JP5658479B2 - 脂肪減少等の活性を示す組成物 - Google Patents
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Description
(1)キノコの乾燥粉末の調製
アンニンコウ(株式会社岩出菌学研究所にて人工栽培したもの)の子実体に、45℃の温風を一昼夜あて、その後70℃の温風を1時間あてた。得られたアンニンコウ子実体乾燥品をミキサーに入れ、約1分間粉砕し、粉末とした。
アンニンコウ子実体の乾燥粉末10gを200mlの熱水(約90℃)と混ぜ、得られたキノコ/熱水混合物を、30分間、緩やかに攪拌した。キノコ/熱水混合物を遠心分離に掛け(10,000rpm、10分間)、上澄みと沈澱とに分けた。
(1)試料の調製
実施例1と同様の方法で、アンニンコウ(株式会社岩出菌学研究所にて人工栽培したもの)の子実体の乾燥粉末から、熱水抽出によって上澄液を得た。全ての上澄液を合わせ、減圧条件下で濃縮し、次いで100mlにメス・アップした。
熱水抽出物(100mlにメス・アップしたもの)と、それにエルゴチオネイン標品(Sigma社より購入)を添加したものとを、それぞれSep Pak(C18)(ウォーターズ社製)にて前処理した後、HPLCにかけた。HPLCの条件は、次の通りであった。
カラム: ODS−HG−5 C18(4.6mmφ×250mm)(野村化学株式会社製)、2本をタンデムに接続した。
溶離液: H2O/0.1%トリエチルアミン(TEA)
流速: 0.8ml/分
エルゴチオネイン含有画分の特定のための指標: 260nmにおける吸光度
エルゴチオネイン標品の水溶液(複数)を調製し、それらの260nmにおける吸光度を測定し、検量線を作成した。(2)で分画したエルゴチオネイン含有画分(エルゴチオネイン標品を添加していない熱水抽出物に由来するもの)すべてを合わせ、260nmにおける吸光度を測定し、検量線からエルゴチオネイン濃度を決定した。その濃度にエルゴチオネイン含有画分の容量を掛け、全エルゴチオネイン量を算出し、それを使用したアンニンコウ子実体乾燥粉末の重量で割って、アンニンコウ子実体乾燥粉末1g当たりのエルゴチオネインの重量を算出した。アンニンコウ子実体乾燥粉末1g当たりのエルゴチオネイン含有量は、約2.0mgであった。
正常マウス(ICR雄)に、実施例1で調製した熱水抽出物の凍結乾燥品及び低分子画分の凍結乾燥品の、直接経口投与(胃ゾンデによる各成分の強制投与)を実施した。また、エルゴチオネインについても、同様に、直接経口投与を実施した。投与開始2週間後にマウスを解剖し、体重、精巣周囲脂肪重量及び血液中の中性脂肪(トリグリセライド)を測定した。
ICR系マウス(slc:6週齢、雄、日本SLCより購入)を使用した。1週間の予備飼育後に、7週齢で実験に使用した。各群5匹とした。
強制経口投与を実施した試料と投与量は以下の通りである。
(2−1)アンニンコウ熱水抽出物
凍結乾燥品を、1,000mg/kg−体重(A)又は4,000mg/kg−体重(B)投与した。
(2−2)アンニンコウ低分子画分
凍結乾燥品を、1,000mg/kg−体重(A)又は4,000mg/kg−体重(B)投与した。
(2−3)エルゴチオネイン(Sigma社より購入)
5mg/kg−体重(A)又は20mg/kg−体重(B)を投与した。
ノーサン実験動物用飼料ラボMRストック(LABO MR STOCK;259.2kcal/100g;日本農産工業株式会社)を、基本(通常)飼料として与えた。基本飼料を、対照群と強制投与各群に給餌した。
実験開始から2週間後、エチルエーテルの過麻酔によりマウスを死亡させ、直ちに腹部を切開して腹部大静脈より2.5mlのシリンジにてヘパリン加採血を実施した。麻酔前には絶食などの措置はされず、マウスは通常の自由な給餌・飲水下にあった。遠心分離した血漿は、−80℃の冷凍庫に保存し、検査会社にてトリグリセライド(中性脂肪)を測定した。
(5−1)解剖所見
解剖時のマウスの外観に出血や肛門周囲の汚れ等の異常は診られず、腹腔、胸腔には出血や癒着などの異常はなかった。また、いずれの個体も、胃及び盲腸に多量の内容物が認められた。
