以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電波修正時計の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(電波修正時計の外観)
図1は、この発明の実施の形態にかかる指針式表示装置の一例である電波修正時計の外観を示す説明図である。図1において、電波修正時計は、本体100と、本体100をたとえば腕に装着するためのバンド(図示を省略)とから構成される、腕時計型の電波修正時計である。また、本体100の外周には、りゅうず104および操作ボタン105を備えている。
本体100の表示部分には、通常時刻を示す通常指針(分針101、時針102、秒針103)を備える。通常指針は、秒針103が秒周期で回転、すなわち60秒で1回転(1周)する。分針101が分周期で回転、すなわち60分で1回転(1周)する。時針102が時周期で回転、すなわち12時間で1回転(1周)する。これらの指針(秒針103、分針101、時針102)によって通常時刻を表示する。3時の位置には日付表示窓106を備えている。
(電波修正時計の構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計の構成ついて説明する。図2は、この発明の実施の形態にかかる電波修正時計のハードウエア構成を示す説明図である。図2において、電波修正時計本体100には、時計用マイコン200と、RAM201と、ROM202と、モータ駆動回路203と、複数(たとえば4つ)のモータ204と、複数(たとえば4つ)の輪列205と、基準信号発生部206と、アンテナ207と、同調回路208と、受信回路209と、デコードIC210と、スイッチ部211と、スイッチ制御回路212と、ソーラセル213と、二次電池214と、充電制御回路215と、を備える。
さらに、後述する時刻表示制御部303によって制御される図示を省略する液晶駆動回路、LED、LED駆動回路、アラーム、アラーム駆動回路などをあわせて備えていてもよい。
時計用マイコン200は、電波修正時計本体100の全体を制御するほか、各種の構成部、回路を個別に演算制御する。RAM201は、時刻情報あるいはカレンダ情報を含む計時データなどの各種データを記憶している。また、ROM202は、各種の制御プログラムを記憶している。
モータ駆動回路203は、独立した複数のモータ204を駆動し、輪列205を介して、それぞれの指針(日板)を別個独立に駆動する。モータ駆動回路203は、時計用マイコン200から出力される駆動信号を入力し、入力された駆動信号に応じた駆動パルスを4つのモータ204へそれぞれ出力する。
4つのモータ204は、具体的にはたとえばステップモータを用いており、モータ駆動回路203から出力される駆動パルスに応じた正転(右回り)または逆転(左回り)の回転動作をおこなう。
4つのモータ204のうちの一つのモータは、図1に示した秒針103を駆動する。2つめのモータは、図1に示した分針101を駆動する。3つめのモータは、図1に示した時針102を駆動する。4つめのモータは、文字盤の下側に設けられている日板を駆動する。モータおよび輪列は4つずつ示したが、3つ以下でもよく、5つ以上であってもよい。たとえば、一つめのモータが分針101および秒針103を駆動する。2つめのモータは、時針102および日板を駆動すれば、モータおよび輪列は2つあれば足りることになる。
基準信号発生部206は、たとえば発振回路から構成され、計時処理の基準となる所定の周波数を有する信号を発生する。また、図3において後述するDF調(論理周波数調整)処理部302は、基準信号発生部206から発生される所定の周波数を有する信号を分周する。
同調回路208は、アンテナ207と同調をとり、たとえばコンデンサの容量を切り替えるなどによって、60kHz(米国)、77.5kHz(独国)、40kHz、60kHz(日本)などの周波数にアンテナ207を同調する。また、受信回路209は、アンテナ207によって受信された信号から標準電波を検出し、デコードIC210に対して出力する。デコードIC210の詳細については後述する。
受信回路209は、アンテナ207によって受信した信号を増幅する、図示を省略する増幅部、所望の周波数(40kHz、60kHz、77.5kHz)以外を除去する、図示を省略するフィルタ部、受信した標準電波を検波する、図示を省略する検波部、検波出力をデジタル出力に変換する、図示を省略するAD変換部、増幅率を自動調整する、図示を省略するゲインコントロール部などを含む構成となっている。
スイッチ部211は、操作者の操作指示を入力する。具体的には、図1に示したりゅうず104、操作ボタン105などによって構成される。スイッチ制御回路212は、スイッチ部211からの信号に基づいて、操作者からの操作指示に関する入力を時計用マイコン200に送信する。
充電制御回路215は、ソーラセル213によって受光された光を電力に変換し、二次電池214に蓄積する。また、充電制御回路215は、二次電池214の電圧(値)を検出する電圧検出機能、ソーラセル213が発電状態か非発電状態かを検出する発電検出機能などを備える。そして、これらの機能によって検出結果に関する信号を時計用マイコン200に対して出力する。この信号に基づいて、充電残量の表示をおこなう。
