JP5682127B2 - 色素増感型太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、色素増感型の太陽電池、及びその製造方法、並びに太陽電池モジュールに関するものである。
二酸化炭素が原因とされる地球温暖化が世界的に問題となっている近年、環境にやさしく、クリーンなエネルギー源として、太陽光エネルギーを利用した太陽電池の積極的な研究開発が進められている。その中でも、より光電変換効率が高く、低コストの太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目されている。
色素増感型太陽電池は、例えば、光の入射する側から、透明基板、この透明基板上に形成された透明導電層、色素が担持された酸化物半導体層、酸化還元対を有する電解質層、並びに対向電極を形成した基板が順に積層されてセルが形成される。特に、グレッチェルセルは、ナノ微粒子である酸化チタンを焼成させた多孔質の酸化物半導体層を用いることを特徴とし、酸化物半導体層を多孔質とすることで増感色素の吸着量を増加させ光吸収能を向上させている。
上記の色素増感型太陽電池の作製方法は、例えば、まず透明基板の表面に形成された透明導電層上に、酸化チタン微粒子からなる多孔質半導体層を形成し、その多孔質半導体層に増感色素を担持させる。次に対向電極に白金膜などの触媒をコーティングし、多孔質半導体層と白金膜とが対面するように重ね合わせた後、その間に電解質を注入して電解質層を形成し、側面をエポキシ樹脂等で封止する。このようにして色素増感型太陽電池が作製される。
このような色素増感型太陽電池では、電解質層から多孔質半導体層や導電層に一旦注入された電子又はホールが、電解質層に逆移動する現象(以下、「逆電子移動」という)が起こり、それによって開放電圧や光電変換効率等の電池性能が低下するという問題が知られている。特に、電解質としてイオン液体を用いた場合には、一般的にイオン液体の電解質の粘度が有機溶媒系の電解質の粘度よりも高いため、酸化還元対の拡散速度が低下して逆電子移動が起こり易くなる。
逆電子移動を防止する方法としては、透明基板上に導電層が形成された導電性基材、もしくは導電性基材上に多孔質半導体層が積層した状態の基材を、四塩化チタン溶液やチタンアルコキシド溶液に浸し、導電性基材ないし多孔質半導体層の表面に緻密な酸化チタン層を形成することによって電解質層と導電層とが接しないようにする方法が知られている(例えば、特許文献1〜2)。また、ペルオキソチタン酸を用いて、逆電子移動を防止するための酸化チタン層を形成する方法が知られている(例えば、特許文献3〜4)。
しかしながら、上記のように四塩化チタン由来の酸化チタン層を形成するには、高温での加熱処理を要するため、導電性基板としてフレキシブル性を有する樹脂製の基板を用いることができないという欠点がある。また、チタンアルコキシドを用いた場合、その反応性が高いことから目標の層厚を得ることが難しいという欠点がある。さらに、ピンホールを生ずることなく均一な酸化チタン層を作製するには層厚を厚くしなければならず、その場合には乾燥工程の厳密な管理が求められ、且つ得られた酸化チタン層にはクラックが生じやすいため導電性基板としてフレキシブル基板を用いることができないという問題もあった。また、ペルオキソチタン酸を用いた場合、乾燥した酸化チタン層は無定形のペルオキソチタン水和物であり、紫外線照射や200℃以上の焼成を経なければ逆電子移動防止層としての機能を十分に発揮できないため、フレキシブル性を有する樹脂製の基板を用いることができないという欠点があった。さらに、ペルオキソチタン酸を用いて形成された酸化チタン層にはクラックが生じ易く、その観点からも導電性基板としてフレキシブル性を有する基板を使用できないという問題があった。
以上のように、逆電子移動については、それが色素増感型太陽電池の発電効率を低下させてしまうことは周知であったが、これを防止する有効な手段は未だ確立されていなかった。
特開2007−157397号公報 特開2002−151168号公報 特許第4215964号公報 特開2008−210713号公報
そこで本発明は、上記従来の状況に鑑み、逆電子移動が十分に抑制され、光電変換効率等の電池性能に優れた色素増感型太陽電池及びその製造方法、並びに色素増感型太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明者は、多孔質半導体層と導電性基材との間に、チタンオリゴマーに由来する酸化チタン層を配置することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、導電性基材と、導電性基材上に配置されたチタンオリゴマー由来の酸化チタン層と、酸化チタン層上に配置され、増感色素を担持させた金属酸化物微粒子からなる多孔質半導体層と、多孔質半導体層に対向して配置された対向電極と、導電性基材及び対向電極の間に配置された、酸化還元対を含む電解質層と、から構成される色素増感型太陽電池である。
また本発明は、上記チタンオリゴマーが、テトラアルコキシチタンの加水分解により生成する有機チタンオリゴマーである色素増感型太陽電池である。
また本発明は、上記色素増感型太陽電池の複数を、直列又は並列に接続してなる色素増感型太陽電池モジュールである。
