CATVシステムでは、受信点装置(ヘッドエンド)で受信したテレビ信号を伝送する際、高品位の同軸ケーブルにより一定の間隔でCATV伝送用増幅器(幹線増幅器)を多段にカスケードに接続し、該増幅器で信号を増幅しながら加入者端末が集合するエリアまで伝送している(例えば、特許文献1参照。)。
既設の施設において、例えば製品寿命や故障、あるいは伝送帯域の拡張などでCATV伝送用増幅器を交換する場合がある。
上記CATV伝送用増幅器において、幹線出力と分岐出力を備えた幹線分岐増幅器、または幹線出力と分配出力を備えた幹線分配増幅器の端子仕様は、図7(a)〜(d)に示すようにメーカーによって種々のものが使用されている。
図7(a)は、1つの幹線入力を1つの幹線出力と、4つの分岐出力とする幹線・分岐型(1)の例を示している。
図7(b)は、1つの幹線入力を1つの幹線出力と、2つの分岐出力とする幹線・分岐型(2)の例を示している。
図7(c)は、1つの幹線入力を5つの分岐出力とする分岐型の例を示している。
図7(d)は、1つの幹線入力を3つの3つの幹線出力に分配する幹線分配型の例を示している。
上記のように幹線分岐増幅器や幹線分配増幅器の端子仕様は、複数の出力端子が存在し、接続する端子に応じて出力レベルや信号品質(歪み特性や雑音特性)が異なり、メーカーによって種々のものが使用されているが、多くは図8(a)に示す端子仕様1と、同図(b)に示す端子仕様2の2種類に分けられる。なお、図8は幹線分岐増幅器10の端子仕様を示しているが、幹線分配増幅器においても同様である。
図8(a)に示す幹線分岐増幅器10の端子仕様1は、ケース本体の左側に入力端子11と第1の分岐出力端子13aが設けられ、右側に幹線出力端子12と第2の分岐出力端子13bが設けられている。この場合、入力端子11とケース本体の左右対称の位置に幹線出力端子12が設けられる。また第1の分岐出力端子13aとケース本体の左右対称の位置に第2の分岐出力端子13bが設けられる。
図8(b)に示す幹線分岐増幅器10の端子仕様2は、ケース本体の左側に入力端子11と第1の分岐出力端子13aが設けられ、右側に第2の分岐出力端子13bと幹線出力端子12とが設けられている。この場合、入力端子11とケース本体の左右対称の位置に第2の分岐出力端子13bが設けられ、第1の分岐出力端子13aとケース本体の左右対称の位置に幹線出力端子12が設けられる。すなわち、図8(b)に示す幹線分岐増幅器10の端子仕様2は、上記端子仕様1に対して幹線出力端子12と第2の分岐出力端子13bの位置が入れ替わっている。
国内のメーカーでは、現在、幹線分岐増幅器10として図8(a)に示す端子仕様1を採用しているが、海外メーカーなどでは、端子仕様2を採用している所もある。また、古い機器では、端子仕様2を採用している場合がある。
しかし、現在では、図8(b)に示す端子仕様2を採用しているメーカーが少なくなっている。このため端子仕様2の増幅器を元位置交換で改修、すなわちケーブルはそのまま使用して増幅器のみ交換する場合には、図8(a)に示した端子仕様1の増幅器を選択せざるを得ない場合が多く、幹線出力のケーブルと分岐出力のケーブルを交差して接続しなければならない状況となり、施工が複雑化し、ケーブルが届かず、ケーブルを引き直さなければならないという問題が生じている。
このような問題を解決するため、従来では、上記図8(a)に示した端子仕様1の幹線分岐増幅器10において、図9に示すように幹線増幅部14及び分岐増幅部15の出力側に切替手段16を設け、この切替手段16により、幹線増幅部14で増幅された幹線信号を幹線出力端子12に出力し、分岐増幅部15で増幅された分岐信号を第2の分岐出力端子13bに出力する端子仕様1と、幹線増幅部14で増幅された幹線信号を第2の分岐出力端子13b側に出力し、分岐増幅部15で増幅された分岐信号を幹線出力端子12側に出力する端子仕様2とに切替えられるように構成している。
この場合、上記切替手段16としては、
(1)挿入型切替プリント基板を1枚使用し、基板を差し替えて回路を切替えるもの。
(2)挿入型切替プリント基板を複数枚使用し、基板を差し替えて回路を切替えるもの。
(3)電子スイッチを使用して回路を切替えるもの。
(4)機械式スイッチ、例えばスライドスイッチを4個使用して回路を切替えるもの。
等が考えられる。
上記(1)の挿入型切替プリント基板を1枚使用し、基板を差し替えて回路を切替えるものは、使い勝手は良いが幹線出力と分岐出力とのアイソレーション確保が困難である。
