JP5681205B2 - 高いマグネシウム表面濃度のナノカルサイト複合材料 - Google Patents

高いマグネシウム表面濃度のナノカルサイト複合材料 Download PDF

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Description

本開示は、硬化性樹脂中に分散される、高いマグネシウム表面濃度を有する表面修飾ナノカルサイト粒子を含む組成物に関する。組成物を組み込んだコーティング及び繊維複合材料、並びにかかる組成物を使用したナノカルサイト複合材料の調製方法もまた開示される。
ナノ粒子含有樹脂は、コーティングとして、及び繊維複合材料の含浸樹脂として使用されている。概して、ナノ粒子の添加は、純樹脂と比較して、改善された強度重量比(strength-to-weight ratios)を提供する。これらの材料は、乗り物(例えば、船舶用ゲルコート)及び風力タービンブレードのためのコーティング、並びに例えば、スポーツ用品、風力タービンブレード、及び車両製造における複合構造体を含む、多種多様な用途で使用されている。
簡潔に述べると、一態様において、本開示は、硬化性樹脂に分散された表面修飾ナノ粒子を含む組成物を提供する。表面修飾ナノ粒子は、TOF−SIMS試験手順に従って測定した場合に1を超えるマグネシウム24の同位体とカルシウム44の同位体の表面濃度比を有するカルサイトコアと、ナノ粒子にイオン結合する結合基と硬化性樹脂への相溶性がある相溶化セグメントとを含む第1の表面修飾剤と、を含む。いくつかの実施形態において、TOF−SIMS試験手順に従って測定した場合、マグネシウム24の同位体とカルシウム44の同位体の表面濃度比は4を超える、又は更に10を超える。
いくつかの実施形態では、溶解度パラメータ手順に従って決定される場合、硬化性樹脂の溶解度パラメータと相溶化基の溶解度パラメータとの差は、4J1/2cm−3/2以下である。いくつかの実施形態において、結合基は、化学量論的表面と仮定して結合エネルギー計算手順を用いて計算した場合、カルサイトに対して少なくとも1.0電子ボルトの結合エネルギーを有する。いくつかの実施形態において、カルサイトコアの少なくとも90%は、カルサイト粒径手順により測定される場合、400nm未満の平均粒径を有する。いくつかの実施形態において、カルサイトコアの少なくとも70%は、1.5を超えるアスペクト比を有する。
いくつかの実施形態において、表面修飾ナノ粒子は、カルサイトコアを囲む配位子に富んだシェルを更に含む。いくつかの実施形態において、第1の表面修飾剤は、硬化性樹脂と反応することが可能な反応基を更に含む。いくつかの実施形態において、組成物は、カルサイトに結合される第2の表面修飾剤を更に含み、第2の表面修飾剤は、結合基と、硬化性樹脂と反応することが可能な反応基と、を更に含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、ナノ粒子及び硬化性樹脂の総重量に基づき、少なくとも10重量%のナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は2重量%以下の溶媒を含む。
別の態様において、本開示は、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物を含む硬化組成物を提供し、硬化性樹脂は硬化される。いくつかの実施形態において、第1の表面修飾剤は、硬化性樹脂と反応する。いくつかの実施形態において、硬化組成物は、基材の少なくとも一部分に結合される。
更に別の態様において、本開示は、本開示の組成物が含浸された強化用繊維を含む繊維複合材料を提供する。いくつかの実施形態において、組成物の硬化性樹脂は硬化される。いくつかの実施形態において、第1の表面修飾剤は、硬化性樹脂と反応する。
更なる態様において、本開示は、組成物の作製方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、(i)TOF−SIMS試験手順に従って測定した場合、4を超えるマグネシウム24の同位体とカルシウム44の同位体の表面濃度比を有するカルサイトを選択する工程と、(ii)カルサイトの90%超過が、カルサイト粒径手順によって測定した場合に400nm未満の平均粒径を有するまで、カルサイトをミル粉砕する工程と、(iii)第1の表面修飾剤の結合基をカルサイトにイオン結合する工程と、を含み、結合基が、化学量論的表面と仮定して結合エネルギー計算手順を用いて計算した場合、カルサイトに対して少なくとも1.0電子ボルトの結合エネルギーを有し、更に(iv)表面修飾カルサイトを硬化性樹脂に分散させて分散体を形成する工程と、を含み、硬化性樹脂の溶解度パラメータと、第1の表面修飾剤の相溶化基の溶解度パラメータとの差が、溶解度パラメータ手順に従って決定される場合、4J1/2cm−3/2以下である、を含む。いくつかの実施形態において、工程(i)、(ii)、及び(iii)は同時に生じる。いくつかの実施形態において、方法は、繊維に分散体を含浸する工程を更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、分散体を基材に適用する工程を更に含む。いくつかの実施形態において、方法は、硬化性樹脂を硬化する工程を更に含む。
