図1は、本発明を適用可能な部品実装装置の部分的構成を模式的に例示する平面図である。同図および以下に示す図では、基板搬送方向X、幅方向Yおよび鉛直方向ZからなるXYZ直交座標系を適宜示す。また、X軸の矢印側を一方側と称し、X軸の矢印の反対側を他方側と適宜称する。部品実装装置1は、搬送レーン2が搬入した基板に対して、部品供給部3が供給する部品をヘッドユニット4により移載する概略構成を具備する。より具体的には、基板搬送方向Xに並行して延設された2本の搬送レーン2と、これら搬送レーン2の幅方向Yの両側それぞれに2個ずつ設けられた部品供給部3と、4個のヘッドユニット4とを部品実装装置1は備える。
2本の搬送レーン2それぞれは共通の構成を具備しており、基板を基板搬送方向Xの上流側(図1において右側から左側へ基板を搬送する場合には一方側となる。)から搬入して所定の停止位置20(図1の一点鎖線)で停止させる基板搬入動作と、停止位置20で部品実装を受けた基板を基板搬送方向Xの下流側へ搬出する基板搬出動作とを実行する。この際、各搬送レーン2は、例えば基板搬送方向Xにおいて異なる2つの停止位置20それぞれに基板を停止できる構成を具備する。2本の搬送レーン2のそれぞれは基板搬送方向Xに並行して延設された2本の搬送コンベア21で構成され、部品実装装置1では4本の搬送コンベア21が幅方向Yへ並ぶ。4本の搬送コンベア21のうち、外側の2本は幅方向Yに固定された固定コンベアであり、内側の2本は幅方向Yに移動自在な可動コンベアである。したがって、可動コンベア21の幅方向Yへ移動させることで、搬送レーン2の幅を基板の幅に応じて調整することができる。
ちなみに、2本の搬送レーン2における基板搬送の態様は、図1に例示したものに限られない。つまり、図1では、2本の搬送レーン2それぞれに2つずつ停止位置20を設定して、合計4つの停止位置20を設定しつつ基板搬送を行う場合が例示されているが、2本の搬送レーン2それぞれに、一方は右側、他方は左側に1つずつ停止位置20を設定して、合計2つの停止位置20を設定することもできる。また、基板の幅が広いために2本の搬送レーン2で同時に基板搬送を実行できないような場合には、2本の搬送レーンのうちの一方でのみ基板搬送を実行して、他方では基板搬送を実行しなくても構わない。
これら搬送レーン2の幅方向Yの両側それぞれでは、2個の部品供給部3が基板搬送方向Xに並んでおり、部品実装装置1では、合計4個の部品供給部3が設けられている。各部品供給部3は、複数のテープフィーダー31を基板搬送方向Xに配列した構成を具備する。各テープフィーダー31は、集積回路(IC)、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の電子部品を収納するテープをリールに巻き回した概略構成を具備し、リールから電子部品を間欠的に搬送レーン2側端部へ送り出すことで、電子部品を供給する。なお、部品供給部3を構成するフィーダーの種類としては、テープ型のフィーダーに限られず、トレイに載置された状態で電子部品を供給するトレイ型のフィーダーであっても良い。
4個のヘッドユニット4のそれぞれは、X方向に配列された3本の実装ヘッド5を有し、各実装ヘッド5の先端のノズルで各テープフィーダー31の搬送レーン2側端部から部品を吸着することで、部品供給部3が供給する部品を停止位置20に停止する基板へ移載する。また、部品実装装置1では、ヘッドユニット4を移動させるためのヘッド駆動機構6が設けられている。具体的には、4個のヘッド駆動機構6が上述した4個の部品供給部3に対応して設けられている。そして、4個のヘッド駆動機構6がそれぞれ1個のヘッドユニット4の駆動を担う。
各ヘッド駆動機構6は、X方向へ移動自在にヘッドユニット4を支持しつつX方向に延びるX軸ビーム61を、Y方向へ移動自在に支持した構成を具備する。X軸ビーム61には、ヘッドユニット4に取り付けられてX方向に延びるX軸ボールネジ62と、X軸ボールネジ62を回転駆動するX軸サーボモーター63とが取り付けられている。そして、X軸サーボモーター63がX軸ボールネジ62を回転駆動すると、X軸ボールネジ62に螺合する不図示のナットが固定されたヘッドユニット5がX軸ビーム61に沿ってX方向へ移動する。また、各ヘッド駆動機構6は、X軸ビーム61の一方の端部が取り付けられて搬送レーン2の上方をY方向に延びるY軸ボールネジ64と、Y軸ボールネジ64を回転駆動するY軸サーボモーター65とを有する。そして、Y軸サーボモーター63がY軸ボールネジ64を回転駆動すると、Y軸ボールネジ64に螺合する不図示のナットが固定されたX軸ビームがヘッドユニット5を伴ってY方向へ移動する。X軸ビーム61の他方の端部はそれぞれ2本の搬送レーン2のX方向中央部の上方をY方向に跨ぐ2本のレール66のずれかに摺動可能に支持されている。
このように構成された各ヘッド駆動機構6は、X軸サーボモーター63とY軸サーボモーター65とを適宜回転させることで、対応する部品供給部3上方と停止位置20の基板上方との間で、担当するヘッドユニット4を移動させることができる。これによって、ヘッドユニット4は、部品供給部3が供給する部品を実装ヘッド5で吸着して、停止位置20に停止する基板へ移載することができる。
また、4個の部品供給部3それぞれに対しては、カメラ68とノズル交換用収納機7とがY方向の内側(搬送レーン2側)から隣接して配置されている。こうして、カメラ68およびノズル交換用収納機7が、部品供給部3と搬送レーン2との間(換言すれば、ヘッドユニット4の移動経路)に設けられている。カメラ68は、鉛直方向Zに平行に上方を向いて配置されており、上側を通過するヘッドユニット4に保持された部品や、ヘッドユニット4に取り付けられた後述の位置認識用のマーク部材41(図3)を撮像する。また、ノズル交換用収納機7は、ヘッドユニット4の各実装ヘッド5に取り付けられたノズルを交換するものであり、その詳細は後述する。
図2は、図1の部品実装装置が備えるヘッドユニットの一例を示す側面図である。図3は、図1の部品実装装置が備えるヘッドユニットの一例を示すX方向の部分断面図である。続いては、図2および図3を用いて各ヘッドユニット4の構成について詳述する。なお、4個のヘッドユニット4は互いに同一の構成を具備するため、ここでは1個のヘッドユニット4について説明を行う。
ヘッドユニット4は、X方向に所定の配列ピッチLhで直線状に並ぶ3本の実装ヘッド5を具備する。3本の実装ヘッド5それぞれは、Z方向に延びるノズルシャフト50の下端部にノズルNを装着した概略構成を具備する。詳しくは、実装ヘッド5は、Z方向に平行な中心軸C51を中心とする周方向に等しい配列ピッチで配置された8本のノズルシャフト50を有し、各シャフト50の下端部に設けられたノズル装着部51にノズルNを着脱自在に装着する。
ノズル装着部51では、その下端部がシャフト50へ向けて屈曲する板バネ52がノズルシャフト50の下端部の外周に隙間を空けて対向している。そして、ノズルNの先端を下側に向けつつノズルNの上部をノズルシャフト50に外側から嵌めた状態でノズル装着部51に対してノズルNを上方へ押し込むと、ノズルNの外周に設けられた係合突起Neが板バネ511の下端部を外側に押し遣りながら、ノズルシャフト50と板バネ52のとの間の隙間に入り込む。その結果、ノズルNの外周突起Neが板バネ52の下端部に係合して、ノズルNはその先端を下側へ向けつつノズル装着部51に装着される。こうしてノズル装着部51に装着されたノズルNは、板バネ511の弾性力によってノズル装着部51に保持される。一方、ノズル装着部51に装着されたノズルNを板バネ51の弾性力に抗して下方に引っ張ることで、ノズル装着部51からノズルNを取り外すことができる。なお、ノズルNには、係合突起NeとノズルNの下端(先端)との間で側方に突出する鍔Nfが形成されている。この鍔Nfの機能については、ノズル交換用収納機7と一緒に後述する。
各ノズルシャフト50の中心には、ノズル装着部51からZ方向に延びる通気路53が形成されている一方、ノズルNの中心には、Z方向に貫通するノズル孔Nvが形成されており、ノズル装着部51に装着されたノズルNのノズル孔Nvは通気路53に連通する。したがって、通気路53を介してノズル孔Nvの気圧を調整しつつ、実装ヘッド51に部品実装を実行させることができる。具体的には、部品供給部3が供給する部品を保持する際には、ノズルNの先端を部品に接触させつつノズル孔Nvに負圧を与えて、ノズルNの先端に部品を吸着することができる。また、基板に部品を載置する際には、ノズル孔Nvに正圧を与えて、ノズルNから基板へ部品を瞬時に移すことができる。なお、実装ヘッド51は、8本のシャフト50を個別に昇降させることができる。したがって、部品供給部3からの部品の保持や、基板への部品の載置は、実行主体となるノズルNを装着したノズルシャフト50を選択的に昇降させて実行することができる。さらに、実装ヘッド51は、中心軸C51を中心として8本のノズルシャフト50を一体的に回転できるロータリー式の実装ヘッドである。したがって、8本のノズルシャフト50を適宜回転させて、ノズルNの位置を調整することができる。
