JP5685081B2 - マトリックスメタロプロテネース9遺伝子選択的発現抑制剤 - Google Patents

マトリックスメタロプロテネース9遺伝子選択的発現抑制剤 Download PDF

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Description

本発明はマトリックスメタロプロテネース9(以下MMP−9とも言う)遺伝子発現抑制剤、マトリックスメタロプロテネース9関連疾患の治療薬及び制癌剤に関する。より詳細には特定の構造を有するピロールイミダゾールポリアミド(以下PIPとも言う)を含んでなる薬剤に関する。
がんの形成と進行に腫瘍の周囲の環境が極めて重要な役割を果たすことを示唆する知見がある。特にマトリックスメタロプロテネース(以下MMPとも言う)は、細胞外マトリックスを分解することで腫瘍を周囲環境の制御から離脱させることで、細胞の増殖、浸潤、播種、転移を可能にすると示唆されている。
MMPは5つのグループに大別され、少なくとも28のサブタイプが存在することが分かっている。共通した特徴として活性部位に亜鉛イオンの結合部位があること、活性に2価のカルシウムイオンが必要であること、共通の一次構造を持っていること、そして潜在型で産生され、自分自身或いは他の酵素で切断されることにより活性化されることが挙げられる。MMP遺伝子の発現は、大きく誘導型と恒常型の2つに分けられる。誘導型にはマトリックスメタロプロテネース−1、3、7、9、11、12、13等が属し、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)や炎症性サイトカイン、増殖因子などで誘導され、主として繊維芽細胞で産生される。遺伝子の発現は、そのプロモーター部分に作用する転写因子によって制御されるが、誘導型のプロモーターには、恒常型には見られない増殖因子によって誘導される転写因子ETSの結合部位やこれにより活性化され、転写因子のAP−1の結合部位TREが存在する。このMMPの中でもIV、V、VII、X型コラーゲンとフィブロネクチンを分解するゼラチナーゼA及びB(以下GelatinaseA及びBもしくはMMP−2及びMMP−9とも言う)は腫瘍の血管新生に関与し、腫瘍浸潤、腫瘍転移や腫瘍の悪性化にも関与すると報告されている。更にゼラチナーゼの阻害作用を持つTIMP−1とTIMP−2もMMPの内在性阻害因子として癌への関与が示唆されている。MMP−2とMMP−9は腫瘍、特に悪性度の高い癌で高発現が見られたという報告が多く見られ、MMP−9が腫瘍浸潤と血管新生に対し重要な働きを示すことが培養細胞、および生体で証明されている(非特許文献1及び2)。
92−kDaのコラゲナーゼIV型MMP−9(或いはゼラチナーゼB(gelatinaseB)とも呼ばれる)が宿主マクロファージの細胞表面で発現すると、異種移植した癌細胞の増殖と浸潤が促進され、MMP−9の発現しないMMP−9ノックアウト宿主マクロファージでは増殖浸潤が抑えられた。また、MMP−2、MMP−9、MMP−14を特異的に阻害するBPHA(MMP阻害薬)は癌細胞を移植した皮下チャンバーで血管新生を抑制した。
ヒト卵巣癌細胞を注射されたMMP−9ノックアウト(−/−)マウスはMMP−9野生型(+/+)マウスより統計的に有意に低下した腫瘍発生率及び腫瘍増殖性を示した。また、早期段階のメラノーマ細胞株ではMMP−9の発現はなく、これらの細胞が腫瘍増殖因子(TGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン−1(IL−1)、及び組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)の誘導後、MMP−9発現のみだけでなく、大量のMMP−9分泌が誘導される。これらの事実及び実験動物での腫瘍、炎症抑制効果より、癌における劇的なMMP−9の大量発現はがん細胞の潜在的な浸潤及び転移に重要な役割を果たしていることを示唆している。従って、MMP−9は、潜在的な新しい薬剤のターゲットであることが示唆される。このような知見により、MMP阻害剤が開発され臨床試験が行われている。しかし、MMP阻害剤marimastat(BB−2516)の臨床試験の失敗により、MMP阻害剤の民間レベルでの開発は遅れている。
このmarimastatは、広範囲のメタプロテネース阻害剤(金属酵素を広く阻害する金属酵素阻害剤)で、臨床試験では筋肉痛、関節痛の副作用が見られ実用化には到らなかった。多数のMMP活性阻害剤が作成され、臨床試験へ進もうとしていたが、marimastat同様に副作用のため見送られている。MMP類が構造や性質上共通の特徴をもつため単独のサブタイプに対する特異的な小分子阻害剤の開発は困難である。また、最近の研究で一部のMMPは細胞内に存在し、細胞内タンパク質の分解にも関与していることが判明しており、単純にMMP類を阻害することによる副作用の問題は避けられないかもしれない。しかし、特定のMMPのみを病変細胞特異的に適度にノックダウンし、しかも限定した部位で使用するのであれば副作用の問題も最小限に抑えられるか若しくは臨床的に問題ないレベルになる可能性は残されているものと考えられる。
ピロールイミダゾールポリアミドは抗生物質であるduocarmycin−Aとdistamycin−AがDNAを塩基特異的に認識することを基に、Dervanらにより見出された化学合成物質である(特許文献1、非特許文献3、非特許文献4)。PIPは二本鎖DNAを塩基配列特異的に認識し、DNA二重螺旋構造のマイナーグルーブに結合することから、標的遺伝子の発現を特異的に制御する事が可能である(非特許文献4)。また、PIPは、これまでの遺伝子発現制御薬であるアンチセンス・リボザイム・siRNA等と異なり、生体内において核酸分解酵素によって分解されず、核酸への結合能が高いことから、新規の分子標的治療薬として、抗癌剤等への臨床応用が期待されるところである。
逆遺伝学による遺伝子機能の不活性化の手法は、ある特定の遺伝子の機能を解析するために用いられるものであるが、一方でウイルス感染、癌、及び遺伝子の異常発現に基づくその他の疾病の治療にも大きな可能性を開いている。すなわち、遺伝子機能の不活性化を、相同的組換えによりDNAレベルで、又はアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドやリボザイムによりRNAレベルで実施することができることが知られている。しかし、相同組換えは組換え効率が一般に低く一部の細胞でしか効果がみられない、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドやリボザイムの手法は、ターゲットとする配列に制約があり、組織、細胞への移行が悪く、リボヌクレアーゼにより分解されやすいという課題があった。
一方、アンチセンス試薬やリボザイムのような(デオキシ)リボヌクレオチド試薬とは異なり、ピロールイミダゾールポリアミド類が、DNAの塩基配列を特異的に認識し、特定遺伝子の発現を細胞外からコントロールすることができることが報告されている。
ピロールイミダゾールポリアミド(以下Py−Imポリアミドとも言う)は一群の合成小分子であり、芳香族環であるN−メチルピロール単位(以下Pyとも言う)及びN−メチルイミダゾール単位(以下Imとも言う)から構成されている(特許文献1、非特許文献3)。Py及びImは連続してカップリングし折りたたむことによりγ−アミノ酪酸の存在下でU字型のコンフォメーションを採ることができる。本発明に係るピロールイミダゾールポリアミドにおいて、N−メチルピロール単位(Py)、N−メチルイミダゾール単位(Im)及びγ−アミノ酪酸単位(γリンカーとも言う)は互いにアミド結合(−C(=O)−NH−)で連結されており、その一般構造及び製造方法は公知である(特許文献2〜4)。
このような合成ポリアミドは二重らせんDNAの副溝(マイナーグルーブ)中の特定の塩基対に高い親和性と特異性を以って結合することができる。塩基対の特異的認識はPyとImとの1対1の対形成に依存している。即ち、DNAの副溝内でのU字型コンフォメーションにおいて、Py/Im対はC−G塩基対を標的とし、Im/PyはG−C塩基対を標的とし、そしてPy/PyはA−T塩基対及びT−A塩基対の両方を標的とする(非特許文献3)。最近の研究によればA−T縮合はPy/Py対の一つのピロール環を3−ヒドロキシピロール(Hp)で置換した結果としてHp/Pyが優先的にT/A対に結合することによって克服することができることがわかっている。
一般的には転写の開始が遺伝子制御の重要なポイントであると考えられている。転写の開始には遺伝子プロモーター領域において特異的な認識配列に結合する転写因子が複合体を形成し、その複合体がDNA配列と結合するいくつかの過程を必要とする。副溝中のポリアミドは、もし転写因子もしくは、複合体の特定配列への結合が遺伝子発現において重要であれば、転写因子もしくはその複合体の結合を遮断して遺伝子の調節に干渉する可能性がある。この仮説はin vitro及びin vivoで証明されている。ジンクフィンガーの認識部位(TFIIIAの結合部位)の内部に結合した8員環Py−Imポリアミドは5SRNA遺伝子の転写を阻害した。ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)プロモーター中の転写因子配列に隣接する塩基対に結合するポリアミド類は、ヒト細胞におけるHIV−1複製を阻害する。これらの配列にはTATAボックス、リンパ系エンハンサー因子LEF−1配列、及びETS−1配列が包含される。これとは対照的に、ポリアミドはまた、リプレッサー因子を遮断することによって、又は生来の転写因子を置換することによって、遺伝子発現を活性化する。ヒトサイトメガロウイルス(CMV)UL122仲介初期タンパク質2(IE86)は、プロモーターにRNAポリメラーゼIIを補充することを遮断し、その関連遺伝子の転写を抑制する。合成ポリアミドはIE86の抑制を遮断しその対応遺伝子の発現を開放することができる。Mappらにより設計されたポリアミドは人工転写因子として作用し、遺伝子転写反応を仲介する。