液晶駆動回路は、図示を省略する表示画面を駆動して各種情報を表示させる。また、LED駆動回路は、LEDを駆動してバックライトとして表示画面を照明したり、警告光を出力したりする。LEDの代わりに、EL(Electroluminescence)、ランプなどを用いてもよい。アラーム駆動回路は、アラームが搭載する図示を省略する圧電素子を駆動して、アラーム(ブザー)を出力する。その際、アラーム駆動回路は、告知の種類によって、音の種類、高さ、音量などを変えて出力する。
図3は、この発明の実施の形態にかかる電波修正時計のデコードICおよびその周辺のハードウエア構成を示す説明図である。図3において、受信IC300は、図2に示した同調回路208および受信回路209の処理を実現する。また、時計用マイコン200は、制御部301と、DF調処理部302と、時刻表示制御部303とを備えている。
デコードIC210は、4つのモード部(受信モード部310、スルーモード部320、針穴検出モード部330、テストモード部340)と、時計用マイコン200との信号・データの入出力を司る通信ポート入出力制御回路350と、時計用マイコン200からデコードIC210への高速通信によって送られたデータを処理する高速データ通信部360と、デコードIC210から時計用マイコン200へ低速通信によって送る低速データを処理する低速データ通信部370と、分周回路380と、電源回路390と、を備えている。
ここで、スルーモード部320が実行するスルーモードは、デコードIC210を利用して受信IC300の信号を時計用マイコン200に出力し、時計用マイコン200と受信IC300との配線を増やさないようにするためのモードである。時計用マイコン200は、受信IC300の出力をモニタする。そして、タイムコード出力が安定したことを検出すると、デコード時に受信IC300によって適切なAGCがおこなわれるようにするためのAGCに関する設定情報を、時計用マイコン200から受信IC300に出力する。したがって、スルーモードは、デコードIC210によるデコード処理とは重複せずに処理を実行できるため、スルーモード部320をデコードIC210内に設けることができる。
また、針穴検出モード部330が実行する針穴検出モードは、各指針(図1に示した分針101、時針102、秒針103など)の位置を検出するモードであり、針穴検出回路331は、輪列を構成する歯車の一部に穴を設け、その穴を挟んで上下にLEDなどの発光素子と受光素子とを配置し、受光素子が光を受光することで、歯車の穴の位置(すなわち、歯車の穴の位置を基準に指針軸に針付けされた指針の位置)を検出する。針穴検出モードは、デコードIC210によるデコード処理と針穴検出は異なるタイミングでおこなわれるので、針穴検出モード部330は、スルーモード部320と同様に、針穴検出機能をデコードIC210に設けることができる。
また、テストモード部340が実行するテストモードは、デコードIC210が正しくデコードできるか否かをテストするためのモードである。
受信モード部310は、受信パラメータ記憶部311と、時刻計時部312と、受信データ演算部313と、受信データ記憶部314と、を備えている。また、スルーモード部320はスルー通信部321を、針穴検出モード部330は針穴検出回路331および針穴結果通信部332を、それぞれ備えている。
また、高速データ通信部360は、モード判定部361およびパラメータ設定部362を備えており、時計用マイコン200から出力されたリクエスト信号を通信ポート入出力制御回路350を介して入力する。入力されたリクエスト信号に基づいて、モード判定部361は、リクエストされたモードを判断し、モード決定データを各モード部へ出力する。モード決定データが入力されたモード部は、各モードにかかる動作を開始する。また、パラメータ設定部362は、リクエスト信号に基づいて、受信用のパラメータデータを受信モード部310へ、または針穴検出用のパラメータデータを針穴検出モード部330へ出力する。
受信パラメータ記憶部311は、パラメータ設定部362から出力された(受信)パラメータデータを入力し記憶する。そして、時刻計時部312は、受信パラメータ記憶部311から受信開始時刻に関するデータを読み込み、時刻を計時する。また、受信データ演算部313は、受信パラメータを受信パラメータ記憶部311から読み込む。
受信データ演算部313は読み取られた受信パラメータに基づいて、受信IC300から出力されたタイムコードを入力し、演算処理を実行する。受信データ演算部313によって演算された結果(タイムコード結果/受信確定時刻)は、受信データ記憶部314に記憶するとともに、必要に応じて受信データ演算部313によって読み込まれる。そして、受信データ演算部313は、演算された結果を処理結果として低速データ通信部370へ出力する。
また、時刻計時部312は、受信データ記憶部314に記憶された受信確定時刻を読み込み、読み込んだ受信確定時刻に基づいて時刻を計時するとともに、現在時刻として、低速データ通信部370へ出力する。
