JP5673598B2 - コアシェル粒子の被覆率定量方法およびコアシェル粒子の製造方法 - Google Patents

コアシェル粒子の被覆率定量方法およびコアシェル粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コアシェル粒子の被覆率定量方法および当該定量方法を用いたコアシェル粒子の製造方法に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。そのため、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。
従来、燃料電池に用いられる電極触媒としては、触媒活性の高い白金触媒及び白金合金触媒が採用されてきた。しかし、白金は価格が高く、資源量も少ないという問題があり、白金量の低減が求められている。
一方、白金を用いた触媒は非常に高価であるにもかかわらず、触媒反応は粒子表面のみで生じ、粒子内部は触媒反応にほとんど関与しない。したがって、白金を用いた触媒における、材料コストに対する触媒活性は、必ずしも高くなかった。
上記課題の解決を目的とした技術の1つとして、担体に高分散担持された異種金属(コア金属)粒子上に白金単原子層(シェル)を被覆してなる白金コアシェル粒子触媒が注目されている。なお、「単原子層」とは、通常、単原子の層のことをいうが、厚み方向に原子数個分の層を含む。当該コアシェル粒子においては、コア金属材料に比較的安価な材料を用いることにより、触媒反応にほとんど関与しない粒子内部のコストを低く抑えることができる。
従来、白金のシェルを形成する方法として、コア金属粒子の表面に銅のような白金より低い還元電位をもつ金属の単原子層を形成し(アンダーポテンシャル析出法(UPD法))、その後に白金と置換させる方法(置換メッキ法)が一般的である。
しかしながら、触媒量産時には、材料に均一に電子が伝達されないことや、反応物質が十分に供給されないなどの理由から、白金のシェル被覆が十分にされない場合がある。白金のシェル被覆が十分でない場合、コア金属粒子が露出した部分の触媒活性が低く、触媒性能の低下につながる。また、燃料電池内などの酸性雰囲気下では、触媒表面に露出したコア金属粒子が継続的に溶出するため、材料の耐久性にも問題が生じる。
このため、白金コアシェル粒子触媒を製造する際に、コアシェル粒子の被覆率を正確に定量し、被覆率の高いコアシェル粒子を選択的に採用することの重要性が増している。
ここで、「コアシェル粒子の被覆率」とは、コア金属材料を含むコア部の全表面積に対する、シェル金属材料を含むシェル部によって被覆されているコア部の表面積の割合(%)を指す。
電極触媒の表面積の測定法としては、サイクリックボルタンメトリー(以下、CVと称する場合がある。)によって測定された波形に基づいて、電気化学表面積を算出する方法が広く知られている。電気化学表面積は、単位質量当たりに規格化された表面積(通常「cm/g」)である。よって、ある電気化学表面積を有する電極触媒の全体の表面積は、電気化学表面積の値に、電極触媒の総質量を乗じることによって算出できる。
また、電極触媒の平均粒径など何らかの定義に従う粒子サイズを測定し、その粒子サイズに基づいて当該電極触媒の表面積を算出することも行われている。
従来の白金触媒及び白金合金触媒においては、触媒全体が均一な元素組成を有する。そのため、触媒表面の凹凸の有無にかかわらず、CV等の測定結果を用いて触媒の表面積を算出することができた。
特開2011−212666号公報
しかし、コアシェル粒子の最表面は、シェルが被覆している部分と、シェルの欠陥部すなわちコアが露出している部分とで構成される。そのためコアシェル粒子についてCVを行った場合に測定されるCV波形は、シェル部に起因する波形とコアが露出している部分に起因する波形とが合成されたものである。コアシェル粒子そのもののCV波形に基づいて電気化学表面積を算出したとしても、コアシェル粒子のシェル部のみの表面積を当該電気化学表面積に基づいて算出することはできない。従って、コアシェル粒子の被覆率を定量することができないという問題がある。
また、電気化学的測定法以外の方法でコアシェル粒子の表面積を測定又は計算する場合も、やはりコアシェル粒子表面のシェル部のみの表面積を測定することは不可能である。
特許文献1の明細書の段落[0018]には、白金被覆後の金粒子に関する白金被覆率を求める式として、下記式(A)が開示されている。
被覆率(%)={[(Auのピーク面積)−(Pt/Auのピーク面積)]/(Auのピーク面積)}×100 式(A)
(上記式(A)中、「Auのピーク面積」とは、白金被覆前の金粒子(Au)についてのサイクリックボルタモグラムにおける金酸化物の還元ピーク面積を、「Pt/Auのピーク面積」とは、白金被覆後の金粒子(Pt/Au)についてのサイクリックボルタモグラムにおける金酸化物の還元ピーク面積を、それぞれ示す。)
上記式(A)によれば、白金被覆前後において、サイクリックボルタモグラムにおける金酸化物の還元ピーク面積の変化率が、白金被覆率とされている。
しかし、上記特許文献1に開示の被覆率定量方法は、白金被覆前の金酸化物の還元ピーク面積と白金被覆後の金酸化物の還元ピーク面積を算出して、白金被覆前と白金被覆後の金酸化物の還元ピーク面積比に基づいて被覆率を定量しているだけで、コア部の露出面積やシェル部の面積を直接算出しているわけではない。
そのため、当該方法は、特定の検出しやすいピーク面積があるコア金属材料を用いた場合にしか、被覆率を定量することができない。
また、銅−アンダーポテンシャル析出法(Cu−UPD法)を用いて白金コアシェル粒子触媒を製造した際に、シェル部に欠陥が生じる理由としては、犠牲材となる銅層の形成時に既に欠陥が生じている場合や、銅層の形成後、銅の白金への置換がコア金属上の同位置で行われず、白金が偏析する場合等が考えられる。
しかし、上記特許文献1に開示の被覆率定量方法に頼らない、従来の被覆率定量方法では、被覆率を触媒製造過程で簡易的に定量することができないため、触媒製造後に、X線回折(XRD)分析、透過型電子顕微鏡(TEM)観察や触媒の性能評価によって総合的に被覆率を類推している。
そのため、複数種類の測定を行うことで、良品判断に要する解析時間が長くなる。さらに、複数種類の測定結果から総合的に被覆率を類推するため、被覆率定量の精度が低く、製造した触媒の活性性能、耐久性に大きなばらつきが生じるという問題がある。
本発明は、上記実情を鑑み成し遂げられたものであり、良品判断に要する解析時間が短く、被覆率定量の精度が向上する被覆率定量方法、および、当該定量方法を用いたコアシェル粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明においては、コア金属材料を含むコア部と、シェル金属材料を含み且つ前記コア部を被覆するシェル部を備えるコアシェル粒子の被覆率を定量する方法であって、
コアシェル粒子の開回路電位を測定し、
コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子を混合してなる混合試料であって、前記コアシェル粒子の開回路電位の測定値と同じ開回路電位を有するものに含まれるコア金属材料の粒子の表面積とシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対するシェル金属材料の粒子の表面積の割合を、コアシェル粒子の被覆率と判断することを特徴とする、コアシェル粒子の被覆率定量方法を提供する。
