JP4429981B2 - フラットプレートのせん断補強構造 - Google Patents

フラットプレートのせん断補強構造 Download PDF

Info

Publication number
JP4429981B2
JP4429981B2 JP2005193605A JP2005193605A JP4429981B2 JP 4429981 B2 JP4429981 B2 JP 4429981B2 JP 2005193605 A JP2005193605 A JP 2005193605A JP 2005193605 A JP2005193605 A JP 2005193605A JP 4429981 B2 JP4429981 B2 JP 4429981B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shear reinforcement
bars
slab
flat plate
column
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005193605A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007009591A (ja
Inventor
靖弘 岡
一夫 平松
剛 岸本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Okumura Corp
Original Assignee
Okumura Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Okumura Corp filed Critical Okumura Corp
Priority to JP2005193605A priority Critical patent/JP4429981B2/ja
Publication of JP2007009591A publication Critical patent/JP2007009591A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4429981B2 publication Critical patent/JP4429981B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、パンチング破壊に対し合理的なせん断補強を確保し、かつ配筋作業の施工性改善も達成することが可能でコストダウンを達成し得るフラットプレートのせん断補強構造に関する。
梁型のないフラットプレートを複数の柱で支持するフラットプレート架構を用いたRC建築物では、地震力を受けた際、フラットプレートが柱周りでパンチング破壊を起こしやすいという問題がある。このパンチング破壊はよく知られているように、地震力を受ける方向に対し柱の前後面の面外せん断破壊と柱の側面のねじれ破壊とが複合して生じる。柱周りのせん断強度、具体的にはせん断補強に有効な鉄筋量が少ないと、脆性的な破壊を呈するこのパンチング破壊によって、変形性能が低下するおそれがある。
そこで従来にあっては、例えば特許文献1に開示されているように、特有の形態のせん断補強筋を柱の周辺に配筋して鉄筋量を増やすようにし、これによって上向きと下向きの力に対して抵抗させることで、パンチング破壊の発生を防止するようにしている。特に当該特許文献1にあっては、この種のせん断補強筋は、単に「柱の周辺に配筋される」としていた。また、特許文献2〜3に示されるように、柱内部もしくは柱面位置から隣接する柱へ向かって相当の長さ範囲で、各種形態のせん断補強筋を配筋して鉄筋量を増やすようにした構造も提案されていた。
特開2001−107509号公報 特開2001−20431号公報 特開2001−262759号公報
ところで、以上の背景技術にあっては、必ずしもパンチング破壊に対して有効なせん断補強範囲もしくは領域が見出されているわけではなく、単に柱周りの広がりに沿って、もしくはフラットプレートの広がりに沿って隣接する他の柱などへ向かって、せん断補強筋を配筋し、これによって鉄筋量を増やしているに過ぎず、使用鋼材量がいたずらに増加してしまうという課題があった。また配筋量の増加により配筋が錯綜し、施工性も良くないという課題があった。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、パンチング破壊に対し合理的なせん断補強を確保し、かつ配筋作業の施工性改善も達成することが可能でコストダウンを達成し得るフラットプレートのせん断補強構造を提供することを目的とする。