上記(2)の挿入型切替プリント基板を複数枚使用し、基板を差し替えて回路を切替えるものは、幹線出力と分岐出力とのアイソレーションを確保できるが、構成が複雑になり、材料費が高価になる。
上記(3)の電子スイッチを使用して回路を切替えるものは、高レベルの信号を切替えるには高価なスイッチ素子が必要となり、また、スイッチ素子を駆動するスイッチ回路が別途必要になると共に歪みを生じ易い。
上記(4)のスライドスイッチを4個使用して回路を切替えるものは、スイッチの数が多くなるが、スイッチ1個当りの単価が安く、また、各スイッチを一定値以上の間隔で配置することにより、幹線出力と分岐出力とのアイソレーションを確保できる。
図10は切替手段16として、スライドスイッチを4個使用した切替回路20により端子仕様を切替える場合の回路構成を示したもので、(a)は端子仕様1となるようにスライドスイッチを切替えた場合の回路状態、(b)は端子仕様2となるようにスライドスイッチを切替えた場合の回路状態を示している。
図10に示す切替回路20は、第1の入力端子21、第2の入力端子22、第1の出力端子23、第2の出力端子24、及び第1〜第4のスライドスイッチ25a〜25dを備えている。上記第1の入力端子21には、図9に示した幹線分岐増幅器10の幹線増幅部14で増幅された幹線信号が入力され、第2の入力端子22には分岐増幅部15で増幅された分岐信号が入力される。また、第1の出力端子23は、幹線分岐増幅器10における幹線出力端子12に接続され、第2の出力端子24は第2の分岐出力端子13bに接続される。
上記第1〜第4のスライドスイッチ25a〜25dは、固定接点a1、b1、c1及び可動接点D1からなる第1の回路と、固定接点a2、b2、c2及び可動接点D2からなる第2の回路を備え、可動接点D1、D2を上側の固定接点a1、a2側に切替えた場合は、固定接点a1−b1間及び固定接点a2−b2間を接続し、可動接点D1、D2を下側の固定接点c1、c2側に切替えた場合は、固定接点b1−c1間及び固定接点b2−c2間を接続する。
上記第1のスライドスイッチ25aは、固定接点a1、b2が第1の入力端子21に接続され、固定接点c1、a2が接地される。第1のスライドスイッチ25aの固定接点b1は第2のスライドスイッチ25bの固定接点b2に接続され、第1のスライドスイッチ25aの固定接点b2は第4のスライドスイッチ25dの固定接点b1に接続される。
また、第2のスライドスイッチ25bは、固定接点c1、a2が第1の出力端子23に接続され、固定接点a1、c2が接地される。
第3のスライドスイッチ25cは、固定接点c1、a2が第2の入力端子22に接続され、固定接点a1、c2が接地される。また、第3のスライドスイッチ25cの固定接点b2は第2のスライドスイッチ25bの固定接点b1に接続され、第3のスライドスイッチ25cの固定接点b1は第4のスライドスイッチ25dの固定接点b2に接続される。
第4のスライドスイッチ25dは、固定接点a1、c2が第2の出力端子24に接続され、固定接点c1、a2が接地される。
上記のように構成された切替回路20は、端子仕様1の状態とする場合には、図10(a)に示すように第1のスライドスイッチ25a及び第2のスライドスイッチ25bの可動接点D1、D2を上側の固定接点a1、a2側に切替え、第3のスライドスイッチ25c及び第4のスライドスイッチ25dの可動接点D1、D2を下側の固定接点c1、c2側に切替える。
第1〜第4のスライドスイッチ25a〜25dを図10(a)に示したように切替えた場合、幹線増幅部14から第1の入力端子21に入力された幹線信号は、矢印C1で示すように第1のスライドスイッチ25aの固定接点a1−b1を通り、更に第2のスライドスイッチ25bの固定接点b2−a2を通って第1の出力端子23から幹線出力端子12へ出力される。
また、分岐増幅部15から第2の入力端子22に入力された分岐信号は、矢印C2で示すように第3のスライドスイッチ25cの固定接点c1−b1を通り、更に第4のスライドスイッチ25dの固定接点b2−c2を通って第2の出力端子24から第2の分岐出力端子13bに出力される。
この結果、第1の入力端子21に入力された幹線信号は第1の出力端子23から出力され、第2の入力端子22に入力された分岐信号は第2の出力端子24から出力されるようになり、図9の幹線分岐増幅器10は、端子仕様1の状態に切替えられる。
