以下、本発明に係る好適な実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明するためのものであって、本発明の唯一の実施形態を表すためのものではない。以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、当業者であれば理解するであろうが、本発明はこのような具体的細部事項なしにも実施可能である。
一方、場合によって、本発明の概念があいまいになることを避けるために公知の構造及び装置は省略されることもあり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で示されることもある。また、本明細書全体を通じて同一の構成要素には同一の図面符号を付して説明する。
なお、以下の説明において、端末は、ユーザ装置(UE)、移動機(MS)、高度移動機(AMS)、機器間通信(M2M)用機器などの、移動型又は固定型のユーザ端機器を総称するものとする。また、基地局は、ノードB、強化ノードB、基地局(BS)、高度基地局(ANB)、アクセスポイント(AP)などの、端末と通信するネットワーク端の任意のノードを総称するものとする。本明細書ではIEEE 802.16mに基づいて説明するが、発明の内容は3GPP LTE、LTE−Aシステムのような他の通信システムにも適用可能である。
一方、本発明でいうM2M通信とは、基地局を介した端末間、又は基地局と端末との間で行われる人間の介入のない情報交換を意味する。そのため、M2M機器は、上記のようなM2Mの通信をサポート可能な端末を意味する。M2Mサービスのための接続サービスネットワークはM2M接続サービスネットワーク(ASN)と定義し、M2M機器と通信するネットワークエンディティをM2Mサーバという。M2Mサーバは、M2Mアプリケーションを実行し、一つ以上のM2M機器のためのM2M特定サービスを提供する。M2M機能(feature)はM2Mアプリケーションの機能であり、アプリケーションを提供するために一つ以上の機能が必要とされることがある。M2M機器グループとは、共通の一つ以上の機能を共有するM2M機器のグループを意味する。前述のようなM2M方式で通信する機器は、M2M機器、M2M通信機器、機械型通信(MTC)機器など、様々に呼ぶことができる。そして、以下では、説明の便宜上、M2M機器と区別されるように既存端末を人型通信(HTC)端末又は人対人(H2H)機器と命名して本発明の実施例を説明する。
M2M方式で通信する機器(M2M機器、M2M通信機器などと様々に呼ぶことができる)は、その機器アプリケーションタイプが増加するに伴って、一定のネットワークでその数が漸次増加すると予想される。議論されている機器アプリケーションタイプには、(1)セキュリティ、(2)治安、(3)追跡及び追尾(tracking and tracing)、(4)決済、(5)健康管理、(6)遠隔保守及び制御、(7)検針(metering)、(8)消費者装置、(9)セキュリティ関連アプリケーション市場での販売管理システム(POS)及び物流管理(Fleet Management)、(10)自動販売機の機器間通信、(11)機械及び設備の遠隔監視、建設機械設備上の作動時間測定及び熱又は電気の使用量を自動測定するスマート検針(Smart Meter)、(12)監視カメラの監視映像通信などがあるが、これに限定されず、その他様々な機器アプリケーションタイプが議論されている。このように、機器アプリケーションタイプが増加するにつれてM2M機器の数は、既存端末、すなわち、H2H機器の数に比べて飛躍的に増加していくであろう。
このように基地局内に数多くのM2M機器が存在するとき、既存端末、すなわちH2H機器とM2M機器との間の接続輻輳、及びM2M機器同士の接続衝突などの問題が生じることがある。そのため、既存端末(H2H機器)への影響を最小化しながら、制限されたリソースを、新しく登場した多数のM2M機器にどのように効率よく分配するかについて議論する必要がある。すなわち、無線通信システムにおいて既存端末、すなわちH2H機器に適用される待機モード(idle mode)からネットワークへの再進入手順を多数のM2M機器にそのまま適用すると、M2M機器の特性上、既存のH2H機器とM2M機器との間の接続輻輳が発生するため、ネットワーク再進入手順についての一部の修正が望まれる。
以降、M2M通信がIEEE 802.16mに適用される場合を取り上げて本発明の実施例を説明する。しかし、これに本発明が限定されるものではなく、本発明の実施例は3GPP LTEシステムなどの他のシステムにも同様な適用が可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る端末及び基地局などの装置構成を概略的に説明する図である。
図1において、端末100及び基地局150はそれぞれ、RFユニット110,160、プロセッサ120,170、及び選択的にメモリ130,180を含んでいる。そして、各RFユニット110,160は、送信器111,161及び受信器112,162を含んでいる。まず、端末100において、送信器111及び受信器112は、基地局150及び他の端末と信号を送信及び受信するように構成され、プロセッサ120は、送信器111及び受信器112と機能的に接続し、送信器111及び受信器112が他の機器と信号を送受信する過程を制御するように構成されてよい。また、プロセッサ120は、送信すべき信号に対して各種処理を行った後に送信器111に送信し、受信器112が受信した信号に対して処理を行うことができる。必要な場合、プロセッサ120は、交換されたメッセージに含まれた情報をメモリ130に保存してもよい。このような構造によって、端末100は、以下に説明される様々な実施形態の方法を行うことができる。一方、図1には示していないが、端末100は、その機器アプリケーションタイプに応じて様々な追加構成を含んでいてもよい。端末100がスマート検針用であるときは、端末100は電力測定などのための追加的な構成を含んでもよく、このような電力測定の動作は、図1に示したプロセッサ120の制御を受けてもよいし、別個に構成されたプロセッサ(図示せず)の制御を受けてもよい。