WO98/49142 A1 特許第3045706号 特開2001−136974 WO03/000683 A1
Katori et al: J. Surg. Oncol. 93, 2006, 80-85 Lakka et al: J. Biol.Chem.280 (23), 2005, 21882-21892 Sugiyama et al: Proc Natl Acad Sci U S A. 1996;93:14405-14410 Dervan: Bioorg Med. Chem.2001;9:2215-35
先に述べたアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドやリボザイムの手法は、ターゲットとする配列に制約があり、組織、細胞への移行が悪く、リボヌクレアーゼにより分解されやすいという課題があった。これまでに、マトリックスメタロプロテネース9の遺伝子塩基配列に結合するピロール−イミダゾールポリアミドを用いたマトリックスメタロプロテネース9遺伝子発現抑制剤又はマトリックスメタロプロテネース9関連疾患の治療薬についての報告はない。
本発明者らは、マトリックスメタロプロテネース9(MMP9)のプロモーターの特定の領域に特異的に結合してマトリックスメタロプロテネース9遺伝子の発現を阻害することができるピロールイミダゾールポリアミドの開発とその薬理効果について鋭意研究した。そこで、本発明者らは、ヒトマトリックスメタロプロテネース9(以下hMMP−9ともいう)遺伝子の発現を阻害することができ、且つ治療薬として役立ち得る化合物を得るべく、マトリックスメタロプロテネース9遺伝子プロモーターの様々な断片を標的とするポリアミド類のうち、MMP−9遺伝子の653塩基までの上流にあるプロモーター調節領域、図1、配列番号1で表わされる配列のうち−653〜−24の領域中、AP−1結合領域及びGT box 調節領域を含む領域、好ましくは、−84〜−24の領域(配列番号2)、より好ましくは−77〜−70(図2、配列番号3)の領域に結合する化合物及びNF−κB結合領域を含む領域、好ましくは、−615〜−553の領域(配列番号4)、より好ましくは−605〜−599の領域(図3、配列番号5)に結合する化合物が、ヒトMMP−9遺伝子プロモーターの活性を有意に阻害し、ヒト乳腺癌細胞であるMDA−MB−231細胞においてヒトMMP−9遺伝子の発現をダウンレギュレートすることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)N−メチルピロール単位、N−メチルイミダゾール単位及びγ−アミノ酪酸単位を含むピロールイミダゾールポリアミドであって、ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子プロモーターの塩基配列−84〜−24(配列番号2)の一部又は全部とこれに対する相補鎖を含む二重らせん領域(以下標的領域と言う)の副溝内において、前記γ−アミノ酪酸単位の部位で折りたたまれてU字型のコンフォメーションをとることができ、C−G塩基対に対してはPy/Im対が、G−C塩基対に対してはIm/Py対が、A−T塩基対及びT−A塩基対に対してはいずれもPy/Py対がそれぞれ対応する、上記ピロールイミダゾールポリアミドを含んでなる薬剤。
(2)更にβアラニン単位を含む上記(1)に記載の薬剤。
(3)更にフルオレセインイソチオシアネート(以下FITCとも言う)単位を含む上記(1)に記載の薬剤。
(4)ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子発現抑制のための上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の薬剤。
(5)ヒトマトリックスメタロプロテネース9関連疾患の治療のための上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の薬剤。
(6)制癌剤として用いるための上記(5)に記載の薬剤。
(7)前記標的領域がヒトマトリックスメタロプロテネース9プロモーターの塩基配列−77〜−70(配列番号3)の一部又は全部とこれに対する相補鎖を含む二重らせん領域である上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の薬剤。
(8)前記ピロールイミダゾールポリアミドが下式で表される上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の薬剤。
Figure 0005685081

(9)下式で表されるピロールイミダゾールポリアミド。
Figure 0005685081

(10)N−メチルピロール単位、N−メチルイミダゾール単位及びγ−アミノ酪酸単位を含むピロールイミダゾールポリアミドであって、ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子プロモーターの塩基配列−615〜−553(配列番号4)の一部又は全部とこれに対する相補鎖を含む二重らせん領域の副溝内において、前記γ−アミノ酪酸単位の部位で折りたたまれてU字型のコンフォメーションをとることができ、C−G塩基対に対してはPy/Im対が、G−C塩基対に対してはIm/Py対が、A−T塩基対及びT−A塩基対に対してはいずれもPy/Py対がそれぞれ対応する、上記ピロールイミダゾールポリアミドを含んでなる薬剤。
(11)更にβアラニン単位を含む上記(10)に記載の薬剤。
(12)更にフルオレセインイソチオシアネート(以下FITCとも言う)単位を含む上記(10)に記載の薬剤。
(13)ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子発現抑制のための上記(10)〜(12)のいずれか一項に記載の薬剤。
(14)ヒトマトリックスメタロプロテネース9関連疾患の治療のための上記(10)〜(12)のいずれか一項に記載の薬剤。
(15)制癌剤として用いるための上記(14)に記載の薬剤。
(16)前記標的領域がヒトマトリックスメタロプロテネース9プロモーターの塩基配列−605〜−599(配列番号5)の一部又は全部とこれに対する相補鎖を含む二重らせん領域である上記(10)〜(15)のいずれか一項に記載の薬剤。
(17)前記ピロールイミダゾールポリアミドが下式で表される上記(10)〜(16)のいずれか一項に記載の薬剤。
Figure 0005685081

(18)下式で表されるピロールイミダゾールポリアミド。
Figure 0005685081

(19)上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の薬剤及び上記(10)〜(17)のいずれか一項に記載の薬剤、並びに薬剤として許容される担体を含む、医薬組成物。
(20)上記(9)及び上記(18)に記載のピロールイミダゾールポリアミド、並びに薬剤として許容される担体を含む薬剤。
(21)前記ピロールイミダゾールポリアミドの末端のカルボキシル基がアミドを形成している上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の薬剤。
(22)前記アミドがメチルアミノプロピルアミン又はN、N−ジメチルアミノプロピルアミンとのアミドである上記(21)に記載の薬剤。
(23)前記ピロールイミダゾールポリアミドの末端のカルボキシル基がアミドを形成している上記(10)〜(17)のいずれか一項に記載の薬剤。
(24)前記アミドがメチルアミノプロピルアミン又はN、N−ジメチルアミノプロピルアミンとのアミドである上記(23)に記載の薬剤。
(25)下式で表されるピロールイミダゾールポリアミド。
Figure 0005685081

(26)下式で表されるピロールイミダゾールポリアミド。
Figure 0005685081

(27)基礎実験の試薬として用いる上記(9)、(18)、(25)及び(26)に記載のピロールイミダゾールポリアミド。
本発明によれば、遺伝子発現を特異的に抑制することができるので化学療法剤のような副作用がなく、また化合物であるのでリボヌクレアーゼにより分解されるという欠点もない、マトリックスメタロプロテネース9遺伝子発現抑制のための薬剤、マトリックスメタロプロテネース9遺伝子関連疾患の治療のための薬剤及び制癌剤を得ることができる。さらに、本発明によれば、この遺伝子を用いた基礎実験の試薬を得ることができる。
ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子プロモーター領域の塩基配列を示す。 本発明のピロールイミダゾールポリアミドHMMP9AP1のヒトMMP−9プロモーター配列上の結合部位を示す。 本発明のピロールイミダゾールポリアミドHMMP9NFκβのヒトMMP−9プロモーター配列上の結合部位を示す。 本発明のピロールイミダゾールポリアミドHMMP9AP1を示す。 本発明のピロールイミダゾールポリアミドHMMP9AP1−FITCを示す。 本発明のピロールイミダゾールポリアミドHMMP9NFκβを示す。 本発明のピロールイミダゾールポリアミドHMMP9NFκβ−FITCを示す。 HMMP9AP1を用いたゲルシフト分析(EMSA)の結果を示す。レーン1:「マッチ」一本鎖DNA、レーン2:「マッチ」二本鎖DNA、レーン3:HMMP9AP1を添加した「マッチ」二本鎖DNA、レーン4:二塩基対変異を有する「ミスマッチ」一本鎖DNA、レーン5:二塩基対変異を有する「ミスマッチ」二本鎖DNA、レーン6:HMMP9AP1を添加した二塩基対変異を有する「ミスマッチ」二本鎖DNAのゲルシフト分析の結果を示す。 HMMP9NFκβを用いたゲルシフト分析(EMSA)の結果を示す。レーン1:「マッチ」一本鎖DNA、レーン2:「マッチ」二本鎖DNA、レーン3:HMMP9NFκβを添加した「マッチ」二本鎖DNA、レーン4:二塩基対変異を有する「ミスマッチ」一本鎖DNA、レーン5:二塩基対変異を有する「ミスマッチ」二本鎖DNA、レーン6:HMMP9NFκβを添加した二塩基対変異を有する「ミスマッチ」二本鎖DNAのゲルシフト分析の結果を示す。 創傷治癒アッセイの結果を示す。HMMP9AP1で処理されたMDA−MB−231細胞は濃度依存的に細胞の移動が減少することを示す。 創傷治癒アッセイの結果を示す。HMMP9NFκβで処理されたMDA−MB−231細胞及びHeLa細胞は濃度依存的に細胞の移動が減少することを示す。 マトリゲル浸潤アッセイの結果を示す。HMMP9AP1で処理されたMDA−MB−231細胞のin vitroにおけるマトリゲル浸潤の結果である。HMMP9AP1の濃度依存的にマトリゲル浸潤は減少することを示す。結果は三回の実験の平均値±SEで表現した。 マトリゲル浸潤アッセイの結果を示す。HMMP9NFκβで処理されたHeLa細胞及びMDA−MB−231細胞のin vitroにおけるマトリゲル浸潤の結果である。HMMP9NFκβの濃度依存的にマトリゲル浸潤は減少することを示す。結果は三回の実験の平均値±SEで表現した。 リアルタイムRT−PCRの結果を示す。HMMP9AP1処理によってMDA−MB−231細胞におけるmRNAの発現量が濃度依存的に減少することを示す。結果は三回の実験の平均値±SEで表現した。P<0.05(*)のp値を有意であると判定した。 リアルタイムRT−PCRの結果を示す。HMMP9NFκβ処理によってMDA−MB−231細胞におけるmRNAの発現量が濃度依存的に減少することを示す。結果は三回の実験の平均値±SEで表現した。P<0.05(*)のp値を有意であると判定した。 ゼラチンを基質として用いたザイモグラフィアッセイの結果を示す。HMMP9AP1によって処理したMDA−MB−231細胞から得た条件培地を10%ザイモグラムゼラチンゲルで電気泳動した。ゲル上の明確なバンドはマトリックスメタロプロテナーゼの活性を示す。 ゼラチンを基質として用いたザイモグラフィアッセイの結果を示す。HMMP9NFκβによって処理したMDA−MB−231細胞から得た条件培地を10%ザイモグラムゼラチンゲルで電気泳動した。ゲル上の明確なバンドはマトリックスメタロプロテナーゼの活性を示す。 ウエスタンブロッティング分析(タンパク質の測定)の結果を示す。HMMP9NFκβによって処理されたMDA−MB−231細胞から抽出したタンパク質のウエスタンブロッティングの結果を示す。MMP−9タンパク質抗体でプローブしたPVDF(Polyvinylidene fluoride)膜をストリッピング後、β−アクチンで再度プローブした結果も示す(下図)。濃度依存的にMMP−9タンパク質の発現量が減少することを示す。 蛍光標識PIPの分布を示す。蛍光標識したHMMP9AP1を添加し45分間インキュベートした後の細胞内でのHMMP9AP1の分布を示す。それぞれ、(a)明視野(b)蛍光(c)Hoechst33342(d)Merge(重ね合わせ)の結果を示す。Hoechst33342は核を染色する。 蛍光標識PIPの分布を示す。蛍光標識したHMMP9NFκβを添加し30分間及び96時間インキュベートした後の細胞内でのHMMP9NFκβの分布を示す。それぞれ、(a)明視野(b)Hoechst33342(c)蛍光の結果を示す。Hoechst33342は核を染色する。 本発明のHMMP9AP1のHPLCの結果を示す。 本発明のHMMP9AP1−FITCのHPLCの結果を示す。 本発明のHMMP9NFκβのHPLCの結果を示す。 本発明のHMMP9NFκβ−FITCのHPLCの結果を示す。 MDA−MB−231細胞とHeLa細胞を用いた増殖阻害アッセイの結果を示す。本発明のHMMP9NFκβによってMDA−MB−231細胞とHeLa細胞の増殖が阻害されたことを示す。 ミスマッチピロールイミダゾールポリアミドの結合配列(A)及びミスマッチピロールイミダゾールポリアミドを示す。 抗NF−κβ抗体による免疫沈降PCRアッセイの結果を示す。in vivoにおいて、本発明のポリアミドMMP9NFκβがMMP−9プロモーター領域とNF−κβタンパク質の特異的な結合を阻害したことを示す。 蛍光標識ポリアミドHMMP9NFκβの組織内分布を示す。FITC標識をしたポリアミドHMMP9NFκβは投与1日後に肝臓、腎臓の細胞の核に多く取り込まれた。また、脾臓の細胞の核にも取り込まれたことが観察された。添加後6日後であっても強いFITCの蛍光が観察された。 胸腺欠損免疫不全マウス(ヌードマウス)ヒト大腸がん肝転移モデルによる本発明のポリアミドHMMP9NFκβの評価の結果を示す。HMMP9−NFκβポリアミドにより、ヌードマウスにおいて脾臓に移植されたヒト大腸がんの肝臓への転移が抑制された。
本発明に係るピロールイミダゾールポリアミドにおいて、N−メチルピロール単位、N−メチルイミダゾール単位及びγ−アミノ酪酸単位(以下γリンカーとも言う)は互いにアミド結合(−C(=O)−NH−)で連結されており、その一般構造及び製造方法は公知である(例えば、特許文献1〜3参照)。
例えば、ピロールイミダゾールポリアミドはFmoc(9−フルオレニルメトキシカルボニル)を用いた固相法(固相Fmoc法)による自動合成法によって製造することができる(特許文献3)。固相Fmoc法によれば、ピロールイミダゾールポリアミドの末端をカルボン酸残基として固体担体から切り出すことができるので、種々の官能基を分子末端に導入してピロールイミダゾールポリアミドの誘導体を作成することもできる。例えば、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ブレオマイシン、エンジイン化合物、ナイトロジェンマスタード、これらの誘導体等、DNAに対してアルキル化能を有する化合物を必要に応じて導入することもできる。固相Fmoc法は市販のタンパク(ペプチド)合成機を用いる自動合成法であるため、天然に存在するタンパク質や非天然タンパク質とピロールイミダゾールポリアミドとの共役体(コンジュゲート)を合成することもできる。また、Fmoc法はt−BOC法に比べて反応条件が緩和であるため、タンパク質以外の有機化合物(酸性条件下で不安定な官能基を有する化合物をも含む)の導入も可能である。例えば、ピロールイミダゾールポリアミドとDNAやRNA(又はそれらの誘導体)との共役体を自動的に合成することも可能である。
上記公知のFmoc法等によれば、末端にカルボキシル基を有するピロールイミダゾールポリアミドを合成することができる。その具体例としては、例えば、末端にβ−アラニン残基(β−アミノプロピオン酸残基)やγ−アミノ酪酸残基を有するピロールイミダゾールポリアミド等が挙げられる。末端にβ−アラニン残基又はγ−アミノ酪酸残基を有するピロールイミダゾールポリアミドは、例えば、それぞれFmocでアミノ基を保護した、アミノピロールカルボン酸、アミノイミダゾールカルボン酸、β−アラニン又はγ−アミノ酪酸を担持した固相担体を用い、ペプチド合成機を使用して固相Fmoc法により合成することができる。
アミノピロールカルボン酸の具体例としては、例えば、4−アミノ−2−ピロールカルボン酸、4−アミノ−1−メチル−2−ピロールカルボン酸、4−アミノ−1−エチル−2−ピロールカルボン酸、4−アミノ−1−プロピル−2−ピロールカルボン酸、4−アミノ−1−ブチル−2−ピロールカルボン酸等が挙げられる。アミノイミダゾールカルボン酸の具体例としては、例えば、4−アミノ−2−イミダゾールカルボン酸、4−アミノ−1−メチル−2−イミダゾールカルボン酸、4−アミノ−1−エチル−2−イミダゾールカルボン酸、4−アミノ−1−プロピル−2−イミダゾールカルボン酸、4−アミノ−1−ブチル−2−イミダゾールカルボン酸等が挙げられる。
固相Fmoc法によれば、例えば、ピロールイミダゾールポリアミドとFITC(フルオレセインイソチオシアネート)との共役体を合成することもできる。FITCは従来から抗体の蛍光標識試薬として知られているので、得られる共役体は、当該ピロールイミダゾールポリアミドが特定のDNA配列を認識することを証明するために用いることができる。
本発明のマトリックスメタロプロテネース9遺伝子発現抑制剤は、N−メチルピロール単位(Py)、N−メチルイミダゾール単位(Im)及びγ−アミノ酪酸単位を含むピロールイミダゾールポリアミドであって、ヒトマトリックスメタロプロテネース9プロモーターの塩基配列−77〜−70(配列番号3)及び塩基配列−605〜−599(配列番号5)の一部又は全部とこれに対する相補鎖を含む二重らせん領域(以下標的領域と言う)の副溝内において、前記γ−アミノ酪酸単位の部位で折りたたまれてU字型のコンフォメーションをとることができ、C−G塩基対に対してはPy/Im対が、G−C塩基対に対してはIm/Py対が、A−T塩基対及びT−A塩基対に対してはいずれもPy/Py対がそれぞれ対応する、上記ピロールイミダゾールポリアミドを含む。