上記の本開示の概要は、本発明のそれぞれの実施形態を説明することを目的としたものではない。本発明の1つ以上の実施形態の詳細を以下の説明文においても記載する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、その説明から、また「特許請求の範囲」から明らかとなるであろう。
NanoCa−1ナノカルサイト材料の5000倍のTEM画像。 NanoCa−2ナノカルサイト材料の5000倍のTEM画像。 NanoCa−3ナノカルサイト材料の5000倍のTEM画像。 NanoCa−4ナノカルサイト材料の5000倍のTEM画像。 NanoCa−5ナノカルサイト材料の5000倍のTEM画像。 非対称のカーボネートC−Oピークを明らかにする、様々なナノカルサイトに関する赤外スペクトルデータを示すグラフ。 樹脂中の5%の配位子を有するNanoCa−1ナノカルサイトの20,000倍のTEM画像。 樹脂中の5%の配位子を有するNanoCa−2ナノカルサイトの20,000倍のTEM画像。 樹脂中の7.5%の配位子を有するNanoCa−2ナノカルサイトの20,000倍のTEM画像。 樹脂中の20%の配位子を有するNanoCa−2ナノカルサイトの20,000倍のTEM画像。 樹脂中の7.5%の配位子を有するNanoCa−3ナノカルサイトの20,000倍のTEM画像。
概して、本開示の組成物は、硬化性樹脂中に分散される表面修飾ナノ粒子を含む。本開示の表面修飾ナノ粒子は、カルサイトコアと、カルサイトに結合される表面修飾剤と、を含む。カルサイトは、炭酸カルシウムの結晶形態(即ち、カルサイト及びその多形、アラゴナイト、並びにバテライト)である。炭酸カルシウムは、典型的には、良好なファセットを呈する、柱状又は板状の菱面体結晶を形成する。しかしながら、一部の例では、炭酸カルシウムは、高い異方性を有する不整形な結晶を形成し得る。
炭酸カルシウムは樹脂系における充填剤として使用されてきた。しかしながら、多くの市販の充填剤は、例えば、1〜10マイクロメートルの大きい平均粒径を有する。ナノメートルサイズの一次粒径に基づく市販の炭酸カルシウム材料でさえ、典型的には、一次粒径よりも有意に大きい有効粒径をもたらす、そのような一次粒子の凝集体を含有する。一般的な表面処理でさえ、そのような凝集した粒子は、より高い粒子負荷において高粘性の樹脂系をもたらし得る。
広くは、「凝集した」及び「凝集体」とは、例えば、化学的残材処理、化学的共有結合、又は化学的イオン結合でしばしば結合される一次粒子の強い会合を説明している。凝集体の、より小さな存在物への更なる分解は、達成するのが非常に困難である。典型的には、凝集粒子は、例えば、液体中の凝集粒子の分散中に遭遇した剪断力で、より小さな存在物に分解されない。対照的に、「集塊した」及び「集塊体」とは、電荷又は極性により通常結び付けられる一次粒子の弱い結合を説明している。集塊した粒子は、典型的には、例えば、液体中の集塊した粒子の分散中に遭遇した剪断力で、より小さな存在物に分解され得る。
いくつかの実施形態では、例えば、繊維複合材料を生産するためにナノカルサイト含有樹脂を使用するときに、繊維によってナノカルサイトの濾過を制御する、例えば、最小限に抑える、又は更には排除することが望ましい場合がある。より大きい粒子又は粒子凝集体は、連続繊維複合材料の作製プロセスにおいて、混合物が高度圧縮繊維配列を通して加圧される一方で、樹脂から濾過又は分離されてもよい。これは、最終複合材料全体にわたる粒子及び樹脂の非均一分布もたらし、物理的特性の減少をもたらし得る。本開示のいくつかの実施形態において、カルサイトコアの少なくとも70%、例えば、少なくとも75%は、400nm未満の平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、カルサイトコアの少なくとも90%、いくつかの実施形態では、少なくとも95%、又は更には少なくとも98%が、400nm未満の平均粒径を有する。
いくつかの実施形態において、個々のカルサイトコアは等方性(例えば、立方体)である。いくつかの実施形態において、個々のカルサイトコアは異方性(例えば、針状)である。通常、出来上がったままの状態又は入荷したままの状態では、ナノカルサイト試料は、等方性カルサイトコア及び異方性カルサイトコアの両方を含んでいることになる。いくつかの実施形態において、カルサイトは等方性である。即ち、カルサイト粒子の30%未満は、1.5を超えるアスペクト比(即ち、大きい方の長さと小さい方の長さの比)を有する。いくつかの実施形態において、カルサイトは異方性である。即ち、カルサイト粒子の少なくとも70%は、1.5を超える、例えば、少なくとも2、少なくとも4、又は更に少なくとも8の平均アスペクト比を有する。
カルサイトは、種々の量のマグネシウムを不純物として含有し得る。例えば、マグネシウムが結晶構造に組み込まれるドロマイト(即ち、CaMg(CO)と違って、マグネシウムは、カルサイトナノ粒子の表面に又は表面近くに濃縮され得る。驚くべきことに、表面におけるマグネシウムの量が増加すると、ナノカルサイト複合材料の機械的特性が有意に改善される結果となり得ることを、本発明者らは発見した。
