JP5662155B2 - V(d)j組み合わせ多様性を研究する方法 - Google Patents

V(d)j組み合わせ多様性を研究する方法 Download PDF

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Description

本発明は、免疫学の分野に関する。より具体的には、本発明は、個体のT及び/又はBリンパ球レパートリーの多様性のインビトロ分析のための方法、並びに特に治療のフォローアップ又はある病態の診断及び/若しくは予測におけるその応用に関する。
機能的であるためには、リンパ球は抗原特異的認識システムを有さなければならない。このパラメータは必須である。これは、T又はB細胞の真の機能を規定する。Tリンパ球分化の初期段階の間に、TCR受容体のクローン形質の鎖をコードする遺伝子座は、機能的受容体の発現を可能にするように再構成を受ける。同様に、Bリンパ球において、免疫グロブリン(Ig)鎖をコードする遺伝子座は、機能的Igの発現を可能にするように再構成を受ける。
V(D)J再構成の機構は、T及びBリンパ球に特異的である。TCRをコードするV、D及びJ遺伝子は、種々のTCR遺伝子座内の長い胚部分にわたって分布する。タンパク質を得るためには、これらの遺伝子は、V(D)J組換えと呼ばれる遺伝子再構成プロセスによりエキソンに組み合わされなければならない。組換えの原理は、V(D)J遺伝子に特異的なRSS配列の認識と、2つの再構成された遺伝子の間に挿入された染色体領域の切り出しに基づく。V及びJ遺伝子はそれぞれ、その一方の末端に、組換えシグナル配列(RSS)を有する。D遺伝子については、それらを両方の末端に有する。RSSは、リンパ球で特異的に発現される特定のリコンビナーゼ酵素RAG I及びRAG IIにより認識される配列である。これらのタンパク質は、再構成の主要な当事者である。HMG (高移動度)タンパク質と一旦会合すると、RAG酵素はそれらのホメオドメインによりRSSノナマーを認識し、V、D、J遺伝子セグメントとヘプタマーとの間の切断を誘発して、コード末端及びシグナル末端を生じる。再構成は、2つのV及びJコード末端の連結の後に完了する。この工程の前に、V-J結合部でのTdT酵素及びヌクレアーゼの作用が先行する。一旦再構成されると、新しく形成された遺伝子は転写され、次いでスプライシングされてmRNAとなり、その後、膜タンパク質に翻訳される。
ある特定のTCRは、限定された数の異なる抗原性ペプチドを特異的に認識する。その結果、個体の環境において遭遇する複数の感染に対して個体を防御するためには、広範囲のレパートリーの受容体が必要である。このために、免疫系は、ゲノム中に不連続的に存在する多数のV、D、J遺伝子セグメントの組み立ての機構を発展させた。この「組み立て」機構は、V(D)J組換えと呼ばれ、細胞ごとに独立しており、TCRをコードする遺伝子の単一の「フラグメント」を得ることを可能にする。この系は、少数の遺伝子を用いて多数の異なる受容体を生じることを可能にする。それぞれの細胞は、厳密な規則に従って遺伝子セグメントの組み合わせを用い、潜在的に独特なTCR鎖を得る。
レパートリーの多様性を生じるために、4つの主要な機構が寄与する:1) Vセグメント(Dセグメント)とJセグメントとの間の再構成の第1工程に相当する組み合わせ多様性(combinatorial diversity);2) 再構成された遺伝子セグメント間の結合部で生じる結合部多様性(junctional diversity);3) 再構成されたV-J及びV-D-J遺伝子における体細胞超変異;4) タンパク質ヘテロ二量体TCRα×TCRβ又はTCRγ×TCRδの対形成の多様性。
多様性を生じるための第1工程は、V(D)J遺伝子再構成の原理に基づく(図1)。固定された数のV、D及びJ遺伝子の対形成による組み合わせは、組み合わせ多様性を形成する。この多様性の算出は、mV×nD×pJの可能性のある組み合わせの数を推定することからなる。V(D)J組換えを制御する機構は無作為ではない:これは、個体発生の間に時空間的に制御される(Aude-Garciaら, 2001; Jouvin-Marcheら, 1998; Pasqualら, 2002; Rytkonenら, 1996)。よって、単純な乗法は、予測される遺伝子組み合わせの総数を推定するために充分でない。多様性を生じるためのこの第1工程は、レパートリーの大きさの次数を規定する。これは、なぜなら、この工程が少数の組み合わせ可変性しか生じなくても(1015と推定される最大理論的レパートリーと比較して、ほぼ数千程度の可能性のある組み合わせ(Davis及びBjorkman, 1988))、最大の組み合わせ多様性は、初期に利用可能なV、D及びJ遺伝子の数に直接つながるからである。多様性を生じるためのその他の2工程は、1次レパートリーの多様性を指数関数的に増幅させる。
結合部多様性は、抗原性ペプチドと接触する受容体のCDR3領域のレベルにて非常に大きい可変性を生じる。2つの機構が結合部多様性の増大に寄与する:1) 第1の機構は、再構成されたセグメントのヘアピンの分離(resolution)により生じるP個(パリンドローム)のヌクレオチドの付加による(Fugmannら, 2000)。生じる多様性は、末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ酵素を伴う第2の機構により生じるものほど大きくない;2) TdTは、ゲノム鋳型を必要とすることなく、それぞれのコードセグメントの3'末端にN個のヌクレオチドを無作為に付加することにより、実質的な多様性を作製する(Bogueら, 1992)。TdT -/-マウスについての研究により、これらの動物において、TCRαβレパートリーは通常のレパートリーの5%〜10%だけであり、よって、TdTがTCRαβの合計の多様性の作製の90%を担うと推定することが可能になった。さらに、これらの結果は、TCRβ転写産物におけるCDR3の長さが、TCRα転写産物のCDR3とは異なって、明らかに減少したことを示している。この知見により、予期されたように、TdTが、V-D-J組換えに対して、V-J再構成に対するよりも大きく寄与していることが確かめられる(Cabaniolsら, 2001)。
2次再構成の機構は、多様性を「保存する」ことに寄与する。結合部多様性は、レパートリーの多様性増幅の最大の因子であるが、それらのリーディングフレームが遮られた胸腺細胞の2/3を救うための2次再構成の機構がなければ、多様性の点におけるこの利点は、正の選択工程の前であっても、生物にとって著しい犠牲となるだろう。これらの非生産的再構成は、機能的TCRタンパク質を与えることができない。よって、細胞は、遺伝子座上でまだ利用可能なV(D)J遺伝子を用いて2次再構成を試みる可能性を有している。TRAD遺伝子座の集中的な開放(opening)の特性はこのプロセスを促進し、細胞に最大の可能な機会を残す。なぜなら、細胞が行う1次再構成は、互いに近いV-J遺伝子対の間で起こるからである(Huang及びKanagawa, 2001; Pasqualら, 2002; Wangら, 1998)。これらの第1再構成が生産的でなければ、細胞はその2番目の染色体上で再構成を試みるか、又は第1再構成のどちらかの側で利用可能なV及びJ遺伝子を用いる可能性がある。つまり、2次再構成は、第1の非生産的な再構成の最後に消去されるはずであった多数の細胞の生存を可能にする。
体細胞超変異(SHM)は、リンパ節におけるBリンパ球分化の間に、抗原と遭遇するときに生じる(Berekら, 1985)。SHMは、Igの再構成されたV-J及びV(D)J遺伝子の「ホットスポットモチーフ」に存在するが(Chaudhuriら, 2003; Oprea及びKepler, 1999)、TCRの再構成されたV-J及びV(D)J遺伝子に存在する場合もある(Kotaniら, 2005)。TCRは、通常はBリンパ球に特異的であるAID (活性化誘導シチジンデアミナーゼ)酵素をリンパ球が過剰発現する場合に、可変性遺伝子においてSHMの標的であり得る。正常な状況下で、TCRはSHMを受けない。なぜなら、Tリンパ球は全く単純にAIDを合成しないからである。にもかかわらず、Tリンパ球がそれを発現し始めると、TCRはこの酵素に対してBCRと同様に感受性である。なぜなら、これは、作用する全ての配列をその上に有するからである。全体として、文献には、この機構が、抗原の認識の機会を増加させる目的で、多様性をさらに1000の係数で増大させることを記載している。
TCRα鎖とTCRβ鎖との間の対形成による多様性は、TCRα鎖の異なる組み合わせの数に、TCRβ鎖についての可能性のある組み合わせの数を乗じることにより推定できる。この機構により生じる多様性は、再構成の間に得られる1次的な組み合わせの数に直接依存する。具体的には、結合部多様性を考慮せずにマウスにおける1次的TCRγδ組み合わせの数を調べる場合、結果は、40 TCRδ(=10V*2D*2J)×28 TCRγ(=7V*4J) = 1120だけの異なる組み合わせであるが、同じ計算はTCRαβについて5.6×106の組み合わせを与える(以下のようにして計算:102Vα*60Jα*33Vβ*2Dβ*14Jβ)。
ヒトゲノム及びマウスの完全配列決定により、最近、TCR遺伝子座のそれぞれの明確な地図を得ることが可能になり、よって、組換えを制御する機構を見出すための新しい遺伝子アプローチが可能になっている。それぞれの細胞は、TCR遺伝子を再構成できる4つの遺伝子座を有する。ヒト及びマウスにおいて、TCRα鎖及びTCRδ鎖は、同じ第14染色体上で2つの連結された遺伝子座に再構成される。ヒトTCRγ及びTCRβ遺伝子座は、それぞれ第7染色体(又はマウスでは第13染色体)及び第7染色体(又はマウスでは第6染色体)上にある(表1を参照)。
Figure 0005662155
知見#1:ダッシュ(-)は、再構成偽遺伝子数の確実性を見越して網羅的な研究をしていないことを示す。
知見#2:TCRβ組み合わせの推定。ヒトにおけるTCRβ遺伝子座の構造によると、D1セグメント上で再構成された遺伝子は、J1.1-J1.6セグメント上で再構成でき、次いで、BC1又はBC2とスプライシングされる。これらは、第2の組のセグメントJ2.1〜J2.8上でも再構成できるが、次いで、BC2上でのみスプライシングされる。用いられるのがD2セグメントである場合、J2.1〜J2.8の組のみを用いることができ、スプライシングはBC2鎖上で起こる。このことにより、D-J再構成の間に選択されたD1又はD2セグメントに従って分割された組み合わせ多様性をもたらす:(67V*1D1*6J1*2BC)+(67*1D1*(8J2-2PR)*1BC1)+67*1D2*(8J2-2PR)*1BC2=1608の可能性のある組み合わせ。
V(D)J遺伝子命名法は、過去数年間にわたって数回変更されている。それらが見出された順序に従ってまず割り当てられていた遺伝子の名称は、遺伝子座におけるそれらの位置との相関として現在、規定されている。最新の命名法はIMGTのものであり(http://imgt.cines.fr)、これは、Vファミリーを互いに関して論理的に配置し、遺伝子座上のファミリーのメンバーを直感的に分類する。このIMGT命名法は、全てのV遺伝子が既知であることを意味する。TRAV1遺伝子は、AJセグメントからもっとも遠い。これは、V領域の最も上流にある(5'側)遺伝子である。J領域に近づくほど、V-ファミリー番号が多くなる。つまり、ヒトTRAV41ファミリーは、AJ領域に最も近い。ファミリーのメンバーは、ファミリーの数と、次いでメンバーの数に従って作製された名称を有する。例えば、TRAV8.1はTRAV8ファミリーの中で最も上流(5')のメンバーであり、TRAV8.6メンバーは、V領域上で最も下流にある(3')。以下の文章において、IMGT命名法を用いる。
Bリンパ球により生成される免疫グロブリンのレパートリーの多様性は、Tリンパ球について上述したのと同じ機構の結果である。
免疫学的多様性の測定は、なかでも、免疫レパートリー、ホメオスタシス、免疫応答若しくは白血病に関与するT又はBリンパ球を設定する機構を研究すること、或いは治療により誘発される免疫不全又は逆に特定の免疫系活性化を評価することを可能にする。このリストは網羅的でない。
リンパ球集団の免疫レパートリーの研究は、多様性の程度を測定し、かつ特定の特異的T又はBクローンの存在を同定することをともに可能にする、いくつかのマルチパラメータアプローチの開発を導いた。多様性のこれらの種々の程度を評価するために免疫学者らにより開発されたいくつかのアプローチを、原理及び測定される「多様性」の程度に従って、以下に列挙する。
V多様性の測定
- サイトメトリーによる(Van den Beemd, van Dongenら2000)。
- ゲノム及びトランスクリプトームのレベルでのQ-PCRによる(Fuschiottiら, 2007; Langら, 1997; Pasqualら, 2002)。
CDR3結合部多様性の測定
- Immunoscope (登録商標)による(Cochetら, 1992; Pannetierら, 1995)。
- immunoscopeと連結したQ-PCRによる(TcLandscape (登録商標))。
- 配列決定による。
- ゲノムレベルでのAmplicot法による(Baum及びMcCune, 2006)。
- DNAチップによる(Bonariusら, 2006)。
体細胞超変異(SHM)の研究:
- PCR/配列決定による(Hamblinら, 1999)。
TREC切除環状産物(excision circles)の減少による間接的測定
- PCRによる(Douekら, 1998)。
- Q-PCRによる(Phamら, 2003)。
これらのアプローチのいくつか、特にImmunoscope (登録商標) (Pannetier, C., J. Evenら, 1995)又はフローサイトメトリー(Van den Beemd, van Dongenら, 2000)は、基礎研究において有用であることがすでに証明されているが、これらを医療バイオマーカーとして用いることが適切であるかを評価するために、いくつかの科学的及び技術的な実証がさらになされなければならない。免疫系の複雑さに直面して、免疫レパートリーに含まれ、ある病態に関連する全ての情報を解読するために、科学者は、相補的な技術的アプローチを連結させる必要があるだろう。
ある再構成に特徴的な核酸セグメントを特異的に増幅するPCRの使用に基づくその他の方法が記載されている。
例えば、米国特許第5,296,351号及び第5,418,134号は、いくつかのV-J再構成を同時に増幅するための「コンセンサス」プライマーを用いる免疫グロブリン及び/又はT受容体をコードする配列の増幅に基づいて、リンパ性白血病又はB若しくはTリンパ腫を検出するための方法を示している。
出願WO2005/056828は、異なる再構成に対応するいくつかの異なるフラグメントを同じプライマー対を用いてゲノムDNAから増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であるマルチプレックスPCRの使用に基づく方法を記載している。
しかし、上記の方法はいずれも、適度な時間の間に、免疫レパートリーのV(D)J再構成の分離や、ある特定の遺伝子座で生じた全ての再構成の分離を得ることを可能にしない。これは、このために行われなければならないマルチプレックスPCRの回数が、これらの方法の日常的な使用を可能にするには多すぎるからであろう。
本発明は、信頼性があり、簡単で迅速な様式で多数のV(D)J再構成の分析を可能にするための、出願WO2005/056828に記載される方法のいくつかの改良に基づく。結果として、本発明の方法は、臨床前又は臨床段階での免疫モニタリング、免疫系の(再)構築に対する治療の有効性、個別化された診断、予測、特に腫瘍学-血液学におけるものを研究するためのような種々の応用における試料中のB及び/又はTリンパ球のレパートリーの多様性を分析するための選択できるツールを構成する。
本発明は、よって、まず、ヒト又は動物の個体におけるT及び/又はBリンパ球のレパートリーの多様性を、該個体からの生体試料に由来するゲノムDNAから、インビトロ分析する方法であって、以下の:
A) 前記ゲノムDNAの複数のフラグメントを複数回のマルチプレックスPCRにより増幅する工程であって、その少なくとも1回は、以下の特徴:
(i) それぞれのプライマー対は、ある特定のV若しくはD遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するプライマーと、ある特定のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するプライマーとで構成されているので、それぞれのプライマー対を用いて、2つの別々のV-J又はD-J再構成の特徴である少なくとも2つのフラグメントの増幅が可能になり;
(ii) 前記プライマー(すなわち同じ増幅反応で用いられる全てのプライマー)は熱力学的に併用でき(compatible);
(iii) 前記プライマーは、第1プライマー対を用いて増幅されるフラグメントが第2プライマー対を用いて増幅されるフラグメントと区別できるような様式で選択される;
を有する少なくとも2つのプライマー対を構成する少なくとも3つのプライマーの組み合わせを用いて行われるマルチ-n-プレックス(multi-n-plex) PCR (n≧2)である工程と;
B) 工程A)で得られた増幅産物を検出する工程と;