このように構成された3本のヘッド5のX方向の両外側には、Z方向に延びる棒状の位置認識用のマーク部材41が配置されている。各マーク部材41はヘッドユニット3に固定されており、カメラ68により撮像されてヘッドユニット3の位置認識に用いられる。 さらに、ヘッドユニット3は、ノズルNに吸着された部品を側方から撮像するカメラ43と、カメラ43の視野を照らす照明45とを有する。カメラ43(の光学系431)は、実装ヘッド5に装着されたノズルNの先端に対してY方向から対向して、ノズルNに吸着された部品をY方向から撮像する。このように、カメラ43は実装ヘッド5のY方向側に配置されている。また、実装ヘッド5において円周状に配列された8個のノズルNの中央には、棒状の反射部材47が設けられている。この反射部材47によって照明45からの光が反射されて、カメラ43の視野をより明るく照らすことができる。
以上が、部品実装装置1の概要である。続いては、ノズル交換用収納機7について詳述する。図4は、本発明を適用可能なノズル交換用収納機の一例を示す斜視図である。図4では、ノズル交換用収納機7の全ノズル収納部にノズルNが収納されている状態が示されている。ノズル交換用収納機7は、ノズルストッカー8に収納されていたノズルNを実装ヘッド5に装着する装着動作や、実装ヘッド5に装着されていたノズルNをノズルストッカー8に収納する収納動作を実行する。具体的には、ノズル交換用収納機7の上部には、互いに共通する構成を具備する4個のノズルストッカー8がY方向に等ピッチで配列されており、各ノズルストッカー8が装着動作や収納動作を実行可能である。
図5は、図4のノズル交換用収納機が具備するノズルストッカーの一例を示す平面図である。図5に基づき、ノズルストッカー8について説明する。ノズルストッカー8は、X方向に延びる直方体状のストッカー本体80と、ストッカー本体80の上面において上方を向いて開口するノズル収納部81とを有し、鉛直方向Zから挿脱自在にノズルNをノズル収納部81に収納する。具体的には、ノズルNの鍔Nfより下側(先端側)がノズル収納部81に嵌入しつつ、ノズルNの鍔Nfから上側がノズル収納部81から突出した状態で(図4)、ノズル収納部81はノズルNを収納する。図5に示すように、ストッカー本体80の上面では、円周状に等ピッチで配列された8個のノズル収納部81から1個のノズル収納ユニット81Uが構成され、さらに3個のノズル収納ユニット81UがX方向に直線状に等ピッチで配列されている。かかるノズル収納部 81の配列は、ヘッドユニット4におけるノズル装着部51の配列に対応したものである。
図6は、ヘッドユニットでのノズル装着部の配列とノズルストッカーでのノズル収納部の配列との対応関係を模式的に示す図である。同図の上段の欄では、ヘッドユニット4でのノズル装着部51の配列を下方から見た様子が示され、同図の下段の欄では、ノズルストッカー8でのノズル収納部81の配列を上方から見た様子が示されている。なお、同図では、各実装ヘッド5の回転角度が互いに等しく調整された状態が示されており、ノズル装着部51はノズルNが装着される円形状のノズルシャフト50の下端部であり円形状で表されている。
上述したとおり、ヘッドユニット4では、3本の実装ヘッド5がX方向に配列ピッチLhで直線状に配列されている。さらに、各実装ヘッド5では、8個のノズル装着部51が周方向に配列ピッチLoで円周状に配列されている。
これに対して、ノズルストッカー8では、3個のノズル収納ユニット81UがX方向に上記配列ピッチLhと等しい配列ピッチで直線状に配列されている。さらに、各ノズル収納ユニット81Uでは、8個のノズル収納部81が周方向に上記配列ピッチLoと等しい配列ピッチで配列されている。ちなみに、こうしてノズル収納部81を配列した場合、X方向に隣接する異なるノズル収納ユニット81Uに属しつつ、各ノズル収納ユニット81Uにおける配置が等しい関係にあるノズル収納部81は、X方向に配列ピッチLhで配列される。
このように、ヘッドユニット4でのノズル装着部51の配列と、ノズルストッカー8でのノズル収納部81の配列とが対応付けられている。したがって、ヘッドユニット5の各実装ヘッド5の回転角度を調整して、図6に示したようにノズル装着部51の配列角度とノズル収納部81の配列角度とを合わせておけば、ヘッドユニット4をノズルストッカー8にZ方向から対向させることで、各ノズル装着部51と各ノズル収納部81とを1対1の対応関係で相互にZ方向に対向させることができる。以上が、ヘッドユニット4でのノズル装着部の配列とノズルストッカー8でのノズル収納部の配列との対応関係の説明である。図4、図5に戻ってノズルストッカー8の説明を続ける。
ストッカー本体80の上面において、各ノズル収納ユニット81の周囲には略円板状に窪んだ軸受孔801が形成されており、8個のノズル収納部81は軸受孔801の底部で開口する。そして、軸受孔801の内径と略同じか若干小さい外径を有する円環状のシャッター82が、各軸受孔801に嵌入されて、各ノズル収納ユニット81Uに対して設けられている。各ノズル収納ユニット81においては、複数のノズル収納部81の円周配列の中心と、軸受孔801の円形状の中心と、シャッター82の円環形状の中心とは相互に一致しており、シャッター82は、軸受孔801の内壁との間で摺動しつつノズル収納ユニット81Uの周囲を回動自在となっている。なお、ストッカー本体80の上面においては、軸受孔801の内側に突き出てシャッター82を上から位置決めする押えプレート803が各軸受孔801の周囲にねじ止めされており、シャッター82の軸受孔801からの脱落が防止されている。
このように、3個のノズル収納ユニット81Uそれぞれに対してシャッター82が設けられている。そして、各シャッター82は次のような構成を具備することで、対応するノズル収納ユニット81Uの8個のノズル収納部81に対するノズルNの挿脱を規制する。つまり、シャッター82は、円環状の周縁部821と、周縁部821から内側に突出する8個の突起部822とで構成される。周縁部821は、ノズル収納ユニット81Uを構成する8個のノズル収納部81に外接する外接円の径よりも大きい内径を有し、ノズル収納ユニット81Uを外側から囲む。8個の突出部822は、かかる周縁部821の内壁に沿って、円周状に等ピッチで配列されている。すなわち、ノズル収納ユニット81Uを構成する8個のノズル収納部81の周りには、これらと同数の突起部822が設けられており、8個のノズル収納部81と8個の突起部822とが対応付けられている。そして、シャッター82を回動させると、各突起部822は、対応するノズル収納部81に対するノズルNの挿脱経路に突出する挿脱規制位置Prと、当該挿脱経路から外れる挿脱許可位置Ppとの間で回動する(図7参照)。各突起部822は、挿脱規制位置Prにおいて対応するノズル収納部81に対するノズルNの挿脱を規制する一方、挿脱許可位置Ppにおいて対応するノズル収納部81に対するノズルNの挿脱を許可する。なお、図5では、各突起部822は挿脱規制位置Prに位置している。
シャッター82が上記構成を具備するため、シャッター82を適宜回動させることで、当該シャッター82に対応する8個のノズル収納部81に対して一括して、ノズルNの挿脱を規制あるいは許可することができる。つまり、各突起部822が挿脱規制位置Prに位置する回動状態(挿脱規制状態)をシャッター82が取ると、このシャッター82に対応する8個のノズル収納部81に対しては、ノズルNの挿脱が一括して規制される。一方、各突起部822が挿脱許可位置Ppに位置する回動状態(挿脱許可状態)をシャッター82が取ると、このシャッター82に対応する8個のノズル収納部81に対しては、ノズルNの挿脱が一括して許可される。
このようなシャッター82の回動は、ストッカー本体80の上面において各シャッター82に対して設けられたクランクプレート83を介して行われる。つまり、シャッター82は、周縁部821から上方へ突出するピン823を有する。これに対して、クランクプレート83は、シャッター82が嵌入された軸受孔801に隣接して設けられ、シャッター82のピン823に係合しつつ回転自在に構成されている。具体的には、クランクプレート83は、軸受孔801の内側に突出した係合部831を有し、係合部831をZ方向に貫通する長孔832によってピン823に係合する。したがって、クランクプレート83が回動すると、シャッター82がクランクプレート83に連動して回動する。なお、長孔832の長さをピン823の外径よりも長くしている。長孔832とピン823との間に遊びを設けることで、シャッター82がクランクプレート83にスムーズに連動できるように構成されている。
ストッカー本体80のY方向の側面には、X方向の一方側(図5の左側)から他方側(図5の右側)に延びるガイド溝805が形成されている。そして、X方向にガイド溝805よりも長いスライダー84が、ガイド溝805に嵌入されている。このスライダー84は、X方向の他方側(図5の右側)においてガイド溝805の端から部分的に突出しつつ、ガイド溝805に沿ってX方向へ移動自在に設けられている。
さらに、スライダー84は、X方向に並ぶ3個のクランクプレート83それぞれの下方に配置された、上方へ突出するピン841を有する。こうしてX方向に並ぶ3本のピン841のそれぞれは、上方に位置するクランププレート83に形成された切欠部833に係合する。したがって、スライダー84をX方向に移動させると、3本のピン841を介してスライダー84に係合する3個のクランクプレート83が一括して回動し、3個のシャッター82も一括して回動する。こうしてスライダー84をX方向に移動させることで、スライダー84に連動する3個のシャッター82を一括して回動させて、挿脱規制状態および挿脱許可状態のいずれかに3個のシャッター82の状態を一括して切り換えることができる。