粒子表面のマグネシウムレベルは、機器が各元素に対して有する感度が異なることに起因して、元素の量は相対的なものであり、絶対的ではないという了解のもとで、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)によって測定され得る。いくつかの実施形態において、ナノカルサイトは、1を超える(例えば、4超過、6超過、10超過、又は更に15超過)マグネシウム−24とカルシウム−44のピーク面積の積分比(24Mg:44Ca)を有し得る。
カルサイトナノ粒子を樹脂系の中に良好に分散させるために、粒子は表面修飾剤で処理される。概して、本開示の表面修飾剤は、少なくとも結合基と相溶化セグメントとを含む。
Comp.Seg.−結合基;
ここで、「Comp.Seg.」は、表面修飾剤の相溶化セグメントを指す。
相溶化セグメントは、カルサイトナノ粒子の硬化性樹脂との相溶性を改善するように選択される。概して、相溶化基の選択は、硬化性樹脂の性質、ナノ粒子の濃度、及び所望の相溶性の度合いを含む、多くの要因によって決まる。特定の硬化性樹脂に応じて、有用な相溶化剤は、ポリアルキレンオキシド類、例えば、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、及びこれらの組み合わせを含む。その他の有用な相溶化セグメントは、ポリエステル及びポリエーテルアミンを含む。
いくつかの実施形態では、相溶化セグメントは、表面修飾ナノ粒子及び硬化性樹脂を含有する組成物に対して、正の混合エンタルピーを提供するように選択されてもよい。混合エンタルピーが正である場合、樹脂中のナノ粒子の分散は、典型的には、安定している。正の混合エンタルピーを確実にするために、相溶化セグメントの溶解度パラメータは、硬化性樹脂の溶解度パラメータに適合されてもよい。いくつかの実施形態において、材料は、「Properties of Polymers;Their Correlation with Chemical Structure;Their Numerical Estimation and Prediction from Additive Group Contributions,third edition,edited by D.W.Van Krevelen,Elsevier Science Publishers B.V.,Chapter 7,189〜225(1990)」、即ち「溶解度パラメータ手順」に従って求めた場合に、これらの溶解度パラメータの差が4J1/2cm−3/2以下、及びいくつかの実施形態では、2J1/2cm−3/2以下であるように選択され得る。
相溶化セグメント又は樹脂などの材料の溶解度パラメータを求めるいくつかの方法が知られている。例えば、材料の溶解度パラメータは、異なる溶解度パラメータの溶媒の範囲内で材料の平衡膨潤度の測定から求めることができる。溶媒自体の溶解度パラメータは、それらの蒸発熱から求めることができる。溶解度パラメータデルタ(δ)は、関係、δ=(Ecoh/V)1/2により凝集エネルギーEcoh及び比容積Vに関係する。低分子量の溶媒の場合、凝集エネルギーは、Ecoh=ΔHvap−pΔV=ΔHvap−RTにより蒸発のモル熱ΔHvapと密接に関係する。したがって、Ecoh及びδは、溶媒の蒸発熱又は温度の関数としての蒸気圧から計算することができる。材料の溶解度パラメータを求めるため、材料の平衡膨潤対溶媒の溶解度パラメータのプロットを作成する。材料の溶解度パラメータは、最大膨潤が得られるこのプロット上の点として画定される。膨潤は、材料のそれ未満である又はそれを超える溶解度パラメータを有する溶媒に対してより小さくなる。あるいは、官能基の付加寄与に基づき、材料の溶解度パラメータを理論的に見積もるいくつかの既知の方法がある。
結合基がカルサイトに結合し、表面修飾剤をカルサイトコアに結び付ける。表面修飾剤がシリカに共有結合される多くのシリカ系ナノ粒子系とは異なり、本開示の表面修飾剤は、カルサイトにイオン結合される(例えば、会合する)。
組成物の処理中に表面修飾剤をカルサイトコアと共に保持するために、カルサイトに対して高結合エネルギーを有する結合基を選択することが所望され得る。結合エネルギーは、密度汎関数理論計算を用いて予測することができる。
結合エネルギー
概して、表面修飾剤は、樹脂中にナノ粒子を分散させることを補助する相溶化基と、相溶化基をナノ粒子と会合させるための結合基とを含む。密度汎関数理論計算を用いて、種々の一般的及び潜在的結合基のカルサイトに対する結合エネルギーを決定することができる。そのような計算に関する詳細は、Pendrew,J.P.;Burke,K.J.;Ernzerhof,M.;Phys.Rev.Lett.1996,3865,77から得られる。
結合エネルギー計算手順周期的境界条件密度汎関数理論(PBC−DFT)によるナノカルサイトの表面への異なる官能基の結合エネルギーを計算した。この方法において、ナノ粒子の表面は、二次元周期的スラブで表された。計算は、実際には三次元で周期的であったが、スラブがz方向において相互作用することを防止するために、真空の20オングストローム層が含まれた。したがって、スラブは、二次元周期性を有した。スラブは、3〜4層を含み、ミラー平面に沿って切断された。ナノカルサイトの場合、表面を{1014}表面に沿って切断した。