本発明にかかるフラットプレートのせん断補強構造は、スラブ筋が埋設され、複数の柱で支持されるフラットプレートのせん断補強構造であって、上記フラットプレートに、上記柱の周方向に沿って柱面から所定幅寸法で第1せん断補強領域を形成するとともに、上記柱より隣接する他の柱に向けて、周辺のスラブ筋よりも高剛性のスラブ筋を配筋し、かつ上記第1せん断補強領域の境界から所定長さ寸法まで帯状の第2せん断補強領域を形成し、上記第1および第2せん断補強領域に配筋される複数のせん断補強筋が、上記高剛性のスラブ筋の下端筋に下方から係合するフック部を下部に、該高剛性のスラブ筋の上端筋に掛けられる平坦部を上部に有するほぼコ字状に形成され、これらコ字状のせん断補強筋は、上記高剛性のスラブ筋の長さ方向の同じ位置に柱面に沿って配列されて互いに隣接するもの同士が互いに直接接合されることなくかつそれら間に閉鎖形式の配筋を形成するように、上記柱の中央を境にして当該中央に向かって互いに向かい合うように該柱の幅方向左側および右側それぞれで同じ向きに揃えて配筋されることを特徴とする。
前記第1せん断補強領域は、前記柱が隅角部を有する場合に、当該隅角部を除いて形成されることを特徴とする。
本発明にかかるフラットプレートのせん断補強構造にあっては、パンチング破壊に対し合理的なせん断補強を確保でき、かつ配筋作業の施工性改善も達成することができてコストダウンを達成することができる。また、コ字状のせん断補強筋を、柱の中央に向かって互いに向かい合うように、柱の幅方向左側および右側それぞれで同じ向きに配筋するようにしたので、例えば交互に向きを変えると、閉鎖形式の配筋形状が大きくなってしまったり、せん断補強筋同士の間に大きな隙間ができてしまう不具合があるとともに、すべて同じ向きに向けて並べると、柱の幅方向左右で配筋が不均一な状態になってしまう不具合があることに比べて、柱を中心にその左右方向で均一に配筋でき、また小さな閉鎖形式の配筋であってかつほぼ隙間のない一連のせん断補強筋の配列によって良好にせん断補強することができる。
以下に、本発明にかかるフラットプレートのせん断補強構造の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかるフラットプレートのせん断補強構造は基本的には図1から図6に示すように、スラブ筋1が埋設され、複数の柱2,3で支持されるフラットプレート4のせん断補強構造であって、フラットプレート4に、柱2,3の周方向に沿って柱面2a,3aから所定幅寸法Wで第1せん断補強領域Cを形成するとともに、柱2より隣接する他の柱3に向けて、周辺のスラブ筋2よりも高剛性のスラブ筋5を配筋し、かつ第1せん断補強領域Cの境界Caから所定長さ寸法Lまで帯状の第2せん断補強領域Dを形成して構成される。
フラットプレート架構は、RC造建物の複数の柱2,3で、梁型のないフラットプレート4を支持することによって構成される。柱2,3は通常、互いに適宜間隔を隔てて碁盤の目状に配置される。これら柱2,3の柱主筋6は、フラットプレート4を上下方向に貫通して配筋される。
フラットプレート4内には、スラブ筋1,5が埋設される。スラブ筋1,5は図1、図4および図5に示されるように、フラットプレート4の縦方向(以下、Y方向という)に互いに適宜ピッチを隔てて配列されるY方向の上端筋1a,5a、フラットプレート4の横方向(以下、X方向という)に互いに適宜ピッチを隔てて配列されるX方向の上端筋1b,5b、Y方向の上端筋1a,5a下方に当該上端筋1a,5aに揃えて配列されて各上端筋1a,5aと上下一対をなすY方向の下端筋1c,5c、並びにX方向の上端筋1b,5b下方に当該上端筋1b,5bに揃えて配列されて各上端筋1b,5bと上下一対をなすX方向の下端筋1d,5dから構成される。そしてスラブ筋1,5は例えば、X方向の上下一対の上端筋1b,5bと下端筋1d,5dとの間にY方向の上下一対の上端筋1a,5aと下端筋1c,5cとを挟み込んだ状態で、Y方向およびX方向の上端筋1a,1b,5a,5b同士、そしてまた下端筋1c,1d,5c,5d同士が互いに縦横に交差するように交錯して配筋されて構成される。
また、柱2,3位置に配筋されるスラブ筋5と柱主筋6との取り合いについては、Y方向およびX方向の上端筋5a,5bと下端筋5c,5dはともに、柱主筋6間に挿通され、柱2,3を前後方向および左右方向に貫通して配筋される。図1および図2にあっては、建物内部の柱2と側柱3との間のフラットプレート4が部分的に示されている。側柱3が配列される建物の周囲には、梁主筋7が配筋されて側柱3同士を繋ぐ梁8が設けられ、フラットプレート4の周縁部分はこれら梁8と側柱3とによって支持される。スラブ筋1,5は、梁主筋7との関係では、当該梁主筋7と上下に交錯するように配筋される。フラットプレート4は、現場打ちであっても、プレキャスト製であっても良い。
