JP5648938B1 - 透明板の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】反射防止機能を発揮し且つ斜視透明度においても優れた透明板を提供する。【解決手段】透明板10は、透明支持体15と、両側から透明支持体に積層された反射防止フィルム20a,20bと、を備える。反射防止フィルムは、可視光線帯域の最短波長以下となる間隔dで設けられた微小突起32によって形成された凹凸面31を有し、且つ、凹凸面が透明支持体とは反対側を向くように配置されている。透明板の斜散乱度が、40%以下となっている。【選択図】図1

Description

本発明は、可視光線帯域の最短波長以下となる間隔で設けられた微小突起によって形成された凹凸面により反射防止機能を発揮し得る透明板、この透明板を利用したケース及び展示装置に関する。
従来、反射防止技術の一つとして、多数の微小突起を密接配置してなるモスアイ(moth eye、蛾の目)構造が知られている。モスアイ構造では、特許文献1に開示されているように、微小突起によって形成された凹凸面によって、入射光に対する屈折率を厚み方向に連続的に変化させ、屈折率の不連続界面を消失させることによって光の反射を防止する。
このようなモスアイ構造は、その微細な凹凸形状を反転させた形状を有する製造用金型を用いて、その凹凸形状を任意の樹脂層に転写することによって製造されるのが一般的である。従ってモスアイ構造の反射防止物品を作製する方法としては、基板上に紫外線硬化性樹脂等からなる樹脂層を形成した後、上記のような製造用金型を用いて当該樹脂層の表面にモスアイ構造を賦型し、さらに当該樹脂層を硬化させることによって形成する方法を用いることができる。このような製造方法は、簡易な方法で、かつ高い製造効率で反射防止フィルムを連続的に製造することができる。
特許第4197100号公報
ところでモスアイ構造は、従来の塗工による低屈折率層と比して、反射率が格段に低いことにより、ユーザー側背景の写り込みが効果的に防止されて高い透明度を確保することができる。しかしながら、本件発明者らがモスアイ構造について鋭意検討を重ねたところ、大きく傾斜した斜め方向からモスアイ構造を観察した場合に当該モスアイ構造を有した透明板が白く濁って観察されることがあり、これにより斜め方向から観察した透明板の透明度(以下、斜視透明度と呼ぶ)が劣化することが判った。また、本件発明者らの研究によれば、この斜視透明度の低下現象は、モスアイ構造に係る突起の密度、アスペクト比(突起の作製周期と突起の高さとの比)等に起因して生じ、さらには金型の劣化に起因しても生じた。
例えば車載計器盤等に用いられる場合等の特定の用途においては、透明板は一定の狭い角度範囲から観察されることになるので、斜視透明度の劣化は問題とならない。しかしながら、透明板の多くの用途において、斜視における白濁の発生は好ましくない。一具体例として、透明板がショーケースの区画壁として用いられる場合、当該透明板は、広範囲の観察角度から観察されるようになる。そして、透明板の白濁感は、ショーケース内に展示された物品に対して、質感を劣化させる或いは高級感を喪失させるといった悪影響を及ぼし得る。
ただし、斜視透明度の低下が感知され得るようになる観察方向は極めて大きく、また、背景等の透明板の設置条件に依存して斜視透明度の低下が感知されやすくことがある。したがって、透明板を実際に設置する前に透明板の斜視透明度を定量的に評価できていることが重要となる。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、可視光線帯域の最短波長以下となる間隔で設けられた微小突起によって形成された凹凸面により反射防止機能を発揮し且つ斜視透明度においても優れた透明板を提供すること、並びに、この透明板を利用したケース及び展示装置を提供することを目的とする。
本発明による透明板は、
透明支持体と、
前記透明支持体の両側から当該透明支持体に積層された反射防止フィルムと、を備える透明板であって、
前記反射防止フィルムは、可視光線帯域の最短波長以下となる間隔で設けられた微小突起によって形成された凹凸面を有し、且つ、前記凹凸面が前記透明支持体とは反対側を向くように配置され、
互いに直交するx軸、y軸及びz軸で定義される空間内で、yz平面上に配置された前記透明板の測定位置に、zx面上への投影においてx軸に対して10°傾斜し且つxy面上への投影においてx軸に対して反時計回り方向に75°傾斜した方向から、基準光を照射した場合に、x軸に対して反時計回り方向に75°傾斜したxy面上における方向に向けて前記透明板の前記測定位置から射出する光の光量に対する、x軸に平行な方向とx軸に対して時計回り方向に80°傾斜したxy面上における方向との間となるxy面上の各方向に向け、前記透明板の前記測定位置から射出する光の合計光量の最大値の割合である斜散乱度が、40%以下である。
本発明によるケースは、
少なくとも一部分が上述した本発明による透明板で形成され、
前記透明板を介して外部から内部を観察可能となっている。
本発明によるケースにおいて、前記透明板の一部分を介して外部から内部を観察した際に、前記透明板の他の部分を観察可能となっていてもよい。
本発明による展示装置は、
上述した本発明によるケースのいずれかと、
前記ケースを照明する照明装置と、を備える。
本発明による展示装置において、前記照明装置は前記ケースの外部に配置されていてもよい。
本発明によれば、透明板の斜散乱度が40%以下となっており、優れた斜視透明度を確保することができる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、透明板をその板面への法線方向に沿った断面にて示す断面図である。 図2は、透明板の反射防止フィルムを当該反射防止フィルムのフィルム面への法線方向に沿った断面にて示す断面図である。 図3は、図2の反射防止フィルムの凹凸面を示す斜視図である。 図4は、図2の反射防止フィルムの製造方法の一例を説明するための図である。 図5は、図4の反射防止フィルムの製造方法において用いられるロール版を模式的に示す斜視図である。 図6は、斜散乱度の測定方法を示す平面図である。 図7は、斜散乱度の測定方法を図6と直交する方向から示す平面図である。 図8は、図6及び図7の測定方法で測定した各方向への透過光の光量分布を示すグラフである。 図9は、図8に結果が示された測定条件とは異なる方向から基準光を入射させた場合の測定結果を示すグラフである。 図10は、図8及び図9に結果が示された測定条件とは異なる方向から基準光を入射させた場合の測定結果を示すグラフである。 図11は、図8〜図10に結果が示された測定条件とは異なる方向から基準光を入射させた場合の測定結果を示すグラフである。 図12は、ケース及び展示装置を示す斜視図である。 図13は、図12のケースを前方から示す斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「フィルム」は板やシートと呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、「反射防止フィルム」は、「反射防止板」や「反射防止シート」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
