細いブーム15の上下方向の曲げ強度を著しく増大させる。しかしブーム15の部材の事情によっては上下方向に対向させるリブ28、28の相互を当接状態にしなくても良い場合もある。
次に、上下4条のリブ28の各自由端28f、28fにおける夫々アンテナ素子19に対向させる部分には、アンテナ素子19を挿通する為に設けられる上記管壁孔30と同心の円弧状の凹部28hを、図4、図6に表れているように備えさせる。この凹部28hは、管壁孔30を穿つときに一緒に形成すると良い。これらの凹部28hは、図7、図8の説明から明らかなようにアンテナ素子19の周壁に対する押圧部28hとして用いられる。
なお、周知のように上記管壁孔30の直径D1は、周知のようにアンテナ素子19の外径D2が挿通できるようにやや大きくした対応寸法にしてある。
次に、上記中空管状のブーム15に対するアンテナ素子19の固着に関する技術的事項を説明する。図7、8において、35は周知の上下一対の成型用の金型を示し、金型35の対向面36には、ブーム15の上下面に対応するブーム用凹部37、37が形成してある。
上記ブーム用凹部37、37内面の曲率半径は、周知のようにブームの仕上がり状態の外周面の曲率半径R1に対応させてある。
またこの金型35の対向面36には、ブーム15の左右方向に向けて並設してある二個一対の管壁孔30に挿通させる中空管状のアンテナ素子19の上下面に対応させた形状で、やや大きめにした凹部38、38が形成してある。
上下一対の金型35、35の間には、図7に表れているようにブーム15と、ブーム15の二個一対の管壁孔30、30に挿通させた中空管状のアンテナ素子19が置かれる。このブーム15の長手方向には図2に示されているように、1または複数本のアンテナ素子19が夫々備えられる。
次に、図7の上下一対の金型35、35の間を縮め(対向面41、41を矢印46、47方向に向けて近付け)、上記ブーム15を上下方向から圧縮することにより、上側の円弧壁要素21と、下側の円弧壁要素21とを相互に近づける。
この上下の円弧壁要素21、21の移動によって、上下の4条のリブ28、28、28、28も図8、9に示されるように、夫々相対向させてある上下のリブの自由端28f、28fが相互に近づく(上下のリブが矢印42、43方向に向けて近づく)ように変位する。
すると、上下の突合せ部材28d、28dは相互に近づき、また、左右の膨出壁要素23、23は、夫々左右(矢印44、45方向)に向けて広がる方向に動き始め、両者の距離は遠くなる方向に膨出するように湾曲を始める。また管壁孔30、30、の上下の孔縁(内周孔縁30a、外周孔縁30b)も相互に近づく。
そして、上下一対の金型35、35の間を図8のように縮め終えると、上下のリブにおける突合せ部材28d、28dに対して、夫々アンテナ素子19の数に対応させた数だけ備えさせてある凹状の各押圧部28h、28hは、相互間を縮め(図9(B)においては下降寸法H7だけ下降させる)、図8のようにアンテナ素子19の周壁を押し縮めて、食い込み状態となる。このような状態にあっては、アンテナ素子19の回動と軸線方向の移動は阻止される。
また、上下のリブにおける突合せ部材28d、28dの各自由端(当部)28f、28f相互間にあった間隙28gも夫々縮まり、相互は密接して、図11のように一体化し、図1のように長くて細いブーム15の上下方向の曲げ強度を著しく増大させる。
さらに左右の膨出壁要素23、23は、夫々左右(夫々矢印46、47方向)に向けて広がり、両者の距離は遠くなる方向に湾曲して、ブーム15の断面形状において、予め定められている上下の円弧壁要素21、21の曲率半径R1 と、加圧によって成形された左右の膨出壁要素23、23の曲率半径R2 とはほぼ同じ値になり、ブーム15の断面形状はほぼ真円になる。
