JP5683073B2 - 太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物及び太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物及び太陽電池に係り、特に、太陽電池素子の封止材に要求される適度な柔軟性及び剛性を有し、また、耐光性、透明性及びシール性(密着性)に優れたフレキシブル太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物と、この太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物で太陽電池素子を封止してなるフレキシブル太陽電池に関する。
近年、省エネルギーと環境問題に対する意識の向上を受けて、太陽光の受光で発電する太陽電池が普及しつつある。
太陽電池素子には様々な形態があり、代表的なものとして、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどシリコン系太陽電池素子、インジウムガリウム砒素系や銅インジウムセレナイド系(CIS)等の化合物半導体太陽電池素子、色素増感太陽電池素子、有機半導体太陽電池等がある。この中で、薄膜多結晶シリコン太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子及びアモルファスシリコン太陽電池素子は、比較的低コストで大面積化が可能であるため、実用化に向けて研究開発が進められている。
また、これらの太陽電池素子の中でも、導体金属基板上にシリコンを堆積し、その上に透明導電層を形成して構成されるアモルファスシリコン太陽電池素子を代表とする薄膜太陽電池素子は、軽量でかつ耐衝撃性、フレキシブル性に富んでいるという特長があり、将来のモジュール形態として有望視されている。
図1は、従来の一般的な太陽電池の構成を示す模式的な断面図であり、図1において、上側が光受光面であり、11は表面被覆材、10は太陽電池素子、12は裏面材で、13は、表面被覆材11と裏面材12との間に充填され、太陽電池素子10を封止するための封止材である。
従来、表面被覆材11としては、耐候性、撥水性に優れ、光や温度等の環境劣化による黄変、白濁あるいは表面の汚れによる光透過率の減少に起因する太陽電池素子の変換効率の低下の問題が少ないことから、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)フィルム、PVF(ポリフッ化ビニル)フィルム等のフッ素樹脂フィルムや特殊な薄膜ガラスが用いられている。また、裏面材12には、ナイロンフィルム、アルミラミネートテドラーフィルム等の種々の有機樹脂フィルムが用いられる。また、封止材13は、表面被覆材11及び裏面材12と太陽電池素子10とを接着すると共に、外部からの衝撃などから太陽電池素子10を保護する役割を果たすものであり、一般に、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、ブチラール樹脂等の各種の透明有機樹脂が用いられている。
太陽電池素子の封止材には、光を受けても劣化ないし変色することのない耐光性と、受光した光を吸収することなく太陽電池素子に到達させるための高い透明性(高い光線透過率)と、表面被覆材と裏面材との間で太陽電池素子を密着性よく接着一体化する高いシール性が要求されるが、更に、柔軟性と剛性のバランスに優れることが望まれる。
即ち、封止材の剛性が過度に高く、柔軟性が全くないものでは、太陽電池が衝撃に対して脆いものとなる。また、太陽電池はその取り扱い性及び施工時の各種施工面への対応性の面で、ある程度柔軟性に富んだものであることが望まれる。即ち、前述のアモルファスシリコン太陽電池素子のようにフレキシブル性に優れた太陽電池素子に対して、柔軟性の高い封止材を形成した太陽電池にあっては、それ自体フレキシブル性に優れたものとなり、取り扱い性に優れ、また、平面のみならず、曲面への施工も可能であるなど、用途の拡大を図ることができる。また、単結晶又は多結晶シリコン太陽電池素子のように、フレキシブル性の低い脆性の高い太陽電池素子に対しても、柔軟性に優れた封止材を用いることにより、若干の曲げ応力に対しては太陽電池素子が割れることはなく、また、たとえ太陽電池素子にクラック等が入ったとしても、電極配線の断線を引き起こすことがないなど、素子性能の低下を防止することができる。このように、封止材には、柔軟性に優れることが望まれるが、封止材の柔軟性が過度に高いと、太陽電池としての形状を維持し得るだけの剛性が不足し、かえって取り扱い性や施工性が悪くなるため、封止材には、適度な柔軟性と剛性を有し、そのバランスに優れることが要求される。
従来、各種の透明有機樹脂のうち、エポキシ樹脂、とりわけ水添エポキシ樹脂などの脂環式エポキシ樹脂は、シール性が高く、耐光性、透明性に優れることから、脂環式エポキシ樹脂を封止材とする太陽電池が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、封止材としてではなく、太陽電池のシール材(接着材)として、脂環式エポキシ樹脂を用いたものも提案されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、脂環式エポキシ樹脂は高硬度で脆い樹脂であるため、上述した太陽電池に要求される適度な柔軟性を有する封止材を形成することはできない。
このため、太陽電池素子の封止材として、脂環式エポキシ樹脂の有する優れたシール性、耐光性、透明性を損なうことなく、その脆性を改善し、柔軟性と剛性とのバランスに優れた封止材を開発することが望まれている。
2005−217357号公報 2007−087684号公報
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、脂環式エポキシ樹脂の有する優れたシール性、耐光性、透明性を有すると共に、脂環式エポキシ樹脂の脆性が改善され、柔軟性と剛性とのバランスに優れたフレキシブル太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物と、この太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物で太陽電池素子を封止してなるフレキシブル太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、脂環式エポキシ樹脂と、特定の脂肪族エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤とを配合したエポキシ樹脂組成物により、上記の課題を解決することができることを見出した。また、太陽電池素子の両面をエポキシ樹脂で封止することにより、可撓性のあるフレキシブル太陽電池を得ることができることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 光を受けて発電する太陽電池素子を封止するための太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物であって、下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有し、該組成物において、(a)成分:(b)成分=30〜50:70〜50(質量%)であり、該組成物を、100℃で3時間、次いで、140℃で3時間硬化して得られる硬化物について、TMA法(JIS−K6911準拠,5℃/分で昇温)で測定したガラス転移温度(Tg)が40℃以下であることを特徴とする太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物。
