JP5669862B2 - 電極構造、基材保持装置および陽極酸化層の形成方法 - Google Patents

電極構造、基材保持装置および陽極酸化層の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、電極構造、基材保持装置および陽極酸化層の形成方法に関する。
アルミニウムに陽極酸化を行うと、その表面にポーラスアルミナ層を有する陽極酸化層が形成される。従来から、アルミニウムの陽極酸化は、規則正しく配列されたナノオーダーの円柱状の細孔(微細な凹部)を形成できる簡易な手法として注目されてきた。硫酸、蓚酸または燐酸等の酸性電解液またはアルカリ性電解液中にアルミニウム基材を浸漬し、これを陽極として電圧を印加すると、アルミニウム基材の表面で酸化と溶解が同時に進行し、その表面に細孔を有する酸化膜を形成することができる。この円柱状の細孔は、酸化膜に対して垂直に配向し、一定の条件下(電圧、電解液の種類、温度等)では自己組織的な規則性を示すため、各種機能材料への応用が期待されている(特許文献1〜4参照)。
特定の条件下で形成されたポーラスアルミナ層では、酸化膜の表面に垂直な方向から見たときに、ほぼ正六角形のセルが二次元的に最も高密度で充填された配列をとる。それぞれのセルはその中央に細孔を有しており、細孔の配列は周期性を有している。セルは局所的な皮膜の溶解および成長の結果として形成されるものであり、バリア層と呼ばれる細孔底部で、皮膜の溶解と成長とが同時に進行する。このとき、セルのサイズ、すなわち、隣接する細孔の間隔(中心間距離)は、バリア層の厚さのほぼ2倍に相当し、陽極酸化時の電圧にほぼ比例することが知られている。また、細孔の直径は、電解液の種類、濃度、温度等に依存するものの、通常、セルのサイズ(膜面に垂直な方向からみたときのセルの最長対角線の長さ)の1/3程度であることが知られている。このようなポーラスアルミナ層の細孔は、特定の条件下では高い規則性を有する(周期性を有する)配列、また、条件によってはある程度規則性の乱れた配列あるいは不規則(周期性を有しない)な配列を形成する。
例えば、陽極酸化層は、反射防止材の作製に用いられる(特許文献1〜4参照)。反射防止材は、いわゆるモスアイ(Motheye、蛾の目)構造の原理を利用している。凹凸の周期が可視光(λ=380nm〜780nm)の波長以下に制御された微細な凹凸パターンが基板表面に形成される。基板に入射した光に対する屈折率を凹凸の深さ方向に沿って入射媒体の屈折率から基板の屈折率まで連続的に変化させることによって反射を防止したい波長域の光の反射が抑えられる。反射防止機能を発現する凹凸パターンを構成する凸部の2次元的な大きさは10nm以上500nm未満である。
反射防止材をテレビや携帯電話などに用いられる表示装置やカメラレンズなどの光学素子の表面に設けることにより、表面反射を低減して光の透過量を高めることができる。反射防止技術により、屈折率の異なる媒体の界面を光が通過する場合(例えば、空気とガラスとの界面に光が入射する場合)、フレネル反射などによる光の透過量の低下が抑制され、結果として、視認性が向上する。モスアイ構造は、広い波長域にわたって入射角依存性の小さい反射防止作用を発揮できるほか、多くの材料に適用でき、凹凸パターンを基板に直接形成できるなどの利点を有している。その結果、低コストで高性能の反射防止膜(または反射防止表面)を提供できる。
例えば、特許文献2には、陽極酸化ポーラスアルミナ膜を表面に有するスタンパを用いて、反射防止膜(反射防止表面)を形成する方法が開示されている。特許文献3に、アルミニウムの陽極酸化と孔径拡大処理を繰り返すことによって、細孔の孔径が連続的に変化するテーパー形状の凹部を形成する技術が開示されている。また、特許文献4には、微細な凹部が階段状の側面を有するアルミナ層を用いて反射防止膜を形成する技術が開示されている。
このように陽極酸化ポーラスアルミナ膜を利用することによって、モスアイ構造を表面に形成するための型(以下、「モスアイ用型」という。)を容易に製造することができる。特に、特許文献2および4に記載されているように、陽極酸化膜の表面をそのまま型として利用すると、製造コストを低減させることができる。
また、上述した特許文献1〜4とは異なり、電子写真感光体の支持体として、円筒状のアルミニウム合金の表面を陽極酸化した陽極酸化層を用いることが知られている(特許文献5参照)。特許文献5には、円筒状のアルミニウム合金を載せた固定座から給電を行うことが開示されている。なお、特許文献5には、固定座を絶縁体材料で形成して、円筒状のアルミニウム合金の内側表面と電解液を介して囲まれた給電棒から間接給電を行うことが好ましい旨が記載されている。
特表2001−517319号公報 特表2003−531962号公報 特開2005−156695号公報 国際公開第2006/059686号 特許第3346062号公報
電極とアルミニウム基材とを直接接触させて給電を行う場合、陽極酸化時に、電極とアルミニウム基材との接触が十分でないと、陽極酸化が均一に行われないことがある。また、電極はリード線を介して電源と電気的に接続されるが、電極とリード線との接続部分に電解液が侵入すると、リード線が溶解してしまうことがある。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、電極とアルミニウム基材との接触不良を抑制するとともに電極とリード線との接続部分への電解液の侵入を抑制する電極構造、基材保持装置および陽極酸化層の形成方法を提供することにある。
本発明による実施形態の電極構造は、アルミニウム基材の表面を陽極酸化するための電極構造であって、前記アルミニウム基材の表面と接触するアルミニウム電極と、前記アルミニウム基材の表面に対して前記アルミニウム電極を固定する固定部材と、前記固定部材と前記アルミニウム基材との間に配置される弾性部材と、少なくともある条件において前記アルミニウム電極と電気的に接続されるリード線と、開口部の設けられたカバー部材であって、前記アルミニウム電極の少なくとも一部を覆い、前記リード線が前記カバー部材の前記開口部を貫通した状態で密閉されたカバー部材とを備える。
ある実施形態において、前記電極構造は、それぞれが、前記アルミニウム電極、前記固定部材、前記弾性部材、前記リード線および前記カバー部材を有する複数の電極部を備える。
ある実施形態において、前記アルミニウム基材は円筒状または円柱状であり、前記複数の電極部は、前記アルミニウム基材の外側表面に取り付けられる。
ある実施形態において、前記固定部材には開口部が設けられており、前記アルミニウム電極は、前記アルミニウム基材と前記弾性部材との間に設けられた接触領域と、前記固定部材の前記開口部を介して前記接触領域と電気的に接続された接続領域とを有する。
ある実施形態において、前記アルミニウム電極は、前記接触領域および前記接続領域の連続する導電膜を含む。
ある実施形態において、前記リード線は、別の条件において前記アルミニウム電極と絶縁される。
ある実施形態において、前記カバー部材においてねじ切られたねじ切り部と、前記ねじ切り部と螺合する絶縁性のねじと、前記カバー部材の内部において前記リード線と電気的に接続された導電部材と、前記導電部材に設けられ、前記ねじの先端を支持するベアリングとを有する。
ある実施形態において、前記ねじを締める場合、前記導電部材は前記アルミニウム電極に接触して前記導電部材は前記アルミニウム電極と電気的に接続し、前記ねじを緩める場合、前記導電部材は前記アルミニウム電極から離れて前記導電部材は前記アルミニウム電極から絶縁される。
ある実施形態において、前記カバー部材の前記開口部にゴム栓が設けられている。
ある実施形態において、前記カバー部材は、前記固定部材にねじで固定されている。
ある実施形態において、前記固定部材は樹脂層を含む。
ある実施形態において、前記カバー部材は、前記固定部材と一体的に形成されている。
ある実施形態において、前記カバー部材および前記固定部材は樹脂層から構成される。
ある実施形態において、前記弾性部材には開口部が設けられており、前記弾性部材の開口部を介して前記アルミニウム電極は前記アルミニウム基材と電気的に接続される。
ある実施形態では、前記アルミニウム基材に取り付けられる前の前記電極構造において、前記アルミニウム電極の表面が前記弾性部材の表面よりも突出するように前記アルミニウム電極は配置されている。
本発明による実施形態の基材保持装置は、円筒状のアルミニウム基材に取り付けられた、上記に記載の少なくとも1つの電極構造と、前記円筒状のアルミニウム基材の内側表面から前記アルミニウム基材を支持する支持部材とを備える。
ある実施形態において、前記支持部材は、前記アルミニウム基材を介して前記電極構造と対向する電極対向支持部材と、前記電極構造と対向することなく前記アルミニウム基材を支持する電極非対向支持部材とを含む。
ある実施形態において、前記少なくとも1つの電極構造は、第1電極構造と、前記第1電極構造とは異なる位置に取り付けられた第2電極構造とを有する。
ある実施形態において、前記電極対向支持部材は、前記アルミニウム基材を介して前記第1電極構造と対向する前記第1電極対向支持部材と、前記アルミニウム基材を介して前記第2電極構造と対向する前記第2電極対向支持部材とを含む。
ある実施形態において、前記電極非対向支持部材は、前記第1電極対向支持部材と前記第2電極対向支持部材との間に配置される。
ある実施形態において、前記電極対向支持部材および前記電極非対向支持部材のそれぞれは円盤形状を有しており、前記電極対向支持部材の直径の最大値は、前記アルミニウム基材の内径よりも大きく、前記電極対向支持部材の直径の最小値および前記電極非対向支持部材の直径の最大値は前記アルミニウム基材の内径よりも小さい。