通常DNAの螺旋の骨格は2種類の溝をつくり、広くて深い溝を主溝(メジャーグルーブ)、狭くて浅い溝を副溝(マイナーグルーブ)と呼んでいる。ここで上記ピロールイミダゾールポリアミドは、特定の塩基対がつくる副溝(マイナーグルーブ)に高い親和性と特異性を以って非共役結合的に結合することができる。この時の結合は、副溝のC−G塩基対に対してはピロールイミダゾールポリアミドのPy/Im対が、G−C塩基対に対してはIm/Py対が、A−T塩基対及びT−A塩基対に対してはいずれもPy/Py対がそれぞれ対応している。そして、ピロールイミダゾールポリアミド分子中のγ−アミノ酪酸単位の部位で分子が折りたたまれてU字型のコンフォメーションをとる。
副溝の塩基対とピロールイミダゾールポリアミドのPyとImの対が上述のように対応していないと、副溝とピロールイミダゾールポリアミドとの結合が不十分となる。このように、副溝の塩基対とPy−Im対が上述のように対応していないピロールイミダゾールポリアミドを本願ではミスマッチ又はミスマッチポリアミドと呼ぶ。
ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子調節領域の塩基配列は図1及び配列番号1に示す通りである。
本発明のピロールイミダゾールポリアミドHMMP9AP1及びHMMP9NFκβは下記に示す通りである。
HMMP9AP1
Figure 0005685081

HMMP9NFκβ
Figure 0005685081
HMMP9AP1は、分子式C75933115、分子量1668.6を有し、その標的配列はヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子調節領域(配列番号1)の−653〜−24の領域のうち、AP1結合領域および GT box 調節領域を含む−84〜−24(配列番号2)の領域であり、より具体的には−77〜−70の領域のagtcagca(配列番号3)の8塩基に結合することにより、ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子の発現を抑制する。
HMMP9NFκβは、分子式C66842413、分子量1421.3を有し、その標的配列はヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子調節領域(配列番号1)の−653〜−24の領域のうち、NFκβ領域を含む−615〜−553(配列番号4)の領域であり、より具体的には−605〜−599の領域のtggaatt(配列番号5)の7塩基に結合することにより、ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子の発現を抑制する。
本発明者らはヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子プロモーターの特定の領域を標的とするPy−Imポリアミド類を合成した。HMMP9ポリアミドは核内に48時間以上特に消失することもなく安定に滞留した。アンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイムと比較して、ポリアミドはよりすぐれた透過性(低濃度、トランスフェクション媒体不要)とより高い安定性を培養乳腺癌MDA−MB−231細胞において示した。ポリアミドの高い透過性と安定性は遺伝子治療法のための真核細胞の核への理想的な薬剤アプローチを提供するものである。
最近までPy−Imポリアミドの開発はプロモーター配列における転写因子−DNA複合体の構造的特性に基づいていた。TATAボックス含有プロモーター中の配列を標的とする効率的な方法は、TATAボックスに隣接する塩基対に結合するよう設計することであろう。TATAボックスはほとんどのタンパク質コード遺伝子において転写開始部位の上流25〜35塩基対に位置している。転写介在因子D(TAFIID)はTATAボックスに特異的に結合するTATAボックス結合タンパク質(TBP)を含んでおり、コアプロモーターにおける他の転写関与因子を採用してプレ開始コンプレックス(PIC)を形成する。PICは遺伝子転写を開始してアクチベータ又はサプレッサと相互作用して遺伝子発現を調節する。TBPも二重らせんDNAの副溝(マイナーグルーブ)に結合するので(Lee et al:Cell.1991 Dec 20;67(6):1241−50、 Starr et al:Cell.1991;67:1231−40、 Courey et al:Cell.1988;55:887−98)、合成ポリアミドはTATA結合タンパク質の結合部位を競合的に占有し、遺伝子転写に干渉する。様々なプロモーターで設計したポリアミドの成功例のうちで、TATAボックスを標的とするものが常に機能することが知られている。
ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子の上流調節領域には、転写因子アクチベータタンパク質−1(以下AP−1ともいう)、NF−κβ、及び刺激性タンパク質−1(以下Sp−1とも言う)、転写因子Etsの結合部位およびGT box調節領域が存在する。in vitro及びin vivoにおける実験モデルから、AP−1タンパク質は、細胞増殖、分化、アポトーシス及び形質変換の調節に関し重要な働きをすることが分かっている(Sato et al:The Journal of Biological Chemistry 268(1993)23460−23468,Shaulian & Karin:Oncogene 20 (2001)2390−2400,Himelstein et al: Oncogene 14 (1997) 1995−1998)。また、NF−κβタンパク質は腫瘍細胞の浸潤、転移及び薬剤抵抗性の調節に重要な働きをすることが分かっている(Bond et al:FEBS Letters 435 (1998)29−34、及びPahl :Oncogen 18 (1999) 6853−6866)。さらにMMP−9におけるGT box調節領域(GGGGTGGGG −54〜−46;配列番号6)がMMP−9の発現に重要な働きをしており上流のAP−1結合領域(TGAGTCA −79〜−73;配列番号7)までの転写調節領域の−71〜−30の配列に蛋白複合体として結合することでMMP−9の発現を正に調節していることが明らかになっている(Sato et al:The Journal of Biological Chemistry 268(1993)23460−23468,および Farina et al:Cell Growth and Differentiation 10(1999)353−367)。
上記結合部位における変異は、組織プラスミノーゲン活性化因子によるMMP−9誘導の低下又は停止を、及びMMP−9の発現抑制は、腫瘍細胞の浸潤及び転移能力の低下を引き起こしうる。従って、当該転写因子の機能抑制はMMP発現及び活性の抑制という治療目的の重要な標的である。
NF−κβ結合部位における変異又はNF−κβデコイは、化学療法剤によるMMP−9誘導の減少を示した。MMP−9プロモーターにおける腫瘍壊死因子α、組織プラスミノーゲン活性化因子及びNF−κβ結合の特異的阻害は、正常細胞におけるMMP−9発現及び他のMMP遺伝子発現への影響を及ぼさないものと考えられる。
本発明のHMMP9AP1はAP−1結合部位およびGT box調節領域を認識する複合体の認識部位を含む配列に結合することにより、AP−1タンパク質およびGT box認識複合体の結合を阻害すると考えられ、hMMP−9のmRNA及びタンパク質の発現を特異的に低下させた。本発明のHMMP9NFκβは、NF−κβ結合部位に結合することにより、NF−κβ複合体の結合を阻害すると考えられ、hMMP−9のmRNA及びタンパク質の発現を特異的に低下させた。
プロモーター領域における転写因子の調節以外に、他の因子も遺伝子発現に影響を与えている可能性もある。これらの因子はクロマチンパッキング、ポリアデニレーション、スプライシング、mRNA安定性、翻訳開始等を包含するものである(Berger et al:Mol Cell.2001;5:263−8、 McKeown Annu Rev Cell Biol.1992;8:133−55、 Decker et al:Trends Biochem Sci.1994;19:336−40、 Kozak Annu Rev Cell Biol.1992;8:197−225)。合成ポリアミドはヌクレオソームの位置関係から標的部位に接近することができ、特異的配列を標的とすることによりクロマチンの縮合・脱縮合構造に影響を与えている可能性がある(Gottesfeld et al:J Mol Biol.2002;321:249−63;Gottesfeld et al:J Mol Biol.2001;309:615−29。)。ピロールイミダゾールポリアミドがヘテロクロマチン褐色サテライトを開き、GAFの結合を可能とし、その結果drosophila melanogasterにおける表現型の変化を引き起こしているということが証明されている。ピロールイミダゾールポリアミドは合成が比較的容易であり、特定の配列を標的とするように設計することができる。このことで、ゲノムの機能解析や最終的にはヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子阻害や他の関連する遺伝子調節を変化させ、阻害、活性化するような遺伝子治療に使用できる可能性がある。