さらに本発明は、導電性基材上に、チタンオリゴマーの溶液を塗布して酸化チタン層を形成する工程と、前記酸化チタン層上に、増感色素を担持させた金属酸化物微粒子からなる多孔質半導体層を形成する工程と、酸化チタン層及び多孔質半導体層を形成した導電性基材と前記導電性基材に対向して配置された対向電極との間に、酸化還元対を含む電解質層を形成する工程と、を含む色素増感型太陽電池の製造方法である。
本発明によれば、色素増感型太陽電池においてチタンオリゴマーから形成される酸化チタン層を設けることにより、逆電子移動が抑制され、その結果、開放電圧や光電変換効率等の電池性能を向上させることができる。また、チタンオリゴマーから形成される酸化チタン層は、従来のチタンアルコキシド等からなる層に比べて可撓性に優れる。
本発明の色素増感型太陽電池の一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の色素増感型太陽電池の一実施形態を示す断面図である。この色素増感型太陽電池1は、導電性基材10と、増感色素を担持させた金属酸化物微粒子からなる多孔質半導体層30と、多孔質半導体層30に対向して配置された対向電極50と、導電性基材10及び対向電極50の間に配置され、酸化還元対を含む電解質層40とから概略構成され、さらに、導電性基材10と多孔質半導体層30との間に、チタンオリゴマー由来の酸化チタン層20を設けたことを特徴とする。
次に、色素増感型太陽電池1を構成する各部材について説明する。
(1)導電性基材
導電性基材10としては、チタンやアルミニウム等の各種の金属箔や金属板等の一般的な導電性の材料を用いることができ、あるいは、ガラスやプラスチック等の基板の表面上に導電層を形成することによっても得ることができる。導電層を形成する基板は、透明であっても不透明であっても良いが、導電性基材10側を光の受光面とする場合には、光の透過性に優れた透明基板であることが好ましい。さらに、耐熱性、耐候性、及び水蒸気等に対するガスバリア性に優れたものであることが好ましい。具体的には、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英ガラス等の可撓性のない透明なリジット材、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチックフィルムを挙げることができる。本発明においては、これらの中でも、プラスチックフィルムを基板としてこれに導電層を形成した可撓性フィルムからなる導電性基材を使用することが好ましい。これにより様々な用途に太陽電池を用いることができ、また太陽電池の軽量化、製造コストの削減を果たすことができる。なお、プラスチックフィルムは単独で基板として使用しても良く、2種以上の異なるプラスチックフィルムを積層した状態で使用しても良い。
導電性基材の基板の厚さとしては、15μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。
基板上に形成する導電層の材料としては、導電性に優れたものであれば特に限定はされないが、導電性基材10側を光の受光面とする場合には、導電層は光の透過性に優れているものであることが好ましい。例えば、光の透過性に優れた材料として、SnO、ITO、IZO、ZnO等を挙げることができる。中でも、フッ素ドープしたSnO、ITOは、導電性及び透過性の両方に優れているため特に好ましく用いられる。
また、導電性基材の導電層は、その仕事関数を考慮して太陽電池が機能するように材料を選択することが好ましい。例えば、仕事関数が高い材料としては、Au、Ag、Co、Ni、Pt、C、ITO、SnO、フッ素をドープしたSnO、ZnO等を挙げることができる。一方、仕事関数が低い材料としては、Li、In、Al、Ca、Mg、Sm、Tb、Yb、Zr等を挙げることができる。
なお、導電層は、単層から構成されていても良く、また、異なる仕事関数の材料が積層されて構成されていても良い。
導電層の膜厚としては、0.1nm〜500nmの範囲内、好ましくは1nm〜300nmの範囲内である。
このような導電層を形成する方法としては、特に限定はされないが、蒸着法、スパッタ法、CVD法等を挙げることができる。中でも、スパッタ法が好ましく用いられる。
(2)酸化チタン層
続いて、酸化チタン層20について説明する。酸化チタン層20は、チタンオリゴマーから形成されるものである。ここでチタンオリゴマーとは、構成単位中にチタン原子を含む、重合度が2〜100程度のオリゴマーをいう。このチタンオリゴマー由来の酸化チタン層20は、従来のチタンアルコキシド等からなる酸化チタン層に比べて、高い製膜性を有し、層表面にクラック等の欠陥を生じ難く、また、柔軟性・可撓性に優れている。チタンオリゴマー由来の酸化チタン層20が多孔質半導体層30のアンカーとして機能するため、導電性基材10と多孔質半導体層30との密着性が高まり、その結果、逆電子移動が抑制されて電池性能が向上することとなる。
チタンオリゴマーとしては特に限定されるものではないが、下記式(1)で表されるテトラアルコキシチタン、又は式(1)のテトラアルコキシチタンにキレート化剤が配位した構造を有するチタンキレート化合物を、加水分解等により縮合させた有機チタンオリゴマーが好ましく用いられる。また、式(1)のテトラアルコキシチタンから生成されるオリゴマーは、主鎖がTi−O結合からなるチタンホモオリゴマーであるが、一部のTi原子が他の金属Mに置換された、すなわち主鎖中にM−O結合を含むチタンヘテロオリゴマー(ハイブリッドオリゴマー)も適用可能である。この場合、他の金属Mとしては、Zn、Zr、Si等が挙げられる。