対照群(Cont-2W)及び低投与群(即ち、各投与試料について、投与量が少ない群(A))の解剖時体重を図1に示す。また、対照群(Cont-2W)及び高投与群(即ち、各投与試料について、投与量が多い群(B))の解剖時体重を図2に示す。
肝臓重量は、解剖時に摘出した肝臓の重量を測定した絶対重量と、肝臓の重量を個々の体重で除した、体重10g当たりの相対重量で表示した。対照群(Cont-2W)及び低投与群(A)のデータを図3に、対照群(Cont-2W)及び高投与群(B)のデータを図4に示す。対照群に対してエルゴチオネイン投与群B(高投与群)13.9%の重量低下がみられたが、有意差を伴う変化ではなかった。
脾臓重量は、解剖時に摘出した脾臓の重量を測定した絶対重量と、脾臓の重量を個々の体重で除した、体重10g当たりの相対重量で表示した。対照群(Cont-2W)及び低投与群(A)のデータを図5に、対照群(Cont-2W)及び高投与群(B)のデータを図6に示す。いずれの群においても、対照群に対して有意差を伴う変化は見られなかった。
精巣周囲の脂肪は採取し易く、重量も一定しているので、腹腔内脂肪の代表として測定した。解剖時に摘出した脂肪の重量を絶対重量と、脂肪の重量を個々の体重で除した、体重10g当たりの相対重量で表示した。対照群(Cont-2W)及び低投与群(A)のデータを図7に、対照群(Cont-2W)及び高投与群(B)のデータを図8に示す。
血漿中のトリグリセライドの量(単位:mg/ml)を、図9に示す。対照群(Cont-2W)の平均値(150±12mg/dl)に対して、低分子画分投与群、熱水抽出物投与群、エルゴチオネイン投与群のいずれにおいても、トリグリセライド量の低下が認められた。特に、低分子画分投与群(A)、熱水抽出物投与群(A)及び(B)、そしてエルゴチオネイン投与群(B)では、対照群に対して明らかな有意差を伴う低下が認められた。
以上より、アンニンコウ子実体からの熱水抽出物、その熱水抽出物から得られる分画分子量13,000以下の低分子画分、及びエルゴチオネインは、内臓脂肪や血中トリグリセライド(中性脂肪)を低減させる効果を示す、即ち脂肪減少活性を示すことが明らかとなった。また、アンニンコウ子実体からの熱水抽出物や低分子画分の上記効果の少なくとも一部は、それらに含有されているエルゴチオネインによって発揮されている可能性がある。
正常マウス(ICR雄)に、実施例1で調製したアンニンコウ子実体乾燥品(粉末)及び低分子画分の凍結乾燥物を餌に添加して与えた。投与開始4週間後にマウスを解剖し、体重、精巣周囲脂肪重量及び血液中の中性脂肪(トリグリセライド)を測定した。
ICR系マウス(slc:6週齢、雄、日本SLCより購入)を使用した。1週間の予備飼育後に、7週齢で実験に使用した。各群6匹とした。
与えた餌は、次の通りである。また、飲料水には水道水を使用し、自由に摂取させた。
(2−1)対照群
ノ-サン実験動物用飼料ラボMRストック(LABO MR STOCK;259.2kcal/100g;日本農産工業株式会社)を、基本(通常)飼料として与えた。
(2−2)アンニンコウ子実体添加飼料群
ノ-サン実験動物用飼料ラボMRストックに、実施例1で調製したアンニンコウ子実体の乾燥品(粉末)を5.01重量%の割合で添加した飼料を与えた。
(2−3)アンニンコウ低分子画分添加飼料群
ノ-サン実験動物用飼料ラボMRストックに、実施例1で調製した低分子画分の凍結乾燥品を2.175重量%の割合で添加した飼料を与えた。
各群いずれも、上記飼料と水とを自由に摂取させた。
実験開始から4週間後、エチルエーテルの過麻酔によりマウスを死亡させ、直ちに腹部を切開して腹部大静脈より2.5mlのシリンジにてヘパリン加採血を実施した。麻酔前には絶食などの措置はされず、マウスは通常の自由な給餌・飲水下にあった。遠心分離した血漿は、−80℃の冷凍庫に保存し、検査会社にてトリグリセライド(中性脂肪)を測定した。
(5−1)解剖所見
解剖時のマウスの外観に出血や肛門周囲の汚れ等の異常は診られず、腹腔、胸腔には出血や癒着などの異常はなかった。また、いずれの個体も、胃及び盲腸に多量の内容物が認められた。
対照群(Cont-4W)、子実体添加飼料群及び低分子画分添加飼料群の解剖時体重を図10に示す。これらの三群の解剖時体重は、ほぼ同等であった。
