JP5650323B2 - ホースクランプ - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の上位概念に記載のホースクランプに関する。

耳状の締付け装置、いわゆるエーティケルの耳を有するホースクランプは、外側に向かって突出する２つの脚部とこれら脚部を結合する１つのブリッジ部分とから成る“締付け耳”がペンチ又はペンチ状の締付け工具によって狭められることによって、チューブニップルをほぼ包囲するホースの周囲に締め付けられる。ホースクランプの寸法設定に依存して、脚部の内側の端部は、締付け状態でほぼ接触する、耳が５０％の直径縮小を達成するために相応に縮小される限り、クランプは、特定された閉鎖力が適用された場合に正確に閉鎖されたものとみなされる。この位置から、脚部の内側の端部が締付け状態でほぼ接触する点までの差が、クランプの締付け範囲である。

この種類の締付け装置における問題は、狭められた締付け耳が締付け工具を取り外した時にホースとクランプバンド自身との弾性に基づいて再び若干拡大することにある。この拡大は、ホースに加えられた締付け力の低下を意味し、これにより、限界領域内で、非気密性が生じることがある。

理論的には、硬い又は厚いクランプバンド材料を使用することによって拡大を制限することも可能である。その場合に生じる高い材料コストを別として、締付け耳以外に硬い又は厚い材料を使用することは、ホースとホースによって締め付けられる対象（チューブニップル）の不正を相殺するために、ホースクランプは所定の弾性を有するべきであるので、望ましくない。

米国特許第５，０７０，５８０号明細書（特許文献１）から、締付け耳を、この締付け耳に装着される、著しく強い材料から成る外側の留め金によって補強し、締付け時にこの留め金を締付け耳と共に狭めることが公知である。留め金は、製造コストを高め、ホースクランプの取付け行程を複雑にする付加的な部品である。加えて、留め金によって補強された締付け耳は、回転する部分では、付加的なアンバランスの発生を意味する。

締付け耳を補強するための別の措置は、米国特許第５，１１１，５５５号明細書（特許文献２）から公知である。そこでは、締付け耳を、二層に形成する、又は、更にまた外側に装着される留め金又はバックルによって補強することが行なわれる。この場合、前述の欠点が生じる。

米国特許第５，０７０，５８０号明細書 米国特許第５，１１１，５５５号明細書 国際公開第２００９／１５２８３２号パンフレット

本発明の根底にある一般的な課題は、耳状の締付け装置を有する公知のホースクランプにおいて生じるような欠点を少なくとも部分的に排除することにある。本発明の特別な課題は、締付け状態でのその保持力が高められた耳状の締付け装置を有するホースクランプを得ることにある。

特に、締付け後に再び拡大する締付け耳の傾向を阻止すべきである。

この課題は、請求項１に記載された措置によって解決される。これにより設けられた凹部は、締付け耳を狭める際及びこれにより生じるホースクランプの直径縮小の際に、ホース材料が凹部内に入ることを生じさせる。締付け耳を狭めることによってクランプバンドとホース間に相対移動が生じる時に、ますますホース材料が、この運動方向に広くなる凹部内に押し込まれ得る。締付け行程の終了時に、締付け工具が締付け耳から取り除かれると、クランプバンドとホース間に反対方向の相対移動が行なわれる。この場合、凹部内に入り込んだホース材料が、凹部の幅が小さくなる方向に押しやられ、そこで挟み込まれ、これにより、反対方向の移動が妨げられる。換言すれば、締付け耳は、その弾性に基づいて期待されるように、もはやそれほど強く拡大することができない。

請求項２に記載された凹の形成は、特に有効であるとわかった。

請求項３の措置は、説明したクランプバンドとホース間の相対移動が締付け装置の近傍で最も大きい点で合目的である。

請求項４は、その両終端部分が互いにオーバーラップし、締付け装置が、内側の終端部分にオーバーラップする外側の終端部分の領域に配設されている開放したホースクランプへの本発明による措置の適用に関する。

このような開放したホースクランプの場合、請求項５により、締付け耳の下の内側のクランプバンド終端部分の一部に凹部を設けることが、特に有利であるが、それは、そこでは、クランプバンドとホース間の相対移動が最も大きいからである。同時に、この箇所でのクランプバンド材料の変形は、締付け耳の下のクランプバンドの変形を阻止する補強部を生じさせる。

請求項６による本発明の発展形では、凹部を構成する外側に向かって突出する型押し部が、締付け耳と関係して、締付け耳の下のクランプバンドの付加的な固定部を生じさせる。この機能は、特に、締付け耳が請求項７により内側に向かって突出する補強ビードを備える場合に可能である。

