JP5649224B2 - グルクロン酸含有グルカン、その製造法および利用 - Google Patents
グルクロン酸含有グルカン、その製造法および利用 Download PDFInfo
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Description
(2)生体内で分解され得る高分子材料であり、投与後は体内に通常存在する成分にまで分解されるか又は完全に体外へ排泄されて体内に蓄積しないこと;
(3)医薬品に使用できる程度に安定した品質を備えていること。すなわち、構造が特定でき、毎回同じ品質のものを製造できること。
(項目1) グルカンの少なくとも1つの非還元末端にグルクロン酸残基が結合しているが、非還元末端以外の位置にはグルクロン酸残基が存在しないグルクロン酸含有グルカンであって、該グルカンが分岐状α−1,4グルカンまたは直鎖状α−1,4グルカンである、グルクロン酸含有グルカン。
(項目2) 前記グルカンが分岐状α−1,4グルカンであり、該分岐状α−1,4グルカンの複数の非還元末端のうちの少なくとも1つの非還元末端にグルクロン酸残基が結合している項目1に記載のグルクロン酸含有グルカン。
(項目3) 前記分岐状α−1,4グルカンが分岐マルトオリゴ糖、デンプン、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストリン、酵素合成分岐グルカン及び高度分岐環状デキストリンからなる群より選択される項目2に記載のグルクロン酸含有グルカン。
(項目4) 項目1〜3のいずれか1項に記載のグルクロン酸含有グルカンの水酸基修飾物であって、該修飾が、前記グルカンのアルコール性水酸基の一部又は全てへの修飾であり、該修飾が、ヒドロキシアルキル化、アルキル化、アセチル化、カルボキシメチル化、硫酸化及びリン酸化からなる群より独立して選択される、水酸基修飾物。
(項目5) 項目1〜3のいずれか1項に記載のグルクロン酸含有グルカン又はその水酸基修飾物の還元末端修飾物。
(項目6) 項目1〜3のいずれか1項に記載のグルクロン酸含有グルカン、その水酸基修飾物又はそれらの還元末端修飾物のカルボキシル基修飾物であって、該修飾が、前記グルクロン酸残基のカルボキシル基の一部又は全てへの修飾であり、該修飾が該カルボキシル基とカルボキシル基修飾試薬との反応により得られたものであり、該カルボキシル基修飾試薬は、少なくとも1つのアミン基および少なくとも1つの別の官能基を有する、カルボキシル基修飾物。
(項目7) 前記官能基が、カチオン性官能基またはアニオン性官能基である、項目6に記載のカルボキシル基修飾物。
(項目8) 前記官能基が、疎水性官能基である、項目6に記載のカルボキシル基修飾物。
(項目9) 前記官能基が、マレイミド基、チオール基及びアルデヒド基からなる群より選択される、項目6に記載のカルボキシル基修飾物。
(項目10) 前記カルボキシル基修飾試薬が、N−ヒドロキシスクシンイミド、N,N−ジスクシンイミドカーボネート、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、イソブチルクロロホルメートおよび4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム・メチルスルフェートからなる群より選択される、項目6に記載のカルボキシル基修飾物。
(項目11) グルカンとグルクロン酸−1−リン酸を含む水溶液にα−グルカンホスホリラーゼを作用させることを特徴とするグルクロン酸含有グルカンの製造方法。
(項目12) α−グルカンホスホリラーゼが、Aquifex aeolicus VF5由来のα−グルカンホスホリラーゼのアミノ酸配列に対して95%以上の配列同一性を有しかつグルクロン酸をグルカンの非還元末端に転移する活性を有する、項目11に記載の方法。
(項目13) 項目1〜3のいずれか1項に記載のグルクロン酸含有グルカン、その水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボン酸基修飾物と、薬効成分とを含む、医薬品。
(項目14) 前記薬効成分が、低分子量有機化合物、タンパク質、ペプチド、抗体、抗体フラグメント、受容体、受容体フラグメント、DNA、RNA、siRNAおよびRNAアプタマーからなる群より選択される、項目13に記載の医薬品。
(項目15) 項目1〜3のいずれか1項に記載のグルクロン酸含有グルカン、その水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボン酸基修飾物と、薬効成分との結合体であって、該薬効成分は、前記グルクロン酸残基のカルボキシル基のうちの少なくとも1つと、直接共有結合しているか、又はスペーサーを介して結合している、結合体。
(項目16) 項目1〜3のいずれか1項に記載のグルクロン酸含有グルカン、その水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボン酸基修飾物を含む、臨床診断用組成物。
(項目17) 項目1〜3のいずれか1項に記載のグルクロン酸含有グルカン、その水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボン酸基修飾物を含む、医薬品DDS用微小粒子状キャリア。
(項目18) 前記医薬品DDS用微小粒子状キャリアが、リポソーム、ウイルス粒子、高分子ミセルおよび疎水化高分子ナノゲルからなる群より選択される、項目17に記載のキャリア。
(項目19) 項目1〜3のいずれか1項に記載のグルクロン酸含有グルカン、その水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボン酸基修飾物を含有する臨床診断用造影剤。
(項目20) 式5からなる構造を有するグルクロン酸含有グルカン:
(項目21) 式6からなる構造を有する、グルクロン酸含有グルカン又はグルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物:
式6、式6Aおよび式6Bにおいて、R4は、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基およびリン酸基からなる群から独立して選択される、グルクロン酸含有グルカンまたはグルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物。
(項目22) 式7からなる構造を有する、グルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物又はそれらの還元末端修飾物:
式7、式6Aおよび式6Bにおいて、R4は、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基およびリン酸基からなる群から独立して選択され、
式7において、Xは、単糖、非還元性糖質類、生体適合性高分子、リポソーム構成成分、配糖体およびアミン基含有低分子量物質からなる群より独立して選択される、グルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物又はそれらの還元末端修飾物。
(項目23) Xが、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グルコン酸、ソルビトール、スクロース、トレハロース、シクロデキストリン、環状デキストリン、環状アミロース、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、デキストラン、タンパク質、ペプチド、リン脂質、脂肪酸、界面活性剤、アスコルビン酸グルコシド、ハイドロキノングルコシド、ヘスペリジングルコシド、ルチングルコシド、パラニトロフェニルマルトペンタオース、ドデシルマルトース、フラボノイド配糖体類、テルペン配糖体類、フェノール配糖体類、カルコン配糖体類、ステロイド配糖体類、アミノ酸及びドデシルアミンからなる群より選択される、項目22に記載のグルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物又はそれらの還元末端修飾物。
(項目24) 式8からなる構造を有する、グルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボキシル基修飾物:
式8、式6A、式8A、および式6Bにおいて、R4は、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基およびリン酸基からなる群から独立して選択され、
式8において、Xは、単糖、非還元性糖質類、生体適合性高分子、リポソーム構成成分、配糖体およびアミン基含有低分子量物質からなる群より独立して選択され、