図7は、挿脱規制状態および挿脱許可状態の切換動作の一例を示す平面図であり、ノズル収納ユニット81Uの各ノズル収納ユニット81にノズルNが収納されている状態が例示されている。なお、同図では、1個のノズル収納ユニット81Uに関する構成が代表して示されているが、同じノズルストッカー8に属する3個のノズル収納ユニット81Uに関する構成は、一括して同じ動作を実行する。
同図上段の欄に示すように挿脱規制状態では、スライダー84に伴ってピン841は、X方向の一方側Xlに移動した状態にある。したがって、クランクプレート83は時計回り側Rfに回動した状態にあり、シャッター82は反時計回りRbに回動した状態にある。その結果、挿脱規制位置Prに位置する各突起部822は、ノズル収納部81に収納されるノズルNの鍔Nfの直上に位置して、ノズル収納部81からのノズルNの取出を規制する。
同図下段の欄に示すように挿脱許可状態では、スライダー84に伴ってピン841は、X方向の他方側Xrに移動した状態にある。したがって、クランクプレート83は反時計回り側Rbに回動した状態にあり、シャッター82は時計回りRfに回動した状態にある。その結果、挿脱許可位置Ppに位置する各突起部822は、ノズル収納部81に収納されるノズルNの鍔Nfの直上から外れて、ノズル収納部81からのノズルNの取出を許可する。
図4、図5に戻って説明を続ける。ストッカー本体80には、スライダー84をX方向の一方側(図5の左側)に付勢するばね等の弾性部材(図示省略)が内蔵されており、各シャッター82は、この弾性部材によって挿脱規制状態となる回動方向Rbに付勢されている。一方、スライダー84は、ストッカー本体80からX方向の他方側(図5の右側)に突出した部分に、上方へ突出するシャッター操作部843を有している。したがって、シャッター操作部843を操作することで、弾性部材の付勢力に抗してスライダー84をX方向へ移動させることができる。ただし、ストッカー本体80は、スライダー84のX方向の他方側(図5の右側)で、スライダー84の移動経路において、後述する取付平板部75aに設けられた不図示のストッパーを備える。したがって、スライダー84がストッパーに突き当たると、付勢力に抗したスライダー4のそれ以上の移動が規制される。
スライダー84は、ピン841が設けられた肉厚部845においてY方向に肉厚に形成されている。この肉厚部845は、ガイド溝805からY方向に突出しており、スライダー84の移動に伴って移動する。一方、スライダー本体80の側面に対しては、スライダー84の肉厚部845の移動範囲を避けつつガイド溝805を覆うカバー部材807がねじ止めされている。このカバー部材807によって、スライダー84のガイド溝805からの脱落が防止されている。
続いて、図4、図8および図9を用いて、ノズルストッカー8を昇降させるストッカー昇降機構71について説明する。ここで、図8は、図4のノズル交換用収納機の一例を示す側面図であり、図9は、図4のノズル用収納交換機の一例を示す正面図である。ノズル交換用収納機7の基台70の上面には、互いに共通する構成を具備する4個のストッカー昇降機構71がY方向に等ピッチで配列されており、これらストッカー昇降機構71の上側に4個のノズルストッカー8がY方向に等ピッチで配列されている。ストッカー昇降機構71の配列ピッチとノズルストッカー8の配列ピッチとは互いに等しく、4個のストッカー昇降機構71と4個のノズルストッカー8とが対応付けられている。そして、各ストッカー昇降機構71は対応して設けられた直上のノズルストッカー8を昇降させる。
ストッカー昇降機構71の骨格をなす支持フレーム710は、基台70上に立設されてZ方向に延びている。ストッカー昇降機構71は、支持フレーム710の下部に固定されたZ軸シリンダー712と、支持フレーム710の上部に昇降自在に設けられた昇降プレート713とを有する。Z軸シリンダー712は、シリンダーロッド712aをエアによってZ方向へ進退させるロッドシリンダー(エアシリンダー)であり、基台70の下部に収容されたエア供給装置701からエアホース702を介してエアの供給を受けてシリンダーロッド712aを昇降させる。昇降プレート713は、支持フレーム710の上部に固定されたガイド部材714によって昇降自在に支持されている。そして、Z軸シリンダー712のシリンダーロッド712aの上部がジョイント715によって昇降プレート713に取り付けら、昇降プレート713の上部がノズルストッカー8を下側から支持する支持底板716に固定されている。したがって、Z軸シリンダー712によって、ノズルストッカー8は、昇降プレート713と一緒に昇降する。
このようなストッカー昇降機構71は、Z軸シリンダー712のシリンダーロッド712aをZ方向へ進退させることで、対応するノズルストッカー8を昇降させることができる。また、ノズル交換用収納機7では、4個のノズルストッカー8それぞれに対してストッカー昇降機構71が個別に設けられている。したがって、4個のノズルストッカー8を個別に昇降させることが可能となっている。
さらに、ノズル交換用収納機1は、4個のノズルストッカー8のうち上昇したノズルストッカー8のシャッター操作部843を操作して、シャッター82を操作するシャッター操作機構73を有する。シャッター操作機構73は、4個のノズルストッカー8のX方向の他方側(図9の右側)に配置されており、接続フレーム75を介して支持フレーム710に取り付けられている。このシャッター操作機構73は、次に説明するように、ノズルストッカー8のシャッター操作部843に、上方から対向するクラッチ部材731を、X軸シリンダー732でX方向へ駆動する概略構成を備える。シャッター操作部843は、スライダー84のX方向の他方側(図9の右側)端部と連結されており、シャッター操作部843とスライダー84は一体的にX方向に移動する。
接続フレーム75は、4個のノズルストッカー8および支持フレーム710のX方向の他方側(図9の右側)でYZ平面に平行に設けられた取付平板部75aと、取付平板部75aのY方向の両側において支持フレーム710側へ向けてX方向に屈曲する2枚の屈曲平板部75bとを有し、これら屈曲平板部75bがY方向の両端に位置する支持フレーム710にねじ止めされている。そして、シャッター操作機構73のフレーム部材730が、取付平板部75aの上端に取り付けられて、取付平板部75aからX方向の他方側(図9の右側)に突出する。フレーム部材730はXY平面に平行な平板形状を有し、Y方向において4個のノズルストッカー8の配列の中央に位置する。
クラッチ部材731は、X軸ガイド機構733を介してフレーム部材730の上面に取り付けられており、X方向へ移動自在となっている。具体的には、X軸ガイド機構733は、フレーム部材730の上面に固定されたX軸レール733aと、X軸レール733aに沿ってX方向へ移動自在なX軸スライダー733bとを有し、X軸スライダー733bにクラッチ部材731がねじ止めされている。クラッチ部材731は板状部材であり、第1延設板部731a、第2延設板部731bおよび係合爪731cとで構成される。第1延設板部731aは、X軸スライダー733bからノズルストッカー側8へ向けてX方向へ延びる板状のものであり、X軸スライダー733bから突出した部分で階段状に屈曲する。第2延設板部731bは、第1延設板部731aから4個のノズルストッカー8の上方までX方向へ延びる板状のものである。この第2延設板部731bは、Y方向において4個のシャッター操作部843の配列よりも広い幅を有し、Y方向に並ぶ4個のシャッター操作部843に上方から対向する。係合爪731cは、第2延設板732bのノズルストッカー側8のX方向の先端から下方に屈曲して設けられ、Y方向に第2延設板部731bと同じ幅を有する。
X軸シリンダー732は、フレーム部材730の下面に取り付けられており、ノズルストッカー8側へ向けてX方向に延びるシリンダーロッド732aを有する。このシリンダーロッド732aは、接続フレーム75の取付平板部75aに設けられた貫通孔(不図示)をX方向に貫通して、取付平板部75aよりノズルストッカー8側にまで延びる。X軸シリンダー732は、シリンダーロッド732aをエアによってX方向へ進退させるロッドシリンダー(エアシリンダー)であり、基台70の下部に収容されたエア供給装置701からエアホース703を介してエアの供給を受けてシリンダーロッド732aを移動させる。そして、シリンダーロッド732aのノズルストッカー8側の先端が、クラッチ部材731に係合する係合平板735に接続されている。具体的には、クラッチ部材731の底面には、X方向に間隔を空けて配置されつつそれぞれY方向に延びる棒部材736が固定されており、係合平板735は、棒部材736の間に遊びを持って嵌入して、クラッチ部材731に係合する。したがって、X軸シリンダー732のシリンダーロッド732aをX方向へ進退させることで、クラッチ部材731をX方向へ移動させることができる。
