図1に本実施形態に係る電圧変換器およびその周辺回路を示す。まず電圧変換器1の周辺回路構成について説明する。電圧変換器1は直流電源20および電動機30の間に接続されている。直流電源20はリチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池から構成されている。また電動機30は永久磁石モータ等のモータから構成されている。
さらに電圧変換器1と直流電源20との間には電源側コンデンサ21が直流電源20から見て電圧変換器1と並列に接続されている。
また電圧変換器1と電動機30との間にはインバータ25および負荷側コンデンサ22が、電動機30から見てそれぞれ電圧変換器1と並列に接続されている。
次に電圧変換器1の構成について説明する。電圧変換器1は、第1のスイッチング素子2と、第1のスイッチング素子2に直列に接続された第2のスイッチング素子3を備えている。第1のスイッチング素子2および第2のスイッチング素子3はIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等の電圧制御型のトランジスタから構成され、オン時間にはコレクタ−エミッタ間に電流が流れ、オフ時間には当該電流の流れが遮断される。
さらに第1のスイッチング素子2および第2のスイッチング素子3は制御部9に接続されている。制御部9は信号生成部10及び信号補正部11を備えている。
また、第1のスイッチング素子2には第1のダイオード4が逆並列に、すなわち第1のスイッチング素子2のエミッタ側からコレクタ側に向かう方向をダイオードの順方向とするように並列に接続され、同様に第2のスイッチング素子3には第2のダイオード5が逆並列に接続されている。なお、第1のスイッチング素子2と第1のダイオード4との組み合わせは下アーム6と呼ばれ、第2のスイッチング素子3と第2のダイオード5との組み合わせは上アーム7と呼ばれる。
また、上アーム7と下アーム6とを繋ぐ接点(ノード)13にはコイル等からなるリアクトル12が接続されている。
さらに、上アーム7と下アーム6とを繋ぐ配線のうち、接点13よりも下アーム6側の配線には電流計等からなる電流検知器14が設けられている。この電流検知器14は制御部9の信号補正部11に電流方向を示す判定信号を送信可能になっている。
以上、電圧変換器1とその周辺の回路構成について説明した。次に、第1のスイッチング素子2および第2のスイッチング素子3のオン/オフ時間を決めるスイッチング信号の生成過程について説明し、さらに生成されたスイッチング信号に基づく電圧変換器1の昇圧動作および降圧動作について説明する。
スイッチング信号は制御部9にて生成される。制御部9の信号生成部10には、図示しないパワーマネジメントコントローラから電動機30を駆動させるための指令電圧Sが送られる。信号生成部10は指令電圧Sに基づいて公知の三角波比較法等により第1のスイッチング素子2のオン/オフ時間を定めたスイッチング信号Tr10を生成する。さらにスイッチング信号Tr10の逆信号、すなわちオン時間とオフ時間とを逆転させた信号を生成し、これを第2のスイッチング素子3のスイッチング信号Tr20とする。ここで、スイッチング信号Tr20はスイッチング信号Tr10の逆信号であることから、両信号の周期T0は等しくなる。
さらに信号生成部10は図2に示すように、スイッチング信号Tr10、Tr20の周期T0中に2回のデッドタイムTdを挿入したスイッチング信号Tr11およびTr21を生成する。デッドタイムTdの挿入により、スイッチング信号Tr11およびTr21の周期T1はスイッチング信号Tr10およびTr20の周期T0よりも2Td分長くなる。
ここで、スイッチング信号Tr11に基づいて第1のスイッチング素子2のオン/オフ制御を行い、またスイッチング信号Tr21に基づいて第2のスイッチング素子3のオン/オフ制御を行った場合における、電圧変換器1の昇圧動作又は降圧動作について説明する。まず降圧時(回生時)における電圧変換器1の動作について説明する。回生時、すなわち電動機30から直流電源20に電力が送られる際に、電圧変換器1は降圧コンバータとして作用する。降圧回路は第2のスイッチング素子3、第1のダイオード4、およびリアクトル12から構成される。
降圧回路においては、第2のスイッチング素子3のオン時間に電動機30から電流が流れ、この電流は図3に示すように電動機30→第2のスイッチング素子3→接点13→リアクトル12→直流電源20→電動機30の経路を流れる。このときリアクトル12には電磁エネルギが蓄積される。次に第2のスイッチング素子3のオフ時間(デッドタイムを含む)には、電動機30からの電流の供給が遮断されるとともにリアクトル12に起電力が発生して図4に示すようにリアクトル12→直流電源20→第1のダイオード4→電流検知器14→接点13→リアクトル12の経路を電流が流れる。
