JP4823932B2 - 柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造 - Google Patents

柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造 Download PDF

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Description

本発明は、柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのパンチング破壊に対し合理的なせん断補強を確保し、かつ配筋作業の施工性改善も達成することが可能でコストダウンを達成し得る柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造に関する。
柱頭にスラブ支持部(キャピタル)を持たず、柱で直接スラブを支持するフラットプレート構造においては、地震時等の水平力により柱周りのスラブに発生するパンチング破壊が問題となる。このパンチング破壊はよく知られているように、地震力を受ける方向に対し柱の前後面の面外せん断破壊と柱の側面のねじれ破壊とが複合して生じる。柱周りのせん断強度、具体的にはせん断補強に有効な鉄筋量が少ないと、脆性的な破壊を呈するこのパンチング破壊によって、変形性能が低下するおそれがある。
そこで従来にあっては、例えば特許文献1に開示されているように、特有の形態のせん断補強筋を柱の周辺に配筋して鉄筋量を増やすようにし、これによって上向きと下向きの力に対して抵抗させることで、パンチング破壊の発生を防止するようにしている。特に当該特許文献1にあっては、この種のせん断補強筋は、単に「柱の周辺に配筋される」としていた。また、特許文献2〜3に示されるように、柱内部もしくは柱面位置から隣接する柱へ向かって相当の長さ範囲で、各種形態のせん断補強筋を配筋して鉄筋量を増やすようにした構造も提案されていた。
特開2001−107509号公報 特開2001−20431号公報 特開2001−262759号公報
一方、エレベーターやトイレ等の共用部をまとめて配置したコア部を有する建築物において、該コア部の周囲にコア壁を配置してコア部の剛性を確保しつつ、コア部外周のスラブをフラットプレート構造とする場合がある。この場合のフラットプレートはコア壁とコア部の周囲に配置された柱とにより支持されることとなり、パンチング破壊(せん断破壊)はフラットプレートとコア壁の接続部にも発生する。しかしながら、前記背景技術では、フラットプレートの柱周りおよび柱間のせん断補強方法に関する技術は示されているが、コア壁の周囲およびコア壁と柱間におけるせん断補強法に関しては示されていない。
また、柱周りのせん断補強に関しても、パンチング破壊に対して有効なせん断補強範囲もしくは領域が見出されているわけではなく、単に柱周りの広がりに沿って、もしくはフラットプレートの広がりに沿って隣接する他の柱などへ向かって、せん断補強筋を配筋し、これによって鉄筋量を増やしているに過ぎず、使用鋼材量がいたずらに増加してしまうという課題があった。また配筋量の増加により配筋が錯綜し、施工性も良くないという課題があった。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、フラットプレートのコア壁の周囲および柱周りにおけるパンチング破壊に対する合理的なせん断補強を確保し、かつ配筋作業の施工性改善も達成することが可能でコストダウンを達成し得る柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造を提供することを目的とする。
本発明にかかる柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造は、スラブ筋が埋設され、柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造であって、上記コア壁に、当該コア壁の核部を設定し、該コア壁の核部は、当該コア壁と直交する方向に柱を臨む柱対向壁面部であって、横幅を該コア壁の厚さに等しく、横幅方向の中心を、柱の柱芯を当該コア壁と直交する方向に臨む位置に設定し、かつ、その壁配筋を該コア壁の他の部分の壁配筋よりも高剛性に配筋して形成し、該フラットプレートに、該コア壁の核部からこれと向かい合う柱に向けて、該コア壁の核部と該柱との最短距離方向に第1せん断補強領域を形成するとともに、該コア壁の核部と該柱との間に、当該最短距離方向に沿って周辺のスラブ筋よりも高剛性のスラブ筋を配筋し、かつ上記第1せん断補強領域の境界から該柱に向けて第2せん断補強領域を形成し、前記フラットプレートに、前記柱からこれと向かい合う前記コア壁の核部に向けて、該柱と該コア壁の核部との最短距離方向に、所定幅寸法で第3せん断補強領域を形成するとともに、該第3せん断補強領域の境界から上記コア壁の核部に向けて所定長さ寸法まで第4せん断補強領域を形成し、前記第1せん断補強領域は、前記コア壁に沿う幅寸法、および前記柱に向かう長さ寸法がそれぞれ、該コア壁の厚さに前記フラットプレートの厚さの2倍を加えた寸法以上、および該フラットプレートの厚さにほぼ等しく形成されるとともに、前記第2せん断補強領域は、上記柱に向かう長さ寸法が、上記コア壁の核部から当該コア壁の核部と該柱との間の距離の1/4程度に形成され、前記第3せん断補強領域の所定幅寸法が、前記柱の柱幅に前記フラットプレートの厚さの2倍を加えた長さ相当であり、前記第4せん断補強領域の所定長さ寸法が、前記柱から当該柱と該コア壁の核部との間の距離の1/4程度であることを特徴とする。