Figure 0005682127
上記式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素数1〜18個のアルキル基であるが、それぞれ独立して炭素数1〜8個のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立して炭素数1〜5個のアルキル基であることが特に好ましい。
このようなテトラアルコキシチタンとして、例えば、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラノルマルプロポキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラノルマルブトキシチタネート、テトライソブトキシチタネート、ジイソプロポキシジノルマルブトキシチタネート、ジターシャリーブトキシジイソプロポキシチタネート、テトラターシャリーブトキシチタネート、テトライソオクチルチタネート、テトラステアリルアルコキシチタネート等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
また、上記チタンキレート化合物を用いる場合、テトラアルコキシチタンに配位させるキレート化剤としては、特に限定されるものではないが、β−ジケトン、β−ケトエステル、多価アルコール、アルカノールアミン及びオキシカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。キレート化剤を用いることにより、加水分解等に対する安定性が向上する。
β−ジケトン化合物としては、2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、ジベンゾイルメタン、テノイルトリフルオロアセトン、1,3−シクロヘキサンジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン等が挙げられ、β−ケトエステルとしては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブチル、メチルピバロイルアセテート、メチルイソブチロイルアセテート、カプロイル酢酸メチル、ラウロイル酢酸メチル等が挙げられ、多価アルコールとしては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,3−ペンタンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコール等が挙げられ、アルカノールアミンとしては、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ノルマルブチルエタノールアミン、N−ノルマルブチルジエタノールアミン、N−ターシャリーブチルエタノールアミン、N−ターシャリーブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等が挙げられ、オキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
上記テトラアルコキシチタン、又はテトラアルコキシチタンにキレート化剤を配位させたチタンキレート化合物を、加水分解等により縮合させることでチタンオリゴマーが得られる。テトラアルコキシチタン又はチタンキレート化合物の加水分解は、アルコール溶液中で水を反応させることにより行うことが好ましい。
加水分解により縮合してオリゴマー化するために用いる水の量は、テトラアルコキシチタン及び/又はチタンキレート化合物1モルに対し、すなわちチタン原子1モルに対して、水が0.5〜2モルであることが好ましく、1.0〜1.5モルであることが特に好ましい。
加水分解に用いるアルコールとしては、特に限定されるものではないが、上記式(1)中のアルキル基R〜Rに水酸基が結合した構造のアルコールが好ましく用いられる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
これらのアルコールの使用量は特に限定されないが、縮合してオリゴマー化するために用いる水が0.5〜20質量%の濃度になるようにアルコールで希釈することが好ましく、特に1.0〜10質量%の濃度になるように希釈することが好ましい。
加水分解等により得られたチタンオリゴマーの分子量、重合度等は、特に限定されるものではないが、重合度は2〜100、特に2〜20であることが好ましい。
以上のようなチタンオリゴマーを含む酸化チタン層20は、例えば、チタンオリゴマーの溶液を調製し、その溶液を導電性基材10上に塗布することによって形成することができる。チタンオリゴマー溶液を調製する際の溶媒としては、特に限定されるものではないが、揮発性が高く、導電性基材10に対して濡れ性の高い溶媒が好ましい。例えば、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒等が挙げられ、より具体的には、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、ターシャリーブタノール等が挙げられる。これらの溶媒は、いずれかを単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
