JP5682827B2 - コークス原料炭の搬送装置及びその停止方法 - Google Patents

コークス原料炭の搬送装置及びその停止方法 Download PDF

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Description

本発明は、コークス原料炭の搬送装置及びその停止方法に関し、特に、メンテナンス等を行う際に装置を停止させた場合でも、微粉炭が系内に滞留するのを防止し、微粉炭の滞留に伴うトラブルが発生することなく生産性に優れたコークス原料炭の搬送装置及びその停止方法に関するものである。
従来、室炉式コークス炉に装入される石炭として、9%前後の水分を有するものが使用されている。これを乾燥した後に炉に装入することにより、製造されたコークスの品質が向上するとともに、乾留熱量の低下による省エネルギー効果がもたらされる。
コークス品質の向上は、石炭の乾燥によって水分を失った擬似粒子が崩壊し、粗粒粒子から分離した微粉が石炭粒子層の空隙を埋め、全体として石炭粒子層が細密充填化に向かうために、嵩密度が増加し、石炭粒子間距離が縮小して乾留時の粒子間反応が円滑化することに由来しているといわれている。この効果により、コークスの品質を高炉操業に必要な所定のレベルに維持しながら、安価で資源量の多い非粘結炭や弱粘結炭の使用量を増大することができる。これらの効果を狙って、コークス用石炭を炉装入前に乾燥させる調湿炭装入法が近年多くのコークス炉で実施されている。
しかし、石炭の乾燥によって石炭水分が低下するにつれて、石炭輸送中およびコークス炉装入時の発塵が増加するという問題が生じる。これは、上述したように、石炭の乾燥によって擬似粒子が崩壊し、発塵粒子となる石炭の微粉が発生するためであり、石炭の水分が約5%未満になると発塵が急激に増加し、従来の集塵設備では良好な作業環境が維持できなくなる。したがって、従来の調湿炭装入法では、石炭水分を5%まで低下させるのが限界であった。
このようなコークス用石炭の事前処理を行う方法並びに設備として、例えば、特許文献1、2に記載されているような、発塵の原因となる微粉を分離して、タールなどの歴青物を添加し、混練し、擬似粒子化することにより発塵を防止する技術が採用されている。このような方法によれば、発塵が大幅に減少し、石炭水分を5%未満に低下したコークス炉操業が可能になっている。
図4に、従来から用いられているコークス用石炭の事前処理設備の模式図を示す。図4に示すように、従来のコークス用石炭の事前処理設備51には、原料である石炭を粉砕する粉砕機52と、粉砕後の石炭を加熱しつつ微粉炭と粗粒炭に分級する乾燥分級機53と、乾燥分級機53によって分級された微粉炭を集塵するバグフィルター54と、微粉炭を一時的に貯留するホッパ55と、微粉炭にタール等のバインダを添加して塊成炭とする塊成機56と、が備えられている。乾燥分級機53によって分級された微粉炭は、バグフィルター54、ホッパ55及び塊成機56を経て100〜200℃程度の塊成炭とされる。一方、乾燥分級機53によって分級された粗粒炭は、100〜350℃程度に加熱される。そして、粗粒炭と塊成炭とが混合されて装入炭となり、コークス炉に装入される。
図5に、従来のコークス用石炭の事前処理設備の要部を示す。図5に示すように、ホッパ55の下流側に配置された塊成機56は、混練機56aと塊成ロール56bとから構成されている。混練機56aには、ホッパ55から微粉炭が供給されるとともにタール等の混練用バインダが供給され、混練機56aにより微粉炭とバインダとが混練されて混練物が得られる。得られた混練物は塊成ロール56bに供給される。塊成ロール56bは2つのロール56c、56cからなり、ロール56c、56c間に供給された混練物を、ロール間の圧縮力により板状に塊成して塊成炭とする。塊成機56によって形成された塊成炭は、密閉された第1チェーンコンベア57により搬送され、篩70によって篩分けされた後に粗粒炭と混合され、第2チェーンコンベア71によってコークス炉に設けた石炭塔に搬送される。
