従来より、定電流を出力する電源として、定電流電源装置がある。この定電流電源装置は、例えば、発光ダイオードを点灯させるために用いられる(例えば、特許文献1参照)。
[定電流電源装置100の構成]
図8は、従来例に係る定電流電源装置100の回路図である。定電流電源装置100は、交流電源Vinから入力される交流電力を用いて、直列接続された複数の発光ダイオードLED1〜LEDn(nは、n≧3を満たす整数)に定電流を供給する。この定電流電源装置100は、整流部RFと、ダイオードD1と、キャパシタC1と、インダクタLと、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q1と、抵抗R1と、比較器CMP1と、直流電源Vrefと、クロック生成部CLKと、フリップフロップFFと、を備える。
整流部RFの2つの入力端子には、交流電源Vinの両端が接続される。整流部RFの第1の出力端子には、ダイオードD1のカソードと、キャパシタC1の一方の電極と、発光ダイオードLED1のアノードと、が接続される。発光ダイオードLEDnのカソードには、キャパシタC1の他方の電極と、インダクタLの一端と、が接続される。インダクタLの他端には、ダイオードD1のアノードと、スイッチ素子Q1のドレインと、が接続される。
スイッチ素子Q1のソースには、抵抗R1を介して定電流電源装置100の基準電位点に相当する整流部RFの第2の出力端子が接続されるとともに、比較器CMP1の非反転入力端子が接続される。比較器CMP1の反転入力端子には、直流電源Vrefの正極が接続され、直流電源Vrefの負極は、接地されている。
比較器CMP1の出力端子には、フリップフロップFFのリセット端子が接続される。フリップフロップFFのセット端子には、クロック生成部CLKが接続され、フリップフロップFFの出力端子には、スイッチ素子Q1のゲートが接続される。
[定電流電源装置100の動作]
以上の構成を備える定電流電源装置100は、スイッチ素子Q1のドレイン電流に応じてスイッチ素子Q1を制御することで、定電流制御を行う。
具体的には、スイッチ素子Q1がオン状態になると、交流電源Vinから供給された交流電力を整流部RFにより整流して、第2の出力端子を基準とした直流電力を第1の出力端子から出力する。整流部RFの第1の出力端子から出力される直流電流は、発光ダイオードLED1〜LEDnと、インダクタLの一端から他端と、スイッチ素子Q1と、抵抗R1と、を介して、整流部RFの第2の出力端子に流れる。これによれば、発光ダイオードLED1〜LEDnに電流が流れるので、これら発光ダイオードLED1〜LEDnが点灯する。また、インダクタLの一端から他端に電流が流れることで、インダクタLにエネルギーが蓄えられることとなる。
上述のスイッチ素子Q1に流れる電流、すなわちスイッチ素子Q1のドレイン電流は、抵抗R1に流れることで電圧変換され、比較器CMP1の非反転入力端子に入力される。ここで、スイッチ素子Q1がオン状態である期間では、インダクタLの一端から他端に流れる電流は、時間が経過するに従って増加する。また、スイッチ素子Q1がオン状態である期間では、スイッチ素子Q1のドレイン電流は、インダクタLの一端から他端に流れる電流に等しい。そして、比較器CMP1の非反転入力端子に印加される電圧は、スイッチ素子Q1のドレイン電流が増加するに従って高くなる。以上より、スイッチ素子Q1がオン状態である期間では、比較器CMP1の非反転入力端子に印加される電圧は、時間が経過するに従って高くなる。
比較器CMP1の非反転入力端子に印加される電圧が、直流電源Vrefの正極の電圧以上になると、比較器CMP1は、Hレベル電圧を出力する。一方、比較器CMP1の非反転入力端子に印加される電圧が、直流電源Vrefの正極の電圧未満になると、比較器CMP1は、Lレベル電圧を出力する。
このため、スイッチ素子Q1がオン状態である期間において、比較器CMP1の非反転入力端子に印加される電圧が、時間が経過するに従って上昇し、直流電源Vrefの正極の電圧に等しくなると、比較器CMP1がHレベル電圧を出力する。このHレベル電圧は、フリップフロップFFのリセット端子に印加され、フリップフロップFFがリセット状態になる。すると、フリップフロップFFがLレベル電圧を出力し、このLレベル電圧がスイッチ素子Q1のゲートに印加されて、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。
スイッチ素子Q1がオフ状態になると、スイッチ素子Q1がオン状態であった期間にインダクタLに蓄えられたエネルギーにより、インダクタLの一端から他端、ダイオードD1、発光ダイオードLED1〜LEDnの順に電流が流れ、発光ダイオードLED1〜LEDnが点灯する。スイッチ素子Q1がオン状態であった期間にインダクタLに蓄えられたエネルギーは、上述の順に電流が流れるに従って減少し、上述の順に流れる電流は、スイッチ素子Q1がオン状態であった期間にインダクタLに蓄えられたエネルギーが減少するに従って減少する。このため、スイッチ素子Q1がオフ状態になると、時間が経過するに従って、インダクタLの一端から他端に流れる電流が減少する。
また、スイッチ素子Q1がオフ状態になると、スイッチ素子Q1のドレイン電流が「0」になるので、比較器CMP1の非反転入力端子には、「0」が印加される。このため、比較器CMP1の非反転入力端子に印加される電圧が、直流電源Vrefの正極の電圧未満となるので、比較器CMP1がLレベル電圧を出力する。このLレベル電圧は、フリップフロップFFのリセット端子に印加され、フリップフロップFFのリセット状態が解除される。すると、クロック生成部CLKから出力される周期的な信号に同期してフリップフロップFFがHレベル電圧を出力し、このHレベル電圧がスイッチ素子Q1のゲートに印加されて、スイッチ素子Q1がオン状態になる。
なお、発光ダイオードLED1〜LEDnに流れる電流は、キャパシタC1により平滑化される。