さらに、左右の管壁孔30、30においては、上下の孔縁(内周孔縁30a、外周孔縁30b)も相互に近づくのであるが、左右の膨出壁要素23、23が夫々左右に向けて広がるので、上下の孔縁(内周孔縁30a、外周孔縁30b)相互の縮む寸法は、上記押圧部28h、28h相互間の縮む寸法よりも小さくなる。
即ち、図9(A)の左側の成形前の状態において、上下の円弧壁要素21、21とも夫々「H7」の寸法だけ相互間を縮めるものとする。この場合図9(A)の右側の成形後の状態のように、上下の円弧壁要素21、21とも夫々「H7」の寸法分だけ相互間を縮めた場合、図9(B)によく表れるように、上側の押圧部28hは「H7」の寸法分だけ下降し、管壁孔における内周孔縁30aは「H7」より僅かに短い「H8」寸法分だけ下降する。また、外周孔縁30bは左の膨出壁要素23が左に向けて広がるのに伴って傾斜して「H7」よりさらに短い「H9」寸法分だけ下降する。
その結果、図9(A)の右側に表れるように、押圧部28h、28h相互間の縮む寸法H4と、内周孔縁30a、30a相互間の縮む寸法H5と、外周孔縁30b、30b相互間の縮む寸法H6とは、夫々異なり(押圧部28h、28h相互間と、内周孔縁30a、30a相互間と、外周孔縁30b、30b相互間とでは夫々圧縮率が異なる)。このことは、アンテナ素子19の周壁19bに対する食い込み量がブームの管内20bから外周に向かう程に浅くなることを意味する。
従って、アンテナ素子19の周壁は、図9(A)の右側に表れるように、ブーム15の管内20bにおいてはしっかりと4条のリブ28の押圧部28hがアンテナ素子19の周壁19bに食いつき(周壁を凹ませ)、アンテナ素子19の回動と軸線方向の移動は阻止される。
上記図9(A)(B)に表れるように、アンテナ素子19の外部に対して風圧が加わり、振動する恐れのある左右の管壁孔30、30に接している部分においては、食いつきの度合い(周壁を凹ませる度合い)を少なく、アンテナ素子19の損傷の度合いを少なくし、丈夫で長寿命のアンテナを製作する上に効果がある。
図13(A)は、変形前のブーム15の断面形状における管壁20とリブ28の具体的な寸法図を示す。図13(B)は、変形後のブーム15の断面形状における管壁20とリブ28の具体的な寸法図を示す。
なお、本件の図面において、()内に示される数字は、実施例の寸法(単位:mm)を示す。[]内の数字は、実施例の角度(単位:度)を示す。<>内の数字は、実施例の半径曲率(半径:mm)を示す。
さらに、図13においても前述の図1〜12のものと機能、性質、手段又は特徴等が同一又は均等構成と考えられる部分には、前述の図と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
1・・・アンテナ、2・・・マスト、3・・・支持杆、3a・・・自由端、5・・・取付金具、6・・・バンド部、7・・・内懐部、8・・・長孔、10・・・支持杆添付部12・・・ボルト頭、15・・・ブーム、16・・・放射器、17・・・反射器、18・・・導波器、19・・・アンテナ素子、19a・・・軸心、19b・・・周壁、20・・・管壁、20a・・・ブーム管壁の外周面、20b・・・ブーム管内、20c・・・中心点、21・・・円弧壁要素、21a・・・端部、P1・・・45°の地点、21d・・・壁厚、23・・・膨出壁要素、28・・・リブ、28a・・・持出部材、28b・・・元部(補強部)、28c・・・角部(変角)、28d・・・突合せ部材、28f・・・当部(自由端)、28g・・・間隙、28h・・・押圧部、28j・・・間隙、30・・・管壁孔、30a・・・内周孔縁、30b・・・外周孔縁、35・・・金型、W1・・・円弧壁要素の周方向の両側端(21aと21a)の範囲、H1・・・変形前のブームにおける上下の円弧壁要素の外周間の寸法、L1・・・変形前のブームにおける左右の膨出壁要素の外周相互間の寸法、H2・・・変形後のブームにおける上下の円弧壁要素の外周相互間の寸法、 L2・・・変形後のブームにおける左右の膨出壁要素の外周間の寸法

