JP5687976B2 - 電気・電子部品用銅合金の製造方法 - Google Patents
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前記第二の熱処理における第一の焼鈍を650〜750℃の温度範囲に含まれる温度T℃で下式にて導かれる時間t1に1〜5を乗じた時間t分で焼鈍し、
前記第三の冷間圧延の加工度を70〜85%とすることを特徴とする。
前記鋳塊は、質量で、Fe2.0〜2.3%、P0.01〜0.05%、Zn0.01〜0.05%を含有し、残部がCuと不可避的不純物からなること、又、前記第一の熱処理を870℃以上の温度で保持した後、急冷による溶体化処理を行うと共に、前記第一の熱処理及び第二の熱処理における加熱保持を炉中による連続移動によって行うことが好ましい。
(1)鉄(Fe)成分
本発明における銅合金の鉄(Fe)は、1.8〜2.6質量%の範囲とし、好ましい範囲は2.0〜2.3質量%である。鉄(Fe)は主に銅(Cu)中に析出することによって、強度と耐熱性を向上させる作用があるが、1.8質量%未満であると鉄(Fe)の析出量が足りず必要とする強度及び耐熱性が得られない。一方、2.6質量%を超えると導電率の低下が大きいと共に、鋳造時に粗大な鉄(Fe)の晶出物が生成し、これが製品に残存すると曲げ割れの起点となったり、めっき不良を起こしたりする。
本発明における銅合金のリン(P)は、0.01〜0.15質量%の範囲とし、好ましい範囲は0.01〜0.05質量%である。リン(P)は溶解鋳造中に溶湯に混入する酸素を脱酸する作用があるが、0.01質量%未満であるとその効果を得るには十分でない。0.15質量%を超えると脱酸効果に飽和傾向がみられるものの、鉄(Fe)と化合して析出物を形成し、この析出物が強度や耐熱性の向上に寄与する一方で、このような効果も飽和状態となるばかりか、鋳造時に結晶粒界等に析出したリン(P)と鉄(Fe)の化合物が、芯割れや熱間圧延時の粒界割れの原因となり悪影響が大になる。
本発明における銅合金の亜鉛(Zn)は、0.005〜0.2質量%の範囲とし、好ましい範囲は0.01〜0.10質量%である。亜鉛(Zn)は半田濡れ性を向上させるとともに、脱酸、脱ガス作用や銅(Cu)のマイグレーションの抑制作用があるが、0.005質量%未満であるとその効果を得るには十分でない。一方、0.2質量%を超えると、導電率の低下をもたらす。
本発明の銅合金は、基本的に銅(Cu)を主成分とし、特定量の鉄(Fe)、リン(P)、亜鉛(Zn)を含有するものであり、不純物として、混入することを避けられない元素として、Mg,Al,Si,Ti,Cr,Mn,Co,Ni,Zr,C,Oがある。これらは原料や脱酸剤等に含有される元素であり、鋳造時等に混入する可能性がある元素である。これらの元素は0.01質量%以下では本発明の要である高強度とし、かつ、Cu母相の結晶粒を等軸状にすること、また、規定の特性を満たすことに悪影響を与えるものではなく、不可避的不純物として許容できるものである。
本発明に用いられる銅合金の鋳塊は、例えば、通常の銅合金の連続鋳造方法又は半連続鋳造法により造塊することができる。この際の冷却過程では鉄(Fe)が析出するが、これらは熱間加工性に悪影響を与えるため、続く熱間圧延の前にこれらの鉄(Fe)析出物を再固溶させることが好ましい。
(1)熱間圧延
本発明では、銅合金の鋳塊を800〜1050℃の温度によって、熱間圧延することが好ましい。800℃未満であると鉄(Fe)の析出量が多く、熱間圧延時に割れが起こり易い。又、1050℃を越えると割れが生じ易くなる。
熱間圧延後、第一の冷間圧延をするが、続く溶体化処理時の熱交換速度を速くさせるためには、板厚を3mm以下になるように減面率を設定することが好ましい。この第一の冷間圧延後、870℃以上の温度で30秒以上保持した後、水冷によって急冷する溶体化処理は、熱間圧延時に析出した鉄(Fe)析出物を再固溶させるために行うものである。
本発明では、溶体化処理後、第二の冷間圧延を行い、第二の熱処理として650〜760℃の温度で0.5〜44分の第一の焼鈍をし、1段の焼純のみでは、導電率が不充分となるので、更に400〜525℃の温度で0.5〜10時間の第二の焼鈍する2段階で行うのが好ましい。第二の冷間圧延は、減面率が50%以上となるように行うことが好ましい。これにより次に述べる焼鈍での析出をスムーズにすることができる。
図1は、この式にて表される第一の焼純の焼純温度とその保持時間との関係を示す線図である。本線図は、t1に対して、1〜5倍の各整数倍したものである。650℃においては、t1が8.8分、t1*2が17.6分、t1*3が26.4分、t1*4が35.2分、t1*5が44.0分であり、760℃においてはt1が0.5分、t1*2が1.0分、t1*3が1.5分、t1*4が2.0分、t1*5が2.5分となる。同様に本線図において、各温度における保持時間を求めることができる。本発明においては、より高い温度とするので、30分を下回る保持時間とすることができ、そのことが第ニの熱処理おける保持時間を短縮でき、全体の製造時間を短縮することができる。