肝臓重量は、解剖時に摘出した肝臓の重量を測定した絶対重量と、肝臓の重量を個々の体重で除した、体重10g当たりの相対重量で表示した。結果を図11に示す。対照群(Cont-4W)に対して子実体添加飼料群は9.4%の、低分子画分添加飼料群は6.9%の重量増加がみられたが、有意差を伴う変化ではなかった。
脾臓重量は、解剖時に摘出した脾臓の重量を測定した絶対重量と、脾臓の重量を個々の体重で除した、体重10g当たりの相対重量で表示した。結果を図12に示す。対照群(Cont-4W)に対して低分子画分添加飼料群ではやや増加がみられたが、有意差を伴う変化ではなかった。
精巣周囲の脂肪は採取し易く、重量も一定しているので、腹腔内脂肪の代表として測定した。解剖時に摘出した脂肪の重量を絶対重量と、脂肪の重量を個々の体重で除した、体重10g当たりの相対重量で表示した。結果を図13に示す。
血漿中のトリグリセライドの量(単位:mg/ml)を、図14に示す。対照群(Cont-4W)の平均値は116±16mg/dl(n=6)であり、これは、実施例2における対照群(飼育期間:2週間)と比べて22%の低下であった。また、子実体添加飼料群及び低分子画分添加飼料群では、対照群と比べて明らかな有意差を伴うトリグリセライド量の低下(子実体添加飼料群:37.1%;低分子画分添加飼料群:21.6%)が認められた。
以上より、アンニンコウの子実体乾燥粉末と、アンニンコウの子実体乾燥粉末からの熱水抽出物の低分子画分は、内臓脂肪や血中トリグリセライド(中性脂肪)を、対照群に対して有意差をもって低減させる効果を示す、即ち脂肪減少活性を示すことが明らかとなった。
肥満マウス(C57BL/6JhamSlc−ob/ob)及び同系の正常マウス(C57BL/6CrS)を飼育し、飼料摂取量等の測定、血糖値の測定、解剖検査、血液生化学値の測定、及びホルモンの測定を行った。正常マウスで通常飼料を与えたのは7匹、正常マウスで低分子画分の凍結乾燥品(実施例1と同様の方法で調製したもの)を添加した飼料を与えたのは8匹、肥満マウスで通常飼料を与えたのは10匹、肥満マウスで低分子画分の凍結乾燥品(実施例1と同様の方法で調製したもの)を添加した飼料を与えたのは10匹であった。
(1−1)使用動物及び飼育期間
肥満マウス(C57BL/6JhamSlc−ob/ob;雄;6週齢;日本SLC)及び同系の正常マウス(C57BL/6CrS;雄;6週齢;日本SLC)を購入し、1週間の予備飼育後、7週齢で実験に供した。実験期間は6週間とした。
対照マウスには、基本(通常)飼料として、ノーサン実験動物用飼料ラボMRストック(LABO MR STOCK;259.2kcal/100g;日本農産工業株式会社;以下、「通常食」という)を与えた。試験マウスには、基本飼料に実施例1と同様の方法で調製した低分子画分の凍結乾燥品を1.5質量%添加した固形飼料(Lot. No.S−090310;日本農産工業にて製造;以下、「試料添加食」という)を与えた。
各群いずれも、上記飼料と水道水とを自由に摂取させた。
(2−1)測定方法
飼育ゲージに付属する餌箱毎に、摂取された飼料の重量を週3回測定し、飼育匹数で除して、1匹あたり、1日当たりの飼料摂取量を求めた。飲料水には水道水を用い、給水瓶から摂取された飲料水の重量を週3回測定し、飼育匹数で除して、1匹あたり、1日当たりの飲水量を求めた。食べこぼし、飲みこぼし量は考慮せず、摂取量に含めた。測定は、午前10時乃至11時に行った。
正常マウスの飼料摂取量を図15に、肥満マウスの飼料摂取量を図16に、正常マウスの飲水量を図17に、肥満マウスの飲水量を図18に示す。
(飲水量) 正常マウスのみ、試料添加食群で、通常食群に比べて有意な飲水量の増加が認められた。
(3−1)測定方法
午前10乃至11時に、マウスの尾静脈を切開して採血した。血糖値は、血糖測定キット(PRECISION XCEED G3 ABBOTT JAPAN CO. LTD.)を用いて測定した。採血は、実験開始前(0週)と、その後は週に1回行った。飼育5週間後のみ、16時間の絶食(飲水のみ)を実施し、絶食前後に採血を行った。
血糖値の変化を示すグラフを図19に示す。また、実験開始から5週間後における絶食前後の血糖値を示す棒グラフを、図20に示す。