2つの潜在的表面(化学量論的表面及びカルシウムに富んだ表面)をモデル化した。カルシウムに富んだ表面の場合、表面上の配位不十分なカルシウムイオンをヒドロキシル基で終端した。11又は12オングストロームの縁の長さを有する周期箱において、孤立分子を計算した。距離は、分子が相互作用することを防止するのに十分なだけ大きかった。
これらの計算のために、VASP(Vienna ab−initioシミュレーションパッケージ)コンピュータプログラム((a)Kresse,G.;Hafner,J.Phys.Rev.B 1993,588,47、(b)Kresse,G.;Hafner,J.Phys.Rev.B 1994,251,49、(c)Kresse,G.;Furthmueller,J.Comput.Mater.Sci.1996,15,6、及び(d)Kresse,G.;Furthmueller,J.Phys.Rev.B 1996,11 169,54)に実装されるようなPBE密度汎関数(Perdew,J.P.,Burke,K.,Ernzerhof,M.,Phys.Rev.Lett.1996,3865,77)を使用した。使用した擬ポテンシャルは、平面波増強波型のものであり、VASPコンピュータプログラムで分布された。カルシウムの場合、3p電子を擬ポテンシャルで明白に処理した。スラブ計算のために、400eVの平面波カットオフ及び2X2X1のk点メッシュを使用した。孤立分子に対して、偽ポテンシャル及び平面波カットオフは、1X1X1のk点メッシュを使用したことを除いて、スラブ計算のために使用したものと同一であった。
結合エネルギー(BE)は、仮定される表面に応じて、2つの異なる方法で計算された。
化学量論的表面:
BE=E(スラブ)+E(分子)−E(スラブ+分子) (1)
式中、E(スラブ+分子)、E(スラブ)、及びE(分子)はそれぞれ、錯体、孤立スラブ、及び孤立分子の電子エネルギーである。全ての場合において、形状をそれらのそれぞれの最小値に最適化した。
カルシウムに富んだ表面、
BE=E(スラブ)+E(分子)+E(水)−E(スラブ+分子) (2)
式中、E(スラブ+分子)、E(スラブ)、及びE(分子)は上で定義されており、E(水)は、単離された水分子の電子エネルギーである。
電子ボルト(e.v.)で表わされた計算値を表2にまとめる。
Figure 0005681205
いくつかの実施形態において、カルサイトに富んだ表面と仮定して結合エネルギー計算手順を用いて計算した場合、計算された結合エネルギーは、少なくとも0.5、例えば、少なくとも0.7電子ボルトであり得る。通常、結合エネルギーが大きくなるほど、結合基が粒子表面とイオン的に会合した状態のままでいる可能性は大きくなる。いくつかの実施形態において、カルサイトに富んだ表面と仮定して結合エネルギー計算手順を用いて計算した場合、少なくとも0.8、例えば、少なくとも0.9、又は更に少なくとも0.95電子ボルトの結合エネルギーが有用であり得る。
いくつかの実施形態では、結合基は、ホスホン酸、例えば、以下の式を有する表面官能化剤を含む。
Figure 0005681205
いくつかの実施形態では、結合基は、スルホン酸、例えば、以下の式を有する表面官能化剤を含む。
Figure 0005681205
いくつかの実施形態では、表面修飾剤はまた、反応基、即ち、例えば、硬化プロセス中に硬化性樹脂と反応することが可能な基を含む。これは、樹脂マトリックスに強く結合されるナノカルサイト粒子をもたらすことができ、得られた硬化ナノ複合材料の物理的特性の改善をもたらし得る。概して、反応基は、硬化性樹脂の性質に基づき選択される。いくつかの実施形態では、反応基は、相溶化セグメントの末端部に位置してもよい。
Rx.基−Comp.Seg.−結合基
式中、「Rx.基」は反応基である。いくつかの実施形態において、反応基は、相溶化セグメントの主鎖に沿って、又は主鎖にぶら下がって位置してもよい。いくつかの実施形態では、反応基は、相溶化セグメントと結合基との間に位置してもよい。
Comp.Seg.−Rx.基−結合基
いくつかの実施形態では、連結基が存在し、相溶化セグメントを結合基と結びつける。
Comp.Seg.−連結基−結合基
例えば、いくつかの実施形態では、表面修飾剤は、ポリエーテルアミンを含む。代表的なポリエーテルアミンとしては、Huntsman Corporation,The Woodlands,Texasから商品名JEFFAMINE(登録商標)で入手可能なものが挙げられる。ポリエーテルが相溶化セグメントとしての役割を果たす一方で、アミンは、相溶化セグメントを結合基と連結する連結基である。
いくつかの実施形態では、表面修飾剤は、両性イオン、即ち、ゼロの正味荷電を帯びるが、異なる原子上で形式的な正及び負電荷を帯びることが可能である、化合物を含む。いくつかの実施形態では、形式的な負電荷は、結合基により担持される。いくつかの実施形態では、形式的な正電荷は、アミンの窒素原子、例えば、アミン連結基上で担持される。そのような実施形態では、アミンは、連結基及び反応基の両方としての役割を果たし得る。
