JP5678288B1 - 創傷用器具、及び該創傷用器具を用いた創傷用装置 - Google Patents

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【課題】陰圧閉鎖療法に用いられる、減圧度を保ちつつ、皮膚の浸軟を回避又は軽減し、皮膚の損傷を軽減する、創傷用器具を提供すること。【解決手段】創傷を有する患部を挿入するための1以上の開口部を備え、創傷を密閉状態で覆うための袋状またはスリーブ状の密閉用部材を、少なくとも備え、前記密閉用部材の伸長力が、10%伸長時に0.1〜15N/25mmであり、20%伸長時に0.5〜20N/25mmである、創傷用器具、を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、創傷の保護、治療、洗浄などを行うために用いる創傷用器具、及び該創傷用器具を用いた創傷用装置に関する。より詳しくは、創傷を密閉状態で覆い、創傷面からの滲出液、排液、血液等を吸引したり、洗浄等を行ったりすることにより創傷の治療、管理を行うために用いる創傷用器具、及び該創傷用器具を用いた創傷用装置に関する。
従来から、創傷、火傷、褥瘡、潰瘍等(以下、単に「患部」という場合がある。)の治療においては、患部に対する物理的刺激からの保護、過剰な滲出液の吸収と湿潤環境の保持、外部からの汚染防止等を目的として、滅菌処理された吸収パッド等を患部上に配置し、包帯や粘着テープなどで周囲の皮膚に固定する方法が一般的に行われてきた。
また、現在では、さらに治癒を促進させる方法として、陰圧閉鎖療法が組み合わせて行われている。ここで、陰圧閉鎖療法とは、フィルム等の液体及び気体不透過性の密閉用部材で患部を密閉状態に被覆し、吸引ポンプ等により患部に負圧をかけて患部を減圧下に置くことで、治癒の促進を図る治療方法である(特許文献1参照)。
この陰圧閉鎖療法は、減圧した際に、患部や創傷部位に密閉用部材がピッタリと密着した状態となるため、柔軟性が十分ではない密閉用部材が患部に痛みや損傷を与える場合があった。特に、この陰圧閉鎖療法は、治療に数日から数週間という比較的長期の治療期間を要するため、創傷からの浸出液や汗等で皮膚が浸軟したり、脆弱になっていたりする場合があり、患者への刺激はより深刻になる場合がある。損傷や刺激の一例としては、密閉用部材の機械刺激による皮膚の発赤や、密閉用部材除去時の新生組織の損傷や角層の剥離刺激等を挙げることができる。
また、この陰圧閉鎖療法を手先や足先等の複雑な形状や比較的広範囲な患部に適用する場合、患部が密閉状態になるように密閉用部材を適用するのは、当該密閉用部材がフィルム状であるため難しく、何枚もテープを重ね貼りする等して、空気がリークしないような工夫が行われていた。一方、密閉用部材を除去する場合には、患部が損傷しないように慎重にテープを剥がすなど、取扱い性に苦慮することがあった。
このように陰圧閉鎖療法に用いる従来の密閉用部材はリークを防止するため粘着力が強いことで、剥離時に患者の皮膚への刺激が強いだけでなく、医療従事者が処置をする際にも貼り直しが困難であったため、人手不足が常態化している医療現場では作業時間短縮のニーズもまた存在している。
特開2010−159号公報
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであり、陰圧閉鎖療法による創傷の治癒促進効果を維持しつつ、患部への刺激、損傷の軽減を図り、取扱い性を向上させた創傷用器具、及び該創傷用器具を用いた創傷用装置を提供することを主目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、創傷を有する患部を挿入するための1以上の開口部を備え、創傷を密閉状態で覆うための袋状またはスリーブ状の密閉用部材、を少なくとも備え、前記密閉用部材の伸長力が、10%伸長時に0.1〜15N/25mmであり、20%伸長時に0.5〜20N/25mmである、創傷用器具を提供する。
また、本発明は、創傷を有する患部を挿入するための1以上の開口部を備え、創傷を密閉状態で覆うための袋状またはスリーブ状の密閉用部材、を少なくとも備え、前記密閉用部材の柔軟特性が、1〜25mmである、創傷用器具を提供する。
また、本発明は、創傷を有する患部を挿入するための1以上の開口部を備え、創傷を密閉状態で覆うための袋状またはスリーブ状の密閉用部材、を少なくとも備え、前記密閉用部材の伸長力が、10%伸長時に0.1〜15N/25mmであり、20%伸長時に0.5〜20N/25mmであり、前記密閉用部材の柔軟特性が、1〜25mmである、創傷用器具を提供する。
また、本発明は、創傷を有する患部を挿入するための1以上の開口部を備え、創傷を密閉状態で覆うための袋状またはスリーブ状の密閉用部材と、前記密閉用部材を患部に固定するための固定手段と、を少なくとも備え、前記密閉用部材の伸長力が、10%伸長時に0.1〜15N/25mmであり、20%伸長時に0.5〜20N/25mmである、創傷用器具を提供する。