<<透明体>>
図1に示すように、透明板10は、シート状の透明支持体15と、透明支持体15に一方の側から積層された第1反射防止フィルム20aと、透明支持体15に他方の側から積層された第2反射防止フィルム20bと、を有している。とりわけ図示された例では、図2に示すように、第1反射防止フィルム20aは、第1接合層18aを介して、透明支持体15の第1表面15aに貼合されている。また、第2反射防止フィルム20bは、第2接合層18bを介して、透明支持体15の第2表面15bに貼合されている。図1に示された例において、第1反射防止フィルム20aは、透明支持体15の第1表面15aの全面を覆っている。同様に、第2反射防止フィルム20bは、透明支持体15の第2表面15bの全面を覆っている。
透明板10は、その両面を反射防止フィルム20a,20bによって形成されるとともに、可視光透過性を有している。したがって、透明板10は、良好な視認性を確保しながら二つの領域を区分けすることができる部材として機能する。例えば後述するように、物品等を収容するケース40を画成する壁材として用いられ得る。透明板10を介して良好な視認性を確保する観点から、透明板10の可視光透過率は、80%以上となっていることが好ましく、90%以上となっていることがより好ましい。また、透明体10の5°正反射による反射率は、0%以上1%以下となっていることが好ましく、0.5%以下となっていることがより好ましい。
なお、本明細書で言及する可視光透過率は、測定対象となる部位をなすようになる材料を東洋紡績製PETフィルム(品番:コスモシャインA4300、厚さ100μm)の上に膜厚1μmで成膜し、分光光度計((株)島津製作所製「UV−2450」、JISK0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。また、本件明細書において、「透明」とは、可視光透過率が50%以上あることを意味している。さらに、本明細書で言及する正反射の反射率は、紫外可視分光光度計(日本分光製、商品名「V−7100」を用いて、JIS Z8701−1999に準拠して2°視野(D65光源)により測定された値とする。
以下、透明板10の構成要素である、透明体、接合層および反射防止フィルムについて順に説明していく。なお、第1反射防止フィルム20a及び第2反射防止フィルム20bは、同一に構成することができる。第1反射防止フィルム20a及び第2反射防止フィルム20bを区別して説明する必要がない場合には、「第1」や「第2」を省略し、反射防止フィルムに対して符号「20a,20b」を用いて説明する。同様に、第1接合層18a及び第2接合層18bは、同一に構成することができる。そして、第1接合層18a及び第2接合層18bを区別して説明する必要がない場合には、「第1」や「第2」を省略し、接合層に対して符号「18a,18b」を用いて説明する。
<透明支持体>
透明支持体15としては、既知の透明基材を適宜選択して用いることができ、特に限定されない。透明支持体15に用いられる材料としては、例えば、透明無機材料や透明樹脂を例示することができる。透明無機材料としては、例えばソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等を例示することができる。一方、透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマ一等を挙げることができる。
透明板10を介した良好な視認性を確保する観点から、透明支持体15の可視光透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
透明支持体15は、単層で形成されていてもよいし、多層で形成されていてもよい。ただし、多層で形成されている場合には、隣接する層間での反射を抑制する観点から、隣接する層の屈折率差が0.1以下となっていることが好ましく、0.05以下となっていることがより好ましい。
<接合層>
接合層18a,18bは、反射防止フィルム20a,20bを透明支持体15に貼合するための層である。接合層18a,18bは、接着剤からなる接着層として形成されていてもよいし、或いは、リワーク性を有した、すなわち、剥離して再貼合可能な粘着層として形成されていてもよい。接合層18a,18bは、既知の種々の接着材料や粘着材料を用いて形成され得る。ただし、透明板10の設置場所に依っては、接合層18a,18bが耐水性を有した材料から形成されていることが好ましい。また、透明板10を介した良好な視認性を確保する観点から、接合層18a,18bの可視光透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。同様に、透明板10を介した良好な視認性を確保する観点から、接合層18a,18bにオレンジピールが生じていないことが好ましい。さらに、接合層18a,18bと透明支持体15との界面における反射を抑制する観点から、接合層18a,18bと透明支持体15との屈折率差が0.1以下となっていることが好ましく、0.05以下となっていることがより好ましい。
<反射防止フィルム>
図2及び図3に示すように、反射防止フィルム20a,20bは、凹凸面31を有する凹凸構造層30を含んでいる。凹凸構造層30の凹凸面31は、可視光線帯域の最短波長以下の間隔で配列された微小突起32によって形成されている。また、図2及び図3に示された反射防止フィルム20a,20bは、凹凸構造層30を支持する透明基材25を、さらに有している。反射防止フィルム20a,20bは、凹凸面31が透明支持体15とは反対側を向くように配置されている。したがって、第1反射防止フィルム20aが設けられている側において、透明板10の表面は、第1反射防止フィルム20aの凹凸面31によって形成されている。同様に、第2反射防止フィルム20bが設けられている側において、透明板10の表面は、第2反射防止フィルム20bの凹凸面31によって形成されている。
