JP5666171B2 - 太陽電池出力特性の測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池出力特性の測定装置および測定方法に関するものである。
太陽電池の出力特性は、光照射下において当該太陽電池の電流電圧特性を測定することによって測定される。例えば、ソーラーシミュレータにより太陽電池の電流電圧特性を測定する際には、横軸を電圧、縦軸を電流として、収集したデータをプロットすることによる曲線を得ている。この曲線は一般に、I−V特性という。図9にその一例を示す。図9において、縦軸のIscは短絡電流を示し、横軸のVocは開放電圧を示している。また、Pmaxは、最大出力を示している。
太陽電池の電流電圧特性(I−V特性)を測定する方法には、定常光の光源を用いる方法と、フラッシュ光の光源を用いる方法とが知られている。このうち、フラッシュ光の光源を用いる方法は、フラッシュ点灯させるため光源ランプへの負荷が小さく、また発光時間が短いため、ランプ内部の状況(例えば、温度)が変化し難いのでピーク照度が安定しやすい。例えば、特許文献1には、光源ランプからのフラッシュ光の発光中に、太陽電池の負荷を制御して太陽電池から出力される電流と電圧を測定する方法が開示されている。
ところで、太陽電池の電流電圧特性を測定するために太陽電池の負荷を制御する場合、過度の逆バイアスがかかると太陽電池が短絡破壊に至る可能性がある。この結果、太陽電池の出力特性が低下してしまう。
そこで、特許文献1では、電流電圧特性の本測定に先立って、太陽電池の特性の概略値を求める予備測定を行っている。この予備測定では、本測定と同じフラッシュ発光を点灯し、掃引速度を早くして電子負荷を広範囲に変化させ、測定対象となる太陽電池の短絡電流Iscと開放電圧Vocの概略値を求めている。この概略値を求めることにより、電子負荷の掃引範囲が特定されるため、本測定の際には、掃引速度を遅くして、電流値がより広い範囲にあるように所望数の測定点を確保することができる。
特開2007−88419号広報(2007年4月5日公開)
しかしながら、予備測定を実施する方法は、予備測定時にフラッシュ発光を行うため、光源ランプの発光回数を多くすることになる。このため、特に光源ランプを高出力で発光させることが必要なソーラーシミュレータでは、ランプ寿命が短くなるという問題が生じる。特に、各種太陽電池に対応できる、ロングパルスと呼ばれる発光長の長いフラッシュ光を用いる場合は、1回の発光回数を少なくすることが非常に重要である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、太陽電池の出力特性を損なうことなく、フラッシュ光必要回数を減少させることができる太陽電池出力特性の測定装置および測定方法を提供することにある。
本発明に係る太陽電池出力特性の測定装置は、上記課題を解決するために、太陽電池に光を照射して当該太陽電池の電流電圧特性を測定する装置であって、測定対象となる太陽電池に対してパルス波形の頂部が平坦になるフラッシュ光を照射する光源と、上記太陽電池に制御可能な負荷を与えて上記太陽電池が出力する電圧を変化させる電圧可変手段と、上記光源により照射された太陽電池が出力する電圧および電流を、上記電圧可変手段による上記電圧の増加に応じて、複数の測定点で順に測定する測定手段とを備え、上記電圧可変手段は、上記測定手段が0以下の電流値を測定した時点で上記電圧の増加を停止することを特徴としている。
上記構成において、光源からフラッシュ光を照射された太陽電池は電流及び電圧を出力する。光源がフラッシュ光を照射している間、電圧可変手段が負荷を制御して太陽電池の出力電圧を増加させると共に、測定手段が太陽電池の出力電圧および出力電流を、当該出力電圧が低い側から高い側に向かって複数の点で順に測定する。これによって太陽電池のI−V特性が測定される。
ここで、太陽電池の出力電圧が増加していくと、出力電力が急激に減少するときがくる。そこで、電圧可変手段は、測定手段が0以下の出力電流を測定した時点で、出力電圧の増加を停止させる。これによって、太陽電池に過度の逆バイアスがかかることを防止し、太陽電池の破壊を避けることができる。
