JP5660527B2 - 小径棒材の部分加熱ヘッディング加工方法及び加工装置 - Google Patents

小径棒材の部分加熱ヘッディング加工方法及び加工装置 Download PDF

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本発明は、マグネシウム合金部材の鍛造加工に関し、特に棒状素材からの鍛造加工による部分加熱ヘッディング加工方法およびその加工装置に関するものである。
特開5−305380号公報(特許文献1)に、「Mg合金をオイルバスに浸漬して加熱することで従来に比べ相当低い温度で鍛造成形を行うことができる。」という記載がある。この製造方法は、押出し成形したマグネシウム合金試験片をオイルバスに浸漬し、加熱されたマグネシウム合金試験片をオイルバスから引き上げ直ちに温間鍛造成形するマグネシウム合金部材の鍛造加工方法である。
「Mg合金線の冷間引抜きとマイクロねじの製造技術」(非特許文献1)に、マグネシウム合金の線材を用いた圧造加工で、「140℃では非常に加工性が悪く、200℃ではすべてのねじ頭部が良好な形状になり、加工可能な温度といえる。」という記載がある。この圧造加工は、マグネシウム合金の棒状素材を下型で固持し、上型のパンチで棒状素材を押圧する鍛造加工であり、金型および棒状素材を加工温度200℃まで加熱して行う。
特開5−305380号公報 吉田一也著 「Mg合金線の冷間引抜きとマイクロねじの製造技術」(社)日本塑性加工学会誌Vol.50−585 2009年10月
しかしながら、特許文献1には、マグネシウム合金素材の鍛造加工を150℃で行うため、事前にオイルバスを使用して素材全体を加熱している。そのため、加熱に要する設備や工程を増やす必要があった。また素材全体が加熱されることで結晶粒の粗大化および硬さの低下が発生する問題があった。
非特許文献1では、マグネシウム合金の鍛造加工を200℃の温間圧造で行っており、棒状素材および鍛造に用いる金型全体を高温に保持する必要があった。そのため、加熱に要するエネルギの増大や高温にさらされる金型の劣化が起こる問題があった。また、マグネシウム合金の棒状素材全体を高温に維持することで、結晶粒の粗大化および硬さの低下が発生する問題があった。
本発明は、このようなマグネシウム合金の鍛造加工の現状を鑑みてなされたものであり、マグネシウム合金の棒状素材全体を加熱する工程を削減して、加工に必要な部分を必要最小限加熱した鍛造加工を実現し、かつ加熱による成形品への熱影響を少なくすることを目的としてなされたものである。また、棒状素材を連続して鍛造加工できる加工装置を実現しようとするものである。
本願発明者は、上記課題を解決するためにマグネシウム合金の棒状素材の加熱をヘッディングパンチからの伝熱で行い、かつ鍛造加工を行うことによって従来の素材全体を加熱保持する工程を伴わない新規な鍛造加工方法を実現したものである。また、部分加熱ヘッディング加工という新規な加工方法であるが故に、複数の棒状素材を連続的に加工することができる新規な加工装置を実現したものである。
即ち、請求項1に記載の部分加熱ヘッディング加工方法は、マグネシウム合金の棒状素材を下型ダイスで固持して、ヘッディングパンチで棒状素材を塑性変形させる部分加熱ヘッディング加工方法であって、228〜351℃に加熱したヘッディングパンチの平面を棒状素材の塑性変形部位に接触させて伝熱により棒状素材を加熱する工程と、加熱された塑性変形部位をヘッディングパンチで加工速度0.1〜11mm/sで押圧して塑性変形させる工程とからなることを特徴とする。本発明にいう下型ダイスは、鍛造加工中の棒状素材を固持する金型であり加熱せずに使用する。ヘッディングパンチは、棒状素材を加圧して強制的に塑性変形させる金型であり、加熱して使用する。
請求項2に記載の部分加熱ヘッディング加工方法は、請求項1に記載の発明において、ヘッディングパンチの228〜351℃に加熱された平面で棒状素材の塑性変形対象部位を伝熱により加熱する工程と、ヘッディングパンチで棒状素材の塑性変形部位を押圧して加工速度0.1〜11mm/sで塑性変形させる工程が同時であることを特徴とする。
請求項3に記載の部分加熱ヘッディング加工方法は、請求項1又は2に記載の発明において、ヘッディングパンチに接触した棒状素材の端部のみ外径が広がり皿ヘッド形状に成形されることを特徴とする。本発明にいう皿ヘッド形状は、本発明の鍛造加工方法によって棒状素材の端部が圧縮され、棒状素材の端部の外径が2倍以上に広がった形状をいう。
請求項4に記載の部分加熱ヘッディング加工方法は、マグネシウム合金の棒状素材を下型ダイスで固持して窪み成型部を有するヘッディングパンチで塑性変形させる部分加熱ヘッディング加工方法であって、ヘッディングパンチの195〜351℃で加熱された窪み成型部を棒状素材の塑性変形対象部位に接触させて伝熱により棒状素材を加熱する工程と、その加熱された塑性変形部位をヘッディングパンチで加工速度0.4〜31mm/sで押圧して塑性変形させ窪み成型部に充満させる工程とからなることを特徴とする。本発明にいう窪み成型部は、ヘッディングパンチ表面に設けた凹形状の窪み型であり、棒状素材を目的の形状へ塑性変形させることができる。
請求項5に記載の部分加熱ヘッディング加工方法は、請求項4に記載の発明において、ヘッディングパンチの195〜351℃に加熱された窪み成型部を棒状素材の塑性変形対象部位に接触させて伝熱により棒状素材を加熱する工程と、その加熱された塑性変形部位をヘッディングパンチで加工速度0.4〜31mm/sで押圧して塑性変形させ窪み成型部に充満させる工程が同時であることを特徴とする。