低速データ通信部370は、時計用マイコン200から出力されたリクエスト信号を通信ポート入出力制御回路350を介して入力し、入力されたリクエスト信号に基づいて、分周回路380へリセット信号を出力するとともに、時刻計時部312から出力された現在時刻または受信データ演算部313から出力された処理結果を応答信号として通信ポート入出力制御回路350へ出力し、通信ポート入出力制御回路350からデータ信号またはデコード出力信号として時計用マイコン200へ送る。
分周回路380は、時計用マイコン200から出力された32kHzのクロック信号を通信ポート入出力制御回路350を介して入力し、入力された32kHzのクロック信号に基づいて、デコードIC210内のクロックを司る。分周回路380は、時計用マイコン200のように、DF調処理部302を備えていないため、分周回路380から出力されるクロックの精度は、時計用マイコン200から出力される精度よりも低い。そのため、低速データ通信部370から出力されるリセット信号(時計用マイコン200のDF調処理部302によって論理周波数調整された64Hzのクロック信号に基づく信号)で32kHzのクロック信号が入力される分周回路380をリセットする。リセット処理の詳細については、後述する。
電源回路390は、デコードIC210のすべての電源をまかなう。時計用マイコン200から通信ポート入出力制御回路350を介して入力されるデコードICイネーブル信号によりイネーブルがONされるとデコードIC210の電源がONとなり、イネーブルがOFFされるとデコードIC210の電源がOFFとなる。
(受信動作の内容)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計の受信動作について説明する。図4は、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計の受信動作の概要を示す説明図である。図4において、まず、時計用マイコン200からデコードIC210へ、高速通信にて、スルーモード設定データが送られ、受信IC300においてAGC調整がおこなわれる。
そして、受信IC300から出力されたタイムコードが、デコードIC210のスルーモード部320のスルー通信部321に入力され、スルー通信部321からスルー結果信号として出力され、通信ポート入出力制御回路350を介してデータ信号として時計用マイコン200に入力される。その後、内部時刻データ、受信パラメータがデコードIC210の受信モード部310に送られ、デコードIC210の受信モード部310において秒同期検出動作がおこなわれる。時計用マイコン200からデコードIC210への上記データ通信は、高速データ通信部360を介して高速通信によりおこなわれる。
その後、デコードIC210は、受信IC300が出力してくるタイムコードから秒同期を検出し、時計用マイコン200からの毎秒ごとのリクエストに応じて秒同期データを出力する。デコードIC210は、同様に、受信IC300が出力してくるタイムコードを解析して分同期を検出し、時計用マイコン200からの10秒間隔ごとのリクエストに応じて分同期データを出力する。
その後、デコードIC210は、受信IC300が出力してくるタイムコードを解析して時刻データを取得する。その間、毎分「01秒」、「11秒」、「21秒」、「31秒」、「41秒」、「51秒」に、時計用マイコン200からのリクエストに応じて、受信レベルデータ・デコード進行状況データを出力する。ここで、受信レベルデータは、タイムコードのノイズに関する情報である。また、デコード進行状況データは、デコードがどこまで進んだのかを(たとえば「秒同期まで進んでいる」、「分同期まで進んでいる」など)を表すデータである。
そして、時刻データが確定した場合には、「01秒」における時計用マイコン200からのリクエストに応じて、計時時刻データを出力する。これらの秒同期データ、分同期データ、受信レベル・デコード進行状況データ、計時時刻データの出力はデコード出力信号として、低速データ通信部370から、通信ポート入出力制御回路350を介して、低速通信により時計用マイコン200へ送られる。
図5−1および図5−2は、この発明の実施の形態にかかる電波修正時計のデコードICの動作の内容を示すフローチャートである。図5−1のフローチャートにおいて、デコードIC210は、まず、時計用マイコン200から電源回路390に入力されるデコードICイネーブル信号によってイネーブルをONにする(ステップS501)。その後、高速通信データの入力を待って(ステップS502:No)、高速通信データが入力された場合(ステップS502:Yes)は、入力された高速通信データの内容から、高速データ通信部360のモード判定部361が、モードを判定する。
判定されたモードが「スルーモード」であるか否かを判定し(ステップS503)、「スルーモード」である場合(ステップS503:Yes)は、スルーモード部320のスルー通信部321がスルー結果信号を継続的に出力する(ステップS504)。その後、電源回路390へデコードICイネーブル信号がOFFされるのを待って(ステップS505)、OFFされた場合(ステップS505:Yes)は、スルー結果信号の出力を停止して、スルーモードの動作を終了する。