以上のように、定電流電源装置100は、直流電源Vrefの正極の電圧、すなわち予め定められた一定の電圧と、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものと、を比較して、比較結果に応じてスイッチ素子Q1を制御する。このため、図9、10に示すように、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものが印加される比較器CMP1の非反転入力端子の電圧(図9、10のVPOSCMP1を参照)のピーク値は、一定の電圧が印加される比較器CMP1の反転入力端子の電圧(図9、10のVNEGCMP1を参照)に等しい一定の値となる。
図9は、定電流電源装置100のタイミングチャートである。VOUTRFは、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を示し、IOUTRFは、整流部RFの第1の出力端子から出力される電流を示す。VNEGCMP1は、比較器CMP1の反転入力端子の電圧を示し、VPOSCMP1は、比較器CMP1の非反転入力端子の電圧を示す。ILEDは、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれに流れる電流を示す。
また、図10は、比較器CMP1の反転入力端子の電圧VNEGCMP1と、比較器CMP1の非反転入力端子の電圧VPOSCMP1と、の関係を示す図9の部分拡大図である。
上述のように、比較器CMP1の非反転入力端子の電圧VPOSCMP1のピーク値は、比較器CMP1の反転入力端子の電圧VNEGCMP1に等しい一定の値となる。そこで、定電流電源装置100は、負荷である発光ダイオードLED1〜LEDnに定電流を供給し続けるために、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧VOUTRFが高くなるに従って、スイッチ素子Q1のオン幅を狭くして、スイッチ素子Q1のデューティ比を小さくする。
定電流電源装置100では、上述のように、比較器CMP1の非反転入力端子の電圧VPOSCMP1のピーク値を一定の値にするために、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧VOUTRFが高くなるに従って、スイッチ素子Q1のデューティ比を小さくする。このため、図9に示したように、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧VOUTRFが高くなるに従って、整流部RFの第1の出力端子から出力される電流IOUTRFが減少する。したがって、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧VOUTRFの波形と、整流部RFの第1の出力端子から出力される電流IOUTRFの波形とは、形状が大きく異なってしまい、力率が低くなってしまう。よって、力率の向上が要請されていた。
そこで、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものと比較器CMP1において比較する比較対象を、一定の電圧である直流電源Vrefの正極の電圧ではなく、入力電圧にすることが考えられる。これによれば、比較器CMP1の非反転入力端子の電圧VPOSCMP1のピーク値は、図9に示したような一定の値ではなく、入力電圧に応じて変化することになる。このため、上述のように整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧VOUTRFが高くなるに従ってスイッチ素子Q1のデューティ比を小さくする、という必要がなくなる。したがって、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧VOUTRFの波形の形状と、整流部RFの第1の出力端子から出力される電流IOUTRFの波形の形状とを、近づけることができ、力率を向上させることができる。
ところが、上述のようにして力率を向上させると、整流部RFの第1の出力端子から出力される電流IOUTRFが小さい場合と大きい場合とで、この電流IOUTRFの差分が大きくなるおそれがある。整流部RFの第1の出力端子から出力される電流IOUTRFの差分が大きくなると、定電流電源装置100から出力される出力電流の最大値と最小値との差分も大きくなるため、出力電流のピーク値と、出力電流の実効値と、の差分が大きくなってしまい、出力電流に含まれる脈流が大きくなってしまうこととなる。このため、例えば、体育館のような照明下での高速動作をする場所や、高速画像処理に用いられる発光ダイオード照明には、適さない定電流電源装置となってしまう。
上述の課題を鑑み、本発明は、力率を向上させることができ、かつ、多様な負荷に適した定電流電源装置を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、負荷(例えば、図1の発光ダイオードLED1〜LEDnに相当)に定電流を供給する定電流電源装置(例えば、図1の定電流電源装置1に相当)であって、前記負荷に流れた電流が入力端子に入力されるスイッチ素子(例えば、図1のスイッチ素子Q1に相当)と、前記スイッチ素子に流れた電流を電圧変換する電流電圧変換手段(例えば、図1の抵抗R1に相当)と、前記電流電圧変換手段により変換された電圧(例えば、図1の比較器CMP1の非反転入力端子に印加される電圧に相当)と、前記定電流電源装置の入力電圧または当該入力電圧に応じて変化する電圧(例えば、図1の比較器CMP1の反転入力端子に印加される電圧に相当)と、を比較して、比較結果に応じた比較結果信号を出力する比較手段(例えば、図1の抵抗R2、R3と、比較器CMP1と、に相当)と、前記比較結果信号に応じて前記スイッチ素子を制御する制御手段(例えば、図1のフリップフロップFFおよびクロック生成部CLKに相当)と、前記スイッチ素子に流れる電流の波高値を制限する電流制限手段(例えば、図1の電流制限部12に相当)と、を備えることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