前記各せん断補強領域では、複数のせん断補強筋が配筋され、各せん断補強筋は、下端筋に下方から係合するフック部を下部に、上端筋に掛けられる平坦部を上部に有するほぼコ字状に形成されることを特徴とする。
前記第1せん断補強領域および第3せん断補強領域では、前記せん断補強筋の断面積を各せん断補強領域の面積に対し0.45%程度に設定し、前記第2せん断補強領域および第4せん断補強領域では、前記せん断補強筋の断面積を各せん断補強領域の面積に対し0.2%程度に設定することを特徴とする。
前記コア壁は、直交する一対の壁が連結された隅角部を有し、前記第1せん断補強領域が該隅角部に沿ってL字状に形成されることを特徴とする。
本発明にかかる柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造にあっては、フラットプレートのコア壁の周面および柱周りにおけるパンチング破壊に対する合理的なせん断補強を確保し、かつ配筋作業の施工性改善も達成することが可能でコストダウンを達成することが出来る。
以下に、本発明にかかる柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかる柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造は基本的には、図1から図9に示すように、スラブ筋1が埋設され、柱2およびコア壁3で支持されるフラットプレート4のせん断補強構造であって、フラットプレート4に、コア壁3からこれと向かい合う柱2に向けて、コア壁3と柱2との最短距離方向に第1せん断補強領域Aを形成するとともに、コア壁3と柱2との間に、これらの最短距離方向に沿って周辺のスラブ筋1よりも高剛性のスラブ筋5を配筋し、かつ第1せん断補強領域Aの境界Abから柱2に向けて第2せん断補強領域Bを形成し、フラットプレート4に、柱2からこれと向かい合うコア壁3に向けて、上記最短距離方向に、所定幅寸法Cwで第3せん断補強領域Cを形成するとともに、第3せん断補強領域Cの境界Cbから上記コア壁3に向けて所定長さ寸法DLまで第4せん断補強領域Dが形成されている。
本実施形態におけるフラットプレート4を有する建築物は、外周部に沿って建築物の平面X方向およびY方向それぞれに所定の間隔をもって柱2が複数配置され、各柱2間には外周部梁6が設けられている。平面中央部分には、設備シャフト、エレベーター、トイレ等の共用部が集中的に配置されたコア部Uが設けられている。コア部Uの周囲には複数のコア壁3がX、Y方向に沿って設けられている。コア壁3と外周部梁6との間には居室部Hが設けられ、居室部Hのスラブはフラットプレート4として構成されている。
本実施形態におけるコア壁3の厚さW3は柱2の柱幅W2と等しく形成されている。コア壁3は直線状のI型コア壁3Iと、直交する一対の壁が連結された隅角部3rを有するL字状のL型コア壁3Lから構成される。コア部Uの周囲四隅にはL型コア壁3Lが配置される。配置されたL型コア壁3Lの間には、I型コア壁3Iが配置される。
I型コア壁3IはL型コア壁3Lの各壁面に沿って配置される。L型コア壁3LとI型コア壁3Iとの間には、コア部Uから居室部Hへの動線や設備ダクト等が配置できるように間隔が設けられている。建築物の外周部の柱2とコア壁3が対向するように、コア壁3が配置されている。コア部Uを挟んで対向する位置にあるI型コア壁3I間にはコア部梁7が架設される。コア壁3の内方には、コア部梁7および各コア壁3で支持されたコア部スラブ8が形成されている。コア壁3、コア部梁7およびコア部スラブ8とによりコア部Uの水平剛性が確保されている。本実施形態におけるコア壁3は、少なくともスラブからの鉛直荷重を支持する耐力壁としての機能と、地震力などの水平力を負担する耐震壁としての機能も有している。
コア壁3と外周部梁6との間の居室部Hのスラブはフラットプレート4で構成されている。すなわち、居室部Hのスラブは、建築物の外周部においてキャピタルのない柱2および外周部梁6で直接支持され、建築物のコア部U側は各コア壁3により支持され、柱2とコア壁3間のスラブ底に梁型は露出しない構造となっている。本実施形態における「フラットプレート」は、その周囲では少なくとも、コア壁3とこれに隣接する柱2および柱2相互間に架設される外周部梁6によって直接支持され、コア壁3と柱2間のスラブ底に梁型やキャピタルが露出しないスラブを意味する。
フラットプレート4内には、スラブ筋1とこれより剛性の高いスラブ筋5が埋設されている。スラブ筋5は、コア壁3と直交する方向に柱2を臨む、コア壁3の柱対向壁面部3aから、その柱対向壁面部3aに対向する柱2の面2a(以下「柱面」)へ向う方向、すなわちコア壁3と柱2の最短距離方向に、スラブ筋5の長さ方向を一致させて配筋される。最短距離方向はコア壁3と柱2との関係から定まる方向である。本実施形態において、コア壁3の壁面および柱2は建築物のX方向、Y方向に沿って設けられているため、最短距離方向は、X方向またはY方向いずれか一方の方向に一致する。柱対向壁面部3aの横幅はコア壁3の厚さW3に等しく設定され、柱対向壁面部3aの横幅方向の中心は、柱2の柱芯をコア壁3と直交する方向に臨む位置に設定される。