第二の冷間圧延と焼純後、仕上圧延として第三の冷間圧延を加工度70〜85%で行う。70%未満であると引張強さ及びビッカース硬さ等の強度が不十分となる。一方、85%を超えると耐熱性が不充分となる。より強度と耐熱性を両立させるためには75〜85%が好ましい。
(実施例1)
図2は、本発明に係る電気・電子部品用銅合金の製造工程のフロー図である。図2に示すように、本発明の銅合金の製造方法は、以下に示す銅合金組成を有する鋳塊を熱間圧延後、第一の冷間圧延、第一の熱処理としての溶体化処理、第二の冷間圧延、第二の熱処理としての第一の焼鈍と第二の焼鈍、第三の冷間圧延の工程を順次経て所望の板厚まで加工する電気・電子部品用銅合金の製造方法において、第二の熱処理における第一の焼鈍を650〜760℃の温度範囲に含まれる温度T℃で式t1にて導かれる時間に1〜5を乗じた時間t分で焼鈍すること、かつ、第三の冷間圧延の加工度を70〜85%とするものである。
実施例2〜6は表1に示した第二の熱処理における第一の焼鈍、第三の冷間圧延条件にて製造した。実施例2〜6は、製造条件を前述のt1にて求められる値の規定範囲内に設定したもので、実施例1と同様に、引張強さ560〜567MPa、導電率60〜63%IACS、ビッカース硬さ151〜157Hv、450℃×5分熱処理後のビッカース硬さ144〜150Hvが得られ、C1940ESHの規格特性である引張強さ520〜590MPa、導電率60%IACS以上、ビッカース硬さ150〜170Hv、450℃×5分熱処理後のビッカース硬さ140Hvを満たした。又、第三の冷間圧延後のビッカース硬さに対して450℃で5分の加熱保持後のビッカース硬さが95.4〜96.2%の高い値が維持され、焼鈍の処理時間の短縮によりCO2等の温暖化ガスの排出量を減少させることができ、かつ、高強度、高導電性を有すると共に、耐熱性に優れた電気・電子部品用銅合金が得られることが明らかである。
比較例1〜6は、第二の熱処理における第一の焼鈍時間及び温度条件が本発明の限定範囲を外れた例である。比較例1〜5は焼鈍時間が限定範囲を外れた例である。焼鈍時間が限定範囲を外れると耐熱性(450℃×5分熱処理後のビッカース硬さがC1940ESHの規格値を下回り、又、第三の冷間圧延後のビッカース硬さに対して450℃で5分の加熱保持後のビッカース硬さが74.5〜81.4%の低い値となり、耐熱性が維持されないものとなる。比較例6は第ニの熱処理温度が本発明の限定範囲を外れた例である。熱処理温度が760℃を超えた場合は導電率が規格範囲を下回る。
比較例7〜8は、第三の冷間圧延による加工度が60%と本発明の70〜85%の範囲を外れた例である。第三の冷間圧延の加工度が限定範囲を下回る60%では引張強さ520MPaを得ることができず、限定範囲を超える90%では450℃×5分熱処理後のビッカース硬さが140Hvを下回ると共に、第三の冷間圧延後のその硬さに対して74.2%と低く耐熱性が維持されないものとなる。
実施例1と同一組成、同一工程の熱間圧延材(面削済み)を母材として、第1の冷間圧延により板厚2.5mmとした。次に、900℃の塩浴に1分間浸漬させて溶体化処理をした。表面及び裏面を研磨した後、第2の冷間圧延により板厚0.76mmとした。次に、電気炉を用いて窒素ガス雰囲気中で600℃の温度で2時間焼鈍した後は炉冷にて室温まで下げた。最後に、第三の冷間圧延により板厚0.15mmとした。表1に示すように、従来例についても第二の熱処理、第三の冷間圧延と450℃の熱処理を行った。従来例における銅合金板の特性は引張特性568MPa、導電率62%IACSであったが、第3の冷間圧延後のビッカース硬さ159Hvに対して450℃の耐熱試験後のビッカース硬さが146Hvで、91.8%とやや耐熱性が劣るものであった。
Claims (3)
- 質量で、Fe1.8〜2.6%、P0.01〜0.15%、Zn0.005〜0.2%を含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる鋳塊を熱間圧延後、第一の冷間圧延、第一の熱処理、第二の冷間圧延、第二の熱処理、第三の冷間圧延及び第三の熱処理の工程を順次経て所望の板厚まで加工する電気・電子部品用銅合金の製造方法において、
前記第二の熱処理は、第一の焼鈍と第二の焼鈍を順次行う工程からなり、該第一の焼鈍を650〜760℃の温度範囲に含まれる温度T℃で下式にて導かれる時間t1に1〜5を乗じた時間t分で焼鈍し、
前記第三の冷間圧延の加工度を70〜85%とすることを特徴とする電気・電子部品用銅合金の製造方法。
t1=(T+273)/{1.2×1014*exp(−25632/(T+273))} - 請求項1において、前記鋳塊は、質量で、Fe2.0〜2.3%、P0.01〜0.05%、Zn0.01〜0.05%を含有し、残部がCuと不可避的不純物からなることを特徴とする電気・電子部品用銅合金の製造方法。
- 請求項1又は2において、前記第一の熱処理を870℃以上の温度で保持した後、急冷による溶体化処理を行うと共に、前記第一の熱処理及び第二の熱処理における加熱保持を炉中による連続移動によって行うことを特徴とする電気・電子部品用銅合金の製造方法。
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