また、本発明は、創傷を有する患部を挿入するための1以上の開口部を備え、創傷を密閉状態で覆うための袋状またはスリーブ状の密閉用部材と、前記密閉用部材を患部に固定するための固定手段と、を少なくとも備え、前記密閉用部材の柔軟特性が、1〜25mmである、創傷用器具を提供する。
また、本発明は、創傷を有する患部を挿入するための1以上の開口部を備え、創傷を密閉状態で覆うための袋状またはスリーブ状の密閉用部材と、前記密閉用部材を患部に固定するための固定手段と、を少なくとも備え、前記密閉用部材の伸長力が、10%伸長時に0.1〜15N/25mmであり、20%伸長時に0.5〜20N/25mmであり、前記密閉用部材の柔軟特性が、1〜25mmである、創傷用器具を提供する。
前記本発明において、密閉用部材の透湿度が、100g/m・24hr以上であることが好ましい。
また、前記本発明において、固定手段が、粘着テープ又は前記密閉用部材の前記開口部周辺に設けられた粘着剤であり、前記粘着テープ又は前記開口部周辺に設けられた粘着剤の粘着力が0.2〜4Nであることが好ましい。この際、前記粘着テープ又は前記開口部周辺に設けられた粘着剤の剥離エネルギーが0.05〜5N・secとすることが好ましい。
さらに、前記本発明において、固定手段が、前記密閉用部材の前記開口部周辺に設けられる伸縮性の帯状の物品であり、前記帯状部材の伸長力が、20%伸長時に0.1〜20N/25mmであり、50%伸長時に1〜40N/25mmであることが好ましい。
さらに、本発明は、前記の創傷用器具とともに、創傷用器具内部に配置される創傷用パッドと、創傷用器具に接続する流体吸引源又は流体供給源の少なくとも一方とを設け、陰圧閉鎖療法に用いる創傷用装置とすることができる。
本発明によれば、袋状またはスリーブ状で患部への順応性が良好で刺激の少ない密閉用部材を採用することで、陰圧閉鎖療法による創傷の治癒促進効果を維持しつつ、患部への刺激、損傷の軽減を図り、取扱い性を向上させた創傷用器具、及び該創傷用器具を提供することができる。
本発明に係る創傷用装置を模式的に示す図である。 密閉用部材の形状の一態様を示す模式図である。 密閉用部材の形状の一態様を示す模式図である。 柔軟特性の説明に係る模式図である。 最大静止摩擦係数又は動摩擦係数の測定図である。 実施例1〜6及び比較例における伸長率と伸長力との関係を示したグラフである。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<創傷用装置>
図1は本発明に係る創傷用装置を模式的に示す平面図である。
本発明に係る創傷用装置は、創傷用器具1と、創傷用器具1と創傷との間の創傷用器具1内部に配置される創傷用パッド30と、創傷用器具1に接続する流体吸引源50と、創傷用器具1と流体吸引源50とを連結する連通口40と、を備える。
本発明に係る創傷用器具1は密閉用部材10と、固定手段11と、創傷を有する患部を挿入するための1以上の開口部10aを備える。また、本発明に係る創傷用器具1の別の一態様では密閉用部材10と、創傷を有する患部を挿入するための1以上の開口部10aを備える。流体吸引源50が接続手段20及び連通口40を介して創傷用器具1に連結されている。また、必要に応じて使用時に密閉用部材10の内部において創傷用パッド30を備えていてもよい。
連通口40は、密閉用部材10内部からの流体の吸引及び/又は密閉用部材10内部への流体の供給を行うために、密閉用部材10の内部と外部を連通させる目的で、密閉用部材10に設ける。連通口40の位置は特に限定されず、目的に合わせて自由に設計することができる。例えば密閉用部材10の表面に穿孔加工し、その孔を連通口40としても良いし、創傷を密閉用部材10で覆ったときの開口部10aを連通口40としてもよい。
密閉用部材10内部からの流体の吸引を行う場合には、流体吸引源50により発生させた陰圧により、密閉用部材10内が減圧され、治療効果が発揮される。また、身体の創傷部位を覆う大きさの創傷パッド30が配置されていてもよい。
本発明に係る創傷用器具1は密閉用部材10の開口部10a周辺に、固定手段11を備える。固定手段11が後述する粘着性テープである場合は開口部10aから身体面にかけて配置すると密閉性が向上する。一方、固定手段11が後述する伸縮性の帯状の物品である場合には、開口部10a周辺であり、かつ密閉用部材10上に備えると密閉性が向上する。
<創傷用器具>
本発明に係る創傷用器具は、創傷を有する患部を挿入するための1以上の開口部を備え、創傷を密閉状態で覆うための袋状またはスリーブ状の密閉用部材と、密閉用部材を患部に固定するための固定手段を備える。
また、本発明に係る創傷用器具の別の一態様では創傷を有する患部を挿入するための1以上の開口部を備え、創傷を密閉状態で覆うための袋状またはスリーブ状の密閉用部材を少なくとも備える。
密閉用部材は適度な伸長力、柔軟特性、透湿度等を備えた基材からなる。
I.密閉用部材
本発明に係る密閉用部材は、創傷を有する患部を覆い、陰圧下で創傷の治癒の促進を図るためのものである。密閉用部材で患部を覆った後、必要に応じて連通口を作成し、接続手段を介して流体吸引源と接続する。