チェーンコンベア57は、図5及び図6に示すように、中空筒状のトラフ58と、トラフ58内で移動可能とされた複数の堰板59と、堰板59同士を連結して堰板59を移動させる無端状のリンクチェーン60と、リンクチェーン60が掛け渡される一対のプーリ61とから概略構成されている。堰板59はトラフ58の底板58aに対して摺動するように構成されている。底板58a上を摺動する堰板59によって、矢印Xの方向に塊成炭が押されて搬送されるようになっている。また、第1チェーンコンベア57の上流側では、底板58aがほぼ水平に設置されており、この部分が水平搬送部62とされている。一方、第1チェーンコンベア57の下流側では、底板58aが傾斜して設置されており、この部分が傾斜搬送部63とされている。傾斜搬送部63は、チェーンコンベアの搬出端の位置を搬入端の位置に対して高低差を設けるために設けられている。この高低差により、搬送物である塊成炭をチェーンコンベアの搬出端において落下させて篩70に供給できるようになっている。
また、篩70によって篩い分けられた微粉部は、粉回収スクリュー64及び回収ホッパ65を介してホッパ55に導入することで再塊成する方法が採用されている。
特開2001−72982号公報 特開平8−239669号公報
ところで、上述のような構成の事前処理設備51においては、定期的に稼働を停止して、装置のメンテナンス作業(以下、定修と称することがある)を行う必要がある。この際、一般に、上流側、即ち、ホッパ55に近い側から順次装置を停止することで事前処理設備51全体を停止させた後、点検、定期修繕等のメンテナンス作業を行う。しかしながら、上記手順で上流側から順次装置を停止させた場合でも、系内にコークス用石炭が滞留し、メンテナンスの妨げになるという問題がある。即ち、微粉部は非常に高温であるので、篩分けられて回収ホッパ65に導入された微粉部には水が添加されて冷却されるが、この水を含んだ微粉部が回収ホッパ65の出口に設けられた回収バルブ65a内で固まって詰まりが発生する等、特に、微粉部の回収搬送経路において問題が生じていた。また、高温の微粉部に対する水の添加量が少ないと、搬送経路内において発火する場合があるという大きな問題があった。このため、装置を停止させる際に、系内から確実に微粉部を排出し、装置を傷めることが無く、高い生産性でコークス原料炭を搬送できる装置及び方法が求められていた。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、メンテナンス等を行う際に装置を停止させた場合でも、微粉部を確実に排出して系内に滞留するのを防止し、搬送経路内における固着等のトラブルを起こすこと無く、生産性に優れたコークス原料炭の搬送装置及びその停止方法を提供することを目的とする。
本発明者等が上記問題を解決するために鋭意研究したところ、メンテナンス等の際にコークス用石炭の事前処理設備を停止させるにあたり、篩に向けてコークス原料炭を搬送するチェーンコンベアの経路にバイパス部を設けることで、必要に応じて装置内に残留したコークス原料炭の搬出が可能となることを知見した。これにより、設備を停止させた場合でも、微粉部を確実に排出して系内に滞留するのを防止できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 水平搬送部及び前記水平搬送部の下流側に配置された傾斜搬送部を有し、コークス原料炭を搬送する第1チェーンコンベアと、前記第1チェーンコンベアに備えられる傾斜搬送部の、搬出端の下方に配置され、前記搬出端から搬出された前記コークス原料炭が搬送されることで、該コークス原料炭を粒径に応じて篩い分ける篩と、前記篩の下方に配置され、篩い分けられた前記篩上の前記コークス原料炭が搬送されるとともに、該コークス原料炭をコークス炉に向けて搬送する第2チェーンコンベアとを具備してなり、さらに、前記第1チェーンコンベアに接続され、必要に応じて、搬送経路内に残留した前記コークス原料炭を、前記傾斜搬送部から前記第2チェーンコンベアに向けて搬送するバイパス部を具備することを特徴とするコークス原料炭の搬送装置。