図1は、端末100と基地局150との間に通信が行われる場合を取り上げているが、 本発明に係る通信方法は端末間に発生することもあり、それぞれの機器は、図1に示した各装置構成と同じ形態によって、以下に説明する様々な実施形態の方法を行うことができる。
基地局150では、送信器161及び受信器162は、他の基地局、M2Mサーバ、端末と信号を送信及び受信するように構成され、プロセッサ170は、送信器161及び受信器162と機能的に接続し、送信器161及び受信器162が他の機器と信号を送受信する過程を制御するように構成してよい。また、プロセッサ170は、送信すべき信号に対して各種処理を行った後に送信器161に送信し、受信器162が受信した信号に対して処理を行うことができる。必要な場合、プロセッサ170は、交換されたメッセージに含まれた情報をメモリ130に保存してもよい。このような構造によって、基地局150は、以下に説明する様々な実施形態の方法を行ってもよい。
端末110及び基地局150のプロセッサ120,170はそれぞれ、端末110及び基地局150における動作を指示(例えば、制御、調整、管理など)する。それぞれのプロセッサ120,170は、プログラムコード及びデータを保存するメモリ130,180などに接続してもよい。メモリ130,180は、プロセッサ120,170に接続されたオペレーティングシステム、アプリケーション、及び一般ファイルを保存する。
プロセッサ120,170は、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータなどと呼ばれることもある。一方、プロセッサ120,170は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組合せで具現することができる。ハードウェアを用いて本発明の実施例を実施する場合には、本発明を実行するように構成された特定用途集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラム可能論理デバイス(PLD)、プログラム可能ゲートアレイ(FPGA)などをプロセッサ120,170に設けてもよい。
一方、ファームウェア又はソフトウェアを用いて本発明の実施例を実施する場合には、本発明の機能又は動作を行うモジュール、手順又は関数などを含むようにファームウェア又はソフトウェアを構成してもよく、本発明を実施できるように構成されたファームウェア又はソフトウェアは、プロセッサ120,170内に設けてもよく、メモリ130,180に保存して、プロセッサ120,170によって駆動してもよい。
図2は、無線通信システムの一例であるIEEE 802.16mシステムにおいて端末が競合ベースのネットワーク進入/再進入を行う過程を示す図である。
IEEE 802.16mシステムにおいて端末がネットワーク進入/再進入のために行うレンジング手順は、次の通りである。端末は、呼出し不可区間では電源を最小化し、呼出し聴取区間で基地局から送信されるAAI−PAG−ADVメッセージを受信する。AAI−PAG−ADVメッセージは、メッセージを送信する基地局が属している呼出しグループID、待機モードで動作する端末のうち、位置更新(Location Update)又はネットワーク進入/再進入を必要とする端末を指示するMACアドレスハッシュ情報、及び端末別に行うべき手順について記述した操作符号(Action code)で構成される。
待機モードで動作する端末へのトラヒックが発生した場合に、基地局は、次の呼出し聴取区間にAAI−PAG−ADVメッセージを端末に送信し、AAI−PAG−ADVメッセージを受信した端末は、待機モードから一般モードへと進む。
一方、待機モードからネットワーク再進入及びネットワーク進入などの手順を行うとき、端末が基地局とのアップリンク通信のための送信パラメータ(周波数オフセット、時間オフセット及び送信電力)を調整する過程をレンジングという。
図2を参照すると、端末は、ダウンリンク同期及びアップリンク送信パラメータを取得した後、ランダムバックオフを用いて一つのレンジングチャネルを選択する。ランダムバックオフが用いられた場合、端末は、統一ランダムプロセスを用いて、バックオフ窓に対応する可能なすべてのレンジングチャネルから一つのレンジングチャネルを選択する。ランダムバックオフは、バックオフ窓を計算するために二進の指数的アルゴリズムを用いる。端末が当該レンジングチャネルを選択した後、単一ランダムプロセスを用いてレンジング符号を選択する。端末は、レンジング符号を選択した後、選択したレンジングチャネルで競合ベースのレンジング符号を基地局に送信する(S110)。基地局は、当該レンジング符号を成功裏に受信すると、AAI−RNG−ACKメッセージを同報方式で端末に送信する(S120)。AAI−RNG−ACKメッセージは、レンジングチャネルでレンジング符号を成功裏に受信して検出したという応答を提供するメッセージである。また、基地局は、端末がAAI−RNG−REQメッセージを送信するためのアップリンクリソース割当情報であるCDMA allocation A−MAP IEを、ランダム接続識別子(RA−ID)でマスクして送信する(S130)。端末は、割り当てられたアップリンクリソースを用いてAAI−RNG−REQメッセージを基地局に送信し(S140)、基地局は、AAI−RNG−RSPメッセージが送信されるダウンリンクリソース割当情報を、端末に送信する(S150)。このとき、ダウンリンクリソース割当情報は、RA−IDでマスクされたCDMA allocation A−MAP IE又はBroadcast DL basic assignment A−MAP IEを介して端末に送信してもよい。その後、端末は、該当のダウンリンクリソースでAAI−RNG−RSPメッセージを受信してもよい(S160)。
図3は、無線通信システムの一例であるIEEE 802.16mシステムにおいて端末が競合ベースのネットワーク再進入を行う過程であり、バックオフ窓サイズを増加させてネットワーク再進入を行う過程を示している。
IEEE 802.16のMAC層はレンジングチャネルを定義する。レンジングチャネルを構成するサブチャネルは、UL−MAPメッセージに明示されており、このようなレンジングチャネルで端末の衝突が許容される。IEEE 802.16レンジングサブシステムは、複数の端末が同時接続をするように符号分割多元接続(以下、「CDMA」という。)方式のランダム接続プロトコルを用いてレンジングを行う。端末が基地局に送信しようとするメッセージが発生すると、擬似雑音(pseude−noise,PN)符号の集合から任意の符号を選択した後、PN符号を用いて送信するメッセージを拡散してCDMA方式で基地局に送信する。