本発明の実施例を、以下で図面に基づいて詳細に説明する。

クランプバンドの両端が互いにオーバーラップし、相並んで固定されているが、締付け耳は未だ狭められていない、取付け状態に相当する状態の開放したホースクランプの側面図 図１のホースクランプの内側のクランプバンド終端部分の平面図 内側のクランプバンド終端部分の拡大縦断面図

図面に図示した開放したホースクランプは、図１に示した状態で内側の終端部分１１とこの内側の終端部分にオーバーラップする外側の終端部分１２とを構成するクランプバンド１０から成る。外側の終端部分１２には、図１の右側の端部から出発して、ガイド収容部１３、保持収容部１４、いわゆる“エーティケルの耳”の形態の締付け装置１５及び舌状部ガイド１６が、冷間変形により形成されている。図２及び３にも図示したクランプバンド１０の内側の終端部分１１には、その自由端から出発して、完全なクランプバンド１０に対して減少させた幅とガイドノーズ１８とを有する舌状部１７、図２の平面図で滴状の型押し部１９、保持フック２０及びガイドフック２１が形成されている。

締付け耳１５は、クランプバンド１０から外側に向かって曲げられた２つの脚部２２と、これら脚部を結合する１つのウェブ部分２３とから構成されている。ウェブ部分２３には、外側に向かって凹の補強ビード２４が形成されている。

型押し部１９を除いて、この実施例のホースクランプは、国際公開第２００９／１５２８３２号パンフレット（特許文献３）から公知のホースクランプと一致する。

この実施例では、図２による型押し部１９が、内側のクランプバンドエンドからクランプバンド中心に向かって落ちる滴の形態を有するが、即ち、これは、クランプバンド１０の長手方向に対して横に測定したその幅が、図２の右側に想定すべきクランプバンド中心から左側のクランプバンドエンドに向かって先細り、両端が、丸まっているということである。型押し部１９によって構成される、ホースクランプの内側に向かって凹の凹部２５の深さは、本質的にクランプバンド１０の厚さに等しく、これは、型押し部１９が、図３に示したように、内側の終端部分１１の外側に、クランプバンドの厚さにほぼ一致する高さを有することを意味する。

凹部２５の最大の幅は、クランプバンド幅の約１／２であり、その最小の幅は、クランプバンド幅の約１／１０〜１／５である。図３からわかるように、凹部２５の内壁は、図３のその右側の端部に、平らな入側斜面２６を、反対側の端部に傾斜した出側斜面２７を備える。

図１に示したように、締付け耳１５のウェブ部分２３に存在する補強ビード２４は、示した状態で型押し部１９と接触するように寸法設定することができる。その場合、締付け耳１５が、クランプバンド１０の型押し部１９を備える領域を膨出部に押し付ける。

締付け耳１５が、図１に示した初期状態から、例えば、両脚部２２に取付けられる（示してない）ペンチによって狭められると、ホースクランプの直径が減少し、クランプバンド１０とこのクランプバンドによって包囲される対象、例えばチューブニップル間に配設された（図示してない）ホースに圧力を加える。同時に、ホースクランプの直径減少のためにクランプバンド１０とホース間に相対移動が行なわれ、この相対移動が、締付け耳１５の領域で最も強く、クランプバンド中心に向かって、即ち、締付け耳１５の直径上の反対側の領域の方向に、減少する。ホースに加えられる圧力と前記の相対移動は、ホース材料を凹部２５に押し込むことを生じさせる。

ペンチが取り外されると、ホースと自身非弾性的に変形される締付け耳１５の弾性が、締付け耳を若干拡大させる。この場合、ホースとクランプバンド１０間で、反対方向の相対移動が行なわれ、この反対方向の相対移動時に、凹部２５内に押し込まれたホース材料が凹部２５の小さい側の幅の方向に押され、そこで締め付けられる。この締付けは、締付け耳１５のさもなければ行なわれる拡大を制限する。

この場合、図３の右側の端部に存在する凹部２５の入側斜面２６は、耳の閉鎖中の制動作用を回避するために、圧縮すべきホース材料を、閉鎖中に閉鎖移動の方向に滑らせる。これに対して、ペンチを取り外し、締付け耳１５のスプリングバックの開始時には、
凹部２５の幅の狭い、場合によっては深くて幅の狭い端部における出側斜面２７が、圧縮されたホース材料の圧縮作用と制動作用を高める。