降圧回路における降圧の割合は、第2のスイッチング素子3のオン時間T2ONの、スイッチング周期T1に対する比で表すことができることが知られている。すなわち、電動機30の電圧をVH、デッドタイム、つまり第1のスイッチング素子2も第2のスイッチング素子3もオフになっている時間をTd、第2のスイッチング素子のみがオフになっている時間をT2OFFとすると、図2から、直流電源20に加えられる電圧VLは以下の数式1により求められる。
上記数式1を参照すると、分母にデッドタイムTdの項があり、その分降圧の度合いが強められる、すなわち直流電源20に加えられる電圧VLが指令電圧Sよりも低くなることが理解される。
次に昇圧時における電圧変換器1の動作について説明する。力行時、すなわち直流電源20から電動機30に電力が送られる際に、電圧変換器1は昇圧コンバータとして作用する。昇圧回路は第1のスイッチング素子2、第2のダイオード5、およびリアクトル12から構成される。
昇圧回路においては、第1のスイッチング素子2のオン時間には、図5に示すように直流電源20→リアクトル12→接点13→電流検知器14→第1のスイッチング素子2→直流電源20の経路で電流が流れる。このとき、リアクトル12には電磁エネルギが蓄積される。次に第1のスイッチング素子3のオフ時間(デッドタイムを含む)には、リアクトル12に蓄積された電磁エネルギが直流電源20の電圧に加算された状態で図6に示すように第2のダイオード5を経て電動機30に送られる。
昇圧回路の昇圧の割合は、スイッチング周期T1の、第1のスイッチング素子2のオフ時間に対する比によって求められることが知られている。すなわち、第1のスイッチング素子2のオン時間をT1ON、第1のスイッチング素子2のみがオフになっている時間をT1OFFとすると、図2から、電動機30に加えられる電圧VHは以下の数式2により求められる。
ここで、最右辺について、T1ON+T1OFF>T1OFFであるから、
すなわち、上記数3に示されるように、デッドタイムTdが挿入されている分、昇圧の割合は弱められ、電動機30に加えられる電圧VHは指令電圧Sよりも低くなる。
以上説明したようにスイッチング信号Tr11、Tr21に補正が加えられない状態で第1および第2のスイッチング素子2、3のオン/オフ制御を行うと、電圧変換器1は降圧過程(回生時)、昇圧過程(力行時)ともにデッドタイムTdの影響を受ける。そこで制御部9の信号補正部11はスイッチング信号Tr11、Tr21を補正し、デッドタイムの影響Tdを取り除いている。以下、スイッチング信号Tr11、Tr21の補正について説明する。
降圧時(回生時)における電圧変換器1の電流の流れは、図3に示したように、第2のスイッチング素子3がオンのとき、電流は電動機30→第2のスイッチング素子3→接点13→リアクトル12→直流電源20→電動機30の経路を流れる。また図4に示すように、第2のスイッチング素子3がオフ(デッドタイムを含む)のとき、電流はリアクトル12→直流電源20→第1のダイオード4→電流検知器14→接点13→リアクトル12の経路を流れる。
ここで、電流検知器14に流れる電流、すなわちリアクトル12が接続された接点13から下アーム6に流れる電流I1(以下、電流I1を「下アーム電流」と呼ぶ。)の流れに着目する。接点13から下アーム6への流れ方向を正とすると、回生時には下アーム電流I1は負方向(下アーム6→接点13)に流れるか、または流れがなくなる(0になる)かのいずれかであり、正の方向には流れないことが理解される。
一方、昇圧時(力行時)における電圧変換器1の電流の流れは、図5に示すように、第1のスイッチング素子2がオンのとき、電流は直流電源20→リアクトル12→接点13→電流検知器14→第1のスイッチング素子2→直流電源20の経路を流れる。また図6に示すように、第1のスイッチング素子2がオフ(デッドタイムを含む)のとき、電流は直流電源20→リアクトル12→接点13→第2のダイオード5→電動機30→直流電源20の経路を流れる。このとき、下アーム電流I1は正方向(接点13→下アーム6)に流れるか、または流れがなくなる(0になる)かの何れかであり、負の方向には流れないことが理解される。
以上から、下アーム電流I1が正方向に流れれば昇圧時(力行時)であり、負方向に流れれば降圧時(回生時)であることが理解される。電流検知器14は、下アーム電流I1の電流値を測定することにより下アーム電流I1の流れ方向が正方向であるか負方向であるかを示す判定信号を制御部9の信号補正部11に送信する。信号補正部11では電流検知器14からの判定信号を受けて電動機30が昇圧時であるか降圧時であるかを判定する。さらにこの判定結果に基づいてスイッチング信号Tr11、Tr21を補正する。以下に、信号補正部11が行うスイッチング信号Tr11、Tr21の補正について説明する。