スラブ筋5は、コア壁3に沿う方向に互いに適宜間隔を隔てて、第2せん断補強領域Bまたは第4せん断補強領域Dの範囲内で複数配筋される。スラブ筋5は、フラットプレート4の厚さ方向上部に配筋される上端筋5aと、上端筋5aと上下一対をなしフラットプレート4の厚さ方向下部に配筋される下端筋5cの二段で配筋される。柱2へ向けて延びるスラブ筋5の端部は、柱2の柱芯および外周部梁6の梁芯を超える位置まで延伸され、柱2および外周部梁6の内部で曲げ加工され定着される。本実施形態においては、スラブ筋5の、柱2内の曲げ加工の長さおよび外周部梁6内の曲げ加工の長さはともに、外周部梁6の梁せい内に収まる寸法で加工されている。
コア壁3方向へ延びるスラブ筋5の端部は、コア壁3部分を貫通してコア部スラブ8内にまで延伸され定着される。コア壁3のコア部U側壁面(以下「内側面」という)より内方にコア部梁7が位置する場合(図3、4参照)には、スラブ筋5の端部はコア部梁7内までさらに延伸されてコア部梁7内に定着される。コア部梁7やコア部スラブ8が、コア壁3の内側面より内方に存在しない場合には、スラブ筋5の端部はコア壁3内で曲げ加工されて十分な定着長さが確保される。なお本実施形態におけるコア部梁7の下側主筋は、コア壁3内まで延伸されコア壁3内部で上方へ曲げ加工され、その端部はスラブ筋5cと交差する位置まで延伸されている(図4参照)。このように、フラットプレート4におけるスラブ筋5が、柱2と最短距離となるコア壁3の部分、すなわち柱対向壁面部3aと柱2との間に配筋され、その端部がコア壁3、柱2および外周部梁6等に定着されることで、フラットプレート4におけるコア壁3へのせん断力の伝達経路が明確化され、面として広がるコア壁3において、せん断力を重点的に負担する部分を特定することができる。
スラブ筋1はスラブ筋5が配筋される部分以外のフラットプレート4の部分に配筋される。スラブ筋1はフラットプレート4に対し要求される耐力を実現できる鉄筋径の鉄筋であって、建築物のX方向(横方向)Y方向(縦方向)に適宜ピッチを隔てて配筋される。スラブ筋1は、フラットプレート4の厚さ方向上部に配筋される上端筋1aと上端筋1aと上下一対をなしフラットプレート4の厚さ方向下部に配筋される下端筋1cの二段で配筋される。
スラブ筋5はスラブ筋1に比べ鉄筋径が太く、スラブ筋1より高剛性のスラブ筋となっている。鉄筋の材質を変更することによりスラブ筋5を高剛性にしても良い。また、スラブ筋5の配筋ピッチも密になっているため、スラブ筋5の配筋箇所の剛性はスラブ筋1が配筋された箇所より剛性が高くなっている。
第1せん断補強領域Aは、フラットプレート4に、コア壁3からこれと向かい合う柱2に向けて、コア壁3と柱2との最短距離方向に形成される。すなわち、第1せん断補強領域Aは、フラットプレート4に柱対向壁面部3aから柱面2aに向けて形成される。第1せん断補強領域Aの、柱対向壁面部3aから柱2へ向かう長さ寸法ALは、フラットプレート4の厚さW4にほぼ等しく形成されている。従って、第1せん断補強領域Aの、柱面2aに向かう側の境界Abは、柱面2aからフラットプレート4の厚さW4程度離隔した位置に形成される。第1せん断補強領域Aのコア壁3に沿う幅寸法Awは、コア壁3の厚さW3にフラットプレート4の厚さW4の2倍を加えた寸法以上で設定されている。
本実施形態における第1せん断補強領域Aは、コア壁3の柱対向壁面部3aの幅方向中央部にコア壁3の厚さW3相当の寸法を設定し、その両側に各々フラットプレート4の厚さW4相当の寸法を加えて幅寸法Awが構成されている。これにより、スラブ筋5によってせん断力が伝達されるコア壁3の部分、すなわち柱対向壁面部3aを一辺とし、一辺の長さがコア壁3の厚さW3に等しい正方形の「核部」が形成され、コア壁3におけるせん断力の入力箇所が明確化される。この「核部」の近辺に第1せん断補強領域Aを形成することで、フラットプレート4に構造的に明確なせん断補強領域が確保されている。コア壁3の「核部」の壁配筋は、コア壁3の他の部分の壁配筋より高剛性に配筋してもよい。
第2せん断補強領域Bは、第1せん断補強領域の境界Abから柱2に向けて形成される。すなわち第2せん断補強領域Bは、フラットプレート4に第1せん断補強領域の境界Abから柱面2aへ向けて形成される。第2せん断補強領域Bの柱2に向かう長さ寸法BLは、コア壁3からコア壁3と柱2との間の距離Lの1/4程度に設定されている。従って、第2せん断補強領域Bの柱面2aに向かう側の境界Bbは、柱対向壁面部3aから、柱対向壁面部3aと柱面2aとの距離Lの1/4程度離隔した位置に形成される。本実施形態における第2せん断補強領域Bのコア壁3に沿う方向の幅寸法Bw、すなわち第2せん断補強領域Bの幅寸法Bwは第1せん断補強領域Aの幅Awより小さく設定されている。