[2] 前記バイパス部の搬送路に、前記コークス原料炭の搬送制御を行うゲート部が設けられていることを特徴とする上記[1]に記載のコークス原料炭の搬送装置。
[3] 水平搬送部及び前記水平搬送部の下流側に配置された傾斜搬送部を有する第1チェーンコンベアによってコークス原料炭を搬送し、次いで、前記第1チェーンコンベアに備えられる傾斜搬送部の搬出端から搬出された前記コークス原料炭を、前記搬出端の下方に配置された篩に向けて落下搬送し、該篩によって前記コークス原料炭を粒径に応じて篩い分け、次いで、篩い分けた前記篩上の前記コークス原料炭を、前記篩の下方に配置された第2チェーンコンベアに落下搬送し、該第2チェーンコンベアによって前記コークス原料炭をコークス炉に向けて搬送する方法であり、さらに、必要に応じて前記コークス原料炭の搬送を停止させるにあたり、まず、篩い分けた前記篩の微粉部を回収する粉回収手段の払い出し動作を行い、次いで、前記粉回収手段から微粉部が搬送される分級機の払い出し動作を行うことで前記微粉部を給炭ホッパにリターン搬送し、次いで、前記給炭ホッパの払い出し動作を行うことで該給炭ホッパ内の微粉部を含むコークス原料炭を塊成機に向けて搬送し、次いで、前記塊成機の払い出し動作を行うことで該塊成機内の微粉部を含むコークス原料炭を前記第1チェーンコンベアに向けて搬送し、次いで、前記第1チェーンコンベアの払い出し動作を行うことで、該第1チェーンコンベアに接続されたバイパス部から前記第2チェーンコンベアに向けて微粉部を含むコークス原料炭を搬送した後、前記第2チェーンコンベアによって微粉部を含むコークス原料炭を搬送経路外に搬出し、搬送動作を停止することを特徴とするコークス原料炭の停止方法。
[4] 前記バイパス部によって前記第2チェーンコンベアに向けて搬送する前記コークス原料炭の搬送制御を、前記バイパス部に設けられたゲート部によって行うことを特徴とする上記[3]に記載のコークス原料炭の停止方法。
本発明のコークス原料炭の搬送装置によれば、水平搬送部及び傾斜搬送部を有してコークス原料炭を搬送する第1チェーンコンベアと、傾斜搬送部の搬出端の下方に配置され、搬出端から搬出されたコークス原料炭が搬送されてコークス原料炭を篩い分ける篩と、篩の下方に配置され、篩い分けられた篩上のコークス原料炭が搬送されるとともに、これをコークス炉に向けて搬送する第2チェーンコンベアとを具備し、さらに、第1チェーンコンベアに接続され、必要に応じて、搬送経路内に残留したコークス原料炭を、第1チェーンコンベアから第2チェーンコンベアに向けて搬送するバイパス部を具備した構成を採用している。これにより、メンテナンス等の際にコークス用石炭の事前処理設備を停止させた場合でも、微粉部を確実に排出して系内に滞留するのを防止できる。従って、コークス原料炭の微粉部によるバルブの固着等のトラブルを未然防止でき、高い生産性を実現することが可能となる。
また、本発明のコークス原料炭の停止方法によれば、水平搬送部及び傾斜搬送部を有する第1チェーンコンベアによってコークス原料炭を搬送し、次いで、傾斜搬送部の搬出端から搬出されたコークス原料炭を、搬出端の下方に配置された篩に向けて搬送し、篩によってコークス原料炭を粒径に応じて篩い分け、次いで、篩い分けられた篩上のコークス原料炭を、篩の下方に配置された第2チェーンコンベアに搬送し、コークス炉に向けて搬送する方法であり、さらに、必要に応じて、コークス原料炭の搬送を停止させる際、搬送経路内に残留したコークス原料炭を、第1チェーンコンベアに接続されたバイパス部によって第2チェーンコンベアに向けて搬送し、排出する方法を採用している。これにより、メンテナンス等の際にコークス用石炭の事前処理設備を停止させた場合でも、微粉部を確実に排出して系内に滞留するのを防止できる。従って、コークス原料炭の微粉部によるバルブの固着等のトラブルを未然防止でき、高い生産性を実現することが可能となる。
