JP5664872B2 - 溶融ガラスの製造方法、ガラス溶融炉、ガラス製品の製造装置、及びガラス製品の製造方法 - Google Patents

溶融ガラスの製造方法、ガラス溶融炉、ガラス製品の製造装置、及びガラス製品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高温の気相雰囲気中でガラス原料粒子とガラスカレット片からそれぞれ液状のガラス粒子を形成して溶融ガラスを製造する溶融ガラスの製造方法、当該製造方法を実施するガラス溶融炉、当該溶融炉を備えたガラス製品の製造装置、及び上記製造方法を用いたガラス製品の製造方法に関する。
特許文献1、2には、高温の気相雰囲気中でガラス原料粒子を溶融し集積してガラス融液を製造するガラス溶融炉として、ガラス溶融炉の天井部にガラス原料粒子投入部とガラス原料粒子を溶融するための高温の気相雰囲気を形成する加熱手段とを備えたガラス溶融炉が開示されている。
このガラス溶融炉は、ガラス原料粒子投入部から炉内に投入したガラス原料粒子を、加熱手段により加熱された高温の気相雰囲気中で溶融して液状ガラス粒子とし、液状ガラス粒子をガラス溶融炉底部に集積させてガラス融液を形成し、ガラス融液をガラス溶融炉底部に一時貯留して排出する装置である。また、このような溶融ガラスの製法はガラスの気中溶融法として知られている。この気中溶融法によれば、従来のシーメンス窯による溶融法と比較して、ガラス溶融工程の消費エネルギーを1/3程度まで低減することができるとともに短時間で溶融が可能になり、溶融炉の小型化、蓄熱室の省略、品質の向上、COの削減、ガラス品種の変更時間の短縮化を図ることができると言われている。このようなガラスの気中溶融法は、省エネルギー技術として注目されている。
ところで、ガラス原料粒子投入部から投入されるガラス原料粒子は、ガラス原料の混合物からなり、粒径が1mm以下に造粒されたものが一般に使用される。ガラス溶融炉に投入されたガラス原料粒子は、高温の気相雰囲気中を下降(飛翔)する間にその一粒一粒が溶融されて液状ガラス粒子となり、液状ガラス粒子は下方に落下してガラス溶融炉底部に集積し、ガラス融液を形成する。このガラス原料粒子から生成する液状ガラス粒子は、ガラス液滴とも表現できるものである。高温の気相雰囲気中で短時間にガラス原料粒子から液状ガラス粒子を生成させるためには、ガラス原料粒子の粒径は上記のように小さなものである必要がある。また、通常の場合、個々のガラス原料粒子から生じる個々の液状ガラス粒子はほぼ同一のガラス組成を有する粒子である必要がある。
ガラス原料粒子が液状ガラス粒子となるときに発生する分解ガス成分は、ガラス原料粒子と液状ガラス粒子がともに小さな粒子であることより、生成する液状ガラス粒子の内部に閉じ込められることなくそのほとんどが液状ガラス粒子外部に放出される。このため、液状ガラス粒子が集積したガラス融液中に泡が生じるおそれは少ない。
一方、各ガラス原料粒子は、構成原料成分がほぼ均一な粒子であり、それから生じる各液状ガラス粒子のガラス組成も相互に均一である。液状ガラス粒子間のガラス組成の相違が少ないことより、多数の液状ガラス粒子が堆積して形成されるガラス融液内に、ガラス組成が異なる部分が生じるおそれは少ない。このため、従来のガラス溶融炉に必要とされていたガラス融液のガラス組成を均質化するための均質化手段が、気中溶融法ではほとんど必要とされない。たとえ少数の液状ガラス粒子が他の大部分の液状ガラス粒子とガラス組成が異なる場合が生じたとしても、液状ガラス粒子は粒径の小さな粒子であることより、ガラス組成が異なる少数の液状ガラス粒子から生じた、ガラス融液中のガラス組成の異質領域は小さく、この異質領域は短時間で容易に均質化して消失する。このように、気中溶融法ではガラス融液の均質化に必要とする熱エネルギーを低減し、均質化に要する時間を短くすることができる。
特許文献1のガラス溶融炉は、高温の気相雰囲気を形成する加熱手段として、複数本のアーク電極、及び/又は酸素燃焼ノズルを備えており、複数のアーク電極が形成する熱プラズマアーク、及び/又は酸素燃焼ノズルによる酸素燃焼炎(フレーム)によって炉内に約1600℃以上の高温気相雰囲気が形成されている。この高温気相雰囲気中にガラス原料粒子を投入することにより、高温気相雰囲気内でガラス原料粒子を液状ガラス粒子に変化させる。また、特許文献1において使用されているガラス原料粒子としては、短時間で液状ガラス粒子に変化させることができ発生ガスの放散が容易である観点から、粒径が0.5mm(重量平均)以下のものが使用されている。さらに、ガラス原料粒子の微粉化によるコスト上昇と、生成する液状ガラス粒子間のガラス組成変動の低減の観点から、粒径が0.01mm(重量平均)以上のものが使用されている。
一方、特許文献2のガラス溶融炉は、加熱手段として、ガラス溶融炉の天井壁に下向きに取り付けられた酸素バーナを備えている。この酸素バーナには、酸素濃度90容量%以上の支燃ガスとガラス原料が供給されるように、ガス供給系と原料供給系とが接続されている。よって、このガラス溶融炉によれば、酸素バーナを燃焼させ下向きに火炎を形成するとともに、酸素バーナからガラス原料粒子をその火炎中に下向きで供給し、火炎中で液状ガラス粒子を生成させ、生成した液状ガラス粒子を火炎直下の炉底に集積させてガラス融液を形成させている。
特許文献1、2のガラス溶融炉によって製造された約1600℃の溶融ガラスは、ガラス溶融炉から温度調整槽又は清澄槽に供給され、ここで成形可能な温度(ソーダライムガラスでは約1000℃程度)まで冷却される。そして、この溶融ガラスは、フロートバス、フュージョン成形機、ロールアウト成形機、ブロー成形機、プレス成形機等のガラス製品の成形手段に供給され、ここで各種形状のガラス製品に成形される。そして、成形されたガラス製品は、徐冷手段によって略室温まで冷却され、その後、必要に応じて切断手段による切断工程、及び/又はその他の後工程を経た後、所望のガラス製品に製造される。
ところで、溶融ガラスの製造に関しては、ガラス原料の他にガラスカレット片の利用が不可欠なため、気中溶融法を実用化するにはガラスカレット片を併用できる装置であることが要求される。
そこで、特許文献1には、ガラスカレット片を粒径5μm以内の粒子状に粉砕し、これをガラス原料粒子とともに高温の気相雰囲気中に通過させて集積しガラス融液とする、溶融ガラスの製造方法が開示されている。また、特許文献1には、予め外径5mm程度に粉砕したガラスカレット片をガラス溶融炉外の場所で約700℃に予備加熱した後、ガラス融液に直接投入して加熱する方法が開示されている。
特開2007−297239号公報 特開2008−290921号公報
しかしながら、ガラスカレット片の併用技術が開示された特許文献1の溶融ガラスの製造方法では、ガラスカレット片を他のガラス原料粒子と共に高温気相雰囲気中に通過させて溶融させるためには、ガラスカレット片を粒径5μm以内の粒子状に粉砕しなければならず、その粉砕に手間と時間を費やすという問題があった。また、粒径が0.5mmを超えるようなガラスカレット片の場合には、そのガラスカレット片を他の場所で約700℃に予備加熱する予備加熱装置、及び予備加熱されたガラスカレット片をその高温を維持しつつガラス溶融炉に供給する供給装置が必要となるので、製造設備が大掛かりなものとなり、コストもかかるという問題があった。