第3せん断補強領域Cは、フラットプレート4に、柱2からこれと向かい合うコア壁3に向けて、柱2とコア壁3との最短距離方向に所定幅寸法Cwで形成されている。すなわち、第3せん断補強領域Cは、フラットプレート4に、柱面2aから柱対向壁面部3aへ向けて形成される。第3せん断補強領域Cの当該所定幅寸法Cwは、柱2の柱幅W2にフラットプレート4の厚さW4の2倍を加えた長さ相当に設定されている。第3せん断補強領域Cの幅寸法Cwは柱幅W2より幅広であり、広がった部分は柱2の側面に沿って外周部梁6位置まで回り込み、柱2を囲むように形成される。第3せん断補強領域Cのコア壁3に向かう長さ寸法CLは、柱面2aから、フラットプレート4の厚さW4程度に設定されている。従って、第3せん断補強領域Cの、柱対向壁面部3aに向かう側の境界Cbは柱面2aからフラットプレート4の厚さW4程度離隔した位置に形成される。
第4せん断補強領域Dは、第3せん断補強領域Cの境界Cbから、コア壁3に向かって所定長さDLの位置まで形成されている。すなわち、第4せん断補強領域Dは、フラットプレート4に、第3せん断補強領域Cの境界Cbから柱対向壁面部3aへ向けて形成される。第4せん断補強領域Dの当該所定長さDLは、柱2から、柱2とコア壁3との距離Lの1/4程度に設定されている。したがって、第4せん断補強領域Dの柱対向壁面部3aに向かう側の境界Dbは、柱面2aから、柱面2aと柱対向壁面部3aとの距離Lの1/4程度離隔した位置に形成される。本実施形態における、第4せん断補強領域Dのコア壁3に沿う方向の寸法、すなわち幅寸法Dwは、第3せん断補強領域Cの幅寸法Cwより小さく設定されている。
フラットプレート4の各せん断補強領域A〜Dの設定方法は、L型コア壁3Lの隅角部3rに柱対向壁面部3aが設定される場合でもほぼ同様である。第1せん断補強領域Aは隅角部3rに沿ってL字状に形成され、その外側に各柱2に向かって第2せん断補強領域Bが個々に形成される。L型コア壁3Lの直交する各壁の厚さが異なる場合、壁厚さの大きい方を「コア壁3の厚さ」として、直交する各壁部に第1せん断補強領域Aが形成される。また、隅角部3rへ延びるスラブ筋5は、L型コア壁3Lの隅角部3rで交差させて配筋される。隅角部3rへ延びるスラブ筋5の端部は、L型コア壁3Lの隅角部3rの外側の面から、構造上必要とされる定着長さを確保して定着される。本実施形態における、隅角部3rへ延びるスラブ筋5の端部は、曲げ加工されることなく、コア壁3の厚さW3より長く延伸されて、コア壁3内またはコア部スラブ8内に定着されている。
本実施形態におけるフラットプレート4の各せん断補強領域A〜Dは、柱2とコア壁3の柱対向壁面部3aの間で、第1せん断補強領域Aと第3せん断補強領域Cが向かい合い、第2せん断補強領域Bと第4せん断補強領域Dが向かい合う形態となる。向かい合う第1、第3せん断補強領域A、Cの各幅寸法AwとCwは、それぞれ柱幅W2とコア壁3の厚さW3に基づいて決定されるため、柱幅W2とコア壁3の厚さW3が同一でない場合、両者は異なる幅寸法となる。この場合、両者は大きい方の寸法で、必ずしも統一される必要はない。一方、第2、第4せん断補強領域B、Dの幅寸法BwとDwが異なる場合、第2、第4せん断補強領域B、Dの幅寸法は、原則としてBw又はDwのいずれか大きい方の寸法で統一される。これらによりせん断力の伝達等を確実に行いつつ、補強位置に対応した合理的なパンチング破壊防止が可能となる。本実施形態では、柱幅W2とコア壁3の厚さW3が等しいく形成されているため、第1、第3せん断補強領域A、Cの幅寸法AwとCwが等しくなり、第1せん断補強領域Aと第3せん断補強領域Cも同一形状で形成されている。
本実施形態において、柱2、柱対向壁面部3aおよび各せん断補強領域A〜Dはその柱芯および幅方向の中央が「最短距離方向」で並ぶように配置されている。また、高剛性のスラブ筋5は、柱2と柱対向壁面部3aとの間において、これら第1、第3せん断補強領域A、Cを貫通し、第2、第4せん断補強領域B、Dの幅内に所定配筋ピッチで複数配筋され、柱2の柱幅W2および柱対向壁面部3aの横幅より広い幅で配筋されている。
次に、これらせん断補強領域A〜Dに配筋されるせん断補強筋9について説明する。せん断補強筋9は図7に示すように、フラットプレート4の厚さ方向に延びる本体部9aと、本体部9aの上部にこれより水平方向にほぼ90°折り曲げられて形成された平坦部9bと、本体部9aの下部にこれより平坦部9bと同じ側であってかつ斜め上向きに折り曲げられて形成されたフック部9cとから、ほぼコ字状に形成される。フック部9cの曲げ上げ傾斜角度は、本体部9aに対して例えば45°に設定される。
せん断補強筋9は原則として高剛性のスラブ筋5の上端筋5aおよび下端筋5cに対し、それらの一方側から他方側へ抜け出すように差し込まれる。この際、フック部9cは、下端筋5cに対して下方から係合され、また平坦部9bは、上端筋5aに対して上方から掛けられる。これにより、せん断補強筋9によるスラブ筋5の拘束を十分に確保することができ、せん断強度を十分に増強することができる。これらフック部9cおよび平坦部9bの、本体部9aからの突出寸法は、スラブ筋5の配筋ピッチよりも短く設定される。そしてこのようなせん断補強筋9は、各せん断補強領域A〜D内でスラブ筋5それぞれに対し、その長さ方向に適宜ピッチで複数配筋される。