本発明の代表的な実施態様においては、コアシェル粒子の開回路電位を測定する工程と、コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の質量で表される混合比が異なる複数の混合試料からなる混合試料群において、混合比と開回路電位の関係を示すデータ群を準備する工程と、
前記コアシェル粒子の開回路電位の測定値をデータ群と照合し、同じ開回路電位を示す混合試料を特定する工程を有し、
特定した混合試料に含まれるコア金属材料の粒子の表面積とシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対する、シェル金属材料の粒子の表面積の割合を、コア金属材料の粒子の単位質量当たり面積、シェル金属材料の粒子の単位質量当たり面積、及び、コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の混合比に基づいて計算し、得られた計算値をコアシェル粒子の被覆率と判断することができる。
本発明においては、前記コア金属材料が、パラジウム、銅、ニッケル、ロジウム、銀、金およびイリジウム並びにこれらから選ばれる金属を含む合金からなる群より選ばれる金属材料であることが好ましい。
本発明においては、前記シェル金属材料が、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウムおよび金並びにこれらから選ばれる金属を含む合金からなる群より選ばれる金属材料であることが好ましい。
本発明においては、コア金属材料としてパラジウムを含むコア部と、シェル金属材料として白金を含み且つ前記コア部を被覆するシェル部を備えるコアシェル粒子の被覆率を定量する方法であって、
コアシェル粒子の開回路電位を測定する工程と、
平均粒径が4nm以上10nm以下かつ平均粒径の差が1nm以内であるパラジウム粒子及び白金粒子を、物質量で表される混合比を異ならしめて混合した複数の混合試料からなる混合試料群において、混合試料に含まれるパラジウム粒子の物質量と白金粒子の物質量の合計に対する白金粒子の物質量の割合と、開回路電位の関係を示すデータ群を準備する工程と、
前記コアシェル粒子の開回路電位の測定値を前記データ群と照合し、同じ開回路電位を示す混合試料を特定する工程を有し、
特定した混合試料に含まれるパラジウム粒子の物質量と白金粒子の物質量の合計に対する白金粒子の物質量の割合を、コアシェル粒子の被覆率と判断することを特徴とする、コアシェル粒子の被覆率定量方法を提供する。
本発明においては、コアシェル粒子の製造方法であって、コア金属材料を含むコア部を、シェル金属材料を含むシェル部で被覆した後、前記被覆率定量方法により被覆率を定量し、その定量値が所定値未満である場合に、シェル金属材料を追加被覆することを特徴とする、コアシェル粒子の製造方法を提供する。
本発明によれば、コアシェル粒子の被覆率の定量の精度を向上し、コアシェル粒子の良品判断に要する解析時間を短くすることができるコアシェル粒子の被覆率定量方法、及び、当該被覆率定量方法を用いたコアシェル粒子の製造方法を提供することができる。
開回路電位測定を行う電気化学装置を示した斜視模式図である。 コアシェル粒子の製造方法の典型例を示したフローチャートである。 実施例1における検量線を示す図である。
1.コアシェル粒子の被覆率定量方法
本発明のコアシェル粒子の被覆率定量方法は、コア金属材料を含むコア部と、シェル金属材料を含み且つ前記コア部を被覆するシェル部を備えるコアシェル粒子の被覆率を定量する方法であって、
コアシェル粒子の開回路電位を測定し、
コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子を混合してなる混合試料であって、前記コアシェル粒子の開回路電位の測定値と同じ開回路電位を有するものに含まれるコア金属材料の粒子の表面積とシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対するシェル金属材料の粒子の表面積の割合を、コアシェル粒子の被覆率と判断することを特徴とする。
本発明は、コアシェル粒子の被覆率を、酸性溶液中で各金属が固有の酸化還元電位を持つという原理に基づいて定量的に検出する方法である。
酸性溶液に浸漬した金属は、その酸の種類や濃度、溶液の温度に依存して固有の電位に帯電する。コアシェル粒子の場合、シェル部の欠陥部ではコア部が露出することになり、コアシェル粒子自体は総じてシェル金属材料とコア金属材料の各々の酸化還元電位の混成電位に帯電する。
本発明者らは、この混成電位の値が、測定雰囲気である酸性溶液に接触しているシェル金属材料の面積及びコア金属材料の面積の合計に対する、当該酸性溶液に接触しているシェル金属材料の割合に比例することを見出した。
この知見によれば、コアシェル粒子について測定された開回路電位と、コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の混合物について測定された開回路電位とが等しい場合は、当該コアシェル粒子の被覆率と、当該混合物中に含まれるコア金属材料の粒子の表面積とシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対するシェル金属材料の粒子の表面積の割合とが、同じ値になるという結果が導かれる。
一方、混合物中に含まれるコア金属材料の粒子の表面積とシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対するシェル金属材料の粒子の表面積の割合は、コア金属材料の粒子の単位質量当たり表面積、シェル金属材料の粒子の単位質量当たり表面積、及び、コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の質量(例えばグラム単位など)で表される混合比(質量比)から計算することができる。また、混合物中に含まれるコア金属材料の粒子の表面積とシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対するシェル金属材料の粒子の表面積の割合は、上記した以外の方法によって既知となっている場合もある。
従って、製造したコアシェル粒子の開回路電位を酸性溶液中で測定し、当該コアシェル粒子の開回路電位の測定値と同じ開回路電位を有するコア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子を含む混合試料を特定し、当該混合試料に含まれる、コア金属材料の粒子およびシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対するシェル金属材料の粒子の表面積の割合を計算し、得られた計算値を、コアシェル粒子のシェルによる被覆率と判断することができる。
本発明においては、測定ターゲットであるコアシェル粒子の開回路電位の測定値と同じ開回路電位の値を有する混合試料を容易に特定するために、コア金属材料の粒子及びシェル金属材料の粒子の混合比が異なる複数の混合試料からなる混合試料群を作成し、当該混合試料群に含まれる個々の混合試料について開回路電位を測定し、開回路電位の測定値を照合することによって対応する混合試料を特定することが可能なデータ群を用いることが好ましい。