ある実施形態において、前記電極対向支持部材および前記電極非対向支持部材のそれぞれに開口部が設けられている。
ある実施形態において、前記電極対向支持部材は、前記電極非対向支持部材よりも厚い。
本発明による実施形態の陽極酸化層の形成方法は、アルミニウム基材を用意する工程と、前記アルミニウム基材に電極構造を取り付ける工程であって、前記電極構造は、前記アルミニウム基材の表面と接触するアルミニウム電極と、前記アルミニウム基材の表面に対して前記アルミニウム電極を固定する固定部材と、前記固定部材と前記アルミニウム基材との間に配置される弾性部材と、少なくともある条件において前記アルミニウム電極と電気的に接続されるリード線と、開口部の設けられたカバー部材であって、前記アルミニウム電極の少なくとも一部を覆い、前記リード線が前記カバー部材の前記開口部を貫通した状態で密閉されたカバー部材とを備える、工程と、前記アルミニウム基材の表面を電解液に接触させた状態で陽極酸化を行う工程とを包含する。
ある実施形態では、前記アルミニウム基材を用意する工程において、前記アルミニウム基材は円筒状または円柱状である。
ある実施形態では、前記電極構造を取り付ける工程において、前記電極構造は、それぞれが、前記アルミニウム電極、前記固定部材、前記弾性部材、前記リード線および前記カバー部材を備える複数の電極部を有しており、前記複数の電極部のそれぞれのアルミニウム電極は、前記アルミニウム基材と前記弾性部材との間に設けられた接触領域と、前記固定部材の前記開口部を介して前記接触領域と電気的に接続された接続領域とを有しており、前記複数の電極部のそれぞれの前記接触領域がリング状に構成される。
ある実施形態では、前記陽極酸化層の形成方法は、前記陽極酸化を行った後に前記アルミニウム基材のエッチングを行う工程をさらに包含する。
ある実施形態では、前記陽極酸化を行う工程は、前記リード線と前記アルミニウム電極とが電気的に接続した状態で行われ、前記エッチングを行う工程は、前記リード線と前記アルミニウム電極とが絶縁した状態で行われる。
本発明の実施形態によれば、電極とアルミニウム基材との接触不良を抑制するとともに電解液の侵入の抑制された電極構造を提供できる。
(a)は本発明による電極構造の第1実施形態を示す模式的な断面図であり、(b)は本実施形態の電極構造の模式的な側面図である。 本実施形態の電極構造の取り付けられたアルミニウム基材の模式図である。 (a)および(b)は本実施形態の電極構造における電極部の模式図である。 本実施形態の電極構造の模式的な断面図である。 本発明による基材保持装置の実施形態の模式図である。 本実施形態の基材保持装置における支持部材の模式図である。 (a)はy方向から見た電極非対向支持部材の模式図であり、(b)はx方向から見た電極非対向支持部材の模式図である。 (a)はy方向から見た電極対向支持部材の模式図であり、(b)はx方向から見た電極対向支持部材の模式図である。 (a)はy方向から見た別の電極非対向支持部材の模式図であり、(b)はy方向から見た別の電極対向支持部材の模式図である。 本実施形態の陽極酸化処理装置の模式図である。 (a)および(b)は本実施形態の陽極酸化処理装置における電極構造の組み立てを示す模式図である。 本実施形態の電極構造の取り付けられるアルミニウム基材の一例を示す模式図である。 (a)および(b)は本実施形態の陽極酸化層の形成方法を示す模式図である。 図13に示した形成方法で形成された陽極酸化層の模式的な断面図である。 本実施形態のエッチング処理装置の模式図である。 (a)〜(e)は、本実施形態の陽極酸化層の形成方法を示す模式図である。 図16に示した形成方法で形成された陽極酸化層の模式的な断面図である。 本実施形態の陽極酸化層を型として用いて転写する工程を説明するための模式的な断面図である。 (a)〜(c)は本実施形態の搬送部材を示す模式図である。 本実施形態の電極構造の変形例の模式的な断面図である。 本発明による電極構造の第2実施形態の模式的な断面図である。 本発明による電極構造の第2実施形態の模式的な拡大断面図である。 本実施形態の電極構造の変形例の模式的な拡大断面図である。 図23に示した電極構造を備える陽極酸化処理装置で形成された陽極酸化層のSEM像を示す図である。 比較例の陽極酸化層のSEM像を示す図である。 (a)は本発明による電極構造の第3実施形態を示す模式的な断面図であり、(b)は本実施形態の電極構造の模式的な側面図である。 (a)は本実施形態の電極構造の模式図であり、(b)は(a)の27b−27b’線に沿った模式的な断面図である。
以下、図面を参照して、本発明による電極構造、基材保持装置、および、陽極酸化層の形成方法の実施形態を説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
以下、図1〜図4を参照して、本発明による電極構造の第1実施形態を説明する。図1(a)および図1(b)に本実施形態の電極構造100Aの模式図を示す。図1(a)はy方向から見た電極構造100Aの模式図であり、図1(b)はx方向から見た電極構造100Aの模式図である。
電極構造100Aは、電極部100a、100bから構成される。ここでは、電極部100a、100bは同様の構成を有しており、y方向からみて対称的な構成を有している。
電極部100a、100bのそれぞれは、アルミニウム電極10と、固定部材20と、弾性部材30と、リード線40と、カバー部材50とを備えている。電極構造100Aは、円筒状または円柱状のアルミニウム基材(図1には図示せず)を陽極酸化するために用いられる。例えば、電極構造100Aの幅(電極構造100Aをx方向から見たときのy方向に沿った長さ)は50mmである。
アルミニウム電極10のアルミニウムの純度はアルミニウム基材の純度よりも低い。例えば、アルミニウム基材の表面のアルミニウムは99.99質量%(4Nと表記することがある。)以上のアルミニウムであるのに対し、アルミニウム電極10は、純度99.50質量%以上のアルミニウムから形成される。なお、本明細書において、アルミニウム電極10を単に電極10と呼ぶことがある。
電極10の少なくとも一部はアルミニウム基材の表面と接触する。電極10はリード線40を介して電源(図示せず)と電気的に接続されている。陽極酸化を行う場合、リード線40および電極10を介してアルミニウム基材に電圧が印加される。
固定部材20は、アルミニウム基材の表面と接触した状態で電極10を固定する。固定部材20は比較的高い硬度の材料から形成される。例えば、固定部材20はポリアセタール樹脂から形成される。一般に、ポリアセタール樹脂は、強度および弾性率の点で優れている。例えば、ポリアセタール樹脂の曲げ強度および曲げ弾性率は、それぞれ、910kg/cm2、26×103kg/cm2である。固定部材20は、アルミニウム基材の表面と対応する形状を有している。
弾性部材30はアルミニウム基材と固定部材20との間に配置される。弾性部材30は例えばシリコーンゴムから形成される。一般に、シリコーンゴムは比較的高い耐熱性を示し、例えば、周囲温度が200℃であっても使用可能である。
リード線40では、導電性の配線が絶縁部材で被覆されている。例えば、配線は銅から形成されている。あるいは、配線は鋼心アルミより線またはアルミ合金より線であってもよい。絶縁部材は、耐薬品性および屈曲性の観点で、ポリエチレン(polyethylene:PE)またはフッ素樹脂から形成される。
カバー部材50は、電極10とリード線40との接続部分をカバーする。カバー部材50は固定部材20にねじで固定されている。なお、カバー部材50は固定部材20にシール材で封止されてもよく、あるいは、カバー部材50と固定部材20との境界にゴムパッキンを設けてもよい。カバー部材50には貫通する開口部50aが設けられており、カバー部材50は、開口部50aにリード線40が貫通した状態で密閉されている。例えば、開口部50aにはゴム栓52が設けられている。なお、開口部50aはシール材で封止されてもよく、あるいは、開口部50aはねじを用いて密閉されてもよい。
電極構造100Aは、円筒状または円柱状の外側表面と対応する内側表面を有している。このため、アルミニウム基材が円筒状または円柱状であっても、電極構造100Aはアルミニウム基材との電気的な接続を確実に行うことができる。また、アルミニウム基材と固定部材20との間には弾性部材30が設けられているため、仮に、アルミニウム基材が変形してもアルミニウム基材と電極10との接触を確実にすることができる。
図2に、電極構造100Aの取り付けられたアルミニウム基材aLの模式図を示す。アルミニウム基材aLは円筒状または円柱状であり、電極構造100はアルミニウム基材aLの外側表面に取り付けられる。アルミニウム基材aLの外径は約308mmであり、母線の長さは500mmである。
詳細は後述するが、アルミニウム基材aLはバルクのアルミニウムであってもよい。あるいは、アルミニウム基材aLは積層構造の最表面にアルミニウム膜の設けられた構成であってもよい。例えば、アルミニウム基材aLは円筒状または円柱状の支持体の外側表面にアルミニウム膜の設けられた構成であってもよい。この場合、絶縁性の支持体の上にアルミニウム膜が形成されてもよく、あるいは、導電性の支持体の上に絶縁層を介してアルミニウム膜が形成されてもよい。
ここでは、アルミニウム基材aLの両端に2つの電極構造100A1、100A2が設けられている。電極構造100A1、100A2は互いに同様の構成を有している。電極構造100A1はアルミニウム基材aLの一方の端部に設けられており、電極構造100A2はアルミニウム基材aLの他方の端部に設けられている。本明細書において、電極構造100A1、100A2をそれぞれ第1電極構造100A1、第2電極構造100A2と呼ぶことがある。