1.密閉用部材の形状
本発明に係る密閉用部材は、後述する基材を用い、基材の周方向の少なくとも1箇所を融着又は接着して作成することができる。融着する手法は例えば熱溶着、超音波溶着等を挙げることができ、接着は接着剤による接着等を挙げることができる。この場合において、融着又は接着しない部分を開口部とすることができる。密閉用部材の形状は、袋状等、様々な形をとることができ、これらは適用する患部の位置等によって適宜選択すればよい。ここで、袋状とは、単に袋形状だけでなく、スリーブ形状を含む意味である。
袋状とすると、医療現場では医療従事者による患者への密閉用部材の適用が容易になり、作業時間を短縮できると共に、従来のテープ状の形状と異なり、患者の身体に接触する機会が減り、医療従事者、患者とも清潔に作業を行うことができる。
図2は密閉用部材の形状の一態様を表す模式図である。
密閉用部材10の形状は、三角形、四角形、菱形等の多角形、円形、楕円形、又はこれらの形状を適宜組み合わせた形状等、特に限定されず、四角形であれば略台形、略平行四辺形が好ましい。四角形とすることで密閉用部材の製造が容易であり、製造効率が向上する。
また、密閉用部材の形状を、密閉用部材10の開口部10aから、開口部に対向する側(底部10b)にかけて末広がりの形状とすると、人の足を収納するのに適した形となり、好ましい。
また、密閉用部材の形状は、例えば図3に示すように、人の足に近い形状とすることもできる。人の足に近い形状とすることで、一段と医療従事者の作業負担を軽減することができる。
密閉用部材を作成する方法としては、例えば後述する基材の周方向をヒートシール(熱溶着)する方法を採用することができる。この際、後述する支持体を備えたまま周方向をヒートシールする等して、支持体を備えたままの密閉用部材を作成することもできる。
2.密閉用部材に用いる基材
本発明に係る密閉用部材は、例えば次の樹脂製のフィルム基材を用いることができる。
具体的な樹脂としては、例えば、ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリプロピレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・メタクリル酸重合体(EMAA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)等のオレフィン系共重合体;ポリビニルアルコール:ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン;シリコーンなどから選ばれる1種又は2種以上のものを挙げることができる。このうち、ポリウレタンから形成したフィルム基材が柔軟特性及び透湿度の観点から好ましい。なお、本発明の基材は上記成分以外を含んでいてもよい。
前記基材の厚みは、1〜140μmの範囲が好ましく、5〜120μmの範囲がより好ましく、密閉用部材を装着しながらのリハビリテーション(以下、「リハビリ」と省略する。)の容易性、水分の透過性の観点から、10〜100μmの範囲がさらに好ましい。厚さが1μm未満より薄いと、基材の強度が十分でなく、使用時に破れる可能性があるので、1μm以上が好適である。また、厚さが500μm超より厚いと、嵩高になり、身体に接した際に違和感が生じるため、140μm以下が好適である。さらに、100μm以下が柔軟性を備える上で好適である。
前記基材の作成にあたっては、基材の取り扱い性及び密封用部材取り扱い性の観点から、支持体に基材を積層して作成することができる。支持体の材質は紙、ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリプロピレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン等から選ばれる1種又は2種以上のものを挙げることができる。
皮膚に粘着する程度の粘着力を備えた粘着成分を具備しない基材を用いて密閉用部材を作成すると、治療途中又は治療後に密閉用部材を剥離する際の皮膚への刺激を大きく低減させることができるため、好ましい。
3.密閉用部材の特性
密閉用部材は、以下の所定範囲の伸長力、柔軟特性、又は透湿度を備えた基材から構成されることが好ましく、特に、以下の所定範囲の伸長力、柔軟特性、及び透湿度を全て備えたフィルム基材で構成することがより好ましい。
伸長力及び柔軟特性は、密閉用部材の柔軟性に関するものであり、これらが適切な範囲にあることで創傷患部が手や足の末端にある場合に、創傷用器具を装着し、かつ減圧度を保ったままリハビリを行うことができるため、好ましい。陰圧閉鎖療法による手、肘、足、膝等の四肢の創傷の治療において、長期間パッドやカバーで創傷を固定する場合があるが、その場合にこれらの部位そのような場合にこれら部位の関節周囲の筋肉、靭帯が硬直し、屈曲・伸展や回旋動作の機能が損なわれることがあり、早期のリハビリが必要になるためである。
(1)伸長力