Claims (2)

  1. 中空管状のブームの管壁には、中空管状のアンテナ素子をブームの左右方向に向けて貫通させる為の二個一対の管壁孔を設け、
    上記二個一対の管壁孔には中空管状のアンテナ素子を貫通させ、
    上記ブームの外周に圧力を加えてブームを上下方向に圧縮して変形させることにより、上記ブームに対してアンテナ素子を固着するようにした円形ブームアンテナの製造方法において、
    上記ブームの断面形状は楕円状に形成してあって、長径が上下方向になるようにしてあり、上下に位置させる各円弧壁要素の周方向の両側端の範囲は、「傾斜角45°の線の線上にあるポイント」を超える範囲とし、その間の円弧壁要素の壁厚は、左右の膨出壁要素の壁厚に比較して厚く形成して、ブームを上下方向から加圧した場合に変形しないようにし、一方、
    左右に位置させる左右の膨出壁要素の壁厚は比較的薄く形成して、
    ブームを上下方向から加圧した場合、左右の膨出壁要素が夫々両外方向に膨出変形するように形成し、
    上記ブームの管内には、
    ブームの軸心方向に長い板状のリブを4条備え、
    それら板状の4条のリブの各一端は、夫々を元部側として、上記の上側の円弧壁要素の内面における両側端の位置と、下側の円弧壁要素の内面における両側端の位置に夫々一体的に連結し、
    上記板状の4条のリブの各他端は自由端とし、
    上側の円弧壁要素の左側端と、下側の円弧壁要素の左側端に夫々連結してある上記のリブの各自由端相互は間隙を隔てて相対向させ、
    上側の円弧壁要素の右側端と、下側の円弧壁要素の右側端に夫々連結してある上記のリブの各自由端相互も同じ間隙を隔てて相対向させ、
    上下4条のリブの各自由端における夫々アンテナ素子に対向させる部分には、上記管壁孔と同心の円弧状の凹部を備えさせてこれをアンテナ素子の周壁に対する押圧部とし、
    上記中空管状のブームに対するアンテナ素子の固着は、上記ブームを上下方向から圧縮して、上側の円弧壁要素と、下側の円弧壁要素とを相互に近づけると共に、
    上記左の膨出壁要素と、上記右の膨出壁要素とを、両者の距離が遠くなる方向に膨出するように湾曲させて、ブームの断面形状がほぼ真円になる状態にし、かつ、上記の夫々相対向させてある左右のリブの自由端相互間にある間隙も夫々縮め、さらに、上下4条のリブの各自由端に備えさせた凹状の押圧部も相手方に向けて間隙を縮め、夫々リブの相互間に位置する対応アンテナ素子の周壁に夫々上下方向から食い込む状態にすると共に、さらに管壁孔の内周孔縁も上下方向の間を縮めてアンテナ素子に圧接させ、アンテナ素子の回動と軸線方向の移動を阻止するようし、
    上記4条のリブにおいては、各元部側と、自由端側とを二分して元部側を、管内に向けて突出させて持出部材とし、自由端側を、上下方向にある相手方のリブに向けて変角させてある突合せ部材としたことを特徴とする円形ブームアンテナの製造方法。
  2. 上側の円弧壁要素の左側端と、下側の円弧壁要素の左側端に夫々連結してある上記のリブの各自由端相互の間隙と、上側の円弧壁要素の右側端と、下側の円弧壁要素の右側端に夫々連結してある上記のリブの各自由端相互の間隙とは、
    上記ブームを上下方向から圧縮して、上記左の膨出壁要素と、上記右の膨出壁要素とを、両者の距離が遠くなる方向に膨出するように湾曲させて、ブームの断面形状がほぼ真円になる状態にし、かつ、上下4条のリブの各自由端に備えさせた凹状の押圧部もアンテナ素子の周壁に夫々上下方向から食い込む状態になると共に、管壁孔の内周孔縁もアンテナ素子に圧接して、アンテナ素子の回動と軸線方向の移動が阻止された状態において、相互に当接状態になる寸法の間隙にしてあることを特徴とする請求項1記載の円形ブームアンテナの製造方法。
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