ステップS503において、判定されたモードが「スルーモード」でなかった場合(ステップS503:No)は、判定されたモードが「針穴検出モード」であるか否かを判定する(ステップS506)。ここで、判定されたモードが「針穴検出モード」である場合(ステップS506:Yes)は、針穴検出モード部330の針穴検出回路331が針穴検出動作をおこない、針穴結果通信部332が、針穴検出結果信号を出力する(ステップS507)。そして、電源回路390へデコードICイネーブル信号がOFFされるのを待って(ステップS508:No)、OFFされた場合(ステップS508:Yes)は、針穴検出動作を終了する。
ステップS506において、判定されたモードが「針穴検出モード」でなかった場合(ステップS506:No)は、判定されたモードが「テストモード」であるか否かを判定する(ステップS509)。ここで、判定されたモードが「テストモード」である場合(ステップS509:Yes)は、テストモード部340がテスト動作をおこない、テスト結果信号を出力する(ステップS510)。そして、電源回路390へデコードICイネーブル信号がOFFされるのを待って(ステップS511:No)、OFFされた場合(ステップS511:Yes)は、テスト動作を終了する。
ステップS509において、判定されたモードが「テストモード」でなかった場合(ステップS509:No)は、判定されたモードが「受信モード」であるか否かを判定する(ステップS512)。ここで、判定されたモードが「受信モード」である場合(ステップS512:Yes)は、図5−2のフローチャートのステップS551へ移行する。一方、ステップS512において、判定されたモードが「受信モード」でなかった場合(ステップS512:No)は、ステップS502へ戻る。
図5−2のフローチャートにおいて、まず、図5−1のステップS502において入力された高速通信データの内容から、高速データ通信部360のパラメータ設定部362が受信パラメータを設定し(ステップS551)、タイムコード解析を開始する(ステップS552)。
つぎに、秒同期の取得動作をおこない、秒同期を取得することができたか否かを判断する(ステップS553)。秒同期が取得できていなければ(ステップS553:No)、取得できるまで繰り返し取得動作をおこなう。取得ができた場合(ステップS553:Yes)は、その後、時計用マイコン200からのリクエスト信号を低速データ通信部370に入力されるのを待って(ステップS554:No)、リクエスト信号が入力された場合(ステップS554:Yes)は、低速データ通信部370が、リクエスト信号に含まれているクロックに基づくリセット信号を分周回路380へ出力し、分周回路380をリセットする(ステップS555)。
そして、分周回路380のリセット後に、受信データ演算部313が処理結果を低速データ通信部370へ出力し、その処理結果に基づいて低速データ通信部370が応答信号を出力することで、通信ポート入出力制御回路350を介して、秒同期位置情報を時計用マイコン200へ送る(ステップS556)。
その後、分同期の取得動作をおこない、分同期を取得することができたか否か判断する(ステップS557)。分同期が取得できていなければ(ステップS557:No)、取得できるまで繰り返し取得動作をおこなう。取得ができた場合(ステップS557:Yes)は、時計用マイコン200からのリクエスト信号を低速データ通信部370に入力されるのを待って(ステップS558:No)、リクエスト信号が入力された場合(ステップS558:Yes)は、低速データ通信部370が、ステップS555と同様に、リクエスト信号に含まれているクロックに基づくリセット信号を分周回路380へ出力し、分周回路380の分周クロックをリセットする(ステップS559)。
そして、分周クロックのリセット後に、受信データ演算部313が処理結果を低速データ通信部370へ出力し、その処理結果に基づいて低速データ通信部370が応答信号を出力することで、通信ポート入出力制御回路350を介して分同期位置情報を時計用マイコン200へ送る(ステップS560)。
その後、時刻情報確定動作をおこない、時刻情報を確定することができたか否か判断する(ステップS561)。時刻情報が確定できていなければ(ステップS561:No)、確定できるまで繰り返し時刻確定動作をおこなう。ここで、時刻情報が確定していない場合は、ステップの図示は省略するが、「01」秒のタイミングで、デコードIC210が、受信レベルデータ、デコード進行状況データを時計用マイコン200へ送信する。そして、時刻情報を確定することができた場合(ステップS561:Yes)は、時刻情報を修正する(ステップS562)。
そして、時計用マイコン200からのリクエスト信号を低速データ通信部370に入力されるのを待って(ステップS563:No)、リクエスト信号が入力された場合(ステップS563:Yes)は、低速データ通信部370が、ステップS555と同様に、リクエスト信号に含まれているクロックに基づくリセット信号を分周回路380へ出力し、分周回路380の分周クロックをリセットする(ステップS564)。