したがって、本発明に係る測定装置によれば、予備測定を行わずとも負荷の掃引範囲は制限され、太陽電池の特性を損なうことなく、I−V特性測定時のフラッシュ光回数を減少させることができる。これによって光源ランプの寿命を延ばすことができる。
また本発明に係る太陽電池出力特性の測定装置は、上記光源からの光を受光する受光部を有する照度検出器と、上記光源により照射される上記受光部の温度管理を行う上記温度管理システムとをさらに備えることが好ましい。
上記構成によれば、例え光源が長波長用光源を含んで構成されていたとしても、熱変動影響を抑えた照度設定を行うことができる。これによって、I−V特性をより精密に測定することができる。
また本発明に係る太陽電池出力特性の測定装置において、上記温度管理システムは、上記光源により照射される上記太陽電池の照射面の温度管理をさらに行うことが好ましい。
上記構成によれば、例え光源が長波長用光源を含んで構成されていたとしても、測定データに対する熱変動影響を抑制することができる。これによって、I−V特性をより精密に測定することができる。
また本発明に係る太陽電池出力特性の測定装置において、上記複数の測定点で測定された上記電圧および上記電流に対応する電圧−電流関係に基づいて、上記電圧および上記電流についての所望の測定点数のデータを取得するデータ処理手段をさらに備えることが好ましい。
上記構成によれば、最終的に得られるデータのサンプル数を常に適正化できる。このため、上記測定後、太陽電池の出力する電圧−電流のデータを容易に管理することができる。
また本発明に係る太陽電池出力特性の測定装置は、上記電圧可変手段による上記電圧の増加の際、上記複数の測定点のうち、2つめ以降の各測定点において、前回測定点からの電圧増加量に対する電流変化の傾きを検出する電流変化検出手段をさらに備え、上記電流変化検出手段が、前回測定点で検出した上記傾きに対して2倍以上の上記傾きを検出したとき、上記電圧可変手段は、次回の測定点以降における上記電圧増加量を、今回測定点までの上記電圧増加量よりも減少させることが好ましい。
上記構成によれば、電流変化検出手段は、太陽電池の出力電圧が増加していく過程において、出力電流が急激に減少する測定点を検出する。このとき、次の測定点以降の電圧変化量を減少させることによって、I−V特性曲線の電流変化率が大きい範囲における測定点を増やすことができる。これによって、I−V特性をより精密に測定することができる。
また本発明に係る太陽電池出力特性の測定装置において、上記電流変化検出手段が、前回測定点で検出した上記傾きに対して2倍以上の上記傾きを検出したとき、上記電圧可変手段は、上記電圧を前回測定点における値に戻してから、次回の測定点以降における上記電圧増加量を、今回測定点までの上記電圧増加量よりも減少させることが好ましい。
上記構成によれば、I−V特性曲線の電流変化率が大きく変化する範囲を含めた範囲で、より的確にデータ点を増やすことができる。これによって、I−V特性をより精密に測定することができ、太陽電池の最大電力点Pmaxを精度よく検出することができる。
本発明に係る太陽電池出力特性の測定方法は、上記課題を解決するために、測定対象となる太陽電池に対して、光源からパルス波形の頂部が平坦になるフラッシュ光を照射する照射工程と、上記照射工程の間、上記太陽電池の負荷を制御して当該太陽電池の出力電圧を増加させながら、上記太陽電池の出力電圧および出力電流を複数の測定点で順に測定する測定工程と、上記測定工程において0以下の電流値が測定された時点で当該測定工程を停止させる測定停止工程とを含むことを特徴としている。
上記方法によれば、太陽電池の特性を損なうことなく、I−V特性測定時のフラッシュ光必要回数を減少させることができる。