チタンオリゴマー溶液におけるチタンオリゴマーの濃度は、特に限定されるものではないが、溶液中、チタンオリゴマーが1〜40質量%、特に2〜20質量%であることが好ましい。
導電性基材10上に塗布する方法としては、公知の塗布方法であれば特に限定はされないが、具体的には、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷等を挙げることができる。このような塗布法を用い、一回または複数回、塗布及び乾燥を繰り返すことにより酸化チタン層20を所望の厚みになるよう調整して形成する。乾燥工程は、酸化チタン層の厚み等によって異なり特に限定されるものではないが、例えば、80〜500℃で1分〜1時間行うことができる。
酸化チタン層20の厚さは、大き過ぎると電解質層から導電性基材に電子が移動できず、また小さ過ぎると本発明の効果が得られないため、これらのバランスを考慮して適宜設定される。具体的には、酸化チタン層20の厚さは10〜500nm、好ましくは50〜200nmである。
(3)多孔質半導体層
次に、多孔質半導体層30について説明する。多孔質半導体層は、金属酸化物の微粒子から構成され、これに増感色素が担持され、光照射により増感色素から生じた電荷を伝導する機能を有している。
金属酸化物微粒子は、その細孔に増感色素が担持されることから、連通孔を有する多孔質であることが好ましい。このような多孔質とすることにより、多孔質半導体層の表面積が大きくなり、十分な量の増感色素を担持させることができる。また、後述する電解質層との接触面積も大きくなり、エネルギー変換効率を向上させることができる。
多孔質半導体層の膜厚としては、1μm〜100μmの範囲内、その中でも、5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、多孔質半導体層の膜抵抗を小さくすることができ、また、多孔質半導体層による光吸収が十分に行われるからである。
多孔質半導体層を形成する金属酸化物微粒子は、増感色素から発生した電荷を導電性基材10の導電層へ伝導させることができるものであれば特に限定はされない。具体的には、TiO、ZnO、SnO、ITO、ZrO、SiO、MgO、Al,CeO、Bi、Mn、Y、WO、Ta、Nb、La等を挙げることができる。これらの金属酸化物微粒子は、いずれか一種を使用しても良く、また、2種以上を混合して使用してもよい。中でも、TiOを好ましく用いることができる。さらに、これらの内の一種をコア粒子とし、他の金属酸化物微粒子により、コア粒子を被覆してシェルを形成するコアシェル構造としてもよい。
多孔質半導体層中の金属酸化物微粒子の含有量としては、40重量%〜99.9重量%の範囲内、中でも、85重量%〜99.5重量%の範囲内であることが好ましい。
また、金属酸化物微粒子の粒径としては、1nm〜10μmの範囲内、特に、10nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも粒子径が小さい場合には、そのような粒子の製造が困難となり、各々の粒子が凝集し、二次粒子を形成する可能性があるため好ましくない。一方、上記範囲よりも粒子径が大きい場合には、単位面積当たりの金属酸化物微粒子の表面積が少なくなり、増感色素の吸着量が減ってしまうため好ましくない。
粒径の異なる同種または異種の金属酸化物微粒子を混合して用いてもよい。これにより、光散乱効果を高めることができ、多孔質半導体層内により多くの光を閉じ込めることができるため、増感色素における光吸収を効率的に行うことができる。例えば、10nm〜50nmの金属酸化物微粒子と、50nm〜200nmの金属酸化物微粒子とを混合して用いる場合を挙げることができる。
金属酸化物微粒子に担持させる増感色素は、光を吸収し起電力を生じさせることが可能なものであれば特に限定はされない。具体的には、有機色素または金属錯体色素を使用することができる。例えば有機色素としては、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系、インドリン系、スクアリウム系の色素が挙げられる。特に、クマリン系が好適に用いられる。
また、金属錯体色素としては、ルテニウム系色素、特にルテニウムビピリジン色素及びルテニウムターピリジン色素が好ましく用いられる。このような増感色素を金属酸化物微粒子の細孔に担持させることにより、可視光の範囲まで効率的に取り込んで光電変換を生じさせることができる。
多孔質半導体層を形成する方法としては、特に限定はされないが、塗布法により形成することが好ましい。すなわち、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、プラネタリーミキサー等の公知の分散機を用いて、金属酸化物微粒子を溶媒に分散させた塗工液を調製し、この塗工液を酸化チタン層20の上に塗布し、乾燥させ、必要に応じてさらに焼成する。その後、金属酸化物微粒子に増感色素を吸着させることにより、増感色素が担持された多孔質半導体層30を形成することができる。