請求項6に記載の連続ヘッディング加工装置は、複数の棒状素材を保持する下型ダイスと、鍛造加工中の棒状素材の端面を受け止める下型受部と、内部に発熱体が設置され棒状素材を塑性変形させるヘッディングパンチとを備えるピン部品の連続ヘッディング加工装置であって、棒状素材の塑性変形部位を加熱されたヘッディングパンチに接触させて加熱させ、棒状素材の塑性変形部位をヘッディングパンチで押圧して鍛造加工することを特徴とする。
本発明にいう下型受部とは、鍛造加工中の棒状素材がヘッディングパンチからの加圧によって下型ダイス側へ移動することを防ぐため、下型ダイスに連結して設置し棒状素材の端面を受け止める下型である。
請求項7に記載の連続ヘッディング加工装置は、請求項6に記載の発明において、下型受部は内部に次に鍛造加工される棒状素材が装填されるものであって、下型ダイスに保持した棒状素材を鍛造加工した後に、次に鍛造加工される棒状素材と鍛造加工された棒状素材が一列になる位置に下型受部を移動させて、次に鍛造加工される棒状素材が下型ダイスに装填されることで鍛造加工された棒状素材を下型ダイスから押出すことを特徴とする。
本発明の部分加熱ヘッディング加工方法は、鍛造加工前にマグネシウム合金の棒状素材全体を加熱する工程を設けることなく、金型についても全体を加熱せずにその一部のみを加熱しておくことで、棒状素材を鍛造加工した成形品を得ることができた。
マグネシウム合金の鍛造加工に必要な加熱を必要最小限に抑えることで、成形品への熱影響を少なくすることができた。
また、同部分加熱ヘッディング加工方法を用いた加工装置によって、連続した鍛造加工が可能となり成形品の多数個生産につながった。
本発明の一実施例における部分加熱ヘッディング加工用装置の全体構成を示す正面断面図である。 本発明の一実施例における部分加熱ヘッディング加工用装置の可動金型部の斜視図である。 本発明の一実施例における部分加熱ヘッディング加工用装置の受け金型部の斜視図である。 283℃の成型部の表面が棒状素材の上端面に接触した直後に部分加熱ヘッディング加工用装置の側面から赤外線カメラを用いて撮影した温度分布図である。 本発明の一実施例における部分加熱ヘッディング加工用装置の正面断面の一部を拡大した部分断面図と棒状素材の斜視図である。(a)は加工開始時である。(b)は、鍛造加工途中のである。(c)は、鍛造加工完了時である。 本発明の一実施例で鍛造加工された皿ヘッドを有するピン部品の断面観察結果である。(a)は皿ヘッドに塑性変形された部分である。(b)は未変形部である。 本発明の一実施例で鍛造加工された皿ヘッドを有するピン部品のミクロ組織とビッカース硬さである。(a)は皿ヘッドに塑性変形された部分である。(b)は未変形部である。 マグネシウム合金(AZ31)を用いて、融解(鋳造)成形した場合のミクロ組織とビッカース硬さである。 マグネシウム合金(AZ31)を用いて、金型全体と棒状素材全体を350℃に保持して鍛造加工した場合の塑性変形部のミクロ組織とビッカース硬さである。 本発明の第二の実施例における部分加熱ヘッディング加工用装置の全体構成を示す正面断面図である。 本発明の第二の実施例における部分加熱ヘッディング加工用装置の可動金型部の斜視図である。 本発明の第二の実施例における部分加熱ヘッディング加工用装置の受け金型部の斜視図である。 本発明の第二の実施例における部分加熱ヘッディング加工用装置の正面断面の一部を拡大した部分断面図と棒状素材の斜視図である。(a)は加工開始時である。(b)は、鍛造加工途中のである。(c)は、鍛造加工完了時である。 本発明の第三の実施例における棒状素材の連続ヘッディング加工装置の全体構成を示した斜視図である。 本発明の第二の実施例における棒状素材の連続ヘッディング加工装置の正面断面の一部を拡大した部分断面図ある。(a)は鍛造加工開始である。(b)は、鍛造加工終了時である。(c)は、棒状素材供給時である。(d)は、鍛造加工された棒状素材の離型時である。
以下、本発明法における具体的な部分加熱ヘッディング加工方法について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施例に係る部分加熱ヘッディング加工用装置の全体構成を示す正面断面図である。
図1において、部分加熱ヘッディング加工用装置は可動金型部10、受け金型部30により構成され、棒状素材90を鍛造加工する金型装置である。
加工前は、可動金型部10と受け金型部30は離れた状態を保っている。
可動金型部10は、部分加熱ヘッディング加工を行う際に通しロッド38に沿って受け金型部側へ移動する。可動金型部10の移動により成型部12が棒状素材90を押圧する。このとき、受け金型部30は棒状素材を介して伝わる可動金型部10からの加圧力を受け止める。
(可動金型部)
図1において、可動金型部10はヘッディングパンチ11、成型部12、セラミック製の発熱体14、熱電対15、断熱材16、上型フランジ17および通しロッド位置穴19を主要部として構成される。
ヘッディングパンチ11には、成型部12を設けている。本実施では成型部12を平らな面にしてある。ヘッディングパンチの内部には、セラミック製の発熱体14を設けている。部分加熱ヘッディング加工を行う前に、ヘッディングパンチ内部の発熱体14が成型部12を加熱する。加熱時は熱電対15によって温度を監視する。成型部12の表面は発熱体によって400℃まで加熱することができる。成型部12の表面は、発熱体に流れる電流を調節することで温度制御できる。熱電対15は、成型部12の表面温度を温度制御することができるように、できるだけ成型部12の表面に近い部分に設置する。本実施においては、成型部12から発熱体側へ2.5mmヘッディングパンチ内部に入った部分にあらかじめ熱電対15を設置し、ヘッディングパンチ内部の温度を測定する。