本発明に係る太陽電池出力特性の測定装置は、太陽電池に光を照射して当該太陽電池の電流電圧特性を測定する装置であって、測定対象となる太陽電池に対してパルス波形の頂部が平坦になるフラッシュ光を照射する光源と、上記太陽電池に制御可能な負荷を与えて上記太陽電池の出力電圧を変化させる電圧可変手段と、上記光源により照射された太陽電池の出力電圧および出力電流を、上記電圧可変手段による上記出力電圧の増加に応じて、複数の測定点で順に測定する測定手段とを備え、上記電圧可変手段は、上記測定手段が0以下の電流値を測定した時点で上記出力電圧の増加を停止することを特徴としている。これによって、太陽電池の特性を損なうことなく、I−V特性測定時のフラッシュ光回数を減少させることができる。
本実施形態に係るソーラーシミュレータにおける測定方法を示すフローチャートである。 本実施形態に係るソーラーシミュレータを概略的に示す構成図である。 キセノンランプによるフラッシュ光の波形図である。 図1に示す測定方法による太陽電池のI−V特性を示すグラフである。 本実施形態に係るソーラーシミュレータにおける測定方法の他の態様を示すフローチャートである。 図5に示す測定方法による太陽電池のI−V特性を示すグラフである。 本実施形態に係るソーラーシミュレータにおける測定方法のさらに他の態様を示すフローチャートである。 図7に示す測定方法による太陽電池のI−V特性を示すグラフである。 太陽電池のI−V特性を説明するためのグラフである。
本発明に係る一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、擬似太陽光を照射するソーラーシミュレータを太陽電池の出力特性の測定装置として用いている。また、本明細書において、測定対象とする「太陽電池」は、光起電力素子および光センサーなども含む全般的な光電変換素子に置き換えて測定してもよい。
〔ソーラーシミュレータ100〕
まず、擬似太陽光を照射するソーラーシミュレータ100の光学系の構成について、図2を参照して説明する。図2は、ソーラーシミュレータ100を概略的に示す構成図である。
図2に示すように、本実施形態に係るソーラーシミュレータ100は、キセノンランプ(短波長用光源)1とハロゲンランプ(長波長用光源)4とを含む光学系セット14a、14b、光立ち上げ部13を備えている。
光学系セット14a、14bの各々において、キセノンランプ1から出た光は、キセノン用リフレクタ2で集光され、導光路3から、エアマスフィルター8(1枚〜2枚から構成)を通して、波長選択ミラー7で反射されて、光立ち上げ部13に導入される。同様に、ハロゲンランプ4から出た光は、ハロゲン用リフレクタ5で集光され、導光路6から、エアマスフィルター9(1枚〜3枚から構成)を通して、波長選択ミラー7を透過し、光立ち上げ部13に導入される。
光立ち上げ部13は、導光板10と、太陽電池23に光を照射するためのプリズムシートなどの光屈折部11とを備えている。また、導光板10には散乱体12が印刷されており、導光板10から光を取り出すことができる。さらに、導光板10の下に反射板を配置(図示せず)すれば光立ち上げ効率を上げることができる。光立ち上げ部13を出た光は太陽電池23に照射され、これによって太陽電池23の評価が可能になる。
続いて、ソーラーシミュレータ100の光学系以外の構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態に係るソーラーシミュレータ100は、キセノンランプ1に接続された電源21Aおよびフラッシュ発光制御回路22A、ハロゲンランプ4に接続された電源21Bおよび発光時間制御回路22B、ならびに照度検出器24を備えている。
キセノンランプ1の光量は、電源21Aおよびフラッシュ発光制御回路22Aの制御により調整される。また、ハロゲンランプ4の光量は、電源21Bおよび発光時間制御回路22Bの制御により調整される。このうち、フラッシュ発光制御回路22Aは、パルス波形の頂部を平坦にするようにキセノンランプ1を制御する。
照度検出器24は、照度レベルを検出する受光素子であり、導光板10の上に配置されるプリズムシート11の上方において、キセノンランプ1とハロゲンランプ4の双方の光源からの光が到達可能な位置に配置される。照度検出器24は、キセノン光およびハロゲン光の各々の光量を同時モニターすることができる。