このように構成されたシャッター操作機構73のクラッチ部材731は、ストッカー昇降機構71によって上昇されたノズルストッカー8のシャッター操作部843に選択的に係合して、上昇されたノズルストッカー8のシャッター82を操作することができる。かかる動作について、図10を併用しつつ説明する。ここで、図10は、1個のノズルストッカーが選択的に上昇した状態を例示する正面図である。図10示す例では、シリンダーロッド732aがノズルストッカー8側に伸びており、クラッチ部材731がノズルストッカー8側に寄っている状態において、図4における左端(Y方向+側端)のノズルストッカー8のみが上昇し、その他のノズルストッカー8が下降した状況を示すものである。
上述のストッカー昇降機構71は、上昇位置Puと上昇位置Puより下側の下降位置Pdの間でノズルストッカー8を昇降させる。一方、4個のノズルストッカー8それぞれの操作部843に対しては、上方からクラッチ部材731の第2延設板部731bが対向する。ノズルストッカー8の下降位置Pdは、操作部843の上端が支持フレーム710に固定されるクラッチ部材731の係合爪731cの下端より下方となる高さに設定され、ノズルストッカー8の上昇位置Puは、操作部843の上端が係合爪731cの下端より上方となる高さに設定されている。詳しくは、上昇位置Puにあるノズルストッカー8の操作部843の上端とクラッチ部材731の第2延設板部731bとの間には、クリアランスが空いている。また、シリンダーロッド732aが延びた状態において、クラッチ部材731の係合爪731cは、付勢力でX方向の一方側Xlに押し遣られた操作部843よりもさらにX方向の一方側Xlに位置する。したがって、上昇位置Puに位置するノズルストッカー8の操作部843に対しては、クラッチ部材731の係合爪731cがX方向の一方側Xlで係合するのに対して、下降位置Pdに位置するノズルストッカー8の操作部843に対しては、クラッチ部材731の係合爪731cは上側に外れて係合しない。
このようなノズル交換用収納機7では、上昇位置Puにあるノズルストッカー8に対して、シャッター操作機構73がクラッチ部材731を介して操作を行うことができる。つまり、シャッター操作機構73がX軸シリンダー732を動作させて、シリンダーロッド732aを縮めると、ノズルストッカー8の操作部843が、クラッチ部材731によってX方向の他方側Xrへ引っ張られる。これによって、スライダー84がX方向の他方側Xrへ移動して、ノズルストッカー8の各シャッター82を挿脱禁止状態から挿脱許可状態へ一括して切り換える。また、シャッター操作機構73がX軸シリンダー732を動作させて、シリンダーロッド732aを延ばすと、クラッチ部材731のX方向の一方側Xlへの移動に伴って、ばね等の弾性部材(図示省略)による付勢力によってスライダー84がX方向の一方側Xlへ移動して、ノズルストッカー8の各シャッター82を挿脱許可状態から挿脱禁止状態へ一括して切り換える。このようにクラッチ部材731は、上昇位置Puにあるノズルストッカー8の各シャッター82を一括して、挿脱許可状態と挿脱禁止状態との間で切り換えることができる。一方、下降位置Pdにあるノズルストッカー8の操作部843は、クラッチ部材731に係合しない。そのため、下降位置Pdにあるノズルストッカー8の各シャッター82は、シャッター操作機構73の操作によらず挿脱禁止状態に維持される。
つまり、ノズル交換用収納機7は、ストッカー昇降機構71によってノズルストッカー8を単に昇降できるのみならず、ノズルストッカー8のシャッター82とシャッター操作機構73との間の動力伝達経路の形成および遮断を制御することができる。つまり、クラッチ部材731がノズルストッカー8側に寄っている状態において、ノズルストッカー昇降機構71によりノズルストッカー8を上昇位置Puに上昇させれば、ノズルストッカー8とシャッター操作機構73との間の動力伝達経路を形成できる。また、ノズルストッカー昇降機構71によりノズルストッカー8を下降位置Pdに下降させれば、ノズルストッカー8とシャッター操作機構73との間の動力伝達経路を遮断できる。
さらに、ノズル交換用収納機7は、4個のノズルストッカー8の昇降状態を検出する昇降状態検出機構76を有する。図11は、昇降状態検出機構の一例を模式的に示す斜視図である。同図に示すように、昇降状態検出機構76は、4枚の遮光板761と2組の光センサー762、763で構成される。4枚の遮光板761は4個のノズルストッカー8にそれぞれ対応してY方向に並べて設けられている。各遮光板761は、対応するノズルストッカー8に伴って昇降するため、下降位置Pdおよび上昇位置Puのうち、同じ高さにあるノズルストッカー8の各遮光板761は互いに同じ高さに位置し、異なる高さにあるノズルストッカー8の各遮光板761は互いに異なる高さに位置する。
各遮光板761には、Z方向に直線状に並ぶ3個の貫通孔761a、761b、761cがY方向に貫通している。各遮光板761において、最上部の貫通孔761aと中央部の貫通孔761bとの間には間隔c1が設けられており、中央部の貫通孔761bと最下部の貫通孔761cとの間には、間隔c1と異なる間隔c2が設けられている。具体的には、間隔c1は、ノズルストッカー8の下降位置Pdと上昇位置PuとのZ方向への間隔に等しく、間隔c2は、間隔c1よりも短い(c1>c2)。また、各遮光板761において、最下部の貫通孔761cと遮光板761の下端までのZ方向への距離c3は、ノズルストッカー8の下降位置Pdと上昇位置PuとのZ方向への間隔c1より長い(c3>c1)。そして、図13の破線で示すように、下降位置Pdおよび上昇位置Puのうち、同じ高さにあるノズルストッカー8の各遮光板761の間では、最上部の貫通孔761aどうし、中央部の貫通孔761bどうし、最下部の貫通孔761cどうしがそれぞれY方向に直線状に並ぶ。
2組の光センサー762、763はいずれも、投光器Saと受光器SbとをY方向に平行に並べた構成を具備し、投光器SaからY方向へ平行に射出した光を受光器Sbで受光する。光センサー762(上位センサー)は第1高さh1に配置されており、光センサー762の投光器Saの発光箇所および受光器Sbの受光箇所はそれぞれ第1高さh1に位置する。また、光センサー763(下位センサー)は第1高さh1よりも距離(c1+c2)だけ低い第2高さh2に配置されており(h1−h2=c1+c2)、光センサー763の投光器Saの発光箇所および受光器Sbの受光箇所はそれぞれ第2高さh2に位置する。
ちなみに、図11では、4個のノズルストッカー8がいずれも下降位置Pdにある場合における各遮光板761の位置が示されている。同図に示すように、下降位置Pdにあるノズルストッカー8に取り付けられた遮光板761では、最上部の貫通孔761aが第1高さh1に位置し、最下部の貫通孔761cが第2高さh2に位置する。一方、各遮光板761における最上部の貫通孔761aと中央部の貫通孔761bとの間隔c1は、z方向における下降位置Pdと上昇位置Puとの間隔に等しく設定されているため、ノズルストッカー8が上昇位置Puに上昇すると、当該ノズルストッカー8に取り付けられた遮光板761では、中央部の貫通孔761bが第1高さh1に上昇する。
このような昇降状態検出機構76を用いることで、4個のノズルストッカー8の昇降状態を検出することができる。具体的には、図12に示すように、4個のノズルストッカー8の全部が下降位置Pdにある全下降状態、少なくとも1個のノズルストッカー8が上昇位置Puにある一部上昇状態、および少なくとも1個のノズルストッカー8が下降位置Pdと上昇位置Puとの途中にある遷移状態のいずれかの状態が検出される。
図12は、図11の昇降状態検出機構の動作の一例を模式的示す動作説明図である。なお、図12では、受光器Sbが光を受光した状態が「ON」と表され、受光器Sbが光を受光しない状態が「OFF」と表されている。図12の最上段の欄に示すように、4個のノズルストッカー8の全部が下降位置Pdにある場合には、各遮光部材の貫通孔761aが第1高さh1に揃うとともに、各遮光部材の貫通孔761cが第2高さh2に揃う。したがって、光センサー762では、投光器Saから射出された光が各貫通孔761aを通過して受光器Sbに受光される。また、光センサー763では、投光器Saから射出された光が各貫通孔761cを通過して受光器Sbに受光される。つまり、両方の光センサー762、763の受光器Sbが光を受光したことを確認することで、全下降状態を検出することができる。
図12の中段の欄に示すように、4個のノズルストッカー8の一部が下降位置Pdと上昇位置Puの途中位置にある場合、途中位置にあるノズルストッカー8に取り付けられた遮光板761(図12では左から2番目の遮光板761)では、いずれの貫通孔761a、761b、761cも第1および第2高さh1、h2の両方から外れる。この際、貫通孔761aと貫通孔761bとの間隔c1が下降位置Pdと上昇位置Puとの間隔に等しいため、遮光板761のうち貫通孔761a、761bの間の部分が第1高さh1に交差する。また、貫通孔761cと遮光板761の下端までの距離c3が下降位置Pdと上昇位置Puとの間隔より長いため、遮光板761のうち貫通孔761cより下側の部分が第2高さh2に交差する。したがって、両方の光センサー762、763において、投光器Saから射出された光は、途中位置にあるノズルストッカー8に取り付けられた遮光板761によって遮られて、受光器Sbに到達しない。つまり、両方の光センサー762、763の受光器Sbが光を受光しないことを確認することで、遷移状態を検出することができる。