一般的な端末のランダム接続プロトコルはスロットアロハ(Slotted ALOHA)方式を用いる。スロットアロハ方式は、端末が基地局に接続するためにスロット単位で即時接続する方式である。そのため、同一スロットに一つの端末が接続を試みるとデータ送信に成功するが、二つ以上の端末が接続を試みると衝突が発生してデータ送信に失敗する。失敗する場合には、任意の時間待った後、同一の方式で接続を試みる。失敗した端末同士が、同一の任意の時間を待った後に接続を試みると、同一の端末同士が再び衝突し、接続に失敗してしまう。このような継続した衝突を避けるために、端末バックオフアルゴリズムである二進指数バックオフ(以下、「BEB」という。)アルゴリズムを用いる。BEBアルゴリズムは、それぞれの端末が衝突の発生した回数によって再送信のためのバックオフ窓を決定する。BEBアルゴリズムでのバックオフ窓サイズ(又は、競合窓)は、最小競合窓及び最大競合窓を有する。
一般的に広範囲に用いられている衝突解消アルゴリズムが指数バックオフ方式であり、指数バックオフ方式は、再送信のために、競合窓内でランダムに選択されたチャネルに接続を試みる方式であり、競合窓サイズは衝突回数に従って指数的に増加する。二進指数バックオフ方式は、衝突発生を感知した端末が競合窓を衝突回数に応じて2の指数的に増加させる。該端末は、指数的に増加した競合窓内でランダムにレンジング送信時間を決定する。例えば、最初に衝突が発生した端末の競合窓が8のとき、2番目の送信は、現在チャネル時点から8フレーム以内にレンジング送信時間を決定して試みる。5を選択したときは、端末は5番目のチャネル時点でレンジング送信を試み、5がバックオフ値又は選択されたレンジング機会に該当する。再び衝突が発生すると、衝突回数は2となり、競合窓である再送信のためのバックオフ窓サイズは16となる。すると、3番目の送信は、衝突の発生した時点から16フレーム以内でランダムにレンジング時点を決定して試みる。すなわち、継続して衝突が発生すると、システムは、負荷が増加したと認識し、競合窓である再送信のためのバックオフ窓サイズを増加させることによって、現在時点で再送信によるシステム負荷を低減させて衝突を解消する。しかしながら、繰り返して衝突が発生した端末は、無線帯域を占有しているほかの端末がない状況でも、競合窓を2の指数的に継続して増加させ、それによって送信遅延が急激に増加するという問題がある。
図3を参照すると、端末200が基地局250に初めて送るデータが発生すると、当該データは直ちに送信される(211)。しかし、上述したように、ランダム接続方式では、同一のスロットに同一のPN符号を用いてメッセージを送信することもある。このとき、複数の端末が送信したメッセージには衝突が発生する。メッセージを送信した端末は、タイマを始動させる(213)。基地局ではメッセージを受け次第、レンジング応答メッセージを送る。端末は、定められた時間内にレンジング応答メッセージを受信できないとき、送信したメッセージが衝突したと見なし、BEBアルゴリズムを行う。衝突が1回発生したため、CWmin×20のバックオフ区間(215)で任意の整数を選択し、この整数がバックオフ時間(215)、すなわち、レンジング機会となる。端末は、バックオフ時間だけ待った後にメッセージを再送信する(217)。ここで、CWは、競合窓サイズを意味する。以降、バックオフ窓サイズと呼ばれることもある。CWminは、初期バックオフ窓サイズを意味する。CWmaxは、可能な最大バックオフ窓サイズを意味する。再送信形式も初期送信形式と同一である。端末は、タイマを始動させ(219)、定められた時間内にレンジング応答メッセージを受信できないとき、BEBアルゴリズムを用いてバックオフ時間を決定する。衝突が2回発生したため、CWmin×21のバックオフ区間(221)で任意の整数を選択し、この整数がバックオフ時間(221)となる。端末は、バックオフ時間間待った後にメッセージを再送信する(223)。
衝突が発生するほど(225)、バックオフ区間は増加するが、このバックオフ区間はCWmaxを越えることはない。したがって、バックオフ区間はmin(CWmin*2k-1,CWmax)となる。ここで、Kは衝突回数を意味する。IEEE 802.16システムでは、最大衝突回数を15回に制限している。この場合、CWmaxの値はCWmin*214の値を有することができる。15回以内に基地局からレンジング応答メッセージ(227)を受信すると成功であり、16番目の衝突が発生するとデータは捨てられる。無線網で同一のチャネルを共有している端末の数が多くなると相互間の衝突は不回避である。これは、端末が自身と競合しているほかの端末がいつ送信を始めるかがわからず、複数の端末が同時に送信する状況が発生することがあるからである。こういう不回避な衝突を減らすために、ランダム接続プロトコルは、端末バックオフアルゴリズムであるBEBアルゴリズムを用いる。BEBアルゴリズムは、それぞれの端末が自身の衝突回数によってバックオフ区間を定め、定められたバックオフ区間で任意のバックオフ時間を決定する。端末は、決定されたバックオフ時間を待った後に直ちにメッセージを送信する。再び衝突が発生すると、上記過程を繰り返す。衝突が発生するほど、バックオフ区間は増加する。
BEBアルゴリズムは、無線チャネル容量に比べて端末の数が少ない場合には非常に効率よく端末をバックオフさせる。しかし、端末の数が増加すると、一つの無線チャネルに一つの端末が接続を試みる場合は極めてまれであり、端末の数が更に増加すると、すべての無線リソースを使用できなくなる状況になる場合もある。一つの無線チャネルに接続する端末の数が増加する場合、上記のBEBアルゴリズム方式だけでは問題が生じることがある。しかるに、現在、一つの無線チャネルに接続する端末の数を増加させるM2M機器の使用は増加傾向にある。