次に、これら各せん断補強領域A〜Dに配筋されるせん断補強筋9の配筋状態について説明する。図8には、第1せん断補強領域Aにおけるせん断補強筋9の配筋状態が示されている。第1せん断補強領域Aにおけるせん断補強筋9はスラブ筋5に係止して配筋される。せん断補強筋9は、コ字状に開いた側が、柱対向壁面部3aの中央に向かう向きを基準として、柱対向壁面部3aの中央を境にして、柱対向壁面部3aの幅方向左側のものがすべて左向きに、また幅方向右側のものがすべて右向きに、それぞれ向きを揃えて配筋される。従って、これらせん断補強筋9は、各スラブ筋5の長さ方向に同じ位置に配筋されるものが、柱2、柱対向壁面部3aの中央に向かって互いに向かい合うように配列される。図示例においては、スラブ筋5が奇数本存在するため、図面上左側のせん断補強筋9の数が多くなっている。第1せん断補強領域Aにおけるせん断補強筋9は、基本的には高剛性のスラブ筋5に配筋されるが、図示例にあっては、スラブ筋5の外側に広がる第1せん断補強領域A内のスラブ筋1に対しても、同様にせん断補強筋9が配筋されている。これは第1せん断補強領域Aにせん断補強筋9の鉄筋量を確保するためである。スラブ筋1に対するせん断補強筋9の配筋方法は、スラブ筋5に対する配筋方法と同様である。図8から理解されるように、コア壁3に沿って配列されて互いに隣接することとなるせん断補強筋9同士は、互いに直接接合されることはなく、かつそれら間に閉鎖形式の配筋を形成するようになっている。第3せん断補強領域Cにおけるせん断補強筋9の配筋形式は、第1せん断補強領域Aにおけるせん断補強筋9の配筋形式と同様である。
図9には、第2せん断補強領域Bにおけるせん断補強筋9の配筋状態が示されている。第2せん断補強領域Bにおけるせん断補強筋9は、第1せん断補強領域Aにおけるせん断補強筋9の配筋形式と同し形式でスラブ筋5に係止して配筋される。第4せん断補強領域Dにおけるせん断補強筋9の配筋形式は、第2せん断補強領域Bとほぼ同様である。
第1、第3せん断補強領域A、Cでは、せん断補強筋9の断面積は各せん断補強領域A、Cの面積に対し0.45%程度に設定されている。また、第2、第4せん断補強領域B、Dでは、せん断補強筋9の断面積は各せん断補強領域B、Dの面積に対し0.2%程度に設定されている。せん断補強筋9の断面積は、各せん断補強領域A〜D内に配筋されたせん断補強筋9の断面積を合計した断面積を意味する。
上記の各せん断補強領域A〜Dの範囲を特定するための、各寸法およびせん断補強筋9の鉄筋量を示す数値は、本実施形態に類似するフラットプレートの試験体に対し、パンチング破壊の発生メカニズムに対応する加力試験を実施した際の試験結果を参考にして導き出されたものである。上記試験体は柱の周囲にフラットプレートを構築したものである。試験体は柱周囲に第3せん断補強領域Cが形成され、第3せん断補強領域Cの境界Cbから第4せん断補強領域Dが形成され、柱位置を中心にして十字にスラブ筋5が配筋されている。第3せん断補強領域Cの面積に対し、当該第3せん断補強領域Cのせん断補強筋9の断面積を0.44%とし、また第4せん断補強領域Dの面積に対し、当該第4せん断補強領域Dのせん断補強筋9の断面積を0.2%とした実験である。その結果、図10に示すように、サイクリックな繰り返し荷重Qsにより、面外変形量R=+5×10-3rad以降、まず柱幅内の柱芯位置でフラットプレート危険断面位置でのスラブ筋が降伏し、面外変形量R=+10×10-3radまでに柱側面まで順次降伏した。その後、面外変形量R=+15×10-3radまでに全ての高剛性のスラブ筋が降伏して最大荷重(Qsmax)近傍まで荷重が上昇した。最大荷重後は急激な荷重低下は見られなかった。
このような試験結果からすれば、第1、第3せん断補強領域A、Cでは、せん断補強筋9の断面積を当該せん断補強領域A、Cの面積に対し0.45%程度に設定してせん断強度を高くすることで、せん断力の集中に伴ってひずみが大きくなる、コア壁3の部分および柱2の周囲のフラットプレート4を十分に補強でき、また、第2、第4せん断補強領域B、Dでは、せん断補強筋9の断面積を当該せん断補強領域B、Dの面積に対し、0.2%程度に設定することにより、第2、第4せん断補強領域B、Dに、せん断力の一部を合理的に負担させることができるとの知見を得た。
あわせて、上記構造を備えた場合、第1せん断補強領域Aの幅寸法Awおよび第3せん断補強領域Cの幅寸法Cwを、柱2の柱幅W2にフラットプレート4の厚さW4の2倍を加えた長さ相当とし、第2せん断補強領域Bの長さ寸法BLおよび第4せん断補強領域Dの長さ寸法DLを、柱2またはコア壁3から、コア壁3と柱2の距離L、すなわち柱面2aと柱対向壁面部3aとの距離Lの1/4程度とすることで、有効なせん断補強性能を確保し得るとの知見を得た。
次に、本実施形態の柱およびコア壁で支持されるフラットプレート4のせん断補強構造の作用について説明する。フラットプレート4をプレキャスト製部材で構築する場合、形態の異なる複数のプレキャスト製部材を組み合わせて構築することとなるが、プレキャスト製部材の一形態例として、各せん断補強領域A〜Dを備え、柱2と接続されるフラットプレート4用のプレキャスト製部材を中心に説明する。まず各せん断補強領域A〜Dを備え、柱2と接続されるフラットプレート4用のプレキャスト製部材を成型する。工場あるいは現場近隣において、プレキャスト製部材用の型枠を所定の形状で組み立て、その型枠内の所定位置にスラブ筋1、5を配筋する。次いでプレキャスト部材の長さ方向の一端部付近のスラブ筋5に、第1および第2せん断補強領域A、Bの範囲で所定ピッチでせん断補強筋9を配筋する。プレキャスト部材の長さ方向の他端部付近のスラブ筋5に第3および第4せん断補強領域C、Dの範囲で所定ピッチでせん断補強筋9を配筋する。せん断補強筋9は、フック部9cを下端筋1c、5cに係合した上で、平坦部9bを最上方の上端筋1a、5aに掛けるだけで配筋を完了することができる。せん断補強筋9は、フック部9cを最上方の上端筋1a、5aに係合した上で、平坦部9bを下端筋1c、5cに掛ける形式で配筋しても良い。せん断補強筋9は、各せん断補強領域A〜D内で、各スラブ筋1、5に対し所定ピッチで配筋する。
