JP5326172B2 - 陰圧閉鎖療法用具及びシール手段 - Google Patents

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    • A61L15/58Adhesives

Description

本発明は、陰圧閉鎖療法用具及びシール手段に関し、詳しくは、陰圧閉鎖療法用具、及び患部を覆うための袋状のカバーに用いるためのシール手段に関する。
従来から、創傷、火傷、褥瘡、潰瘍等(以下、単に「患部」という場合がある。)の治療においては、患部に対する物理的刺激からの保護、過剰な滲出液の吸収と湿潤環境の保持、外部からの汚染防止等を目的として、滅菌処理された吸収パッド等を患部上に配置し、包帯や粘着テープなどで周囲の皮膚に固定する方法が一般的に行われてきた。
また、現在では、さらに治癒を促進させる方法として、陰圧閉鎖療法が組み合わせて行われている。ここで、陰圧閉鎖療法とは、患部を陰圧下に置くことで治癒の促進を図る治療方法である。
陰圧閉鎖療法の施術方法としては、前記した吸収パッド上に吸引用のチューブを配置し、片面に粘着剤層が設けられたフィルム材料等のカバーでチューブの上から患部を含めた広範囲を被覆する方法(例えば、特許文献1参照)と、患部を含む広範囲を吸引用チューブを備えた袋状のカバーで覆う方法(例えば、特許文献2参照)とがある。
前者は、主に身体の平面の患部に対して有効な方法であり、後者は、手足などの四肢の末端に対して有効な方法である。特に、指や踵等の凹凸の多い個所では、フィルムを凹凸に沿わせて貼付することが難しいため、後者の方法が有効である。
ところで、陰圧閉鎖療法においては、患部を陰圧下に置くために、フィルム材料等のカバーや袋状カバーの開口部を、粘着剤層又は粘着テープによって身体に密着させる必要がある。袋状のカバーにおいては、従来から四肢を挿入する開口部の皮膚側に設けた感圧性粘着剤層によって身体に密着させる方法や、開口部の上から身体にかけて幾重にも粘着テープで被覆することによって身体に密着させる方法がとられてきた。
しかしながら、袋状のカバーを感圧性粘着剤層によって密着させる場合、粘着剤層を覆う剥離シートを剥がす際に四肢が邪魔となり、剥離シートの除去が困難になるといった問題がある。
また、袋状のカバーの開口部は筒状になっているため、剥離シートを一度に除去した場合、粘着剤層同士が意図しない個所で接着してしまい、皺が発生する。そして、その皺から外気が流入することで、好適な陰圧を保つことが難しいといった問題がある。
さらに、開口部の上から身体にかけて幾重にも粘着テープで被覆することによって身体に密着させる場合、袋状のカバーの開口部を折り畳んで腕又は足の太さにまで纏めてから粘着テープで身体に密着させなければならないため、折り畳んだカバー同士の重なりから外気が流入することで好適な陰圧を保つことが難しいといった問題がある。
特表平09−503923号公報 実開平04−25754号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、皺の発生を防止すると共に、身体に密着して好適な陰圧を提供することのできる陰圧閉鎖療法用具及びシール手段を提供することにある。
上記課題は、以下により達成される。
即ち、本発明の陰圧閉鎖療法用具は、患部を覆うための袋状のカバーと、前記患部を前記カバー内に挿入するための開口部と、前記カバーを身体に固着するために前記開口部に設けられたシール手段と、前記カバーの内部を吸引源に接続するための吸引部と、を備える陰圧閉鎖療法用具において、前記シール手段は、基材と、前記基材の一面に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面に設けられた剥離シートと、を少なくとも備える貼付材を前記粘着剤層同士が向き合うように配置した構造であり、前記剥離シートは、一端が折り返され、折り返された剥離シート一部が前記粘着剤層から張り出していることを特徴とする陰圧閉鎖療法用具である。なお、前記患部を覆うための袋状のカバーの「袋状」とは、単に袋形状だけでなく、スリーブ形状を含む意味である。
また、本発明の陰圧閉鎖療法用具は、患部を覆うための袋状のカバーと、前記患部を前記カバー内に挿入するための開口部と、前記カバーを身体に固着するために前記開口部に設けられたシール手段と、前記カバーの内部を吸引源に接続するための吸引部と、を備える陰圧閉鎖療法用具において、 前記シール手段は、基材と、前記基材の一面に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面に設けられた剥離シートと、を少なくとも備える貼付材を前記粘着剤層同士が向き合うように配置した構造であり、前記粘着剤層は、少なくとも2枚の前記剥離シートによって覆われており、前記剥離シートは、一端が折り返され、折り返された剥離シートの少なくとも一部のみが前記粘着剤層から張り出していることを特徴とする陰圧閉鎖療法用具である。
さらに、本発明の陰圧閉鎖療法用具は、患部を覆うための袋状のカバーと、前記患部を前記カバー内に挿入するための開口部と、前記カバーを身体に固着するために前記開口部に設けられたシール手段と、前記カバーの内部を吸引源に接続するための吸引部と、を備える陰圧閉鎖療法用具において、前記シール手段は、基材と、前記基材の一面に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面に設けられた剥離シートと、を少なくとも備える2枚の貼付材を、前記粘着剤層同士が向き合うように配置した構造であって、前記2枚の貼付材は、長手方向と短手方向とを備え、前記長手方向の一端で前記粘着剤層同士が貼り合わされ、前記剥離シートは、前記貼付材の長手方向の他端から一端に向かっても設けられるとともに一端で折り返され、折り返された剥離シートの端部が前記貼付材の長手方向の他端から張り出していることを特徴とする陰圧閉鎖療法用具である。