本発明において「ガラスカレット」とは、本発明において最終目的物であるガラス製品のガラスとほぼ同一のガラス組成からなるガラスカレットを意味する。このガラスカレットは、通常、本発明における、溶融炉底部に形成されたガラス融液から最終目的物であるガラス製品を製造する工程で発生する。ただし、これに限られるものではなく、本発明の最終目的物であるガラス製品のガラスとほぼ同一のガラス組成からなる他のガラス製品の製造工程から発生するガラスカレット、本発明によって得られた最終目的物のガラス製品を使用する工程から生じるガラスカレット、などであってもよい。上記他のガラス製品の製造工程におけるガラス溶融炉は、気中溶融法を使用したガラス溶融炉に限られるものではない。
ガラスカレットのガラス組成がガラス原料粒子から形成されるガラスのガラス組成とほぼ同一であることより、ガラスカレット片が融解した液状ガラスとガラス原料粒子から形成された液状ガラスが混合したガラス融液のガラス組成は均一なものとなり、均質化に必要とする熱エネルギーが少なく、均質化に要する時間も短い。ガラスカレットのガラス組成とガラス原料粒子から形成される液状ガラス粒子のガラス組成は同一であることが好ましいが、溶融炉底部に形成されたガラス融液がガラス製品となる間にガラス組成がわずかに変化することがあり(例えば、酸化ホウ素などの揮発性ガラス成分の揮散など)、このようなガラス組成のわずかな相違は許容される。
なお、ガラスカレットはすでにガラスとなっている物質からなることから、加熱されたガラスカレット片は単に融解して液状のガラス粒子となる。一方、ガラス原料粒子は、ガラス原料の熱分解(例えば、金属炭酸塩から金属酸化物への熱分解など)、ガラス化反応と呼ばれるガラスとなる成分の反応と溶融、などの化学反応により液状のガラス粒子となる。固体粒子が液状のガラス粒子となるメカニズムはガラス原料粒子とガラスカレット片とでは異なるが、生成する液状のガラス粒子はほぼ同一のガラス組成の液状のガラス粒子である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高温の気相雰囲気中でガラス原料粒子を液状ガラス粒子とするとともに特定粒径のガラスカレット片を少なくとも表面が液状化したガラス粒子とし、両ガラス粒子を炉底に集積してガラス融液とする、溶融ガラスの製造方法を提供することを目的とする。また、この溶融ガラスの製造方法を用いたガラス製品の製造方法、上記溶融ガラスを製造するためのガラス溶融炉、及びこのガラス溶融炉を備えたガラス製品の製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、ガラス溶融炉内の気相雰囲気中でガラス原料粒子を液状ガラス粒子とし、該液状ガラス粒子をガラス溶融炉の底部に集積してガラス融液とする溶融ガラスの製造方法であって、前記ガラス原料粒子が液状ガラス粒子となる気相雰囲気外の炉内気相雰囲気中に短径(A)が0.5mm<A<30mmであるガラスカレット片を供給して該ガラスカレット片を前記気相雰囲気中で少なくとも表面が液状化したガラス粒子とし、該少なくとも表面が液状化したガラス粒子を前記ガラス原料粒子から生成した液状ガラス粒子とともに前記炉底部に集積してガラス融液とし、前記短径(A)のガラスカレット片は、網目の目開き(Opening)の大きさが0.5mmの篩に残り、且つ、網目の目開き(Opening)の大きさが30mmの篩を通過するものであることを特徴とする溶融ガラスの製造方法、を提供する。篩は、ガラスカレット片の選別に一般的に利用されるものであればよく、金属製で目開きを有するものを利用する。本発明でのガラスカレット片については、以下同様である。
本発明によれば、ガラス原料粒子とともに粉砕不要のガラスカレット片を、予備加熱することなくガラス溶融炉に投入して溶融ガラスとすることができる。
また、ガラスカレット片が炉内気相雰囲気中で加熱されて生じた少なくとも表面が液状化したガラス粒子は、全体が融解したガラス粒子、すなわち全体が液状ガラスからなる粒子、であることが好ましい。炉内気相雰囲気中でガラスカレット片を加熱して少なくとも表面が液状となったガラス粒子とすることより、ガラスカレット片の投入量が増加してもガラス融液の温度低下を少なくすることができる。
加熱されたガラスカレット片は、気相雰囲気中で少なくとも表面が融解したガラス粒子となればよく、気相雰囲気中で全体が液状のガラス粒子にならなくてもよい。ガラスカレット片の投入量が増加してもガラス融液の温度低下をより少なくするためには、ガラスカレット片が気相雰囲気中で全体が液状ガラスからなる粒子とすることが好ましい。以下、ガラス原料粒子から生成した液状ガラス粒子を液状ガラス粒子(a)、ガラスカレット片から生成した少なくとも表面が液状化しているガラス粒子を液状ガラス粒子(b)ともいう。
また、本発明は、前記目的を達成するために、ガラス溶融炉内の気相雰囲気中でガラス原料粒子を液状ガラス粒子とし、該液状ガラス粒子を集積してガラス融液とし、該ガラス融液を排出するガラス溶融炉であって、前記ガラス溶融炉内の上部の炉壁部に下向きに設置されたガラス原料粒子投入部、前記ガラス溶融炉内の上部の炉壁部に下向きに設置された、短径(A)が0.5mm<A<30mmであるガラスカレット片を投入するガラスカレット片投入部、前記ガラス溶融炉内のガラス原料粒子投入部下方にガラス原料粒子を液状ガラス粒子とする第1気相部を形成するための加熱手段、前記ガラス溶融炉内のガラスカレット片投入部下方にガラスカレット片を少なくとも表面が液状化したガラス粒子とする第2気相部を形成するための加熱手段、前記2種のガラス粒子を集積してガラス融液を形成する炉底部、および、前記ガラス融液を排出する排出部、を備え、前記短径(A)のガラスカレット片は、網目の目開き(Opening)の大きさが0.5mmの篩に残り、且つ、網目の目開き(Opening)の大きさが30mmの篩を通過するものであることを特徴とするガラス溶融炉、を提供する。ガラスカレット片投入部は、このような大きさのガラスカレット片を炉外から炉壁を貫通して炉内に導入しうる通路を有する。
上記ガラス溶融炉において、第1気相部とは、前記ガラス原料粒子が液状ガラス粒子となる炉内気相雰囲気部分をいい、第2気相部とは、該第1気相部外の炉内気相雰囲気であって、その中でガラスカレット片が少なくとも表面が液状化したガラス粒子となる気相雰囲気部分をいう。すなわち、第1気相部とはガラス原料粒子が液状ガラス粒子(a)となる領域であり、第2気相部とはガラスカレット片が加熱され少なくとも表面が液状化して液状ガラス粒子(b)となる領域である。
本発明は、ガラス原料粒子とガラスカレット片とを併用して溶融ガラスを製造するガラス溶融炉に関し、ガラス原料粒子投入部、ガラスカレット片投入部、第1気相部を形成する加熱手段、第2気相部を形成する加熱手段、炉底部、および排出部を備えたガラス溶融炉である。ガラス溶融炉内には、各気相部を形成する加熱手段によって、少なくとも1つの第1気相部と少なくとも1つの第2気相部が形成されている。第1気相部ではガラス原料粒子が液状ガラス粒子(a)となり、第2気相部ではガラスカレット片が液状ガラス粒子(b)となる。第1気相部にはガラス原料粒子投入部からガラス原料粒子が供給され、第2気相部にはガラスカレット片投入部からガラスカレット片が供給される。ガラス原料粒子投入部とガラスカレット片投入部は、それぞれ、ガラス溶融炉内の上部の炉壁部に下向きに設置され、ガラス原料粒子とガラスカレット片は、別々に、炉外から上部炉壁部を通って、それぞれ上記気相部に供給される。第1気相部で形成された液状ガラス粒子(a)と第2気相部で形成された液状ガラス粒子(b)は炉底部に集積し一体化してガラス融液となる。ガラス融液は、炉底部に一時貯留され、排出部から適宜溶融炉外に排出される。なお、ガラス溶融炉の上部の炉壁部とは、ガラス溶融炉の天井部及び天井部の内壁から1m以内の側壁の範囲をいうこととする。