本発明に用いられるデータ群は、コアシェル粒子の開回路電位の測定値と同一の開回路電位を有する混合試料を特定することができ、混合試料に含まれるコア金属材料の粒子の表面積とシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対するシェル金属材料の粒子の表面積の割合を求めるために用いることができるものであれば、いかなるデータ群であってもよい。
上記本発明の定量方法を用いることで、製造中のコアシェル粒子の被覆率を正確に定量することができ、短時間で効率よく定量することができる。
コアシェル粒子の被覆率は、コアシェル粒子の触媒活性等を判定する指標となる他、当該コアシェル粒子を製造するにあたり、製造方法の良否を判定する指標ともなる。
以下、本発明の代表的な実施態様を例に挙げて、本発明を詳しく説明する。
(1)第1の実施態様
本発明の代表的な実施態様は、次の手順からなる。
(1)コアシェル粒子の開回路電位を測定する工程と、
(2)コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の質量(例えばグラム単位)で表される混合比が異なる複数の混合試料からなる混合試料群において、混合比と開回路電位の関係を示すデータ群を準備する工程と、
(3)前記コアシェル粒子の開回路電位の測定値をデータ群と照合し、同じ開回路電位を示す混合試料を特定する工程を有し、
(4)特定した混合試料に含まれるコア金属材料の粒子の表面積とシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対する、シェル金属材料の粒子の表面積の割合を、コア金属材料の粒子の単位質量当たり面積(例えばcm/g)、シェル金属材料の粒子の単位質量当たり面積、及び、コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の混合比に基づいて計算し、得られた計算値をコアシェル粒子の被覆率と判断する。
(コアシェル粒子)
測定ターゲットであるコアシェル粒子は、コア金属材料を含むコア部と、シェル金属材料を含み且つ前記コア部を被覆するシェル部を備えるものである。本発明に用いられるコアシェル粒子は、市販のものであってもよいし、予め製造したものであってもよい。
コア部にシェル部を被覆する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
コア部を構成するコア金属材料は、後述するシェル部に用いられるシェル金属材料と格子不整合を生じない金属材料であることが好ましい。また、コストを抑える観点から、コア部を構成するコア金属材料は、後述するシェル部に用いられるシェル金属材料よりも安価な金属材料であることが好ましい。さらに、コア部を構成するコア金属材料は、電気的導通がとれる金属材料であることが好ましい。
この様な観点から、コア部に含まれるコア金属材料は、パラジウム、銅、ニッケル、ロジウム、銀、金およびイリジウム並びにこれらから選ばれる金属を含む合金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属材料であることが好ましい。これらの金属材料のうち、パラジウム、又は上記金属材料を含むパラジウム合金をコア金属材料に用いることがより好ましく、パラジウムが特に好ましい。
コア金属材料の粒子の平均粒径は、後述するコアシェル粒子の平均粒径以下であれば、特に限定されない。コア金属材料の粒子の平均粒径は、好ましくは30nm以下、より好ましくは2〜10nmである。
なお、本発明に用いられる粒子の平均粒径は、常法により算出される。粒子の平均粒径の算出方法の例は以下の通りである。まず、400,000倍又は1,000,000倍のTEM画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察による粒径の算出を、同じ種類の200〜300個の粒子について行い、これらの粒子の個々の粒径の平均値を平均粒径とする。
コア金属材料は担体に担持されていてもよい。特に、本発明におけるコアシェル粒子を燃料電池の電極触媒層に使用した際、電極触媒層に導電性を付与するという観点から、担体が導電性材料であることが好ましい。
担体として使用できる導電性材料の具体例としては、ケッチェンブラック(商品名:ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製)、バルカン(商品名:Cabot社製)、ノーリット(商品名:Norit社製)、ブラックパール(商品名:Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名:Chevron社製)等の炭素粒子や、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホーン(CNH)、カーボンナノファイバー(CNF)等の炭素繊維の炭素材料;金属粒子や金属繊維等の金属材料;が挙げられる。
担体へのコア金属材料の担持方法には、従来から用いられている方法を採用することができる。
シェル部を構成するシェル金属材料は、触媒活性が高いことが好ましい。
この様な観点から、シェル部に含まれるシェル金属材料は、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム及び金並びにこれらから選ばれる金属を含む合金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属材料であることが好ましい。
これらの金属材料の中でも、シェル部は白金を含むことが特に好ましい。白金は、触媒活性、特に酸素還元反応(Oxygen Reduction Reaction;以下、ORRと称する場合がある。)活性に優れている。また、白金の格子定数は3.92Åであるのに対し、パラジウムの格子定数は3.89Åであり、パラジウムの格子定数は白金の格子定数の±5%の範囲内の値である。したがって、コア金属材料にパラジウムを、シェル金属材料に白金をそれぞれ用いることにより、コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の間で格子不整合が生じず、白金によるコア部の被覆が十分に行われる。
コア部へのシェル部の被覆は、一段階の反応を経て行われてもよいし、多段階の反応を経て行われてもよい。
以下、2段階の反応を経てコア部にシェル部が被覆される例について主に説明する。
2段階の反応を経てコア部にシェル部が被覆される例としては、少なくとも、コア部に単原子層を被覆する工程、及び、当該単原子層を所望のシェル金属材料を含むシェル部に置換する工程を有する例が挙げられる。
2段階の反応を経てコア部にシェル部が被覆される具体例としては、アンダーポテンシャル析出法により予めコア部に単原子層を形成した後、当該単原子層を所望のシェル金属材料を含むシェル部に置換する方法が挙げられる。アンダーポテンシャル析出法としては、Cu−UPD法を用いることが好ましい。Cu−UPD法としては、特開2012−16684号公報の明細書の段落[0036]〜[0038]に記載の従来公知の方法を用いることができる。
特に、パラジウム粒子からなるコアを使用し、シェルとして白金を被覆する場合には、Cu−UPD法によって、白金の被覆率が高く、耐久性に優れるコアシェル粒子を製造できる。