通常、カルサイトナノ粒子は、任意の既知の硬化性樹脂又は樹脂の組み合わせに組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、熱硬化性樹脂及び放射線硬化性(例えば、紫外線硬化性又は電子ビーム硬化性)樹脂が使用されてもよい。
好適な樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、及びウレタンアクリレート樹脂が挙げられる。いくつかの実施形態では、脂肪族及び芳香族ポリエポキシド樹脂を含む、ポリエポキシド樹脂が使用されてもよい。代表的なエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAに基づく樹脂、例えば、Hexion Specialty Chemicals,Inc.(Houston,Texas)から商品名EPON(商標)で入手可能な樹脂が挙げられる。
通常、好適な表面修飾剤の選択は、硬化性樹脂の選択に依存することになる。表面修飾剤の選択に影響を及ぼす要因としては、溶解度パラメータ、特定の反応基、及び樹脂系(硬化性樹脂だけでなく、反応性希釈剤も含んでもよい)の硬化化学が挙げられる。
概して、本開示の組成物は、ナノ粒子及び硬化性樹脂の総重量に基づき、少なくとも10重量%、いくつかの実施形態では、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、又は更には少なくとも50重量%の表面修飾されたナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、例えば、組成物が噴霧される時(例えば、コーティングを塗布する時)、又は繊維を通して流動しなければならない時(例えば、繊維複合材料を作製する時)、低粘度組成物を有することが有用であり得る。
粘度は、溶媒、例えば、水、有機溶媒、又はそれらの組み合わせの中で組成物を希釈することにより減少させることができる。溶媒が使用される場合、溶媒又は溶媒の組み合わせは、樹脂が可溶性になるように容易に選択することができる。溶媒の含有は、いくつかの用途において有用である一方で、費用、取扱い要件、及びプロセス工程を増加させる傾向がある。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、5重量%以下、任意に2重量%以下、1重量%以下、又は更に0.5重量%以下の溶媒を含む。いくつかの実施形態において、特定の工程、例えば、ナノ粒子のミル粉砕、又は硬化性樹脂系中へのナノ粒子の分散は、溶媒の存在下で生じる。次いで、溶媒が、例えば、乾燥によって除去されて、硬化性組成物中の残留溶媒を所望のレベルまで低減することができる。
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、硬化剤、硬化促進剤、触媒、架橋剤、染料、顔料、難燃剤、衝撃改質剤、及び流動制御剤等の更なる添加剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、強化剤、例えば、ゴム強化剤を含んでもよい。代表的なゴム強化剤は、コアシェルゴムを含む。いくつかの実施形態では、ナノサイズコアシェルゴム強化剤、即ち、1マイクロメートル未満の平均粒径を有するコアシェルゴム強化剤が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ナノサイズコアシェルゴム強化剤は、500nm未満、250nm未満、又は更には100nm未満の平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、マイクロメートルサイズコアシェルゴム強化剤、即ち、1マイクロメートルを超える、例えば、1〜10マイクロメートルの平均粒径を有するコアシェルゴム強化剤が使用されてもよい。
本開示の組成物は、硬化されてもよい。いくつかの実施形態では、硬化性樹脂は、架橋される。熱エネルギー又は化学線(例えば、紫外線及び電子ビーム照射)への暴露を含む、任意の既知の架橋法が用いられてもよい。いくつかの実施形態では、硬化性樹脂はまた、表面修飾剤と反応してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、表面修飾剤の反応基が、硬化性樹脂と反応、例えば、共有結合してもよい。
本開示の組成物の種々の実施形態は、多種多様な用途で使用されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、物品の表面に塗布されてもよい。そのようなコーティングは、硬化、例えば、架橋されてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の組成物を使用して、繊維複合材料を形成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、強化用繊維を組成物で含浸して、複合品を形成してもよい。複合材料は、例えば、樹脂トランスファー成形(RTM)、フィラメントワインディング、トウ配置、樹脂注入プロセス、引き抜き成形プロセス、又は伝統的なプリプレグプロセスを含む、任意の既知の手段を使用して形成されてもよい。次いで、樹脂は、熱エネルギー及び/又は化学線への暴露を含む、任意の既知の手段を使用して硬化されてもよい。