C) 結果を解釈する工程と
を含む方法に関する。
この方法を行うために、ゲノムDNAは好ましくは精製される。しかし、当業者は、技術の進歩に従って、未精製試料を用いて作業することを選択できる。リンパ球を含有する任意の生体試料を用いることができる。用いることができる試料の限定しない例として、血液、胸腺、リンパ節、脾臓、PBMC、肝臓、皮膚、尿などの試料を挙げることができる。
上記の方法を行うために、高性能Taqポリメラーゼ酵素が必要である。特に、大きいフラグメントを高速で増幅する能力を有し、GCリッチ領域を「通過」できる酵素を用いることが好ましい。より好ましくは、本発明の関係においてマルチ-n-プレックスPCR反応を行うために、当業者は、以下の特徴を有するポリメラーゼを選択する:
(i) 数十kbのフラグメントを増幅できる;
(ii) 伸長速度が少なくとも1 kb/分である;
(iii) 平均してkbあたり1を超える誤りを導入しないような堅牢性である。本発明の方法を行うために用いることができる酵素の限定しない例として、StratageneからのHerculaseIIポリメラーゼ、及びBioradからのIproofポリメラーゼを挙げることができる。
本発明の関係において、用語「マルチ-n-プレックスPCR」とは、n度の多重性を有する、すなわち、同じ反応において、それぞれが少なくとも2つの異なる染色体再構成の特徴である少なくとも2つのDNAフラグメントの増幅を可能にする異なるn個のプライマー対を用いるポリメラーゼ連鎖反応のことをいう。例えば、TRA遺伝子座において、マルチ-2-プレックスPCR反応は、ある特定のVx遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する「センス」プライマーと、2つの別々のJy及びJz遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する2つの「アンチセンス」プライマーとを用いて行うことができ、単一反応で、VxJy、VxJy+1、VxJz及びVxJz+1再構成の特徴であるフラグメントの増幅を少なくとも可能にする。もちろん、マルチ-n-プレックスPCR反応は、用いられるn個のプライマー対が熱力学的に併用できる場合にのみ可能である。プライマーの熱力学的併用性(compatibility)は、それを証明するためのアルゴリズムを有する、当業者に公知の考え方である。これは、特に、種々のプライマーが同一又は近い融解温度(Tm)を有することを含む。さらに、種々のプライマーは、互いにハイブリッド形成してはならず、ヘアピンを形成してもならない。本明細書の以下において、マルチ-n-プレックスPCRにおいてそれらを同時に用いるためのプライマーの併用性につながる制約は、全ての分子生物学者の一般的な知識であるので、系統的に振り返らない。
本発明の関係において、「ある特定のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するプライマー」は、言語の誤用により、「J遺伝子に特異的なプライマー」ということができる。同様に、「ある特定のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するプライマー」は、「V遺伝子に特異的なプライマー」ということができる。V遺伝子について、これらは、ほとんどの遺伝子座について、それらの相同性の程度に従って、ファミリーにまとめられることに注目することが重要である。この場合、「ある特定のV遺伝子に特異的なプライマー」は、現実的に、V遺伝子のファミリーの全てのメンバー又はいくつかのメンバーを特異的に認識するプライマーのことをいうことができる。V遺伝子のファミリーに特異的なプライマーの例を、以下に記載する。さらに、あるプライマー対が、同じファミリーの全てのメンバー又はいくつかのメンバーの再構成を検出することを可能にする場合、これらの再構成は、言語の誤用により、「再構成」、「アンプリコン」又は「PCR産物」ということができる。
上記の方法は、特に、遺伝子座TRA、TRB、TRG、TRD、IgH、IgK、IgLなどから選択される少なくとも1つの遺伝子座のV-J再構成の組み合わせ多様性の分析に用いることができる。
本発明による方法のある特定の実施形態において、各プライマー対の少なくとも1つのプライマーが標識される。あるプライマーが、同じマルチ-n-プレックスPCRにおいて用いられるいくつかのプライマー対に共通する場合、各対の他方のプライマーを標識することが好ましい。有利には、それぞれの対による増幅の産物を区別することを可能にする種々の標識を用いることができる。当業者は、プライマーを標識するために用いることができる多様な標識を知っており、なかでも、比色標識、蛍光標識、酵素標識、放射活性標識、ビオチン、ストレプトアビジンなどを挙げることができる。
上記の方法のある特定の実施形態において、工程B)は、DNAフラグメントの増幅のリアルタイム測定の工程を含む。得られる増幅曲線の解釈は、次いで、以下のようにして行われる:
(i) 1つ、又は曲線の数の半分未満の数のいくつかの曲線、特に1、2又は3つに等しい曲線が、他の曲線と比較して、前記他の曲線が第1曲線の変曲点の少なくとも2サイクル後、好ましくは少なくとも3又は4サイクル後で変曲点を示すようなシフトを示すか、又は増幅を示さない場合、結果は、クローン性又はオリゴクローン性のリンパ球増殖の存在を示し;
(ii) 逆に、全ての曲線が同じサイクルにて変曲点を示すか、又は2若しくは3増幅サイクルの最大シフトを示す場合、結果は、増幅されたフラグメントに相当する再構成の1つに起因するクローンのリンパ球増殖の仮定を棄却することを可能にする。
この実施形態において、そして定量PCR (SYBR-green (登録商標)のような蛍光インターカレート試薬の組み込みの測定であるTaqMan (登録商標))を行うために用いられる技術に従って、測定される増幅は、同じ反応において用いられる全てのプライマー対を用いて行われる増幅の合計であるか(SYBR-green (登録商標)を用いる場合)、又は逆に、それぞれのプライマー対による別々の増幅である(各対について異なって標識されたプライマーを用いるTaqMan (登録商標)の場合)。いずれにせよ、本発明者らは、ある特定のリンパ球集団が試料中に過剰に存在する(over-represented)場合、これらのリンパ球において生じた再構成に対応するフラグメントの増幅が効果的であるが、他の再構成に対応するフラグメントの増幅はシフトされた曲線又は増幅がない(平坦な曲線)ことをもたらすことを観察している。
蛍光インターカレート試薬を用いて増幅反応を行う場合、上記の方法は、40℃と95℃の間の温度上昇の間にそれぞれのチューブ中の蛍光を連続的に測定することによりリンパ球増殖を確認する(任意の)工程も含んでよく、優勢なピークを観察することは、優勢なアンプリコン、すなわちリンパ球増殖の存在を示すが、よく似たサイズのいくつかのピークを観察することは、逆にリンパ球多様性を示す。
この方法は、アンプリコンの分子多様性を測定することにより、ゲノムDNAのレベルで観察される再構成の分子多様性を測定する工程を行うことも可能にする。この任意の工程は、付加的な程度の情報を与える。なぜなら、「分子多様性」は、結合部多様性(CDR3)と、組み合わせ多様性(V-J)と、体細胞超変異に由来する多様性との組み合わせに起因するからである。これは、本発明によると、次のようにして測定される:
(i) 95℃でのアンプリコンの脱ハイブリッド形成(dehybridization)の後に、増幅産物の温度を迅速に40℃未満、好ましくは30℃以下に戻す;この温度の低下は、サーマルサイクラー中、又はチューブを氷中に数分間入れることにより行うことができる;温度の低下は、短時間で、好ましくは2分未満、より好ましくは30秒未満で行うべきである;
(ii) 蛍光を、定期的に、好ましくは連続的に、再ハイブリッド形成の間に測定する;
(iii) 迅速な再ハイブリッド形成(秒程度で)は、優勢なアンプリコンの存在、すなわちクローン性リンパ球増殖の存在を示すが、より遅い再ハイブリッド形成(数十秒、又は分程度で)は、良好な分子多様性を示す(少なくとも数十、又は数千の分子)。
本発明の方法の別の好ましい実施形態によると、増幅産物の検出の工程B)は、該産物をそれらのサイズによって分ける工程を含む。当業者は、アンプリコンをそれらのサイズによって分けるためのいくつかの方法を知っている。限定しない例として、アガロース若しくはポリアクリルアミドゲル電気泳動、又はキャピラリー電気泳動を挙げることができ、後者はより容易に自動化できるという利点を有する。そのサイズによって分けられたアンプリコンは、当業者に知られる任意の手段、特にプライマーと結合した標識により、又はエチジウムブロミド、SYBR-green (登録商標)のような蛍光インターカレート試薬を用いることにより検出できる。アンプリコンの分離及びその検出により、増幅を上昇させた種々の染色体再構成を同定することが可能になる。半定量的又は定量的な増幅法の使用により、さらに、試験試料中で、観察されるそれぞれのアンプリコンに相当する、V(D)J再構成を受けたリンパ球の頻度を決定することが可能になる。よって、本発明のこの実施形態は、免疫レパートリーの一部分の組み合わせ多様性を詳細に評価することを可能にし、この部分が大きいほど、増幅を上昇させることができる再構成の数が多く、後者のパラメータは、実施したマルチプレックスPCRの回数、その多重性の程度及びプライマーの選択に依存する。
当業者は、リンパ球レパートリーの多様性の第1評価を、上記のようなDNAフラグメントの増幅の単純なリアルタイム測定により行い、その後、アンプリコンをそれらのサイズによって分けて、リンパ球集団における種々の再構成の分布に関するさらなる情報を得ることにより本発明の方法を行うことを決定してよい。リンパ球増殖を定量的マルチ-n-プレックスPCRにより検出する場合、アンプリコンをそれらのサイズにより分けることによる検出の第2工程により、特に、その増殖性クローン又は数個の増殖性クローン中に存在するV(D)J再構成を同定することが可能になる。このアプローチは、さらなるPCRを行うことを必要としないことに注目することが重要である。なぜなら、アンプリコンをそれらのサイズに従って分けるためには、すでに行われたPCRの産物を用いれば充分だからである。或いは、当業者は、リアルタイムPCRによりリンパ球増殖を探索する第1工程を行わず、増幅産物を直接分けることを選択できる。当業者は、次いで、試験されたリンパ球集団において生じた種々のV(D)J再構成の名称及び頻度(強度)を直接得る。
本発明のこの実施形態において、それぞれのマルチ-n-プレックスPCR反応(n≧2)において組み合わせて用いられるプライマー対は、好ましくは、得られるアンプリコンの大部分がそれらのサイズに従って分離できるように選択される。用語「分離される」とは、本明細書において、電気泳動法又は任意のその他の方法によるサイズ分けの後に、それぞれのアンプリコンが個別に観察できることを意味する。アンプリコンのサイズが近すぎる場合、他の全てのアンプリコンサイズを「分離する」ための条件と両立できる分離条件を用いて、常にそれらを明確に識別できるわけではない。ある特定のプライマー対を用いて得られる種々のアンプリコンは異なる再構成に相当し、よって、著しく異なるサイズのものである。よって、あるプライマー対による増幅産物の少なくともいくつかが、他のプライマー対による増幅産物とは異なるサイズであることを確実にするために注意を要する。もちろん、良好なバンド分離を得るためのサイズの違いは、用いる技術に依存する。傾向として、10%のサイズに違いは、通常、良好な分離を得ることを可能にする。理想的には、プライマーは、全てのアンプリコンの分離を可能にするように選択される。しかし、同じマルチ-n-プレックスPCRにおける種々のプライマー対を用いて得られたアンプリコンに相当するいくつかのバンドが近すぎるか又は重複する場合、対応する再構成を同定して定量するために他の手段を用いることができる。例えば、別々の標識を対応するプライマー(考慮する各対の少なくとも1つのプライマーに)に結合させることができる。
本発明のある特定の実施形態において、少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR (n≧2)を、ある特定のV遺伝子に特異的な共通「センス」プライマーを含む少なくとも2つのプライマー対を構成する少なくとも3つのプライマーの組み合わせを用いて行い、ここで、それぞれのプライマー対は、ある特定のJ遺伝子に特異的な「アンチセンス」プライマーも含む。より具体的には、この方法は、ある特定のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するセンスプライマーと、2つの別々のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する2つのアンチセンスプライマーとでそれぞれが構成される3つ組のプライマーを用いる数回のマルチ-2-プレックスPCRにより行われることが有利である。
本発明に従ってマルチ-n-プレックスPCRを行うためのプライマーを組み合わせる別の様式は、ある特定のJ遺伝子に特異的な共通アンチセンスプライマーを含む少なくとも2つのプライマー対を構成する少なくとも3つのプライマーを組み合わせることであり、ここで、それぞれのプライマー対は、ある特定のV遺伝子に特異的なセンスプライマーも含む。
TRB遺伝子座は、特定の構成を有する。なぜなら、J遺伝子が、互いに離れた2つの群(又はクラスター)として配置され、第1群は(5'→3'の方向に) BJ1.1〜BJ1.6遺伝子を含み、第2群はBJ2.1〜BJ2.7遺伝子を含むからである。この特定の構成の利点を生かして、本発明者らは、ある特定のV遺伝子と、J遺伝子の全部又は一部との再構成に相当するアンプリコンの優れた分離を得るためのプライマーを選択するパラメータを決定した。本発明のこの特定の実施形態によると、少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR反応(n≧2)が、以下の特徴を有する少なくとも2つのプライマー対を構成する少なくとも3つのプライマーの組み合わせを用いて、TRB遺伝子座のある再構成を分析するために行われる:
(i) 前記2つのプライマー対は、ある特定のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する共通センスプライマーを含み、それぞれは、ある特定のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するアンチセンスプライマーを含む;
(ii) 前記2つのアンチセンスプライマーは、TRB遺伝子座のJ遺伝子の2つの別々の群に属する2つの遺伝子Jy及びJzの下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する;
(iii) 前記Jy遺伝子に特異的なアンチセンスプライマーのハイブリッド形成領域と前記Jy遺伝子の始点との間の距離は、前記Jz遺伝子に特異的なアンチセンスプライマーのハイブリッド形成領域と前記Jz遺伝子の遺伝子群のうちの最初のJ遺伝子の始点との間の距離よりも大きい。
上記の文章において、「前記Jy遺伝子に特異的なアンチセンスプライマーのハイブリッド形成領域と前記Jy遺伝子の始点との間の距離」とは、前記ハイブリッド形成領域の3'末端(よって、アンプリコン中の、Jy遺伝子に特異的なアンチセンスプライマーの5'末端に相当する)と、Jy遺伝子の最初のコード塩基(RSS組換え配列の直後にある)との間の距離のことである。
本発明のこの態様におけるある好ましい実施形態において、Jy=J1.6及びJz=J2.7である。V=Vxである場合、再構成VxJ2.7、VxJ2.6、VxJ2.5、VxJ2.4、VxJ2.3、VxJ2.2、VxJ2.1、VxJ1.6、VxJ1.5、VxJ1.4、VxJ1.3、VxJ1.2及びVxJ1.1に特徴的なバンドは、よって、サイズが増加する順にみられる。適切な場合、用いられるポリメラーゼが特に効果的であれば、J2.7遺伝子の下流とハイブリッド形成するプライマーを用いて増幅されるVxJ1.n編成に相当する高分子量バンドも観察される。或いは、この方法は、Jy=J2.7及びJz=J1.6を用いて行うことができ、これは、増加する順序で観察される、再構成VxJ1.6、VxJ1.5、VxJ1.4、VxJ1.3、VxJ1.2、VxJ1.1、VxJ2.7、VxJ2.6、VxJ2.5、VxJ2.4、VxJ2.3、VxJ2.2及びVxJ2.1の特徴であるバンドをもたらす。
TRB遺伝子座のある再構成を分析するための上記の方法のある好ましい実施形態によると、少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR反応(n≧2)は、以下のように規定されるプライマーhTRBJ1.6及びhTRJB2.7を含む少なくとも3つのプライマーの組み合わせを用いて行われる:
- hTRBJ1.6 (CTTGGTGCATGGCTATGTAATCCTG、配列番号1)は、25ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、TCRB遺伝子座のJ1.6遺伝子のヌクレオチド2341と2365の間とハイブリッド形成する;
