JP5664754B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
そして、従来の電動パワーステアリング装置では、車速センサに異常が発生していると判断したとき、車速信号をある車速に固定して操舵補助制御を行うことで、操舵アシストを継続している。
そこで、本発明は、車速検出信号に異常が発生した場合であっても、適正に操舵補助力を付与することができる電動パワーステアリング装置を提供することを課題としている。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す全体構成図である。
図中、符号1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルク検出手段としてのトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介装した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。
また、この車両には、エンジン51と、自動変速機52とが設けられており、エンジン51のクランク軸53と自動変速機52の入力軸54との間には、トルクコンバータ55が介設されている。
ここで、トルクコンバータ55のタービン回転数TRおよび自動変速機52のギア位置nは、CAN(Controller Area Network)等の車載ユニット間通信をモニタすることで取得するものとする。
この図3に示すように、CAN通信ライン100には、操舵補助制御用のEPS_ECU20、トランスミッション制御用のAT_ECU210、ナビゲーションシステム用のGPS_ECU220、ABS制御用のABS_ECU230などの電子制御ユニットが接続されており、各ECUはCAN通信ライン100を介して相互に通信可能となっている。
VSP[km/h]=(2πr/1000)・(TR[rpm]・60/(MGR(n)・FGR)) ………(1)
ここで、rはタイヤ半径、MGR(n)はn速時におけるミッションギア比、FGRはファイナルギア比であり、それぞれ固定値である。
なお、車速VSPの推定に際し、タービン回転数TRに代えてエンジン回転数を用いることもできるが、トルクコンバータ55のスリップを考慮すると、タービンセンサ信号(タービン回転数TR)を用いることが望ましい。
すなわち、異常判定フラグFLが、車速センサ16に異常が発生していないことを示す“0”であるときには、切換スイッチ23aを実線で示す状態として車速検出値Vsを選択し、異常判定フラグFLが、車速センサ16に異常が発生していることを示す“1”となると、切換スイッチ23aを破線で示す状態へ切り換えて、車速推定値VSPを選択して出力するようになっている。
この算出マップは、図4に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助トルク指令値Irefをとると共に、車速Vをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが“0”からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助トルク指令値Irefが“0”を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助トルク指令値Irefが操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助トルク指令値Irefが急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
電流制御部26は、電流偏差ΔIに対してPI制御を施して電流制御値(電圧指令値)Eを算出し、電流制御値Eに基づいてモータ駆動部27の半導体スイッチング素子を駆動するPWM信号のデューティ比を演算し、これをモータ駆動部27に出力する。
このように、電動モータ12に流れるモータ電流Imは、モータ電流検出器14で検出され、減算器25に入力されてフィードバックされる。
次に、第1の実施形態の動作及び効果について説明する。
ここで、車両は低速走行を行っているため、操舵補助指令値演算部24では、図3における比較的内側の特性曲線をもとに、操舵トルクTの増大に応じて早めに大きな値となる操舵補助トルク指令値Irefが算出される。その結果、運転者は低速走行時における操舵を軽く行うことができる。
このとき、車速推定部22では、CAN通信ライン上のデータであるトルクコンバータ55のタービン回転数TRと、自動変速機52のギア位置nとに基づいて、車速推定値VSPを算出する。
ところで、一般に、電動パワーステアリング装置にあっては、車速センサに異常が発生しているとき、車速信号を予め設定された固定値として操舵補助制御を行うことで、操舵アシストを継続している。
このように、上記第1の実施形態では、車速検出手段に異常が発生していると判断したときには、車速推定値を用いて操舵補助制御を継続するので、運転者に違和感のない操舵補助制御を行うことができる。
さらに、車速推定に際し、トルクコンバータのタービン回転数とギア位置とを用いるため、トランスミッション制御ユニットを搭載している車両であれば、容易に車速推定が可能となる。
次に、本発明における第2の実施形態について説明する。
図5は、第2の実施形態における操舵補助制御装置20の構成を示すブロック図である。この図5に示すように、本実施形態における操舵補助制御装置20は、前述した図2に示す操舵補助制御装置20において、後述する車両固有値X(n)を演算する車両固有値演算部31と、車両固有値X(n)を記憶する記憶回路32とが追加され、車速推定部22がタービン回転数TR,ギア位置n、及び記憶回路32に記憶された車両固有値X(n)に基づいて車速VSPを推定する車速推定部33に置換されていることを除いては、図2と同様の処理を有するため、処理の異なる部分を中心に説明する。
X(n)=Vs/(A・TR) ………(2)
ここで、Aは定数であり、3π/25である。
先ず、上記(1)式を変形すると、
VSP=3π/25・r/(MGR(n)・FGR)・TR ………(3)
となる。
ここで、r/(MGR(n)・FGR)を変数X(n)とし、3π/25を定数Aとすると、上記(3)式は次式で表される。
したがって、この(4)式を変形することより、上記(2)式が導出される。
この車両固有値演算部31では、ギア毎に一定時間サンプリングしたデータから、上記(2)式をもとに算出した車両固有値X(n)の加重平均値を求め、これを車両固有値X(n)の最新値とする。
記憶回路32には、ギア毎に車両固有値X(n)の学習値が記憶されており、車両固有値演算部31で演算された車両固有値X(n)の最新値によって、当該学習値が更新可能に構成されている。ここで、学習値のデフォルト値は、学習終了前に車速センサ16に異常が発生した場合に、安定性を確保するために通常制御時の定数より若干重めに車格にあわせて設定しておく。