また、本実施形態に係るソーラーシミュレータ100は、I−V特性の測定時に太陽電池23から出力される電流・電圧を可変にする電圧可変手段として、負荷回路25および電子負荷設定回路28を備えている。負荷回路25は、電子負荷25a、直流電源25b、シャント抵抗25cから構成されており、電子負荷25aは測定対象となる太陽電池23に接続されている。電子負荷設定回路28は、電子負荷25aを制御することによって、太陽電池23の負荷を変化させることができる。なお、電子負荷25aと直流電源25bは、バイポーラ電源等に置き換えられてもよい。
また、ソーラーシミュレータ100は、パソコン26およびデータ処理ボード(測定手段、データ処理ボード)27を備える。パソコン26は、データ収集ボード26aおよびアナログ出力ボード26b、ならびに、記録装置(図示しない)を備えている。データ処理ボード27は、太陽電池23から出力された電流および電圧のアナログ出力信号をデータ収集ボード26aで収集可能な信号に変換する。
パソコン26およびデータ処理ボード27はデータ格納システムを構成しており、太陽電池23から出力される電流と電圧のデータ、および照度検出器24から検出される照度のデータを記録装置などに格納する。また、パソコン26は、他の部材を制御する制御装置を兼ねている。
本実施形態に係るソーラーシミュレータ100によれば、電子負荷25aの変化速度を設定することにより、キセノンランプ1の1回のフラッシュ発光の間に、200点以上の電圧、電流の組み合わせを測定することが容易である。
〔照度設定方法〕
本実施形態に係るソーラーシミュレータ100では、電流電圧特性の測定する前に照度設定を行うことが好ましい。この照度設定の方法について以下に説明する。
まず、測定対象となる太陽電池23が配置される位置に、太陽電池23に代えて基準太陽電池を配置し、照度検出器24を所定の位置に配置する。この所定の位置とは、立ち上げ部13の上方であって、立ち上げ部13による太陽電池23への照射を阻害しない位置であればよい。基準太陽電池は規定照度(1000W/m)での短絡電流Isc又は最大出力Pmaxの校正データを有する。この校正データをデータ収集ボード26aに設定しておく。
次いで、ハロゲンランプ4が先行して点灯し、その後、キセノンランプ1が点灯してから、データ収集ボードが基準太陽電池の出力と、照度検出器24の出力を測定する。そのデータを受け取るパソコン26が、基準太陽電池の出力の測定結果が校正データと合致するように電源21A、電源21Bを制御してランプ電圧又はランプ電流を逐次変更し、上記測定を繰り返えさせる。基準太陽電池の出力の測定結果が校正データと合致するに至った際、パソコン26はそのときの照度検出器24の出力を記憶する。以上により、照度設定は完了となる。
なお、キセノンランプ1とハロゲンランプ4と同時点灯による照度設定の前には、キセノンランプ1およびハロゲンランプ4のどちらか一方の照度設定を個別に行うことが好ましい。
また、ハロゲンランプ4は熱線を発するため、ハロゲンランプ4点灯の際には、照度検出器24の温度を測定および確認しながら照度設定を行うことが好ましい。具体的には、ソーラーシミュレータ100が、照度検出器24の受光素子(受光部)の温度をモニターするような測定システムを備えることが好ましい。温度影響を考慮して照度設定を行うことによって、太陽電池23へ照射する照度も安定して管理でき、高いスペクトル合致度を得ることができる。また、ソーラーシミュレータ100は、温度のモニターに加えて、照度検出器24を温度管理可能な状態にする構造(温度管理システム)を備えていてもよい。この場合、照度検出器24としては、被測定体と同性能の太陽電池セルを使用することが望ましい。
温度管理システムは、照度検出器24が配置された回路基板における、当該照度検出器24の受光面の近傍箇所に対して、熱電対を接続することによって構成することができる。
また、本実施形態では、キセノンランプ1とハロゲンランプ4との両方が搭載されているため、双方の光源の点灯状態で照度設定を行っているが、本発明は複数の光源を有することに限られない。例えば、光源ランプがキセノンランプ1だけである場合、これを複数回フラッシュ点灯させることによって照度設定をしてもよい。