本発明に用いられるコアシェル粒子の平均粒径は一般に、下限が3nm以上、好ましくは4nm以上、上限が40nm以下、好ましくは10nm以下である。
(開回路電位の測定)
本発明において「開回路電位」とは、電気化学測定において、作用極と参照極のみを溶媒に浸漬させ、電流を流さない状態で測定される作用極と参照極の間の電位差(単位mVなど)をいう。
本発明における開回路電位測定方法は、特に限定されない。開回路電位測定方法としては、例えば、回転ディスク電極(Rotating Disk Electrode;以下、RDEと称する場合がある。)、回転リングディスク電極(Rotating Ring Disk Electrode;以下、RRDEと称する場合がある。)等を作用極に用いた電気化学装置により行われる。
以下、コアシェル粒子の開回路電位を測定する方法の具体例について説明する。
先ず、コアシェル粒子の粉末を、少なくとも水を含む溶媒に加え、分散させる。この分散液を、電気化学セルの作用極に塗布し、自然乾燥させる。
なお、分散液は、電解質、例えば、Nafion(登録商標:デュポン株式会社製)等のパーフルオロスルホン酸ポリマー系電解質をバインダーにして、作用極上に接着してもよい。分散液には、適宜、水やアルコール等の溶媒を加えてもよい。
作用極としては、グラッシーカーボン等の、導電性が担保できる材料を用いることができる。
参照極としては、白金に水素を吹き込み使用する可逆水素電極(reversible hydrogen electrode;以下RHEと称することがある)、あるいは銀−塩化銀電極が用いられる。銀−塩化銀電極の測定値を可逆水素電極へ変換する場合は、事前にRHEと銀−塩化銀電極の電位差を測定しておき、あとで補正する。
図1は、開回路電位測定を行う電気化学装置を示した斜視模式図である。ガラスセル1に、電解液2を加え、さらに分散液3が塗布された作用極4を設ける。ガラスセル1中には、作用極4と、参照極5を電解液2に十分に浸かるように配置し、これら2つの電極をデュアル電気化学アナライザーと電気的に接続する。また、気体の導入管6を電解液2に浸かるように配置し、セル外部に設置された酸素供給源(図示せず)から酸素を一定時間電解液2に室温下でバブリングさせ、電解液2中に酸素を飽和させた状態とする。気泡7は酸素の気泡を示す。そして、作用極4と参照極5との間の開回路電位を測定する。
作用極としてRDEを用いてコアシェル粒子の開回路電位を測定する場合、電位の安定性の観点から、RDEを電解液に浸漬させ、電解液中でRDEを回転させ、浸漬から数分後に開回路電位を測定することが好ましい。
開回路電位測定条件は、コアシェル粒子の劣化や、担体であるカーボンの劣化が生じない条件であることが好ましい。RDEを用いた開回路電位測定の具体的な条件の一例を下記に示す。
・電解液:0.1M HClOaq(酸素をバブリングさせる)
・雰囲気:酸素雰囲気下
・回転数:400〜3,000rpm
・参照極:銀−塩化銀電極
(混合試料)
混合試料に用いるコア金属材料の粒子は、測定ターゲットであるコアシェル粒子のコア部と同じ材料からなる粒子を用いることができる。また、混合試料に用いるシェル金属材料の粒子は、測定ターゲットであるコアシェル粒子のシェル部と同じ材料からなる粒子を用いることができる。
コア金属材料の粒子及びシェル金属材料の粒子の平均粒径は特に限定されないが、コアシェル粒子の平均粒径と同様の下限が3nm以上、好ましくは4nm以上、上限が40nm以下、好ましくは10nm以下の範囲内であれば、混合試料の開回路電位を問題なく測定することができる。
コアシェル粒子の開回路電位と同じ開回路電位を有する混合試料を特定するために、通常は混合比が異なる複数の混合試料を準備する。混合試料の混合比は、当該混合試料に含まれるコア金属材料の粒子の表面積及びシェル金属材料の粒子の表面積を計算するために用いられるものであり、質量基準(通常はグラム単位)の混合比で表される。
混合試料群に含まれる個々の混合試料について開回路電位を測定し、混合比と開回路電位の関係を示すデータ群(データマップ)を作成する。混合試料の開回路電位は、コアシェル粒子と同じ方法で測定すればよい。なお、本発明においてコア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の混合比とは、混合物に含まれるコア金属材料の粒子の量とシェル金属材料の粒子の量を直接対比し、「a:b」のように表記される狭義の混合比に限定されず、コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の合計量に対するシェル金属材料の粒子の量の割合、例えば「質量%」で表記される比率を包含する広義の混合比である。
(データ群及びデータ照合)
データ群としては、例えば、混合試料の開回路電位と混合比を対応させたプロット群からなる単純なデータ群、混合試料の開回路電位と混合試料の混合比を対応させたプロット群から導き出した関係式の形式で表わされるデータ群が挙げられる。
なおデータ群としては、混合試料の開回路電位と、当該混合試料に含まれるコア金属材料の粒子の表面積とシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対するシェル金属材料の粒子の表面積の割合とを対応させたプロット群からなるデータ群、混合試料の開回路電位と上記したような表面積の割合とを対応させたプロット群から導き出した関係をグラフ化したいわゆる検量線の形式となったデータ群などのように、外見上は混合試料の混合比を示さないデータ群も挙げられる。しかし、これらの変形例も、混合試料の開回路電位と混合比を対応させたプロットからなるデータ群を、さらにデータ処理することによって、後続の工程において行われるべきデータ処理を繰り上げて行ったものにすぎない。
本発明に用いられるデータ群は、例えば、(a)コア金属材料の粒子における開回路電位のデータ、(b)シェル金属材料の粒子における開回路電位のデータ、及び、(c)コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の混合比が異なる複数の混合試料群における開回路電位のデータを少なくとも含むデータ群であってもよい。
当該(a)におけるコア金属材料の粒子、及び当該(b)におけるシェル金属材料の粒子は、それぞれ、被覆率を定量すべきコアシェル粒子のコア部及びシェル部と同じ材料からなる。また、当該(c)における混合試料群とは、前記コア金属材料の粒子、及び、前記シェル金属材料の粒子を任意の割合で含む混合試料群を指す。
本発明に用いるデータ群について具体的に説明する。まず、コア金属材料の粒子の開回路電位V、シェル金属材料の粒子の開回路電位V100、コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の混合比が異なる複数の混合試料群の開回路電位Vを、それぞれ測定する。
次に、混合試料に含まれるコア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の合計に対するシェル金属材料の粒子の割合n(wt%)をx軸にとり、混合試料群の開回路電位(V)をy軸にとれば、(x,y)=(0,V)、(n,V)、(100,V100)のデータからなるデータ群が得られる。
