JP5675410B2 - 導電性弾性ローラの製造方法 - Google Patents
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Description
軸芯体とその周面を被覆している導電性弾性層とを有する電子写真用の導電性弾性ローラを製造する方法であって、
(1)クロスヘッドに複数本の軸芯体を直列に連続して導入する工程と、
(2)該クロスヘッドに接続した押し出し機から未加硫ゴムと導電性粒子とを含む未加硫ゴム混合物を該クロスヘッドに供給する工程と、
(3)該クロスヘッドから、直列に連なった複数本の軸芯体と該未加硫ゴム混合物とを共押し出しし、直列に連なった複数本の軸芯体の周面を該未加硫ゴム混合物の連続層で被覆する工程と、
(4)該連続層の、直列に連なった2本の軸芯体の継ぎ目部分の外周の1ヶ所から、張力を印加した1本の切断ワイヤを該連続層に進入させつつ該切断ワイヤを該連続層の周囲に巻き回して、該切断ワイヤの交差部を、該切断ワイヤが該連続層中に最初に進入した位置から略180°反対側の位置から該連続層に進入させ、該切断ワイヤの交差部と該切断ワイヤの該連続層との最初の接触部とが互いに近づくように該切断ワイヤの輪を絞ることにより、該切断ワイヤを該連続層の外周面から該軸芯体方向に移動させて該連続層を切断する工程と、を有することを特徴とする。
図2に示すように、本発明により製造される導電性弾性ローラ201は、少なくとも軸芯体202とその外周面に導電性弾性層203を有する。導電性弾性層203は、後述する未加硫ゴムと導電性粒子とを含む未加硫ゴム混合物を加硫(硬化)したものであることができる。導電性弾性ローラの長手方向端部は、導電性弾性層を除去して軸芯体を露出させた、軸芯体部204を備えることができ、この軸芯体部204は、画像形成装置内で導電性弾性ローラを支持し、導電性弾性ローラに電圧を印加するためなどに使用される。以下に導電性弾性ローラ201を構成する各部材について説明する。
導電性弾性ローラに用いられる軸芯体202は、導電性を有し、軸芯体の外周面に設けられる導電性弾性体層等を支持する機能を有するものである。軸芯体の材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金を挙げることができる。また、これらの材質を用いて形成した軸芯体の表面に耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、めっき処理等を施してもよい。さらに、軸芯体として、樹脂製の基材の表面を金属等で被覆して表面を導電性としたものや導電性樹脂組成物から製造されたものも使用可能である。
本発明で使用される未加硫ゴム混合物の原料(未加硫ゴム)としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム(IR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッソゴム等のゴムを挙げることができる。また、これらの未加硫ゴムを複数用いても良い。
本発明の導電性弾性ローラを製造する方法に適用できる製造装置の一例を図3に示す。
軸芯体202の継ぎ目部分の大きさ(隣り合う2本の軸芯体の対向する端面間の距離)が、切断ワイヤの直径よりも大きい場合は、切断ワイヤは継ぎ目部分を被覆する未加硫ゴム組成物の連続層へ進入する。
一方、軸芯体202の継ぎ目部分の大きさが、切断ワイヤの直径よりも小さい場合は、切断ワイヤは隣り合う軸芯体の端面と端面を押し広げながら、前記継ぎ目部分を被覆する未加硫ゴム組成物の連続層に進入する。
切断ワイヤとして用いるワイヤは、連続層を切断することができればよく、公知のワイヤ、ピアノ線、紐から必要に応じて選択して用いることができ、切断ワイヤの材質および断面形状も必要に応じて選択することができる。特に繰り返しの切断時の耐久性を考慮して、撚り線を用いるのが好ましい。切断ワイヤの線径としては特に規定されるものではないが、切断抵抗と繰り返し切断時の耐久性を併せて考慮すると、切断ワイヤの線径は0.1mm以上2mm以下のものが好適である。0.1mm以上にすることで繰り返し切断時の耐久性を容易に確保でき、2mm以下にすることで切断抵抗を容易に小さくすることが出来る。また、切断ワイヤの外周面には、未加硫ゴム混合物との摩擦による切断抵抗を小さくする観点から、ポリアミドやPTFEなどのコーティングを施しても良い。
切断条件の調整は、切断ワイヤ601に付加する張力Tと、内リング603、外リング604のそれぞれの回転角速度ω1、ω2とを調整することで行うことができる。張力Tと回転角速度ω1とω2を最適化するための手順の一例を下記に示す。
手順1.
初期条件として任意の張力T、内リング、外リングの回転角速度ω1、ω2を入力する。
手順2.
未加硫導電性弾性ローラの製造を開始する。
手順3.
未加硫導電性弾性ローラの切断を行う。
手順4.
切断完了を検知する。未加硫導電性弾性ローラの切断は、隣り合う軸芯体202の継ぎ目部分で完了するが、前記継ぎ目部分の軸芯体中心位置は外部からの観察が困難である。このため、切断条件の導出には、別途設ける切断完了検知手段による切断完了検知を用いる。
切断完了検知手段の具体例を以下に示す。
手順5.