図2は部分加熱ヘッディング加工用装置の可動金型部10の斜視図である。図2において可動金型部10は、ヘッディングパンチ11、成型部12、熱電対15、断熱材16、上型フランジ17、発熱体固定ホルダ18および通しロッド位置穴19を主要部として構成される。
成型部12は平らな面である。ヘッディングパンチ内部にはセラミック製の発熱体がある。発熱体の発熱により、成型部12を加熱することができる。熱電対15は、ヘッディングパンチ内部の成型部12に近い部分の温度を測定する。断熱材16はヘッディングパンチから上型フランジへの伝熱を防ぐ。通しロッド位置穴19は、受け金型部30の通しロッド38で連結される。
可動金型部10は、プレス機のシリンダの動きによって上下に可動する。プレス機は、加工時にプレス機上に設置した受け金型部に向かってシリンダが下降する構造となっている。下降したシリンダが上型フランジ17を押すことによって、可動金型部10は受け金型部30側へ移動される。ヘッディングパンチ11に設けられた成型部12が可動金型部10の移動に伴い棒状素材90を押圧する。
(受け金型部)
図1において、受け金型部30は下型ダイス32、下型ダイス受け34、ノックアウトピン35、下型ベース36、下型フランジ37および通しロッド38を主要部として構成される。
下型ダイス32は、被加工材となる棒状素材90を固持する。この際、棒状素材90の塑性変形される部分を可動金型部側に突き出した状態で固持される。下型ダイス受け34は、ノックアウトピン35を固持する。ノックアウトピン35は、部分加熱ヘッディング加工後に棒状素材90を下型ダイスから外す機能をもっている。下型ベース36は、下型ダイス32と下型ダイス受け34を固持する。下型フランジ37は、通しロッド38を固持する。通しロッド38は、前述の可動金型部10の通しロッド穴19で連結される。
図3は部分加熱ヘッディング加工装置の受け金型部30の斜視図である。受け金型部30は下型ダイス32、下型ベース36、下型フランジ37および通しロッド38を主要部として構成される。下型ベース36は、内部に下型ダイス受け34およびノックアウトピン35を固持している。通しロッド38は、可動金型部10の通しロッド穴19で連結される。
受け金型部は、プレス機上に設置して使用する。部分加熱ヘッディング加工時は、下型ダイスで固持している棒状素材90が圧縮され塑性変形する。このとき受け金型部30は棒状素材を介して伝わる可動金型部10からの加圧力を受け止める。
加工前には、可動金型部10と受け金型部30は離れた状態を保っている。
熱電対で測定された温度が所定の温度に達したら、可動金型部10を受け金型部側へ移動して、部分加熱ヘッディング加工を行う。可動金型部10は、部分加熱ヘッディング加工を行う際に通しロッド38に沿って受け金型部側へ移動する。成型部底面12が可動金型部10の移動により棒状素材90の上端面91に接触し棒状素材90を押圧する。棒状素材は押圧されることで塑性変形される。
棒状素材90として、マグネシウム合金(AZ31)を300℃で押出し成形して得た円柱棒材を用いた。棒状素材サイズは外径が1.7mmで長さ20mmである。棒状素材はあらかじめ潤滑剤をうすく塗布した。潤滑剤は二硫化モリブデンを使用した。棒状素材の両端面はその長さや面粗さを整えるため砥石によって研磨して使用した。棒状素材は端部を刃物による切断(機械的切断)がされている。その切断面は凹凸や切断バリがある。棒状素材の切断面には、鍛造時に成型部と接触する面との熱伝達等のバラつきをなくすことと、均一な粗さをもった面にすることと、バリ等による長さの誤差を無くすことを目的に砥石による研磨を行った。
部分加熱ヘッディング加工時において、あらかじめ成型部12は発熱体14により加熱した。成型部の表面温度は283℃にした。なお、熱電対15による測定温度は、成型部12から発熱体側へ2.5mmヘッディングパンチ内部に入った部分である。室温にさらされる成型部12の表面との間には温度勾配がある。このため、熱電対で測定されるヘッディングパンチ内部の温度を350℃にすることで成型部12の表面温度を283℃に制御した。
部分加熱ヘッディング加工は、可動金型部10をプレス機による加工速度1.0mm/sで受け金型部側へ移動させて行った。成型部12の平らな面が棒状素材90を押圧し塑性変形させた。
加工開始時において、283℃になっている成型部12の表面は棒状素材の上端面91に接触する。これにより、成型部から棒状素材へと伝熱が始まる。283℃の成型部の表面が棒状素材の上端面91に接触した直後に、部分加熱ヘッディング加工装置を側面から赤外線カメラで撮影した。図4は、撮影した温度分布図である。図中には、ヘッディングパンチ表面、棒状素材表面および下型ダイス表面の温度分布状態を示している。棒状素材は、成型部側から温度の低い下型ダイス側にかけて温度勾配が生じている。このことは、成型部と接触する棒状素材の端部が最も加熱されていることを表している。つまり、加熱された棒状素材の端部が棒状素材全体の中で最も軟らかく塑性変形されやすい部分である。
成型部12が棒状素材90を押圧することで、最も加熱されている棒状素材の端部が圧縮される。このとき、棒状素材の端部が成型部12の平らな面に沿って外径が広がる。
次に棒状素材が部分加熱ヘッディング加工によって成形される過程を説明する。図5は、部分加熱ヘッディング加工用装置の正面断面図の拡大図である。この拡大図は、棒状素材90、ヘッディングパンチ11、成型部12、下型ダイス32、下型ダイス受け34およびノックアウトピン35で構成された部分である。図中(a)、(b)、(c)は、棒状素材が成形されていく過程を示す。
棒状素材90は、下型ダイス32で固持されている。ヘッディングパンチ11は下型ダイス側へ移動する。成型部12は棒状素材の上端面91に接触し棒状素材の端部を押圧する。