また、上記幹線分岐増幅器10を端子仕様2の状態となるように切替回路20を切替える場合には、図10(b)に示すように第1のスライドスイッチ25a及び第2のスライドスイッチ25bの可動接点D1、D2を下側の固定接点c1、c2側に切替え、第3のスライドスイッチ25c及び第4のスライドスイッチ25dの可動接点D1、D2を上側の固定接点a1、a2側に切替える。
第1〜第4のスライドスイッチ25a〜25dを図10(b)に示したように切替えた場合、幹線増幅部14から第1の入力端子21に入力された幹線信号は、矢印C1で示すように第1のスライドスイッチ25aの固定接点c2−b2を通り、更に第4のスライドスイッチ25dの固定接点b1−a1を通って第2の出力端子24から第2の分岐出力端子13b側へ出力される。
また、分岐増幅部15から第2の入力端子22に入力された分岐信号は、矢印C2で示すように第3のスライドスイッチ25cの固定接点a2−b2を通り、更に第2のスライドスイッチ25bの固定接点b1−c1を通って第1の出力端子23から幹線出力端子12に出力される。
すなわち、第1〜第4のスライドスイッチ25a〜25dを図10(b)に示したように切替えた場合には、第1〜第4のスライドスイッチ25a〜25dがクロスした状態に接続され、幹線増幅部14から第1の入力端子21に入力された幹線信号は、第2の出力端子24から幹線出力として第2の分岐出力端子13bへ出力され、また、分岐増幅部15から第2の入力端子22に入力された分岐信号は、第1の出力端子23から分岐出力として幹線出力端子12側に出力される。この結果、上記幹線分岐増幅器10は、端子仕様2の状態に切替えられる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るCATV伝送用増幅器、例えば幹線分岐増幅器(トランクアンプ)において、端子仕様1と端子仕様2とを切替える切替回路30の回路構成図である。この切替回路30は、図9に示した幹線分岐増幅器における切替手段16に対応している。
上記切替回路30は、第1の入力端子31、第2の入力端子32、第1の出力端子33、第2の出力端子34、及び4個の機械式スイッチ例えば第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dを備えている。上記第1の入力端子31には、図9に示した幹線分岐増幅器10の幹線増幅部14で増幅された信号が入力され、第2の入力端子32には分岐増幅部15で増幅された信号が入力される。また、第1の出力端子33は、上記幹線分岐増幅器10における幹線出力端子12に接続され、第2の出力端子34は第2の分岐出力端子13bに接続される。
上記第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dは、固定接点a1、b1、c1及び可動接点D1からなる第1の回路と、固定接点a2、b2、c2及び可動接点D2からなる第2の回路を備え、可動接点D1、D2を上側の固定接点a1、a2側に切替えた場合は、固定接点a1−b1間及び固定接点a2−b2間を接続し、可動接点D1、D2を下側の固定接点c1、c2側に切替えた場合は、固定接点b1−c1間及び固定接点b2−c2間を接続する。
上記第1の入力端子31は、コンデンサ41を介して第1のスライドスイッチ35aの固定接点a1、c2に接続される。この固定接点a1、c2には、直流電源E1が抵抗42及びチョークコイル43を直列に介して供給される。上記抵抗42とチョークコイル43との接続点は、コンデンサ44を介して接地される。また、第1のスライドスイッチ35aの固定接点c1、a2は、それぞれコンデンサ45、46を介して接地される。更に、第1のスライドスイッチ35aの固定接点b1は第2のスライドスイッチ35bの固定接点b2に接続され、第1のスライドスイッチ35aの固定接点b2は第4のスライドスイッチ35dの固定接点b1に接続される。
また、第2の入力端子32は、コンデンサ47を介して第3のスライドスイッチ35cの固定接点c1、a2に接続されると共に、チョークコイル48及び抵抗49を直列に介して例えばNPN形トランジスタ51のベースに接続される。上記チョークコイル48と抵抗49との接続点は、コンデンサ50を介して接地される。トランジスタ51は、エミッタが接地され、コレクタに直流電源E2が抵抗52を介して供給される。トランジスタ51のコレクタと接地間には、エラー表示ランプ例えば順方向接続の発光ダイオード(LED)53が設けられる。この発光ダイオード53は、第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dの切替操作が正しく行われたかどうかを表示するためのもので、端子仕様1または端子仕様2への切替操作が正しく行われた場合に消灯し、誤った操作が行われた場合に例えば赤色で点灯する。