炉内に第1気相部が複数存在する場合は、それぞれの第1気相部は、それ毎の気相加熱手段によって形成されていることが好ましい。第2気相部は、第1気相部を形成する気相加熱手段とは別の気相加熱手段によって形成される。炉内に第2気相部が複数存在する場合は、それぞれの第2気相部は、それ毎の気相加熱手段によって形成されていることが好ましい。
ガラスカレット片のサイズにおいては、粉砕することなく、かつ予熱することなくガラス溶融炉に投入するために、その粒径を規定した。すなわち、ガラスカレット片の短径(A)を0.5mm<A<30mmに規定した。つまり、短径(A)が0.5mm以下を利用する場合であれば粉砕を必要とし、30mm以上を利用する場合であれば予熱を必要とする。本発明では、このような短径(A)のガラスカレット片を、ガラスカレット片投入部から炉内の第2の気相部に投入し、降下中のガラスカレット片を第2気相部で加熱して少なくとも表面が液状化したガラス粒子とする。
したがって、本発明に係るガラスの溶融炉によれば、ガラス原料粒子とともに粉砕不要のガラスカレット片を、予備加熱することなくガラス溶融炉に投入し溶融することができる。これにより、ガラス原料粒子とガラスカレット片とを併用することができるので、数十トン/日以上、及び数百トン/日以上のガラス製品生産に適した大規模溶融炉に好適となる。
また、本発明のガラス溶融炉において、前記第1気相部及び前記第2気相部は、それぞれ別個の加熱手段によって加熱されている。各気相部を形成する加熱手段としては、酸素燃焼炎を発生させる酸素燃焼バーナ、又は熱プラズマを発生させる一対以上の電極で構成される多相アークプラズマ発生装置のうち少なくとも一つであることが好ましい。
本発明によれば、酸素燃焼バーナによる酸素燃焼炎の場合には約2000℃の高温雰囲気を形成でき、熱プラズマの場合には5000〜20000℃の高温雰囲気を形成できる。よって、第1気相部中を降下するガラス原料粒子を短時間で液状ガラス粒子(a)とすることができ、また、ガラスカレット片の場合も好適に加熱して液状ガラス粒子(b)とすることができる。なお、酸素燃焼バーナ及び一対の電極は、単独で設置してもよく双方を併用してもよい。また、第1気相部を形成するために使用される酸素燃焼バーナとしては、ガラス原料粒子投入部とが一体となった形態のバーナを使用することができる。一方、第2気相部を形成するために使用される酸素燃焼バーナとしては、ガラスカレット片が比較的大きい粒子であることより、ガラスカレット片投入部とは別個に設けた酸素燃焼バーナが好ましい。別個に設けたガラスカレット片投入部と酸素燃焼バーナとは炉壁に近接して設けられ、投入されたガラスカレット片が酸素燃焼バーナで形成された火炎やその近傍の高温雰囲気(すなわち、第2気相部)中を落下するように構成される。
また、本発明のガラス溶融炉において、第2気相部を形成する加熱手段が前記酸素燃焼バーナである場合、該酸素燃焼バーナは、前記ガラスカレット片投入部における下向きのガラスカレット片投入軸に対して、その火炎方向の角度(θ)が1°≦θ≦75°となるように傾斜して配置されていることが好ましい。
本発明において、酸素燃焼バーナが鉛直軸であるガラスカレット片投入軸に向って火炎を吹き付けるようにガラスカレット片投入軸に対し1°≦θ≦75°の角度をもって設置されている場合、ガラスカレット片投入部からガラスカレット片投入軸に沿って落下中のガラスカレット片はその火炎中に効率よく通過する。
また、本発明のガラス溶融炉において、前記第2気相部は、前記上部の炉壁部である天井部の前記ガラスカレット片投入部の周囲に配置された複数の加熱手段によって形成されていることが好ましい。ガラスカレット片投入部に複数配置される加熱手段としては、特に酸素燃焼バーナが好ましい。
上記ガラスカレット片投入部の周囲に複数の加熱手段が配置された構成によれば、第2気相部中を落下するガラスカレット片の一粒一粒は、複数の加熱手段の高熱により効率よく加熱されるので、一粒一粒が十分に加熱されて表面が1000℃以上となり、1000Pa・s以下の粘度を有する、全体が液状のガラス粒子になり易い。ガラスカレット片をさらに高温に加熱して、液状ガラス粒子(a)の温度と同様の高温の液状ガラス粒子とする必要性はない。例えば、液状ガラス粒子(a)やその粒子が集積したガラス融液の温度と同様の、例えば1400℃以上の温度で100Pa・s以下の粘度の液状ガラス粒子とする必要性はない。しかし、液状ガラス粒子(b)の温度を液状ガラス粒子(a)に近い温度とすることにより、液状ガラス粒子(b)の温度がガラス融液の温度に近くなり、液状ガラス粒子(b)の混入によるガラス融液の温度的異質性を小さくできるので、ガラス融液の均質性を向上できる。
また、本発明のガラス溶融炉において、前記複数の加熱手段によって第2気相部を形成する構成においては、前記ガラスカレット片投入部を中心とする同心円状に所定の間隔をもって加熱手段が配置されていることが好ましい。
上記構成によれば、第2気相部中を落下するガラスカレット片の一粒一粒を、その同心円状に配置された加熱手段によって均等に加熱することができる。これによりガラスカレット片の大部分を全体が液状の液状ガラス粒子(b)とすることができ、ガラス融液の均質性が更に向上する。
また、本発明のガラス溶融炉において、前記ガラス原料粒子投入部と前記ガラスカレット片投入部とは、前記炉底部に形成されたガラス融液が前記排出部に向かって流れるガラス融液の流れ方向に沿った異なる位置に配置されていることが好ましい。
また、本発明のガラス溶融炉において、前記ガラス原料粒子投入部は、前記炉底部に形成されたガラス融液が前記排出部に向かって流れるガラス融液の流れ方向と略直角方向に沿って複数配置されていることが好ましい。
また、本発明のガラス溶融炉において、前記ガラス原料粒子投入部は、前記ガラス融液の流れ方向と略直角方向に沿って複数配置され、かつ該複数配置されているガラス原料粒子投入部の列が前記ガラス融液の流れ方向に沿って異なる位置に複数配置されていることが好ましい。
さらに、本発明のガラス溶融炉において、前記ガラスカレット片投入部は、前記炉底部に形成されたガラス融液が前記排出部に向かって流れるガラス融液の流れ方向と略直角方向に沿って1つ又は複数配置され、かつ前記ガラス融液の流れ方向に沿って複数配置され、さらにガラス融液の流れ方向に沿って前記ガラス原料粒子投入部と異なる位置に配置されていることが好ましい。
本発明は、また、特定粒子径のガラスカレット片を用いることに加え、数百トン/日以上のガラス製品生産を達成する大規模溶融炉に適した溶融炉の発明である。この溶融炉は、ガラス原料粒子投入部と前記ガラスカレット片投入部の配置形態を特徴とする。ガラス原料粒子投入部と前記ガラスカレット片投入部の配置形態は、炉内雰囲気中における、第1気相部と第2気相部の配置形態に等しい。
上記量産型の溶融炉を達成するためには、ガラス原料粒子及びガラスカレット片の投入量を増大させる必要がある。しかし、1つの第1気相部と1つの第2気相部とを備えた溶融炉では、各気相部を形成する加熱手段の加熱能力が限られることより、各々の気相部に供給されるガラス原料粒子やガラスカレット片の量が増加すると、ガラス原料粒子やガラスカレット片の単位量当たりの加熱エネルギー量が低下し、生成する液状ガラス粒子(a)や液状ガラス粒子(b)の温度が低下し、その結果ガラス融液の温度が低下するおそれがある。加熱手段は、また、溶融炉内を加熱し、炉底のガラス融液の温度低下を防止して所定の温度に維持するための加熱手段でもあることより、熱エネルギーの上記液状ガラス粒子形成に使用される割合が増大すると炉内温度の維持が困難になるおそれがある。