信号補正部11は、電流検知器14から下アーム電流I1の流れ方向を通知する信号を受信すると、電動機30が昇圧時であるか降圧時であるかを判定する。この判定後、信号補正部11は、昇圧時であるときには昇圧の度合いを増加させる補正を、また降圧時であるときには降圧の度合いを低減させる補正をスイッチング信号Tr11、Tr21に行う。
すなわち、信号補正部11は降圧時(回生時)においては上述した数式1に基づき、スイッチング信号Tr21のオフ時間T2OFFを予め定めた時間短縮する補正を行う。さらにこの補正にあわせてスイッチング信号Tr11のオン時間T1ONを予め定めた時間短縮する補正を行う。補正前のスイッチング信号Tr11、Tr21を図7の上段に、補正後のスイッチング信号Tr12、Tr22を下段に示す。
例えば信号補正部11は、スイッチング信号Tr21のオフ時間T2OFFおよびスイッチング信号Tr11のオン時間T1ONを2Td分減じる補正を行う。この補正を数式に表すと下記数式4のようになる。
数式4に示されるように、補正によりデッドタイムTdの影響が取り除かれることが理解される。
また、信号補正部11は昇圧時(力行時)においては上述した数式2に基づき、スイッチング信号Tr11のオン時間T1ONを予め定めた時間延長する補正を行う。さらにこの補正にあわせてスイッチング信号Tr21のオフ時間T2OFFを予め定めた時間延長する補正を行う。補正前のスイッチング信号Tr11、Tr21を図8の上段に、補正後のスイッチング信号Tr12、Tr22を下段に示す。
例えば信号補正部11は、スイッチング信号Tr11のオン時間T1ONに、(2Td×T1ON)/T1OFFを加える。この補正を下記数式5に示す。またこの補正にあわせてスイッチング信号Tr21のオフ時間T2OFFに(2Td×T2OFF)/T2ONを加える。
数式5に示されるように、補正によりデッドタイムTdの影響が取り除かれることが理解される。
ここで、スイッチング信号Tr11、Tr21の補正のタイミングについて説明する。信号補正部11は、スイッチング信号Tr11、Tr21の周期T1中にスイッチング信号Tr11、Tr21を補正している。言い換えれば、スイッチング信号Tr11、Tr21に基づいて第1および第2のスイッチング素子2、3のオン/オフ制御をしている最中に当該スイッチング信号Tr11、Tr21を補正している。
図9には降圧時(回生時)におけるスイッチング信号Tr11、Tr21の補正動作の概略が示されている。上述のように、降圧時にはスイッチング信号Tr21がオン時間T2Onからオフ時間T2Offに切り替わると下アーム電流I1が0からマイナスの値に切り替わる。電流検知器14は下アーム電流I1が0からマイナスに切り替わったときに下アーム電流I1が負方向に流れている旨の判定信号を信号補正部11に送る。または負の値の電流値を判定信号としてそのまま信号補正部11に送る。この電流検知器14から信号補正部11への送信はスイッチング信号Tr21のオフ時間T2Off中に行われる。さらに信号補正部11では下アーム電流I1の流れ方向または負の電流値に基づいて降圧時であると判断し、スイッチング信号Tr21のオフ時間T2Off中に当該オフ時間T2offおよびスイッチング信号Tr11のオン時間T1Onを所定量低減させる。これにより、スイッチング周期T1中にスイッチング信号Tr11、Tr21が補正される。
また、図10には昇圧時(力行時)におけるスイッチング信号Tr11、Tr21の補正動作の概略が示されている。上述のように、昇圧時にはスイッチング信号Tr11がオフ時間T1Offからオン時間T1Onに切り替わると下アーム電流I1は0からプラスの値に切り替わる。電流検知器14は下アーム電流I1が0からプラスに切り替わったときに下アーム電流I1が正方向に流れている旨の判定信号を信号補正部11に送る。または電流値を判定信号としてそのまま信号補正部11に送る。この電流検知器14から信号補正部11への送信はスイッチング信号Tr11のオン時間T1On中に行われる。さらに信号補正部11では下アーム電流I1の流れ方向に基づいて昇圧時であると判断し、スイッチング信号Tr11のオン時間T1On中に当該オン時間T1onおよびスイッチング信号Tr21のオフ時間T2Offを所定量増加させる。これにより、スイッチング周期T1中にスイッチング信号Tr11、Tr21が補正される。
以上のようにスイッチング信号Tr11、Tr21が補正されると、制御部9は補正されたスイッチング信号Tr12、Tr22に基づいて第1のスイッチング素子2および第2のスイッチング素子3のオン/オフ動作を制御する。デッドタイムTdの影響が取り除かれた補正後のスイッチング信号Tr12、Tr22に基づいて昇圧、降圧を行うので電圧変換器1の出力電圧VOと指令電圧Sとの差は低減される。