照度設定後は、基準太陽電池を外し、次に被測定体となる太陽電池23を載せて接続する。これによってI−V特性を測定できる状態になる。
〔I−V特性の測定方法〕
次に、本実施形態に係る太陽電池のI−V特性の測定方法について図1を参照して説明する。図1は、太陽電池のI−V特性の測定方法を示すフローチャートである。
まず、ハロゲンランプ4を先行して点灯した後、キセノンランプ1をフラッシュ点灯する(ステップS11)。ここで、キセノンランプ1は、パルス波形の頂部が平坦になるフラッシュ光を発光する。このフラッシュ光は、図3に示すように、ロングパルスと言われる長時間(例えば100msec)の照度平坦部を有するパルス光であることが好ましい。ロングパルス発光には、応答の速い太陽電池から、応答の遅い太陽電池まで、多様な種類の太陽電池の測定に対応できるメリットがある。
次に、I−V特性の測定を開始する(ステップS12)。本実施形態では、キセノンランプ1が1回のフラッシュ発光(ロングパルス発光)をしている間に、I−V特性の測定を完了させる。このため、ステップS11にて発光された1回のフラッシュ発光中に、太陽電池23につながる電子負荷25aを変化させながら、太陽電池23から出力される電圧電流を測定する。
具体的には、電子負荷設定回路28が、短絡から開放に向かって電子負荷25aを変化させることにより、太陽電池23からの出力電圧を増加させる。ここで、電子負荷設定回路28は、電子負荷25aを連続的に変化してもよいし、ステップ状に変化してもよい。
電子負荷25aの変化の間、データ処理ボード27は、太陽電池23の出力電圧および出力電流のデータを複数の測定点で順に測定、収集し、パソコン26が当該データを記録装置に記録する。この測定結果に基づくグラフを図4に示す。
図4に示すように、電子負荷25aの変化により電圧値を増加させていくと、あるポイントから電流値が急減し、0の状態になるときがくる。この状態での電圧値が開放電圧Vocとなる。ここで、電流値が0以下になり、さらに過度の逆バイアスがかかる状態になると、太陽電池23が破損してしまう危険がある。
そこで、本実施形態に係るソーラーシミュレータ100では、I−V特性の測定開始後、データ処理ボード27が0以下の電流値を測定すると(ステップS13でYes)、I−V特性の測定が停止する。すなわち、電子負荷設定回路28が電子負荷25aの変化を停止し、それ以上電圧が増加しないようにする。このようなリミット機能によって、過度の逆バイアスによる太陽電池23の破損を防止できる。
一方、データ処理ボード27の測定する電流値が0よりも大きい間は(ステップS13でNo)、そのまま測定が継続される。
なお、電流変化率は、電圧値が開放電圧に近づくほど大きくなる。また、電流変化率の程度は測定される太陽電池によっても異なる。このことから、電流が0になる点の検出には細心の注意を払うことが好ましい。
例えば、ソーラーシミュレータ100では、照度の変動率が±1%以下(ソーラーシミュレータの最上等級レベル)に設定されていることが多く、この変動分の誤差を考慮して0レベルをすることが望ましい。このため、最大電流値(短絡電流値)に対して1%以下の電流値を電流値0の判定点とすることが好ましい。これは、逆バイアスをかけすぎることなく、ソーラーシミュレータの開放電圧(電流値0のときの電圧値)を確実に求めることができる利点がある。なお、本明細書において、電流値0とは、厳密に0であることに限定されない。
以上の測定方法によれば、予備測定を行わずとも過度の逆バイアスを防止できるため、キセノンランプ1およびハロゲンランプ2を発光させる回数を必要最小限に抑えることができる。すなわち、照度が狂わない限り、1回のI−V特性測定において1回のフラッシュ発光で済むため、キセノンランプ1およびハロゲンランプ2の寿命を大幅に延ばすことができる。
(照度について)