図5(a)は、283℃の成型部12の平らな面が棒状素材の上端面91に接触した状態を示す。この接触により棒状素材は283℃の成型部から伝熱される。棒状素材は、上端面91から温度の低い下型ダイス側にかけて温度勾配が生じる。成型部と接触する棒状素材の端部が最も加熱される。また、その棒状素材の端部が最も軟らかくなる。
図5(b)は、ヘッディングパンチ11が下型ダイス側へ移動した状態を示す。棒状素材は283℃の成型部12の平らな面に押圧される。棒状素材の端部は圧縮され、外径が広がり始める。棒状素材の端部の外径は、成型部12の平らな面に沿って広がる。このとき、棒状素材は加工途中素材92の形状に塑性変形される。なお、この間、加工途中素材92は成型部12から伝熱され続ける。
図5(c)は、さらにヘッディングパンチ11が下型ダイス側へ移動し、部分加熱ヘッディング加工が完了した状態を示す。棒状素材の端部はさらに圧縮される。棒状素材の端部は圧縮されることで、成型部12に平らな面に沿ってさらに外径が広がる。加工完了時に棒状素材の端部は皿ヘッド形状に塑性変形される。塑性変形された棒状素材は皿ヘッドを有するピン部品93の形状となる。棒状素材が塑性変形する間、成型部から棒状素材へ伝熱されつづける。常に棒状素材の端部が最も加熱されることから棒状素材の端部が最も圧縮される。棒状素材の端部は、成型部12の平らな面に沿って外径が広がり続け、皿ヘッド形状になるまで塑性変形される。
本実施では、押圧されて塑性変形した棒状素材の端部の外径が元の棒状素材外径の2倍になるまで成形を行って皿ヘッドを有するピン部品93を得た。本実施による部分加熱ヘッディング加工方法は、伝熱による成型部12から棒状素材90へと発生する温度勾配を効果的に利用した加工法である。このように、棒状素材の端部を伝熱しながら塑性変形させることで、割れや亀裂を起こさず鍛造加工を完了することができた。
なお、本実施によって得られた皿ヘッドを有するピン部品93は、ノックアウトピン35でヘッディングパンチ側へ押出すことによって、下型ダイスから取り外せる。
本実施例では、前記発明を実施するための形態と同様に部分加熱ヘッディング加工を実施した。表1は、部分加熱ヘッディング加工を実施した加工条件と成形状態の結果である。表中には、棒状素材の外径、パンチ内部温度、成型部の表面温度、加工速度、荷重および成形状態を示す。棒状素材は、長さが20mmで外径が1.7および2.9mmの2種類のものを使用した。成型部の表面温度は、228℃から351℃の範囲で実施した。また、加工速度は0.1から11mm/sの範囲で実施した。表中の荷重は加工中の最大荷重値である。成形状態は、加工後に得られた皿ヘッドを有するピン部品の形状の確認結果である。成形状態は、外径が元の棒状素材外径の2倍以上になり、外観を目視して図5(c)の皿ヘッド付きピン部品93の形状となったものを良好とした。
成型部の表面温度が高温になるほど加工速度が速くても良好な成形状態が得られた。棒状素材外径が1.7mmの場合、成型部の表面温度が228℃であっても、加工速度を0.1mm/sまで遅くすれば良好な成形状態が得られた。
図6に皿ヘッドを有するピン部品93の断面観察結果を示す。この皿ヘッドを有するピン部品は、成型部の表面温度283℃および加工速度1mm/sの加工条件で得られたものである。
図6において、(a)は鍛造加工による塑性変形部の断面観察結果である。(b)は未変形部の断面観察結果である。(a)には、鍛造加工特有の成形品の形状に沿って途切れなく湾曲した鍛流線41が見られた。一方、(b)には棒状素材が押出し加工によって成形されたことを表すまっすぐな塑性流れ線42が見られ、湾曲した鍛流線は見られなかった。
図7に皿ヘッドを有するピン部品の写真94のミクロ組織とビッカース硬さを測定した結果を示す。この皿ヘッドを有するピン部品は、成型部の表面温度283℃および加工速度1mm/sの加工条件で得られたものである。
図7において、(a)は塑性変形箇所で観察した結晶粒43a、44a、45aとその観察箇所でのビッカース硬さ43b、44b、45bである。(b)は、未変形箇所で観察した結晶粒46aとビッカース硬さ46bである。(a)の塑性変形箇所の結晶粒43a、44a、45aは、未変形箇所の結晶粒46aとほぼ同じ粒径であった。塑性変形箇所は、部分加熱ヘッディング加工中に加熱されるが結晶粒の粗大化は見られなかった。また、塑性変形箇所の硬さ43b、44b、45bはビッカース硬さ75.1〜79.3であった。塑性変形箇所は、未変形箇所の硬さ46bであるビッカース硬さ61.0よりも硬く強度が向上していた。
(比較例)
図8は、融解(鋳造)成形を行った場合のミクロ組織およびビッカース硬さを示す。素材は、本発明の実施と同じマグネシウム合金(AZ31)を用いた。融解(鋳造)成形は、本発明の実施よりも高い650℃以上に加熱して成形される。得られた成形品の結晶粒47aは、本発明の実施で得られた結晶粒43a、44a、45aよりも粗大化していた。また、成形品の硬さ47bはビッカース硬さ50.8である。本発明の実施で得られた図7(a)に示す塑性変形箇所の硬さ43b、44b、45bのビッカース硬さ75.1〜79.3よりも低下していた。
図9は、ヘッディングパンチおよび下型ダイスを含めた金型全体と棒状素材全体を加熱してヘッディング加工した塑性変形箇所のミクロ組織とビッカース硬さを示す。素材は、本発明の実施と同じマグネシウム合金AZ31を用いた。ヘッディング加工時の金型全体と棒状素材全体の温度は、350℃である。ヘッディング加工時の加工速度は1mm/sである。得られた成形品の結晶粒48aは、融解(鋳造)成形で得られた結晶粒47aより小さい。しかし、得られた結晶粒48aは、本発明の実施で得られた結晶粒43a、44a、45aよりも粗大化していた。また、塑性変形箇所の硬さ48bはビッカース硬さ51.1である。塑性変形箇所の硬さ48bは、本発明の実施で得られた図7(a)に示す塑性変形箇所の硬さ43b、44b、45bのビッカース硬さ75.1〜79.3よりも低下していた。
