JP5656884B2 - 蓄電デバイスの熱安定性評価試験方法およびその装置 - Google Patents
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Description
図1はこの発明による蓄電デバイスの熱安定性評価試験装置の概略的構成を示すブロック図である。図1において、1は試験対象となる蓄電デバイス(本体)、2は蓄電デバイス1に加熱、充電、短絡、釘刺し等外部から操作を加えるための外乱印加部、3は蓄電デバイス1の温度を測定する温度計測部、4は電圧を測定する電圧計測部、5は蓄電デバイス1の状態をモニター撮影する状態計測部、そして6は、蓄電デバイス1に所定の周波数の交流電圧もしくは交流電流を印加する交流印加部7、交流を印加して得られる蓄電デバイス1からの応答から交流インピーダンスを算出するインピーダンス算出部8から構成されているインピーダンス計測部とを備える。
なお、温度計測部3、電圧計測部4、状態計測部5、インピーダンス計測部6がデータを収集する手段を構成し、外乱印加部2が外乱を印加する手段を構成し、制御部100が熱安定性を評価する手段を構成する。
図4はこの発明の実施の形態2による熱安定性評価試験装置の構成を示す斜視図である。図4は蓄電デバイスの一例である大容量の平板積層タイプのリチウムイオン電池のための熱安定性評価試験装置の構成を示す。大容量電池においては、オーブン9による加熱方式のみでは内部への熱伝達が遅れ昇温速度が遅くなり、電池1の中心部と外周部との温度差が大きくなるという問題が生じるため、電池1を直接加熱する方式の採用が適している。1は蓄電バッテリである試験対象の電池、19は電池1を加熱するためのヒーター(加熱機構)、3aは電池1の表面に貼付(図5参照)した熱電対、3eは後述する電池内部(中心部)温度を計る熱電対(温度計測部3を構成する:図示省略)のケーブルである。ヒーター19は図4においてはラバーヒーターを用いているが、テープヒーター、パネルヒーター等の電池1を直接加熱できるものならこれに限らない(ヒーター19が外乱印加部2の一部を構成する)。
実施例1.
室温で4.3Vまで3hr(時間)、定電流−定電圧充電を行った小型リチウムイオン電池(容量0.8Ah)を、図2の試験装置の試験台11に設置した。図2で示したように電圧計測のケーブル4b、インピーダンス計測のケーブル6bを試験を行う電池1の端子に接続し、熱電対3aを電池表面に貼付した。また、電池1から100mm離れた場所に環境温度測定用の熱電対3dを空中に浮いた状態で設置した。インピーダンス計測に関しては、1kHzの交流電圧(振幅±10mV)を連続的に印加し、電池1からの応答によりインピーダンスを算出した。また、ビデオカメラ5aにより、オーブン9の側面窓9aを透して試験中の電池1の様子のビデオ撮影を行った。
実施例1と同じ種類の電池について、未使用品と使用後の劣化品それぞれについて試験前にその容量の測定を行った。その後、実施例1と同様の方法でそれぞれ4.3Vまで充電を行い、140℃で加熱試験を行った場合の電池容量と、電池温度が90℃に到達した時点から電池電圧降下までの時間を測定した結果を図10に示す。図10より、電圧降下のポイントは電池電圧の降下の閾値を0.05V/secとし、この値以上の場合の電池について評価を行った。
容量がそれぞれ0.85Ah、1Ah、1.1Ahの小型リチウムイオン電池A、B,及びCをいずれも4.3Vまで充電を行い、実施例1と同様の方法で140℃,145℃,150℃で加熱試験を行った。試験後に測定した各々のデータを収集し、解析することによりガス放出弁解放後の電池温度上昇速度を求めた。電池温度上昇速度の算出は、
実施例4.(オーブン、電池本体のヒーター使用)
<正極の作製>
厚さ16μmのアルミニウム箔の両面にリチウム電池正極電極層の材料としてのコバルト酸リチウム、及び導電材としてのアセチレンブラック、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデンをNMP溶媒に分散させた電極ペーストを塗工形成し、乾燥させた。この正極をカレンダーロールプレスにて加圧して電極の気孔率を調整した。この正極を200mm×200mmに切り出し、端部15mmの電極層を剥がし、15mm×100mmの部分を切り取って残りの部分を集電タブとした。また、同様にアルミニウム箔の片面にのみ電極ペーストを塗布し、プレスした片面正極も作製した。