(a)成分;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(b)成分;数平均分子量が200〜3000のポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテル
(c)成分;エポキシ樹脂用硬化剤
] 前記(c)成分のエポキシ樹脂用硬化剤が、分子中に芳香環を有しない硬化剤及び/又はカチオン重合開始剤である、[1]に記載の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物。
] 前記分子中に芳香環を有しない硬化剤が、脂肪族アミン、脂環式アミン、脂肪族酸無水物及び脂環式酸無水物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、前記カチオン重合開始剤が、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩及びホスホニウム塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、[2]に記載の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物。
] 前記組成物を硬化させて得られる厚さ2mmの硬化物の、波長450nmの光の光線透過率が85〜100%である、[1]ないし[]のいずれかに記載の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物。
] 25℃においてE型粘度計で測定したときの前記組成物の粘度が2,000mPa・s以下である、[1]ないし[]のいずれかに記載の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物。
] 光を受けて発電する太陽電池素子と、該太陽電池素子を封止する封止材層とを備えてなり、該封止材層が[1]ないし[]のいずれかに記載の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物からなることを特徴とする太陽電池。
] 前記封止材層は、前記太陽電池素子の一方の面を被覆する第1の封止材層と、前記太陽電池素子の他方の面を被覆する第2の封止材層とを有し、各封止材層の厚みがそれぞれ0.1〜5mmの範囲である、[]に記載の太陽電池。
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物は、室温で低粘度であるため充填性に優れ、その硬化体は耐光性、透明性、シール性に優れる上に、適度な柔軟性を有し、柔軟性と剛性のバランスに優れる。このため、太陽電池素子の封止材として、充填しやすく、太陽電池素子を確実に保護すると共に太陽電池素子の発電効率を高く維持することができる上に、フレキシブル性、施工性に優れた太陽電池を実現することができる。
一般的な太陽電池の構成を示す模式的な断面図である。 実施例における太陽電池サンプルの作製方法を示す模式図であり、(a)図は型の作成方法を示す分解斜視図、(b)図は太陽電池セルの封止方法を示す斜視図、(c)図は作成された太陽電池サンプルの断面図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物]
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物は、光を受けて発電する太陽電池素子を封止するための太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物であって、下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有することを特徴とする。
(a)成分;脂環式エポキシ樹脂
(b)成分;数平均分子量が200〜3000のジオール及び/又はトリオールから得られる脂肪族エポキシ樹脂
(c)成分;エポキシ樹脂用硬化剤
{(a)成分;脂環式エポキシ樹脂}
本発明に用いられる(a)成分の脂環式エポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2−エポキシ−ビニルシクロヘキセン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、リモネンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメタノール、ジシクロペンタジエンジエポキシド、オリゴマー型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社商品名;エポリードGT300、エポリードGT400、EHPE−3150)等の環状オレフィンの二重結合を酸化(エポキシ化)することにより得られるエポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビフェノール型エポキシ樹脂、水添フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、水添ナフタレン型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂を直接水添した水素化エポキシ樹脂、多価フェノール類を水添した後、エピクロルヒドリンと反応させることにより得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの脂環式エポキシ樹脂の中で、環状オレフィンの二重結合を酸化して得られる脂環式エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂を直接水添して得られる水素化エポキシ樹脂、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましく、特に、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂が低塩素かつ高純度であり、得られる硬化物の可撓性及び接着性に優れる点で特に好ましい。
このような芳香族エポキシ樹脂を水素化して得られる水素化エポキシ樹脂の水素化率は90〜100%の範囲が好ましく、95〜100%の範囲が更に好ましい。水素化率が90%未満であると、残存している芳香環が光により劣化して着色するため光線透過率が低下し、発電効率の悪化を招くため、好ましくない。この水素化率は水素化反応の水素消費量から算出し、反応条件により制御することができる。