実施例、比較例から明らかなごとく、素材を高温にするほど結晶粒が粗大化し、硬さは低下した。このため本発明の部分加熱ヘッディング加工方法で得られる硬さを達成することは難しくなる。また、本発明の部分加熱ヘッディング加工方法は、融解(鋳造)成形や金型および棒状素材全体を加熱保持する工法よりも加熱に要するエネルギが少ない工法である。
第二の実施例は、棒状素材から歯車ヘッド付きピン部品および六角ヘッド付きピン部品へ鍛造加工する部分加熱ヘッディング加工方法について説明する。
図10は、本発明の第二の実施例に係る部分加熱ヘッディング加工用装置の全体構成を示す正面断面図である。図10において、部分加熱ヘッディング加工用装置は可動金型部10、受け金型部30により構成され、棒状素材90を鍛造加工する金型装置である。
実施例1で使用した図1に示す部分加熱ヘッディング加工用装置との違いは、可動金型部10のヘッディングパンチ11に歯車または六角の型を掘り込んだ点である。実施例1の平らな面でできた成型部12に対し、本実施では歯車または六角の型形状の窪み成型部13を設けた。
加工前は、可動金型部10と受け金型部30は離れた状態を保っている。
可動金型部10は、部分加熱ヘッディング加工を行う際に通しロッド38に沿って受け金型部側へ移動する。可動金型部10の移動により窪み成型部13が棒状素材90を押圧する。棒状素材は押圧されることで塑性変形される。このとき、受け金型部30は棒状素材を介して伝わる可動金型部10からの加圧力を受け止める。
(可動金型部)
図10における可動金型部10は、ヘッディングパンチ11、窪み成型部13、窪み成型部の底面13a、窪み成型部側面13b、セラミック製の発熱体14、熱電対15、断熱材16、上型フランジ17および通しロッド位置穴19を主要部として構成される。
ヘッディングパンチ11に設けた窪み成型部13は、歯車または六角の型を掘り込んでいる。部分加熱ヘッディング加工を行う前に、ヘッディングパンチ内部のセラミック製の発熱体14が窪み成型部13を加熱する。加熱時は熱電対15によって温度を監視する。窪み成型部13の底面13aは発熱体によって400℃まで加熱することができる。窪み成型部の底面13aは、発熱体に流れる電流を調節することで温度制御できる。熱電対15は、窪み成型部の底面13aの温度を温度制御することができるように、できるだけ窪み成型部の底面13aに近い部分に設置する。本実施においては、窪み成型部の底面13aから発熱体側へ2.5mmヘッディングパンチ内部に入った部分にあらかじめ熱電対15を設置し、ヘッディングパンチ内部の温度を測定する。断熱材16はヘッディングパンチから上型フランジへの伝熱を防ぐ。通しロッド位置穴19は、受け金型部30の通しロッド38で連結される。
図11は部分加熱ヘッディング加工用装置の可動金型部10の斜視図である。図11において可動金型部10は、ヘッディングパンチ11、窪み成型部13、熱電対15、断熱材16、上型フランジ17、発熱体固定ホルダ18および通しロッド位置穴19を主要部として構成される。
可動金型部10は、プレス機のシリンダの動きによって上下に可動する。プレス機は加工時にプレス機上に設置した受け金型部に向かってシリンダが下降する構造をなっている。下降したシリンダが上型フランジ17を押すことによって、可動金型部10は受け金型部側へ移動する。ヘッディングパンチ11に設けられた窪み成型部13が可動金型部10の移動に伴い棒状素材90を押圧する。
(受け金型部)
図10において、受け金型部30は下型ダイス32、下型ダイス受け34、ノックアウトピン35、下型ベース36、下型フランジ37および通しロッド38を主要部として構成される。
受け金型部30の概略は図1の可動金型部10と同じである。型ダイス32は、被加工材となる棒状素材90を固持する。この際、棒状素材90の塑性変形される部分を可動金型部側に突き出した状態で固持される。下型ダイス受け34は、ノックアウトピン35を固持する。ノックアウトピン35は、部分加熱ヘッディング加工後に棒状素材90を下型ダイスから外す機能をもっている。下型ベース36は、下型ダイス32と下型ダイス受け34を固持する。下型フランジ37は、通しロッド38を固持する。通しロッド38は、可動金型部10の通しロッド穴19で連結される。
図12は部分加熱ヘッディング加工装置の受け金型部30の斜視図である。受け金型部30は下型ダイス32、下型ベース36、下型フランジ37および通しロッド38を主要部として構成される。下型ベース36は、内部に下型ダイス受け34およびノックアウトピン35を固持している。通しロッド38は、可動金型部10の通しロッド穴19で連結される。
受け金型部30は、プレス機上に設置して使用する。部分加熱ヘッディング加工時は、下型ダイスで固持している棒状素材90が圧縮され塑性変形する。このとき受け金型部30は棒状素材を介して伝わる可動金型部10からの加圧力を受け止める。
加工前は、可動金型部10と受け金型部30は離れた状態を保っている。
熱電対で測定された温度が所定の温度に達したら、可動金型部10を受け金型部側へ移動して、部分加熱ヘッディング加工を行う。可動金型部10は、部分加熱ヘッディング加工を行う際に通しロッド38に沿って受け金型部側へ移動する。窪み成型部の底面13aが可動金型部10の移動により棒状素材90の上端面91に接触し棒状素材90を押圧する。棒状素材は押圧されることで鍛造加工される。このとき、受け金型部30は棒状素材を介して伝わる可動金型部10からの加圧力を受け止める。