既存の通信は、基地局を経由してユーザが使用する人対人(以下、「H2H」という)の通信が大部分であったが、通信技術の発達に伴い、機器間(Machine to Machine;以下、「M2M」という)通信が可能になった。機器間通信とは、言葉の通り、電子装置と電子装置との通信を意味する。広義には、電子装置間の有線通信若しくは無線通信、又は人間が制御する装置と機械との通信のことを意味する。しかし、最近では、電子装置と電子装置との間、すなわち、機器間の無線通信を指すことが一般的である。
M2M通信は、その概念が初めて導入された1990年代初期には遠隔制御又はテレマティックスとして認識され、派生する市場自体も非常に限定されていたが、ここ数年高速成長を重ねながら、韓国はもとより全世界的に注目される市場へと成長してきた。また、M2M機器のアプリケーションタイプも増加し続けており、同一の基地局内にそのようなM2M機器は数多く存在することになるであろう。待機状態の多くのM2M機器がネットワーク再進入を試みると、接続衝突及び接続混雑が多く発生することになり、通信性能が低下する可能性がある。しかし、既存端末(H2H機器)と異なる特性を有するM2M機器が待機状態でネットワーク再進入を行うための手順については今まで研究されたことがない。
端末の数が増加すると、システムに接続しようとする端末の数も増加する。しかし、前述したように、BEBアルゴリズムを用いて接続に成功する端末の数は極めてまれである。換言すれば、システムが不安定な状態となる。BEBアルゴリズムは、不安定な状態となったシステムをいち早く復旧できる能力がない。また、BEBアルゴリズムは、初期レンジングする端末と何回か衝突を経た端末とが同一のスロットで相互競合をする。
何回か衝突を経た端末が、初期レンジングする端末より先にシステムに接続すべきであるが、二進指数の増加によってバックオフ区間が急増するため、かえって相対的に多くの遅延を被ることになる。これを「公正性問題(Fairness Problem)」という。
また、システム接続に成功した端末は衝突回数を「0」に初期化する。システムに接続しようとする端末の数が多い場合、接続に成功した端末が再びシステムに接続を試みると、衝突する確率が更に高くなる「潜在的衝突問題」もある。
このように、従来のBEBアルゴリズムは、バックオフ時間の決定時に無線チャネル状況を考慮できない問題があり、端末間の公正性問題及び潜在的衝突問題に加えて、端末の数が増加するに従って効率が急激に低下する、システムの不安定な状態を迅速に復旧できない、といった問題がある。このような問題を解消するために、本発明では、初期レンジング送信(initial ranging transmission)に失敗した場合に再送信のための窓サイズ(window size)を設定する方法について、以下に提案する。以下、本発明で提案する適度の窓サイズ設定のための方法について述べる。本発明は、バックオフ窓サイズを基地局からの制御無しに端末で任意に決定するのではなく、基地局で接続を試みる端末の数及び端末グループを考慮して初期バックオフ窓サイズを決定し、バックオフ窓の決定に必要な情報を基地局が端末に送信する。これによって、端末は、それぞれの端末が属している端末グループに応じて、基地局から受信した初期バックオフ窓サイズ内でランダム接続を行うことができる。基地局は、一つのフレームで接続に成功する端末の数及び接続試行回数などに基づき、初期バックオフ窓サイズパラメータを端末に送信してもよい。
本発明の第1方法は、バックオフ窓サイズを一定に維持することを提案する。第1方法による基地局は、端末が使用するバックオフ窓サイズをそれら端末に提供する。
多くのレンジング接続試行(ranging access trial)は、前の方の機会に集まるように分布するため、効率的にレンジング接続の成功度(successfulness)を保証し難い。換言すれば、接続負荷が相対的にバックオフ窓サイズ内において前の方のフレームに集まり、後の方に行くにつれて接続負荷が次第に少なくなる現象を考慮して、接続負荷を特定窓サイズ内に分布させることが必要である。レンジングを可能にするため、一つのフレームに一つのランダム接続が許容されるときは、最初のランダム接続過程でほとんどの端末は接続に失敗することになる。
これを解決するために、基地局は、特定窓サイズ内で端末がレンジングチャネルをランダム選択できるよう、上記特定窓サイズに関する情報を端末に送信してもよい。この値を、レンジングを試みるたびにどのように設定するかによって、M2M機器のレンジング試行の成功度が異なってくる。
図4は、従来技術のランダム接続と本発明の第1方法によるランダム接続とを比較した実験例である。本発明の第1方法は、端末の個数が飛躍的に多くて通信負荷が大きい場合に適用することができる。スマート検針のようなM2M機器アプリケーションタイプが増加するにつれて、M2M通信機器の数は一般の移動通信機器の数に比べて飛躍的に増加することがある。従来の一対一通信方式で数多くのM2M機器が基地局と通信すると、M2M機器それぞれと基地局との間に発生する通知によって、ネットワークに過負荷が掛かると予想される。M2M機器は、電力節約のため、長く休眠モードにあり、短時間内にネットワークに接続を試み、少量のデータを送信するという特徴を有している。そのため、このように動作するスマート検針のように、一つのグループにおける3万個以上のM2M機器が同時に適用されて接続する場合に、既存のBEB方式ではほとんど衝突が発生する。そこで、衝突を減らすための方法として、ランダム接続のための初期バックオフ窓サイズを増加させる方式が提案された。
図4のグラフでは、端末グループ当たり200個の機器があるとした。グラフの横軸は1フレームであって、機会に相当し、1フレーム当たり1機会でレンジングに成功できるとする。グラフの縦軸は、レンジング再試行の回数に相当する。
図4(a)は、初期バックオフ窓サイズを2に設定し、一つの端末グループを200個に設定したランダム接続実験例である。