分周クロックのリセット後に、時刻計時部312が現在時刻を低速データ通信部370へ出力し、低速データ通信部370が応答信号を出力することで、通信ポート入出力制御回路350を介して、時刻修正情報を時計用マイコン200へ送る(ステップS565)。その後、デコードICイネーブルOFF信号が電源回路390に入力されることで、デコードIC210がイネーブルOFFとなり(ステップS566)、一連の処理を終了する。
図6−1および図6−2は、この発明の実施の形態にかかる電波修正時計の時計用マイコンの動作の内容を示すフローチャートである。図6−1のフローチャートにおいて、時計用マイコン200は、制御信号を受信IC300へ出力し、受信IC300のイネーブルをONにし(ステップS601)、所定の安定時間、受信IC300による受信動作が安定するのを待つ(ステップS602)。
その後、デコードIC210のスルーモード部320へ、モード判定部361を介してモード決定データ(スルーモード設定データ)を入力させ、スルーモード動作を開始させ、スルーモード部320のスルー通信部321から出力されたスルー結果信号を入力し(ステップS603)、受信IC300の設定変更をおこなう(ステップS604)。そして、所定の安定時間の経過を待って、時計用マイコン200のクロックの1Hzのタイミングで、電源回路390に入力されるデコードIC210のイネーブル信号をONにする(ステップS605)。
つぎに、デコードIC210の受信モード部310へ、モード判定部361を介してモード決定データを入力させ、受信パラメータ(内部時刻データ、受信パラメータなど)を入力させ、受信モード動作を開始させる(ステップS606)。そして、リクエストタイミングになるのを待って(ステップS607:No)、リクエストタイミングになった場合(ステップS607:Yes)は、デコードIC210へリクエスト信号を送信する(ステップS608)。ここでのリクエストタイミングは毎秒(1秒間隔)である。
そして、送信したリクエスト信号に対して、秒同期結果が得られたか否かを、すなわちデコードIC210から秒同期位置情報信号が送信されてきたか否かを判断し(ステップS609)、秒同期結果が得られなかった場合(ステップS609:No)は、ステップS607へ戻って、ステップS607〜S609を繰り返しおこなう。ステップS609において、秒同期結果が得られた場合(ステップS609:Yes)は、図6−2のフローチャートのステップS651へ移行する。
図6−2のフローチャートにおいて、リクエストタイミングを毎秒から10秒間隔へ変更する。10秒間隔に変化する際に、秒同期位置情報信号に基づいて、後述する、タイムコード非判定区間においてリクエスト信号を送信するようにリクエストタイミングを設定する。そして、リクエストタイミングになるのを待って(ステップS652:No)、すなわち前回のリクエストから10秒経過するのを待って、リクエストタイミングとなった場合(ステップS652:Yes)は、デコードIC210へリクエスト信号を送信する(ステップS653)。
送信したリクエスト信号に対して、分同期結果が得られたか否かを、すなわちデコードIC210から分同期位置情報信号が送信されてきたか否かを判断し(ステップS654)、分同期結果が得られなかった場合(ステップS654:No)は、ステップS652へ戻って、ステップS652〜S654を繰り返しおこなう。
ステップS654において、分同期結果が得られた場合(ステップS654:Yes)は、さらに、リクエストタイミングを変更する(ステップS655)。ステップS652においては、単に10秒間隔であったが、ここでは、分同期結果が得られたので、10秒間隔ではあるが、毎分「01」秒、「11」秒、「21」秒、「31」秒、「41」秒、「51」秒にリクエストするようにタイミングを変更する。
そして、リクエストタイミングになるのを待って(ステップS656:No)、すなわち、分同期結果に基づいて、毎分「01」秒、「11」秒、「21」秒、「31」秒、「41」秒、「51」秒になるのを待って、リクエストタイミングとなった場合(ステップS656:Yes)は、デコードIC210へリクエスト信号を送信する(ステップS657)。送信したリクエスト信号に対して、時刻修正結果が得られたか否かを、すなわちデコードIC210から時刻修正情報信号が送信されてきたか否かを判断し(ステップS658)、時刻修正結果が得られなかった場合(ステップS658:No)は、ステップS656へ戻って、ステップS656〜S658を繰り返しおこなう。
ただし、本実施の形態においては、時刻修正情報が送信されるのは、毎分「01」秒のタイミングのみであって、他のリクエストタイミング(「11」秒、「21」秒、「31」秒、「41」秒、「51」秒)では、デコードIC210からは、時刻修正情報の代わりに、コード進行状況や、受信レベル、ノイズ量などの情報が送信される。
ステップS658において、時刻修正結果が得られた場合(ステップS658:Yes)は、受信動作を終了し(ステップS659)、デコードIC210へデコードICイネーブルOFF信号を出力することで、電源回路390のイネーブルをOFFし(ステップS660)、時刻修正動作をおこなって(ステップS661)、一連の処理を終了する。