本発明に係るPy−Imポリアミドは転写開始領域からは遠位の上流において設計することができ、これがヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子の発現に対する阻害効果を示す。従って、本発明のMMP9AP1及びMMP9NFκβはヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子発現抑制のための薬剤、当該遺伝子関連疾患の治療、及び制癌剤として使用することができる。
既存の細胞内の特定塩基配列に結合する小分子は分子細胞学の分野において便利な検査薬剤、評価薬剤として使用でき、ヒトに対する薬品としても有用であると考えられる。本発明のポリアミドは、in vitroの染色体DNAに結合するだけでなく、細胞外膜を通過して生存細胞の核に到達することができる。
転移は細胞浸潤を含む多段階の過程で成り立つ、腫瘍細胞の基底膜への浸潤、血管内への侵入、血管外への遊出、遠位臓器の組織中への浸潤、そして血管内への侵入を繰り返すことで次の浸潤カスケードという過程をたどる。進行性、転移性の様々な癌においてMMP−9は過剰に発現されている。MMP−9の過剰発現が細胞基底膜を含む細胞外基質を分解することで、腫瘍細胞が動くことを可能にし、腫瘍浸潤に導くことが仮定されている。さらに新生血管内皮細胞増殖による腫瘍への栄養血管の進入にもMMP−9の発現が重要であり、腫瘍浸潤、転移、血管新生阻害を目的に多数のMMP分子阻害剤を用いた、多様な癌での臨床試験が実施された。しかし、初期の臨床試験において腱炎を伴う筋肉痛及び関節痛が副作用として見られた。これらの副作用は、阻害剤が適切なMMPに特異的に働かないことおよび正常細胞での作用も阻害することから起こるものである。従って、一つのMMP分子に対する特異的な阻害剤がとくに腫瘍浸潤や炎症の誘発時にのみ阻害効果を強く発揮することが必要とされる。
この点において、ヒトMMP−9遺伝子を標的にした「非−アルキル化」Py−Imポリアミドを設計した。MMP−9は、細胞マトリックス、特に基底膜を分解することによった腫瘍の増殖を伴う腫瘍の浸潤や転移、血管の新生などに重要な役割を果たしている。
持続的MMP−9の高発現は、乳癌を含む多くの癌の悪性化に関連している。特にMMP−9プロモーターに対する、周期性NF−κβ刺激や、GT boxへの転写複合体結合が癌の悪性化に関与する報告がされている。またin vitro及びin vivoにおける多数の実験モデルでAP−1タンパク質は細胞増殖、アポトーシス、及び形質転換の調節に重要な役割を果たしていることも示唆されている。
更に、腫瘍浸潤及び転移に加えて、ヒトMMP−9のNF−κβ結合部位は、化学療法又は放射線療法後の治療的耐性の標的であり得るかもしれない(Fukuyama et al: Molecular carcinogenesis 2007 46 402−413)。in vitro及びin vivoにおける多数の実験モデルから周期性NF−κβタンパク質刺激は腫瘍細胞の浸潤、転移、及び薬剤耐性の調節に重要な役割を果たしていることが示唆されている。周期性NF−κβ刺激は急性反応から持続性の炎症反応、慢性炎症への移行に関与する遅反応性蛋白の発現制御と関わると考えられている(Hoffmann et al: Science 2002 109 1241−1245)。Py−ImポリアミドのNF−κβ結合部位への結合はNF−κβタンパク質の結合と競合することで、この周期性の刺激を阻害すると考えられる。このことによりNF−κβタンパク質の周期性の刺激によるMMP−9の持続的発現が阻害されることが容易に推測される。
ゲルシフト分析において、本発明のポリアミドは標的DNAに対する強力かつ選択的結合を示した。また、本発明のポリアミドHMMP9AP1−FITCは、乳腺癌MDA−MB−231細胞において、in vitroで添加45分後に核に局在すること、さらに96時間後でもなお核に局在することが分かった。ポリアミドHMMP9NFκβ−FITCについても、乳腺癌MDA−MB−231細胞において、in vitroで添加30分後に核に局在すること、さらに96時間後でもなお核に局在することが分かった。従って、本発明のポリアミドは、in vitroにおいて速やかに核に移動し、核に特異的に局在することが分かった。アンチセンスDNA、リボザイム、及びデコイなどの核酸医薬は、遺伝子サイレンシング剤として開発されてきた。しかし、特にデコイはポリアミドと似た様式での標的転写因子の結合を阻害する。しかしながら、ヌクレアーゼによって薬剤が容易に分解されるので、組織に到達させる充分なドラッグデリバリーシステムが必要となる。一方、本発明のポリアミドはヌクレアーゼに対して完全な耐性を有するため、遺伝子サイレンシング医薬としてより適している。従って、ドラックデリバリーシステム等の手法を用いなくても、本発明のHMMP9AP1は細胞の核内に移行するため薬剤として有利である。当該有利な効果は、本発明のHMMP9AP1及びHMMP9NFκβをヒトマトリックスメタプロテネース9遺伝子抑制剤、当該遺伝子関連疾患の治療、及び制癌剤に用いるために有利である。
本発明のHMMP9AP1及びHMMP9NFκβは、ヒト乳腺癌MDA−MB−231細胞及びヒト子宮頸がん由来のHeLa細胞の浸潤活性をポリアミドの濃度依存的に阻害した。従って、本発明のポリアミドには癌細胞の移動を抑制することにより、抗癌剤として使用できる点で有利である。
また、本発明のHMMP9AP1及びHMMP9NFκβはヒト乳腺癌MDA−MB−231細胞及びヒト子宮頸がん由来のHeLa細胞の濃度依存的に生細胞数を減少させた。このことより、本発明のポリアミドが当該細胞の増殖を抑制したことが分かった。
なお、本発明のポリアミドが標的とする塩基配列以外の配列(図1において四角で囲まれた配列)に対して合成されたポリアミドは、HeLa細胞を用いた増殖抑制アッセイにおいて増殖の抑制を示さなかった(データは示さない)。このことより、本発明のポリアミドの特異性が示された。
本発明のHMMP9AP1及びHMMP9NFκβは、ヒト乳腺癌MDA−MB−231細胞及びヒト子宮頸がん由来のHeLa細胞の移動を濃度依存的に阻害した。移動は浸潤の第一段階であるため、移動能の阻害性を評価することは重要である。従って、本発明のポリアミドは癌細胞の移動、ひいては浸潤を抑制することにより、抗癌剤として使用できる点で有利である。
本発明のHMMP9AP1及びHMMP9NFκβは、ヒト乳腺癌細胞においてMMP−9mRNAの発現及びMMP−9タンパク質の発現を顕著に抑制した。したがって、本発明のポリアミドによって、MMP−9遺伝子発現が抑制されることが分かった。
本発明のHMMP9NFκβによって、マウスヒト大腸がん肝転移モデルにおける肝転移巣の数及び面積が減少した。
従って、本発明のポリアミドは、MMP−9遺伝子発現抑制のための薬剤、MMP−9関連疾患、具体的には、血管新生、繊維化、細胞浸潤を含む病態、浸潤性腫瘍、転移性腫瘍、腫瘍血管新生の治療のための薬剤、及び制癌剤として使用できる点で有利である。
1.ヒトプロモーターに対応するPy−Imポリアミドの合成
(1)ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子のAP−1、GT box 複合体、及びNFκβ結合部位に対応するPy−Imポリアミドの設計
I.材料及び方法
Py−Imポリアミドとして、ヒトマトリックスメタロプロテネース9プロモーター領域の−77〜−70又はヒトマトリックスメタロプロテネース9プロモーターの−605〜−599の塩基対に結合するように、上記のようなHMMP9AP1、及びHMMP9NFκβを設計した。
(2)Fmoc法を用いたPy−Imポリアミドのマシンアシスト(機械補助)自動合成
ピロールイミダゾールポリアミドのマシンアシスト自動合成を、連続フローペプチド合成機Pioneer(商標)(アプライドバイオシステムズ)を用いて0.1mmolスケール(200mgのFmoc−β−アラニン−CLEAR酸レジン、0.50meq/g、Peptide Institute、Inc.)で実施した。自動固相合成はDMF洗浄、Fmoc基の20%ピペリジン/DMFによる除去、メタノール洗浄、HATU及びDIEA(それぞれ4当量)の存在下でのモノマーとの60分間のカップリング、メタノール洗浄、必要に応じて無水酢酸/ピリジンによる保護、及び最終的なDMF洗浄からなっている。Py−Imポリアミドは一般に中程度の収率(10−30%)で得られた。
FITCカップリング:4倍過剰のフルオレセイン(0.40mmol)及びDIEA(HATUなし)をDMFに溶解したものをカラムを通して60分間フラッシュした。
一般的手順: Fmoc−β−アラニン−Wang樹脂のFmoc基を除去した後、樹脂をメタノールで連続的に洗浄した。カップリング工程をFmocアミノ酸で実施し、次いでメタノールでの洗浄を行い、これらの工程を全配列が導入されるまで何度も繰返した。最終カップリング工程を終えた後、N末端アミノ基をピペリジンにより除去したのち、4等量のフルオレセインとDIEAを反応容器に加え60分間反応させた。反応終了後、DMFおよびメタノールにより反応樹脂の洗浄と回収を行った。