上記第3のスライドスイッチ35cは、固定接点a1、c2がそれぞれコンデンサ54、55を介して接地される。また、第3のスライドスイッチ35cの固定接点b2は第2のスライドスイッチ35bの固定接点b1に接続され、第3のスライドスイッチ35cの固定接点b1は第4のスライドスイッチ35dの固定接点b2に接続される。
また、第2のスライドスイッチ35bは、固定接点a1、c2がそれぞれコンデンサ56、57を介して接地され、固定接点c1、a2がコンデンサ58を介して第1の出力端子33に接続される。
また、第4のスライドスイッチ35dは、固定接点c1、a2がそれぞれコンデンサ59、60を介して接地され、固定接点a1、c2がコンデンサ61を介して第2の出力端子34に接続される。
そして、第2のスライドスイッチ35bの固定接点c1、a2と第4のスライドスイッチ35dの固定接点a1、c2との間に、チョークコイル62、抵抗63、チョークコイル64の直列回路が設けられる。上記チョークコイル62と抵抗63との接続点及び抵抗63とチョークコイル64との接続点は、それぞれコンデンサ65、66を介して接地される。更に、抵抗63には、2つの端子仕様表示ランプ例えば第1の発光ダイオード67及び第2の発光ダイオード68が逆極性となるように並列に接続される。この2つの発光ダイオード67、68は、第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dの切替操作によって端子仕様1、2の何れが選択されたかを表示するためのもので、端子仕様1が選択された場合は第1の発光ダイオード67が例えば緑色で点灯し、端子仕様2が選択された場合は第2の発光ダイオード68が緑色で点灯する。
上記の構成において、図9に示した幹線分岐増幅器10を端子仕様1の状態にする場合には、第1のスライドスイッチ35a及び第2のスライドスイッチ35bの可動接点D1、D2を上側、すなわち固定接点a1、a2側に切替えると共に、第3のスライドスイッチ35c及び第4のスライドスイッチ35dの可動接点D1、D2を下側、すなわち固定接点c1、c2側に切替える。
また、幹線分岐増幅器10を端子仕様2の状態にする場合には、第1のスライドスイッチ35a及び第2のスライドスイッチ35bの可動接点D1、D2を下側、すなわち固定接点c1、c2側に切替えると共に、第3のスライドスイッチ35c及び第4のスライドスイッチ35dの可動接点D1、D2を上側、すなわち固定接点a1、a2側に切替える。
第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dが正しく切替えられている状態では、トランジスタ51にベース電流が流れてオン状態となり、発光ダイオード53が消灯している。また、このとき端子仕様1を選択した場合は第1の発光ダイオード67が点灯し、端子仕様2を選択した場合は第2の発光ダイオード68が点灯する。そして、第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dの切替操作が正しく行われなかった場合は、トランジスタ51がオフして発光ダイオード53が点灯し、発光ダイオード67、68の両方が消灯する。
以下、第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dの切替操作に伴う具体的な回路動作について図2及び図3を参照して説明する。
[端子仕様1への切替]
図2は、第1のスライドスイッチ35a及び第2のスライドスイッチ35bの可動接点D1、D2を上側の固定接点a1、a2側に切替えると共に、第3のスライドスイッチ35c及び第4のスライドスイッチ35dの可動接点D1、D2を下側の固定接点c1、c2側に切替えて、端子仕様1を選択した場合の回路状態を示したものである。図2において、破線A1は幹線信号、破線A2は分岐信号、実線Bは検知電流の流れを示している。