棒状素材90として、マグネシウム合金(AZ31)を300℃で押出し成形して得た円柱棒材を用いた。棒状素材サイズは外径が1.7mmで長さ20mmである。棒状素材90は、下型ダイス32から5mm突き出た状態で下型ダイス32に装填した。棒状素材はあらかじめ潤滑剤をうすく塗布した。潤滑剤は二硫化モリブデンを使用した。棒状素材の両端面はその長さや面粗さを整えるため砥石によって研磨して使用した。棒状素材は端部を刃物による切断(機械的切断)がされている。その切断面は凹凸や切断バリがある。棒状素材の切断面には、鍛造時に成型部と接触する面との熱伝達等のバラつきをなくすことと、均一な粗さをもった面にすることと、バリ等による長さの誤差を無くすことを目的に砥石による研磨を行った。
あらかじめ窪み成型部13は、部分加熱ヘッディング加工前に発熱体14により加熱した。窪み成型部の底面13aの表面温度は206℃にした。なお、熱電対15による測定温度は、窪み成型部の底面13aから発熱体側へ2.5mmヘッディングパンチ内部に入った部分である。室温にさらされる窪み成型部の底面13aの表面との間には温度勾配がある。このため、熱電対で測定されるヘッディングパンチ内部の温度を270℃にすることで窪み成型部の底面13aの表面温度を206℃に制御した。
部分加熱ヘッディング加工は、可動金型部10はプレス機による加工速度0.5mm/sで受け金型部側へ移動させて行った。ヘッディングパンチに設けた窪み成型部の底面13aが棒状素材を押圧し塑性変形させた。
次に棒状素材90が部分加熱ヘッディング加工によって成形される過程を説明する。図13は、部分加熱ヘッディング加工用装置の正面断面図の拡大図である。この拡大図は、棒状素材90、ヘッディングパンチ11、窪み成型部13、下型ダイス32、下型ベース36およびノックアウトピン35で構成された部分である。図中(a)、(b)、(c)は、棒状素材が成形されていく過程を示す。
棒状素材90は、下型ダイス32で固持されている。ヘッディングパンチ11は下型ダイス側へ移動する。窪み成型部の底面13aは棒状素材の上端面91に接触し棒状素材の端部を押圧する。
図13(a)は、加工開始時において棒状素材の上端面91が窪み成型部の底面13aに接触した状態を示す。この接触により、棒状素材90は206℃の窪み成型部の底面13aから伝熱される。棒状素材90は、上端面91から温度の低い下型ダイス側にかけて温度勾配が生じる。窪み成型部13aと接触する棒状素材の端部が最も加熱される。また、その棒状素材の端部が最も軟らかくなる。
図13(b)は、ヘッディングパンチ11が下型ダイス側へ移動した状態を示す。棒状素材は206℃の窪み成型部の底面13aに押圧される。伝熱により加熱された棒状素材の端部は圧縮され、外径が広がり始める。棒状素材の端部は、窪み成型部13の中で外形が膨らみ、その膨らみが窪み成型部の側面13bに接触する。これにより窪み成型部の側面13bからも棒状素材へ伝熱が行われる。このとき、棒状素材は、端部が膨らんだ加工途中素材95、97の形状に塑性変形される。なお、この間、加工途中素材95、97は窪み成形部の底面13aおよび窪み成型部の側面13bから伝熱され続ける。
図13(c)は、さらにヘッディングパンチ11が下型ダイス側へ移動し、部分加熱ヘッディング加工が完了した状態を示す。加工途中素材95、97は、さらに押圧されて塑性変形し窪み成型部13に充満する。これにより棒状素材は歯車ヘッドを有するピン部品96または六角ヘッドを有するピン部品98に塑性変形される。棒状素材の端部は、加工中に窪み成型部内で最も加熱され最も軟らかくなることから、棒状素材の端部で塑性変形が進み歯車ヘッドまたは六角ヘッド形状に成形される。このように、本実施例では、成型部に歯車形状または六角形状の窪み穴を設けて、窪み成型部から棒状素材への伝熱を利用することで歯車または六角ヘッドを有するピン部品を得ることができた。
本実施例は、窪み成型部の底面温度および加工速度をいくつかの条件に変えた部分加熱ヘッディング加工を実施した。加工後は、成形品の外観を目視して図13(c)に示す歯車ヘッドを有するピン部品96の形状または六角ヘッドを有するピン部品98の形状になったものを良好とした。
表2は、部分加熱ヘッディング加工を実施した加工条件と成形状態の結果である。表中には、窪み成型部の型形状、パンチ内部温度、窪み成型部の表面温度、加工速度、荷重および成形状態を示す。成型部の表面温度は、195℃から351℃の範囲で実施した。また、加工速度は0.4から31mm/sの範囲で実施した。表中の荷重は加工中の最大荷重値である。成形状態は、加工後に得られた歯車ヘッドを有するピン部品または六角ヘッドを有するピン部品の形状の確認結果である。成形状態は、外観を目視して図13(c)に示す歯車ヘッドを有するピン部品96の形状または六角ヘッドを有するピン部品98の形状となったものを良好とした。
窪み成型部の底面13aの温度が高温になるほど加工速度が速くても良好な成形状態が得られた。また、窪み成型部の底面温度が実施例1の皿ヘッドを有するピン部品の鍛造加工で測定した成型部の表面温度より低い195℃であっても良好な成形品を得ることができた。
以上に説明したように、ヘッディングパンチに歯車または六角の型を掘り込んだ窪み成型部13を設け、窪み成型部を加熱した状態で部分加熱ヘッディング加工を行い、棒状素材から歯車ヘッドを有するピン部品96や六角ヘッドを有するピン部品98へ鍛造加工することができた。従来の加工方法のような棒状素材や金型全体をあらかじめ加熱させる必要はなく、ヘッディングパンチのみに発熱体を装填しあらかじめ加熱しておくことで、マグネシウム合金のヘッディング加工を実現することができた。
