JP5653787B2 - 接続構造及び接続方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接続構造及び接続方法に関する。
近年、電子機器内の信号伝送の高速化に伴い、信号の劣化に起因したノイズの発生が問題となっている。高速な電気信号を伝送する方式として、LVDS(Low−VoltAge DifferentiAl SignAling)に代表される高速差動信号を用いることが一般的になっている。この高速差動信号伝送においても、通常の信号伝送と同様にスキュー(位相差)に起因したノイズの発生が問題となっており、部品や回路の追加で対策をしている。今後も、ますます高速差動信号伝送の高速化が進み、ノイズを対策するための部品および回路の増大化、複雑化が予想されており、生産コスト増加を防止したノイズ対策技術が求められている。
ここで、高速差動信号について簡単に説明する。高速差動信号とは、正極信号と負極信号とを1つの高速差動信号ペアとして信号を伝送する方式であり、高速な信号伝送を可能とするものである。高速差動信号ペアの正極信号と負極信号には、所定の中心電圧を基準に信号レベルが互いに反転しているという関係がある。
高速差動信号を複数の回路基板間で伝送させる場合の差動信号線路として、ツイナックスケーブルが使用される。ツイナックスケーブルの構造を簡単に説明すると、線状の導体の周囲を誘電体で覆った形状の2本の芯線が撚り合わされ、その撚り合わさった2本の芯線の周囲をシールド層として導体が覆い、その外側を誘電体が覆う構造となっている。高速差動信号を伝送する場合には、撚り合わさった2本の芯線に高速差動信号ペアの正極信号と負極信号とをそれぞれ伝送させる。ツイナックスケーブルでは、2本の芯線が撚り合わされた構造のために撚り合せの状態が常に一定とは限らず、ツイナックスケーブルを所望の長さに切断して使用する場合には、2本の芯線の物理的な長さを完全に同一にするように管理することが困難となり、ツイナックスケーブルが長くなる程、2本の芯線の物理的な長さの差が大きくなる。2本の芯線間で物理的長さが異なることに起因して、それぞれの芯線を信号が伝播する時間が異なる為に、伝送させた高速差動信号ペアの正極信号と負極信号との間にスキューが発生する。スキューが発生すると伝送信号に応じたジッタ(信号の変動)が発生して伝送する信号が劣化するため、正確な信号伝送を行うことが困難になるという問題があり、伝送する信号が高周波数になるほど、この傾向は顕著になる。
この高速差動信号ペア内のスキューを補正するための技術として、特許文献1の技術が開示されている。この技術は、高速差動信号を出力する高速差動信号送信回路と高速差動信号受信回路を接続して高速差動信号を伝播する差動信号線路の間に、高速差動信号ペア内のスキューを調節する為の遅延回路を追加するものである。差動信号線路を通過することで発生するスキューを遅延回路を用いて打ち消し、高速差動信号受信回路の入力端子においては、高速差動信号ペア内にはスキューを発生させないという技術である。
特開2004−327797号公報
しかしながら、特許文献1の技術を用いるためには、高速差動信号ペア内のスキューを調節するための遅延回路を追加する必要があり、基板に配置する部品が増えて、コストが上昇してしまう。
そこで、本発明の目的は、高速差動信号伝送において、スキューを調整する為の回路を追加することなく、受信回路の入力端で受信される高差動信号ペア内のスキューを低コストで容易に低減した接続構造及び接続方法を提供することである。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の接続構造は、第1の接続部と第3の接続部の間を、差動信号の対をなす一方の信号が伝播する第1の信号線路と、第2の接続部と第4の接続部の間を、前記差動信号の対をなす他方の信号が伝播する第2の信号線路と、前記第1から4の接続部の中で少なくとも1つの接続部には複数の目盛りがあり、前記複数の目盛りに応じて接続位置を決定する接続位置決定部と、を備え、前記接続位置決定部は、前記差動信号の対をなす一方の信号が、前記第1の接続部から前記第1の信号線路を介して前記第3の接続部までを伝播する時間と、前記差動信号の対をなす他方の信号が、前記第2の接続部から前記第2の信号線路を介して前記第4の接続部までを伝播する時間との差であるスキューが、許容される最大スキュー以下となるように前記接続位置が決定されていることを特徴としている。