このように、本実施形態においては下アーム電流I1の流れ方向に基づいて昇圧時であるか降圧時であるかを判定し、この判定結果に基づいてスイッチング信号Tr11、Tr21を補正している。この補正はスイッチング信号Tr11、Tr21の周期T1中、つまり電圧の出力前に行われるため、デッドタイムTdの影響を取り除いた状態で電圧が出力される。このように本実施形態では予めデッドタイムTdの影響を取り除いた状態で電圧を出力するフィードフォワード制御による電圧補正を行っているので、原理的にフィードバック制御時に発生する応答遅れは生じない。したがって従来、応答遅れが原因で電圧補正が間に合わなかった急激な電圧の変化が生じても本実施形態では迅速に対応することができる。
なお、図1の実施形態では電流検知器14は下アーム電流I1の方向を検知していたが、接点13と上アーム7との間に電流検知器14を設け、接点13から上アーム7に向かう流れを正とする上アーム電流I2の方向を検知するようにしてもよい。このとき、図4から、降圧時(回生時)には上アーム電流I2は負方向か、または流れがなくなる(0になる)かの何れかであり、正の方向には流れないことが理解される。また図5から、昇圧時(力行時)には上アーム電流I2は正方向に流れるか、または流れがなくなる(0になる)かの何れかであり、負の方向には流れないことが理解される。つまり上アーム電流I2が正方向に流れれば昇圧時であり、負方向に流れれば降圧時である。この流れの傾向をもとに、信号補正部11はスイッチング信号Tr11、Tr21の補正を行う。
以上、本実施形態に係る電圧変換器における電圧補正について説明した。なお、上述の実施形態においては電流検知器14として電流計を使用し、下アーム電流I1または上アーム電流I2の流れ方向を直接検知していたが、これに代えて接点13と下アーム6または上アーム7との間の配線にコイル32を設け、当該コイル32の電圧VRの変化と、スイッチング信号Tr11、Tr21のオン/オフの切り替わりとに基づいて間接的に下アーム電流I1または上アーム電流I2の流れ方向を検知してもよい。以下、この検知方法について説明する。
図11に示す電圧変換器1には、図1で示した電流検知器14に代えて、接点13と下アーム6との間の配線31の周囲に、誘導起電圧を利用して当該配線31を流れる電流の微分値を検出する検出手段が設けられている。図11においては検出手段としてロゴスキーコイル等のコイル32を設け、さらにコイル32から電圧値VRを受信し、さらに信号生成部10からスイッチング信号Tr11、Tr21を受信する電流方向判定器33が設けられている。
上述したとおり、昇圧時(力行時)においてはスイッチング信号Tr11がオフからオンに切り替わる(立ち上がる)ときに下アーム電流I1が0から正の値に切り替わる。このとき、下アーム電流I1が流れる配線の周囲に設けられたコイル32の電圧VRは下アーム電流I1の変化(微分値)に応じて0から正の値に立ち上がり、その後にまた0に戻る。つまり、スイッチング信号スイッチング信号Tr11の立ち上りとコイル32の電圧VRの0から正の値への切り替わりが同時に起こったときに下アーム電流I1が正方向に流れることが理解される。このようにしてスイッチング信号Tr11のオン/オフの切り替わりとコイル電圧VRの変化を測定することで下アーム電流I1の流れ方向を間接的に知ることができる。
なお、一般的に同時に発生する変化を捉える際には同時の定義(任意の猶予時間を設定し、当該猶予時間内の変化を同時とみなす)等を設定する煩雑さがある。したがって、同時に発生する変化を捉えるよりも順次発生する変化を捉えることの方が判定過程としては簡便である。そこで、スイッチング信号Tr11のオン/オフの切り替わりとコイル電圧VRの変化を測定する代わりにスイッチング信号Tr21の立下りとコイル電圧VRの変化を測定しても良い。
図12に昇圧時(力行時)のスイッチング信号Tr11、Tr11との切り替わりと、コイル電圧VRのタイミングチャートを示す。スイッチング信号Tr21が立ち下がり(オンからオフに切り替わる)、デッドタイムTdが経過した後にスイッチング信号Tr11が立ち上がり(オフからオンに切り替わる)、これと同時に下アーム電流I1の値が0から正の値に立ち上がる。このことから、昇圧時(力行時)において下アーム電流I1が正方向に流れるときには、スイッチング信号Tr21立ち下がり→デッドタイムTd→コイル電圧VR立ち上がりという変化が順次見られることが理解される。この順次発生する変化を追うことで昇圧時における下アーム電流I1の流れ方向を間接的に検知することができる。
また、降圧時(回生時)においては図13に示すように、スイッチング信号Tr21が立ち上がると同時に下アーム電流I1の負方向への流れが0になる。このとき下アーム電流I1の流れの変化の影響を受けて、コイル32の電圧VRは0から正の値に立ち上がった後にまた0に戻る。つまりスイッチング信号Tr21の立ち上がりと同時にコイル電圧VRが立ち上がる。