この反射防止フィルム20a,20bでは、凹凸構造層30が、いわゆるモスアイ構造として機能する。結果として、反射防止フィルム20a,20bは、凹凸構造層30の凹凸面31において、極めて優れた反射防止機能を発揮することができる。そして、反射防止機能を極めて高いレベルで発現し得る凹凸面31を、透明板10の表面に適用したことにより、後述するように、透明な透明板10に対する固有の要求、すなわち、視界を確保しながら領域の区画を行うといった要求に対して好適である優れた作用効果を奏することができる。
また、透明板10を介した良好な視認性を確保する観点から、反射防止フィルム20a,20bの可視光透過率が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
以下、反射防止フィルム20a,20bの透明基材25及び凹凸構造層30について順に説明していく。
(透明基材)
透明基材25としては、既知の透明基材を適宜選択して用いることができ、特に限定されない。例えば、透明支持体15に用いられる材料として例示した材料を、透明基材25に適用することができる。ただし、透明板10を介した良好な視認性を確保する観点から、透明基材25の可視光透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、透明基材25と接合層18との界面における反射を抑制する観点から、反射防止フィルム20a,20bの透明基材25と接合層18a,18bとの屈折率差が0.1以下となっていることが好ましく、0.05以下となっていることがより好ましい。
透明基材25の厚みは、透明板10の用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常20〜5000μmであり、透明基材25は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。ただし、接合層18a,18bがリワーク性を有している場合には、透明支持体15からの反射防止フィルム20a,20bの剥離を容易に行うことができるよう、透明基材25は後述する凹凸構造層30とともに湾曲可能な厚みとなっていることが好ましい。
透明基材25の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有していてもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。また、透明基材25と凹凸構造層30とが別の材料から形成される場合には、透明基材25と金属薄膜30との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性を向上させるためのプライマー層を透明基材25上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材25および凹凸構造層30との双方に密着性を有し、透明であることが好ましい。プライマー層の材料としては、例えば、フッ素系コーティング剤及びシランカップリング剤等から適宜選択して使用することができる。フッ素系コーティング剤の市販品としては、例えば、フロロテクノロジー製のフロロサーフ FG−5010Z130等が挙げられ、前記シランカップリング剤の市販品としては、例えば、ハーベス製のデュラサーフプライマーDS−PC−3B等が挙げられる。
(凹凸構造層)
図2及び図3に示すように、凹凸構造層30は、可視光線帯域の最短波長以下の間隔で配列された微小突起32によって形成された凹凸面31を有している。そして、ここで、微小突起32の「微小」とは、可視光線帯域の最短波長以下の間隔で配列される程度に微小であることを意味している。また、可視光線帯域の最短波長は、反射防止フィルム20a,20bを含む透明板10が使用される環境下における可視光線帯域の最短波長を指している。したがって、透明板10が使用される環境下に制限された光源からの光のみが存在する場合には、当該光源から射出される可視光の最短波長が、ここでいう可視光線帯域の最短波長となり、それ以外の場合には、一般的な可視光線帯域の最短波長として380nmを、ここでいう可視光線帯域の最短波長として採用する。
凹凸構造層30の凹凸面31は、反射防止機能を発揮して透明板10に高い透明度を付与する。この観点から、凹凸構造層30の凹凸面31上での5°正反射による反射率が、0%以上0.3%以下となっていることが好ましく、0.1%以下となっていることがより好ましい。そして、以下に説明するようにして凹凸構造層30を形成すれば、このような特性を実現することができる。
凹凸構造層30は、樹脂を含有してなる層とすることができ、更に、樹脂組成物の硬化物からなる層とすることができる。凹凸構造層30の形成に用いられる樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。凹凸構造層30と透明基材25との界面における反射を抑制する観点から、凹凸構造層30と透明基材25との屈折率差が0.1以下となっていることが好ましく、0.05以下となっていることがより好ましい。凹凸構造層30の形成に用いられる樹脂としては、特に限定されない。例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を、凹凸構造層30の形成に用いることができる。
凹凸構造層30の形成に用いられる樹脂としては、微小突起32の成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、重合開始剤によって硬化されるものである。なお、非反応性重合体を含有してもよい。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。樹脂組成物は、さらに必要に応じて、界面活性剤、重合開始剤、離型剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、粘度調整剤、密着性向上剤等を含有することもできる。とりわけ、樹脂組成物が、上述したエチレンオキシド基を含む界面活性剤を含有するようにしてもよい。