図12の最下段の欄に示すように、4個のノズルストッカー8の一部が上昇位置Puにある場合、上昇位置Puにあるノズルストッカー8に取り付けられた遮光板761(図14では左から2番目の遮光板761)では、貫通孔761bが第1高さh1に位置する一方、第2高さh2からはいずれの貫通孔761a、761b、761cも外れる。この際、貫通孔761cと遮光板761の下端までの距離c3が下降位置Pdと上昇位置Puとの間隔より長いため、遮光板761のうち貫通孔761cより下側の部分が第2高さh2に交差する。したがって、光センサー762では、投光器Saから射出された光が各貫通孔761a、761bを通過して受光器Sbに受光される。一方、光センサー763では、投光器Saから射出された光が、上昇位置Puにあるノズルストッカー8に取り付けられた遮光板761によって遮られて、受光器Sbに到達しない。つまり、光センサー762の受光器Sbが光を受光する一方、光センサー763の受光器Sbが光を受光しないことを確認することで、一部上昇状態を検出することができる。
このような構成を具備するノズル交換用収納機7を用いた場合、光センサー762、763の受光部Sbの受光結果から、ノズルストッカー8の全下降状態、遷移状態、一部上昇状態を簡便に検知することができる。しかも、各状態を検知する昇降状態検出機構76(検知部)を具備することで、光センサー762、763の検知結果からノズルストッカー8の昇降状態を把握しつつ、適切な制御を実行することができる。なお、光センサー762、763の検知結果に基づく具体的な制御については、後述する。
ところで、実装ヘッド5のノズル装着部51に対して、このようなノズル交換用収納機7が具備するノズルストッカー8を用いてノズルNの装着・収納・交換を実行するにあたっては、ノズル交換用収納機7やノズルストッカー8の位置を適切に把握することが求められる。そこで、ノズル交換用収納機7とノズルストッカー8には、それぞれの位置を示す全体マークM1あるいは個別マークM2が付されている。図4に示すように、全体マークM1は、接続フレーム75、および支持フレーム710を介して基台70に固定されるフレーム部材730のY方向側に上を向けて取り付けられており、XY面内におけるノズル交換用収納機7の位置を示す。個別マークM2は、4個のノズルストッカー8それぞれに2個ずつ設けられている。図5に示すように、個別マークM2は、ノズルストッカー8のX方向の両端それぞれに上を向けて取り付けられており、XY面内におけるノズルストッカー8の位置を示す。
以上がノズル交換用収納機7を具備する部品実装装置1の機械的構成の一例である。続いては、図1の部品実装装置1が備える電気的構成の一例について説明する。図13は、図1の部品実装装置が備える電気的構成の一例を示すブロック図である。部品実装装置1は、制御ユニット100によって装置1の各部の動作を制御する。この制御ユニット100は、制御ユニット100全体を統括的に制御する主制御部110、サーボモーターやシリンダーの駆動を制御する駆動制御部120、各カメラの撮像画像に画像処理を行う画像処理部130、入出力の制御を行う入出力制御部140および記憶部150を有する。主制御部110は、CPU(Central Processing Unit)やメモリーで構成されたコンピューターであり、バス105によって、駆動制御部120、画像処理部130、入出力制御部140、記憶部150と相互に電気的に接続されている。
駆動制御部120は、X軸サーボモーター63およびY軸サーボモーター65を制御して、XY面内におけるヘッドユニット4の移動を制御するとともに、実装ヘッド5のノズルシャフト50の昇降や回転も制御する。具体的には、ヘッドユニット4には、各実装ヘッド5のノズルシャフト50をZ方向に駆動するZ軸サーボモーター55や、各実装ヘッド5の8本のシャフト50を中心軸C51とする周方向に駆動するR軸サーボモーター57が搭載されている。そして、駆動制御部120は、Z軸サーボモーター55を制御してシャフト50の昇降を制御したり、R軸サーボモーター57を制御して8本のシャフト50の回転を制御したりする。
さらに、駆動制御部120は、4個のノズルストッカーそれぞれに設けられたZ軸シリンダー712を個別に制御して(すなわち、不図示の電動切替弁を制御することでZ軸シリンダー712内のピストンを挟んだ2つの圧力室への空気圧の供給を制御して)、4個のノズルストッカーそれぞれの昇降を個別に制御する。また、駆動制御部120は、X軸シリンダー732を制御して(すなわち、不図示の電動切替弁を制御することでZ軸シリンダー712内のピストンを挟んだ2つの圧力室への空気圧の供給を制御して)、上昇位置Puにあるノズルストッカー8の各シャッター82の回動を一括して制御する。
画像処理部130は、カメラ68がヘッドユニット4のマーク部材41を下方より撮像した画像からヘッドユニット4のXY面内での基準位置を抽出する画像処理を行って、ヘッドユニット4の基準位置を示すヘッド基準位置情報を駆動制御部120に出力する。駆動制御部120は、このヘッド基準位置情報に基づいてX軸サーボモーター63およびY軸サーボモーター65のそれぞれ不図示のエンコーダの目標位置を補正することで、ヘッドユニット4のXY面内での位置を適切に制御することができる。また、画像処理部130は、カメラ68がノズルNに吸着された部品を下方から撮像した画像から、ノズルNに対する部品のずれを抽出する画像処理を行うとともに、カメラ43がノズルNに吸着された部品を側方から撮像した画像から、ノズルNに吸着される部品の姿勢を抽出する画像処理を行って、部品のずれを示す部品ずれ情報と、部品の姿勢を示す部品姿勢情報を駆動制御部120に出力する。駆動制御部120は、この部品ずれ情報に基づきヘッドユニット4のX方向位置、Y方向位置およびノズルシャフト50の回転角度を調整し、さらに部品姿勢情報に基づいて実装ヘッド5のノズルシャフト50の高さを調整して、適切な位置および方向で部品を基板に載置することができる。
さらに、画像処理部130は、ノズル交換用収納機7の位置を把握するための画像処理も担う。具体的には、ヘッドユニット4は、フィデューシャルマークを撮像するために下方を向いて取り付けられたカメラ49(マーク撮像用カメラ)を有する。そして、カメラ49がノズル交換用収納機7の全体マークM1を撮像した画像からノズル交換用収納機7のXY面内での位置を抽出する画像処理や、カメラ49がノズルストッカー8の個別マークM2を撮像した画像からノズルストッカー8のXY面内での位置を抽出する画像処理を、画像処理部130は実行する。そして、後に説明するように、これら画像処理で求められたノズル交換用収納機7の位置を示す位置情報と、ノズル交換用収納機7の全体マークM1を基準とするノズルストッカー8の位置を示す位置情報とに基づいて、駆動制御部120がヘッドユニット4とノズルストッカー8とのXY面内での位置合わせを実行する。
入出力制御部140は、光センサー762、光センサー763それぞれの受光器Sbの受光状態(すなわち、ON、OFFの状態)を光センサー762、763から受信して、主制御部110に転送する。主制御部110は、この受信結果に基づいて、ノズルストッカー8の昇降状態を判断することができる。この際、主制御部110は、全下降状態が確認できる間は、ヘッドユニット4のXY面内での移動を許可する一方、全下降状態が確認できない間は、ヘッドユニット4のXY面内での移動を規制して、上昇したノズルストッカー8(あるいは、これに収納されるノズルN)とヘッドユニット4に取り付けられたカメラ43との間で干渉が生じないように制御する。また、部品実装装置1は、例えばディスプレイや報知ブザーなどのユーザーインターフェース69を備えており、入出力制御部140は主制御部110の指令に基づいてユーザーインターフェース69の出力内容を制御する。
記憶部150は、メモリーやハードディスク等で構成されており、部品実装装置1での動作を制御するために要する各種プログラムやデータを記憶する。具体例を挙げると、後述するノズルNの装着・収納・交換を制御するために用いられるヘッドデータDhや収納状況データDnが記憶部150に記憶される。
以上が、部品実装装置1が具備する電気的構成の一例である。上述のようにノズル交換用収納機7を具備する部品実装装置1では、実装ヘッド5に対して、ノズル交換用収納機7を用いてノズルNの装着・収納・交換を適宜実行できる。続いては、これらの内容の一例について説明する。図14は、図1の部品実装装置で実行されるノズルの装着・収納・交換の一例を示すフローチャートである。図14に示すフローチャートのプログラム(ノズル装着・収納・交換プログラム)は、記憶部150に記憶されて、主制御部110の制御によって実行される。
ステップS100では、ヘッドデータDhおよび収納状況データDnが記憶部150から読み出される。ヘッドデータDhは、3本の実装ヘッド5それぞれの各ノズル装着部51のうち、ノズルNの装着・収納・交換の実行対象となるノズル装着部51と、当該ノズル装着部51にへのノズルNの種別情報を含む装着の状況、次に装着すべきノズルNの種別情報等を内容とするデータである。また、収納状況データDnは、ノズル交換用収納機7の各ノズル収納部81へのノズルNの収納状況を示すデータであり、各種ノズルNが収納されているノズル収納部81の場所や、ノズルNが収納されていない空き状態にあるノズル収納部81の場所等を示す。そして、主制御部110は、装着・収納・交換の実行対象となるノズル装着部51と当該ノズル装着部51への動作内容をヘッドデータDhに基づいて設定した上で、当該動作内容を実行するために用いるノズル収納部81を収納状況データDnに基づいて設定する。