本発明における密閉用部材(密閉用部材を構成する基材)の伸長力は密閉用部材としての使用時の柔軟性と身体との機械的刺激の関係を示すものであり、定義及び測定方法は後述する。伸長力を所定の範囲に調整することで、減圧下、身体表面に密閉用部材が密着する状態が長時間継続しても、密閉用部材の機械的刺激による皮膚の発赤等の症状の発生を抑制し、治療を行うことができる。さらに、その伸長特性により、減圧下においても皮膚に順応して伸長するため、拘縮予防のために患部を動かしリハビリを行いながら創傷治療もおこなうことができる。
伸長力は10%伸長時に0.1〜15N/25mmであり、20%伸長時に0.5〜20N/25mmであるのが好ましく、10%伸長時に0.5〜10N/25mmであり、20%伸長時に1〜15N/25mmであるのがより好ましく、10%伸長時に1〜8N/25mmであり、20%伸長時に2〜10N/25mmであるのがさらに好ましい。
(2)柔軟特性
本発明における密閉用部材(密閉用部材を構成する基材)の柔軟特性は使用時の柔軟性を示すものである。定義及び測定方法は後述する。柔軟特性は、数値が小さいと基材の柔軟性が高いということである。柔軟性が高い方が、密閉用部材に用いた場合、該密閉用部材の身体への追従性が向上するため、好ましい。
一方で柔軟性が高すぎると、使用時の取り扱い性が悪化したり、強度が低下するので所定の範囲にあることが好ましい。
柔軟特性は1〜25mmとするのが好ましく、3〜20mmとするのがより好ましく、5〜15mmとするのがさらに好ましい。
(3)透湿度
本発明における密閉用部材(密閉用部材を構成する基材)の透湿度は、密閉用部材としての使用時に陰圧閉鎖療法中に身体から生じる水蒸気その他の水分を、密閉用部材の外に排出する能力を示すものであり、高いほうが治療中の皮膚の浸軟を避けることができるため、好ましい。透湿度の定義及び測定方法は後述する。
透湿度は100g/m・24hr以上とするのが好ましく、150g/m・24hr以上とするのがより好ましく、200g/m・24hr以上とするのがさらに好ましい。
また、透湿度は5000g/m・24hr以下とするのが好ましく、3000g/m・24hr以下とするのがより好ましく、2000g/m・24hrとするのがさらに好ましい。
II.固定手段
前記創傷用器具の一態様において、密閉用部材の密閉性を確保するため、さらに密閉用部材の開口部周辺に身体への固定手段を備えている。患部を挿入する開口部を封止するためである。また、固定手段は密閉用部材の上から適用し、患部に適用した密閉用部材が適切な位置からズレることを防止する役割も担う。
本発明における固定手段の一態様においては、固定手段は粘着剤、粘着性テープを用いることができる。
開口部周辺に粘着剤を設ける場合の粘着剤は、ゴム系、アクリル系、シリコーン系等各種の粘着剤を用いることができる。
開口部周辺に粘着性テープを備える場合、ゴム系、アクリル系、シリコーン系等各種の粘着剤を備える粘着性テープを用いることができる。
本発明における固定手段の別の一態様においては、密閉用部材の位置を調整したり、密閉用部材の開口部を開封して創傷を適宜処置等するために、固定手段は容易に着脱でき、位置調整できることが望ましいため、固定手段は伸縮性を有する帯状の物品を用いることができる。
固定手段が皮膚に接しない、又は皮膚への接触範囲が少ない態様で使用する場合において、固定手段として用いる伸縮性を有する帯状の物品が粘着性を示す場合、密閉用部材に対する粘着力が、貼りなおし可能な程度に粘着しない程度であると、医療現場での処置の際、密閉用部材上に固定手段を適用する配置に誤りがあっても、適切な箇所への固定手段の配置変更を容易に行うことが可能となる結果、作業時間が短縮でき、好ましい。これは医療従事者が密閉用部材の患部への固定の作業時間を短縮できるだけでなく、コストの削減にもつながる。
開口部周辺に伸縮性を有する帯状の物品を備える場合、例えば帯状のゴム、伸縮性の包帯、圧縮ウレタンを備えた固定バンド等の各種物品を用いることができる。伸縮性の包帯の中でも、包帯同士に自着性を備えた包帯を用いると、医療従事者の作業時間短縮に一層資するのみならず、リハビリや日常動作において固定手段が所定位置からズレた場合でも患者自身が微調整を行うことが可能になるため、より好ましい。
1.粘着剤又は粘着性テープ
(1)粘着力
固定手段として用いる粘着剤又は粘着性テープは所定の粘着力を有する。粘着力が低いほうが剥離時の剥離刺激を抑制できるが、粘着力が高いほうが密閉性が向上するので、適度な範囲にあることが好ましい。粘着力の定義及び測定方法は後述する。
粘着力は0.2〜4Nが好ましく、0.3〜3.5Nがより好ましく、0.5〜3Nがさらに好ましい。
(2)剥離エネルギー
固定手段として用いる粘着剤又は粘着性テープの剥離エネルギーは、剥離刺激を表す指標であり、粘着剤又は粘着性テープが剥離時の剥離刺激を抑制できる範囲にあることが好ましい。剥離エネルギーの定義及び測定方法は後述する。
剥離エネルギーは0.05〜5N・secが好ましく、0.1〜3N・secがより好ましく、0.15〜2N・secがさらに好ましい。