また、上記の接続構造において、前記複数の目盛りは一定の間隔で設けられ、前記複数の目盛りの間隔は、許容される最大スキューに対応する長さ以下に設定され、前記接続位置決定部は、前記複数の目盛りの間隔に基づいて前記接続位置が決定されていることがより好ましい。
また、上記の接続構造において、前記接続位置決定部を、複数の前記接続部に備えることがより好ましい。
また、本発明の接続方法は、第1の接続部と第3の接続部の間を、差動信号の対をなす一方の信号が伝播する第1の信号線路と、第2の接続部と第4の接続部の間を、前記差動信号の対をなす他方の信号が伝播する第2の信号線路と、前記第1から4の接続部の中で少なくとも1つの接続部には複数の目盛りがあり、前記複数の目盛りに応じて接続位置を決定する接続位置決定部と、を備える接続構造を接続する接続方法であって、前記差動信号の対をなす一方の信号が、前記第1の接続部から前記第1の信号線路を介して前記第3の接続部までを伝播する時間と、前記差動信号の対をなす他方の信号が、前記第2の接続部から前記第2の信号線路を介して前記第4の接続部までを伝播する時間との差であるスキューが、許容される最大スキュー以下となるように前記接続位置を決定することを特徴としている。
本発明の接続構造及び接続方法によれば、スキューを調整する為の回路を追加することなく、受信回路の入力端で受信される高差動信号ペア内のスキューを低コストで容易に低減することができる。
本発明の実施の形態1の差動信号伝送回路の概略図である。 同差動信号伝送回路における受信側回路基板の配線パターンの要部平面図である。 同差動信号伝送回路における受信側回路基板の配線パターンに信号用芯線の他端が接続された状態の要部平面図である。 同差動信号伝送回路における送信側回路基板の配線パターンに信号用芯線の一端が接続された状態の要部平面図である。 同差動信号伝送回路の調節方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2の差動信号伝送回路における送信側回路基板の配線パターンに信号用芯線の一端が接続された状態の要部平面図である。 同差動信号伝送回路における受信側回路基板の配線パターンに信号用芯線の他端が接続された状態の要部平面図である。 本発明の変形例の差動信号伝送回路における受信側回路基板の配線パターンの要部平面図である。 本発明の変形例の差動信号伝送回路における受信側回路基板の配線パターンの要部平面図である。 本発明の変形例の差動信号伝送回路における受信側回路基板の配線パターンの要部平面図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、説明の簡略化のため、同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示し、説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1について、以下、図1から図5を用いて説明する。
図1において、本差動信号伝送回路1は、高速差動信号を送信する送信側回路基板2、高速差動信号を受信する受信側回路基板3、および、送信側回路基板2と受信側回路基板3とに接続され、高速差動信号が伝播するツイナックスケーブル4によって構成される。
送信側回路基板2としては、例えば、一般的に使われるFR4規格の基板を用いることができる。送信側回路基板2は、絶縁性の樹脂等で板状に形成された基材14と、基材14上に配置され高速差動信号を出力する高速差動信号送信回路(送信回路)5とを有している。高速差動信号送信回路5には、正極信号用出力端子(第1の接続部)6Aと負極信号用出力端子(第2の接続部)6Bとが備わっている。正極信号用出力端子6A、負極信号用出力端子6Bは、それぞれ、基材14に形成した正極信号用配線パターン7A、負極信号用配線パターン7Bと図示しない半田等で接続されている。正極信号用配線パターン7Aと負極信号用配線パターン7Bとは、一般的なマイクロストリップライン構造を用いて銅箔のパターンで形成され、配線パターンの長さは同一である。