ここで図4は、反射防止フィルム20a,20bの製造方法の一具体例を説明するための図である。製造装置80は、樹脂供給工程において、ダイ82により透明基材25に電離放射線硬化性樹脂81の一例としての紫外線硬化性樹脂を塗布する。なお電離放射線硬化性樹脂81の塗布については、ダイ82による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いてこの製造方法では、ローラ84により、反射防止フィルムの賦型用金型であるロール版83の周側面に透明基材25を加圧押圧し、これにより透明基材25に電離放射線硬化性樹脂81をロール版83に密着させると共に、ロール版83の周側面に作製された微細な凹部に電離放射線硬化性樹脂81を充分に充填する。この状態で、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させ~ これにより透明基材25の表面に微小突起32を作製する。この製造方法では、続いて剥離ローラ85を介してロール版83から透明基材25を剥離する。以上のようにして反射防止フィルム20a,20bは、ロール材による長尺の透明基材25に、賦型用金型であるロール版83の周側面に作製された微細形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。
図5は、ロール版83の構成を示す斜視図である。ロール版83は、円筒形状の金属材料である母材の周側面に、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、微細な凹凸形状が作製され、この微細な凹凸形状が上述したように透明基材25に賦型される。このため母材は、少なくとも周側面に純度の高いアルミニウム層が設けられた円柱形状又は円筒形状の部材が適用される。一例として、母材にアルミニウムパイプが用いられ、直接に又は各種の中間層を介して、純度の高いアルミニウム層が設けられる。なおアルミニウムパイプに代えて、銅やステンレス等のパイプ材等を適用してもよい。ロール版83は、陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより、母材の表面に微細穴を密に作製し、この微細穴を掘り進めると共に、この微細穴の穴径を徐々に拡大して作製される。これによりロール版83は、深さ方向に徐々に穴径が小さくなる微細穴が密に作製され、反射防止フィルム20a,20bには、この微細穴に対応する微細な凹凸形状が作製される。
次に、凹凸構造層30の寸法について説明する。モスアイ構造による反射防止機能では、モスアイ構造とこれに隣接する媒質との界面における有効屈折率を、厚み方向に連続的に変化させて反射防止を図るものである。このため、凹凸構造層30の凹凸面31は、凹凸構造層30のシート面に沿って可視光線帯域の最短波長以下の間隔dで配列された微小突起32によって形成されている。ここで、この間隔dに係る隣接する微小突起32とは、いわゆる隣り合う微小突起32であり、透明基材25側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している二つの突起である。凹凸構造層30では微小突起32が密接して配置されることにより、微小突起32間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。間隔dに係る隣接する微小突起32は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。また、間隔dは、図3に示すように、反射防止フィルム20a,20bのフィルム面に沿った、隣接する二つの微小突起32の頂部33間の距離とすることができる。
ただし、凹凸構造層30に対して優れた反射防止機能を付与する観点からは、凹凸構造層30をなす微小突起32が次のように形成されていることがより好ましい。まず、凹凸構造層30の微小突起32は、反射防止フィルム20a,20bのフィルム面に沿って、70m以上300nm以下の間隔dで設けられていることが好ましく、70nm以上180nm以下の間隔dで設けられていることがより好ましい。また、反射防止フィルム20a,20bのフィルム面への法線方向ndに沿った微小突起32の高さHは50nm以上350nm以下となっていることが好ましく、100nm以上250nm以下となっていることがより好ましい。
また、凹凸構造層30の凹凸面31での反射防止機能は、微小突起32のアスペクト比の影響も受ける。アスペクト比は、微小突起32の幅に対する微小突起32の高さHの比であり、凹凸構造層30においては、微小突起32の幅を微小突起32間の間隔dと置き換えて取り扱うことが可能な指標である。凹凸構造層30に対して優れた反射防止機能を付与する観点から、微小突起32のアスペクト比は、0.8以上3以下となっていることが好ましく、1以上2以下となっていることがより好ましい。
なお、凹凸構造層30の凹凸面31及び微小突起32に関する各種寸法及び形状は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、特定することができる。
凹凸構造層30の厚みは、特に限定されないが、一例として10〜300μmとすることができる。なお、この場合の凹凸構造層30の厚みとは、図2に示すように、凹凸構造層30の透明基材25側の界面から、当該凹凸構造層30の凹凸面31をなす微小突起32の頂部33までの反射防止フィルム20a,20bのフィルム面への法線方向ndに沿った高さtを意味する。
ところで、図5に示された凹凸構造層30において、微小突起32は不規則的に配置されているが、微小突起32の配列は、不規則的でも規則的でもよい。ただし、干渉模様の発生を防止する観点からは、微小突起32の配列が不規則的であることが好ましい。図1に示すように、二枚の反射防止フィルム20a,20bが重なるように配置されている場合には、二枚の反射防止フィルム20a,20bの間で微小突起32の配列に起因した干渉模様が生じてしまうことのないよう、少なくとも一方の反射防止フィルム20a,20bの微小突起32の配列が不規則となっていることが好ましい。なお、微小突起32が不規則に配置されている場合には、隣接する微小突起32間の間隔dがばらつきを有することになる。そして、反射防止フィルム20a,20bが優れた反射防止機能を発現する上では、最も値の大きな間隔dmaxを可視光線帯域の最短波長以下とすることが有効である。
<<斜散乱度>>