- hTRBJ2.7 (CTCGCCCTCTGCTCAGCTTTCC、配列番号2)は、22ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、TCRB遺伝子座のJ2.7遺伝子のヌクレオチド214と235の間とハイブリッド形成する。
TCR又はIgH遺伝子座の種々の遺伝子に対する本明細書に記載される種々のプライマーの位置を決定する方法は、以下の実施例1に記載される。「Ensembl Genome Browser」データベースに開示されるゲノム配列を用いて、本発明の関係において用いることができるプライマーを同定することができる。
本発明者らは、TRB遺伝子座において、機能的V遺伝子の24個のファミリーを同定した。本発明者らは、少なくとも23回のマルチ-2-プレックスPCRを行うことにより、Vファミリーの85%より多くを含む、TRB遺伝子座のV(D)J再構成の少なくとも75%を分析できることも示している。よって、本発明は、より具体的には、少なくとも3つのプライマーの組み合わせを用いて23回又は24回のマルチ-n-プレックスPCR (n≧2)を行うことにより、少なくとも75%、好ましくは80%のTRB遺伝子座のV(D)J再構成を分析する方法に関し、ここで、プライマーの組み合わせのそれぞれは、上記で規定されるhTRBJ1.6及びhTRBJ2.7プライマーと、以下の表に規定されるプライマーから選択される少なくとも1つのhTRBVプライマーとを含む:
Figure 0005662155
Figure 0005662155
本発明のこの実施形態は、TRB遺伝子座のV(D)J再構成の少なくとも80%の分析、すなわち85%より多い機能的V遺伝子ファミリーについての分析、それぞれの機能的Vファミリーと、この遺伝子座のそれぞれの機能的Jファミリーとの遺伝子の使用頻度の決定を可能にする(これらの再構成に用いられるD遺伝子の性質についての情報も、ある特定のVファミリーのそれぞれのメンバーの使用についての情報も、再構成の結合部多様性についての情報もなく)。マルチ-n-プレックスPCRによる増幅のリアルタイム測定と組み合わせることにより、分子多様性を推定することも可能である。
本発明の方法の別の特定の実施形態によると、この方法は、TRB及びIgH遺伝子座から選択される遺伝子座における不完全D-J再構成のインビトロ検出を可能にする。不完全再構成の検出は、重要である。なぜなら、それらが機能的でないとしても、それらは、リンパ球増殖性集団の唯一のサインである場合があるからである。
この方法は、特に、少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR反応(n≧2)を、以下の特徴を有する少なくとも2つのプライマー対を構成する少なくとも3つのプライマーの組み合わせを用いて行うことにより、ヒトTRB遺伝子座の不完全DJ再構成を分析するために適切であり得る:
(i) 前記2つのプライマー対は、ある特定のD遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する共通センスプライマーを含み、それぞれは、ある特定のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するアンチセンスプライマーを含む;
(ii) 前記2つのアンチセンスプライマーは、TRB遺伝子座のJ遺伝子の2つの別々の群に属する2つの遺伝子Jy及びJzの下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する;
(iii) 前記Jy遺伝子に特異的なアンチセンスプライマーのハイブリッド形成領域と前記Jy遺伝子の始点との間の距離は、前記Jz遺伝子に特異的なアンチセンスプライマーのハイブリッド形成領域と前記Jz遺伝子の遺伝子群のうちの最初のJ遺伝子の始点との間の距離よりも大きい。
特に、上記で規定されるhTRBJ1.6及びhTRBJ2.7プライマーは、マルチ-n-プレックスPCR反応(n≧2)をを行うために、ある特定のD遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するセンスプライマーと組み合わせることができる。
TRB遺伝子座の構成により、この遺伝子座の全ての不完全DJ再構成を、2回のみのマルチ-2-プレックスPCRにより分析できる。
つまり、(i) hTRBJ1.6及びhTRBJ2.7プライマーとhTRBD1プライマーとで構成される3つ組のプライマーを用いるマルチ-2-プレックスPCRと、(ii) hTRBJ2.7プライマーとhTRBD2プライマーとで構成されるプライマー対を用いる単純マルチプレックスPCRとを行うことにより、ヒトTRB遺伝子座の全ての不完全再構成を分析でき、ここで、例えばhTRBD1及びhTRBD2プライマーは、以下の表で規定されるプライマーから選択される:
Figure 0005662155
TRB遺伝子座の不完全再構成の分析を他の再構成の分析と組み合わせる場合、上記のマルチプレックスPCR、特に単純マルチプレックスPCRは、同じチューブ中で行われる別の増幅反応と組み合わせることができる(つまり、多重度を増大させ、ある特定の数の再構成を分析するために必要な反応の数を減少させる)。
本発明のある好ましい実施形態によると、上記の方法は、TRB遺伝子座のV(D)J再構成の分析と、この遺伝子座の不完全再構成の分析とを、上記の適切な変形を行うことにより組み合わせる。この分析のための上記のプライマーは、ヒトにおけるこの遺伝子座の再構成の分析に適切であるが、この方法は、動物、例えばマウスに困難なく置き換えることができる。マウスにおいて用い得るプライマーは、例として、以下の実験部分に記載される。
本発明の別の態様によると、本方法は、ヒトTRA遺伝子座のJ遺伝子の95%と、同じ遺伝子座のある特定のV遺伝子との再構成を、工程A)において、V遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成するプライマーと、対(hTRAJ56、hTRAJ41)、(hTRAJ37、hTRAJ33)、(hTRAJ48、hTRAJ29)、(hTRAJ24, hTRAJ18)、(hTRAJ53、hTRAJ11)及び(hTRAJ7、hTRAJ3)から選択される1つ又は2つのアンチセンスプライマー対とでそれぞれが構成されるプライマーの組み合わせを用いて3〜6回のマルチ-n-プレックスPCR (n≧2)を行うことにより、分析することを可能にし、該プライマーは以下の表において規定される:
Figure 0005662155
この分析は、特に、6回のマルチ-2-プレックスPCRを用いて行うことができる。或いは、これは、V遺伝子に特異的なセンスプライマーと、以下の4つ組(hTRAJ56、hTRAJ41、hTRAJ37、hTRAJ33)、(hTRAJ48、hTRAJ29、hTRAJ24、hTRAJ18)及び(hTRAJ53、hTRAJ11、hTRAJ7、hTRAJ3)から選択される4つ組のプライマーとをそれぞれが含むプライマーの組み合わせを用いる、3回のマルチ-4-プレックスPCRを用いて行うことができる。もちろん、中間の状況(4回のマルチ-2-プレックスPCRと、1回のマルチ-4-プレックスPCR;2回のマルチ-2-プレックスPCRと、2回のマルチ-4-プレックスPCR)も構想される。
TRA遺伝子座の再構成についてのより総合的な情報を得るために、上記の方法を、それぞれが該遺伝子座の別々の領域にある別々のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成する、少なくとも3つ、好ましくは4、5、6又はそれより多くのプライマーを用いて行うことが提案される。これらのプライマーにより標的にされるTRAV遺伝子がこの遺伝子座においてよく分布していることが、観察される組み合わせ多様性がこの遺伝子座の全ての再構成を実際に代表するために、重要である。このために用いることができるプライマーを、以下の表に規定する:
Figure 0005662155
Figure 0005662155
この表に記載される20個のTRAVプライマーのそれぞれについて、6回のマルチ-2-プレックスPCR (又は3回のマルチ-4-プレックスPCRなど)を、上記の組み合わせを用いて、TRAJ遺伝子の95%と、V遺伝子との再構成を観察するために行うことによって上記の方法を行うことにより、TRA遺伝子座の全てのVJ再構成の50%〜75%を観察することが可能になる。
もちろん、当業者は、この方法を、動物のTRA遺伝子座、例えばマウスのTRA遺伝子座の分析に置き換えることができる。
別の態様によると、本発明は、ヒトTRG遺伝子座の全てのJ遺伝子と、同じ遺伝子座の少なくとも2つのある特定の遺伝子Vx及びVyとの再構成を、工程A)において、前記Vx及びVy遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成する2つのセンスプライマーと、ヒトTRG遺伝子座のJ2遺伝子の中とハイブリッド形成する26ヌクレオチドのアンチセンスプライマーhTRGJdo2 (ACATATGAGCCCTTTATGGAAGTCCG、配列番号62)とで構成される3つ組のプライマーを用いる少なくとも1回のマルチ-2-プレックスPCRを行うことにより、分析するための方法に関する。
本発明のこの態様を行うために用いることができる、ヒトTRG遺伝子座のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成するプライマーの例としては、以下の表に規定されるプライマーを挙げることができる:
Figure 0005662155
この分析は、特に、単純マルチプレックスPCRのみ、又はマルチ-n-プレックスPCR (n≧2)を、TRG遺伝子座に特異的なプライマー対と、別の遺伝子座に特異的なプライマー対とを同じ反応において用いて行うことにより行うことができる。
TRD遺伝子座に含まれる再構成の多様性も、工程A)において、この遺伝子座のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成するプライマーと、以下のように規定されるアンチセンスプライマーhTRDJ1do5及びhTRDJ3do2とで構成される3つ組のプライマーを用いてマルチ-2-プレックスPCRを行うことにより、研究できる:
- hTRDJ1do5 (TGCCTCCTTAGATGGAGGATGCC、配列番号67)は、TRD遺伝子座のJ1遺伝子のヌクレオチド90〜112の間とハイブリッド形成する23ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドである;
- hTRDJ3do2 (GCAAGGAGGCACGCATACTAGTTAGC、配列番号68)は、TRD遺伝子座のJ3遺伝子のヌクレオチド448〜473の間とハイブリッド形成する26ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
このプライマーの組み合わせを用いて、単一のマルチ-2-プレックスPCRを用いて、ヒトTRD遺伝子座の全てのJ遺伝子と、ある特定のV遺伝子との再構成を分析することができる。TRD遺伝子座の全てのVJ再構成の完全な分析は、よって、TRDVファミリーあたり、1回のマルチ-n-プレックスPCR (n≧2)を行うことにより得ることができる。本発明のこの態様を行うためにアンチセンスプライマーhTRDJ1do5及びhTRDJ3do2とともに用いることができるTRDV遺伝子に特異的なプライマーの例としては、以下の表に規定されるプライマーを挙げることができる:
Figure 0005662155
別の変形によると、本発明は、ヒトIgH遺伝子座の全てのJ遺伝子と、同じ遺伝子座の少なくとも2つのある特定の遺伝子Vx及びVyとの再構成を、前記Vx及びVy遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成する2つのセンスプライマーと、IgHJ6遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成する1つのアンチセンスプライマー、例えばIgHJ6遺伝子の最初から開始して塩基368〜塩基392の間とハイブリッド形成するプライマーhIgHJ6do2 (GATCTTGCAGTCCTACAGACACCGC、配列番号85)とを含むプライマーの組み合わせを用いて、少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR (n≧2、特にn=2)を行うことにより、分析することも可能にする。
本発明のこの態様に従って用いることができるヒトIgH遺伝子座のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成するプライマーとしては、以下の表に規定されるプライマーを挙げることができる。
Figure 0005662155
この方法のある特定の実施形態によると、IgH遺伝子座のVx及びVy遺伝子に特異的なプライマーは、Vxに特異的なプライマーのハイブリッド形成領域の5'末端と該Vx遺伝子の末端との間の距離と、IgHJ1遺伝子のコード配列の5'末端とhIgHJアンチセンスプライマーのハイブリッド形成領域の3'末端との間の距離との合計が、Vy遺伝子に特異的なプライマーのハイブリッド形成領域の5'末端と該Vy遺伝子の末端との間の距離と、IgHJ6遺伝子のコード配列の5'末端とhIgHJ6アンチセンスプライマーのハイブリッド形成領域の3'末端との間の距離との合計よりも大きいように選択される。このことにより、VxJ6に相当するアンプリコンが、VyJ1に相当するものよりも大きくなることが可能になり、VyJ6、VyJ5、・・・、VyJ1、VxJ6、・・・、VxJ1の順序でアンプリコンの分離を得ることができる。
しかし、IgHJ遺伝子クラスターのサイズに鑑みて、IgH遺伝子座のVx及びVy遺伝子に特異的なプライマーは、アンプリコンの「埋め込まれた」配置を得るように選択される、すなわち、第1プライマー対を用いて得られる少なくとも1つのアンプリコンが、第2プライマー対を用いて得られる2つのアンプリコンと接しているように選択されることが好ましい。
本発明の方法は、ヒトIgH遺伝子座の不完全再構成を、ある特定のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する共通アンチセンスプライマー、例えば上記のhIgHJ6do2プライマーを含む少なくとも2つのプライマー対を構成する少なくとも3つのプライマーの組み合わせであって、それぞれのプライマー対はある特定のD遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するセンスプライマーも含む組み合わせを用いて、少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR反応(n≧2)を行うことにより、分析することも可能にする。
本発明のこの態様に従って用いることができるヒトIgH遺伝子座のD遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成するプライマーの例としては、以下の表に規定されるプライマーを挙げることができる。
Figure 0005662155
この分析は、特に、単純マルチプレックスPCRのみ、又はマルチ-n-プレックスPCR (n≧2)を、IgH遺伝子座に特異的なプライマー対と、別の遺伝子座に特異的なプライマー対とを同じ反応において用いて行うことにより、行うことができる。
本発明のある好ましい実施形態によると、この方法は、IgH遺伝子座のV(D)J再構成の分析と、この遺伝子座の不完全再構成の分析とを、上記の適切な変形を行うことにより組み合わせる。この分析のための上記のプライマーは、ヒトにおけるこの遺伝子座の再構成の分析に適するが、この方法は、動物、例えばマウスに困難なく置き換えることができる。
本発明の別の実施形態によると、この方法は、TRA、TRB、TRG、TRD、IgH、IgK及びIgL遺伝子座から選択される少なくとも2つの遺伝子座のV(D)J再構成の組み合わせ多様性を、上記の適切な変形を組み合わせることにより分析するために適する。種々の遺伝子座の分析は、適切に、マルチ-n-プレックスPCRを、ある遺伝子座に特異的な少なくとも1対と、別の遺伝子座に特異的な別の対とを用いて同じ反応において用いて行うことにより、同時又は逐次的に行うことができる。
特に、TRB遺伝子座のV(D)J再構成の組み合わせ多様性と、TRG遺伝子座又はTRD遺伝子座のVJ再構成の組み合わせ多様性との組み合わせた分析により、Tリンパ球のレパートリーの代表的な視点を得ることが可能になる。IgH遺伝子座のV(D)J再構成の組み合わせ多様性の分析を加えることにより、全てのリンパ球(B及びT)についての情報が得られる。
以下の実施例に記載される本発明のある重要な態様は、観察される種々の再構成をそれらの名称により同定する可能性である。ある好ましい実施形態によると、この方法の工程C)は、アンプリコンをそれらのサイズにより分けることにより得られるデータを処理する工程を含み、この処理は、コンピュータにより行われ、観察されたそれぞれのアンプリコンに、対応するV(D)J再構成の名称を割り当てることを可能にする。より好ましくは、データ処理は、対応するV(D)J再構成の相対的頻度を定量するために、観察されたそれぞれのアンプリコンのシグナル強度も統合する。
このことにより、強度又は観察される免疫レパートリー内の貢献の順序でVDJ再構成を分類することにより、免疫多様性のサインを記載することが可能になる。この再構成の分類は、試料中の瞬間「t」での免疫レパートリーのサインに相当する。