この発明によれば、負荷に定電流を供給する定電流電源装置に、負荷に流れた電流が入力端子に入力されるスイッチ素子と、スイッチ素子に流れた電流を電圧変換する電流電圧変換手段と、比較手段と、制御手段と、を設けた。そして、比較手段により、電流電圧変換手段により変換された電圧と、定電流電源装置の入力電圧または入力電圧に応じて変化する電圧と、を比較して、比較結果に応じた比較結果信号を出力することとした。また、制御手段により、比較結果信号に応じてスイッチ素子を制御することとした。
このため、電流電圧変換手段により変換された電圧と比較手段において比較される比較対象は、一定の電圧ではなく、入力電圧または入力電圧に応じて変化する電圧になる。これによれば、電流電圧変換手段により変換された電圧のピーク値は、一定の値ではなく、入力電圧に応じて変化することになる。したがって、入力電圧が高くなるに従ってスイッチ素子のデューティ比を小さくする、という必要がない。よって、定電流電源装置の入力電圧の波形の形状と、定電流電源装置の入力電流の波形の形状と、を近づけることができ、力率を向上させることができる。
また、この発明によれば、上述の定電流電源装置に、さらに、スイッチ素子に流れる電流の波高値を制限する電流制限手段を設けた。このため、定電流電源装置の出力電流の波高値を制限して、定電流電源装置の出力電流に含まれる脈流を小さくすることができる。したがって、上述のような発光ダイオード照明を含む多様な負荷に適した定電流電源装置を提供することができる。
(2) 本発明は、(1)の定電流電源装置について、前記電流制限手段は、前記電流電圧変換手段により変換された電圧と、予め定められた基準電圧(例えば、図1の直流電源Vrefの正極の電圧に相当)と、を比較して、比較結果に応じて前記比較結果信号を補正することを特徴とする定電流電源装置を提案している。
この発明によれば、電流制限手段により、電流電圧変換手段により変換された電圧と、予め定められた基準電圧と、を比較して、比較結果に応じて比較結果信号を補正することとした。このため、スイッチ素子に流れる電流の上限値を、基準電圧に応じた値に設定することができ、スイッチ素子に流れる電流の波高値を制限することができる。
(3) 本発明は、(2)の定電流電源装置について、前記比較手段は、前記電流電圧変換手段により変換された電圧が、前記定電流電源装置の入力電圧または当該入力電圧に応じて変化する電圧以上になると、特定電圧(例えば、後述のHレベル電圧に相当)の前記比較結果信号を出力する電圧比較手段(例えば、図1の比較器CMP1に相当)を備え、前記制御手段は、前記特定電圧の前記比較結果信号が入力されると、前記スイッチ素子をオフ状態とし、前記電流制限手段は、前記電流電圧変換手段により変換された電圧が、前記基準電圧以上になると、前記制御手段に入力される前記比較結果信号の電圧を前記特定電圧にすることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
この発明によれば、比較手段に、電流電圧変換手段により変換された電圧が、定電流電源装置の入力電圧または入力電圧に応じて変化する電圧以上になると、特定電圧の比較結果信号を出力する電圧比較手段を設けた。そして、制御手段により、特定電圧の比較結果信号が入力されると、スイッチ素子をオフ状態にすることとした。また、電流制限手段により、電流電圧変換手段により変換された電圧が基準電圧以上になると、制御手段に入力される比較結果信号の電圧を特定電圧にすることとした。
このため、電流電圧変換手段により変換された電圧が基準電圧以上になると、スイッチ素子がオフ状態になる。したがって、スイッチ素子に流れる電流の上限値を、基準電圧に応じた値に設定することができ、スイッチ素子に流れる電流の波高値を制限することができる。
(4) 本発明は、(3)の定電流電源装置について、前記比較手段は、前記定電流電源装置の入力端子と、前記定電流電源装置の基準電位点と、の間に直列接続された第1抵抗(例えば、図1の抵抗R2に相当)および第2抵抗(例えば、図1の抵抗R3に相当)を備え、前記電圧比較手段は、前記電流電圧変換手段により変換された電圧と、前記第1抵抗と前記第2抵抗との接続点の電圧と、を比較して、前記比較結果信号を出力することを特徴とする定電流電源装置を提案している。
この発明によれば、比較手段に、定電流電源装置の入力端子と、定電流電源装置の基準電位点と、の間に直列接続された第1抵抗および第2抵抗を設けた。そして、電圧比較手段により、電流電圧変換手段により変換された電圧と、第1抵抗と第2抵抗との接続点の電圧と、を比較して、比較結果信号を出力することとした。
このため、第1抵抗と第2抵抗との接続点の電圧は、入力電圧に応じて変化する。したがって、入力電圧に応じて変化する電圧を用いて、スイッチ素子を制御することができる。
(5) 本発明は、(1)〜(4)のいずれかの定電流電源装置について、前記電流電圧変換手段により変換された電圧を、前記定電流電源装置の入力電圧または当該入力電圧に応じて変化する電圧に応じて補正する第1の補正手段(例えば、図6の第1補正部13に相当)を備えることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
ここで、(1)〜(4)の定電流電源装置は、電流電圧変換手段により変換された電圧と、定電流電源装置の入力電圧または入力電圧に応じて変化する電圧と、を比較手段で比較して、比較結果に応じてスイッチ素子を制御する。そして、電流電圧変換手段により変換された電圧が変化する要因として、スイッチ素子の状態が支配的である。このため、比較手段で比較される比較対象のうち一方のみが、入力依存性を有してしまい、一方の入力依存性と他方の入力依存性とが大きく乖離してしまう。その結果、定電流電源装置の出力電流が入力依存性を持ってしまう。