詳細は後述するが、このように電極構造100Aの取り付けられたアルミニウム基材aLに対して陽極酸化を行うことにより、円筒状の陽極酸化層を形成できる。なお、アルミニウム基材aLのうち電極構造100A1、100A2の取り付けられた部分では他の部分と同様には陽極酸化されないため、電極構造100A1、100A2の幅は短いことが好ましい。
円筒状の陽極酸化層は型として好適に用いられる。例えば、円筒状の陽極酸化層を型として用いてロール・ツー・ロール方式で転写を行うことができる。なお、ここでいう「型」は、種々の加工方法(スタンピングやキャスティング)に用いられる型を包含し、スタンパということもある。また、この「型」は印刷(ナノプリントを含む)にも用いられ得る。
以下、図3を参照して電極構造100Aの構成を具体的に説明する。図3(a)は電極構造100Aの電極部100aにおける電極10とリード線40との接続部分付近の模式図であり、図3(b)は図1(a)の3b−3b’線付近を拡大した模式図である。
図3(a)に示すように、電極10は、アルミニウム基材aLと接触する接触領域12と、接触領域12に接続された接続領域14とを有している。電極10の接触領域12はアルミニウム基材aL(図3には図示せず)の表面と接触する。ここでは、固定部材20には開口部20aが設けられており、電極10の接続領域14は、固定部材20の開口部20aを介して接触領域12と電気的に接続されている。
上述したように、電極10はアルミニウムを有している。電極10として、例えば、純度99.85%以上のアルミニウム合金(いわゆる、1085)が用いられてもよい。電極10の接触領域12および接続領域14は連続していることが好ましく、電極10は折り曲げられたアルミニウム膜であってもよい。例えば、電極10はいわゆるアルミホイルを折り曲げたものであってもよい。例えば、アルミホイルの厚さは0.2mm以下である。一般的なアルミニウム板には切削痕が残っていることがあり、切削痕に起因してアルミニウム板はアルミニウム基材aLと充分に接触しないことがある。しかしながら、アルミホイルを用いることにより、アルミニウム基材aLとの接触をより確実に行うことができる。
リード線40は接続領域14と電気的に接続されている。例えば、リード線40は接続領域14とボルト(ビス)およびナットで固定されてもよく、リード線40は接続領域14において接着剤で固定されてもよい。または、リード線40が接続領域14と直接接触するように絶縁部材で挟み込まれてよい。あるいは、リード線40は別の導電部材を介して電極10と電気的に接続されてもよい。
カバー部材50は、電極10とリード線40とが電気的に接続する部分を覆う。カバー部材50は、例えばポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride:PVC)から形成される。カバー部材50は、透明、絶縁性および耐薬品性等の特性を有することが好ましい。ここでは、カバー部材50には開口部50aが設けられており、カバー部材50は、リード線40がカバー部材50の開口部50aを介して外部から内部に貫通した状態で密閉されている。開口部50aにはゴム栓52が設けられている。
図3(b)に示すように、電極構造100Aでは、弾性部材30は電極10(接触領域12)と固定部材20との間に配置される。このため、弾性部材30はアルミニウム基材aLと固定部材20との間に配置されている。ここでは、弾性部材30は、2つのOリング32a、32bとの間に配置されている。例えば、弾性部材30の厚さは3.5mm、幅は30mmであり、Oリング32a、32bの直径は4mmである。
なお、ここでは、電極部100aの構成を説明したが、電極部100bも同様の構成を有している。
図4に、電極構造100Aの模式図を示す。電極部100a、100bは、例えばねじ110で固定される。例えば、電極部100a、100bは、ボルトおよびナットを用いて、円筒状または円柱状の外側表面と対応する内側表面を形成するように、組み立てられる。なお、本明細書において、電極部100a、100bをそれぞれ第1電極部100a、第2電極部100bと呼ぶことがある。
電極部100a、100bのそれぞれには2つの電極10が設けられている。電極部100aには2つの電極10a、10bが設けられており、電極部100bには2つの電極10c、10dが設けられている。電極10a、10b、10c、10dは互いに分離可能である。電極部100aにおいて電極10a、10bの一部が固定部材20の開口部20aを貫通している。同様に、電極部100bにおいて電極10c、10dの一部が固定部材20の開口部20aを貫通している。
電極構造100Aでは、電極10a、10b、10c、10dのそれぞれの接触領域12を組み合わせたものもほぼ円筒形状を有しており、これをy方向からみるとほぼ環状である。同様に、電極部100a、100bのそれぞれの固定部材20を組み合わせたものもほぼ円筒形状を有しており、これをy方向からみるとほぼ環状である。また、電極部100a、100bのそれぞれの弾性部材30を組み合わせたものも、一部に開口部が設けられているが、ほぼ円筒形状を有しており、これをy方向からみるとほぼ環状である。
なお、電極10a、10b、10c、10dのそれぞれの接触領域12を組み合わせた円筒の内径は円筒状のアルミニウム基材の外径よりもわずかに大きい。電極構造100Aをアルミニウム基材aLに取り付けることによって電極10a、10b、10c、10dの接触領域12は円筒状または円柱状のアルミニウム基材aLの外側表面と接触する。
このように電極構造100Aでは、電極10a、10b、10c、10dの接触領域12は全体で円筒形状を構成しており、電極10a、10b、10c、10dの接触領域12の内側表面は、アルミニウム基材aLの外側表面と確実に接触するように弾性部材30を介して固定部材20で固定されている。このため、アルミニウム基材の外側表面が円筒状または円柱状であっても、さらには、アルミニウム基材aLの表面が多少変形したとしても、電極10a、10b、10c、10dの接触領域12とアルミニウム基材aLとの接触を確実に行うことができる。
電極構造100Aの取り付けられたアルミニウム基材aLに対して陽極酸化が行われる。なお、後述するように、このアルミニウム基材aLに対して陽極酸化だけでなくエッチングが行われてもよく、陽極酸化およびエッチングはそれぞれ複数回行われてもよい。また、アルミニウム基材の支持体は、円筒状および円柱状のいずれであってもよい。ただし、同様の材料の支持体を比較すると、円筒状の支持体は円柱状の支持体よりも軽く、取扱いが容易である。アルミニウム基材aLが円筒状の場合、アルミニウム基材aLは以下のように保持されることが好ましい。
以下、アルミニウム基材aLを保持する基材保持装置200を説明する。図5に、基材保持装置200の模式図を示す。基材保持装置200は、円筒状のアルミニウム基材aLの外側表面に取り付けられた電極構造100A(100A1、100A2)と、円筒状のアルミニウム基材aLの内側表面を支持する支持部材210とを備えている。
ここで、図6〜図8を参照して支持部材210を説明する。図6に、電極構造100Aの取り付けられた円筒状のアルミニウム基材aL、および、このアルミニウム基材aLと組み立て前の支持部材210の模式図を示す。支持部材210は円盤状の部材を有している。
支持部材210は、アルミニウム基材aLを介して電極構造100Aと対向する電極対向支持部材212と、電極構造100Aと対向することなくアルミニウム基材aLを支持する電極非対向支持部材214とを含む。ここでは、電極対向支持部材212および電極非対向支持部材214は、それぞれほぼ円盤形状を有している。なお、本明細書において、電極対向支持部材212および電極非対向支持部材214をそれぞれ、単に、支持部材212および支持部材214と呼ぶことがある。支持部材212、214はそれぞれ樹脂から形成される。
ここでは、支持部材212、214は共通のシャフト230aに取り付けられている。また、支持部材212には、その中心から外側に延びるシャフト230bが取り付けられていることが好ましい。
上述したように、アルミニウム基材aLには2つの電極構造100A1、100A2が取り付けられる。支持部材212は、電極構造100A1、100A2とそれぞれ対向する支持部材212a、212bを有している。支持部材212aはアルミニウム基材aLを介して電極構造100A1と対向しており、支持部材212bはアルミニウム基材aLを介して電極構造100A2と対向している。なお、本明細書において、電極対向支持部材212a、212bをそれぞれ第1電極対向支持部材212a、第2電極対向支持部材212bと呼ぶことがある。支持部材214は2つの支持部材212a、212bの間に配置される。
図7(a)および図7(b)に支持部材214の模式図を示す。図7(a)はy方向から見た支持部材214の模式図であり、図7(b)はx方向から見た支持部材214の模式図である。なお、支持部材214にはシャフト230aの貫通する孔214sが設けられている。
作製の容易性の観点から、支持部材214の直径の値は一定であり、また、支持部材214は+y方向および−y方向から見た場合の円の直径はほぼ等しいことが好ましい。この場合、支持部材214の直径はアルミニウム基材aLの内径よりも若干小さい。
なお、支持部材214の直径は一定でなくてもよい。y方向からみて支持部材214は厳密な円でなくてもよい。この場合でも、支持部材214の直径の最大値はアルミニウム基材aLの内径よりも若干小さい。例えば、アルミニウム基材aLの内径が300mmである場合、支持部材214の直径の最大値は299.8mmである。