特に、本発明の方法は、工程B)がアンプリコンのサイズ及び各1つずつについてのシグナル強度に関するデータの獲得を含み、工程C)が以下の工程を含むようなものであり得る:
(i) 各アンプリコンを、それが相当するV(D)J再構成をそのサイズの関数として決定することにより同定する工程と;
(ii) 各アンプリコンのシグナル強度から、対応するV(D)J再構成を有する開始ゲノムDNAの割合を決定する工程と;
(iii) 第1軸に沿ってVx遺伝子又はVx遺伝子ファミリー、第2軸に沿ってJy遺伝子、第3軸に沿ってVxJy再構成の頻度を示す3次元グラフの形で結果を提示する工程。
例えばマルチ-n-プレックスPCRによる増幅のリアルタイム測定を行うことにより分子多様性も測定する場合、この方法は、組み合わせ多様性と分子多様性の測定を考慮することにより全ての免疫多様性を測定することを可能にする。
本発明は、以下の:
A) 個体からの生体試料を用いてリンパ球計数を行う工程と;
B) 同じ試料又は同じ個体から同時に由来する別の試料を用いて、前記個体のリンパ球のレパートリーの組み合わせ多様性の程度を、上記の方法を行うことにより決定する工程と;
C) 工程A)及びB)で得られたデータを組み合わせる工程と
を含む個体の免疫不全の程度をインビトロで決定する方法にも関する。
この方法は、危険性のレベルを少なくともゾーン(i)〜(iv)、好ましくは、以下のゾーン(i)〜(vi)に割り当てるグラフの観点から、工程C)で得られた組み合わせを解釈するさらなる工程を含むことができる:
(i) 低い計数(<1000 Ly/μL)及び低いV-J組み合わせ多様性(<40%):高い死亡の危険性を伴う高い感染の危険性;
(ii) 低い計数(<1000 Ly/μL)、しかし正常なV-J組み合わせ多様性(>65%):低い感染の危険性;
(iii) 正常の計数(1000〜3200 Ly/μL)及び低いV-J組み合わせ多様性(<40%):中程度の感染の危険性;
(iv) 正常の計数(1000〜3200 Ly/μL)及び正常なV-J組み合わせ多様性(>65%):免疫レパートリーは健常である;
(v) 正常を超える計数(>3200 Ly/μl)及び低いV-J組み合わせ多様性(<40%):高いリンパ球増殖の危険性;
(vi) 正常を超える計数(>3200 Ly/μl)及び正常なV-J組み合わせ多様性(>65%):中程度のリンパ球増殖の危険性。
個体の免疫不全の程度のこの決定(計数だけでなくリンパ球多様性の測定にも基づく)は、個別化された医療を行うために必須である。なぜなら、40%未満の免疫多様性を有する患者は、感染により死亡の危険性が増加することを意味する多様性不全を有すると考えられるからである。よって、この方法は、患者について、感染の結果としての該患者の死亡の危険性を決定することを可能にする。
有利には、医師が患者の免疫学的フォローアップを行うことができ、特に、行った治療が患者の免疫多様性に対して、感染により死亡の危険性を誘発する厳しすぎる結果を有するかを同定することが可能になる。この場合、医師は、この危険性を低減させるために、治療を調整できる(分子、用量、頻度の変更、付加的抗生物質治療の追加、インターロイキンIL7、IL2などでの免疫刺激の追加など)。
本発明は、よって、患者の感染性及び死亡の危険性のレベルに適する治療の選択を通して、医師が治療を選択することを補助するための、上記の方法の使用にも関する。つまり、上記のゾーン(iv)にいる患者は、推測的に、免疫抑制治療(例えば、化学療法+強力なモノクローナル抗体)に耐えるが、逆に、ゾーン(i)にいる患者は、非常にこわれやすい「免疫シールド」を有し(よって感染による死亡の危険性が高い)、よって、免疫抑制性が低い医薬品で治療されるべきである。ゾーン(ii)及び(iii)にいる患者は、中間の状況にある。
上記の個体の免疫不全の程度をインビトロで決定する方法のある好ましい実施形態において、工程B)は、該個体のTリンパ球及びBリンパ球のレパートリーの組み合わせ多様性の程度を決定することを含む。この状況において、有利には、第1軸に免疫グロブリン多様性の程度、第2軸にTCR多様性の程度、第3軸にリンパ球計数を示す3次元グラフにより得られたデータを調べることが可能である。
本発明の別の態様は、以下の:
A) 個体のリンパ球のレパートリーの多様性を、異なる2つの日時に採取された、個体からの2つの試料を用いて上記の方法を行うことにより測定する工程と;
B) 前記2つの試料を、
(i) 2つの試料中で観察される再構成の数S;
(ii) より最近の試料で観察されるがより古い試料では観察されない再構成の数A;
(iii) より古い試料で観察されるがより最近の試料では観察されない再構成の数D;
(iv) どちらの試料でも観察されない再構成の数Z
を評価することにより比較する工程と
を含む個体のT及び/又はBリンパ球のレパートリーの多様性における変更を監視する方法に関する。
このグラフの解釈の例を、以下の実施例11に示す。この方法は、例えば移植の場合に提供者と受容者とを比較するために、異なる個体からの2つの試料を比較するために用いることもできる。
本発明は、本明細書で規定されるプライマーの少なくとも1つの組み合わせと、PCRを行うための試薬とを含む、上記の方法の1つを行うためのキットにも関する。
PCRを行うための試薬のうち、本発明のキットは、以下の特徴を有するポリメラーゼを含むことが好ましい:
(i) 数十kbのフラグメントを増幅できる;
(ii) 伸長速度が少なくとも1 kb/分である;
(iii) 平均してkbあたり1を超える誤りを導入しないような堅牢性である。
有利には、本発明のキットは、それぞれのウェルが異なる組み合わせのプライマーを、凍結乾燥の形態又は液相に含むマルチウェルプレートを含む。好ましくは、このマルチウェルプレートは、TRA、TRB、TRG、TRD及びIgH遺伝子座から選択される少なくとも1つの遺伝子座のV-J再構成の少なくとも50%、60%、70%、80%又は95%を増幅するために必要なプライマーの組み合わせを全て含む。
本発明の別の態様は、ヒト化トランスジェニック動物及び/又はリンパ球培養物のTCR及び/又はIgHレパートリーの設定(setting up)及び/又は質を研究するための、上記の方法又はキットの使用に関する。このことにより、例えば、分子を試験するため又は生物学的機構を研究するために細胞培養物が適切なままであるかを確認するために、特に、細胞培養の後に免疫レパートリーの質を確認することが可能になる。モノクローナル又はオリゴクローナルのT又はB系統の場合、このことにより、系統が実際に以前に同定されたクローンであるかを確認し、実験を行うチューブにコンタミネション又はラベルの付与の誤りがないかを検出することが可能になる。別の重要な応用は、再注入前の、リンパ球培養物(例えば制御性Tリンパ球など)の作製の間の品質管理である(治療目的のため)。
本発明は、治療用分子のインビトロでのスクリーニングのための上記の方法又はキットの使用にも関する。応用の例は、以下に記載する。
特に、本発明の方法及びキットは、以下の:
A) ワクチンプロトコルの前後に、リンパ球の量及び多様性を測定する工程と;
B) 工程A)で行われた測定を比較する工程と;
C) ワクチン接種後のリンパ球多様性の少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%の減少は、ワクチン接種プロトコルが有効であることを示す、結果を解釈する工程と
を含む、ワクチンプロトコルの有効性を評価する方法を行うために用いることができる。
この方法のある好ましい実施形態によると、ワクチン接種の前後の制御性Tリンパ球の量も工程A)において測定される。この場合、解釈工程Cは、制御性Tリンパ球の数の変化も考慮に入れ、ワクチン接種後の制御性Tリンパ球の数の≧2の係数での減少は、該プロトコルが有効であることを示す。
本発明は、以下の:
A) 2つの異なるプロトコルでのワクチン接種に付された2群に対して、ワクチン接種の前後に、制御性Tリンパ球の量と免疫多様性とを測定する工程と;
B) 群ごとに結果を比較する工程と
を含み、最も有効なプロトコルが、制御性Tリンパ球の数を最も減少させるか、及び/又はリンパ球多様性を最も減少させるものである、
2つのワクチンプロトコルの有効性を比較する方法にも関する。
上記の構成に加えて、本発明は、以下の実施例及び添付の図面から明らかになるその他の構成も含む。
実施例1:本発明の関係において用いることができるプライマーの位置の選択
オリゴヌクレオチド選択基準
本発明の方法を行うために用いることができるプライマーを、1) それらの熱力学的特性(オリゴヌクレオチドがそれらの標的配列に結合する能力を、特に水素結合の数に従って同定するために当業者が通常用いるアルゴリズムに基づいて決定される);2) 同じチューブで用いられる他のプライマーとのその併用性(熱力学的観点及び種々のプライマーの互いにハイブリッド形成できない能力の観点の両方);及び3) 分離できるアンプリコンのサイズを得ることを可能にするそれらのそれぞれの位置に従って選択する。
用語「分離する」とは、アンプリコンが、電気泳動法又はその他のいずれの方法によりそれらをサイズ分けした後に、個別に観察され得ることを意味する。あるアンプリコンのサイズが近すぎる場合、全てのその他のアンプリコンサイズを「分離する」ための分離と両立できる分離条件で、それらを別々に識別できない。これは、マイナーな場合であって、同定されている。これは、例えば標識プライマーを用いることにより解決できる。
ここでは、オリゴヌクレオチドは、それらの配列に加えて、遺伝子座におけるそれらの位置及び塩基の数でそれらのサイズを示すことにより規定される。
V遺伝子について、オリゴヌクレオチドが転写の方向を向いている場合、これらは「センス」とよばれる。これらは非コードDNA鎖に相補的である。
J遺伝子について、オリゴヌクレオチドは、「アンチセンス」とよばれる。これらはコードDNA鎖に相補的であり、リバースである(これらは、3'→5'方向にあるともいわれる)。
V遺伝子に特異的なプライマー
V遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドについて、位置はV遺伝子の末端、すなわちRSSの前の最後の塩基により示す。この位置は、オリゴヌクレオチドの1番目の塩基とV遺伝子の最後の塩基との間の距離(オリゴヌクレオチドを含む)に相当する。
・TRBV遺伝子ファミリーについてのオリゴヌクレオチドの位置の例:V遺伝子の末端からの距離がn塩基であり、オリゴヌクレオチドのサイズがt塩基である場合、オリゴヌクレオチドは、遺伝子の末端のn塩基上流(最後の塩基を数える)で開始し、V遺伝子の末端からn-t+1塩基で終わる。
オリゴヌクレオチドは、最大の可能な数のVファミリーメンバーとハイブリッド形成するように選択した。Vファミリー全体を監視するために必要なVオリゴヌクレオチドの数に関して、2つの状況を記載できる:
ケース1:ファミリーの全てのメンバー間で100%相同性の領域の存在。この場合、配列アラインメントを行うことにより、問題のVファミリーの全てのメンバー間で100%共通し、上記のオリゴヌクレオチド選択基準に合致する領域を見出すことができる。この場合、1つのVオリゴヌクレオチドのみが、このファミリーの全てのメンバーを監視するために必要である。
ケース2:100%未満の相同性の領域。この場合、選択基準に合致する最大領域(塩基の数の点で)を選択し、このファミリーの全てのメンバーを監視するために必要なこの位置に対応する全てのオリゴヌクレオチドを設計する。例:3つのメンバーについて100%相同性の領域を有し、他の2つのメンバーがこの領域において互いに異なる5つのメンバーのファミリーについて。この場合、同じ位置に相当する合計で3つの異なるオリゴヌクレオチドを、このファミリーの全てのメンバーを監視するために設計する。次いで、3つのサブケースが可能である:
- この位置で選択されたVオリゴヌクレオチドは、互いに熱力学的に併用できる。この場合、n個のVオリゴヌクレオチド(上記の例において3オリゴヌクレオチド)を、同じPCRチューブ中でまとめる。これらのオリゴヌクレオチドは全て、いくらか異なる塩基を有していても、同じ位置で設計されているので、アンプリコンは同じサイズである。
- Vオリゴヌクレオチドは、充分に熱力学的に併用できず、二量体の問題が生じるので、これらを同じPCR反応に付すことができない。この場合、プライマーが他のものと併用できないVメンバーを特異的に監視するために、2又はn回のPCRを異なるチューブ中で行うことができる。
- 同じファミリーのV遺伝子が同じサイズを有さないという特定の(希な)場合が存在する。これは、Vファミリーの1つ又はn個のメンバーのイントロンが、該Vファミリーのその他のメンバーのサイズと異なるサイズを有するという事実による(知見:V遺伝子あたり1つのイントロンだけである)。この状況は、Vオリゴヌクレオチドがこの「異なるサイズの領域」の下流に設計されていれば、問題でない。これが可能でなければ、2つ又はn個のオリゴヌクレオチドを2回又はn回のPCRに分けることにより解決する。
J遺伝子に特異的なプライマー
J遺伝子に特異的なプライマーの位置は、J遺伝子の始点、すなわちRSSの後のJ遺伝子のセグメント(コード配列)の1番目の塩基に対するその距離を示すことにより示す。この位置は、Jの始点の下流にあり、J遺伝子の1番目の塩基とオリゴヌクレオチドの1番目の塩基(すなわちプライマーの5'末端の塩基)との間の距離(オリゴヌクレオチドを含む)に相当する。
・TRBJx遺伝子ファミリーについてのオリゴヌクレオチドの位置の例:距離は、Jの開始からn塩基であり、オリゴヌクレオチドのサイズはt塩基である。よって、プライマーのハイブリッド形成領域(コード鎖上で)は、J遺伝子又はJ遺伝子の始点の下流のn番目の塩基で終わり、Jの始点からn-t+1塩基で開始する。
TCR及びIg遺伝子座の配列の回収
配列を得るためにいくつかの方法が可能である。2つの可能性をここに記載する。
第1の可能性
第1の可能性は、欧州のインターネットサイト「Ensembl Genome Browser」http://www.ensembl.orgにログオンし、興味対象の遺伝子座を調べることを必要とする:種(ヒト、マウスなど)を選択した後に、興味対象の染色体、例えばTRA遺伝子座について第14染色体をクリックすることが必要である。次いで、この目的のために与えられたブロック内で、染色体領域の始点(例えば:21158000)及び領域の終点(例えば:22125000)を示す数を示すことが必要である。Ensemblデータベースは、遺伝子座内に存在するTCR及びIg遺伝子の配置を図で明らかにし、当業者はDNA配列を、全ての対応する遺伝子アノテーションとともにEMBL又はGenBANKフォーマットにエクスポートできる(考慮しているコンティグ上で左クリックすることにより)。よって、当業者は、TCR及びIg遺伝子の全ての配列の位置を、その上流及び下流の配列も含めて自由にできる。
本発明が関係する種々のヒト遺伝子座についての染色体領域を、以下に記載する。
ホモ・サピエンス(Homo sapiens) TRA/TRD:14q11.2の遺伝子座:
http://www.ensembl.org/Homo_sapiens/contigview?region=14&vc_start=21158000&vc_end=22125000
ホモ・サピエンスTRB:7q34の遺伝子座:
http://www.ensembl.org/Homo_sapiens/contigview?region=7&vc_start=141640000&vc_end=142275000
ホモ・サピエンスTRG:7p14の遺伝子座:
http://www.ensembl.org/Homo_sapiens/contigview?region=7&vc_start=38242000&vc_end=38385000
ホモ・サピエンスIgH:14q32.33の遺伝子座:
IgHV:
http://www.ensembl.org/Homo_sapiens/contigview?region=14&vc_start=105476000&vc_end=106368585
IgHD及びIgHJ:
http://www.ensembl.org/Homo_sapiens/contigview?region=14&vc_start=105400000&vc_end=105460000
IgHC:
http://www.ensembl.org/Homo_sapiens/contigview?region=14&vc_start=105120000&vc_end=105400000
ホモ・サピエンスIgK:2p11.2の遺伝子座:
IgKV (近位のクラスター)、IgKJ及びIgKC:
http://www.ensembl.org/Homo_sapiens/contigview?region=2&vc_start=88920000&vc_end=89480000
IgKV (複製デジタルクラスター):
http://www.ensembl.org/Homo_sapiens/contigview?region=2&vc_start=89550000&vc_end=89950000
ホモ・サピエンスIgL:22q11.2の遺伝子座:
http://www.ensembl.org/Homo_sapiens/contigview?region=22&vc_start=20700000&vc_end=21650000.