受信側回路基板3は、送信側回路基板2と同様にFR4規格の基板を用いることができる。受信側回路基板3は、板状に形成された基材15と、基材15上に配置され高速差動信号を受信する高速差動信号受信回路(受信回路)8とを有している。高速差動信号受信回路8には、正極信号用入力端子(第3の接続部)9Aと負極信号用入力端子(第4の接続部)9Bとが備わっている。正極信号用入力端子9A、負極信号用入力端子9Bは、それぞれ、基材15上に形成した正極信号用配線パターン(受信側調節配線)10A、負極信号用配線パターン(第2の受信側調節配線)10Bと図示しない半田等で接続されている。正極信号用配線パターン10Aと負極信号用配線パターン10Bとは、一般的なマイクロストリップライン構造を用いて銅箔のパターンで形成され、配線パターンの長さは同一である。
ツイナックスケーブル4の中央部には、同一構造の正極信号用芯線(第1の信号線路)11Aおよび負極信号用芯線(第2の信号線路)11Bが、互いに絶縁された状態で撚り合わされている。信号用芯線11A、11Bの外周面はシールド層として導体で覆われ、導体の外周面は誘電体で覆われている。
ツイナックスケーブル4の一方の端には、正極信号用芯線11Aの一端111Aと負極信号用芯線11Bの一端111Bが配置され、ツイナックスケーブル4の他方の端には、正極信号用芯線11Aの他端112Aと負極信号用芯線11Bの他端112Bが配置される。
正極信号用配線パターン7Aは正極信号用芯線11Aの一端111Aと接続され、正極信号用配線パターン10Aは正極信号用芯線11Aの他端112Aと接続されている。負極信号用配線パターン7Bは負極信号用芯線11Bの一端111Bと接続され、負極信号用配線パターン10Bは負極信号用芯線11Bの他端112Bと接続されている。図示しないが、正極信号用配線パターン7Aと一端111A、正極信号用配線パターン10Aと他端112A、負極信号用配線パターン7Bと一端111B、負極信号用配線パターン10Bと他端112Bは、それぞれ半田付けにより接続されている。
差動信号の対をなす正極信号と負極信号は、高速差動信号送信回路5から同時に出力され、正極信号が正極信号用芯線11Aを伝播するとともに負極信号が負極信号用芯線11Bを伝播して高速差動信号受信回路8に伝送される。
高速差動信号送信回路5の正極信号用出力端子6Aから出力された正極信号は、正極信号用配線パターン7A、正極信号用芯線11A、正極信号用配線パターン10Aの順に伝播し、高速差動信号受信回路8の正極信号用入力端子9Aに伝送される。負極信号用出力端子6Bから出力された負極信号は、負極信号用配線パターン7B、負極信号用芯線11B、負極信号用配線パターン10Bの順に伝播し、負極信号用入力端子9Bに伝送される。
図2は、受信回路基板3に形成されている正極信号用配線パターン10Aと負極信号用配線パターン10Bの要部平面図である。なお、図2では、正極信号用配線パターン10Aと負極信号用配線パターン10Bが、ツイナックスケーブル4の正極信号用芯線11Aおよび負極信号用芯線11Bと接続されていない状態を示している。
図2において信号が伝播する方向(図1における高速差動信号送信回路5と高速差動信号受信回路8とが対向する方向)をX軸方向(長手方向)とし、基材15上でX軸に垂直な方向をY軸方向とする。正極信号用配線パターン10Aと負極信号用配線パターン10Bとの形状は同一であり、ここでは、正極信号用配線パターン10Aにおける正極信号用芯線11Aの他端112Aが接続される領域17について説明する。
正極信号用配線パターン10Aに対して、Y軸に平行な一方である方向Y1、および方向Y1の逆方向となる方向Y2に隣接した基材15上には、X軸方向に一定の間隔dで6つの目盛り12A〜12Fが形成される。なお、目盛り12A〜12Fのそれぞれを区別しないときは、目盛り12A〜12Fを「目盛り12」と総称する。本実施の形態では、目盛り12は、Y軸に平行に延びる線状に形成され、一般的なシルク印刷により形成されている。目盛り12A〜12F全体の長さは、隣り合う目盛り12の間隔をdとしたときに、5dとなる。
目盛り12の間隔dは、公知の方法により正極信号用配線パターン10Aの構造で規定される実効比誘電率に基づいて決定される。例えば、基材15等の比誘電率が4.3、受信側回路基板3を構成する配線層とグラウンド層との間隔が1.0mm、配線厚が0.1mm、配線幅が1.85mmのときには、実効比誘電率は3.15となる。目盛り12の間隔dを、たとえば、許容される最大スキューである5psecに設定する場合、5psecに対応する間隔dは、物理的長さで0.845mmになる。
なお、許容される最大スキューは、差動信号伝送回路1の通信規格などに応じて定められるものである。