なお、図5において、車両固有値演算部31が車両固有値演算手段に対応し、記憶回路32が記憶手段に対応している。
今、シフトポジションが1速となっている状態で車両が走行中であるものとする。このとき、車速センサ16が正常に動作しているものとすると、操舵補助制御装置20の異常検出部21は、異常判定フラグFL=0を車速出力部23に出力し、切換スイッチ23aが図2の実線で示す状態となる。そのため、車速出力部23は、車速センサ16で検出される車速検出値Vsを操舵補助制御に用いる車速Vとして出力する。
また、このとき、異常検出部12から出力される異常判定フラグFL=0は、車両固有値演算部31にも入力される。そして、車両固有値演算部31は、車速センサ16で検出した車速検出値Vsとタービン回転数TRとに基づいて、上記(2)式をもとに1速での車両固有値X(1)を算出する。この車両固有値X(1)は、記憶回路32に学習値として記憶される。
この状態から車速センサ16に異常が発生すると、異常検出部21は、異常判定フラグFL=1を車速出力部23に出力し、切換スイッチ23aが図2の破線に示す状態に切り換わる。そのため、車速出力部23は、車速推定部33で推定された車速推定値VSPを操舵補助制御に用いる車速Vとして出力する。
そして、操舵補助指令値演算部24では、操舵トルクT及び車速推定値VSPに基づいて操舵補助トルク指令値Irefが演算され、その操舵補助トルク指令値Irefに基づいて電動モータ12が駆動制御される。このように、車速センサ16の異常発生時であっても、実際の走行車速に応じた操舵アシストを行うことができる。
すなわち、例えば2速で走行している場合、車両固有値演算部31は車両固有値X(2)を算出し、この最新値と記憶回路32に記憶されている学習値である車両固有値X(2)とを比較する。タイヤ半径rが変更されており、車両固有値X(2)の最新値と学習値との差が所定値以上となるため、学習値の更新がなされる。
このように、上記第2の実施形態では、車速センサ16が正常であるときに車両固有値X(n)を学習しておくことで、タイヤサイズやファイナルギアが変更された場合であっても、車速を精度良く推定することができる。その結果、車両毎に定数を設定する必要がなくなり、汎用性を持たせることができる。
この第3の実施形態は、自車位置の変化量に基づいて車速VSPを推定するようにしたものである。
図6は、第3の実施形態における操舵補助制御装置20の構成を示すブロック図である。
このとき、衛星からの電波の受信状態が不安定なことを考慮して、自車位置情報から得られた車速推定値VSPにある係数を掛け合わせ、実際に用いる車速は推定車速よりも若干高めに補正することで、安全性を確保する。
次に、本発明における第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、加速度センサの出力信号に基づいて車速VSPを推定するようにしたものである。
この車両には、ABSシステムやエアバッグシステムにおける車体の状態取得、衝撃感知の目的で加速度センサ18が搭載されており、この加速度センサ18から出力される加速度αが、操舵補助制御装置20に入力されるようになっている。また、この図7に示すように、本実施形態における操舵補助制御装置20において、車速推定部22が加速度αに基づいて車速VSPを推定する車速推定部37に置換されることを除いては、図2と同様の処理を有するため、処理の異なる部分を中心に説明する。
車速VSPは次式で表される。
VSP=V0+αt ………(5)
ここで、V0は車速センサ16に異常が発生する直前の車速である。また、αtについては、単位時間t(例えば、1sec)に変化した加速度αを加重平均して使用する。
先ず、車速センサ16が正常な状態のときに、単位時間あたりの加速度αをスピードセンサから求め、このときの加速度センサ18との差を学習して補正係数として記憶しておく。そして、車速センサ16に異常が発生した際には、加速度センサ18の出力信号にこの補正係数を掛け合わせたものを用いて車速の推定を行う。
このように、上記第4の実施形態では、車速センサに異常が発生したときの車速推定を、車両加速度を用いて行うので、ABSユニット等、加速度センサを搭載している車両であれば容易に車速推定が可能となる。
また、上記各実施形態においては、電動モータとしてブラシモータシステムを適用する場合について説明したが、ホールセンサタイプのロータ角度センサを備えた矩形波駆動ブラシレスモータを適用することもできる。さらに、上記実施形態においては、電動モータとして3相ブラシレスモータを適用することもできる。
Claims (1)
- 操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する電動モータを備える電動パワーステアリング装置であって、
操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、該車速検出手段の異常を検出する異常検出手段と、車載LANシステムの通信ラインを介して通信可能に接続された外部の電子制御ユニットと、前記異常検出手段で前記車速検出手段の異常を検出したとき、前記通信ライン上の前記外部の電子制御ユニットにおける制御で用いる信号に基づいて車速を推定する車速推定手段と、前記異常が非検出であるとき、少なくとも前記操舵トルク及び前記車速検出値に基づいて前記電動モータを駆動制御し、前記異常を検出したとき、少なくとも前記操舵トルク及び前記車速推定値に基づいて前記電動モータを駆動制御する操舵補助制御手段と、自車両の走行地点を検出する走行地点検出手段と、自車両が走行する道路情報を有する道路情報提供手段とを備え、
前記外部の電子制御ユニットは、前記走行地点検出手段で検出した走行地点及び前記道路情報提供手段で提供される道路情報に基づいて、自車両のナビゲーション制御を行うものであって、前記車速推定手段は、前記走行地点検出手段で検出した走行地点及び前記道路情報提供手段で提供される道路情報に基づいて、所定期間での自車両の位置変化量を算出し、当該位置変化量に基づいて車速を推定し、衛星からの電波の受信状態が不安定なことを考慮して、その推定した車速を前記車速推定値として前記操舵補助制御手段で前記電動モータを駆動制御したときに付与される操舵補助力よりも、付与される操舵補助力が小さくなるように、前記推定した車速に係数を掛け合わせて前記推定した車速を所定の割合で増加補正し、これを前記車速推定値とすることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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