そこで、この発明によれば、(1)〜(4)の定電流電源装置に、さらに第1の補正手段を設けた。そして、この第1の補正手段により、電流電圧変換手段により変換された電圧を、定電流電源装置の入力電圧または入力電圧に応じて変化するに応じて補正することとした。このため、比較手段で比較される比較対象の双方が、入力依存性を有することになるので、一方の入力依存性と他方の入力依存性とを打ち消し合わせることができる。したがって、定電流電源装置の出力電流が入力依存性を持ってしまうのを改善できる。
(6) 本発明は、(1)〜(5)のいずれかの定電流電源装置について、前記比較手段により比較される前記定電流電源装置の入力電圧または当該入力電圧に応じて変化する電圧を、前記スイッチ素子のオン幅またはオフ幅に応じて補正する第2の補正手段(例えば、図1の第2補正部11に相当)を備えることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
ここで、負荷にばらつきがあったり、負荷に変動があったりすると、スイッチ素子に流れる電流にばらつきが生じ、負荷に供給する定電流にばらつきが生じてしまうおそれがある。
そこで、この発明によれば、(1)〜(5)の定電流電源装置に、さらに第2の補正手段を設けた。そして、この第2の補正手段により、比較手段により比較される定電流電源装置の入力電圧または入力電圧に応じて変化する電圧を、スイッチ素子のオン幅またはオフ幅に応じて補正することとした。このため、負荷の状態に応じてスイッチ素子のオン幅またはオフ幅を制御することで、負荷の状態に応じて、比較手段により比較される定電流電源装置の入力電圧または当該入力電圧に応じて変化する電圧を補正して、スイッチ素子の制御を調節できる。したがって、負荷に供給する定電流にばらつきが生じてしまうのを抑制できる。
(7) 本発明は、(6)の定電流電源装置について、前記第2の補正手段は、前記スイッチ素子のオン幅が広くなるに従って補正値を大きく設定して、当該補正値を、前記比較手段により比較される前記定電流電源装置の入力電圧または当該入力電圧に応じて変化する電圧に、加算することを特徴とする定電流電源装置を提案している。
この発明によれば、第2の補正手段により、スイッチ素子のオン幅が広くなるに従って補正値を大きく設定して、この補正値を、比較手段により比較される定電流電源装置の入力電圧または入力電圧に応じて変化する電圧に、加算することとした。このため、スイッチ素子のオン幅またはオフ幅に応じてスイッチ素子の制御を調整でき、負荷に供給する定電流にばらつきが生じてしまうのを抑制できる。
本発明によれば、力率を向上させることができるとともに、多様な負荷に適した定電流電源装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
<第1実施形態>
[定電流電源装置1の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置1の回路図である。定電流電源装置1は、図8に示した従来例に係る定電流電源装置100とは、第2補正部11と、電流制限部12と、抵抗R2、R3と、を備える点が異なる。なお、定電流電源装置1において、定電流電源装置100と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
抵抗R2と抵抗R3とは、直列接続されており、抵抗R2の一端には、整流部RFの第1の出力端子が接続され、抵抗R3の他端には、定電流電源装置1の基準電位点に相当する整流部RFの第2の出力端子が接続される。抵抗R2と抵抗R3との接続点、すなわち抵抗R2の他端と抵抗R3の一端とには、比較器CMP1の反転入力端子が接続される。
第2補正部11は、抵抗R4、R5と、キャパシタC2と、を備える。抵抗R5とキャパシタC2とは、直列接続されており、抵抗R5の一端には、スイッチ素子Q1のゲートが接続され、キャパシタC2の他方の電極には、整流部RFの第2の出力端子が接続される。抵抗R5の他端と、キャパシタC2の一方の電極とには、抵抗R4を介して、抵抗R2と抵抗R3との接続点が接続される。
電流制限部12は、論理和ORと、比較器CMP2と、直流電源Vrefと、を備える。論理和ORの出力端子には、フリップフロップFFのリセット端子が接続される。論理和ORの2つの入力端子のうち、一方には、比較器CMP1の出力端子が接続され、他方には、比較器CMP2の出力端子が接続される。比較器CMP2の非反転入力端子には、スイッチ素子Q1のソースが接続され、比較器CMP2の反転入力端子には、直流電源Vrefの正極が接続される。直流電源Vrefの負極は、接地されている。
[定電流電源装置1の第2補正部11による動作]
以上の構成を備える定電流電源装置1は、スイッチ素子Q1のドレイン電流と、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものと、に応じて、スイッチ素子Q1を制御することで、定電流制御を行う。さらに、定電流電源装置1は、第2補正部11により、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものを、スイッチ素子Q1のオン幅に応じて補正する。
具体的には、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧は、抵抗R2と抵抗R3とで分圧され、比較器CMP1の反転入力端子に印加される。また、スイッチ素子Q1のゲート電圧により、抵抗R5を介してキャパシタC2に充電され、キャパシタC2の端子間電圧が抵抗R4を介して比較器CMP1の反転入力端子に印加される。このため、比較器CMP1の反転入力端子の電圧は、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものに、キャパシタC2の端子間電圧を足し合わせたもの(以降、「合算電圧」と呼ぶ)に等しくなる。