カルボン酸としての分解:合成ポリアミドを冷エチルエーテル沈澱により分解工程(91%TFA−3%/TIS−3%DMS−3%水の混合物5ml/樹脂0.1mmol)の後に単離した。
アミンとしての分解: 合成ポリアミドを冷エチルエーテル沈澱により分解工程(N、N−ジメチルアミノプロピルアミン5mL/樹脂0.1mmol、50℃、一晩)の後に単離した。
精製: 最終精製は、10mL/minの流速の分析用RP−HPLCで、緩衝液A(0.1%TFA/水又は0.1%AcOH/水)中B(アセトニトリル)の直線勾配を用いて、350nmのUV検出により行った。HMMP9AP1、HMMP9AP1−FITC、HMMP9NFκβ及びHMMP9NFκβ−FITCを図4、図5、図6及び図7に示す。またそれぞれのRP−HPLCのチャートを図21、図22、図23及び図24に示す。
2.ゲルシフトアッセイ(Electromobility Shift Assay (EMSA))
I.材料及び方法
オリゴヌクレオチドを合成し、アニーリングして、HMMP9AP1及びHMMP9NFκβプロモーターの塩基対に対応する2種の二本鎖オリゴヌクレオチドとした。一方の一本鎖オリゴヌクレオチドをFITCで標識し、相補的配列の一本鎖オリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションして二本鎖DNAを作成した。具体的なヌクレオチドの塩基配列は、AP−1結合部位を含む−77〜−70領域に相当するHMMP9AP1(マッチ)センスプライマー(5’GACCCCTGAGTCAGCACTTGCC)(配列番号8)及びこれに2塩基変異を有するHMMP9AP1オリゴDNA(ミスマッチ1)センスプライマー(5’GACCCCTGAGTAGGCACTTGCC)(配列番号9)、並びにNFκβ結合部位を含む−605〜−599を含むHMMP9NFκβ(マッチ)センスプライマー(5’TGCCCCAGTGGAATTCCCCAGC)(配列番号10)及びこれに2塩基変異を有するHMMP9NFκβ(ミスマッチ1)センスプライマー(5’TGCCCCAGTGGGGTTCCCCAGC)(配列番号11)および前記4つのプライマーにそれぞれ相補的なアンチセンスプライマーを作成した。0.6μMの蛍光標識されたマッチ二本鎖DNA又はミスマッチ二本鎖DNA(蛍光センスプライマーとアンチセンスプライマーにより作成された2本鎖DNA)を、37℃で1時間、結合緩衝液(40mM Tris、pH7。9、250mM NaCl、25mM EDTA、25mM DTT、100mM KCl)中で10μMポリアミド又はミスマッチポリアミドとともにインキュベートした。得られた複合体を20%ポリアクリルアミドゲルにより電気泳動し、蛍光標識二本鎖オリゴヌクレオチドの移動度を蛍光イメージ解析機(フジフィルム、LAS−4000、東京、日本)で解析した。
II.結果
合成ポリアミドの二本鎖オリゴヌクレオチドへの結合
ゲルシフトアッセイによりHMMP9AP1及びHMMP9NFκβの標的配列への結合を検討した。それぞれのピロールイミダゾールポリアミドの標的配列を含む22塩基のセンス、アンチセンスのオリゴヌクレオチドを作成し、これをアニーリングさせて標的部位の二本鎖DNAを作成し、これとそれぞれのピロールイミダゾールポリアミドとをインキュベートした。これらをポリアクリルアミドゲルで電気泳動してピロールイミダゾールポリアミドと標的配列との結合性を検討した。HMMP9AP1及びHMMP9NFκβとともに二本鎖DNA(DS)にピロールイミダゾールポリアミド(Py−Im)を加えると、DSのみのレーンと比べ泳動度が低下し、高分子化したことが示唆され、DSとPy−Imとの結合が証明された。結果を図8及び図9に示す。
3.細胞型及び培養条件
ヒト乳腺癌MDA−MB−231細胞株を使用した。100μg/mlのストレプトマイシン、100ユニット/mlのペニシリン及び10%牛胎仔血清(FBS)(Sigma)を補充したRPMI1640培地(Sigma、St.Louis、MO、USA)中で、5%COを含む加湿環境、37℃で培養した。ヒト子宮頸がん細胞HeLa細胞は10%FBS及び2mM L-グルタミンを含有するダルベッコ基礎培地(DMEM、In vitrogen Life Technologies, Corp., Carlsbad、CA)中で培養した。
4.創傷治癒アッセイ(Wound−healing migration assay)
I.材料及び方法
創傷治癒過程における細胞の移動を測定するために、8ウェルチャンバースライドの各々のウェルに細胞(3×10)を播種し、細胞が集密状態に達したときに、細胞層をプラスチックマイクロピペットによって傷つけた。培地及びデブリは吸引除去し、種々のポリアミドを含む100μlの新鮮な培地に入れ替えた。傷をつけてから48時間後に細胞はDiff−Quik溶液(国際試薬株式会社、神戸、日本)によって固定してから染色し、位相差顕微鏡によって撮影した。
II.結果
本発明のポリアミドの細胞移動能を評価する為に様々な濃度のポリアミドを用いて細胞を処理した。MDA−MB−231細胞は創傷治癒分析の結果、本発明のポリアミドによって移動を阻害されることが分かった。DMSO処理したMDA−MB−231は48時間で傷を受けた領域が閉じることが分かった。対照的に、本発明のポリアミドである、HMMP9AP1及びHMMP9NFκβはMDA−MB−231細胞の移動を濃度依存的に阻害することが分かった。また、HMMP9NFκβはHeLa細胞の移動を濃度依存的に阻害することが分かった。これらの結果より、本発明のHMMP9AP1及びHMMP9NFκβはヒト乳腺癌細胞において細胞の移動を阻害することが分かった。また、HMMP9NFκβはヒト子宮頸がん細胞においても細胞の移動を阻害することが分かった。結果を図10及び図11に示す。
5.マトリゲル浸潤アッセイ(Invasion assay into matrigel)
I.材料及び方法
細胞浸潤アッセイは、24ウェル細胞培養BioCoatマトリゲル浸潤チャンバー(ベクトンディックソンラボウエア、ベッドフォード、MA、USA)を用いて行った。MDA−MB−231細胞(1×10細胞/ウェル)又はHeLa細胞(1×10細胞/ウェル)を0.1%FBSを含有するRPMI1640培地またはDMEM培地に懸濁させ、上部チャンバーに添加した。5%FBSを含有するRPMI1640培地又はDMEM培地は下部チャンバーに添加した。その後、37℃、5%COで22時間培養した。メンブレンの上部に残った非浸潤細胞はコットンスワブによってふき取った。浸潤細胞は固定し、Diff−Quikキットで染色した。メンブレンに浸潤した細胞の数を、光学顕微鏡(拡大率200×)を用いて一つのメンブレンで10視野のカウントを、計3つの膜で行い平均と標準偏差を求めた。
II.結果
細胞外マトリックス構成タンパク質の分解は、腫瘍細胞浸潤において重要である。本発明のMMP9Py−Imポリアミド、HMMP9AP1及びHMMP9NFκβの腫瘍細胞浸潤に対する影響を評価するために、種々の濃度のポリアミドと5×10のMDA−MB−231細胞を22時間インキュベートした。DMSO及び本発明のポリアミドで処理した細胞の浸潤性をMDA−MB−231細胞において比較した。DMSOで処理したMDA−MB−231細胞はマトリゲルでコートした透過膜を顕著に浸潤した。これは、細胞が顕著に染色されたことから示唆される。対照的に、本発明のHMMP9AP1及びHMMP9NFκβで処理した細胞では、メンブレンへの浸潤が顕著に減少した。これは、対照と比較した染色強度によって示唆される。0.3μM、1μM、3μM及び10μMのHMMP9AP1で処理したMDA−MB−231細胞はDMSO処理対照と比べて、それぞれ、90%、52%、44%及び25.4%の浸潤の減少を示した。0.3μM、1μM、3μM及び10μMのHMMP9NFκβで処理したMDA−MB−231細胞はDMSO処理対照と比べて、それぞれ、88%、61%、30%及び22%の浸潤の減少を示した。これらの結果より、濃度依存的にマトリゲルを通過する浸潤細胞が減少することが分かった。結果を図12及び図13に示す。
6.リアルタイムRT−PCRアッセイ(mRNA発現の測定)
I.材料及び方法
MDA−MB−231細胞を種々の濃度の本発明のポリアミドで処理した。処理の48時間後、細胞分画は製造者の手順に従ったトライゾール試薬(In vitrogen Life Technologies, Corp.)を用いたRNA分離に供した。RNAはcDNA合成の前にDNaseによって処理された。逆転写による相補的DNA鎖はSuperScriptTMFirst−Strandkit(In vitrogen Life Technologies, Corp.)によって合成された。リアルタイムRT−PCR(Thermal cycler Dice Real Time system TP800, Takara Bio Inc., Japan)は、SYBR Premix Ex Taq Kit(タカラバイオ)を使用した。HMMP9AP1のためのプライマーは、(フォワード、 5’−GAGACCGGTGAGCTGGATAG−3’,配列番号12; リバース 5’−TACACGCGAGTGAAGGTGAG−3’,配列番号13;236bp), 及び内部標準ヒト内在性グリセルアルデヒド−3−ホスフェート ジヒドロゲナーゼ(GADPH;フォワード、5’−GCACCGTCAAGGCTGAGAAC−3’,配列番号14;リバース、5’−TGGTGAAGACGCCAGTGGA−3’,配列番号15;138bp)を使用した。また、HMMP9NFκβのためのプライマーは、(フォワード、5’−GAGACCGGTGAGCTGGATAG−3’,配列番号16;リバース、5’−TACACGCGAGTGAAGGTGAG−3’,配列番号17;236bp)及び内部標準ヒト内在性グリセルアルデヒド−3−ホスフェート ジヒドロゲナーゼ(GADPH;フォワード、5’−GCACCGTCAAGGCTGAGAAC−3’,配列番号18;リバース、5’−TGGTGAAGACGCCAGTGGA−3’,配列番号19;138bp)を使用した。ツーステップRT−PCR混合物25μlは、SYBR Premix ETAq12.5μl、夫々のフォワード及びリバースプライマー0.5μl、RNaseフリー水10.5μl、鋳型cDNA1μlからなる。リアルタイムサイクル条件は、95℃、10秒、95℃、5秒 60℃、30秒の反応系によって行った。MMP−9遺伝子の定量はGAPDH発現と比較することによって標準化した。