このようにして構築されるフラットプレート4には、第1せん断補強領域Cと第2せん断補強領域Dとが形成される。第1せん断補強領域Cは、柱2,3の周方向に沿って柱面2a,3aから所定幅寸法Wの広がりで形成され、その外周縁が境界Caとなる。具体的には、建物内部の柱2であれば、第1せん断補強領域Cは、柱2を取り囲むようにその周りに環状に形成される。側柱3であれば、梁8を避けた範囲で、その周りに沿って第1せん断補強領域Cが形成される。図示例にあっては、側柱3には、建物内方に面する柱面3aに沿ってのみ、第1せん断補強領域Cが形成されている。
第2せん断補強領域Dは、柱2から隣接する他の柱3に向けて、第1せん断補強領域Cの境界Caから所定長さ寸法Lまで帯状に形成される。柱2,3は通常、上述したように碁盤の目状に配置されるので、建物内部の柱2であれば、第2せん断補強領域Dは、隣接する前後左右の柱に向かって、十字状に形成される。他の柱が斜め方向に位置する場合には、第2せん断補強領域Dは、当該他の柱に向けて斜めに形成される。
スラブ筋1,5に関し、第2せん断補強領域Dが設定される隣接する柱2,3同士間では、それ以外の周辺のスラブ筋1よりも高剛性のスラブ筋5が配筋される。従って、スラブ筋1,5のうち、柱主筋6間に挿通されて柱2,3を貫通するスラブ筋5は、周辺の他のスラブ筋1よりも高剛性のものが採用される。図示例にあっては、柱2,3を貫通するスラブ筋5に加えて、最も柱面2a,3aに近接するスラブ筋にも、高剛性のスラブ筋5が用いられ、柱2,3周りにはその直近に高剛性のスラブ筋5が配筋されている。高剛性のスラブ筋5としては、それ以外の周辺のスラブ筋1よりも例えば、鉄筋径の太いものや材質として高強度のものが採用される。
次に、これらせん断補強領域C,Dに配筋されるせん断補強筋9について説明する。せん断補強筋9は図3に示すように、フラットプレート4の厚さ方向に延びる本体部9aと、本体部9aの上部にこれより水平方向にほぼ90°折り曲げられて形成された平坦部9bと、本体部9aの下部にこれより平坦部9bと同じ側であってかつ斜め上向きに折り曲げられて形成されたフック部9cとから、ほぼコ字状に形成される。フック部9cの曲げ上げ傾斜角度は、本体部9aに対して例えば45°に設定される。
せん断補強筋9はスラブ筋、具体的には高剛性のスラブ筋5の上端筋5bおよび下端筋5dに対し、それらの一方側から他方側へ抜け出すように差し込まれる。この際、フック部9cは、交差する下端筋5c,5d同士のうち、下側に位置するものに対して下方から係合され、また平坦部9bは、交差する上端筋5a,5b同士のうち、上側に位置するものに対して上方から掛けられる。これにより、せん断補強筋9によるスラブ筋5の拘束を十分に確保することができ、せん断強度を十分に増強することができる。これらフック部9cおよび平坦部9bの、本体部9aからの突出寸法は、スラブ筋5の配筋ピッチよりも短く設定される。そしてこのようなせん断補強筋9は、各せん断補強領域C,D内で各スラブ筋5それぞれに対し、その長さ方向に適宜ピッチで複数配筋される。
図4には、第1せん断補強領域Cにおけるせん断補強筋9の配筋状態が示されている。せん断補強筋9は、コ字状に開いた側が柱2,3の中央に向く向きを基準として、柱2,3の中央を境にして、柱2,3の幅方向左側のものがすべて左向きに、また幅方向右側のものがすべて右向きに、それぞれ向きを揃えて配筋される。従って、これらせん断補強筋9は、各スラブ筋5の長さ方向に向かって同じ位置に配筋されるものが、柱2,3の中央に向かって互いに向かい合うように配列される。せん断補強筋9は、基本的には高剛性のスラブ筋5に配筋されるが、図示例にあっては、当該高剛性のスラブ筋5の外側に配筋されるスラブ筋1にも、同様に配筋されている。図4から理解されるように、柱面2a,3aに沿って配列されて互いに隣接することとなるせん断補強筋9同士は、互いに直接接合されることはなく、かつそれら間に閉鎖形式の配筋を形成するようになっている。
図5には、第2せん断補強領域Dにおけるせん断補強筋9の配筋状態が示されている。配筋形式は、第1せん断補強領域Cと同様である一方で、柱2,3の中央部を貫通するスラブ筋5や柱面2a,3a直近に配筋されるスラブ筋5には配筋されず、これら間の柱2,3の左寄りもしくは右寄りを貫通するスラブ筋5に配筋される。
以上のように構成された本実施形態にかかるフラットプレート4のせん断補強構造を検証するために、フラットプレート4の試験体に対し、パンチング破壊の発生メカニズムに対応する加力試験を実施した。具体的には、第1せん断補強領域Cの面積に対し、当該第1せん断補強領域Cのせん断補強筋9の断面積を0.44%とし、また第2せん断補強領域Dの面積に対し、当該第2せん断補強領域Dのせん断補強筋9の断面積を0.2%とした場合、図6に示すように、サイクリックな繰り返し荷重Qsにより、面外変形量R=+5×10-3rad以降、まず柱幅内の柱芯位置でフラットプレート危険断面位置でのスラブ筋が降伏し、面外変形量R=+10×10-3radまでに柱側面まで順次降伏した。その後、面外変形量R=+15×10-3radまでに全ての高剛性のスラブ筋が降伏して最大荷重(Qsmax)近傍まで荷重が上昇した。最大荷重後は急激な荷重低下は見られなかった。