(3)伸長力
また、固定手段に伸縮性の帯状の物品を用いる場合、帯状の物品の伸長力は10%伸長時に0.01〜10N/25mmであり、20%伸長時に0.1〜20N/25mmであり、50%伸長時に0.15〜40N/25mmとするのが好ましく、10%伸長時に0.03〜8.0N/25mmであり、20%伸長時に0.12〜15N/25mmであり、50%伸長時に0.20〜25N/25mmとするのがより好ましく、10%伸長時に0.05〜4.0N/25mmであり、20%伸長時に0.10〜6.5N/25mmであり、50%伸長時に0.30〜8.0N/25mmとするのがさらに好ましい。
なお、帯状の物品の素材としては、密閉用部材に用いられる基材に使用される特性を有する素材を用いることもできる。
固定手段の伸長力が上記範囲内にあることで、固定手段を皮膚に対して密閉用部材の上に配置した上で、患部における減圧度の一定時間の維持と、皮膚への圧迫を必要最低限に抑えることを両立することが可能となる。過度の皮膚への圧迫は発赤やうっ血の原因となるため、回避すべきである。従って、密閉用部材として前記の粘着剤又は粘着性テープを用いた場合と比べても皮膚への刺激を低減することができ、より一層患者への負担を軽減することができるため、好ましい。
2.伸縮性の帯状の物品
(1)摩擦係数
固定手段として用いる伸縮性の帯状の物品の摩擦係数は、実用的な圧迫圧によって密閉用部材を固定した際の固定手段のズレにくさを表す指標であり、具体的には固定手段同士の最大摩擦係数と動摩擦係数が指標となる。固定手段として粘着剤又は粘着性テープを用いない場合においては固定手段のズレによる、減圧度の低下が懸念されるが、摩擦係数が一定の範囲にあることで操作性を損なうことなく、固定手段のズレを回避し、ひいては減圧度の低下を回避することができる。固定手段同士の最大静止摩擦係数は0.5〜8が好ましく、0.8〜5がより好ましい。
固定手段同士の動摩擦係数は0.3〜5が好ましく、0.5〜4がより好ましい。摩擦係数の測定方法は後述する。
<創傷用パッド>
創傷用パッドは公知の多孔質パッドであって、患部上に配置することにより、減圧時に発生する創傷用器具からの物理刺激を緩和するため適度なクッションとしての役割を果たす。また、滲出液を効率よく吸収するとともに、多孔質であることにより、均一な減圧を行うことができる。創傷用パッドとしては、編布、織布、不織布などの繊維材料、フォーム材料等を用いることができる。
<流体吸引源又は流体供給源>
流体吸引源又は流体供給源としては、流体を吸引又は供給できれば公知のあらゆる形態の装置を用いることが可能である。例えば、電動式又は手動式のポンプ、シリンジ、スポイト等が挙げられる。
<連通口>
連通口は、創傷用器具内部からの流体の吸引及び/又は創傷用器具内部への流体の供給を行うために、創傷用器具内部と外部を連通させる目的で、創傷用器具に設ける。連通口は、創傷用器具に1以上設けられていれば、その個数は特に限定されない。
洗浄液等の液体やゾル状体を供給するための連通口、洗浄液等の液体や創傷からの滲出液等を排出・吸引するための連通口、といった目的に合わせて複数の連通口を設けることも自由である。
創傷用器具に設けられる連通口の位置は特に限定されず、目的に合わせて自由に設計することができる。例えば、創傷用器具の表面に穿孔加工し、その開口部を連通口としても良いし、創傷を創傷用器具で覆ったときの患部を挿入する開口部を連通口としても良い。
ここまで本発明の創傷用器具を説明してきたが、本発明の好ましい態様の一つとして、密閉用部材と、固定手段と、を少なくとも備え、前記固定手段が、伸縮性の帯状の物品であり、前記伸縮性の帯状の物品が前記密閉用部材の前記開口部周辺のうち皮膚等に直接触れないよう密閉用部材上に配置された、創傷用器具を挙げることができる。
以下、本発明の創傷用器具を構成する密閉用部材と固定手段の各特性について、実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<透湿度>
JIS K6404、及びJIS L1099A−2「ウォーター法」に準じて測定する。予め測定環境温度(温度40℃、相対湿度50%)に調整した透湿カップに測定環境温度40℃の水を40ml入れ、透湿カップに(1)適当な大きさにカットした密閉用部材の試験片、(2)パッキン、(3)リングを順次載せ、ちょうナットで固定する。透湿カップを含む試験体全質量を測定し、測定開始前の試験体初期質量C(g)とする。温度40℃、相対湿度50%の試験環境下に透湿カップを24時間晒した後の試験体全質量C24(g)を測定し、下記式に従って密閉用部材の透湿度を算出する。各実施例では直径6cmの透湿カップを用い、S=0.002826mとして測定した。
透湿度(g/m・24hr)=((C24−C)/S)
:測定開始前の試験体初期質量(g)
24:測定開始24時間後の試験体全質量(g)
S:カップの透湿面積(m
<伸長率及び伸長力の測定>
伸長率及び伸長力は、次のようにして測定する。
(1)密閉用部材