式8及び式8Aにおいて、Yは、薬効成分との結合のために導入される置換基であり、Yは、カルボキシル基修飾試薬との反応により得られ、該カルボキシル基修飾試薬は、少なくとも1つのアミン基および少なくとも1つの別の官能基を有する、グルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボキシル基修飾物。
(項目25) 前記官能基が、カチオン性官能基またはアニオン性官能基である、項目24に記載のグルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボキシル基修飾物。
(項目26) 前記官能基が、疎水性官能基である、項目24に記載のグルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボキシル基修飾物。
(項目27) 前記官能基が、マレイミド基、チオール基及びアルデヒド基からなる群より選択される、項目24に記載のグルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボキシル基修飾物。
(項目28) 前記カルボキシル基修飾試薬が、N−ヒドロキシスクシンイミド、N,N−ジスクシンイミドカーボネート、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、イソブチルクロロホルメートおよび4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム・メチルスルフェートからなる群より選択される、項目24に記載のグルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボキシル基修飾物。
(項目1)グルカンの非還元末端にウロン酸残基が結合しているウロン酸含有グルカン。(項目2)グルカンが直鎖状グルカンである項目1に記載のウロン酸含有グルカン。
(項目3)直鎖状グルカンがマルトオリゴ糖、アミロースおよび酵素合成アミロースからなる群より選択される項目2に記載のウロン酸含有グルカン。
(項目4)グルカンが分岐状グルカンであり、分岐状グルカンの複数の非還元末端の少なくともひとつの非還元末端にウロン酸残基が結合している項目1に記載のウロン酸含有グルカン。
(項目5)分岐状グルカンが分岐マルトオリゴ糖、デンプン、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストリン、酵素合成分岐グルカンおよびアミロースがグラフトされたグルカンからなる群より選択される項目4に記載のウロン酸含有グルカン。
(項目6)非還元末端のウロン酸残基のカルボキシル基がさらに修飾されているウロン酸含有グルカン。
(項目7)ウロン酸残基がグルクロン酸残基である項目1〜6に記載のウロン酸含有グルカン。
(項目8)グルカンとグルクロン酸−1−リン酸を含む水溶液にα−グルカンホスホリラーゼを作用させることを特徴とするウロン酸含有グルカンの製造方法。
(項目9)α−グルカンホスホリラーゼが、Aquifex aeolicus VF5由来のα−グルカンホスホリラーゼである、項目8に記載のウロン酸含有グルカンの製造方法。
(項目10)項目1〜7のいずれか1項に記載のウロン酸含有グルカンの食品用途における利用。
(項目11)項目1〜7のいずれか1項に記載のウロン酸含有グルカンの化粧品用途における利用。
(項目12)項目1〜7のいずれか1項に記載のウロン酸含有グルカンの医薬品用途における利用。
(項目13)項目1〜7のいずれか1項に記載のウロン酸含有グルカンの化学品用途における利用。
(1.1)グルカンおよびグルカンの修飾物
「グルカン」とは、本明細書中で用いられる場合、D−グルコースを構成単位とする多糖である。本発明においては、グルカンとしてα−D−グルカンを使用することが好ましい。本明細書においては、特に断りのない限り、「グルカン」とは、「α−D−グルカン」をいう。α−D−グルカンは、主にα−1,4−グルコシド結合によって2以上のD−グルコース単位が連結されているグルカンである。本発明で使用される好ましいグルカンは、直鎖状グルカンおよび分岐状グルカンであり、より好ましくは直鎖状α−1,4−グルカン及びα−1,6−結合により分岐したα−1,4−グルカン(分岐状α−1,4グルカンともいう)である。本発明で使用されるグルカンは、α−1,3−結合を含まないことが好ましい。
ウロン酸は、単糖を酸化して得られる誘導体のうち、主鎖の末端のヒドロキシメチル基がカルボキシル基に変わったカルボン酸の総称である。ウロン酸はまた、単糖類のカルボニル基から最も離れている第一アルコール基(−CH2OH)をカルボキシル基(−COOH)に酸化して得られる酸であってもよい。ウロン酸は、単糖をグリコシドへと誘導したのちに6位を酸化することにより、又はアルダル酸を還元することにより合成され得る。
(2.1)グルクロン酸−1−リン酸
本発明において利用されるグルクロン酸−1−リン酸としては、化学的な方法、酵素的な方法、醗酵などの生物学的方法により合成されたものが使用できる。特にグルコース−1−リン酸の化学的酸化反応により合成されたグルクロン酸−1−リン酸が好ましい。グルコース−1−リン酸の化学的酸化反応によりグルクロン酸−1−リン酸を合成する方法は、Heeresら、Carbohydr.Res.1997、299、221−227に開示されている。
本明細書において「α−グルカンホスホリラーゼ」および「GP」は、特に示さない限り互換可能に用いられる。本明細書において用語「α−グルカンホスホリラーゼ」は、α−グルカンホスホリラーゼ活性を有する酵素を意味する。α−グルカンホスホリラーゼは、EC2.4.1.1に分類される。α−グルカンホスホリラーゼ活性とは、無機リン酸とα−1,4−グルカンとから、グルコース−1−リン酸およびα−1,4−グルカンの部分分解物を作る反応またはその逆反応を触媒する活性をいう。α−グルカンホスホリラーゼは、ホスホリラーゼ、スターチホスホリラーゼ、グリコーゲンホスホリラーゼ、マルトデキストリンホスホリラーゼなどと呼ばれる場合もある。α−グルカンホスホリラーゼは、加リン酸分解の逆反応であるα−1,4−グルカン合成反応をも触媒し得る。反応がどちらの方向に進むかは、基質の量に依存する。生体内では、無機リン酸の量が多いので、α−グルカンホスホリラーゼは加リン酸分解の方向に反応が進む。無機リン酸の量が少ないと、α−1,4−グルカンの合成の方向に反応が進む。
α−グルカンホスホリラーゼの単位量は、1分間に1μmolの無機リン酸(Pi)を生成するα−グルカンホスホリラーゼ活性を1単位(U又はUnit)とする。このα−グルカンホスホリラーゼ活性の測定は、G−1−Pから生じた遊離の無機リン酸(Pi)を定量する。200μlの反応液(100mM酢酸緩衝液(pH6.0)中、12.5mM G−1−P、1%デキストリンおよび酵素液を含む)を50℃に15分間インキュベートした後、800μlのモリブデン試薬(15mMモリブデン酸アンモニウム、100mM酢酸亜鉛)を加え、攪拌し反応を停止する。200μlの568mMのアスコルビン酸(pH5.8)を加え、混合し、30℃に15分間インキュベートした後、分光光度計を用いて850nmの吸光度を測定する。濃度既知の無機リン酸を用いて同様に吸光度を測定し、標準曲線を作成し、この標準曲線に試料で得られた吸光度を当てはめ、試料中の無機リン酸を求める。無機リン酸は、リン酸イオンとして定量される。グルコース−1−リン酸の量は定量されない。
本発明で用いられるα−グルカンホスホリラーゼは、上記のような自然界に存在する、α−グルカンホスホリラーゼを産生する生物から直接単離され得る。あるいは、本発明で用いられるα−グルカンホスホリラーゼは、上記の生物から単離したα−グルカンホスホリラーゼをコードする遺伝子を用いて遺伝子組換えされた微生物(例えば、細菌、真菌など)から単離してもよい。
本発明のウロン酸含有グルカンは、グルクロン酸−1−リン酸、グルカン、およびグルクロン酸残基をグルカンの非還元末端に転移する反応を触媒し得るα−グルカンホスホリラーゼ(例えば、Aquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ)を含む反応溶液を反応させる工程を含む方法により製造され得る。この方法においてグルカンの代わりにグルカン修飾物を使用することによりウロン酸含有グルカンの修飾物を製造することができる。以下においては、例示として、グルカンを用いる方法について説明する。
<精製方法>
生産されたウロン酸含有グルカン(又はその修飾物)は、必要に応じて精製され得る。精製することにより除去される不純物の例は、無機リン酸、グルクロン酸−1−リン酸、無機塩類などである。グルカンの精製法の例としては、有機溶媒を用いる方法(T.J.Schochら、J.American Chemical Society,64,2957(1942))および有機溶媒を用いない方法がある。