前記切断完了検知時に切断ワイヤ601と口金305側の軸芯体202の相対位置について確認を行う。
手順6.
手順5において、切断ワイヤ601と口金305側の軸芯体202の相対位置が適切か否かを判断する。前記相対位置が適切な場合は、切断条件が適切であると判断し、手順2以降の工程を継続する。
未加硫導電性ゴム混合物の連続層311と切断ワイヤ601、軸芯体202の電気抵抗値に十分な違いがある場合は、切断ワイヤ601と軸芯体202の導通状態の変化の検出によって切断ワイヤ601と軸芯体202の相対位置を確認できる。具体的には、切断完了時の切断ワイヤ601と軸芯体202の相対位置が適切な場合は、導通状態を示す。他方、前記相対位置が不適切な場合は、導通状態を示さない。
たとえば、切断ワイヤ601がJIS G 4303に規定されるSUS304製、軸芯体202がJIS G 4804に規定されるSUM22を原材料としている場合などにこの方法を適用できる。
本発明の一実施形態として、図3に示すクロスヘッド押出成形装置を用いた導電性弾性ローラの製造方法について説明する。
未加硫ゴム混合物の連続層311の、隣り合う2本の軸芯体202の継ぎ目部分の外周の1ヶ所(接触点1)から、張力Tを印加した1本の切断ワイヤ601を連続層311に接触させる。より具体的には、切断ワイヤ案内孔608をそれぞれ有する内リング603と外リング604を、軸芯体202の軸方向を中心軸として互いに逆方向に周回させて、未加硫ゴム混合物の連続層311の外周面に上記接触点1から切断ワイヤ601を接触させる。前記切断ワイヤ601の張力は不図示の張力調整機構によって一定に保つことができる(図5(a))。
前記内リング603と前記外リング604はそれぞれ周回を続けさせ、張力が一定に保たれた切断ワイヤ601を上記接触点1から連続層311に進入させつつ、該連続層311の周囲に巻き回す(図5(b))。前記切断ワイヤ601は連続的に未加硫ゴム混合物の連続層311と接触し、前記未加硫ゴム混合物の連続層311に進入するが、すべての接触した位置において、軸芯体202、即ち連続層311の内周面へ向かう動きで進入する。
さらに前記内リング603と前記外リング604はそれぞれ周回を続けさせ、巻き回したワイヤ601を交差させて、切断ワイヤ601で輪を形成する(図5(c))。その際、軸芯体202の軸方向に対して垂直な面において、切断ワイヤ601が連続層311中に最初に進入した位置(接触点1)と略180°反対側の連続層の外周面の位置(接触点2)で切断ワイヤ601を交差させる。なお、略180°とは、160°以上220°以下を意味する。
前記内リング603と前記外リング604はそれぞれ周回を続けさせ、前記切断ワイヤ601が形成する輪を絞り、前記切断ワイヤ601を、連続層311の外周面から軸芯体202方向(連続層の内周面に向かう方向)へ移動させる(図5(d)、図5(e))。その際、切断ワイヤ601の交差部を上記接触点2から連続層中に進入させ、切断ワイヤの連続層との最初の接触部と、切断ワイヤの交差部とが互いに近づくようにする。
前記連続層311を、前記切断ワイヤ601の前記連続層311の外周面から軸芯体202に向かう動きによって切断し、未加硫導電性弾性ローラを得る(図5(f)、図5(g))。このとき、前記切断ワイヤ601によって形成された輪は、切断完了まで隣り合う軸芯体同士の間に進入を続けながら(2本の軸芯体が接している場合は、対向する端面間を押し広げて進入し続けながら)小さくなる。
切断ワイヤ601によって形成される輪は、口金305側の連続層311の切断面上ではなく、口金305側の軸芯体202の端面上で消失して、切断ワイヤ601は二つの案内孔を結ぶ直線状になる(図5(h))。
内リング、外リングは切断ワイヤが押し出されるもの(連続層311を被覆した軸芯体202)に干渉しないように退避して(図5(i))、次回の切断に備える。
本発明の製造方法で作製された導電性弾性ローラを適用できる電子写真装置の1例の概略構成を図6(a)に示す。この電子写真装置は、感光体、感光体を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置、トナー像に現像する現像装置、転写材に転写する転写装置、感光体表面の転写トナーを回収するクリーニング装置、トナー像を定着する定着装置等から構成されている。
ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。
導電性弾性ローラを適用する電子写真装置には、帯電ローラ102が被帯電体(感光体101)と少なくとも一体化され、電子写真装置本体に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジを用いることもできる。また、電子写真装置は、少なくとも、このプロセスカートリッジ、露光装置及び現像装置を有することができる。
[製造例1]
表1に示す材料を25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、未加硫ゴム混合物A1を得た。