ここで、スイッチ素子Q1は、ゲートにHレベル電圧が印加されるとオン状態になる。このため、スイッチ素子Q1のゲート電圧により充電されるキャパシタC2の端子間電圧は、スイッチ素子Q1がオン状態である時間が長くなるに従って、上昇する。したがって、キャパシタC2の端子間電圧は、スイッチ素子Q1のオン幅に応じて変化することになる。よって、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものは、スイッチ素子Q1のオン幅に応じて変化するキャパシタC2の端子間電圧を加算されるので、スイッチ素子Q1のオン幅に応じて補正されると言い得る。また、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものの補正値は、スイッチ素子Q1のオン幅が広くなるに従って大きくなると言い得る。
また、スイッチ素子Q1のドレイン電流は、抵抗R1に流れることで電圧変換され、比較器CMP1の非反転入力端子に入力される。このため、比較器CMP1の非反転入力端子の電圧は、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものに等しくなる。
そして、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものが、合算電圧以上であれば、比較器CMP1がHレベル電圧を出力する。このHレベル電圧は、論理和ORを介してフリップフロップFFのリセット端子に印加され、フリップフロップFFがリセット状態になる。すると、フリップフロップFFがLレベル電圧を出力し、このLレベル電圧がスイッチ素子Q1のゲートに印加されて、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。
一方、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものが、合算電圧未満であれば、比較器CMP1がLレベル電圧を出力する。ここで、後述の比較器CMP2からもLレベル電圧が出力されていれば、論理和ORを介してフリップフロップFFのリセット端子にLレベル電圧が印加され、フリップフロップFFのリセット状態が解除される。すると、クロック生成部CLKから出力される周期的な信号に同期してフリップフロップFFがHレベル電圧を出力し、このHレベル電圧がスイッチ素子Q1のゲートに印加されて、スイッチ素子Q1がオン状態になる。
ここで、まず、第2補正部11が設けられていない場合について、図11を用いて以下に説明する。
図11は、図8に示した従来例に係る定電流電源装置100のタイミングチャートである。より具体的には、図11の(a)は、定負荷時における定電流電源装置100のタイミングチャートであり、図11の(b)は、図11の(a)と比べて負荷が軽い軽負荷時における定電流電源装置100のタイミングチャートである。ここで、負荷が軽いとは、例えば、直列接続された複数の発光ダイオードLED1〜LEDnの数が少なくなったり、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれの立上がり電圧が低くなったりするということである。IDQ1は、スイッチ素子Q1のドレイン電流を示す。ILは、インダクタLの一端から他端に流れる電流を示し、AVE_ILは、インダクタLの一端から他端に流れる電流ILの平均値、すなわちインダクタLの平均電流を示す。
負荷が軽くなるに従って、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1の単位時間あたりの増加率が上昇する。このため、図11の(b)の時刻t16〜t17の期間におけるスイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1の傾きは、図11の(a)の時刻t11〜t12の期間におけるスイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1の傾きと比べて、大きくなっている。
ここで、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1は、インダクタLの一端から他端に流れる電流ILに等しい。このため、図11の(b)の時刻t16〜t17の期間におけるインダクタLの一端から他端に流れる電流ILの傾きも、図11の(a)の時刻t11〜t12の期間におけるインダクタLの一端から他端に流れる電流ILの傾きと比べて、大きくなっている。その結果、図11の(a)と(b)とでは、インダクタLの平均電流AVE_ILに誤差が生じてしまい、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれに供給する定電流に誤差が生じてしまう。
以上のように、第2補正部11が設けられていない定電流電源装置100では、負荷の変動に応じて、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1の単位時間あたりの増加率が変化してしまい、その結果、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれに供給される定電流にばらつきが生じてしまう場合があった。
次に、第2補正部11が設けられている場合について、図2を用いて以下に説明する。
図2は、定電流電源装置1のタイミングチャートである。より具体的には、図2の(a)は、定負荷時における定電流電源装置1のタイミングチャートであり、図2の(b)は、図2の(a)と比べて負荷が軽い軽負荷時における定電流電源装置1のタイミングチャートである。VGSQ1は、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧を示し、VC2は、キャパシタC2の端子間電圧を示す。