本発明の実施形態であるコークス原料炭の搬送装置を備えたコークス用石炭の事前処理設備を示す模式図である。 本発明の実施形態であるコークス原料炭の搬送装置を示す模式図である。 本発明の実施形態であるコークス原料炭の搬送装置の要部を示す断面模式図である。 従来のコークス用石炭の事前処理設備を示す模式図である。 従来のコークス用石炭の事前処理設備の要部を示す模式図である。 従来のコークス用石炭の事前処理設備に備えられたチェーンコンベアの要部を示す断面模式図である。
以下、本発明の実施形態であるコークス原料炭の搬送装置を備えたコークス用石炭の事前処理設備について、図1〜図3を適宜参照しながら説明する(従来図である図4〜図6も適宜参照)。なお、本実施形態は、本発明のコークス原料炭の搬送装置及びその停止方法の趣旨をより良く理解させるために詳細に説明するものであるから、特に指定の無い限り本発明を限定するものではない。
図1に示すコークス用石炭の事前処理設備1は、原料炭である石炭を粉砕する粉砕機2と、粉砕後の石炭を加熱しつつ微粉炭と粗粒炭に分級する乾燥分級機(分級機)3と、乾燥分級機3によって分級された微粉炭を集塵するバグフィルター4と、微粉炭を一時的に貯留するホッパ5と、微粉炭にタール等のバインダを添加して塊成炭とする塊成機6と、後述する構成とされたコークス原料炭の搬送装置が少なくとも備えられている。乾燥分級機3によって加熱されつつ分級された微粉炭は、バグフィルター4、ホッパ5及び塊成機6を経て100〜200℃程度の塊成炭とされる。また、乾燥分級機3によって分級された粗粒炭は、乾燥分級機3及び乾燥分級機3の後段に設置された図視略の加熱塔により100〜350℃程度に加熱される。そして、粗粒炭と塊成炭とが混合されて装入炭となり、コークス炉に装入される。コークス原料炭の搬送装置は、塊成機6の下流側に配置されたチェーンコンベアを主体とする装置である。
そして、本実施形態で説明するコークス原料炭の搬送装置は、水平搬送部12及びこの下流側に配置された傾斜搬送部13を有し、コークス原料炭を搬送する第1チェーンコンベア7と、傾斜搬送部13の搬出端7bの略鉛直下方に配置され、搬出端7bから搬出されたコークス原料炭が落下搬送されることで、該コークス原料炭を粒径に応じて篩い分ける篩40と、篩40の略鉛直下方に配置され、この篩40によって篩い分けられて残留した、篩40上のコークス原料炭の塊成炭が落下搬送されるとともに、この粗粒炭を図示略のコークス炉に向けて搬送する第2チェーンコンベア41と、を具備する。そして、本実施形態では、さらに、第1チェーンコンベア7、より詳しくは傾斜搬送部13に接続され、必要に応じて、第1チェーンコンベア7を始めとする搬送経路内に残留したコークス原料炭を、傾斜搬送部13から第2チェーンコンベア41に向けて搬送するバイパス部90を具備してなる。
粉砕機2によって所定の粒度範囲に粉砕された石炭は、乾燥分級機3に搬送される。乾燥分級機3には熱風が供給されており、この熱風によって粉砕済みの石炭が乾燥されるとともに分級される。ここで、微粉炭とは、最大粒径が0.5mm以下の石炭をいう。また、粗粒炭とは、最大粒径が0.5mm超の石炭をいう。微粉炭は乾燥分級機2によって100〜200℃程度に昇温される。また、粗粒炭は、乾燥分級機3と乾燥分級機3の下流に設置された図示略の加熱塔とによって100℃〜350℃程度に加熱される。微粉炭、粗粒炭中の水分量は何れもほぼ0%になる。このように、本実施形態の事前処理設備1では、乾燥分級後の石炭が高温になるので、石炭の発火事故等の防止のために、乾燥分級機3以降の石炭を取り扱う工程はすべて外気から密閉された不活性ガス雰囲気中で行われる。