端子仕様1を選択した場合、幹線増幅部14から第1の入力端子31に入力された幹線信号は、破線A1に示すようにコンデンサ41、第1のスライドスイッチ35aの固定端子a1−b1、及び第2のスライドスイッチ35bの固定端子b2−a2を通り、更にコンデンサ58及び第1の出力端子33を経て幹線出力端子12へ送られる。
また、分岐増幅部15から第2の入力端子32に入力された分岐信号は、破線A2に示すようにコンデンサ47、第3のスライドスイッチ35cの固定接点c1−b1、及び第4のスライドスイッチ35dの固定端子b2−c2を通り、更にコンデンサ61及び第2の出力端子34を経て第2の分岐出力端子13bへ送られる。
一方、検知電流は、実線Bに示すように直流電源E1から抵抗42、チョークコイル43を介して第1のスライドスイッチ35aの固定端子a1−b1、及び第2のスライドスイッチ35bの固定端子b2−a2を通り、更にチョークコイル62、抵抗63、チョークコイル64、第4のスライドスイッチ35dの固定接点c2−b2、第3のスライドスイッチ35cの固定端子b1−c1、チョークコイル48、抵抗49を経てトランジスタ51のベースに流れる。この結果、トランジスタ51がオン状態となり、コレクタ電流が流れて抵抗52による電圧降下を生じ、コレクタ電位が低下して発光ダイオード53は消灯する。この発光ダイオード53が消灯状態となっていることから、第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dが正しく切替えられていることが分かる。
また、上記実線Bに示す検知電流によって抵抗63の両端にチョークコイル62側が正となる電圧が発生し、第1の発光ダイオード67に電流が流れる。これにより第1の発光ダイオード67が点灯し、幹線分岐増幅器は端子仕様1の状態に切替えられたことが表示される。
[端子仕様2への切替]
図3は、第1のスライドスイッチ35a及び第2のスライドスイッチ35bの可動接点D1、D2を下側の固定接点c1、c2に切替えると共に、第3のスライドスイッチ35c及び第4のスライドスイッチ35dの可動接点D1、D2を上側の固定接点a1、a2に切替えて、端子仕様2を選択した場合の回路状態を示したものである。図3において、破線A1は幹線信号、破線A2は分岐信号、実線Bは検知電流の流れを示している。
端子仕様2を選択した場合、幹線増幅部14から第1の入力端子31に入力された幹線信号は、破線A1に示すようにコンデンサ41、第1のスライドスイッチ35aの固定端子c2−b2、及び第4のスライドスイッチ35dの固定端子b1−a1を通り、更にコンデンサ61及び第2の出力端子34を経て第2の分岐出力端子13bへ送られる。
また、分岐増幅部15から第2の入力端子32に入力された分岐信号は、破線A2に示すようにコンデンサ47、第3のスライドスイッチ35cの固定接点a2−b2、及び第2のスライドスイッチ35bの固定端子b1−c1を通り、更にコンデンサ58及び第1の出力端子33を経て幹線出力端子12へ送られる。
この結果、幹線増幅部14から第1の入力端子31に入力された幹線信号は、第2の出力端子34から第2の分岐出力端子13b側へ出力され、分岐増幅部15から第2の入力端子32に入力された分岐信号は、第1の出力端子33から幹線出力端子12側へ出力されるようになり、端子仕様1から端子仕様2への切替えが行われる。
一方、検知電流は、実線Bに示すように直流電源E1から抵抗42、チョークコイル43を介して第1のスライドスイッチ35aの固定端子c2−b2、及び第4のスライドスイッチ35dの固定端子b1−a1を通り、更にチョークコイル64、抵抗63、チョークコイル62、第2のスライドスイッチ35bの固定端子c1−b1、第3のスライドスイッチ35cの固定接点b2−a2、チョークコイル48、抵抗49を経てトランジスタ51のベースに流れる。この結果、トランジスタ51がオン状態となり、コレクタ電位が低下して発光ダイオード53は消灯する。この発光ダイオード53が消灯状態となっていることから、第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dが正しく切替えられていることが分かる。
また、上記実線Bに示す検知電流によって抵抗63の両端にチョークコイル64側が正となる電圧が発生し、発光ダイオード68に電流が流れる。これにより第2の発光ダイオード68が点灯し、幹線分岐増幅器は端子仕様2の状態に切替えられたことが表示される。
[設定エラー]