定電流電源装置1は、発光ダイオードLED1〜LEDnに定電流を供給するために、負荷が軽くなるに従って、スイッチ素子Q1のオン幅を狭くする。また、キャパシタC2は、スイッチ素子Q1のゲート電圧により充電されるため、キャパシタC2の端子間電圧VC2は、スイッチ素子Q1のオン幅が広くなるに従って高くなる。
以上によれば、定負荷時におけるキャパシタC2の端子間電圧VC2は、軽負荷時におけるキャパシタC2の端子間電圧VC2と比べて、高くなる。
キャパシタC2の端子間電圧VC2が高くなると、合算電圧が高くなるので、比較器CMP1の反転入力端子の電圧VNEGCMP1も高くなる。すると、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものが取り得る最大値が大きくなるので、この電圧が印加される比較器CMP1の非反転入力端子の電圧VPOSCMP1のピーク値は、大きくなる。
以上によれば、定負荷時におけるスイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1のピーク値は、軽負荷時におけるスイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1のピーク値と比べて、大きくなる。
また、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDQ1のピーク値が大きくなると、インダクタLの一端から他端に流れる電流ILのピーク値も大きくなり、インダクタLの平均電流AVE_ILが増加する。
以上のように、定電流電源装置1は、キャパシタC2を含む第2補正部11により、スイッチ素子Q1のオン幅が広くなるに従って、言い換えると負荷が重くなるに従って、キャパシタC2の端子間電圧VC2を高くする。ここで、キャパシタC2の端子間電圧VC2は、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものに足し合わされる。このため、定電流電源装置1は、キャパシタC2を含む第2補正部11により、スイッチ素子Q1のオン幅が広くなるに従って、言い換えると負荷が重くなるに従って、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものの補正値を大きく設定すると言い得る。
このため、第2補正部11が設けられている定電流電源装置1では、負荷の状態に応じて、インダクタLの平均電流AVE_ILが補正されることとなり、図2に示したように、負荷の状態が異なっていても、インダクタLの平均電流AVE_ILが等しくなる。したがって、負荷が変動しても、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれに供給される定電流には、ばらつきが生じない。
[定電流電源装置1の電流制限部12による動作]
また、定電流電源装置1は、電流制限部12により、スイッチ素子Q1のドレイン電流のピーク値の最大値を制限して、定電流電源装置1の出力電流の波高値を制限する。
具体的には、スイッチ素子Q1のドレイン電流は、抵抗R1に流れることで電圧変換され、比較器CMP1の非反転入力端子だけでなく、比較器CMP2の非反転入力端子にも入力される。このため、比較器CMP2の非反転入力端子の電圧は、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものに等しくなる。一方、比較器CMP2の反転入力端子の電圧は、直流電源Vrefの正極の電圧に等しく、一定である。
このため、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものが、直流電源Vrefの正極の電圧未満であれば、比較器CMP2がLレベル電圧を出力する。すると、論理和ORからは、比較器CMP1から出力される電圧レベルの電圧が出力され、比較器CMP1から出力される電圧に応じて、上述のようにスイッチ素子Q1がオン状態になったりオフ状態になったりする。
一方、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものが、直流電源Vrefの正極の電圧以上であれば、比較器CMP2がHレベル電圧を出力する。すると、論理和ORからは、比較器CMP1から出力される電圧によらず、Hレベル電圧が出力され、フリップフロップFFがリセット状態になり、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。これによれば、スイッチ素子Q1のドレイン電流のピーク値の最大値が制限されることとなる。
ここで、まず、電流制限部12が設けられていない場合について、図12、13を用いて以下に説明する。
図12は、定電流電源装置1に電流制限部12が設けられていない場合について説明するための定電流電源装置200の回路図である。定電流電源装置200は、定電流電源装置1とは、電流制限部12が設けられていない点が異なる。なお、定電流電源装置200において、定電流電源装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
定電流電源装置200には、上述のように電流制限部12が設けられておらず、比較器CMP1の出力端子には、直接、フリップフロップFFのリセット端子が接続される。
以上の定電流電源装置200は、スイッチ素子Q1のドレイン電流と、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものと、に応じて、スイッチ素子Q1を制御することで、定電流制御を行うとともに、第2補正部11により、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものを、スイッチ素子Q1のオン幅に応じて補正する。このため、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したもののピーク値は、合算電圧に等しくなる。したがって、図13に示すように、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものが印加される比較器CMP1の非反転入力端子の電圧VPOSCMP1のピーク値は、合算電圧が印加される比較器CMP1の反転入力端子の電圧VNEGCMP1に等しくなる。