負極電極層の材料としての黒鉛と導電材としてのカーボンファイバー、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン、溶媒としてのn−メチルピロリドンからなる電極ペーストを混合調製した。次にこのペーストを負極集電箔として、厚さ16μmの銅箔の両面に塗工形成した。この負極をカレンダーロールプレスにて加圧して電極の気孔率を調整した。この負極を208mm×208mmに切り出し、端部15mmの電極層を剥がし、15mm×100mmの部分を切り取って残りの部分を集電タブとした。
負極、ポリエチレン製セパレータ、正極と交互に負極12枚、正極11枚を重ね合わせ、その上に線径50μmのテフロン(登録商標)被覆熱電対を設置し、さらに負極11枚、正極11枚重ね合わせた後、最外層に片面正極を負極と対向させて重ね合わせて積層体を作製した。この積層体の正極タブ部に厚さ200μmのアルミニウム端子を、負極タブ部に厚さ200μmのニッケルメッキ銅の端子を溶接した後、アルミラミネートフィルム製の外装容器に収納し、真空乾燥させた。その後、電解液として、1mol/lのLiPF6を含む、エチレンカーボネート−ジエチルカーボネートの混合溶媒を注液し、最後にアルミラミネート外装を封口した。その後、正極端子を充放電装置の+端子に、負極端子を−端子に接続して5Aで2時間充電を行い、試験用電池とした。
室温で4.3Vまで3hr定電流−定電圧充電を行った試験用電池(容量40Ah)を、図4の評価試験装置の試験台に設置した。電池(1)の本体表面及び端子(20)の部分にそれぞれ熱電対(3a,22)を貼り付け(図5参照)、電池(1)の本体両面からシリコンラバーヒーター(19)で挟んだ。温度は電池内部に設置した熱電対(図4ではケーブル3eだけが示されている)の温度、電池表面に貼付した熱電対(3a)の温度を測定した。また、電圧、インピーダンス、電池状態モニターについては上記実施例1と同様に計測を行った。上記計測開始後にオーブンでの加熱及びシリコンラバーヒーターによる加熱を開始した。オーブン、シリコンラバーヒーターいずれも温度が5℃/minとなるように制御を行った。140℃まで昇温した後、同温度での保持を行った。試験が終了し、電池温度が50℃以下になった時点で各々の記録を停止し、データを収集した。
試験開始20分後のオーブン及びヒーターの制御温度、電池表面に貼付した熱電対(3a)の温度、及び電池セル内部に設置した熱電対(図示省略)のセル中心部温度を比較した。
実施例4と同様のリチウム電池を作製し、充電を行った電池を、図4の試験装置の試験台に設置し、図5に示すように電池(1)の本体表面及び端子(20)の部分にそれぞれ熱電対(3a,22)を貼り付けた。電池本体を両面からシリコンラバーヒーター(19)で挟んだ後、端子(20)は別途シリコンラバーヒーター(21)で挟んだ。電圧、インピーダンス、電池状態モニターについては実施例1と同様に計測を行った。上記計測開始後にオーブンでの加熱、電池本体を挟んだシリコンラバーヒーターによる加熱、端子を挟んだシリコンラバーヒーターによる加熱を同時に開始した。オーブン、シリコンラバーヒーターいずれも温度が5℃/minとなるように制御を行った。その他は実施例4と同様に試験を実施した。試験が終了し、電池温度が50℃以下になった時点で各々の記録を停止し、データを収集した。その後、実施例4と同様に温度比較を行った。
実施例4と同様のリチウム電池を作製し、充電を行った電池を、図4の試験装置の試験台(1)に設置した。電池1の本体を両面からシリコンラバーヒーター(19)で挟んだのみで、オーブンによる加熱はせずに電池本体のヒーターでのみ加熱をしたこと以外は実施例4と同様に試験を実施した。試験が終了し、電池温度が50℃以下になった時点で各々の記録を停止し、データを収集した。その後、実施例4と同様に温度比較を行った。
実施例5において、オーブンでの加熱を行わなかったこと以外は実施例5と全く同じ条件(電池本体表面及び端子を共に加熱)で試験を行い、温度比較を行った。
実施例5において、オーブンでの加熱を行わなかったこと、及び端子(20)を挟んだラバーヒーター(21)の設定温度を電池(1)本体を挟んだラバーヒーター(19)の設定温度より3℃高くしたこと以外は実施例5と全く同じ条件で試験を行い、温度比較を行った。