図4は、図2の端子仕様1から図3の端子仕様2に切替える際に、第1のスライドスイッチ35a、第3のスライドスイッチ35c、第4のスライドスイッチ35dは正しく切替えたが、第2のスライドスイッチ35bの設定をエラーし、可動接点D1、D2を上側の固定端子a1、a2に切替設定したままの状態とした場合の回路状態を示したものである。
第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dを図4に示すように切替えた場合、幹線増幅部14から第1の入力端子31に入力された幹線信号は、破線A1に示すようにコンデンサ41、第1のスライドスイッチ35aの固定端子c2−b2、及び第4のスライドスイッチ35dの固定端子b1−a1を通り、更にコンデンサ61及び第2の出力端子34を経て第2の分岐出力端子13bへ送られる。
しかし、分岐増幅部15から第2の入力端子32に入力された分岐信号は、破線A2に示すようにコンデンサ47、第3のスライドスイッチ35cの固定接点a2−b2を通って第2のスライドスイッチ35bに達するが、固定接点b1−a1及びコンデンサ56を介して接地されてしまい、第1の出力端子33側には出力されない。
一方、検知電流は、実線Bに示すように直流電源E1から抵抗42、チョークコイル43を介して第1のスライドスイッチ35aの固定端子c2−b2、及び第4のスライドスイッチ35dの固定端子b1−a1を通り、更にチョークコイル64、抵抗63、チョークコイル62、第2のスライドスイッチ35bの固定端子a2−b2を経て第1のスライドスイッチ35aの固定端子b1−c1に向かうが、この固定端子c1と接地間に設けられているコンデンサ45により遮断される。このため検知電流は流れず、抵抗63の両端に電圧が発生しないので、発光ダイオード67、68の両方とも点灯しない。これにより幹線分岐増幅器は、端子仕様1、2の何れにも正しく切替えられていないことがわかる。
また、上記検知電流が流れないことから、トランジスタ51にはベース電流が供給されない。この結果、トランジスタ51はオフされてコレクタがオープン状態となり、直流電源E2が抵抗52を介して発光ダイオード53に供給されるようになる。これにより発光ダイオード53が点灯し、第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dに設定エラーを生じていることが報知される。
上記図4では、第2のスライドスイッチ35bの設定をエラーした場合について説明したが、第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dの何れか1つあるいは複数のスイッチに設定エラーを生じた場合においても、上記の場合と同様に端子仕様を示す発光ダイオード67、68が消灯し、設定エラーを示す発光ダイオード53が点灯する。
図5は、第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dの切替位置と、端子仕様表示用の発光ダイオード67、68及び設定エラー表示用の発光ダイオード53の点灯状態を示している。
図5(a)は、第1のスライドスイッチ35a及び第2のスライドスイッチ35bの可動接点D1、D2を上側(固定接点a1、a2側)に切替え、第3のスライドスイッチ35c及び第4のスライドスイッチ35dを下側(固定接点c1、c2側)に切替えた場合で、端子仕様1を表示する第1の発光ダイオード67が点灯し、端子仕様2を表示する第2の発光ダイオード68が消灯する。このとき設定エラー表示用の発光ダイオード53は消灯している。
図5(b)は、第1のスライドスイッチ35a及び第2のスライドスイッチ35bの可動接点D1、D2を下側(固定接点c1、c2側)に切替え、第3のスライドスイッチ35c及び第4のスライドスイッチ35dを上側(固定接点a1、a2側)に切替えた場合で、端子仕様1を表示する第1の発光ダイオード67が消灯し、端子仕様2を表示する第2の発光ダイオード68が点灯する。このとき設定エラー表示用の発光ダイオード53は消灯している。
図5(c)は、第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dを上記図5(a)、(b)以外の状態に切替えた場合で、端子仕様1を表示する第1の発光ダイオード67及び端子仕様2を表示する第2の発光ダイオード68が共に消灯し、設定エラー表示用の発光ダイオード53が点灯する。この発光ダイオード53が点灯することにより、第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dに設定エラーを生じていることを作業者に報知する。