上述したように、本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、凹凸構造層30をその法線方向ndに対して大きく傾斜した方向から観察した場合、凹凸構造層30の凹凸面31が白く濁ったように観察されることがあり、この白濁によって斜視透明度が感知可能な程度にまで劣化することが判った。ただし、斜視透明度の低下が感知され得るようになる観察方向が極めて大きく、また、背景等の透明板の設置条件に依存して斜視透明度の低下が感知されやすくなる。したがって、透明体10を実際に設置する前に透明板10の斜視透明度を定量的に評価できれば非常に好ましいが、透明板10の設置前にその斜視透明度を精度良く目視評価することは困難である。この点について、本件発明者が鋭意検討を重ねたところ、以下に説明するように、透明板10の斜散乱度を測定することにより、当該透明板10の斜視散乱度を定量的に評価することができることが見出された。これにより、透明板10を実装した後に、当該透明板10の斜視透明度が劣化していることに気付くといった不具合を効果的に回避することが可能となる。
図6及び図7は、透明板10の斜散乱度を測定する測定装置60を示す平面図及び側面図である。この測定装置60は、光源側光学系61により測定に供する基準光RLを測定対象に照射する。また受光側光学系62により、基準光RLの透過光について、散乱透過光の光量を測定する。この測定装置60では、この受光側光学系62で測定された光量により透明板10の斜散乱度を測定し、当該透明板10の斜視透明度を評価する。
光源側光学系61は、C光源による光源64から基準光RLを射出し、この基準光RLをコリメータレンズ65A,65Bを介してピンホール66に入射させ、このピンホール66により、点光源による光源像を作成する。さらに光源側光学系61は、このピンホール66の透過光をコリメータレンズ67により平行光線に変換した後、ミラー68A,68Bによりコリメータレンズ67等の光軸よりオフセットさせ(この図6において、z軸方向)、測定対象である透明板10に基準光RLを斜め入射させる。
受光側光学系62は、テレスコープレンズ69、ピンホール70を介して、測定対象からの光を受光素子71に集光し、この受光素子71により透明板10を透過した光の光量を測定する。光源側光学系61は、ミラー68A,68Bの位置調整により、図7に示されたzx平面上への投影において、透明板10に入射する基準光RLのx軸に対するオフセット入射角度φを調整できるように構成される。しかして透明板10がコリメータレンズ67等の光軸に垂直に保持されている場合には、このオフセット入射角度φが、基準光RLの透明板10への入射角度となる。
これに対して測定装置60では、図6に示すように、光源側光学系61及び受光側光学系62が、それぞれ、透明板10内のうちの基準光RLを照射される位置(以下において「測定位置」と呼ぶ)11を中心としたxy面内の円弧軌跡上を移動可能となっており、且つ、円弧軌跡上の各位置において、透明板10の測定位置11を向き、透明板10の測定位置11からの光を受光するようになっている。すなわち、光源側光学系61は、透明板10の測定位置11に対して一定の距離だけ離れて、当該測定位置11に対して種々の方向から基準光RLを投射することができる。同様に、受光側光学系62は、透明板10の測定位置11に対して一定の距離だけ離れて、当該測定位置11から種々の方向に進み出る基準光RLの透過光を受光することができる。
以下においては、xy平面上への投影において、光源側光学系61からの基準光RLの透明板10への入射方向がx軸に対して反時計回り方向になす基準入射角度IAを、正の角度として取り扱い、基準光RLの透明板10からの透過光の受光側光学系62による受光方向がx軸に対して反時計回り方向になす基準受光角度θを、正の角度として取り扱う(図6参照)。
以上のようにこの測定装置60では、測定対象となる透明板10の測定位置11に基準光SLを投射する光源側光学系61は、xy面上への投影において基準光SLの透明板10への入射方向がx軸に対してなす基準入射角度IAを変化させることでき、且つ、zx面上への投影において基準光SLの透明板10への入射方向がx軸に対してなすオフセット入射角度φを変化させることできる。また、測定対象となる透明板10の測定位置11からの基準光RLの透過光を受光する受光側光学系62は、xy面上への投影において基準光SLの透明板10からの出射方向がx軸に対してなす基準受光角度θを変化させることできる。
この測定装置60において、斜め方向から観察した場合に白みがかる程度が目視で感知し得る程度に異なる反射防止フィルム20a,20bを含んだ透明板10に対して、ミラー68a,68Bを省略し且つx軸方向に進む基準光RLを入射させ、受光側光学系62による基準受光角度θを変化させて種々の方向への散乱透過光の光量を測定した。すなわち測定において、基準入射角度IAを0°とし且つオフセット入射角度φを0°として、種々の基準受光角度θでの受光光量を測定したことになる。しかしながらこの場合、基準受光角度θを何度に設定しても、目視時に白濁の程度が異なる透明板の間で、測定に供した反射防止フィルム間に明確な差異は生じなかった。そこで基準入射角度IAを45°程度に設定し、受光側光学系62による基準受光角度θを変化させて種々の方向への散乱透過光の光量を測定した。すると、目視時に白濁の程度が異なる透明板の間で、基準光SLの散乱透過光量に明確な差異が生じた。これにより斜め方向より見た透明度である斜視透明度については、大きな基準入射角度IAで基準光RLを測定対象となる透明板10に入射させることにより、定量的に評価し得ることが判った。
ただし、オフセット入射角度φを0°とすると、基準受光角度θが基準入射角度IAと等しくなる場合に、受光側光学系62が光源側光学系61からの直進光を受光することになる。したがって、この測定方法の場合、受光側光学系62に、大きなダイナミックレンジが要求され、測定精度の点で、実用上未だ不十分なことが判った。そこで、基準受光角度θをいかなる角度に設定した場合においても、受光側光学系62が基準光RLの直進光を受光することながないよう、ミラー68A,68Bによりオフセット入射角度を0°以外に設定した。その結果、格段に高い精度で、斜視透明度に係る差異を把握することができた。実際上、種々に測定した結果によれば、目視による斜視透明度の検査結果を忠実に反映した、精度の高い測定結果を得ることができた。なお、本件発明者らの研究によれば、オフセット入射角度φを10°以上に設定すれば、実用上十分な測定精度を確保することができた。その一方で、オフセット入射角度φは、測定装置60の大型化を防止する観点からは、小さい方が好ましい。そこで、オフセット入射角度φは10°に設定することにした。