図2に示すように、負極信号用配線パターン10Bの、負極信号用芯線11Bの他端112Bが接続される側の端にも、正極信号用配線パターン10Aと同様の目盛り12が形成される。
図3は、正極信号用配線パターン10Aと負極信号用配線パターン10Bとに、正極信号用芯線11Aの他端112Aと負極信号用芯線11Bの他端112Bとを接続した一例を示す図である。
正極信号用芯線11Aの他端112Aは、目盛り12Aを目安として、正極信号用配線パターン10Aに接続位置132Aで接続されている。負極信号用芯線11Bの他端112Bは、目盛り12Cを目安として、負極信号用配線パターン10Bに接続位置132Bで接続されている。正極信号用入力端子9Aと正極信号用芯線11Aの他端112Aとの間の正極信号用配線パターン10Aの電気長は、負極信号用入力端子9Bと負極信号用芯線11Bの他端112Bとの間の負極信号用配線パターン10Bの長さに対して、目盛り12の間隔dの2単位分である2dだけ長くなっている。
図4は、正極信号用配線パターン7Aに正極信号用芯線11Aの一端111Aを接続した領域と負極信号用配線パターン7Bに負極信号用芯線11Bの一端111Bを接続した領域の拡大図である。
正極信号用芯線11Aの一端111Aは、正極信号用配線パターン7Aに接続位置131Aで接続され、負極信号用芯線11Bの一端111Bは、負極信号用配線パターン7Bに接続位置131Bで接続される。正極信号用出力端子6Aと正極信号用芯線11Aの一端111Aの接続位置131Aとの間の正極信号用配線パターン7Aの長さと、負極信号用出力端子6Bと負極信号用芯線11Bの一端111Bの接続位置131Bとの間の負極信号用配線パターン7Bの長さは同等である。
次に、以上のように構成された差動信号伝送回路1において、高速差動信号ペア内の正極信号と負極信号がツイナックスケーブル4を伝播することによって発生するスキューを低減するように調節する差動信号伝送回路1の調節方法について説明する。
図5は、差動信号伝送回路1の調節方法を示すフローチャートである。この手順によって、図3に示したような目盛り12に信号用芯線11A、11Bを接続する位置を決定して接続することで、高速差動信号ペア内のスキューを補正することができる。
先ず、スキュー測定工程S1において、図4で示したように、正極信号用出力端子6Aと接続位置131Aとの間の正極信号用配線パターン7Aの長さと、負極信号用出力端子6Bと接続位置131Bとの間の負極信号用配線パターン7Bの長さが同等になるように、ツイナックスケーブル4の正極信号用芯線11Aの一端111Aおよび負極信号用芯線11Bの一端111Bを接続する。高速差動信号出力回路5を動作させ、正極信号用出力端子6Aから正極信号を、負極信号用出力端子6Bから負極信号を同時に出力する。正極信号用芯線11Aの他端112Aと負極信号用芯線11Bの他端112Bとを、例えば、図示しない測定用治具等に接続し、オシロスコープ等で他端112Aと他端112Bとの間のスキュー(位相差)を測定する。
次に、接続位置決定工程S2では、スキュー測定工程S1で測定したスキューから、正極信号用配線パターン10Aと正極信号用芯線11Aの他端112Aとの接続位置132Aと、負極信号用配線パターン10Bと負極信号用芯線11Bの他端112Bとの接続位置132Bとを決定する。
正極信号用芯線11Aの一端111Aから他端112Aまでを信号が伝播する時間tcpが、負極信号用芯線11Bの一端111Bから他端112Bまでを信号が伝播する時間tcnよりも短い場合、正極信号用配線パターン10Aにおける接続位置132Aと正極信号用入力端子9Aとの間の電気長(位相差を基準に表した長さのこと。配線パターンが直線状の場合には「長さ」と同義となる。)が、負極信号用配線パターン10Bにおける接続位置132Bと負極信号用入力端子9Bとの間の電気長に比べて、伝播時間の差に相当する分程度長くなるように接続位置132A、132Bを決定する。すなわち、正極信号用出力端子6Aから正極信号用配線パターン7A、正極信号用芯線11Aおよび正極信号用配線パターン10Aを介して正極信号用入力端子9Aまでの電気長と、負極信号用出力端子6Bから負極信号用配線パターン7B、負極信号用芯線11Bおよび負極信号用配線パターン10Bを介して負極信号用入力端子9Bまでの電気長との差に対応するスキューが、許容される最大スキュー以下となるように接続位置132A、132Bを調節する。