第2の可能性:
以下に示す第2の可能性は、TCR又はIg遺伝子座の配列を含む全てのコスミドをまとめることを必要とする。このために、ヒト及びマウスにおけるIg及びTCR鎖についてのコスミドのアクセッション番号のリストを、基本となる文献(Lefrancs, The Immunoglobulin Facts Book 2001及びLefrancs The T cell receptor Facts Book 2001)又は他のもの(Baumら, 2006; Baumら, 2004)を用いて同定した。
Figure 0005662155
これらの番号から、「EMBL-EBI」欧州参照インターネットサイト(http://www.ebi.ac.uk)における遺伝子座の元となる配列についての全ての情報を、「ヌクレオチド配列」セクションにおいて「検索」を行うことにより回収できる。「EMBL-BANK」(欧州の主要なヌクレオチド配列情報源)の結果を、その後、EMBLフォーマットにダウンロードできる。
配列の研究は、NTI Vector (登録商標)のようなソフトウェアにおいて行うことができる。遺伝子にはアノテーションが付いているので、それらの位置は明確に示される。
TCR及びIg遺伝子座の遺伝子の種々の命名法同士の対応
遺伝子の命名法が時とともに変更されていることに注意することが重要である。当業者が命名法に関する情報を見つけるために、TCR及びIgについての対応表を以下の2つの本において見出すことができる:[1] Lefranc, M.-P.及びLefranc, G., The Immunoglobulin Facts Book, Academic Press, 全458頁 (2001) ISBN:012441351X [2] Lefranc, M.-P.及びLefranc, G., The T cell receptor Facts Book, Academic Press, 全398頁(2001) ISBN:0124413528。この情報は、IMGTサイト(http://imgt.cines.fr)でも見出すことができる。
実施例2:ImmunTraCkeRキットの使用についてのプロトコル。TRB遺伝子座についての例
必要量は、試料の性質によって最適化される(細胞;PBMC;胸腺抽出物など)。細胞試料について、実験を行うために必要な量は106細胞である。
プロトコルの種々の工程の連続を、模式的に図19に示す。
2-A. DNA抽出
高純度の抽出DNAが、ImmunTraCkeRキットを用いてV-J再構成を検出するために必要である。当業者は、このためにどの方法又はキットが適切であるかを理解している。特に、当業者は、この抽出が、PCRを阻害する可能性があるEDTA又はその他の物質のいずれも用いることなく行われるべきであることを理解している。本発明者らは、Roche (登録商標)からのHigh Pure PCR Preparation Templateキットを用いてDNAを抽出することを推奨する。
推奨されるDNA濃度は、100 ng/μlである。
2-B. DNAの質の制御及び量の決定
分光光度計(例えばAmersham GenQuant Pro)を用いて260 nmで試料の吸光度を測定する。この測定により、DNA濃度、抽出の程度及びDNA/タンパク質の比を算出することが可能になり、このことにより、DNAの質が推定される。
さらに、DNAの分解状態をアガロースゲル上で制御し、その後、DNA濃度をアクチン対照との比較により標準化する。
2-C. PCR増幅
ImmunTraCkeRキットは、すでにチューブに分配されたプライマーの組み合わせ(脱水されているか又は液相中)を含む。反応混合物を調製し、上記の反応チューブに分配する。
Figure 0005662155
反応混合物を、次いで、それぞれ20μlの割合でチューブ又はウェルに分配する。
PCRを、最適サイクル条件で行う。Primus 96+ (MWG)装置を用いてHerculase (登録商標) II Fusion DNAポリメラーゼでPCRを行うために提案されるサイクルパラメータを、以下の表に示す。
Figure 0005662155
PCRの期間:およそ4.5時間。
2-D. アガロースゲル電気泳動
0.8% (w/v)アガロースゲルを、1×TBEバッファー中で調製する。
ローディングバッファー(0.25%ブロモフェノールブルー、0.25%キシレンシアノールFF、30% Ficoll 400、水中)とあらかじめ混合したPCR産物を、およそ10μlのPCR産物と2μlのローディングバッファーの割合で載せる。
適切なDNAサイズマーカーをゲルの両端に載せる。
電圧を1×TBEバッファー中のゲルに、バッファーを再循環させることなく、1時間30分間、250V及び120mAにて印加する。
ゲルを、150 mlの1×TBEバッファー中で希釈した40μlのエチジウムブロミドで30分間染色する。
2-E. 取得及び解釈
ゲルをUVトランスイルミネータ上におき、画像を写真撮影により取得する。PCRの特異的産物の存在又は不在を記録する。
実施例3:ベータ遺伝子座の全ての機能的J遺伝子とある特定のV遺伝子との再構成の、1回の分離マルチ-2-プレックスPCRでの分析
図2aは、ヒトTRBJ及びTRAJ領域での平均GC含量の分析を示す。J2領域は、平均40〜45%に対して60%という非常に高いGC含量である。
図2bは、TRB遺伝子座上のJ遺伝子の特定の再構成を示す(2つの別々のクラスター内で)。
図2cは、Jクラスターに近い1つのアンチセンスプライマーとJクラスターから遠い第2のアンチセンスプライマーでの、プライマーを選択する原理を示す。これにより、J1クラスター全体をJ2クラスターの上に配置できる。
図2dは、この方法により得られる結果の例を示す。
この構成は、必要な生物学的材料の量を2等分し、同様に、試験の費用を低減させることを可能にする。試験を行うための時間も低減される。さらに、このことにより、ゲルのレーン(又は他の型の分離)の読み取りが単純化できる。なぜなら、J遺伝子が遺伝子座の順に並んでおり、よって容易に同定できるからである。
実施例4:同じマルチ-n-プレックスPCR反応でのいくつかの遺伝子座の分析
図3は、同じ反応においていくつかの遺伝子座の再構成を分析して、免疫レパートリー全体を監視するために必要な生物学的材料の量を3〜4の係数で低減させる可能性を示す。この実施例において、TCRB及びTCRDレパートリーの再構成を、単一工程において観察する。このことにより、全てのTアルファ/ベータ及びTガンマ/デルタリンパ球を監視することが可能になる。
実施例5:埋め込まれたマルチプレックスPCR
図4は、「埋め込まれた」、すなわち種々のプライマー対を用いて得られた一連のアンプリコンが、第1プライマー対を用いて得られたアンプリコンが第2プライマー対を用いて得られた2つのアンプリコンと接することができるようであるマルチ-n-プレックスPCRの原理を示す。
図4aは、TRG遺伝子座の図である。
図4bは、hTRGVファミリーを用いた分離の原理を図で示す。
図4cは、2つのJクラスターを単一Jプライマーを用いて標的にする、hTRG遺伝子座に対するマルチプレックスPCRの結果を示す。実験は、陰性対照としてHEK及びCaCO細胞、陽性対照としてPBMC及び胸腺細胞で行った。
TRG遺伝子座について、2つのTRGJクラスターを、1つのJオリゴヌクレオチドのみを用いて監視することが可能であることに注目されたい。これは、J1及びJ2遺伝子の下流の100%配列相同性による。
図4dは、2つのTRAJプライマーを用いる埋め込まれたマルチ-2-プレックスPCRの例を示す。
図4eは、6回のみのマルチ-2-プレックスPCRを用いた、AJ領域の95%の分離の例を示す。プライマーの位置は、J遺伝子(の始点)の下流のオリゴヌクレオチドのJ遺伝子の名称の下に示す。この位置が重要である。これは、予測されるバンドが、それらが分離されることを可能にするサイズを有することを確実にすることを可能にする。
実施例6:マルチ-2-プレックスPCRにおけるTRBV ImmunTraCkeRキットの結果
図5及び6は、マルチ-n-プレックスPCRにより得られた全てのPCR産物のアガロースゲルでの泳動後に得られた種々のバンドを示す。図5は、ヒトTRB ImmunTraCkeRキットを用いて得られた理論的な結果の図による提示を示す(この提示は、他の種でも同様である:ラット、マウス、サルなど)。それぞれの縦列は1つのTRBVファミリーに相当し、それぞれのバンドはある特定のV-J再構成に相当する。TRBV遺伝子を、以下の順序で研究した:BV2、BV3、BV4、BV5、BV6、BV7、BV9、BV10、BV11、BV12、BV13、BV14、BV15、BV16、BV18、BV19、BV20、BV24、BV25、BV27、BV28、BV29、BV30。図6は、3種類の試料を用いて2重(横に並べて載せた)で得られた対応する実験結果を示す:胸腺から抽出したgDNA、リンパ球減少状況でPBMCから抽出されたgDNA、そしてそれぞれ1又は2のTRBV-J再構成を含む4つのT系統のDNAのプール。
24個のTRBVのPCRを全て横に並べることにより、全てのBJセグメントにわたるTRBV遺伝子の網羅的な検出が可能になる。
レーンのそれぞれに、ローディング及び/又はPCRの再現性マーカーを加える(任意に)ことも可能である(知見:これらの2つの再現性マーカーは必須でない)。求める利点:バンド間のシグナルの標準化を向上する。
この図は、本発明が、免疫レパートリーの画像の組み合わせ多様性(得られたバンドの合計の算出)と、全てのバンドのシグナル強度(画像のアンプリコンの全てのシグナルの合計の算出)との両方を測定することにより、免疫レパートリーの質を評価することを可能にすることを示す。さらに、存在するか又はしないそれぞれのV(D)J再構成の名称が同定される(画像中のその位置の関数として)。縦列はVの名称を与える。アンプリコンのサイズはJの名称を与える。検出されたシグナル強度は、それぞれのV(D)J再構成のそれぞれの割合を与える。全体として、これは、多様性を測定し(患者の免疫不全の正確な程度を測定するために有用)、かつ病態(白血病、リンパ腫、GVHDなど)に関与するか又は治療後に増加(細胞増殖)若しくは減少した再構成の名称を同定する(よってTCR若しくはIgマーカー又はリンパ球)ツールを単一工程で有することを可能にする。
実施例7:PCRクラスタリングによるD-J再構成の研究
図7は、網羅的でかつ分離している、不完全D-Jβ再構成の検出のための試験の結果を示す(レーンA:J1クラスター及びJ2クラスターとD1の再構成。レーンB:J2クラスターとのD2の再構成)。この試験により、再構成されたD及びJ遺伝子の名称を特定することによりクローンを特徴決定することが可能になる。
これと比較して、Biomed-2は、オン/オフタイプのシグナルのみを提案する。モノクローナル集団の存在が実際に検出されるが、この集団は、組み合わせレベルでは特徴決定されない。再構成されたV遺伝子とJ遺伝子とを区別することができない。これは、この試験のPCR産物のサイズが数塩基しか違わず、問題のVファミリーを同定することができないか、又は再構成されたJ遺伝子を同定することができないからである。本発明の方法は、よって、より高度な情報を提供することを可能にする。
結果の分析:
パートA:予測されるバンドの数が、陽性対照(PBMC及び胸腺)で明確に観察される。J1.1及びJ1.2遺伝子とD1遺伝子との再構成に対応するバンドは融合されている。なぜなら、用いた技術の分離限界が、最大バンドのサイズの10%を超えないサイズの違いがあるバンドの分離を可能にしないからである。このバンドの配列決定又は標識プライマーの使用が、この知見の確認のために必要であろう。
2つの非常に強いバンドが陰性対照に出現する。これらのバンドは非特異的でないが、胚性DNA増幅に相当する。大きいフラグメントを増幅する技術の能力と結びついた遺伝子座の特徴とは、この厳密な場合において生成物を観察するために、再構成がある必要がないことを意味する。これらの2つのバンドは、試験したDNAの存在及び質、並びに酵素の有効性についての非常に良好な内部対照である。
パートB:方法は、T (又はBさえも)リンパ球系統の中間再構成を非常に迅速に特徴決定することを可能にする。上記の実施例において、JURKATとよばれるT細胞系統についての不完全D1-J1.3再構成、MOLT4 T系統についての不完全D1-J2.5再構成及びHUT-78 T系統についての不完全D2-J2.3再構成が、さらなる配列決定を必要とせずに特徴決定された。
不完全D-J及びD1-D2再構成は機能的でないが、リンパ球増殖(B若しくはTリンパ腫又は白血病)を同定するための唯一の生物学的マーカーである場合があることに注目することが重要である。
実施例8:マッピングの結果の表示の例
図8は、単一ページ上に、特に計数、及び/又は試料の多様性、及び/又はシグナルの強度、及び/又は参照レパートリーを用いて得られた%多様性を比較することによりその患者がリンパ球減少症に罹患しているかを同定するための情報である別の患者若しくは同じ患者に由来する参照多様性との比較、及び/又は画像中で検出されたクローン数についての情報、及び/又は2次元及び/若しくは3次元の表示図、及び/又は検出されたシグナルの減少量により分類される全てのV-J再構成のリスト、及び/又は画像中の%標本性(representativeness)を含む、免疫レパートリーの分析からの全てのデータをまとめる方法を示す。
この方法は、その分析工程において、以下のことを可能にする。
1- 患者の病歴及び試料の生物学的経歴(計数の結果、細胞数測定、試料採取条件など)に関して収集された情報をまとめる;
2- 統計学的方法を用いてデータを調べ、免疫レパートリーの分析の結果(組み合わせ多様性又はその他のアプローチ)を、臨床及び生物学的データと相関させる。このことにより、特に、全てのV(D)J再構成を、検出頻度(アンプリコンのシグナル強度)の順序で分類することが可能になる。この順序は、個体のリンパ球レパートリーが遭遇した治療及び感染によって、個体ごとに変動する。このことにより、瞬間Tにおける個体の免疫レパートリーのサインを得ることが可能になる。このサインは、自己免疫疾患、アレルギー、白血病、リンパ腫などの病態についての生物学的マーカーであり得る。
注意:このアプローチが、免疫レパートリーを分析するための他のアプローチ(結合部多様性、対形成多様性、体細胞変異多様性などを分析するための全てのアプローチ)とも両立できることに注目することが重要である。
実施例9:リンパ球計数/多様性(LCD)
CBC又は細胞数計数における標識の間に行われたリンパ球計数は、試料中のリンパ球の数を与える。この数を用いて、患者が免疫不全を示さないことを確認する。「正常」の範囲は、通常、1000〜3200リンパ球/μLの血液である。1000未満では、患者はわずかに免疫抑制されていると考えられる。450未満では、重篤な免疫抑制を伴っている。逆に、3200を超えると、患者はリンパ球増殖の危険がある可能性があると考えられる。このアプローチには2つの弱点がある。第1は、最小値と最大値の間の3の係数に相当するその範囲のサイズである。第2点は、よりやっかいなもので、この計数が患者の免疫レパートリーの真の多様性を予想しないことである(図9、グラフ1)。本発明は、従来の計数を、V-J組み合わせ多様性の測定と結びつけることを可能にする(図9、グラフ2)。
このことは、特に、均一集団に対して医薬品を試験するために、臨床試験の関係において患者を選択するために用いることができ、このことにより、結果を解釈することが可能になる。このことは、患者の感染危険性の見通しを与え、よって、患者の感染による死亡の危険性のレベルに治療の免疫抑制性を合わせることにより個別化した医療を行うことも可能にする。
図9のグラフは、特に以下の集団を区別する:
1. 低い計数(<1000 Ly/μL)及び低い組み合わせ多様性(<40%):患者は免疫抑制された患者である。
取るべき行動:この患者を臨床研究に含めないこと。血液学者によりこの患者を監視させること。
2. 低い計数(<1000 Ly/μL)、しかし正常なV-J組み合わせ多様性(>65%):この患者は、免疫細胞の他の集団と比較して低いレベルの循環リンパ球を有するが、この患者の特異的免疫防御の質は、特に問題がない。
取るべき行動:研究が老齢者に関する研究であれば、この特徴を有する患者を含めることは興味深いだろう。
3. 正常の計数(1000〜3200 Ly/μL)及び低い組み合わせ多様性(<40%):免疫レパートリーに「ギャップ」がある。このリンパ球計数は、正常であるようにみえるが、1つ以上のクローン性増殖を伴い得る免疫不全状態を隠している。ワクチン有効性には疑問が生じるかもしれない。
取るべき行動:この患者を臨床試験に含めないことを推奨する。腫瘍学-血液学者にこの患者を監視させること。
4. 正常の計数(1000〜3200 Ly/μL)及び正常な多様性(>65%):免疫レパートリーは健常である。
取るべき行動:この患者を臨床試験に含めることができる。
5. 正常を超える計数及び低い多様性:高危険性ゾーン、試料は1又は少数のリンパ球クローンのみを含有する。
取るべき行動:この患者を臨床試験に含めないこと。腫瘍学-血液学者にこの患者を監視させること。
6. 正常を超える計数、しかし正常な多様性:全身性リンパ球増加症、この個体の特異的免疫系は過剰活性化されているが、白血病又はリンパ腫につながり得るモノクローナル増殖を意味する要素はない。
取るべき行動:この患者を臨床試験に含めないこと。リンパ球増加症の進行を監視するために、腫瘍学-血液学者にこの患者を監視させること。
免疫レパートリーの分析を患者のリンパ球の数の計数(計数方法は何でもよい)と結びつける「リンパ球計数/多様性」とよばれるこの新規な計数法は、よって、単純なリンパ球計数よりも多くの情報を与え得る。このことにより、特に、患者が正常と考えらるリンパ球数を有するという印象を時に与えるが、この患者は実際は、T又はBクローン、よって低い免疫多様性(ゾーン3)を示すという細胞計数の逆説を回避することを可能にする。逆に、このことは、低い計数を有する患者がそれでも「正しい」免疫多様性(ゾーン2)を有することを確実にすることを可能にし、このことにより、患者は感染に対して防御でき、よって、真に免疫抑制されている患者、すなわち低い計数及び低い多様性(ゾーン1)の患者にとってと同様に面倒な医療的な監視下に彼らを置かないようにすることを可能にする。さらに、このことは、非常に高いリンパ球計数を有する患者の少なくとも2つのカテゴリーを区別することを可能にする。第1カテゴリー(ゾーン5)は、白血病、リンパ腫、GVHD、自己免疫疾患、アレルギー、ワクチン若しくはその他のいずれの治療及び免疫療法に対する応答が原因であり得る1つ以上のクローンの存在を伴う低い多様性を有する。第2カテゴリー(ゾーン6)は、リンパ球増加症、すなわち免疫レパートリーの大部分の拡張に相当する。
実施例10:腫瘍学-血液学における個別化診断のためのストラテジー
図10は、LCDを用いた腫瘍学-血液学における決定樹を示す。
示したスキームによると、2組のプライマーを逐次的に用いて(第2の組を用いる試験は任意である)、TRBのVJ及びDJ再構成を検出する。第2の組のプライマーは、対応するプライマーのハイブリッド形成部位で出現した多型又は体細胞超変異などによりクローンが逃れることを避けるために、第1組のプライマーと比較してシフトしている。
この手順により、リンパ球増殖の危険性のレベルに関する診断と、同時に、免疫不全の危険性のレベル(感染の危険性と関連することになる)に関する診断を行うことが可能になる。
実施例11:2つの試料のリンパ球多様性の比較
図11は、存在する可能性がある類似性又は相違性を同定するために、2つの免疫レパートリーを比較することを可能にするグラフを示す。下に示すものは、それぞれの成分の読み取りと表示の順序であり、また、結果の解釈の具体例でもある。
「安定」についての領域Sは、2つの試料で観察される再構成の数を表す。「出現した」についてのゾーンAは、試料2で観察されるが試料1で観察されない再構成の数を表す。「消滅した」についてのゾーンDは、試料1で観察されるが試料2で観察されない再構成の数を表す。最後に、「全く見られなかった」についてのゾーンZは、試料1でも試料2でも観察されない再構成の数を表す。