次に、電流制限部12が設けられている場合について、図3、4を用いて以下に説明する。
図3は、定電流電源装置1のタイミングチャートであり、図4は、比較器CMP1の反転入力端子の電圧VNEGCMP1と、比較器CMP1の非反転入力端子の電圧VPOSCMP1と、の関係を示す図3の部分拡大図である。V1は、直流電源Vrefの正極の電圧、すなわち比較器CMP2の反転入力端子に印加される電圧を示す。
時刻t1〜t2の期間や、時刻t3〜t4の期間では、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものが、直流電源Vrefの正極の電圧V1未満である。このため、比較器CMP2がLレベル電圧を出力し、比較器CMP1から出力される電圧に応じて、上述のようにスイッチ素子Q1がオン状態になったりオフ状態になったりする。したがって、比較器CMP1の非反転入力端子の電圧VPOSCMP1のピーク値は、比較器CMP1の反転入力端子の電圧VNEGCMP1に等しくなる。
ここで、比較器CMP1の反転入力端子の電圧VNEGCMP1は、上述の合算電圧に等しい。この合算電圧は、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものに、スイッチ素子Q1のゲート電圧により充電されるキャパシタC2の端子間電圧を足し合わせたものである。整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧は、スイッチ素子Q1のゲート電圧と比べて、十分に大きい。このため、合算電圧は、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧と同様に変化する。具体的には、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧が正弦波状に変化すれば、合算電圧も正弦波状に変化する。
これに対して、時刻t2〜t3の期間では、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものが、直流電源Vrefの正極の電圧V1まで上昇する。すると、比較器CMP2がHレベル電圧を出力し、比較器CMP1から出力される電圧によらず、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。このため、比較器CMP1の非反転入力端子の電圧VPOSCMP1のピーク値の最大値は、電圧V1で制限され、スイッチ素子Q1のドレイン電流のピーク値の最大値が制限される。これによれば、定電流電源装置1の出力電流の波高値が制限されることとなる。したがって、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれに流れる電流ILEDの波高値も制限される。
以上の定電流電源装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
定電流電源装置1は、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものと、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものと、を比較器CMP1により比較して、比較結果に応じてスイッチ素子Q1を制御する。このため、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものと比較器CMP1において比較される比較対象は、一定の電圧ではなく、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したもの、すなわち入力電圧に応じて変化する電圧になる。これによれば、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したもののピーク値は、一定の値ではなく、入力電圧に応じて変化することになる。したがって、入力電圧が高くなるに従ってスイッチ素子のデューティ比を小さくする、という必要がない。よって、定電流電源装置1の入力電圧の波形の形状と、定電流電源装置1の入力電流の波形の形状と、を近づけることができ、力率を向上させることができる。
また、定電流電源装置1は、電流制限部12により、スイッチ素子Q1のドレイン電流のピーク値の最大値を制限して、定電流電源装置1の出力電流の波高値を制限する。このため、定電流電源装置1の出力電流のピーク値と実効値との差分を小さくして、定電流電源装置1の出力電流に含まれる脈流を小さくすることができる。したがって、上述のような発光ダイオード照明を含む多様な負荷に適した定電流電源装置を提供することができる。
また、定電流電源装置1は、第2補正部11により、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものを、スイッチ素子Q1のオン幅に応じて補正する。また、定電流電源装置1は、発光ダイオードLED1〜LEDnに対して定電流を供給するために、負荷が軽くなるに従って、スイッチ素子Q1のオン幅を狭くする。以上より、負荷の状態に応じて、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものを補正して、スイッチ素子Q1の制御を調節できる。このため、負荷が変動しても、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれに供給する定電流にばらつきが生じてしまうのを抑制できる。