逆に、正極信号用芯線11Aを信号が伝播する前述の時間tcpが、負極信号用芯線11Bを信号が伝播する前述の時間tcnよりも長い場合、正極信号用配線パターン10Aにおける接続位置132Aと正極信号用入力端子9Aとの間の電気長が、負極信号用配線パターン10Bにおける接続位置132Bと負極信号用入力端子9Bとの間の電気長に比べて、伝播時間の差に相当する分程度短くなるように接続位置132A、132Bを決定する。
例えば、図3に示す目盛り12の1単位である間隔dが5psecに相当し、負極信号用芯線11Bを伝播する時間tcnが正極信号用芯線11Aを伝播する時間tcpよりも10psec長い場合には、正極信号用配線パターン10Aにおける接続位置132Aと正極信号用入力端子9Aとの間の電気長が、負極信号用配線パターン10Bにおける接続位置132Bと負極信号用入力端子9Bとの間の電気長に対して、目盛り12で2単位(2d)分だけ長くなるように接続位置132A、132Bを決定する。
この例では、接続位置132Aとして目盛り12Aを目安とし、接続位置132Bとして目盛り12Cを目安としている。
続いて、芯線接続工程S3では、接続位置決定工程S2で決定した接続位置132Aに正極信号用芯線11Aの他端112Aを、接続位置132Bに負極信号用芯線11Bの他端112Bをそれぞれ半田付けにより接続する。
以上のスキュー測定工程S1、接続位置決定工程S2、および芯線接続工程S3を行うことにより、差動信号伝送回路1の調節方法が終了する。
以上説明したように、本実施形態の差動信号伝送回路1によれば、正極信号出力端子6Aから出力された正極信号が、正極信号用配線パターン7Aを伝搬する時間tdp、正極信号用芯線11Aを伝播する時間tcp、正極信号用配線パターン10Aを伝搬する時間trpの合計と、負極信号出力端子6Bから出力された負極信号が、負極信号用配線パターン7Bを伝搬する時間tdn、負極信号用芯線11Bを伝播する時間tcn、負極信号用配線パターン10Bを伝搬する時間trnの合計とが許容される最大スキュー以下となり、略同等となる。言い換えれば、正極信号出力端子6Aから正極信号用入力端子9Aまでの電気長と、負極信号用出力端子6Bから負極信号用入力端子9Bまでの電気長とが、略同等となる。
従って、スキューを補正する為の部品や回路等を別途追加することなく、一般的な基板作製技術を用いて目盛り12を形成し、この目盛り12に基づいて正極信号用芯線11Aの他端112Aおよび負極信号用芯線11Bの他端112Bを接続するため、容易かつ低コストで高速差動信号ペア内のスキューを補正することができる。
正極信号用配線パターン10Aには、X軸方向に一定の間隔dで複数の目盛り12が設けられているため、正極信号用配線パターン10Aに正極信号用芯線11Aの他端112Aを接続するときの位置決めが容易となる。
目盛り12の間隔dは許容される最大スキューに対応する長さに設定されているため、目盛り12A〜12Fに合わせて正極信号用芯線11Aの他端112Aを配置することで、高速差動信号受信回路8の信号用入力端子9A、9B間のスキューを許容される最大スキュー以下にすることができる。
差動信号伝送回路1は正極信号用配線パターン10Aと同様の目盛り12が設けられた負極信号用配線パターン10Bを備えるため、正極信号用芯線11Aと負極信号用芯線11Bとの間で電気長を調節する自由度を高めることができる。すなわち、正極信号用芯線11Aおよび負極信号用芯線11Bのうちいずれの電気長が長い場合であっても、上記と同様にスキューの調整を容易に行うことができる。
なお、本実施の形態では、目盛り2単位分の電気長を補正すればよいので、接続位置132Aとして目盛り12Cを目安とするとともに、接続位置132Bとして目盛り12Eを目安としてもよい。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について図6および図7を参照しながら説明するが、前記実施の形態1と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6に示すように、本差動信号伝送回路2は、前記実施の形態1の差動信号伝送回路1の各構成に加えて、送信側回路基板2の基材14上において、正極信号用配線パターン7Aの方向Y1および方向Y2に隣接した部分に形成された目盛り12を備えている。さらに、負極信号用配線パターン7Bの方向Y1および方向Y2に隣接した部分にも、目盛り12が形成されている。