このようにして配筋作業を完了したら、型枠内にコンクリート打設する。スラブ筋1、5は、隣接する他のフラットプレート4用のプレキャスト製部材、コア壁3、柱2、外周部梁6等との取り合い部を露出させてコンクリートが打設される。コンクリート硬化後型枠から脱型する。これにより、各せん断補強領域A〜Dを備え、かつコア壁3、柱2、外周部梁6、および隣接する他のフラットプレート4用のプレキャスト製部材との取り合い部を有する、フラットプレート4用プレキャスト製部材を完成することができる。次に完成した各せん断補強領域A〜Dを備えるプレキャスト製部材をフラットプレート4の構築現場に搬入して、スラブ筋1、5を定着させながら、コア壁3、柱2、外周部梁6等の型枠上にプレキャスト製部材も設置する。あわせて、その他の部分のフラットプレート4用のプレキャスト製部材を設置し、プレキャスト製部材同士を接続して各型枠内にコンクリートを打設してフラットプレート4を構築する。プレキャスト製部材として、半プレキャスト部材を製作しても良い。コア壁3、柱2、外周部梁6等をプレキャスト製部材としても良い。
現場打ちコンクリートでフラットプレート4を構築する場合には、所定位置にコア壁3、柱2、外周部梁6等の型枠を設置し、これら上部にフラットプレート4用型枠(スラブ型枠)を架設する。フラットプレート4用型枠上の柱2とコア壁3の位置の間に、上記プレキャスト部材の作成と同じ要領でスラブ筋1、5およびせん断補強筋9を配筋し、フラットプレート4用型枠のその他の部分にスラブ筋1を配筋する。次いでコア壁3、柱2、外周部梁6等とフラットスプレート4を一体にコンクリート打設し、その後型枠を脱型すればよい。以上により、現場打ち、プレキャスト製のいずれであっても、各せん断補強領域A〜Dを備えたフラットプレート4を構築することができる。
以上説明した本発明に係る柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造にあっては、フラットプレート4に、コア壁3からこれと向かい合う柱2に向けて、コア壁3と柱2との最短距離方向に第1せん断補強領域Aを形成するとともに、コア壁3と柱2との間に、最短距離方向に沿って周辺のスラブ筋1よりも高剛性のスラブ筋5を配筋し、かつ第1せん断補強領域Aの境界Abから柱2に向けて第2せん断補強領域Bを形成したので、第1せん断補強領域Aと第2せん断補強領域Bとの組み合わせにより、そしてまた、コア壁3から柱2に向けて配筋される高剛性のスラブ筋5の作用も相俟って、フラットプレート4のコア壁3の周囲において、せん断力等を負担する主なる領域を合理的に設定でき、その部分のパンチング破壊(せん断破壊)に対し合理的にせん断強度を向上ながら、変形能力も向上することができ、靭性に優れたフラットプレート4を構築することができる。
第1せん断補強領域Aの、コア壁3に沿う幅寸法Awを、コア壁3の厚さW3にフラットプレート4の厚さW4の2倍を加えた寸法以上とし、柱2に向かう長さ寸法ALをコア壁3の厚さW3にほぼ等しく形成し、第2せん断補強領域Bの、柱2に向かう長さ寸法BLを、コア壁3からコア壁3と柱2との間の距離Lの1/4程度としたので、フラットプレート4のコア壁3の周囲において、どの範囲でせん断補強すれば合理的にパンチング破壊(せん断破壊)を防止できるかが明確になり、せん断強度を増強するせん断補強筋9の鉄筋量を適正化でき、また配筋の錯綜を軽減して配筋作業の施工性も改善することができて、コストダウンを達成することができる。
フラットプレート4に、柱2からこれと向かい合うコア壁3に向けて、柱2とコア壁3との最短距離方向に、所定幅寸法CLで第3せん断補強領域Cを形成するとともに、第3せん断補強領域Cの境界Cbからコア壁3に向けて所定長さ寸法DLまで第4せん断補強領域Dを形成したので、第3せん断補強領域Cと第4せん断補強領域Dとの組み合わせにより、そしてまたコア壁3から柱2向けて配筋される高剛性のスラブ筋5の作用も相俟って、柱2前面の面外せん断破壊や、これと柱2の側面のねじれ破壊とが複合して生じるパンチング破壊に対し合理的にせん断強度を向上することができ、また変形能力も向上することができて、靭性に優れたフラットプレート4を構築することができる。
さらに、柱2とコア壁3間に配筋した高剛性のスラブ筋5により、柱2とコア壁3に形成される第2せん断補強領域Bおよび第4せん断補強領域Dの靭性を保証することができる。また、組み合わせられて相互にせん断強度を増強する第1、第2せん断補強領域A、Bおよび第3、第4せん断補強領域C、Dに関し、いずれか一方のせん断補強筋量を増やすことで他方のせん断補強筋量を減らすことが可能で、例えば、第1せん断補強領域Aのせん断補強筋9の鉄筋量を減らすようにすれば、コア壁3周りの鉄筋の錯綜の軽減やコンクリートの充填性を考慮したせん断補強筋9の配筋計画を行うことができ、コンクリート充填作業や配筋作業の作業性の更なる向上を図ることができる。