上述のような水素化エポキシ樹脂は、芳香族エポキシ樹脂を触媒の存在下、公知の方法で選択的に芳香環を水素化することにより製造することができる。より好ましい製造方法の例としては、芳香族エポキシ樹脂を有機溶剤に溶解し、ロジウム又はルテニウムをグラファイトに担持した触媒の存在下、芳香環を選択的に水素化する方法が挙げられる。触媒担体のグラファイトとしては、表面積が10〜400m/gの範囲のものを用いることが好ましい。反応は、通常、圧力1〜30MPa、温度30〜150℃、時間0.5〜20時間の範囲内で行う。反応終了後、触媒等を濾過により除去し、有機溶剤を減圧で実質的に無くなるまで留去して、水素化エポキシ樹脂を得ることができる。
上述の脂環式エポキシ樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、(a)成分の脂環式エポキシ樹脂の全塩素含有量は、0.3質量%以下が好ましい。全塩素含有量が0.3質量%を超えると、耐湿性、耐光性の低下、被封止物の太陽電池素子の腐食の発生等の問題があり、好ましくない。
なお、本明細書において、「全塩素」とは、エポキシ樹脂中に含まれる全ての塩素をさす。
また、(a)成分の脂環式エポキシ樹脂のエポキシ当量(WPE)は、100〜4000g/当量が好ましい。エポキシ当量が4000g/当量を超えると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり、取り扱いが困難になるため好ましくない。エポキシ当量が100g/当量未満では、エポキシ樹脂の分子量が小さくなりすぎ、硬化時にエポキシ樹脂が蒸発してしまうため、好ましくない。
{(b)成分:ジオール及び/又はトリオールから得られる脂肪族エポキシ樹脂}
本発明に用いられる(b)成分のジオール及び/又はトリオールから得られる脂肪族エポキシ樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール等のエーテルグリコール類、カプロラクトンジオール、カプロラクトントリオール等のカプロラクトンジオールないしトリオール類、カーボネートジオール類等の1種又は2種以上を重合ないし共重合して得られる数平均分子量が200〜3000、好ましくは250〜2000の範囲のジオール及び/又はトリオール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルグリコール類、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール等のポリカプロラクトンポリオール類、ポリカーボネートジオール類等)と、エピクロルヒドリンとを反応させることにより得られたものが挙げられる。
ここで、反応に供するジオール及び/又はトリオールの数平均分子量が200未満であるとエポキシ硬化物である封止材の可撓性が低下し、3000を超えると得られるエポキシ樹脂の粘度が高くなり、取り扱い性が悪くなるため好ましくない。
これらのジオール又はトリオールの中で特に好ましいのは、可撓性に優れる脂肪族エポキシ樹脂が得られるという点でポリテトラメチレンエーテルグリコールである。
(b)成分の脂肪族エポキシ樹脂は、常法に従って、相間移動触媒の存在下に、数平均分子量が200〜3000、好ましくは250〜2000のジオール及び/又はトリオールと、エピクロルヒドリンを付加反応させた後、水酸化ナトリウム等のアルカリで閉環させることにより得ることができる。
具体的には、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとエピクロルヒドリンを、硫酸、三弗化ホウ素エチルエーテル、四塩化錫等の酸性触媒、又は第4級アンモニウム塩類、第4級ホスホニウム塩類、クラウンエーテル類等の相間移動触媒の存在下に反応させ、クロルヒドリンエーテル体を製造し、次いで、このクロルヒドリンエーテル体を水酸化ナトリウム等の脱ハロゲン化水素剤と反応させて閉環せしめる2段階法により、ポリテトラメチレンエーテルグリコールのエポキシ樹脂を得ることができる。
このような(b)成分の脂肪族エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、(b)成分の脂肪族エポキシ樹脂は、全塩素の含有量が0.01〜0.6質量%であることが好ましい。全塩素含有量が0.6質量%を超えると、被封止物において、金属材料の腐食が発生してしまうため好ましくない。また、太陽電池用封止材としての用途において、エポキシ樹脂硬化層が着色(劣化)してしまうため好ましくない。全塩素含有量を0.01質量%未満に低減することは全塩素含有量低減の効果がこれ以上余り期待できない上に、特殊な低減工程を要するために経済的でない。
また、(b)成分の脂肪族エポキシ樹脂のエポキシ当量(WPE)は、100〜1000g/当量が好ましい。エポキシ当量が1000g/当量を超えると、得られるエポキシ樹脂が固形となり、取り扱いが悪くなるため好ましくない。エポキシ当量が100g/当量未満では硬化物の可撓性が低下する。
{(a)成分と(b)成分との割合}
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物中の(a)成分の脂環式エポキシ樹脂と(b)成分の脂肪族エポキシ樹脂との配合割合は、(a)成分:(b)成分=10〜90:90〜10(質量%)、好ましくは(a)成分:(b)成分=30〜70:70〜30(質量%)である。
(a)成分の割合が10質量%未満であると硬化物が柔らかくなりすぎるため、外部からの些細な衝撃で太陽電池素子にクラックが入りやすくなる。また、(a)成分が90質量%を超えると硬化物の柔軟性が低下するため、良好なフレキシブル太陽電池が得られない。
{他のエポキシ樹脂}
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(a)成分及び(b)成分以外の他のエポキシ樹脂を併用して使用することができる。併用できる他のエポキシ樹脂の例として、例えば次のものが挙げられる。
(1) 芳香環及び/又は脂環構造を有する2官能型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、チオジフェノール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、テルペンジフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、メチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、ジブチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル
(2) 多官能型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、テルペンフェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂、石油系重質油又はピッチ類とホルムアルデヒド重合物とフェノール類とを酸触媒の存在下に重縮合させた変性フェノール樹脂等の各種のフェノール化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂
(3) その他の構造のエポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミンなどの種々のアミン化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、メチルヘキサヒドロキシフタル酸、ダイマー酸などの種々のカルボン酸類と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、本発明のグリシジル化合物以外の脂肪族モノアルコール又は多価アルコールのグリシジルエーテル、脂肪族カルボン酸のグリシジルエステル、モノフェノール類のグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂用反応性希釈剤
これらのエポキシ樹脂の中でも、一分子中に芳香環及び/又は脂環構造を1個以上有するグリシジルエーテル基を2個有する2官能型エポキシ樹脂が、本発明で用いる(a)成分及び(b)成分との相溶性に優れるため作業性の面で特に好ましい。
上述のその他のエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物中の(a)成分及び(b)成分以外のその他のエポキシ樹脂の配合割合は、組成物中の全エポキシ樹脂成分に対して、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。その他のエポキシ樹脂の配合割合が多すぎると本発明の効果が十分に得られない。
{エポキシ樹脂用硬化剤}
本発明に用いられる(c)成分のエポキシ樹脂用硬化剤は、分子中に芳香環を有しない硬化剤及び/又はカチオン重合開始剤であることが好ましい。
このうち、分子中に芳香環を有しない硬化剤の具体的例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ノルボネンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカン等の脂肪族アミンや脂環族アミン類;無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリアルキルテトラヒドロフタル酸、無水2,4−ジエチルグルタル酸等の脂肪族酸無水物や脂環式酸無水物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂用硬化剤の分子中に芳香環があると、光により着色し、光線透過率が低下するため、発電効率が悪くなるため好ましくない。
一方、カチオン重合開始剤としては、活性エネルギー線によりカチオン種又はルイス酸を発生する活性エネルギー線カチオン重合開始剤、或いは熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤を用いることができる。
活性エネルギー線カチオン重合開始剤としては、米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロ硼素錯塩及び三弗化硼素錯化合物;米国特許第3586616号に記載されたようなビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3708296号に記載されたようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4058400号に記載されたような周期表第VIa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4069055号に記載されたような周期表第Va族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4068091号に記載されたような周期表第IIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第4139655号に記載されたようなチオピリリウム塩;米国特許第4161478号に記載されたようなMF6 陰イオン(ここでMは燐、アンチモン及び砒素から選択される)の形の周期表第VIb元素;米国特許第4231951号に記載されたようなアリールスルホニウム錯塩;米国特許第4256828号に記載されたような芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(Journal of Polymer Science)、ポリマー・ケミストリー(Polymer Chemistry)版」、第22巻、1789頁(1984年)に記載されたようなビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(例えば燐酸塩、砒酸塩、アンチモン酸塩等)等が挙げられる。その他、鉄化合物の混合配位子金属塩及びシラノール−アルミニウム錯体も使用することが可能である。
好ましい陽イオン系活性エネルギー線カチオン重合開始剤には、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウム又はヨードニウム塩並びに周期表第II族、V族及びVI族元素の芳香族オニウム塩が包含される。これらの塩のいくつかは、FX−512(3M社)、UVR−6990及びUVR−6974(ユニオン・カーバイド(Union Carbide)社)、UVE−1014及びUVE−1016(ジェネラル・エレクトリック(General Electric)社)、KI−85(デグッサ(Degussa)社)、SP−150及びSP−170(旭電化社)並びにサンエイドSI−60L、SI−80L及びSI−100L(三新化学工業社)として商品として入手できる。
熱カチオン重合開始剤としては、トリフル酸(Triflic acid)塩、三弗化硼素エーテル錯化合物、三弗化硼素等のようなカチオン系又はプロトン酸触媒を用いることができる。好ましい熱カチオン重合開始剤としては、トリフル酸塩であり、例としては、3M社からFC−520として入手できるトリフル酸ジエチルアンモニウム、トリフル酸トリエチルアンモニウム、トリフル酸ジイソプロピルアンモニウム、トリフル酸エチルジイソプロピルアンモニウム等(これらの多くはR.R.Almによって1980年10月発行のモダン・コーティングス(Modern Coatings)に記載されている)がある。また一方、活性エネルギー線カチオン重合開始剤としても用いられる芳香族オニウム塩のうち、熱によりカチオン種を発生するものがあり、これらも熱カチオン重合開始剤として用いることができる。例としては、サンエイドSI−60L、SI−80L及びSI−100L(三新化学工業社)がある。
これらの光及び熱カチオン重合開始剤の中で、オニウム塩が、取り扱い性及び潜在性と硬化性のバランスに優れるという点で好ましく、その中で、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩及びホスホニウム塩が取り扱い性及び潜在性のバランスに優れるという点で特に好ましい。
これらのカチオン重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
エポキシ樹脂用硬化剤の配合割合は、太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物の全エポキシ樹脂成分のエポキシ当量によっても異なるが、エポキシ樹脂用硬化剤として、前述の分子中に芳香環を有しない硬化剤のみを用いる場合、組成物中の全エポキシ樹脂成分100質量部に対し、好ましくは40〜200質量部の範囲内で配合される。また、硬化剤としてカチオン重合開始剤のみを用いる場合、組成物中の、全エポキシ樹脂成分100質量部に対し、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.05〜5質量部の範囲内で配合される。