金属酸化物微粒子の塗工液に使用する溶媒としては、特に限定はされない。具体的には、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、その他、N−メチル−2−ピロリドン、及び純水等を挙げることができる。
その他、必要に応じて、多孔質半導体層の形成に使用する塗工液の塗工適性を向上させるために、各種添加剤を用いてもよい。添加剤としては、界面活性剤、粘度調整剤、分散助剤、pH調節剤等を用いることができる。pH調整剤としては、例えば、硝酸、塩酸、酢酸、アンモニア等を挙げることができる。
金属酸化物微粒子を含む塗工液を塗布する方法としては、公知の塗布方法であれば特に限定はされないが、具体的には、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷等を挙げることができる。このような塗布法を用い、一回または複数回、塗布及び乾燥を繰り返すことにより多孔質半導体層を所望の膜厚になるよう調整して形成する。
塗布、乾燥させた後、必要に応じて焼成を行う。これにより、多孔質半導体層の均質化、高密度化を図ることができ、金属酸化物微粒子間の結着性が高まるため、電荷の伝導性を向上させることができる。また、酸化チタン層を介した導電性基材と多孔質半導体層との密着性もより向上させることができる。焼成する温度、時間は、多孔質半導体層の膜厚等によって異なり限定されるものではないが、一般的には300℃〜700℃で5分〜120分程度である。また、導電性基材が可撓性フィルムから構成される場合は、フィルムの耐熱温度以下で乾燥・焼成を行うことが好ましい。
増感色素を担持させる方法としては、例えば、増感色素の溶液に乾燥・焼成した金属酸化物微粒子を浸漬させ、その後、乾燥させる方法や、増感色素の溶液を金属酸化物微粒子上に塗布し、浸透させた後、乾燥させる方法等を挙げることができる。増感色素の溶液に使用する溶媒は、用いる色素増感剤の種類に応じて、水系溶媒、有機系溶媒から適宜選択する。
(4)対向電極
次に、対向電極50について説明する。対向電極50としては、チタンやアルミニウム等の各種の金属箔や金属板等の一般的な導電性の材料を用いることができ、あるいは、ガラスやプラスチック等の基板の表面上に導電層を形成することによっても得ることができる。基板は、透明であっても不透明であっても良いが、対向電極50側を光の受光面とする場合には、光の透過性に優れた透明基板であることが好ましい。さらに、耐熱性、耐候性、及び水蒸気等に対するガスバリア性に優れたものであることが好ましい。具体的には、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英ガラス等の可撓性のない透明なリジット材、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチックフィルムを挙げることができる。本発明においては、これらの中でも、プラスチックフィルムを基板としてこれに導電層を形成した可撓性フィルムからなる対向電極を使用することが好ましい。これにより様々な用途に太陽電池を用いることができ、また太陽電池の軽量化、製造コストの削減を果たすことができる。なお、プラスチックフィルムは単独で基板として使用しても良く、2種以上の異なるプラスチックフィルムを積層した状態で使用しても良い。
対向電極の基板の厚さとしては、15μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。
基板上に形成する導電層の材料としては、導電性に優れたものであれば特に限定はされないが、対向電極50側を光の受光面とする場合には、導電層は光の透過性に優れているものであることが好ましい。例えば、光の透過性に優れた材料として、SnO、ITO、IZO、ZnO等を挙げることができる。中でも、フッ素ドープしたSnO、ITOは、導電性及び透過性の両方に優れているため特に好ましく用いられる。
また、対向電極の導電層は、その仕事関数を考慮して太陽電池として機能するように材料を選択することが好ましい。例えば、仕事関数が高い材料としては、Au、Ag、Co、Ni、Pt、C、ITO、SnO、フッ素をドープしたSnO、ZnO等を挙げることができる。一方、仕事関数が低い材料としては、Li、In、Al、Ca、Mg、Sm、Tb、Yb、Zr等を挙げることができる。
なお、対向電極の導電層は、単層から構成されていても良く、また、異なる仕事関数の材料が積層されて構成されていても良い。
対向電極の導電層の膜厚としては、0.1nm〜500nmの範囲内、好ましくは1nm〜300nmの範囲内である。
このような導電層を形成する方法としては、特に限定はされないが、蒸着法、スパッタ法、CVD法等を挙げることができる。中でも、スパッタ法が好ましく用いられる。
また、対向電極の導電層上にさらに触媒層を形成することにより、色素増感型太陽電池の発電効率をより向上させることができる。上記触媒層の例としては、Ptを蒸着した層や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機物からなる触媒層を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
(5)電解質層
次に、電解質層40について説明する。電解質層40は、導電性基材10及び対向電極50の間に配置され、酸化還元対を含む電解液と、溶媒とを少なくとも含む塗工液から、溶媒を除去することによって作製される。