６０ｍｍの呼び直径、１０ｍｍのクランプバンド幅、０．８ｍｍのバンド厚さ及び１３ｍｍの周方向に測定した締付け耳１５の長さを有するホースクランプで、６４００Ｎのペンチ閉鎖力での試験が実施された。凹部２５を有するホースクランプの場合、３．０３ｍｍのペンチを取り外した後に締付け耳１５の下に存在する閉鎖間隙の平均長さ、４４００Ｎのホースクランプからホースに加えられた全半径方向荷重及び２．４５Ｎ／ｍｍ^２の平均面圧が測定された。全半径方向荷重の測定時に、均等に周囲に配設された８つのセンサで、５５０Ｎの平均荷重が測定された。

凹部を有しないがその他は同じ寸法のクランプでは、同じ試験条件下で、３．２５ｍｍの閉鎖間隙の平均長さ、３８４０Ｎの半径方向荷重、２．１７Ｎ／ｍｍ２の平均面圧が測定された。これは、ペンチを取り外した後にホースクランプによって加えられる半径方向荷重に関してほぼ１４％の向上に相当する。

この改善は、多くの場合に普通に使用される高強度の特殊鋼の代わりに、それぞれ要求される気密性を達成するために、安価なスチールを使用することができるということを意味する。ホースクランプの場合この種類の材料の使用が全コストの８５％までになるので、本発明によって得られる保持力の向上は、高い削減を意味する。

前記の滴の形態の代わりに、凹部２５は、例えばコーナを丸くした本質的に三角形の形態を有することもできるが、幅は、常にクランプバンド中心から内側のクランプバンドエンドに向かって減少する。

クランプバンドの内側の終端部分１１の、締付け耳１５の下にある領域での凹部２５の前記の位置は、説明した理由から特に合目的である。しかしながらまた、基本的には、凹部は、クランプバンド１０の他の箇所にも、即ち外側の終端部分１２の、ホースに当接する領域にも、配設することができる。ホースとクランプバンド１０間の相対移動が締付け耳１５の領域で最大であるので、凹部２５は、締付け耳に少なくとも隣接すべきである。

１０ クランプバンド
１１ 内側の終端部分
１２ 外側の終端部分
１３ ガイド収容部
１４ 保持収容部
１５ 締付け耳
１６ 舌状部ガイド
１７ 舌状部
１８ ガイドノーズ
１９ 型押し部
２０ 保持フック
２１ ガイドフック
２２ 脚部
２３ ウェブ部分
２４ 補強ビード
２５ 凹部
２６ 入側斜面
２７ 出側斜面

Claims (7)

1. 外側に向かって突出する２つの脚部（２２）とこれら脚部を結合する１つのウェブ部分（２３）とを有する耳状の締付け装置（１５）が形成されたクランプバンド（１０）を有し、クランプバンド（１０）が、その内側の、締付け状態でホースの上に位置する領域に、凹部（２５）を備え、凹部の周縁部が、完全にクランプバンド（１０）内に位置する、ホースクランプにおいて、
   凹部（２５）の幅が、バンド長手方向に測定したクランプバンド中心から離れる方向に先細ること、凹部（２５）が、クランプバンド中心に向かって落ちる滴の形態を有すること、を特徴とするホースクランプ。
2. 凹部（２５）の周壁が、幅の広い側の端部に斜面（２６）を、幅の狭い側の端部に斜面（２７）を備え、幅の広い側の端部の斜面（２６）が、幅の狭い側の端部の斜面（２７）よりもゆるい傾斜を備えること、を特徴とする請求項１に記載のホースクランプ。
3. 凹部（２５）が、締付け装置（１５）の近傍に配設されていること、を特徴とする請求項１又は２に記載のホースクランプ。
4. クランプバンド（１０）の両端が、取付け状態で、内側の終端部分（１１）とこれとオーバーラップする外側の終端部分（１２）を構成し、締付け装置（１５）が、外側の終端部分（１２）の、内側の終端部分（１１）によってオーバーラップされる領域内に配設されていること、を特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載のホースクランプ。
5. 凹部（２５）が、クランプバンド（１０）の、ホースクランプが取付け状態にある時の締付け装置（１５）の両脚部（２２）間の間隔を橋渡しする部分に配設されていること、を特徴とする請求項４に記載のホースクランプ。
6. 凹部（２５）が、クランプバンド（１０）の外側に突出する型押し部（１９）として形成されていること、を特徴とする請求項５に記載のホースクランプ。
7. 耳状の締付け装置（１５）のウェブ部分（２３）が、外側に向かって凹のビード（２４）によって補強されていること、を特徴とする請求項６に記載のホースクランプ。

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