図19から明らかなように、肥満マウスでは、試料添加食投与期間が2週間以上で、通常食群と比較して血糖値の低下が認められた。正常マウスでは、このような差異はなかった。
通常、マウスの食餌リズムは夜間に集中している。しかし、肥満マウスでは、朝や昼間にも飼料を摂取する個体があり、採血時(午前10乃至11時)の血糖値に個体差が生じていた可能性がある。図20に示すように、絶食によって食餌リズムの個体差が解消され、正常マウス、肥満マウス共に、試料添加食群が、通常食群と比べ、有意に低い血糖値を示した。
(4−1)採血
実験開始から6週間後において、午前10乃至11時に、エチルエーテルの過麻酔によりマウスを死亡させ、直ちに腹部を切開して腹部大静脈より2.5mlのシリンジにてヘパリン加採血を実施した。麻酔前には絶食などの措置はされず、マウスは通常の自由な給餌・飲水下にあった。血液は、一部を血球数計測に使用し、残りは遠心分離に供して血漿を得、その血漿は−30℃の冷凍庫に保存した。
解剖時には、臓器の位置、出血及び癒着等の異常を精査した。また、体重、肝臓重量、脾臓重量及び精巣周囲脂肪重量を測定した。
採血した血液を、直ちに自動血球計数装置(PocH−100i;シスメックス社製)に供し、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、赤血球容積、白血球数及び血小板数を測定した。
血漿につき、総タンパク量、アルブミン/グロブリン比、総コレステロール量及びトリグリセライド量を、株式会社エスアールエルに依頼して測定した。
血漿につき、Mouse Leptin ELISA KITを用いてレプチン濃度を、Mouse/Rat High Molecular Weight Adiponectin ELISA KITを用いて高分子アディポネクチン濃度を、また、Mouse Insulin ELISA KIT(AKRIN―011T)を用いてインスリン濃度を測定した。なお、これらのキットは、いずれも、日本国群馬県のShibayagi社製である。
(4−6−1)解剖所見
解剖時のマウスの外観に体毛や肛門周囲の汚れ等の異常は診られず、腹腔、胸腔には出血や癒着などの異常はなかった。また、いずれの個体も、胃及び盲腸に多量の内容物が認められた。
体重を図21に、肝臓重量を図22に、脾臓重量を図23に、そして精巣周囲脂肪重量を図24に示す。体重、肝臓重量及び脾臓重量については、試料添加食の影響は見られなかった。精巣周囲脂肪重量については、正常マウス、肥満マウス共に、体重10g当たりの相対重量が、正常食群に比べて試料添加食群で有意に低かった。
赤血球(RBC)数を図25に、ヘモグロビン(HGB)濃度を図26に、ヘマトクリット(HCT)値を図27に、赤血球容積(MCV)を図28に、白血球(WBC)数を図29に、そして血小板(PLT)数を図30に示す。正常マウスのみ、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値及び白血球数について、正常食群に比べて試料添加食群が有意に低い値を示した。
血漿中の総タンパク(TP)量を図31に、アルブミン/グロブリン(A/G)比を図32に、総コレステロール(T−Cho.)量を図33に、トリグリセライド(TG)量を図34に示す。トリグリセライド量に関し、正常マウス、肥満マウス共に、正常食群に比べて試料添加食群が有意に低い値を示した。
血漿中のレプチン(Leptin)濃度を図35に、高分子アディポネクチン(Adiponectin)濃度を図36に、インスリン(Insulin)濃度を図37に示す。
レプチンは、主に脂肪細胞にて合成、分泌されて視床下部に働き、摂食調節に関与する。図35より、肥満マウスでは、通常食の場合も試料添加食の場合も、正常マウスよりも血漿のレプチン濃度が高いにもかかわらず、レプチンによる食欲が抑制されないレプチン抵抗性の状態にあると考えられた。また、通常食群に比べて試料添加食群のレプチン濃度が低いのは、腹腔内の脂肪蓄積量を反映しているように思われた。
以上より、アンニンコウの子実体乾燥粉末からの熱水抽出物の低分子画分は、インスリンの分泌促進活性を有し、それにより、血糖低下作用を示すことが明らかとなった。また、当該低分子画分は、内臓脂肪や血中トリグリセライド(中性脂肪)を、対照群に対して有意差をもって低減させる効果をも示すことが明らかとなった。