酵素を触媒とする糖鎖伸長反応は無保護の基質を用いて穏和な条件下で進行し、位置・立体選択性の制御が容易であることから構造明確なオリゴ糖鎖の合成に有用である。ホスホリラーゼ(EC 2.4.1.1)はα−D−グルコース−1−リン酸(Glc−1−P)を基質として認識し、α−1,4−グルカンを生成する糖鎖伸長反応を触媒することが知られている。ホスホリラーゼが、より多くの糖リン酸エステルを基質として認識することができれば、新しい糖鎖合成につながると考えられる。このような観点から、我々はすでにホスホリラーゼがα−D−キシロース−1−リン酸を基質として認識し、マルトオリゴ糖の酵素的キシロシル化反応を触媒することを報告している(文献1(M.Nawaji,H.Izawa,Y.Kaneko,J.Kadokawa,J.Carbohydr.Chem.,2008,27,214))。本研究では、α−D−グルコサミン−1−リン酸(GlcN−1−P)(文献2(M.Nawaji,H.Izawa,Y.Kaneko,J.Kadokawa,Carbohydr.Res.,2008,343,2692))とその誘導体(N−ホルミルグルコサミン−1−リン酸(GlcNF−1−P)、N−アセチルグルコサミン−1−リン酸(GlcNAc−1−P))及びグルクロン酸−1−リン酸(GlcA−1−P)を新しい基質として取り上げ、ホスホリラーゼによるマルトオリゴ糖への酵素的糖鎖伸長化反応を検討した(図4)。
本発明のウロン酸含有グルカン及びその修飾物をさらに、ウロン酸残基のカルボキシル残基において薬効成分と結合させることにより、結合体を得ることができる。ウロン酸含有グルカンと薬効成分とが結合したものを「ウロン酸含有グルカン−薬効成分結合体」といい、ウロン酸含有グルカンの修飾物と薬効成分とが結合したものを「ウロン酸含有グルカン修飾物−薬効成分結合体」という。同様に、ウロン酸がグルクロン酸の場合、グルクロン酸含有グルカンと薬効成分とが結合したものを「グルクロン酸含有グルカン−薬効成分結合体」といい、グルクロン酸含有グルカンの修飾物と薬効成分とが結合したものを「グルクロン酸含有グルカン修飾物−薬効成分結合体」という。
(A)マルトペンタオースの還元末端アルデヒドとアミン基を有する物質を還元アミノ化により結合する方法;
(B)マルトペンタオースの還元末端アルデヒドを酸化してマルトテトラオシルグルコン酸としたのち、アミン基を有する物質と縮合剤により脱水縮合する方法;および
(C)マルトペンタオースの還元末端アルデヒドを酸化してマルトテトラオシルグルコン酸としたのち脱水してマルトテトラオシルグルコノラクトンを調製し、これを、アミン基を有する物質と無水溶媒条件で加熱して結合させる方法。(A)(B)(C)の3種の方法は、特願2008−121693に詳細に記載されている。
本発明のウロン酸含有グルカン及びその修飾物は、非還元末端にウロン酸残基が結合しているため、非還元末端にカルボキシル基を有しており、その結果、グルカンを負に帯電させることができる。たとえば分岐グルカンの非還元末端に多数のウロン酸が結合している本発明のウロン酸含有分岐グルカン及びその修飾物は、溶媒のpHを変化させることにより、非還元末端のウロン酸のカルボキシル基が解離した状態と、非解離の状態とを作り出すことが出来る。非還元末端のウロン酸残基のカルボキシル基が解離した状態では、静電反発により、ウロン酸含有分岐グルカン、その修飾物及びそれらの結合体は伸びきった構造となり、非解離の状態ではウロン酸含有分岐グルカン及びその修飾物は収縮した状態となると考えられる。このようなpH依存的な分岐多糖ミクロゲルのコンホメーション変化は、医薬品デリバリーへの利用が可能である。
本発明のウロン酸含有グルカンは、好ましくはグルクロン酸含有グルカンである。本明細書中では、グルカンの少なくとも1つの非還元末端にウロン酸残基が結合しているが非還元末端以外の位置にはウロン酸残基が存在しないグルカンを「ウロン酸含有グルカン」という。本明細書中では、グルカンの少なくとも1つの非還元末端にグルクロン酸残基が結合しているが非還元末端以外の位置にはグルクロン酸残基が存在しないグルカンを「ウロン酸含有グルカン」という。
本発明のグルクロン酸含有グルカンに含まれるグルカン部分が分岐状α−1,4グルカンである場合、グルクロン酸含有グルカンは、この分岐状α−1,4グルカンが有する複数の非還元末端のうちの少なくとも1つにグルクロン酸残基が結合している。本発明によれば、グルクロン酸残基が結合した分岐状グルカンの修飾物もまた提供される。本発明によれば、グルクロン酸残基が結合した分岐状グルカン又はその修飾物の結合体もまた提供される。修飾物の修飾については上記に詳述したとおりである。結合体で結合する物質についても上記に詳述したとおりである。
本発明のグルクロン酸含有直鎖状グルカンは、直鎖状グルカン部分の非還元末端にグルクロン酸残基が結合している。直鎖状グルカンは非還元末端を1つしか有さないので、本発明のグルクロン酸含有直鎖状グルカンは、グルクロン酸残基を1つしか含まない。本発明によれば、グルクロン酸残基が結合した直鎖状グルカンの修飾物もまた提供される。本発明によれば、グルクロン酸残基が結合した直鎖状グルカン又はその修飾物の結合体もまた提供される。修飾物の修飾については上記に詳述したとおりである。結合体で結合する物質についても上記に詳述したとおりである。
本発明のグルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物およびそれらの還元末端修飾物は、例えば以下の式7によって示され得る:
式7において、Xは、好ましくは、単糖、非還元性糖質類、生体適合性高分子、リポソーム構成成分、配糖体およびアミン基含有低分子量物質からなる群より独立して選択される。Xは、より好ましくは、水素、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グルコン酸、ソルビトール、スクロース、トレハロース、シクロデキストリン、環状デキストリン、環状アミロース、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、デキストラン、タンパク質、ペプチド、リン脂質、脂肪酸、界面活性剤、アスコルビン酸グルコシド、ハイドロキノングルコシド、ヘスペリジングルコシド、ルチングルコシド、パラニトロフェニルマルトペンタオース、ドデシルマルトース、フラボノイド配糖体類、テルペン配糖体類、フェノール配糖体類、カルコン配糖体類、ステロイド配糖体類、アミノ酸及びドデシルアミンからなる群より選択される。
式8において、Xは、単糖、非還元性糖質類、生体適合性高分子、リポソーム構成成分、配糖体およびアミン基含有低分子量物質からなる群より独立して選択され、
式8及び式8Aにおいて、Yは、薬効成分との結合のために導入される置換基であり、Yは、カルボキシル基修飾試薬との反応により得られ、該カルボキシル基修飾試薬は、少なくとも1つのアミン基および少なくとも1つの別の官能基を有する。
(A)Aquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ遺伝子の作製
Aquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ遺伝子のアミノ酸配列(配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列;米国生物工学情報センター(NCBI; National Center for Biotechnology Information)のGenBank塩基配列データベースのACCESSION番号AE000657の491380−493458番目までの塩基配列を翻訳して得られるアミノ酸配列)をコードする塩基配列(GenBank塩基配列データベースのACCESSION番号AE000657の491380−493458番目までの塩基配列)を有する核酸(「α−グルカンホスホリラーゼ遺伝子」ともいう)を、当業者に周知の方法により、化学的に合成した。なお、Aquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼをコードする遺伝子の塩基配列は、本願が優先権を主張する基礎となる出願の出願日の時点ではACCESSION番号AE000704の86〜2164番目として登録されていたが、2010年3月9日にACCESSION番号およびその位置が変更された。このα−グルカンホスホリラーゼ遺伝子の翻訳開始コドン上流にはNdeIサイトを設けた。また、翻訳停止コドン下流にはBamHIサイトを設け、この合成遺伝子をNdeIおよびBamHIで切断し、NdeIおよびBamHIであらかじめ切断したプラスミドpET11c(Novagen社製)に挿入し、Aquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ遺伝子をもったプラスミドpET−AqGPを作製した。