コアシェル粒子の開回路電位の測定値を、このようなデータ群と照合することによって、コアシェル粒子の開回路電位の測定値と同一の開回路電位を有する混合試料を特定し、当該混合試料の混合比を知ることができる。
(コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の表面積)
コアシェル粒子の開回路電位の測定値と等しい開回路電位を有する混合試料を特定した後、当該混合試料に含まれるコア金属材料の粒子の表面積と、シェル金属材料の粒子の表面積を計算する。
ここで、混合試料中のコア金属材料の粒子の表面積は、当該混合試料の質量と、当該混合試料に含まれるコア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の質量で表される混合比と、コア金属材料の粒子の単位質量当たり面積から計算される。また、混合試料中のシェル金属材料の粒子の表面積は、当該混合試料の質量と、当該混合試料に含まれるコア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の質量で表される混合比と、シェル金属材料の粒子の単位質量当たり面積から計算される。
ここで、混合試料の質量は、使用した混合試料全体を秤量することで知ることができる。また、混合試料に含まれるコア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の質量で表される混合比は、混合試料を調製する段階で決定される値であるから、既知である。
コア金属材料の粒子及びシェル金属材料の粒子の単位質量当たり面積は、サイクリックボルタンメトリー(CV)、CO吸着、X線小角散乱(Small Angle X−ray Scattering;以下、SAXSと称する。)、TEM等の適切な測定結果から算出する。SAXSの測定結果及びTEMの観察結果からは、金属材料の粒子の平均粒径が算出できるので、当該平均粒径から粒子の単位質量当たり面積を計算できる。単位質量当たり面積は、同じ材料からなる粒子であっても粒径によって異なるから、混合試料の調製に実際に使用するコア金属材料の粒子及びシェル金属材料の粒子について測定した結果から計算する必要がある。
サイクリックボルタンメトリー(CV)の測定結果から計算されるコア金属材料の粒子の電気化学表面積及びシェル金属材料の粒子の電気化学表面積は、それぞれの粒子の単位質量当たり面積として採用することができる。コア金属材料の粒子の電気化学表面積は、コア金属材料の粒子についてCV測定を行うことでサイクリックボルタモグラムを取得し、得られたサイクリックボルタモグラムに含まれる水素吸着波の面積から水素吸着電荷量を算出し、この水素吸着電荷量を用いて次の式(1)から求めることができる。また、シェル金属材料の粒子の電気化学表面積も、同様に式(1)から求めることができる。
[式(1)]
電気化学表面積(cm/g)=粒子の水素吸着電荷量(μC)/[粒子を構成する金属材料の単位活性表面積当たりの吸着電荷量(μC/cm)×粒子の重量(g)]
なお、金属材料の単位活性表面積当たりの吸着電荷量としては、既知の値を用いることができる。
電気化学表面積の測定は、例えば、回転ディスク電極、回転リングディスク電極等を作用極に用いた電気化学装置により行われる。RDEを用いる対流ボルタンメトリーは、物質輸送速度を回転数で再現よく制御でき、且つ、電極への物質輸送を均一にできる観点から好ましい。
電気化学表面積の測定条件は、コアシェル粒子の劣化や、担体であるカーボンの劣化が生じない条件であることが好ましい。
(被覆率)
混合試料に含まれるコア金属材料の粒子の表面積と、シェル金属材料の粒子の表面積を計算した後、混合試料に含まれるコア金属材料の粒子の表面積とシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対する、シェル金属材料の粒子の表面積の割合を計算し、得られた計算値を、当該混合試料に対応するコアシェル粒子の被覆率であると判断する。
コアシェル粒子の被覆率をX、コア金属材料の粒子の表面積をA、シェル金属材料の粒子の表面積をBとすると、被覆率Xは次の式で表される。
[式(2)]
コアシェル粒子の被覆率X(単位%)
={シェル金属材料の粒子の表面積B(単位cm)/(コア金属材料の粒子の表面積A(単位cm)+シェル金属材料の粒子の表面積B(単位cm))}×100
また、混合試料の質量をM、当該混合試料に含まれるコア金属材料の粒子の質量をMa、当該混合試料に含まれるシェル金属材料の粒子の質量をMb、コア金属材料の粒子の単位質量当たり面積をSa、シェル金属材料の粒子の単位質量当たり面積をSbとすると、混合試料の質量M、コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の質量で表される混合比R、コア金属材料の粒子の表面積A、シェル金属材料の粒子の表面積Bは、それぞれ次の式で表される。
[式(3)]
混合試料の質量M(単位g)
=コア金属材料の粒子の質量Ma(単位g)+シェル金属材料の粒子の質量Mb(単位g)
[式(4)]
コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の質量で表される混合比R
=コア金属材料の粒子の質量Ma(単位g):シェル金属材料の粒子の質量Mb(単位g)
[式(5)]
コア金属材料の粒子の表面積A(単位cm
=コア金属材料の粒子の単位質量当たり面積Sa(単位cm/g)×〔混合試料の質量M(単位g)×{Ma(単位g)/(Ma+Mb(単位g))}〕
上記式(5)に、上記式(3)を代入すると、
[式(6)]
コア金属材料の粒子の表面積A(単位cm
=コア金属材料の粒子の単位質量当たり面積Sa(単位cm/g)×コア金属材料の粒子の質量Ma(単位g)
[式(7)]
シェル金属材料の粒子の表面積B(単位cm
=シェル金属材料の粒子の単位質量当たり面積Sb(単位cm/g)×〔混合試料の質量M(単位g)×{Mb(単位g)/(Ma+Mb(単位g))}〕
上記式(7)に、上記式(3)を代入すると、
[式(8)]
シェル金属材料の粒子の表面積B(単位cm
=シェル金属材料の粒子の単位質量当たり面積Sb(単位cm/g)×シェル金属材料の粒子の質量Mb(単位g)
そして、上記式(2)に、上記式(6)及び上記式(8)を代入すると、
[式(9)]
コアシェル粒子の被覆率X
={B/(A+B)}×100
={Sb×Mb/(Sa×Ma+Sb×Mb)}×100(単位%)
上記式(9)において各符号の意味は次の通りである。
X:測定ターゲットであるコアシェル粒子の被覆率(単位%)
A:混合試料に含まれるコア金属材料の粒子の表面積(単位cm
B:混合試料に含まれるシェル金属材料の粒子の表面積(単位cm
Sa:コア金属材料の粒子の単位質量当たり面積(単位cm/g)
Sb:シェル金属材料の粒子の単位質量当たり面積(単位cm/g)
Ma:混合試料に含まれるコア金属材料の粒子の質量(単位g)
Mb:混合試料に含まれるシェル金属材料の粒子の質量(単位g)
ここで、上記式(4)によれば、コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の質量で表される混合比Rは、コア金属材料の粒子の質量Ma及びシェル金属材料の粒子の質量Mbの比(Ma:Mb)で表されるから、結局のところコアシェル粒子の被覆率Xは、コア金属材料の粒子の単位質量当たり面積Sa、シェル金属材料の粒子の単位質量当たり面積Sb、及び、混合試料に含まれるコア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の質量で表される混合比(Ma:Mb)に基づいて計算することができる。
