JP5672523B2 - 自転・公転式の撹拌脱泡装置用アダプタ - Google Patents

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本発明は、撹拌容器に収容した被混練物を公転ならびに自転させることにより複合遠心力を用いた自転・公転式の撹拌脱泡装置に用いるアダプタに関するものである。
従来、撹拌容器に収容した被混練物を公転ならびに自転させることにより複合遠心力を用いた自転・公転式の撹拌脱泡装置が知られており、通常の撹拌作業では混練しにくい被混練物についても短時間で確実に混練され、且つ脱泡作用もあることから、各種の分野において使用されている。
前記自転・公転式の撹拌脱泡装置を用いた混練対象として例えば軟膏基剤と薬剤との調剤に有効であることが提示されている。
軟膏剤は一般にチューブ入りの既成品が処方されているのが一般的であるが、既成のチューブ入りの軟膏剤は処方の薬剤成分が一定であり、患者が必要とする最適な薬剤を含む軟膏剤を提供することは困難であった。そこで、従来、例えば白色ワセリンのような軟膏基剤に必要な薬剤をヘラにより混練して蓋付きで広口の収容容器に収容して供給されていた。
ところが、白色ワセリンのような軟膏基剤は粘度が高いことからヘラを用いて混練するには腕力を要し、腱鞘炎などの心配もあり、特に腕力のない女性にはつらい作業であり、多大な労力と時間を要するばかりか詰め終わった後の掃除もその都度しなければならず、雑菌や埃が混入する心配もあり、更に、ヘラでの混練時に微細な空気が混入するので酸化による使用期間の長期化が計れないという問題があった。
これに対して、予め軟膏基剤と所定の薬剤を収容した蓋付きの広口容器を自転・公転式の撹拌脱泡装置に設置して混練すると短時間で簡単に軟膏剤を調剤することができることになった。
ところで、本手段を用いるには軟膏基剤と所定の薬剤を収容した蓋付きの広口容器を自転・公転式の撹拌脱泡装置の自転軸に配置する必要がある。
そこで、前記軟膏基剤と所定の薬剤を収容した蓋付きの広口容器を自転軸に配置するためのアダプタが特開2006−289163号公報に提示されている。
しかしながら、前記公報に提示されている自転軸への取付に用いるアダプタは、有底状の容器本体に配置した広口容器を容器本体の底部に向けて進退自在で底部との間に挟持するものであり、具体化に当たっては全体として構造が複雑で部品点数が多くなり廉価に製造することが困難であるとともに操作も面倒で、ねじ手段により広口容器を固着するものであり、回転中にねじか緩んで内容物が漏れるという心配もあり、更に、上方部分に回転摘みや支持部が配置されていることから上方の重量が嵩み、安定が悪く振動や騒音、更には高速回転にも影響を与えるという問題がある。
特開2006−289163号公報
日本病院薬剤師会雑誌 第40巻4号395−399 2004年 東京医科大学病院薬剤部
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、部品点数が少なくて耐久性にも優れているともに廉価に提供でき、操作も簡単で例えば軟膏剤のような広口容器に収容したものでも漏れることもない自転・公転式の撹拌脱泡装置のアダプタを提供することを課題とする。
前記課題を解決するためになされた本発明である自転・公転式の撹拌脱泡装置のアダプタは、公転軸を中心として水平面内で回転する回転体と、前記回転体の回転中心から径方向位置に設けた回転中心方向へ傾斜した自転軸に被混練物を配置する自転・公転式の撹拌脱泡装置において撹拌容器を兼ねる収納容器に前記被混練物を収容して前記自転軸に保持するためのアダプタであって、下面に前記自転軸に着脱自在に取り付け可能な取付部を有するとともに上面に前記収容容器を載置するための台座と、下面を開放した筒状を呈するとともに前記台座に載置した収容容器を包囲して下部において前記台座に着脱自在に取り付け可能である中空のカバー体および前記カバー体の内側において弾発部材を介して吊着されて所定の距離にわたって昇降可能に配置した押さえ板とを有するアダプタ本体とからなり、前記台座に載置した収容容器に前記カバー体を被せて前記台座に固着することにより前記台座に載置した収容容器を台座とカバー体内の押さえ板とで弾発支持することを特徴とする。
本発明によれば、自転軸に取り付けた台座の上面に載置した混練物を充填した収容容器を、上方から被せたカバー体により包囲状態で保持するものであり、収容容器を確実に保持することができるばかりか、操作も簡単である。