初期バックオフ窓サイズが2に設定された場合、分散がされず、前の方に機会が集まることがわかる。すなわち、ランダムにバックオフ時間を決定するとき、バックオフ時間が短い場合が多く存在することになる。そのため、初期レンジング再試行の回数は、約40回であり、大部分の端末のレンジングが衝突して失敗することがわかる。図4(b)は、初期のバックオフ窓サイズ及び再送信時のバックオフ窓サイズの両方とも60に設定し、一つの端末グループを200個に設定したランダム接続実験例である。初期のバックオフ窓サイズ及び再送信時のバックオフ窓サイズの両方とも60に設定した場合は、図4(a)の場合に比べてより分散がなされ、初期レンジング試行の数が1から6までの分布を示し、レンジング試行の数が顕著に減ったことがわかる。M2M機器が大きい個数を有するという特性を考慮し、既存の単一通信方式の端末に適した初期バックオフ窓サイズを2から更に大きく設定することによって、最初のレンジングを試みる時に発生する衝突数を減らす効果を得ることができる。これによって、初期ランダム接続試行における成功確率を高め、以降の再試行ランダム接続の回数を低減でき、遅延(latency)を減らす効果が得られる。したがって、基地局は、接続するM2M端末の数を予測して、適度の初期バックオフ窓サイズに設定でき、再び試みるランダム接続の数を減らすことができ、前の方に集まる分布を減らすことができる。図4の比較表から、初期バックオフ窓サイズ(k)を2から60の特定窓値に増加させた結果、衝突によるレンジング再試行の回数が著しく減少し、衝突回数は減り、成功率が50%と上昇したことがわかる。
端末(又はM2Mグループに属した端末)がネットワーク進入/再進入を試みる時、これらの端末は、接続衝突を避けるべく、バックオフ窓サイズ内の特定レンジング機会をランダムに(又は、特定規則に従って)選択し、接続を試みる。このとき、端末は一つのグループに分類され、一定グループが同時にネットワーク進入してもよい。基地局は、接続を試みる端末の数、一つの端末グループに属する端末機器の数に基づいて再送信のための窓サイズを調整し、端末に初期バックオフ窓サイズを送信してもよい。端末は基地局から受信した初期バックオフ窓サイズに関するパラメータを用いてランダム接続を行ってもよい。
このとき、初めてレンジング信号を送信したが、システムに定められた時間内に成功確認信号を受信できなかった場合は、再びレンジング信号を送信して接続を試みてもよい。
初期バックオフ窓サイズを2^x(xは再試行回数関連パラメータ)分だけ調整(scaling)し、増加した窓サイズ内で機会をランダム選択する方法であるBEBアルゴリズムは、上述した通りである。
本発明の第2方法は、既存のBEBアルゴリズムと異なり、基地局が送信したバックオフ窓サイズを減らしながら再送信を試みることを提案する。本発明の第2方法は、第1発法と同様、基地局が端末に2以上の初期バックオフ窓サイズを表す情報を送信する。本発明の第2方法は、第1方法と同様、基地局が一つの初期値(これをKという)を定めて端末に送信する。ただし、本発明の第1方法では初期バックオフ窓サイズと再送信のためのバックオフ窓サイズとを同一にしたのに対し、本発明の第2方法は、バックオフ窓サイズを再送信回数が増加するたびに減少させることを提案する。例えば、端末は、次のような式によって、再送信時に機会を選択する窓サイズPを計算できる。
ここで、Bは、1より大きい整数であり、xは、端末のレンジング再送信回数を表す。例えば、Bが2の場合に、1番目の再送信時にP=K/(21)、2番目の再送信時にP=K/(22)の値を有する。この時、再送信時に端末が選択する機会をQとすれば、Qは、次のように表現可能である。
ここで、nは、先行する送信時の機会(バックオフ時間又はバックオフ値とも呼ばれる)を表す。
ただし、再送信時に機会を選択する窓サイズは、2以上の値を有することが好ましい。
基地局がK窓サイズを指数係数2に設定しない場合、Pの値は次の三つのうちいずれかに設定してもよい。
− P=floor(K/(2^x));窓サイズを、再送信関連して与えられたウィドウサイズ境界を越えないように調整
− P=ceil(K/(2^x))
− P=f(K/(2^x))、ここで、f(y)関数は、y値を越えない最大2の指数係数値を出力とする関数である。例えば、K値が300であり、P値はx=1のとき、2^7=128、x=2のとき、2^6=64……のように適用される。
図5は、従来技術のランダム接続、本発明の第1方法によるランダム接続、及び本発明の第2方法によるランダム接続を比較した実験例である。
図5(a)及び図5(b)は、図4(a)及び図4(b)と同一であり、図5(c)は、図5(a)及び図5(b)での初期バックオフ窓サイズ及び再送信時のバックオフ窓サイズの両方とも60に設定し、本発明の第2方法を適用した実験例である。図5(c)は、初期バックオフ窓サイズを256に設定し、再送信のためのバックオフ窓サイズを逆指数バックオフ窓サイズとし、2xの割合で次第に減少するようにランダム接続した実験例である。本発明の第2方法で、バックオフ窓サイズの設定は、式1においてxが正でない整数で表されるようにして適用してもよい。従来の指数的にバックオフ窓サイズを増加させる場合(図5(a))とは逆に、逆指数バックオフ窓サイズとして2xの割合で次第に減少するように行った結果、図5(c)からわかるように、顕著な利得上昇が得られた。すなわち、図5(c)を参照すると、再送信試行の回数は、フレームが200になるまで1にほとんど分布し、一度でレンジングに成功する効果が得られた。3回以内のランダム接続再試行でランダム接続成功が可能なため、初期バックオフ窓サイズを256に設定しても、2番目のバックオフ窓サイズは128、3番目のバックオフ窓サイズは64であって、総じて512窓内でシステムの具現が可能となり、よって、全体的な側面で遅延時間を低減させる効果が得られる。すなわち、初期バックオフ窓サイズを256に設定し、再送信のためのバックオフ窓サイズを減少させていく方式によれば、利得の顕著な上昇を得ることができる。
したがって、図5の下段の比較表から、同一のレンジング試行(124回)で、図5(c)の本発明の第2方法は102回の成功回数を得ることが確認できる。
本発明の第2方法は、接続負荷がフレームの前の方に相対的に多く集まる特性に着目して、初期バックオフ窓サイズを大きく設定し、かつ後の方に行くにつれて接続負荷が少なくなる特性に着目して、再送信のためのバックオフ窓サイズを次第に減少させていく方法である。また、再送信のために、初期バックオフ窓サイズに関する情報を送信するために用いられる従来方法を逆にして適用することによって、具現の複雑性を減少させることができる。すなわち、本発明の第2方法は、以前の方式において指数バックオフ窓サイズを逆指数バックオフ窓サイズにすることによって具現することができる。本発明の第2方法は、バックオフ窓サイズをB(ここで、Bは1より大きい正の整数)の指数分だけ逆に減少させ、かつ初期バックオフ窓サイズを大きく設定することによって、全体としてはレンジングに要求されるフレームの数が減るため、ランダム接続の再試行の回数が減り、遅延を減らす効果を得ることができる。
