JP5654394B2 - 回路遮断器 - Google Patents
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そこで、遮断器の接点部と並列にコイル及びコンデンサを接続した共振回路により、遮断動作時に振動電流を発生させ、これを直流電流に重畳させることで接点部を流れる電流に零点を作り出し遮断する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
例えば、図6に示す遮断器100において、共振回路部のコイル103のインダクタンスを10μH、コンデンサ104の容量を5.6μFとした場合、数百Vの電源電圧で数十A(例えば、50A)の直流電流を遮断しようとしたときの電流・電圧波形は図7に示すようになる。ここで、図7(a)の実線は回路全体の電流、(a)の破線はアーク電圧、(b)は接点部101を流れる電流、(c)は共振回路部を流れる電流である。この図7に示すように、時刻t21で接点部101を開極して遮断動作を開始しても、共振回路部に発生する振動電流が小さく、接点部101を流れる電流をなかなか零点まで到達させることができない。そのため、遮断動作開始から所望の遮断性能となる所定期間が経過した時点(矢印α)で、確実に電流遮断を完了とすることができない。
共振回路部に流れる電流は、正負の向きを持つ振動電流であるため、共振回路部を構成するコンデンサとしては無極性のコンデンサを使用するのが一般的である。ところが、無極性コンデンサで比較的容量の大きなフィルムコンデンサなどでも、その容量はせいぜい数μF程度しかない。そのため、上述したように数十μF以上のコンデンサ容量を実現するためには、当該無極性コンデンサを複数個並列に接続しなければならず、共振回路部が大型化し、それに伴い回路遮断器全体が大型化してしまう。そのため、例えば、配電盤等で回路遮断器を複数台設置するような用途には適用が困難であった。
そこで、本発明は、共振回路部を構成するコンデンサ部の大容量化及び小型化により、小型で遮断性能の高い回路遮断器を提供することを課題としている。
また、上記において、前記有極性コンデンサは、アルミ電解コンデンサであることを特徴としている。
このように、有極性コンデンサとして比較的安価なアルミ電解コンデンサを適用するので、低コストで回路遮断器を提供することができる。
したがって、回路遮断器全体の小型化が図れ、例えば、配電盤等で回路遮断器を複数台設置するような用途にも適用可能となる。
(構成)
図1は、本発明に係る回路遮断器を適用した直流回路の構成を示す図である。
図中、符号1は直流回路であり、直流電源20と負荷30との間を結ぶ直流回路1に、回路遮断器(以下、単に遮断器と称す)10が挿入されている。
遮断器10は、接触子の開閉により電流を遮断/通電する主接点11を備える。主接点11には、回路の切り離しを行うための補助接点12が直列に接続されており、これら主接点11及び補助接点12は図示しない開閉機構部によって開閉制御される。
アルミ電解コンデンサ15は有極性のコンデンサであるため、一方向にしか通電することができない。そこで、本実施形態では、アルミ電解コンデンサ15a及び15bの負極同士を接続することで、共振回路部を正負両方の電流が通電可能となるように構成する。なお、この図1においては、直流電源20の高電位に接続されている側(コイル13側)から低電位に接続されている側(負荷30側)に流れる方向を正とする。
このように、共振回路部を流れる電流の通電方向によってダイオード16a又は16bでバイパスすることで、アルミ電解コンデンサ15に逆方向の電流が流れないようにし、共振回路部全体では正負どちらの電流も流すことができるようにしている。
次に、本実施形態の動作について説明する。
定常状態では、主接点11及び補助接点12が閉極されており、直流回路1には、直流電源20と負荷30とで決まる直流電流が流れる。この定常状態において、何らかの原因により負荷30で短絡事故が発生すると、直流回路1には定常状態で流れる電流に比べて非常に大きな短絡電流が流れる。すると、図示しない電流検知部が過電流を検知し、図示しない開閉機構部を駆動して短絡電流を遮断するための動作を開始する。以下、この電流遮断動作手順について、図2を参照しながら説明する。
主接点11で電流零点を迎えた後は、コイル13及びコンデンサ14側に直流電源20の電圧が印加されるため、アルミ電解コンデンサ15は電源電圧と同レベルまで充電される。その後、開閉機構部によって補助接点12が開極されることで、直流電源20から負荷30が完全に切り離される。
これに対して、本実施形態では、共振回路部を構成するコンデンサ部に、無極性コンデンサと比べて静電容量が大きい有極性コンデンサを用いる。これにより、主接点11を流れる電流を零点に到達させるのに十分必要な容量(数十μF〜数百μF)を、少ないコンデンサで実現することができる。すなわち、有極性コンデンサを使用することで、容量確保のためにコンデンサを多数並列接続する必要がなくなり、回路遮断器全体の小型化が図れる。
このように、本実施形態では、主接点と並列に接続する共振回路部を構成するコンデンサ部分を、他の種類のコンデンサに比べ静電容量の高い有極性コンデンサで構成するので、コンデンサ部の大容量化、小型化を図ることができる。また、有極性コンデンサとして比較的安価なアルミ電解コンデンサを用いるので、低コストで回路遮断器を提供することができる。
さらに、有極性コンデンサで構成されるコンデンサ部を2個のアルミ電解コンデンサと2個のダイオードとで構成する。そして、アルミ電解コンデンサの正極とダイオードのカソードとが接続するように並列に接続した回路を2組作り、当該2組の回路を、アルミ電解コンデンサの負極同士が接続するように直列に接続する。
以上のように、小型で遮断性能の高い回路遮断器を提供することができる。その結果、例えば、配電盤等で回路遮断器を複数台設置するような用途にも適用可能となる。
なお、上記実施形態においては、アルミ電解コンデンサ15の負極同士を直列に接続する場合について説明したが、図3に示すように、アルミ電解コンデンサ15の正極同士を直列に接続することもできる。
この場合、共振回路部を電流が正の方向に流れる場合には、実線矢印Iaに示すように、コイル13→ダイオード16b→アルミ電解コンデンサ15aの経路で電流が流れる。一方、共振回路部を電流が負の方向に流れる場合には、破線矢印Ibに示すように、ダイオード16a→アルミ電解コンデンサ15b→コイル13の経路で電流が流れる。したがって、図3に示す回路構成でも、図1に示す回路構成の場合と同様の動作を実現することができる。
(応用例)
なお、上記実施形態においては、有極性コンデンサとしてアルミ電解コンデンサを用いる場合について説明したが、これに代えて小型で大容量のタンタル電解コンデンサ等を用いることもできる。
Claims (2)
- 直流電源と負荷との間の直流回路に挿入される主接点と、コイルとコンデンサ部とが直列に接続され、前記主接点に並列に接続される共振回路部と、を備え、前記主接点の開極時に、前記主接点のアーク電圧特性によって前記共振回路部に発生する振動電流を、前記主接点を流れる直流電流に重畳し、上記主接点に流れる電流に零点を発生させて電流遮断を行う回路遮断器であって、
前記コンデンサ部は、有極性コンデンサとダイオードとを、前記有極性コンデンサの正極と前記ダイオードのカソードとが接続するように並列に接続した回路を2組有し、
前記2組の回路を、前記有極性コンデンサの同一極同士が接続するように直列に接続した構成であることを特徴とする回路遮断器。 - 前記有極性コンデンサは、アルミ電解コンデンサであることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
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