上記構造を備えた場合、第1せん断補強領域Cの幅寸法Wをフラットプレート4の厚さT相当とし、第2せん断補強領域Dの長さ寸法Lを柱間スパンSの1/4程度とすることで、有効なせん断補強性能を確保し得る。ここに、柱間スパンSとは、隣接する柱2,3の互いに向かい合う柱面2a,3a間の寸法をいう。
さらに、第1せん断補強領域Cは、隅角部を有する柱2,3、すなわち平断面多角形状の柱の場合、隅角部を除いて形成するようにしても良い。すなわち、第1せん断補強領域Cは、柱2,3周りに環状ではなく、各柱面2a,3aの幅寸法以内で形成するようにしても良い。パンチング破壊は上述したように、地震力を受ける方向に対し柱の前後面の面外せん断破壊と柱の側面のねじれ破壊とが複合して生じるので、例えば平断面矩形状の柱2,3であれば、前後および左右の柱面2a,3aを基準として当該柱面2a,3aの幅相当の範囲で十字状に第1および第2せん断補強領域C,Dを確保すればよく、当該十字状の領域に挟まれて柱2,3の隅角部から広がる区域については、パンチング破壊に対してのせん断強度増強の有効性は小さいことから、当該区域を第1せん断補強領域Cから除外することで、せん断補強筋9の量やその施工手間を省くことができ、コストダウンを図ることができる。
次に、本実施形態のフラットプレート4のせん断補強構造の作用について説明する。フラットプレート架構の施工にあっては、フラットプレート4がプレキャスト製の場合には、工場あるいは現場近隣において、高剛性のものを含むスラブ筋1,5を型枠内の所定位置に配筋し、さらに第1および第2せん断補強領域C,Dにせん断補強筋9を配筋する。スラブ筋1,5は、隣接する他のフラットプレートとの取り合い部、また柱主筋6や梁主筋7との取り合い部が露出される。せん断補強筋9は、フック部9cを最下方の下端筋5dに係合した上で、平坦部9bを最上方の上端筋5bに掛けることのみで配筋を完了することができる。せん断補強筋9は、第1および第2せん断補強領域C,D内で、各スラブ筋5に対し、定められたピッチで配筋する。
このようにして配筋作業を完了したら、型枠内にコンクリート打設し、その後型枠から脱型する。これにより、第1および第2せん断補強領域C,Dを備え、かつ柱2,3や梁8、隣接するフラットプレートとの取り合い部を有するプレキャスト製や半プレキャスト製のフラットプレート4を完成することができる。そしてこのフラットプレート4を建物内部の所定位置に搬入して、柱2,3などの上に設置すればよい。
現場打ちの場合には、所定位置に設置した型枠内に同様にしてスラブ筋1,5やせん断補強筋9を配筋した上で、コンクリートを打設し、これにより柱2,3などとの接合を確保して、その後型枠を脱型すればよい。以上により、現場打ち、プレキャスト製のいずれであっても、第1せん断補強領域Cと第2せん断補強領域Dとを形成したフラットプレート4を備えたRC建物を構築することができる。
ところで、本実施形態にかかるフラットプレート4のせん断補強構造にあっては、フラットプレート4に、柱2,3の周方向に沿って柱面2a,3aから所定幅寸法Wで第1せん断補強領域Cを形成するとともに、柱2,3より隣接する他の柱に向けて、周辺のスラブ筋1よりも高剛性のスラブ筋5を配筋し、かつ第1せん断補強領域Cの境界Caから所定長さ寸法Lまで帯状の第2せん断補強領域Dを形成するようにしたので、第1せん断補強領域Cと第2せん断補強領域Dとの組み合わせにより、そしてまた柱2,3から隣接する他の柱に向けて配筋される高剛性のスラブ筋5の作用も相俟って、柱2,3の前後面の面外せん断破壊と柱の側面のねじれ破壊とが複合して生じるパンチング破壊に対し合理的にせん断強度を向上することができ、また変形能力も向上することができて、靭性に優れたフラットプレート4を構築することができる。
そしてこのように補強範囲を適切にかつ小規模に特定することにより、せん断強度を増強するせん断補強筋9の配筋を低減して使用鋼材量を削減でき、また配筋の錯綜を軽減して配筋作業の施工性も改善することができて、コストダウンを達成することができる。柱2,3間に配筋した高剛性のスラブ筋5により、柱2,3間に形成される第2せん断補強領域Dの靭性を保証することができる。また、組み合わせられて相互にせん断強度を増強する第1および第2せん断補強領域C,Dに関し、いずれか一方のせん断補強筋量を増やすことで他方のせん断補強筋量を減らすことが可能で、例えば、第1せん断補強領域Cの配筋を減らすようにすれば、柱2,3周りの鉄筋の錯綜の軽減やコンクリートの充填性を考慮したせん断補強筋の配筋計画を行うことができ、コンクリート充填作業や配筋作業の作業性の更なる向上を図ることができる。