上述の変化をスイッチング信号Tr11の立下りのタイミングを用いて言い換えると、第1のスイッチング素子2のスイッチング信号Tr11が立ち下がり、デッドタイムが経過した後にスイッチング信号Tr21が立ち上がり、それと同時に下アーム電流I1の値が負から0に切り替わる。この切り替わりの際にコイル電圧VRが立ち上がる。したがって、降圧時(回生時)において下アーム電流I1が負方向に流れるときには、スイッチング信号Tr11立ち下がり→デッドタイムTd→コイル電圧VR立ち上がりという変化が順次見られることが理解される。この順次発生する変化を追うことで降圧時における下アーム電流I1の流れ方向を間接的に検知することができる。
スイッチング信号Tr11、Tr21の立下りのタイミングと、コイル電圧VRの立ち上がりのタイミングとに基づいて下アーム電流I1の流れ方向を判定するフローチャートを図14に示す。電流方向判定器33はこのフローチャートに則って電流方向を判定し、判定結果として下アーム電流I1の流れ方向を示す電流方向判定信号SGNを生成する。本実施形態においては、下アーム電流I1が正方向を流れていると判定したときには電流方向判定信号SGNの値を1とし、また、下アーム電流I1が負方向を流れていると判定したときには電流方向判定信号SGNの値を−1としている。このように生成された電流方向判定信号SGNは信号補正部11に送信される。
図14のフローチャートについて、まず昇圧時(力行時)について説明する。電流方向判定器33は、スイッチング信号の立下りを検知し(S1)、立ち下がった信号がスイッチング信号Tr11であるかTr21であるかを判定する(S2)。立ち下がった信号がTr21である場合、デッドタイムTd後にコイル電圧Vrが正の値に立ち上がるか否かを判定する(S4)。コイル電圧Vrが0から正の値に立ち上がった場合、上述したように下アーム電流I1は正方向に流れているから、電流方向判定器33は電流方向判定信号SGNの値を1にセットする(S5)。また、デッドタイム後にコイル電圧Vrが正の値に立ち上がらない場合には電流方向判定信号SGNの値を0にセットする(S6)。このように生成された電流方向判定信号SGNの波形を、スイッチング信号Tr11、Tr21、コイル電圧Vr、下アーム電流I1の波形とともに図15に示す。
次に降圧時(回生時)について説明する。電流方向判定器33は、スイッチング信号の立下りを検知し(S1)、立ち下がった信号がTr11である場合(S2)、デッドタイムTd後にコイル電圧Vrが正の値に立ち上がるか否かを判定する(S7)。コイル電圧Vrが立ち上がった場合、上述したように下アーム電流I1は負方向に流れたことになるから、電流方向判定器33は電流方向判定信号SGNの値を−1にセットする(S8)。また、デッドタイム後にコイル電圧Vrが正の値に立ち上がらない場合には電流方向判定信号SGNの値を0にセットする(S6)。このように生成された電流方向判定信号SGNの波形を、スイッチング信号Tr11、Tr21、コイル電圧Vr、下アーム電流I1の波形とともに図16に示す。
上述のように生成された電流方向判定信号SGNに基づき、信号補正部11は電動機30が昇圧時であるか降圧時であるかを判断し、当該判断結果に基づいてスイッチング信号Tr11、Tr21の補正を行う。電流方向判定信号SGN生成のきっかけとなるスイッチング信号Tr11、Tr21の立下りはスイッチング信号Tr11、Tr21の半周期ごとに現れるから、スイッチング信号Tr11、Tr21の周期T1単位で下アーム電流I1の流れ方向を検知することができる。したがって、スイッチング信号Tr11、Tr21の補正をスイッチング信号Tr11、Tr21の周期T1内で行うことが可能となり、電圧の出力前にデッドタイムTdの影響を取り除くフィードフォワード制御を行うことができる。
なお、上述の実施形態では下アーム電流I1の変化に着目していたが、接点13と上アーム7との間の配線にコイル32を配置し、上アーム電流I2の変化に着目して電圧補正を行ってもよい。
ここで、電流方向判定器33を用いて行った電圧補正の結果を図17に示す。図17は、車両のスリップ等によりフィードバック制御における応答遅れ時間中に電動機30が力行過程から回生過程に急に切り替わったときにおける、従来のフィードバック制御による電圧補正と本実施形態の電圧補正とを比較したものである。
図17では、左側が従来のフィードバック制御による電圧補正を示し、右側が本実施形態による電圧補正を示している。電動機30の電力変化が最上段に示されており、電力値が正(力行)から負(回生)に急激に切り替わっている。さらに2段目にはスイッチング信号Tr11、Tr21に補正が行われたか否かが示されている。また、3段目のグラフにはリアクトル12を流れるリアクトル電流ILの変化が示され、4段目のグラフは負荷側コンデンサ22の電圧変化が示されている。