第3せん断補強領域Cの所定幅寸法Cwを、柱2の柱幅W2にフラットプレート4の厚さW4の2倍を加えた長さ相当とし、第4せん断補強領域Dの所定長さ寸法DLを、柱2から柱2とコア壁3との間の距離Lの1/4程度としたので、補強範囲が適切にかつ小規模に特定されて、せん断強度を増強するせん断補強筋9の鉄筋量を低減でき、また配筋の錯綜を軽減して配筋作業の施工性も改善することができて、コストダウンを達成することができる。
各せん断補強領域A〜Dでは、複数のせん断補強筋9が配筋され、各せん断補強筋9は、下端筋1c、5cに下方から係合するフック部9cを下部に、上端筋1a、5aに掛けられる平坦部9bを上部に有するほぼコ字状に形成したので、単にスラブ筋1、5に引っ掛けるだけで配筋作業を完了でき、いわゆる閉鎖型のせん断補強筋に比べて、作業を簡単化でき、施工性を改善することができる。このことは、せん断補強筋9のフック部9cを最上方の上端筋1a、5aに係合し、平坦部9bを下端筋1c、5cに掛ける場合でも同様である。
また、コ字状のせん断補強筋9を、柱対向壁面部3aおよび柱2の中央に向かって互いに向かい合うように、柱対向壁面部3aおよび柱2の幅方向左側および右側それぞれで同じ向きに配筋するようにしたので、例えば交互に向きを変えると、閉鎖形式の配筋形状が大きくなってしまったり、せん断補強筋同士の間に大きな隙間ができてしまう不具合があるとともに、すべて同じ向きに向けて並べると、柱対向壁面部3aおよび柱2の幅方向左右で配筋が不均一な状態になってしまう不具合があることに比べて、柱対向壁面部3aおよび柱2を中心にその左右方向で均一に配筋でき、また小さな閉鎖形式の配筋であってかつほぼ隙間のない一連のせん断補強筋9の配列によって良好にせん断補強することができる。
第1せん断補強領域Aおよび第3せん断補強領域Cでは、せん断補強筋9の断面積を各せん断補強領域A、Cの面積に対し0.45%程度に設定し、第2せん断補強領域Bおよび第4せん断補強領域Dでは、せん断補強筋9の断面積を各せん断補強領域B、Dの面積に対し0.2%程度に設定したので、過不足なくせん断補強筋9を配筋でき、合理的な鉄筋量と施工量でコストダウンを達成し、必要なせん断強度を十分に確保して、パンチング破壊の発生を適切に防止することができる。
直交する一対の壁が連結された隅角部3rを有するL型コア壁3Lには第1せん断補強領域Aが隅角部3rに沿ってL字状に形成されるので、隣接して2方向に、せん断補強が必要とされるL型コア壁3Lの隅角部3rに対し、必要なせん断強度を十分に確保できる。また、異なる形状のコア壁3へのせん断補強の適用性が向上する。
本実施形態においては、コア壁3と柱2間に広がる居室部Hのスラブ全体をフラットプレート4で構成したが、図11に示すように、コア壁3と柱2間のスラブの一部のみをフラットプレート4で構築してもよい。また、コア壁3は、L型コア壁3L、I型コア壁3Iを組み合わせて構成したが、この形態に限定されるものではなく、図11、12に示すコ型コア壁とそれらと組み合わせたり、これらの内1種類のみでコア壁3を形成しても良い。コア壁3全体を1つのロ型コア壁としても良い。コア壁3で囲まれるコア部Uにはコア部梁7を設けたが、コア部梁7はなくても良い。
本実施形態のコア壁3の厚さW3と柱2の柱幅W2は等しく形成されているが、両者は異なる寸法であっても良い。
本実施形態におけるスラブ筋1、5は上下一対としたが、上端筋1a、5aと下端筋1c、5cの位置が上下方向で異なる場合や、上端筋1a、5aまたは下端筋1c、5cだけで構成しても良い。その場合のせん断補強筋9の配筋は、必要に応じて補助鉄筋を設けて上端筋1a、5aまたは下端筋1c、5cに係止する。
本実施形態における第1せん断補強領域Aにおけるせん断補強筋9の配筋状態については、少なくともせん断補強筋9でスラブ筋5を拘束することができればよく本実施形態に限定されない。例えば、平坦部9bについては図13に示すように、スラブ筋5の配筋ピッチよりも長く設定して、隣接する上端筋5aに被せるようにしてもよい。このようにすれば、せん断補強筋9の施工時の安定性確保でき、せん断補強を効率よく確保することができる。
本発明にかかる柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造の好適な一実施形態にかかるフラットプレートの配置を示す建築物の平面図である。 図1に示したフラットプレートにおけるせん断補強領域を示す平面図である。 図1に示したフラットプレートのコア壁と柱間の配筋状態と各せん断補強領域の説明図である。 図3に示したフラットプレートのコア壁と柱間の配筋状態と各せん断補強領域の縦断面方向の説明図である。 図1に示したフラットプレートの隅角部を有するコア壁と柱間の配筋状態と各せん断補強領域の説明図である。 図5に示したフラットプレートの隅角部を有するコア壁と柱間の配筋状態と各せん断補強領域の縦断面方向の説明図である。 本発明にかかる柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造に採用されるせん断補強筋の一例を示す側面図である。 