酸化還元対としては、一般的に電解質層において用いられているものから適宜選択することができる。具体的には、ヨウ素の酸化還元対、もしくは臭素の酸化還元対が好ましく用いられる。ヨウ素の酸化還元対としては、ヨウ素とヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム、TPAI(テトラプロピルアンモニウムヨージド)等のヨウ化物との組み合わせを挙げることができる。また、臭素の酸化還元対としては、臭素と臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム等の臭化物との組み合わせを挙げることができる。
電解質層40中の酸化還元対の濃度は、酸化還元対の種類によっても異なり特に限定されるものではないが、一般に、ヨウ素あるいは臭素の酸化還元対を用いる場合、ヨウ素もしくは臭素が電解質層中0.001〜0.5mol/l、ヨウ化物もしくは臭化物が0.1〜5mol/lとすることが好ましい。
電解質層40には、イオンの伝導性を改善して光電変換効率を向上させることを目的として、イオン液体(常温溶融塩)を含有させてもよい。イオン液体は蒸気圧が極めて低く、室温では実質的に殆ど蒸発せず、一般的な有機溶媒のように揮発や引火の心配がないことから、揮発によるセル特性の低下を防止することができる。
上記イオン液体としては、例えば、カチオンが、1−メチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクタデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−オクチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−オクタデシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム等のイミダゾリウム系、1−メチルピリジウム、1−ブチルピリジウム、1−ヘキシルピリジウム等のピリジウム系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、テトラブチルホスホニウム等のホスホニウム系、トリエチルスルホニウム等のスルホニウム系であるもの、アニオンが、ヨウ素イオン、臭素イオン、塩素イオン、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロボレート、トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロアセテート等のフッ素系、シアネート系、チオシアネート系であるもの等を挙げることができる。これらの物質は、いずれか一種を単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
特に、ヨウ素をアニオンとするヨウ化物系イオン液体を用いることが好ましい。具体的には、例えば、1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−n−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド等を挙げることができる。これらのヨウ化物系イオン液体は、ヨウ素イオンの供給源であり上述の酸化還元対としても機能させることができる。
電解質層中のイオン液体の濃度は、イオン液体の種類等によって異なる。ヨウ化物系イオン液体のように、酸化還元対としても機能させるイオン液体については、酸化還元対として含有させることとし、上記の酸化還元対について述べた濃度とすることが好ましく、すなわち電解質層中に0.1〜5mol/l含有させることが好ましい。その場合、そのヨウ化物系イオン液体以外のヨウ化物は含んでも含んでいなくてもよく、結果として酸化還元対として機能するヨウ化物の合計濃度が0.1〜5mol/lであればよい。
その他、電解質層40には、耐久性の向上、開放電圧値の向上等を目的として、種々の添加剤を含有させることができる。添加剤の具体例としては、グアニジウムチオシアネート、ターシャリーブチルピリジン、N−メチルベンゾイミダゾール等を挙げることができる。これら添加剤の電解質層中の濃度は、各種添加剤を合計して電解質層中1mol/l以下とすることが好ましい。
電解質層40の膜厚は、酸化チタン層20及び多孔質半導体層30の膜厚も含めて2μm〜150μmの範囲内、その中でも、3μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。膜厚が小さ過ぎると多孔質半導体層と対向電極とが接触して短絡の原因となる可能性があり、逆に膜厚が大き過ぎると内部抵抗が大きくなり性能低下につながるため好ましくない。
電解質層40の形成方法としては、電解質層の形成に用いる塗工液を、多孔質半導体層30上に塗布し、乾燥させることにより形成する方法(以下、塗布法という)、あるいは酸化チタン層20及び多孔質半導体層30を形成した導電性基材10と、対向電極50とを所定の間隙を有するように配置させ、その間隙に塗工液を注入することによって電解質層を形成する方法(以下、注入法という)等を挙げることができる。形成された電解質層40は、一部が多孔質半導体層30ないしは酸化チタン層20へと浸透し、これらの層と一体化した状態となる。