ここで、リアクトル電流ILについて説明する。リアクトル12には下アーム電流I1と上アーム電流I2とが流れることから、リアクトル電流ILは下アーム電流I1と上アーム電流I2の和を表している。具体的には図3、図4に示したように、降圧時(回生時)においては第2のスイッチング素子3がオンの時にはリアクトル12に上アーム電流I2が流れ、オフの時には下アーム電流I1が流れる。また図5、図6に示したように、昇圧時(力行時)においては第1のスイッチング素子2がオンの時にはリアクトル12に下アーム電流I1が流れ、オフの時には上アーム電流I2が流れる。
ところで、上述の図15、16等では下アーム電流I1の波形について、力行時には0と所定のプラスの二値、回生時には0と所定のマイナスの値の所定のマイナスの二値しか取らないパルス状であるように記載したが、実際にはわずかな値の増減がある。具体的には、昇圧時(力行時)にはスイッチング信号Tr11がオンのときに下アーム電流I1が流れ、このときにリアクトル12に電磁エネルギが溜められるため、下アーム電流I1の値は上昇傾向となる。スイッチング信号Tr11がオフになると上アーム電流I2が流れ、このときにリアクトル12から電磁エネルギが放出されるため、上アーム電流I2の値は下降傾向となる。したがって、下アーム電流I1と上アーム電流I2が合成されたリアクトル電流ILは、図18に示すように鋸状の波形となる。
また降圧時(回生時)にはスイッチング信号Tr21がオンのときに上アーム電流I2が流れ、このときにリアクトル12に電磁エネルギが溜められるため、上アーム電流I2の値は上昇傾向となる。スイッチング信号Tr21がオフになると下アーム電流I1が流れ、このときにリアクトル12に電磁エネルギが放出されるため、下アーム電流I1の値は下降傾向となる。したがって、この場合においてもリアクトル電流ILは鋸状の波形となる。
図17に戻り、従来のフィードバック制御について説明する。図17に示した電力変化は応答遅れの期間中に起こっているため、従来のフィードバック制御ではスイッチング信号を補正することができない。したがって力行時においても回生時においても指令電圧Sよりも出力電圧VOが低くなる。この影響を受けリアクトル電流ILは電動機30が力行から回生に切り替わる際に0A付近で停滞する。また、指令電圧Sと出力電圧VOとの間に差異があるため、この差異を平滑するために負荷側コンデンサ22に電荷が溜め込まれる。
一方、本実施形態に係る電圧補正について説明すると、電動機30の電力変化に応じて信号補正部11はスイッチング信号Tr11、Tr21を補正している。図17の右側2段目のグラフに示すように、力行時においては下アーム電流I1が正方向であることを検知し、昇圧の度合いを増加させる補正をスイッチング信号Tr11、Tr21に対して行い、また回生時であるときには下アーム電流I1が負方向であることを検知し降圧の度合いを低減させる補正をスイッチング信号Tr11、Tr21に対して行う。その結果、リアクトル電流ILは電動機30の電力変化に沿うようにスロープ状に変化し、0A付近の停滞は見られない。また、スイッチング信号Tr11、Tr21の補正が行われることによって指令電圧Sと出力電圧VOとの差異が低減するので負荷側コンデンサ22の電荷の溜め込みが少量で済む。
このように、本実施形態における電圧補正を行うことでスイッチング信号Tr11、Tr21の補正を迅速に行うことが可能となる。特に、本実施形態では負荷側コンデンサ22の電荷の溜め込みが少量で済むため、従来よりも容量の小さいコンデンサを使用することができる。これによりコンデンサのコストを低減することが可能となる。
なお、図17の右側2段目のスイッチング信号補正のグラフについて、リアクトル電流ILの値が0付近にあるとき(したがって下アーム電流I1の値も上アーム電流I2の値も0付近である)には電流方向判定器33は電流方向についての判定を休止している。これは、リアクトル電流ILの値が0付近にあるときには電流方向判定器33が電流方向の判定信号として0を継続して出力していることによる。
リアクトル電流ILが0付近にあるときには、図18に示すように、リアクトル電流ILの波形における山の頂点が正の値、谷の頂点が負の値を取り、山の頂点と谷の頂点との間で電流値が0となる。一方、リアクトル電流ILが0付近にないときには、図15、図16に示したように、スイッチング信号Tr11、Tr21の切り替わり(すなわち山の頂点または谷の頂点)と同時に下アーム電流I1及び上アーム電流I2の値が0になる。すなわち、リアクトル電流ILが0付近にあるときとないときとでは電流値が0になるタイミングが異なるものとなる。これを受けて、コイル電圧Vrの立ち上がりもリアクトル電流ILが0付近にあるときとないときとではタイミングが異なるものとなる。
その結果、リアクトル電流ILが0付近にあるときには、図14に示すフローチャートにおけるタイミングとは異なるタイミングでコイル電圧Vrが立ち上がる。すなわちスイッチング信号Tr11またはTr21が立ち下がった後のデッドタイム後にはコイル電圧Vrは立ち上がらず、電流方向判定信号SGNとして0が出力される(S6)。電流方向の判定信号として0が継続して出力されることにより、信号補正部11ではスイッチング信号Tr11、Tr21の補正が休止される。