第1方法及び第2方法は、既存のBEB方式による初期バックオフ窓サイズを特定窓値、好ましくは2より大きい値に設定する方法である。最初のレンジングを試みる時、既存のBEB方法のように初期バックオフ窓サイズが2のとき、大部分のレンジング過程が衝突する結果を招く。そこで、本発明で提案する第1方法及び第2方法によって、基地局は、当該基地局に接続可能な端末の数を把握することによって、初期バックオフ窓サイズを調整して呼出しメッセージに含めて端末に送信する。初期バックオフ窓サイズを従前に比べて大きく設定することによって、レンジング確認メッセージを受信できずに、再びレンジングを試みる回数を減らすことができる。すなわち、端末は、適度の初期バックオフ窓サイズ内でレンジングを試みることで、図5(c)では、3回以内のレンジング試行で接続に成功することが可能になった。
表1乃至表9は、窓サイズ設定に関連して呼出しサイクル及び接続レートを異ならせ、少ない遅延で成功度を高めるための実験例を表すものである。表1〜表3は、接続レートがいずれも40/sであり、呼出しサイクルがそれぞれ1s、2.5s、5sである。
表4乃至表6は、接続レートがいずれも60/sであり、呼出しサイクルがそれぞれ1s、2.5s、5sである。
表7乃至表9は、接続レートがいずれも80/sであり、呼出しサイクルがそれぞれ、1s、2.5s、5sである。
上記の表1乃至表9から、既存のBEB方式に比べて本発明の技術的効果が大きいことがわかる。
表1乃至表9を参照すると、接続レートを40/s、60/s、80/sに、呼出しサイクルを1s、2.5s、5sに設定して、初期バックオフ窓サイズによるターゲット成功率を分析した。前述したBEBアルゴリズム方式はA方式に相当し、バックオフ窓サイズを減少させ、かつバックオフ窓開始点を調整する方式がB方式に相当する。表1乃至表9に表すように、60/sまでは、次の呼出し区間まではみ出す重複した呼出し試行は、バックオフ窓サイズを次第に減少させる方式(B)では発生しなかった。重複した呼出し試行をスピルオーバ現象という。したがって、重複した呼出しが発生しないよう、初期バックオフ窓サイズを大きく設定し、かつバックオフ窓サイズを次第に減少させながら、レンジング再送信のための呼出し区間の開始点を知らせることによって、次のレンジング再送信による端末との衝突を減らすことができる。接続レートが増加するほど競合は増加する。そのため、基地局は、端末機器の数に基づく適度の初期バックオフ窓サイズを設定しなければならない。基地局によって設定された初期バックオフ窓サイズ内でランダム接続を試みるときに、2〜3回以内に成功可能にさせることによって、ランダム接続の再試行による遅延を減らすという効果が得られる。表1乃至表9の実験例を参照すると、同一の接続レート及び呼出しサイクルを有する条件下で、同一の成功率を達成する場合、A方式に比べてB方式において平均遅延時間、すなわち要求されるフレームの数が減る効果が得られた。初期バックオフ窓サイズは、B方式の方がより大きく設定されても、その後に発生する要求されるフレームの数が減るため、ランダム接続の再試行回数が減り、遅延を減らす効果が得られた。
しかし、60/sにおいて、A方式では要求されるフレームが大きいだけでなく、オーバラップした呼出しによってスピルオーバ現象が発生する問題点があった。以降、このようなスピルオーバ現象を防止するための本発明の第3方法を提案する。
図6は、ランダム接続のバックオフ窓開始点調整による本発明の第3方法に係る実験例である。
上記の表1乃至表9のように、重複するフレームが生じるスピルオーバ現象を減少させるために、バックオフ窓開始点を調整(alignment)する方式が提案される。
本発明の第3方法は、上で提案した第2方法をより最適化できる方法である。第3方法は、i番目のレンジング機会とi−1番目のレンジング機会とが衝突することを防止するように、i−1番目のバックオフ窓領域の終了点を考慮して、i番目のバックオフ窓領域の開始点を決定する方式である。
上記提案した第1方法及び第2方法では、バックオフ窓サイズ内の特定機会で送信失敗が起こった場合、その時点を基準にして次の窓サイズ内の機会が選択される。このような方式によって本発明の第2方法において再送信のための窓開始点が決定されると、バックオフ窓の相対的に前の方の機会で送信失敗が起こった場合に、端末が次の送信時に減少した窓サイズ内で機会を選択するとき、他の端末がバックオフ窓の後の方の機会で最初の送信をする場合と重複する確率が高くなる。例えば、初期バックオフ窓サイズが256に設定された場合に、レンジング過程でサイズ256の窓内でランダム接続のための時点を任意に選択してもよい。256フレーム内で64フレーム位置地点であるバックオフ窓の比較的前の方でランダム接続を試みたが、ランダム接続が衝突して失敗した場合、再びランダム接続を試みる。以降のランダム接続のための2番目の窓バックオフサイズは256/(2^1)であって、128となる。したがって、最初のランダム接続を試みた64フレームの後、128フレーム窓内で再送信ランダム接続がなされる場合、他の端末が初期バックオフ窓サイズである256内で最初のランダム接続を試みる場合(例えば、160フレームでランダム接続を試みる場合)と重複し、衝突が発生する確率はより一層高くなる。そこで、2番目のランダム接続と1番目のランダム接続がなされる窓領域とが重複することを防ぐためにバックオフ窓サイズ開始点を定める方法を提案する。すなわち、上記の例で、64フレーム位置で衝突によってランダム接続に失敗した場合、次のランダム接続は、256フレーム以後の時点で2番目のランダム接続の試行がなされるように、バックオフ窓サイズ開始点を256フレームに設定する方式を提案する。
したがって、第3方式は、重複を避ける目的で、次の再送信時に特定遅延だけの時間ギャップを適用する。再送信時に端末が選択する機会をQとすると、Qは次の式4のとおりである。