図8(a)および図8(b)に支持部材212aの模式図を示す。図8(a)はy方向から見た支持部材212aの模式図であり、図8(b)はx方向から見た支持部材212aの模式図である。支持部材212aにもシャフト230aの取り付けられる穴212sが設けられている。なお、ここでは図示していないが、支持部材212aの図8(a)に示した面とは反対の面にはシャフト230bの取り付けられる穴が設けられている。
支持部材212aは+y方向および−y方向から見た場合の円の直径は異なる。より長い直径(すなわち、支持部材212aの直径の最大値)は、アルミニウム基材aLの内径よりも大きく、より短い直径(すなわち、支持部材212aの直径の最小値)は、アルミニウム基材aLの内径よりも小さい。例えば、アルミニウム基材aLの内径が300mmである場合、支持部材212aの直径の最小値は299.8mmであり、支持部材212aの直径の最大値は300.2mmである。
例えば、図8(b)に示すように、支持部材212aの外周面には段差が設けられている。あるいは、支持部材212aは、内側に外側から向かってその直径が徐々に長くなるように加工されていてもよい。このように、支持部材212aは、その少なくとも一部の直径がアルミニウム基材aLの内径よりもわずかに大きい形状を有していることが好ましい。支持部材212aの直径の小さな面は、支持部材214と対向するように配置されており、支持部材212aの一部はアルミニウム基材aLの内側に入らない。
また、支持部材212aは、アルミニウム基材aLを介して電極構造100A1と対向する。電極構造100Aを取り付ける際の支持部材212aの変形を抑制するために、支持部材212aの幅はある程度広いことが好ましい。例えば、支持部材212aの幅(x方向からみた長さ)は支持部材214よりも広いことが好ましい。なお、ここでは、支持部材212aの構成を説明したが、支持部材212bも支持部材212aと同様の構成を有している。
例えば、支持部材210は以下のように取り付けられる。支持部材212a、212bの一方を取り外した状態の支持部材210をアルミニウム基材aLの内側表面内で移動させて、先に取り外した支持部材212a、212bを再び取り付ける。なお、支持部材210に対するアルミニウム基材aLの取り付けおよび取り外しを円滑にするために、支持部材212、214の一部に切欠部を設け、この切欠部を利用してエア抜きを行ってもよい。あるいは、冷却によってアルミニウム基材aLの体積を減少させた状態で支持部材210にアルミニウム基材aLを取り付けてもよい。
なお、支持部材212、214はシャフト230aに金具(例えば、Cリング)を用いて取り付けられていることが好ましい。この場合、支持部材210に取り付けられるアルミニウム基材aLの長さが異なっても、シャフト230aに取り付けられる支持部材212、214の位置をスライドさせることができる。
図9(a)および図9(b)に示すように、支持部材212および支持部材214のそれぞれには、シャフト230a、230bのための穴214sおよび孔212sとは別に、開口部212o、214oが設けられることが好ましい。一般に、陽極酸化によって熱が発生し、また、陽極酸化速度は温度に応じて変化する。電解液が支持部材212および支持部材214に設けられた開口部212o、214oを通過して流れることにより、アルミニウム基材aLから発生する熱に起因する温度ムラを抑制することができ、結果として、陽極酸化を均一に行うことができる。
上述した基材保持装置200は、下記の陽極酸化処理装置に好適に用いられる。
以下、図10を参照して本実施形態の陽極酸化処理装置300を説明する。陽極酸化処理装置300は、図5〜図9を参照して上述した基材保持装置200と、陽極電線310と、陰極電線320と、電極構造330と、陰極電線320および電極構造330を電気的に接続するリード線340と、陽極酸化槽350とを備えている。電極構造100A1、100A2のリード線40は、陽極電線310と電気的に接続されている。このため、アルミニウム基材aLの外側表面に取り付けられた電極構造100A1、100A2は陽極酸化のための陽極として利用され、電極構造330は、陽極酸化のための陰極として利用される。なお、上述したように、アルミニウム基材aLは円筒状であり、その内部は支持部材210で支持されてもよい。ただし、アルミニウム基材aLは円柱形状であってもよい。
電極構造330はアルミニウム基材aLの周囲に同心円状に設けられている。電極構造330は、複数の線状部332と、複数の線状部332の両端と接触する接続部334とを有している。線状部332および接続部334は、例えばステンレス鋼から形成される。
電極構造330は、ほぼ円筒状またはほぼ円柱状のアルミニウム基材aLとの最短距離がほぼ一定となるように同心円状に設けられている。各線状部332はアルミニウム基材aLの母線と平行に設けられている。例えば、アルミニウム基材aLの直径が150mmの場合、幅40mmの線状部332は、アルミニウム基材aLの表面から78.7mmの距離でアルミニウム基材aLの周囲に12個配置される。
陽極酸化槽350には電解液が溜められている。例えば、電解液は、濃度0.3質量%のシュウ酸である。電極構造100Aの取り付けられたアルミニウム基材aLおよび電極構造330の全体は電解液に浸漬している。例えば、アルミニウム基材aLは、その母線が電解液の界面と平行になるように浸漬されている。
陽極酸化を行う場合、陽極電線310と陰極電線320との間に8Vの電圧を印加する。このとき、隣接する線状部332が互いに分離されているため、電解液の循環が促進される。なお、ここでは図示していないが、線状部332および接続部334のそれぞれには布がかぶせられている。このようなマスキングにより、電極構造330において発生する水素の泡に起因する電解液の流れのムラを抑制できる。
なお、電極構造330は容易に分離可能な構成であってもよい。
図11(a)に示すように、電極構造330は、下部分330aおよび上部分330bを有しており、下部分330aは図示されない支持部材に支持されている。その後、電極構造100A1、100A2の取り付けられたアルミニウム基材aLを設置する。
図11(b)に示すように、上部分330bを下部分330aと組み合わせる。上部分330bは下部分330aとねじで組み立てられる。アルミニウム基材aLと電極構造330との距離は陽極酸化層の特性に大きく影響するため、電解液内でアルミニウム基材aLと電極構造330との距離が変動しないことが好ましい。例えば、電極構造330は ステンレス鋼(Stainless Used Steel:SUS)から形成され、軽量化のために、電極構造330は比較的薄いことが好ましい。また、電解液内の揺らぎの発生を抑制するために、電極構造330はL字形状またはC字形状の部品から形成されることが好ましい。このように電極構造330を組み立て可能とすることにより、アルミニウム基材aLの陽極酸化処理装置300への設置を容易にすることができる。
上述したように、アルミニウム基材aLはバルクのアルミニウムであってもよい。あるいは、アルミニウム基材aLは積層構造の最表面にアルミニウム膜の設けられた構成であってあってもよい。
以下、図12を参照してアルミニウム基材aLの一例を説明する。ここでは、アルミニウム基材aLは、円筒状の支持体21と、絶縁層22と、無機下地層23と、緩衝層24と、アルミニウム膜25とを有している。なお、無機下地層23および緩衝層24の少なくとも一方は省略されてもよい。
支持体21として、円筒状の金属管を用いてもよく、または、メタルスリーブを用いてもよい。支持体21として、円筒状の金属管を用いる場合、例えば、厚さ1.0mm以上である金属製の円筒が支持体21として用いられる。円筒状の金属管としては、例えば、アルミニウム製の管やステンレス鋼(例えば、JIS規格SUS304)製の管を用いることができる。
また、支持体21として、メタルスリーブを用いる場合、厚さが0.02mm以上1.0mm以下である金属製の円筒が用いられる。メタルスリーブとしては、例えば、ニッケル、ステンレス鋼、チタンのいずれか、またはこれらのうちの少なくとも1つを含む合金で形成されたメタルスリーブを用いることができる。支持体21として、メタルスリーブを用いる場合、メタルスリーブは比較的軽いため、取り扱いが容易である。
絶縁層22は、支持体21の外周面上に形成される。絶縁層22は、例えば有機絶縁層である。有機絶縁層の材料として、例えば樹脂が用いられる。支持体21の外周面上に、硬化性樹脂を付与することによって硬化性樹脂層を形成し、その後、硬化性樹脂を硬化させることにより、支持体21の外周面上に有機絶縁層を形成する。
硬化性樹脂層は、例えば、電着法により形成することができる。電着法として公知の電着塗装方法を用いることができる。例えば、まず、支持体21を洗浄し、次に、支持体21を、電着樹脂を含む電着液が貯留された電着槽に浸漬する。電着槽には、電極が設置されている。
例えば、カチオン電着によって硬化性樹脂層を形成するときは、支持体21を陰極とし、電着槽内に設置された電極を陽極として、支持体21と陽極との間に電流を流し、支持体21の外周面上に電着樹脂を析出させることによって、硬化性樹脂層を形成する。あるいは、アニオン電着によって硬化性樹脂層を形成するときは、支持体21を陽極とし、電着槽内に設置された電極を陰極として電流を流すことにより硬化性樹脂層を形成する。その後、洗浄工程、焼付工程等を行うことにより、有機絶縁層が形成される。電着樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、またはこれらの混合物を用いることができる。
硬化性樹脂層を形成する方法としては、電着法以外に、例えば、吹き付け塗装を用いることができる。ウレタン系の樹脂やポリアミック酸を用いて、スプレーコート法や静電塗装法により、支持体21の外周面上に硬化性樹脂層を形成することができる。ウレタン系の樹脂としては、例えば、日本ペイント株式会社製のウレトップを用いることができる。