概して、繊維複合材料での使用に好適な任意の繊維が使用されてもよい。代表的な繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、及びポリエチレン繊維が挙げられる。また、材料の組み合わせが使用されてもよい。概して、繊維の形態は、特に限定されない。代表的な繊維形態としては、個々の連続繊維の単一方向配列、織物、編物、毛糸、粗紡、網状構造物、及び不織布マットが挙げられる。
概して、本開示の組成物は、例えば、風力タービンブレード上のコーティングとして、及び例えば、乗り物、例えば、ボート上のゲルコートとして、並びに例えば、スポーツ用品(例えば、ラケット、釣竿、ホッケー用スティック、野球用バット、帆走マスト等)、風力タービンブレード、自動車、船舶、航空機、並びに人工衛星及び宇宙船を含む車両及び車両部品の製造で使用される複合材料として、多種多様な用途で使用され得る。
Figure 0005681205
NanoCa−1、−2、−3、及び−5は、乾燥凝集体として提供されて、入荷したままの状態で使用された。NanoCa−4は、水中ナノカルサイト凝集体の56重量%スラリーとして提供される。このスラリーを3日間空気乾燥させた後、更に50℃で2時間乾燥させた。ナノカルサイト凝集体の得られた大きな塊状の集塊は、次に使用する遊離した乾燥凝集体を生成するために、ブレンダーの中で粉砕された。
試料の調製
スルホン酸配位子を以下の通りに調製した。100g(0.167モル)のポリエーテルアミン(JEFFAMINE M−600、Mn=600、Huntsman International,LLC,Salt Lake City,Utahより入手)に、17.88g(0.146モル)の溶融したプロパンスルトン(TCI America(Portland,Oregon)より購入)を加えた。混合物を80℃に加熱し、16時間撹拌した。1H NMRスペクトルは、プロパンスルトンの完全な消費を示す。スルホン酸配位子(「JAS」)を赤茶色の液体として単離し、更なる精製なしで使用した。JAS配位子の構造は次の通りであった。
Figure 0005681205
表面修飾及び分散手順少量のメチルエチルケトンで希釈された液状エポキシ樹脂(EPON 828)を、所望の量の表面修飾剤(JAS配位子)と共に容器に入れた。乾燥したナノカルサイト凝集体を徐々に加えながら、この溶液をCowles剪断ミキサーで撹拌した。なめらかな分散体が得られるまで溶液を撹拌した。カルサイトの最終濃度は、総組成物の45〜50重量%であった。
次いで、ジルコニアチャンバ及びZミキサーを有する、NETZCH「LabStar」Z構成ビーズミルを通した反復循環により、この分散体を更にミル粉砕した。チャンバを、500マイクロメートルのジルコニアミル粉砕媒体で90%充填した。チャンバを循環メトキシプロパノールで冷却し、ミル粉砕中、温度を30〜80℃に維持した。5〜20回、分散体をミルに循環させた。望ましい分散状態及び集塊サイズリダクションに達するまで、粒径を定期的に評価した。いずれの場合にも、カルサイトの集塊の99%超過は、カルサイト粒径手順に従って測定した場合、400nm未満の平均粒径を有していた。ミル粉砕に続き、溶媒を加熱及び真空下で揮散させて、0.1重量%以下の溶媒を含有する組成物を得た。
硬化手順100部のエポキシ樹脂(PPH)当たり38重量部の硬化剤のレベルでエポキシ硬化剤(DETDA)を使用して、試料を硬化した。成分を、最終カルサイト濃度が35重量%になるように調節した。75℃で3時間、125℃で2時間、及び150℃で2時間のプロトコルを用いて、強制空気炉で試料を硬化した。
カルサイト粒径手順カルサイトの粒径を、付随するソフトウェアを有するHORIBA LA−950レーザー回折粒径分析器(Horiba Instruments,Inc.(Irvine,California)より入手可能)を使用してレーザー回折によって測定した。カルサイト分散体をメチルエチルケトンで約1%固形分まで希釈した。次いで、透過性が85%〜95%の推奨レベルになるまで、試料をメチルエチルケトンで充填された測定セルに添加した。
計算のための光学模型は、カルサイトに関して屈折率1.6000、及び溶媒メチルエチルケトンに関して1.379を用い、球形粒子であると仮定した。平滑化のために第2の差動法が使用され、150回の反復に基づいた。400nm未満のパーセント平均粒径の報告された値(400nm未満の%)は、体積分率平均及び静的光散乱に基づいた。