ステップS110では、主制御部110は駆動制御部120を介して、4個のノズルストッカー8それぞれのZ軸シリンダー712に対して下降指令を出力して、全ノズルストッカー8を下降位置Pdに位置決めする。そして、ステップS120の「全下降状態確認」において、主制御部110は、4個のノズルストッカー8が全下降状態にあることを確認する。図15は、図14のフローチャートで実行されるサブルーチンである「全下降状態確認」の一例を示すフローチャートある。ステップS121では、上位センサー762および下位センサー763の両方の受光器Sbが受光している、すなわちON状態にあるか否かが確認される。そして、両方の受光器SbがON状態にあり、ノズルストッカー8の昇降状態が全下降状態にあることが確認されると(ステップS121で「YES」)、図16のメインルーチンに戻る。一方、全下降状態が確認できない場合(ステップS121で「NO」の場合)には、ステップS110での下降指令にも拘わらず、少なくとも一部のノズルストッカー8が下降位置Pdに位置決めされておらず、何らかの異常が発生したと主制御部110は判断する。そして、ステップS122で異常が作業者に報知されて、ステップS123で部品実装装置1の動作が停止された後に、フローが終了する。なお、ステップS122での異常の報知は、ユーザーインターフェース69を介して実行され、例えばディスプレイに所定の表示を行ったり、報知ブザーを鳴らしたりすることで実行される。これにより、作業者によるメンテナンスを促すことができる。
ステップS120で全下降状態が確認されると、ヘッドユニット4のXY平面での移動が許可される。続く図14のステップS130では全体マークM1の撮像が実行される。具体的には、主制御部110は、ヘッドユニット4をXY面内で移動させて、カメラ49を全体マークM1の上方に位置させた状態で、カメラ49によりマークM1を撮像する。ステップS140では、全体マークM1の撮像画像に基づいて、各ノズルストッカー8に設けられた個別マークM2を撮像する際のカメラ49の位置を補正して、カメラ49により個別マークM2を撮像し、この個別マークM2の撮像結果から各ノズルストッカー8に設けられた個別マークM2の位置情報が補正される。つまり、記憶部150には、全体マークM1と各個別マークM2との相対的な位置関係が予め記憶されており、且つ、ヘッドユニット3に固定された各マーク部材41を撮像して、部品実装装置1の不図示の基台に対してXY方向に移動するヘッドユニット3の基準位置は位置認識されており、主制御部110は、マークM1の撮像画像から抽出したマークM1の基準位置に対する実際の位置と、全体マークM1に対する各個別マークM2の実際の位置との和から、各個別マークM2の基準位置に対する実際の位置が求められる。
ステップS150では、実行対象となるノズル装着部51に対して、ノズルNの装着/収納/交換のいずれの動作を実行するのかが確認される。そして、ノズルNの装着を実行する場合には、ステップS160〜S200が実行される。図16は、図14のステップS160〜S200で実行される動作の一例を部分的に示す動作説明図である。図16では、実装ヘッド5の全ノズル装着部51にノズルNが未装着であって、これらノズル装着部51に対して、左端のノズルストッカー8がノズルNの装着を実行する場合が例示されている。
先ず、ステップS160の「ヘッドユニット移動」では、ヘッドユニット4がXY面内において移動されて、ヘッドユニット4とノズルストッカー8との位置合わせが実行される。すなわち、ステップS140で取得された各ノズルストッカー8に設けられた個別マークM2の位置情報に基づき、装着対象のノズルNが収納されたノズルストッカー8のノズル収納部81に、実装ヘッド5のノズルシャフト50のノズルNが未装着のノズル装着部51を対向させるように、ヘッドユニット4のXY面内での位置が調整される。
図16の最上段の欄では、ヘッドユニット4の移動が完了した状態が示されている。ヘッドユニット4の移動は、全ノズルストッカー8が下降位置Pdにある全下降状態で実行される。そのため同欄に示すように、各ノズルストッカー8に収納されたノズルNとヘッドユニット4に取り付けられたカメラ43の下端との間にクリアランスΔdが設けられた状態で、先のヘッドユニット4の移動(ステップS160)は実行される。こうして、ヘッドユニット4に伴って移動するカメラ43と、各ノズルストッカー8に収納されるノズルNとの干渉を防止しつつ、ヘッドユニット4の移動が実行されている。
ヘッドユニット4の移動が完了すると、図14のステップS170では、主制御部110が駆動制御部120を介してノズル装着の実行主体となるノズルストッカー8(すなわち、実装ヘッド4が対向するノズルストッカー8)のZ軸シリンダー712に対して上昇指令を出力して、当該ノズルストッカー8のみを上昇位置Puに位置決めする。図18の中央段の欄では、実装ヘッド5に対向するノズルストッカー8(同欄の左端のノズルストッカー8)の上昇が完了した状態が示されている。後述するように、ノズルストッカー8は、実装ヘッド5に近接する上昇位置Puにおいて、対向する実装ヘッド5へのノズル装着を実行する。ちなみに、同欄に示すように、上昇位置Puにあるノズルストッカー8に収納されるノズルNの上部は、カメラ43の下端より上側に突出する。ただし、これらノズルNは、カメラ43よりY方向に外れているため、カメラ43と干渉することはない。一方、下降位置Pdにある各ノズルストッカー8に収納されるノズルNは、カメラ43の下方に位置しつつ、カメラ43の下端との間にクリアランスΔdを空けている。同欄から理解できるように、これらのノズルストッカー8を上昇位置Puに位置決めすると、これらのノズルストッカー8に収納されるノズルNとカメラ43とが干渉を起こしてしまう。これに対して、実装ヘッド5が対向するノズルストッカー8のみを選択的に上昇位置Puに位置させつつ、他のノズルストッカー8を下降位置Pdに位置させることで、かかる干渉の発生が防止されている。
図14のステップS180の「一部上昇状態確認」では、主制御部110が、4個のノズルストッカー8が一部上昇状態にあることを確認する。図17は、図14のフローチャートで実行されるサブルーチンである「一部上昇状態確認」の一例を示すフローチャートである。ステップS181では、上位センサー762の受光器Sbが受光しており(すなわちON状態)、下位センサー763の受光器Sbが受光していない(すなわちOFF状態)にあるか否かが確認される。その結果、ノズルストッカー8の昇降状態が一部上昇状態にあることが確認されると(ステップS181で「YES」)、図14のメインルーチンに戻る。一方、一部上昇状態が確認できない場合(ステップS181で「NO」の場合)には、ステップS170での上昇指令にも拘わらずノズルストッカー8が上昇位置Puに位置決めされておらず、何らかの異常が発生したと主制御部110は判断する。そして、上述のステップS122、S123と同様にしてステップS182、183が実行されて、異常の報知、動作の停止およびフローの終了が順番に実行される。図20のサブルーチンにおいても、主制御部110は、複数のノズルストッカー8に対して行った昇降制御の内容と、光センサー762、763の検知結果とが整合しない場合は、異常を報知する。つまり、かかる不整合が生じたということは、複数のノズルストッカー8に対して行った昇降制御が何らかの理由で適切に実行されなかったことを意味する。そこで、異常を報知して、例えば作業者によるメンテナンスを促すことが好適となる。
一部上昇状態が確認されると、図14のステップS190の「ノズル装着」に進んで、実装ヘッド5に近接する上昇位置Puにあるノズルストッカー8と実装ヘッド5が協同してノズル装着を実行する。図18は、図14のフローチャートで実行されるサブルーチンである「ノズル装着」の一例を示すフローチャートである。ステップS191では、主制御部110が駆動制御部120を介してX軸シリンダー732を動作させて、クラッチ部材731をX方向の他方側Xr(図10参照)に移動させる。これによって、上昇位置Puにあるノズルストッカー8の各シャッター82が一括して挿脱禁止状態から挿脱許可状態に切り換わる(シャッター開)。ステップS192では、実装ヘッド5のノズルシャフト50を下降させる。これによって、上昇位置Puにあるノズルストッカー8のノズル収納部581のノズルNに、ノズルシャフト50のノズル装着部51が下降して嵌合し、ノズル装着を実行する。こうしてノズル装着が完了すると、ステップS193でシャフト50が上昇して、ノズル装着位置51に装着されたノズルNがノズル収納部81から抜け出る。図16の最下段の欄では、かかる状態が示されている。なお、図16に例示するように実装ヘッド5の複数のノズルシャフト50に対してノズル装着を実行する場合には、シャフト50の下降および上昇(ステップS192、S193)を複数のシャフト50で同時に行っても良いし、順番に行っても良い。ステップS194では、主制御部110が駆動制御部120を介してX軸シリンダー732を動作させて、クラッチ部材731をX方向の一方側Xlに移動させる。これによって、上昇位置Puにあるノズルストッカー8の各シャッター82が一括して挿脱許可状態から挿脱禁止状態切り換わる(シャッター閉)。