I−V特性測定時、照度検出器24により検出される照度が前記記憶させた照度になるように電源21A、電源21Bが制御され、これによって規定照度近傍(規定範囲内)での測定が行われる。このとき、予め、ランプ電圧に関して照度がどのように変化するかの特性を把握しておくことにより照度調整精度をより高めることができる。
また、上述の照度設定時と同様に、I−V特性測定時においても、ハロゲンランプ4を点灯させることによる温度上昇の影響を排除するために、太陽電池23の照射面における温度を管理することが好ましい。例えば、ハロゲンランプ4の光を光立ち上げ部13に導入する前の部分であって太陽電池23の照射面を遮らない位置に熱電対などの温度センサーを配置しておく。さらに、ハロゲンランプ4の点灯時に、照度検出器24の温度が目標設定温度25℃になるように、上記温度センサーの温度と照度検出器24の温度との関係を制御系に記録しておく。これによって、ソーラーシミュレータ100の測定機能を妨げずに、温度管理を行うことが可能になる。
具体的には、照度設定に用いた温度管理システムが、照度設定時の管理温度と、I−V特性測定時の管理温度を一致させることが好ましい。これによって、太陽電池23に対する照度の設定照度からのずれが小さくなり、結果としてI−V特性の測定精度が高まることになる。また、太陽電池の動作温度として好ましい25℃を管理設定温度とすることで、さらにI−V特性の測定精度を高めることができる。
〔リサンプリングを行うI−V特性の測定方法〕
次に、本実施形態に係る測定方法の他の例について図5および図6を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る測定方法の他の例について示すフローチャートであり、図6はその方法により得られるI−V特性を示すグラフである。
例えば、複数の太陽電池23を被測定対象とする場合、負荷を変化させた際の電流変化の様子は太陽電池23の間で異なる場合がある。例えば、図6(a)(b)に示すように、2つの太陽電池23の間で電流が0以下になる位置が異なる場合がある。この結果、一方の太陽電池23では測定されたサンプル数がn個であり(図6(a)参照)、他の一方の太陽電池23では測定されたサンプル数がn個である(図6(b)参照)。なお、図6(a)および(b)のいずれにおいても、一定の電圧増加量ΔV毎に電流値を計測している。
I−V特性測定後に測定データを管理するためには、被測定対象である複数の太陽電池23の間で、サンプル数が揃っていることが好ましい。サンプル数が揃っていれば、測定後のデータの加工や測定データを用いた性能評価等が容易になる。
そこで、ソーラーシミュレータ100は、太陽電池23のサンプル数を一定にするために、図5に示す測定方法を行うことができる。
なお、ステップS11からS13までは上述の測定方法と同様であるため説明を省略する。
I−V特性の測定を開始した後、データ処理ボード27が0以下の電流値を測定すると(ステップS13でYes)、I−V特性の測定は一旦終了する。
その後、ソーラーシミュレータ100では、ランプを発光させないで、データ処理ボード27が、記録された測定データに基づいて補間曲線を求め(ステップS14)、当該補完曲線に基づいて、所定の電圧変化に対する電流変化の関係曲線(電圧−電流関係)をデータ化(リサンプリング)する(ステップS15)。すなわち、ステップS14およびS15では、データ処理ボード27により、得られた測定点数のデータを所望の測定点数(n)のデータに変換するデータ処理が行われる。
例えば、図6(a)のI−V特性を示した太陽電池23では、図6(c)に示すように、一定の電圧増加量ΔV毎によるn個のサンプルが得られる。同様に、図6(b)のI−V特性を示した太陽電池23では、図6(d)に示すように、一定の電圧増加量ΔV毎によるn個のサンプルが得られる。
以上の方法によれば、サンプル数の揃ったデータ処理しやすい測定結果が精度良く得られる。なお、1つの太陽電池に対する測定は1回の実施で済ますことができる。
〔電流値変化率を求めるI−V特性の測定方法〕