さらにまた、本発明の陰圧閉鎖療法用具は、患部を覆うための袋状のカバーと、前記患部を前記カバー内に挿入するための開口部と、前記カバーを身体に固着するために前記開口部に設けられたシール手段と、前記カバーの内部を吸引源に接続するための吸引部と、を備える陰圧閉鎖療法用具において、前記シール手段は、基材と、前記基材の一面に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面に設けられた剥離シートと、を少なくとも備える2枚の貼付材を前記粘着剤層同士が向き合うように配置した構造であって、前記粘着剤層は、少なくとも2枚の剥離シートによって覆われており、前記剥離シートは、前記貼付材の端部から中央に向かっても設けられるとともに略中央で折り返され、折り返された剥離シートの端部が前記貼付材の両端部から張り出していることを特徴とする陰圧閉鎖療法用具である。
また、本発明の陰圧閉鎖療法用具は、前記袋状のカバーをスリーブ状とした構造とすることもできる。
また、本発明の陰圧閉鎖療法用具は、前記カバーに気密性のファスナーを設けた構造とすることもできる。
また、本発明の陰圧閉鎖療法用具は、患部の載置目印を設けた構造とすることもできる。
また、本発明の陰圧閉鎖療法用具は、前記シール手段に把持部を設けた構造とすることもできる。
また、本発明の陰圧閉鎖療法用具は、前記吸引部がシール手段を備えた構造とすることもできる。
さらに、前記課題を解決するため、本発明の患部を覆うための袋状のカバーに用いるシール手段の発明としては、基材と、前記基材の一面に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面に設けられた剥離シートと、を少なくとも備える貼付材を前記粘着剤層同士が向き合うように配置した構造であり、前記剥離シートは、一端が折り返され、折り返された剥離シート一部が前記粘着剤層から張り出していることを特徴とする患部を覆うための袋状のカバーに用いるシール手段である。
また、本発明の患部を覆うための袋状のカバーに用いるシール手段は、基材と、前記基材の一面に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面に設けられた剥離シートと、を少なくとも備える貼付材を前記粘着剤層同士が向き合うように配置した構造であり、前記粘着剤層は、少なくとも2枚の前記剥離シートによって覆われており、前記剥離シートは、一端が折り返され、折り返された剥離シートの少なくとも一部のみが前記粘着剤層から張り出していることを特徴とする患部を覆うための袋状のカバーに用いるシール手段である。
また、本発明の患部を覆うための袋状のカバーに用いるシール手段は、基材と、前記基材の一面に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面に設けられた剥離シートと、を少なくとも備える2枚の貼付材を前記粘着剤層同士が向き合うように配置した構造であって、前記粘着剤層は、少なくとも2枚の剥離シートによって覆われており、前記剥離シートは、前記貼付材の端部から中央に向かっても設けられるとともに略中央で折り返され、折り返された剥離シートの端部が前記貼付材の両端部から張り出していることを特徴とする患部を覆うための袋状のカバーに用いるシール手段である。
また、本発明の患部を覆うための袋状のカバーに用いるシール手段は、基材と、前記基材の一面に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面に設けられた剥離シートと、を少なくとも備える1枚の貼付材を前記粘着剤層同士が向き合うように折り曲げた構造であって、
前記貼付材は、長手方向と短手方向とを備えるとともに、少なくとも2枚の剥離シートによって覆われており、
前記剥離シートは、前記貼付材の長手方向の端から折り曲げた部分に向かって設けられるとともに前記折り曲げた部分で折り返され、折り返された剥離シートの端部が前記貼付材の長手方向の端から張り出していることを特徴とする患部を覆うための袋状のカバーに用いるシール手段である。
さらに、本発明の患部を覆うための袋状のカバーに用いるシール手段は、前記袋状のカバーをスリーブ状にした構造とすることもできる。
第1実施形態にかかる陰圧閉鎖療法用具の概略説明図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のX−X矢視図である。 第1実施形態にかかるシール手段によって、カバーを身体に固着するための方法を段階的に示した、図1におけるX−X矢視断面図である。 第2実施形態にかかる陰圧閉鎖療法用具の平面図である。 シール手段の他の実施形態を示す断面図であって、(a)は2枚の貼付材を用いて構成されたシール手段であって、貼付材の両端部から剥離シートが張り出したもの、(b)は1枚の貼付材を折り曲げて構成されたものである。 排出口具を供えた排液管理用具として使用可能な陰圧閉鎖療法用具の平面図である。
符号の説明
1,1a 陰圧閉鎖療法用具
10 カバー
20 開口部
30 シール手段
30a 吸引部用シール手段
31 把持部
300 貼付材
310 基材
320 粘着剤層
330 剥離シート
330a 張り出し部
340 支持体
40 吸引部
41 開口部
42 排出口具
42a 栓
42b 口具本体
45 供給部
50 ファスナー
B 身体
T 吸引チューブ
以下、本発明の実施形態に係る陰圧閉鎖療法用具及び陰圧閉鎖療法用具の使用方法について、図面を適宜参照して詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