ちなみに、図16の例では、ステップS190において、ロータリー式の実装ヘッド5の8個のノズル装着部51の全部に対して、これらノズル装着部51が設けられた8本のノズルシャフト50を下降してノズル装着を実行していた。この場合、実装ヘッド5が具備する8個のノズル装着部に対して、ノズル装着を効率的に実行することができる。ただし、ステップS190において実装ヘッド5の8個のノズル装着部51のうち一部のノズル装着部51に対して、このノズル装着部51が設けられたノズルシャフト50のみを下降してノズル装着を行ってももちろん構わない。あるいは、3個の実装ヘッド5に対向して3個のノズル収納ユニット81Uを対向させているため、ステップS190において、3個の実装ヘッド5の各ノズル装着部81に対してノズル装着を実行することもできる。この場合、3個の実装ヘッド5の各ノズル装着部51に対して、ノズル装着を効率的に実行することができる。ただし、1個あるいは2個の実装ヘッド5に対してのみノズル装着を行ってももちろん構わない。
続く図14のステップS200では、ノズル装着を終えたノズルストッカー8が下降位置Pdに下降されて、実装ヘッド5から下方へ離間する。こうして、ノズルストッカー8の昇降状態が一部上昇状態から全下降状態に切り換わって、ヘッドユニット4のXY面内での移動が許可されて、以後に実行されるフローでヘッドユニット4をXY面内で移動させることができる。そして、ステップS210では、ステップS100で設定した装着/収納/交換が全て完了したか否かが確認される。完了したことが確認された場合(ステップS210で「YES」の場合)、図14のフローを終える。一方、完了していないことが確認された場合(ステップS210で「NO」)の場合、ステップS150に戻る。以上が、ステップS150で「装着」と判断された場合の動作である。
一方、ステップS150において、実行対象となるノズル装着部51に対して、ノズルNの収納あるいは交換を行うと判断された場合には、ステップS220〜S270が実行される。ちなみに、ノズル収納は、ステップS220〜S270を実行して、ノズル装着部51に装着されていたノズルNをノズル収納部81に収納することで実行される。一方、ノズル交換は、ステップS220〜S270を実行して、ノズル装着部51に装着されていたノズルNをノズル収納部81に収納してノズル装着部81から取り外した後に、先述のステップS160〜S200を実行して当該ノズル装着部51に新たなノズルNを装着することで実行される。
先ず、ステップS220の「ヘッドユニット移動」では、ステップS140で取得された各ノズルストッカー8に設けられた個別マークM2の位置情報に基づき、収納が決められているノズルNが空のノズルストッカー8の3個のノズル収納部81に、ノズルNの収納あるいは交換を行う実装ヘッド5の3本のノズルシャフト50のノズルNが装着されたノズル装着部51をそれぞれ対向させるようにヘッドユニット4のXY面内での位置が調整されつつ、ヘッドユニット4がXY面内で移動される。また、ステップS220においても、全ノズルストッカー8が下降位置Pdにある全下降状態においてヘッドユニット4がXY面内で移動されるため、ヘッドユニット4に伴って移動するカメラ43と、ノズルストッカー8に収納されるノズルNとの干渉が防止されている。
ヘッドユニット4の移動が完了すると、ステップS230では、主制御部110が駆動制御部120を介してノズル収納/交換の実行主体となるノズルストッカー8(すなわち、実装ヘッド4が対向するノズルストッカー8)のZ軸シリンダー712に対して上昇指令を出力して、当該ノズルストッカー8のみを上昇位置Puに位置決めする。この際、例えば上昇位置Puのノズルストッカー8が具備する一部のノズル収納部81にノズルNが収納されている場合には、このノズルNの上部は、カメラ43の下端より上側に突出する。ただし、図18を用いた上記説明と同様に、ステップS230においても、このノズルNはカメラ43よりY方向に外れているため、カメラ43と干渉することはない。また、下降位置Pdにある各ノズルストッカー8に収納されているノズルNは、カメラ43の下方に位置しつつ、カメラ43の下端との間にクリアランスΔdを空けている。図18を用いた上記説明と同様に、これらのノズルストッカー8を上昇位置Puに位置決めすると、これらのノズルストッカー8に収納されるノズルNとカメラ43とが干渉を起こしてしまう。これに対して、ステップS230においても、実装ヘッド5が対向するノズルストッカー8のみを選択的に上昇位置Puに位置させつつ、他のノズルストッカー8を下降位置Pdに位置させることで、かかる干渉の発生が防止されている。
ステップS240の「一部上昇状態確認」では、図17に示したサブルーチンが実行されて、4個のノズルストッカー8の昇降状態が一部上昇状態にあるか否かが確認される。そして、ステップS250の「ノズル収納」では、上昇位置Puにおいて実装ヘッド5に近接するノズルストッカー8と実装ヘッド5が協同して、実装ヘッド5のノズル装着部51に装着されていたノズルNをノズル収納部81に収納する。図19は、図14のフローチャートで実行されるサブルーチンである「ノズル収納」の一例を示すフローチャートである。ステップS251では、上昇位置Puにあるノズルストッカー8の各シャッター82が一括して挿脱禁止状態から挿脱許可状態に切り換わる(シャッター開)。こうして、ノズル収納部51へのノズルの挿脱が可能となった状態で、ステップS252では、収納あるいは交換を行うノズルNが装着されたノズル装着部51が設けられた実装ヘッド5のノズルシャフト50が下降する。これによって、上昇位置Puにあるノズルストッカー8が、下降してくるシノズルャフト50のノズルNをノズル収納部81に受け入れて、ノズル収納を実行する。こうしてノズル収納が完了すると、ステップS253で、上昇位置Puにあるノズルストッカー8の各シャッター82が一括して挿脱許可状態から挿脱禁止状態へ切り換わって(シャッター閉)、ノズル収納部81に収納されたノズルNの取り出しが規制される。ステップS254では、実装ヘッド5の下降位置にあったノズルシャフト50が上昇する。これによって、ノズル収納部81からの取り出しが規制された状態でノズル収納部81に収納されたノズルNが、上昇するノズルシャフト50から外れる。
ちなみに、ステップS250では、収納あるいは交換を行うノズルNが装着されたノズル装着部51が設けられたノズルシャフト50が8本である場合、ロータリー式の実装ヘッド5の8個のノズルN全部に対してノズル収納を実行することができ、ノズル収納を効率的に実行することができる。ただし、ステップS250において実装ヘッド5の8個のノズル装着部51のうち一部のノズル装着部51のノズルNについてノズル収納を行ってももちろん構わない。あるいは、ステップS250において、収納が決められているノズルNが空のノズルストッカー8の3箇所のノズル収納部81に対し、それぞれ対向する3個の実装ヘッド5の各ノズル装着部81のノズルNについてノズル収納を実行することもできる。この場合、実装ヘッド5の対象となる3箇所の各ノズル装着部51が設けられた各ノズルシャフト50を一緒に下降させる。ただし、1個あるいは2個の実装ヘッド5に対してのみノズル収納を行ってももちろん構わない。
続く図14のステップ260では、ノズル収納を終えたノズルストッカー8が下降位置Pdに下降されて、実装ヘッド5から下方へ離間する。こうして、ノズルストッカー8の昇降状態が一部上昇状態から全下降状態に切り換わって、ヘッドユニット4のXY面内での移動が許可されて、以後に実行されるフローでヘッドユニット4をXY面内で移動させることができる。そして、ステップ270では、ステップS150で確認された実行内容がノズル収納とノズル交換のどちらであったかが確認される。実行内容がノズル収納であった場合には、ステップS210に進む一方、実行内容がノズル交換であった場合には、ステップS160に進んで、ステップS250でのノズル収納においてノズルNが取り外されたノズル装着部51に新たなノズルNが装着されて、ノズル交換が実行される。
以上に説明したように、この実施形態では、8個のノズル収納部81を円周状に配列して構成されるノズル収納ユニット81Uが3個配列されて、ノズル収納ユニット81U毎にシャッター82(規制部材)が設けられている。つまり、3個のノズル収納ユニット81Uに対応して3個のシャッター82が設けられている。そして、3個のシャッター82それぞれは、対応するノズル収納ユニット81Uを構成する各ノズル収納部81に対して、ノズルNの挿脱を一括して規制する挿脱規制状態およびノズルNの挿脱を一括して許可する挿脱許可状態のいずれかを選択的に取る。この際、この実施形態では、各シャッター82を伴って移動することで、挿脱規制状態および挿脱許可状態のいずれかに各シャッター81の状態を一括して切り換えるスライダー84(切換部材)が具備されているため、シャッター操作機構73のX軸シリンダー732(駆動機構)は、スライダー84を移動させて3個のシャッター82の状態を一括して切り換えることができる。したがって、3個のシャッター82のそれぞれに個別にX軸シリンダー732を設ける必要がなく、ノズル収納部81へのノズル挿脱を規制するシャッター82を駆動する駆動機構の増大を抑えてコスト増大の抑制を図ることが可能となっている。