密閉用部材から、縦100mm横25mmの試験片を採取し、チャック幅W120mm、チャック間距離50mmで引張試験を行う。
引張試験は、温度23℃、湿度65%RHの環境下で試験片を3時間静置した後、同温度・同湿度の環境にて、引張試験機(インストロン社製、商品名「INSTRON5564」)を使用し、引張速度は100mm/分の引張速度で試験行う。
試験片の所定伸びE(mm)ごとの所定荷重を測定し、その結果に基づいて、下記式から密閉用部材の伸長率(%)を算出する。
伸長率(%)=(E/L)×100
E:伸び(mm)
L:チャック間距離50(mm)
また、密閉用部材が所定の伸び(伸長率)に伸長したときの応力(N/25mm)を測定し、その値を密閉用部材の伸長力(N/25mm)とする。
(2)固定手段
固定手段から、縦100mm横25mmの試験片を採取し、チャック幅W65mm、チャック間距離50mmで引張試験を行う。
引張試験は、温度23℃、湿度65%RHの環境下で試験片を3時間静置した後、同温度・同湿度の環境にて、引張試験機(SHIMADZU社製、商品名「AG−1 20kN」)を使用し、引張速度は100mm/分の引張速度で試験行う。
試験片の所定伸びE(mm)ごとの所定荷重を測定し、その結果に基づいて、下記式から固定手段の伸長率(%)を算出する。
伸長率(%)=(E/L)×100
E:伸び(mm)
L:チャック間距離50(mm)
また、固定手段が所定の伸び(伸長率)に伸長したときの応力(N/25mm)を測定し、その値を固定手段の伸長力(N/25mm)とする。
<柔軟特性>
密閉用部材の柔軟特性は次のようにして測定する。
密閉用部材から縦250mm以上、横50mmの試験片を採取し、温度23℃、湿度65%RHの環境下でサンプルを3時間静置した後、同温度、同湿度の環境下にて、平坦な場所に置き、試験片の縦方向の一端から200mmの部分を固定する(図4(a))。次いで、その一端から固定した部分に向かって試験片を折り返し、その一端を固定した後、形成された折り込み部分の最大高さH(mm)を測定し(図4(b))、Hを柔軟特性(mm)とする。
<粘着力及び剥離エネルギー>
密閉用部材及び前記固定手段が、粘着テープ及び粘着剤の場合の粘着力及び剥離エネルギーは次のようにして測定する。
密閉用部材から、縦25mm横25mmの試験片を採取し、プローブタック試験を行う。
プローブタックは、温度23℃、湿度65%RHの環境下でサンプルを3時間静置した後、同温度・同湿度の環境にて、プローブタック試験機(レスカ社製、商品名「タッキング試験機TAC−II」)を使用し、引き離し速度は30mm/min、プレス圧は0.98N、プレス時間は2秒として試験を行う。
引き離し過程でのタック力の最大値を粘着力とした。
また、粘着力の時間積分値であり、前記プローブタック試験機においてintegralの値として表示されるものを剥離エネルギーとした。
<摩擦係数>
固定手段同士の摩擦係数は次のようにして測定する。なお、測定に用いる装置の概略を図5に示す。文中、番号は図5に示す番号を示す。
1.最大静止摩擦係数
精密万能試験機5(島津製作所製オートグラフAG−1)を用いて、ストロークを150mm以内とし、試験種類「ピール」の設定で測定を行う。上記万能試験機5に設置した縦200mm横350mmの平坦な表面を持つ水平板250の上に、固定手段から採取した縦50mm横250mm以上の試験片220を固定する。一方、重さ100g、面積25cmの平滑平面を有する金属製おもり300を用意し、前記表面に同種の固定手段から採取した別の試験片230を被覆し、試験片の被覆後の重さを垂直荷重F1(N)として測定する。
おもり300の固定手段230を被覆した表面を下にして、水平板に固定した固定手段220と静かに接触させて、おもり300と万能試験機の引張り部280とを滑車を通してワイヤ270でつなぐ。万能試験機の引張り部280を、100±0.2mm/minの速度で引張り、初期にあらわれる荷重ピーク点を測定し、繰返し3回の平均値F2(N)を基に次式より静止摩擦係数を算出する。
静止摩擦係数=F2/F1
2.動摩擦係数
精密万能試験機5(島津製作所製オートグラフAG−1)を用いて、ストロークを150mm以内とし、試験種類「ピール」の設定で測定を行う。上記万能試験機5に設置した縦200mm横350mmの平坦な表面を持つ水平板250の上に、固定手段から採取した縦50mm横250mm以上の試験片220を固定する。一方、重さ100g、面積25cmの平滑平面を有する金属製おもり300を用意し、前記表面に同種の固定手段から採取した試験片230を被覆し、試験片の被覆後の重さを垂直荷重F3(N)として測定する。
おもり300の固定手段230を被覆した表面を下にして、水平板に固定した固定手段220と静かに接触させて、おもり300と万能試験機の引張り部280とを滑車を通してワイヤ270でつなぐ。万能試験機の引張り部280を、100±0.2mm/minの速度で引張り、おもりを30mm移動させた時点から120mm移動した時点までの間の平均摩擦力を測定し、繰返し3回の平均値F4(N)を基に、次式より動摩擦係数を算出する。