ここで本件発明者らが行った実験結果の一部を図8〜図11に示す。図8〜図11に結果が示されている測定は、基準光RLのオフセット入射角度φをすべて10°に設定した。一方、図8〜図11に結果が示されている測定の間で、基準光RLの基準入射角度IAを変化させた。図8〜図11に示されたグラフにおける垂直軸は、受光側光学系62による受光光量を数値化したものである。図8〜図11に結果が示された符号L1により示す透明板は、当該透明板に含まれる反射防止フィルム20a,20bの微小突起32のピッチに相当する間隔dが170nm、微小突起32の高さhが250nmであり、微小突起32のピッチと高さとの比であるアスペクト比が1.47であり、5°正反射率が0.05%であった。符号L2により示す透明板は、微小突起32のピッチに相当する間隔dが99nm、微小突起32の高さhが214nmであり、微小突起32のピッチと高さとの比であるアスペクト比が2.16であり、5°正反射率が0.07%であった。符号L3により示す透明板は、微小突起32のピッチに相当する間隔dが99nm、微小突起32の高さhが211nmであり、微小突起32のピッチと高さとの比であるアスペクト比が2.14であり、5°正反射率が0.07%であった。符号L4により示す透明板は、微小突起32のピッチに相当する間隔dが99nm、微小突起32の高さhが211nmであり、微小突起32のピッチと高さとの比であるアスペクト比が2.14であり、5°正反射率が0.12%であった。符号L5は、比較のために測定した従来の塗工による低屈折率膜を含んでなる反射防止フィルムを、透明支持体15の両側に接合層18a,18bを介して貼合した積層体についての測定結果である。
これら符号L1〜L4の透明板のうち、符号L1が、目視による検査において斜視透明度が不合格となった透明板である。図11に示すように、光源側光学系61に係る基準入射角度IAが小さい場合には、符号L1〜L4の透明板の間で、いずれの基準受光角度θにおいても受光素子71での受光光量に大きな差違は生じていない。一方、基準入射角度IAが大きい場合には、符号L1〜L4の透明板の間で受光光量に大きな差違が生じた。とりわけ、符号L1〜L4の透明板の間での受光光量の差は、基準入射角度IAが大きくなるにつれて、大きくなった。図8〜図10における符号Aで示す領域から明らかなように、基準入射角度IAから大きく離れた値となる基準受光角度θでの受光光量は、斜視透明度が劣る透明板(例えば符号L1)程、増大する傾向が生じた。また、基準入射角度IAが著しく増大した場合、図8及び図9に示すように、目視による検査において斜視透明度が不合格となる符号L1の透明板について、受光光量の角度分布に第2のピークが明瞭に生じた。これに対して斜視透明度に問題の無い透明板(符号L2〜L4)については、基準光RLの基準入射角IAが大きい場合には、受光光量の角度分布に第2のピークがうっすらとしか生じない、或いは、受光光量の角度分布に第2のピークが生じることなく基準受光角度θが増大するに従って徐々に散乱透過光の受光光量が単調減少した。
そして、本件発明者らが研究を重ねたところ、上述したようにオフセット入射角度φを10°に設定するとともに基準入射角度IAを75°に設定した状態で、基準受光角度θを75°として受光側光学系62によって受光される受光光量に対する、基準受光角度θが0°から−80°までの各方向で受光側光学系62によって受光される光量のうちの最大光量の割合を、測定対象となった透明板の斜散乱度とし、この斜散乱度の値により、透明板10の斜視透明度を精度良く評価し得ることを確認した。言い換えると、斜散乱度は、目視による斜視透明度の判定に精度良く対応し、当該斜視透明度を数値化し得る指標であることが確認された。
表現を代えて繰り返すと、互いに直交するx軸、y軸及びz軸で定義される空間内で、y軸およびz軸の両方と平行なyz平面上に配置された透明板10の測定位置11に、z軸およびx軸の両方と平行なzx面上への投影においてx軸に対して10°傾斜し(φ=10°)且つx軸およびy軸の両方と平行なxy面上への投影においてx軸に対して反時計回り方向に75°傾斜した方向から(IA=75°)、基準光RLを照射した場合に、x軸に対して反時計回り方向に75°傾斜したxy面上における方向に向けて透明板10の測定位置11から射出する光の光量に対する、x軸に平行な方向とx軸に対して時計回り方向に80°傾斜したxy面上における方向との間となるxy面上の各方向に向け、透明板10の測定位置11から射出する光の光量のうちの最大光量の割合を、斜散乱度とする。そして、この斜散乱度を管理することによって、透明板10の斜視透明度を精度良く評価することができることを確認した。具体的には、本件発明者らが実験を繰り返したところ、透明板10の斜散乱度が、0%以上40%以下となっている場合、透明板10の設置状況によらず当該透明板10の使用時に白濁感を感知することはなかった。
なお、図8に示された光量分布において、符号L1で示された透明板について、基準受光角度θが0°から−80°までの間となる−68°のときに、第2の光量のピークが明瞭に形成されている。したがって、符号L1で示された透明板の斜散乱度は、基準受光角度θが75°ときの受光光量に対する、基準受光角度θが−68°のときの受光光量の割合となる。具体的には、図8に符号L1で示された透明板の斜散乱度は、42.0%であり、本件発明者らが見出した40%以下との条件を満たしていなかった。
一方、図8に示された光量分布では、符号L2〜L4で示された透明板の光量分布についても、基準受光角度θが0°から−80°までの間となる−70°のときに、第2の光量のピークがなだらかではあるが生じていた。図8に符号L2で示された透明板の斜散乱度は、10.0%であり、符号L3で示された透明板の斜散乱度は、9.8%であり、符号L4で示された透明板の斜散乱度は、11.9%であった。すなわち、符号L2〜L4で示された透明板の斜散乱度は、本件発明者らが見出した40%以下との条件を満たしていた。
また本件発明者らが、鋭意研究を重ねたところ、斜視透明度は、透明板10に含まれる各反射防止フィルム20a,20bの微小突起32のピッチ(間隔d)、アスペクト比等を調節することにより、変化した。この点は、図8に示された符号L1〜L4の受光光量の測定結果によっても実証されている。また、符号L3及びL4の透明板の結果からも理解され得るように、微小突起32のピッチやアスペクト比が同一であっても、5°正反射率が僅かにでも異なれば、実際の斜視透明度の優劣が生じ、斜視透明度の優劣を反映して斜散乱度の値も異なった。この点から、微小突起32のピッチ及びアスペクト比に限られることなく、他の種々の要因、例えば個々の微小突起32の形状も斜視透明度に影響を与えることが理解される。そして、斜散乱度は、これらの要因の相違によっても変化して、斜視透明度の程度を精度良く提示することができる。