また、この実施形態では、シャッター82は、対応するノズル収納ユニット81Uにおける8個のノズル収納部81の配列中心周りで、スライダー84の移動に伴って回動することで、挿脱規制状態と挿脱許可状態との間で切り換わる。このような構成では、スライダー84によって各シャッター82を回動させるだけで、3個のシャッター82の状態を一括して切り換えることができる。
また、この実施形態では、シャッター82は、8個のノズル収納部81に対応して設けられて配列中心周りに円周状に配列された8個の突起部822を有する。そして、これら突起部822それぞれは、シャッター82の回動に伴って、対応するノズル収納部81に対するノズルNの挿脱経路に突出する挿脱規制位置Prおよび挿脱経路から外れる挿脱許可位置Peのいずれかに位置する。したがって、シャッター82は、反時計回りRb(一方側)に回動することで8個の突起部822を一括して挿脱規制位置Peに位置決めする挿脱規制状態を取るとともに、時計回りRf(他方側)に回動することで8個の突起部822を一括して挿脱許可位置Peに位置決めする挿脱許可状態を取ることができる。このような構成では、スライダー84によってシャッター82を回動させて、シャッター82に設けられた突起部822を変位させるだけで、3個のシャッター82の状態を一括して切り換えることができる。
また、この実施形態では、上昇位置Puと下降位置Pdの間でノズルストッカー8を昇降させるストッカー昇降機構71が設けられている。また、スライダー84を操作するシャッター操作機構73の具備するクラッチ部材731の機能によって、X軸シリンダー732からスライダー84へ動力を伝達する動力伝達経路が、ノズルストッカー8の昇降に応じて接続/遮断される。つまり、上昇位置Puにあるノズルストッカー8のスライダー84とX軸シリンダー732の間には、動力伝達経路が形成される一方、下降位置Pdにあるノズルストッカー8とスライダー84との間では、動力伝達経路が遮断される。このような構成では、ノズルストッカー8を昇降させることで、スライダー84とX軸シリンダー732の間の動力伝達経路を接続/遮断することができる。したがって、シャッター82の状態切換が必要なときに動力伝達経路を形成する一方、シャッター82の状態切換が必要ないときには動力伝達経路を遮断して、シャッター82の状態が誤って切り換えられることがないように、制御することができる。
しかも、ノズルストッカー8が上昇位置Puにあるときに動力伝達経路が形成される一方、ノズルストッカー8が下降位置Pdにあるときに動力伝達経路が遮断されるように構成されている。そのため、ノズル交換用収納機7が上側に位置する実装ヘッド5に対してノズルNの装着/収納を実行するために、ノズルストッカー8を上昇位置Puにまで上昇させた際には、動力伝達経路が形成されるため、シャッター8の状態を適宜切り換えることができる。一方、ノズルNの装着/収納を実行しない間は、ノズルストッカー8を下降位置Pdに下降させておけば、動力伝達経路が遮断されるため、シャッター82の状態が誤って切り換えられることがない。こうして、ノズルNの装着/収納を実行するタイミングに応じて、動力伝達経路の形成/遮断を適切に制御することができるため、かかる構成は好適である。なお、ノズルストッカー8が上昇位置Puにあるときは、ノズルストッカー8と実装ヘッド5との間が近いので、ノズルNの収納動作、装着動作、および装着後の離脱動作を短い時間で行うことができ、ノズルNの装着/収納を効率的に行うことができる。
この際、スライダー84は、各シャッター82が挿脱規制状態となる方向へ付勢されている。このような構成では、動力伝達経路が遮断されている間は、シャッター82が挿脱規制状態となるため、ノズル収納部81へのノズル挿脱が規制される。したがって、動力伝達経路が遮断されているためにX軸シリンダー732からシャッター82への動力伝達が効かない状況において、例えばノズル収納部81に収納されていたノズルNが誤って脱落するといったことが防止できる。
また、この実施形態では、4個のノズルストッカー8のうちの一のノズルストッカー8を選択的に上昇位置Puに上昇させている。このような構成では、4個のノズルストッカー8のうち、シャッター82の状態切換が必要なノズルストッカー8のシャッター82に対して選択的に動力伝達経路を形成することができる。
また、この実施形態では、3個の実装ヘッド5が、ヘッドユニット4においてX方向(ヘッド配列方向)に配列ピッチLh(ヘッド配列ピッチ)で直線状に配列されており、3個のノズル収納ユニット81Uが、ノズルストッカー8においてヘッド配列方向Xと同じ方向にヘッド配列ピッチLhと等しい配列ピッチで直線状に配列されている。さらに、ヘッド配列方向Xと同じ方向に隣接する異なるノズル収納ユニット81Uにそれぞれ属してヘッド配列方向Xと同じ方向に直線状に並ぶ2個のノズル収納部81の配列ピッチがヘッド配列ピッチLhと等しくなっている。このような構成では、隣接する異なるノズル収納ユニット81Uに属するノズル収納部81が同時にノズル交換に供することができ、ノズル交換を効率的に行うことができる。
また、この実施形態では、実装ヘッド5において8個のノズル装着部81が配列される円周O51の直径Roと、ノズル収納ユニット81Uにおいて複数のノズル収納部81が配列される円周O81の直径Roとが等しい。さらに、実装ヘッド5において8個のノズル装着部81が配列される周方向への配列ピッチLoと、ノズル収納ユニット81Uにおいて8個のノズル収納部81が配列される周方向への配列ピッチLoとが等しい。このような構成では、実装ヘッド5の8個のノズル装着部51と、ノズル収納ユニット81Uの8個のノズル収納部81との間で、複数個のノズルNを同時に装着/収納することができ、ノズル交換を効率的に行うことができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、4個のノズルストッカー8のうちの一のノズルストッカー8を選択的に上昇位置Puに上昇させている。しかしながら、4個のノズルストッカー8を一括して上昇位置Puに上昇させても良い。このような構成では、4個のノズルストッカー8を上昇位置Puに上昇させることで、4個のノズルストッカー8それぞれのスライダー84とX軸シリンダー732の間で動力伝達経路を形成することができ、シャッター82の状態切換を4個のノズルストッカー4に対して一括して実行できる。
また、上記実施形態では、カメラ43がヘッド周辺部材として設けられた例について説明を行った。しかしながら、ヘッド周辺部材として、ノズルストッカー8やノズルNとの干渉の防止を図る部材はこれに限られない。具体的には、マーク部材41がノズルストッカー8のY方向側に設けられたような場合には、マーク部材41をヘッド周辺部材として取り扱って、ノズルストッカー8やノズルNとの干渉の防止を図るように構成しても良い。
また、上記実施形態では、シャフト50を下降させるとともにノズルストッカー8を上昇させて、ノズル収納部81とノズル装着部51とを近接させていた。しかしながら、シャフト50を動かさずにノズルストッカー8を上昇させるのみで、ノズル収納部81とノズル装着部51とを近接させても構わない。
さらに、ノズル交換用収納機7が具備するノズルストッカー8の個数、ノズルストッカー8が具備するノズル収納ユニット81Uの個数、あるいはノズル収納ユニット81Uを構成するノズル収納部81の個数等を適宜変更することができる。同様に、ヘッドユニット4が具備する実装ヘッド5の個数や、実装ヘッド5が具備するノズル装着部51の個数等も適宜変更することができる。
また、ノズルストッカー8を昇降させる構成や、シャッター82を切り換える構成についても、適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、回動式のシャッター82を用いた場合が例示されていた。しかしながら、シャッター82をX方向に直線的に動かして、ノズル収納部81からのノズルNの挿脱を規制/許可するように構成することもできる。
また、上記実施形態では、板バネ52の弾性力によってノズルNをノズル装着部51に保持していた。しかしながら、ノズル装着部51にノズルNを保持するための構成は、これに限られない。
また、上記実施形態では、光センサー762、763によってノズルストッカー8の昇降状態を検出していた。しかしながら、光センサー762、763を設けずに、主制御部110が出力した昇降指令の履歴から、ノズルストッカー8の昇降状態を把握するように構成しても構わない。
また、上記実施形態では、実装ヘッド5とノズルストッカー8の位置決めを、全体マークM1や個別マークM2を撮像した結果に基づいて制御していた。しかしながら、全体マークM1や個別マークM2を撮像することなく、予めティーチングした内容に従ってヘッドユニット4を動かして、実装ヘッド5とノズルストッカー8の位置決めを行っても良い。この場合には、全体マークM1や個別マークM2を設ける必要はなくなる。