次に、幹線分岐増幅器の具体的な構成例について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る下り信号用の幹線分岐増幅器70の具体的な構成例を示すブロック図である。
図6において、71は下り入力端子で、この下り入力端子71には、CATVシステムのヘッドエンド装置(図示せず)側から下り方向に送られてくる例えば70〜770MHzのCATV下り信号(幹線入力信号)が入力される。下り入力端子71に入力された幹線信号は、PSF(パワーソースフィルタ)72及びモニタ信号分岐用の方向性結合器73を介してEQ(イコライザ)カード75に入力される。
PSF72は、動作電源が下り信号に重畳して供給される場合に、下り信号から動作電源を分離して電源回路(図示せず)へ供給する。
上記方向性結合器73は、下り信号の一部(例えば−20dB)をモニタ端子74へ分岐する。このモニタ端子74により、下り入力端子71に入力される幹線入力信号をモニタする。
上記EQカード75は、下り信号の周波数偏差を補正して出力する。このEQカード75で補正された信号は、信号減衰量を設定する可変アッテネータ(ATT)76、増幅器77、モニタ信号を分岐する方向性結合器78を介してAGC回路(自動利得調整回路)80へ送られる。上記方向性結合器78は、信号の一部(例えば−20dB)を分離して内部調整用モニタ端子79へ出力する。上記AGC回路80で利得調整された信号は、増幅器81、方向性結合器82、ハイパスフィルタ(HPF)83を介して2分配器84へ送られる。
上記方向性結合器82の分岐端子には、バンドパスフィルタ(BPF)85が接続される。このバンドパスフィルタ85は、所定周波数のパイロットキャリアをAGC用信号として選択する。バンドパスフィルタ85で選択されたパイロットキャリアは、AGC設定用アッテネータ86で信号レベルが設定され、増幅器87で増幅されてAGC制御回路88へ送られる。このAGC制御回路88は、手動操作により利得制御のレベル調整を行うMGCコントロール回路89と共に切替スイッチ90を介してAGC回路80の制御端子に接続される。増幅器の利得制御を自動的に行う場合は切替スイッチ90によりAGC回路80を選択し、増幅器の利得を手動で設定する場合は切替スイッチ90によりMGCコントロール回路89を選択する。AGC制御回路88は、検波ダイオードを備え、この検波ダイオードにより検波したAGC信号のレベルに応じてAGC回路80の動作を制御する。AGC回路80は、例えばピンダイオードによりアッテネータを構成しており、AGC制御回路88あるいはMGCコントロール回路89からの制御信号によって減衰量が調整される。
また、上記2分配器84により分配された一方の信号は、温度補正回路91、可変アッテネータ92、増幅器93、スロープ設定回路94、増幅器95を介して取出される。この増幅器95の電源端子には、アンプON/OFFスイッチ96を介して動作電源が供給される。上記増幅器95で増幅された信号は、幹線信号として切替回路30の第1の入力端子31に入力される。この切替回路30は、上記実施形態で説明したものと同じ構成であるので、詳細な説明は省略する。上記切替回路30の第1の出力端子33から出力される信号は、方向性結合器97、PSF98を介して幹線出力端子99へ送られる。
また、上記2分配器84で2分配された他方の信号は、温度補正回路101、可変アッテネータ102、増幅器103、スロープ設定回路104、増幅器105を介して取出される。この増幅器105の電源端子には、アンプON/OFFスイッチ106を介して動作電源が供給される。
上記増幅器105で増幅された信号は、分岐信号として出力設定カード107に入力される。この出力設定カード107は、2つの出力端子a、bを備え、[JUMPER]及び[D2]の出力設定機能を備えている。[JUMPER]は出力端子a、bの1方向、例えば出力端子a側から信号を出力し、[D2]は入力信号を2分配して出力端子a、bの両方から出力する。