上記範囲を外れると、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性及び耐湿性のバランスが悪くなるため好ましくない。
なお、分子中に芳香環を有しない硬化剤とカチオン重合開始剤とを併用してもよく、この場合の配合割合は、上記各々の硬化剤の配合割合から適宜算出して決定することができる。
{硬化促進剤}
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂用硬化剤として、前述の脂肪族酸無水物及び/又は脂環式酸無水物を用いる場合には、酸無水物の硬化反応を促進する目的で硬化促進剤を使用することができる。
硬化促進剤の例としては、3級アミン類及びその塩類、イミダゾール類及びその塩類、有機ホスフィン化合物類、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ等の有機酸金属塩類が挙げられ、特に好ましい硬化促進剤は、有機ホスフィン化合物類である。
硬化促進剤の配合割合は、酸無水物系硬化剤100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部の範囲内である。上記範囲を外れると、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性及び耐湿性のバランスが悪くなるため好ましくない。
{酸化防止剤}
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物には、酸化防止剤を配合して、加熱時の酸化劣化を防止し、着色の少ない硬化物とすることが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系、硫黄系、リン系酸化防止剤を使用することができ、具体的には、以下のような酸化防止剤が挙げられる。
(フェノール系酸化防止剤)
モノフェノール類;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等
ビスフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等
高分子型フェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジンー2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等。
(硫黄系酸化防止剤)
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルル−3,3’−チオジプロピオネート等
(リン系酸化防止剤)
ホスファイト類;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等
オキサホスファフェナントレンオキサイド類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等
これらの酸化防止剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、フェノール系/硫黄系の組み合わせ、或いはフェノール系/リン系の組み合わせで使用することが特に好ましい。
これらの酸化防止剤の配合割合は、本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物の全エポキシ樹脂成分に対して0.01〜10質量%とすることが好ましい。酸化防止剤の配合量が少な過ぎると十分な添加効果を得ることができず、多過ぎると硬化後の物性、特に耐紫外線劣化性が低下するため、好ましくない。
{紫外線吸収剤}
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物にはまた、紫外線吸収剤を配合して、更に耐光性を向上させることもできる。
紫外線吸収剤としては、一般のプラスチック用紫外線吸収剤を使用することができ、例としては次のものが挙げられる。
フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジtert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジtert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジtert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{(2’−ヒドロキシ−3’,3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル}メチル]ブチルマロネート等のヒンダートアミン類、2−エチル,2’−エトキシ−オキザリニン等の蓚酸アニリド類、テトラ−エチル−2,2’−(1,4−フェニレン−ジメチリデン)−ビスマロネート等のマロン酸エステル類
これらの紫外線吸収剤の配合割合は、本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物の全エポキシ樹脂成分に対して0.01〜10質量%とすることが好ましい。紫外線吸収剤の配合量が少な過ぎると十分な添加効果を得ることができず、多過ぎると硬化後の物性、特に耐熱劣化性が低下するため、好ましくない。
{その他の添加剤}
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物には、上記成分以外に必要に応じてその他の添加剤を、本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物の特性を損なわない程度に適宜に配合することができる。
その他の添加剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
(i) 粉末状の補強剤や充填剤
例えば酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカなどのケイ素化合物、ガラスビーズ等の透明フィラー、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、その他、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデン等
これらの補強剤や充填剤は、本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物の透明性を損なわない範囲で配合され、通常本発明のエポキシ樹脂組成物の全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、100質量部以下が適当である。
(ii) 着色剤又は顔料
例えば二酸化チタン、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウム黄、カドミウム赤及び有機色素等
(iii) 難燃剤
例えば、三酸化アンチモン、ブロム化合物及びリン化合物等
(iv) イオン吸着体
(v) カップリング剤