解釈:2つの試料に共通して観察される多くの再構成の数(184)は、2つのレパートリーが同一であるようであることを示す。
1つのグラフ上に、出現の合計、増幅A、消滅D、非検出Z及び検出S (安定について)の2つの免疫マッピング間の全ての再構成を示すことにより、1工程でかつ非常に視覚的に、患者が再構成を受けているか(多くのAと低いDがあるだろう)、又は該患者が免疫不全段階に向かっているか(多くのDと低いAがあるだろう)、又はレパートリーが2つのマッピング間で安定であるか(多くのSがあるだろう)を決定することを可能にする。
さらに、ここに記載する方法は、出現又は消滅した再構成の数を2つの試料を採取する間に経過した時間と関連させることにより、再構成の速度又はレパートリーの減少の速度に関する指針を得ることを可能にする。このことにより、特に、治療の刺激効果、又は逆に免疫抑制効果を比較することが可能になる。
実施例12:定量的マルチ-n-プレックスPCRによる(オリゴ)クローン性リンパ球増殖の早期検出
図12は、本発明の方法の特定の実施形態を模式的に示し、これは、アンプリコンを電気泳動により分離するいずれの(任意の)工程の前のリンパ球増殖の存在を検出するために、マルチ-n-プレックスPCRをリアルタイムで監視する。
PCR増幅は、例えば上記の実施例2に記載するプロトコルを用いてリアルタイム定量PCR装置で行われ、さらに、各増幅サイクルにて蛍光測定が行われる。
定量的PCR及びマルチ-n-プレックスPCRの両方と両立できる特定の反応混合物を、このために開発した。用いられるポリメラーゼは、HerculaseII又はIProofのような長いPCR酵素である。この反応混合物を設定することについての主要な問題点は、SYBR greenがgDNAの泳動を非線形的な様式で改変することである。泳動の偏向は、用いられるSYBR greenの量に部分的に比例し、アンプリコンの量に部分的に依存する。
今回の場合、高度な多重度及びアンプリコン間の強度(頻度)の変動が、リアルタイムPCRを開発することを難しくしている。
本発明者らは、qPCRのために充分な蛍光シグナルを有するのに充分なSYBR greenの量を決定した(図12a及び12b)。反応は、基本として、上記と同様の反応混合物に加えて、25μlの反応容量(すなわち10×最初の濃度にて1μl)中に最終濃度で0.4×を超える量で、最終濃度で2×未満、好ましくは最終濃度で1×のSYBR greenを用いる。量が最終濃度で1.5×を超えると観察されたマルチプレックスPCRの阻害は言うまでもなく、量が多すぎるとSYBR greenが泳動の偏向を引き起こすので、この量が最大であると考えられる。
マルチ-n-プレックスPCRを、Vファミリーに特異的な1つのプライマーと、J遺伝子に特異的な少なくとも2つのプライマーとを用いて行う場合、図12cのグラフAに示すこの工程は、優勢なVファミリーの存在を検出することを可能にする(検出されるシグナルは、問題のQ-PCRチューブ中の、研究しているVファミリーの全てのV-J再構成の合計に相当する)。
予測される結果にはいくつかの型がある:
- 多様化された免疫レパートリー:健常な胸腺又はPBMC試料において、50 ngのgDNAをQ-PCRあたりに用いて、全てのVファミリーが、20サイクル及び最大で27までのサイクルを用いて通常、検出される。
リンパ球を含有しない試料において、20〜27サイクルの間ではシグナルは検出されない。
- 1つ以上の優勢なT又はBクローンを含むレパートリー:優勢な1つのV (D)-Jクローンを含有する試料において、このV遺伝子ファミリーに相当する曲線は、20〜27サイクルの間で出現するが、他のファミリーに対応する曲線は、27サイクルを超えて検出される。このことにより、試料中で優勢に提示されるVファミリーを区別することが可能になる。
同様に、試料中に大量にn個のVファミリーが存在する場合、n個の曲線が20〜27サイクルのウィンドウで検出され、他のVファミリーは、その後>27サイクルで検出されるか、又は全く検出されない場合もある。
このことにより、リアルタイムかつ2時間未満で、ゲノムレベルにて1つのVファミリーに関するリンパ球増殖の診断を、マルチ-n-プレックスPCR法を用いて行うことが可能になる。
図12cのグラフBは、融解曲線を分析する任意の工程を示す。この工程により、1つの融解曲線の段階:40℃から95℃までの温度の上昇(DNAの完全な脱ハイブリッド形成のための温度)におけるPCRチューブ中の優勢なアンプリコンの存在を確認することが可能になる。この段階の間に、チューブ内の蛍光を連続的に測定する。曲線がよく似たサイズのいくつかのピークを含む場合、これは、優勢なアンプリコンがないことを示す。逆に、1つの優勢なピークが観察される場合、このことは、アンプリコンが問題のPCRチューブ内で優勢であるという事実を支持する。
図12cのグラフCは、分子多様性の測定を模式的に示す。この工程は、結合部多様性(CDR3)、組み合わせ多様性(V-J)及び体細胞超変異に由来する多様性を組み合わせることにより生成される分子多様性の測定を通して、1つのPCRチューブ内の優勢なアンプリコンの存在をさらに確認することを可能にする。
簡単に、温度を非常に迅速に30℃以下まで低下させた後に、この工程では、蛍光の再放射を測定することにより、1つのPCRチューブ内で一定温度におけるアンプリコンの再ハイブリッド形成の速度を測定する。
- 大きい「分子」多様性の場合、1つのPCRチューブ内の異なるアンプリコンの数は高く、該アンプリコンの再ハイブリッド形成は遅い(数秒、又は分程度) (実線の曲線)。逆に、1つの優勢なアンプリコンのみがある場合(1つのある特定のV-J再構成、1つのある特定のCDR3領域及びある特定の体細胞超変異)、このアンプリコンの再ハイブリッド形成は迅速であり(1秒程度)、これは次いで、点線で示すようなより垂直の曲線を生成する。
- まとめると、この再ハイブリッド形成工程は、試料の「分子」多様性の大きさの程度を、PCR生成物を泳動することなく測定するための情報を提供できる。分子多様性が大きいほど、それぞれのVファミリーについての曲線のディレクター係数(director coefficients)の合計がより小さい。
全体として、3工程A/B/Cは、1つ以上の過剰に存在するVファミリーの存在を同定するためのQ-PCRの特性を、マルチ-n-プレックスPCR生成物を泳動することなく用いることを可能にする。
しかし、過剰に存在するJ遺伝子の名称を決定することも、組み合わせ多様性を測定することもできない。科学者がこのさらなる情報を得ることを望むならば、PCR生成物を分離して、再構成のそれぞれに相当するバンドの強度を分析しなければならない(図12cのグラフD)。
図12cのグラフEは、組み合わせ及び分子多様性の関数としての計数をグラフにまとめたものを示す。試料のリンパ球計数が既知である場合(従来の計数又は細胞計数により、この実験とは独立して測定された)、V-J組み合わせ多様性(検出されるV-J再構成の合計を測定することによる)と、分子多様性(V遺伝子ファミリーの勾配のディレクター係数の合計を測定することによる)とを用いて3次元グラフを作成することができる。最後に、この方法は、患者のより良い特徴決定を、その免疫レパートリーの多様性に従って得ることを可能にする。
結論として、この方法は、類のない程度の巧妙な処理を用いて、治療の後の免疫多様性の変化を監視することを可能にする。特に、免疫不全の程度を非常に早期に診断できる。
実施例13:治療の有効性の測定
図13は、治療に応答した、患者でのIgH及びTCRレパートリーの変化を監視するための、種々の時間でのこれらのレパートリーの分析の2つの例を示す。
B細胞慢性リンパ性白血病(B-CLL)の場合、この病態は、1つ又はいくつかのみのBクローンについての強いシグナルを同定することにより診断される。本発明により開発された分離アプローチは、PCR産物を配列決定する必要なく、V及びJ遺伝子の名称を同定することを可能にする。これは、特に、残存疾患を監視するために有利である。図13は、2つの状況:陽性である一方の見通し(患者1)、陰性である他方(患者2)を示す。具体的には、治療が有効であれば(応答性の患者)、試験は、IgH組み合わせ多様性及び安定性における増加、又はTCRb及びTCRgの鎖の増加さえも測定する。逆に、非応答性(NR)の患者について、1つのレパートリーの多様性又は3つのレパートリーの多様性さえも減少する。患者は、治療の後で、より免疫抑制されている。
この実施例の場合、グラフはIgH、TCRb及びTCRgの鎖の組み合わせ多様性の測定の結果である。
これらの結果は、このアプローチが、1 ml未満の血液の単一試料から開始して単一工程でいくつかの試験の結果:CLLの診断、どちらのB又はT集団がリンパ球増殖に由来するのかの同定、V-J再構成により巻き込まれたクローンの同定(種々の器官においてそれを監視することを可能にするため)、及び適切であれば、病態の起源を見出すことを得ることをどのようにして可能にするかを示す。さらに、優勢クローンの特徴決定により、病態の長期的な監視を可能にし、最終的には、免疫系に対する残存疾患の存在及び影響の両方を測定することを可能にする。これに加えて、並行して、患者の治療の関数として免疫レパートリーの再構成の程度を精密に測定する。この型の試験により、患者の免疫不全の全体的な程度を合理的に評価し、これを感染危険性のレベルと相関させることが可能である。
この方法は、よって、いくつかの点で有利である:
- 患者の分類を促進する。
- B又はTクローンを、そのV-J再構成の名称により、特に全てのT及びBリンパ球レパートリーを同時に分類することにより診断及び特徴決定する。
- 病態に関与するV-Jクローンに従って病態の進行についての見通しを提供する。
- 残存疾患を監視し、V-J組み合わせ多様性と比較する。
- リンパ球増加症の患者の進行の監視を改善する。
- 種々の試料の供給源:血液、脾臓、リンパ節間の病態を比較し、可能であれば、「病態の起源」を、これらの種々の集団の間のV-Jクローンの存在を定量することにより特定するように尽くす。
- 各患者のリンパ球計数/多様性(LCD)レベルと感染の危険性との相関に近づく。
実施例14:患者のTCR/Ig多様性及びそれらの計数による患者の分布
図14は、LCD (リンパ球計数/多様性)の3次元表示を示す。このグラフは、Bリンパ球及びTリンパ球の多様性の測定と、%又は絶対値としての試料中に存在するリンパ球の数の計数とをまとめる。
応答性の患者は、危険性ゾーン(高い計数(およそ80%)、低いIgH多様性(8%)及びTCRについての中程度又は低い多様性(44%))から、PBMC試料(健常な対照)に近い、より低い危険性のゾーンに、計数の減少(20%)、IgH多様性(75%)、TCRb多様性(75%)及びTCRg多様性(90%)の再構成を伴って移動する。
逆に、非応答性(NR)の患者は、危険性ゾーンに残り、全ての免疫抑制(医師がこのマーカーのみを見ていると信じるであろうこととは逆に、有効性の結果ではない計数の減少)と、IgH、TCRb及びTCRgレパートリーの減少を受ける。
このことは、計数のみを用いると誤った解釈をもたらし得るという計数の逆説を説明する。具体的には、これらの2つの試料の間のリンパ球計数が、組み合わせレパートリーの多様性と同じ様式では変化しないことに注目することが重要である。よって、患者の健康の真の状態を判断するためには、計数の情報をレパートリー多様性の情報と組み合わせることが特に有利である。具体的には、今回の場合、リンパ球計数は78%から21%になるが、V-J組み合わせ多様性は8%から75%になる。このアプローチは、単一工程でかつより低費用で、問題の患者が免疫レパートリーの良好な程度の再構成から利益を得ていること、及びこの患者が感染性疾患を経験する危険性がより少ないことを確認することを可能にする。このことは、LCCの存在を示すCD19/CD5細胞の84%から4%への減少と首尾一貫していることに注目されたい。
実施例15:最初の診断から幹細胞移植の監視までの動的免疫監視
図15は、本発明の方法を、幹細胞(骨髄)移植を受けた患者における免疫レパートリーの再構成の監視に応用することを図示する。
工程1:免疫多様性の測定、最初の診断、T細胞又はB細胞のクローン(より濃い色のクローン)の検出。
工程2:治療の有効性の評価。
工程3:残存疾患の監視。
工程4:受容患者のレパートリーの調製物の評価(移植の前処置)。
工程5:患者のV-J多様性の再構築の測定及びGVHD (移植片対宿主病)の場合の早期診断。
工程6:治療の有効性の評価。
工程7:残存疾患の監視。
ここに示す方法による患者の長期の研究により、それぞれの状況に適切な個別化治療が可能になる。
ここに示す試験の結果は、疾患の重篤度を測定し、治療に非応答性の患者に治療を施すことを避けることにより、治療ができる限り有効であるようにすることを可能にする。免疫レパートリーは、ここでは、個体の健康状態の全般的なバイオマーカーとして用いられる。これは、2つのレベルで用いられる:1/ 患者の感染の危険性を評価するため、2/ 分離様式で、病態のサインであり得るT又はBリンパ球クローンを同時に監視する。患者から採取された逐次的な血液試料に対して行われる長期の研究により、治療が実際に有効でありかつ患者が細菌又はウイルス感染に対して患者自身を防御するために多様化された免疫レパートリーを保存することを確実にするために、治療の間を通して免疫レパートリーのレベルを監視することが可能である。この動的診断は、医師が、患者に正しい用量及び正しい時間での適切な医療を提案することによりできるだけその患者に治療を適合させることを可能にする。
事前の診断試験の原理の別の利点は、最少用量での治療が有効である「応答性」の患者に治療を与えすぎることを避けることである。
実施例16:GVHDに対するエクスビボ治療の監視
図16の4つのマッピングは、前の図面の工程5及び6を説明する。4つのマッピングは、治療前の2回(およそ200及び250日)、及び治療後の2回(およそ300及び600日)での同じ患者からの試料を用いて測定された免疫レパートリーの多様性を示す。これらの4つの試料に関する結果を、強度、計数及び多様性に従って示す。
1. レパートリーの多様性の減少は、クローンの出現とよく対応する。エクスビボ治療は、クローン増殖を阻害するようである(これは、監視された組み合わせレパートリーの10%近くを示す)。この再構成に相当する強度は、再構成の平均強度よりも系統的に大きい。
2. PBMCにおけるリンパ球の割合(計数)は、D300付近でその最大に到達し、D600付近でわずかに減少する。
3. 組み合わせ多様性の程度は、逆行傾向(reverse tendency)に従う。Tリンパ球の割合の増加は、多様性の増加に対応しない。予測されたこととは逆に、多様性は、ポイント1及びポイント2の間で減少する。
エクスビボ治療は、傾向を逆行させたようである。再構成は、2つの段階で起こる:レパートリーは、D300付近で35%の多様性の程度を回復し、次いで、再構成は、遅くなり、D600付近でおよそ40%に到達する。
これらの結果は、よって、健常な胸腺レパートリー及び4名の健常提供者での陽性対照と比較して最初は制限されている末梢でのレパートリーを示す。本発明の方法を用いることにより、D600の後に、TCRレパートリーの再構成の程度が、健常提供者のものに近いことを測定することが可能になる。よって、このアプローチは、治療の有効性を評価し、免疫再構築動態に対するその影響をみることを可能にする。最後に、本発明の方法を用いることにより、提供者の組み合わせ多様性のプロフィールが、受容者において長期間のベースで保存され得ること、よって同種移植片における時間経過による変化を説明するために、より系統的な注意を提供者のレパートリーの分析に払うべきであることを確認することを可能にする。
ここに示す方法は、よって、骨髄移植を行う医師にとって特に有利なツールである。なぜなら、これは、とりわけ、受容者における移植片対宿主(GVH)に対応するクローン増殖を記載し、監視することを可能にするからである。これはまた、骨髄移植後のレパートリーの再構築のよりよい監視を行うことも可能にする。医師は、GVH/GVL比を、V-J組み合わせ多様性を監視することによってより巧妙な処理で測定することにより、個別化された様式で治療を調整できる。
実施例17:(ヒト免疫レパートリーを有する)ヒト化トランスジェニック動物の開発
結果を図17に示す。
本発明の方法は、ヒトTRB ImmunTraCkeRキットを用いて、「ヒト化」トランスジェニックマウスの免疫レパートリーの再構築の質を評価することを可能にする。この実施例において、研究した生物学的試料は、CD34+細胞を注射された「免疫不全マウス」(免疫細胞がないマウス)の脾臓に由来する。これらの細胞は、多様化し、免疫系を再構築する能力を有する。この方法は、V-Jレパートリーの多様性を2次元グラフで示すことを可能にする。それぞれのヒストグラムはVファミリーに対応し、ヒストグラム中での細区分は、ある特定のJ遺伝子に対応する。それぞれのヒストグラムでの最低の細区分は、この例ではJ2.7に相当し、最高の細区分はJ1.1に相当する。完全に再構成された免疫レパートリーを有する「ヒト化」マウスを(右のグラフ)、よく多様化されたレパートリー(中央のグラフ)を有するマウスから、ヒトPBMCの試料で観察されたものに近い再構成の分布(左のグラフ)を用いてスクリーニングできる。
実施例18:インビトロで分子をスクリーニングするためのツールとしての方法の使用
図18に示す研究は、Tリンパ球を含有する試料の免疫レパートリーの多様性の減少を測定することによる、治療(ワクチン)の進行におけるエピトープ(抗原)の有効性の評価を示す。多様性が減少するほど、エピトープ特異的リンパ球の選択が大きくなることが示される。
この図は、3つの場合を示す。
A:試験したエピトープは、多様性の減少により示されるように、かなりのリンパ球選択をもたらす。
B:試験したエピトープは、陰性対照との比較により観察できるように、あまり選択的ではない。
C:陰性対照。
このエピトープスクリーニング試験は、免疫レパートリーを刺激するエピトープを同定することを可能にする。ピークの数(Tクローンの数)を、選択の有効性及び免疫レパートリーの活性化の有効性と相関させることができる。
図18は、ゲノムDNAを用いるマウスTCRベータレパートリーの定性的及び定量的研究により導かれる。以下の実施例21に記載されるプライマー(マウスTRB ImmunTraCkeRキット)を用いてmTRBV-J組み合わせ多様性並びにレパートリーの強度及び均一性を得ることにより、種々のワクチンプロトコルの有効性を動物モデルにおいて評価することができる。
図18により示されるエピトープの有効性の評価の別の場合には、Tレパートリーを研究するモデルはリンパ球のインビトロ培養に相当する。この場合、インビトロリンパ球培養に由来するgDNAの試料に対するTレパートリーの多様性の研究により、あるTCRアルファ、ベータ、ガンマ及びデルタ並びにhIgH遺伝子のクローン増殖を、提示細胞による抗原の提示の後に測定することが可能になる。
もちろん、選択的免疫応答を誘導する抗原の選択に加えて、注射の最良の方法を同定する能力がある(注射の回数及び頻度、注射部位並びに用量)。
図18は、本明細書に示す方法の別の使用を示す。具体的には、エピトープ選択は、新しい治療アプローチの開発の間に望ましくない事象であり得る。この場合、免疫系の予期しない活性化を誘導するタンパク質を消去するために、免疫毒性(免疫毒性学)を評価することが重要である。このことにより、治療目的のためのモノクローナル又はポリクローなる抗体のような分子をスクリーニングして、これらが不適切なリンパ球活性化を誘導しないことを確実にすることができる。
つまり、ここに示す方法は、新しい治療アプローチ、特にワクチンを評価するためのツールとして、臨床前及び臨床の研究に特に有利なツールである。培養細胞、動物モデル又はヒトにおいてであっても、このように記載されるツールの目的は、特定の活性化によるか又は活性化がないことにより、免疫系に対する予測される影響の質に対する判断を提供することである。