II.結果
本発明のポリアミドによる細胞移動及び浸潤活性がMMP−9発現の減少と相関しているかどうかを更に調べるために、リアルタイムRT−PCRによって、本発明のポリアミドで処理したMDA−MB−231細胞とDMSO処理したコントロールのMMP−9発現レベルを比較した。転写調節はMMP−9発現に重要な役割を果たす。リアルタイムRT−PCRによる分析は、HMMP9AP1では、MMP−9mRNAの発現量は0.3μMで84%、1μMで54%、3μMで38%、10μMで26%減少した(図14)。HMMP9NFκβでは、MMP−9mRNAの発現量は0.3μMで86%、1μMで68%、3μMで40%、10μMで28%減少した(図15)。本発明のポリアミドによって、濃度依存的にMMP−9mRNAの量が減少していることが分かった。
7.ザイモグラフィアッセイ
I.材料及び方法
MDA−MB−231細胞培養上清から採取したタンパク質をNovex(登録商標)ザイモグラムゼラチンゲル及びXCell SureLockTM Mini−cell(In vitrogen Life Technologies, Corp.)を用いて行った。2.5×10細胞に種々の濃度の本発明のポリアミドを加えた。48時間インキュベート後に上清を採取した。各サンプルからのタンパク質をNovex(登録商標)Tris−グリシンSDSサンプルバッファー(2×)に混合し、10%ザイモグラムゼラチンゲルで分離した。製造者のマニュアルに従って、ゲルは再生バッファー及び現像バッファーで洗浄した。その後ゲルはデジタル化された。
II.結果
48時間処理した細胞から採取された細胞培養上清の蛋白活性を測定した。コントロールと比べて、1μMのHMMP9AP1の処理でゼラチン分解活性が50%抑制され、10μMでほとんど完全にMMP−9の酵素活性は阻害された(図16)。1μMのHMMP9NFκβの処理でゼラチン分解活性が62%抑制され、10μMでは82%抑制された(図17)。
8.ウエスタンブロッティング分析(タンパク質の測定)
I.材料及び方法
MDA−MB−231細胞は、種々の濃度の本発明のポリアミドで処理した。処理の48時間後、細胞を採取し、全細胞ライセートを、50mM Tris−HCl、150mM NaCl、10mM EDTA、1%Triton−Xを含むプロテアーゼ阻害カクテル(ベーリンガーインゲルハイム、GmbH、ドイツ)を含む抽出バッファー中に準備した。ホモジネートは、15,000×g、4℃で10分間遠心分離した。上清を採取し、タンパク質濃度を測定した。タンパク質サンプル(10μg)をNuPAGE+TM10%Bis−Trisゲル(In vitrogen Life Technologies, Corp.)上で電気泳動し、PVDF(Polyvinylidene fluoride)ポリビニリデンジフルオライド膜(ミリポア、Bedford、MA)にトランスファーした。PVDF膜は、Calbiochem(登録商標)から入手したラビット抗MMP−9ポリクローナル抗体(Calbiochem(登録商標)Biosciences, Inc.La Jolla, CA)(1:500)とともに終夜インキュベートした。PVDF膜を0.2%Tween20を含有するTris緩衝液で三回洗浄した。免疫複合体化タンパク質は、ウサギIgGに対するペルオキシダーゼ結合ヤギ抗体(MP biomedicals, Inc.)との反応によって同定され、次に化学発光検出(Amersham,Piscataway,NJ)によって増幅された。
II.結果
本発明のポリアミドがMMP−9タンパク質発現を抑制するかを調べるために、ウエスタンブロッティング分析を行った。本発明のポリアミド処理したMDA−MB−231細胞とDMSO処理したコントロールのMMP−9発現レベルを比較した。転写調節はMMP−9タンパク質発現に重要な役割を果たす。ウエスタンブロッティング分析は、HMMP9NFκβで処理したMDA−MB−231細胞で、MMP−9タンパク質の発現がHMMP9NFκβの濃度依存的に低下したことを示した。結果を図18に示す。
9.in vitroにおける蛍光標識PIPの分布
I.材料及び方法
MDA−MB−231細胞は、6ウェルプレートの各ウェルに3.0×10となるよう播種した。2mlの10%FBS(In vitrogen)を含むRPMI1640培地にて37℃、5%、COで培養した。培養24時間後、MDA−MB−231細胞に蛍光標識ポリアミドHMMP9AP1(以下HMMP9AP1−FITCとも言う)及び蛍光標識ポリアミドHMMP9NFκβ(以下HMMP9NFκβ−FITCとも言う)を最終濃度10μMで成長培地に添加し2時間培養した。細胞は洗浄しFBSフリー培地を添加した。あらかじめ決められた時間(30分と96時間)において、生存細胞を×200の倍率で観察し4%パラホルムアルデヒドで10分間固定した。核はHoechst33342(In vitrogen Life Technologies, Corp., Carlsbad,CA)によって染色し、再度観察した。
II.結果
HMMP9AP1−FITCは、MDA−MB−231細胞を培養している成長培地に添加された45分後すべての細胞で核での局在が観察された(データは示さない)。添加から96時間後であってもHMMP9AP1−FITCは、安定に核に存在することが確認された。また、HMMP9NFκβ−FITCは、添加された30分後すべての細胞の核での局在が観察された。添加から96時間後であってもHMMP9NFκβ−FITCは、安定に核に存在することが確認された。結果を図19及び図20に示す。
10.MDA−MB−231細胞とHeLa細胞を用いた増殖阻害アッセイ
I.材料及び方法
MDA−MB−231及びHeLa細胞を用いて細胞増殖抑制試験を行った。HeLa細胞を、2500細胞となるよう96穴マイクロタイタープレートに播種し、100μlの培地、10%子牛血清(Invitrogen)を含むDulbecco変性Eagle培地(DMEM)、にて24時間培養後、培地を交換し、0μMから30μM(0μM,0.3μM,1μM,3μM,10μM,30μM)のポリアミドHMMP9NFκβを含む10%子牛血清添加培地で72時間培養し、生細胞数測定試薬SF(Nacalai Tesque, Inc.)を10μlずつ添加し、2時間呈色反応を行い、ARVOマイクロタイタープレートリーダーで450nmの吸光度を測定した。なお,当該実験は水溶性ホルマザンを用いたmodified MTT assay(WST−8TM: Nacalai Tesque, Inc.)で施行した。
II.結果
ポリアミドHMMP9NFκβをMDA−MB−231細胞とHeLa細胞に添加することによって、濃度依存性に生細胞数の減少が見られた。このような結果は、本発明のポリアミドが制癌剤として有効であることを示唆する。結果を図25に示す。
11.抗NF−κβ抗体による免疫沈降PCRアッセイ
I.材料及び方法
MDA−MB−231及びHeLa細胞を用いて抗NFκβ抗体による免疫沈降PCRアッセイを行った。MDA−MB−231及びHeLa細胞を100mm培養皿に播種し100μlの培地、10%子牛血清(Invitrogen)を含むDulbecco変性Eagle培地(DMEM)にて24時間培養後、1μMのマッチポリアミドHMMP9NFκβ及び1μMのミスマッチポリアミド(図26に示す。)とともに4時間培養した。蛋白−DNA複合物は1%formaldehydeで固定し、特異的NF−κBp65抗体と非特異的rabbit immunoglobulin G 抗体との反応を行い、抗体−蛋白−DNA複合物として、Protein A beadsで沈降させ回収した。蛋白−DNAの複合物は5M NaClで反応することによってDNAを分離し、MMP9NFκβ結合配列を挟むPCRプライマーで増幅反応を行った。MMP9遺伝子プロモータ領域のNFκβと結合したDNAが、PCR産物として同定される。
PCRプライマーは、フォワード: 5’−TGTCCCTTTACTGCCCTGA−3’(配列番号20), リバース: 5’−ACTCCAGGCTCTGTCCTCCTCTT−3’(配列番号21))を用い、MMP−9プロモータ領域(−657から−484)を増幅した。(Schwingshackl A, Duszyk M, Brown N, Moqbel R. HμMan eosinophils release matrix metalloproteinase-9 on stimulation with TNF-α. J Allergy Clin Immunol 104: 983-989, 1999).