上記以外にも、例えば、ディップコート法やロールコート法を用いてもよい。硬化性樹脂として、熱硬化性のポリアミック酸を用いた場合、ポリアミック酸をディップコート法により塗布して硬化性樹脂層を形成した後、ポリアミック酸を300℃程度に加熱することにより、有機絶縁層を形成する。ポリアミック酸は、例えば日立化成工業株式会社から入手できる。
支持体21の外周面上に絶縁層22を設けることにより、支持体21と、絶縁層22の上に形成されるアルミニウム膜25との間が絶縁される。
なお、支持体とアルミニウム膜との間の絶縁が不十分であると、後述する、陽極酸化工程とエッチング工程とを繰り返すモスアイ用型の製造工程において、エッチングを行ったときに、支持体とアルミニウム膜との間に局所電池反応が生じることにより、アルミニウム膜に直径1μm程度の窪みが形成されることがある。また、支持体とアルミニウム膜との間の絶縁が不十分であると、後述する陽極酸化工程において、支持体にも電流が流れることがある。支持体に電流が流れると、支持体およびアルミニウム膜を含む基材全体として過剰な電流が流れることとなるので、安全性の観点から好ましくない。
絶縁層22は、無機絶縁層であってもよい。無機絶縁層の材料としては、例えばSiO2またはTa25を用いることができる。なお、有機絶縁層は、無機絶縁層に比べ、絶縁層上に形成されるアルミニウム膜の表面の鏡面性を高くすることができる。このように、絶縁層上に形成されるアルミニウム膜の表面の鏡面性が高いと、後に形成されるポーラスアルミナ層の表面の平坦性を高くできる。
絶縁層22の上にアルミニウム膜25が形成される。例えば、アルミニウム膜25は、アルミニウムの堆積によって形成される。アルミニウム膜25は例えば、スパッタ法で形成される。アルミニウム膜25は、高純度のアルミニウムターゲットから形成されることが好ましい。例えば、アルミニウム膜25は4N以上のアルミニウムターゲットから形成されることが好ましい。なお、アルミニウム膜25は、例えば、外周面上に絶縁層22が形成された支持体21を回転させながら、アルミニウムを蒸着させることによって形成してもよい。
絶縁層22として有機絶縁層を設ける場合、絶縁性の観点から、有機絶縁層の厚さは例えば7μm以上であることが好ましい。また、絶縁層22として有機絶縁層を設ける場合、有機絶縁層の表面をプラズマアッシングで処理することが好ましい。プラズマアッシングを行うことにより、有機絶縁層と、有機絶縁層の上に形成されるアルミニウム膜25との密着性を向上させることができる。
なお、絶縁層22として有機絶縁層を設ける場合、有機絶縁層とアルミニウム膜25との間に、無機酸化物を含む無機下地層23を形成することが好ましい。無機下地層23を設けることにより、有機絶縁層22とアルミニウム膜25との密着性を向上させることができる。無機下地層23は、例えば、酸化シリコンまたは酸化チタンから形成されることが好ましい。あるいは、無機下地層23は、無機窒化物から形成されてもよい。例えば、無機下地層23は、窒化シリコンから形成されてもよい。
無機下地層23は、スパッタリング法で作製することができる。例えば、DCリアクティブスパッタ法やRFスパッタ法で作製することができる。無機下地層23の厚さは、500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがさらに好ましい。また、アルミニウム膜25の密着性の観点から、無機下地層23の厚さは50nm以上であることが好ましい。スパッタリング法で形成する場合、密着性の観点から、無機下地層23内に形成されるピンホールの数は少ないことが好ましく、ピンホール抑制の観点から、無機下地層23の厚さは70nm以上であることが好ましい。
なお、無機下地層23の上には、アルミニウムを含有する緩衝層24を形成することが好ましい。緩衝層24は、無機下地層23とアルミニウム膜25との接着性を向上させるように作用する。また、緩衝層24は、無機下地層23を酸から保護する。
緩衝層24は、アルミニウムと、酸素または窒素とを含むことが好ましい。酸素または窒素の含有率は一定であってもよいが、特に、アルミニウムの含有率が無機下地層23側よりもアルミニウム膜25側において高いプロファイルを有することが好ましい。熱膨張係数などの物性値の整合に優れるからである。
緩衝層24内のアルミニウムの含有率の厚さ方向におけるプロファイルは、段階的に変化してもよいし、連続的に変化してもよい。例えば、緩衝層24をアルミニウムと酸素とで形成する場合、アルミニウム膜25に近い層ほど酸素含有率が漸次低下するように複数の酸化アルミニウム層を形成し、最上層の上にアルミニウム膜25を形成する。言い換えると、アルミニウムの含有率が、無機下地層23側よりもアルミニウム膜25側で高いプロファイルを有するように、複数の酸化アルミニウム層を形成する。
アルミニウム膜25に近い層ほど酸素含有率が漸次低下するように複数の酸化アルミニウム層を形成することにより、アルミニウム膜25に近い層ほど熱膨張係数を高くすることができ、アルミニウム膜25に近い層ほど熱膨張係数をアルミニウム膜25の熱膨張係数に近付けることができる。その結果、比較的低温の陽極酸化と比較的高温のエッチングを繰り返すことで生じる熱応力に強く、密着性の高いアルミニウム膜25を形成することができる。
緩衝層24は、例えば、以下の(1)−(3)の3つの方法を用いて形成することができる。
(1)ArガスとO2ガスとの混合ガスと、酸素元素を含むAlターゲットとを用いて、反応性スパッタリング法によって成膜する。このとき、ターゲット中の酸素含有率は1at%以上40at%以下の範囲内にあることが好ましい。ターゲット中の酸素含有率が1at%未満であるとターゲットに酸素を含有させた効果が無く、40at%を超えるとO2ガスを用いる必要が無い。
(2)スパッタガスとして純Arガスと、酸素元素を含むAlターゲットとを用いて反応性スパッタリング法によって成膜する。このとき、ターゲット中の酸素含有率は5at%以上60at%以下の範囲内にあることが好ましい。ターゲット中の酸素含有率が5at%未満であると成膜する酸化アルミニウム層に十分な量の酸素を含有させることができないことがあり、60at%を超えると成膜する酸化アルミニウム層に含まれる酸素元素の含有率が高くなり過ぎることがある。無機下地層側の酸化アルミニウム層に含まれる酸素元素の含有率が60at%を超えると、無機下地層(SiO2)と酸化アルミニウム層との接着性が低下することがある。
(3)純Alターゲットを用いて反応性スパッタリング法によって成膜する。このとき、スパッタリングに用いる混合ガスのArガスとO2ガスとの流量比を2:0超2:1以下程度とする。ArガスとO2ガスとの流量比が2:1を超えると、成膜する酸化アルミニウム層に含まれる酸素元素の含有率が高くなり過ぎることがある。
なお、緩衝層24は、単一の酸化アルミニウム層から構成されてもよい。また、アルミニウムと窒素とを含む緩衝層24も上記と同様に形成することができる。また、緩衝層24の厚さは、生産性の観点から、1μm以下であることが好ましい。
以下、図1〜図4、図10および図13を参照して本実施形態の陽極酸化層の形成方法を説明する。図13は、アルミニウム基材aLの一部の表面を拡大して示している。
図13(a)に示すように、アルミニウム基材aLを用意する。上述したように、アルミニウム基材aLはバルクのアルミニウム基材であってもよく、あるいは、支持体の上にアルミニウム膜の設けられたものであってもよい。例えば、アルミニウム基材aLは図12に示した構成を有していてもよい。
図2に示したように、このアルミニウム基材aLに、電極構造100A1、100A2を取り付ける。電極構造100A1、100A2のそれぞれは、図1および図4を参照して上述したように、アルミニウム基材aLの表面と接触する電極10と、アルミニウム基材aLの表面に対して電極10を固定する固定部材20と、固定部材20とアルミニウム基材aLとの間に配置される弾性部材30と、電極10と電気的に接続されるリード線40と、リード線40がカバー部材50の開口部50aを貫通した状態で密閉されたカバー部材50とを備えている。図1〜図4を参照して上述したように、電極構造100A1、100A2が2つの電極部100a、100bから構成される場合、電極部100a、100bをそれぞれアルミニウム基材aLに取り付けて電極部100a、100bの接続部分がねじ110で固定される。
図13(b)に示すように、アルミニウム基材aLを電解液に浸漬させた状態で陽極酸化を行う。陽極酸化は、例えば、図10を参照して上述した陽極酸化装置300において行われる。このとき、カバー部材50が電解液に対して電極10とリード線40との接続部分を密閉していることにより、リード線40の溶解を抑制することができる。
陽極酸化により、アルミニウム基材aLの表面に、複数の細孔aq(微細な凹部)を有するポーラスアルミナ層apが形成される。ポーラスアルミナ層apは、細孔aqを有するポーラス層と、バリア層とを有している。陽極酸化は、例えば、酸性の電解液中で行われる。電解液は、例えば、蓚酸、酒石酸、燐酸、クロム酸、クエン酸、リンゴ酸からなる群から選択される酸を含む水溶液である。以上のようにして陽極酸化層anが形成される。
図14に、陽極酸化層anの模式的な断面図を示す。陽極酸化層anの表面にはポーラスアルミナ層apが設けられている。ここでは、細孔aqはほぼ円柱形状である。