なお、リアクトル電流ILの値0付近にあるときに電流方向の判定を休止する態様につき、図1の電流検知器14を備えた実施形態においても同様の操作を行うことは可能である。すなわち、電流検知器14に予め閾値を定め、電流値が閾値以内にあるときは電流方向を判定しない等の処理を行うことで電流方向の判定を休止させることができる。
以上、スイッチング信号Tr11、Tr21のオン/オフの切り替わりと、コイル電圧VRの変化とによって間接的に下アーム電流I1または上アーム電流I2の流れ方向を判定する方法について説明した。なお、上述の実施形態においては、スイッチング信号Tr11、Tr21の両信号の立下りを検知していたが、スイッチング信号Tr21の立下りの検知を省略し、スイッチング信号Tr11の立下りのみを検知するようにしても良い。このとき、図13に照らしてスイッチング信号Tr11立ち下がり→デッドタイムTd→コイル電圧VR立ち上がりと順次変化したときには下アーム電流I1は負方向に流れている、つまり降圧時(回生時)であると判定し、デッドタイム後Tdにコイル電圧のVRの立ち上がりがない場合には図12に照らして下アーム電流I1は正方向に流れている、つまり昇圧時(力行時)であると判定する。
なお、この態様においては、下アーム電流I1が0付近にあるとき(図18参照)には、上述したようにデッドタイムTd経過後のコイル電圧VRの立ち上がりがないから、下アーム電流I1が正方向に流れているものと判定される。このように、スイッチング信号Tr11の立下りのみを検知する場合においては、スイッチング信号Tr11とTr21の両方の立下りを検知する場合と比較して下アーム電流I1が0付近にあるときの電圧補正の精度が低くなるが、両者ともフィードフォワード制御を行うことが可能であり、応答遅れの無い電圧補正を行うことができる。さらに前者はスイッチング信号Tr11のみの立下りを検知するだけで良いので判定処理が簡便となる。
ところで、スイッチング信号Tr11、Tr21の周波数が高くなると、コイル電圧VRの波形は第1および第2のスイッチング素子2、3の寄生インダクタンスの影響を受ける。例えば図19に示すように、コイル電圧VRの波形にはリンギング波形と呼ばれる振動波形が重畳する。このリンギング波はデッドタイムTdよりも短い期間で減衰して0になる。
通常の力行時(図15を参照)であれば、第1のスイッチング信号Tr11の立下り後にコイル電圧VRが立ち上がることはないが、このリンギング波がコイル電圧VRに重畳することにより第1のスイッチング信号Tr11の立下り後であってもコイル電圧VRは一度負の値に立ち下がった後に急激に正の値に立ち上がってしまう。そうなると図14の判定フローにおいて本来であれば電流方向判定信号SGNの値が0となる(S6)べきところが1(S5)の値が出力されてしまう。
そこで本実施態様においてはスイッチング信号Tr11、Tr21の立下りタイミングを検知する代わりに、スイッチング信号Tr11の立ち上がり及び立下りのタイミングに基づいて下アーム電流I1の流れ方向を判定する。
図19に示すように、リンギング波は下アーム電流I1の切り替わりと同時に発生する。下アーム電流I1の切り替わりは第1のスイッチング素子2および第2のスイッチング素子3のゲート電圧の切り替わりによって生じる。第1のスイッチング素子2および第2のスイッチング素子3のゲート電圧はスイッチング信号Tr11、Tr21によって切り替わる。スイッチング信号Tr11、Tr21は制御部9から第1のスイッチング素子2および第2のスイッチング素子3に送られる。このとき、制御部9から第1のスイッチング素子2および第2のスイッチング素子3にスイッチング信号Tr11、Tr21が届き、第1のスイッチング素子2および第2のスイッチング素子3のゲート電圧が切り替わるまでにはわずかな遅延時間が生じる。このことから、制御部9においてスイッチング信号Tr11、Tr21が切り替わった時から遅延時間を経過した後にリンギング波が発生することになる。
この現象を利用すると、力行時にはスイッチング信号Tr11が立ち上がった後、遅延時間経過後に下アーム電流I1が0から正方向に流れ、これと同時にコイル電圧VRが立ち上がる。したがって、スイッチング信号Tr11立ち上がり→コイル電圧VR立ち上がりという変化を順次検知することにより下アーム電流I1の正方向の流れを検知することが可能となる。
また、スイッチング信号Tr11が立ち下がった後、遅延時間経過後に下アーム電流I1の流れが遮断され、これと同時にコイル電圧VRが立ち下がる。したがって、スイッチング信号Tr11立ち下がり→コイル電圧VR立ち下がりという変化を順次検知することにより下アーム電流I1の正方向の流れが0になったことを検知することが可能となる。