このプラスミドpET−AqGPで、大腸菌BL21(DE3)を常法に従って形質転換し、形質転換体を得た。形質転換体を含む液体を、アンピシリン含有LB寒天培地(100μg/mlアンピシリン、Difco製トリプトン1%、Difco製酵母エキス0.5%、NaCl0.5%、寒天1.5%、pH7.3)に独立したコロニーが得られるように希釈して塗布し、37℃で一晩培養した。このアンピシリン含有LB寒天培地で増殖した大腸菌は、導入したプラスミドを保有し、かつ発現することができる形質転換体である。このようにしてα−グルカンホスホリラーゼ遺伝子を発現する大腸菌を作製できた。
上記(B)で作製した、Aquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ遺伝子を発現する大腸菌を、LB培地(50μg/mlアンピシリン、Difco製トリプトン1%、Difco製酵母エキス0.5%、NaCl、0.5%、pH 7.3)に植菌し、37℃で5時間培養した。次いで、最終濃度が0.1mM IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)および1mM塩酸ピリドキシンとなるようにこの培養液にIPTGおよび塩酸ピリドキシンを加え、さらに37℃で24時間培養した。次いで、培養液を遠心分離することにより菌体を回収し、20mMクエン酸緩衝液(pH6.7)で培地成分を洗浄し、除去した。洗浄後の菌体を20mMクエン酸緩衝液(pH6.7)に懸濁し、超音波破砕機によって菌体を破砕し、遠心分離し、その上清を菌体抽出液とした。得られた菌体抽出液を、60℃30分間加熱した。次いで、この菌体抽出液を予め平衡化されたQ−SepharoseFFカラムにロードし、20mMクエン酸緩衝液(pH 6.7)中、0.1Mから0.3MのNaClの濃度勾配で溶出し、GP精製酵素含有活性画分を回収した。
特表2004−526463に示された下記の方法によりタイプL馬鈴薯α−グルカンホスホリラーゼを組換え生産した。
Aquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ遺伝子の代わりに、Thermotoga maritima MSB8由来α−グルカンホスホリラーゼのアミノ酸配列をコードする塩基配列(GeneBank塩基配列データベースのACCESSION番号AJ001088に記載される76〜544番目までの塩基配列)を有する核酸、Thermococcus zilligii AN1由来α−グルカンホスホリラーゼのアミノ酸配列をコードする塩基配列(GeneBank塩基配列データベースのACCESSION番号AJ318499に記載される1〜2151番目までの塩基配列)を有する核酸、またはThermoanaerobacter pseudethanolicus ATCC33223由来α−グルカンホスホリラーゼのアミノ酸配列をコードする塩基配列(GeneBank塩基配列データベースのACCESSION番号CP000924に記載される1〜1626番目までの塩基配列)を有する核酸を使用して製造例1と同様にしてそれぞれのα−グルカンホスホリラーゼ液を得た。
50mMグルクロン酸−1−リン酸、100mMクエン酸緩衝液(pH6.7)、10mMマルトテトラオース及び製造例2で作製した精製馬鈴薯由来α−グルカンホスホリラーゼ(タイプL、12Unit/ml)を含む反応液を37℃で40時間保温後反応液の糖組成を、そのまま、あるいはグルコアミラーゼ消化した後、DIONEX社製HPAEC−PAD装置(送液システム:DX300、検出器:PAD−2、分析カラム:CarboPacPA100)により分析した。溶出は、流速:1ml/分、NaOH濃度:150mM、酢酸ナトリウム濃度:0分−50mM、2分−50mM、23分−350mM(Gradient curve No.3)、28分−850mM(Gradient curve No.7)、30分−850mMの条件で行った。結果を図6にしめす。図6Aは標準サンプルとして、100mMグルコース(Glc)、100mMマルトース(Mal)、100mMグルコース1リン酸(G1P)、200mMグルクロン酸(GlcA)、200mMグルクロン酸1リン酸(GlcA1P)を混合したものに、マルトオリゴ糖の標準サンプルとして100mMマルトトリオース(G4)、100mMマルトヘプタオース(G7)を加えたサンプルを用い、溶出位置を確認したものである。図6Bに示すように、馬鈴薯由来α−グルカンホスホリラーゼを用いた酵素反応産物を分析した結果、マルトオリゴ糖を含む複数のピークが確認された。グルコアミラーゼはマルトオリゴ糖を非還元末端から分解する酵素であるが、非還元末端にグルクロン酸が結合している場合は消化することができない。このグルコアミラーゼ(0.1mg/ml)を用いて図6Bの産物を消化したところ、図6Cで示すように、すべてのピークが消失し、グルクロン酸残基が結合したグルカンは検出されず、馬鈴薯由来α−グルカンホスホリラーゼではグルクロン酸残基が結合したグルカンは合成できないことがわかった。
50mMグルクロン酸−1−リン酸、100mMクエン酸緩衝液(pH6.7)、10mMマルトテトラオース及び製造例3で作製したThermotoga maritima由来α−グルカンホスホリラーゼ(3Unit/ml)を含む反応液を37℃で40時間反応した糖組成を、そのまま、あるいはグルコアミラーゼ消化した後、DIONEX社製HPAEC−PAD装置で分析した。この分析条件は比較例1と同条件である。グルクロン酸残基が結合したグルカンは検出されず、Thermotoga maritima由来α−グルカンホスホリラーゼではグルクロン酸残基が結合したグルカンは合成できないことがわかった。Thermotoga maritima由来α−グルカンホスホリラーゼのかわりにThermococcus zilligii由来α−グルカンホスホリラーゼ(43Unit/ml)またはThermoanaerobacter pseudethanolicus由来α−グルカンホスホリラーゼ(19Unit/ml)を用いて同様の酵素反応を行ったが、グルクロン酸残基が結合したグルカンは合成できなかった。
50mMグルクロン酸−1−リン酸、100mM クエン酸緩衝液、10mMマルトテトラオース及びAquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ(37.5Unit/ml)を含む反応液を37℃で40時間保温後反応液の糖組成を、そのまま、あるいはグルコアミラーゼ消化した後、DIONEX社製HPAEC−PAD装置で分析した。この分析条件は比較例1と同条件である。結果を図7に示す。図7Aは標準サンプルの溶出位置を確認した図である。図7Bに示すように、Aquifex由来α−グルカンホスホリラーゼを用いた酵素反応産物を分析した結果、マルトオリゴ糖を含む複数のピークが確認できた。グルコアミラーゼ(0.1mg/ml)を用いて図7BのAquifex由来α−グルカンホスホリラーゼ産物を消化した結果、図7Cで示すように、星印で示すピークは分解されなかったことから、これらの星印で示すピークは非還元末端にグルクロン酸残基を含むグルカン化合物であることがわかった。さらに、α−1,4グルコシル結合をマルトース単位でランダムに分解する酵素であるα−アミラーゼを用いてこの産物を消化したところ、図7Dで示すようにすべてのピークが印で示す2ピークにシフトしたことから、グルクロン酸残基を含むグルカンがα−1,4グルカンであることが確認できた。マルトオリゴ糖の非還元末端に、グルクロン酸残基が1分子結合したグルカンが得られた。この結果、Aquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼを使用することにより、グルクロン酸含有グルカン(図7C星印)を製造できることが確認された。