式4において、nは、先行する送信時の機会を意味する。ここで、時間ギャップは、最初の送信において窓の最後の機会を選択する端末まで考慮すると、式4のように設定してもよい。
すなわち、再送信時に端末が選択する機会であるQは、Pである窓サイズ内でランダムに選択された機会(0〜Pのいずれか一つの値)と先行する送信の窓サイズとの和
で表すことができる。
本発明で提案する第3方法は、
をバックオフ窓開始点に設定し、このバックオフ窓開始点で端末はレンジングを試みてもよい。先行する送信の窓サイズを加えることによって、ほかの端末による先行する送信の窓サイズ内でのランダム接続試行と衝突することがない。
Pの設定方法には上記提案した第2方法をそのまま適用してもよい。また、Q設定は、以降の送信の都度、同様に適用する。
このように時間ギャップを設定する場合、i番目の再送信のQiを設定する式は、次の式を適用してもよい(すべての先行する送信のQの和)。
ここで、P
0は、初期バックオフ窓サイズ(K)であり、P
iは、i番目のバックオフ窓サイズである。ここで、
は、i番目の再送信でのバックオフ窓開始点と見なしてもよい。このようにバックオフ窓開始点を設定すると、他の端末が後の方の機会で最初の送信を試みる場合と重複することによるレンジング再試行に起因する衝突を防ぐことが可能になる。基地局は、初期バックオフ窓サイズを設定して端末に送信し、端末は、初期バックオフ窓サイズを用いて再送信のためのバックオフ窓サイズ及びバックオフ窓開始点を計算し、ランダム接続手順を行うことが可能である。
このとき、システムの特定処理遅延係数を考慮してもよい。例えば、レンジング符号を送信してからレンジング確認(AAI−RNG−ACK、802.16eシステムではRNG−SCK)メッセージを受信するまでの時間がT31(802.16eシステムではT3)である。本発明では、T31を考慮してバックオフ窓開始点を次のように決定してもよい。
レンジング確認メッセージを受信する時間に起因する遅延によって、i番目の再送信時のバックオフ窓サイズを越えてランダム接続がなされることもあり、よって、0〜i−1番目の再送信時のバックオフ窓サイズの和
と、i−1番目のレンジング機会(Q
i-1)及びT
31の和とのうちの最大値を、バックオフ窓開始点として設定することによって、メッセージ受信時間の遅延による衝突を避けてもよい。例えば、0〜i−1番目の再送信時のバックオフ窓サイズの和が384の場合に、i−1番目のレンジング機会(Q
i-1)が370であり、遅延時間(T
31)が14フレーム以上であるとき、i−1番目の再送信時のランダム接続試行とi番目の再送信時のランダム接続試行とが衝突することがある。そのため、i番目のバックオフ窓開始点を、0〜i−1番目の再送信時のバックオフ窓サイズの和
と、i−1番目のレンジング機会(Q
i-1)及びT
31の和とのうち最大値に設定することによって、重複が発生することを避けてもよい。
したがって、i番目の機会(Qi)の設定方法は、次の通りである。
ここで、P
0は、初期バックオフ窓サイズKであり、P
iは、i番目のバックオフ窓サイズである。
は、i番目の再送信でのバックオフ窓開始点と見なしてもよい。
本発明で提案する第4方法は、既存のバックオフ機構であるBEB方式と、本発明の第1方法、第2方法及び/又は第3方法とを一つのシステム内で適応的にサポート可能にする方式である。すなわち、既存BEB方式と本発明の第2方法とを共存させる場合を取り上げると、特定システム環境に応じて、レンジング再試行時に係数2で指数バックオフ窓サイズを増加させる方法と、レンジング再試行時に特定係数でバックオフ窓サイズを減少させる方法とが共存できるように無線通信システムを具現してもよい。ここで、基地局は、バックオフ窓サイズ設定を各端末のシステム環境に合うように指示する通知を送信できる。基地局は、レンジングバックオフ窓指示子を呼出しメッセージ、登録要求メッセージ又は登録応答メッセージに含めて端末に送信することによって、端末が使用するバックオフ機構を制御できる。例えば、1ビットを持つレンジングバックオフ窓指示子を0b0に設定することによって、バックオフ窓サイズを増加させる増加機構(increasing mechanism)を使用するように端末に通知でき、0b1に設定することによって、バックオフ窓サイズを減少させる減少機構(decreasing mechanism)を使用するように端末に通知できる。基地局は、このような機構に従って端末がレンジング信号を送信することを予期する。したがって、基地局は、本発明の実施例によって端末が送信したレンジング信号を本発明の実施例によるバックオフ窓内で受信する。
H2H機器では一つのバックオフ機構が適用されたが、M2M機器は様々なアプリケーションタイプが存在することがあり、それらM2M機器はグループに分けて動作させてもよい。特に、スマート検針のようなM2M機器グループには減少機構を適用してレンジングバックオフ窓サイズを設定し、ほかの個数が少いM2M機器グループについては従来方式であるBEB方式によってバックオフ窓サイズが増加するように設定して、ランダム接続を行ってもよい。このように適応的にランダム接続方式を設定することによって、潜在的な衝突回数を減らして遅延を減少させ、効率的なランダム接続のバックオフ方法の提供が可能となる。バックオフ窓サイズの設定のためには、それぞれのM2M機器がサポートできるレンジングバックオフ機構について、端末及び基地局がAAI−REG−REQ/RSPを用いて交渉してもよい。したがって、基地局は、呼出しグループごとに、M2M機器に適用するレンジングバックオフ機構を決定でき、よって、レンジングバックオフ機構としては、端末(又はM2M機器)の特性に応じて、増加機構又は減少機構が共存可能になる。そのため、本発明において、基地局は、端末の環境に好適なレンジングバックオフ機構が実行されるようにする指示子であるレンジングバックオフ窓指示子を更に含めて呼出しメッセージを端末に送信してもよい。又は、レンジングバックオフ窓指示子を含む登録要求メッセージ又は登録応答メッセージを用いて、端末及び基地局は、端末がレンジングバックオフ減少機構をサポート可能か否かを交渉してもよい。
各端末は、端末の個数が多くない場合、基地局からレンジングを別々の用途に利用するように要求されると、既存のBEB方式を利用する必要がある。すなわち、端末は、BEB方式でバックオフ窓のサイズを調整し、端末が基地局に送信するトラヒックが発生したとき、アップリンク帯域を要求する帯域幅要求レンジング過程にシステムを活用してもよい。したがって、システムに適応的にランダム接続方式の具現が可能である。