図2に、本実施形態のコークス用石炭の事前処理設備1の要部を示す。図2に示すように、ホッパ5の下流側に配置された塊成機6は、混練機6aと塊成ロール6bとから構成されている。混練機6aには、ホッパ5から微粉炭が供給されるとともにタール等の混練用バインダが供給され、混練機6aにより微粉炭とバインダとが混練されて混練物が得られる。得られた混練物は塊成ロール6bに供給される。塊成ロール6bは2つのロール6c、6cからなり、ロール6c、6c間に供給された混練物を、ロール間の圧縮力により板状に塊成して塊成炭とする。塊成炭は、微粉炭がバインダで結着されてなり、最大粒径が0.5mm超の塊成物である。塊成機6によって形成された塊成炭は、密閉された第1チェーンコンベア7(コークス原料炭の搬送装置)により搬送され、篩40によって篩分けされた後に粗粒炭と混合され、第2チェーンコンベア41によってコークス炉に搬送される。篩40を通過した塊成炭のうち、粒度が所定の基準よりも小さいもの(微粉部)はホッパ5に返送される。また、本実施形態において、コークス原料炭とは、塊成ロール6bを通過して搬送される石炭を指し、塊成炭及び該塊成炭の微粉部が含まれる。塊成ロール6bが正常に稼働している場合のコークス原料炭は、塊成炭を主体として構成されている。一方、上述した定修を実施する場合のコークス原料炭は、塊成炭の微粉部が主体として含まれる。
チェーンコンベア7は、図2〜図4に示すように、中空筒状のトラフ8と、トラフ8内で移動可能とされた複数の堰板9と、堰板9同士を連結して堰板9を移動させる無端状のリンクチェーン10と、リンクチェーン10が掛け渡される一対のプーリ11とから概略構成されている。トラフ8は断面視略矩形状であり、底板8aと、上板8bと、一対の側板8cとによって構成されており、その内部は窒素等の不活性ガスが満たされた空間Mになっている。堰板9は、トラフ8の底板8aに対して摺動するように構成されている。底板8a上を矢印X方向に摺動する堰板9によって、塊成炭が押されて搬送されるようになっている。また、チェーンコンベア7の上流側では、底板8aがほぼ水平に設置されており、この部分が水平搬送部12とされている。一方、チェーンコンベア7の下流側では、底板8aが傾斜して設置されており、この部分が傾斜搬送部13とされている。傾斜搬送部13は、チェーンコンベア7の搬入端7aと搬出端7bとに高低差を設けるために設けられている。塊成炭は、傾斜搬送部13を登りながら搬送される。この高低差により、搬送物である塊成炭をチェーンコンベア7の搬出端7bにおいて落下させて篩40に供給できるようになっている。
次に、篩40の鉛直下方には、この篩40で篩分けられた微粉部が落下する。本実施形態では、この微粉部を回収するための粉回収スクリュー(粉回収手段)42が設けられており、さらに、粉回収スクリュー42から微粉部が搬入される回収ホッパ(粉回収手段)43が備えられている。回収ホッパ43には回収バルブ43aが設けられており、この回収バルブ43aの開閉により、微粉部を、再びホッパ5に導入して再使用することが可能な構成とされている。また、回収ホッパ43には、回収された微粉部に水を加えるための、図示略の給水手段が備えられている。
次に、上記した構成の第1チェーンコンベア7の傾斜搬送部13には、その経路中に、管状部材からなるバイパス部90が接続されている。バイパス部90は、バイパス入口端91が傾斜搬送部13の途中経路に接続されるとともに、バイパス出口端92が第2チェーンコンベア41上に離間して配置される。このようなバイパス部90は、事前処理設備1を停止、即ち、コークス原料炭の搬送設備を停止させる際、第1チェーンコンベア7を始めとする搬送経路内に残留したコークス原料炭を、傾斜搬送部13から第2チェーンコンベア41に向けて搬送するものである。