50mMグルクロン酸−1−リン酸、100mM クエン酸緩衝液、10mMマルトヘプタオース及びAquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ(37.5Unit/ml)を含む反応液を37℃で40時間保温後反応液の糖組成を、そのまま、あるいはグルコアミラーゼ消化した後、DIONEX社製HPAEC−PAD装置で分析した。この分析条件は比較例1と同条件である。結果を図8に示す。図8Aは標準サンプルの溶出位置を確認した図である。図8Bに示すように、Aquifex由来α−グルカンホスホリラーゼを用いた酵素反応産物を分析した結果、マルトオリゴ糖を含む複数のピークが確認できた。マルトテトラオースを用いた時より産物の平均重合度は大きかった。グルコアミラーゼ(0.1mg/ml)を用いて図8BのAquifex由来α−グルカンホスホリラーゼ産物を消化したところ、図8Cで示すように、星印で示すピークは分解されなかったことから、これらは非還元末端にグルクロン酸残基を含むグルカン化合物であることがわかった。さらに、α−アミラーゼを用いてこの産物を消化したところ、図8Dで示すようにすべてのピークが印で示す2ピークにシフトしたことから、グルクロン酸残基を含むグルカンが確かにα−1,4グルカンであることが確認できた。マルトテトラオースを用いた時より分子サイズの大きい、マルトオリゴ糖の非還元末端にグルクロン酸が1分子付加されたグルカン(図8C星印)が得られた。
実施例1で得られたグルクロン酸含有グルカンの構造を決定するため、図9A(図7Cと同じ図である)のクロマトグラムの矢印で示したピークを分取した。分取は、HPAEC−PAD装置のカラムと検出器の間のチューブに分岐を設け、目的ピークの溶出時に分取側への流路切り替えを行うことで行った。分取後のサンプルをHPAEC−PAD装置で分析した結果を図9Bにしめす。これらの分析条件は比較例1と同条件である。このサンプルをSephadexG−10カラム(容量20ml)を用い脱塩、凍結乾燥した後、TOF−MS(島津製Voyager Biospectrometry Workstation Ver.5.1)により分子量を求めたところ、703.22という値となった。この分子量はグルクロン酸を末端に有するマルトトリオースの理論値と一致した。図9Bの物質(図9A矢印の物質と同じ)の構造を図9Cに示す。
50mMグルクロン酸−1−リン酸、100mM クエン酸緩衝液、2%分岐デキストリン(商品名:クラスターデキストリン;分子量190KDa:江崎グリコ株式会社製)及びAquifex aeolicus VF5由来グルカンホスホリラーゼ(37.5Unit/ml)を含む反応液を37℃で18時間保温し、酵素反応させた。クラスターデキストリンはトウモロコシ由来ワキシーコーンスターチにブランチングエンザイムを作用させることにより低分子量化したデキストリンであり、α−1,6結合によって結合した分岐鎖を含む高分子量分岐デキストリンである。酵素反応産物の構造をDIONEX社製HPAEC−PAD装置で分析した結果を図10にしめす。この分析条件は比較例1と同条件である。図10Aは標準サンプルの溶出位置を確認した図である。図10Bは酵素反応前のクラスターデキストリンの分岐部分をイソアミラーゼで消化した後HPAEC−PAD装置により分析したものであり、クラスターデキストリン分子のグルカン直鎖部分の長さの分布を示したものである。図10CはAquifex由来α−グルカンホスホリラーゼを用いた酵素反応産物をイソアミラーゼにより消化し分析した結果である。マルトオリゴ糖を含む複数のピークが確認でき、特に9分以降に矢印で示す部分に大きなピーク群が見られた。グルコアミラーゼ(0.1mg/ml)を用いて図10Cのイソアミラーゼ消化物を消化したところ、図10Dで示すように、矢印で示すピーク群はグルコアミラーゼによって分解されず、これらは非還元末端にグルクロン酸残基を含むグルカン化合物であることがわかった。これらの結果から、多数の非還元末端にグルクロン酸残基がそれぞれ1分子残基した高分子量分岐デキストリンが得られたことを確認した。非還元末端へのグルクロン酸導入率を求めたところ、非還元末端の約70%に、グルクロン酸残基が導入できていることを確認した。このようにして、多数の非還元末端にグルクロン酸残基が結合した構造を有する、本発明のグルクロン酸含有グルカン(図2に示す)が製造できた。
(製造例4−1:分岐グルカン(B)の製造)
50gのワキシーコーンスターチ(三和澱粉工業(株)製)を1000mlの10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に懸濁し、約100℃に加熱することにより糊化させた。約70℃まで冷却した糊液に特開2000−316581の実施例1に記載された方法に従って調製した高度耐熱性ブランチングエンザイムを200,000単位添加して反応液を調製した後、70℃で16時間反応させた。反応液を100℃で20分間加熱した後、6,500rpmで10分間遠心後の上清を孔径0.8μmの膜でろ過した。次に、濾液をゲルろ過クロマトグラフィー(AKTA purifer)システム(カラム:GEヘルスケア製 HiPrepTM 26/10 Desalting)を用い脱塩し、低分子量多糖を除去した。約1000mlの濾液を7.5mlのアリコートに分けてゲルろ過クロマトグラフィーシステムにアプライし、それぞれ流速10ml/分の2.7分から3.7分までの溶出画分を分取した。1000mlの濾液から得られた溶出画分を合わせて孔径0.2μmの膜でろ過した後凍結乾燥することにより、分岐グルカン(B)の粉末約35gを得た。分岐グルカン(B)の重量平均分子量は多角度レーザー光散乱光度計(ワイアットテクノロジー社製、DAWN DSP)と示差屈折計(昭和電工(株)製、Shodex RI−71)を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システム(カラム:昭和電工(株)製、OHPAK SB−806MHQ)を用いて調べた。分岐グルカン(B)の粉末20mgを10mlの100mM硝酸ナトリウム水溶液に溶解し、孔径0.45μmの膜でろ過して濾液を得た。得られた濾液のうちの100μlを上記HPLCシステムに注入した。分岐グルカン(B)の重量平均分子量は約110K(重合度にして約670)であることが示された。
砂糖水溶液(砂糖150gを1000mlの蒸留水に溶かし孔径0.2μmの膜でろ過することにより調製した)800ml、5%分岐グルカン(B)水溶液(上述の分岐グルカン製造例4−1で製造した分岐グルカン(B)5%水溶液を孔径0.2μmの膜でろ過することにより調製した)20ml、1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)4ml、国際公開第WO02/097107号パンフレットの実施例2.5に記載されたとおりの方法で調製した組換えStreptococcus mutansスクロースホスホリラーゼ1,800U、本願製造例1で製造したグルカンホスホリラーゼ1,200U、製造例4−1で使用した特開2000−316581に記載されたブランチングエンザイム600,000Uを混合し、蒸留水で液量を1000mlに調整した後、55℃で24時間反応させた。反応液を100℃で20分間加熱した後、6,500rpmで20分間遠心後その上清を孔径0.8μmの膜でろ過した。さらに、得られた濾液をゲルろ過クロマトグラフィー(AKTA purifer)システム(カラム:GEヘルスケア製 HiPrepTM 26/10 Desalting)を用いて脱塩し、低分子量多糖を除去した。約1000mlの濾液を7.5mlのアリコートに分けてゲルろ過クロマトグラフィーシステムにアプライし、それぞれ流速10ml/分で2.7分から3.7分までの溶出画分を分取した。1000mlの濾液から得られた溶出画分を合わせて溶出画分を孔径0.2μmの膜でろ過した後凍結乾燥することにより、分岐グルカン(P)約40gを得た。分岐グルカンの製造例4−1と同様にグルカンの重量平均分子量を調べたところ、分岐グルカン(P)の重量平均分子量は約4,000K(重合度にして約25,000)であることが示された。また、分岐の平均単位鎖長は約15、分岐数は約1,600であることが示された。さらに分岐グルカン(P)の平均粒径を濃厚系粒径アナライザー(大塚電子製、FPAR−1000)で測定したところ、平均粒径約37μmであった。
製造法4−1で製造した分岐グルカン(B)、グルクロン酸−1−リン酸、100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を含む反応液に製造例1で調製したAquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ(14Unit/ml)を50℃で18時間作用させ、グルクロン酸転移率の異なる3種のグルクロン酸含有分岐グルカン(BA1、BA2及びBA3)を製造した。各種グルクロン酸含有分岐グルカンの反応条件(分岐グルカン(B)濃度、グルクロン酸−1−リン酸濃度、分岐グルカン(B)とグルクロン酸−1−リン酸の添加割合)、および得られたグルクロン酸含有分岐グルカンのグルクロン酸転移率を表3に示した。
(反応液中に生じた無機リン酸数/反応液中の平均単位鎖数)×100(%)