そこで本発明の一態様では、溶融炉内に第1気相部と第2気相部を各々複数形成する。これにより、一つの気相部あたりのガラス原料粒子やガラスカレット片の量を増加させることなく、ガラス原料粒子及びガラスカレット片の投入量を増大させる。これにより、ガラス原料粒子やガラスカレット片の加熱効率を維持しつつ、炉内温度やガラス融液の温度低下を防止して、量産型の溶融炉を達成する。
また、液状ガラス粒子(a)と液状ガラス粒子(b)とは、熱の履歴が異なるため、微妙に異質なものであるのが通例である。この異質な2種の液状ガラス粒子から形成されるガラス融液は、最終的には同質のガラス融液となる。効率よく同質のガラス融液とするには、液状ガラス粒子を堆積させる際に、異質な2種の液状ガラス粒子を効率よく混合することが望ましい。
そこで本発明の一態様では、第1気相部と第2気相部とを互い違いに配置(Staggered layout)する。これにより、炉底に堆積する両液状ガラス粒子の混合が円滑に行われ、液状ガラス堆積時のガラス融液の異質性を小さくすることができる。また、このような互い違いに配置された第1気相部と第2気相部を、複数列配置することにより、液状ガラス堆積時のガラス融液の異質性を更に小さくすることができる。
また、本発明は、前記目的を達成するために、ガラス溶融炉と、該ガラス溶融炉の前記排出部の下流側に設けられた溶融ガラスを成形する成形手段と、成形後のガラスを徐冷する徐冷手段とを備えたことを特徴とするガラス製品の製造装置を提供する。
また、本発明は、前記目的を達成するために、ガラスの溶融方法により溶融ガラスを製造するガラス溶融工程と、該溶融ガラスを成形する工程と、成形後のガラスを徐冷する工程とを含むことを特徴とするガラス製品の製造方法を提供する。
以上説明したように本発明の溶融ガラスの製造方法、及びガラス溶融炉によれば、ガラス原料粒子とともに粉砕不要のガラスカレット片を、予備加熱することなくガラス溶融炉に投入し溶融することができる。
また、本発明のガラス製品の製造装置、及びガラス製品の製造方法によれば、本発明のガラス溶融炉及び溶融ガラスの製造方法により、大規模溶融炉におけるガラス原料粒子とガラスカレット片の溶融が可能となったので、ガラス製品を大量生産することができる。
本発明のガラス製品の製造装置を構成する第1の実施の形態のガラス溶融炉の平面図 図1に示したガラス溶融炉の側断面図 酸素燃焼バーナの配置位置を変更した第一形態を示す、溶融槽の要部平面図 酸素燃焼バーナの配置位置を変更した第二形態を示す、溶融槽の要部平面図 酸素燃焼バーナの配置位置を変更した第三形態を示す、溶融槽の要部平面図 酸素燃焼バーナの配置位置を変更した第四形態を示す、溶融槽の要部平面図 ガラス原料粒子投入部とガラスカレット片投入部の配置関係を示した第一形態を示す、溶融槽の要部平面図 ガラス原料粒子投入部とガラスカレット片投入部の配置関係を示した第二形態を示す、溶融槽の要部平面図 ガラス原料粒子投入部とガラスカレット片投入部の配置関係を示した第三形態を示す、溶融槽の要部平面図 ガラス原料粒子投入部とガラスカレット片投入部の配置関係を示した第四形態を示す、溶融槽の要部平面図 ガラス原料粒子投入部とガラスカレット片投入部の配置関係を示した第五形態を示す、溶融槽の要部平面図 ガラス製品の製造方法に関する各工程を示したフローチャート
以下、添付図面に従って本発明に係るガラス溶融炉、溶融ガラスの製造方法、ガラス製品の製造装置、及びガラス製品の製造方法の好ましい実施の形態について説明する。
図示したガラス溶融炉において、第1気相部及び第2気相部を形成する加熱手段は酸素燃焼バーナからなる。第1気相部及び第2気相部は、酸素燃焼バーナの火炎中及び火炎近傍の高温部から構成される。
第1気相部にガラス原料粒子を供給するためのガラス原料粒子投入部は酸素燃焼バーナと一体となり、酸素燃焼バーナ出口付近で燃焼ガスを供給する管と酸素を供給する管とガラス原料粒子を供給する管が同軸で構成されている。このガラス原料粒子投入部と酸素燃焼バーナとの組み合わせを第1セットという。
一方、ガラスカレット片投入部と酸素燃焼バーナとは別体で、ガラスカレット片を第2気相部に供給する管と酸素燃焼バーナとは上部の炉壁部に近接し配置されている。このガラスカレット片投入部と酸素燃焼バーナとの組み合わせを第2セットという。
図1は、本発明のガラス製品の製造装置を構成する第1の実施の形態のガラス溶融炉10の天井壁を除いた平面図、図2はガラス溶融炉10の側断面図である。
ガラス溶融炉10は、上流側の溶融槽12と、溶融ガラスの排出部としての出口14とを備えており、溶融槽12、出口14は周知の耐火煉瓦によって構成されている。また、溶融槽12の上部の炉壁部である天井壁18には4つの第1セット20、20…と2つの第2セット22、22が配置され、それによって炉内気相雰囲気中に4つの第1気相部及び2つの第2気相部が形成されている。各セットにおける酸素燃焼バーナは、それぞれ火炎が下向きになるように天井壁18を貫通して設けられている。溶融槽12の底部には炉底部50、出口14にはガラス融液Gが貯留されており、溶融槽12で製造されたガラス融液Gが出口14を介して下流に流れるように構成されている。炉底部50は、周知の耐火煉瓦によって構成されている。
よって、この溶融槽12によれば、ガラス融液Gの上流側に第1セット20、20…が配置され、その下流側に第2セット22、22が配置されて構成される。また、第1セット20、20…は図1の如く、ガラス融液Gの流れ方向Xに対して略直交する方向Yに所定の間隔をもって配置され、また同様に第2セット22、22もガラス融液Gの流れ方向Xに対して略直交する方向Yに沿って所定の間隔をもって配置される。これらの第1セット20、20…及び第2セット22、22は、溶融槽12の上流側壁面24側に配置され、すなわち、第1セット20から投下されたガラス原料粒子、及び第2セット22から投下されたガラスカレット片は、それぞれ酸素燃焼バーナの火炎中で液状ガラス粒子となって溶融槽12の上流側の炉底部に集積し、一体化してガラス融液Gとなるように構成されている。更に、これらの第2セット22、22は、ガラス融液Gの流れ方向から見て、両側とその内側に配置されている二対の第1セット20、20…の間に位置するように配置されている。
なお、第1セットが天井部ではなく、ガラス溶融炉の上部の側壁から設置される場合も本発明の範囲である。第1セットが側壁から設けられる場合には、ガラス溶融炉の天井部の内壁から鉛直方向に1mまでの高さの側壁に設けられる。これは、第1セットが、ガラス溶融炉の天井部の内壁から鉛直方向に1mを超えるところに設けられた場合、ガラス融液面との鉛直距離が小さくなりすぎるため水平方向となす角が小さくなり、対向壁面にガラス原料粒子を吹き付けることになってしまい、炉壁侵食とそれに伴うガラス汚染が生じるためである。第1セットは、ガラス溶融炉の天井部の内壁から鉛直方向に80cmまでの高さに設けられることが好ましく、60cmまでの高さに設けられることがより好ましい。
第1セット20としては、ガラス原料粒子投入部が一体となった酸素燃焼バーナ26が適用されている。