図7は、スルーモードの動作の内容を示すタイミングチャートである。図7のタイミングチャートにおいて、デコードICイネーブル信号は、図3にも示したように、時計用マイコン200から通信ポート入出力制御回路350を介して電源回路390に入力される信号であり、リクエスト信号は、図3にも示したように、時計用マイコン200から通信ポート入出力制御回路350を介して低速データ通信部370に入力される信号である。
また、デコード出力信号は、図3にも示したように、デコードIC210の通信ポート入出力制御回路350から時計用マイコン200へ出力される出力信号であり、データ信号は、図3にも示したように、時計用マイコン200とデコードIC210の通信ポート入出力制御回路350との間のデータ信号である。デコード出力信号がOFFの場合は、データ信号は時計用マイコン200からデコードIC210へ送信され、デコード出力信号がONの場合は、反対に、データ信号はデコードIC210から時計用マイコン200へ送信される。
また、タイムコードは、図3にも示したように、受信IC300からデコードIC210の受信データ演算部313およびスルーモード部320のスルー通信部321へ入力されるコードデータである。
まず、(1)の時点で、デコードIC210のイネーブル信号がONとなり(立ち上がり)、その後、スルーモード設定用のデータ信号が入力ポートとして、時計用マイコン200から高速通信によって送信される。このデータ信号と同一矩形のリクエスト信号が発生する。デコードIC210のモード判定部361が、1ms周期のリクエスト信号のそれぞれの立ち下がりで、データを読み込み、スルーモード設定データであると判断したら、スルーモード設定のパラメータに対応するビット数分だけデータを読む。
そして、リクエスト信号の入力により、(2)の時点で、デコード出力信号が立ち上がり、データ信号は、タイムコードと同一矩形のデコードIC210からのスルー結果信号をデコードIC210から時計用マイコン200へ送信する。このようにして、時計用マイコン200は、受信IC300から出力されるタイムコードを、デコードIC210をスルーして、入力することができる。
また、図7のスルーモードにおいて、詳細内容は省略するが、スルーモードでは、時計用マイコン200が受信IC300の出力をモニタし、タイムコード出力が安定したのを検出したら、デコード時に受信IC300によって適切なAGCがおこなわれるようにするためのAGCに関する設定情報を、時計用マイコン200から受信IC300に出力する。
図8は、受信初期動作の内容を示すタイミングチャートである。図8のタイミングチャートにおいて、受信ICイネーブル信号は、時計用マイコン200から受信IC300へ送られる制御信号に含まれる信号であり、受信IC300の受信動作、すなわち、タイムコードの出力/非出力を制御する。デコードICイネーブル信号、デコード出力信号、データ信号、タイムコードは、図7に示したものと同じである。VAGCは、自動利得制御(AGC)電圧を示しており、受信IC300は、VAGCを安定させたのちにタイムコードを出力する。
(1)の時点で、時計用マイコン200が、受信ICイネーブル信号を立ち上げ、受信IC210のパラメータを設定することにより、タイムコードが受信IC300から出力される。そして、(2)の時点で、デコードICイネーブル信号を立ち上げるとともに、スルーモードに設定され、デコード出力信号を立ち上げることで、データ信号は、高速通信信号入力ポートから、タイムコードと同一矩形の出力ポートとなる。すなわち、図7でも説明したように、(2)の時点から、デコードICイネーブル信号およびデコード出力信号が立ち下がる(3)の時点まで、スルーモードとなっている。
(3)の時点では、タイムコードは出力されているが、データ信号は発生していない。そして、(4)の時点で、デコードIC210イネーブル信号を立ち上げた後に、データ信号として、受信モード設定用のデータと、受信モード設定のパラメータすなわち、内部時刻データ、受信パラメータ、値などのデータを時計用マイコン200から出力する。
受信パラメータは、デコードIC210の仕様などに応じて設定され、デコードIC210のデコード処理に用いるデータを、デコード処理がおこなわれる前にまとめて出力するデータであって、受信パラメータ及び内部時刻データのデータ量は、受信中にデコードIC210からマイコン200に出力する秒同期データ、分同期データ、受信レベル、デコード進行状況データよりもデータ量が多い。デコードICイネーブル信号を立ち上げた後に、高速通信によって受信パラメータおよび内部時刻データを出力することにより、データ量が多くても迅速に受信モードの動作を実行することができる。以後、デコードIC210では受信モードの動作が実行される。
ここで、(1)から(2)までの期間が、図6−1のフローチャートのステップS602の安定時間を示しており、また、(3)から(4)までの期間が、ステップS605の安定時間を示している。
図9は、受信モードにおける低速通信および分周リセット動作の内容を示すタイミングチャートである。図9のタイミングチャートにおいて、タイムコード判定区間は、タイムコードがHighとなり、タイムコードの非判定区間は、タイムコードがLowとなる。すなわち、(1)の時点で、タイムコードがHighからLowに立ち下がっており、この時点でタイムコード判定区間からタイムコード非判定区間に切り替わる。