なお、本実施の形態では、正極信号用配線パターン7Aは送信側調節配線に相当し、負極信号用配線パターン7Bは第2の送信側調節配線に相当する。
本差動信号伝送回路2によれば、正極信号用芯線11Aと負極信号用芯線11Bとの間のスキューが、受信側基板3に形成した目盛り12により補正可能な範囲である5単位を越える場合でも、10単位までのスキューに対応して調節することができる。
以下、差動信号伝送回路2の調節方法について、前述のスキュー測定工程S1および接続位置決定工程S2を行った結果、ツイナックスケーブル4の負極信号用芯線11Bを信号が伝播する時間が、正極信号用芯線11Aを信号が伝播する時間より目盛り12の7単位長くなるように接続位置を決定する場合で説明する。
芯線接続工程S4において、まず、図7に示すように、正極信号用芯線11Aの他端112Aを接続位置132A(目盛り12A)で正極信号用配線パターン10Aに接続し、負極信号用芯線11Bの他端112Bを接続位置132B(目盛り12F)で負極信号用配線パターン10Bに接続して、7単位のうちの5単位を補正する。
図6に示すように、正極信号用芯線11Aの一端111Aを接続位置131A(目盛り12F)で正極信号用配線パターン7Aに接続し、負極信号用芯線11Bの一端111Bを接続位置131B(目盛り12D)で負極信号用配線パターン7Bに接続して7単位のうちの2単位を補正する。このように、送信側回路基板2と受信側回路基板3とで合計7単位を補正する。
以上説明したように、本実施形態の差動信号伝送回路2によれば、スキューを調整する為の回路を追加することなく、高速差動信号送信回路5の入力端子9A、9B間で受信される高差動信号ペア内のスキューを低コストで容易に低減することができる。
さらに、送信側回路基板2の基材14に目盛り12を形成したことで、受信側回路基板3のみに目盛り12を配置した場合に比べ、高速差動信号ペア内のスキューの補正可能範囲を拡大することができる。
また、正極信号用配線パターン7Aには、X軸方向に一定の間隔dで目盛り12A〜12Fが形成されているため、正極信号用配線パターン7Aに正極信号用芯線11Aの一端111Aを接続するときの位置決めが容易となる。
差動信号伝送回路2は正極信号用配線パターン10Aと同様の目盛り12が設けられた負極信号用配線パターン10Bを備えるため、正極信号用芯線11Aと負極信号用芯線11Bとの間で電気長を調節する自由度を高めることができる。すなわち、正極信号用芯線11Aおよび負極信号用芯線11Bのうちいずれの電気長が長い場合であっても、上記と同様にスキューの調整を容易に行うことができる。
なお、この例では、送信側回路基板2と受信側回路基板3とで合計で7単位を補正すればよいので、送信側回路基板2で3単位、受信側回路基板3で4単位を補正してもよい。
また、例えば、正極信号用芯線11Aを信号が伝播する時間より負極信号用芯線11Bを信号が伝搬する時間の方が長いが、その長さが、1単位以上5単位以下の場合には、以下のように調節する。
すなわち、正極信号用配線パターン7Aにおける接続位置131Aと正極信号用出力端子6Aとの間の電気長と、正極信号用配線パターン10Aにおける接続位置132Aと正極信号用入力端子9Aとの間の電気長との合計から、負極信号用配線パターン7Bにおける接続位置131Bと負極信号用出力端子6Bとの間の電気長と、負極信号用配線パターン10Bにおける接続位置132Bと負極信号用入力端子9Bとの間の電気長との合計を引いた長さが、伝播時間の差に相当するように接続する。
具体的には、図7において、接続位置132Bを目盛り12Aとすれば、長さが2単位の場合に対応することができる。
なお、本実施の形態の、例えば、正極信号用芯線11Aを信号が伝播する時間より負極信号用芯線11Bを信号が伝搬する時間の方が長いが、その長さが、1単位以上5単位以下の場合は、受信側回路基板3の目盛り12を備えなくてもよい。
この場合は、まず、正極信号用入力端子9Aと接続位置132Aとの間の正極信号用配線パターン10Aの長さと、負極信号用入力端子9Bと接続位置132Bとの間の負極信号用配線パターン10Bの長さが同等になるように信号用芯線11A、11Bを接続する。そして、信号用芯線11A、11Bの送信側回路基板2側の接続位置131A、131Bを調節することで、信号入力端子9A、9Bに伝送されてくる高速差動信号ペア内のスキューを調節することになる。