(2)第2の実施態様
本発明者らは、パラジウムを含むコア部、白金を含むシェル部から構成されるコアシェル粒子の被覆率を定量するために上記第1の実施態様を適用し、さらに混合試料の調製に用いるコア金属材料としてのパラジウム粒子、シェル金属材料としての白金粒子とが、互いに同等の粒径分布のものであるという限られた条件の下では、混合試料に含まれるパラジウム粒子と白金粒子の物質量(モル)で表される混合比(モル比)を、当該混合試料に含まれるパラジウム粒子の表面積と白金粒子の表面積の比と同一視することができ、物質量の値又は物質量で表される混合比から被覆率を定量することができることを見出した。
白金とパラジウムの原子径はそれぞれ、278pm、274pmと、ほぼ等しいため、白金粒子とパラジウム粒子が同等の粒径分布を持つ場合には、白金粒子1個に含まれる白金原子の数と、パラジウム粒子1個に含まれるパラジウム原子の数は、ほぼ等しくなる。また、白金粒子とパラジウム粒子が同等の粒径分布を持つ場合には、白金粒子1個の表面積と、パラジウム粒子1個の表面積も、ほぼ等しくなり、且つ、白金粒子1個の表面に露出する白金原子の数と、パラジウム粒子1個の表面に露出するパラジウム原子の数も、ほぼ等しくなる。従って、白金粒子とパラジウム粒子の混合物において、白金粒子とパラジウム粒子が同等の粒径分布を持つ場合には、白金粒子の表面積とパラジウム粒子の表面積の比が、白金粒子とパラジウム粒子の物質量で表される混合比と、ほぼ等しくなり、同一視することが可能である。
また、パラジウムを含むコア部、白金を含むシェル部から構成されるコアシェル粒子の開回路電位と、パラジウム粒子と白金粒子を混合してなる混合試料について測定された開回路電位とが等しい場合、前者であるコアシェル粒子においてコア部が露出している部分の面積と、シェル部が被覆している部分の面積の比は、後者である混合試料に含まれるパラジウム粒子の表面積と、白金粒子の表面積の比と一致する。この事実は、他のコアシェル粒子と同様である。
従って、上記した如き限られた条件を満たす場合には、パラジウムを含むコア部、白金を含むシェル部から構成されるコアシェル粒子の開回路電位と等しい開回路電位を持つ混合試料に含まれるパラジウム粒子の物質量と白金粒子の物質量の合計に対する白金粒子の物質量の割合を、当該コアシェル粒子の被覆率と判断することができる。
本発明の第2の実施態様は、上記した如き限られた条件を満たす場合において、極めて効率よく、コアシェル粒子の被覆率を定量できる方法であり、次の手順からなる。
(1)コア金属材料としてパラジウムを含むコア部と、シェル金属材料として白金を含み且つ前記コア部を被覆するシェル部を備えるコアシェル粒子の開回路電位を測定する工程と、
(2)平均粒径が4nm以上10nm以下かつ平均粒径の差が1nm以内であるパラジウム粒子及び白金粒子を、物質量で表される混合比を異ならしめて混合した複数の混合試料からなる混合試料群において、混合試料に含まれるパラジウム粒子の物質量と白金粒子の物質量の合計に対する白金粒子の物質量の割合と、開回路電位の関係を示すデータ群を準備する工程と、
(3)前記コアシェル粒子の開回路電位の測定値を前記データ群と照合し、同じ開回路電位を示す混合試料を特定する工程を有し、
(4)特定した混合試料に含まれるパラジウム粒子の物質量と白金粒子の物質量の合計に対する白金粒子の物質量の割合を、コアシェル粒子の被覆率と判断する。
この第2の実施態様によれば、混合試料中のコア金属材料の粒子およびシェル金属材料の粒子の各々の単位質量当たり面積をCV測定などの方法で測定し又は計算する必要がないため、本発明による定量手順を極めて簡素化することができる。
この実施態様においては、同等の粒径分布を有するパラジウム粒子と白金粒子を用いるという観点から、平均粒径が4nm以上10nm以下かつ平均粒径の差が1nm以内であるパラジウム粒子と白金粒子を混合して混合試料を調製する。パラジウム粒子と白金粒子の平均粒径を4nm以上10nm以下かつ平均粒径の差が1nm以内に限定することによって、特に再現性の良い定量結果が得られる。
ここで、パラジウム粒子と白金粒子の平均粒径としては、X線回折法の定義に従う平均粒径の測定値を採用することができる。かかる定義に従う平均粒径は、例えば、次の方法で測定できる。
金属粒子にX線を照射し、その回折像から、結晶子サイズを次のScherrerの式(10)から求め、得られた結晶子サイズを平均粒径とする。
[式(10)]
D=(Kλ)/(βcosΘ)
上記式(10)において各符号の意味は次の通りである。
D:結晶子サイズ(nm)
K:Scherrer定数
λ:測定X線波長(nm)
β:半価幅(rad)
Θ:回折線のブラッグ角度(rad)
この実施態様においては、混合試料に含まれるパラジウム粒子の物質量と白金粒子の物質量の合計に対する白金粒子の物質量の割合と、開回路電位の関係を示すデータ群を用いる。ここで、混合試料に含まれるパラジウム粒子の物質量と白金粒子の物質量の合計に対する白金粒子の物質量の割合は「モル%」と定義され、対応する開回路電位を有するコアシェル粒子の被覆率(面積%)の値と同一視される。
この実施態様において、コアシェル粒子の被覆率をX、パラジウム粒子の物質量をC(単位モル)、白金粒子の物質量をD(単位モル)とすると、被覆率Xは次の式で表される。
[式(11)]
コアシェル粒子の被覆率X(単位%)
={白金粒子の物質量D(単位モル)/(パラジウム粒子の物質量C(単位モル)+白金粒子の物質量D(単位モル))}×100
上記式(11)において各符号の意味は次の通りである。
X:測定ターゲットであるコアシェル粒子の被覆率(単位%)
C:コアシェル粒子の開回路電位と等しい開回路電位を示す混合試料に含まれるコア金属材料の粒子であるパラジウム粒子の物質量(単位モル)
D:コアシェル粒子の開回路電位と等しい開回路電位を示す混合試料に含まれるシェル金属材料の粒子である白金粒子の物質量(単位モル)
従って,第2の実施態様においてコアシェル粒子の被覆率Xは、混合試料に含まれるパラジウム粒子と白金粒子の物質量で表される混合比(C:D)に基づいて計算することができる。
2.コアシェル粒子の製造方法
本発明におけるコアシェル粒子の製造方法は、コア金属材料を含むコア部を、シェル金属材料を含むシェル部で被覆した後、上述のコアシェル粒子の被覆率定量方法により被覆率を定量し、その定量値が所定値未満の時に、シェル金属材料を追加被覆することを特徴とする。
本発明における上記所定値、すなわち被覆率の目標値は、コアシェル粒子の用途により適宜決定できる。例えば、コアシェル粒子を燃料電池の電極触媒に用いる場合には、被覆率の目標値を50%以上の値に設定することが好ましい。
図2は、本発明のコアシェル粒子の製造方法の典型例を示したフローチャートである。なお、本発明は、必ずしも本典型例のみに限定されるものではない。以下、図2に沿って本発明の製造方法について説明する。