(第1実施形態について)
図1は、本発明の陰圧閉鎖療法用具を示す概略説明図であって、(a)は平面図、(b)は(a)におけるX−X矢視断面図である。
なお、第1実施形態では、図1(a)の状態を基準に上下左右の方向を定めて説明するものとする。
≪陰圧閉鎖療法用具1について≫
まず本発明の陰圧閉鎖療法用具の構成について説明する。
図1(a)に示すように、陰圧閉鎖療法用具1は、主に、患部を覆うための袋状のカバー10と、患部をカバー10内に挿入するための開口部20と、カバー10を身体Bに固着するために開口部20に設けられたシール手段30と、カバー10の内部を吸引源に接続するための吸引部40と、を備えて構成されている。
<カバー10>
第1実施形態における袋状のカバー10は、患部を覆うためのものであって、例えば、縦38cm×横30cmの平面視矩形状に形成された2枚のフィルムの周縁を溶着することによって構成されている。
カバー10のフィルムとしては、液体と空気の不透過性材料であり、陰圧時や装着時に皮膚を痛めない程度の柔軟性と、カバーを装着したまま活動しても破れない剛性とを備えたものであることが好ましい。また、皮膚の蒸れを防ぎ、傷を湿潤状態に保つため、適度な水蒸気透過性(透湿度)を備えていることが好ましい。
具体的なフィルム材料としては、例えば、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・メタクリル酸重合体(EMAA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)等のオレフィン共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリビニルアルコール;ポリウレタン;等を用いることが好ましい。
これらの材料は、単一で使用してもよく、二種類以上を混合して使用してもよい。特にポリオレフィンもしくはその塩素化物、オレフィン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリエステル又はポリアミドを材料とするものがより好ましい。
フィルムの溶着方法としては、熱溶着、超音波溶着、高周波溶着によって溶着しても良いし、接着剤によって接着しても良い。
第1実施形態においては、フィルムの周縁のうち、左右の長辺縁部を熱溶着するとともに、上側短辺縁部に後記するファスナー50を設けることで、袋状のカバー10を形成している。
また、第1実施形態においては、カバー10全体が透明なポリエチレンシートで構成されている。しかし、これに限られるものではなく、一部又はすべてが不透明となっていても良い。なお、カバー10を透明にすることより、患部以外の患者の身体Bについても視野を確保できる。
さらに、第1実施形態においては、価格を安価にするためにカバー10を単層構造としているが、強度付与、防臭効果、酸素透過率の調整などの観点から多層構造としても良い。
<開口部20>
開口部20は、患部を袋状のカバー10内に挿入するための穴であって、カバー10の内部に連通している。第1実施形態においては、熱溶着されていないフィルムの下側短辺縁部が開口部20に該当する。
なお、患部をカバー10内に入れる際に操作しやすければ、開口部20の幅は特に限定されるものではなく、また、上側短辺縁部を除くフィルムの3辺を熱溶着により溶着した後、切り欠くことで新たに開口部20を設けても良い。
<シール手段30>
シール手段30は、カバー10を身体Bに固着するために開口部20に設けられたものである。第1実施形態におけるシール手段30は、図1(b)に示すように、2枚の貼付材300によって構成されている。
[貼付材300]
第1実施形態においては、貼付材300としては、図1(b)に示すように、基材310と、基材310の一面に形成された粘着剤層320と、粘着剤層320の表面に設けられた剥離シート330と、基材310の他面に仮着され、基材310よりも剛性の高い支持体340と、から構成されている。
第1実施形態においては、図1に示すように、貼付材300は、上下幅方向の約上半分を使ってカバー10に固着されている。この場合、剥離シート330には、上下幅方向に2分割できるような図示しない切込みが設けられており、上半分の剥離シート330を剥がすことによって、上半分の粘着剤層320を露出させ、この露出した粘着剤層320を介して、カバー10に貼付材300の上半分を固着する。また、貼付材300の左側縁部で粘着剤層320同士を貼り合わせる事によって、把持部31が形成されている。
なお、カバー10と貼付材300との粘着力を高めるために、両面テープを介してカバー10に貼付材300を固着しても良い。
また、貼付材300は、カバー10の外側表面に固着されていても良いし、内側表面に固着されていても良い。
[基材310]
第1実施形態における基材310の形態としては、プラスチックフィルム、不織布、編布、織布等の繊維シート、フォームシート、紙等が挙げられ、これらの基材を単独で使用してもよいし、同一又は異なる種類の形態の基材をラミネートした積層構造の基材を使用してもよい。
プラスチックフィルムの材料としては、例えば、ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・メタクリル酸重合体(EMAA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)等のオレフィン系共重合体;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン;シリコーン;等をあげることができる。