以上、本発明の実施の形態1および実施の形態2について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各実施の形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
たとえば、前記実施の形態1および実施の形態2では、目盛り12はシルク印刷で形成されるとした。しかし、目盛り12の構成は、この限りではなく、接続位置の目安として機能を果たせばよく、以下に説明するように各種の変形、変更をすることができる。
図8を用いて、正極信号用芯線11Aの他端112Aが接続される領域27の変形例について説明する。
この変形例では、正極信号用配線パターン10Aに対して方向Y1と方向Y2に所定の間隔aだけ離れた位置に、正極信号用配線パターン10Aと同一の銅箔からなる線状の目盛り22A〜22F(以下、「目盛り22」と総称する。)を、基板の正極信号用配線パターン10Aと同じ層に形成している。目盛り22はX軸方向に所定の間隔dで複数配置される。間隔dは、前述の実効比誘電率に基づいて決定される。
目盛り22は、負極信号用配線パターン10B近傍にも形成される。
このように構成された目盛り22によれば、前記実施の形態1および実施の形態2と同様の効果が得られる。
さらに、通常は基板表面にはレジストが設けられているため、シルク印刷がレジスト上に形成された場合に削れて落ちたりする恐れがある。本変形例のように目盛り22を銅箔で形成することで、目盛り22が削れて落ちたりすることを防止することができる。
次に、図9を用いて、正極信号用芯線11Aの他端112Aが接続される領域37の変形例について説明する。
この変形例では、正極信号用配線パターン10Aに対して方向Y1と方向Y2に所定の間隔aだけ離れた位置に、目盛り32A〜32F(以下、「目盛り32」と総称する。)を、基材15の表面にシルク印刷で形成している。目盛り32は、矩形のパターンがX軸方向に途切れる部分として規定され、X軸方向に所定の間隔bで複数配置される。間隔bは、前述の実効比誘電率に基づいて決定される。目盛り32は、負極信号用配線パターン10B近傍にも形成される。
このように構成された目盛り32によれば、前記実施の形態1および実施の形態2と同様の効果が得られる。
次に、図10を用いて、負極信号用芯線11Bの他端112Bが接続される領域47の変形例について説明する。
負極信号用配線パターン10Bに負極信号用芯線11Bの他端112Bを接続する位置は、接続位置132Bである。このとき、負極信号用配線パターン10Bの内、目盛り12Aから目盛り12Cまでの部分を全て削除することが好ましい。目盛り12Aから目盛り12Cまでの部分は、信号線路におけるスタブとなり伝送信号が劣化する要因となるので、不要な配線パターンを削除することでスタブによるノイズ発生を防止することができる。
図10で説明した構成により、実施の形態1と同様の効果が得られることは勿論、不要な配線パターンを削除することで、スタブによるノイズ発生を防止することができる。
ここでは負極用信号配線パターン10Bの一部を削除したが、正極用信号配線パターンの一部を削除しても同様の効果が得られる。また、配線パターンの削除は、これに限らず、スタブを削除することを目的としているので、例えば、負極用信号配線パターン10Bのうち目盛り12Bから目盛り12Cのみを削除しても、同様の効果を得られる。
前記実施の形態1および実施の形態2では、送信側回路基板2と受信側回路基板3とが、FR4規格の基板である場合で説明したが、他の種類の硬質基板や可撓性基板も好適に用いることができる。
さらに、差動信号伝送回路がツイナックスケーブル4を備える場合で説明したが、高速差動信号を伝播できればよく、ツイナックスケーブル4に代えて、ツイストペアケーブルや、2本のシングル同軸等、他の構造のケーブルを使用できることは言うまでもない。
また、隣り合う目盛り12の間隔dを許容される最大スキューに対応する長さより小さく設定してもよい。このように構成することで、目盛り12に基づいて、信号入力端子9A、9B間のスキューがより小さくなるように調節することができる。
前記実施の形態1および実施の形態2では、目盛り12は、配線パターンに対する方向Y1および方向Y2の少なくとも一方に形成されていればよい。
前記実施の形態1および実施の形態2では、目盛り12A〜12Fの6つの目盛りを組としたが、組となる目盛りの数に制限はなく、複数であればいくつでもよい。