また、本発明において、前記カバー体と前記台座との結合をバヨネット結合とすることにより、また、前記台座と自転軸との結合を差し込み結合とすることによりワンタッチで着脱可能であり、更に操作が簡単になる。
更に、前記カバー体の内側において配置される弾発部材を長さの異なる複数個を交換可能とし、或いは前記押さえ板の下面と前記台座に載置した収容容器の上面に介装される所定の厚みを有する摩擦部材を備えることなどにより、台座に載置した収容容器の高さ(容量)に適応可能となり、高さの異なる、即ち、容量の異なる複数種類の収容容器について使用することが可能である。
本発明によれば、全体として従来のものに比べて構造が複雑でなく部品点数も少なく加工も簡単で廉価に製造することができるばかりか、操作も簡単かつ迅速に行うことができ、保持も確実で回転中に内容物が漏れるという心配もなく、上方部分に重心がないので安定した状態で高速回転が可能であって振動や騒音の心配もない。
本発明における実施の形態における分解した状態の斜視図である。 図1に示した実施の形態の組み立てた状態(a)と使用する収容容器との関係(b)を示す説明図である。 図1に示した実施の形態における自転軸への取り付け状態を示す説明図であり、(a)は横断部分面、(b)は縦断部分図である。 図1に示した実施の形態におけるカップホルダとカバー体との接合状態を示す断面図である。 図1に示した実施の形態の使用状態を示す説明図である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
図1および図2(a)は、本発明である自転・公転式の撹拌脱泡装置用アダプタについての実施の形態についての分解した状態および組み立てた状態を示すものであり、アダプタ1は主として、下面21に自転・公転式の撹拌脱泡装置(図示せず)の自転軸31に着脱自在に取付可能な取付部22を有するとともに上面23に混練の対象である例えば白色ワセリンのような高粘度の軟膏基剤に薬剤を添加した混練材料を充填して被蓋した広口容器からなる収容容器4を載置するための台座本体24を有する台座2と、前記台座2に着脱自在に結合した中空のカバー体51を有するアダプタ本体5とから構成される。
そして、カバー体51は、例えば硬質で軽量なエンジアリング樹脂などにより頂面511を有して下面を開放した円筒状を呈し、胴部512の下部に下端縁513に開口した直角鈎形の3対の係止溝514・514が対向して配置されている。
カバー体51の内側には頂面511の内面に直接または内面に付設した取付部材61に例えばコイルバネからなる弾発部材62を介して押さえ板63が吊着されている。尚、押さえ板63の下面には滑り止め加工を施したクッション材64が積層されている。
一方、前記カバー体51が被せられる台座2は例えば前記カバー本体51と同様な軽量で強度的に優れたエンジアリング樹脂により形成され、収容容器4を載置するためのテーブル状の台座本体24の上面には表面に滑り止め加工を施したクッション材25が積層された円形の座26が固着されている。
また、前記台座本体24の外周面27には前記カバー体51の下部に形成した3個の係止溝514・514とこれらの係止溝514・514に挿脱自在に嵌装係止してバヨネット結合をするための係止突起28・28がそれぞれ対向して配置されている。
更に、台座本体24の下面に配置される自転軸31に着脱自在に取り付け可能な取付部22は、下方へのびる筒状の支柱29とその下端に突出された例えば扁平な正六角柱を呈する断面が平面正六角形の係止突起30を有している。また、前記取付部22が着脱自在に取り付けられる自転軸31にはその先端に前記係止突起30を嵌挿して結合するための断面正六角形の係止溝311を底部に形成したカップ状の保持部材312を同軸に有している。
従って、係止突起30を係止溝311に合わせて嵌挿することにより軸心を中心として台座2を自転軸31に固着することができ、引き抜くことにより特に工具を必要としないばかりか簡単な操作で確実に着脱することができる。
また、本実施の形態では、図4に示すように、前記保持部材312がカップ状に形成されており、その内底の内周縁にOリング7を設けることにより、Oリング7によりカバー体51が保持部材312にきわめて安定した状態で保持させることができる。更に台座2に取り付けられたアダプタ本体5のカバー体51の外周を保持することも可能である。必要であれば、前記カバー体51の外周に柔軟なクッション材による帯体などを巻回支持させておくと更に安定した状態で保持することができる(図示せず)。