第三の実施例は、棒状素材の連続ヘッディング加工装置について説明する。同装置は、実施例1および2の部分加熱ヘッディング加工方法を利用することで複数の棒状素材を連続的に加工することができる。図14は棒状素材の連続ヘッディング加工装置の構成を示した斜視図である。図14において、棒状素材の連続ヘッディング加工装置は、可動金型部50および受け金型部70により構成され、棒状素材90を鍛造加工する金型装置である。
鍛造加工前は、可動金型部50と受け金型部70は離れた状態を保っている。
可動金型部50は、部分加熱ヘッディング加工を行う際に受け金型部70の通しロッド73に沿って受け金型部側へ移動する。可動金型部50の移動によりヘッディングパンチ51に設けた窪み成型部52、53が棒状素材90を押圧して鍛造加工する。このとき、受け金型部70は棒状素材を介して伝わる可動金型部50からの加圧力を受け止める。
(可動金型部)
図14における可動金型部50は、ヘッディングパンチ51、六角の型を掘り込んだ窪み成型部52、歯車の型を掘り込んだ窪み成型部53、上型フランジ55、通しロッド位置穴56、プレス断熱材57およびフランジ断熱材58を主要部として構成される。なお、ヘッディングパンチ内部には、セラミック製の発熱体が設置されている。
ヘッディングパンチ51に設けた窪み成型部52、53は、部分加熱ヘッディング加工を行う前に、ヘッディングパンチ内部の発熱体14により加熱される。発熱体は、シリンダ断熱材57を外すことでヘッディングパンチ51の内部に設置できる。フランジ断熱材58はヘッディングパンチから上型フランジへの伝熱を防ぐ。通しロッド位置穴56は、受け金型部70の通しロッド73で連結される。
可動金型部50は、プレス機のシリンダの動きによって可動する。プレス機は、加工時にプレス機上に設置した受け金型部70に向かってシリンダが押圧する構造をなっている。シリンダが断熱材57を押すことによって、可動金型部50は受け金型部側へ移動する。ヘッディングパンチ51に設けられた窪み成型部52、53が可動金型部50の移動に伴い棒状素材90を押圧する。
(受け金型部)
図14において、受け金型部70は下型ダイス71、下型フランジ72、通しロッド73、下型ダイス底面74、下型受部76および棒状素材挿入口77を主要部として構成される。
下型ダイス71は、複数の棒状素材90を固持することができる。下型受部76には、複数設けた棒状素材挿入口77がある。そこから一度に複数の棒状素材90cを挿入することができる。また、下型受部76は、挿入された棒状素材90cを下型ダイス71まで送り込める。
加工前は、可動金型部50と受け金型部70は離れた状態を保っている。
部分加熱ヘッディング加工は可動金型部50を受け金型部側へ移動して行う。可動金型部50は、部分加熱ヘッディング加工を行う際に通しロッド73に沿って受け金型部側へ移動する。窪み成型部52、53が棒状素材90の上端面91に接触し棒状素材90を押圧する。棒状素材は押圧されることで塑性変形される。このとき、受け金型部70は棒状素材を介して伝わる可動金型部50からの加圧力を受け止める。可動金型部50は、加工後に通しロッドに沿って受け金型部70から離れる方向へ移動する。
図14に本実施例における棒状素材の連続ヘッディング加工装置の部分断面図を示す。図中(a)、(b)、(c)、(d)は、棒状素材の連続ヘッディング加工装置の稼動する過程を示す。
図14(a)は、部分加熱ヘッディング加工が行われる前に下型ダイス71が複数の棒状素材90を固持した状態を示す。棒状素材90はヘッディングパンチ側へ突き出した状態で固持される。その突き出した部分が可動金型部50のヘッディングパンチ51の窪み成型部52で鍛造加工される。ヘッディングパンチの窪み成型部52は、ヘッディングパンチ内部に設置した発熱体59により加熱されている。加工時には、ヘッディングパンチ51が下型ダイス側へ移動し棒状素材の上端面91が窪み成型部の底面53aに接触する。これにより、棒状素材90は窪み成型部の底面53aから伝熱される。棒状素材90は、ヘッディングパンチ51が下型ダイス側へ移動することによって、押圧され塑性変形される。このとき、下型受部76の下型ダイス71と接する面76が棒状素材の鍛造加工されない側の端面99を受け止める。これにより押圧される棒状素材90がヘッディングパンチ側からの加圧力によって加圧方向へ移動することを防ぐ。加工中の温度および加工速度等の条件や棒状素材の塑性変形における詳細は、前述の実施例2と同様のため説明を割愛する。
図14(b)は、ヘッディングパンチ51が下型ダイス側へ移動し棒状素材90が窪み成型部52に充満して鍛造加工が終了した状態を示す。鍛造加工が完了すると、下型受部76が下型ダイス底面74に沿って移動する。下型受部76は、下型受部内部に装填されている次に鍛造加工される棒状素材90aと鍛造加工された棒状素材90とが一列に並ぶ位置で止まる。
図14(c)は、ヘッディングパンチ51が下型ダイス71から離れ、新たな棒状素材90cが棒状素材挿入口77から下型受け76に挿入される状態を示す。この新たな棒状素材90cが、下型受け76の内部に装填されて次に鍛造加工される棒状素材90aおよびその次ぎに鍛造加工される棒状素材90bを介して鍛造加工された棒状素材90をヘッディングパンチ側へ押出す。
図14(d)は、鍛造加工された棒状素材90が下型ダイスから押出されて離型し、次に鍛造加工される棒状素材90bが下型ダイス71に装填される状況を示す。新たな棒状素材90cが下型受け76の内部に装填されたことにより、鍛造加工された棒状素材の離型と次の棒状素材の下型ダイスへの装填が同時に行える。鍛造加工された棒状素材の離型と新たな棒状素材の装填を同時に行った後、次の鍛造加工を行うため図14(a)の状態へと戻る。