実施例6において、電池(1)本体を両面からシリコンラバーヒーター(19)で挟んだ後、端子20の部分は別途シリコンラバーヒーター(21)で挟んだ電池全体を、図6に示すように発泡ポリイミド製の断熱材(23)で上下から挟み試験台(11)と共にテープで固定したこと以外は実施例6と同様に試験を行った。試験が終了し、電池温度が50℃以下になった時点で各々の記録を停止し、データを収集した。その後実施例4と同様に温度比較を行った。
Claims (6)
- 蓄電デバイスの熱安定性評価試験方法であって、
評価試験中の蓄電デバイスの温度、電圧、交流インピーダンス及び前記蓄電デバイスの状態変化のそれぞれのデータを収集する工程と、
評価試験中に前記蓄電デバイスに外乱を印加する工程と、
収集されたデータから蓄電デバイスの熱安定性を評価する工程と、
を備え、
前記熱安定性を評価する工程が、
収集したデータから前記蓄電デバイスの内部で発生した事象を判断する工程と、
発生した前記事象の前後における前記蓄電デバイスの温度上昇速度を算出する工程と、
算出された前記温度上昇速度と所定の閾値との比較に基づき熱安定性レベルを判断する工程と、
を含み、
前記外乱を印加する工程において、前記蓄電デバイスを加熱し、
前記熱安定性を評価する工程において、
前記データからセパレータのシャットダウンを検知するステップと、
前記セパレータのシャットダウン時の前記データの温度上昇速度を第1の閾値と比較して熱安定性レベルの判断とするステップと、
前記温度上昇速度が前記第1の閾値未満の場合は、収集した前記蓄電デバイスの電圧の単位時間あたりの電圧降下を算出し、第2の閾値と比較して熱安定性レベルの判断とするステップと、
前記温度上昇速度が前記第1の閾値以上の場合は、前記電圧降下後の温度上昇速度を算出し第3の閾値と比較して熱安定性レベルの判断とするステップとを含み、
上記閾値は予め試験を行って決定する、
ことを特徴とする蓄電デバイスの熱安定性評価試験方法。 - 前記外乱を印加する工程において、前記蓄電デバイスの電極端子部分を加熱して、前記蓄電デバイス内部を加熱することを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイスの熱安定性評価試験方法。
- 前記外乱を印加する工程において、前記蓄電デバイスの電極端子部分を加熱して、温度が蓄電デバイス本体に比べて高くなるように温度制御することを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイスの熱安定性評価試験方法。
- 前記外乱を印加する工程において、前記蓄電デバイスを周囲から加熱する加熱機構を外側から前記蓄電デバイスと共に断熱材で覆うことを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイスの熱安定性評価試験方法。
- 前記外乱を印加する工程において、前記蓄電デバイスを、熱風加熱、ヒーター加熱、電磁誘導加熱、赤外線加熱、誘電加熱のうちのいずれか2種類以上の過熱方式を組み合わせて加熱を行うことを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイスの熱安定性評価試験方法。
- 蓄電デバイスの熱安定性評価試験装置であって、
評価試験中に蓄電デバイスの温度、電圧、交流インピーダンス及び前記蓄電デバイスの状態変化のそれぞれのデータを収集する手段と、
評価試験中に前記蓄電デバイスに外乱を印加する手段と、
収集されたデータから蓄電デバイスの熱安定性を評価する手段と、
を備え、
前記熱安定性を評価する手段が、収集したデータから前記蓄電デバイスの内部で発生した事象を判断し、発生した前記事象の前後における前記蓄電デバイスの温度上昇速度と所定の閾値との比較に基づき熱安定性レベルを判断し、
前記熱安定性を評価する手段において、
前記データからセパレータのシャットダウンを検知し、
前記セパレータのシャットダウン時の前記データの温度上昇速度を第1の閾値と比較して熱安定性レベルを判断し、
前記温度上昇速度が前記第1の閾値未満の場合は、収集した前記蓄電デバイスの電圧の単位時間あたりの電圧降下を算出し、第2の閾値と比較して熱安定性レベルを判断し、
前記温度上昇速度が前記第1の閾値以上の場合は、前記電圧降下後の温度上昇速度を算出し第3の閾値と比較して熱安定性レベルを判断し、
上記閾値は予め試験を行って決定したものである、
ことを特徴とする蓄電デバイスの熱安定性評価試験装置。
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