まず、対象となるコアシェル粒子を準備する(手順1)。次に、コアシェル粒子について開回路電位の測定を行う(手順2)。開回路電位の測定方法は、上述した通りである。続いて、開回路電位の測定値から、コアシェル粒子の被覆率を定量する(手順3)。次に、定量された被覆率と予め設定した所定値とを比較する(手順4)。被覆率が所定値以上である場合には、コアシェル粒子の製造を終了する。一方、被覆率が所定値未満である場合には、コアシェル粒子にシェル金属材料を追加被覆する(手順5)。このように、手順4において所定値を満たしていない場合、手順5において、コアシェル粒子にシェル金属材料を追加被覆し、所望の被覆率を有するコアシェル粒子が得られるまで繰り返し手順1から手順5を行う。
(シェル金属材料を追加被覆する方法)
本発明において、コアシェル粒子にシェル金属材料を追加被覆する方法は、特に限定されず、例えば、電位サイクル処理、酸洗浄処理、UPD法、化学還元処理等が挙げられる。
電位サイクル処理は、特に限定されないが、コアシェル粒子に電位サイクル(例えば、1.1V〜0.6VvsRHEの矩形波等)をかけ、コア部のコア金属材料を部分的に溶出させ、溶け難いシェル部のセルフヒーリング効果を促進させることで、露出したコア部を抑制させる方法等が挙げられる。この場合、コアシェル粒子の粒径が一回り小さくなるが、シェル部の欠陥が少ないコアシェル粒子ができる。
酸洗浄処理は、特に限定されないが、コアシェル粒子を硝酸等の酸に浸漬させ、電位サイクル処理と同様に、コア部のコア金属材料を部分的に溶出させ、溶け難いシェル部のセルフヒーリング効果を促進させることで、露出したコア部を抑制させる方法等が挙げられる。この場合も、電位サイクル処理と同様に、コアシェル粒子の粒径が一回り小さくなるが、シェル部の欠陥が少ないコアシェル粒子ができる。
UPD法は、特に限定されないが、銅を用いてもよいし、それ以外の金属による置換メッキを行ってもよい。Cu−UPD法の場合、析出終点を電位で制御することにより、必要量の銅層を形成することができる。
化学還元処理は、特に限定されないが、アルコール類や水素を使用したシェル金属材料の金属塩による化学還元を行ってもよい。
このように、本発明のコアシェル粒子の被覆率定量方法をコアシェル粒子の製造方法に適用することで、触媒の良品判断が簡易的になり、被覆率の定量の精度が向上し、優れたコアシェル粒子のみを触媒反応に供することができる。
本発明の製造方法によって得られたコアシェル粒子を、例えば、燃料電池の電極に用いる場合には、コア金属材料の粒子の溶出により電圧が低下するおそれがなく、優れた放電性能を有する電池の提供が可能となる。また、本発明の製造方法により、高品質なコアシェル粒子を無駄なく提供できる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
1.カーボンに担持されたコアシェル粒子(Pt/Pd/C)の合成
0.5gの30wt%パラジウム担持カーボン粉(以下Pd/C)をグラファイト製容器に入れ、1.0Lの0.05M硫酸水溶液を加えた。
グラファイト製容器を作用極(以下WE)として、白金メッシュを対極(以下CE)として、銀−塩化銀電極を参照極(以下RE)としてセットし、各々が硫酸水溶液に浸るようにした。
容器を密閉し、Pd/Cが懸濁した硫酸水溶液に窒素を50cc/minで30分間バブリングした。その後、水素を50cc/minで30分間バブリングした。
WE、RE、CEをポテンショスタット(北斗電工株式会社製、HZ−5000)に接続し、WEを0.40〜0.45VvsRHE間でCVを360サイクル回した。電位の掃引速度は5mV/sで行った。
容器内に14.6gの硫酸銅5水和物を66mLの0.05Mの硫酸水溶液に溶解したものを加え、WEの電位を0.40VvsRHEで2時間、一定にし、パラジウム粒子の表面に銅の単原子層を析出させた。
容器内に161.3mgの塩化白金カリウムと4.5gのクエン酸1水和物を140mLの0.05Mの硫酸水溶液に溶解したものを約80分かけて加え、その後、懸濁液は1時間攪拌し、パラジウム粒子の表面に白金の単原子層を析出させた。
その後、約15mLの懸濁液を抽出し、濾過した。300mLの超純水で洗浄し、3時間真空乾燥しカーボン担持コアシェル粒子を得た。
2.データ群の作成
平均粒径が4.5nmのパラジウム粒子及び平均粒径が5.4nmの白金粒子を、それぞれ同種のカーボンに担持させ、パラジウム粒子担持カーボン及び白金粒子担持カーボンを用意した。
これらの担持体を、白金粒子の物質量とパラジウム粒子の物質量の合計に対する白金粒子の物質量の割合が0モル%、20モル%、40モル%、60モル%、80モル%、100モル%となるように混合し、それぞれの混合試料を作用極であるグラッシーカーボン電極上に塗布し、酸素飽和の0.1M過塩素酸水溶液中にて1600rpmで回転させながらそれぞれの混合試料についての開回路電位を測定した。図3は、それぞれの混合試料に含まれる白金粒子の物質量とパラジウム粒子の物質量の合計に対する白金粒子の物質量の割合(mol%)に対するそれぞれの混合試料についての開回路電位(mV)の関係を示した検量線である。
3.追加被覆前のコアシェル粒子の評価
追加被覆前のコアシェル粒子について、開回路電位の測定、被覆率の定量、白金の単位質量当たりの触媒活性の測定、及び、パラジウムコアの溶出速度を、次の手順で測定した。
(1)開回路電位及び被覆率
乾燥して得られたコアシェル粒子の粉末を乳鉢ですりつぶした。この粉末を、6.0mLの超純水、1.5mLのイソプロパノール、35μLの5%パーフルオロスルホン酸ポリマー系電解質(Nafion(登録商標:デュポン株式会社製))分散液の混合溶液に加え、分散させた。この溶液をRDEに塗布し、自然乾燥した。
乾燥したRDEを、酸素飽和(30mL/minで事前に30分以上バブリング)の0.1M過塩素酸水溶液中で回転させ(1600rpm)、浸漬から3分後の開回路電位を測定した。
開回路電位の測定値を図3の検量線と照らし合わせ、対応する物質量の割合(mol%)の数値を、コアシェル粒子の被覆率と判断した。なお被覆率は、白金粒子100%(パラジウム粒子0%)の対照試料について測定された開回路電位を基準に算出した。
(2)白金の単位質量当たりの触媒活性
「(1)開回路電位及び被覆率」に記載の方法と同様の方法で調製したコアシェル粒子の溶液をRDEに塗布し、自然乾燥した。
乾燥したRDEを、酸素飽和(30mL/minで事前に30分以上バブリング)の0.1M過塩素酸水溶液中で回転させ(1600rpm)、この状態で電位を1.05Vから0.05V(vsRHE)の範囲で10mV/秒の速度で掃引した。0.95Vと0.35Vの値が安定するまで掃引を繰り返し、0.9Vの電流値を酸素還元電流(I0.9)、0.35Vの電流値を拡散限界電流(Ilim)とし、次式(12)から活性化支配電流(Ik)を求めた。そして、RDE上に塗布した白金量(g)でIk(A)を除して白金の単位質量当たりの触媒活性(A/g−Pt)を算出した。
[式(12)]
Ik=(Ilim×I0.9)/(Ilim−I0.9
上記式(12)において各符号の意味は次の通りである。
Ik:活性化支配電流(A)
lim:拡散限界電流(A)
0.9:酸素還元電流(A)
(3)パラジウムコアの溶出速度
上記被覆率の定量に用いたコアシェル粒子の粉末を乳鉢ですりつぶした。
この粉末を、80℃の0.1mol/L硫酸に浸漬させた。1時間後、硫酸を濾過し、濾液について誘導結合プラズマ質量分析(Inductively Coupled Plasma Mass Spectroscopy:ICP−MS)により、硫酸に溶出したパラジウム元素を定量した。溶出量は、パラジウムコア全量に対する1時間当たりの溶出質量(wt%/hr)として表した。