より好ましくは、水蒸気透過性が良好で、不感蒸散等を妨げることが少ないポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド等が好ましい。
なお、これらの材料は、単一で使用してもよく、二種類以上を混合して使用してもよい。
繊維シートの材料としては、例えば、綿、ビスコースレーヨン、ポリノジック、銅アンモニアレーヨン、リヨセル等のセルロース系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維等を利用できる。
これらの材料は、単一で使用してもよく、二種類以上を混紡して使用してもよい。
フォームシートの材料としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、アクリル、クロロプレンゴム、シリコーン等をあげることができる。
紙としては、従来から知られている上質紙、クラフト紙、グラシン紙、コート紙等が使用できる。
基材310の厚さとしては、10〜150μmの範囲が好ましく、特に15〜75μmの範囲がより好ましい。厚さが10μmより薄いと、基材310の強度が十分でなく、使用時に繰り返し摩擦によって破れる可能性がある。また、厚さが150μmより厚いと、嵩高になり身体Bに貼付したときに違和感が生じ、特に曲面部位への追従性が悪くなる恐れがある。
本発明において用いる基材310の形態としては、貼付部位、すなわち身体Bに追従し得る柔軟性、伸縮性を有し、貼付部の観察が容易な透明又は半透明のプラスチックフィルムが好ましい。
[粘着剤層320]
第1実施形態における粘着剤層320としては、種々の感圧性粘着剤が使用でき、例えばアクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ビニルエーテル系、天然ゴム系、合成ゴム系等の感圧性粘着剤が挙げられる。なかでも、アクリル系、シリコーン系が好ましい。
また、これらの感圧性粘着剤に、カルボキシメチルセルロース、カラヤガム、ペクチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム等の親水性高分子化合物を加えた、いわゆるハイドロコロイド粘着剤を使用することがより好ましい。
ハイドロコロイド粘着剤を使用することにより、汗や創傷からの滲出液等を吸収することができ、蒸れによるカブレや掻痒感を軽減することができる。
粘着剤層320は、その厚さが5〜500μmであることが好ましく、5〜200μmであることがより好ましい。また、粘着剤層320の塗工重量は、10〜500g/m2の範囲が好ましく、20〜150g/m2の範囲がより好ましい。
粘着剤層320の厚さ、塗工重量がこの範囲内にあることにより、貼付時に適度な粘着力を示し、皮膚に対する密着性及び追従性にも優れ、良好な透湿度を得ることができる。
[剥離シート330]
本発明に用いられる剥離シート330としては、公知の剥離紙、剥離フィルムが利用でき、紙やフィルムの表面にシリコーン樹脂処理やフッソ樹脂処理等を施したものを利用できる。
[支持体340]
第1実施形態にかかる支持体340としては、基材310を貼付するときに基材310のしわ発生を防止する程度の硬さを有するものであればよく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステル等のプラスチック材料、紙、不織布等が利用できる。
この支持体340は、基材310の貼付時に基材310を定型状態に維持できれば必ずしも基材310の上面の全面を覆う必要はなく、例えば、基材310の周縁部だけを窓枠状に被覆し、基材310の中央部は被覆しない形態にすることもできる。
なお、支持体340を基材310に仮着する方法としては、接着、熱圧着、共押し出しによる仮着等、公知の方法を使用することができる。
図1(b)に示すように、第1実施形態における剥離シート330は、粘着剤層320の右側縁部から粘着剤層320同士が張り合わされた左側縁部に向かって設けられている。そして、剥離シート330は、粘着剤層320同士が張り合わされた側(すなわち、貼付材300の長手方向の一端)で折り返され、折り返された剥離シート330の端部が、粘着剤層320の右側縁部に向かって延伸し、粘着剤層320の右側縁部(すなわち、貼付材300の長手方向の他端)から張り出している。
また、向かい合う貼付材300においても、水平面を基準として鏡像対称に剥離シート330が設けられている。
ここで、張り出した剥離シート330の端部が、張り出し部330aを構成している。
張り出し部330aの左右幅方向の長さとしては、5mmから50mm程度が好ましく、より好ましくは10mmから30mmである。
なお、剥離シート330は、粘着剤層320を上下同じように被覆するように水平面を基準として鏡像対称になっていることが好ましいが、これに限られるものではなく、適宜変更可能である。
なお、シール手段30に用いられる貼付材300としては、身体Bへの追従性、透湿性、気密性、粘着剤の皮膚に対する安全性のうち、透湿性、気密性、安全性を確保できるものであれば特に限定されるものではない。
また、貼付材300は、第1実施形態に示した構成に限られるものではなく、基材310と、基材310の一面に形成された粘着剤層320と、粘着剤層320の表面に設けられた剥離シート330と、を少なくとも備えるものであれば特に限定されるものではない。
<吸引部40>
吸引部40は、カバー10の内部を吸引源に接続するためのものであり、図1(a)に示すように、カバー10の右側長辺縁部であって、カバー10の上下幅方向の中央よりも上側に設けられている。