なお、陽極酸化条件(例えば、電解液の種類、印加電圧)を調整することにより、細孔間隔、細孔の深さ、細孔のサイズ等を調節できる。また、ポーラスアルミナ層の厚さも適宜調整され得る。アルミニウム基材aLの表面が所定の厚さのアルミニウム膜を有する場合、そのアルミニウム膜を完全に陽極酸化してもよい。このようにして、アルミニウム基材aLの表面に陽極酸化層anが形成される。陽極酸化層anは型として用いてよい。陽極酸化層anを型として用いることにより、表面積の増大を簡便に行うことができる。例えば、陽極酸化層anは、放熱素子、熱電素子などの作製に好適に用いられる。
なお、必要に応じてエッチングを行ってもよい。例えば、陽極酸化だけでなくエッチングを行うことにより、アルミニウム基材aLの表面に形成される微細な凹部の形状を変化させることができる。
図15に、エッチング処理装置400を示す。エッチング処理装置400は、エッチング液の溜められたエッチング槽410を備えている。エッチングを行う場合、エッチング槽410にアルミニウム基材aLが浸漬される。
なお、上述した陽極酸化は、電極構造100Aの取り付けられたアルミニウム基材aLに対して行われるが、カバー部材50により、電極10とリード線40との接続部分への電解液の侵入が抑制される。同様に、エッチングも、電極構造100Aの取り付けられたアルミニウム基材aLに対して行われてもよい。特に、陽極酸化およびエッチングを繰り返し行う場合には、効率性の観点から、陽極酸化において用いられる電極構造100Aを取り外すことなくエッチングを行うことが好ましい。また、陽極酸化において上述したように円筒状のアルミニウム基材aLを内側から支持する支持部材210を用いる場合、コストおよび処理時間短縮の観点から、アルミニウム基材aLから支持部材210を取り外すことなくエッチングが行われることが好ましい。
以下、図16を参照して、陽極酸化工程だけでなくエッチング工程を含む陽極酸化層の形成工程を説明する。図16(a)〜図16(e)は、アルミニウム基材および陽極酸化層の表面近傍を拡大した模式図である。
まず、図16(a)に示すように、アルミニウム基材aLを用意する。上述したように、このアルミニウム基材aLには電極構造100Aが取り付けられている。
図16(b)に示すように、アルミニウム基材aLの表面asを陽極酸化することによって複数の細孔aq(微細な凹部)を有するポーラスアルミナ層apを形成する。ポーラスアルミナ層apは、細孔aqを有するポーラス層と、バリア層とを有している。陽極酸化は、例えば、陽極酸化処理装置300(図10)で行われる。
陽極酸化は、例えば、酸性の電解液中で行われる。電解液は、例えば、蓚酸、酒石酸、燐酸、クロム酸、クエン酸、リンゴ酸からなる群から選択される酸を含む水溶液である。例えば、アルミニウム基材aLの表面asを、蓚酸水溶液(濃度0.3wt%、液温18℃)を用いて、印加電圧80Vで37秒間陽極酸化を行うことにより、ポーラスアルミナ層apを形成する。陽極酸化条件(例えば、電解液の種類、印加電圧)を調整することにより、細孔間隔、細孔の深さ、細孔の形状等を調節できる。なお、ポーラスアルミナ層の厚さは適宜変更され得る。アルミニウム基材aLの表面が所定の厚さのアルミニウム膜を有する場合、そのアルミニウム膜を完全に陽極酸化してもよい。
図16(c)に示すように、ポーラスアルミナ層apをアルミナのエッチャントに接触させてエッチングすることにより、細孔aqの孔径を拡大する。ここで、ウェットエッチングを採用することによって、細孔壁およびバリア層をほぼ等方的にエッチングすることができる。エッチングは、例えば、エッチング処理装置400(図15)で行われる。
エッチング液の種類・濃度、およびエッチング時間を調整することによって、エッチング量(すなわち、細孔aqの大きさおよび深さ)を制御することができる。エッチング液としては、例えば10質量%の燐酸や、蟻酸、酢酸、クエン酸などの有機酸の水溶液やクロム燐酸混合水溶液を用いることができる。例えば、燐酸(濃度1mol/L、液温30℃)を用いて29分間エッチングを行うことにより、細孔aqを拡大する。
なお、必要に応じて、図16(d)に示すように、アルミウム基材aLの表面を再び陽極酸化してもよい。この場合、細孔aqが深さ方向に成長するとともにポーラスアルミナ層apが厚くなる。ここで細孔aqの成長は、既に形成されている細孔aqの底部から始まるので、細孔aqの側面は階段状になる。例えば、この陽極酸化も同じ陽極酸化処理装置300(図10)で行ってもよい。
また、必要に応じて、ポーラスアルミナ層apをアルミナのエッチャントに接触させることによってさらにエッチングすることにより細孔aqの孔径をさらに拡大する。ここでもエッチングは、同じエッチング処理装置400(図15参照)で行ってもよい。
このように、上述した陽極酸化工程およびエッチング工程を繰り返すことによって、図16(e)に示すように、所望の凹凸形状を有するポーラスアルミナ層apを有する陽極酸化層anが得られる。なお、陽極酸化工程およびエッチング工程を繰り返し行う場合(すなわち、陽極酸化工程を少なくとも2回行う場合)、最後に、陽極酸化を行うことが好ましい。陽極酸化層anの凹部aqは深い部分ほど狭くなる形状を有している。このようにして、反転されたモスアイ構造の設けられた陽極酸化層anが形成される。このような陽極酸化層anは、例えば、反射防止材のモスアイ構造を実現するための型として好適に用いられる。
図17に、陽極酸化層anの模式的な断面図を示す。図17に示すように、陽極酸化層anの表面にはポーラスアルミナ層apが設けられている。ここでは、細孔aqは深い部分ほど狭くなる尖状形状を有している。
以上のようにして円筒状の陽極酸化層anが形成される。上述したように、図14または図17に示した陽極酸化層anは、ロール・ツー・ロール方式で転写を行う型として用いられる。なお、円筒状のアルミニウム基材aLの表面に陽極酸化層anを形成した場合、転写時に、陽極酸化層anの設けられたアルミニウム基材aLのみを用いると、剛性や真円度の低さに起因して充分な転写が行われないことがある。この場合には、円筒状のアルミニウム基材aLの内部にコア材を挿入することにより、陽極酸化層anの剛性や真円度を改善することができる。例えば、コア材として、図5〜図8を参照して上述した支持部材210を用いてもよい。
以下、図18を参照して、陽極酸化層anを用いた転写を説明する。ここでは、図17に示した陽極酸化層anを用いている。紫外線硬化樹脂510が表面に付与された被加工物520を、陽極酸化層anに押し付けた状態で、紫外線硬化樹脂510に紫外線(UV)を照射することによって紫外線硬化樹脂510を硬化する。紫外線硬化樹脂510としては、例えばアクリル系樹脂を用いることができる。被加工物520は、例えば、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムである。被加工物520は巻き出しローラ(図示せず)から巻き出され、その後、表面に、例えばスリットコータ等により紫外線硬化樹脂510が付与される。被加工物520は、支持ローラ532および534によって支持されている。支持ローラ532および534は、回転機構を有し、被加工物520を搬送する。また、円筒状の陽極酸化層anは、被加工物520の搬送速度に対応する回転速度で回転される。
その後、被加工物520から陽極酸化層anを分離することによって、陽極酸化層anの凹凸構造(反転されたモスアイ構造)が転写された硬化物層510’が被加工物520の表面に形成される。表面に硬化物層510’が形成された被加工物520は巻き取りローラによって巻き取られる。
なお、上述したように、陽極酸化およびエッチングにおいてアルミニウム基材aLに取り付けられた電極構造100Aを取り外さない場合、基材保持装置200を搬送することが好ましい。同様に、陽極酸化およびエッチングにおいて必要に応じて設けられた支持部材210を取り外さない場合、基材保持装置200を搬送することが好ましい。
以下、図19を参照して搬送部材600を説明する。搬送部材600は、基材保持装置200と、上に基材保持装置200の設けられた底面部610とを備えている。また、搬送部材600は、底面部610と連結されて基材保持装置200を囲む枠部材620をさらに備えてもよい。例えば、枠部材620の上方に設けられたフック622に棒をひっかけ、クレーン等を用いてこの棒とともに搬送部材600を持ち上げて移動させることにより、搬送部材600の搬送を行ってもよい。
また、搬送部材600は図10および図11に示した電極構造330またはその下部分330aをさらに備えてもよく、その場合、電極構造330またはその下部分330aは、図示しない支持構造を介して底面部610に取り付けられている。
陽極酸化が行われる場合、搬送部材600は、図10を参照して上述した陽極酸化処理装置300の陽極酸化槽350内に搬送され、陽極酸化処理装置300に設置される。この場合、底面部610または枠部材620は陰極電線320と電気的に接続されていてもよい。
エッチングが行われる場合、搬送部材600は、図15を参照して上述したエッチング処理装置400のエッチング槽410内に搬送され、エッチング処理装置400に設置される。このように、搬送部材600は、陽極酸化処理装置300およびエッチング処理装置400の一部として用いられてもよい。なお、エッチング処理装置400に搬送する場合、搬送部材600は図10および図11に示した電極構造330またはその上部分330bを取り外した状態で搬送されてもよい。
なお、上述した説明では、電極構造100Aは2つの電極部100a、100bから構成されたが、本発明の実施形態はこれに限定されない。電極構造100Aは3以上の電極部から構成されてもよい。例えば、電極構造100Aは4つの電極部から構成されてもよい。あるいは、図20に示すように、電極構造100Aは1つの電極部から構成されてもよい。