無機リン酸量は、無機リン酸を含む水溶液(200μl)に対し、800μlのモリブデン試薬(15mM モリブデン酸アンモニウム、100mM 酢酸亜鉛)を混合し、続いて200μlの568mMアスコルビン酸水溶液(pH5.0)を加えて攪拌し、反応系を得る。この反応系を、30℃で20分間保持した後、分光光度計を用いて850nmでの吸光度を測定した。濃度既知の無機リン酸を用いて同様に吸光度を測定し、標準曲線を作成する。この標準曲線に試料で得られた吸光度を当てはめ、試料中の無機リン酸を求めた。
製造法4−1で製造した分岐グルカン(B)、グルコース1−リン酸、100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を含む反応液にAquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ(1Unit/ml)を50℃で18時間作用させ、単位鎖を伸長し、単位鎖長の異なる2種の分岐グルカン(B2及びB3)を合成した。分岐グルカン(B2及びB3)の単位鎖長は、反応液中の無機リン酸量を定量し算出した。反応液中の無機リン酸量は伸長されたグルコース量に相当し、そのグルコース量と分岐グルカンの非還元末端数(40)から分岐グルカンの非還元末端に伸長されたグルコース数(平均単位鎖長)を求めた。分岐グルカンB2及びB3の非還元末端に伸長されたグルコース数は、それぞれ20及び40であり、分岐グルカンB2及びB3の平均単位鎖長は反応前の分岐グルカン(B)の単位鎖長17と伸長されたグルコース数との合計であるので、単位鎖長はそれぞれ37、57であった。
実施例5で得られたグルクロン酸含有分岐グルカン(BA1又はBA3)、グルコース1−リン酸及び100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を含む反応液にAquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ(5Unit/ml)を50℃で18時間作用させ、単位鎖長の異なる各種グルクロン酸含有分岐グルカン(BA10〜BA17)を合成した。その反応条件を表6に示した。
実施例5で得られたグルクロン酸含有分岐グルカン(10mM BA1)、10mMマンノース1−リン酸、100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を含む反応液にAquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ(14Unit/ml)を50℃で18時間作用させ、マンノース含有分岐グルカンを合成した。分岐グルカン中のマンノース転移率は実施例5と同じ方法で求めた。こうしてグルクロン酸含有率25%、マンノース転移率44%の分岐グルカンを製造した。さらに本実施例のマンノース含有分岐グルカンは、グルクロン酸残基を含むグルカン、マンノース残基を含むグルカンを有することを、実施例4同様にイソアミラーゼ消化した分岐グルカンをグルコアミラーゼ消化したあとのHPAEC−PAD装置による分析で確認した。
実施例5で得られたグルクロン酸含有分岐グルカン(10mM BA1)、10mMガラクトース1−リン酸、100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を含む反応液にAquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ(14Unit/ml)を50℃で18時間作用させ、ガラクトース含有分岐グルカンを合成した。分岐グルカン中のガラクトース転移率は実施例5と同じ方法で求めた。こうしてグルクロン酸含有率25%、ガラクトース転移率39%の分岐グルカンを製造した。さらに本実施例のガラクトース含有分岐グルカンは、グルクロン酸残基を含むグルカン、ガラクトース残基を含むグルカンを有することを、実施例4同様にイソアミラーゼ消化した分岐グルカンをグルコアミラーゼ消化したあとのHPAEC−PAD装置による分析で確認した。
製造法4−2で製造した分岐グルカン(P)、グルクロン酸1−リン酸、100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を含む反応液にAquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ(14Unit/ml)を50℃で18時間作用させ、グルクロン酸転移率の異なる3種のグルクロン酸含有分岐グルカン(PA1、PA2およびPA3)を製造した。各種グルクロン酸含有分岐グルカンの反応条件((分岐グルカン(P)、グルクロン酸1−リン酸濃度、(分岐グルカン(P)とグルクロン酸1−リン酸の添加割合)、および得られたグルクロン酸含有分岐グルカンのグルクロン酸転移率を表9に示した。
実施例5で得られたグルクロン酸含有グルカン(BA2)を用いて2wt%水溶液を調製した。調製した水溶液1mlと1Nの塩酸2μlを試験管に加え、10℃で撹拌し、pH5の水溶液とした。この水溶液にN,N−ジエチルエチレンジアミンを2μl加えて撹拌し、さらに1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)2mgを加え、10℃で3時間撹拌を続けた。3時間後、反応液をゲルろ過カラム(PD−10)に1mlのせ、1.5mlの超純水で通液し、その後2mlを超純水で回収しグルクロン酸含有グルカンのカチオン化物(BC)を得た。
2mgのアルブミン(ウシ血清由来)と実施例5のグルクロン酸含有グルカン(BA2)2mgを700μlの0.1M 2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸(2−[N−morpholino]ethane sulfonic acid;MES)緩衝液(pH 5.0)に溶解した。1mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)を添加し、2時間室温で反応させた後、反応液を水で4分の1に希釈した後PD−10カラム(GE社製)を用いて脱塩した。得られた溶液をSuperose 6 10/300 GLカラム(サイズ分画用カラム、GE社製)を用いたFPLC分析によって分析した。溶離液(50mM リン酸緩衝液(pH7.0)、150mM 塩化ナトリウム)を用い、0.5ml/分で溶出し、生成物をUV(280nm)で検出した。グルクロン酸含有グルカンとアルブミンを縮合反応したサンプルの生成物は溶出時間が早く、分子サイズが大きいことが示された。したがって、グルクロン酸含有グルカンとタンパク質を脱水縮合し高分子化できることが示された。
塩基性タンパク質であるFGF−basic(Pepro Tech Ec,Inc.製)20μgと実施例5のグルクロン酸含有グルカン(BA2)0.5mgを0.1mlのイオン交換水中で混合した後、Superose 6 10/300 GLカラム(サイズ分画用カラム、GE社製)を用いたFPLC分析によって分析した。イオン交換水を溶離液とし、0.5ml/分で溶出し、生成物をUV(280nm)で検出した。グルクロン酸含有をFGF−basic溶液に添加しなかった場合と比較して、添加した場合は生成物の溶出時間が早く、分子サイズが大きいことが示された。したがって、グルクロン酸含有グルカンは塩基性タンパク質との複合体を形成できることが示された。結果を図11に示す。
実施例11で得られたカチオン化グルカン(BC)0.2μgとラムダDNA−HindIII断片(タカラバイオ製)0.5μgを20μlのイオン交換水中に溶解し、5分間室温で静置した後、1%アガロースゲル電気泳動を行った。カチオン化グルカンを添加しなかった場合と比較して、添加した場合は著しくDNA断片の移動度が遅かった。したがって、カチオン化グルカンはDNAとの複合体を形成できる。結果を図12に示す。
製造例4で得られたグルカン(BおよびP)をそれぞれDMSOに溶解し、表10の仕込みで混合し、25℃で1時間撹拌を行った。得られた溶液を超純水で2倍に希釈し、ゲルろ過カラム(PD−10)に1mlのせ、1.5mlの超純水で通液し、その後2mlを超純水で回収し精製した。精製後のサンプル300μlに5N 水酸化ナトリウム水溶液 200μlを加え、55℃で30分の加熱を行い、脱アセチル化反応を行った。この反応液に1N トリスバッファー(pH7)を300μl加え、さらに5N塩酸を200μl加え中和をした。中和後の溶液をフェノール硫酸法でグルコース定量し、また、遊離酢酸定量キットにて遊離酢酸の定量を行い、アセチル化度を求めたところ、アセチル化度が0.1〜1.3のアセチル化グルカン(AcB1〜AcB5およびAcP1〜AcP5)が得られた(表11)。各サンプル水溶液を凍結乾燥してアセチル化グルカンの粉末を得た。