以上のように、本実施例の棒状素材の連続ヘッディング加工装置を用いることで、棒状素材を連続して下型ダイス71へ送り込み、かつ複数の棒状素材を一度に鍛造加工することが可能となる。窪み成型部52からの棒状素材90への伝熱によって棒状素材の最も加熱された棒状素材の端部が窪み成型部52で塑性変形される。この間、棒状素材90の塑性変形される部分から下型ダイス側へと温度が低くなる温度勾配が発生している。下型ダイス71は棒状素材の温度の低い部分を固持しているため下型ダイスへの伝熱は少ない。このため、ヘッディングパンチから離れている下型受け76や次に鍛造加工される棒状素材90aへの伝熱はさらに少なく室温に近い温度を保つことができる。下型ダイス側への伝熱が少なく加熱が抑えられることは、金型への熱影響が少なく金型寿命の向上が見込まれる。また、下型受け76の移動や棒状素材の供給のため下型受け76に棒状素材を送り込む駆動装置等への熱影響も少なくできる。このことは、耐熱が必要な生産設備構造の簡素化につながり好都合である。
また、棒状素材は伝熱の少ない下型受け側から供給され加工寸前までは室温付近に保たれる。よって棒状素材は鍛造加工されるときにだけ加熱されるため、結晶粒の粗大化や硬さの低下を抑制する効果が得られる。
10 可動金型部
11 ヘッディングパンチ
12 成型部
14 発熱体
15 熱電対
16 断熱材
17 上型フランジ
19 通しロッド位置穴
30 受け金型部
32 下型ダイス
34 下型ダイス受け
35 ノックアウトピン
36 下型ベース
37 下型フランジ
38 通しロッド
41 鍛流線
42 塑性流れ線
43a、44a、45a 塑性変形箇所の結晶粒
46a 未変形箇所の結晶粒
43b、44b、45b 塑性変形箇所の硬さ
46b 未変形箇所の硬さ
47a 融解成形で得られた結晶粒
47b 融解成形で得られた硬さ
48a 350℃全体加熱の鍛造加工で得られた結晶粒
48b 350℃全体加熱の鍛造加工で得られた硬さ
50 可動金型部
51 ヘッディングパンチ
52 六角の型を掘り込んだ窪み成型部
53 歯車の型を掘り込んだ窪み成型部
55 上型フランジ
56 通しロッド位置穴
57 プレス断熱材
58 フランジ断熱材
59 発熱体
70 受け金型部
71 下型ダイス
72 下型フランジ
73 通しロッド
74 下型ダイス底面
76 下型受部
77 棒状素材挿入口
90 棒状素材
91 棒状素材の上端面
92 加工途中素材
93 皿ヘッドを有するピン部品
95 加工途中素材
96 歯車ヘッドを有するピン部品
97 加工途中素材
98 六角ヘッドを有するピン部品
99 鍛造加工されない側の端面

Claims (5)

  1. マグネシウム合金AZ31の棒状素材を下型ダイスで固持してヘッディングパンチで塑性変形させる部分加熱ヘッディング加工方法であって、加熱されたヘッディングパンチの平面に棒状素材の塑性変形対象部位を接触させて伝熱する工程と、
    その伝熱された部位をヘッディングパンチで成型部の表面温度が略228℃以上略283℃未満では加工速度略0.1mm/s以下、成型部の表面温度が略283℃以上略313℃未満では加工速度略1.0mm/s以下、成型部の表面温度が略313℃以上略319℃未満では加工速度略2.0mm/s以下、成型部の表面温度が略319℃以上略351℃未満では加工速度略4.0mm/s以下、成型部の表面温度が略351℃では加工速度略11.0mm/s以下で押圧して塑性変形させる工程をそなえることを特徴とする部分加熱ヘッディング加工方法。
  2. ヘッディングパンチの228〜351℃に加熱された平面を棒状素材の塑性変形対象部位に接触させて伝熱する工程と、
    その伝熱された部位をヘッディングパンチで加工速度0.1〜11mm/sで押圧して塑性変形させる工程が同時であることを特徴とする請求項1に記載の部分加熱ヘッディング加工方法。
  3. 鍛造加工された棒状素材がヘッディングパンチに接触した端部のみ外径が2倍以上に広がって皿ヘッド形状に成形されることを特徴とする請求項1又は2に記載の部分加熱ヘッディング加工方法。
  4. マグネシウム合金AZ31の棒状素材を下型ダイスで固持して窪み成型部を有するヘッディングパンチで塑性変形させる鍛造加工方法であって、ヘッディングパンチの加熱された窪み成型部を棒状素材の塑性変形対象部位に接触させて伝熱する工程と、
    その伝熱された部位をヘッディングパンチで窪み成型部の底面温度が略195℃以上略206℃未満では加工速度略0.4mm/s以下、窪み成型部の底面温度が略206℃以上略228℃未満では加工速度略0.5mm/s以下、窪み成型部の底面温度が略228℃以上略283℃未満では加工速度略1.7mm/s以下、窪み成型部の底面温度が略283℃以上略319℃未満では加工速度略4.2mm/s以下、窪み成型部の底面温度が略319℃以上略351℃未満では加工速度略12.0mm/s以下、窪み成型部の底面温度が略351℃では加工速度略31.0mm/s以下で押圧して塑性変形させ窪み成型部に充満させる工程をそなえることを特徴とする部分加熱ヘッディング加工方法。
  5. ヘッディングパンチの195〜351℃に加熱された窪み成型部を棒状素材の塑性変形対象部位に接触させて伝熱する工程と、
    その伝熱された部位をヘッディングパンチで加工速度0.4〜31mm/sで押圧して塑性変形させ窪み成型部に充満させる工程が同時であることを特徴とする請求項4に記載の部分加熱ヘッディング加工方法。
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