II.結果
MMP−9プロモーターのNF−κβ領域は、本発明のポリアミドで未処理及びミスマッチポリアミドで処理した場合には、抗NF−κβp65抗体によって免疫沈降された。しかしながら、NF−κβp65−NF−κβ結合領域複合体は、本発明のポリアミドMMP9NFκβで処理した場合には、上記免疫沈降アッセイで検出されなかった。結果は図27に示す。この結果は、in vivoにおいて、本発明のポリアミドMMP9NFκβがMMP−9プロモーター領域とNF−κβタンパク質の特異的な結合を阻害したことを示す。
12.蛍光標識ポリアミドHMMP9NFκβの組織内分布
I.材料及び方法
0.15mg蛍光標識ポリアミドHMMP9NFκβ(以下、HMMP9NFκβ−FITCとも言う)を最終濃度7.5mg/kgでマウスに尾静脈注射した。静脈注射後1日(24時間)、6日および21日目にマウスを解剖し、肝臓、脾臓、腎臓の各組織を採集し、冷凍切片を作製し4%パラホルムアルデヒドで30分間固定した。核はHoechst33342(In vitrogen Life Technologies,Corp.,Carlsbad,CA)によって染色し、観察した。
II.結果
FITC標識をしたポリアミドHMMP9NFκβは投与1日後肝臓、腎臓の細胞の核に多く取り込まれた。脾臓の細胞の核にも取り込まれた。また,添加後6日後でも、強いFITCの蛍光が認められた。さらに,6日でFITCの蛍光強度があまり減弱しない事より、ポリアミドHMMP9NFκβが細胞核内で非常に安定であることが示唆された。しかし21日後には、各組織の細胞でのFITCの蛍光強度は顕著に減弱しており、細胞核内でのDNAの結合は徐々に失われていくものと考えられた。これは他のポリアミド化合物と同様に、尿や胆汁よりポリアミドが排泄されることで説明できる現象であった。結果は図28に示す。
13.胸腺欠損免疫不全マウス(ヌードマウス)ヒト大腸がん肝転移モデルによる評価
I.材料及び方法
5週齢の雄ヌードマウス(BALB/c Nude Mice CBy.Cg−Foxn1nu/J)(ジャクソンラボラトリー)を購入し、無病原体環境で6週齢まで維持し、実験に使用した。ヒト大腸がん細胞株HT29を100cm細胞培養フラスコで単層培養し、コンフルエント前に0.05%trypsin、0.02%EDTA液で処理し、細胞を採取、800rpmで3分遠心後Ca2+、Mg2+を含まないPBSで洗浄し、1時間ポリアミド10μM濃度に調整した培養液もしくはポリアミドを含まない培養液で一時間培養後に再度100μl中3×10細胞となるようにPBSで細胞サスペンジョンを作製した。このようにしてHMMP9NFκβポリアミド含有、ミスマッチポリアミド含有及びポリアミド非含有PBSによる3群の細胞をそれぞれ6匹のヌードマウスに投与した。ヌードマウスは麻酔下に左側腹部皮膚に縦切開を入れ、腹膜を切開し、脾臓に達し、29ゲージの注射針を用い、脾臓被膜下に、上記大腸がん細胞サスペンジョンを100μl移植した(図29A)。細胞移植部の脾臓被膜を通した色調の変化及び出血、サスペンジョン液の漏出がないことで移植細胞の脾臓被膜下への確実な移入を確認した。移植後のマウスは、6週間飼育され、剖検を行った。肝臓と脾臓を摘出し、10%緩衝ホルマリン溶液で固定し、ヘマトキシリン・エオジン組織染色を行い、顕微鏡観察に供した。図29Bにそれぞれの群における転移巣数を示す。肝臓転移巣部分を標本中に円の中として示す。
II.結果
全ての症例で大腸腺がん細胞の浸潤が脾臓の移植部に原発巣として、肝に転移巣として認められた。図29(B)に示されるように肝転移巣の数と大きさがHMMP9NFκβ群で明らかに少なく面積も小さいことが示された。これに対しポリアミド未処理群、ミスマッチポリアミド投与群では転移巣の大きさが大きく、転移巣同士の融合傾向が強く、転移巣の数も多い傾向が見られた(図29)。このことは、HMMP9NFκβポリアミドによりヌードマウスにおいて脾臓に移植されたヒト大腸がんの肝臓への転移が抑制されたことを示すものと考えられた。
14.統計解析
結果は平均値±SEで表現した。統計的有意性はスチューデントt−検定により評価した。0.05未満のp値を有意であると判定した。
本発明はマトリックスメタロプロテネース9遺伝子発現抑制剤、マトリックスメタロプロテネース9関連疾患の治療薬及び制癌剤に関する。より詳細には特定の構造を有するピロールイミダゾールポリアミドを含んでなる薬剤に関する。
配列番号8 センスプライマー
配列番号9 センスプライマー
配列番号10 センスプライマー
配列番号11 センスプライマー
配列番号12 フォワードプライマー
配列番号13 リバースプライマー
配列番号14 フォワードプライマー
配列番号15 リバースプライマー
配列番号16 フォワードプライマー
配列番号17 リバースプライマー
配列番号18 フォワードプライマー
配列番号19 リバースプライマー
配列番号20 フォワードプライマー
配列番号21 リバースプライマー

Claims (9)

  1. 下式で示されるピロールイミダゾールポリアミドを含んでなる、ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子発現抑制のための薬剤。
    Figure 0005685081

  2. 更にフルオレセインイソチオシアネート単位を含む請求項1に記載の薬剤。
  3. 血管新生、繊維化、又は細胞浸潤を含む病態、並びに浸潤性腫瘍、転移性腫瘍及び腫瘍血管新生から成る群から選択される、ヒトマトリックスメタロプロテネース9関連疾患の治療のための請求項1又は2に記載の薬剤。
  4. 制癌剤として用いるための請求項に記載の薬剤。
  5. 下式で示されるピロールイミダゾールポリアミドを含んでなる、ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子発現抑制のための薬剤。
    Figure 0005685081


  6. 更にフルオレセインイソチオシアネート単位を含む請求項に記載の薬剤。
  7. 血管新生、繊維化、又は細胞浸潤を含む病態、並びに浸潤性腫瘍、転移性腫瘍及び腫瘍血管新生から成る群から選択される、ヒトマトリックスメタロプロテネース9関連疾患の治療のための請求項5又は6に記載の薬剤。
  8. 制癌剤として用いるための請求項に記載の薬剤。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の薬剤又は請求項のいずれか一項に記載の薬剤、及び薬剤として許容される担体を含む、ヒトマトリックスメタロプロテネース9遺伝子発現抑制のための医薬組成物。
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