この酸素燃焼バーナ26は、無機粉体加熱用バーナとして公知な、原料、燃料、支燃ガス供給ノズルが適切に配置された酸素燃焼バーナである。酸素燃焼バーナの先端ノズル28から火炎30を下向きで噴射させて、この火炎30(すなわち、第1気相部)中にガラス原料粒子32を気体又は機械搬送により前記ガラス原料粒子供給ノズルから供給する。これにより、ガラス原料粒子32を確実に且つ短時間で液状ガラス粒子(a)とすることができる。なお、不図示であるが、この酸素燃焼バーナ26には、ガラス原料粒子をガラス原料粒子供給ノズルに供給するガラス原料粒子供給系、燃料を燃料供給ノズルに供給する燃料供給系、及び支燃ガスを燃焼用支燃ガス供給ノズルに供給するガス供給系が接続されている。
このように、ガラス原料粒子投入部が一体となった酸素燃焼バーナ26を適用した場合には、酸素燃焼バーナ26がガラス原料粒子投入部を兼ねているため、ガラス原料粒子投入部を別個で設ける必要はない。しかしながら、酸素燃焼バーナ26の火炎30に向けてガラス原料粒子32を投入するガラス原料粒子投入部を酸素燃焼バーナ26に隣接して個別に設けてもよい。
なお、第1気相部を形成する気相加熱手段としては酸素燃焼バーナ26に限定されるものではなく、熱プラズマを発生させる一対以上の電極で構成される多相アークプラズマ発生装置を溶融槽12の天井壁18に設けてもよく、また、酸素燃焼バーナ26及び前記多相アークプラズマ発生装置の双方を溶融槽12に設けてもよい。更に、酸素燃焼バーナ26の火炎30、熱プラズマの温度は、ガラス原料粒子32に含まれる気体成分を迅速にガス化散逸させ、ガラス化反応を進行させるために、珪砂の溶融温度以上である1600℃以上に設定することが好ましい。これにより、炉内に投下されたガラス原料粒子32は、火炎30及び/又は熱プラズマによってガラス化し、ガラス原料粒子32に含まれるガラス成分は、迅速にガス化散逸されるとともに、ガラス原料粒子32は高温で加熱されることにより液状のガラス粒子となって溶融槽12の底部に着地し集積してガラス融液となる。そして、液状ガラス粒子の集積により形成されたガラス融液は、火炎30及び/又は熱プラズマによって引き続き加熱されることから液状形態が保持される。なお、火炎30の場合、その中心温度は酸素燃焼のケースで約2000℃であり、熱プラズマの場合は5000〜20000℃である。
ガラス原料粒子の平均粒径(重量平均)は30〜1000μmが好ましい。より好ましくは、平均粒径(重量平均)が50〜500μmの範囲内のガラス原料粒子が使用され、さらに70〜300μmの範囲内のガラス原料粒子が好ましい。ガラス原料粒子が溶融した液状ガラス粒子(a)の平均粒径(重量平均)は、通常ガラス原料粒子の平均粒径の80%程度となることが多い。
一方、第2セット22は、ガラスカレット片投入筒(ガラスカレット片投入部)36と2本の酸素燃焼バーナ(ガラスカレット片加熱部)38、38から構成される。
ガラスカレット片投入筒36はガラス溶融炉の上部の炉壁部である天井壁18を貫通して鉛直方向に配置され、その下端に形成された投入口40からガラスカレット片42、42…が投下される。このガラスカレット片投入筒36には、ガラスカレット片42、42…を気体搬送又は機械搬送により搬送するガラスカレット片搬送系(不図示)が接続されており、後述するサイズのガラスカレット片42、42…がガラスカレット片投入筒36に搬送される。また、ガラスカレット片投入筒36の材質は、水冷された金属又はセラミックスなどが例示できる。
なお、第2セットが天井部ではなく、ガラス溶融炉の上部の側壁に設置される場合も本発明の範囲である。第2セットが側壁に設けられる場合には、ガラス溶融炉の天井部の内壁から鉛直方向に1mまでの高さに設けられる。これは、第2セットが、ガラス溶融炉の天井部の内壁から鉛直方向に1mを超えるところに設けられた場合、ガラス融液面との鉛直距離が小さくなりすぎるために水平方向となす角が小さくなり、対向壁面にガラスカレット片を吹き付けることになってしまい、炉壁損傷及び侵食とそれに伴うガラス汚染が生じるためである。第2セットは、ガラス溶融炉の天井部の内壁から鉛直方向に80cmまでの高さに設けられることが好ましく、60cmまでの高さに設けられることがより好ましい。
酸素燃焼バーナ38は、酸素燃焼加熱用バーナとして公知な、燃料、酸素供給ノズルが適切に配置された酸素燃焼バーナである。ノズル44から火炎46を斜め下向きに噴射させて、降下中のガラスカレット片42、42…に火炎46を吹き付け、火炎46(すなわち、第2気相部)とガラスカレット片42、42…の接触時間を長く保つ。これにより、ガラスカレット片42、42…が第2気相部中で確実に加熱される。火炎46によって加熱されたガラスカレット片42は、投入するガラスカレット片42の量等にもよるが、1000℃〜1800℃程度に加熱され、通常少なくとも表面が溶融して、液状ガラス粒子(b)となってガラス融液G上に着地する。なお、不図示であるが、この酸素燃焼バーナ38には、燃料を燃料供給ノズルに供給する燃料供給系、及び支燃ガスを燃焼用支燃ガス供給ノズルに供給するガス供給系が接続されている。
また、酸素燃焼バーナ38、38は、ガラスカレット片投入筒36を挟んで上流側及び下流側に所定の間隔を持って配置される。すなわち、ガラスカレット片投入筒36の周囲に酸素燃焼バーナ38、38のノズル44、44が配置される。また、酸素燃焼バーナ38、38及びガラスカレット片投入筒36はガラス融液Gの流れ方向Xから見て一直線上に配置されている。
更に、酸素燃焼バーナ38、38は、ガラスカレット片投入筒36によるガラスカレット投入軸(図2のO)に対して、その火炎方向(b)の角度(θ)が1°≦θ≦75°となるように傾斜して配置されている。このように酸素燃焼バーナ38は、鉛直軸であるガラスカレット投入軸(O)に向って火炎46を吹き付けるようにガラスカレット投入軸(O)に対し1°≦θ≦75°の角度をもって設置されているため、ガラスカレット片投入筒36からガラスカレット投入軸(O)に沿って落下中のガラスカレット片42、42…は、その火炎46中に効率よく通過する。ここで、酸素燃焼バーナ38の先端部のノズル44とガラスカレット片投入筒36の投入口40との水平距離は、落下中のガラスカレット片42、42…をその火炎46中に効率よく通過させるという目的と、酸素燃焼バーナ38の能力とに応じて適宜設定される。例えば、酸素燃焼バーナは、ガラスカレット片の落下高さを1〜3mとすることができる場合には、ガラスカレット片投入軸(O)に対し10°≦θ≦30°の角度をもって設置されることがより好ましい。これによって、酸素燃焼バーナによる火炎とガラスカレット片との接触時間をより長時間とすることができるので、ガラスカレット片が大きい場合もより内部まで溶融できる。
なお、酸素燃焼バーナ26と同様に、酸素燃焼バーナ38に代えて熱プラズマを発生させる一対以上の電極で構成される多相アークプラズマ発生装置を溶融槽12の天井壁18に設けてもよい。また、酸素燃焼バーナ38及び前記多相アークプラズマ発生装置の双方を溶融槽12に設けてもよい。酸素燃焼バーナ38の火炎46の温度、及び熱プラズマの温度は前述した温度と同様である。
次に、前記の如く構成されたガラス溶融炉の作用について説明する。
実施の形態のガラス溶融炉は、ガラス原料粒子32とガラスカレット片42とを併用して溶融する溶融炉である。第1気相部は4台の酸素燃焼バーナ26、26…によって形成され、ガラス原料粒子32をこの第1気相部中で液状ガラス粒子とする。すなわち、酸素燃焼バーナ26、26…からガラス原料粒子32、32…を炉内に投入し、降下中のガラス原料粒子を酸素燃焼バーナ26、26…の火炎30、30…によって加熱して液状ガラス粒子とする。ガラス原料粒子32、32…から形成された液状ガラス粒子(a)は下方に向って落下し、炉底部50に集積してガラス融液Gとなり、ガラス融液Gは炉底部50に一時貯留される。液状ガラス粒子(a)は、個々の粒子として炉底部50ないしガラス融液G表面に達することは必須ではない。液状ガラス粒子(a)は、気相中でその2つ以上が融着して炉底部50ないしガラス融液G表面に着地してもよい。