また、第1実施形態にかかる吸引部40は、カバー10の内部に連通する開口部41と開口部41を覆うように設けられた吸引部用シール手段30aとで構成されている。この吸引部用シール手段30aの構成は、寸法は異なるものの、前記シール手段30と同様の構成とすることができる。
第1実施形態においては、カバー10の形成の際に、フィルムの右側長辺縁部の一部を熱溶着しないことによって開口部41を形成しているが、これに限られるものではなく、上側短辺縁部を除くフィルムの3辺を熱溶着により溶着した後に、切り欠くことで新たに開口部41を設けても良い。
なお、第1実施形態においては、吸引源に接続するためのチューブが挿通できれば、開口部41の形状、大きさ及び位置は特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
第1実施形態にかかる陰圧閉鎖療法用具1は、さらに次のようなファスナー50を備える構成とすることが好ましい。
<ファスナー50>
気密性のファスナー50は、シール手段30によって、カバー10を身体Bに固定した後であっても、このファスナー50を開口することにより、患部の処置を行いやすくするためのものである。
第1実施形態においては、フィルムの上側短辺縁部に設けられているが、これに限られるものではなく、左右の長辺縁部に設けても良い。
また、ファスナー50としては、気密性、再封止可能であるものであれば、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、突起と溝をスライドして係合させるもの、粘着テープ、面ファスナー等があげられる。
なお、第1実施形態おいては、ファスナー50をフィルムの上側短辺縁部に設けたが、これに限られるものではなく、フィルムの中央に設けても良い。これにより、創傷上にファスナー50がくるため、カバー10を皮膚に固着した場合であっても患部の処置を行うことができる。
また、第1実施形態にかかる陰圧閉鎖療法具1は、さらにファスナー開口保持部材(図示せず)を備える構成とすることが好ましい。
ここで、ファスナー開口保持部材は、ファスナー50を開いた際にファスナー50の開口の形状を維持するための部材であって、例えば、上下1cm×左右16cmの細長い平面視矩形状をした部材である。
具体的には、ファスナー50の直下であって、左右幅方向にわたって設けられており、ファスナー50の上側及び下側にそれぞれ1つずつ設けられている構成が好ましい。
また、本実施形態におけるファスナー開口保持部材は、粘着剤を介して着脱自在にファスナー50の周囲に設けられるように構成されているが、これに限られるものではなく、接着、粘着、溶着等の固定手段により設置してもよいし、ファスナー開口保持部材の上から粘着テープで被覆して固定してもよい。
≪陰圧閉鎖療法用具1の使用方法≫
次に、身体Bとして、手に患部がある場合を例にとって、陰圧閉鎖療法用具1の使用方法について図1及び図2を参照しながら説明する。図2は、図1におけるX−X矢視断面図であって、シール手段30によってカバー10を身体Bに固着するための方法を段階的に示した図である。
まず、患部に対して、傷を覆うための吸収パッドを配置する。そして、その上に吸引チューブの一端を置き、他端を吸引部40の開口部41から引き出し、吸引ポンプに接続する(図示せず)。
前記吸収パッドを患部上に配置することにより、減圧時に発生するカバー10からの物理刺激を緩和するため適度なクッションとしての役割を果たすと共に、滲出液を効率よく吸収する。また、多孔質であることにより、均一な減圧を行うことができる。さらに、陰圧下ではカバー10のフィルム同士がくっついてしまう場合があり、吸引チューブにより効率よく吸引作業を行うことができないが、吸収パッドを設けることにより空間を確保できるため、効率よく吸引作業を行うことができる。
ここで、吸収パッドとしては、編布、織布、不織布などの繊維材料、フォーム材料等を用いることができる。また、繊維材料、フォーム材料としては、前記貼付材300の基材310と同様の材料を利用できる。
なお、吸引チューブは吸収パッドの上もしくは患部近傍に配置するこが好ましいが、滲出液の吸引及び患部を好適な陰圧下における位置であれば、吸引チューブの位置は特に限定されるものではない。
また、吸引チューブとしては、複数の開口をチューブ側面に設けたものを用いても良い。
次に、患部を開口部20からカバー10内に挿入し、カバー10を身体Bに固着する。
より詳しくは、医療従事者は、患部をカバー10内に挿入した後、把持部31を摘みながら、貼付材300の片側から張り出している張り出し部330aを引っ張り、徐々に剥離シート330を粘着剤層320から剥がしていく(図2(a)参照)。
このとき、カバー10又はシール手段30に患部又は身体Bの載置目印(図示せず)を設けておくことによって、患部を適正な位置に導くことができる。載置目印は、例えば、手の上下左右の適正位置範囲を表示するマーキングとし、マーキングの形態は、必要に応じて、単純な線状マークや図形状マークなど種々のものが採用できる。
図1(a)に示すように、第1実施形態にかかるシール手段30は、貼付材300の右側縁部から剥離シート330が張り出した張り出し部330aを備えているので、剥離シート330を摘みやすい。
また、図1(b)に示すように、剥離シート330は、水平面を基準に鏡像対称に設けられているので、それぞれの剥離シート330の張り出し部330aを同時に引っ張ることができる。これにより、鏡像対称に設けられた剥離シート330を同じように剥がすことができるので、医療従事者一人でも、簡単に貼付でき、作業性の向上をはかることができる。
医療従事者は、露出した粘着剤層320同士を空気が入らないように貼付材300をしごくようにして張り合わせながら、引き続き剥離シート330を徐々に引っ張って剥がす。(図2(b)参照)。