表2に示す材料を25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、未加硫ゴム混合物A2を得た。
表3に示す材料を25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、未加硫ゴム混合物A3を得た。
表4に示す材料を25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、未加硫ゴム混合物B1を得た。
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製棒に、熱硬化性接着剤(商品名:メタロックN33、(株)東洋化学研究所製)を塗布し、乾燥したものを軸芯体202として準備した。
導電性弾性ローラA1(201)の弾性層端部から5mm内側と10mm内側の位置についてそれぞれ、周方向における電気抵抗値のむらを以下に示す方法で算出した。
図6(a)に示す構成を有する電子写真装置として、カラーレーザージェットプリンター(商品名「HP Color LaserJet 4700dn」:ヒューレット・パッカード社製)を記録メディアの出力スピード200mm/sec(A4縦出力)に改造して用いた。画像の解像度は、600dpi、1次帯電の出力は直流電圧−1100Vとした。
未加硫ゴム混合物A2を用いて、切断ワイヤの張力を8.0N、内リングの角速度を13.5rad/sec、外リングの角速度を12.0rad/secとした以外は実施例1と同様にして帯電ローラA2を得た。評価結果を表5に示す。
未加硫ゴム混合物A3を用いて、切断ワイヤの張力を6.0N、内リングの角速度を17.0rad/sec、外リングの角速度を16.1rad/secとした以外は実施例1と同様にして帯電ローラA3を得た。評価結果を表5に示す。
未加硫ゴム混合物A1を用いて、内リングの角速度を20.5rad/sec、外リングの角速度を20.5rad/secとした以外は実施例1と同様にして帯電ローラA4を得た。評価結果を表5に示す。
未加硫ゴム混合物B1を用いて、φ(直径)9mmの未加硫ゴム混合物の連続層311を軸芯体202の外周面に被覆した。口金305から排出された、直列に連なった2本の軸芯体202の継ぎ目部分の外周の1ヶ所から、切断ワイヤ601に張力を印加せず、切断ワイヤ601を未加硫ゴム混合物の連続層311に進入させずに連続層311の周囲に巻き回し、交差部が連続層に接する切断ワイヤの輪を形成した(図8(a))。係る後、内リング603と外リング605の回転を停止させたまま、切断ワイヤ601に10.0Nの張力を付与して、この切断ワイヤの輪を絞り、切断ワイヤを未加硫ゴム混合物B1の連続層に進入させて(図8(b)、(c))切断した(図8(d))。それ以外は実施例1と同様にして帯電ローラB1を得た。評価結果を表5に示す。
未加硫ゴム混合物B1を用いて、次に示す形式の切断機を具備するクロスヘッド押出成形装置を用いて表5に示す製造条件で実施例1と同様にして帯電ローラB2を得た。すなわち、未加硫ゴム混合物B1の連続層311の外周面から、軸芯体202の継ぎ目に相対する1対の切断刃を進入させる形式の切断機を用いて切断を行った。評価結果を表5に示す。
未加硫ゴム混合物A1〜A3を用いた以外は比較例1と同様にして帯電ローラC1〜C3を得た。評価結果を表5に示す。
未加硫ゴム混合物A1〜A3を用いた以外は比較例2と同様にして帯電ローラC4〜C6を得た。評価結果を表5に示す。
305・・・・口金
311・・・・未加硫ゴム混合物の連続層
600・・・・切断装置
601・・・・切断ワイヤ
602・・・・切断ワイヤ供給巻き取りリール
603・・・・内リング
604・・・・外リング
605・・・・内リング駆動ギヤ
606・・・・外リング駆動ギヤ
608・・・・切断ワイヤ案内孔
Claims (1)
- 軸芯体とその周面を被覆している導電性弾性層とを有する電子写真用の導電性弾性ローラを製造する方法であって、
(1)クロスヘッドに複数本の軸芯体を直列に連続して導入する工程と、
(2)該クロスヘッドに接続した押し出し機から未加硫ゴムと導電性粒子とを含む未加硫ゴム混合物を該クロスヘッドに供給する工程と、
(3)該クロスヘッドから、直列に連なった複数本の軸芯体と該未加硫ゴム混合物とを共押し出しし、直列に連なった複数本の軸芯体の周面を該未加硫ゴム混合物の連続層で被覆する工程と、
(4)該連続層の、直列に連なった2本の軸芯体の継ぎ目部分の外周の1ヶ所から、張力を印加した1本の切断ワイヤを該連続層に進入させつつ該切断ワイヤを該連続層の周囲に巻き回して、該切断ワイヤの交差部を、該切断ワイヤが該連続層中に最初に進入した位置から略180°反対側の位置から該連続層に進入させ、該切断ワイヤの交差部と該切断ワイヤの該連続層との最初の接触部とが互いに近づくように該切断ワイヤの輪を絞ることにより、該切断ワイヤを該連続層の外周面から該軸芯体方向に移動させて該連続層を切断する工程と、を有することを特徴とする導電性弾性ローラの製造方法。
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