そして、ガラスカレット片投入筒36から投入されるガラスカレット片42においては、粉砕することなく、かつ予熱することなく溶融槽12に投入するために、その粒径を規定した。すなわち、ガラスカレットの短径(A)を0.5mm<A<30mmに規定した。短径(A)を有するガラスカレット片は、以下の方法で選別する。すなわち、本発明におけるガラスカレット片は、網目の目開き(Opening)の大きさが0.5mmの篩に残り、且つ、網目の目開き(Opening)の大きさが30mmの篩を通過するものとする。つまり、短径(A)が0.5mm以下では、特許文献1の方法で他のガラス原料と同時に原料投入・溶融できるが、一般的に短径(A)が0.5mm以下にそろったカレット片を準備するためには粉砕工程が必須となり、コストと量産性に課題がある。なお、短径(A)が0.5mm超の場合には、一般の流通から、粒の揃ったカレット片を調達できる。一方、短径(A)が30mm以上では、酸素燃焼バーナで十分に加熱することができない場合があるので余熱が必要になる。短径(A)は、1mm<A<20mmが、ガラスカレット片を一般の流通から調達する観点から好ましい。短径(A)は、2mm<A<10mmが、ガラスカレット片を一般の流通から調達する観点からより好ましい。
実施の形態では、このような短径(A)のガラスカレット片42を、ガラスカレット片投入筒36から炉内に投入し、降下中のガラスカレット片42、42…を第2気相部で加熱して液状ガラス粒子(b)とする。第2気相部は酸素燃焼バーナ38、38の火炎46、46によって形成され、ガラスカレット片はこの火炎46、46中で加熱されて液状ガラス粒子(b)となり、下方に向って落下する。
液状ガラス粒子(b)は、ガラス融液Gの表面に達する前にその2つ以上が融着し、融着した液状ガラス粒子(b)がガラス融液Gに着地してもよい。液状ガラス粒子(b)が比較的大きい粒子であることより、落下中の液状ガラス粒子(b)は相互に接触しやすく、複数の液状ガラス粒子(b)が接触した場合には融着してさらに大きな液状ガラスの粒子や塊状物となることがある。さらには多数の液状ガラス粒子(b)が一体化した液体の流れとなってガラス融液Gに達することもある。1つのガラスカレット片投入筒36から投入される単位時間あたりのガラスカレット片42の量が多くなると、このような液状ガラス粒子(b)の融着が起こりやすい。
なお、酸素燃焼バーナ38、38によってガラスカレット片42をその降下中に完全に液状化できればよいが、ガラスカレット片42は微粒子状のガラス原料粒子32と比較してサイズがはるかに大きいため、内部まで完全に液状化することは困難な場合がある。よって、この場合には、内部まで完全に液状化していない液状ガラス粒子(b)がガラス融液G上に着地する。しかし、この場合であっても、ガラス融液Gは、酸素燃焼バーナ26、26…と酸素燃焼バーナ38、38による熱、及び炉体からの輻射熱によって加熱されていることより、内部まで完全に液状化していない液状ガラス粒子(b)から生じたガラス融液中の異質部分は短時間に均質化され、均一なガラス融液Gとなる。
また、酸素燃焼バーナ38は、ガラスカレット片42のみを単独に予熱するものではなく、溶融槽12内のガラス融液Gも加熱することから、炉外に設置されたガラスカレット片の予熱装置とは機能が全く異なる。
したがって、実施の形態のガラス溶融炉によれば、ガラス原料粒子32とともに粉砕不要のガラスカレット片42を、予備加熱することなく溶融槽12に投入し溶融することができる。これにより、ガラス原料粒子32とガラスカレット片42とを併用することができるので、数十トン/日以上、及び数百トン/日以上のガラス製品生産に適した大規模溶融炉に好適となる。
図3は、第2セットの酸素燃焼バーナ38、38の配置位置を変更した第一形態を示す、溶融槽12の天井壁を除いた要部平面図である。
同図に示すように第2セット122の酸素燃焼バーナ38、38は、ガラスカレット片投入筒36を挟んで側方、すなわち、ガラス融液Gの流れ方向Xに対して略直交する方向Yに所定の間隔を持って配置される。また、酸素燃焼バーナ38、38及びガラスカレット片投入筒36は、前記略直交する方向Yから見て一直線上に配置されている。なお、酸素燃焼バーナ38、38の火炎方向の角度も、図2に示した角度(θ)と同一である。よって、この第2セット122も図1、図2に示した第2セット22と同様の効果を奏する。
図4は、第2セットの酸素燃焼バーナ38、38…の配置位置を変更した第二形態を示す、溶融槽12の天井壁を除いた要部平面図、図5は、同様の第三形態を示す要部平面図、図6も同様に第四形態を示す要部の平面図である。
図4〜図6に示す第2セット222、322、422における各酸素燃焼バーナ38、38…は、ガラスカレット片投入筒36を中心とする同心円状に所定の間隔をもって配置された形態であり、図4の第2セット222は3本の酸素燃焼バーナ38、38、38が、図5の第2セット322は4本の酸素燃焼バーナ38、38…が、そして、図6の第2セット422は8本の酸素燃焼バーナ38、38…がそれぞれ等間隔で配置されている。特に図5、図6の第2セット322、422は、方向X、Yに沿って配置される4本の酸素燃焼バーナ38、38…を備え、また、図6の第2セット422は、その4本の酸素燃焼バーナ38、38…の間に4本の酸素燃焼バーナ38、38…が配置されている。
なお、各酸素燃焼バーナ38、38…の火炎方向の角度も、図2に示した角度(θ)と同一である。
図4〜図6に示した第2セット222、322、422によれば、ガラスカレット片投入筒36から落下中のガラスカレット片42、42…の一粒一粒は、その周囲に配置された複数の酸素燃焼バーナ38、38…の高熱により加熱されるので、一粒一粒が十分に加熱されるとともに、投入直後のガラスカレット片の体積に対して液状ガラス粒子(b)の液状化した部分の割合(以下、溶融率という)が増加すると言う利点がある。
前述の如くガラスカレット片42を第2気相部中で完全に液状化する必要はないが、このように複数の酸素燃焼バーナ38、38…を配置することによりガラスカレット片42の溶融率が向上するので、ガラス融液の均質化に必要な二次加熱に要する熱量を削減することができる。更に、酸素燃焼バーナ38の本数を増加させることにより、ガラスカレット片42、42…を均等に加熱することができるので、溶融率が更に向上する。なお、酸素燃焼バーナ38を、酸素燃焼バーナ38の使用本数が増えるに従って小能力型のものに変更することもできる。これにより、酸素燃焼バーナ38に使用する燃料を節約することができる。
図7は、第1セット20と第2セット22(122、222、322、422)との配置関係を示した第一形態を示す溶融槽12の天井壁を除いた要部平面図である。図7では、5種類の第2セット22(122〜422)の形態を○印で示しており、すなわち、図7の配置関係において5種類の形態を適用できることを示している。また、第1セット20、20の形態も○印で示した。
図7の形態は、2台の第1セット20、20が、ガラス融液Gの流れ方向Xに対して略直交する方向Yに配置され、この下流側に1台の第2セット22(122〜422)が配置されたものである。また、第2セット22(122〜422)は、ガラス融液Gの流れ方向Xから見た際に、第1セット20、20との間に配置されたものである。