4.追加被覆処理
追加被覆処理は、(A)電位サイクル処理、(B)酸洗浄処理、(C)Cu−UPD処理のそれぞれの方法で行った。
(A)電位サイクル処理
懸濁液を濾過し、コアシェル粒子を回収した。3Lの超純水でコアシェル粒子の粉末を洗浄した。
コアシェル粒子の粉末をグラファイト板上に常温で加圧プレスし、固定化した。
グラファイトに固定化したコアシェル粒子を酸素飽和の0.1M過塩素酸水溶液中に浸漬した。このグラファイト板をWEとし、白金メッシュをCE、銀−塩化銀電極をREとして同系に加えた。WEの電位を0.2V〜1.1VvsRHE、50mV/sで80回電位サイクルさせ、不要なパラジウム粒子を溶出除去した。
コアシェル粒子をグラファイト上から剥がし、超音波を使用し分散させ、濾過し、コアシェル粒子を回収した。3Lの超純水でコアシェル粒子の粉末を洗浄し、50℃で、6時間真空乾燥した。
(B)酸洗浄処理
懸濁液を濾過し、コアシェル粒子を回収した。3Lの超純水でコアシェル粒子の粉末を洗浄した。
コアシェル粒子の粉末を0.8Lの酸素飽和の1.0M硝酸水溶液に懸濁させ、60分間攪拌させた。
懸濁液を濾過し、コアシェル粒子の粉末を洗浄し、50℃で、6時間真空乾燥した。
(C)Cu−UPD処理
コアシェル粒子の懸濁液を含む容器のWEを再び0.4VvsRHEとし、60分間電位を一定にした。なお、元々溶液内にCuが過剰に存在するためCuの追加は不要である。
塩化白金カリウムと1.0gのクエン酸を0.05M硫酸に溶かし、コアシェル粒子の懸濁液に加えた。塩化白金カリウムは検量線より見積もった白金の不足分の1.2倍を加えた。懸濁液は60分攪拌した。
懸濁液を濾過し、コアシェル粒子を回収した。3Lの超純水でコアシェル粒子の粉末を洗浄し、50℃で、6時間真空乾燥した。
5.追加被覆後のコアシェル粒子の評価
上記(A)の電位サイクル処理によって得られたコアシェル粒子の粉末の開回路電位を測定し、被覆率を定量した。また当該コアシェル粒子について、白金の単位質量当たりの触媒活性及びパラジウムコアの溶出速度を測定した。
(比較例1)
実施例1においてコアシェル粒子の合成に用いたパラジウム担持カーボン粉について、実施例1と同じ方法で開回路電位の測定、被覆率の定量、パラジウムコアの溶出速度の測定を行った。
(評価結果)
実施例1の追加被覆前及び追加被覆後のコアシェル粒子、並びに、比較例1のコアシェル粒子について、開回路電位、被覆率、白金の質量当たりの触媒活性、パラジウム溶出速度の測定結果を表1に示す。
上記図3のような検量線を作成することにより、被覆率が未知のコアシェル粒子について、その開回路電位を測定することにより、被覆率を定量できた。
比較例1においては、被覆処理を全く施していないパラジウム粒子について開回路電位を測定し、検量線と照らし合わせた結果、被覆率0%と判断された。
一方、実施例1においては、本発明の方法によってコアシェル粒子の被覆率を第1回目の定量を行い、追加被覆後に第2回目の定量を行った結果、表1に示すように、白金の質量当たりの触媒活性が450(A/g−Pt)から730(A/g−Pt)に向上し、活性値のばらつきも±25%から±10%に減少した。追加被覆後は、コアシェル粒子からのパラジウム溶出速度も格段に小さくなった。
また、良品判断に要する解析時間が従来は3週間程度かかっていたのに対し、実施例1では0.5日に短縮され、解析判断の手順も簡易的になった。
1 ガラスセル
2 電解液
3 分散液
4 作用極
5 参照極
6 気体の導入管
7 気泡

Claims (6)

  1. コア金属材料を含むコア部と、シェル金属材料を含み且つ前記コア部を被覆するシェル部を備えるコアシェル粒子の被覆率を定量する方法であって、
    コアシェル粒子の開回路電位を測定し、
    コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子を混合してなる混合試料であって、前記コアシェル粒子の開回路電位の測定値と同じ開回路電位を有するものに含まれるコア金属材料の粒子の表面積とシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対するシェル金属材料の粒子の表面積の割合を、コアシェル粒子の被覆率と判断することを特徴とする、コアシェル粒子の被覆率定量方法。
  2. コアシェル粒子の開回路電位を測定する工程と、
    コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の質量で表される混合比が異なる複数の混合試料からなる混合試料群において、混合比と開回路電位の関係を示すデータ群を準備する工程と、
    前記コアシェル粒子の開回路電位の測定値をデータ群と照合し、同じ開回路電位を示す混合試料を特定する工程を有し、
    特定した混合試料に含まれるコア金属材料の粒子の表面積とシェル金属材料の粒子の表面積の合計に対する、シェル金属材料の粒子の表面積の割合を、コア金属材料の粒子の単位質量当たり面積、シェル金属材料の粒子の単位質量当たり面積、及び、コア金属材料の粒子とシェル金属材料の粒子の混合比に基づいて計算し、得られた計算値をコアシェル粒子の被覆率と判断することを特徴とする、請求項1に記載の被覆率定量方法。
  3. 前記コア金属材料が、パラジウム、銅、ニッケル、ロジウム、銀、金およびイリジウム並びにこれらから選ばれる金属を含む合金からなる群より選ばれる金属材料である、請求項1又は2に記載の被覆率定量方法。
  4. 前記シェル金属材料が、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウムおよび金並びにこれらから選ばれる金属を含む合金からなる群より選ばれる金属材料である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の被覆率定量方法。
  5. コア金属材料としてパラジウムを含むコア部と、シェル金属材料として白金を含み且つ前記コア部を被覆するシェル部を備えるコアシェル粒子の被覆率を定量する方法であって、
    コアシェル粒子の開回路電位を測定する工程と、
    平均粒径が4nm以上10nm以下かつ平均粒径の差が1nm以内であるパラジウム粒子及び白金粒子を、物質量で表される混合比を異ならしめて混合した複数の混合試料からなる混合試料群において、混合試料に含まれるパラジウム粒子の物質量と白金粒子の物質量の合計に対する白金粒子の物質量の割合と、開回路電位の関係を示すデータ群を準備する工程と、
    前記コアシェル粒子の開回路電位の測定値を前記データ群と照合し、同じ開回路電位を示す混合試料を特定する工程を有し、
    特定した混合試料に含まれるパラジウム粒子の物質量と白金粒子の物質量の合計に対する白金粒子の物質量の割合を、コアシェル粒子の被覆率と判断することを特徴とする、コアシェル粒子の被覆率定量方法。
  6. コアシェル粒子の製造方法であって、コア金属材料を含むコア部を、シェル金属材料を含むシェル部で被覆した後、前記請求項1乃至5のいずれか一項に記載の定量方法により被覆率を定量し、その定量値が所定値未満である場合に、シェル金属材料を追加被覆することを特徴とする、コアシェル粒子の製造方法。
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