なお、上述した説明では、陽極酸化工程およびエッチング工程において円筒状または円柱状のアルミニウム基材aLは、その母線が重力方向と直交するように配置されたが、本発明の実施形態はこれに限定されない。円筒状または円柱状のアルミニウム基材aLは、その母線が重力方向と平行に配置されてもよい。この場合、アルミニウム基材aLには1つの電極構造100Aが取り付けられることが好ましい。例えば、電極構造100Aは、アルミニウム基材aLの上部に取り付けられる。
(実施形態2)
上述した説明では、電極10およびリード線40は常に電気的に接続されていたが、本発明の実施形態はこれに限定されない。電極10およびリード線40の導通および絶縁は条件に応じて切り換えられてもよい。
以下、図21および図22を参照して本発明による電極構造の第2実施形態を説明する。図21は、本実施形態の電極構造100Bをy方向から見た模式的な断面図であり、図22は電極構造100Bの一部を拡大した模式図である。本実施形態の電極構造100Bは、電極とリード線との電気的な接続が切換可能である点を除いて上述した電極構造100Aと同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する説明を省略する。
ここでも、電極構造100Bは電極部100a、100bから構成されており、電極部100a、100bのそれぞれは、電極10と、固定部材20と、弾性部材30と、リード線40と、カバー部材50とを備えている。リード線40はある条件下において電極10と電気的に接続されているが、別の条件下において電極10から絶縁される。電極構造100Bでは、電極部100a、100bのそれぞれは、カバー部材50においてねじ切られたねじ切り部72と、ねじ切り部72と螺合する絶縁性のねじ74と、カバー部材50の内部においてリード線40と電気的に接続された導電部材76と、ねじ74の先端を支持する導電部材76に設けられたベアリング78とをさらに備える。
ここでは、ねじ74は樹脂から形成されており、ねじ74は、例えばポリテトラフルオロエチレンから形成されている。例えば、リード線40は、導電部材76にビスで固定されている。導電部材76は、例えばアルミニウムから形成されている。例えば、導電部材76は、3N(99.9質量%)以上の純度のアルミニウムから形成される。
ねじ74を締めると、導電部材76は電極10の接続領域14に近づく方に移動する。ねじ74をある程度締めると、導電部材76が電極10の接続領域14と接触し、リード線40は導電部材76を介して電極10と電気的に接続する。
これに対して、ねじ74を緩めると、導電部材76は電極10の接続領域14から離れる方に移動する。ねじ74をある程度緩めると、導電部材76が電極10の接続領域14から離れ、リード線40は電極10から絶縁される。
また、ここでは、電極部100a、100bのそれぞれは、ねじ74を締めた場合に導電部材76と接触する絶縁部材79をさらに備えている。ねじ74を完全に締めた場合、電極10の接続領域14は導電部材76と絶縁部材79との間に挟まれており、この結果、電源(図示せず)は、リード線40、導電部材76および電極10を介してアルミニウム基材aLと電気的に接続される。このようにねじ74に応じて導電部材76が電極10の接続領域14に対して移動することにより、電極10ひいてはアルミニウム基材aLとリード線40との電気的な接続を切り換えることができる。
なお、電極構造100Bの取り付けられたアルミニウム基材aLに対して、図16を参照して上述したように陽極酸化だけでなくエッチングを行ってもよい。なお、エッチング時に、エッチング液がカバー部材50内に侵入すると、ガルバニック腐食が起きることがある。特に、エッチング時間が長い場合、ガルバニック腐食が起きやすい。電極構造100Bでは、エッチング時に、アルミニウム基材aLをリード線40から絶縁することにより、エッチング液がカバー部材50内に浸入したとしても、ガルバニック腐食を抑制できる。
なお、上述した説明では、電極部100a、100bのそれぞれにねじ切り部72、ねじ74、導電部材76およびベアリング78がそれぞれ1つずつ設けられていたが、本発明の実施形態はこれに限定されない。また、上述した説明では、電極部100a、100bのそれぞれのカバー部材50を1つのリード線40が貫通していたが、本発明の実施形態はこれに限定されない。
図23に、別の電極構造100Bの模式図を示す。この電極構造100Bにおいて電極部100aでは、カバー部材50においてねじ切られたねじ切り部72a、72bと、ねじ切り部72a、72bとそれぞれ螺合するねじ74a、74bと、カバー部材50の内部においてリード線40a、40bとそれぞれ電気的に接続された導電部材76a、76bと、ねじ74a、74bの先端を支持する導電部材76a、76bにそれぞれ設けられたベアリング78a、78bとを有している。
ねじ74a、74bの少なくとも一方を締める場合、電極10はリード線40a、40bと電気的に接続する。これに対して、ねじ74a、74bの両方を開く場合、電極10はリード線40a、40bと絶縁される。一般に、長時間、陽極酸化層を用いて転写を行うと、電極10の交換が必要となるが、このように、電極10ごとに、リード線40a、40b、ねじ74a、74b、導電部材76a、76b、ベアリング78a、78bを設けることにより、電極10の交換を簡便に行うことができる。
図24に、図23に示した電極構造100Bを取り付けたアルミニウム基材aLから形成された陽極酸化層のSEM像を示す。
ここでは、アルミニウム基材aLは、図12を参照して上述したように、円筒状の支持体21と、絶縁層22と、アルミニウム膜25とを有している。アルミニウム基材aLの外径は約300mmであり、母線の長さは約1500mmである。支持体21は厚さ100μmのメタルスリーブである。具体的には、支持体21としてシームレスのニッケルメタルスリーブを用いている。絶縁層22は厚さ10μm以上100μm以下のアクリルメラミン樹脂であり、例えば、電着法で形成される。絶縁層22の上に、厚さ約1μmのアルミニウム膜25が堆積される。
このアルミニウム基材aLに対して、本実施形態の電極構造100Bを取り付けて陽極酸化およびエッチングが行われる。陽極酸化は、図10を参照して上述した陽極酸化処理装置300を用いて行われる。具体的には、電解液として温度5℃、濃度0.05mol/Lのシュウ酸を用いる。電圧80Vであり、処理時間は1分である。
エッチングは、図15を参照して上述したエッチング処理装置400を用いて行われる。具体的には、エッチング液として、温度30℃、濃度1mol/Lのリン酸を用いる。処理時間は20分である。ここでは、陽極酸化を5回、エッチングを4回、それぞれ交互に行われる。
比較のために、図25に、電極構造100Bを取り付けることなくリード線と電気的に接続された同様のアルミニウム基材aLに対して同様の陽極酸化およびエッチングを行うことによって形成された陽極酸化層のSEM像を示す。図25から理解されるように、この陽極酸化層の表面には、ガルバニック腐食が発生している。ガルバニック腐食は、アルミニウム基材と電極との接触部分にエッチング液が侵入したことに起因している。
図24と図25との比較から理解されるように、電極構造100Bを取り付けることにより、ほぼ均一な凹部の設けられた陽極酸化層を形成することができる。
なお、上述した説明では、電極構造100Bは2つの電極部100a、100bから構成されたが、本発明の実施形態はこれに限定されない。電極構造100Bは3以上の電極部から構成されてもよい。例えば、電極構造100Bは4つの電極部から構成されてもよい。あるいは、電極構造100Bは1つの電極部から構成されてもよい。
また、上述した説明では、電極構造100Bでは、リード線40とアルミニウム基材aLとの電気的な接続はねじ74等を用いて切り換えられたが、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、カバー部材50内に切換スイッチを設けて電気的な接続を切り換えてもよい。
(実施形態3)
以下、図26および図27を参照して本発明による電極構造の第3実施形態を説明する。図26(a)はy方向から見た電極構造100Cの模式図であり、図26(b)はx方向から見た電極構造100Cの模式図である。電極構造100Cは、円筒状または円柱状のアルミニウム基材の陽極酸化を行うために用いられる。
ここでは、電極構造100Cは4つの電極部100a、100b、100c、100dから構成される。電極部100a、100b、100c、100dのそれぞれは、隣接する2つの電極部とねじ(図示せず)で固定されている。電極部100a、100b、100c、100dのそれぞれは、電極10と、固定部材20と、弾性部材30と、リード線40と、カバー部材50とを備えている。ここでは、電極10はバルク状の部材である。また、固定部材20、弾性部材30はそれぞれほぼ円筒形状を有している。
固定部材20には凹部20aが設けられており、電極10は、固定部材20の凹部20aに配置されている。弾性部材30は、アルミニウム基材aLと固定部材20との間に設けられており、弾性部材30には、電極10の一部を露出させるように開口部30aが設けられている。電極10は、弾性部材30の開口部30aを貫通してアルミニウム基材aL(図26には図示せず)と接触している。アルミニウム電極10のアルミニウムの純度はアルミニウム基材aLの純度よりも低い。例えば、アルミニウム基材aLの表面は純度99.99質量%(4Nと表記することがある。)以上のアルミニウムから形成されているのに対し、アルミニウム電極10は純度99.50質量%以上のアルミニウムから形成される。
電極構造100Cでは、固定部材20およびカバー部材50は一体的に形成されている。例えば、固定部材20およびカバー部材50は樹脂層から構成される。例えば、樹脂層はポリアセタール樹脂から形成される。