このようにすることで、粘着剤層320を身体Bに徐々に密着させながら剥離シート330を剥がしていくことができるので、皺の発生を防止することができる。
そして、最終的に、剥離シート330を全て取り除き、腕を包むように密着させることで、カバー10を身体Bに密着させることができる(図2(c)参照)。その後、仮着してあった支持体340を取り除くことにより(図2(d)参照)、身体Bへの追従性を良好にさせることができる。
以上のように身体Bに固着させることで、皺の発生を防止できるとともに、気密性を確保することができる。また、一度に剥がした場合のように、予期せぬ個所で粘着剤層320同士がくっつくような虞もない。これにより、貼り直しに伴うコストの増加を抑えることができる。
さらに、従来は、フィルムを手足の太さに合わせて折り畳んだ後に粘着テープによって密閉した場合においては、フィルムの厚さや場所などによって、うっ血や痛みが発生していた。また、輪ゴムで止めた場合においては、血流が止まってしまい、早期治癒の妨げとなっていた。
しかしながら、第1実施形態のように、シール手段30によって身体Bにカバー10を固着することで、うっ血や痛みの発生を防止し、また早期治癒の妨げとなることもない。
次に、吸引部40の開口部41から引き出された吸引チューブも同様にして、吸引部用シール手段30aにより開口部41を密閉する。
なお、ここで「密閉」とは、吸引ポンプにより吸引した際に、カバー10内を周囲よりも低い圧力に維持できる程度に十分な気密性があることを意味し、完全に密閉できなくても良い。
第1実施形態においては、吸引チューブの長さを十分に調節してから吸引部用シール手段30aにより固着することができるので、吸引チューブの長さが足りなくなるという虞もない。また、吸引チューブの周囲を包むように密着させることができるので、気密性を確保することもできる。
そして、引き出された吸引チューブの他端を吸引ポンプ(図示せず)につなぎ、吸引を行う。このときの陰圧としては、大気圧から125mmHg程度減圧することが好ましいが、これに限られるものではなく適宜医療従事者の判断により変更可能である。
また、一時的に陰圧を解放し、吸収パッドの取替えや患部の処置を行う際は、ファスナー50(図1(a)参照)を開けて、カバー10をたくし上げることにより容易に行うことができる。
このとき、カバー10を蛇腹状にすることでたくし上げやすくすることができる。
これにより、カバー10をたくし上げた際に、カバー10の内面が外部のものに触れることがないので、カバー10の内面が汚染されることを防止できる。また、カバー10の内部が汚染されている場合には、カバー10をたくし上げることで、内部の汚染が外部に拡大するのを防止できる。
さらに、一度取り付けた陰圧閉鎖療法用具を、吸収パッドの取替えや患部の処置を行う度に交換する必要がないため、経済的である。
なお、第1実施形態においては、ファスナー50をフィルムの中央に設け、ファスナー開口保持部材を備えた構成としても良い。
このとき、ファスナー開口保持部材は、カバー10のフィルム材質よりも硬いため(コシがあるため)、ファスナー50の開口形状を容易に保持することができる。
これにより、ファスナー50の開口形状を保持することができるので、両手で傷の処置を行ったり、患部の診察を行いやすくしたりすることができる。
ファスナー開口保持部材の形状としては、矩形状、線状、波線形状など適宜変更可能である。
ファスナー50をフィルムの中央に設けた陰圧閉鎖療法用具1の使用方法は、患部を開口部20からカバー10内に挿入し、シール手段30によってカバー10を身体Bに固着する。そして、フィルムの中央に設けたファスナー50を開き、吸収パッド創傷上に配置する。
患部上に吸収パッドを配置した後、一端が吸引源に接続された吸引チューブの他端を、吸引部40の開口部41から引き入れ、吸収パッドの上に置く。そして、ファスナー50を閉じる。このとき、ファスナー50とファスナー開口保持部材とを指で押圧することによって、ファスナー50を密閉して閉鎖することができる。
その後は、前記した通りである。
(第2実施形態について)
前記第1実施形態では、四肢の末端用の陰圧閉鎖療法用具1について説明したが、図3に示す第2実施形態にかかる陰圧閉鎖療法用具1aは、開口部20を2つ設けることによりスリーブ状とすることができる。これにより、膝や肘などの関節における患部に対しても使用可能である。
以下、スリーブ状の陰圧閉鎖療法用具1aについて、図3を参照して説明する。
図3に示すように、第2実施形態は、第1実施形態における構造とほとんど変わらないが、開口部20を上下の短辺縁部に設け、それぞれにシール手段30を備えていることを特徴とする。また、ファスナー50を左側長辺縁部に設けている。
かかる構成とすることで、肘や膝などの関節域に対してのみ使用することができるので、手や足の先までカバーで覆う必要がない。これにより、患部ではない手や足についての動作を制限することがないため、患者の負担を軽減できる。
また、ファスナー50を左側長辺縁部に設けているので、陰圧を一時的に解除し、陰圧閉鎖療法用具1aを装着したまま、吸収パッドの交換や患部の処置ができる。これにより、一度取り付けた陰圧閉鎖療法用具1aを、吸収パッドの取替えや患部の処置を行う度に交換する必要がないため、経済的である。
次に、シール手段30の他の実施形態について説明する。
図4は、図1のX−X矢視断面図である図1(b)に相応する異なる実施形態の断面図である。
なお、図4に示すシール手段の変形例は、前記第1の実施形態及び第2の実施形態におけるシール手段30や、吸引部用シール手段30aとして、適宜使用できる。