本発明にかかる柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造の第1せん断補強領域におけるせん断補強筋の配筋状態の説明図である。 本発明にかかる柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造の第2せん断補強領域におけるせん断補強筋の配筋状態の説明図である。 本発明にかかる柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造に類似する、柱で支持されるフラットプレートのせん断補強構造の試験体に対して行った加力試験における荷重と変形との関係を示すグラフ図である。 本発明にかかる柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造が適用されるフラットプレートの配置の変形例を示す建築物の平面図である。 本発明にかかる柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造におけるコア壁の配置の変形例の説明図である。 本発明にかかるフラットプレートのせん断補強構造に採用されるせん断補強筋の変形例を示す側面図である。
符号の説明
1 スラブ筋
2 柱
3 コア壁
3L 隅角部を有するL型コア壁
4 フラットプレート
5 高剛性のスラブ筋
5a 高剛性のスラブ筋の上端筋
5c 高剛性のスラブ筋の下端筋
9 せん断補強筋
9b せん断補強筋の平坦部
9c せん断補強筋のフック部
A 第1せん断補強領域
Ab 第1せん断補強領域の境界
AL 第1せん断補強領域の長さ寸法
Aw 第1せん断補強領域の幅寸法
B 第2せん断補強領域
BL 第2せん断補強領域の長さ寸法
C 第3せん断補強領域
Cb 第3せん断補強領域の境界
Cw 第3せん断補強領域の所定幅寸法
D 第4せん断補強領域
DL 第4せん断補強領域の所定長さ寸法
L コア壁と柱との間の距離
W2 柱幅
W3 コア壁の厚さ
W4 フラットプレートの厚さ

Claims (4)

  1. スラブ筋が埋設され、柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造であって、
    上記コア壁に、当該コア壁の核部を設定し、
    該コア壁の核部は、当該コア壁と直交する方向に柱を臨む柱対向壁面部であって、横幅を該コア壁の厚さに等しく、横幅方向の中心を、柱の柱芯を当該コア壁と直交する方向に臨む位置に設定し、かつ、その壁配筋を該コア壁の他の部分の壁配筋よりも高剛性に配筋して形成し、
    該フラットプレートに、該コア壁の核部からこれと向かい合う柱に向けて、該コア壁の核部と該柱との最短距離方向に第1せん断補強領域を形成するとともに、該コア壁の核部と該柱との間に、当該最短距離方向に沿って周辺のスラブ筋よりも高剛性のスラブ筋を配筋し、かつ上記第1せん断補強領域の境界から該柱に向けて第2せん断補強領域を形成し、
    前記フラットプレートに、前記柱からこれと向かい合う前記コア壁の核部に向けて、該柱と該コア壁の核部との最短距離方向に、所定幅寸法で第3せん断補強領域を形成するとともに、該第3せん断補強領域の境界から上記コア壁の核部に向けて所定長さ寸法まで第4せん断補強領域を形成し、
    前記第1せん断補強領域は、前記コア壁に沿う幅寸法、および前記柱に向かう長さ寸法がそれぞれ、該コア壁の厚さに前記フラットプレートの厚さの2倍を加えた寸法以上、および該フラットプレートの厚さにほぼ等しく形成されるとともに、
    前記第2せん断補強領域は、上記柱に向かう長さ寸法が、上記コア壁の核部から当該コア壁の核部と該柱との間の距離の1/4程度に形成され、
    前記第3せん断補強領域の所定幅寸法が、前記柱の柱幅に前記フラットプレートの厚さの2倍を加えた長さ相当であり、
    前記第4せん断補強領域の所定長さ寸法が、前記柱から当該柱と該コア壁の核部との間の距離の1/4程度であることを特徴とする柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造。
  2. 前記各せん断補強領域では、複数のせん断補強筋が配筋され、各せん断補強筋は、下端筋に下方から係合するフック部を下部に、上端筋に掛けられる平坦部を上部に有するほぼコ字状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造。
  3. 前記第1せん断補強領域および第3せん断補強領域では、前記せん断補強筋の断面積を各せん断補強領域の面積に対し0.45%程度に設定し、
    前記第2せん断補強領域および第4せん断補強領域では、前記せん断補強筋の断面積を各せん断補強領域の面積に対し0.2%程度に設定することを特徴とする請求項2に記載の柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造。
  4. 前記コア壁は、直交する一対の壁が連結された隅角部を有し、前記第1せん断補強領域が該隅角部に沿ってL字状に形成されることを特徴とする請求項1〜3いずれかの項に記載の柱およびコア壁で支持されるフラットプレートのせん断補強構造。
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