<第2実施形態>
[定電流電源装置1Aの構成]
図6は、本発明の第2実施形態に係る定電流電源装置1Aの回路図である。定電流電源装置1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置1とは、第1補正部13を備える点が異なる。なお、定電流電源装置1Aにおいて、定電流電源装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
第1補正部13は、抵抗R6、R7、R8を備える。抵抗R6と抵抗R7とは、直列接続されており、抵抗R6の一端には、スイッチ素子Q1のソースが接続され、抵抗R7の他端には、整流部RFの第2の出力端子が接続される。抵抗R6と抵抗R7との接続点、すなわち抵抗R6の他端と抵抗R7の一端とには、抵抗R8を介して整流部RFの第1の出力端子が接続されるとともに、比較器CMP1の反転入力端子が接続される。
[定電流電源装置1Aの動作]
以上の構成を備える定電流電源装置1Aは、第1補正部13により、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものを、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧に応じて補正する。
具体的には、スイッチ素子Q1のドレイン電流は、抵抗R1に流れることで電圧変換された後に、抵抗R6と抵抗R7とで分圧され、比較器CMP1の非反転入力端子と、比較器CMP2の非反転入力端子と、に入力される。これら比較器CMP1の非反転入力端子と、比較器CMP2の非反転入力端子とには、抵抗R8を介して整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧も、印加される。このため、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものは、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧に応じて補正されると言い得る。
ここで、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧は、入力電圧に応じて変化する。このため、定電流電源装置1Aでは、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものは、入力依存性を有することとなる。そして、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものは、比較器CMP1の非反転入力端子に印加される。したがって、比較器CMP1の非反転入力端子の電圧は、入力依存性を有することになる。
一方、比較器CMP1の反転入力端子には、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものが印加される。このため、比較器CMP1の反転入力端子の電圧も、入力依存性を有することになる。
ここで、まず、第1補正部13が設けられていない場合について、図5を用いて以下に説明する。
図5は、図1に示した本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置1のタイミングチャートである。より具体的には、図5の(a)は、入力電圧が低い場合における定電流電源装置1のタイミングチャートであり、図5の(b)は、図5の(a)と比べて入力電圧が高い場合における定電流電源装置1のタイミングチャートである。
定電流電源装置1には、第1補正部13が設けられていない。このため、比較器CMP1の非反転入力端子の電圧が変化する要因として、スイッチ素子Q1の状態が支配的である。したがって、比較器CMP1の反転入力端子の電圧のみが入力依存性を有してしまい、比較器CMP1の非反転入力端子の入力依存性と、比較器CMP1の反転入力端子の入力依存性と、が大きく乖離してしまう。よって、定電流電源装置1では、出力電流が入力依存性を持ってしまう。
次に、第1補正部13が設けられている場合について、図7を用いて以下に説明する。
図7は、定電流電源装置1Aのタイミングチャートである。より具体的には、図7の(a)は、入力電圧が低い場合における定電流電源装置1Aのタイミングチャートであり、図7の(b)は、図7の(a)と比べて入力電圧が高い場合における定電流電源装置1Aのタイミングチャートである。
定電流電源装置1Aには、第1補正部13が設けられている。このため、上述のように、比較器CMP1の反転入力端子および非反転入力端子の双方が、入力依存性を有しており、比較器CMP1の非反転入力端子の入力依存性と、比較器CMP1の反転入力端子の入力依存性と、が打ち消し合うことになる。したがって、定電流電源装置1Aでは、出力電流が入力依存性を持ってしまうのが改善される。
以上の定電流電源装置1Aによれば、定電流電源装置1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
定電流電源装置1Aは、第1補正部13により、スイッチ素子Q1のドレイン電流を電圧変換したものを、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧に応じて補正する。このため、比較器CMP1の非反転入力端子の入力依存性と、比較器CMP1の反転入力端子の入力依存性と、を打ち消し合わせることができる。したがって、出力電流が入力依存性を持ってしまうのを改善することができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、上述の各実施形態では、整流部RFの第1の出力端子から出力される電圧を抵抗R2と抵抗R3とで分圧したものを、スイッチ素子Q1のオン幅に応じて補正するものとしたが、これに限らず、スイッチ素子Q1のオフ幅に応じて補正するものとしてもよい。