第1せん断補強領域Cの所定幅寸法Wを、フラットプレート4の厚さT相当の幅寸法とし、第2せん断補強領域Dの所定長さ寸法Lを、柱2,3と隣接する他の柱との間の柱間スパンSの1/4程度の長さ寸法としていて、フラットプレート4に対し過不足のないせん断強度を適切に確保することができる。また、せん断補強筋9を、下端筋5dに下方から係合するフック部9cを下部に、上端筋5bに掛けられる平坦部9bを上部に有するほぼコ字状に形成したので、単にスラブ筋5に引っ掛けるだけで配筋作業を完了でき、いわゆる閉鎖型のせん断補強筋に比べて、作業を簡単化でき、施工性を改善することができる。
また、コ字状のせん断補強筋9を、柱2,3の中央に向かって互いに向かい合うように、柱2,3の幅方向左側および右側それぞれで同じ向きに配筋するようにしたので、例えば交互に向きを変えると、閉鎖形式の配筋形状が大きくなってしまったり、せん断補強筋同士の間に大きな隙間ができてしまう不具合があるとともに、すべて同じ向きに向けて並べると、柱の幅方向左右で配筋が不均一な状態になってしまう不具合があることに比べて、柱2,3を中心にその左右方向で均一に配筋でき、また小さな閉鎖形式の配筋であってかつほぼ隙間のない一連のせん断補強筋9の配列によって良好にせん断補強することができる。
さらに、第1せん断補強領域Cでは、せん断補強筋9の断面積を当該第1せん断補強領域Cの面積に対し、0.45%程度に設定し、第2せん断補強領域Dでは、せん断補強筋9の断面積を当該第2せん断補強領域Dの面積に対し、0.2%程度に設定するようにして、基本的にせん断力が集中しそれに伴ってひずみが大きくなる柱2,3周囲の第1せん断補強領域Cのせん断強度を高く設定するとともに、柱2,3から離れた位置となる第2せん断補強領域Dにより、第1せん断補強領域Cに作用するせん断力の一部を合理的に負担させることができ、これらによって配筋量を削減し、施工性を改善し、そしてまたこれらによりコストダウンを達成しつつ、必要なせん断強度を十分に確保して、パンチング破壊の発生を適切に防止することができる。
第1せん断補強領域Cにおけるせん断補強筋9の配筋状態については、少なくともせん断補強筋9でスラブ筋5を拘束することができればよく、図4に示したものに代えて、図7に示すような配筋としてもよい。図示した正面視(a)、平面視(b)、並びに側面視(c)では、X方向の上端筋5bおよび下端筋5dの間にY方向の上端筋5aおよび下端筋5cを交差させた配筋であって、いずれかの柱面2eに沿って配筋されるせん断補強筋9は、コ字状の向きが当該柱面2eに沿うようにして適宜な向きで各スラブ筋5に配筋される一方、この柱面2eと直交する柱面2fに対しては、コ字状の向きが当該柱面2fに向くようにして各スラブ筋5に配筋されている。
上記実施形態にあっては、せん断補強筋9に関し、フック部9cおよび平坦部9bの、本体部9aからの突出寸法を、スラブ筋5の配筋ピッチよりも短く設定する場合について説明したが、平坦部9bについては図8に示すように、スラブ筋5の配筋ピッチpよりも長く設定して、隣接する上端筋5bに被せるようにしてもよい。このようにすれば、せん断補強を効率よく確保することができる。
また、第2せん断補強領域Dにおけるせん断補強筋9の配筋状態についても、図5に示したものに代えて、図9の正面視(a)および側面視(b)に示すように、例えばX方向の上端筋5bおよび下端筋5dの間にY方向の上端筋5aおよび下端筋5cを交差させた配筋とした場合に、フック部9cを、上側に位置する下端筋5cに対して下方から係合し、また平坦部9bを、下側に位置する上端筋5aに対して上方から掛けるようにして、X方向のスラブ筋5と結合することなく、Y方向のスラブ筋5のみに配筋するようにしてもよい。
本発明にかかるフラットプレートのせん断補強構造の好適な一実施形態を示すフラットプレート架構の平面図である。 図1に示したフラットプレート架構の側面図である。 本発明にかかるフラットプレートのせん断補強構造に採用されるせん断補強筋の一例を示す側面図である。 図1中、A−A線矢視断面図である。 図1中、B−B線矢視断面図である。 本発明にかかるフラットプレートのせん断補強構造の試験体に対して行った加力試験における荷重と変形との関係を示すグラフ図である。 本発明にかかるフラットプレートのせん断補強構造の第1せん断補強領域におけるせん断補強筋の配筋状態の変形例を説明する説明図である。 本発明にかかるフラットプレートのせん断補強構造に採用されるせん断補強筋の変形例を示す側面図である。 本発明にかかるフラットプレートのせん断補強構造の第2せん断補強領域におけるせん断補強筋の配筋状態の変形例を説明する説明図である。
符号の説明
1 スラブ筋
2,3 柱
2a,3a 柱面
4 フラットプレート
5 高剛性のスラブ筋
5a,5b スラブ筋の上端筋
5c,5d スラブ筋の下端筋
9 せん断補強筋
9b 平坦部
9c フック部
C 第1せん断補強領域
Ca 第1せん断補強領域の境界
D 第2せん断補強領域
L 第2せん断補強領域の所定長さ寸法
S 柱間スパン
T フラットプレートの厚さ寸法
W 第1せん断補強領域の所定幅寸法