これら(ii)〜(v)の成分は、通常、本発明のエポキシ樹脂組成物の全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、各々0.01〜30質量部配合される。
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物には、エポキシ硬化物の特性を改善する目的で、更に種々の硬化性モノマ−、オリゴマ−及び合成樹脂を配合することができる。
このような特性改善のための化合物や樹脂類としては、例えば、脂肪族エポキシ等のエポキシ樹脂用希釈剤、ジオール又はトリオール類、ビニルエーテル類、オキセタン化合物、フッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコ−ン樹脂等の1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
これらの化合物及び樹脂類の配合割合は、本発明のエポキシ樹脂組成物の本来の性質を損なわない範囲の量、すなわち本発明のエポキシ樹脂組成物の全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、50質量部以下が好ましい。
{物性}
(ガラス転移温度(Tg))
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)は−20〜40℃であることが好ましく、より好ましくは−10〜30℃である。
ガラス転移温度(Tg)が40℃を超えるものは、一般に曲げ弾性率が高く剛直になり、十分な柔軟性を持たないので好ましくない。ただし、Tgが過度に低いものは弾性率が低すぎるので外力が直接太陽電池素子に伝達し物理的ダメージを与えたり、屋外耐久性が損なわれる為、好ましくなく、通常その下限は−20℃である。
(光線透過率)
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物は、これを常法に従って加熱硬化させて得られる厚さ2mmの硬化物の、その厚さ方向の波長450nmの光の光線透過率が85〜100%、特に90〜100%であることが好ましい。この光線透過率が低過ぎると、太陽電池素子の封止材としての透明性が不足し、封止材による光の吸収で受光した光を太陽電池素子に伝達し得ず、太陽電池素子が本来の発電効率を十分に発揮し得ない。
なお、この光線透過率は、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
(粘度)
本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物の粘度は型への充填性の観点から低いほうがよい。その粘度とは、25℃においてE型粘度計で測定したとき、2000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは1000mPa・s以下である。粘度が2000mPa・sより高いと、作業性が悪くなるばかりか、流動性が低いので、封止時に太陽電池素子の周辺部材(電極や無機コート層)に物理的な外力を与えて損傷させたり、内部に未充填部分を残す場合があるので、好ましくない。
[太陽電池]
本発明の太陽電池は、上述した本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物を用いて太陽電池素子を封止したものである。即ち、本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物を用いて太陽電池素子を常法に従って封止することにより、太陽電池素子と、この太陽電池素子を封止する、本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物よりなる封止材層とを備える本発明の太陽電池が得られる。
封止材として、前述の本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物を用いる場合、本発明の太陽電池の構成には特に制限はなく、太陽電池素子の受光面側のみに、本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物の硬化物よりなる封止材層が形成され、太陽電池素子の受光面と反対側の面は、本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物以外の封止材よりなる封止材層とされていてもよい。また、裏面材が適当な中間層を介して設けられていてもよい。
本発明の太陽電池の他の態様として、太陽電池素子の一方の面(受光面)と他方の面(受光面と反対側の面)とを共にエポキシ樹脂よりなる封止材層で被覆したものがある。この場合の本発明の太陽電池は、例えば、図1に示す太陽電池と同様の構成とされ、図1において封止材13がエポキシ樹脂で構成されたものとなる。好ましくは、この封止材としては、本発明の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物の硬化物より構成される。
本発明の太陽電池において、封止される太陽電池素子としては、従来の太陽電池に用いられている太陽電池素子をいずれも好適に用いることができ、例えば、前述の単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどシリコン系太陽電池素子、インジウムガリウム砒素系や銅インジウムセレナイド系(CIS)などの化合物半導体太陽電池素子、色素増感太陽電池素子、有機半導体太陽電池等を用いることができ、これらのうち、多結晶シリコン太陽電池素子、アモルファスシリコン太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子が特に好ましく用いられる。
図1の態様における表面被覆材11の構成材料としては、太陽電池の最表層として、耐候性、撥水性、耐汚染性、機械強度、太陽電池の屋外暴露における長期信頼性を確保するための性能が要求され、このような要求特性を満たすものとして、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)などの有機高分子材料や特殊な薄膜ガラスが挙げられる。これらのうち、耐候性の観点ではポリフッ化ビニリデン樹脂が優れているが、耐候性及び機械的強度の両立の観点から四フッ化エチレン−エチレン共重合体が優れている。
なお、このような表面被覆材11と封止材13との間に、耐擦傷性向上のためのハードコート層、紫外線カット層、反射防止層、ガスバリア層等をフィルムや塗料を用いて形成してもよい。
また、図1の態様における裏面材12の構成材料としては、長期耐久性に優れ、熱膨張、熱収縮に耐えられる柔軟性を兼ね備えた材料が好ましく、好適には、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミドなどが挙げられる。
なお、裏面材12と封止材13との間に各種の接着層を設けてもよく、また、耐湿性の改善や受光量を増量するための機能層を設けてもよい。更に、太陽電池の機材的強度を高めるため、或いは、温度変化による歪やソリを防止するために、裏面材12に補強板を裏打ちしてもよく、この場合、補強材としては、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)板等を用いることができる。