破壊靭性手順小型引張形状を使用し、ASTM D5045−99に従って、硬化した試料の破壊靭性を測定し、試料は3.18cm×3.05cm×0.64cm(1.25インチ×1.20インチ×0.25インチ)の公称寸法を有していた。次のパラメータを使用した:W=2.54cm(1.00インチ)、及びB=0.64cm(0.25インチ)。亀裂長aを各試料に関して測定し、いずれの場合にも約1.3cmであった。0.13cm/分(0.050インチ/分)の修正された負荷速度を使用した。KIcの値を、メートルの平方根をメガパスカルで掛けた単位、即ち、MPa・m1/2で報告した。2.5を超える破壊靭性を有する試料は、有効なKIc値をもたらすためのASTM D 5045−99の全ての基準を満たさなかった。特に、試料は十分に厚くなく、荷重変位曲線は十分に線形でなかった。しかしながら、KIcの報告された値は、2.5以下のKIcを有する試料と比較した場合のこれらの試料の相対破壊靭性を正確に反映している。
TEM試料調製手順硬化樹脂中の表面修飾ナノカルサイトの硬化した試料を、透過電子顕微鏡法(TEM)用に以下の通りに調製した。試料は常温の超薄切片作製法(LEICA UC−6 Ultramicrotome)によって調製された。TEM観察及び微量分析用の薄片を、ダイヤモンドナイフを使用して乾燥切断した。切片は85nmの厚さに概ね切断された。一滴のn−プロパノールを、切片を平坦に維持するのを助けるための潤滑剤として使用して、この切片をアイラッシュツールを使用して標準的な3mm TEMグリッドに移動させた。TEM検査のため、硬化した試料をまたルテニウムで染色した。(TEMグリッド上の)切断された試料を密閉容器の中でRuO水溶液の上方に5〜6分懸架することによって、調製したTEM薄片をRuO蒸気に暴露した。RuOは、本実験の組成物中のJAS配位子のスルホン酸基を優先的に染色することで知られている。こうして、暗い染色された配位子に富んだ領域と、明るいエポキシ樹脂領域とのコントラストを高めた。300kVで動作するHITACHI H−9000高解像度TEMを使用して、TEM画像を得た。
様々なナノカルサイトを3つの商業的供給源から入手し、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)を用いて分析して、ナノカルサイト粒子の表面におけるマグネシウムとカルシウムの相対量を判定した。TOF−SIMSは、試料に照射するのにキロボルトエネルギーイオン(一次イオン)のパルスビームが使用され、これによって表面がスパッタリングされる表面分析法である。スパッタリング中、中性及びイオン化原子及び分子種は表面から放出される。イオン化種は「二次イオン」と表され、一次イオンの照射と区別される。1つの極性における二次イオンは、飛行管を移動し検出システム及び軽量システムに到達する場合、電界において加速され質量分析計へ向かう。フラグメントが同時に試料表面から出発し、同一の加速電圧に供された結果、より軽いフラグメントはより重いものよりも前に検出システムに到達する。フラグメントの「飛行時間」は質量の平方根に比例し、そのため、飛行中の異なる質量は分離され、個別に検出され得る。分析中、測定される量はフラグメントの質量をフラグメントの電荷で割ったものである(m/z)TOF−SIMSは、材料の最も外側1〜2nmに関する化学情報を提供する。
TOF−SIMS試験手順ION−TOF(Munster,Germany)モデルTOF.SIMS.5機器を使用し、200マイクロメートル(μm)×200μm〜500μm×500μmの試料の標的領域の上を25キロボルト(keV)Bi3+一次イオンビームでラスター走査して、試料にTOF−SIMS分析を実施した。得られたデータを使用して、粒子表面におけるカルシウムイオン(カルシウム44の同位体)に対するマグネシウムイオン(マグネシウム24の同位体)の量を計算した。結果は、表3にまとめられている。
EPON 828エポキシ樹脂、種々のカルサイト、及び100重量部のカルサイトに対して7.5重量部のJAS配位子(即ち、7.5pph配位子)を使用し、表面修飾及び分散手順に従って、試料を調製した。硬化手順に従って分散体を硬化させた。硬化した試料を破壊靭性手順に従って評価した。表3に破壊靭性が報告されている。
TEM試料調製手順に従って試料を調製した。試料のTEM画像を5000倍の倍率で撮影した。図1、図4、及び図5を参照すると、NanoCa−1、NanoCa−4、及びNanoCa−5ナノカルサイト材料のTEM画像は、それぞれ、実質的に等方性の立方体形態を示している。図2のNanoCa−2ナノカルサイトのTEM画像は、ややより変化に富んだ異方性形態を示している。図3に示されるように、NanoCa−3ナノカルサイトは、板状及び針状といった高い異方性を有する粒子形状を有した。いずれの場合にも、粒子は硬化樹脂に良好に分散された。
Figure 0005681205
NanoCa−1、NanoCa−2、及びNanoCa−3の入荷したままの状態の試料を、乳鉢及び乳棒を使用して手で軽くすり砕いて、最も大きな集塊を粉砕した。すり砕いたばかりのカルサイトナノ粒子の薄いケーキを、臭化カリウム塩のプレートの上に広げた。光学的に不透明な試料の結果として吸収特徴のゆがみが認められないように、試料が透過実験を目的として十分に薄いことが確実になるように注意した。透過モードで動作するBruker Optics,Hyperion Series 2000 FT−IR顕微鏡で赤外スペクトルデータを得た。相互追加された走査の回数は32〜128におよび、取得した回数は、空気バックグラウンド(air background)及び試料測定の両方に関して同じであった。スペクトルデータは、650〜4000cm−1領域内で4cm−1の解像度で得た。