Claims (2)

  1. スラブ筋が埋設され、複数の柱で支持されるフラットプレートのせん断補強構造であって、
    上記フラットプレートに、上記柱の周方向に沿って柱面から所定幅寸法で第1せん断補強領域を形成するとともに、上記柱より隣接する他の柱に向けて、周辺のスラブ筋よりも高剛性のスラブ筋を配筋し、かつ上記第1せん断補強領域の境界から所定長さ寸法まで帯状の第2せん断補強領域を形成し、
    上記第1および第2せん断補強領域に配筋される複数のせん断補強筋が、上記高剛性のスラブ筋の下端筋に下方から係合するフック部を下部に、該高剛性のスラブ筋の上端筋に掛けられる平坦部を上部に有するほぼコ字状に形成され、
    これらコ字状のせん断補強筋は、上記高剛性のスラブ筋の長さ方向の同じ位置に柱面に沿って配列されて互いに隣接するもの同士が互いに直接接合されることなくかつそれら間に閉鎖形式の配筋を形成するように、上記柱の中央を境にして当該中央に向かって互いに向かい合うように該柱の幅方向左側および右側それぞれで同じ向きに揃えて配筋されることを特徴とするフラットプレートのせん断補強構造。
  2. 前記第1せん断補強領域は、前記柱が隅角部を有する場合に、当該隅角部を除いて形成されることを特徴とする請求項1に記載のフラットプレートのせん断補強構造。
JP2005193605A 2005-07-01 2005-07-01 フラットプレートのせん断補強構造 Active JP4429981B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005193605A JP4429981B2 (ja) 2005-07-01 2005-07-01 フラットプレートのせん断補強構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005193605A JP4429981B2 (ja) 2005-07-01 2005-07-01 フラットプレートのせん断補強構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007009591A JP2007009591A (ja) 2007-01-18
JP4429981B2 true JP4429981B2 (ja) 2010-03-10