本発明の太陽電池において、封止材層の厚みには特に制限はないが、例えば、図1に示すように、太陽電池素子の両面を封止材層で被覆する構成とする場合、各封止材層の厚み(図1におけるd,d)はそれぞれ0.1〜5mm、特に0.5〜3mmであることが好ましい。封止材層の厚みがこの範囲よりも薄いと封止材による太陽電池素子の保護効果を十分に得ることができない。封止材層の厚みがこの範囲よりも厚いとフレキシブル性を損ない、また太陽電池全体の厚みも厚くなり薄肉軽量小型化を図ることができず、好ましくない。
封止の一般的な方法としては、低圧トランスファー成形法が挙げられるが、射出成形、圧縮成形、注型、ポッティング、キャスティング、スクリーン印刷等により封止することもできる。成形時及び/又は成形後の硬化条件は、エポキシ樹脂組成物の各成分の種類や、配合量により異なるが、通常、硬化温度は50〜200℃、硬化時間は1分〜10時間が好ましい。
例えば、図1に示すような太陽電池を製造するには、表面被覆材11と裏面材12とを金型内に固定し、この表面材11と裏面材12との間に太陽電池素子10を挿入した後、エポキシ樹脂組成物を注入して加熱硬化させればよい。
本発明のフレキシブル太陽電池は、適度な柔軟性と剛性を有する為に、太陽電池素子を封入した状態で、表面の硬度および曲げ弾性率を制御することが重要である。
その硬度はShore Dで測定したときに、20から75、好ましくは30から60である。硬度が20より低いと表面が柔らかいため、外力が直接太陽電池素子に伝達し、物理的ダメージを与えたり、屋外耐久性が損なわれる。また成形後の離型性が悪くなる問題がある。硬度が75より高いと表面に傷がつきやすくなり、光線透過率の低下等の欠点が生じる。
また、その曲げ弾性率は後述の方法で測定したときに、30から200MPa、より好ましくは50から180MPaである。曲げ弾性率が200MPaより高いと、外力が直接太陽電池素子に伝達し、物理的ダメージを与えて破損に至る。曲げ弾性率が30より低いと自重で変形する問題が生じる。
本発明の太陽電池は、その優れたフレキシブル性により取り扱い性、施工性、耐衝撃性に優れ、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池、玩具用太陽電池など、幅広い分野に好適に適用することができる。
以下に、実施例、参考例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[評価方法]
以下における、各種の物性ないし特性の評価方法は次の通りである。
<I−V特性の測定>
評価装置として、日清紡社製ソーラーシミュレータ「Sun4800i−S」を用い、室温(約24℃)にて測定を行った。
<硬度>
Shore D硬度とShore A硬度を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
TMA法(JIS−K6911準拠,5℃/分で昇温)で測定した。
<光線透過率>
分光光度計により、サンプル厚2mmで、波長450nmにおける光透過率を測定した。
<曲げ強度>
3点曲げ法(JIS−K6911準拠,23℃で測定)で測定した。
また、この曲げ強度測定直後の太陽電池サンプル内に封止された太陽電池セルの状態を観察し、下記基準で評価した。
A:クラックは入っていなかった。
B:封止材とともに破損した(折れた)。
C:曲げ方向と直角にクラックが入っていた。
<曲げ弾性率>
3点曲げ法(JIS−K6911準拠,23℃)で測定した。
<曲げたわみ量>
曲げ強度(最大曲げ強度)における、サンプル中心部の変位量
[使用材料]
実施例及び比較例で用いた封止材の構成材料は次の通りである。
脂環式エポキシ樹脂YX8034(ジャパンエポキシレジン社製商品名);水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量270g/当量、全塩素含有量0.14質量%)
脂肪族エポキシ樹脂PTMG−DGE;数平均分子量650のポリテトラメチレンエーテルグリコールとエピクロルヒドリンを反応させることにより得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテル(エポキシ当量447g/当量、25℃における粘度173mPa.s、全塩素含有量0.15質量%)
エポキシ樹脂用硬化剤MH−700(新日本理化社商品名);無水メチルヘキサヒドロフタル酸
エポキシ樹脂用硬化剤SI−100L(三新化学社製商品名);芳香族スルホニウム塩(カチオン重合開始剤)
硬化促進剤PX−4MP(日本化学工業社商品名);第四級ホスホニウム塩
酸化防止剤BHT;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
酸化防止剤TPP;トリフェニルホスファイト
紫外線吸収剤ホスタビンVSU(クラリアント社商品名);2−エチル,2’−エトキシ−オキザリニン
[実施例1]
<エポキシ樹脂組成物の調製>
脂環式エポキシ樹脂YX8034を50質量部、脂肪族エポキシ樹脂PTMG−DGEを50質量部、エポキシ樹脂用硬化剤MH−700を50質量部、硬化促進剤PX−4MPを1質量部、酸化防止剤BHTを0.2質量部、同TPPを0.2質量部、紫外線吸収剤VSUを0.2質量部量り取り、60℃で均一になるまで混合してエポキシ樹脂組成物を得た。
<型の作成>
縦20cm、横20cm、厚さ8mmの軟質ガラス板の片面にPETフィルムを貼り付けたものを2枚作成した。図2(a)に示す如く、フィルム21aを貼り付けたガラス板21をフィルム21aが上になるように置き、その上に外径4mm、内径2mmのシリコーンチューブ22をU字状に置いた。更に、厚さ2mmの金属製の板23a〜23dをガラス板の対向する2側辺に2個ずつ置き、あらかじめ作成していたフィルムを貼り付けたもう一枚のガラス板をフィルムが下面になるように重ね合わせ、小型万力で締めて固定し、型20を作成した。
<太陽電池セルの作成>
ホットプレート(200℃以上まで加熱可能なもの)、10mm厚のアルミ板、単結晶Si太陽電池セル30(5インチサイズ)、半田ごて(セラミックヒータータイプ 70W品)、液状ペースト(電子基板用、低残渣又は無洗浄タイプ)、半田メッキリボン31(幅 3mm)、半田を用意する。ここで、30,31は図2(b)における符号をさす。
ホットプレート上に10mm厚のアルミ板を載せて加熱した。その上に単結晶Si太陽電池セル30を載せセルを加熱した(温度80〜90℃)。次いで、液状ペーストをセルの配線部分付近に塗布した。その上に半田ごてを用いて薄く半田を塗布した。次いで、半田メッキリボン31を(液状ペーストを塗布した)配線部分に半田ごてを用いて、セルを破損させないように融着(接着)させた。
このようにして単結晶Si太陽電池セル30に電極として半田メッキリボン31を融着させた太陽電池セルを得た。
<セルの封止方法>
上記エポキシ樹脂組成物に太陽電池セル30を浸し、太陽電池セル表面にエポキシ樹脂組成物を付着させた(泡の巻き込み防止のため)後、図2(b)に示す如く、固定用の樹脂台座32をセル30の両面の四隅に付着させた。
上記型20のPETフィルム21aとPETフィルム21aの間にエポキシ樹脂組成物に浸した太陽電池セル30をシリコーンチューブに触れないように、また樹脂台座32がずれないように静かに挿入した。