図4(a)は、2枚の貼付材300を用いたシール手段であって、粘着剤層320の略中央で剥離シート330を折り返し、折り返した剥離シート330の端部を貼付材300の両端部から張り出させている。これにより、張り出し部330aを両端に備えた構成となっている。また、向かい合う貼付材300においても、水平面を基準として鏡像対称に剥離シート330が設けられている。
かかる構成においては、剥がさない剥離シート330側の支持体340同士を指で挟んで摘み、他方側の剥離シート330を、張り出し部330aで引っ張ることにより、簡単に剥離シート330を剥がすことができる。なお、剥がさない剥離シート330側が、把持部に相当する。
このような構成とすることで、身体(例えば、腕)を貼付材300のほぼ中央に容易に固定することができる。
図4(b)は、一枚の貼付材300を折り曲げて用いた場合のシール手段の構成を示す。
より詳細には、貼付材300は、粘着剤層320同士が向き合うようにU字状に折り曲げられている。そして、剥離シート330は、粘着剤層320の端(本図においては右側)から折り曲げられた部分(本図においては左側)に向かって設けられている。そして、剥離シート330は、折り曲げられた部分で折り返され、折り返された剥離シート330の端部が、粘着剤層320の端に向かって延伸し、粘着剤層320の端(すなわち、貼付材300の長手方向の端)から張り出している。ここで、張り出した剥離シート330の端部が、張り出し部330aを構成している。
なお、向かい合う粘着剤層320においても、水平面を基準として鏡像対称に剥離シート330が設けられている。
このような構成にすることで、シール手段30を1枚の貼付材300で構成することができるので、製作部品数及び製作工程数を削減することができる。これにより、製造コストを削減することができる。
なお、図4(b)に示すように、あらかじめ貼付材300の中央の粘着剤層320同士を張り合わせて把持部31を形成しても良い。
また、前記のように、陰圧閉鎖療法用具にかかる他の実施形態としては、開口部20に設けたシール手段30の構成と、吸引部40の開口部41に設けた吸引部用シール手段30aの構成とは、同じ構成であっても良いし、図1及び図4に示した異なる形態のシール手段30の構成を組み合わせたものであっても良い。
本発明においては、前記シール手段30を備えた陰圧閉鎖療法用具1を、次のような態様で使用してもよい。
図5に示すように、吸引部40として、シール手段30a(図1参照)の代わりに排出口具42を設けてもよい。
ここで、排出口具42は、栓42aと口具本体42bとから構成されている。また、栓42aは口具本体42bから着脱自在となっている。また、口具本体42bとカバー10内に設けられた吸引チューブTとは、着脱自在に設けられている。
滲出液等は患部を適度な湿潤環境に保つことができるため、早期治癒に役立つが、過剰な滲出液等は雑菌等の繁殖の温床となってしまうため、早期治癒の妨げとなることが知られている。
そこで、図5に示す構成とすることで、滲出液等の量が多いときは陰圧閉鎖療法用具として使用し、滲出液等の量が少ないときは、カバー10内に設けられた吸引チューブTを外して排液管理用具として使用することができる。
陰圧閉鎖療法を施す際においては、吸引源と接続されたカテーテルを、コネクターを介して口具本体42bと接続することによって、過剰な滲出液を排除することができる。
一方、排液管理用具として使用する際においては、排出口具本体42bに直接チューブの一端をつなぎ、他端に排液バッグを接続することで、自然落下によって、カバー10内の滲出液等を図示しない排液バッグに導く構造とすることもできる。なお、排液バッグを接続しない場合には、排出口具42の栓42aを排出口具本体42bから外すことで、カバー10内に溜まった滲出液等を外部に排出することができる。
また、褥瘡等は、壊死した組織からは滲出液の滲出が起こらず、患部を湿潤環境に保つことができない。そのため、治癒が促進されないといった問題がある。
そこで、壊死組織を手術によって除去した後、傷用手当用具に患部を入れ、湿潤環境を維持することで治癒の促進を図ることができる。
湿潤環境を作り出す方法としては、図5に示すように、吸引部40と供給部45を設け、供給部45から生理食塩水や薬剤等の流体を供給し、吸引部40から流体を吸引・排出する構成にすることで、湿潤環境を作り出すことができる。なお、図5に示す構成において、吸引部40と供給部45は同じ構成となっているため、供給部45の説明は省略する。
これにより、排液量が多い場合には吸引部40から排液を吸引・排出し、患部が乾いている場合には、供給部45から生理食塩水等の流体を供給し、湿潤環境を作り出すことも可能である。また、生理食塩水等を流すことによって、壊死した組織を洗い流すことができるので、早期治癒を図ることができる。
さらに、吸引した流体をフィルターなどを使って濾過除菌することにより、再度同じ流体を創傷に供給しても良い。かかる構成とすることで、流体中に含まれた死滅した組織などを除去すると共に、流体中に含まれた細胞増殖因子などを再度患部に供給することができるので、創傷治癒を促進することができるものと考えられる。
このとき、流体を加温して供給してもよい。
なお、陰圧閉鎖療法用具1に供給部45を設ける以外にも、吸引部40に複数本のカテーテルを挿入することで、対応しても良い。また、流体とは液体に限られるものでなく、必要に応じてミスト等の気体であってもよい。
図5に示す構成においては、吸引チューブTと排出口具42を接続する間に逆流防止弁を設ける構成としてもよい。これにより、吸引源によって吸引した後に、吸引源を取り外しても、カバー10内を陰圧に保つことができる。
また、陰圧閉鎖療法を行う際、関節などが硬直しないようにカバー10内でリハビリできることが好ましい。