(1)キノコの乾燥粉末の調製
アンニンコウ(株式会社岩出菌学研究所にて人工栽培したもの)の子実体に、45℃の温風を一昼夜あて、その後70℃の温風を1時間あてた。得られたアンニンコウ子実体乾燥品をミキサーに入れ、約1分間粉砕し、粉末とした。
アンニンコウ子実体の乾燥粉末10gを200mlの熱水(約90℃)と混ぜ、得られたキノコ/熱水混合物を、30分間、緩やかに攪拌した。キノコ/熱水混合物を遠心分離に掛け(10,000rpm、10分間)、上澄みと沈澱とに分けた。
Yamamotoらの方法(Yamamoto N., et al., Anal. Biochem., 2006, April 1, 351(1), p.p. 139-145)に従い、インスリン及び実施例6で調製したアンニンコウ由来低分子画分(1)及び(2)の、細胞による糖(グルコース)の取込みに与える影響を検討した。
(1−1)L6骨格筋細胞の作製
L6筋芽細胞を2×104個/mlの濃度になるようにMEM培地A(10%(v/v)牛胎児血清含有MEM培地)に分散させた。得られた細胞分散培地を、96穴組織培養プレートに1穴あたり200μl入れ、5%炭酸ガス培養器で37℃にて2日間培養した。コンフルエントになった後、培地を吸引除去してMEM培地B(2%(v/v)牛胎児血清含有MEM培地)200μlに変更し、5%炭酸ガス培養器で37℃にて5日間培養した。このようにして、L6骨格筋細胞を作製した。再度、培地を吸引除去してMEM培地C(0.2%(w/v)牛血清アルブミン(BSA)含有MEM培地)200μlに変更し、5%炭酸ガス培養器で37℃にて18時間培養した後、糖(グルコース)取込み活性の測定に使用した。
(a)アンニンコウ由来低分子画分(1)凍結乾燥品と(b)アンニンコウ由来低分子画分(2)凍結乾燥品は、超純水に溶解し、それをMEM培地Cにて100倍希釈し、前記いずれかの凍結乾燥品を、250μg/ml、500μg/ml、1,000μg/ml含有するMEM培地を調製した。また、陰性対照用として、アンニンコウ由来低分子画分を含有しないMEM培地Cを用意した。さらに、陽性対照用として、MEM培地Cにインスリンを添加して、インスリン濃度が1nM、10nM、100nMのMEM培地を調製した。アンニンコウとインスリンの共暴露試験用試料は、次のようにして調製した。アンニンコウ由来低分子画分(1)又は(2)の凍結乾燥品を超純水に溶解し、それを、陽性対照用として調製したインスリン濃度が1nM、10nM、100nMのMEM培地にて100倍希釈し、インスリンと共に、当該凍結乾燥品を500μg/ml含有するMEM培地を調製した。
(1−3−1)測定用試料の調製
(1−1)に記載のようにして調製したL6骨格筋細胞の96穴組織培養プレートにおいて、各穴の培地を吸引除去後、1穴あたり、(1−2)で調製した試料のいずれかを200μl添加し、5%炭酸ガス培養器で37℃にて4時間培養した。
その後、0.1%(w/v)BSAを含有するKrebs−Ringer−Hepes(KRH)緩衝液(50mM HEPES、pH7.4;137mM NaCl、4.8mM KCl、1.85mM CaCl2、1.3mM MgSO4含有)を1穴あたり150μl/回で使用して、洗浄を2回行った。次いで、1mM 2−デオキシグルコース(2−DG)と0.1%(w/v)BSAとを含有するKRH緩衝液を、1穴あたり100μl添加し、5%炭酸ガス培養器で37℃にて20分間培養した。その後、0.1%(w/v)BSAを含有するKRH緩衝液を、1穴あたり200μl/回で使用して、洗浄を2回行った。
0.1N水酸化ナトリウム水溶液を1穴あたり50μl添加し、60℃の乾熱滅菌器で10分間加熱処理し、マイクロプレートミキサーで撹拌することにより、細胞を溶解させた。次いで、96穴組織培養プレートを80℃の乾熱滅菌器内に50分間静置し、各穴内を乾燥させた。0.1N塩酸水溶液を1穴あたり50μl添加し、続いて200mMトリエタノールアミン(TEA)水溶液(pH8.1)を1穴あたり50μl添加し、マイクロプレートミキサーで撹拌した。このようにして、測定用試料を調製した。