実施例15で得られたアセチル化度の異なるアセチル化グルカン(AcB1、AcB2、AcB3、AcB4およびAcP1、AcP3、AcP4、AcP5)の粉末をそれぞれ使用して0.2wt%水溶液を調製した。これらの水溶液200μlにそれぞれ1M酢酸バッファー4μlを加え、さらに94unit/mlに調整した豚膵臓由来のα−アミラーゼを2μl加え、α−アミラーゼによる分解性を確認した。結果を図13に示す。図13の黒丸はAcB、黒三角はAcPを示す。図13に示すように、アセチル化度0.5以上のアセチル化グルカンはα−アミラーゼによる分解が抑制されることがわかった。
人の全血を1時間室温で静置し、5,000rpmで15分間遠心を行った。上清を血清として回収し、得られた血清200μlと実施例15で得られたアセチル化グルカン(AcB2、AcB3、AcB4およびAcP1、AcP3、AcP5)の0.2wt%調整水溶液200μlを混合した。37℃で2、4及び6時間目に80μlずつサンプリングを行い、遊離酢酸定量キットにて遊離酢酸の定量を行った。サンプリング6時間目の結果を図14に示す。どのアセチル化グルカンにおいても血清中のアセチラーゼによりアセチルが遊離したことがわかった。
実施例15で得られたアセチル化グルカン(AcB2)160mgを含む、30mMグルクロン酸−1−リン酸、50mM 酢酸緩衝液(pH5.5)及びAquifex aeolicus VF5由来グルカンホスホリラーゼ(18Unit/ml)を含む反応液を60度で16時間保温し、酵素反応させた。実施例5に記載の方法で無機リン酸含量を測定したところ、アセチル化グルカンの非還元末端の41.7%にグルクロン酸が導入されたことが分かった。
製造例4−1で得られたBおよび実施例18で得られたAcBA2の各グルカンを2wt%のDMSO溶液に調製した。各グルカンDMSO溶液2mlを試験管に入れ、90℃で撹拌した。これに1.25Mに調整したフルオレセインイソチオシアネート(FITC)のDMSO溶液を20μl加え、ピリジン1滴、ジラウリン酸ジ−n−ブチルすず1滴を滴下し90℃で2時間撹拌を行った。反応終了後、反応液にエタノールを5ml加え、10,000rpmで5分遠心を行い、沈殿を回収した。さらにエタノールを加え洗浄を行い、これを超純水1mlで溶解し、ゲルろ過カラム(PD−10)に1mlのせ、1.5mlの超純水で通液し、その後2mlを超純水で回収し精製を行った。得られたサンプルを凍結乾燥し、グルクロン酸含有グルカンの蛍光ラベル化物(F−B、F−AcBA)を得た。得られたサンプルの一部は490nmにおけるUV吸収を測定した。ウラニンを標準物質とし、各FITC導入量を求めたところ、表12に示すFITCの導入が確認できた。
実施例19で得られたFITCラベル化グルカン(F−B、F−AcBA)を2.6wt%となるように生理食塩水で調製した。頚静脈にカニューレを施した体重350g程度のラット(SD,10週齢,♂)のカテーテル部分より、調整したサンプル水溶液を400μl注入し、その後さらに生理食塩水100μlを注入しカテーテルを洗浄した。サンプル投与を0時間として、1、10、20、30及び40分後にカニューレより採血を行った。血液は12,000rpmで1分間遠心を行い、上清の血清を得た。得られた血清100μlに30%のトリクロロ酢酸を10μl加え混合した。10,000rpm、5分間の遠心を行い、上清50μlを回収した。この上清をpH7の1Mリン酸バッファーと5N水酸化ナトリウム水溶液で中和した。中和後の各サンプルは、ゲルろ過を用いた蛍光分析を行い、Ex=490nm,Em=518nmにて蛍光強度を測定した。結果を図15に示す。黒三角はF−B、黒四角はF−AcBAを示す。血液中に存在するグルカン量の経時変化を示した図15から、グルクロン酸含有アセチル化グルカン(F−AcBA)は未修飾グルカン(F−B)に比べ、血中滞留時間が大幅に延長されることが分かった。
(A)還元末端修飾マルトオリゴ糖(マルトトリオシルαシクロデキストリン、パラニトロフェニルマルトペンタオシド又はマルトシルスクロース)、(B)グルクロン酸1−リン酸、100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を含む反応液に製造例1で調製したAquifex aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼ(14Unit/ml)を50℃18時間作用させ、グルクロン酸含有グルカンの還元末端修飾物(3種)を製造した。反応条件を表13に示した。
配列番号2:Aquifex Aeolicus VF5由来α−グルカンホスホリラーゼのアミノ酸配列。
Claims (28)
- グルカンの少なくとも1つの非還元末端にグルクロン酸残基が結合しているが、非還元末端以外の位置にはグルクロン酸残基が存在しないグルクロン酸含有グルカンであって、該グルカンが分岐状α−1,4グルカンまたは直鎖状α−1,4グルカンである、グルクロン酸含有グルカン。
- 前記グルカンが分岐状α−1,4グルカンであり、該分岐状α−1,4グルカンの複数の非還元末端のうちの少なくとも1つの非還元末端にグルクロン酸残基が結合している請求項1に記載のグルクロン酸含有グルカン。
- 前記分岐状α−1,4グルカンが分岐マルトオリゴ糖、デンプン、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストリン、酵素合成分岐グルカン及び高度分岐環状デキストリンからなる群より選択される請求項2に記載のグルクロン酸含有グルカン。
- 請求項1に記載のグルクロン酸含有グルカンの水酸基修飾物であって、該修飾が、前記グルカンのアルコール性水酸基の一部又は全てへの修飾であり、該修飾が、ヒドロキシアルキル化、アルキル化、アセチル化、カルボキシメチル化、硫酸化及びリン酸化からなる群より独立して選択される、水酸基修飾物。
- 請求項1に記載のグルクロン酸含有グルカン又はその水酸基修飾物の還元末端修飾物。
- 請求項1に記載のグルクロン酸含有グルカン、その水酸基修飾物又はそれらの還元末端修飾物のカルボキシル基修飾物であって、該修飾が、前記グルクロン酸残基のカルボキシル基の一部又は全てへの修飾であり、該修飾が該カルボキシル基とカルボキシル基修飾試薬との反応により得られたものであり、該カルボキシル基修飾試薬は、少なくとも1つのアミン基および少なくとも1つの別の官能基を有する、カルボキシル基修飾物。
- 前記官能基が、カチオン性官能基またはアニオン性官能基である、請求項6に記載のカルボキシル基修飾物。
- 前記官能基が、疎水性官能基である、請求項6に記載のカルボキシル基修飾物。
- 前記官能基が、マレイミド基、チオール基及びアルデヒド基からなる群より選択される、請求項6に記載のカルボキシル基修飾物。
- 前記カルボキシル基修飾試薬が、N−ヒドロキシスクシンイミド、N,N−ジスクシンイミドカーボネート、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、イソブチルクロロホルメートおよび4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム・メチルスルフェートからなる群より選択される、請求項6に記載のカルボキシル基修飾物。
- グルカンとグルクロン酸−1−リン酸を含む水溶液に、グルクロン酸−1−リン酸、グルカン、およびグルクロン酸残基をグルカンの非還元末端に転移する反応を触媒し得るα−グルカンホスホリラーゼを作用させることを特徴とするグルクロン酸含有グルカンの製造方法。
- α−グルカンホスホリラーゼが、Aquifex aeolicus VF5由来のα−グルカンホスホリラーゼのアミノ酸配列に対して95%以上の配列同一性を有しかつグルクロン酸をグルカンの非還元末端に転移する活性を有する、請求項11に記載の方法。
- 請求項1に記載のグルクロン酸含有グルカン、その水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボン酸基修飾物と、薬効成分とを含む、医薬品。
- 前記薬効成分が、低分子量有機化合物、タンパク質、ペプチド、抗体、抗体フラグメント、受容体、受容体フラグメント、DNA、RNA、siRNAおよびRNAアプタマーからなる群より選択される、請求項13に記載の医薬品。
- 請求項1に記載のグルクロン酸含有グルカン、その水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボン酸基修飾物と、薬効成分との結合体であって、該薬効成分は、前記グルクロン酸残基のカルボキシル基のうちの少なくとも1つと、直接共有結合しているか、又はスペーサーを介して結合している、結合体。
- 請求項1に記載のグルクロン酸含有グルカン、その水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボン酸基修飾物を含む、臨床診断用組成物。