基地局は、レンジングバックオフ窓指示子を、初期バックオフ窓サイズを通知するチャネルで共に送信してもよく、特に呼出しメッセージ(例えば、16mシステムではAAI−PAG−ADV message)内に含めて送信してもよい。
このレンジングバックオフ窓指示フィールドは、一つのシステム内で適応的に適用してもよく、通信事業者が所望する方法として適用してもよい。
図7は、本発明に係るランダム接続のバックオフ方法のフローチャートである。基地局は端末に、初期バックオフ窓サイズを含む呼出しメッセージを送信する(S701)。端末は、初期バックオフ窓サイズに基づいてレンジング過程を行う(S702)。端末は基地局からレンジング確認メッセージを受信できないとき、2番目のバックオフ窓サイズに基づいてレンジング要求メッセージを基地局に再送信する(S703)。端末は、さらに基地局からレンジング確認メッセージを受信できないとき、3番目のバックオフ窓サイズに基づいてレンジング要求メッセージを基地局に再送信する(S704)。以降、ランダム接続によるレンジング要求メッセージ送信に成功した場合、基地局は端末にレンジング応答メッセージを送信する(S705)。
上述したような本発明は、図1の端末100及び基地局150に適用可能である。図1の端末は、H2H機器又はM2M機器であってよい。図1を参照すると、端末100のプロセッサ120は、基地局150からバックオフ窓情報を含むメッセージを受信するように受信器112を制御し、該バックオフ窓情報に基づいてレンジング手順を行うように構成される。このバックオフ窓情報が0番目のバックオフ窓のサイズK0を表す情報を含み、プロセッサ120は、x番目のバックオフ窓のサイズKxは、式Kx=K0/(2x)(ここで、xはレンジング再送信回数を表す)によって決定するように構成される。又は、プロセッサ120は基地局からレンジング応答メッセージを受信できなかった場合、バックオフ窓情報に基づいてレンジング要求メッセージを再送信するように送信器111を制御してもよい。又は、プロセッサ120は、レンジング要求メッセージに対するレンジング応答メッセージを基地局150から受信するように受信器112を制御し、該レンジング応答メッセージに基づいて基地局150にネットワーク進入手順を行ってもよい。ここで、x番目のバックオフ窓のサイズは最小2以上の値を有してよい。上記メッセージはレンジング再送信のためのバックオフ窓サイズの増加又は減少を指示するレンジングバックオフ窓指示子を含んでもよい。プロセッサ120は、レンジングバックオフ窓指示子が増加を表す場合、レンジング再送信のためのバックオフ窓サイズを増加させ、レンジングバックオフ窓指示子が減少を表す場合、レンジング再送信のためのバックオフ窓サイズを減少させることができる。又は、プロセッサ120は、基地局からバックオフ窓情報を含むメッセージを受信するように受信器112を制御し、該バックオフ窓情報を用いてx番目(ここで、xは非負整数)のレンジング送信のためのx番目のバックオフ窓を決定するように構成され、このx番目のバックオフ窓内で基地局へx番目のレンジングを送信するように送信器111を制御し、x番目のバックオフ窓の終了点を考慮して、(x+1)番目のバックオフ窓の開始点を決定するように構成してもよい。
又は、プロセッサ120は、(x+1)番目のバックオフ窓の開始点は、0番目のバックオフ窓からx番目のバックオフ窓までのサイズの和と、該x番目のレンジング送信時間に所定時間を加えた値のうち、大きい値を(x+1)番目のバックオフ窓の開始点と決定するように構成してもよい。
基地局150のプロセッサ170は、端末100にバックオフ窓情報を含む呼出しメッセージを送信するように送信器161を制御し、該バックオフ窓情報に基づいてレンジング手順を行うように構成してもよい。基地局150のプロセッサ170は、端末100からレンジング要求メッセージを受信するように受信器162を制御してもよい。又は、プロセッサ170は、レンジング要求メッセージに対するレンジング応答メッセージを端末100に送信するように送信器161を制御してもよい。
又は、プロセッサ170は、バックオフ窓情報を用いて決定されたx番目のバックオフ窓内で、端末からx番目のレンジング送信を受信するように受信器162を制御し、バックオフ窓情報を用いて決定された(x+1)番目のバックオフ窓内で端末から(x+1)番目のレンジング送信を受信するように受信器162を制御し、(x+1)番目のバックオフ窓の開始点はx番目のバックオフ窓の終了点を考慮して決定するように構成してもよい。
以上説明した実施例は、本発明の構成要素及び特徴を所定形態に結合したものである。各構成要素又は特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮することが望ましい。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態で実施してもよいし、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成してもよい。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更可能である。ある実施例の一部構成や特徴は、別の実施例に含まれることもあり、別の実施例の対応する構成又は特徴に置き換えられることもある。特許請求の範囲において明示的な引用関係にない請求項を結合して実施例を構成したり、出願後の補正によって新しい請求項として含めたりすることが可能であることは明らかである。
本発明は、本発明の精神及び必須特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化してもよいことは、当業者には明らかである。そのため、上記の詳細な説明はいずれの面においても制約的に解釈してはならず、例示的なものとして考慮しなければならない。本発明の範囲は、添付した請求項の合理的解釈によって定めなければならず、本発明の均等範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。