<<透明板の作用効果>>
次に、以上のような透明板10の作用効果について説明する。以上に説明した透明板10は、透明支持体15と、透明支持体15に積層された反射防止フィルム20a,20bと、を有している。反射防止フィルム20a,20bは、可視光線帯域の最短波長以下となる間隔dで設けられた微小突起32によって形成された凹凸面31を含む凹凸構造層30を有している。この反射防止フィルム20a,20bは、凹凸面31が透明支持体15とは反対側を向くように配置されている。そして、反射防止フィルム20a,20bの凹凸構造層30は、モスアイ構造体として極めて優れた反射防止機能を発揮し、具体的には、5°正反射による反射率が0.3%以下にもなる。すなわち、反射防止フィルム20a,20bの凹凸面31は、従来の低屈折率膜からなる反射防止層と比較して格段に優れた反射防止機能を発現することができる。
このような透明板10によれば、表面反射が極めて効果的に防止される。したがって、単に高い可視光透過率にて、透明板10越しの観察が可能となるだけでなく、透明板10の表面への写り込みを防止しながら、透明板10越しの観察が可能となる。すなわち、透明板10は、優れた視認性を確保しながら領域の区分けを行うことができる。したがって例えば、明暗差が生じる領域を区分けする区画部材(例えば窓)として透明板10を用いた場合には、明るい区域の側から暗い区域の側を観察したとしても、透明板10越しに暗い区域の様子を比較的に明瞭に確認することができる。
とりわけ、透明支持体15の両側に反射防止フィルム20a,20bが積層されているので、透明板10の対向する一対の表面の両方において、反射防止機能が十分に発揮される。したがって、透明板10越しに極めて良好な視界を確保することができる。
さらに、低屈折率層として形成された反射防止膜での反射率は、スペクトル分布を持つ。具体的には、低屈折率層からなる反射防止膜は、低屈折率層の厚み及び観察方向に応じた特定波長の光に対して、他の波長域の光に対してよりも、優れた反射防止機能を及ぼす。結果として、観察方向に応じて低屈折率層に色味がついてしまい、透明板10に適用した場合には、不都合が生じることも予想される。一方、低屈折率層からなる反射防止層とは異なり、凹凸構造層30の凹凸面31により反射防止機能を発現する透明板10においては、透明板10を観察した際に、観察方向に応じて変化する色味が生じることはない。
さらに、透明板10の斜散乱度が40%以下となっている。斜散乱度は、上述した測定装置60を用いて比較的に簡易に測定される指標であるが、透明板10の斜視透明度に精度良く対応した値となる。ただし、斜視透明度の低下が感知され得るようになる観察方向は極めて大きく、また、背景等の透明板の設置条件に依存して斜視透明度の低下が感知されやすくなる。したがって、従来においては、透明板を設置した後に、当該透明板が斜視透明度において劣っていることに気付くこともあった。斜散乱度を用いて透明板10の斜視透明度を評価することにより、透明板10の設置前、さらには透明板10の出荷前、さらには透明板10の連続的な生産(例えば上述した図4に示された方法での生産)を継続する前に、透明板10の斜視透明度の良否を判断することができる。結果として、透明板10の歩留まりを大幅に改善して、透明板10の製造コストを低減することが可能となる。
<<区画部材の具体的な適用例>>
図12及び図13には、透明板10の具体的な適用例が示されている。図12及び図13に示された例では、透明板10を、ケース40及び展示装置45に利用している。ケース40は、例えば図13に示すように、収容物7の防犯の目的や収容物7の保管条件を整える目的から、外部と区画された収容領域を画成し且つ当該収容領域に収容物7を外部から観察可能に収容する。このケース40の隔壁として、透明板10が用いられている。
図12及び図13に示された例において、ケース40は基台46上に配置されている。ケース40は、直方体の外輪郭を有するように構成されている。具体的には、ケース40は、基台46上に配置された底壁42と、底壁42と接続され透明板10を支持する支持枠41と、を有している。支持枠41は、側面をなす第1〜第4透明板10a〜10dと、天面をなす第5透明板10eと、を支持している。また、展示装置45は、ケース40の外部に配置された照明装置48を、さらに有している。このケース40において、第1〜第5透明板10a〜10eは、それぞれ、上述した透明板10として形成されており、その斜散乱度は、40%以下となっている。
このようなケース40では、側壁及び上壁をなす第1〜第5透明板10a〜10eが、極めて優れた可視光透過率を有するとともに極めて優れた反射防止機能を有する透明板10によって、形成されている。したがって、ケース40内に配置された収容物7を、明瞭に観察することができる。また、第1〜第5透明板10a〜10eが、優れた反射防止機能を発揮し、図12に点線で示した反射光の発生を防止することができる。これにより、ケース40の隔壁をなす第1〜第5透明板10a〜10eの外表面に、照明装置48が写り込むことが防止される。その一方で、ケース40内の収容物7が、照明装置48からの照明光によって照明され、明瞭に観察される。
また、図示されたケース40では、透明板10の一部分を介して外部から内部を観察した際に、透明板10の他の部分を観察可能となっている。図示された例では、ケース40の第5透明板10eを透過した照明光L12aは、ケース40の内部を進んで第3透明板10cに入射し得る。この点、第1〜第5透明板10a〜10eは、その両表面を、反射防止フィルム20a,20bの凹凸面31によって形成されている。したがって、ケース40をなす第1〜第5透明板10a〜10eの外表面だけでなく内表面も優れた反射防止機能を発現する。したがって、ケース40の隔壁をなす第1〜第5透明板10a〜10eの内表面に、照明装置48が写り込むことも効果的に防止され得る。以上のことから、第1〜第5透明板10a〜10e越しに収容物7を明瞭に観察することができる。