前記実施の形態1においては、差動信号伝送回路1は負極信号用配線パターン10Bを備えなくてもよい。この場合には、差動信号伝送回路のスキューは以下のように調節される。
先ず、スキュー測定工程において、信号用芯線の電気長を測定する測定器を用いて、ツイナックスケーブル4の一対の信号用芯線のうち、いずれの信号用芯線の電気長が長いか測定するとともに、信号用芯線間のスキューを測定する。
次に、接続位置決定工程において、電気長が短いと測定された信号用芯線を正極信号用芯線11A、電気長が長いと測定された信号用芯線を負極信号用芯線11Bとして、接続位置132A、132Bを決定する。
芯線接続工程において、負極信号用芯線11Bの一端111Bを負極信号用配線パターン7Bにおける接続位置131Bに接続するとともに、他端112Bを高速差動信号受信回路8の負極信号用入力端子9Bに直接接続する。正極信号用芯線11Aの一端111Aを正極信号用配線パターン7Aにおける接続位置131Aに接続するとともに、他端112Aを正極信号用配線パターン10Aにおけるスキューを調節できる接続位置132Aに接続する。
前記実施の形態2において差動信号伝送回路2が負極信号用配線パターン7Bを備えない場合についても、差動信号伝送回路のスキューを同様に調節することができる。
1、2 差動信号伝送回路
5 高速差動信号送信回路(送信回路)
6A 正極信号用出力端子(第1の接続部)
6B 負極信号用出力端子(第2の接続部)
7A 正極信号用配線パターン(送信側調節配線)
7B 負極信号用配線パターン(第2の送信側調節配線)
8 高速差動信号受信回路(受信回路)
9A 正極信号用入力端子(第3の接続部)
9B 負極信号用入力端子(第4の接続部)
10A 正極信号用配線パターン(受信側調節配線)
10B 負極信号用配線パターン(第2の受信側調節配線)
11A 正極信号用芯線(第1の信号線路)
11B 負極信号用芯線(第2の信号線路)
X 軸(長手方向)

Claims (4)

  1. 第1の接続部と第3の接続部の間を、差動信号の対をなす一方の信号が伝播する第1の信号線路と、
    第2の接続部と第4の接続部の間を、前記差動信号の対をなす他方の信号が伝播する第2の信号線路と、
    前記第1から4の接続部の中で少なくとも1つの接続部には複数の目盛りがあり、前記複数の目盛りに応じて接続位置を決定する接続位置決定部と、
    を備え、
    前記接続位置決定部は、
    前記差動信号の対をなす一方の信号が、前記第1の接続部から前記第1の信号線路を介して前記第3の接続部までを伝播する時間と、
    前記差動信号の対をなす他方の信号が、前記第2の接続部から前記第2の信号線路を介して前記第4の接続部までを伝播する時間との
    であるスキューが、許容される最大スキュー以下となるように前記接続位置が決定されている
    ことを特徴とする接続構造。
  2. 前記複数の目盛りは一定の間隔で設けられ、
    前記複数の目盛りの間隔は、許容される最大スキューに対応する長さ以下に設定され、
    前記接続位置決定部は、前記複数の目盛りの間隔に基づいて前記接続位置が決定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
  3. 前記接続位置決定部を、複数の前記接続部に備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
  4. 第1の接続部と第3の接続部の間を、差動信号の対をなす一方の信号が伝播する第1の信号線路と、第2の接続部と第4の接続部の間を、前記差動信号の対をなす他方の信号が伝播する第2の信号線路と、前記第1から4の接続部の中で少なくとも1つの接続部には複数の目盛りがあり、前記複数の目盛りに応じて接続位置を決定する接続位置決定部と、を備える接続構造を接続する接続方法であって、
    前記差動信号の対をなす一方の信号が、前記第1の接続部から前記第1の信号線路を介して前記第3の接続部までを伝播する時間と、
    前記差動信号の対をなす他方の信号が、前記第2の接続部から前記第2の信号線路を介して前記第4の接続部までを伝播する時間との
    差であるスキューが、許容される最大スキュー以下となるように前記接続位置を決定する
    ことを特徴とする接続方法。
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