次いで、上記エポキシ樹脂組成物を減圧下で脱泡した後、型20の中に注ぎ、オーブン中にて100℃で3時間、次いで、140℃で3時間硬化した後、太陽電池セル30を型20から外し、図2(c)に示すセル封止物の第1及び第2封止材層41A,41Bの厚みが、それぞれ0.9mmのエポキシ樹脂硬化物で封止された、縦13.5cm、横13.5cmの太陽電池サンプル40を得た。
ここで、樹脂台座32としては、固形の脂環式エポキシ樹脂YX8040(水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン社商品名、エポキシ当量1010g/当量、軟化点84℃)を打錠成型機を用いて、直径5mm、厚さ0.9mmの円盤状に成形した樹脂片を用いた。この樹脂は硬化工程において温度により徐々に溶解し、周囲の封止材組成と混合して硬化後は封止材の一部となる。
<I−V特性の測定>
得られた太陽電池サンプルについて、発電特性に与えるエポキシ樹脂封止材の影響を調べるために、I−V特性の測定を行った。
比較のため、同一ロットの単結晶Si太陽電池セル(5インチサイズ)の未封止品(参考例1)についてもI−V特性の測定を行い、これらの結果を表1に示した。
Figure 0005683073
以上の結果より明らかなように、エポキシ樹脂封止による太陽電池セルの発電特性への影響は認められない。
<物性の測定>
得られた太陽電池サンプルについて、各種物性の測定を行って、結果を表2に示した。
[実施例2,3、比較例1,2]
封止材としてのエポキシ樹脂組成物の配合組成を表2に示す配合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池サンプルを作成し、同様に各種物性の測定を行って、結果を表2に示した。
[比較例3]
EVAフィルム(ソーラーエバSC4、三井化学ファブロ社商品名、厚さ0.3mm)を12枚用い、上から6枚目と7枚目のフィルム間に単結晶Si太陽電池セル(5インチサイズ、上述と同じく半田メッキリボンを接着したもの)を介在させ、フィルムの周囲に2mmの金属製スペーサーを配置してから、プレス成形(成形条件:150℃、10分)し、加熱炉で後硬化(後硬化条件:150℃、30分)することにより、太陽電池サンプルを作成した。得られた太陽電池サンプルは2mm厚となった。このサンプルについて各種物性の測定を行って、結果を表2に示した。
なお、表2には、実施例1〜3及び比較例1,2で用いたエポキシ樹脂組成物について、25℃でE型粘度計で測定した粘度を併記した。
Figure 0005683073
表2より次のことが分かる。
EVAフィルムで封止した比較例3では、曲げたわみ量が1.5mmと小さく、この時点で封止材に損傷はないが、内部の太陽電池素子に大きなクラックが発生し、太陽電池として機能しなくなった。従って、柔軟性を兼備した太陽電池としては不適である。
脂環式エポキシ樹脂のみを用いた比較例1では、曲げたわみ量が2.2mmと小さく、この時点で封止材ごと破損した。従って、柔軟性を兼備した太陽電池としては不適である。
脂肪族エポキシ樹脂のみを用いた比較例2では、曲げたわみ量が1.5mmと小さく、この時点で封止材に損傷はないが、内部の太陽電池素子に大きなクラックが発生し、太陽電池として機能しなくなった。従って、柔軟性を兼備した太陽電池としては不適である。
これに対して、脂環式エポキシ樹脂と脂肪族エポキシ樹脂とを併用した実施例1〜3では、曲げたわみ量が7.6〜8.2mmと大きく、この時点で内部の太陽電池素子に損傷はなく、太陽電池として機能し続けた。従って、柔軟性を兼備した太陽電池として好適である。
10 太陽電池素子
11 表面被覆材
12 裏面材
13 封止材
20 型
21 ガラス板
21a PETフィルム
22 シリコーンチューブ
23a,23b,23c,23d 金属板
30 太陽電池セル
31 半田メッキリボン
32 樹脂台座
40 太陽電池サンプル
41A,41B 封止材層

Claims (7)

  1. 光を受けて発電する太陽電池素子を封止するための太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物であって、下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有し、該組成物において、(a)成分:(b)成分=30〜50:70〜50(質量%)であり、該組成物を、100℃で3時間、次いで、140℃で3時間硬化して得られる硬化物について、TMA法(JIS−K6911準拠,5℃/分で昇温)で測定したガラス転移温度(Tg)が40℃以下であることを特徴とする太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物。
    (a)成分;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂
    (b)成分;数平均分子量が200〜3000のポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテル
    (c)成分;エポキシ樹脂用硬化剤
  2. 前記(c)成分のエポキシ樹脂用硬化剤が、分子中に芳香環を有しない硬化剤及び/又はカチオン重合開始剤である、請求項1に記載の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記分子中に芳香環を有しない硬化剤が、脂肪族アミン、脂環式アミン、脂肪族酸無水物及び脂環式酸無水物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、前記カチオン重合開始剤が、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩及びホスホニウム塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項2に記載の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記組成物を硬化させて得られる厚さ2mmの硬化物の、波長450nmの光の光線透過率が85〜100%である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物。
  5. 25℃においてE型粘度計で測定したときの前記組成物の粘度が2,000mPa・s以下である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物。
  6. 光を受けて発電する太陽電池素子と、該太陽電池素子を封止する封止材層とを備えてなり、該封止材層が請求項1ないしのいずれか1項に記載の太陽電池封止材用エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物からなることを特徴とする太陽電池。
  7. 前記封止材層は、前記太陽電池素子の一方の面を被覆する第1の封止材層と、前記太陽電池素子の他方の面を被覆する第2の封止材層とを有し、各封止材層の厚みがそれぞれ0.1〜5mmの範囲である、請求項に記載の太陽電池。
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