時計用マイコン200のDF調処理部302において調整されたマイコンDF調済み64Hz信号の矩形にあわせて(2)の時点でリクエスト信号が立ち上がり、(3)の時点でリクエスト信号が立ち下がる。このリクエスト信号に基づいてリセット信号が生成され(図9の分周回路リセット信号を参照)、分周回路380がリセットされる。また、リクエスト信号の立ち下がりのタイミング((3)の時点)で、デコード出力信号が立ち上がり、デコードIC210からのデータ信号の出力が可能な状態とする。
そして、デコード出力信号がHighの状態で、低速通信による応答データを出力する。低速通信は、高速通信の1mS周期の通信間隔よりも長い、デコードIC210の64Hz信号の周期でおこなわれる。その後、タイムコード非判定区間が終了する前に、応答データの低速通信が終了し、デコード出力信号が立ち下がる。このように、秒同期検出結果に基づき、時計用マイコン200がタイムコード非判定区間に合わせてリクエスト信号を出力することができ、タイムコード非判定区間内において、リクエスト信号および応答データを発生させるので、タイムコードの判定に影響を及ぼさない。
ただし、応答データとして計時時刻データが出力される場合(「01秒」)は、データが長く、タイムコード非判定区間内にすべてのデータを出力しきれない場合がある。その場合は、タイムコード判定区間へはみ出して出力する。すでに時刻が確定しているので、タイムコードの判定に影響があっても問題ないからである。
このように、時計用マイコン200による通常の時刻計時精度を保つために、DF調が10秒に1回の周期でおこなわれるので、10秒に1回のリクエスト信号(10秒に1回の分周回路のリセット)で、デコードIC210の基準信号を時計用マイコン200の基準信号に同期させることができる。
標準タイムコードの一例を図10−1および図10−2に示す。図10−1は、標準電波のタイムコードの一例(Time_Code:JJY)を示す説明図であり、図10−2は、標準電波のタイムコードの一例(Time_Code:DCF77)を示す説明図である。
図10−1に示すTime_Code:JJYは、日本における標準電波のタイムコードであり、1秒間のうち、前半の800msでタイムコードを判定可能であり、この区間をタイムコード判定区間とし、後半の200msをタイムコード非判定区間としている。したがって、日本の標準電波においては、後半の200msの間に、リクエスト信号を出力し、分周回路380の32kHz信号をリセットするとともに、応答データを低速通信する。
一方、図10−2に示すTime_Code:DCF77はヨーロッパにおける標準電波のタイムコードであり、1秒間のうち、前半の500msでタイムコードを判定可能であり、この区間をタイムコード判定区間とし、後半の500msをタイムコード非判定区間としている。したがって、ヨーロッパの標準電波においては、後半の500msの間に、リクエスト信号を出力し、分周回路380の32kHz信号をリセットするとともに、応答データを低速通信する。
仮に、タイムコード判定区間にリクエスト信号を送信して分周回路380をリセットすると、これらの処理によってデコードICによっておこなわれるタイムコードのサンプリングのタイミングがずれ、また、時計用マイコン200とデコードIC210との通信により発生するノイズの影響もあり、正しいコード判定ができないことがある。本実施の形態では、時計用マイコン200とデコードIC210との通信、および、デコードIC210の分周回路380のリセットがタイムコード非判定区間でおこなわれるので、このような問題を生じない。
このように、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計は、基準信号を発生する基準信号発生手段としての基準信号発生部206と、時刻情報を表す複数のコード信号を含む電波信号を受信する受信手段としてのアンテナ207、受信IC300(同調回路208、受信回路209)と、基準信号を入力し、入力された基準信号に基づいて、受信手段によって受信された電波信号に含まれる複数のコード信号(JJYの0,1,PコードやDCFの0,1,Mコード)から一つのコード信号を判別して計時時刻データ等のデコード情報を取得し、当該デコード情報を出力するデコード手段としてのデコードIC210と、を備えている。ここで、デコード情報は、計時時刻データに限らず、0,1,P,Mなどのコード信号でもよい。
さらに、デコード手段とは異なる回路によって構成され、基準信号を入力し、入力された基準信号の周波数を調整し、調整された調整済み基準信号に基づいて、報知用の時刻情報を計時するとともに、デコード情報を入力し、入力されたデコード情報に基づいて、計時した報知用の時刻情報を修正する時刻計時手段としての時計用マイコン200、を備えている。
そして、時計用マイコン200が、調整済み基準信号に基づいて生成されたリセット信号を含むリクエスト信号を出力し、デコードIC210がリセット信号を含むリクエスト信号を入力し、当該リセット信号によって、基準信号をリセットする。