次に、本実施形態で説明する例においては、図2及び図3に示すように、バイパス部90の搬送路に、コークス原料炭の搬送制御を行うゲート部93が設けられている。このゲート部93は、通常の処理運転時においては閉じられた状態とされ、傾斜搬送部13で搬送されるコークス原料炭は、搬出端7bから篩40に向けて搬出される。
本実施形態では、定修等で事前処理設備1を停止させる際、まず、ゲート部93を開放することで、第1チェーンコンベア7の傾斜搬送部13に搬送された微粉部を含むコークス原料炭が、全て、バイパス部90を介して第2チェーンコンベア41に導かれる搬送形態となる。そして、詳細を後述する手順により、事前処理設備1の各装置を、順を追って停止させることで、搬送経路内に滞留した微粉部を含むコークス原料炭を効果的に排出した状態で、事前処理設備1全体を停止させることが可能となる。なお、バイパス部90から第2チェーンコンベア41に搬送され、最終的に第2チェーンコンベア41によって搬出される微粉部を含むコークス原料炭は、コークス炉に導入する。
なお、本実施形態では、第1チェーンコンベア7の傾斜搬送部13にバイパス部90が接続された例を挙げて説明しているが、これには限定されず、例えば、水平搬送部12にバイパス部90が接続された構成としても構わない。
本実施形態においては、ゲート部93を閉めた状態で事前処理設備1の通常稼働を行う場合には、バイパス部90のバイパス入口端91とゲート部93との間に、微粉部を含むコークス原料炭が充填された状態となる。これにより、第チェーンコンベアによって搬送される微粉部を含むコークス原料炭は、ゲート部93上に堆積するように充填されたコークス原料炭の上を移動するように搬送される。
本実施形態の搬送装置によれば、上記構成を採用することにより、搬送経路内に残留した微粉部を含むコークス原料炭を、確実に外部に排出した状態で装置を停止することができる。これにより、微粉部の回収搬送経路において詰まり等が生じたり、あるいは、発火したりする問題を解消することが可能となる。
次に、本実施形態の本発明に係るコークス原料炭の搬送装置の動作、搬送方法及び停止方法について説明する。
本実施形態のコークス原料炭の停止方法は、水平搬送部12及びその下流側に配置された傾斜搬送部13を有する第1チェーンコンベア7によってコークス原料炭を搬送し、次いで、傾斜搬送部13の搬出端7bから搬出されたコークス原料炭を、搬出端7bの略鉛直下方に配置された篩40に向けて落下搬送して粒径に応じて篩い分け、次いで、篩40上に篩い分けられて残留したコークス原料炭を、篩40の略鉛直下方に配置された第2チェーンコンベア41に落下搬送し、第2チェーンコンベア41によってコークス原料炭をコークス炉に向けて搬送する方法である。そして、本実施形態では、さらに、必要に応じて、コークス原料炭の搬送を停止させる際、搬送経路内に残留したコークス原料炭を、傾斜搬送部13に接続されたバイパス部90によって第2チェーンコンベア41に向けて搬送し、その後、排出する方法を採用している。
本実施形態では、図1及び図2に示すように、まず、原料である石炭を粉砕機2で粉砕し、次いで乾燥分級機3で微粉部と粗粒炭に分級する。微粉部は乾燥分級機2によって100〜200℃程度に加熱し、粗粒炭は、乾燥分級機3及び乾燥分級機3の下流に設置された図示略の加熱炉により100℃〜350℃程度に加熱する。次いで、微粉部をバグフィルター4、ホッパ5及び塊成機6に順次搬送して、100〜200℃程度の塊成炭とする。
得られた塊成炭は、本発明に係る第1チェーンコンベア7で搬送し、篩40を通過させた後に、100〜350℃に加熱した粗粒炭と混合して装入炭とする。装入炭は、その後、コークス炉に装入してコークスを製造する。この際、ゲート部93は閉じられた状態とされているので、傾斜搬送部13で搬送されるコークス原料炭は、搬出端7bから篩40に向けて搬出される。