図6に示されるように、高いMg:Ca表面濃度比を有したNanoCa−2及びNanoCa−3は、1425cm−1と1440cm−1との間で非対称のカーボネートC−Oピークを示した。これに対して、1未満のMg:Ca表面濃度比を有したNanoCa−1は、1410cm−1と1415cm−1との間にシフトした非対称のカーボネートC−Oピークを示した。
EPON 828エポキシ樹脂、異なるカルサイト、及び表4にまとめられているような様々な量のJAS配位子を使用して、追加試料を調製した。表面修飾及び分散手順に従って分散体を調製した。硬化手順に従って分散体を硬化した。硬化した試料を破壊靭性手順に従って評価した。重量%配位子、24Mg:44Caの比率、及び破壊靭性が表4に報告されている。
Figure 0005681205
TEM試料調製手順に従って硬化した試料も同様に処理した。20,000倍の倍率で画像を収集した。図7を参照すると、カルサイト粒子の周りの染色された暗いハロの欠如によって示されるように、1未満の24Mg:44Ca表面濃度比を有した比較例1は、カルサイト粒子の表面の周りに有意な濃度の配位子を有していない。しかしながら、ナノカルサイト粒子は良好に分散されており、粒子が配位子によって表面修飾されたことを示した。
図8〜図11を参照すると、実施例1、実施例2、実施例4、及び実施例5は、ナノカルサイトの周囲に配位子に富んだシェル(即ち、粒子の周りの比較的暗いハロ)を形成する有意な濃度の配位子を示した。染色結果に加え、エネルギー分散分光法(EDS)及び高角度散乱暗視野(HAADF)によって、シェルの組成物は配位子であることが確認された。1を超える24Mg:44Ca表面濃度比の割合を有するカルサイトを使用して調製されたこれらの試料は、実質的により高い破壊靭性を呈した。
典型的には、表面修飾剤は、平衡量(即ち、ナノ粒子の表面上に単層を形成するのに必要な量)で又はこれをわずかに上回って使用されている。この平衡量は、利用可能な結合部位、粒子の表面積、及び特定の表面修飾剤に伴う立体効果などの様々な要因の影響を受ける。余剰表面修飾剤は、一般に、表面修飾剤の相溶部分と硬化性樹脂との相溶性に起因して、硬化性樹脂系に分散されたままとなる。本発明者らは、驚くべきことに、表面修飾剤に富んだシェルは、マグネシウム表面濃度が高いカルサイトナノ粒子の周りに形成され得ることを発見した。したがって、いくつかの実施形態において、コーティング及び繊維複合材料を含む改善された組成物は、マグネシウムとカルシウムの表面濃度比が高いカルサイトナノ粒子を選択することによって、作製することができる。
本発明の様々な改変及び変更が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者には明らかとなるであろう。

Claims (5)

  1. 硬化性エポキシ樹脂中に分散された表面修飾ナノ粒子を含む組成物であって、前記表面修飾ナノ粒子が、TOF−SIMS試験手順に従って測定した場合に1を超えるマグネシウム24の同位体とカルシウム44の同位体の表面濃度比を有するカルサイトコアと、前記ナノ粒子にイオン結合する結合基と前記硬化性エポキシ樹脂への相溶性がある相溶化セグメントとを含む第1の表面修飾剤と、を含み、前記相溶化セグメントは、ポリアルキレンオキシド、ポリエステル及びポリエーテルアミンからなる群から選択される、組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物を含む硬化した組成物であって、前記硬化性エポキシ樹脂が硬化されたものである、前記硬化した組成物。
  3. 基材と、前記基材の少なくとも一部に結合される請求項2に記載の硬化した組成物と、を含む、被覆物品。
  4. 請求項1に記載の組成物と、強化用繊維とを含む繊維複合材料であって、前記強化用繊維が前記組成物で含浸される、繊維複合材料。
  5. 請求項1に記載の組成物の作製方法であって、(i)TOF−SIMS試験手順に従って測定した場合、4を超えるマグネシウム24の同位体とカルシウム44の同位体の表面濃度比を有するカルサイトを選択する工程と、(ii)前記カルサイトの90%超過が、カルサイト粒径手順によって測定した場合に400nm未満の平均粒径を有するまで、前記カルサイトをミル粉砕する工程と、(iii)前記第1の表面修飾剤の結合基を前記カルサイトにイオン結合する工程と、を含み、前記結合基が、化学量論的表面と仮定して結合エネルギー計算手順を用いて計算した場合、カルサイトに対して少なくとも1.0電子ボルトの結合エネルギーを有し、更に(iv)前記表面修飾カルサイトを硬化性エポキシ樹脂に分散させて分散体を形成する工程と、を含み、前記硬化性エポキシ樹脂の溶解度パラメータと、前記第1の表面修飾剤の相溶化基の溶解度パラメータとの差が、溶解度パラメータ手順に従って決定される場合、4J1/2cm−3/2以下である、方法。
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