拡張により、例えば研究モデル又は再注入前のリンパ球培養物の生成(治療目的のため)について特徴決定された1つ以上のクローンを監視することにより、免疫レパートリーの質を管理することが可能である。
実施例19:その他の現存する技術との比較
図19は、免疫細胞レパートリーの免疫監視のための種々の方法との比較を示す結果のまとめを示す。種々の試料を、それぞれに技術により研究した。細胞試料は、試料の調製によるいずれの偏向も避けるために、対照を用いる様式で処理した。
胸腺由来細胞に相当する「胸腺」とよばれる2つの試料を試験した。胸腺は、ある免疫細胞の成熟及び選択が生じる器官である。これらの試料は、存在する種々の再構成(ポリクローン性)を有する多数の免疫細胞との、クローン性を示さない多様化されたレパートリーからなるので、これらの試料を選択する。
2つのその他の試料を選択して、胸腺試料よりも多様性がかなり低い細胞集団を代表した。これらは、Jurkat細胞系統(モノクローン性)に相当する「Jurkat」試料と、既知の割合での3つの細胞系統(オリゴクローン性)の混合物に相当する「T系統プール」試料であった。最後に、「C(-)」と呼ばれる試料は、免疫細胞を含まない細胞混合物である陰性対照に相当する。
本発明によるヒトTRB 「ImmunTraCkeR」キットを用いる本発明の方法に加えて、免疫レパートリーの質に関して種々の情報の断片を与えることができる2つの方法を研究した。まず、「Iotests」細胞試験(Beckmann Coulter社)であり、これは、特定の抗体のキットにより、フローサイトメトリーを用いるVベータ-レパートリー抗原認識に基づく。この試験により、ファミリーの72%及びVメンバーの59%の存在を同定できる。次に、「Biomed-2」分子生物学試験(Biomed-2 European consortium)であり、これは、本発明とは異なる原理によるマルチプレックスPCRアプローチに基づき、ある特定の試料中に非常に高度に代表するクローンが存在するかを同定することを可能にする。
観察された結果の分析により、「ImmunTraCkeR」試験が、リアルタイムPCR測定において、試料がクローン性(「Jurkat」)であるか、オリゴクローン性(「T系統プール」)であるか、又はポリクローン性(「胸腺」)であるかを同定することを可能にする。この分析は、アンプリコンの分析(「ImmunTraCkeR」法により増幅された再構成)が、「Jurkat」、オリゴクローン性(「T系統プール」)又はポリクローン性(「胸腺」)試料のいずれについても、どのクローンがVx-Jy再構成の点において存在するのかを精密に、配列決定工程を行うことなく観察することを可能にする。観察される組み合わせの多様性の代表性は、パーセンテージとして得られる(100%のVx-Jy再構成が観察されるであろう理論的多様性に対して)。
「Biomed-2」試験は、試料中のクローンの非常に優勢な存在を同定することを明確に可能にする。「Biomed-2」試験は、もしそれが起こるのであれば1つ又はいくつかのクローンの存在を区別することができず、この試験は、オリゴクローン性(「T系統プール」)が存在していても、試料がクローン性であることを示すサインを有する。試験は、2つの場合において陽性(「On」)である。
新鮮な細胞を用いて行われる試験である「Iotests」試験は、オリゴクローン性及びポリクローン性からのクローン性を区別できる。しかし、「ImmunTraCkeR」試験とは異なって、Vベータセグメントのみが研究される。さらに、Vベータ抗体はこの試験の抗体キットにおいて網羅的でないので、V4再構成が観察されず、これは一方、「ImmunTraCkeR」試験では観察される。
図19に示すこの研究の結果は、「ImmunTraCkeR」試験が、免疫レパートリーを分析するための評価された他の2つの試験よりも広い技術的能力を有し、よって、この試験は、免疫レパートリーのより拡張された研究を可能にすることを示す。
実施例20:hTCRB試験の作製プロトコル
本明細書に記載される方法を用い、良好な条件下で「ImmunTraCkeR」キットの1つを用いて分析を行い、さらに、試験を行うための工程を監視する(図20に示す)ために、以下の作製プロトコル、かつ良好な作製のプラクティスに従って試験を作製することが好ましい。
hTRベータ試験を行うためのキット(又はヒトTRベータ「ImmunTraCkeR」キット)を管理下で作製するために、最終的に試料の研究において用いるための試験を行わなければならない個人が、所望の使用によって以下に記載される種々の工程に忠実であることを確実にすることが必要である。
12 hTRBeta試験の作製
「オリゴミックス」の調製
材料の調製
One Greinerプレート(基体)
3つの8ウェルアレイ+ストッパー
0.5 mL及び1.5 mLのマイクロチューブ
ピペット、チップ
滅菌H2O
EB
Vβの希釈:
100μMから20μM
計算:20×Vf / 100 = Vi
よって、0.5 mLマイクロチューブ内で:ViμLの100μMのオリゴ+(Vf-Vi)のEB。
20μMから3.5μM
12キット+10%の作製に必要な容量の計算:12*1.67=20.04+10% = 22μL
計算:3.5×22 / 20 = 3.86μL
よって、0.5 mLマイクロチューブ内で:3.85μLの20μMのオリゴ+18.15μLのH2O。
bc1do2及び2S7do1の希釈:
100μMから20μM
計算:20×Vf / 100 = Vi
よって、0.5 mLマイクロチューブ内で:ViμLの100μMのオリゴ+(Vf-Vi)のEB。
20μMから3.5μM
12キット+10%の作製に必要な容量の計算:23*12*1.67=461+10% = 507.1μL
計算:3.5×507.1 / 20 = 88.74μL
1.5 mLのエッペンドルフチューブ内で:88.74μLの20μMのオリゴ+418.36μLのH2O
オリゴBc1do2及び2S7do1の分配
滅菌溶血チューブ中の3.5μMに希釈したBc1do2及び2S7do1のプール。
このプールの44.1μLを、希釈Vβを含有する0.5 mLマイクロチューブにそれぞれ分配する。
逆さまにすることにより混合し、充分にボルテックスし、次いで短く遠心する。
オリゴVβ-Bc1do2-2S7do1の分配
以下のVβ順序を維持しながら、66μLの「Vβ-Bc1do2-2S7do1」ミックスを8ウェルアレイに分配する:
アレイ番号1:Vβ2up2、Vβ3up2、Vβ4up_ex、Vβ5pool、Vβ6pool、Vβ7pool、Vβ9up_ex、Vβ10pool
アレイ番号2:Vβ11up_ex、Vβ12pool、Vβ13up1、Vβ14up_ex、Vβ15up_ex、Vβ16up1、Vβ18up1、Vβ19up2
アレイ番号3:Vβ20-1up_ex、Vβ24up_ex、Vβ25up_int、Vβ27up2、Vβ28up_G、Vβ29up_G、Vβ30up1
キットの調製
材料の調製
3枚のGreinerプレート(基体)
3*12 8ウェルアレイ+ストッパー
ピペット、チップ
12回の試験の作製
マルチチャネルピペットを用いて、アレイ1〜3の5μLのミックス(ウェルあたりの容量=64μL)をを、対応する12のアレイのそれぞれのウェルに分配する。
n回の試験のバッチについて、少なくとも2回の試験を、作製の品質及び適合を管理するために用いる。トレーサビリティ及びバッチに対するいずれのドリフトをも制御することを可能にするために作製の間に行われる種々の対照のうち、バッチの妥当性検査の前の品質の確認を可能にする機能的対照が重要である。この観点において、図21は、作製バッチに由来する試験の対照の3つの試料に対する例を提案する。これらの3つの試料は、作製の間に系統的な管理が行われたものである。結果を、いずれの相違点を同定するために、以前の結果と系統的に比較する。それぞれの新しい結果は、免疫レパートリーの研究において試験を用いることができるようにするための傾向並びに許容できる上限及び下限を改善することを可能にする。
図21は、上から下に、胸腺免疫レパートリー(ポリクローン性)についての予測される結果、試料が1つだけの非常に優勢なクローンを含む(クローン性)場合の免疫レパートリー、及び最後に、試料がいくつかのクローンを含む(オリゴクローン性)場合の免疫レパートリーを示す。
上記のプロトコルは、以下の実施例21に記載されるようなオリゴヌクレオチドのキットを用いてマウスTRB試験を作製するため、及びその他のいずれの試験の作製のために適合できる。
実施例21:マウスでのTRB遺伝子座の分析への方法の応用
本明細書に記載されるプロトコル及び方法は、以下の表に示すプライマーを用いてマウスTRBレパートリーの研究に適合できる。
Figure 0005662155
実施例22:ゲノムDNAに対する組み合わせ免疫レパートリーの定量PCR分析により得られる結果の例
本発明による定量PCRの使用は、以下の3つのカテゴリーの1つにある患者を迅速に分類することを可能にする:健常(該患者の免疫系の状態に関して)、リンパ球増殖、又はリンパ球減少症。 リアルタイムPCRにより、増幅産物の泳動を必要とする「非リアルタイム」PCRによる分析での5時間の代わりに、2〜3時間で結果を得ることが可能になる。結局は、この報告速度の増加は、患者の健康を監視することを可能にする。
3つの状況を図22に示す。図22aは、3つの別々の状況の図を示す;図22bは、3つの状況のまとめの図を示す。注意:対照遺伝子(この実施例ではアクチン遺伝子)以外、それぞれの曲線は、ある特定のV遺伝子と、監視される全てのJ遺伝子との再構成の合計のPCR増幅に相当する。
第1の状況(試料A)は、「健常」個体のものであり、ここでは全ての増幅が5サイクル未満のCt範囲でまとめて検出され、これは、ハウスキーピング遺伝子の検出後2〜6サイクルの場合である。
図22aの2番目の図は、「リンパ球増殖」の特徴であり(試料B)、ここで、V遺伝子の少なくとも1つの増幅が、他の曲線の群よりも早く検出される(ある曲線が他のよりも前に「出現」するとモノクローン性に相当し、いくつかの曲線についてそうであればオリゴクローン性に相当する)。リンパ球増殖の程度に依存して、この(又はいくつかの)曲線は、アクチン遺伝子の曲線に多少近づく(リンパ球増殖の程度が大きいほど、該曲線が近くなる;検出は、ハウスキーピング遺伝子よりも前に観察されることさえある);逆に、その他の再構成の検出は、リンパ球増殖の程度がより大きい場合に、より後で生じる(よって、曲線は右にシフトする)。知見:リンパ球増殖がモノクローン性である場合、対応する再構成の増幅は、アクチンと同時に検出され得る(いくつかの場合、特に、対応するプライマーの増幅効率がアクチン遺伝子についてのプライマー対のものよりも大きい場合は、この検出はアクチンの前になるはずである)。リンパ球増殖がモノクローン性である場合、他の再構成は、実質的に検出されないか、又は高いサイクル数の後に検出される(優勢な再構成の検出後の5より多いサイクル数)。
通常最も代表する10の再構成の中に存在しないある再構成が早期に検出される場合は、クローン性の疑いがあり、この危険性を確認するか又は意義を唱えるために、この患者を監視することが必要である。
図22aの3番目の図は、「リンパ球減少症」(試料C)の場合を示す。gDNAのかなりの量とPCR阻害がないことを示す、対照遺伝子(例えばアクチン)の健常個体との同様のサイクル数での検出にもかかわらず、再構成の検出は非常に遅い。これは、再構成の存在が非常に少ないことのしるしであり、このことは、試料中にリンパ球がほとんどないことを示す。
実施例23:QPCRにより得られた結果の解釈
定量PCRによる、リンパ球減少症に関連するリンパ球多様性の欠如の直接の同定
本発明者らは、本発明の方法により得られる結果を解釈するため、特にリンパ球減少症を伴うリンパ球多様性の欠如を同定するための2つの新規な指標を同定した。
第1の指標は、ここでは「divpenia比」と呼ぶが、以下のようにして算出される:
「divpenia比」= [アクチン品質管理対照の出現サイクル数] / [試料のV再構成の出現サイクル数の平均(又は中央値)]。
もちろん、多様性の欠如を容易に同定することを目的とするこの指標は、当業者により、アクチン以外のいずれの対照遺伝子にも適合され得る。本実施例の場合、0.78未満の比、より具体的には0.74未満の比(QPCRにより測定される)は、低い組み合わせ免疫多様性を指示する(本明細書で「divpenia」と記載する状況)。
上記の実施例22で示した3つの状況において測定されるこの指標は、以下の結果を与える:
- 試料A 「正常」
「divpenia比」= 20サイクル(Ctアクチン) / 平均(又は中央値)再構成25サイクル= 0.80。
- 試料C 「リンパ球減少症」
「divpenia比」= 20サイクル/28サイクル = 0.71。
QPCRによりリンパ球減少症を同定するための他の手段:2つの試料が同じサイクル数にて対照遺伝子の検出を示す場合、リンパ球減少症を同定する別の手段は、「健常」な個体の試料の再構成の検出のためのサイクル数の平均を、試験した個体の平均から直接減じることである。この実施例において、試料A (健常)と試料Cとの間では、28 - 25 = 3平均サイクルの差である平均Ctの差が観察され、すなわちリンパ球減少症の患者において平均でおよそ23 = 8倍少ないシグナルが観察される。
QPCR による直接のリンパ球増殖の同定
ある試料において、(リンパ球の)リンパ球増殖は、対応するV-J再構成の検出の増加を伴う。QPCRにおいて、このことは、非常に低い数のQPCRサイクルから先で対応するV遺伝子を検出することである。このリンパ球においてリンパ球増殖が大きいほど、リンパ球により代表される試料の割合がより大きい。結果として、対応する再構成の検出は、アクチン遺伝子に近いサイクル数で生じる(又はもっと前でさえある、実施例22での知見を参照)。逆に、試料の他の再構成はより頻度が低く、それらの検出はより多数のQPCRサイクルを必要とする。結局、このことは、検出される最初及び最後の再構成の検出に相当するCt間の差の増加をもたらす。この差(デルタCt)がnサイクルよりも大きい場合、このことは、リンパ球増殖の存在を示し、このデルタが大きいほど、これはより大きい。
よって、このアプローチは、QPCRによりリンパ球増殖の存在を検出し、関係するVファミリーを特徴決定することを可能にする。V-J再構成を同定するためには、QPCR産物をその後泳動し、予測されるサイズに基づいて特徴決定すれば充分である。
注意:PBMCで優勢に検出される10のTRB再構成のリストの知見に鑑みて、このリストに存在しないTRBV遺伝子のファミリーが検出されるならば「新生の」クローン性の疑いを得ることができる場合もある。
* ΔCt指標= [Ctmax] - [Ctmin] サンプルについて。
実際上、ΔCt<6サイクルであればリンパ球増殖はなく、ΔCt指標>6サイクルはクローンのリンパ球増殖を示し、これは次いで、試料のリンパ球の少なくとも10%を表すと考えられる。
- 試料A及びC:
ΔCt = 27-24 = 3サイクル。
- 試料B:
ΔCt = 30-23 = 7サイクル、これはリンパ球増殖を明確に示す。
注意:誤りを回避し、対照遺伝子(ハウスキーピング遺伝子など)の検出により測定される試料のゲノムDNAの量に関して標準化された様式で作業することを可能にするために、多様性の欠如を測定するための比及びクローンを同定するためのCtの差又はその逆を用いることが好ましい。
以下の表は、定量PCRによる、3つの異なるPBMC試料についての、検出される最初の10のV遺伝子の出現のためのサイクル数(Ct)の検出を示す。この表は、Ctmax (検出される最後のPCR産物)、Ctmin (最初に検出される再構成)、CtmaxとCtminの間のデルタCt、試料のCtの中央値(CQアクチンを除く)、試料のCtの平均(Ctアクチンを除く)、CtアクチンとCtの中央値又は平均との「divpenia」比を示す。
Figure 0005662155
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以下の表は、リンパ球増殖の検出及び付随する多様性の欠如(「divpenia」)の出現を示す:それぞれの分析は、一定量のgDNA (PCR反応あたり50 ngのgDNA)で、10%、50%、80%及び100%のT SUP細胞系統(TRBV9再構成を有する)中でそれぞれ希釈したPBMCの分配物で構成される試料に対して行う。
Figure 0005662155
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実施例24:ワクチン学における結果の例:制御性Tリンパ球の数の測定と免疫レパートリーの組み合わせ
この実施例は、上記の実施例18ですでに示したことをさらに深く掘り下げる。
本発明の方法により、本発明者らは、個体が>50%の最初の組み合わせ多様性を有する場合に、制御性T細胞又はCD25++細胞の検出の減少と組み合わせた組み合わせ多様性の減少が観察されることが、ワクチン接種の有効性を指示することを観察できた。
このことは図23に示し、ここでは、制御性Tリンパ球の数の測定の、Tリンパ球の免疫多様性の関数としてのグラフを示す。それぞれの点は、個体に相当する(この実施例での個体はマウスである)。グラフは、個体の3群を示す:A/ ワクチン接種又はPBSの注射(=陰性対照)の前、B/ ワクチン接種プロトコル第1番でのワクチン接種後、C/ ワクチン接種プロトコル第2番でのワクチン接種後。
実施例18ですでに観察されたように、正常な免疫多様性を有するマウス(>70%組み合わせ多様性)のワクチン接種は、多様性の減少を誘導する。この多様性の減少は、さらに、制御性Tリンパ球及びCD4+25++細胞数の減少と組み合わさる。示した状況において、免疫系に対するそれらの影響の点で2つのワクチン接種プロトコル間の違いを区別することが可能である。機能的な観点から、癌に罹患しかつプロトコル第2番を受けたマウス(C群)は、プロトコル第1番を受けたマウスよりも生存率が大きい。これらの結果は、免疫多様性の測定を、制御性Tリンパ球の数の測定と組み合わせることによりワクチンの有効性を予測できることを示すようである。よって、このことは、例えばアジュバントの性質、ワクチンの型(ペプチド、組換えなど)、用量、投与方法及び/又は注射部位、投与頻度などの関係する全ての因子の影響を試験するために、種々のワクチンプロトコルを評価し、任意に比較することを可能にする。
結果の全体的な知見は、一般的に、マウスにワクチン接種することにより、同じ群内のマウスの個体数の%及び多様性をより均一にすることを可能にすることを示す。グラフ上で、このことは、PBS対照群についての「表面積」がワクチン接種されたマウスの群についてよりも大きいことに相当する。これは、未処置対照マウスについて、表現型及び組み合わせ多様性の両方の点で大きい違いが観察されるからである。ワクチン接種の後に、研究したリンパ球集団の表現型の分布及びレパートリーの組み合わせ多様性は、同じ群のマウスでより均一である。
ワクチン接種前の群又は対照群に対して10%を超える、好ましくは15%を超える免疫多様性の減少と組み合わさった、リンパ節、脾臓又は末梢における制御性Tリンパ球の数の2倍の減少を誘導するワクチンプロトコルは、推測的に、効果的なプロトコルである。注意:本発明者らによる知見によると、これらの2つのバイオマーカーの減少が大きいほど、免疫系に対するワクチン接種プロトコルの有効性が大きい。適切であれば制御性Tリンパ球の数の測定と組み合わせたリンパ球多様性の測定は、よって、種々のプロトコルから、より有効なワクチン接種プロトコルを選択することを可能にする。
同じ系統に沿って、生物での制御性T細胞の量を一過的に減少させることを目的とする任意のストラテジーは、ワクチン及び抗腫瘍効果を増大させることができるだろう。
Figure 0005662155
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Claims (30)