ここで、本実施形態の停止方法では、定修等のメンテナンス作業を行うために事前処理設備1を停止させる際、以下に詳述するような手順により、搬送経路内に残留した塊成炭の微粉部を含むコークス原料炭を全て搬送経路外に排出する。
まず、ゲート部93を開放することで、第1チェーンコンベア7の傾斜搬送部13に搬送された微粉部を含むコークス原料炭が、全て、バイパス部90を介して第2チェーンコンベア41に導かれる搬送形態とする。次いで、粉回収スクリュー(粉回収手段)42を払い出し動作させ、この粉回収スクリュー42及び図示略の回収ベルト手段等に残留した微粉部を全て排出し、回収ホッパ(粉回収手段)43に搬送した後、さらに、回収ホッパ43を払い出し動作させることで、回収ホッパ43及び図示略の搬送ベルト手段等に残留した微粉部をホッパ5に向けて搬送する。
次に、ホッパ5の払い出し動作を行うことで、ホッパ5内の微粉部を含むコークス用石炭を塊成機6に向けて搬出する。そして、ホッパ5内を空の状態とした後、ホッパ5の出口に備えられる図示略のテーブルフィーダを閉鎖する。
次に、塊成機6の払い出し動作を行うことにより、塊成機6内の混練機6aと塊成ロール6bに残留する微粉部を含むコークス用石炭を、バインダ添加及び塊成することなく、そのままの状態で第1チェーンコンベア7に向けて搬出する。次いで、第1チェーンコンベア7の払い出し動作を行うことにより、傾斜搬送部13に接続されたバイパス部90から第2チェーンコンベア41に向けて、微粉部を含むコークス用石炭を搬出させた後、第1チェーンコンベア7の払い出し動作及び篩40の振動を停止させる。
そして、第2チェーンコンベア41の払い出し動作を行うことで、この第2チェーンコンベア41内に残留した微粉部を含むコークス用石炭を、コークス炉に設けた石炭塔(装入炭貯蔵ホッパ)に搬送する。これにより、停止後の搬送経路内には残炭が存在しない状態となり、この状態でメンテナンス等を行うことが可能となる。なお、回収した微粉部を含むコークス原料炭は、装置の再稼働の際にコークス炉に装入される。
本実施形態によれば、バイパス部90の経路中に設けられたゲート部93を開閉させることにより、通常の事前処理運転と、メンテナンス等で停止させる場合の操業状態の切り替えを、手間をかけることなく適宜行うことが可能である。
以上説明したように、本実施形態のコークス原料炭の搬送装置によれば、水平搬送部12及び傾斜搬送部13を有してコークス原料炭を搬送する第1チェーンコンベア7と、傾斜搬送部13の搬出端7bの略鉛直下方に配置され、搬出端7bから搬出されたコークス原料炭が落下搬送されてコークス原料炭を篩い分ける篩40と、篩40の略鉛直下方に配置され、篩40上に残留したコークス原料炭が落下搬送されるとともに、これをコークス炉に向けて搬送する第2チェーンコンベア41とを具備し、さらに、第1チェーンコンベア7に接続され、必要に応じて、搬送経路内に残留したコークス原料炭を、第1チェーンコンベア7から第2チェーンコンベア41に向けて搬送するバイパス部90を具備した構成を採用している。これにより、メンテナンス等の際にコークス用石炭の事前処理設備を停止させた場合でも、篩40で篩い分けられた塊成炭の微粉部を確実に排出して系内に滞留するのを防止できる。従って、回収ホッパ43における水の添加が不要となることから、コークス原料炭の微粉部によるバルブの固着等のトラブルを未然防止でき、高い生産性を実現することが可能となる。