次に、本実施形態に係る測定方法のさらに他の例について図7および図8を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る測定方法のさらに他の例について示すフローチャートであり、図8はその方法により得られるI−V特性を示すグラフである。
本実施形態では、電流値が0になる点を検出するために、電流値の変化が大きく変化する電圧範囲における測定の精度が重要になる。この測定精度が粗いと、電流値が0になる点を正確に検出できないばかりか、過度の逆バイアスがかかり、太陽電池の破損の危険さえ生じる。一方、電流値の変化が小さな電圧範囲では、それほど多くの測定点を必要としない。
そこで、ソーラーシミュレータ100は、より精度を高めたI−V特性を測定するために、図5に示す測定方法を行うことができる。
なお、ステップS21およびS22は上述のステップS11およびS12と同様であるため説明を省略する。
I−V特性の測定を開始した後、パソコン26は電流変化検出手段として、2組目の測定点からその後の各測定点において電流変化率の検出を開始する(ステップS23)。ここで、電流変化率(電流変化の傾き)は、各測定点において、1つ前の測定点(前回測定点)に対する電流変化量ΔIを、1つ前の測定点に対する電圧変化量ΔVで割った値として求められる。その後の測定の間、パソコン26は電流変化率ΔI/ΔVをモニターする。これにより図8(a)に示すようなデータが得られる。
電子負荷25aの変化により電圧値を増加させていくと、やがて、図8(b)に示すように、モニターしている電流変化率ΔI/ΔVが大きく変化する点が現れる。パソコン26が所定値以上の電流変化率ΔI/ΔVを検出すると(ステップS24でYes)、次回測定点以降における電圧増加量ΔVが減少するように設定される。この設定は、例えば、電子負荷設定回路28が電子負荷25aの掃引速度を遅くすることによって行われる。これにより、次回測定点以降は、今回測定点までの電圧増加量ΔVよりも小さな電圧増加量毎ΔV毎に測定が行われ、その後の測定点の数が増加する(ステップS25)。
なお、パソコン26が所定値以上の電流変化率ΔI/ΔVを検出するまでは(ステップS24でNo)、それまでの測定が継続される。
ステップS24において、「所定値」とは、一般的測定による太陽電池のI−Vカーブの傾き傾向に基づいて、電流変化率ΔI/ΔVが大きく変化したと判断できる値に設定すればよい。例えば、「所定値」を、直前の測定点で求められた電流変化率ΔI/ΔVの値に対して2倍の値に設定することが好ましい。ここで、電流変化率ΔI/ΔVの変化は、開放電圧に近づくと急激に変化が大きくなる。具体的には、電圧値の変化が小さい領域であるが、電流変化率ΔI/ΔVの変化が100倍程度までの急激な変化を起こす領域が存在する。このため、直前の測定点で求められた電流変化率ΔI/ΔVの値に対して1倍台の変化の差によっては、この急激な電流変化率ΔI/ΔVの変化を検出するのが難しく、電流変化率ΔI/ΔVの変化がより明確になる2倍を電流変化率ΔI/ΔVの大きな変化の基準と見なすことができる。この設定により、電流変化率ΔI/ΔVが大きく変化する点を確実に検出できる。
次いで、小さな電圧増加量毎ΔV毎に、電流値が0以下になるまで測定を継続する。データ処理ボード27が0以下の電流値を測定すると(ステップS26でYes)、I−V特性の測定が停止される。
以上の方法によれば、サンプル数を増やすことが望ましい範囲、すなわち電流値の変化が大きい範囲において、測定精度を高めることができる。
ただし、上記方法によれば、測定対象毎に得られるサンプル数が異なる可能性が高い。このため、データ管理上の利便性を求めるならば、リサンプリング(以下のステップS27およびS28)を行うことが好ましい。
I−V特性の測定を停止した後、ソーラーシミュレータ100は、上述したように測定値から補間曲線を求め(ステップS27)、これに基づいてサンプル数を調整してリサンプリングを行う(ステップS28)。これによって、得られるサンプル数を一定にすることができる。
なお、ステップS27では、高い精度を有する測定結果に基づいて補間曲線が求められるため、ステップS28におけるリサンプリング誤差は小さくなる。したがって、より精度の高いI−V特性を測定することができる。