動摩擦係数=F4/F3
<圧迫圧>
密閉用部材がズレないように固定手段を適用した際の圧迫圧は次のようにして測定する。エイエムアイ・テクノ社製のセンサーを手首に貼り付け、その上から密閉用部材を手に適用し、固定手段でセンサーの上から手首を固定する。その際、日常の動作において密閉用部材がズレない程度の固定力になるように固定する。固定後100〜200秒の間に、出力される圧迫圧(mmHg)を測定し、平均値を算出する。小さい圧迫圧でズレないように固定できる固定手段のほうが、血流障害や発赤を起こしにくくする観点から、好ましい。
<着脱のし易さ>
密閉用部材で手を覆い、密閉用部材の上から手首周辺に固定手段を適用した後、固定手段の位置を変える際の操作性を以下の基準で評価する。
○:固定手段を外す際に引っかかりや粘着が起こらず、密閉用部材のズレを伴わない。
×:固定手段を外す際に引っかかりや粘着があり、密閉用部材が適切な位置からズレる。
<装着感>
密閉用部材で手を覆い、密閉用部材の上から手首周辺に固定手段を適用した後、連通口を設け、接続手段を介して流体吸引源に接続し、創傷用器具の内部を減圧した状態で3時間装着した状態での装着感を以下の基準で評価する。
○:違和感がある程度の圧迫感がなく、装着時の不快感がない。
△:強い違和感はないが、皮膚の圧迫を感じる。
×:固定手段が固く、装着していて違和感がある。
種々の材料から構成される密閉用部材と固定手段を備えた創傷用器具を作成し、そのうち密閉用部材について各種測定を行った。
密閉用部材として、厚みが25μmであるポリウレタンフィルム(大倉工業製、NES85、支持体:ポリエチレン)を用いた創傷用器具を作成し、その密閉用部材の、透湿度、伸長力、伸長率、柔軟特性を測定した。
密閉用部材として、厚みが50μmであるポリウレタンフィルム(シーダム製、DUS202−CD、支持体:紙)を用い、透湿度、伸長力、伸長率、柔軟特性を測定した。
密閉用部材として、厚みが50μmであるポリウレタンフィルム(シーダム製、DUS605−CD、支持体:紙)を用い、透湿度、伸長力、伸長率、柔軟特性を測定した。
密閉用部材として、厚みが50μmであるポリウレタンフィルム(シーダム製、DUS605−CD、支持体:ポリエチレンテレフタレート)を用い、透湿度、伸長力、伸長率、柔軟特性を測定した。
密閉用部材として、厚みが100μmであるポリウレタンフィルム(大倉工業製、NES85)を用い、透湿度、伸長力、伸長率、柔軟特性を測定した。
密閉用部材として、厚みが50μmであるポリウレタンフィルム(大倉工業製、NES85L)を用い、透湿度、伸長力、伸長率、柔軟特性を測定した。
次に、種々の材料から構成される密閉用部材と固定手段を備えた創傷用器具を作成し、そのうち固定手段について各種測定を行った。
固定手段としての粘着テープとして、市販の、ポリエステルエラストマーフィルムにシリコーンゲルを塗布した粘着テープを用い、プローブタックによって粘着力及び剥離エネルギーを測定した。
固定手段としての粘着テープとして、市販の、不織布にアクリル系粘着剤を塗布した粘着テープを用い、プローブタックによって粘着力及び剥離エネルギーを測定した。
固定手段としての粘着テープとして、市販の、ポリエチレンフィルムにアクリル系粘着剤を塗布した粘着テープを用い、プローブタックによって粘着力及び剥離エネルギーを測定した。
固定手段としての粘着テープとして、市販の、ポリウレタンフィルムに不織布をラミネートした基材にシリコーンゲルを塗布した粘着テープを用い、プローブタックによって粘着力及び剥離エネルギーを測定した。
固定手段としての粘着テープとして、市販の、ポリエチレンフィルムにアクリル系粘着剤を塗布した粘着テープを用い、プローブタックによって粘着力及び剥離エネルギーを測定した。
固定手段としての粘着テープとして、市販の、ウレタンフィルムにアクリル系粘着剤を塗布した粘着テープを用い、プローブタックによって粘着力及び剥離エネルギーを測定した。
固定手段としての伸縮性の帯状の物品として、編みゴムバンドを用い、伸長力、伸長率を測定した。
また、実施例1で用いた密閉用部材を用い、種々の材料から構成される固定手段を備えた創傷用器具を作成し、固定手段に関する測定及び、創傷用器具の取り扱い性、装着感等を評価した。
固定手段としての伸縮性の帯状の物品として、ラテックスを含む綿、ポリウレタン製編み物である、包帯同士が自着性を備えた包帯を用い、伸長力、伸長率、最大静止摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。また、密閉用部材がズレないように固定手段を適用した際の圧迫圧、着脱のし易さ及び装着感の観点で創傷用器具を評価した。
固定手段としての伸縮性の帯状の物品として、レーヨン、スパンデックス製編み物である包帯を用い、伸長力、伸長率、最大静止摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。また、密閉用部材がズレないように固定手段を適用した際の圧迫圧、着脱のし易さ及び装着感の観点で創傷用器具を評価した。