塗工液の溶媒は適宜選択することができ、具体的にはエタノール等のアルコール系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、純水等を挙げることができる。特に、塗工液の安定性、電解質の成膜性の観点から、酸化還元対、及びイオン液体が溶解性を示すような溶媒を用いることが好ましく、例えば、エタノール等のアルコール系溶媒が好ましく用いられる。
塗布法において、塗工液を多孔質半導体層30上に塗布する手段としては、公知の手段を用いることができ、具体的には、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷等を挙げることができる。塗工した後、適宜乾燥させて溶媒を除去することにより電解質層を形成することができる。
このようにして形成した電解質層40に対し、対向電極50の触媒層側を貼り合わせることにより、本発明の色素増感型太陽電池を得ることができる。
電解質層40を注入法により形成する場合は、まず酸化チタン層20及び多孔質半導体層30を形成した導電性基材10と対向電極50とが所定の間隙を有して対向するように配置する。この際の間隙としては、導電性基材10及び対向電極50の間の距離が2μm〜150μmになるように設定することが好ましい。対向電極50を所定の間隙を有して配置するために、導電性基材10側または対向電極50側のいずれか一方にスペーサを設置することができる。このようなスペーサとしては、公知のガラススペーサ、樹脂スペーサが挙げられる。
次に、電解質層の形成に用いる塗工液を、毛細管現象を利用する等して間隙に注入し、必要に応じて硬化させ、電解質層40を形成することができる。これにより、色素増感型太陽電池を得ることができる。
さらに、上述のようにして得られた色素増感型太陽電池1の複数を、直列または並列に接続することにより色素増感型太陽電池モジュールを得ることができる。具体的には、例えば、複数個の色素増感型太陽電池を平面状または曲面状に配列させ、各電池の間には非導電性の隔壁を設けて仕切りをし、それぞれの電池を導電性の部材を用いて電気的に接続するとともに、端部から正極または負極の電極リードを引き出してモジュール化することができる。モジュールを構成する色素増感型太陽電池の個数は任意であり、所望の電圧が得られるように自由に設計することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、これに限定されるものではない。
(実施例1)
<チタンオリゴマー溶液の調製>
テトライソプロピルチタニウム28.4gをイソプロパノール50.0gに溶解させた後、水2.7gとイソプロパノール50.0gの混合液を滴下した。滴下終了後、1時間攪拌し、テトライソプロポキシチタニウムオリゴマーを得た。得られたテトライソプロポキシチタニウムオリゴマー溶液を20質量部、酢酸エチル70質量部、及びn−ブタノール10質量部を加えてチタンオリゴマー溶液Aを得た。
<酸化チタン層の形成>
導電性基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム基板上にITO膜が形成された透明導電フィルムを用意し、このITO電極の上に、上記のチタンオリゴマー溶液Aをワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で2分乾燥することにより、酸化チタン層を形成した。
<多孔質半導体層形成用塗工液の調製>
多孔質酸化チタン粒子(日本エアロジル社製、商品名:P25)5gを、エタノール16.7gに投入し、さらにアセチルアセトン0.25g、ジルコニアビーズ(φ1.2mm)20gを添加した混合液をペイントシェーカーにより攪拌し、多孔質半導体層形成用の塗工液を調製した。
<多孔質半導体層の形成>
酸化チタン層を形成したITO基板に、上記の多孔質半導体層形成用塗工液をドクターブレード法により塗布し、その後120℃で10分間乾燥させることで、多数の多孔質酸化チタン粒子を含む膜厚10μmの層を形成した。
<増感色素の吸着>
増感色素としてルテニウム錯体(Dyesol社製、商品名:N719)を、濃度が3×10−4mol/lとなるようにアセトニトリル及びtert−ブチルアルコールの体積比1:1溶媒に溶解させ、色素担持用の塗工液を調製した。この色素担持用塗工液に対し、上記のような酸化チタン層の上に形成した多孔質酸化チタン粒子の層を室温で20時間浸漬させた。次いで、色素担持用塗工液から引き上げ、多孔質酸化チタン粒子に付着した色素担持用塗工液をアセトニトリルで洗浄後、風乾した。これにより、多孔質酸化チタン粒子の細孔表面に増感色素を担持させて多孔質半導体層を形成した。その後、多孔質半導体層を4mm×4mmとなるようにトリミングし、10mm×10mmの基板サイズを有する、酸化チタン層及び多孔質半導体層付き導電性基材(以下、光電極基板Aという)を得た。
<対向電極の作製>
上述の透明導電フィルム上に、白金膜(膜厚300nm)をスパッタリング法によって形成し、10mm×10mmの対向電極を作製した。
<電解質層形成用塗工液の調製>
エチルメチルイミダゾリウムビストリフルオロスルホニルアミド(EMIm−FSI)3.64gに、プロピルメチルイミダゾリウムアイオダイド(PMIm−I)10.0g及びヨウ素0.24gを加え、攪拌して溶解させた。これにより、電解質層形成用の塗工液を調製した。