図8は、第1セット20と第2セット22(122〜422)との配置関係を示した第二形態を示す溶融槽12の天井壁を除いた要部平面図、図9は、同様の第三形態を示す溶融槽12の天井壁を除いた要部平面図、図10も同様に第四形態を示す溶融槽12の天井壁を除いた要部平面図である。
図8に示す第二形態は、3台の第1セット20、20、20が方向Yに沿って所定の間隔で配置され、この下流側に2台の第2セット22(122〜422)が方向Yに沿って配置されている。また、2台の第2セット22(122〜422)は、ガラス融液Gの流れ方向Xから見た際に、第1セット20、20との間に配置されている。
図9に示す第三形態は、4台の第1セット20、20…が方向Yに沿って所定の間隔で配置され、この下流側に3台の第2セット22(122〜422)が方向Yに沿って配置されている。また、3台の第2セット22(122〜422)は、ガラス融液Gの流れ方向Xから見た際に、第1セット20、20との間に配置されている。
図10に示す第四形態は、図9に示した第三形態を上流側及び下流側に2列に並設構成したものである。
図8〜図10に示した第二〜第四形態は、複数の第1セット20、20…と複数の第2セット22(122〜422)とを備え、これらの第1セット20、20…と第2セット22(122〜422)とを平面視で、互い違いに配置したものである。
第二〜第四形態の溶融槽12は、一日当たり数百トンオーダーのガラス製品生産を達成するための大規模溶融炉における構成に好適である。すなわち、量産型のガラス溶融炉10を達成するためには、ガラス原料粒子32及びガラスカレット片42の投入量を増大させる必要があるが、一台の第1セット20と一台の第2セット22でそれを達成しようとすると、一台当たりの投入負荷が増大するため、ガラス原料粒子32及びガラスカレット片42の加熱効率が激減するとともに、炉内温度、溶融ガラスの温度が低下する原因になる。
そこで第二〜第四形態の溶融槽12では、第1セット20、20…と第2セット22(122〜422)を各々複数台配置して、一台当たりの投入負荷を軽減し、ガラス原料粒子32及びガラスカレット片42の加熱効率を維持しつつ炉内温度、ガラス融液Gの温度低下を防止することで量産型の溶融槽12を達成している。
また、第二〜第四形態の溶融槽12は、第1セット20、20…と第2セット22(122〜422)とが平面視において互い違いに配置されて構成(Staggered layout)されており、以下の効果を有する。
すなわち、第1セット20下方の第1気相部で形成された液状ガラス粒子(a)と、第2セット22(122〜422)下方の第1気相部で形成された液状ガラス粒子(b)とは、熱の履歴が異なるため、微妙に異質なものである。双方の液状ガラス粒子は、最終的には混合されて同質のガラス融液Gとなるが、第1セット20と第2セット22(122〜422)とを互い違いに配置することにより、液状ガラス粒子の混合が円滑に行われるためガラス融液Gの異質性を小さくすることができる。また、このような互い違いに配置された第1セット20、20…と第2セット22(122〜422)とを、図10の第四形態の如く複数列(図面では2列)配置することにより、ガラス融液Gの異質性を更に小さくすることができる。
図11は、第1セット20と第2セット22(122〜422)との配置関係を示した第五形態を示す溶融槽12の天井壁を除いた要部平面図である。
同図に示す溶融槽12は、2台の第1セット20、20が方向Yに沿って配置され、その上流側に1台の第2セット22(122〜422)が配置されて構成されている。
ところで、溶融槽12は、炉壁からガラス融液Gの熱を奪いガラス融液Gの温度をどうしても下げてしまうという性質を持つ。このため、ガラスカレット片42を完全に溶融できない第2セット22(122〜422)を、図11の如く第1セット20に対して上流側に配置すると、溶融槽12の上流側の炉壁によって液状ガラス粒子(b)の熱が奪われるため、ガラスカレット片42の液状化進行が遅れる場合がある。
これに対して、図7〜図10に示した第一〜第四形態の如く、ガラス原料粒子32を完全に溶融する第1セット20を第2セット22(122〜422)に対して上流側に配置すると、上流側には完全に融けたガラス融液Gが多量に存在するため、上流側の炉壁によって熱を奪われたとしても、ガラス原料粒子32の液状化には支障を与えない。
また、第2セット22(122〜422)を下流側に配置することにより、液状ガラス粒子(b)は、上流側から大量に流れてくる液状ガラス粒子(a)が集積したガラス融液Gによって十分に加熱され、そのガラス融液Gに混入する。このような特徴により、第2セット22(122〜422)は、第1セット20に対して、上流側よりも下流側に配置することがより好ましい。
図12は、実施の形態のガラス製品の製造方法の実施の形態を示したフローチャートである。図12では、ガラス製品の製造方法の構成要素である本発明の溶融ガラスの製造方法によるガラス溶融工程(S1)、及び成形手段による成形工程(S2)、並びに徐冷手段による徐冷工程(S3)に加えて、さらに必要に応じて用いる切断工程、その他後工程(S4)が示されている。
図1、図2で製造されたガラス融液Gは、不図示の導管構造を経て成形手段へと送られ成形される(成形工程)。成形後のガラスは、成形後に固化したガラスの内部に残留応力が残らないように徐冷手段によって徐冷され(徐冷工程)、さらに必要に応じて切断され(切断工程)、その他後工程を経て、ガラス製品となる。
例えば、板ガラスの場合には、ガラス融液Gを成形手段によってガラスリボンに成形し、それを徐冷手段によって徐冷した後、所望の大きさに切断し、必要に応じてガラス端部を研磨するなどの後加工をして板ガラスが得られる。
本発明のガラスの溶融方法によって製造されるガラス融液Gは、ガラス組成的には制約はない。したがって、ソーダライムガラスや、ホウケイ酸ガラスであってもよい。また、製造されるガラス製品の用途は、建築用や車両用に限定されず、フラットパネルディスプレイ用、その他の各種用途が挙げられる。
建築用または車両用の板ガラスに使用されるソーダライムガラスの場合には、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2:65〜75%、Al23:0〜3%、CaO:5〜15%、MgO:0〜15%、Na2O:10〜20%、K2O:0〜3%、Li2O:0〜5%、Fe23:0〜3%、TiO2:0〜5%、CeO2:0〜3%、BaO:0〜5%、SrO:0〜5%、B23:0〜5%、ZnO:0〜5%、ZrO2:0〜5%、SnO2:0〜3%、SO3:0〜0.5%、という組成を有することが好ましい。
液晶ディスプレイ用の基板に使用される無アルカリガラスの場合には、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2:39〜70%、Al23:3〜25%、B2:1〜20%、MgO:0〜10%、CaO:0〜17%、SrO:0〜20%、BaO:0〜30%、という組成を有することが好ましい。
プラズマディスプレイ用の基板に使用される混合アルカリ系ガラスの場合には、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2:50〜75%、Al23:0〜15%、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:6〜24%、Na2O+K2O:6〜24%、という組成を有することが好ましい。