Family

ID=37748446

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005193605A Active JP4429981B2 (ja) 2005-07-01 2005-07-01 フラットプレートのせん断補強構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4429981B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4823932B2 (ja) * 2007-02-02 2011-11-24 株式会社奥村組 柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造
JP2008208576A (ja) * 2007-02-23 2008-09-11 Okumura Corp フラットプレートの柱間せん断補強構造
JP4860559B2 (ja) * 2007-06-25 2012-01-25 株式会社奥村組 建築物の構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007009591A (ja) 2007-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101107300B1 (ko) 강판전단벽
JP4429981B2 (ja) フラットプレートのせん断補強構造
JP4405363B2 (ja) 耐震補強コンクリート部材及びその製造方法
KR101139761B1 (ko) 건축물용 보강 벽
JP5184836B2 (ja) 合成鋼床版桁橋の施工方法
JP6204027B2 (ja) 補強構造
KR20120008667A (ko) 데크플레이트용 단부보강체를 이용한 보 시공방법
JP2023144836A (ja) 建物基礎構造
TWM621077U (zh) 耐震結構柱及其雙核心鋼筋結構
JP4823932B2 (ja) 柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造
JP5939707B2 (ja) 柱梁接合部の補強構造
JP2021075999A (ja) 鉄筋コンクリート板構造
KR20050021611A (ko) 기둥 슬래브간 접합부 전단 보강체 및 이를 이용한 전단보강구조
JP4129225B2 (ja) 防護用堤体の構築方法
KR100960386B1 (ko) 거더 합성형 바닥판 패널
JP5024696B2 (ja) 既存建造物の耐震補強構造
KR20070053836A (ko) 기둥 슬래브간 접합부 전단보강재 및 그의 제조방법
JP6576204B2 (ja) スラブ構造の施工方法
JP3180332U (ja) コンクリート基礎施工セット
JP2006132137A (ja) 法面安定化方法及び法面安定化構造物
JP6300228B2 (ja) フラットスラブ構造
JP5921882B2 (ja) 合成床システム
KR102175474B1 (ko) 철근 조립체
JP7436258B2 (ja) 高層建物
JP2000027368A (ja) 鉄骨鉄筋コンクリート造柱

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090724

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090804

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090930

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091215

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091216

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121225

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4429981

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121225

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151225

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250