上記出力設定カード107の出力端子bから出力される信号は、方向性結合器108を介して出力設定カード109へ送られる。この出力設定カード109は、2つの出力端子a、bを備え、[JUMPER]、[D2]、[DC7]、[DC12]の出力設定機能を備えている。[JUMPER]は、出力端子a、bの1方向、例えば出力端子a側から信号を出力し、[D2]は入力信号を2分配して出力端子a、bの両方から出力する。また、[DC7]は[−7dB]減衰した信号を出力端子a、[−2dB]減衰した信号を出力端子bから出力し、[DC12]は[−12dB]減衰した信号を出力端子a、[−1dB]減衰した信号出力端子bから出力する。出力設定カード109の出力端子aから出力される信号は、PSF110を介して第1の分岐出力端子111へ送られ、出力設定カード109の出力端子bから出力される信号は、PSF112を介して第2の分岐出力端子113へ送られる。また、上記方向性結合器108で分岐された信号は、モニタ端子114から外部のモニタ機器へ送られてモニタされる。
また、上記出力設定カード107の出力端子aから出力される信号は、切替回路30の第2の入力端子32に入力される。そして、この切替回路30の第2の出力端子34から出力される信号は、方向性結合器115を介して出力設定カード116に入力される。この出力設定カード116は、2つの出力端子a、bを備え、上記出力設定カード109と同様に[JUMPER]、[D2]、[DC7]、[DC12]の出力設定機能を備えている。
上記出力設定カード116の出力端子aから出力される信号は、PSF117を介して第3の分岐出力端子118へ送られる。また、出力設定カード116の出力端子bから出力される信号は、PSF119を介して第4の分岐出力端子120へ送られる。
また、上記方向性結合器115によって分岐された信号は、モニタ端子121から外部のモニタ機器へ送られてモニタされる。
上記のように構成された幹線分岐増幅器70において、切替回路30における第1のスライドスイッチ35a及び第2のスライドスイッチ35bの可動接点D1、D2を上側に設定し、第3のスライドスイッチ35c及び第4のスライドスイッチ35dの可動接点D1、D2を下側に設定した場合には、図2で説明したように端子仕様1が指定され、増幅器95で増幅された幹線信号が切替回路30の第1のスライドスイッチ35a及び第2のスライドスイッチ35bを経由して幹線出力端子99から出力される。また、出力設定カード107の出力端子aから出力される分岐信号が切替回路30の第3のスライドスイッチ35c及び第4のスライドスイッチ35dを経由し、出力設定カード116を介して第3の分岐出力端子118から出力されるようになる。このとき出力設定カード116を[JUMPER]以外の機能に設定している場合には、第3の分岐出力端子118及び第4の分岐出力端子120の両方から分岐信号が出力される。
また、切替回路30における第1のスライドスイッチ35a及び第2のスライドスイッチ35bの可動接点D1、D2を下側に設定し、第3のスライドスイッチ35c及び第4のスライドスイッチ35dの可動接点D1、D2を上側に設定した場合には、図3で説明したように端子仕様2が指定されて第1〜第4のスライドスイッチ35a〜35dがクロスして接続された状態となり、増幅器95で増幅された幹線信号が切替回路30の第1のスライドスイッチ35a及び第4のスライドスイッチ35dを経由し、出力設定カード116を介して第3の分岐出力端子118(または第3の分岐出力端子118及び第4の分岐出力端子120の両方から)から出力される。また、出力設定カード107の出力端子aから出力される分岐信号が切替回路30の第3のスライドスイッチ35c及び第2のスライドスイッチ35bを経由し、幹線出力端子99側から出力されるようになる。
上記実施形態によれば、CATV伝送用増幅器の端子仕様を複数の機械式スイッチを用いて切替設定する場合、スイッチ操作によって端子仕様を容易に切替えることができると共に、スイッチ操作時の設定エラーを確実に検知して作業者に報知することができる。
なお、上記実施形態では、機械式スイッチとしてスライドスイッチ35a〜35dを用いた場合について示したが、上記実施形態に示したものと同様の回路を構成し得るものであれば、例えばトグルスイッチやロータリスイッチ等、スライドスイッチ以外のスイッチを使用しても良いことは勿論である。
また、上記実施形態では、幹線分岐増幅器に実施した場合について示したが、その他、例えば幹線分配増幅器等のCATV伝送用増幅器であっても、上記実施形態と同様にして実施することができる。
また、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。