<電解質層の形成>
光電極基板A上に、枠状に設けた厚さ30μmの樹脂スペーサを介して対向電極を貼り合わせ、対向電極に開けた注入孔から上記の電解質層形成用塗工液を注入した。その後、注入孔を樹脂によって封止して、目的の色素増感型太陽電池を得た。
<電池性能の評価>
作製した色素増感型太陽電池について、擬似太陽光(AM1.5、入射光強度100mW/cm)を光源として、酸化チタン層及び多孔質半導体層を有する導電性基材側から入射させ、ソースメジャーユニット(ケースレー2400型)を用いて電圧印加による電流電圧特性を測定した。なお、測定に用いた多孔質半導体層の面積は、0.16cm(0.4cm×0.4cm)である。
(実施例2)
チタンオリゴマー溶液の調製に際し、テトライソプロポキシチタニウムオリゴマー溶液を4質量部、酢酸エチル70質量部、及びn−ブタノール26質量部を加えてチタンオリゴマー溶液を作製した以外は、上記実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、その電池性能を評価した。
(実施例3)
チタンオリゴマー溶液の調製に際し、テトライソプロポキシチタニウムオリゴマー溶液を2質量部、酢酸エチル70質量部、及びn−ブタノール28質量部を加えてチタンオリゴマー溶液を作製した以外は、上記実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、その電池性能を評価した。
(実施例4)
チタンオリゴマー溶液の調製に際し、テトライソプロポキシチタニウムオリゴマー溶液を1質量部、酢酸エチル70質量部、及びn−ブタノール29質量部を加えてチタンオリゴマー溶液を作製した以外は、上記実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、その電池性能を評価した。
(比較例1)
酸化チタン層を形成しない以外は、上記実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、その電池性能を評価した。
(比較例2)
酸化チタン層を形成するに際し、チタンオリゴマー溶液ではなく、2gのテトライソプロピルチタニウムを998gのイソプロパノールで希釈した溶液を用いた以外は、上記実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、その電池性能を評価した。
(比較例3)
酸化チタン層を形成するに際し、チタンオリゴマー溶液ではなく、ペルオキソチタン酸水溶液(鯤コーポレーション社製、商品名:PTA−85、固形分濃度0.85%)を4倍に希釈した溶液を用いた以外は、上記実施例1と同様にして色素増感型太陽電池を作製し、その電池性能を評価した。
<試験結果>
以下の表1に性能評価の結果を示す。なお、曲線因子(FF:fill factor)とは、太陽電池の最大出力を、短絡電流(ISC)×開放電圧(VOC)で割って得られる値をいい、短絡電流密度Jsc(A/cm)×VOC(V)×FF(%)の値を入射光強度で割ることによって、太陽電池の変換効率(%)を求めることができる。
Figure 0005682127
表1より、チタンオリゴマー由来の酸化チタン層を有する実施例1の色素増感型太陽電池は、酸化チタン層がない比較例1の色素増感型太陽電池に比べて短絡電流密度、開放電圧、曲線因子、及び変換効率が優れていた。また、酸化チタン層がチタンオリゴマー由来ではない比較例2及び3の色素増感型太陽電池と比べても、短絡電流密度、開放電圧、曲線因子、及び変換効率はいずれも高い値を示した。このことから、本発明によって逆電子移動が抑制され、変換効率等の電池性能が向上したことが示唆される。
1 色素増感型太陽電池
10 導電性基材
20 酸化チタン層
30 多孔質半導体層
40 電解質層
50 対向電極

Claims (4)

  1. 導電性基材と、
    導電性基材上に配置された厚さ10nm〜500nmであるチタンオリゴマー由来の酸化チタン層と、
    酸化チタン層上に配置され、増感色素を担持させた金属酸化物微粒子からなる多孔質半導体層と、
    多孔質半導体層に対向して配置された対向電極と、
    導電性基材及び対向電極の間に配置された、酸化還元対を含む電解質層と、
    から構成される色素増感型太陽電池。
  2. チタンオリゴマーが、テトラアルコキシチタンの加水分解により生成する有機チタンオリゴマーである請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 請求項1又は2に記載の色素増感型太陽電池の複数を、直列又は並列に接続してなる色素増感型太陽電池モジュール。
  4. チタンオリゴマーの溶液を調製する工程と、
    導電性基材上に、前記チタンオリゴマーの溶液を塗布して厚さ10nm〜500nmである酸化チタン層を形成する工程と、
    前記酸化チタン層上に、増感色素を担持させた金属酸化物微粒子からなる多孔質半導体層を形成する工程と、
    酸化チタン層及び多孔質半導体層を形成した導電性基材と前記導電性基材に対向して配置された対向電極との間に、酸化還元対を含む電解質層を形成する工程と、
    を含む色素増感型太陽電池の製造方法。
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