JP5684541B2 - 鉄筋補強構造 - Google Patents
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Description
ところで、鉄筋コンクリート部材の最大変形量は、軸方向鉄筋の座屈に大きく影響を受けている。そして、一般的に軸方向鉄筋の座屈抵抗を向上させるためには、軸方向鉄筋を取り囲む横方向鉄筋量を増加させている。
そのため、鉄筋コンクリート部材の軸方向鉄筋においては、大規模な地震時の繰返し載荷によって、部材端の軸方向鉄筋が座屈し、荷重低下に至って塑性ひずみが蓄積し、ある値に達した後に塑性座屈が起こるといった問題があった。
また、終局時の軸方向鉄筋の座屈の方向が軸方向鉄筋や横方向鉄筋の配置によって異なることから、軸方向鉄筋を補強する好適な構造がなく、その点で改良の余地があった。
本発明では、丸柱内の軸方向鉄筋の配置により予測される座屈方向に合わせて補強材をバランスよく好適に配置することができる。例えば、周方向に配列される軸方向鉄筋に対して内外側に交互に補強材を設けることで、軸方向鉄筋に生じる変形を丸柱断面において均等に抑えることができる。
この場合、軸方向鉄筋の外側に配置された補強材が横方向鉄筋よりも外側、すなわち柱の表面寄りに配置されないので、横方向鉄筋のコンクリートの被り厚さを確保することができる。
本発明では、多角形状の柱の角部でない中央部分の軸方向鉄筋に十分な耐力がある場合に、角部の鉄筋が外側へ変形しようとするのを防止することができる。
本発明では、補強材の長さ方向に延びる面をコンクリートに対して非定着状態とすることができる。
本発明では、補強材に大きな曲げ剛性をもたせることができ、これにより軸方向鉄筋の変形に対する抵抗性を向上させることができる。
図1乃至図3に示すように、本第1の実施の形態による鉄筋補強構造は、鉄筋コンクリート造の構造物において、フーチング11上に立設された鉄筋コンクリート柱(以下、単に「柱1」という)を構成する鉄筋を補強するものである。
柱1は、断面視正方形で、コンクリート5に埋設された複数の軸方向鉄筋(主筋2)および複数の横方向鉄筋(帯筋3)と、主筋2の側部に柱1の長さ方向Yに連続に非定着状態で配置された補強材4とを備えた構造となっている。
主筋2は、図2において2列に配置され、1列あたり4本が設けられている。
また、補強材4は、柱1の長さ方向Yに同一断面の部材であることから、補強材4の長さ方向に延びる面がコンクリート5に対して非定着状態となっている。
そして、本第1の実施の形態では、主筋2の座屈方向F1が柱内側となる柱1の角部1aでは、その主筋内側の側部に補強材4Aを配置し、角部1a以外の中央部1bで座屈方向F2が柱外側となる部分では、その主筋外側の側部に補強材4Bを配置して、柱1の耐力を向上させることができる。
図5に示すように、第2の実施の形態による鉄筋補強構造は、補強材4のうち柱1の中央部1bに対応する外側補強材4Bの形状を代えたものであって、溝形鋼を用いた構成となっている。なお、柱1の角部1aに対応する内側補強材4Aは、上述した第1の実施の形態と同様にL型鋼からなる。この場合の溝形鋼からなる外側補強材4Bは、凹部4dに主筋2を配置させ、ウェブ4eを主筋2と帯筋3との間に配置させた状態で設けられている。
第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様、外側補強材4Bによって補強材4が主筋2の座屈方向F1、F2への変形に対する抵抗となるので、主筋2の座屈を防止することができ、又は座屈の発生を遅らせることができる。
図6に示すように、第3の実施の形態による鉄筋補強構造は、丸柱6(鉄筋コンクリート柱)の主筋2(軸方向鉄筋)の外側のみに補強材4を設けた構成となっている。主筋2は、帯筋3(横方向鉄筋)の内周側に沿って一定の間隔をもって均等に配置されている。補強材4は、すべてL型鋼であり、一方の辺部4aが主筋2と帯筋3との間に配置された状態で設けられている。
本第3の実施の形態の丸柱6のように、主筋2の座屈方向が予測できない場合には、すべての主筋2の外側の側部に補強材4を設けることで、少なくとも丸柱外への主筋2の変形を抑えることができる。
図7に示すように、第4の実施の形態による鉄筋補強構造は、上述した第3の実施の形態の補強材4(図6参照)の主筋2に対する位置(向き)を代えた構成となっている。
すなわち、丸柱6の主筋2において、隣り合う主筋2、2で互いに異なる位置に補強材4を設けた構成となっている。具体的には、周方向に配列される主筋2に対して内外側に交互に補強材4(内側補強材4A、外側補強材4B)を設けることで、主筋2に生じる変形を丸柱断面において均等に抑えることができる。
つまり本第4の実施の形態では、丸柱6内の主筋2の配置により予測される座屈方向に合わせて補強材4をバランスよく好適に配置することができる。
例えば、本実施の形態では四角形状(正方形状)の柱1と丸柱6を鉄筋補強構造の適用対象としているが、これらの形状の柱であることに制限されることはなく、例えば五角形、或いは八角形などの多角形状の柱であってもかまわない。
そして、これら補強材4の厚さ寸法、長さ寸法、位置、向きなどについても、適宜な部材を用いることが可能である。例えば、多角形状の柱のすべての軸方向鉄筋の外側に補強材を設けるようにすることも可能である。この場合、多角形状の柱の角部でない中央部分の軸方向鉄筋に十分な耐力がある場合に、角部の鉄筋が外側へ変形しようとするのを防止することができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した複数の実施の形態を適宜組み合わせてもよい。
1a 角部
1b 中央部
2 主筋(軸方向鉄筋)
3 帯筋(横方向鉄筋)
4 補強材
4A 内側補強材
4B 外側補強材
5 コンクリート
6 丸柱(鉄筋コンクリート柱)
Y 柱の長さ方向
Claims (6)
- 鉄筋コンクリート柱を構成する鉄筋の補強構造であって、
地震時に作用する軸方向鉄筋の座屈方向の側部に、柱の長さ方向に連続に非定着状態で補強材を設け、
多角形状の柱の角部における軸方向鉄筋の内側に、それ以外の部分における軸方向鉄筋の外側に前記補強材を設けたことを特徴とする鉄筋補強構造。 - 鉄筋コンクリート柱を構成する鉄筋の補強構造であって、
地震時に作用する軸方向鉄筋の座屈方向の側部に、柱の長さ方向に連続に非定着状態で補強材を設け、
丸柱の軸方向鉄筋において、隣り合う軸方向鉄筋で互いに異なる位置に前記補強材を設けたことを特徴とする鉄筋補強構造。 - 前記軸方向鉄筋の外側に配置される前記補強材は、前記軸方向鉄筋と横方向鉄筋との間の位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄筋補強構造。
- 鉄筋コンクリート柱を構成する鉄筋の補強構造であって、
地震時に作用する軸方向鉄筋の座屈方向の側部に、柱の長さ方向に連続に非定着状態で補強材を設け、
多角形状の柱のすべての軸方向鉄筋の外側に前記補強材を設けたことを特徴とする鉄筋補強構造。 - 前記補強材は、前記柱の長さ方向に同一断面の部材であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の鉄筋補強構造。
- 前記補強材は、型鋼であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の鉄筋補強構造。
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