- 請求項1に記載のグルクロン酸含有グルカン、その水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボン酸基修飾物を含む、医薬品DDS用微小粒子状キャリア。
- 前記医薬品DDS用微小粒子状キャリアが、リポソーム、ウイルス粒子、高分子ミセルおよび疎水化高分子ナノゲルからなる群より選択される、請求項17に記載のキャリア。
- 請求項1に記載のグルクロン酸含有グルカン、その水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボン酸基修飾物を含有する臨床診断用造影剤。
- 式5からなる構造を有するグルクロン酸含有グルカン:
ここでmは1以上の整数であり、R1は独立して、H、式Aの構造を有するグルカン鎖または式Bの構造を有するグルカン鎖であり、
式Aにおいて、kは1以上の整数であり、R2は独立して、H、式Aの構造を有するグルカン鎖または式Bの構造を有するグルカン鎖であり、
式Bにおいて、sは1以上の整数であり、R3は独立して、H、式Aの構造を有するグルカン鎖または式Bの構造を有するグルカン鎖である、グルクロン酸含有グルカン。 - 式6からなる構造を有する、グルクロン酸含有グルカン又はグルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物:
ここでmは1以上の整数であり、R1は独立して、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基、式6Aの構造を有するグルカン鎖または式6Bの構造を有するグルカン鎖であり、
式6Aにおいて、kは1以上の整数であり、R2は独立して、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基、式6Aの構造を有するグルカン鎖または式6Bの構造を有するグルカン鎖であり、
式6Bにおいて、sは1以上の整数であり、R3は独立して、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基、式6Aの構造を有するグルカン鎖または式6Bの構造を有するグルカン鎖であり、
式6、式6Aおよび式6Bにおいて、R4は、水素、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基およびリン酸基からなる群から独立して選択される、グルクロン酸含有グルカンまたはグルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物。 - 式7からなる構造を有する、グルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物又はそれらの還元末端修飾物:
ここでmは1以上の整数であり、R1は独立して、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基、式6Aの構造を有するグルカン鎖または式6Bの構造を有するグルカン鎖であり、
式6Aにおいて、kは1以上の整数であり、R2は独立して、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基、式6Aの構造を有するグルカン鎖または式6Bの構造を有するグルカン鎖であり、
式6Bにおいて、sは1以上の整数であり、R3は独立して、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基、式6Aの構造を有するグルカン鎖または式6Bの構造を有するグルカン鎖であり、
式7、式6Aおよび式6Bにおいて、R4は、水素、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基およびリン酸基からなる群から独立して選択され、
式7において、Xは、単糖、非還元性糖質類、生体適合性高分子、リポソーム構成成分、配糖体およびアミン基含有低分子量物質からなる群より独立して選択される、グルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物又はそれらの還元末端修飾物。 - Xが、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グルコン酸、ソルビトール、スクロース、トレハロース、シクロデキストリン、環状デキストリン、環状アミロース、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、デキストラン、タンパク質、ペプチド、リン脂質、脂肪酸、界面活性剤、アスコルビン酸グルコシド、ハイドロキノングルコシド、ヘスペリジングルコシド、ルチングルコシド、パラニトロフェニルマルトペンタオース、ドデシルマルトース、フラボノイド配糖体類、テルペン配糖体類、フェノール配糖体類、カルコン配糖体類、ステロイド配糖体類、アミノ酸及びドデシルアミンからなる群より選択される、請求項22に記載のグルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物又はそれらの還元末端修飾物。
- 式8からなる構造を有する、グルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボキシル基修飾物:
ここでmは1以上の整数であり、R1は独立して、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基、式6Aの構造を有するグルカン鎖、式8Aの構造を有するグルカン鎖、または式6Bの構造を有するグルカン鎖であり、
式6Aにおいて、kは1以上の整数であり、R2は独立して、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基、式6Aの構造を有するグルカン鎖、式8Aの構造を有するグルカン鎖、または式6Bの構造を有するグルカン鎖であり、
式8Aにおいて、pは1以上の整数であり、R5は独立して、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基、式6Aの構造を有するグルカン鎖、式8Aの構造を有するグルカン鎖、または式6Bの構造を有するグルカン鎖であり、
式6Bにおいて、sは1以上の整数であり、R3は独立して、H、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基、式6Aの構造を有するグルカン鎖、式8Aの構造を有するグルカン鎖、または式6Bの構造を有するグルカン鎖であり、
式8、式6A、式8A、および式6Bにおいて、R4は、水素、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、カルボキシメチル基、硫酸基、リン酸基からなる群から独立して選択され、
式8において、Xは、単糖、非還元性糖質類、生体適合性高分子、リポソーム構成成分、配糖体およびアミン基含有低分子量物質からなる群より独立して選択され、
式8及び式8Aにおいて、Yは、薬効成分との結合のために導入される置換基であり、Yは、カルボキシル基修飾試薬との反応により得られ、該カルボキシル基修飾試薬は、少なくとも1つのアミン基および少なくとも1つの別の官能基を有する、グルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボキシル基修飾物。 - 前記官能基が、カチオン性官能基またはアニオン性官能基である、請求項24に記載のグルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボキシル基修飾物。
- 前記官能基が、疎水性官能基である、請求項24に記載のグルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボキシル基修飾物。
- 前記官能基が、マレイミド基、チオール基及びアルデヒド基からなる群より選択される、請求項24に記載のグルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボキシル基修飾物。
- 前記カルボキシル基修飾試薬が、N−ヒドロキシスクシンイミド、N,N−ジスクシンイミドカーボネート、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、イソブチルクロロホルメートおよび4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム・メチルスルフェートからなる群より選択される、請求項24に記載のグルクロン酸含有グルカン、グルクロン酸含有グルカン水酸基修飾物、それらの還元末端修飾物、又はそれらのカルボキシル基修飾物。
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