測定用試料を、96穴プレートに1穴あたり10μl添加し、次いで、アッセイ・カクテル(50mM TEA、pH8.1;50mM KCl、0.02%(w/v)BSA、0.1mM NADP、2μMレサズリン(resazurin)、2単位/mlジアフォレーゼ(diaphorase)、150単位/mlグルコース−6−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ(glucose−6−phosphate dehydrogenase)含有)を1穴あたり100μl添加した。マイクロプレートミキサーで撹拌後、5%炭酸ガス培養器で37℃にて50分間インキュベートした。
その後直ぐに、マイクロプレートリーダーにて蛍光強度を測定した(励起波長:530nm;蛍光波長:570nm)。2−DG−6−phosphateを標準物質として使用して検量線を作成し、各試料について、1穴あたりの2−DG取込み量を算出した。
陰性対照の2−DG取込み量を1.0とした場合の、アンニンコウ由来低分子画分やインスリンで細胞を処理した場合の2−DG取込み量(2−DG取込み量の比)を、図38に示した。なお、図38においては、陰性対照を「Control」と、アンニンコウ由来低分子画分(1)凍結乾燥品を「ガルガル(1)」と、アンニンコウ由来低分子画分(2)凍結乾燥品を「ガルガル(2)」と記載している。
図38から明らかなように、アンニンコウ由来低分子画分(1)凍結乾燥品もアンニンコウ由来低分子画分(2)凍結乾燥品も、インスリン同様、L6骨格筋細胞によるグルコースの取込みを促進した。また、インスリン共暴露下においては、アンニンコウ由来低分子画分(1)凍結乾燥品もアンニンコウ由来低分子画分(2)凍結乾燥品も、相加的なグルコース取込み量を示したことから、アンニンコウ中の成分には、インスリン非依存経路でのグルコース取込み誘導能があることが分かった。
Claims (5)
- 担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するアンニンコウ(学名:グリフォラ・ガルガル(Grifola gargal))からの熱水抽出物を、分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分離して得られる低分子画分を含有することを特徴とする、内臓脂肪及び/又は血中中性脂肪減少用組成物。
- 担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するアンニンコウ(学名:グリフォラ・ガルガル(Grifola gargal))からの熱水抽出物を、分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分離して得られる低分子画分を含有することを特徴とする、インスリン分泌促進用組成物。
- 担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するアンニンコウ(学名:グリフォラ・ガルガル(Grifola gargal))からの熱水抽出物を、分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分離して得られる低分子画分を含有することを特徴とする、血糖値低下用組成物。
- 細胞の糖の取込みを上昇させる活性を示す、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
- 担子菌類、ヒダナシタケ目、サルノコシカケ科、マイタケ属に属するアンニンコウ(学名:グリフォラ・ガルガル(Grifola gargal))の乾燥粉末から、熱水にて抽出する工程(I)、工程(I)で得られた混合物から上澄液を分離する工程(II)、及び前記上澄液中の成分を分画分子量が30,000乃至10,000の範囲内のいずれかである分離膜で分画し、低分子画分を得る工程(III)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物の調製方法。
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