固定手段としての伸縮性の帯状の物品として、ジャージ素材に圧縮ウレタン、起毛素材を積層した固定バンドを用い、伸長力、伸長率、最大静止摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。また、密閉用部材がズレないように固定手段を適用した際の圧迫圧、着脱のし易さ及び装着感の観点で創傷用器具を評価した。
<比較例1>
比較例1の密閉用部材として、厚みが150μmであるポリプロピレン・ポリエチルビニルアルコール・ポリエチレンからなるフィルム(オカモト化成製)を用い、透湿度、伸長力、伸長率、柔軟特性を測定した。
<比較例2>
固定手段としての粘着テープとして、市販の、メッシュにシリコーンゲルを塗布した粘着テープを用い、プローブタックによって粘着力及び剥離エネルギーを測定した。
<比較例3>
固定手段としての粘着テープとして、市販の、ウレタンフィルムにアクリル系粘着剤を塗布した粘着テープを用い、プローブタックによって粘着力及び剥離エネルギーを測定した。
<密閉用部材の作成>
支持体つきの基材を、適切な大きさ、形に切り出し、基材側の面同士を重ね合わせ、周方向をヒートシールすることで、密閉用部材を得た。
表1は実施例1〜6、及び比較例1における伸長率と伸長力の関係、透湿度、柔軟特性を示した表である。
表2は実施例7〜12、及び比較例2並びに3における粘着力及び剥離エネルギーを示した表である。
表3は実施例13における伸長率と伸長力の関係を示した表である。
表4は実施例14〜16における伸長率と伸長力の関係を示した表である。
表5は実施例14〜16における最大静止摩擦係数、動摩擦係数、圧迫圧、固定手段のズレ、着脱のし易さ、及び装着感を示した表である。
図6は実施例1〜6、及び比較例1における伸長率と伸長力の関係を示したグラフである。
表1〜5の結果から分かるように、本発明の創傷用器具は、上述した密閉用部材又は固定手段の好ましい特性に入るものであり、これまで述べてきたような構成の創傷用器具を構成することで、患部への順応性が良好で刺激の少なく、患部への刺激、損傷の軽減を図れ、取扱い性を向上させることができる創傷用器具を提供することができる。
なお、人の毛細血管の圧力は創傷の治癒において重要な値であると考えられている。毛細血管圧が著しく低い患者の創傷の治癒は極めて困難であるといわれ、陰圧閉鎖療法の適用にあたっても、これは同様である。伸縮性を有する帯状の物品による圧迫圧は低いほうが好ましい。従って、本発明の一態様で用いられる伸縮性の帯状の物品は陰圧閉鎖療法用創傷治療器具として優れている。
Figure 0005678288
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1 創傷用器具
10 密閉用部材
10a 開口部
10b 底部
11 固定手段
20 接続手段
30 創傷用パッド
40 連通口
50 流体吸引源
90 固定部分
95 一端

Claims (7)

  1. 創傷を有する患部を挿入するための1以上の開口部を備え、創傷を密閉状態で覆うための袋状またはスリーブ状の密閉用部材、
    を少なくとも備え、
    前記密閉用部材は、任意の箇所に流体吸引源に接続する連通口を設けて使用するものであり、
    前記密閉用部材の厚みが10〜100μmであり、
    前記密閉用部材の伸長力が、10%伸長時に0.1〜15N/25mmであり、20%伸長時に0.5〜20N/25mmであり、
    前記密閉用部材の柔軟特性が、1〜25mmである、創傷用器具。
  2. 前記創傷用器具は、前記密閉用部材を患部に固定するための固定手段をさらに備える、請求項1に記載の創傷用器具。
  3. 前記密閉用部材の透湿度が、100g/m・24hr以上である請求項1又は2のいずれか一項に記載の創傷用器具。
  4. 前記固定手段が、粘着テープ又は前記密閉用部材の前記開口部周辺に設けられた粘着剤であり、前記粘着テープ又は前記開口部周辺に設けられた粘着剤の粘着力が0.2〜4Nである請求項2又は3のいずれか1項に記載の創傷用器具。
  5. 前記粘着テープ又は前記開口部周辺に設けられた粘着剤の剥離エネルギーが0.05〜5N・secである請求項に記載の創傷用器具。
  6. 前記固定手段が、前記密閉用部材の前記開口部周辺に設けられる伸縮性の帯状の物品であり、前記帯状部材の伸長力が、20%伸長時に0.1〜20N/25mmであり、50%伸長時に1〜40N/25mmである、請求項2又は3のいずれか1項に記載の創傷用器具。
  7. 請求項1からのいずれか一項に記載の創傷用器具と、
    前記創傷用器具と創傷との間の前記創傷用器具内部に配置される創傷用パッドと、
    前記創傷用器具に接続する流体吸引源又は流体供給源の少なくとも一方と、
    を少なくとも備える創傷用装置。
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