  1. 個体における、TRA、TRB、TRG、TRD、IgH、IgK及びIgL遺伝子座から選択される少なくとも1つの遺伝子座のV(D)J再構成の組み合わせ多様性を、前記個体からの生体試料に由来するゲノムDNAから、インビトロ分析する方法であって、以下の:
    A) 前記ゲノムDNAの複数のフラグメントを複数回のマルチプレックスPCRにより増幅する工程であって、その少なくとも1回は、単一の反応でnの異なるプライマー対が用いられるマルチ-n-プレックスPCR (n≧2)であり
    (i) nの異なるプライマー対のそれぞれは、ある特定のV若しくはD遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するセンスプライマーと、ある特定のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するアンチセンスプライマーとで構成されているので、nの異なるプライマー対のそれぞれは、2つの別々のV(D)J又はD-J再構成の特徴である少なくとも2つのフラグメントの増幅可能に
    (ii) nの異なるプライマー対の少なくとも2つは:
    (a) 共通センスプライマーと第1アンチセンスプライマーとの第1対と、共通センスプライマーと第2アンチセンスプライマーとの第2対(ここで、第1アンチセンスプライマーと第2アンチセンスプライマーとは異なる)、又は
    (b) 第1センスプライマーと共通アンチセンスプライマーとの第1対と、第2センスプライマーと共通アンチセンスプライマーとの第2対(ここで、第1センスプライマーと第2センスプライマーとは異なる)
    を含み;
    (iii) 前記プライマーは熱力学的に併用でき;
    (iv) 前記プライマーは、それぞれのプライマー対を用いて増幅されるフラグメントがその他のプライマー対を用いて増幅されるフラグメントと区別できるような様式で選択される
    程と;
    B) 工程Aで得られた増幅産物を検出する工程と;
    C) 結果を解釈する工程と
    を含む方法。
  2. 工程B)が、DNAフラグメントの増幅のリアルタイム測定の工程を含み、工程C)が、以下:
    (i) 1つ、又は複数の曲線の半分未満の数であるいくつかの曲線が、他の曲線が第1曲線の変曲点の少なくとも2サイクル後、好ましくは第1曲線の変曲点の少なくとも3又は4サイクル後で変曲点を示すという、他の曲線と比較したシフトを示すか、或いは増幅を示さない場合に、結果は、クローン性又はオリゴクローン性のリンパ球増殖の存在を示し;
    (ii) 逆に、全ての曲線が同じサイクルにて変曲点を示すか、又は2若しくは3増幅サイクルの最大シフトを示す場合、結果は、増幅されたフラグメントに相当する再構成の1つに起因するクローンのリンパ球増殖の仮定を棄却することを可能にする、
    のようにして行われる請求項1に記載の方法。
  3. 40℃と95℃の間の温度上昇の間にそれぞれのチューブ中の蛍光を連続的に測定することによりリンパ球増殖を確認する工程をさらに含み、優勢なピークを観察することが、優勢なアンプリコン、すなわちリンパ球増殖の存在を示すが、よく似たサイズのいくつかのピークを観察することが、逆に、リンパ球多様性を示す請求項2に記載の方法。
  4. 少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR (n≧2)が、ある特定のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する共通センスプライマーを含む少なくとも2つのプライマー対を構成する少なくとも3つのプライマーの組み合わせを用いて行われ、それぞれのプライマー対が、ある特定のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するアンチセンスプライマーも含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR反応(n≧2)が、ある特定のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する共通アンチセンスプライマーを含む少なくとも2つのプライマー対を構成する少なくとも3つのプライマーの組み合わせを用いて行われ、それぞれのプライマー対が、ある特定のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するセンスプライマーも含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR反応(n≧2)が、TRB遺伝子座のある再構成を分析するために、以下の特徴を有する少なくとも2つのプライマー対を構成する少なくとも3つのプライマーの組み合わせ:
    (i) 前記2つのプライマー対は、ある特定のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する共通センスプライマーを含み、それぞれは、ある特定のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するアンチセンスプライマーを含む;
    (ii) 前記2つのアンチセンスプライマーは、TRB遺伝子座のJ遺伝子の2つの別々の群に属する2つの遺伝子Jy及びJzの下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する;
    (iii) 前記Jy遺伝子に特異的なアンチセンスプライマーのハイブリッド形成領域と前記Jy遺伝子の始点との間の距離は、前記Jz遺伝子に特異的なアンチセンスプライマーのハイブリッド形成領域と前記Jz遺伝子の遺伝子群のうちの最初のJ遺伝子の始点との間の距離よりも大きい
    を用いて行われる請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR 反応(n≧2)が、配列番号1の配列のhTRBJ1.6プライマー及び配列番号2の配列のhTRBJ2.7プライマーと、ある特定のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するセンスプライマーとを含む少なくとも3つのプライマーの組み合わせを用いて、ヒトTRB遺伝子座のある再構成を分析するために行われる請求項6に記載の方法。
  8. 24回のマルチ-n-プレックスPCR (n≧2)が、少なくとも3つのプライマーの組み合わせを用いて行われることによりヒトTRB遺伝子座のV(D)J再構成を分析するための請求項6又は7に記載の方法であって、プライマーのそれぞれの組み合わせは、請求項7で規定されるhTRBJ1.6プライマー及びhTRBJ2.7プライマーと、配列番号3〜25の配列で規定されるプライマーから選択される少なくとも1つのhTRBVプライマーとを含む、方法。
  9. 少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR反応(n≧2)が、ヒトTRB遺伝子座の不完全DJ再構成を分析するために、以下の特徴を有する少なくとも2つのプライマー対を構成する少なくとも3つのプライマーの組み合わせ:
    (i) 前記2つのプライマー対は、ある特定のD遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する共通センスプライマーを含み、それぞれは、ある特定のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するアンチセンスプライマーを含む;
    (ii) 前記2つのアンチセンスプライマーは、TRB遺伝子座のJ遺伝子の2つの別々の群に属する2つの遺伝子Jy及びJzの下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する;
    (iii) 前記Jy遺伝子に特異的なアンチセンスプライマーのハイブリッド形成領域と前記Jy遺伝子の始点との間の距離は、前記Jz遺伝子に特異的なアンチセンスプライマーのハイブリッド形成領域と前記Jz遺伝子の遺伝子群のうちの最初のJ遺伝子の始点との間の距離よりも大きい
    を用いて行われる、TRB遺伝子座の不完全D-J再構成のインビトロ検出のための請求項1に記載の方法。
  10. 少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR反応(n≧2)が、TRB遺伝子座の不完全再構成を分析するために、ある特定のD遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するセンスプライマーと、請求項7で規定されるhTRBJ1.6プライマー及びhTRBJ2.7プライマーとを含む少なくとも3つのプライマーの組み合わせを用いて行われる請求項9に記載の方法。
  11. (i) 配列番号1の配列のhTRBJ1.6プライマー及び配列番号2の配列のhTRBJ2.7プライマーと、配列番号26および27の配列で規定されるプライマーから選択されるhTRBD1プライマーとで構成される3つ組のプライマーを用いるマルチ-2-プレックスPCRと、(ii) hTRBJ2.7プライマーと、配列番号28および29の配列で規定されるプライマーから選択されるhTRBD2プライマーとで構成されるプライマー対を用いる単純マルチプレックスPCRとを行うことにより、ヒトTRB遺伝子座の全ての不完全再構成を分析するための請求項9又は10に記載の方法。
  12. ヒトTRA遺伝子のJ遺伝子の95%と、同じ遺伝子のある特定のV遺伝子との再構成を分析するための請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、工程A)において、6回のマルチ-2-プレックスPCR又は3回のマルチ-4-プレックスPCRが、V遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成するプライマーと、対(配列番号30、配列番号31)、(配列番号32、配列番号33)、(配列番号34、配列番号35)、(配列番号36、配列番号37)、(配列番号38、配列番号39)及び(配列番号40、配列番号41)から選択される1つ又は2つのアンチセンスプライマー対とからそれぞれが構成されるプライマーの組み合わせを用いて行われる方法。
  13. 請求項12に記載の方法が、TRA遺伝子座のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成する、配列番号42〜61の配列から選択される少なくとも1つのプライマーを用いて行われる、TRA遺伝子座のVJ再構成の多様性を分析するための方法。
  14. ヒトTRG遺伝子座の全てのJ遺伝子と、同じ遺伝子座の少なくとも2つのある特定の遺伝子Vx及びVyとの再構成を分析するための請求項1〜3及び5のいずれか1項に記載の方法であって、工程A)において、少なくとも1回のマルチ-2-プレックスPCRが、前記Vx及びVy遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成する2つのセンスプライマーと、ヒトTRG遺伝子座のJ2遺伝子中とハイブリッド形成する配列番号62の配列のhTRGJdo2アンチセンスプライマーとで構成される3つ組のプライマーを用いて行われる方法。
  15. ヒトTRG遺伝子座のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成する少なくとも1つのプライマーが、配列番号63〜66の配列で規定されるプライマーから選択される請求項14に記載の方法。
  16. ヒトTRD遺伝子座の全てのJ遺伝子と、同じ遺伝子座のある特定のV遺伝子との再構成を分析するための請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、工程A)において、マルチ-2-プレックスPCRが、前記V遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成するプライマーと、配列番号67の配列のhTRDJ1do5アンチセンスプライマー及び配列番号68の配列のhTRDJ3do2アンチセンスプライマーとで構成される3つ組のプライマーを用いて行われる方法。
  17. 24回のマルチ-n-プレックスPCR (n≧2)が、少なくとも3つのプライマーの組み合わせ
    であって、プライマーのそれぞれの組み合わせがhTRDJ1do5アンチセンスプライマー及びhTRDJ3do2アンチセンスプライマーと、配列番号69〜84の配列で規定されるプライマーから選択される少なくとも1つのプライマーとを含む組み合わせを用いて行われることにより、TRD遺伝子座のVJ再構成を分析するための請求項16に記載の方法。
  18. ヒトIgH遺伝子座の全てのJ遺伝子と、同じ遺伝子座の少なくとも2つのある特定の遺伝子Vx及びVyとの再構成を分析するための請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、工程A)において、少なくとも1回のマルチ-2-プレックスPCRが、前記Vx及びVy遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成する2つのセンスプライマーと、IgHJ6遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成するアンチセンスプライマーとで構成される3つ組のプライマーを用いて行われる方法。
  19. 前記アンチセンスプライマーが、配列番号85の配列のhIgHJ6do2プライマーである請求項18に記載の方法。
  20. ヒトIgH遺伝子座のV遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中とハイブリッド形成する少なくとも1つのプライマーが、配列番号86〜91の配列で規定されるプライマーから選択される請求項18又は19に記載の方法。
  21. 少なくとも1回のマルチ-n-プレックスPCR反応(n≧2)が、ヒトIgH遺伝子座のある不完全再構成を分析するために、ある特定のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成する共通アンチセンスプライマーを含む少なくとも2つのプライマー対を構成する少なくとも3つのプライマーの組み合わせを用いて行われ、それぞれが、ある特定のD遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するセンスプライマーを含む、IgH遺伝子座の不完全D-J再構成のインビトロ検出のための請求項1に記載の方法。
  22. 前記共通アンチセンスプライマーが、請求項19で規定されるhIgHJ6do2プライマーであり、且つ/又は、ヒトIgH遺伝子座のD遺伝子の上流及び/若しくは該遺伝子の中とハイブリッド形成する少なくとも1つのプライマーが、配列番号92〜98の配列で規定されるプライマーから選択される請求項21に記載の方法。
  23. 増幅産物を検出する工程B)が、前記産物をそれらのサイズによって分ける工程を含み、且つ工程C)が、アンプリコンをそれらのサイズにより分けることにより得られるデータを処理する工程を含み、前記処理が、コンピュータにより行われ、観察されたそれぞれのアンプリコンに、対応するV(D)J再構成の名称を割り当てることを可能にする請求項4〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. データ処理が、対応するV(D)J再構成の相対的頻度を定量するために、観察されたそれぞれのアンプリコンのシグナル強度も統合する請求項23に記載の方法。
  25. 以下の:
    A) 個体からの生体試料を用いてリンパ球計数を行う工程と;
    B) 同じ試料又は同じ個体から同時に採取された別の試料を用いて、前記個体のリンパ球のレパートリーの組み合わせ多様性の程度を、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法を行うことにより決定する工程と;
    C) 工程A)及びB)で得られたデータを組み合わせる工程と
    を含む個体の免疫不全の程度をインビトロで決定するための情報を提供する方法。
  26. 危険性のレベルを、少なくとも以下の4つのゾーン:
    (i) 低い計数(<1000 Ly/μL)及び低いV-J組み合わせ多様性(<40%):高い感染の危険性及び感染による高い死亡の危険性;
    (ii) 低い計数(<1000 Ly/μL)、しかし正常なV-J組み合わせ多様性(>65%):低い感染の危険性;
    (iii) 正常の計数(1000〜3200 Ly/μL)及び低いV-J組み合わせ多様性(<40%):中程度の感染の危険性;
    (iv) 正常の計数(1000〜3200 Ly/μL)及び正常なV-J組み合わせ多様性(>65%):免疫レパートリーは健常である、
    に割り当てるグラフの観点から、工程C)で得られた組み合わせを解釈する工程も含む請求項25に記載の方法。
  27. 工程B)が、前記個体のTリンパ球及びBリンパ球のレパートリーの組み合わせ多様性の程度を決定することを含み、工程C)において、データが、第1軸に免疫グロブリン多様性の程度、第2軸にTCR多様性の程度、第3軸にリンパ球計数を示す3次元グラフにより調べられる請求項25又は26に記載の方法。
  28. 少なくとも2つの異なるプライマー対を構成する少なくとも3つのプライマーの組み合わせであって、以下の特徴:
    (i) それぞれのプライマー対は、ある特定のV若しくはD遺伝子の上流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するプライマーと、ある特定のJ遺伝子の下流及び/又は該遺伝子の中と特異的にハイブリッド形成するプライマーとで構成されているので、2つの別々のV(D)J又はD-J再構成の特徴である少なくとも2つのフラグメントの増幅が可能になり;
    (ii) 前記プライマーは熱力学的に併用でき;
    (iii) 前記プライマーは、第1プライマー対を用いて増幅されるフラグメントが第2プライマー対を用いて増幅されるフラグメントと区別できるような様式で選択される;
    を有するプライマーの組み合わせと、PCRを行うための試薬とを含む請求項1〜27のい
    ずれか1項に記載の方法を行うためのキット。
  29. 前記プライマーの組み合わせが、以下の組み合わせ:
    − 配列番号1のプライマーと、配列番号2のプライマーと、配列番号3〜25から選択される少なくとも1つのプライマー;
    − 配列番号1のプライマーと、配列番号2のプライマーと、配列番号26及び27から選択されるプライマーと、配列番号28及び29から選択されるプライマー;
    − 配列番号30〜41のプライマーと、配列番号42〜61から選択される少なくとも1つのプライマー;
    − 配列番号62のプライマーと、配列番号63〜66から選択される少なくとも2つのプライマー;
    − 配列番号67のプライマーと、配列番号68のプライマーと、配列番号69〜84から選択される少なくとも1つのプライマー;
    − 配列番号85のプライマーと、配列番号86〜91から選択される少なくとも2つのプライマー;並びに
    − 配列番号85のプライマーと、配列番号92〜98から選択される少なくとも2つのプライマー;
    からなる群から選択される請求項28に記載のキット。
  30. それぞれのウェルが異なる組み合わせのプライマーを含むマルチウェルプレートを含み、前記マルチウェルプレートが、TRA、TRB、TRG、TRD及びIgH遺伝子座から選択される少なくとも1つの遺伝子座のV-J再構成の少なくとも50%を増幅するために必要なプライマーの組み合わせを全て含む請求項28又は29に記載のキット。
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