例えば、吸引部40の排出口具本体42bを栓42aで閉じ、供給部45から流体を供給する。これにより、カバー10内を加圧することができる。そして、カバー10内を加圧した状態で維持することにより、カバー10がリハビリの際の動きを阻害せず、リハビリを行いやすくすることができる。
なお、リハビリ時のカバー内の圧力としては、大気圧または陽圧であることが好ましい。
また、本発明においては、皮膚組織灌流圧測定器を用いることにより吸引源の吸引圧を調整する構成としても良い。本発明においては、カバー10内を減圧することによって、患部以外の身体にカバー10が貼りつくことによって、血流が阻害される虞がある。かかる場合には、血流に応じて吸引圧を調整することが好ましい。例えば、よく知られた下記式(1)によって灌流量が0.1%を超えるように、吸引圧を弱めるか、または吸引を止める構成とすることが好ましい。
灌流量=(ドプラーシフト量)/(全レーザー光) (1)
ここで、灌流量とは皮膚微小循環の灌流量のことである。この皮膚微小循環の灌流量は、レーザードプラセンサーにより、皮膚表面化1.5mmまでに存在する赤血球の動きとして検出する。
原理としては、レーザー光を照射すると、レーザー光が微小循環を流れる赤血球によってドプラーシフト(現象)を伴って反射することを利用する。反射されたレーザー光全体に対するこのドプラーシフトしたレーザー光の割合を、皮膚微小循環灌流量として皮膚灌流圧(SPP)の指標にする。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、吸引部をカバー面上に設け、そこに公知のカテーテルコネクターを設ける構成としても良い。カテーテルコネクターを用いることにより、使用時においてもカテーテルコネクターにおいて調整できる。
また、陰圧閉鎖療法用具や排液管理用具としての使用に限られるものではなく、広く創傷管理用具として使用することもできる。さらに、吸引部やファスナーを備えていないカバーの開口部に前記シール手段を設けることにより、入浴時などに患部が水に濡れることを防止するための防水カバーとして使用することもできる。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、陰圧閉鎖療法用具において、粘着剤層を、皺を発生させることなく容易に身体に密着して貼付することができる。したがって、外気の流入を防止することができるので、好適な陰圧を保つことができる。
また、陰圧閉鎖療法用具を使用する際に、粘着剤層から剥離シートを徐々に剥がすことができるので、粘着剤層同士が意図しない個所で接着することがない。したがって、作業性がよく、一人でも取り扱うことができる。
さらに、貼り直しに伴うコストの増加を抑えることができる。なお、本発明は、上記陰圧閉鎖療法用具以外に、前述の陽圧閉鎖療法用具、排液管理用具等にも利用できる。

Claims (5)

  1. 患部を覆うための袋状のカバーと、前記患部を前記カバー内に挿入するための開口部と、前記カバーを身体に固着するために前記開口部に設けられたシール手段と、前記カバーの内部を吸引源に接続するための吸引部と、を備える陰圧閉鎖療法用具において、
    前記シール手段は、基材と、前記基材の一面に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面に設けられた剥離シートと、を少なくとも備える貼付材を前記粘着剤層同士が向き合うように配置した構造であり
    前記剥離シートは、一端が折り返され、折り返された剥離シート一部が前記粘着剤層から張り出していることを特徴とする陰圧閉鎖療法用具。
  2. 患部を覆うための袋状のカバーと、前記患部を前記カバー内に挿入するための開口部と、前記カバーを身体に固着するために前記開口部に設けられたシール手段と、前記カバーの内部を吸引源に接続するための吸引部と、を備える陰圧閉鎖療法用具において、
    前記シール手段は、基材と、前記基材の一面に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面に設けられた剥離シートと、を少なくとも備える貼付材を前記粘着剤層同士が向き合うように配置した構造であり、
    前記粘着剤層は、少なくとも2枚の前記剥離シートによって覆われており、
    前記剥離シートは、一端が折り返され、折り返された剥離シートの一部のみが前記粘着剤層から張り出していることを特徴とする陰圧閉鎖療法用具。
  3. 前記袋状のカバーがスリーブ状であることを特徴とする請求項1または2に記載の陰圧閉鎖療法用具。
  4. 患部を覆うための袋状のカバーに用いるシール手段であって、
    前記シール手段は、基材と、前記基材の一面に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面に設けられた剥離シートと、を少なくとも備える貼付材を前記粘着剤層同士が向き合うように配置した構造であり
    前記剥離シートは、一端が折り返され、折り返された剥離シート一部が前記粘着剤層から張り出していることを特徴とするシール手段。
  5. 患部を覆うための袋状のカバーに用いるシール手段であって、
    前記シール手段は、基材と、前記基材の一面に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面に設けられた剥離シートと、を少なくとも備える貼付材を前記粘着剤層同士が向き合うように配置した構造であり、
    前記粘着剤層は、少なくとも2枚の前記剥離シートによって覆われており、
    前記剥離シートは、一端が折り返され、折り返された剥離シートの一部のみが前記粘着剤層から張り出していることを特徴とする陰圧閉鎖療法用具。
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