また、本実施形態のコークス原料炭の停止方法によれば、水平搬送部12及び傾斜搬送部13を有する第1チェーンコンベア7によってコークス原料炭を搬送し、次いで、傾斜搬送部13の搬出端7bから搬出されたコークス原料炭を、搬出端7bの略鉛直下方に配置された篩に向けて落下搬送し、篩40によってコークス原料炭を粒径に応じて篩い分け、次いで、篩40上に篩い分けられて残留したコークス原料炭を、篩40の略鉛直下方に配置された第2チェーンコンベア41に落下搬送し、コークス炉に向けて搬送する方法であり、さらに、必要に応じて、コークス原料炭の搬送を停止させる際、搬送経路内に残留したコークス原料炭を、第1チェーンコンベア7に接続されたバイパス部90によって第2チェーンコンベア41に向けて搬送し、排出する方法を採用している。これにより、メンテナンス等の際にコークス用石炭の事前処理設備を停止させた場合でも、篩い分けられた塊成炭の微粉部を確実に排出して系内に滞留するのを防止できる。従って、コークス原料炭の微粉部によるバルブの固着等のトラブルを未然防止でき、高い生産性を実現することが可能となる。
1…事前処理設備、
7…第1チェーンコンベア、
7b…搬出端、
12…水平搬送部、
13…傾斜搬送部、
41…第2チェーンコンベア、
90…バイパス部、
93…ゲート部、

Claims (4)

  1. 水平搬送部及び前記水平搬送部の下流側に配置された傾斜搬送部を有し、コークス原料炭を搬送する第1チェーンコンベアと、
    前記第1チェーンコンベアに備えられる傾斜搬送部の、搬出端の下方に配置され、前記搬出端から搬出された前記コークス原料炭が搬送されることで、該コークス原料炭を粒径に応じて篩い分ける篩と、
    前記篩の下方に配置され、篩い分けられた前記篩上の前記コークス原料炭が搬送されるとともに、該コークス原料炭をコークス炉に向けて搬送する第2チェーンコンベアとを具備してなり、
    さらに、前記第1チェーンコンベアに接続され、必要に応じて、搬送経路内に残留した前記コークス原料炭を、前記傾斜搬送部から前記第2チェーンコンベアに向けて搬送するバイパス部を具備することを特徴とするコークス原料炭の搬送装置。
  2. 前記バイパス部の搬送路に、前記コークス原料炭の搬送制御を行うゲート部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコークス原料炭の搬送装置。
  3. 水平搬送部及び前記水平搬送部の下流側に配置された傾斜搬送部を有する第1チェーンコンベアによってコークス原料炭を搬送し、
    次いで、前記第1チェーンコンベアに備えられる傾斜搬送部の搬出端から搬出された前記コークス原料炭を、前記搬出端の下方に配置された篩に向けて落下搬送し、該篩によって前記コークス原料炭を粒径に応じて篩い分け、
    次いで、篩い分けた前記篩上の前記コークス原料炭を、前記篩の下方に配置された第2チェーンコンベアに落下搬送し、該第2チェーンコンベアによって前記コークス原料炭をコークス炉に向けて搬送する方法であり、
    さらに、必要に応じて前記コークス原料炭の搬送を停止させるにあたり、まず、篩い分けた前記篩の微粉部を回収する粉回収手段の払い出し動作を行い、次いで、前記粉回収手段から微粉部が搬送される分級機の払い出し動作を行うことで前記微粉部を給炭ホッパにリターン搬送し、次いで、前記給炭ホッパの払い出し動作を行うことで該給炭ホッパ内の微粉部を含むコークス原料炭を塊成機に向けて搬送し、次いで、前記塊成機の払い出し動作を行うことで該塊成機内の微粉部を含むコークス原料炭を前記第1チェーンコンベアに向けて搬送し、次いで、前記第1チェーンコンベアの払い出し動作を行うことで、該第1チェーンコンベアに接続されたバイパス部から前記第2チェーンコンベアに向けて微粉部を含むコークス原料炭を搬送した後、前記第2チェーンコンベアによって微粉部を含むコークス原料炭を搬送経路外に搬出し、搬送動作を停止することを特徴とするコークス原料炭の停止方法。
  4. 前記バイパス部によって前記第2チェーンコンベアに向けて搬送する前記コークス原料炭の搬送制御を、前記バイパス部に設けられたゲート部によって行うことを特徴とする請求項3に記載のコークス原料炭の停止方法。
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