また、上記方法において、ステップS25を以下のように行ってもよい。
すなわち、パソコン26が所定値以上、例えば前述のように電流変化率ΔI/ΔVが2倍になるところを検出したとき(ステップS24でYes)、電子負荷設定回路28は、1つ前の測定点における電圧になるように電子負荷25aを戻してから、電圧増加のための掃引速度を遅くすることが好ましい。これによって、I−V特性曲線において電流変化率ΔI/ΔVが大きく変化する近傍に現れる最大電力点Pmaxを精度よく検出することができる。
本発明は、フラッシュ発光を用いる太陽電池の測定方法として好適に利用することができる。
1 キセノンランプ(光源)
4 ハロゲンランプ(光源)
14a、14b 光学系セット
21A 電源
21B 電源
22A フラッシュ発光制御回路
22B 発光時間制御回路
23 太陽電池
24 照度検出器
25 負荷回路(電圧可変手段)
25a 電子負荷
26 パソコン(電流変化検出手段)
26a データ収集ボード
26b アナログ出力ボード
27 データ処理ボード(測定手段、データ処理手段)
28 電子負荷設定回路(電圧可変手段)
100 ソーラーシミュレータ(測定装置)

Claims (5)

  1. 太陽電池に光を照射して当該太陽電池の電流電圧特性を予備測定不実施にて測定する装置であって、
    測定対象となる太陽電池に対して、パルス波形の頂部が平坦になり、かつ照度の変動率が1%以下に設定されているフラッシュ光を照射する光源と、
    上記太陽電池に制御可能な負荷を与えて上記太陽電池が出力する電圧を変化させる電圧可変手段と、
    上記光源により照射された上記太陽電池が出力する電圧および電流を、上記電圧可変手段による上記電圧の増加に応じて、複数の測定点で順に測定する測定手段とを備え、
    上記電圧可変手段は、上記出力される電圧を増加させたときの上記太陽電池が出力した最大電流値に対して1%以下の電流値を上記測定手段が測定した時点で上記電圧の増加を停止する共に、
    上記電圧可変手段による上記電圧の増加の際、上記複数の測定点のうち、2つめ以降の各測定点において、前回測定点からの電圧増加量に対する電流変化の傾きを検出する電流変化検出手段をさらに備え、
    上記電流変化検出手段が、前回測定点で検出した上記傾きに対して2倍以上の上記傾きを検出したとき、上記電圧可変手段は、次回の測定点以降における上記電圧増加量を、今回測定点までの上記電圧増加量よりも減少させることを特徴とする太陽電池出力特性の測定装置。
  2. 上記光源からの光を受光する受光部を有する照度検出器と、
    上記光源により照射される上記受光部の温度管理を行う温度管理システムとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池出力特性の測定装置。
  3. 上記温度管理システムは、上記光源により照射される上記太陽電池の照射面の温度管理をさらに行うことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池出力特性の測定装置。
  4. 上記複数の測定点で測定された上記電圧および上記電流に対応する電圧−電流関係に基づいて、上記電圧および上記電流についての所望の測定点数のデータを取得するデータ処理手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池出力特性の測定装置。
  5. 上記電流変化検出手段が、前回測定点で検出した上記傾きに対して2倍以上の上記傾きを検出したとき、上記電圧可変手段は、上記電圧を前回測定点における値に戻してから、次回の測定点以降における上記電圧増加量を、今回測定点までの上記電圧増加量よりも減少させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池出力特性の測定装置。
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