一方、回生時においては、スイッチング信号Tr11が立ち下がり、デッドタイムTd経過後にスイッチング信号Tr21が立ち上がり、さらに遅延時間経過後に下アーム電流I1の負方向の流れが遮断される。これと同時にコイル電圧VRが立ちあがる。したがって、スイッチング信号Tr11立ち下がり→コイル電圧VR立ち上がりとの変化を順次検知することにより、下アーム電流I1の負方向の流れが0になったことを検知することが可能となる。
また、スイッチング信号Tr21が立ち下がった後、遅延時間経過後に下アーム電流I1が0から負方向に流れ、これと同時にコイル電圧VRにはリンギング波形が生じる。その後デッドタイムTdを経てスイッチング信号Tr11が立ち上がる。このとき、コイル電圧VRのリンギング波はデッドタイムTd中に減衰しているので、スイッチング信号Tr11が立ち上がるときにはコイル電圧VRは0になっている。したがって、スイッチング信号Tr11立ち上がり→コイル電圧VR変化なし(0を維持)というシーケンスにより下アーム電流I1の負方向の流れを検知することが可能となる。
また、上述した電流方向の判定方法に代えて、スイッチング信号Tr11の立ち上がりと、第1のダイオード4のリカバリ電流を検知できる精度のコイル32を使用することによっても下アーム電流I1の流れ方向を検知することができる。
まず、リカバリ電流について説明する。ダイオードに順方向の電流を流した後急に逆方向の電圧を掛けた場合、ダイオードのp型領域に注入されていた電子がn型領域に移動したり、n型領域に注入されていた正孔がp型領域に移動し、順方向とは逆方向に電流が流れる。この電流をリカバリ電流と呼び、力行時においては第1のスイッチング素子2がオフからオンに切り替わったときに発生する。このときの下アーム電流I1の波形を図20の左側2段目に示す。リカバリ電流の影響を受けて、第1のスイッチング素子2がオンになった後に、下アーム電流I1の値は一時的に大きく立ち上がった後に立ち下がり、安定した正の値となる。この電流変化を受けて、コイル電圧VRの値は0から正に立ち上がった後直ちに負の値に変化し、その後0の値を示す。すなわち、スイッチング信号Tr11およびコイル32には、スイッチング信号Tr11立ち上がり→コイル電圧VR:0→正→負、という変化が現れる。この変化を検知することで、下アーム電流I1が正方向に流れていることを判断することができる。
一方、回生時の下アーム電流I1の波形を図20の右側2段目に示す。この波形に示されるように、回生時においてはスイッチング信号Tr11が立ち上がったときにはリカバリ電流は発生せず、スイッチング信号Tr11が立ち下がったときにリカバリ電流が発生する。すなわち、スイッチング信号Tr11立ち上がり→コイル電圧VR変化無しの場合には下アーム電流I1が負方向に流れていると判定することができる。
次に、電流方向判定器33から送られた電流方向判定信号SGNに基づき、信号補正部11がスイッチング信号Tr11、Tr21を補正する補正値DIRを出力する処理について説明する。
信号補正部11には、電流方向判定器33から送られた電流方向判定信号SGNが送られる他にも、信号生成部10がスイッチング信号Tr10、Tr20の生成に用いた三角波(キャリア信号)が送られる。信号補正部11は、三角波の谷の頂点および山の頂点と電流判定信号SGNの瞬時値について、
(1)三角波の谷の頂点のときに電流方向判定信号SGNの瞬時値が正であれば、スイッチング信号Tr11のオン時間T1ONおよびスイッチング信号Tr21のオフ時間T2OFFを所定量増やす補正値DIRを出力する。
(2)三角波の谷の頂点のときに電流方向判定信号SGNの瞬時値が0であれば補正値DIRは0とする。
(3)三角波の山の頂点のときに電流方向判定信号SGNの瞬時値が負であれば、スイッチング信号Tr21のオフ時間T2OFFおよびスイッチング信号Tr11のオン時間T1ONを所定量減じる補正値DIRを出力する。
(4)三角波の山の頂点のときに電流方向判定信号SGNの瞬時値が0であれば補正値DIRは0とする
との比較を行う。この結果を図21に示す。上段に三角波、中段に電流方向判定信号SGN、下段に補正信号DIRの波形を示す。三角波の周期はスイッチング信号の周期T1に等しく、三角波の山と谷とに応じて補正値DIRを出力することにより、スイッチング信号Tr11、Tr21の周期Tt中に補正を行うことができる。
さらに、図22に示すように補正信号DIRの1周期中の最大点をサンプリングしてスイッチング周期中の代表値とする演算を行ってもよい。また、最大値のサンプリングの代わりに図23に示すように平均化処理を行っても良い。
なお、上述した実施形態においては、力行過程に昇圧を行い、回生過程に降圧を行っていたが、この本発明はこの態様に限られない。例えば電源電圧が電動機等の負荷の電圧よりも高い場合には力行過程に降圧が行われ、回生過程に昇圧が行われる。このような回路においても本発明を適用することが可能である。