以上説明した本実施の形態を使用するには、図2および図5に示すように、台座2における台座本体24に配置した座26に例えば軟膏基剤と薬剤とからなる混練部材を充填して被蓋した収容容器4を載置し、次にアダプタ本体5をカバー体51で前記収容容器4を包囲した状態に被せるとともに、カバー体51の下部に形成した係止溝514・514を台座本体24の外周面27に配置した係止突起28・28に挿入、回転させてバヨネット結合させる。
このとき、カバー体51の内部に配置した押さえ板63が収容容器4に当たって上方へ押され、弾発部材62を押圧するので弾発部材62により発生する下方へ向けた弾発力が収容容器4を上下方向へと多大な力で支持するので収容容器4は安定した状態で台座2に固定される。
特に、本実施の形態では収容容器4を挟持する座26と押さえ板63の下面には滑り止め加工を施したクッション材64,25が積層されており、更に強固に保持される。
尚、図2(b)に示すように収容容器4の高さhがカバー体51の内部に設置された押さえ板63のカバー体51の下端からの距離Lと同等以下の場合には弾発部材62の弾発力が生じないことになるが、この場合には弾発部材62の長いものに変えれば対応可能であり、更に、収容容器4の上に所定の厚みを有する摩擦部材(図示せず)を載置してカバー体51を装着することにより弾発部材の充分な弾発力を生じさせことができ、各種サイズの収容容器に対応することも可能である。
そして、前述のように台座2に載置した収容容器を保持させたアダプタ1を図3に示した差し込み結合により図5に示すように自転・公転式の撹拌脱泡装置3の公転軸32に軸着した回転体33に設けた自転軸31に取付け、従来と同様に公転軸32および自転軸31を回転させて撹拌脱泡を行う。
所定の撹拌脱泡作業が終了した後、アダプタ1を自転軸31から取り外すとともにアダプタ本体5を取り去って、収容容器4を回収すればよい。
尚、本実施の形態では台座2およびカバー体51を軽量で強度、加工性、成形精度に優れた合成樹脂により形成したが、例えば軽量な金属など他の材料により形成してもよく、また、使用する容器として蓋を有する広口容器を用いた場合を示したが、これに限らずチューブ容器など挟持可能な容器であれば同様にして使用することができる。
また、本実施の形態では台座2とアダプタ本体の結合および台座2と自転軸31との結合を差し込み結合としたことにより、着脱が簡単で且つ確実に取り付ける事が可能であるが、これらの結合は例えばネジ式など他の手段を用いても良いことは言うまでもない。
1 アダプタ、2 台座、3 自転・公転式の撹拌脱泡装置、4 収容容器、5 アダプタ本体、7 Oリング、21 下面、22 取付部、32 公転軸、33 回転体、31 自転軸、51 カバー体、62 弾発部材、63 押さえ板

Claims (4)

  1. 公転軸を中心として水平面内で回転する回転体と、前記回転体の回転中心から径方向位置に設けた回転中心方向へ傾斜した自転軸に被混練物を配置する自転・公転式の撹拌脱泡装置において撹拌容器を兼ねる収納容器に前記被混練物を収容して前記自転軸に保持するためのアダプタであって、下面に前記自転軸に着脱自在に取り付け可能な取付部を有するとともに上面に前記収容容器を載置するための台座と、下面を開放した筒状を呈するとともに前記台座に載置した収容容器を包囲して下部において前記台座に着脱自在に取付可能である中空のカバー体および前記カバー体の内側において弾発部材を介して吊着されて所定の距離にわたって昇降可能に配置した押さえ板とを有するアダプタ本体とからなり、前記台座に載置した収容容器に前記カバー体を被せて前記台座に固着することにより前記台座に載置した収容容器を台座とカバー体内の押さえ板とで弾発支持することを特徴とする自転・公転式の撹拌脱泡装置用アダプタ。
  2. 前記カバー体と前記台座との結合が、バヨネット結合であることを特徴とする請求項1に記載の自転・公転式の撹拌脱泡装置用アダプタ。
  3. 前記台座と自転軸との結合が、断面が多角形の係止溝と係止突起との差し込み結合であることを特徴とする請求項1または2に記載の自転・公転式の撹拌脱泡装置用アダプタ。
  4. 前記押さえ板の下面と前記台座に載置した収容容器の上面に介装される所定の厚みを有する摩擦部材を備えていることを特徴とする請求項1,2,または3に記載の自転・公転式の撹拌脱泡装置用アダプタ。
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