その他の用途として、耐熱容器または理化学用器具等に使用されるホウケイ酸ガラスの場合には、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO2:60〜85%、Al23:0〜5%、B2:5〜20%、Na2O+K2O:2〜10%、という組成を有することが好ましい。
本実施形態では、複数の第1セットは、ガラス融液Gの流れ方向Xに対して略直交する方向Yに所定の間隔をもって配置されていることとして説明したが、これに限らず、第1セットの配置をY方向に対して斜め方向、曲線状、ジグザク状、などに配置されていることとしても構わない。
本実施形態では、複数の第2セットは、ガラス融液Gの流れ方向Xに対して略直交する方向Yに所定の間隔をもって配置されていることとして説明したが、これに限らず、第2セットの配置をY方向に対して斜め方向、曲線状、ジグザク状、などに配置されていることとしても構わない。
本実施形態では、第1気相部を形成する加熱手段及びガラスカレット片投入筒は、鉛直方向下向きに設置されていることとして説明したが、これに限らず、下向きであれば傾斜して設置されていることとしても構わない。
本実施形態では、第1セット及び第2セットの両者は、ガラス溶融炉の天井部に設置されていることとして説明したが、これに限らず、両者がガラス溶融炉の上部の炉壁部にあればよいので、例えば第1セットがガラス溶融炉の天井部に設置され、第2セットがガラス溶融炉の側壁から設置されることとしても構わない。
本実施形態では、ガラス溶融炉の天井面は、フラットな形状であるとして説明したが、これに限らず、アーチ形状、ドーム形状、などであるとしても構わない。
本発明により製造された溶融ガラスは、フロートバス、フュージョン成形機、ロールアウト成形機、ブロー成形機、プレス成形機等の成形手段で各種形状のガラス製品に成形される。
なお、2009年6月29日に出願された日本特許出願2009−154026号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
10…ガラス溶融炉、12…溶融槽、14…出口(排出部)、18…天井壁、20…第1セット、22、122、222、322、422…第2セット、24…上流側壁面、26…酸素燃焼バーナ、28…ノズル、30…火炎、32…ガラス原料粒子、34…側壁、36…ガラスカレット片投入筒、38…酸素燃焼バーナ、40…ガラスカレット片投入口、42…ガラスカレット片、44…ノズル、46…火炎、炉底部…50

Claims (12)

  1. ガラス溶融炉内の気相雰囲気中でガラス原料粒子を液状ガラス粒子とし、該液状ガラス粒子をガラス溶融炉の底部に集積してガラス融液とする溶融ガラスの製造方法であって、前記ガラス原料粒子が液状ガラス粒子となる気相雰囲気外の炉内気相雰囲気中に短径(A)が0.5mm<A<30mmであるガラスカレット片を供給して該ガラスカレット片を前記気相雰囲気中で少なくとも表面が液状化したガラス粒子とし、該少なくとも表面が液状化したガラス粒子を前記ガラス原料粒子から生成した液状ガラス粒子とともに前記炉底部に集積してガラス融液とし、
    前記短径(A)のガラスカレット片は、網目の目開き(Opening)の大きさが0.5mmの篩に残り、且つ、網目の目開き(Opening)の大きさが30mmの篩を通過するものであることを特徴とする溶融ガラスの製造方法。
  2. ガラス溶融炉内の気相雰囲気中でガラス原料粒子を液状ガラス粒子とし、該液状ガラス粒子を集積してガラス融液とし、該ガラス融液を排出するガラス溶融炉であって、
    前記ガラス溶融炉内の上部の炉壁部に下向きに設置されたガラス原料粒子投入部、
    前記ガラス溶融炉内の上部の炉壁部に下向きに設置された、短径(A)が0.5mm<A<30mmであるガラスカレット片を投入するガラスカレット片投入部、
    前記ガラス溶融炉内のガラス原料粒子投入部下方にガラス原料粒子を液状ガラス粒子とする第1気相部を形成するための加熱手段、
    前記ガラス溶融炉内のガラスカレット片投入部下方にガラスカレット片を少なくとも表面が液状化したガラス粒子とする第2気相部を形成するための加熱手段、
    前記2種のガラス粒子を集積してガラス融液を形成する炉底部、および、
    前記ガラス融液を排出する排出部、を備え、
    前記短径(A)のガラスカレット片は、網目の目開き(Opening)の大きさが0.5mmの篩に残り、且つ、網目の目開き(Opening)の大きさが30mmの篩を通過するものであることを特徴とするガラス溶融炉。
  3. 前記第1気相部を形成するための加熱手段および前記第2気相部を形成するための加熱手段は、酸素燃焼炎を発生させる酸素燃焼バーナ、又は熱プラズマを発生させる一対以上の電極で構成される多相アークプラズマ発生装置のうち少なくとも一つである、請求項2に記載のガラス溶融炉。
  4. 前記第2気相部を形成するための加熱手段が酸素燃焼バーナであり、該酸素燃焼バーナは、前記ガラスカレット片投入部での下向きのガラスカレット片投入軸に対して、その火炎方向の角度(θ)が1°≦θ≦75°となるように傾斜して配置されている、請求項2又は3に記載のガラス溶融炉。
  5. 前記第2気相部を形成するための加熱手段が酸素燃焼バーナであり、該酸素燃焼バーナは、前記上部の炉壁部である天井部の前記ガラスカレット片投入部の周囲に複数配置されて構成されている、請求項2乃至4のいずれかに記載のガラス溶融炉。
  6. 複数の前記酸素燃焼バーナは、前記ガラスカレット片投入部を中心とする同心円状に所定の間隔をもって配置されている、請求項5に記載のガラス溶融炉。
  7. 前記ガラス原料粒子投入部と前記ガラスカレット片投入部とは、前記炉底部に集積したガラス融液が前記排出部に向かって流れるガラス融液の流れ方向に沿った異なる位置に配置されている、請求項2乃至6のいずれかに記載のガラス溶融炉。
  8. 前記ガラス原料粒子投入部は、前記炉底部に集積したガラス融液が前記排出部に向かって流れるガラス融液の流れ方向と略直角方向に沿って複数配置されている、請求項2乃至7のいずれかに記載のガラス溶融炉。
  9. 前記ガラス原料粒子投入部は、前記ガラス融液の流れ方向と略直角方向に沿って複数配置され、かつ該複数配置されているガラス原料粒子投入部の列が前記ガラス融液の流れ方向に沿って異なる位置に複数配置されている請求項8に記載のガラス溶融炉。
  10. 前記ガラスカレット片投入部は、前記炉底部に集積したガラス融液が前記排出部に向かって流れるガラス融液の流れ方向と略直角方向に沿って1つ又は複数配置され、かつ前記ガラス融液の流れ方向に沿って複数配置され、さらにガラス融液の流れ方向に沿って前記ガラス原料粒子投入部と異なる位置に配置されている、請求項7乃至9のいずれかに記載のガラス溶融炉。
  11. 前記請求項2乃至10のいずれかに記載のガラス溶融炉と、該ガラス溶融炉の前記排出部の下流側に設けられた溶融ガラスを成形する成形手段と、成形後のガラスを徐冷する徐冷手段とを備えたことを特徴とするガラス製品の製造装置。
  12. 請求項1に記載の溶融ガラスの製造方法により溶融ガラスを製造するガラス溶融工程と、該溶融ガラスを成形する工程と、成形後のガラスを徐冷する工程とを含むことを特徴とするガラス製品の製造方法。
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