カバー部材50の一部には開口部50aが設けられており、カバー部材50は、リード線40が開口部50aを貫通した状態で密閉される。例えば、開口部50aにはゴム栓52が設けられている。なお、開口部50aはシール材で封止されてもよく、あるいは、開口部50aはねじを用いて密閉されてもよい。また、ここでは、カバー部材50と電極10との間に弾性部材32がさらに設けられており、電極10に不必要な力が加わることが抑制される。
図27(a)に、電極構造100Cの内側表面の一部を拡大した模式図を示し、図27(b)に図27(a)の27b−27b’線に沿った模式的な断面図を示す。
本実施形態の電極構造100Cでは、電極10は固定部材20および弾性部材30に覆われている。このため、陽極酸化時に電極構造100Cの取り付けられたアルミニウム基材aLを電解液に浸漬させても、電解液は電極10にまで侵入しない。
電極構造100Cでは、電極10および弾性部材30がアルミニウム基材aLの円筒状または円柱状の外側表面と対応する内側表面を形成している。また、弾性部材30は、アルミニウム基材aLと固定部材20との間に配置されている。このため、弾性部材30の開口部30aを介して露出された電極10は円筒状または円柱状のアルミニウム基材aLの外側表面と確実に接触することができる。また、仮に、アルミニウム基材aLの表面が多少変形したとしてもアルミニウム基材aLと電極10との接触が確実に行われる。
また、電極構造100Cをアルミニウム基材aLに取り付ける前の状態において、電極10の表面は弾性部材30の表面よりもわずかに突出している。例えば、電極10の表面は弾性部材30の表面よりも0.2mm突出している。これにより、電極構造100Cをアルミニウム基材aLに取り付けた際に、電極10とアルミニウム基材aLとの電気的な接続を確実にすることができる。なお、電極10の突出部分の大きさは弾性部材30の硬度に応じて変化させてもよい。
なお、上述した説明では、電極構造100Cは4つの電極部から構成されたが、本発明の実施形態はこれに限定されない。電極構造100Cは2つの電極部から構成されてもよい。あるいは、電極構造100Cは1つの電極部から構成されてもよい。
本発明の実施形態によれば、電極とアルミニウム基材との接触不良を抑制するとともに電解液の侵入を抑制する電極構造を提供することができる。このような電極構造を用いることにより、陽極酸化を均一に行うことができる。
10 電極
20 固定部材
30 弾性部材
40 リード線
50 カバー部材
50a 開口部
100A、100B、100C 電極構造
100a、100b、100c、100d 電極部

Claims (22)

  1. アルミニウム基材の表面を陽極酸化するための電極構造であって、
    前記アルミニウム基材の表面と接触するアルミニウム電極と、
    前記アルミニウム基材の表面に対して前記アルミニウム電極を固定する固定部材と、
    前記固定部材と前記アルミニウム基材との間に配置される弾性部材と、
    少なくともある条件において前記アルミニウム電極と電気的に接続されるリード線と、
    開口部の設けられたカバー部材であって、前記アルミニウム電極の少なくとも一部を覆い、前記リード線が前記カバー部材の前記開口部を貫通した状態で密閉されたカバー部材と
    を備え、
    前記アルミニウム基材は、円筒状または円柱状であって、
    前記固定部材は、前記アルミニウム基材の外側表面に対応する内側表面を有し、
    前記アルミニウム電極は、前記アルミニウム基材の前記外側表面に接触するアルミニウム膜を有し、
    前記弾性部材は、前記固定部材と前記アルミニウム基材との間に膜状に形成されている、電極構造。
  2. 前記電極構造は、それぞれが、前記アルミニウム電極、前記固定部材、前記弾性部材、前記リード線および前記カバー部材を有する複数の電極部を備える、請求項1に記載の電極構造。
  3. 前記複数の電極部は、前記アルミニウム基材の外側表面に取り付けられる、請求項2に記載の電極構造。
  4. 前記固定部材には開口部が設けられており、
    前記アルミニウム電極は、
    前記アルミニウム基材と前記弾性部材との間に設けられた接触領域と、
    前記固定部材の前記開口部を介して前記接触領域と電気的に接続された接続領域と
    を有する、請求項1から3のいずれかに記載の電極構造。
  5. 前記アルミニウム膜は、前記接触領域および前記接続領域を有する、請求項4に記載の電極構造。
  6. 前記リード線は、別の条件において前記アルミニウム電極と絶縁される、請求項1から5のいずれかに記載の電極構造。
  7. 前記カバー部材においてねじ切られたねじ切り部と、
    前記ねじ切り部と螺合する絶縁性のねじと、
    前記カバー部材の内部において前記リード線と電気的に接続された導電部材と、
    前記導電部材に設けられ、前記ねじの先端を支持するベアリングと
    を有する、請求項6に記載の電極構造。
  8. 前記ねじを締める場合、前記導電部材は前記アルミニウム電極に接触して前記導電部材は前記アルミニウム電極と電気的に接続し、
    前記ねじを緩める場合、前記導電部材は前記アルミニウム電極から離れて前記導電部材は前記アルミニウム電極から絶縁される、請求項7に記載の電極構造。
  9. 前記カバー部材の前記開口部にゴム栓が設けられている、請求項1から8のいずれかに記載の電極構造。
  10. 前記カバー部材は、前記固定部材にねじで固定されている、請求項1から9のいずれかに記載の電極構造。
  11. 前記固定部材は樹脂層を含む、請求項1から10のいずれかに記載の電極構造。
  12. 円筒状のアルミニウム基材に取り付けられた、請求項1から11のいずれかに記載の少なくとも1つの電極構造と、
    前記円筒状のアルミニウム基材の内側表面から前記アルミニウム基材を支持する支持部材と
    を備え、
    前記支持部材は、前記アルミニウム基材を介して前記電極構造と対向する電極対向支持部材と、前記電極構造と対向することなく前記アルミニウム基材を支持する電極非対向支持部材とを含み、
    前記電極対向支持部材および前記電極非対向支持部材のそれぞれは円盤形状を有しており、
    前記電極対向支持部材の直径の最大値は、前記アルミニウム基材の内径よりも大きく、
    前記電極対向支持部材の直径の最小値および前記電極非対向支持部材の直径の最大値は前記アルミニウム基材の内径よりも小さい、基材保持装置。
  13. 前記少なくとも1つの電極構造は、第1電極構造と、前記第1電極構造とは異なる位置に取り付けられた第2電極構造とを有する、請求項12に記載の基材保持装置。
  14. 前記電極対向支持部材は、
    前記アルミニウム基材を介して前記第1電極構造と対向する前記第1電極対向支持部材と、
    前記アルミニウム基材を介して前記第2電極構造と対向する前記第2電極対向支持部材と
    を含む、請求項13に記載の基材保持装置。
  15. 前記電極非対向支持部材は、前記第1電極対向支持部材と前記第2電極対向支持部材との間に配置される、請求項14に記載の基材保持装置。
  16. 前記電極対向支持部材および前記電極非対向支持部材のそれぞれに開口部が設けられている、請求項12から15のいずれかに記載の基材保持装置。
  17. 前記電極対向支持部材は、前記電極非対向支持部材よりも厚い、請求項12から16のいずれかに記載の基材保持装置。
  18. アルミニウム基材を用意する工程と、
    前記アルミニウム基材に電極構造を取り付ける工程であって、前記電極構造は、前記アルミニウム基材の表面と接触するアルミニウム電極と、前記アルミニウム基材の表面に対して前記アルミニウム電極を固定する固定部材と、前記固定部材と前記アルミニウム基材との間に配置される弾性部材と、少なくともある条件において前記アルミニウム電極と電気的に接続されるリード線と、開口部の設けられたカバー部材であって、前記アルミニウム電極の少なくとも一部を覆い、前記リード線が前記カバー部材の前記開口部を貫通した状態で密閉されたカバー部材とを備える、工程と、
    前記アルミニウム基材の表面を電解液に接触させた状態で陽極酸化を行う工程と
    を包含し、
    前記電極構造を取り付ける工程において、前記電極構造は、それぞれが、前記アルミニウム電極、前記固定部材、前記弾性部材、前記リード線および前記カバー部材を備える複数の電極部を有しており、前記複数の電極部のそれぞれのアルミニウム電極は、前記アルミニウム基材と前記弾性部材との間に設けられた接触領域と、前記固定部材の前記開口部を介して前記接触領域と電気的に接続された接続領域とを有しており、前記複数の電極部のそれぞれの前記接触領域がリング状に構成される、陽極酸化層の形成方法。
  19. 前記アルミニウム基材を用意する工程において、前記アルミニウム基材は円筒状または円柱状である、請求項18に記載の陽極酸化層の形成方法。
  20. 前記弾性部材は、前記固定部材と前記アルミニウム基材との間に膜状に形成されている、請求項19に記載の陽極酸化層の形成方法。
  21. 前記陽極酸化を行った後に前記アルミニウム基材のエッチングを行う工程をさらに包含する、請求項18から20のいずれかに記載の陽極酸化層の形成方法。
  22. 前記陽極酸化を行う工程は、前記リード線と前記アルミニウム電極とが電気的に接続した状態で行われ、
    前記エッチングを行う工程は、前記リード線と前記アルミニウム電極とが絶縁した状態で行われる、請求項21に記載の陽極酸化層の形成方法。
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