また、図示されたケース40では、透明板10の一部分を介して外部から内部を観察した際に、透明板10の他の部分を観察可能となっている。したがって、例えば図13に示すように、正面に配置された第1透明板10aを介して、他の透明板10である第2〜第5透明板10b〜10eが目に入ることもある。この際、第1透明板10aと隣り合う第2透明板10b、第4透明板10d及び第5透明板10eは、その板面への法線方向に対して大きく傾斜した方向から観察されることになる。ただし、第1〜第5透明板10a〜10eの斜散乱度は、40%以下となっている。したがって、第1透明板10aと隣り合う第2透明板10b、第4透明板10d及び第5透明板10eが、第1透明板10a越しに白濁して観察されることを効果的に回避することができる。これにより、ケース40に収容された収容物7を、種々の方向から違和感を覚えることなく、観察することができる。透明板10が白濁すると、ケース40内に収容された収容物7の質感を低下させる或いは収容物7の高級感を喪失させるといったイメージを観察者に与えかねない。このため、例えばケース40及び展示装置45は、美術品や商品等を収容するショーケースに適しており、美術品や商品等としての収容物7の価値を高めることに寄与し得る。
透明板10は、図12及び図13に示された例に限られず、種々のケース40や展示装置45に好適に適用され得る。例えば、支持枠41が省略されて透明板10が直接他の透明板10に接合されるケース40にも、透明板10を用いることができる。また、ケース40の側面が、円筒状又は楕円筒状に形成された一枚の透明板10からなっていてもよい。さらに、ケース40のいずれかの部分、例えばケース40の上面が、透明板10によって塞がれていなくてもよい。すなわち、ケース40の内部が、ケース40の外部から完全に隔離されていなくてもよい。
また、透明板10は、ケース40及び展示装置45以外の他の用途に用いられても良い。例えば、窓等のように、視認性を確保しながら領域を区分けする区画部材として用いられ得る。
<<追加、変形、その他>>
なお、上述した例に対して様々な追加や変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
上述した例では、反射防止フィルム20a,20bが、透明基材25と凹凸構造層30との二層を含むように形成されていた。このような反射防止フィルム20a,20bは、透明基材25上に、電離放射線硬化型樹脂を賦型してなる凹凸構造層30を形成することにより作製され得る。その一方で、反射防止フィルム20a,20bが、三層の積層構造であってもよいし、或いは、単層品でもよい。また、反射防止フィルム20a,20bは、熱可塑性樹脂を押し出し成型することによっても作製され得る。
また、上述した例において、透明支持体15に一方の側から積層された第1反射防止フィルム20aと、透明支持体15に他方の側から積層された第2反射防止フィルム20bとが、同一に構成されている例を示したが、これに限られない。例えば、第1反射防止フィルム20aと第2反射防止フィルム20bとの間で、凹凸面31上での5°正反射による反射率が互いに異なるようにしてもよい。同様に、一対の接合層18a,18bが同一に構成される例を示したが、これに限られず、異なる特性を有するようにしてもよい。
さらに、反射防止フィルム20a,20bの凹凸構造層30の凹凸面31が、耐擦傷性を向上させるためのハードコート層として形成されていてもよい。このハードコート層は、薄膜として形成されていてもよい。或いは、耐擦傷性の改善を図る観点から、凹凸構造層30が、スリップ剤を含有するようにしてもよい。さらに、紫外線による劣化を防止する観点から、透明板10のいずれかの部位が、紫外線吸収剤を含有するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、透明板10が平板状に形成される例を示したが、これに限られず、透明板10は、湾曲して曲面状に形成されていてもよい。なお、湾曲した透明板10の斜散乱度を、上述した測定装置60を用いて測定する場合、湾曲した透明板10は、その測定位置11における板面がyz平面上に位置するよう、配置されればよい。
なお、以上において上述した例に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
7 収容物
10 透明板
11 測定位置
10a 第1透明板
10b 第2透明板
10c 第3透明板
10d 第4透明板
10e 第5透明板
15 透明支持体
15a 第1表面
15b 第2表面
18a 第1接合層
18b 第2接合層
20a 第1反射防止フィルム
20b 第2反射防止フィルム
25 透明基材
30 凹凸構造層
31 凹凸面
32 微小突起
33 頂部
40 ケース
41 支持枠
42 底壁
45 展示装置
46 基台
48 照明装置
60 測定装置
61 光源側光学系
62 受光側光学系
64 光源
65A コリメータレンズ
65B コリメータレンズ
66 ピンホール
67 コリメータレンズ
68A ミラー
68B ミラー
69 テレスコープレンズ
70 ピンホール
71 受光素子
80 製造装置
81 電離放射線硬化性樹脂
82 ダイ
83 ロール版
84 ローラ
85 ローラ

Claims (2)

  1. 透明支持体と、
    前記透明支持体の両側から当該透明支持体に積層された反射防止フィルムと、を備え
    前記反射防止フィルムは、可視光線帯域の最短波長以下となる間隔で設けられた微小突起によって形成された凹凸面を有し、且つ、前記凹凸面が前記透明支持体とは反対側を向くように配置されている、透明板の評価方法であって、
    互いに直交するx軸、y軸及びz軸で定義される空間内で、yz平面上に前記透明板を配置し、
    zx面上への投影においてx軸に対して10°傾斜し且つxy面上への投影においてx軸に対して反時計回り方向に75°傾斜した方向から、前記透明板の測定位置に基準光を照射し、この状態において、x軸に対して反時計回り方向に75°傾斜したxy面上における方向に向けて前記透明板の前記測定位置から射出する光の光量に対する、x軸に平行な方向とx軸に対して時計回り方向に80°傾斜したxy面上における方向との間となるxy面上の各方向に向け、前記透明板の前記測定位置から射出する光の光量の最大値の割合を特定し、この割合によって前記透明板の斜散乱度を評価する、透明板の評価方法
  2. 前記割合が、40%以下であれば良品と評価する、請求項1に記載の透明板の評価方法。
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