したがって、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計によれば、デコードIC210の基準信号を時計用マイコン200の調整済み基準信号に同期させることができる。これにより、デコードIC210は、調整済み基準信号に同期した信号(たとえば32kHz信号を分周した64Hz信号)によって、タイムコードを正確にサンプリングすることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計は、コード信号が、所定の周期、すなわち、図10−1または図10−2に示したように、秒頭で立ち上がりまたは立ち下がるように送信されるとともに、各周期内の一部の区間(タイムコード非判定区間)を除く残りの区間(タイムコード判定区間)で、コード信号の判別が可能な信号であり、デコードIC210が、受信IC300によって受信された電波信号から、所定の周期の開始タイミング(たとえば秒頭)を検出し、検出した開始タイミングに関する情報を出力し、時計用マイコン200が、開始タイミングに関する情報を入力し、入力された開始タイミングに関する情報に基づいて、一部の区間(タイムコード非判定区間)においてリセット信号を出力する。
また、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計は、デコードIC210が、残りの区間(タイムコード判定区間)においてコード信号の判別をおこない、一部の区間(タイムコード非判定区間)において基準信号をリセットする。
したがって、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計によれば、タイムコード判定動作に影響を及ぼすことなく、デコードIC210の基準信号のリセット動作をおこなうことができる。
また、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計は、時計用マイコン200が、報知用の時刻情報を出力し、デコードIC210が、報知用の時刻情報を入力し、入力された時刻情報を、時刻計時部312が基準信号または基準信号の分周信号に基づいて計時するとともに、複数のコード信号の判別結果に基づいて、計時している報知用の時刻情報を修正した修正時刻情報をデコード情報とする。
したがって、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計によれば、時計用マイコン200は、入力した修正時刻情報にかかる現在時刻を計時している現在時刻に置き換えるだけで、容易に時刻の修正をすることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計は、デコードIC210のスルーモード部320が、電波信号(タイムコード)を出力し、時計用マイコン200が、デコードIC210によって出力された電波信号(タイムコード)を入力する。
したがって、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計によれば、時計用マイコン200が、デコードIC210を介して受信IC300が出力するタイムコードを取得することができ、タイミングを時計用マイコン200が作り出すことができる。また、取得したタイムコードに基づいて、デコードIC210へのリクエスト信号の出力タイミングを計ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計は、時計用マイコン200が、デコードIC210へ出力するデータの全部または一部を第1の通信周期(図4に示した「高速通信」)で出力し、デコードIC210が、時計用マイコン200へ出力するデータを第1の通信周期(「高速通信」)よりも長い第2の通信周期(図4に示した「低速通信」)で出力する。
したがって、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計によれば、高速通信によって、デコードIC210が、より迅速に受信動作を開始することができる一方、デコード出力は低速通信によっておこなわれるので、デコード出力に関するマイコン200の処理が負担にならない。
このように、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計によれば、デコード処理を時計用マイコン200とは別回路(デコードIC210)でおこなわせることで、時計用マイコン200の小型化、それにともなう電波修正時計全体の小型化を図ることができる。また、時計用マイコン200の小型化にともない、1枚のウエハからより多くの時計用マイコン200が取れること等により、時計用マイコン200のコストの低廉化を図ることができる。
それとともに、論理周波数調整機能を備えていないデコードIC210の分周回路380から出力されるクロックの精度は、論理周波数調整機能を備えている時計用マイコン200から出力される精度より低くても、時計用マイコン200の論理周波数調整された信号でリセットし、タイムコードのサンプリングがおこなわれるので、コード判定を正確におこなうことができるとともに、時計用マイコン200とも容易に同期させて、時計用マイコン200とのデータ通信が正確におこなわれるので、デコード処理を時計用マイコン200と別回路(デコードIC210)でも確実におこなうことができる。